JP2007106620A - 流動性ハイドロタルサイト粉体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記式(1);
[(Mg)x(Zn)y]1−z(Al)z(OH)2(An−)z/n・mH2O (1)
(式中、An−は、n価のアニオンを表す。x、y、z及びmは、0.5≦x≦1、0≦y≦0.5、x+y=1、0.1≦z≦0.5、0≦m<1の条件を満たす値である。)
で表され、かつ、かさ比重が0.36〜0.50g/mlであることを特徴とする流動性ハイドロタルサイト粉体。
【選択図】 なし
Description
[(Mg)x(Zn)y]1−z(Al)z(OH)2(An−)z/n・mH2O (1)
(式中、An−は、n価のアニオンを表す。x、y、z及びmは、0.5≦x≦1、0≦y≦0.5、x+y=1、0.1≦z≦0.5、0≦m<1の条件を満たす値である。)
で表され、かつ、かさ比重が0.36〜0.50g/mlであることを特徴とする流動性ハイドロタルサイト粉体である。
本発明はまた、ハイドロタルサイトを減容することによって、かさ比重を0.36〜0.50g/mlの範囲に調整する工程を含むことを特徴とする流動性ハイドロタルサイト粉体の製造方法でもある。
以下、本発明の詳細に説明する。
(かさ比重)
測定に使用するかさ比重測定装置は、図1に示した装置である。
十分にかき混ぜた試料(流動性ハイドロタルサイト粉体)約120mlを、かさ比重測定装置のダンパーを差し込んだ漏斗に入れた後、速やかにダンパーを引き抜き、試料を受器に落とす。受器から盛り上がった試料は、ガラス棒ですり落とした後、試料の入った受器の質量を0.1gまで正確に量り、次の式によってかさ比重を小数点以下2けたまで求める。測定は3回行い、その平均値を取る。
Sa=(C−A)/B
Sa:かさ比重
A:受器の質量(g)
B:受器の内容積(ml)
C:試料の入った受器の質量(g)
なお、試験結果の数値は、規定の数値より1けた下の位まで求め、JIS Z 8401(数値の丸め方)により丸める。
かさ比重調整前の上記ハイドロタルサイトは、水熱合成等の従来公知の製造方法により得られるもの等を挙げることができる。
上記水熱合成の反応条件は、特に限定されず、例えば、温度120〜250℃、圧力0.1〜4MPaで、1〜12時間の条件によって合成することができる。このような条件で水熱合成することによって、粒径が比較的大きいハイドロタルサイトを得ることができる。
本発明の流動性ハイドロタルサイト粉体をホッパーを用いた生産工程に用いる場合、上記cは、45〜60度であることが好ましい。上記範囲cを有するホッパーを用いる場合、上記流動性ハイドロタルサイト粉体を上記上部開口部3から供給すると、詰まりやブリッジの発生をより良好に防止することができるため、より生産性良く樹脂製品を製造することができる。また、優れた成形加工時の耐熱性や加工性、製品の電気絶縁性、機械的物性、透明性、分散性、中和性等の性能を維持することも可能である。
上記ホッパーは、ダンパー(図示せず)を有するものであってもよい。
上記合成樹脂は、通常、成形品として使用されるものであればよく、例えば、熱可塑性の合成樹脂を挙げることができる。
上記合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、ポリ・4−メチルペンテン−1等のC2〜C8オレフィン(α−オレフィン)の重合体又は共重合体、これらオレフィンとジエンとの共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、ポリスチレン、ABS樹脂、AAS樹脂、AS樹脂、MBS樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル酢酸ビニルグラフト重合体、塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩化ビニルプロピレン共重合体、酢酸ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、メタクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
上記他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、顔料、発泡剤、可塑剤、充填剤、補強剤、有機ハロゲン難燃剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、他の無機系及び有機系熱安定剤等を挙げることができる。
3リットルの反応容器に水400mlを入れ、攪拌下において、硫酸マグネシウム塩と硫酸アルミニウム塩の混合溶液(Mg2+=34.4g/l、Al3+=17.0g/l)800mlと、水酸化マグネシウムと炭酸ナトリウムの混合水溶液(NaOH=166.2g/l、Na2CO3=170g/l)800mlとを同時に加えた後、200℃で4時間水熱合成を行った。得られたハイドロタルサイトスラリーを95℃に保持して、ステアリン酸5gを加えて表面処理を行った。次いで、ろ過水洗を実施し、100℃24時間乾燥し、粉砕を行うことによって、比表面積値=13m2/gのハイドロタルサイトを得た。得られたハイドロタルサイトをドイツ BABCOCK社製パキュプレス連続真空脱気装置を用いて、真空圧−75KPaで脱気し、かさ比重0.38g/mlに調整することによって、流動性ハイドロタルサイト粉体を得た(比表面積値=13m2/g)。
真空圧−80KPaで脱気し、かさ比重0.40g/mlに調整した以外は、実施例1と同様にして流動性ハイドロタルサイト粉体を得た(比表面積値=13m2/g)。
真空圧−85KPaで脱気し、かさ比重0.42g/mlに調整した以外は、実施例1と同様にして流動性ハイドロタルサイト粉体を得た(比表面積値=13m2/g)。
ドイツ BABCOCK社製パキュプレス連続真空脱気装置の代わりに、ホソカワミクロン社製デンスパック(ロータリーバルブ式真空脱気装置)を用いて、真空圧−85KPaで脱気し、かさ比重0.4g/mlに調整した以外は、実施例1と同様にして流動性ハイドロタルサイト粉体を得た(比表面積値=13m2/g)。
ドイツ BABCOCK社製パキュプレス連続真空脱気装置の代わりに、テーパースクリュー式真空脱気装置を用いて、真空圧−85KPaで脱気し、かさ比重0.4g/mlに調整した以外は、実施例1と同様にして流動性ハイドロタルサイト粉体を得た(比表面積値=13m2/g)。
3リットルの反応容器に水400mlを入れ、攪拌下において、硫酸マグネシウム塩と硫酸アルミニウム塩の混合溶液(Mg2+=30.6g/l、Al3+=17.0g/l)800mlと、水酸化マグネシウムと炭酸ナトリウムの混合水溶液(NaOH=166.2g/l、Na2CO3=170g/l)800mlとを同時に加えた後、200℃で6時間水熱合成を行った。得られたハイドロタルサイトスラリーを95℃に保持して、ステアリン酸5gを加えて表面処理を行った。次いで、ろ過水洗を実施し、100℃24時間乾燥し、粉砕を行うことによって、比表面積値=5m2/g、かさ比重0.38g/mlの流動性ハイドロタルサイト粉体を得た。
混合溶液を硫酸マグネシウム塩と硫酸アルミニウム塩の混合溶液(Mg2+=34.4g/l、Al3+=17.0g/l)800ml、水熱合成の条件を200℃で4時間、ステアリン酸の添加量15gに変更した以外は、実施例6と同様にして流動性ハイドロタルサイト粉体を得た(比表面積値=13m2/g、かさ比重0.43g/ml)。
実施例1と同様にして比表面積値=13m2/gのハイドロタルサイトを得た後、そのハイドロタルサイト3kgを20Lヘンシェルミキサーに仕込み、ステアリン酸を100g添加し、高速攪拌することで、かさ比重0.47g/mlである流動性ハイドロタルサイト粉体を得た(比表面積値=13m2/g)。
3リットルの反応容器に水400mlを入れ、攪拌下において、硫酸マグネシウム塩と硫酸アルミニウム塩の混合溶液(Mg2+=34.4g/l、Al3+=17.0g/l)800mlと、水酸化マグネシウムと炭酸ナトリウムの混合水溶液(NaOH=166.2g/l、Na2CO3=170g/l)800mlとを同時に加えた後、200℃で4時間水熱合成を行った。得られたハイドロタルサイトスラリーを95℃に保持して、ステアリン酸5gを加えて表面処理を行った。次いで、ろ過水洗を実施し、100℃24時間乾燥し、アトマイザータイプ粉砕機の粉砕程度をコントロールすることによって、かさ比重0.48g/ml、比表面積値=13m2/gの流動性ハイドロタルサイト粉体を得た。
混合溶液を硫酸マグネシウム塩と硫酸亜鉛と硫酸アルミニウム塩の混合溶液(Mg2+=30.6g/l、Zn2+=10.3g/l、Al3+=17.0g/l)800mlに変更した以外は、実施例1と同様にして比表面積値=13m2/gのハイドロタルサイト(亜鉛含有ハイドロタルサイト)を得た。得られたハイドロタルサイトをドイツ BABCOCK社製パキュプレス連続真空脱気装置を用いて、真空圧−80KPaで脱気し、かさ比重0.40g/mlに調整することによって、流動性ハイドロタルサイト粉体を得た(比表面積値=13m2/g)。
「ハイドロタルサイトDHT−4A」(協和化学社製)を比較例1の粉体とした(比表面積値=13m2/g、かさ比重0.33g/ml)。
3リットルの反応容器に水400mlを入れ、攪拌下において、硫酸マグネシウム塩と硫酸アルミニウム塩の混合溶液(Mg2+=34.4g/l、Al3+=17.0g/l)800mlと、水酸化マグネシウムと炭酸ナトリウムの混合水溶液(NaOH=166.2g/l、Na2CO3=170g/l)800mlとを同時に加えた後、200℃で4時間水熱合成を行った。得られたハイドロタルサイトスラリーを95℃に保持して、ステアリン酸5gを加えて表面処理を行った。次いで、ろ過水洗を実施し、100℃24時間乾燥し、粉砕を行うことによって、比表面積値=13m2/g、かさ比重0.33g/mlのハイドロタルサイトを得た。
水熱合成の条件を140℃で4時間に変更した以外は、比較例2と同様にしてハイドロタルサイトを得た(比表面積値=20m2/g、かさ比重0.20g/ml)。
水熱合成の条件を220℃で6時間に変更した以外は、比較例2と同様にしてハイドロタルサイトを得た(比表面積値=2m2/g、かさ比重0.65g/ml)。
なお、かさ比重は、上述した方法により得られた値である。
また、二次粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度測定装置「LA−500」(堀場製作所社製)を用いて測定された値である。
(Naの分析方法)
実施例、比較例の粉体を約1gを採取し、エーテル30ml及び硝酸(1+10)20mlを加えてより振り、試料を完全に溶かし、約5分間放置したのち、分離した水層の部分をビーカーにとり、徐々に加熱して溶存するエーテルを追い出す。冷却後、5Cのろ紙でろ過し蒸留水を加えて100mlとし、この検液を原子吸光分光光度計(日立製 Z−800)にて測定した。
実施例、比較例の粉体を以下の方法により評価した。結果を表1、2に示した。
(流動性)
図2の形状のホッパー(a:412mm、b:45mm、c:55度、下部にダンパーを有するもの)に、実施例及び比較例のハイドロタルサイトの粉体を一定容量(1000ml)投入し、下部のダンパーを開け、粉体の残り方を観察することにより、流動特性を評価した。粉体が全部流れた場合は〇、流れずに残った場合は×と評価した。
塩化ビニル樹脂100質量部に対して、可塑剤50質量部、ステアリン酸亜鉛0.5質量部、実施例及び比較例のハイドロタルサイトの粉体2質量部配合し、ロール(170℃)で5分混錬した。そのロールシートを使用しオーブン(180℃)における変色性を評価した。変色性が良いものは〇、悪いものは×とした。
PP溶融物(PP100質量部に対して、実施例及び比較例のハイドロタルサイトの粉体0.05質量部)に鉄のプレートを差込み、50℃336時間後のプレート腐食状態を目視で確認することにより評価した。腐蝕がないものは◎、僅かに腐蝕しているのものは○、かなり腐食しているものは△、腐蝕が著しいものは×とした。
ポリエチレン樹脂34.9質量部に対して、酸化防止剤0.1質量部、実施例及び比較例のハイドロタルサイトの粉体65質量部配合し、プラストミル(120℃)で10分混練しマスターバッチとした。ポリエチレン樹脂90質量部に対して、マスターバッチ10質量部混ぜ合わせ、押出機にてフィルム化(0.1mm)した。そのフィルムの透明性をへーズメーターにて全光線透過率(%)を測定した。
粉末ポリプロピレン1600質量部に対して、実施例及び比較例のハイドロタルサイトの粉体400質量部配合し、二軸押出機にて成型した。成型時の200メッシュスクリーンへの粉体の目詰まり具合を目視にて確認し、目詰まりがないものは〇、目詰まりがあるものは×と評価した。
2 粉体排出部
3 上部開口部
4 下部開口部
Claims (3)
- 下記式(1);
[(Mg)x(Zn)y]1−z(Al)z(OH)2(An−)z/n・mH2O (1)
(式中、An−は、n価のアニオンを表す。x、y、z及びmは、0.5≦x≦1、0≦y≦0.5、x+y=1、0.1≦z≦0.5、0≦m<1の条件を満たす値である。)
で表され、かつ、かさ比重が0.36〜0.50g/mlであることを特徴とする流動性ハイドロタルサイト粉体。 - 二次粒子の平均粒子径が0.1〜1.0μmである請求項1記載の流動性ハイドロタルサイト粉体。
- ハイドロタルサイトを減容することによって、かさ比重を0.36〜0.50g/mlの範囲に調整する工程を含むことを特徴とする流動性ハイドロタルサイト粉体の製造方法。
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