JP2007100162A - 薄膜形成方法、磁気記録媒体製造方法および薄膜形成装置 - Google Patents

薄膜形成方法、磁気記録媒体製造方法および薄膜形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基体に凹凸が生じる事態を回避しつつ、薄膜の形成時における基体の熱変形や穴あきを回避し得る薄膜形成方法を提供する。
【解決手段】長尺帯状のベースフィルム11(基体)を巻回した繰り出し側ロール11aからベースフィルム11を繰り出して冷却ドラム22に沿わせて走行させつつ気相成長法によってベースフィルム11の上に磁性層(薄膜)を形成する際に、反発硬さが691L値以下の繰り出し側ロール11aを使用すると共に、ベースフィルム11における冷却ドラム22に接している部位の薄膜形成面(磁性層の形成面)に電子線照射装置23によって電子線を照射する。
【選択図】図3

Description

本発明は、気相成長法によって基体の上に薄膜を形成する薄膜形成方法および薄膜形成装置、並びに、その薄膜形成方法に従って薄膜としての金属薄膜を形成して磁気記録媒体を製造する磁気記録媒体製造方法に関するものである。
この種の薄膜形成方法に従って熱可塑性樹脂フィルム(以下、「樹脂フィルム」ともいう)の上に強磁性金属薄膜層(以下、「磁性層」ともいう)を形成して高密度記録用蒸着型磁気記録媒体(以下、「磁気記録媒体」ともいう)を製造する製造方法が特開2000−16644号公報に開示されている。この磁気記録媒体の製造方法では、ロール状に巻回した樹脂フィルム(フィルムロール:以下、「ロール」ともいう)を例えば真空蒸着装置内において走行させつつ、磁性層形成用の材料を樹脂フィルムの表面(磁性層形成面)に蒸着することで磁性層を形成する。この場合、磁性層形成用の材料を樹脂フィルムに蒸着する蒸着処理時には、高温に晒された樹脂フィルムに熱変形等が生じるおそれがある。したがって、この種の製造方法では、樹脂フィルムの過剰な温度上昇を回避するために、樹脂フィルムの裏面(上記の磁性層形成面に対する裏面)を冷却ドラムに接触させるようにして(樹脂フィルムを冷却ドラムに沿わせて)走行させることにより、樹脂フィルムを冷却しつつ磁性層形成用の材料を蒸着するのが一般的となっている。
この場合、磁性層の形成に先立って樹脂フィルムを巻回してロールを形成する際に、樹脂フィルムを過剰に緩く巻回したとき(緩巻きしたとき)には、巻回した樹脂フィルムの間にエアが閉じ込められる。また、樹脂フィルム間に大量のエアが閉じ込められた状態のロールを使用したときには、磁性層の形成処理(蒸着処理)時に真空蒸着装置内を真空引きした際に、樹脂フィルムの間から大量のエアが排出されることに起因する巻き締まりが発生して樹脂フイルムにしわが(座屈)が生じる。したがって、この製造方法では、ロールの形成時に樹脂フィルムをある程度硬く巻回することにより(硬巻きすることにより)、巻回した樹脂フィルムの間にエアが閉じ込められる事態を回避して、真空引き時にしわが生じる事態を回避している。具体的には、高分子計器株式会社製のASKERゴム硬度計を用いた硬度が90°以上98°以下の範囲内となるように硬巻きしたロールを使用している。
特開2000−16644号公報(第3−7頁)
ところが、従来の製造方法には、以下の問題点がある。すなわち、この従来の製造方法では、硬巻きしたロールを磁性層の形成時(蒸着処理時)に使用している。この場合、磁気テープ等を製造するための樹脂フィルムには、テープ走行性を向上させるべく、その裏面側(磁性層形成面に対する裏面)に極く小さな凹凸を形成したものが存在する。このような樹脂フィルムを硬巻きした場合、樹脂フィルムにおける磁性層形成面がその裏面に強く押し付けられることに起因して、裏面側の凹凸が転写されるようにして磁性層形成面に凹凸が生じることがある。この結果、凹凸が生じた樹脂フィルムの上に磁性層が形成されることで磁性層の表面(データ記録面)にも凹凸が生じる。この磁性層の凹凸については、インダクティブヘッドを再生ヘッドとして用いた記録再生装置では大きな問題とはならないが、MRヘッド(磁気抵抗効果素子ヘッド)を再生ヘッドとして用いたときには凹凸に起因するノイズによってエラーの発生数が増大することを出願人は見出した。このため、従来の製造方法には、磁気テープにおけるデータ記録面の表面に生じた凹凸に起因するノイズが発生して、磁気テープに対する記録データの正常な記録再生が困難になるという問題点がある。
一方、硬巻きに起因して樹脂フィルムに凹凸が生じる事態を回避すべく、緩巻きしたロールを磁性層の形成処理時に使用した場合、前述したように、樹脂フィルム間に閉じ込められたエアが真空中において樹脂フィルム間から排出されることに起因して樹脂フィルムにしわが生じる。また、真空蒸着装置内を真空引きする以前にも、樹脂フィルムを巻回したとき(緩巻きしたとき)に樹脂フィルム間に閉じ込められたエアの存在に起因して樹脂フィルムにしわが発生することもある。これらのしわは、冷却ドラムと樹脂フィルムの密着性を低下させるため、樹脂フィルムを十分に冷却するのが困難となり、熱変形や穴あき(樹脂フィルムの裏面から表面にかけて連通するように開口した状態)を招くおそれがある。また、ベースに残っている吸着水分が樹脂フィルムと冷却ドラムとの間において蒸着熱によって急激に膨張することで冷却ドラムと樹脂フィルムの密着性が低下して熱変形や穴あきを招くおそれもある。さらに、緩巻きに起因して樹脂フィルム間に大量のエアが閉じ込められた状態のロールでは、磁性層の形成処理(蒸着処理)時に真空蒸着装置内を真空引きした際に、樹脂フィルムの間から大量のエアが排出されることに起因してロールに巻きずれが生じることがある。このような状態の(巻きずれが生じた状態の)ロールを走行させた際には、その幅方向の端部が傷付いて樹脂フィルムの破断を招き、磁気記録媒体の生産性を著しく悪化させるおそれがある。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、基体に凹凸が生じる事態を回避しつつ、薄膜の形成時における基体の熱変形や穴あきを回避し得る薄膜形成方法および薄膜形成装置、並びに、ノイズレベルを十分に低減し得る磁気記録媒体製造方法を提供することを主目的とする。また、走行時における基体端部の傷付きを回避し得る薄膜形成方法および薄膜形成装置を提供することを他の目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明に係る薄膜形成方法は、長尺帯状の基体を巻回したロールから当該基体を繰り出して冷却ドラムに沿わせて走行させつつ気相成長法によって当該基体の上に薄膜を形成する際に、前記ロールとして反発硬さが691L値以下のロールを使用すると共に、前記基体における前記冷却ドラムに接している部位の薄膜形成面に電子線を照射する。なお、本発明における基体には、例えば樹脂材料等で形成されたフィルムの上に所定の薄膜が形成された状態の各種の支持体が含まれる。また、本発明における気相成長法には、スパッタ法や真空蒸着法等のPVD法、およびCVD法等の各種の成膜法が含まれる。さらに、本発明における反発硬さとは、直径6インチの巻き芯に厚みが70mmとなるように基体を巻回したロール(巻き芯の周面からロールの表面までの距離が70mmとなるように基体を巻回したロール)について、Proceq社製の反発式硬度測定装置「PAROtester2」を用いて測定した硬さ(測定値)の「L値」を意味する。
また、本発明に係る薄膜形成方法は、前記ロールとして反発硬さが374L値以上のロールを使用する。
また、本発明に係る磁気記録媒体製造方法は、上記のいずれかの薄膜形成方法に従って前記薄膜としての金属薄膜を前記基体の上に形成して磁気記録媒体を製造する。
また、本発明に係る薄膜形成装置は、反発硬さが691L値以下となるように長尺帯状の基体を巻回したロールから当該基体を繰り出して走行させる基体走行機構と、前記繰り出された基体を冷却する冷却ドラムと、前記冷却ドラムに沿って走行させられている前記基体に気相成長法によって薄膜を形成する薄膜形成部と、前記基体における前記冷却ドラムに接している部位の薄膜形成面に電子線を照射する電子線照射部とを備えて当該基体の上に前記薄膜を形成可能に構成されている。
本発明に係る薄膜形成方法および薄膜形成装置によれば、気相成長法によって基体の上に薄膜を形成する際に、反発硬さが691L値以下のロールを使用すると共に、基体における冷却ドラムに接している部位の薄膜形成面に電子線を照射することにより、硬巻きしたロールを使用する従来の製造方法とは異なり、硬巻きに起因して基体に凹凸が生じる事態を回避することができる。したがって、この基体の上に形成される薄膜の表面を十分に平坦にすることができる。これにより、この薄膜形成方法に従って例えば磁気記録媒体を製造した際には、磁気記録媒体の表面に凹凸が生じることに起因するノイズの発生を回避することができる。また、基体に対して電子線を照射して帯電させることにより、冷却ドラムの周面に基体を十分に密着させて基体を確実に冷却することができる。これにより、凹凸の発生を回避すべく緩巻きしているにも拘わらず、薄膜の形成処理時における基体の熱変形や穴あきを回避することができる。
また、本発明に係る薄膜形成方法によれば、反発硬さが374L値以上のロールを使用することにより、ロールにおける基体の間に大量のエアが閉じ込められる事態を回避することができる結果、薄膜形成に際して真空チャンバー内を真空引きした際に基体間に閉じ込められているエアが排出されてロールに巻きずれが生じる事態を回避することができる。したがって、テープ走行時における基体端部の傷付きを回避することができる。
また、本発明に係る磁気記録媒体製造方法によれば、上記の薄膜形成方法に従って本発明における薄膜としての金属薄膜を基体の上に形成して磁気記録媒体を製造することにより、基体に凹凸が生じる事態を回避することができる結果、磁気記録媒体の表面に凹凸が生じる事態を回避することができるため、凹凸に起因するノイズの大量発生を回避して記録データの正常な記録再生が可能な磁気記録媒体を製造することができる。また、基体の熱変形や穴あきに起因する不良品の発生を十分に回避することができるため、磁気記録媒体の歩留まりを十分に向上させることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る薄膜形成方法、磁気記録媒体製造方法および薄膜形成装置の最良の形態について説明する。
最初に、本発明に係る磁気記録媒体製造方法に従って磁気テープ10を製造する磁気記録媒体製造システム1の構成、および磁気テープ10の構成について、図面を参照して説明する。
図1に示す磁気記録媒体製造システム(以下、「製造システム」ともいう)1は、一例として、磁性層形成装置2、保護層形成装置3、バックコート層形成装置4および潤滑剤層形成装置5を備え、図2に示す磁気テープ10を製造可能に構成されている。この場合、磁気テープ10は、本発明における磁気記録媒体の一例であって、ベースフィルム11の一方の面(同図における上面)に磁性層12、保護層14および潤滑剤層15がこの順で形成されている。また、ベースフィルム11の他方の面(同図における下面)には、バックコート層13が形成されている。
ベースフィルム(非磁性支持体)11は、本発明における基体に相当し、磁性層12の形成処理時(後述する蒸着処理時)に高熱に耐え得るフィルムで厚みが3μm以上10μm以下の範囲内(一例として、4.7μm)の厚みとなるように長尺帯状に形成されている。この場合、ベースフィルム11の材質は特に制限されないが、一例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド、ポリアミドイミド、およびポリイミド等を用いて形成することができる。また、磁気テープ10等を製造するのに用いるベースフィルム11は、単層フィルムおよび積層フィルムのいずれでもよい。この場合、バックコート層13の形成面側の層に微粒子(フィラー)が含有されているタイプの積層フィルムを用いるときには、ロールの形成時に硬巻きした際に磁性層12の形成面側に凹凸が生じ易いため、後述するようにして本発明を適用するのが好ましい。
磁性層12は、本発明に係る薄膜形成方法に従って形成される薄膜および金属薄膜の一例であって、磁性材料12a(図3参照)からなる薄膜を気相成長法によって成膜することによって30nmから200nmの範囲内の厚みとなるように形成されている。この場合、磁性材料12aとしては、CoおよびFe等の純金属や、Co−Ni、Co−Fe、Co−Ni−Fe、Co−Cr、Co−Cu、Co−Ni−Cr、Co−Pt、Co−Pt−Cr、Co−Cr−Ta、Co−Ni−B、Co−Ni−Fe、Co−Fe−BおよびCo−Ni−Fe−B等の合金類を使用することができる。このうち、電磁変換特性に優れている点において、CoまたはCo合金を用いるのが好ましい。また、気相成長法としては、スパッタ法や真空蒸着法等のPVD法、およびCVD法等の各種の成膜法を採用することができる。
バックコート層13は、主として磁気テープ10のテープ走行性を向上させるための層であって、結合剤樹脂と無機化合物および/またはカーボンブラックとを有機溶媒に混合分散させたバックコート層用塗料を塗布して乾燥させることにより、厚みが0.1μm以上0.7μm以下の範囲内となるように形成されている。保護層14は、磁性層12の劣化を防止するための硬質膜であって、一例として、炭素を主成分とし、水素を含む材料を用いてCVD法によって成膜されている。潤滑剤層15は、主として磁気テープ10のテープ走行耐久性を向上させるための層であって、溶剤に溶かした潤滑剤を塗布して乾燥させることにより、厚みが数nm程度となるように形成されている。この場合、潤滑剤としては、フッ素樹脂を含む潤滑剤、炭化水素系のエステル、およびこれらの混合物等を使用することができる。
一方、磁性層形成装置2は、本発明に係る薄膜形成装置に相当し、本発明に係る薄膜形成方法に従ってベースフィルム11の上に磁性層12を形成する。この磁性層形成装置2は、図3に示すように、走行機構21、冷却ドラム22、電子発生装置23、るつぼ24、蒸着用電子銃25、遮蔽板26および除電装置27が蒸着用チャンバー20内に収容されると共に、蒸着用チャンバー20の内部空間を真空状態とするための真空ポンプ28と、磁性層形成装置2の各部を総括的に制御する制御部29を備えている。この場合、真空ポンプ28は、制御部29の制御に従い、蒸着用チャンバー20内が10−3Paから10−4Paの範囲内となるように排気してその状態を維持する。なお、同図では、本発明についての理解を容易とするために、繰り出し側ロール11aと冷却ドラム22との間、および冷却ドラム22と巻き取り側ロール11bとの間に存在する各種のテープ走行ローラやテンション機構等の図示を省略している。
走行機構21は、本発明における基体走行機構に相当し、図示しないモータを備え、制御部29の制御に従って繰り出し側ロール11aおよび巻き取り側ロール11bを回転させることで蒸着用チャンバー20内において繰り出し側ロール11aから繰り出したベースフィルム11を冷却ドラム22に沿って走行させる。この場合、繰り出し側ロール11aは、本発明におけるロールに相当し、その反発硬さが374L値以上691L値以下の範囲内(一例として、691L値)となるようにベースフィルム11を巻回して形成されている。なお、Proceq社製の反発式硬度測定装置「PAROtester2」を用いて測定した反発硬さが691L値の繰り出し側ロール11aは、高分子計器株式会社製のASKERゴム硬度計を用いて測定した硬度が88°となる。すなわち、この製造システム1による磁気テープ10の製造時には、従来の製造方法において使用していたロールよりも緩巻きの繰り出し側ロール11aを使用する。この場合、繰り出し側ロール11aの反発硬さと電磁変換特性との関係や、各種反発硬さの繰り出し側ロール11aを形成するための諸条件については、後に詳細に説明する。冷却ドラム22は、走行機構21によって矢印Aの向きに回転させられると共に、繰り出し側ロール11aから繰り出されたベースフィルム11が周面に密着させられることによってベースフィルム11を冷却する。
電子発生装置23は、本発明における電子線照射部に相当し、制御部29の制御に従ってベースフィルム11に電子線を照射することでベースフィルム11を帯電させる。この場合、電子発生装置23は、ベースフィルム11に対する電子線の照射時に発せられる熱によってベースフィルム11に熱変形が生じるのを回避するために、ベースフィルム11における冷却ドラム22の周面に接している部位の表面に向けて電子線を照射する。この結果、ベースフィルム11が過剰に温度上昇することなく帯電させられて冷却ドラム22の周面に密着する。また、電子発生装置23は、一例として、電子線の照射先をベースフィルム11の幅方向に沿ってスキャンすることで、走行機構21によって走行させられているベースフィルム11の全域に電子線を照射する。
るつぼ24は、磁性層12を形成するための磁性材料12a(蒸着源金属)を収容する。蒸着用電子銃25は、るつぼ24内の磁性材料12aにおける表面に電子線を照射することによって磁性材料12aを蒸発させて、冷却ドラム22の周面に沿って走行させられているベースフィルム11の表面に磁性材料12aを斜め蒸着する。遮蔽板26は、冷却ドラム22の周面に沿って走行させられているベースフィルム11に磁性材料12aを蒸着する領域を規制するためのマスクであって、ステンレス鋼などの金属で形成され、ベースフィルム11の走行方向における上流側の遮蔽板26と下流側の遮蔽板26との位置および両遮蔽板26の間隔が適宜調整されることでベースフィルム11に対して所望の角度で磁性材料12aを蒸着させる。除電装置27は、電子発生装置23による電子線の照射によって帯電したベースフィルム11を磁性層12の形成が完了した位置において除電する。なお、るつぼ24、蒸着用電子銃25、遮蔽板26および制御部29で本発明における薄膜形成部が構成される。
保護層形成装置3は、一例として、プラズマCVD法によって保護層形成用材料(炭素を主成分とし、水素を含む材料)の硬質膜を磁性層12の上に形成することで保護層14を形成する。バックコート層形成装置4は、ベースフィルム11の走行面側(図2に示す下面側)にバックコート層用塗料を塗布して乾燥させることによってバックコート層13を形成する。この場合、このバックコート層形成装置4では、一例として、乾燥後の厚みが0.4μmとなるようにダイノズル法によってバックコート層用塗料を塗布する。潤滑剤層形成装置5は、溶剤に溶かした潤滑剤を保護層14の表面に塗布して乾燥させることによって潤滑剤層15を形成する。
次に、製造システム1による磁気テープ10の製造方法について、図面を参照して説明する。
まず、図3に示すように、繰り出し側ロール11aを磁性層形成装置2の蒸着用チャンバー20内(走行機構21)にセットし、ベースフィルム11の端部を繰り出し側ロール11aから引き出して冷却ドラム22の周面に沿わせて引き回し、巻き取り側ロール11bに取り付ける。この場合、ASKERゴム硬度計を用いて測定した硬度が90°以上となるように硬巻きしたロールを使用する従来の製造方法とは異なり、この製造システム1による磁気テープ10の製造に際しては、適度に緩巻きした(この例では、反発硬さが691L値となるように巻回した)繰り出し側ロール11aを使用している。したがって、ベースフィルム11の表面(磁性層12を形成する面:本発明における薄膜形成面に相当する)に凹凸が生じることなく、平坦な状態が維持されている。次いで、制御部29が、真空ポンプ28を制御して蒸着用チャンバー20内のエアを排気させると共に、冷却ドラム22によるベースフィルム11の冷却を開始させる。この際に、過剰に緩巻きすることなく巻回した繰り出し側ロール11aを使用しているため、真空ポンプ28による真空引きに際して繰り出し側ロール11aにおけるベースフィルム11の間から大量のエアが排出されて繰り出し側ロール11aに巻きずれが生じる事態が回避されている。
続いて、制御部29は、走行機構21を制御して繰り出し側ロール11aおよび巻き取り側ロール11bを矢印Bの向きに回転させると共に、冷却ドラム22を矢印Aの向きに回転させる。これにより、繰り出し側ロール11aからベースフィルム11が順次繰り出されて冷却ドラム22の周面に沿って巻き取り側ロール11bに向けて走行させられる。この際に、巻きずれが生じていない繰り出し側ロール11aを使用しているため、走行時にベースフィルム11の端部が傷付く事態が回避される。次いで、制御部29は、電子発生装置23を制御してベースフィルム11に対する電子線の照射を開始させる。この際には、電子線の照射によってベースフィルム11が帯電して冷却ドラム22の周面に密着する。したがって、繰り出し側ロール11aの緩巻きに起因してベースフィルム11に緩やかなしわが発生していたとしても、ベースフィルム11と冷却ドラム22とが確実に密着する。この結果、冷却ドラム22によってベースフィルム11が確実に冷却される。この場合、この磁性層形成装置2では、冷却ドラム22の周面に密着している部位におけるベースフィルム11に向けて電子発生装置23が電子線を照射する。したがって、電子線の照射時にベースフィルム11が過度に温度上昇する事態が回避されてベースフィルム11に熱変形や穴あきが生じる事態が回避されている。
続いて、制御部29は、蒸着用電子銃25を制御してるつぼ24内の磁性材料12aに対する電子線の照射を開始させる。この際には、電子線の照射に伴ってるつぼ24内の磁性材料12aが気化して遮蔽板26,26の間を通過して、冷却ドラム22の周面に沿って走行させられているベースフィルム11の表面に堆積する。また、この磁性層形成装置2では、形成される磁性層12の磁気特性を所望の特性とするために、酸素、オゾンおよび亜酸化窒素等の酸化性ガスのうちのいずれかを磁性材料12a(蒸着粒子)のうちのベース到達分の近傍(ベースフィルム11上およびその周囲)に導入する。これにより、ベースフィルム11の表面に磁性材料12aの薄膜である磁性層12が形成される。この場合、適度に緩巻きした繰り出し側ロール11aを使用したことでベースフィルム11に凹凸が生じる事態が回避されているため、そのベースフィルム11の上に形成される磁性層12の表面が平坦となる。また、この磁性層形成装置2では、冷却ドラム22の周面に密着している部位のベースフィルム11に磁性材料12aを堆積させる(蒸着する)。したがって、磁性材料12aの堆積時におけるベースフィルム11の過度の温度上昇が回避されてベースフィルム11の熱変形が回避される。
一方、磁性層12の形成が完了したベースフィルム11は、除電装置27によって除電された後に巻き取り側ロール11bに巻回される。この後、繰り出し側ロール11aのすべてのベースフィルム11が繰り出されて巻き取り側ロール11bに巻き取られたときに、磁性層12の形成処理(蒸着処理)が完了する。次いで、磁性層12の形成が完了した巻き取り側ロール11bを蒸着用チャンバー20から取り出して保護層形成装置3にセットする。この際に、保護層形成装置3は、プラズマCVD法によって保護層形成用材料(炭素を主成分とし、水素を含む材料)の硬質膜を磁性層12の上に形成することで保護層14を形成する。続いて、バックコート層形成装置4がベースフィルム11を図示しない走行機構によって走行させつつ、磁性層12の形成面に対する裏面側にバックコート層形成用の塗料を塗布して乾燥させる。これにより、バックコート層13の形成が完了する。次いで、潤滑剤層形成装置5が、溶剤に溶かした潤滑剤を保護層14の表面に塗布して乾燥させることによって潤滑剤層15を形成する。これにより、図2に示すように、磁気テープ10が完成する。
このように、この磁気記録媒体製造システム1(磁性層形成装置2)による磁性層12の形成方法によれば、気相成長法(この例では、真空蒸着法)によってベースフィルム11の上に磁性層12を形成する際に、本発明におけるロールとして反発硬さが691L値以下(この例では、691L値)の繰り出し側ロール11aを使用すると共に、ベースフィルムにおける冷却ドラム22に接している部位の表面(薄膜形成面)に電子線を照射することにより、硬巻きしたロールを使用する従来の製造方法とは異なり、硬巻きに起因してベースフィルム11に凹凸が生じる事態を回避することができる。したがって、このベースフィルム11の上に形成される磁性層12の表面を十分に平坦にすることができるため、その磁性層12の上に形成される保護層14および潤滑剤層15の表面を平坦化することができる結果、磁気テープ10の表面に凹凸が生じることに起因するノイズの発生を回避することができる。また、ベースフィルム11に対して電子線を照射して帯電させることにより、冷却ドラム22の周面にベースフィルム11を十分に密着させてベースフィルム11を確実に冷却することができる。これにより、凹凸の発生を回避すべく緩巻きしているにも拘わらず、磁性層12の形成処理時におけるベースフィルム11の熱変形や穴あきを回避することができる。
また、この磁気記録媒体製造システム1(磁性層形成装置2)による磁性層12の形成方法によれば、本発明におけるロールとして反発硬さが374L値以上(この例では、691L値)の繰り出し側ロール11aを使用することにより、繰り出し側ロール11aにおけるベースフィルム11の間に大量のエアが閉じ込められる事態を回避することができる結果、蒸着用チャンバー20内を真空引きした際にベースフィルム11間に閉じ込められているエアが排出されて繰り出し側ロール11aに巻きずれが生じる事態を回避することができる。したがって、テープ走行時におけるベースフィルム11の端部の傷付きを回避することができる。
また、この磁気記録媒体製造システム1による磁気テープ10の形成方法によれば、本発明に係る薄膜形成方法に従って磁性層12(金属薄膜)をベースフィルム11の上に形成して磁気テープ10を製造することにより、ベースフィルム11に凹凸が生じる事態を回避することができる結果、磁気テープ10の表面に凹凸が生じる事態を回避することができるため、凹凸に起因するノイズの大量発生を回避して記録データの正常な記録再生が可能な磁気テープ10を製造することができる。また、ベースフィルム11の熱変形や穴あきに起因する不良品の発生を十分に回避することができるため、磁気テープ10の歩留まりを十分に向上させることができる。
次いで、繰り出し側ロール11aの反発硬さ、ベースフィルム11の穴あきの発生、電磁変換特性、および繰り出し側ロール11aの巻きずれの発生の相互関係について、図4,5を参照して説明する。
上記の製造システム1によって実施例1〜6および比較例1〜3の磁気テープ(磁気テープの原反)を10ロールずつ製造し、蒸着用チャンバー20内における巻きずれの有無、磁性層12の形成処理時におけるベースフィルム11の穴あきの発生数、および電磁変換特性を調査した。この場合、各実施例および各比較例の繰り出し側ロール11aの反発硬さについては、直径6インチの巻き芯の周囲に厚み70mmとなるようにベースフィルム11を巻回した状態において、その繰り出し側ロール11aの幅方向における10点において測定した結果の平均値をその繰り出し側ロール11aの反発硬さとした。また、電磁変換特性の測定に際しては、ドラムテスタを用いて、以下の条件で記録再生を行った。
記録:0.22μmギャップ長のMIGヘッドを用いて0.5μmの記録波長で記録
再生:AMRヘッドを用いて再生
ノイズの検出:0.6μmの波長に相当する周波数で測定
なお、図5に示す電磁変換特性の「C(dB)」、「N(dB)」および「C/N(dB)」については、比較例1の磁気テープについての測定値を基準とした数値を表している。
[実施例1]
厚み4.7μm、長さ10,000mのポリエチレンナフタレート(PEN)のベースフィルム11を巻回して繰り出し側ロール11aを形成した。この場合、巻回装置(図示せず)におけるテンションを4kg/mとし、タッチロールのタッチ圧を20kg/mとすることで、繰り出し側ロール11aの反発硬さが691L値となるように巻回した(図4参照)。また、磁性材料12aとしてCoを用いると共に酸化性ガスとして酸素を導入しつつ蒸着処理することで、厚み140nmの磁性層12を形成した。この場合、磁性層12、バックコート層13、保護層14および潤滑剤層15の形成方法やその形成順序等については、前述した磁気テープ10の製造時と同様の方法および順序とした。
[実施例2]
繰り出し側ロール11aの形成時に、巻回装置(図示せず)におけるテンションを5kg/mとし、タッチロールのタッチ圧を15kg/mとすることで、繰り出し側ロール11aの反発硬さが580L値となるように巻回した(図4参照)。その他の条件については、実施例1と同様とした。
[実施例3]
繰り出し側ロール11aの形成時に、巻回装置(図示せず)におけるテンションを4kg/mとし、タッチロールのタッチ圧を15kg/mとすることで、繰り出し側ロール11aの反発硬さが523L値となるように巻回した(図4参照)。その他の条件については、実施例1と同様とした。
[実施例4]
繰り出し側ロール11aの形成時に、巻回装置(図示せず)におけるテンションを3kg/mとし、タッチロールのタッチ圧を15kg/mとすることで、繰り出し側ロール11aの反発硬さが451L値となるように巻回した(図4参照)。その他の条件については、実施例1と同様とした。
[実施例5]
繰り出し側ロール11aの形成時に、巻回装置(図示せず)におけるテンションを3kg/mとし、タッチロールのタッチ圧を10kg/mとすることで、繰り出し側ロール11aの反発硬さが374L値となるように巻回した(図4参照)。その他の条件については、実施例1と同様とした。
[実施例6]
繰り出し側ロール11aの形成時に、巻回装置(図示せず)におけるテンションを3kg/mとし、タッチロールのタッチ圧を5kg/mとすることで、繰り出し側ロール11aの反発硬さが300L値となるように巻回した(図4参照)。その他の条件については、実施例1と同様とした。
[比較例1]
繰り出し側ロール11aの形成時に、巻回装置(図示せず)におけるテンションを5kg/mとし、タッチロールのタッチ圧を20kg/mとすることで、繰り出し側ロール11aの反発硬さが737L値となるように巻回した(図4参照)。その他の条件については、実施例1と同様とした。
[比較例2]
繰り出し側ロール11aの形成時に、巻回装置(図示せず)におけるテンションを5kg/mとし、タッチロールのタッチ圧を50kg/mとすることで、繰り出し側ロール11aの反発硬さが892L値となるように巻回した(図4参照)。その他の条件については、実施例1と同様とした。
[比較例3]
電子発生装置23によるベースフィルム11への電子線の照射を実行しない点を除き、実施例1と同様の条件で製造した。
図5に示すように、反発硬さが737L値の繰り出し側ロール11aを使用して製造した比較例1の磁気テープでは、ノイズレベルが悪化した。また、反発硬さが892L値の繰り出し側ロール11aを使用して製造した比較例2の磁気テープでは、比較例1の磁気テープよりもノイズレベルが一層悪化した。これに対して、反発硬さが691L値以下の繰り出し側ロール11aを使用して製造した実施例1〜6の磁気テープおよび比較例3の磁気テープでは、そのノイズレベルが比較例1の磁気テープよりも十分に低減されている。したがって、繰り出し側ロール11aの反発硬さが691L値以下となるようにベースフィルム11を巻回することで、その繰り出し側ロール11aを使用して製造した磁気テープのノイズレベルを十分に低減することができる。したがって、ノイズに起因して記録データの正常な再生が困難となり得るMRヘッド等を搭載した記録再生装置においても、再生エラーの発生を十分に回避することができる。また、実施例1〜6の磁気テープでは、ノイズレベルの低減によって比較例1,2の磁気テープよりもC/Nが向上しているため、記録データの安定した再生が可能となっている。
また、電子発生装置23によってベースフィルム11に電子線を照射しなかった(ベースフィルム11を帯電させなかった)比較例3の磁気テープでは、10ロールのうちの7ロールにおいてベースフィルム11に穴あきが発生した。これに対して、電子発生装置23によってベースフィルム11に電子線を照射した(ベースフィルム11を帯電させた)実施例1〜6の磁気テープおよび比較例1,2の磁気テープでは、すべての磁気テープにおいてベースフィルム11に穴あきが発生しなかった。したがって、ベースフィルム11が冷却ドラム22の周面に接触している位置においてベースフィルム11に電子線を照射することで、従来の製造方法において使用しているロールよりも緩巻きしたとしても、ベースフィルム11を冷却ドラム22に密着させて十分に冷却することができ、穴あきの発生を回避することができる。
この場合、反発硬さが374L値未満の繰り出し側ロール11aを使用して製造した実施例6の磁気テープ(反発硬さが300L値の繰り出し側ロール11aを使用)では、磁性層12の形成に際して蒸着用チャンバー20内を真空引きした際に、10ロールのうちの2ロールにおいて良品の磁気テープが得られているものの、残りの8ロールにおいて繰り出し側ロール11aに巻きずれが発生した。これに対して、反発硬さが374L値の繰り出し側ロール11aを使用して製造した実施例5の磁気テープでは、真空引きに際して10ロールのうちの3ロールにおいて繰り出し側ロール11aの巻きずれが発生したものの、残りの7ロールについては、巻きずれが発生しなかった。さらに、反発硬さが451L値以上の繰り出し側ロール11aを使用して製造した実施例1〜4の磁気テープおよび比較例1〜3の磁気テープでは、すべての繰り出し側ロール11aにおいて巻きずれが生じなかった。したがって、繰り出し側ロール11aの反発硬さが374L値以上となるようにベースフィルム11を巻回することで、真空引きした際における巻きずれの発生を十分に回避することができる。また、繰り出し側ロール11aの反発硬さが451L値以上となるようにベースフィルム11を巻回することで真空引きした際における巻きずれの発生を殆ど回避することができる。
以上の結果から、真空引きした際における繰り出し側ロール11aの巻きずれの発生、磁性層12の形成処理時(磁性材料の蒸着時)におけるベースフィルム11の熱変形や穴あきの発生を回避しつつ、製造した磁気テープのノイズレベルを低減するためには、その反発硬さが374L値以上691L値以下の範囲内の繰り出し側ロール11aを使用すると共に、冷却ドラム22の周面に接触している位置においてベースフィルム11に電子線を照射する必要があることが明らかである。これにより、記録データの正常な記録再生が可能な磁気テープを製造することができる。なお、反発硬さが691L値を超える繰り出し側ロール11aでは、ベースフィルム11の表面に施されたコーティング層がベースフィルム11の裏面側に転写され、繰り出し側ロール11aからのベースフィルム11の繰り出し時にコーティング層の剥がれが生じるブロッキング現象の発生や、剥がれたコーティング層によってベースフィルム11が傷付くデラミ現象の発生も確認されている。このため、反発硬さが691L値を超える繰り出し側ロール11aを使用したときには、ブロッキング現象やデラミ現象によって生じた大きな傷に起因して、磁気テープの表面に大きな凹凸が形成される結果、スペーシングロスが発生してキャリアの信号レベルが大きく低下する部位(欠陥部位)が生じて、磁気テープの歩留まりが悪化する。したがって、反発硬さが691L値以下の繰り出し側ロール11aを使用することで、磁気テープの歩留まりを向上させて、磁気テープの製造コストを低減することができる。
なお、蒸着法によって磁性層12を形成する例について説明したが、本発明に係る薄膜形成方法における気相成長法は、これに限定されず、蒸着法以外のPVD法やCVD法等の各種気相成長法を採用することができる。また、ベースフィルム11の上に磁性層12を直接形成する例について説明したが、例えば、S/N特性の改善等を目的として、ベースフィルム11と磁性層12との間に下地層(図示せず)を形成することもできる。この場合、下地層は、いわゆる非磁性層、または非磁性層に非常に近い機能層の一例であり、磁性層12と同様の形成方法によって形成することができる。具体的には、一例として、磁性層12の形成時よりも蒸着部分に対する酸素の導入量を増加させることで下地層を形成することができる。したがって、この下地層の形成時に本発明に係る薄膜形成方法を実施することにより、真空引き時における繰り出し側ロール11aの巻きずれの発生、下地層の形成処理時(非磁性材料の蒸着時)におけるベースフィルム11の穴あきの発生を回避しつつ、製造した磁気テープの表面を平坦にしてノイズレベルを低減することができる。
さらに、下地層を形成した後に、下地層の上に磁性層12を形成する際にも本発明に係る薄膜形成方法を実施することにより、真空引き時における繰り出し側ロール11a(下地層が形成された状態のベースフィルム11を巻回した繰り出し側ロール11a)の巻きずれの発生、磁性層12の形成処理時(磁性材料の蒸着時)におけるベースフィルム11の穴あきの発生を回避しつつ、製造した磁気テープの表面を平坦にしてノイズレベルを低減することができる。加えて、本発明に係る薄膜形成方法に従って磁気テープを形成するための磁性層12や下地層を形成する例について説明したが、本発明に係る薄膜形成方法によって形成する薄膜は、磁気記録媒体用の層に限定されない。例えば、装飾用、包装用の蒸着フィルムや、キャパシタ用電極等の薄膜の形成時に本発明に係る薄膜形成方法を実施することにより、基体の熱変形および穴あきを回避しつつ、薄膜の表面を平坦にすることができる。
磁気記録媒体製造システム1の構成を示すブロック図である。 磁気テープ10の層構造の一例を示す断面図である。 磁性層形成装置2の構成を示す構成図である。 実施例1〜6および比較例1〜3の各磁気テープを製造する条件についての説明図である。 実施例1〜6および比較例1〜3の各磁気テープについて、繰り出し側ロール11aの反発硬さ(L値)と、巻きずれの有無、穴あきの発生および電磁変換特性との関係を説明するための説明図である。
符号の説明
1 磁気記録媒体製造システム
2 磁性層形成装置
10 磁気テープ
11 ベースフィルム
11a 繰り出し側ロール
11b 巻き取り側ロール
12 磁性層
12a 磁性材料
20 蒸着用チャンバー
21 走行機構
22 冷却ドラム
23 電子発生装置
24 るつぼ
25 蒸着用電子銃

Claims (4)

  1. 長尺帯状の基体を巻回したロールから当該基体を繰り出して冷却ドラムに沿わせて走行させつつ気相成長法によって当該基体の上に薄膜を形成する際に、
    前記ロールとして反発硬さが691L値以下のロールを使用すると共に、前記基体における前記冷却ドラムに接している部位の薄膜形成面に電子線を照射する薄膜形成方法。
  2. 前記ロールとして反発硬さが374L値以上のロールを使用する請求項1記載の薄膜形成方法。
  3. 請求項1または2記載の薄膜形成方法に従って前記薄膜としての金属薄膜を前記基体の上に形成して磁気記録媒体を製造する磁気記録媒体製造方法。
  4. 反発硬さが691L値以下となるように長尺帯状の基体を巻回したロールから当該基体を繰り出して走行させる基体走行機構と、前記繰り出された基体を冷却する冷却ドラムと、前記冷却ドラムに沿って走行させられている前記基体に気相成長法によって薄膜を形成する薄膜形成部と、前記基体における前記冷却ドラムに接している部位の薄膜形成面に電子線を照射する電子線照射部とを備えて当該基体の上に前記薄膜を形成可能に構成されている薄膜形成装置。
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