JP2007094342A - 難燃性を有する感光性樹脂組成物及びその利用 - Google Patents

難燃性を有する感光性樹脂組成物及びその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】 成分中にハロゲンを含まずに優れた難燃性を有し、ブリードアウトを生じず、良好な耐熱性、耐薬品性、難燃性、耐湿性を有する感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)下記一般式(1)
Figure 2007094342

で表されるリン化合物、(B)有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び/又は有機溶媒に可溶なポリイミド、(C)C、H、O、N原子のみからなる、1分子中に1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物及び(D)光反応開始剤を必須成分とする感光性樹脂組成物であって、前記(C)成分は2種類の異なる化合物を用いるとともに、1種以上の(メタ)アクリレート化合物を含む感光性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃剤として1分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物を使用することにより得られる感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジスト、並びにこれらの利用に関する。
近年の電子機器の小型化、軽薄化に伴い、フレキシブルプリント配線板の絶縁保護フィルムに感光性材料が用いられている。フィルム状の感光性材料はパターン回路の形成に用いるパターン回路用レジストフィルム、絶縁保護フィルムとして用いる感光性カバーレイフィルム、多層プリント配線板の層間絶縁層の形成に用いる感光性ドライフィルムレジスト等に用いられる。本発明においては、パターン回路を埋め込んだ後永久的に絶縁保護フィルムとして被覆された状態で残る、上記感光性カバーレイフィルム、及び感光性ドライフィルムレジストを総称して感光性ドライフィルムレジストとし、パターン回路形成後除去するパターン回路用レジストフィルムとは区別する。
感光性ドライフィルムレジストは、パターン形成に必要な現像性のほか、耐熱性、耐薬品性、難燃性、接着性、電気絶縁性等で優れた物性を有することが要求される。現在アクリル系やエポキシ系のフィルムが上市されているが、全ての物性で満足するものは得られていない。そのうち耐熱性、難燃性及び耐薬品性に関しては、ポリアミド酸又は/及びポリイミドを配合することで向上することができる。また難燃性に関しては、臭素系難燃剤などハロゲン系の難燃剤を含有することで良好な難燃性を有していた。しかしながらハロゲン系難燃剤の燃焼時に有害ガスが発生する等環境への悪影響が指摘されており、ハロゲン系難燃剤を含まない感光性樹脂の難燃化が必要とされている。
ポリアミド酸を含有し、かつハロゲン系難燃剤を含まない感光性樹脂組成物に関しては、ポリアミド酸、少なくとも2つ以上の光重合可能な炭素−炭素二重結合を有する(メタ)アクリレート及び光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物に関するもの(特許文献1)や、環状リン酸化合物、ポリアミド酸、少なくとも2つ以上の光重合可能な炭素−炭素二重結合を有する(メタ)アクリレート及び光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物に関するもの(特許文献2)がある。
特開2004−29702号公報 特開2004−341059号公報
リン系難燃剤を使用して良好な難燃性を得るにはハロゲン系難燃剤に比べ多量の添加が必要とされる場合が多い。一方で、多量のリン系難燃剤を添加するとブリードアウトが生じる傾向があり、電気信頼性、保存安定性、耐湿性等の物性が低下する場合がある。本発明は成分中にハロゲンを含まずに優れた難燃性を有し、ブリードアウトを生じず、良好なアルカリ溶解性、現像性、耐溶剤性、耐薬品性、難燃性、耐湿性を有する、物性バランスに優れた感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いたドライフィルムレジスト、及び該ドライフィルムレジストを用いたプリント配線板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明者は、鋭意検討の結果、
非ハロゲン系難燃剤として1分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物を使用し、かつ、有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び/又はポリイミド、C、H、O、N原子のみからなる、分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物、及び光反応開始剤を混合することによって感光性樹脂組成物を得た。この感光性樹脂組成物を含むドライフィルムレジストは優れたアルカリ水溶液への溶解性、現像性を有し、かつ硬化後のフィルムは優れた難燃性、耐溶剤性、耐薬品性及び耐湿性を持つことを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、
本発明1は
(A)下記一般式(1)
Figure 2007094342
(式中、mは1〜3、nは0〜2でm+n=3である。Rは水素原子またはメチル基を表す。)で示される、1分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物、
(B)有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び/又は有機溶媒に可溶なポリイミド、
(C)C、H、O、N原子のみからなる、分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物、
(D)光反応開始剤
を必須成分とする感光性樹脂組成物であって、
前記(C)成分は少なくとも2種類の異なる化合物を用いるとともに、1種以上の(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物に関する。
本発明2は、
前記(A)〜(D)成分に加えて、
(E)炭素−炭素二重結合を有しないリン化合物
を含有することを特徴とする、本発明1に記載の感光性樹脂組成物に関する。
本発明3は、
本発明1〜2のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を含むことを特徴とする、感光性ドライフィルムレジストに関する。
本発明4は、
本発明3に記載の感光性ドライフィルムレジストを絶縁保護層として用いることを特徴とする、プリント配線板に関する。
本発明によって、成分中にハロゲン化合物を含まずに優れた難燃性を有し、かつ良好なアルカリ溶解性、現像性、耐溶剤性、耐薬品性、耐湿性を有する感光性ドライフィルムレジストを提供することができる。
従って、本発明はフレキシブルプリント配線板等のプリント配線板を製造する産業、例えば電子部品用の樹脂材料を製造する樹脂産業分野に好適に用いることができるだけではなく、このようなプリント配線板を用いる電子機器の産業分野に好適に用いることができるという効果を奏する。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、(A)下記一般式(1)
Figure 2007094342
(式中、mは1〜3、nは0〜2でm+n=3である。Rは水素原子またはメチル基を表す。)
で示される、1分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物、(B)有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び/又は有機溶媒に可溶なポリイミド、(C)C、H、O、N原子のみからなる、分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物、(D)光反応開始剤を必須成分とするものであるが、必要に応じて(F)炭素−炭素二重結合を有しないリン化合物が含有されていてもよい。なお、本発明に係る感光性ドライフィルムレジストは、本発明に係る感光性樹脂組成物を含んでいるものである。以下、各成分について詳細に説明する。
本発明において、(メタ)アクリロイル基とは、メタクリロイル基及び/又はアクリロイル基のことであり、(メタ)アクリレート化合物とは、メタクリレート化合物及び/又はアクリレート化合物のことである。その他、特に断らない限り、(メタ)アクリルとは、メタクリル及び/又はアクリルのことである。
<(A)1分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物>
下記一般式(1)
Figure 2007094342
(式中、mは1〜3、nは0〜2でm+n=3である。Rは水素原子またはメチル基を表す。)
で示される、1分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物を使用することにより、リン原子による難燃化のほか、光及び/又は熱により架橋反応を起こすため、ブリードアウトが起きにくく、優れた現像性を有する感光性ドライフィルムレジストを得ることができる。また上記構造のリン化合物を使用することにより、添加によって硬化後のドライフィルムレジストを脆化させることなく、比較的少ない添加量で難燃化することができる。
本発明における(A)成分は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明における(A)成分の総重量は、特に限定されないが、(B)成分の重量100重量部に対して、10〜200重量部の範囲内で用いることが好ましく、20〜150重量部の範囲内で用いることがより好ましい。(B)成分の重量100重量部に対して、10重量部未満の場合は添加による効果が見られず、200部を超えるリン化合物を用いた場合、添加量に見合う難燃効果が得られない傾向がある。
<(B)有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び/又は有機溶媒に可溶なポリイミド>
本発明に係る感光性樹脂組成物において、有機溶媒に可溶な樹脂を用いることにより、作業性が向上し、得られる感光性ドライフィルムレジストに優れたアルカリ溶解性、及び現像性を付与することができる。
有機溶媒に可溶な樹脂とは特に限定されるものではないが、本発明においては有機溶媒100gに対して、20℃で1.0g以上の溶解性を示すものが好ましい。より好ましくは20℃で5.0g以上の溶解性を示し、さらに好ましくは、20℃で10g以上の溶解性を示すものがよい。有機溶媒100gに対する20℃での溶解性が1.0g未満であると、所望する厚みにて、感光性ドライフィルムレジストを形成することが困難になる傾向がある。上記有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のホルム(アセト)アミド系溶媒、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これら有機溶媒は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
又、有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び/又は有機溶媒に可溶なポリイミドを使用することにより、良好な屈曲性、可撓性を持つ感光性ドライフィルムレジストを得ることができる。上記ポリアミド酸及び/又はポリイミドは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特にポリアミド酸は、有機溶媒に可溶で、高いアルカリ溶解性を持ち、かつ硬化物の耐湿性に優れた感光性ドライフィルムレジストを得ることができるためより好ましい。
上記(B)成分である有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び/又は有機溶媒に可溶なポリイミドの重量平均分子量は特に制限されるものではないが、5000〜200000であることが好ましく、10000〜100000であることがより好ましい。重量平均分子量が5000未満であると、本発明の感光性樹脂組成物を用いて作製された感光性ドライフィルムレジストにベタツキが生じやすく、さらに硬化後のフィルムの耐屈曲性に劣るという傾向がある。一方、重量平均分子量が200000より大きいと、樹脂溶液の粘度が高くなりすぎるため取扱いが難しくなる傾向があり、さらに作製された感光性ドライフィルムレジストの現像性が低下する場合がある。なお、上記重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、例えば、東ソー株式会社製HLC8220GPCにより測定することが可能である。
(有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び有機溶媒に可溶なポリイミドの製造方法)
以下、上記有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び有機溶媒に可溶なポリイミドの製造方法を説明するために、ポリアミド酸の合成方法、ポリアミド酸を脱水閉環してイミド化する方法、及び得られたカルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリイミドを変性して、ポリイミドにアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基等の感光性基を導入する方法について詳細に説明する。
(ポリアミド酸の合成)
上記有機溶媒に可溶なポリアミド酸、及び有機溶媒に可溶なポリイミドの前駆体となるポリアミド酸は、有機溶媒中でジアミンと酸二無水物とを反応させることにより得ることができる。具体的には、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気中において、ジアミンを有機溶媒中に溶解、又はスラリー状に分散させて、ジアミン溶液とする。一方、酸二無水物は、有機溶媒に溶解、又はスラリー状に分散させた状態とした後、あるいは固体の状態で、上記ジアミン溶液中に添加すればよい。
本発明の有機溶媒に可溶なポリイミドの前駆体となるポリアミド酸を合成するために用いられるジアミンとしては、特に限定されるものではないが、水系現像性の点から、1分子中に1個以上のカルボキシル基及び/又は水酸基を含有するジアミンを原料の一成分として用いることが好ましい。又、耐熱性や耐薬品性の点から、1分子中に1個以上の芳香環を含有する芳香族系ジアミンを原料の一成分として用いることが好ましい。特に、1分子中に1個以上のカルボキシル基及び/又は水酸基を有する芳香族系ジアミンを原料の一成分として用いれば、得られる感光性ドライフィルムレジストに耐熱性と水系現像性を付与することができるため、特に好ましい。
カルボキシル基及び/又は水酸基を有する芳香族系ジアミンとしては、特に限定されるものではないが、以下の一般式(2):
Figure 2007094342
(式中、Rは水酸基、R及びRは、各々同一であっても異なっていてもよいが、水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数2〜10のアルコキシ基、又は−COOR(Rは炭素数1〜9のアルキル基を示す。)であり、Xは、−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、−CH−、−C(CH)、(C)−、又は−C(CF−である。p及びqは、各々p+q=4を満たす0以上の整数であり、r及びsは、各々r+s=4を満たす0以上の整数である。tは0以上10以下の整数である。)で表される芳香族系ジアミンを可溶性ポリイミドの原料の一成分として用いることが好ましい。これらのジアミンを原料の一部として使用することで、得られるカルボキシル基及び/又は水酸基を含有する可溶性ポリイミドの酸当量が低くなり、水系現像性を向上させることができる。
なお、上記カルボキシル基及び/又は水酸基を有するジアミン以外に、公知の他のジアミンを可溶性ポリイミドの原料の一部として同時に用いてもよい。例えば、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、シロキサン構造の両末端にアミノ基を含有する反応性シリコーン(以下、シリコンジアミンと称する)、[ビス(4−アミノ−3−カルボキシ)フェニル]メタンなどを挙げることができる。特に、フィルムの弾性率を下げることができる点からシリコンジアミンを使用することが好ましい。上記ジアミンは、1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
一方、有機溶媒に可溶なポリアミド酸の合成に関しては、カルボキシル基及び/又は水酸基を有さないジアミンを組み合わせることもできる。この理由は、ポリアミド酸は構造中にカルボキシル基及び/又は水酸基を有さなくても有機溶媒への溶解性が高いからである。特に耐熱性や難燃性等の点から、芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物を併用することがより好ましい。
有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び有機溶媒に可溶なポリイミドを合成するために用いられる酸二無水物としては、特に限定されるものではないが、耐熱性を向上させる点から、芳香環を1〜4個有する酸二無水物又は脂環式の酸二無水物を用いることが好ましい。又、有機溶媒への溶解性が高いポリアミド酸及び/又はポリイミド樹脂を得るためには、芳香環を2個以上有する酸二無水物を少なくとも1種類以上用いることが好ましく、芳香環を4個以上有する酸二無水物を少なくとも1種類以上用いることがより好ましい。
上記の酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族系又は脂環式テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエ−ト−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,4,3’,4'−テトラカルボン酸二無水物等の芳香族系テトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等の芳香環を有する脂肪族系テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。上記酸二無水物は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記酸二無水物のうち、合成の容易さ、及び得られるポリイミドの有機溶媒への溶解性の点から、2,2'−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエ−ト−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3',4'−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物等の芳香環を2個以上有する酸二無水物を一部用いることが好ましい。
上記ジアミンと酸二無水物とを用いてポリアミド酸を合成する場合、上記ジアミンと酸二無水物とを、それぞれ少なくとも1種ずつ用いて反応を行えばよい。このとき、1種のジアミンと1種の酸二無水物が実質上等モルであれば、酸二無水物成分1種及びジアミン成分1種のポリアミド酸になる。又、2種以上の酸二無水物成分及び2種以上のジアミン成分を用いる場合、複数のジアミン成分全量のモル比と複数の酸二無水物成分全量のモル比とを、実質上等モルに調整しておけば、ポリアミド酸共重合体を任意に得ることもできる。
上記ジアミンと酸二無水物の反応(ポリアミド酸の合成反応)の温度条件は、特に限定されるものではないが、80℃以下であることが好ましく、0〜50℃の範囲内がより好ましい。80℃を超えると生成したポリアミド酸が分解する恐れがあり、0℃未満であると重合反応の進行が遅くなる場合がある。又、反応時間は10分〜30時間の範囲で任意に設定すればよい。
さらに、上記ポリアミド酸の合成反応に使用する有機溶媒としては、有機極性溶媒であれば特に限定されるものではない。しかしながら、上記ジアミンと酸二無水物との反応が進行するにつれてポリアミド酸が生成し、反応液の粘度が上昇する。又、反応溶液をそのまま有機溶媒に可溶なポリアミド酸溶液として感光性ドライフィルムレジストの原料として使用することができる。そのため作業性の点から、ポリアミド酸を溶解でき、かつ沸点の低い有機溶媒を選択することが好ましい。上記有機溶媒として、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのホルム(アセト)アミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドンやN−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶媒等を挙げることができる。
(ポリアミド酸のイミド化)
次に、有機溶媒に可溶なポリイミドを得るために、上記ポリアミド酸をイミド化する方法について説明する。イミド化は、ポリアミド酸を脱水閉環することによって行われる。この脱水閉環は、共沸溶媒を用いた共沸法、熱的手法又は化学的手法によって行うことができる。
共沸溶媒を用いた共沸法は、ポリアミド酸溶液にトルエン・キシレン等の水と共沸する溶媒を加え、170〜200℃に昇温して、脱水閉環により生成してくる水を積極的に系外へ除去しながら、1〜5時間程度反応させればよい。反応終了後、メタノール等のアルコール溶媒中にて沈殿させ、必要に応じてアルコール溶媒にて洗浄を行ったのち、乾燥を行ってポリイミド樹脂を得ることができる。
熱的手法による脱水閉環は、ポリアミド酸溶液を加熱して行えばよい。あるいは、ガラス板、金属板、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のフィルム状支持体に、ポリアミド酸溶液を流延又は塗布した後、80〜300℃の範囲内で熱処理を行えばよい。さらに、フッ素系樹脂によるコーティング等の離型処理を施した容器に直接ポリアミド酸溶液を入れ、減圧下で加熱乾燥することによって、ポリアミド酸の脱水閉環を行うこともできる。このような熱的手法によるポリアミド酸の脱水閉環により、ポリイミドを得ることができる。
なお、上記各処理の加熱時間は、脱水閉環を行うポリアミド酸溶液の処理量や加熱温度により異なるが、一般的には、処理温度が最高温度に達してから1分〜5時間の範囲で行うことが好ましい。
一方、化学的手法による脱水閉環は、上記ポリアミド酸溶液に、脱水剤、及び必要に応じて触媒を加えて加熱処理を行えばよい。なお、この加熱処理は上記の熱的手法にて行った加熱処理を指すものとする。この処理により、ポリイミドを得ることができる。
化学的手法における上記脱水剤としては、一般的には、無水酢酸、無水プロピオン酸等の酸無水物が用いられる。又、上記触媒としては、ピリジン、イソキノリン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、イミダゾ−ル、ピコリン等の第3級アミンを用いればよい。
なお、脱水剤である酸無水物は水酸基と反応するため、水酸基を有するポリイミドを原料とする場合、用いる酸無水物は化学量論的にイミド化に必要な最低限の量にすることが好ましい。
更に、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリイミドは、後述する露光処理において効率良く架橋反応させるために、分子中に、例えば側鎖にアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の炭素間二重結合を有するものがより好ましい。なお、上記ポリイミドは、前述した官能基以外の炭素間二重結合を有する官能基を有していてもよい。
側鎖にアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基のうち、いずれかの炭素間二重結合を有するポリイミドは、前述したカルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリイミドに上記炭素間二重結合を有する化合物を反応させ、変性することにより得ることができる。上記炭素間二重結合を有する化合物は、ポリイミド分子鎖中のカルボキシル基及び/又は水酸基と反応するものであれば特に限定されるものではないが、炭素間二重結合を有するエポキシ化合物、(メタ)アクリル酸無水物、及び、臭化アリル等のハロゲン化アリルが挙げられる。
上記炭素間二重結合を有するエポキシ化合物を反応させる場合は、不活性溶媒中、ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基存在下、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するポリイミドと、炭素間二重結合を有するエポキシ化合物を反応させることが例示され、目的とする炭素間二重結合を有するポリイミドを得ることができる。
上記反応における反応温度は、グリシジル基とカルボキシル基及び/又は水酸基が反応する温度であれば特に制限されないが、40〜130℃の温度範囲内で行うことが好ましく、より好ましくは40〜100℃の範囲内、さらに好ましくは50〜80℃の範囲内である。40℃未満では反応が進行しない傾向にあり、130℃を超えると炭素間二重結合が熱重合を起こす傾向にある。反応時間は適宜選択できるが、作業性の点から1〜20時間の範囲内が好ましい。
上記反応により得られる反応溶液は、その目的に応じ、そのままポリイミド溶液として用いても良いし、メタノール等のアルコール溶媒中にて沈殿させ、必要に応じてアルコール溶媒にて洗浄を行ってもよい。
上記炭素間二重結合を有するエポキシ化合物は、グリシジル基と炭素間二重結合を同一分子内に有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルビニルエーテル等を挙げることができる。そのうち安価で容易に入手でき、かつ良好な反応性を有する点から、メタクリル酸グリシジルが特に好ましい。
(メタ)アクリル酸無水物を反応させる場合は、不活性溶媒中、ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基存在下、ポリイミド分子鎖中のカルボキシル基及び/又は水酸基を(メタ)アクリル酸無水物と縮合させることが例示され、目的とする炭素間二重結合を有する可溶性ポリイミドを得ることができる。
上記反応における反応温度は、ポリイミド分子鎖中のカルボキシル基及び/又は水酸基のアシル化が可能な温度であれば特に制限されないが、0〜100℃の温度範囲内で行うことが好ましく、より好ましくは10〜100℃の範囲内、さらに好ましくは20〜80℃の範囲内である。0℃未満では反応が進行しない傾向にあり、100℃を超えると炭素間二重結合が熱重合を起こす傾向にある。反応時間は適宜選択できるが、作業性の点から1〜20時間の範囲内が好ましい。
上記反応により得られる反応溶液は、反応によって生成する(メタ)アクリル酸を除去するために、メタノール等のアルコール溶媒中にて沈殿させ、必要に応じてアルコール溶媒にて洗浄を行うことが好ましい。
ハロゲン化アリルを反応させる場合は、不活性溶媒中、ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基存在下、カルボキシル基及び/又は水酸基を含有するポリイミドと、ハロゲン化アリルを反応させることが例示され、目的とする炭素間二重結合を有するポリイミドを得ることができる。
上記反応温度は、ハロゲン化アリルとカルボキシル基及び/又は水酸基が反応する温度であれば特に制限されないが、0〜100℃の温度範囲内で行うことが好ましく、より好ましくは0〜80℃の範囲内、さらに好ましくは20〜50℃の範囲内である。0℃未満では反応が進行しない傾向にあり、100℃を超えると炭素間二重結合が熱重合を起こす傾向にある。反応時間は適宜選択できるが、作業性の点から1〜20時間の範囲内が好ましい。
上記反応により得られる反応溶液は、メタノール等のアルコール溶媒中にて沈殿させ、必要に応じてアルコール溶媒にて洗浄を行うことが好ましい。
上記いずれの反応においても、目的の炭素間二重結合を導入した後も、水系現像性を維持するために、ポリイミド分子鎖中のカルボキシル基及び/又は水酸基をすべて反応させるのではなく、カルボキシル基及び/又は水酸基が残るように、反応させる炭素間二重結合を有する化合物の当量数を調整することが好ましい。具体的には、反応後のカルボキシル基及び/又は水酸基を有する可溶性ポリイミドの酸当量が7000以下になるように調整すればよい。
又、反応中に炭素間二重結合が反応することを防止するために、重合禁止剤を加えることが好ましい。重合禁止剤としては、p−メトキシフェノール等のハイドロキノン誘導体、フェノチアジン、N−ニトロヒドロキシルアミン塩類を例示することができる。
このようにして得られた炭素間二重結合を導入されてなるポリイミドは、有機溶媒への溶解度が高く、かつ良好な硬化性や接着性を有している。
<(C)C、H、O、N原子のみからなる、分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物>
感光性樹脂組成物にC、H、O、N原子のみからなる、分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物を含有することにより、得られる感光性ドライフィルムレジストの柔軟性、現像性、アルカリ水溶液への溶解性等を向上させることができる。(C)成分としては、光及び/又は熱により架橋反応を起こすものであれば特に限定されないが、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基を有する化合物を挙げることができる。
(C)成分としては、少なくとも2種類以上のC、H、O、N原子のみからなる、分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物を組み合わせて使用することが好ましい。2種類以上の化合物を組み合わせることで、樹脂との相溶性、柔軟性、及び耐熱性のバランスが取れた感光性ドライフィルムレジストを得ることができる。また(C)成分の組み合わせとして、少なくとも1種以上の(メタ)アクリレート化合物を使用することが好ましい。(メタ)アクリレート化合物を使用することで、高い効率で光及び/又は熱による架橋反応が進み、良好な現像性を有する感光性ドライフィルムレジストを得ることができる。
上記(メタ)アクリレート化合物として、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、その他の(メタ)アクリレート等を用いることができる。
アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートを用いることにより、作製される感光性ドライフィルムレジストに柔軟性を付与することができる。アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートとしては、特に限定されるものではないが、例えばエチレンオキサイド変性ジアクリレートであるA−BPE−10、A−BPE−30(いずれも製品名、新中村化学工業株式会社製)、FA−321M(製品名、日立化成工業株式会社製)等を挙げることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレートを用いることにより、作製される感光性ドライフィルムレジストに柔軟性を付与することができる。ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、特に限定されるものではないが、例えばアロニックスM−5300、M−6100、M−7100(いずれも製品名、東亞合成株式会社製)等を挙げることができる。
エポキシ(メタ)アクリレートを用いることにより、作製される感光性ドライフィルムレジストに柔軟性を付与することができる。エポキシ(メタ)アクリレートとしては、特に限定されるものではないが、例えばKRM7856、Ebecryl3604、Ebecryl3702、Ebecryl3703,Ebecryl3708(いずれも製品名、ダイセル・ユーシービー株式会社製)、LR9019(製品名、BASFジャパン株式会社製)等の変性ビスフェノールA型エポキシアクリレート、LR8765(製品名、BASFジャパン株式会社製)等の脂肪族系エポキシアクリレートを挙げることができる。
ウレタン(メタ)アクリレートを用いることにより、作製される感光性ドライフィルムレジストに柔軟性を付与することができる。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、特に限定されるものではないが、例えばCN−980、CN−9782(いずれも製品名、日本化薬株式会社製)、M−1100、M−1200、M−1210、M−1600(いずれも製品名、東亞合成株式会社製)等のポリエーテル骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート、CN−9178、CN−965、CN−966、CN−961、CN−973(いずれも製品名、日本化薬株式会社製)等のポリエステル骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートを挙げることができる。
その他の(メタ)アクリレートを用いる場合、得られる感光性ドライフィルムレジストのアルカリ水溶液への溶解性を向上する効果がある点で、水酸基を有する(メタ)アクリレートを用いることが特に好ましい。又、得られる感光性ドライフィルムレジストに耐熱性を付与するために、1分子中に芳香環及び/又は複素環を少なくとも1個以上有する化合物を用いることが好ましい。水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えばCN−131(製品名、日本化薬株式会社製)、アロニックスM−5400、M−5700(いずれも製品名、東亞合成株式会社製)、V#2000、V#2100、V#2308、V#2323(いずれも製品名、大阪有機化学工業株式会社製)を挙げることができる。1分子中に芳香環及び/又は複素環を少なくとも1個以上有する化合物としては、例えばビスフェノールAグリセレートジアクリレートを挙げることができる。
本発明における(C)成分の総重量は、上記(B)成分の重量100重量部に対して、10〜300重量部の範囲内で用いることが好ましく、20〜150重量部の範囲内で用いることがより好ましい。(B)成分の重量100重量部に対して、10重量部未満の場合は添加による効果が見られず、300部を超える(メタ)アクリレートを用いた場合は、得られる感光性ドライフィルムレジストの耐熱性が低下してしまう傾向がある。
<(D)光反応開始剤>
光反応開始剤を添加してなる感光性ドライフィルムレジストを露光した場合に、露光領域にて架橋反応や重合反応を促進することができる。これにより、露光領域と未露光領域とで、感光性ドライフィルムレジストの水系現像液への溶解性を十分に異なるようにすることができ、それゆえに、感光性ドライフィルムレジスト上にパターンを好適に現像することが可能になる。
上記光反応開始剤としては、ラジカル発生剤、光カチオン発生剤、光塩基発生剤、光酸発生剤等を挙げることができる。
上記ラジカル発生剤としては、特に限定されるものではないが、g線程度の長波長の光によりラジカルを発生するものが好ましく、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンなどのケトン化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド化合物、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のチタノセン化合物が挙げることができる。特に、ホスフィンオキサイド化合物やチタノセン化合物を用いることが好ましい。
上記光カチオン発生剤としては、例えば、ジメトキシアントラキノンスルフォン酸のジフェニルヨードニウム塩等のジフェニルヨードニウム塩類、トリフェニルスルフォニウム塩類、ピリリニウム塩類、トリフェニルオニウム塩類、ジアゾニウム塩類等を挙げることができる。なお上記塩類の他、カチオン硬化性の高い脂環式エポキシやビニルエーテル化合物を混合することが好ましい。
上記光塩基発生剤としては、ニトロベンジルアルコールやジニトロベンジルアルコールとイソシアナートの反応により得られるベンジルアルコール−ウレタン化合物、ニトロ−1−フェニルエチルアルコールやジニトロ−1−フェニルエチルアルコールとイソシアナートの反応により得られるフェニルアルコール−ウレタン化合物、ジメトキシ−2−フェニル−2−プロパノールとイソシアナートの反応により得られるプロパノール−ウレタン化合物等を挙げることができる。
光酸発生剤としては、ヨードニウム塩、スルフォニウム塩、オニウム塩等のスルホン酸を発生させる化合物、ナフトキノンジアジド等のカルボン酸を発生させる化合物を挙げることができる。あるいは、ジアゾニウム塩や、ビス(トリクロロメチル)トリアジン類等の化合物は、光の照射によりスルホン基を生成させることができるので、これらの化合物も好ましく用いることができる。
又、上記光反応開始剤のほかに増感剤を加えてもよい。上記増感剤としては、特に限定されるものではないが、ミヒラケトン、ビス−4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、3,3'−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、4−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン等を挙げることができる。ラジカル発生剤と増感剤とを組み合わせて用いることもできるが、特に入手の容易性さから、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のパーオキサイドと3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンとの組み合わせが好ましい。
上記光反応開始剤及び/又は増感剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記光反応開始剤及び/又は増感剤の使用量は、上記(B)成分の重量100重量部に対して、0.001〜10重量部の範囲内であることが好ましく、0.01〜10重量部の範囲内であることがより好ましい。上記光反応開始剤及び/又は増感剤の使用量が0.001重量部未満であると、あるいは10重量部を超えると、増感効果が得られず現像性が悪化する傾向がある。
<(E)炭素−炭素二重結合を有しないリン化合物>
難燃効果を高めるために、上記(A)成分に示される難燃剤のほかに、炭素−炭素二重結合を有しないリン化合物を加えてもよい。リン化合物を併用することにより、難燃性の相乗効果を促進させるほか、感光性ドライフィルムレジストのアルカリ溶解性を向上させることができる。
(E)成分としては、有機溶剤に可溶なものであれば特に制限されるものではないが、例えばリン酸エステル(ホスフェート)、ホスフィン、ホスファイト、ホスホナイト、ホスフィナイト、ホスホネート、ホスフィネート、ホスフィンオキサイド等のリン化合物、及びホスファゼン化合物等を挙げることができる。
(A)成分及び(E)成分の組み合わせとしては、特に限定されないが、難燃化の相乗効果の点から熱重量分析において異なる減量曲線を持つ成分の組み合わせであることが好ましい。具体的には、(A)成分及び(E)成分抜きで作製した感光性樹脂組成物の5%重量減少温度よりも、10〜100℃低い5%重量減少温度を持つ成分と、10〜100℃高い5%重量減少温度を持つ成分を組み合わせることが好ましく、20〜70℃低い5%重量減少温度を持つ成分と、20〜70℃高い5%重量減少温度を持つ成分を組み合わせることがより好ましい。なお熱重量分析による加熱減量の測定については、熱重量測定(TGA)装置、例えば島津製作所製TGA−50により測定することが可能である。
上記(E)成分の使用量は、上記(B)成分100重量部に対し50重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることがより好ましい。(B)成分100重量部に対して50重量部を超えるとブリードアウトが生じやすい傾向があり、更に硬化物の物性に悪影響を与える場合がある。
<感光性樹脂組成物の調製方法と感光性ドライフィルムレジストの作製方法>
感光性樹脂組成物の調製方法及び感光性ドライフィルムレジストの作製方法について説明する。感光性ドライフィルムレジストは、感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を支持体フィルム上に均一に塗布・乾燥して作製される。
<感光性樹脂組成物の調製方法>
まず、本発明の感光性樹脂組成物の調製方法について説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、(A)1分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物、(B)有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び/又は有機溶媒に可溶なポリイミド、(C)C、H、O、N原子のみからなる、分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物、(D)光反応開始剤、必要に応じて、(E)炭素−炭素二重結合を有しないリン化合物をある割合で混合したものであり、それを有機溶媒に均一に溶解させた溶液を感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液と称する。上記の有機溶媒は、感光性樹脂組成物に含有される成分を溶解することができる有機溶媒であれば、特に限定されるものではない。上記有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のホルム(アセト)アミド系溶媒、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの有機溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、後の工程にて上記有機溶媒の除去を行うので、できるだけ沸点の低いものを選択することが製造工程上の点で好ましい。
<感光性ドライフィルムレジストの製造方法>
公知の塗布方法により上記の感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を支持体フィルム上に均一に塗布した後、加熱及び/又は熱風吹き付けを行う。加熱及び/又は熱風吹き付けによって上記有機溶媒を除去し、感光性樹脂組成物がフィルム状となった感光性ドライフィルムレジストを得ることができる。このように形成された感光性ドライフィルムレジストは、感光性樹脂組成物を半硬化状態(Bステージ)で保ったものである。それゆえ、熱ラミネート処理等の熱圧着処理を行う場合には適度な流動性を持ち、プリント配線板のパターン回路の埋め込みを好適に行うことができる。又、パターン回路を埋め込んだ後、露光処理、熱圧着処理、加熱キュアを行うことによって、完全に硬化させることができる。
上記加熱及び/又は熱風吹き付けを行うにあたり、感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を乾燥する時の温度は、感光性樹脂組成物に含有される(メタ)アクリロイル基等の硬化性基が反応しない程度の温度であればよい。具体的には、120℃以下であることが好ましく、100℃以下であることが特に好ましい。又、乾燥時間は有機溶媒を除去することが可能な範囲内で、できるだけ短い時間とすることが好ましい。
上記支持体フィルムの材料としては特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなどを挙げることができ、市販されている各種のフィルムが使用可能であり、特に限定されるものではない。上記支持体フィルムのうち、ある程度の耐熱性を有し、かつ比較的安価に手に入る点から、PETフィルムが多く用いられる。なお、支持体フィルムの感光性ドライフィルムレジストとの接合面については、密着性と剥離性を向上させるために表面処理されているものを用いるのが好ましい。
更に、感光性樹脂組成物を支持体フィルムに塗布し乾燥して作製した感光性ドライフィルムレジストの上に、保護フィルムを積層することが好ましい。空気中のゴミやチリが付着することを防ぎ、さらに感光性ドライフィルムレジストの品質の劣化を防ぐことができる。
上記保護フィルムは、感光性ドライフィルムレジスト面に50℃以下の温度でラミネートして積層することが好ましい。ラミネート処理時の温度が50℃よりも高くなると、保護フィルムの熱膨張を招き、ラミネート処理後の保護フィルムにしわやカールが生じる場合がある。なお、感光性ドライフィルムレジスト作製の工程中上記保護フィルムを剥離するため、保護フィルムと感光性ドライフィルムレジストとの接合面は、保管時には適度な密着性を有し、かつ剥離性に優れていることが好ましい。
上記保護フィルムの材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンフィルム(PEフィルム)、ポリエチレンビニルアルコールフィルム(EVAフィルム)、「ポリエチレンとエチレンビニルアルコールの共重合体フィルム」(以下(PE+EVA)共重合体フィルムと略す)、「PEフィルムと(PE+EVA)共重合体フィルムの貼り合せ体」、もしくは「(PE+EVA)共重合体とポリエチレンとの同時押し出し製法によるフィルム」(片面がPEフィルム面であり、もう片面が(PE+EVA)共重合体フィルム面であるフィルムとなる)等を挙げることができる。
上記PEフィルムは安価であり、表面の滑り性に優れているという長所がある。又、(PE+EVA)共重合体フィルムは、感光性ドライフィルムレジストへの適度な密着性と剥離性とを備えている。このような保護フィルムを用いることにより、保護フィルム、感光性ドライフィルムレジスト、支持体フィルムの3層を有する三層構造シートをロール状に巻き取った場合に、その表面の滑り性を向上することができる。
<プリント配線板の作製>
以下の製法にて、本発明に係る感光性ドライフィルムレジストを絶縁保護層としてなるプリント配線板を作製する。プリント配線板として、パターン回路が形成されてなる銅箔を有する銅張り積層板(Copper Clad Laminate)(以下、回路付きCCLと称する)を用いる場合を例に挙げて説明するが、多層のプリント配線板を形成する場合にも、同様の手法により層間絶縁層を形成することができる。
まず、上記にて説明した保護フィルム、感光性ドライフィルムレジスト、支持体フィルムを有してなる三層構造シートから保護フィルムを剥離する。以下では、保護フィルムが剥離されたものを支持体フィルム付き感光性ドライフィルムレジストと称する。次に、感光性ドライフィルムレジストと回路付きCCLとが対向するように、該回路付きCCLを、支持体フィルム付き感光性ドライフィルムレジストにて覆い、熱圧着によって貼り合せる。この熱圧着による貼り合わせは、熱プレス処理、ラミネート処理(熱ラミネート処理)、熱ロールラミネート処理等によって行えば良く、特に限定されるものではない。上記貼り合わせを、熱ラミネート処理、熱ロールラミネート処理(以下、ラミネート処理と記載)によって行う場合、処理温度は、ラミネート処理が可能である下限の温度(以下、圧着可能温度)以上であればよい。具体的には、上記圧着可能温度は、50〜150℃の範囲内であることが好ましく、60〜120℃の範囲内であることがより好ましく、特に80〜120℃の範囲内であることが好ましい。上記処理温度が150℃を超えると、ラミネート処理時に感光性ドライフィルムレジストに含まれる感光性反応基の架橋反応が生じ、感光性ドライフィルムレジストの硬化が進行する場合がある。一方、上記処理温度が50℃未満であると、感光性ドライフィルムレジストの流動性が低く、パターン回路を埋め込むことが困難となる。さらに、銅回路付きCCLの銅回路や該銅回路付きCCLのベースフィルムとの接着性が低下する場合がある。
上記の熱圧着処理によって、回路付きCCL上に感光性ドライフィルムレジストが積層され、さらに支持体フィルムが積層されたサンプルが得られる。次いで、この貼り合わせサンプルについてパターン露光及び現像を行う。パターン露光及び現像に際しては、上記貼り合わせサンプルの支持体フィルム上にフォトマスクパターンを配置し、該フォトマスクを介して露光処理を行う。その後、支持体フィルムを剥離して現像処理を行うことにより、フォトマスクパターンに応じた穴(ビア)が形成される。
なお、上記支持体フィルムは、露光処理後に剥離しているが、回路付きCCL上に支持体フィルム付き感光性ドライフィルムレジストが貼り合わせられた後に、すなわち、露光処理を行う前に剥離しても良い。感光性ドライフィルムレジストを保護する点からは、露光処理が完了した後に剥離することが好ましい。
ここで露光に用いる光源としては、300〜430nmの光を有効に放射する光源が好ましい。この理由は、感光性ドライフィルムレジストに含有される光反応開始剤が、通常450nm以下の光を吸収して機能するためである。
又、上記現像処理に用いる現像液としては、塩基性化合物が溶解した塩基性溶液を用いればよい。上記塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アミン化合物等を挙げることができる。上記塩基性化合物は1種を用いてもよいし、2種以上の化合物を用いてもよい。一方、塩基性化合物を溶解させる溶媒としては、上記塩基性化合物を溶解することができる溶媒であれば特に限定されるものではないが、環境問題等の観点から、水を使用することが特に好ましい。
上記塩基性溶液に含有される塩基性化合物の濃度は、0.1〜10重量%の範囲内であることが好ましいが、感光性ドライフィルムレジストの耐アルカリ性の点から、0.1〜5重量%の範囲内とすることがより好ましい。
なお、現像処理の方法としては、特に限定されるものではないが、塩基性溶液中に現像サンプルを入れて攪拌する方法や、現像液をスプレー状にして現像サンプルに噴射する方法等が挙げられる。
ここで、感光性ドライフィルムレジストのパターンが描けるまでの現像時間は、パターンが描ける時間であれば特に限定されないが、180秒以下の時間で現像できることが好ましく、90秒以下の時間で現像できることがより好ましく、60秒以下の時間で現像できることが更に好ましい。現像時間が180秒を超えると生産性が劣る傾向がある。
又現像時間の目安として、Bステージ(半硬化)状態の感光性ドライフィルムレジストの溶解時間を測定する方法がある。なお本発明に係るアルカリ溶解性とは、Bステージ(半硬化)状態における感光性ドライフィルムレジストの溶解のされ易さを示す。Bステージ(半硬化)状態の感光性ドライフィルムレジストの溶解時間を測定する方法は、具体的には、感光性ドライフィルムレジストを銅箔光沢面に貼り合わせた未露光のサンプルを、1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(液温40℃)を現像液として、スプレー圧0.85MPaでスプレー現像処理を行うという方法である。このスプレー現像処理により、感光性ドライフィルムレジストが180秒以下の時間で溶解して除去されることが好ましく、90秒以下の時間で溶解できることがより好ましく、60秒以下の時間で溶解できることが最も好ましい。感光性ドライフィルムレジストが溶解除去されるまでの時間が180秒を超えると、作業性が低下する傾向がある。
上記のように露光・現像処理が施された後、感光性ドライフィルムレジストに対して、加熱キュアを行うことにより、感光性ドライフィルムレジストが完全に硬化する。これにより、硬化した感光性ドライフィルムレジストは、プリント配線板の絶縁保護膜となる。
又、多層のプリント配線板を形成する場合には、プリント配線板の保護層を層間絶縁層とし、該層間絶縁層上に、さらにスパッタリングや鍍金、もしくは銅箔との貼り合わせ等を行った後、パターン回路を形成し、上記のように感光性ドライフィルムレジストをラミネートすればよい。これにより、多層のプリント配線板を作製することができる。
なお、本実施の形態では、感光性ドライフィルムレジストを、プリント配線板の絶縁保護材料又は層間絶縁材料として用いる場合について説明したが、上記の用途以外に用いることも可能である。すなわち、本発明は、下記実施例だけに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。感光性樹脂組成物の調製及び感光性ドライフィルムレジストの具体的な製造例、及びその物性の評価は次のようにして行った。
<感光性樹脂組成物の調製>
1,3−ジオキソラン又はN,N−ジメチルホルムアミドに(B)有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び/又は有機溶媒に可溶なポリイミドを溶解させ、その固形分重量%(Sc)を30%として、ポリアミド酸又はポリイミド溶液を調製した。この溶液に対して、(A)、及び(C)〜(E)成分を混合・攪拌し、最終的な固形分重量%(Sc)が40%となるように感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を調製した。ここで、固形分重量とは、有機溶媒以外の材料、すなわち(A)〜(E)成分の総重量を示し、液体の材料であっても固形分に含めるものとする。
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
上記の感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を、乾燥後の厚み(感光性ドライフィルムレジストの厚み)が20〜25μmになるように支持体フィルムに塗布した。支持体フィルムとしては、PETフィルム(厚み25μm、製品名ルミラー、東レ株式会社製)を用いた。その後、支持体フィルム上の塗布層を乾燥することによって、有機溶媒を除去した。なお乾燥温度及び時間は、ポリイミドを使用した1,3−ジオキソラン溶媒系では90℃で2分間、ポリアミド酸を使用した1,3−ジオキソラン及びN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶液系では90℃で10分間である。これにより、感光性ドライフィルムレジスト/PETフィルム(支持体フィルム)からなる2層構造シートを得た。なお、感光性ドライフィルムレジスト層はBステージ状態にある。
続いて、上記2層構造シートにおける感光性ドライフィルムレジスト層の上に、ポリエチレンフィルム(厚み40μm、製品名GF−1、タマポリ株式会社製)をロール温度20℃、ニップ厚75000Pa・mの条件でロールラミネートして、保護フィルム/感光性ドライフィルムレジスト/PETフィルムの三層を有する三層構造シートを得た。
<感光性ドライフィルムレジストの物性の評価>
上記のようにして調製された感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液及び製造された感光性ドライフィルムレジストについて、アルカリ溶解性、現像性、難燃性、及び耐薬品性について評価を行った。
<アルカリ溶解性>
まず、電解銅箔(三井金属株式会社製、厚み38μm)を10重量%硫酸水溶液で1分間ソフトエッチング(銅箔表面の防錆剤を除去する工程である)し、水洗い後、エタノール、アセトンで表面を洗ってから乾燥させた。感光性ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥離後、前記電解銅箔(ソフトエッチング後のもの)の光沢面に、100℃、75000Pa・mの条件でラミネートした。未露光の状態でこのサンプルのPETフィルムを剥離した後、スプレー現像機(サンハヤト株式会社製、エッチングマシーンES−655D)を用いて、1重量%の水酸化ナトリウム水溶液(液温40℃)、スプレー圧0.85MPaにて、感光性ドライフィルムレジストが溶けるまでの時間を測定した。溶けるまでの時間が60秒以内であるものを合格とした。
<現像性>
まず、電解銅箔(三井金属株式会社製、厚み38μm)を10重量%硫酸水溶液で1分間ソフトエッチングし、水洗い後、エタノール、アセトンで表面を洗ってから乾燥させた。感光性ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥離後、前記電解銅箔(ソフトエッチング後のもの)の光沢面に、100℃、75000Pa・mの条件でラミネートした。この積層体のPETフィルムの上に、100×100μm角及び200×200μm角の四角を描いたマスクパターンをのせ、波長405nmの光を300mJ/cmだけ露光した。このサンプルのPETフィルムを剥離した後、スプレー現像機(サンハヤト株式会社製、エッチングマシーンES−655D)を用いて、1重量%の水酸化ナトリウム水溶液又は炭酸ナトリウム水溶液(液温40℃)、スプレー圧0.85MPa、現像時間30秒間〜180秒間の条件で現像した。現像によって形成したパターンは、蒸留水により洗浄して現像液を除去したのち乾燥させた。光学顕微鏡で観察して100×100μm角及び200×200μm角の四角部分が現像できていれば合格とした。
<難燃性>
感光性ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥離後、感光性ドライフィルムレジスト面を厚み25μmのポリイミドフィルム(製品名アピカルAH、株式会社カネカ製)に100℃、75000Pa・mの条件で両面にラミネートした。この貼り合わせサンプルを両面とも波長405nmの光で600mJ/cmだけ露光した後、PETフィルムを剥離し、180℃で2時間加熱して完全に硬化させた。このサンプルの難燃性をUL94 VTM−0に準拠して評価した。VTM−0を達成しているものを合格とした。
<耐溶剤性>
まず、電解銅箔(厚み38μm、三井金属株式会社製)を10重量%硫酸水溶液で1分間ソフトエッチングし、水洗い後、エタノール、アセトンで表面を洗ってから乾燥させた。感光性ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥離後、前記電解銅箔(ソフトエッチング後)の光沢面に、100℃、75000Pa・mの条件でラミネートした。この貼り合わせサンプルを波長405nmの光で600mJ/cmだけ露光した後、PETフィルムを剥離し、180℃で2時間加熱して完全に硬化させた。1水準につき上記サンプルを5枚作製し、それぞれメチルエチルケトン(以下MEKと略)、及びイソプロピルアルコール(以下IPAと略)に10分間浸漬後、感光性ドライフィルムレジストに剥がれや色、厚みの変化があるか観察した。全ての試験片において変化が無いものを合格とした。
<耐薬品性>
まず、電解銅箔(厚み38μm、三井金属株式会社製)を10重量%硫酸水溶液で1分間ソフトエッチングし、水洗い後、エタノール、アセトンで表面を洗ってから乾燥させた。感光性ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥離後、前記電解銅箔(ソフトエッチング後)の光沢面に、100℃、75000Pa・mの条件でラミネートした。この貼り合わせサンプルを波長405nmの光で600mJ/cmだけ露光した後、PETフィルムを剥離し、180℃で2時間加熱して完全に硬化させた。1水準につき上記サンプルを5枚作製し、それぞれ1mol/Lの硫酸、及び2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬後、感光性ドライフィルムレジストに剥がれや色、厚みの変化があるか観察した。全ての試験片において変化が無いものを合格とした。
<耐湿性>
感光性ドライフィルムレジストの保護フィルムを剥離後、感光性ドライフィルムレジスト面を厚み25μmのポリイミドフィルム(製品名アピカルAH、株式会社カネカ製)に100℃、75000Pa・mの条件で片面にラミネートした。この貼り合わせサンプルを波長405nmの光で600mJ/cmだけ露光した後、PETフィルムを剥離し、180℃で2時間加熱して完全に硬化させた。このサンプルをPCT試験(121℃、2気圧)にて12時間試験を行い、サンプルの外観に異常が見られなかったものを合格とした。
<(B)成分の合成手順>
有機溶媒に可溶なポリアミド酸又はポリイミドの原料として使用した化合物、及びその略称は以下の通りである。
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸二無水物
PMDA:1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物
BPADA:4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物
ESDA:(2,2’−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート)−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物
MBAA:[ビス(4−アミノ−3−カルボキシ)フェニル]メタン
KF−8010:シリコンジアミンの製品名、平均分子量830
APDS:シリコンジアミンの製品名、分子量249
DAM−1:2,2’−ジアミノビスフェノールA
BAPS−M:ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン
APB:1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
又、ポリイミドの重量平均分子量は、東ソー株式会社製HLC8220GPCを使用し、サイズ排除クロマトグラフィーにより、ポリエチレンオキシド換算で算出した。
(合成例1:有機溶媒に可溶なポリアミド酸の合成)
攪拌機を設置した500mLのセパラブルフラスコにジアミンAPB32.16gをDMF134.7gに溶解させた溶液を入れ、APBのDMF溶液を調整した。次に上記DMF溶液に酸二無水物ODPA34.12gをDMF20gに溶かした溶液を加えて約1時間激しく攪拌した。このようにして得たポリアミド酸のDMF溶液をそのまま使用した。このポリアミド酸の重量平均分子量は150000であった。
(合成例2:有機溶媒に可溶なポリアミド酸の合成)
攪拌機を設置した500mLのセパラブルフラスコに酸二無水物BPADAを26.0g、DMFを38.5g入れ、BPADAのDMF溶液を調整した。次に上記DMF溶液に、シリコンジアミンAPDSを2.48g添加し、激しく攪拌した。溶液が均一になった後、さらに、ジアミンAPB11.7gをDMF17.5gに溶解させた溶液を加えて約1時間激しく攪拌した。このようにして得たポリアミド酸のDMF溶液をそのまま使用した。このポリアミド酸の重量平均分子量は34000であった。
(合成例3:カルボキシル基を有する有機溶媒に可溶なポリイミドの合成、及びメタクリル基の導入)
攪拌機を設置した500mLのセパラブルフラスコにジアミンESDA17.3g、DMFを30g入れて、攪拌機で攪拌して溶解させた。次に、酸二無水物MBAA5.15gをDMF9gに溶解したのち、上記ESDAのDMF溶液に加え、激しく攪拌した。溶液が均一になったらさらに、上記溶液にシリコンジアミンKF−8010を7.47g加え、激しく攪拌した。溶液が均一になったら最後に、BAPS−Mを1.29g加えて1時間激しく攪拌した。このようにして得たポリアミド酸溶液をフッ素系樹脂でコートしたバットにとり、真空オーブンで、200℃、660Paの圧力で2時間減圧乾燥し、26.40gのカルボキシル基を有するポリイミドを得た。このポリイミドの酸当量は835、重量平均分子量は37000であった。
次に、上記のカルボキシル基を有するポリイミド20.0gをDMF40gに溶解し、メタクリル酸グリシジル(以下GMAと略す)を1.71g、トリエチルアミンを0.1g、及び重合禁止剤としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩を0.02g加え、80℃で5時間攪拌を行った。この溶液をメタノール500mlに投入し、析出した樹脂分をミキサーで粉砕後、メタノールで洗浄、乾燥して、21.2gのメタクリル基を有するポリイミドを得た。このポリイミドの酸当量は1811、重量平均分子量は38000であった。
(実施例1)
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を調製し、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。
(A)1分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物
ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート(製品名MR−260)・・・・・60重量部
(B)有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び/又は有機溶媒に可溶なポリイミド
合成例1で合成したポリアミド酸・・・・・100重量部
(C)C、H、O、N原子のみからなる、分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物
エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート(製品名FA−321M、日立化成株式会社製)・・・・・50重量部
ビスフェノールAグリセレートジアクリレート(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)・・・・・10重量部
フタル酸エステルモノアクリレート(製品名V#2308、大阪有機化学工業株式会社製)・・・・・10重量部
(D)光反応開始剤
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(製品名イルガキュア819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)・・・・・4重量部
<物性の評価結果>
得られた感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
アルカリ溶解性:30秒で溶解できており合格。
現像性:100×100μm角の穴、200×200μm角の穴がともに現像できており合格。
難燃性:VTM−0が達成できており合格。
耐溶剤性:どのサンプルも変化無く合格。
耐薬品性:どのサンプルも変化無く合格。
耐湿性:割れ、発泡は見られず合格。
(実施例2)
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を調製し、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。
(A)1分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物
ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート(製品名MR−260)・・・・・20重量部
トリスアクリロイルオキシエチルホスフェート(製品名V#3PA)・・・・・20重量部
(B)有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び/又は有機溶媒に可溶なポリイミド
合成例1で合成したポリアミド酸・・・・・100重量部
(C)C、H、O、N原子のみからなる、分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物
エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート(製品名FA−321M)・・・・・50重量部
ビスフェノールAグリセレートジアクリレート(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)・・・・・10重量部
フタル酸エステルモノアクリレート(製品名V#2308、大阪有機化学工業株式会社製)・・・・・10重量部
(D)光反応開始剤
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(製品名イルガキュア819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)・・・・・4重量部
<物性の評価結果>
得られた感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
アルカリ溶解性:30秒で溶解できており合格。
現像性:100×100μm角の穴、200×200μm角の穴がともに現像できており合格。
難燃性:VTM−0が達成できており合格。
耐溶剤性:どのサンプルも変化無く合格。
耐薬品性:どのサンプルも変化無く合格。
耐湿性:割れ、発泡は見られず合格。
(実施例3)
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を調製し、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。
(A)1分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物
トリスアクリロイルオキシエチルホスフェート(製品名V#3PA)・・・・・60重量部
(B)有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び/又は有機溶媒に可溶なポリイミド
合成例2で合成したポリアミド酸・・・・・100重量部
(C)C、H、O、N原子のみからなる、分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物
エチレンオキサイド変性ジアクリレート(製品名A−BPE−10)・・・・・50重量部
ビスフェノールAグリセレートジアクリレート(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)・・・・・10重量部
フタル酸エステルモノアクリレート(製品名V#2308、大阪有機化学工業株式会社製)・・・・・10重量部
(E)光反応開始剤
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(製品名イルガキュア819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)・・・・・2重量部
<物性の評価結果>
得られた感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
アルカリ溶解性:30秒で溶解できており合格。
現像性:100×100μm角の穴、200×200μm角の穴がともに現像できており合格。
難燃性:VTM−0が達成できており合格。
耐溶剤性:どのサンプルも変化無く合格。
耐薬品性:どのサンプルも変化無く合格。
耐湿性:割れ、発泡は見られず合格。
(実施例4)
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を調製し、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。
(A)1分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物
ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート(製品名MR−260)・・・・・20重量部
(B)有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び/又は有機溶媒に可溶なポリイミド
合成例1で合成したポリアミド酸・・・・・100重量部
(C)C、H、O、N原子のみからなる、分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物
エチレンオキサイド変性ジメタクリレート(製品名FA−321M、日立化成株式会社製)・・・・・38重量部
ビスフェノールAグリセレートジアクリレート(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)・・・・・14重量部
フタル酸エステルモノアクリレート(製品名V#2308、大阪有機化学工業株式会社製)・・・・・14重量部
(D)光反応開始剤
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(製品名イルガキュア819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)・・・・・3重量部
(E)炭素−炭素二重結合を有しないリン化合物
フェノキシホスファゼン(製品名SPE−100、大塚化学株式会社製)・・・・・20重量部
<物性の評価結果>
得られた感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
アルカリ溶解性:30秒で溶解できており合格。
現像性:100×100μm角の穴、200×200μm角の穴がともに現像できており合格。
難燃性:VTM−0が達成できており合格。
耐溶剤性:どのサンプルも変化無く合格。
耐薬品性:どのサンプルも変化無く合格。
耐湿性:割れ、発泡は見られず合格。
(実施例5)
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を調製し、Bステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。
(A)1分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物
ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート(製品名MR−260)・・・・・60重量部
(B)有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び/又は有機溶媒に可溶なポリイミド
合成例1で合成したポリアミド酸・・・・・100重量部
(C)C、H、O、N原子のみからなる、分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物
エチレンオキサイド変性ジメタクリレート(製品名FA−321M、日立化成株式会社製)・・・・・30重量部
ビスフェノールAグリセレートジアクリレート(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)・・・・・5重量部
フタル酸エステルモノアクリレート(製品名V#2308、大阪有機化学工業株式会社製)・・・・・5重量部
(D)光反応開始剤
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(製品名イルガキュア819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)・・・・・4重量部
<物性の評価結果>
得られた感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
アルカリ溶解性:30秒で溶解できており合格。
現像性:100×100μm角の穴、200×200μm角の穴がともに現像できており合格。
難燃性:VTM−0が達成できており合格。
耐溶剤性:どのサンプルも変化無く合格。
耐薬品性:どのサンプルも変化無く合格。
耐湿性:割れ、発泡は見られず合格。
(比較例1)
<感光性ドライフィルムレジストの作製>
実施例1の(A)成分を除く以外は実施例1と同様の条件で、感光性ドライフィルムレジストを作製した。
<物性の評価結果>
得られた感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
アルカリ溶解性:60秒で溶解できており合格。
現像性:100×100μm角の穴、200×200μm角の穴がともに現像できており合格。
難燃性:VTM−0とならず不合格。
耐溶剤性:どのサンプルも変化無く合格。
耐薬品性:どのサンプルも変化無く合格。
耐湿性:割れ、発泡は見られず合格。
このように、炭素−炭素二重結合を有するリン化合物を除くと難燃性が低下する結果となった。
(比較例2)
実施例1の(A)成分を(E)成分であるトリフェニルホスフェート(製品名TPP、アクゾノーベル株式会社製)に替える以外は実施例1と同様の条件で、感光性ドライフィルムレジストを作製した。
<物性の評価結果>
得られた感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
アルカリ溶解性:30秒で溶解できており合格。
現像性:100×100μm角の穴、200×200μm角の穴がともに現像できており合格。
難燃性:VTM−0とならず不合格。
耐溶剤性:どのサンプルも変化無く合格。
耐薬品性:どのサンプルも変化無く合格。
耐湿性:ブリードによる白化が認められ不合格。
このように、炭素−炭素二重結合を有するリン化合物を除き、炭素−炭素二重結合を有しないリン化合物を用いると難燃性及び耐湿性が低下する結果となった。
(比較例3)
実施例2の(C)成分のうちビスフェノールAグリセレートジアクリレート及びエチレンオキサイド変性ジアクリレートを除く以外は、実施例2と全く同様の条件で感光性ドライフィルムレジストを作製した。
<物性の評価結果>
得られた感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
アルカリ溶解性:60秒で溶解できず不合格。
現像性:200×200μm角の穴が現像できず不合格。
難燃性:VTM−0となり合格。
耐溶剤性:どのサンプルも変化無く合格。
耐薬品性:どのサンプルも変化無く合格。
耐湿性:割れが認められ不合格。
このように、C、H、O、N原子のみからなる、分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物を単独で用いるとアルカリ溶解性、現像性及び耐湿性が低下する結果となった。
(比較例4)
実施例4の(A)成分を(E)成分であるホスホネート化合物(製品名FYROL 6、アクゾノーベル株式会社製)に替える以外は実施例4と同様の条件で、感光性ドライフィルムレジストを作製した。
<物性の評価結果>
得られた感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
アルカリ溶解性:60秒で溶解できており合格。
現像性:100×100μm角の穴が現像できず不合格。
難燃性:VTM−0とならず不合格。
耐溶剤性:どのサンプルも変化無く合格。
耐薬品性:どのサンプルも変化無く合格。
耐湿性:白化が認められ不合格。
このように、炭素−炭素二重結合を有するリン化合物を除き、炭素−炭素二重結合を有しないリン化合物を用いると現像性、難燃性及び耐湿性が低下する結果となった。
(比較例5)
実施例5の(A)成分を
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドのGMA付加物に替える以外は実施例5と同様の条件で、感光性ドライフィルムレジストを作製した。
<物性の評価結果>
得られた感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
アルカリ溶解性:30秒で溶解できており合格。
現像性:100×100μm角の穴、200×200μm角の穴がともに現像できており合格。
難燃性:VTM−0となり合格。
耐溶剤性:評価前後のサンプルに割れが見られ不合格。
耐薬品性:評価前後のサンプルに割れが見られ不合格。
耐湿性:評価前後のサンプルに割れが見られ不合格。
このように、本願と異なる構造の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物を使用すると、硬化後の感光性ドライフィルムを折り曲げたときに割れが生じる結果となった。
(比較例6)
実施例5の(A)成分を
トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキシドのGMA付加物に替える以外は実施例5と同様の条件で、感光性ドライフィルムレジストを作製した。
<物性の評価結果>
得られた感光性ドライフィルムレジストの物性評価結果は、次のようになった。
アルカリ溶解性:30秒で溶解できており合格。
現像性:100×100μm角の穴、200×200μm角の穴がともに現像できており合格。
難燃性:VTM−0とならず不合格。
耐溶剤性:どのサンプルも変化無く合格。
耐薬品性:どのサンプルも変化無く合格。
耐湿性:割れ、発泡は見られず合格。
このように、本願と異なる構造の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物を使用すると、難燃性が低下する結果となった。
実施例・比較例の条件と結果を表1、2に列記した。
Figure 2007094342
Figure 2007094342

Claims (4)

  1. (A)下記一般式(1)
    Figure 2007094342
    (式中、mは1〜3、nは0〜2でm+n=3である。Rは水素原子またはメチル基を表す。)で表される、1分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有するリン化合物、
    (B)有機溶媒に可溶なポリアミド酸及び/又は有機溶媒に可溶なポリイミド、
    (C)C、H、O、N原子のみからなる、分子中に少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物、
    (D)光反応開始剤
    を必須成分とする感光性樹脂組成物であって、
    前記(C)成分は少なくとも2種類の異なる化合物を用いるとともに、1種以上の(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. 前記(A)〜(D)成分に加えて、
    (E)炭素−炭素二重結合を有しないリン化合物
    を含有することを特徴とする、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 請求項1〜2のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を含むことを特徴とする、感光性ドライフィルムレジスト。
  4. 請求項3に記載の感光性ドライフィルムレジストを絶縁保護層として用いることを特徴とする、プリント配線板。
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