JP2007091954A - 発泡体、その製造方法、およびその再生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形体の製造、再利用、および廃棄において、環境負荷が最小限に抑制され、優れた柔軟力および復元力を有するとともに、水溶性能を備えた発泡体を提供する。
【解決手段】本発明の発泡体は、水溶性高分子の水溶液を発泡させ、凍結乾燥することによって気泡の隔壁が破裂し連通する気孔となっている発泡体である。水溶性高分子としては、アルギン酸類のような水溶性多糖類や、ゼラチンのような水溶性タンパク質を用いることができる。この発泡体を再利用するには、水に溶解した後、発泡させ再度凍結乾燥することによって容易に再生できる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の発泡体は、水溶性高分子の水溶液を発泡させ、凍結乾燥することによって気泡の隔壁が破裂し連通する気孔となっている発泡体である。水溶性高分子としては、アルギン酸類のような水溶性多糖類や、ゼラチンのような水溶性タンパク質を用いることができる。この発泡体を再利用するには、水に溶解した後、発泡させ再度凍結乾燥することによって容易に再生できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、水溶性高分子物質を用いた発泡材料およびその製造方法、並びにその再生方法に関する。
近年、自然環境保護の見地から、自然環境中で分解する生分解性樹脂及びその成形品が求められ、例えば脂肪族ポリエステルやでんぷんまたはそれらを化学的に改質した物質等による生分解性樹脂の研究が活発に行なわれている。これらは、緩衝材・構造材として用いるには、柔軟力が弱く、復元力がないため繰り返して使用することができない。また、水崩壊性はあるものの完全に水溶しないため、処理しにくく、容易に再生できない。しかも、石油系の改質剤を使用することで性能を高めていることから、完全に環境によい材料とは言えない(特許文献1参照)。
他方、天然の水溶性多糖類または水溶性蛋白質は安全性が高く、且つ自然環境中に放出された場合、速やかに微生物によって分解され、消滅する。こうした材料のうち、特にゲル形成能を有するものは、増粘剤・ゲル化剤として、食品・化粧品・トイレタリー等の分野で広く使用される。また、成形性を有するため、例えばオブラート等可食性フィルムとして使用されている。しかしながら従来この可食性フィルムは薄く、強度が小さく、構造材・緩衝材等には使用不可能であった。
天然水溶性多糖類または水溶性蛋白質の中でも、例えば海草中の成分であるアルギン酸は、船舶の航行に障害となる海草から採取することができる。また、食糧問題に影響しない不要な物質を原料として用い得るため、コストを最小限に抑制できる可能性がある。この物質は、水溶性であるという特性を有しており、環境負荷の低減された将来の樹脂材料として有望であり、アルギン酸を用いて生分解性ポリマーを作製することも試みられている(特許文献2参照)。こうした生分解性ポリマーは、アルギン酸またはその金属塩に発泡剤、可塑剤、および架橋剤等を混合し、保水性を有する材料である。しかしながらこの材料は表面が堅く、圧縮性能がなく、緩衝材・構造材として使用するには適さない。そこで我々は、このような用途に用いるために鋭意研究を重ねた結果、緩衝材・構造材として使用可能な発泡材料を得ることに成功している(特許文献3参照)。しかしながらこれらは耐熱性に問題があり、高温処理後には柔軟性を発現できなくなるという問題があった。
特開2001−279018号公報
特開平8−337674号公報
特開2005−166971号公報
本発明は、その使用、再利用、および廃棄処分において環境負荷を最小限に抑制し、
60℃程度までの温度領域において、優れた柔軟性および復元力を有するとともに、水溶解性を備えた発泡体に関する技術を開発することを目的とするものである。
60℃程度までの温度領域において、優れた柔軟性および復元力を有するとともに、水溶解性を備えた発泡体に関する技術を開発することを目的とするものである。
第1の本発明は、水溶性高分子で形成された多孔質体であって、該多孔質体を構成する気孔が、気泡の破壊により連通している気孔であることを特徴とする発泡体である。
前記気孔の最小径(a)と最大径(b)の比(b/a)が3以上である気孔が、前記発泡体の全気孔体積の80%以上を占めることを特徴とする請求項1に記載の発泡体。
前記気孔の最小径(a)が、0.10mm以上0.35mm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の発泡体。
前記水溶性高分子が、アルギン酸エステル類であることを特徴とする請求項1に記載の発泡体。
第2の本発明は、水溶性高分子からなる樹脂の水溶液を発泡して発泡組成物を得る工程と、
前記発泡組成物を凍結させ発泡凍結物を得る工程と、
前記発泡凍結物を乾燥する工程とを具備することを特徴とする発泡体の製造方法である。
前記発泡組成物を凍結させ発泡凍結物を得る工程と、
前記発泡凍結物を乾燥する工程とを具備することを特徴とする発泡体の製造方法である。
第3の本発明は、水溶性高分子で形成された発泡体を水に溶解して水溶性高分子の水溶物を得る工程と、
前記水溶物を発泡して発泡組成物を得る工程と、
前記発泡組成物を凍結させ発泡凍結物を得る工程と、
前記発泡凍結物を乾燥させ発泡体を形成する工程とを具備することを特徴とする発泡体の再生方法。
前記水溶物を発泡して発泡組成物を得る工程と、
前記発泡組成物を凍結させ発泡凍結物を得る工程と、
前記発泡凍結物を乾燥させ発泡体を形成する工程とを具備することを特徴とする発泡体の再生方法。
本発明によれば、環境負荷を最小限に抑制され、室温以上かつ過酷な輸送を考慮した耐熱温度である
60℃程度までの温度領域において、優れた柔軟性および復元力を有するとともに、水溶解性を備えた発泡体を得ることができる。
さらに、この発泡体を簡便な方法により再生することができる。
60℃程度までの温度領域において、優れた柔軟性および復元力を有するとともに、水溶解性を備えた発泡体を得ることができる。
さらに、この発泡体を簡便な方法により再生することができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明者らは、水溶性多糖類または水溶性蛋白質などを含む水溶性高分子由来の発泡体について鋭意研究を重ねた結果、マトリクス樹脂が気泡破壊により連なった層状の気孔をある一定の特徴で有すれば、従来の温度領域よりも広い領域で柔軟性を維持することができることを見いだした。
本発明者らは、水溶性多糖類または水溶性蛋白質などを含む水溶性高分子由来の発泡体について鋭意研究を重ねた結果、マトリクス樹脂が気泡破壊により連なった層状の気孔をある一定の特徴で有すれば、従来の温度領域よりも広い領域で柔軟性を維持することができることを見いだした。
また、水溶性高分子を発泡材料にする場合において、材料の構造を工夫することによって次のような効果を得られることを見出した。すなわち、加熱処理を施しても材料特有の凝固性が発現することなく柔軟な機械的特性を維持することができ、従来にはない柔軟性と復元力が維持できることを見出した。しかも、凝固剤を含有しないため、処理が容易になり、水溶性能が改善される。本発明は、こうした知見に基づいて完成されたものである。
本発明の実施形態にかかる発泡材料組成物は、水溶性高分子を含有するものであり、かかる水溶性高分子を後述の任意の方法にて発泡させることによって、本発明の実施形態にかかる発泡体が得られる。
以下、発泡体の構造、水溶性高分子材料、発泡材料組成物、発泡体の製造方法、発泡体の再生方法について順次説明する。
以下、発泡体の構造、水溶性高分子材料、発泡材料組成物、発泡体の製造方法、発泡体の再生方法について順次説明する。
(発泡体の構造)
本実施の形態の発泡体は、発泡体の断面写真である図1に見られるように、発泡体マトリックス樹脂に独立気泡状に形成されている気泡の隔壁が破壊され、連通気孔となっているものである。
本実施の形態の気孔の最小径は、0.10mm以上0.35mm以下であり、各気孔は最小径(a)と最大径(b)の比(b/a)が、3以上であり、扁平状となっている。また、この扁平状の気孔の容積が、気孔全体の容積の80%以上を占めていることが好ましい。
気孔の最小径が上記範囲を下回った場合、剛性が高くなり、柔軟性が低下し、好ましくない。一方、気孔の最小径が上記範囲を上回った場合、粗大気孔が増加するため、剛性が低下して柔軟性が低下する。
また、気孔の最小径と最大径の比が、上記範囲を下回った場合、剛性が高くなり、柔軟性が低下する現象が発現して好ましくない。
扁平状気孔の容積が気孔全体の80%を下回った場合、剛性が高くなり、柔軟性が低下する現象が発現して好ましくない。
本実施の形態の発泡体は、発泡体の断面写真である図1に見られるように、発泡体マトリックス樹脂に独立気泡状に形成されている気泡の隔壁が破壊され、連通気孔となっているものである。
本実施の形態の気孔の最小径は、0.10mm以上0.35mm以下であり、各気孔は最小径(a)と最大径(b)の比(b/a)が、3以上であり、扁平状となっている。また、この扁平状の気孔の容積が、気孔全体の容積の80%以上を占めていることが好ましい。
気孔の最小径が上記範囲を下回った場合、剛性が高くなり、柔軟性が低下し、好ましくない。一方、気孔の最小径が上記範囲を上回った場合、粗大気孔が増加するため、剛性が低下して柔軟性が低下する。
また、気孔の最小径と最大径の比が、上記範囲を下回った場合、剛性が高くなり、柔軟性が低下する現象が発現して好ましくない。
扁平状気孔の容積が気孔全体の80%を下回った場合、剛性が高くなり、柔軟性が低下する現象が発現して好ましくない。
本発明の発泡体の気孔率は、90〜98%の範囲が好ましい。気孔率がこの範囲を下回った場合、発泡体の剛性が高くなり、柔軟性が低下する。一方、気孔率が上記範囲を上回った場合、発泡体の機械的強度が低下し実用的な発泡体成形物を得ることができない。また、発泡体の気孔を形成する隔壁の厚さは、10〜300μmの範囲が好ましい。隔壁厚さがこの範囲を下回った場合、発泡体の機械的強度が低下して実用的な発泡体成形物を得ることができない。一方、隔壁厚さがこの範囲を上回った場合、発泡させた独立気泡を連通気泡に形成することが困難で、柔軟性を有する発泡体を得ることができない。
本実施の形態において、発泡体の気孔は、気孔を形成する隔壁が破壊されているため、厳密には、その気孔の最大径および最小径を測定することは極めて困難である。従って、本実施の形態においては、気泡体の断面を撮影した画像を元に、隔壁が破壊され形成されている気孔の元となっている気泡を想定し、その気泡の径を測定ないし算定することによって得ることができる。
(水溶性高分子材料)
本発泡材料組成物において、水溶性高分子としては、以下のものが挙げられる。すなわち、アルギン酸、ヒアルロン酸、カラゲナン、寒天、キサンタンガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、ガッティガム、ペクチン、キトサン、マンナン、セルロース、デキストリン、グリコーゲン、澱粉、アミロース、アミロペクチン、にかわ、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルプルラン;およびこれらの金属塩、またはこれらの生理学的に許容される人工的な誘導体;およびカルボキシルメチルキチンなどのキチン誘導体;ゼラチン、アルブミン、プロタミン、レシチン、カゼイン、卵白蛋白質、卵黄蛋白質、米蛋白質、小麦蛋白質、大豆蛋白質;およびこれらの金属塩、またはこれらの生理学的に許容される人工的な誘導体;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の合成水溶性高分子物質;およびこれらの金属塩、またはこれらの生理学的に許容される人工的な誘導体などである。
本発泡材料組成物において、水溶性高分子としては、以下のものが挙げられる。すなわち、アルギン酸、ヒアルロン酸、カラゲナン、寒天、キサンタンガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、ガッティガム、ペクチン、キトサン、マンナン、セルロース、デキストリン、グリコーゲン、澱粉、アミロース、アミロペクチン、にかわ、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルプルラン;およびこれらの金属塩、またはこれらの生理学的に許容される人工的な誘導体;およびカルボキシルメチルキチンなどのキチン誘導体;ゼラチン、アルブミン、プロタミン、レシチン、カゼイン、卵白蛋白質、卵黄蛋白質、米蛋白質、小麦蛋白質、大豆蛋白質;およびこれらの金属塩、またはこれらの生理学的に許容される人工的な誘導体;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の合成水溶性高分子物質;およびこれらの金属塩、またはこれらの生理学的に許容される人工的な誘導体などである。
水溶性高分子の重合平均分子量は、その種類に応じて適宜決定することができる。例えば、アルギン酸類であれば、重量平均分子量は70,000〜100,000程度が好ましい。この場合の重合度は、299〜427程度に相当する。また、ヒアルロン酸類であれば、重量平均分子量は100,000〜150,000程度が好ましく、この場合の重合度は、220〜331程度に相当する。さらに澱粉類であれば100,000〜1,000,000程度が好ましく、この場合の重合度は、617〜6,173程度に相当する。一般的に、水溶性多糖類または水溶性蛋白質の重量平均分子量が増加すると、粘性が増加し溶解が困難となると同時に、発泡体の柔軟性が失われる傾向にある。このため、重量平均分子量の上限は、1,000,000程度に留めることが好ましい。
本発明においては、これらの水溶性高分子は、単独で、もしくは二種以上の材料を混合して用いることができる。これによって、発泡体の機械的特性、発泡倍率等の特性を改善することができる。
二種以上の高分子材料を混合して用いる場合には、見かけ密度すなわちフィルム状に成形した場合の密度が異なるものを混合することが好ましい。その理由は、高分子材料の水溶性、線形性、ゲル化性能等により発泡材料にした場合の発現する性質が異なるため、各高分子材料の短所を補完するような形で、二種以上の高分子材料を混合することにより、機械的特性、発泡倍率、水溶性能等の特性を改善することができるからである。
二種以上の高分子材料を混合して用いる場合には、見かけ密度すなわちフィルム状に成形した場合の密度が異なるものを混合することが好ましい。その理由は、高分子材料の水溶性、線形性、ゲル化性能等により発泡材料にした場合の発現する性質が異なるため、各高分子材料の短所を補完するような形で、二種以上の高分子材料を混合することにより、機械的特性、発泡倍率、水溶性能等の特性を改善することができるからである。
(発泡材料組成物)
上述したような水溶性高分子は、発泡剤、可塑剤とともに水に溶解して、本発明の実施形態にかかる発泡材料組成物が得られる。
上述したような水溶性高分子は、発泡剤、可塑剤とともに水に溶解して、本発明の実施形態にかかる発泡材料組成物が得られる。
なお本発明の実施形態にかかる発泡材料組成物には、生成した気泡を安定化するために、発泡剤を添加することができる。発泡剤としては界面活性剤等を用いることができ、特にイオン系界面活性剤あるいは非イオン系界面活性剤が挙げられる。イオン系界面活性剤は、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、αオレフィンスルホン酸塩、スルホアルキルアミド、モノカルボキシ−ココ−イミダゾリン化合物、ジカルボキシ−ココ−イミダゾリン化合物、および硫酸化脂肪族ポリオキシエチレン第4窒素化合物から選ぶことができる。一方、非イオン系界面活性剤は、例えば、オクチルフェノールエトキシレート、修飾直鎖脂肪族ポリエーテル類、およびソルビタンエステル類から選ぶことができる。発泡剤は、水溶性・安全性・生分解性等を勘案して適宜選択すればよいが、これらに限定されるものではない。
発泡剤の添加量は、通常、発泡材料組成物100重量%に対して1〜10重量%程度である。添加量が1重量%未満の場合には、発泡剤の効果を十分に得ることが困難となる。一方、10重量%を越えると、発泡体の機械特性や環境調和性が損なわれるおそれがある。
また本発明の実施形態にかかる発泡材料組成物には、成形した発泡体の機械的特性を最適なものに調整するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、例えば、グリセロール、グルコース、多価アルコール、トリエタノールアミン、ステアリン酸塩、ジグリセリン、トリグリセリン、ぺンタグリセリン、デカグリセリンから選ぶことができる。可塑剤は、水溶性・安全性・生分解性等を勘案して適宜選択すればよいが、これらに限定されるものではない。可塑剤は、発泡後の発泡体に柔軟性を与え、かつ発泡体製造時の送風乾燥の際に収縮を低減する作用を有する。
可塑剤の含有量は、通常、発泡材料組成物100重量%に対して20〜40重量%程度である。20重量%未満の場合には、可塑剤の効果を十分に得ることが困難となる。一方、40重量%を越えると、発泡体のもつ機械特性や環境調和性が損なわれるおそれがある。
本発明の発泡材料組成物には、必要に応じて、オリゴマーあるいはポリマーのフォーム改質剤を含有させてもよい。フォーム改質剤を含有することによって、発泡材料の柔軟性や靱性を改善するため用いることができる。フォーム改質剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキサゾリン、およびポリエチレンイミンなどが挙げられる。こうしたフォーム改質剤を用いる場合には、発泡材料組成物100重量%に対して1重量%程度の割合で配合すれば、その効果を得ることができる。ただし、フォーム改質剤が過剰に含有された場合には、発泡体のもつ機械特性や環境調和性が損なわれるといった不都合が生じるおそれがあるので、その配合量は、発泡材料組成物100重量%に対して3重量%程度に留めることが望まれる。
本発明の実施形態にかかる発泡材料組成物には、必要に応じて熱に対する安定性を高める意味合いでフォーム安定剤を配合してもよい。フォーム安定剤は、例えば、ステアリン酸アンモニウム、ドデシルアルコール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、トリデシルオキシポリエタノール、およびポリオキシエチル化オレイルアミンから選ぶことができる。その配合量は、特に限定されないが、通常発泡材料組成物100重量%に対して1重量%程度であれば、十分な効果を発揮することができる。ただし、過剰に配合された場合には、発泡体のもつ機械特性や環境調和性が損なわれるおそれがあるので、配合量の上限は3重量%程度に留めることが望まれる。
(発泡材料組成物の粘度)
発泡材料組成物の粘度は、1.0×101(Pa・s)以上1.5×107(Pa・s)以下であることが好ましい。本発明の実施形態にかかる発泡材料組成物は水に溶解して調製されるが、粘性が低いと発泡状態の膜が破泡してしまうため、発泡材料組成物の粘度は1.0×101(Pa・s)以上とすることが好ましい。一方、発泡材料の発泡倍率と良好な柔軟性を維持するために、本発明の実施形態にかかる発泡材料組成物の粘度の上限は1.5×107(Pa・s)が好ましい。
本実施の形態において、発泡材料組成物の粘度は、水溶性高分子の種類、重合度、重量平均分子量、および含有量によって決定される。したがって、この粘度範囲が得られるように、水溶性高分子の種類等に応じて含有量を調整すればよい。発泡材料の発泡の状態を良好に保つためには、水溶液粘度を制御することが好ましい。特に材料的な脆さが少なく、加工しやすく、ポリマーの耐久性が大きいことなどを考慮すると、粘度はこの範囲にあることが望まれる。本実施の形態の発泡体を緩衝材として使用する場合には、良好な機械的特性を発現することが求められ、発泡材料組成物の粘度は、1.8×102(Pa・s)以上6.0×104(Pa・s)以下であることが好ましい。
発泡材料組成物の粘度は、1.0×101(Pa・s)以上1.5×107(Pa・s)以下であることが好ましい。本発明の実施形態にかかる発泡材料組成物は水に溶解して調製されるが、粘性が低いと発泡状態の膜が破泡してしまうため、発泡材料組成物の粘度は1.0×101(Pa・s)以上とすることが好ましい。一方、発泡材料の発泡倍率と良好な柔軟性を維持するために、本発明の実施形態にかかる発泡材料組成物の粘度の上限は1.5×107(Pa・s)が好ましい。
本実施の形態において、発泡材料組成物の粘度は、水溶性高分子の種類、重合度、重量平均分子量、および含有量によって決定される。したがって、この粘度範囲が得られるように、水溶性高分子の種類等に応じて含有量を調整すればよい。発泡材料の発泡の状態を良好に保つためには、水溶液粘度を制御することが好ましい。特に材料的な脆さが少なく、加工しやすく、ポリマーの耐久性が大きいことなどを考慮すると、粘度はこの範囲にあることが望まれる。本実施の形態の発泡体を緩衝材として使用する場合には、良好な機械的特性を発現することが求められ、発泡材料組成物の粘度は、1.8×102(Pa・s)以上6.0×104(Pa・s)以下であることが好ましい。
(発泡体の製造)
上述したような水溶性高分子、発泡剤、および可塑剤を水に溶解して所定粘度の水溶液として、本実施の形態にかかる発泡材料組成物を得る。この発泡材料組成物を用いて、以下の方法により本実施の形態にかかる発泡体を作製することができる。
上述したような水溶性高分子、発泡剤、および可塑剤を水に溶解して所定粘度の水溶液として、本実施の形態にかかる発泡材料組成物を得る。この発泡材料組成物を用いて、以下の方法により本実施の形態にかかる発泡体を作製することができる。
発泡体の作製に当たっては、まず、発泡材料組成物を機械的に攪拌することによって発泡材料を泡立てする。機械的攪拌は、例えばプレッシャーミキサー、連続高圧発泡ミキサー、台所用ミキサー、ビーター、ホモジナイザーによって行なうことができる。この泡立ての時間によって、得られる発泡材料の気泡径を制御することができる。発泡体の気孔径は、通常5〜2000μmの範囲内であり、50〜500μmの範囲内に制御されることが好ましい。径が5μm未満の小さな気泡は、作製することが極めて困難である。一方、2000μmを越えて大きな径を有する気泡が存在すると、発泡状態の維持が困難となる、または発泡体の柔軟性が失われるといった不都合が生じるおそれがある。なお、発泡材料組成物を泡立てする際、水溶液の粘度が材料の発泡の状態、性質等に大きく影響を及ぼすため、これを制御する必要がある。こうした理由から、発泡材料組成物の粘度は、上述したように1.0×101(Pa・s)以上1.5×107(Pa・s)以下であることが好ましい。
発泡材料組成物を泡立てすることによって、湿潤状態の発泡材料が形成される。例えば、これを所望の型内に注型し、流延して発泡材料のフィルム状ないし板状体を成形する。この厚さは、約1mm以下から約50mm以上の厚さに、用途に応じて任意に選択することができる。厚い板状体の場合は、内部に“気泡破壊”の層を有することもできる。“気泡破壊”とは、せん断力や切断などの外的要因により破泡し、気泡が肥大化または一部欠落する現象をさす。発泡体の表面に存在する気泡は、著しく気泡破壊されずに、新たに製造された気泡と同様な外観であり、またほぼ等しい気泡径および気泡径分布を有する。図1に見られるように好ましくは、発泡体は連通気泡を介して、マトリクスとなる水溶性樹脂が層構造になっているものがよい。発泡体の気孔として、独立気泡が大部分を占めると、気孔の隔壁が厚くなったり、組成むらがでたりするため加熱時の柔軟性が低下して好ましくない。
注型後には、送風乾燥・凍結乾燥等の乾燥処理を施して水分を含有率10%以下まで除去することによって、目的の微細気泡構造を有する発泡体が作製される。乾燥処理は、室温(25℃)にて2日間程度、または水の融点以下の温度かつ真空に近い圧力で1日程度行なうことが望まれる。十分に乾燥処理が行なわれなかった場合には、使用中の水分蒸発または流出により、水分に弱い物質に影響を及ぼすといった不都合が生じるおそれがある。また、発泡材料の特性を損なわず、良好な成形性を保つ観点から、10℃付近にて10Pa以下で乾燥を行うことが特に好ましいがこの方法に限定されない。常温対流乾燥などは、例えば、密閉空間内に送風を行うことが可能な装置(卓上換気装置、局所排気装置)によって達成することができる。
所定の条件下で乾燥処理を施すことによって、本発明の実施形態にかかる発泡体が作製される。すなわち、水溶性高分子と、発泡剤と、可塑剤とによってマトリックスが構成され、このマトリックス中には、発泡剤の作用により所定のサイズで形成された気泡が分散される。得られた発泡体がシート状の場合には、そのまま用いることによって、電子機器等、予め水や湿度に触れる可能性の少ない部分に適用することができる。あるいは、本発明の実施形態にかかるシート状の発泡材料は、複数枚を重ねて使用してもよい。この場合には、少なくとも2層のシートは、互いに積層し機械的あるいは化学的に接着する。具体的には2液混合エポキシ系、ゴム系、シアノアクリレート系、酢酸ビニール樹脂エマルジョン、澱粉糊などの接着剤を使用したり、ホットメルト接着剤を塗工した樹脂フィルム、ポリイミド系接着フィルム、エチレン・アクリル酸系共重合体接着フィルムなどのフィルムを間に挟むことによって重ね合わせて複合構造を形成する。こうした材料は、例えば、シートを単独でまたは積層して耐水性のポリ袋などに収容し、電子機器等の予め水や湿度に触れる可能性の少ない部分に適用することが可能である。
(成形体、用途)
本発明の実施形態にかかる発泡体は、緩衝材として優れた性質を持っており、医療系材料、細胞培養用固定化培地、工業用・農業用・食品用の包装用資材(例えば食品トレーなど)の原料として用いることができる。さらには、その他シートなど任意の形状で、包装用容器(ワンウェイ容器)、玩具、シート、家具部品、建材や自動車、家電製品、OA機器の部材、内装材、およびハウジングなどに有効利用ができるものと期待される。
本発明の実施形態にかかる発泡体は、緩衝材として優れた性質を持っており、医療系材料、細胞培養用固定化培地、工業用・農業用・食品用の包装用資材(例えば食品トレーなど)の原料として用いることができる。さらには、その他シートなど任意の形状で、包装用容器(ワンウェイ容器)、玩具、シート、家具部品、建材や自動車、家電製品、OA機器の部材、内装材、およびハウジングなどに有効利用ができるものと期待される。
本発明の実施形態にかかる発泡体は、板状体のみならず、造形品として注型することもできる。なお、造形品とは、人が創造した、デザイン、工芸などの作品、商品などをさす。この場合には、例えば、プレス型、プラスチック用射出成形の型、プラスチック用ブロー成形の型のような型が用いられる。こうした型を用いて発泡材料組成物を注型することによって、造形品を成形することができる。
(発泡体の評価)
作製された発泡体について60℃で6時間まで加熱し、直径2cm、長さ10cmのフッ素樹脂(テフロン(商標登録))棒を用いて材料に荷重をかけ柔軟性を評価した。
また、発泡体の評価として、水溶性の評価を行っているが、本実施の形態においては、一定量の発泡体をその20倍量の室温の水に浸漬し、完全に溶解するまでの時間が60分以内であれば、十分な水溶性を有していると判断することができる。
作製された発泡体について60℃で6時間まで加熱し、直径2cm、長さ10cmのフッ素樹脂(テフロン(商標登録))棒を用いて材料に荷重をかけ柔軟性を評価した。
また、発泡体の評価として、水溶性の評価を行っているが、本実施の形態においては、一定量の発泡体をその20倍量の室温の水に浸漬し、完全に溶解するまでの時間が60分以内であれば、十分な水溶性を有していると判断することができる。
(発泡体の再生)
本発明の発泡体を、緩衝材または構造材として使用されることによって、発泡体は圧縮されて、緩衝材としての機能が低下することがある。こうした場合には、本発明の実施形態にかかる方法によって発泡体を再生することができる。本発明の実施形態にかかる発泡体は、水溶性多糖類または水溶性蛋白質を含有しているので、使用後に容易に処理することができる。すなわち、発泡体を水に溶解して水溶物を得る工程と、前記水溶物を発泡させる工程と、前記水溶物から前記水を除去して再生発泡材料を成形する工程とを具備する方法によって、本発明の実施形態にかかる発泡材料を再生することが可能である。
本発明の発泡体を、緩衝材または構造材として使用されることによって、発泡体は圧縮されて、緩衝材としての機能が低下することがある。こうした場合には、本発明の実施形態にかかる方法によって発泡体を再生することができる。本発明の実施形態にかかる発泡体は、水溶性多糖類または水溶性蛋白質を含有しているので、使用後に容易に処理することができる。すなわち、発泡体を水に溶解して水溶物を得る工程と、前記水溶物を発泡させる工程と、前記水溶物から前記水を除去して再生発泡材料を成形する工程とを具備する方法によって、本発明の実施形態にかかる発泡材料を再生することが可能である。
基本的には、水に発泡材料を加え、フッ素樹脂(テフロン(商標登録))製などの撹拌翼が付随した撹拌装置等を用いて攪拌することによって溶解して水溶物を得ることができる。発泡体を水に溶解するに当たっては、得られる水溶物の粘度が所定の範囲内となるように、水量を調整することが望まれる。具体的には、発泡体を溶解してなる水溶物の粘度は、1.0×101(Pa・s)以上1.5×107(Pa・s)以下であることが好ましい。すでに説明したように、発泡体の水溶物を泡立てする際には、この水溶物の粘度が得られる発泡体の発泡の状態、性質等に大きく影響を及ぼすため、これを事前に制御する必要がある。発泡体の濃度によらず、数分から1時間で容易に溶解することができ、再生する場合に溶解に手間がかかることもない。発泡体の溶解に当たっては、例えば加熱機能つき撹拌装置(ホットスターラー)等を用いて60℃程度まで昇温させてもよい。これによって、発泡体の溶解を促進することが可能となる。ただし、過剰に高温に加熱した場合には、発泡体に含まれる水溶性多糖類または水溶性蛋白質の分子量低下が起こり、発泡体の機械的特性全般が低下するおそれがある。これを避けるため、加熱温度の上限は80℃程度とすることが望まれる。
発泡体を水に溶解させることによって、運搬の際に従来の発泡体よりも大量に運ぶことが可能となり、発泡体の再生や処理に有利となる。従来の発泡体は、運搬の際、車両の最大積載量に対して15重量%程度しか運ぶことができない。これに対して、本発明の実施形態にかかる発泡体では、ほとんどの水溶性多糖類または水溶性蛋白質において、15重量%以上で溶解することができる。また、水溶物の粘度を1.0×101(Pa・s)以上1.5×107(Pa・s)以下に制御することによって、発泡して再生することが可能である。運搬の際に粘度を所定の範囲に制御できなかった場合は、発泡直前にバージン材を混合すればよい。あるいは、水を混合して粘度を調整することによって、良好な発泡材料を再生することができる。
発泡材料を溶解して所定粘度の水溶物を得、これを用いて上述したような手法にしたがって再生発泡体を作製することができる。すなわち、まず、水溶物を泡立てすることによって発泡体の湿潤状態を形成する。この際の気泡径は、上述の同様の理由から、5〜2000μmの範囲内に制御することが望まれる。
これを所望の型内に流延して、所定の厚さの板状体あるいは造形品を成形する。注型後には、室温または融点以下の温度で送風乾燥・凍結乾燥等の乾燥処理を施して、水分を除去することによって、目的の微細気泡構造を有する再生発泡体が得られる。
所定の条件下で乾燥処理を施すことによって、水溶性高分子と、発泡剤と、可塑剤とを含むマトリックス、および、前記マトリックス中に分散され、前記発泡剤により形成された気泡を含有する再生発泡体が作製される。本発明の実施形態にかかる方法により再生された発泡体は、使用前の発泡体(バージン材)と比較して、その特性は何等遜色ない。このため、バージン材と同様の種々の用途に用いることができる。すなわち、再生された発泡体がシート状の場合には、そのまま用いることによって、電子機器等、予め水や湿度に触れる可能性の少ない部分に適用することができる。あるいは、再生されたシート状の発泡材料は、複数枚を重ねて使用してもよい。この場合には、少なくとも2層のシートは、互いに積層し機械的あるいは化学的に接着する。具体的には接着剤を使用したり、フィルムを間に挟むことにより重ね合わせて複合構造を形成する。こうした材料は、例えば、シートを単独でまたは積層して耐水性のポリ袋などに収容し、電子機器等の予め水や湿度に触れる可能性の少ない部分に適用することができる。
上述したように、本発明の実施形態にかかる発泡材料は、特定の水溶性多糖類または水溶性蛋白質と発泡剤と可塑剤とを含有する組成物から作製されるので、環境負荷は最小限に低減される。しかも、優れた柔軟力および復元力を備えている。さらに、本発明の実施形態にかかる発泡材料は水溶性であることから、本発明の実施形態にかかる方法によって容易に再生することが可能である。再生後の発泡材料も、バージン材と同様に優れた柔軟力および復元力を備え、緩衝材として再利用が可能となる。
以下、本発明の実施例および比較例を示す。
(実施例1)
まず、水溶性多糖類としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ製キミロイドHV、重量平均分子量Mw:約100,000)を用意し、6重量%の濃度で水に溶解して水溶液を調製した。得られた水溶液200gに、発泡剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.2g、および可塑剤としてグリセリン(ナカライテスク製)5.7gを添加して、実施例1の発泡材料組成物を調製した。この発泡材料組成物を台所用ミキサーで撹拌して、発泡材料の湿潤状態を形成した。この発泡材料組成物を直径10cm程度のディスポカップに入れ−43℃で14時間予備凍結を行った。その後カッター等で厚み1cm程度の円柱状にカットし、乾燥温度10℃、圧力10Pa以下にて30時間乾燥を行って発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.086g/cm3、発泡倍率は約10.6倍であった。作製された発泡体について断面写真を撮影した。この写真を図1に示す。
まず、水溶性多糖類としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ製キミロイドHV、重量平均分子量Mw:約100,000)を用意し、6重量%の濃度で水に溶解して水溶液を調製した。得られた水溶液200gに、発泡剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.2g、および可塑剤としてグリセリン(ナカライテスク製)5.7gを添加して、実施例1の発泡材料組成物を調製した。この発泡材料組成物を台所用ミキサーで撹拌して、発泡材料の湿潤状態を形成した。この発泡材料組成物を直径10cm程度のディスポカップに入れ−43℃で14時間予備凍結を行った。その後カッター等で厚み1cm程度の円柱状にカットし、乾燥温度10℃、圧力10Pa以下にて30時間乾燥を行って発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.086g/cm3、発泡倍率は約10.6倍であった。作製された発泡体について断面写真を撮影した。この写真を図1に示す。
また、発泡体を5重量%の濃度で含む水溶液を調製し、発泡体が完全に溶解するまでの時間(水溶時間)を測定した。本実施例においては、発泡体は10分で完全に溶解した。水溶時間が60分以内であれば、発泡体は十分な水溶性を有しているといえる。
さらに、作製された発泡体について、3cm四方のサンプルを高さ3cmに積層し、60℃、湿度10%以下、で6時間加熱し、直径2cm、長さ10cmのフッ素樹脂(テフロン(商標登録))棒を用いて、試験荷重0.112kgf/cm2となるように材料に荷重をかけ柔軟性を評価した。評価指標は、◎:圧縮歪み10〜30%、完全回復まで0〜10秒、○:圧縮歪み10〜30%、完全回復まで10〜30秒、△:圧縮歪み5〜10%、×:圧縮歪み0〜5%とした。その結果を、表1に示す。
表の結果から明らかなように、本実施例の発泡体は、加熱後も十分な柔軟性を維持しており、柔軟性が良好と判断した。
さらに、作製された発泡体について、3cm四方のサンプルを高さ3cmに積層し、60℃、湿度10%以下、で6時間加熱し、直径2cm、長さ10cmのフッ素樹脂(テフロン(商標登録))棒を用いて、試験荷重0.112kgf/cm2となるように材料に荷重をかけ柔軟性を評価した。評価指標は、◎:圧縮歪み10〜30%、完全回復まで0〜10秒、○:圧縮歪み10〜30%、完全回復まで10〜30秒、△:圧縮歪み5〜10%、×:圧縮歪み0〜5%とした。その結果を、表1に示す。
表の結果から明らかなように、本実施例の発泡体は、加熱後も十分な柔軟性を維持しており、柔軟性が良好と判断した。
(実施例2)
グリセリンを1.5g入れた以外は、実施例1と同様の手法で実施例2の発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.059g/cm3、発泡倍率は約15.6倍であった。
また、発泡体を5重量%の濃度で含む水溶液を調製し、発泡体が完全に溶解するまでの時間(水溶時間)を測定した。本実施例においては、発泡体は10分で完全に溶解しており、十分な水溶性を有していることがわかった。
グリセリンを1.5g入れた以外は、実施例1と同様の手法で実施例2の発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.059g/cm3、発泡倍率は約15.6倍であった。
また、発泡体を5重量%の濃度で含む水溶液を調製し、発泡体が完全に溶解するまでの時間(水溶時間)を測定した。本実施例においては、発泡体は10分で完全に溶解しており、十分な水溶性を有していることがわかった。
さらに、作製された発泡体について実施例1と同様にして柔軟性を評価した。その結果を、表1に示す。本実施例の発泡体は、加熱後も十分な柔軟性を維持しており、柔軟性が良好と判断した。
(実施例3)
まず、水溶性多糖類としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ製キミロイドHV、重量平均分子量Mw:約100,000)を用意し、6重量%の濃度で水に溶解して水溶性多糖類の水溶液を調製した。また第二の水溶性多糖類としてアルファ化澱粉(日本食品化工製ワキシーアルファーD−6)を用意し、30重量%の濃度で水に溶解して水溶液を調製した。各水溶液をアルギン酸プロピレングリコールエステルとアルファ化澱粉の重量比が3:1となるように混合して得られた混合溶液160gに、発泡剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.2g、および可塑剤としてグリセリン(ナカライテスク製)5.7gを添加して、本実施例の発泡材料組成物を調製した。この発泡材料組成物を台所用ミキサーで撹拌して、発泡材料の湿潤状態を形成した。この発泡材料組成物を直径10cm程度のディスポカップに入れ−43℃で14時間予備凍結を行った。その後カッター等で厚み1cm程度の円柱状にカットし、乾燥温度10℃、圧力10Pa以下にて30時間乾燥を行って発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.079g/cm3、発泡倍率は約11.6倍であった。
まず、水溶性多糖類としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ製キミロイドHV、重量平均分子量Mw:約100,000)を用意し、6重量%の濃度で水に溶解して水溶性多糖類の水溶液を調製した。また第二の水溶性多糖類としてアルファ化澱粉(日本食品化工製ワキシーアルファーD−6)を用意し、30重量%の濃度で水に溶解して水溶液を調製した。各水溶液をアルギン酸プロピレングリコールエステルとアルファ化澱粉の重量比が3:1となるように混合して得られた混合溶液160gに、発泡剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.2g、および可塑剤としてグリセリン(ナカライテスク製)5.7gを添加して、本実施例の発泡材料組成物を調製した。この発泡材料組成物を台所用ミキサーで撹拌して、発泡材料の湿潤状態を形成した。この発泡材料組成物を直径10cm程度のディスポカップに入れ−43℃で14時間予備凍結を行った。その後カッター等で厚み1cm程度の円柱状にカットし、乾燥温度10℃、圧力10Pa以下にて30時間乾燥を行って発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.079g/cm3、発泡倍率は約11.6倍であった。
また、この発泡体を5重量%の濃度で含む水溶液を調製し、発泡体が完全に溶解するまでの時間(水溶時間)を測定した。本実施例においては、発泡体は10分で完全に溶解し、十分な水溶性を有していることがわかった。
さらに、作製された発泡体について実施例1と同様にして柔軟性を評価した。その結果を、表1に示す。本実施例の発泡体は、加熱後も十分な柔軟性を維持しており、柔軟性が良好と判断した。
(実施例4)
まず、水溶性多糖類としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ製キミロイドHV、重量平均分子量Mw:約100,000)を用意し、6重量%の濃度で水に溶解して水溶性多糖類の水溶液を調製した。また第二の水溶性多糖類としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(ナカライテスク製)を用意し、5重量%の濃度で水に溶解して水溶液を調製した。各水溶液をアルギン酸プロピレングリコールエステルとカルボキシメチルセルロースナトリウムの重量比が3:1となるように混合して得られた混合溶液210gに、発泡剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.2g、および可塑剤としてグリセリン(ナカライテスク製)5.7gを添加した以外は、実施例1と同様の処方で発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.063g/cm3、発泡倍率は約14.6倍であった。
まず、水溶性多糖類としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ製キミロイドHV、重量平均分子量Mw:約100,000)を用意し、6重量%の濃度で水に溶解して水溶性多糖類の水溶液を調製した。また第二の水溶性多糖類としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(ナカライテスク製)を用意し、5重量%の濃度で水に溶解して水溶液を調製した。各水溶液をアルギン酸プロピレングリコールエステルとカルボキシメチルセルロースナトリウムの重量比が3:1となるように混合して得られた混合溶液210gに、発泡剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.2g、および可塑剤としてグリセリン(ナカライテスク製)5.7gを添加した以外は、実施例1と同様の処方で発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.063g/cm3、発泡倍率は約14.6倍であった。
また、この発泡体を5重量%の濃度で含む水溶液を調製し、発泡体が完全に溶解するまでの時間(水溶時間)を測定した。本実施例においては、発泡体は10分で完全に溶解し、十分な水溶性を有していることがわかった。
さらに、作製された発泡体について実施例1と同様にして柔軟性を評価した。その結果を、表1に示す。本実施例の発泡体は、加熱後も十分な柔軟性を維持しており、柔軟性が良好と判断した。
(実施例5)
まず、水溶性多糖類としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ製キミロイドHV、重量平均分子量Mw:約100,000、フィルムの見かけ密度0.92g/cm3)を用意し、6重量%の濃度で水に溶解して水溶性多糖類の水溶液を調製した。また第二の水溶性多糖類としてゼラチン(ナカライテスク製)を用意し、10重量%の濃度で水に溶解して水溶液を調製した。各水溶液をアルギン酸プロピレングリコールエステルとゼラチンの重量比が11:1となるように混合して得られた混合溶液193.3gに、発泡剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.2g、および可塑剤としてグリセリン(ナカライテスク製)5.7gを添加した以外は、実施例1と同様の処方で発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.055g/cm3、発泡倍率は約16.7倍であった。
まず、水溶性多糖類としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ製キミロイドHV、重量平均分子量Mw:約100,000、フィルムの見かけ密度0.92g/cm3)を用意し、6重量%の濃度で水に溶解して水溶性多糖類の水溶液を調製した。また第二の水溶性多糖類としてゼラチン(ナカライテスク製)を用意し、10重量%の濃度で水に溶解して水溶液を調製した。各水溶液をアルギン酸プロピレングリコールエステルとゼラチンの重量比が11:1となるように混合して得られた混合溶液193.3gに、発泡剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.2g、および可塑剤としてグリセリン(ナカライテスク製)5.7gを添加した以外は、実施例1と同様の処方で発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.055g/cm3、発泡倍率は約16.7倍であった。
また、この発泡体を5重量%の濃度で含む水溶液を調製し、発泡体が完全に溶解するまでの時間(水溶時間)を測定した。本実施例においては、発泡材料は8分で完全に溶解し、発泡体は十分な水溶性を有していることがわかった。
さらに、作製された発泡体について実施例1と同様にして柔軟性を評価した。その結果を、表1に示す。本実施例の発泡体は、加熱後も十分な柔軟性を維持しており、柔軟性が良好と判断した。
(実施例6)
まず、水溶性多糖類としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ製キミロイドHV、重量平均分子量Mw:約100,000)を用意し、6重量%の濃度で水に溶解して水溶性多糖類の水溶液を調製した。また第二の水溶性多糖類としてヒドロキシエチルセルロース(ダイセル化学工業製HECダイセルSP600)を用意し、5重量%の濃度で水に溶解して水溶液を調製した。各水溶液をアルギン酸プロピレングリコールエステルとヒドロキシエチルセルロースの重量比が3:1となるように混合して得られた混合溶液210gに、発泡剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.2g、および可塑剤としてグリセリン(ナカライテスク製)5.7gを添加した以外は、実施例1と同様の処方で発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.072g/cm3、発泡倍率は約12.8倍であった。
まず、水溶性多糖類としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ製キミロイドHV、重量平均分子量Mw:約100,000)を用意し、6重量%の濃度で水に溶解して水溶性多糖類の水溶液を調製した。また第二の水溶性多糖類としてヒドロキシエチルセルロース(ダイセル化学工業製HECダイセルSP600)を用意し、5重量%の濃度で水に溶解して水溶液を調製した。各水溶液をアルギン酸プロピレングリコールエステルとヒドロキシエチルセルロースの重量比が3:1となるように混合して得られた混合溶液210gに、発泡剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.2g、および可塑剤としてグリセリン(ナカライテスク製)5.7gを添加した以外は、実施例1と同様の処方で発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.072g/cm3、発泡倍率は約12.8倍であった。
また、この発泡体を5重量%の濃度で含む水溶液を調製し、発泡体が完全に溶解するまでの時間(水溶時間)を測定した。本実施例においては、発泡体は12分で完全に溶解し、発泡体は十分な水溶性を有していることがわかった。
さらに、作製された発泡体について実施例1と同様にして柔軟性を評価した。その結果を、表1に示す。本実施例の発泡体は、加熱後も十分な柔軟性を維持しており、柔軟性が良好と判断した。
(比較例1)
まず、水溶性多糖類としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ製キミロイドHV、重量平均分子量Mw:約100,000)を用意し、6重量%の濃度で水に溶解して水溶液を調製した。得られた水溶液200gに、発泡剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.2g、および可塑剤としてグリセリン(ナカライテスク製)5.7gを添加して、比較例1の発泡材料組成物を調製した。この発泡材料組成物を台所用ミキサーで撹拌して、発泡材料の湿潤状態を形成した。さらに、金属トレイの上に拡げ、2日間常温送風乾燥させて発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.158g/cm3、発泡倍率は約5.8倍であった。作製された発泡体について断面写真を撮影した。この写真を図2に示す。図1の実施例1の断面写真と比較して、気泡が大きく、かつ粗大気泡も見られた。
まず、水溶性多糖類としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ製キミロイドHV、重量平均分子量Mw:約100,000)を用意し、6重量%の濃度で水に溶解して水溶液を調製した。得られた水溶液200gに、発泡剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.2g、および可塑剤としてグリセリン(ナカライテスク製)5.7gを添加して、比較例1の発泡材料組成物を調製した。この発泡材料組成物を台所用ミキサーで撹拌して、発泡材料の湿潤状態を形成した。さらに、金属トレイの上に拡げ、2日間常温送風乾燥させて発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.158g/cm3、発泡倍率は約5.8倍であった。作製された発泡体について断面写真を撮影した。この写真を図2に示す。図1の実施例1の断面写真と比較して、気泡が大きく、かつ粗大気泡も見られた。
また、発泡材料を5重量%の濃度で含む水溶液を調製し、発泡体が完全に溶解するまでの時間(水溶時間)を測定した。本実施例においては、発泡体は25分で完全に溶解したが、本発明の実施例と比較して十分ではなかった。
さらに、作製された発泡体について実施例1と同様にして柔軟性を評価した。その結果を、表1に示す。本比較例の発泡体は、加熱処理をすると硬化してしまったため、本実施例の発泡体に比べ、圧縮特性は良好ではなかった。
(比較例2)
まず、水溶性多糖類または水溶性蛋白質としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ製キミロイドHV、重量平均分子量Mw:約100,000)を用意し、6重量%の濃度で水に溶解して水溶性多糖類の水溶液を調製した。また第二の水溶性多糖類としてアルファ化澱粉(日本食品化工製ワキシーアルファーD−6)を用意し、30重量%の濃度で水に溶解して水溶液を調製した。各水溶液をアルギン酸プロピレングリコールエステルとアルファ化澱粉の重量比が3:1となるように混合して得られた混合溶液160gに、発泡剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.2g、および可塑剤としてグリセリン(ナカライテスク製)5.7gを添加して、本実施例の発泡剤組成物を調製した。この発泡材料組成物を台所用ミキサーで撹拌して、発泡材料の湿潤状態を形成した。さらに、金属トレイの上に拡げ、2日間常温送風乾燥させて発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.228g/cm3、発泡倍率は約4.2倍であった。また、発泡体を5重量%の濃度で含む水溶液を調製し、発泡体が完全に溶解するまでの時間(水溶時間)を測定した。本実施例においては、発泡体は25分で完全に溶解した。発泡体は水溶性を有しているが、本発明の実施例と比較して十分ではなかった。
まず、水溶性多糖類または水溶性蛋白質としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(キミカ製キミロイドHV、重量平均分子量Mw:約100,000)を用意し、6重量%の濃度で水に溶解して水溶性多糖類の水溶液を調製した。また第二の水溶性多糖類としてアルファ化澱粉(日本食品化工製ワキシーアルファーD−6)を用意し、30重量%の濃度で水に溶解して水溶液を調製した。各水溶液をアルギン酸プロピレングリコールエステルとアルファ化澱粉の重量比が3:1となるように混合して得られた混合溶液160gに、発泡剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)1.2g、および可塑剤としてグリセリン(ナカライテスク製)5.7gを添加して、本実施例の発泡剤組成物を調製した。この発泡材料組成物を台所用ミキサーで撹拌して、発泡材料の湿潤状態を形成した。さらに、金属トレイの上に拡げ、2日間常温送風乾燥させて発泡体を作製した。乾燥後の発泡体の見かけ密度は0.228g/cm3、発泡倍率は約4.2倍であった。また、発泡体を5重量%の濃度で含む水溶液を調製し、発泡体が完全に溶解するまでの時間(水溶時間)を測定した。本実施例においては、発泡体は25分で完全に溶解した。発泡体は水溶性を有しているが、本発明の実施例と比較して十分ではなかった。
さらに、作製された発泡体について実施例1と同様にして柔軟性を評価した。その結果を、表1に示す。本比較例の発泡体は、加熱処理をすると硬化してしまったため、本実施例の材料に比べ、圧縮特性は良好ではなかった。
Claims (6)
- 水溶性高分子で形成された多孔質体であって、該多孔質体を構成する気孔が、気泡の破壊により連通している気孔であることを特徴とする発泡体。
- 前記気孔の最小径(a)と最大径(b)の比(b/a)が3以上である気孔が、前記発泡体の全気孔体積の80%以上を占めることを特徴とする請求項1に記載の発泡体。
- 前記気孔の最小径(a)が、0.10mm以上0.35mm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の発泡体。
- 前記水溶性高分子が、アルギン酸エステル類であることを特徴とする請求項1に記載の発泡体。
- 水溶性高分子からなる樹脂の水溶液を発泡して発泡組成物を得る工程と、
前記発泡組成物を凍結させ発泡凍結物を得る工程と、
前記発泡凍結物を乾燥する工程とを具備することを特徴とする発泡体の製造方法。 - 水溶性高分子で形成された発泡体を水に溶解して水溶性高分子の水溶物を得る工程と、
前記水溶物を発泡して発泡組成物を得る工程と、
前記発泡組成物を凍結させ発泡凍結物を得る工程と、
前記発泡凍結物を乾燥させ発泡体を形成する工程とを具備することを特徴とする発泡体の再生方法。
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