JP2007084889A - アルミニウム合金及びその製造方法 - Google Patents

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Atsunao Itou
厚直 伊東
Yasuhiro Shiotani
泰宏 塩谷
Naoyuki Kanetake
直幸 金武
Makoto Kobashi
眞 小橋
Yuji Kume
裕二 久米
Akiji Kanai
章治 金井
Toshinori Takizawa
利憲 滝沢
Masaru Narusawa
大 鳴澤
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【課題】本発明では、結晶粒の微細化によるアルミニウム合金材料の高強度化において生産性に優れたアルミニウム合金の製造方法及びその方法で製造されたアルミニウム合金を提供することを解決すべき課題とする。
【解決手段】5〜30重量%の珪素と、0.1〜10重量%の鉄、銅、マグネシウム及びニッケルから選ばれた少なくとも一種以上の金属とを含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物よりなり、初晶珪素粒、共晶珪素粒及びAl−Si−Fe系金属間化合物粒が組織中に分散したアルミニウム合金であって、該組織は、前記初晶珪素粒、前記共晶珪素粒及び前記Al−Si−Fe系金属間化合物粒の直径が5μm以下となるように、正逆両方のねじりが加えられた圧縮ねじり加工処理組織とされていることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、強度、伸び、靭性等を向上させたアルミニウム合金とその製造方法に関するものである。
従来から、結晶粒の微細化によるアルミニウム合金材料の高強度化は様々な方法で実施されていた。例えば固溶強化熱処理、析出強化熱処理、冷間加工等が挙げられる。その中でも近年アルミニウム合金材料に大歪みを与えて冷間加工する、例えば特許文献1に記載されるせん断押し出し法(ECAP法)、特許文献2に記載される繰り返し重ね接合圧延法(ARB法)等が強度や伸びなどの材料特性を大幅に向上させる方法として注目されてきている。
特許文献1には、ECAP法である、断面積の小さな部分を間に持つ棒状の金型内に金属試料を2方向に交互に複数回通過させて、断面形状を変えることなく金属試料を強歪加工することによって結晶粒を微細化する方法が記載されている。
特許文献2には、繰り返し重ね接合圧延法である、板状金属試料を圧延し折り重ねた後で再度圧延を繰り返すことによって導入される強歪によって結晶粒を微細化する方法が記載されている。
また特許文献3には、冷間加工と熱処理(共晶温度直下に保持した後に急冷する)との組み合わせを繰り返し行うことによって結晶粒を微細化する方法が記載されている。
特許第3367269号公報 特開2001−234239号公報 特許第3005673号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、歪みを連続的に付与することが出来ないため、数十回以上加工を繰り返す必要があり生産性の低さが問題となる。また特許文献2に記載の方法は、板形状の金属試料を重ね合わせて圧延するため、金属試料の形状が板状に制約されるという問題がある。
また特許文献3に記載の方法は、熱処理工程を必須とするため、熱処理時に材料に付与した歪みが開放されてしまい、材料の硬さすなわち強度を大幅に上げることは出来ないという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、結晶粒の微細化によるアルミニウム合金材料の高強度化において、歪みが開放されるような熱処理を必要とせず、金属試料の形状の自由度が高く、加工を繰り返す必要がない生産性に優れたアルミニウム合金の製造方法及びその方法で製造されたアルミニウム合金を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び発明の効果
そこで、本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、ある規定の組成を持つアルミニウム合金を、正逆両方のねじりを与える圧縮ねじり加工処理組織とすることにより、金属結晶粒及び金属間化合物結晶粒が微細分散化され、強度、伸び及び靭性を合わせ持つアルミニウム合金が得られること、またその製造方法は、被加工材をケースに保持し、再結晶温度以下に加熱して、該被加工材を上下パンチで加圧し、加圧した状態で該上下パンチを逆方向に相対回転させ、該被加工材にねじりを加えることによって行うことができることを発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のアルミニウム合金は、5〜30重量%の珪素と、0.1〜10重量%の鉄、銅、マグネシウム及びニッケルから選ばれた少なくとも一種以上の金属とを含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物よりなり、初晶珪素粒、共晶珪素粒及びAl−Si−Fe系金属間化合物粒が組織中に分散したアルミニウム合金であって、
該組織は、前記初晶珪素粒、前記共晶珪素粒及び前記Al−Si−Fe系金属間化合物粒の直径が5μm以下となるように、正逆両方のねじりが加えられた圧縮ねじり加工処理組織とされていることを特徴とする。
圧縮ねじり加工処理組織としたことにより、加工硬化されると共に金属結晶粒が微細化され、伸びが向上し、強度、伸び及び靭性に優れたアルミニウム合金となる。またこのアルミニウム合金は、微細化されたアルミニウム金属中に1〜5μmの硬質金属粒子が均一に分散されている構造となるため、硬質金属粒子がアルミニウム合金表面から突出する突出量が小さくなる。
油中の場合、微細化された硬質金属粒子の突出量が油膜のせん断厚さ以下となり、硬質金属粒子と油膜との間に動圧が発生し流体潤滑状態となり、摩擦係数が低減する。そのため、例えば耐焼付性が向上する。
従って摺動部材等にこのアルミニウム合金を用いると、優れた摺動特性を持つことが期待できる。
また本発明のアルミニウム合金は、前記組織中には、珪素と、鉄と、銅と、マグネシウムと、ニッケルとから選ばれる少なくとも二種以上の元素の金属間化合物粒が分散しており、該金属間化合物粒のうち、前記Al−Si−Fe系金属間化合物粒を除く金属間化合物粒の直径が1μm以下とされていることがより好ましい。
また本発明のアルミニウム合金は、前記組織中のアルミニウム粒の直径が1μm以下とされていることがより好ましい。
前記金属間結晶粒又アルミニウム粒子の直径が1μm以下になることにより更に伸びが向上し、強度、伸び及び靭性が更に優れたアルミニウム合金となる。また油中の場合更に摩擦係数が低減する。
また本発明のアルミニウム合金は、前記圧縮ねじり加工組織は再結晶温度以下で前記組織に正逆両方のねじりを加えられてなるものがより好ましい。
再結晶温度以下で正逆両方のねじりを与えることにより、被加工材により大きな歪みを与えることが出来る。そのため、より簡便に金属結晶粒及び金属間化合物結晶粒が微細化される。
また前記鉄が0.1〜10重量%、前記銅が0.1〜10重量%、前記マグネシウムが0.1〜3重量%、前記ニッケルが0.1〜3重量%含有されていることが好ましく、前記珪素が8〜18重量%、前記鉄が3〜7重量%、前記銅が3〜5重量%、前記マグネシウムが0.5〜1.5重量%、前記ニッケルが0.1〜1.5重量%含有されていることが更に好ましい。
例えば、通常鉄を約1重量%以上含有するAl−Si−Fe系合金では、鉄リッチの金属間化合物(Al3Fe、Al5SiFe等)が形成される。この金属間化合物は、粗大針状結晶を呈し、かつ加工性に乏しく、展伸材及び鍛造材への適用を困難とするものである。またAl−Si−Fe系合金では、粗大な初晶珪素結晶も存在している。
しかし本発明の圧縮ねじり加工処理組織とすることにより、鉄を約1重量%以上いれても、より強度及び伸びが向上するアルミニウム合金を得ることが出来る。
また本発明のアルミニウム合金の製造方法は、鉄、銅、マグネシウム及びニッケルから選ばれた少なくとも一種以上の金属とアルミニウムと珪素とを原料として被加工材を形成する被加工材形成工程と、該被加工材をケースに保持し、該ケース及び該被加工材を該被加工材の再結晶温度以下に加熱し、該被加工材を上下パンチで加圧し、加圧した状態で該上下パンチをそれぞれ逆方向に回転させ、該被加工材にねじりを加え、被加工材に含有される初晶珪素粒、共晶珪素粒及びAl−Si−Fe系金属間化合物粒の直径が5μm以下に、微細分散化される微細分散化加工工程と、を有することを特徴とする。
また本発明のアルミニウム合金の製造方法は、前記被加工材を前記上下パンチで50MPa〜5000MPaで加圧することがより好ましい。
被加工材形成は、上記した原料を所望形状の型に入れ、鋳造、圧粉成形、固化成形等によって行われる。更に、形成された被加工材を所望の形状に切削加工等を行うことができる。
下記ケースの形状によるが、例えば被加工材の形状は、直径が5mm以上150mm以下の円柱形状で高さが5mm以上150mm以下の形状が望ましい。
該被加工材をケースに充填することで、被加工材の形状を変形させずに被加工材の内部のみを塑性変形させることが出来る。そのため被加工材内部により大きな歪みを導入及び蓄積することが出来る。またケースの形状を変えることで様々な形状の被加工材を加工することが出来る。
前記ケースは、耐摩耗性、耐衝撃性、不変形性に優れた材料で作製されることが必要である。例えば該ケースは、SKD11、SKD12等の材料によって作られるのが望ましい。また該ケースは、被加工材との接触部分の表面にCrN、DLC(Diamond Like Carbon)等をコーティングされていてもよい。CrN、DLC等は、耐摩耗性、耐焼付き性に優れ、それらが該ケースの被加工材との接触部分の表面にコーティングされることにより、該ケースは、被加工材との摺動抵抗を大幅に低減できる。
また摺動抵抗を大幅に低減できることによって、該ケースは、該ケース寿命を延ばせるだけでなく、パンチから伝わるエネルギーロスが少なくなることによって被加工材の微細化加工の範囲を拡大させることが出来る。
前記上下パンチは、該ケースと同様に耐摩耗性、耐衝撃性、不変形性に優れた材料で作製されることが必要である。例えば該上下パンチは、該ケース同様、SKD11、SKD12等の材料によって作られるのが望ましい。また該上下パンチは、被加工材との接触部分の表面にCrN、DLC等をコーティングされていてもよい。CrN、DLC等は、耐摩耗性、耐焼付き性に優れ、それらが該上下パンチの被加工材との接触部分の表面にコーティングされることにより、該上下パンチは、該上下パンチ寿命を延ばせるだけでなく、被加工材との凝着を防げる。
また該上下パンチは被加工材との接触部に、スパイク状(楔状)の凹凸が設けられていてもよい。該上下パンチは、被加工材との接触部にスパイク状(楔状)の凹凸が設けられていることにより、該上下パンチと被加工材とが滑ることを防ぎ、該上下パンチからの回転トルクをロスなく被加工材に伝達することが出来る。
該ケース及び該被加工材の加熱は、該被加工材を充填した該ケースを加熱炉内にて加熱しても良いし、該ケースに加熱ヒーターなどを取り付け、該ケースを加熱することによって充填された該被加工材を加熱しても良い。
該ケース及び該被加工材の加熱温度は、被加工材の再結晶温度以下であることが望ましい。例えば加熱温度は、50℃以上200℃以下が望ましい。被加工材を再結晶温度以下で微細分散化加工することにより、被加工材に大きな歪みを与えることが出来る。
このように加熱された該被加工材を、該上下パンチで加圧する。加圧は50MPa〜5000MPaで加圧するのが好ましい。被加工材の材料特性にもよるが、加圧は100MPa〜1000MPaがより好ましい。この範囲内で加圧することにより、被加工材内部にねじりの歪みを効率よく与えることが出来る。
また被加工材は、上下パンチに接している両端から内部に向かってねじり力が与えられるので、被加工材全体に均一な塑性歪みが導入される。
被加工材にねじりによる塑性歪みが導入されることにより、被加工材内の上記した様々な結晶粒が微細分散化加工される。また大きな歪みを与えることが出来るため、被加工材全体に歪みが加わり、アルミニウム自身も均一に微細化された組織とすることができる。
また上記した微細分散化加工は、再結晶温度以下で連続的に加工処理することが出来る。該被加工材は、一つの被加工材に対して、一度の加工で微細分散化加工が終了するので、微細分散化加工は、連続生産性に優れる。
次に、実施例を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
(実施例1)
まず被加工材材料として表1に示す組成のものを鋳造によって作製し、φ40mm、長さ5mmに切削加工したものを準備した。
被加工材材料の圧縮ねじり加工前の組織において、例えばアルミニウムの結晶粒径は20〜30μmで、初晶珪素粒の粒径は20〜40μmであった。
Figure 2007084889
また図1に本発明の一実施形態の圧縮ねじり加工の説明概略図を示す。
図1に示すように、前記切削加工した材料10を円柱状のケース3内の上パンチ1と下パンチ2の間に設置した。ケース3はSKD11製で、被加工材との接触部分表面にCrNがコーティングされたものを用いた。上下パンチ1、2は、SKD11製で、被加工材との接触部分表面にCrNがコーティングされ、被加工材との接触部にスパイク状の凹凸が形成されたものを用いた。
上記状態でケース3、上パンチ1、下パンチ2及び材料10を100℃に加熱、保持した。加熱は、該ケース3内に筒状ヒーターを材料10を取り巻く形に埋め込んで設置し、該ケース3を加熱することによって行った。
図2にヒーターの配置状態の一例を示す説明図を示す。該ケース3内に材料10を取り囲む形に8本の筒状ヒーター4を設置した。材料10は、ケース3を熱することにより、ケース3からの熱伝導によって昇温された。
次に上下パンチ1、2にて130MPaになるように材料10を加圧した状態で、油圧モーターを動力として上パンチ1と下パンチ2をそれぞれ逆方向に回転させ、ねじりを加えた。
このときねじり回数を10回とした。
図3は、断面組織を例示した電子顕微鏡写真である。図3にみられるようにこのように作製した材料組織は初晶珪素、共晶珪素が5μm以下、その他の組成物が1μm以下に均一分散された組織となる。ここで、初晶珪素、共晶珪素は、EPMA(X線マイクロアナライザ)の分析結果より、顕微鏡写真上で判断でき、その径を測定できた。
次に上記材料の特性評価を行った。表2に圧縮ねじり加工後の材料の硬さ測定結果を表す。硬さ測定は、マイクロビッカース硬度計を用いて測定荷重100gで測定した。
Figure 2007084889
表2にみられるように、圧縮ねじり加工後の硬さ144Hvは、加工前の硬さ90Hvを大幅に上回る結果となった。
また圧縮ねじり加工前と加工後の試料1の引張強度と伸びを測定した。測定方法は、以下の方法を用いた。加工前の試料1及び加工後の試料1から、厚み2mm、幅10mm、長さ40mmの板片を切り出した。前記板材を中央部の幅3mm、試験長13mm(ゲージ長10mm)、R:4−R4になるようにダンベル加工を施し、これを試験片とした。上記した2種類の試験片を用い、オートグラフ万能試験機を用い、常温で引っ張り強度、伸びを測定した。試験方法はJIS Z2241に準拠した。
結果を、図4に示す。図4にみられるように、加工前の引張強度に比べ、加工後の引張強度は、強度が一割程度向上した。また伸びに関しては、加工前の伸びに比べ、加工後は3倍以上と大幅に向上していることが確認できた。これは珪素粒子等を再結晶温度以下で微細分散化出来たことによるものと考えられる。
次に、圧縮ねじり加工前と加工後の試料1を用い、焼き付くまでの応力と摩擦係数を測定した。焼き付くまでの応力と摩擦係数は以下の方法で測定した。
加工前試料と加工後試料を外径φ25.6mm、内径φ20mm、高さ17mmの円筒形状に切り出し、試験片とした。試験機は、鈴木式摩擦摩耗試験機を用い、以下の試験条件で測定を行った。
荷重:無負荷で初期なじみ3分後、3分ごとに100Nづつ上昇させ、焼き付き発生又は5kNまで上昇させる。周速:586mm/sec、潤滑状態:エンジンオイル(キャッスルSL 5W−30)、評価項目:焼き付き荷重、動摩擦係数、評価数:各n=1とした。
図5、図6に測定結果を示す。図5は、圧縮ねじり加工を行った試料1の焼き付くまでの応力をX軸に、Y軸に摩擦係数をとったグラフである。図6に圧縮ねじり加工を行っていない試料1の結果を図5と同様に示す。図5、図6にみられるように、圧縮ねじり加工後の試料1の焼き付くまでの応力は、加工前のものより2.5倍程度大きくなっている。また摩擦係数は図5にみられるように応力が高くなるに従い低くなり、圧縮ねじり加工前の試料の結果より安定した摺動特性を示すことがわかる。
これは珪素粒子等が微細、分散化したことによって、油中の場合微細化された金属粒子と油膜との間に動圧が発生し流体潤滑状態となり、摩擦係数が大幅に低減出来たことによって、焼き付きまでの応力が大幅に向上したと考えられる。
(実施例2)
被加工材材料として表3に示す組成のものを鋳造によって作製し、φ15mm、長さ8mmに切削加工したものを準備した。
実施例2は、実施例1に比べ試料に含まれる鉄分の量が多くなっている。通常鉄を0.8重量%以上含有するアルミニウム合金では、鉄リッチの金属間化合物(Al3Fe、Al5SiFe等)が形成される。この金属間化合物は、粗大針状結晶を呈し、かつ塑性加工性に乏しく、展伸材及び鍛造材への適用を困難とするものである。またAl−Si−Fe系合金では、粗大な初晶珪素結晶も存在している。
Figure 2007084889
前記切削加工した材料10を実施例1と同様の方法でねじり加工を行った。ただしケース3,上パンチ1、下パンチ2及び材料10を200℃に加熱、保持した。
図7に試料2〜4にみられた断面組織観察結果の電子顕微鏡写真の一例を示す。これら試料2〜4の断面組織も、初晶珪素、共晶珪素及びAl−Si−Fe系金属間化合物粒の直径が5μm以下で、前記Al−Si−Fe系金属間化合物を除くその他の組成物が1μm以下に均一分散された組織となっていることが観察できた。
また実施例1と同様の方法で、試料2〜4の材料の硬さを測定した。結果を表4に示す。
Figure 2007084889
表4にみられるように、例えば試料3において、圧縮ねじり加工前の硬さが115Hvであったのに対し、加工後の硬さが324Hvと約3倍も大幅に向上していた。これは、断面観察に示されるように均一に微細化された組織と照らしあわせて考えると、強度が大幅に向上していることを示唆するものである。
このように実施例1、実施例2共に圧縮ねじり加工処理を行うことにより、金属又は金属間化合物の結晶粒子を微細分散化出来、硬さ、強度、伸び等に優れた結果が得られた。
本発明の一実施形態の圧縮ねじり加工の説明概略図である。 本発明の一実施形態の圧縮ねじり加工に用いられるヒーターの配置状態の一例を示す説明図である。 本発明のアルミニウム合金の断面組織を例示した電子顕微鏡写真の一例である。 本発明の実施例1の高強度アルミニウムの引張強度と伸びの測定結果を表すグラフである。 本発明の実施例1の焼き付きまでの応力と摩擦係数を示すグラフである。

本発明の比較例である試料の焼き付きまでの応力と摩擦係数を示すグラフである。 本発明のアルミニウム合金の断面組織を例示した電子顕微鏡写真の一例である。
符号の説明
1、上パンチ、2、下パンチ、3、ケース、4、筒状ヒーター、10、材料

Claims (8)

  1. 5〜30重量%の珪素と、0.1〜10重量%の鉄、銅、マグネシウム及びニッケルから選ばれた少なくとも一種以上の金属とを含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物よりなり、初晶珪素粒、共晶珪素粒及びAl−Si−Fe系金属間化合物粒が組織中に分散したアルミニウム合金であって、
    該組織は、前記初晶珪素粒、前記共晶珪素粒及び前記Al−Si−Fe系金属間化合物粒の直径が5μm以下となるように、正逆両方のねじりが加えられた圧縮ねじり加工処理組織とされていることを特徴とするアルミニウム合金。
  2. 前記組織中には、珪素と、鉄と、銅と、マグネシウムと、ニッケルとから選ばれる少なくとも二種以上の元素の金属間化合物粒が分散しており、該金属間化合物粒のうち、前記Al−Si−Fe系金属間化合物粒を除く金属間化合物粒の直径が1μm以下とされていることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。
  3. 前記組織中のアルミニウム粒の直径が1μm以下とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム合金。
  4. 前記鉄が0.1〜10重量%、前記銅が0.1〜10重量%、前記マグネシウムが0.1〜3重量%、前記ニッケルが0.1〜3重量%含有されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金。
  5. 前記珪素が8〜18重量%、前記鉄が3〜7重量%、前記銅が3〜5重量%、前記マグネシウムが0.5〜1.5重量%、前記ニッケルが0.1〜1.5重量%含有されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金。
  6. 前記圧縮ねじり加工組織は、再結晶温度以下で前記組織に正逆両方のねじりを加えられてなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金。
  7. 鉄、銅、マグネシウム及びニッケルから選ばれた少なくとも一種以上の金属とアルミニウムと珪素とを原料として被加工材を形成する被加工材形成工程と、
    該被加工材をケースに保持し、該ケース及び該被加工材を該被加工材の再結晶温度以下に加熱し、該被加工材を上下パンチで加圧し、加圧した状態で該上下パンチを逆方向に相対回転させ、該被加工材にねじりを加え、被加工材に含有される初晶珪素粒、共晶珪素粒及びAl−Si−Fe系金属間化合物粒の直径を5μm以下に微細分散化する微細分散化加工工程と、
    を有することを特徴とするアルミニウム合金の製造方法。
  8. 前記被加工材を前記上下パンチで50MPa〜5000MPaで加圧することを特徴とする請求項7に記載のアルミニウム合金の製造方法。
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