JP2007078373A - ISFETからなるpHセンサー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】1)ダイヤモンドが示す高いpH感受性、2)ダイヤモンドが極めて化学的に不活性であること、などの特性を利用し、高品質水素終端ダイヤモンドをpHセンサー等の各種センサーに利用する。
【解決手段】高品質ダイヤモンド半導体表面を水素終端させたISFETと参照電極からなるpHセンサー。ダイヤモンド基板上に、マイクロ波励起プラズマ化学気相合成により高品質ダイヤモンド半導体を成長させ、次に成長後の高品質ダイヤモンド半導体表面に水素終端処理を行い、さらに水素終端処理したダイヤモンド半導体上にドレイン・ソース用電極を作製することを特徴とするISFETからなるpHセンサーの製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素終端ダイヤモンド表面の伝導性を利用するISFETからなるpHセンサー及びその製造方法に関する。
表面が水素終端された合成ダイヤモンド半導体は、真性、外因形に関わらず、電解質中にて導電性薄膜となり、電解質のpHそしてイオン濃度に敏感になる。センサー反応すべき表面の特定部分に金属の蒸着によって電気的接触をとることで、“イオン感受形電界効果トランジスタ(Ion Sensitive Field Effect Transistor)”(本願特許請求の範囲及び明細書においては、「ISFET」の用語を使用する。)の構造を使用してpHセンサーを製造することができる。これらのセンサーの反応面積のサイズは、所望の感受性や次元にあわせることが可能である。
これらは、大きいサイズ(mm)から非常に小さいサイズ(nm)に亘って作成することができる。ダイヤモンド表面へのある化学修飾によって、あるいはISFETのトランジスタ構造そのものをバイオセンサーとして使用することができる。
このバイオセンサーは、循環ボルタンメトリーのような電気化学測定の電極として、または電気泳動の電極として、さらにはキャパシタンス−電圧(CV)測定の電極として、機能化されたダイヤモンド表面を用いることによって、電気化学溶液における化学反応を検出することができる。
このような表面伝導性を利用する基本的な物理原理は、ダイヤモンドと接触している電解液等のような液体の化学ポテンシャルとダイヤモンドのフェルミレベルとの間に平衡状態が確立されることである。
単結晶化学気相合成(CVD)ダイヤモンドは、プラズマCVD法によって、通常基板温度800°C、マイクロ波出力750W、圧力25Torr、メタンと水素の混合比、0.016−0.5%、ガス流量400sccm、のような条件で合成される。但し、この例は一例であり、気相成長の目的によって、製造条件を任意に変更可能である。
あるいはプラズマCVD法の代わりに、ホットフィラメント法によってもまた同等の品質をもつCVDダイヤモンドを得られるであろう。
真性形(アンドープ)ダイヤモンド半導体を作ることができる一方で、メタンと水素の合成混合ガス中にジボラン(B)や他のボロン(B)を含む不純物ガスを加えて、ホウ素添加(ボロンドープ)されたp型ダイヤモンド半導体を作ることができる。これらの堆積させたダイヤモンド薄膜の膜厚は、ナノメーターからマイクロメートルにわたって変えることができる。
高温高圧合成された単結晶基板上や単結晶ダイヤモンド上へのホモエピタキシャル成長及びSi、SiCやイリジウムのような基板上へのヘテロエピタキシャル成長が可能である。
合成と同一のプラズマCVD法あるいはホットフィラメント法を用いて、メタンを加えず水素のみのガス供給を行い、通常5分程度の時間処理をすることで、ダイヤモンド表面は水素終端される。
水素終端されたダイヤモンド表面に、リソグラフィーによるフォトレジストのパターン転写とプラズマ酸化処理とによって、そのパターンを作用領域として持つセンサーを形成する。
能動領域は金のような金属によって電気的な接触(コンタクト)が取られる。コンタクトは絶縁ゴムやラッカー等を使用して、電解質から保護される。
ダイヤモンド表面に付着している無定形カーボンを取り除くために、表面は水素終端後に洗浄されなければならない。
これまでにも、pHセンサーは多結晶性ダイヤモンド(非特許文献1及び非特許文献2参照)及びホモエピタキシャル成長(非特許文献3参照)を用いて試作検証されてきた。
非特許文献3が最も我々にとって近いと考えられる技術である。この非特許文献3では、次の3種類のダイヤモンドを用いたpHセンサーについて検証している。
a)水素終端ボロンドープホモエピタキシャル成長単結晶ダイヤモンド。
b)水素終端Ibダイヤモンド。但し、この試料はホモエピタキシャル追成長せれてはおらず、単に表面が水素終端されただけである。
c)酸素終端ボロンドープダイヤモンド。
この非特許文献3の671頁の第4章・結論にて、下記の主張を行っている。「水素終端表面におけるp型電気伝導路に対し、その伝導路はpHが増加するに従い、徐々に空乏化していった(試料aとb)」。
これは、本発明者らが主張するpH感受性であるが、非特許文献3の著者らは、実験での幾つかの成功例を通してそれを検出し、pH探知器に利用していた。
しかし、感度に関する定量的結果が開示されておらず、ISFET構造を作製しても、参照電極の挿入によってpH感度が得られない等、pH(測定対象)を正しく測定するデバイス動作が得られているかどうか不明瞭な技術的問題を含んだままであった。特に、参照電極の無いフローティングISFET構造では、測定に再現性が得られる保障がなく、測定器としての用途には使用できない段階であった。
非特許文献1及び非特許文献2は、水素終端した多結晶性CVDダイヤモンドを基に製造されたISFET構造のpH感受性を報告している。
非特許文献1及び非特許文献2では、まず第一にシリコン基板上に水素終端された多結晶ダイヤモンドを成長させる。しかし、そのままでは、pH感受性は発現しない。そこで、次にpHの感受性を得るために、ソフトなオゾン処理を使用して、表面を若干酸化させなければならない。
また、半導体pHセンサーに関しては、SiやAlGaN等に関連している約90件の特許が見つかっている。しかし、SiやAlGaNを用いた装置では、通常、酸化物、窒化物、あるいはフッ化物からなるイオン感受性薄膜を単層あるいは多層で付加している技術である。
この中で、ナノダイヤモンド被膜メンブレンを利用するものが幾つか見つかった。それは、次のようなものである。
a)電解質のような液体のpHあるいはpHの変化を検出する、センサーへの応用(pHセンサー)が提案されている。
b)バイオセンサーへの応用を見据えた液体中のイオン濃度変化を検出するセンサーへの応用が提案されている。
しかし、水素終端ダイヤモンド表面の表面伝導性が直接pHおよびバイオ検出につながったという内容ではない。非特許文献1では、水素終端ダイヤモンド表面の表面伝導性を利用したISFETはpH依存性がない、と結論されていた状況であった。
"Electrolye-solution-gate FETs using diamond surface forbiocompatible ion sensors", H. Kawarada, Y, Araki, T, Sakai, T, Ogawa, H.Umezawa, phys, stat, sol, (a) 185, 79-83 (2001) "pH sensors based on hydrogenated diamond surfaces", J, A. Garrido,A. Haertl, S. Kuch, M. Stutzmann, O. A. Williams, R. B. Jackman, APL 86,073504(2005). "pH sensing by surface-doped diamond and effect of the diamondsurface termination", A, Denisenko. A. Aleksov, E. Kohn, Diam. Mat. 10, 667-672 (2001).
本発明が克服しようとする技術課題は、下記に述べる特性を利用し、高品質水素終端ダイヤモンドをpHセンサー等の各種センサーに利用することである。
1)ダイヤモンドが示す高いpH感受性
2)ダイヤモンドが極めて化学的に不活性であること
3)ダイヤモンド上でセンサー領域となる伝導路を作製する際に、マクロスコピックな大きさからミクロンサイズの探針先端のような小さい範囲まで、エッチング技術によって加工、・修飾が可能であること
4)ダイヤモンド表面が化学的修飾によって機能化できること(バイオセンサーへの応用)
5)pH感受性がダイヤモンドの水素終端によって発現すること。他のpHセンサー設計と比べて、簡単な製造工程により実現できること。
上記の課題に鑑み、次に示す発明を提供する。
その1)として、高品質ダイヤモンド半導体表面を水素終端させたISFETと参照電極からなるpHセンサーを提供する。
その2)として、ダイヤモンド半導体の膜厚が200nm以上である場合、室温で5.27eV(235nm)励起子発光がカソードルミネッセンスで観測できる高品質性を備えたダイヤモンド半導体を用いた1)のpHセンサーを提供する。
なお、ここで「室温で5.27eV(235nm)励起子発光がカソードルミネッセンスで観測できるダイヤモンド半導体としての高品質性を備えている」と記載する、ダイヤモンド半導体としての特性は、高品質性の指標又は定義を示すものであって、基板上に成長させる薄膜の膜厚を200nmに限定するものではないことを知るべきである。すなわち、基板上に形成するダイヤモンド半導体膜厚は必要に応じて、任意に選択できる。
その3)として、高品質ダイヤモンド半導体がホモエピタキシャル成長させたダイヤモンド半導体である1)又は2)記載のpHセンサーを提供する。
その4)として、ダイヤモンド半導体が、ボロン、リン、窒素等の不純物を添加させたダイヤモンド半導体である1)又は2)記載のpHセンサーを提供する。
その5)として、ダイヤモンド半導体が、単結晶ダイヤモンド半導体である1)〜4)のいずれかに記載のpHセンサーを提供する。
その6)として、ダイヤモンド半導体が、多結晶ダイヤモンド半導体である1)〜4)のいずれかに記載のpHセンサーを提供する。
その7)として、ダイヤモンド半導体が、ナノ結晶ダイヤモンド半導体である1)〜7)のいずれかに記載のpHセンサーを提供する。
その8)として、ダイヤモンド基板上に、高品質ダイヤモンド半導体をホモエピタキシャル成長させ、該エピタキシャル成長させたダイヤモンド半導体表面を水素終端させたISFETからなるpHセンサーであって、ドレイン・ソース用電極が水素終端処理したダイヤモンド半導体の上面部に形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のISFETからなるpHセンサーを提供する。
その9)として、ダイヤモンド基板の上面及び側面に、高品質ダイヤモンド半導体をホモエピタキシャル成長させ、該エピタキシャル成長させたダイヤモンド半導体表面を水素終端させたISFETからなるpHセンサーであって、ドレイン・ソース用電極が水素終端処理した基板側面のダイヤモンド半導体皮膜面に形成されており、基板上面の水素終端処理したダイヤモンド半導体皮膜の作用面以外を化学的に不活性な材料で保護する1)〜7)のいずれかに記載の深針形のISFETからなるpHセンサーを提供する。
その10として、ダイヤモンド基板上に、マイクロ波励起プラズマ化学気相合成により高品質ダイヤモンド半導体を成長させ、次に成長後の高品質ダイヤモンド半導体表面に水素終端処理を行い、さらに水素終端処理したダイヤモンド半導体上にドレイン・ソース用電極を作製することを特徴とするISFETからなるpHセンサーの製造方法を提供する。
その11)として、成長させたダイヤモンド半導体の膜厚が200nmである場合に、室温で5.27eV(235nm)励起子発光がカソードルミネッセンスで観測できる、ダイヤモンド半導体としての高品質性を備えている10)記載のISFETからなるpHセンサーの製造方法を提供する。
その12)として、高品質ダイヤモンド半導体の成長後に、化学溶液処理により洗浄する10)又は11)記載のISFETからなるpHセンサーの製造方法を提供する。
その13)として、水素終端処理した高品質ダイヤモンド半導体を用いて、ISFETデバイス構造作製のためのパターニング処理を行う際に、フォトリソグラフィーと酸素プラズマエッチングを用いてパターニングを行う10)〜12)のいずれかに記載のISFETからなるpHセンサーの製造方法を提供する。
その14)として、ドレイン・ソース用電極を水素終端処理したダイヤモンド半導体の上面部に形成すると共に、参照電極を設けた10)〜13)のいずれかに記載のpHセンサーの製造方法を提供する。
その15)として、ダイヤモンド基板の上面及び側面に、高品質ダイヤモンド半導体をホモエピタキシャル成長させ、該エピタキシャル成長させたダイヤモンド半導体表面を水素終端させてISFETと参照電極からなるpHセンサーを製造する方法において、ドレイン・ソース用電極を水素終端処理したダイヤモンド半導体の側面に形成し、水素終端処理したダイヤモンド半導体の上部の作用面以外を化学的に不活性な材料で保護する10)〜13)のいずれかに記載の深針形のISFETと参照電極からなるpHセンサーの製造方法を提供する。
その16)として、ラッカー、ポリ−ジメチルシロキサン(PDMS)又はシリコンゴムによるコンタクト絶縁層を形成する14)又は15)に記載のISFETと参照電極からなるpHセンサーの製造方法を提供する。
本発明によって、a)化学的に不活性であり、他の半導体を利用したpHセンサーが損傷を受けるような電解質中での長時間動作が可能である。また、b)生体環境に適合し、生物学的環境下での使用において理想的となる。さらにc)感度が非常に高く、従来技術において提案されているSiやAlGaNのような他の半導体と比較して遜色ない、という優れた効果を有するものである。
次に、本発明の特徴を実施例及び図面等を用いて具体的に説明する。なお、以下の説明は、本願発明の理解を容易にするためのものであり、これらに制限されるものではない。すなわち、本願発明の技術思想に基づく変形、実施態様、他の例は、本願発明に全て含まれることを理解すべきである。
本発明のISFETからなるpHセンサーの製造工程を簡潔に述べると、次のようになる。
a)ダイヤモンド基板を用いる。
b)その上に、高品質(欠陥のない)ダイヤモンド半導体をホモエピタキシャル追成長させる。
c)表面を水素終端させる。
d)表面を機械的に加工・修飾する。(エッチング、電極作製、等)
e)溶液中使用のためのカプセル化を行う。(パッケージング)
そして、本発明は、従来の半導体で作製されたpHセンサーでは溶解したり(Si等)損傷を受けたり(放射性のある液体中など)するという困難な(厳しい)環境下でのpH検出を行うことができるという優れた効果を有する。
上記非特許文献1では、水素終端ダイヤモンド表面の表面伝導性を利用したISFETはpH依存性がないと、結論されていた状況であった。
しかし、本発明等は鋭意検討を行い、用いるダイヤモンドの半導体としての品質、水素終端、表面汚染状態等の改善によって、水素終端ダイヤモンドからなるISFET構造を用いて、非特許文献3で触れられている平衡下で予測される完全なネルンストの法則に従ったpH依存性が安定に発現することができるとの知見に至った。以下にそれを詳細に説明する。
ボロンや窒素を含んだダイヤモンドが本質ではなく、アンドープ高品質ホモエピタキシャル薄膜と洗浄された高品質水素終表面、それらを要素技術の結果得られるpH検出能力の向上が要点である。なお、誤解を生じないために記載するが、本発明においては、ダイヤモンドにボロン、りん、窒素等を含有させることを否定するものでないことは知るべきである。
我々は通常、ダイヤモンド上に、CVDによりホモエピタキシャル成長させた高品質なダイヤモンド半導体薄膜を用いる。そして、この単結晶CVDダイヤモンド表面を水素終端化し、洗浄してpHを検出する。
CVD法はダイヤモンド薄膜を形成するには望ましい手段ではあるが、必ずしもこの方法に限定される必要はなく、ホットフィラメント法やレーザーアブレーション法等の他の形成手段も使用することができる。
また、使用するダイヤモンドは、真性ダイヤモンドに限らず、高品質であれば、上記の不純物添加されたものでも、水素終端は可能である。
不純物ドープされたダイヤモンド半導体、あるいはダイヤモンド半導体の水素終端された表面は、電解質において伝導性を発現し、その表面は電解質のpHや、電解質中のイオン濃度に感受性を示す。電解質には、図1に示すように、参照電極を配置する。
センサー反応すべき表面の特定部分に電極を設け、電気的接触をとることで“イオン感受性電界効果トランジスタ”の構造(ISFET)を使用したpHセンサーを製造することができる。それは大きいサイズ(mm)から非常に小さいサイズ(nm)に亘って作製することができる。
ダイヤモンド表面へのある化学修飾によってまた、ISFETのトランジスタ構造がバイオセンサーとして使用できる。このバイオセンサーは、循環ボルタンメトリーのような電気化学測定の電極として、また電気泳動の電極として、さらにキャパシタンス−電圧(CV)測定の電極として、機能化されたダイヤモンド表面を用いることによって、電気化学溶液における化学反応を検出することができる。
水素終端されたダイヤモンド自体が、下記の理由から「pHセンサーのための材料」として、極めて有効である。
a)化学的に不活性であり、他の半導体が損傷を受けるような電解質中でも、このダイヤモンドでは長時間動作が可能となる。
b)生体環境に適合し、生物学的環境下での使用において理想的となる。
c)非常に敏感であり、従来技術において提案されているSiやAlGaNのような他の半導体と比較して遜色ない。
高品質ダイヤモンド半導体を成長させるに際して、マイクロ波励起プラズマ化学気相合成(CVD)法を用いることは有効である。この場合、メタン/水素混合ガスを使用するが、メタン/水素の混合比は、0.15%未満とするのが良い。この条件は、良好な成長を行うための好ましい条件を示すものではあるが、必ずしもこれに制限されるものではなく、数値条件は任意に選択できるものである。
使用する総ガス流量は、通常400sccmとするが、この条件は気相成長速度又はダイヤモンドの厚みにより任意に変更できる。また、成長中の基板温度は、500〜1000°Cの範囲で調整できる。
ガス圧力は、気相成長の速度及び厚さにより、任意に変更できるものである。さらに、マイクロ波パワーは、気相成長の速度又は厚さに応じて、任意に変更できる。
高品質ダイヤモンド半導体の成長後に、必要に応じて化学溶液処理により洗浄することができる。通常、硝酸/硫酸混合液を使用して洗浄するのが望ましい。混合比は適宜選択できる。また、処理温度は250〜300°Cとするのが好適であるが、特にこの温度に限定する必要はない。また、処理時間も任意に設定することができる。通常10分〜2時間とするのが良い。
成長後又は必要に応じさらに洗浄した後に、水素終端処理を行う。これは、マイクロ波励起プラズマ化学気相法を使用することができる。使用するガスは水素ガスである。総ガス流量は、およそ400sccmであるが、その量は水素終端処理の条件に応じて任意に変更できる。
成長中の基板温度は500〜1000°Cの範囲で調節する。ガス圧力は、通常25Torrを用いるが、これも任意に変更可能である。マイクロ波パワーは500〜1000Wの範囲選択できる。処理時間は特に制限はないが、通常1〜30分間で行う。これらの条件は、処理速度、効率等を勘案して決めるもので、得られた薄膜の性質又は形状に応じて任意に変更可能である。
水素終端処理後、表面に汚れ(付着物)が付着している場合は、これを洗浄するのが望ましい。洗浄に際しては、エタノール等のアルコール、洗浄液を使用し、布により擦って除去する。使用する布には特に制限はないが、布くずの出ないものを使用するのが良い。また、アルコール中で、ブラシで擦っても良い。その後、通常の化学溶液洗浄を行うのが望ましい。
洗浄後の品質は、例えばアンドープダイヤモンド水素終端表面にあるp形表面伝導層の大気中でのホール移動度が300Kで100cm/Vs以上を示すこと、また走査型電子顕微鏡(SEM)にて、ピンセットで表面を擦ったときに、そのコントラストが観察されないこと、さらには、コンタクトモード原子間力顕微鏡(AFM)/タッピングモードAFMでの観察で、付着物が見られないことによって、その良否を判定することができる。
水素終端処理した高品質ダイヤモンド半導体を用いて、ISFETデバイス構造作製のための表面形状取り(パターニング)処理を行う。この処理は、フォトリソグラフィーを用いるのが好適である。
フォトリソグラフィーを用いる場合、例えばフォトレジストのスピンコーティング(500rpm/10秒、6000rpm/60秒)を行い、次にパターニング(露光と酸素プラズマエッチング用の窓開け)を行い、次いで酸素プラズマエッチング(300W、1−3分)を行い、さらにフォトレジストの除去を行って、パターニングを行う。上記の数値条件は好適な条件を示すが、フォトリソグラフィーによるパターニングの設計に応じて、任意に変更することができる。
次に、電極の作製を行う。これは、例えばフォトレジストのスピンコーティング(500rpm/10秒、6000rpm/60秒)を行い、次にパターニング(露光とチタン/プラチナ/金蒸着用の窓開け)、チタン(5nm)/プラチナ(5nm)/金(20nm)の蒸着によるドレイン・ソース電極を作製する。
さらに、フォトレジストのスピンコーティング(500rpm/10秒、6000rpm/60秒)、パターニング(露光と金蒸着用の窓開け)、金(200nm)の蒸着によるドレイン・ソース用最終電極の作製を行う。
そして、ワイヤボンディング後、ラッカー、ポリ−ジメチルシロキサン(PDMS)又はシリコンゴムによるコンタクト絶縁層を形成して、最終的な形状に製作する。これらの電極の製作における上記数値条件は、好適な条件を示すが、電極の設計に応じて任意に変更できる。
細胞内への挿入又は血液検査用に用いるチップ形pHセンサーである深針形ISFET構造を製作する場合は、基板に高品質によるダイヤモンド半導体を上面及び側面に成長させた後、水素終端処理を行い、さらに電極は上面部からではなく、センサーの側面又は背面から接続するように設計する。
すなわち、マイクロ波励起プラズマ化学気相合成(CVD)法によるダイヤモンド半導体の皮膜を形成し、水素終端処理をダイヤモンドの上面だけでなく側面にも施す。
これは、立方形ダイヤモンドの側壁に金電極を蒸着することによって、製作できる。このようにすることによって、テフロンやシリコンゴム接着剤等の化学的に不活性な接着剤により作用面以外を保護することができる。したがって、溶液中でも金電極を使用することができる。
チップ形pHセンサーを製作する場合においても、基板として市販されているダイヤモンド基板を使用することができる。この場合も、例えばマイクロ波励起プラズマ化学気相合成(CVD)法を使用してダイヤモンドの膜を形成する。CVD法は、ダイヤモンド薄膜を形成するには望ましい手段ではあるが、必ずしもこの方法に限定される必要はなく、他の形成手段も使用することができる。
この場合、メタン/水素混合ガスを使用し、メタン/水素の混合比は0.15%未満とすることが望ましい。使用する総ガス流量は400sccmとするが、それは好適な条件であり、この条件は、任意に変更できる。成長中の基板温度を500〜1000°Cの範囲で調節する。そして、ガス圧力は25Torrとし、マイクロ波パワーは750Wとする。
これらの数値条件は、いずれの場合も、成長させるダイヤモンド半導体の目的に応じて任意に設計できる。
深針形ISFET構造の達成の条件としては、成長させたダイヤモンド半導体の膜厚が200nmである場合に、室温で5.27eV(235nm)励起子発光がカソードルミネッセンスで観測できることを要件とする。
次に、針状の構造作製のために、反応性イオンエッチングを行う。これは、ダイヤモンド上への金属(Al)又はSiOの蒸着によるマスクパターンの形成後、深針形状作製のために、ダイヤモンドへの反応性イオンエッチングを行う。
高品質ダイヤモンド半導体の成長後に、必要に応じて、化学溶液処理により洗浄しても良い。通常、硝酸/硫酸混合液を使用して洗浄する。混合比は硝酸:硫酸=1:3とする。また、処理温度は250〜300°Cとし、処理時間を30分とする。これらも、洗浄目的に応じて任意に設計可能であり、数値を変更できる。
気相成長後に又は必要に応じこれをさらに洗浄した後に、高品質ダイヤモンド半導体に水素終端処理を行う。水素終端処理はマイクロ波励起プラズマ化学気相合成を使用するのが望ましい。
水素ガスを使用し、使用する総ガス流量は400sccmとし、さらに成長中の基板温度を500〜1000°Cに維持して行う。ガス圧力は25Torr、マイクロ波パワーを750Wとし、さらに処理時間を5分間とする。
これらの数値条件は、いずれの場合も、水素終端処理の条件に応じて任意に設計することが可能である。
水素終端処理後、表面に汚れ(付着物)が付着している場合には、これらを除去することができる。次に、金蒸着による探針両側面への電極の作製を行う。さらに、探針をテフロンホルダー、ラッカー、ポリ−ジメチルシロキサン(PDMS)又はシリコンゴムにより保持する。
このようにして得られたチップ形pHセンサーである深針形ISFET構造は、通常、チャンネル長×チャンネル幅が0.1μm×0.1μm〜100μm×100μmであり、これがセンサーの作動領域又は探針先端となる。しかし、チャンネル長×チャンネル幅で決まる形状には、特に制限はない。
(実施例1)
本発明により、ISFET( Ion Sensitive Field Effect Transistor)を用いたpHセンサーを製造する工程について説明する。具体的な構造の例を図1に示す。
通常、チャンネル長×チャンネル幅は、1μm×1μm〜1000μm×1000μmであり、これがセンサーの作用領域である。しかし、チャンネル長×チャンネル幅で決まる形状には、特に制限はない。
基板として、市販されているオフ角(ミスカット角)が1.5度未満のIb形ダイヤモンド基板を使用した。
このIb形ダイヤモンド基板上に、高品質ダイヤモンド半導体を成長させる。この高品質ダイヤモンド半導体の成長は、本発明のpHセンサーとしての機能を達成する上で、極めて重要である。
達成の条件としては、成長させたダイヤモンド半導体の膜厚が200nmである場合に、室温で5.27eV(235nm)励起子発光がカソードルミネッセンスで観測できることである。
高品質ダイヤモンド半導体の成長させるに際して、本実施例1では、次の条件を用いた。
1)マイクロ波励起プラズマ化学気相合成(CVD)法を用いた。
2)メタン/水素混合ガスを使用。メタン/水素の混合比は、0.15%未満とした。この条件は、任意に選択できるものである。
3)使用した総ガス流量は、400sccmとした。この条件も、気相成長の速度又は厚さにより任意に変更できるものである。
4)成長中の基板温度を800°Cに維持した。基板温度は、500〜1000°Cの範囲で調整できる。
5)ガス圧力は25Torrとした。ガス圧力は、気相成長の速度、厚さにより任意に変更できるものである。
6)マイクロ波パワーは750Wとしたが、これも気相成長の速度、厚さにより任意に変更できるものである。
7)本実施例では、成長後の膜厚を1μmとした。
高品質CVDダイヤモンド半導体の成長後に、必要に応じて、化学溶液処理により洗浄しても良い。洗浄の条件は次の通りである。
1)硝酸/硫酸混合液を使用して洗浄。混合比は硝酸:硫酸=1:3とした。
2)処理温度は250〜300°Cとした。
3)処理時間を30分とした。
次に、成長後の又は必要に応じさらに洗浄した後の、高品質CVDダイヤモンド半導体に水素終端処理を実施した。水素終端処理の条件は、次の通りである。
1)マイクロ波励起プラズマ化学気相合成を使用した。
2)水素ガスのみを使用した。
3)使用した総ガス流量は、400sccmであった。
4)成長中の基板温度を800°Cに維持した。
5)ガス圧力は25Torrとした。
6)マイクロ波パワーは750Wとした。
7)処理時間を5分間とした。
水素終端処理後、表面に汚れ(付着物)が付着している場合、これらを除去するために、必要に応じて洗浄する。洗浄の条件は、次の通りである。
1)エタノール等のアルコールを使用し、布により擦って除去した。この場合、使用する布としては、布くずのでないものを使用する必要がある。この実施例では、旭日化学ファイバー社製ベンコットを使用した。
2)上記に替えて、アルコール中で、ブラシで擦っても良い。
3)以上の後、通常の化学溶液洗浄を行った。
洗浄後の品質としては、次の条件を満たすことが望ましい。
1)アンドープダイヤモンド水素終端表面にあるp形表面伝導層の大気中でのホール移動度が300Kで100cm/Vs以上を示すこと。
2)走査型電子顕微鏡(SEM)にて、ピンセットで表面を擦ったときに、そのコントラストが観察されないこと。
3)コンタクトモード原子間力顕微鏡(AFM)/タッピングモードAFMでの観察で、付着物が見られないこと。
次に、水素終端処理した高品質CVDダイヤモンド半導体を用いて、ISFETデバイス構造作製のための表面形状取り(パターニング)処理について説明する。この処理は、フォトリソグラフィーを用いた、次の工程からなる。
1)フォトレジストのスピンコーティング(500rpm/10秒、6000rpm/60秒)。
2)パターニング(露光と酸素プラズマエッチング用の窓開け)。
3)酸素プラズマエッチング(300W、1−3分)。
4)フォトレジストの除去。
次に、次の工程により、電極の作製を行う。
1)フォトレジストのスピンコーティング(500rpm/10秒、6000rpm/60秒)。
2)パターニング(露光とチタン/プラチナ/金蒸着用の窓開け)。
3)チタン(5nm)/プラチナ(5nm)/金(20nm)の蒸着によるドレイン・ソース電極の作製。
4)フォトレジストのスピンコーティング(500rpm/10秒、6000rpm/60秒)。
5)パターニング(露光と金蒸着用の窓開け)。
6)金(200nm)の蒸着によるドレイン・ソース用最終電極の作製。
7)ワイヤボンディング。
8)ラッカー、ポリ−ジメチルシロキサン(PDMS)又はシリコンゴムによるコンタクト絶縁層の形成。
(実施例2)
細胞内への挿入又は血液検査用に用いるチップ形pHセンサーである深針形ISFET構造及びその製作方法について説明する。チップ形pHセンサー構造の具体例を、図2及び図3に示す。図3は図2の上端部分を拡大した図である。
この例では、図2及び図3に示すように、電極は上部からではなく、側面又は背面から接続される。これを製作するために、CVDダイヤモンド薄膜の気相成長及び水素終端は、ダイヤモンドの側面にも施す。
これは、立方形ダイヤモンドの側壁に金電極を蒸着することによって、製作可能である。この構造によって、テフロンやシリコンゴム接着剤等の化学的に不活性な接着剤によって、作用面以外を保護することができ、溶液中でも金電極を使用することができる。
金電極自体が保護材料としての役目をする場合も想定される。その場合には、機械的に水素終端表面に金電極を押付けて、水素終端表面と電気的接触を得る。
基板として、市販されているオフ角(ミスカット角)が1.5度未満のIb形ダイヤモンド基板を使用した。
本実施例2における高品質CVDダイヤモンド半導体の成長の条件は、実施例1と同様であり、次に示す通りである。
1)マイクロ波励起プラズマ化学気相合成(CVD)法を使用した。
2)メタン/水素混合ガスを使用。メタン/水素の混合比は、0.15%未満とした。
3)使用した総ガス流量は、400sccmであった。
4)成長中の基板温度を800°Cに維持した。
5)ガス圧力は25Torrとした。
6)マイクロ波パワーは750Wとした。
7)成長後の膜厚を1μmとした。
深針形ISFET構造の達成の条件としては、実施例1と同様に、成長させたCVDダイヤモンド半導体の膜厚が200nmである場合に、室温で5.27eV(235nm)励起子発光がカソードルミネッセンスで観測できることである。
次に、針状の構造作製のために、次の工程により、反応性イオンエッチングを行った。
1)ダイヤモンド上への金属(Al)又はSiOの蒸着によるマスクパターンの形成。
2)深針形状作製のために、ダイヤモンドへの反応性イオンエッチング。
高品質CVDダイヤモンド半導体の成長後に、必要に応じて、化学溶液処理により洗浄しても良い。洗浄の条件は次の通りである。
1)硝酸/硫酸混合液を使用して洗浄。混合比は硝酸:硫酸=1:3とした。
2)処理温度は250〜300°Cとした。
3)処理時間を30分とした。
次に、成長後の又は必要に応じさらに洗浄した後の、高品質CVDダイヤモンド半導体に水素終端処理を実施した。水素終端処理の条件は、実施例1と同様であり、次の通りである。
1)マイクロ波励起プラズマ化学気相合成を使用した。
2)水素ガスのみを使用した。
3)使用した総ガス流量は、400sccmであった。
4)成長中の基板温度を800°Cに維持した。
5)ガス圧力は25Torrとした。
6)マイクロ波パワーは750Wとした。
7)処理時間を5分間とした。
実施例1と同様に、水素終端処理後、表面に汚れ(付着物)が付着している場合には、これらを除去する。洗浄の条件は、実施例1と同様である。
また、洗浄後の品質の条件及びISFETデバイス構造作製のための表面形状取り(パターニング)処理についても、実施例1と同様である(重複するので、詳細な説明を省略する)。
次に、次の工程により、金蒸着による探針両側面への電極の作製を行う。探針をテフロンホルダー、ラッカー、ポリ−ジメチルシロキサン(PDMS)又はシリコンゴムにより保持する。最表面には、金が顔を出さない形で金を蒸着し、かつ化学的に安定な絶縁物でセンサーの作用領域(水素終端ダイヤモンド表面)が顔を出している形状にする。(図3参照)
このようにして得られたチップ形pHセンサーである深針形ISFET構造は、通常、チャンネル長×チャンネル幅が0.1μm×0.1μm〜100μm×100μmであり、これがセンサーの作動領域又は探針先端である。しかし、チャンネル長×チャンネル幅で決まる形状には、特に制限はない。
(評価)
上記本発明の実施例により得られたISFETの典型的な感度特性を図4に示す。図4は、ドレイン・ソース間電流のpHとゲート電圧との間の関係を示す図であり、この図4から66mV/pH感度が確認できる。
この場合の、ISFETサイズは、チャンネル幅100μm×チャンネル長400μmである。
図5は、水素終端CVDダイヤモンドから作製されたISFETであり、0.1Mの硫酸(pH7)の条件下で検出されるバックグラウンドの循環ボルタンメトリーIVカーブを示すものである。なお、DRCが本発明の技術である。NRLとUSCは、他者発表データによるもので、参考までに示す。
これらのデータは、二種類の高品質多結晶性ボロンドープダイヤモンド薄膜を使用した場合の比較を示している。
作製されたダイヤモンドISFETのpH感度に関する実験は、pH7ではドレインとソース間には、10Ω程度の電気抵抗をもつ表面伝導層が存在することが分る。
表面伝導性を示す正孔蓄積層と水素イオン(H)やハイドロニウムイオン(H)などの正イオンとの間での電子の交換反応(電気化学反応)と、表面伝導性を示す正孔蓄積層とオキソニウムイオン(OH)のような負イオン分子との間での電子の交換反応(電気化学反応)とは、大きく異なる。
DRCの膜では、大きなオーバーポテンシャル窓が観測され、−3V未満(装置の限界)から+1.6V(酸素発生の始まり)に大きく伸びている。この範囲では、上部挿入図に見られるように、電流密度のバックグラウンドはμA/cmの範囲にある。図中の傾きから、約10Ωの電気抵抗が、水素終端ダイヤモンド表面と電解質との間にあると計算できる。
ダイヤモンドと電解質溶液との間の電気的等価回路を図5の下部挿入図に示す。ここで、伝導チャンネルのシリーズ抵抗(RDS)、電解質との間の抵抗(R)及びヘルムホルツ層の容量Cを考慮に入れた。
酸素発生開始電圧UOXは+0.7V(pH13:0.1M、HCLO)と+1.6V(pH1:NaOH)と変化し、上記電気回路を用いた解析からpHで見ると、約59mV/pHのpH感度を示しているのが分る。これは正に、ネルンストの予想通りの合理的結果である。
OXを超える電圧では、表面の酸化を伴い、水素終端によって得られる表面伝導性が失われるため、実験の続行が不可能となる。
(比較例)
比較できるデバイスに利用できる材料を敢えて選択すれば、SiとAlGaNを挙げることができる。しかし、これらの材料から製造される装置がpH検出可能となるためには、より複雑なゲート絶縁体が必要である。
殆どの場合、SiやAlGaNから製造される装置は、イオン拡散の防止や、化学的劣化が進行するのを防ぐための層状構造が具備されなければならない。
本発明のダイヤモンドの場合は、水素終端が必要であるだけであり、その利点は極めて大きい。
本発明は、次の産業上の利用が可能である。
a)一般的なpH測定。
b)バッテリー充電用pHセンサー。すなわち、pHが0から1の間でのバッテリーの充電状態の検知が可能である。
c)血中化学物質モニター、血液の質の検出。
d)尿中化学物質モニター、尿の質の検出。
e)放射性物質を含む液中でのpHセンサー。すなわち、原子力発電所から出る放射性廃棄物のような高い放射性レベルの電解質中でのpHの検知が可能である。
f)生体環境内外でのイオンセンサー。すなわち、イオン放出感応形バイオ検出器への利用(ニューロン活動の解析)が可能である。
g)ニューロンとの間の電気的インターフェースの解析。すなわち、イオン機能化された表面での生体分子に対する選択的な化学反応を検出するようなバイオ検出器への利用が可能である。
h)汚水、排水処理など水処理工程でのセンサー。
i)酸性・アルカリ性物質の製造工程でのセンサー。
j)上記a)からg)のセンサーで、その場測定可能な検出器。
ISFET( Ion Sensitive Field Effect Transistor)構造の例を示す図である。 チップ形pHセンサー構造の具体例を示す図である。 チップ形pHセンサー構造の具体例(その2)を示す部分拡大図である。 ドレイン・ソース間電流のpHとゲート電圧との間の関係を示す図である。 水素終端ダイヤモンドから作製されたISFETの0.1Mの硫酸(pH7)の条件下で検出されるバックグラウンドの循環ボルタンメトリーIVカーブを示す図である。

Claims (16)

  1. 高品質ダイヤモンド半導体表面を水素終端させたISFETと参照電極からなるpHセンサー。
  2. ダイヤモンド半導体の膜厚が200nm以上である場合、室温で5.27eV(235nm)励起子発光がカソードルミネッセンスで観測できる高品質性を備えたダイヤモンド半導体を用いた請求項1のpHセンサー。
  3. 高品質ダイヤモンド半導体がホモエピタキシャル成長させたダイヤモンド半導体であることを特徴とする請求項1又は2記載のpHセンサー。
  4. ダイヤモンド半導体が、ボロン、リン、窒素等の不純物を添加させたダイヤモンド半導体であることを特徴とする請求項1又は2記載のpHセンサー。
  5. ダイヤモンド半導体が、単結晶ダイヤモンド半導体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のpHセンサー。
  6. ダイヤモンド半導体が、多結晶ダイヤモンド半導体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のpHセンサー。
  7. ダイヤモンド半導体が、ナノ結晶ダイヤモンド半導体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のpHセンサー。
  8. ダイヤモンド基板上に、高品質ダイヤモンド半導体をホモエピタキシャル成長させ、該エピタキシャル成長させたダイヤモンド半導体表面を水素終端させたISFETからなるpHセンサーであって、ドレイン・ソース用電極が水素終端処理したダイヤモンド半導体の上面部に形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のISFETからなるpHセンサー。
  9. ダイヤモンド基板の上面及び側面に、高品質ダイヤモンド半導体をホモエピタキシャル成長させ、該エピタキシャル成長させたダイヤモンド半導体表面を水素終端させたISFETからなるpHセンサーであって、ドレイン・ソース用電極が水素終端処理した基板側面のダイヤモンド半導体皮膜面に形成されており、基板上面の水素終端処理したダイヤモンド半導体皮膜の作用面以外を化学的に不活性な材料で保護することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の深針形のISFETからなるpHセンサー。
  10. ダイヤモンド基板上に、マイクロ波励起プラズマ化学気相合成により高品質ダイヤモンド半導体を成長させ、次に成長後の高品質ダイヤモンド半導体表面に水素終端処理を行い、さらに水素終端処理したダイヤモンド半導体上にドレイン・ソース用電極を作製することを特徴とするISFETからなるpHセンサーの製造方法。
  11. 成長させたダイヤモンド半導体の膜厚が200nmである場合に、室温で5.27eV(235nm)励起子発光がカソードルミネッセンスで観測できる、ダイヤモンド半導体としての高品質性を備えていることを特徴とする請求項10記載のISFETからなるpHセンサーの製造方法。
  12. 高品質ダイヤモンド半導体の成長後に、化学溶液処理により洗浄することを特徴とする請求項10又は11記載のISFETからなるpHセンサーの製造方法。
  13. 水素終端処理した高品質ダイヤモンド半導体を用いて、ISFETデバイス構造作製のためのパターニング処理を行う際に、フォトリソグラフィーと酸素プラズマエッチングを用いてパターニングを行うことを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のISFETからなるpHセンサーの製造方法。
  14. ドレイン・ソース用電極を水素終端処理したダイヤモンド半導体の上面部に形成すると共に、参照電極を設けたことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載のpHセンサーの製造方法。
  15. ダイヤモンド基板の上面及び側面に、高品質ダイヤモンド半導体をホモエピタキシャル成長させ、該エピタキシャル成長させたダイヤモンド半導体表面を水素終端させてISFETと参照電極からなるpHセンサーを製造する方法において、ドレイン・ソース用電極を水素終端処理したダイヤモンド半導体の側面に形成し、水素終端処理したダイヤモンド半導体の上部の作用面以外を化学的に不活性な材料で保護することを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の深針形のISFETと参照電極からなるpHセンサーの製造方法。
  16. ラッカー、ポリ−ジメチルシロキサン(PDMS)又はシリコンゴムによるコンタクト絶縁層を形成することを特徴とする請求項14又は15に記載のISFETと参照電極からなるpHセンサーの製造方法。
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