JP2007070516A - 繊維強化ポリカプロラクトン及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 架橋されたポリカプロラクトンをマトリックス樹脂とする繊維強化ポリカプロラクトン、及びマトリックス樹脂を充分に強化繊維基材に含浸させる繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法を提供する。
【解決の手段】 有機過酸化物を含むポリカプロラクトンのペレット材またはシート材と、強化繊維基材を重ね合わせ、加熱加圧し、前記ポリカプロラクトンを前記強化繊維基材に含浸させ、且つ前記ポリカプロラクトンを架橋させることを特徴とする繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法、及び、強化繊維を強化材とし、数平均分子量が1万以上のポリカプロラクトンを架橋してなり、且つ100℃のシクロヘキサノン中で24時間抽出した場合のゲル分量が50%以上であるポリカプロラクトンをマトリックス樹脂とすることを特徴とする繊維強化ポリカプロラクトン。
【選択図】 なし

Description

本発明は、架橋されたポリカプロラクトンをマトリックスとする繊維強化熱可塑性樹脂に関する。
繊維強化熱可塑性樹脂は、工業材料分野で広く使用されており、例えば特許文献1によれば、植物セルロース繊維を強化繊維とし、ポリカプロラクトンなどの生分解性樹脂をマトリックス樹脂として射出成形した繊維強化熱可塑性樹脂が開示されている。ポリカプロラクトンは、結晶性を示し、可撓性、生分解性を有する熱可塑性ポリエステル樹脂であり、融点が60℃と低い特性を利用して、熱風、熱水で変形可能な造形材料等として知られている。しかし、融点付近で流動変形が著しいという欠点があり、特許文献1の繊維強化ポリカプロラクトンでも、この融点付近で流動変形が著しいという欠点を克服するものではない。融点付近で流動変形を抑制する技術として、例えば特許文献2や特許文献3によれば、ポリカプロラクトンを架橋することにより、流動性を抑制することができることが開示されている。しかしながら、ポリカプロラクトンはたとえ架橋構造を形成したとしても、樹脂自体の強度や弾性率は低く、荷重がかかる用途には不適である。また、架橋カプロラクトンの融点付近での流動性を抑制することによる弊害として、強化繊維基材に含浸させるには非常に高い温度と圧力を必要とし、強化繊維基材への含浸を充分に行うことが困難になり、強度や弾性率を充分に満足することができず、そのため繊維強化架橋ポリカプロラクトンは実用化にいたっていない。
特開2001−335710号公報 特開昭59−108059号公報 特開昭59−207156号公報
本発明は、架橋されたポリカプロラクトンをマトリックス樹脂とする繊維強化ポリカプロラクトン、及びマトリックス樹脂を充分に強化繊維基材に含浸させる繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、有機過酸化物を含むポリカプロラクトンのペレット材またはシート材と、強化繊維基材を重ね合わせ、加熱加圧し、上記ポリカプロラクトンを上記強化繊維基材に含浸させ、且つ上記ポリカプロラクトンを架橋させることを特徴とする繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法である。上記有機過酸化物を含むポリカプロラクトンのペレット材またはシート材において、該ポリカプロラクトンの数平均分子量が1万〜6.5万であることが好ましい。また、上記強化繊維基材の強化繊維の繊維長は10mm以上であることもできる。
本発明はまた、強化繊維を強化材とし、数平均分子量が1万以上のポリカプロラクトンを架橋してなり、且つ100℃のシクロヘキサノン中で24時間抽出した場合のゲル分量が50%以上であるポリカプロラクトンをマトリックス樹脂とすることを特徴とする繊維強化ポリカプロラクトンでもある。この際、強化繊維の繊維長が10mm以上であってもよい。
本発明の繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法において、有機過酸化物を含むポリカプロラクトンのペレット材またはシート材は、ポリカプロラクトンが未架橋またはほとんど架橋が進行していない状態であり、加熱加圧により強化繊維基材に充分に含浸し、加熱加圧成形により充分な強度や弾性率を有する繊維強化ポリカプロラクトンを得ることができる。また、数平均分子量が1万〜6.5万であれば、有機過酸化物を含むシート材やペレット材を容易に得ることができ、且つより優れた特性の成形品を得ることができる。
特に繊維長が10mm以上の強化繊維は、樹脂が含浸する際、複数本の単繊維が束になっている状態であるが、このような場合でも充分に樹脂を含浸させることができる。
しかも、強化繊維基材とポリカプロラクトンのペレット材またはシート材とを積層し加熱加圧により成形するので、繊維長が10mm以上の繊維や連続繊維の基材を使用することができ、且つ射出成形等の場合のように、強化繊維が細破されることがほとんどなく成形品中に長繊維のまま維持されるので、優れた強度、弾性率を有する繊維強化ポリカプロラクトンを得ることができる。
さらに、この加熱加圧工程において、ポリカプロラクトンは有機過酸化物により架橋する。そのため、本発明の繊維強化ポリカプロラクトンは、融点付近での流動変形が少なく、熱水、熱風により造形する際にも、べとつくことがなく優れた作業性を有する。
本発明の製造方法におけるポリカプロラクトンは、ε−カプロラクトンの重合体であり、ε−カプロラクトンに重合開始剤を加えて、必要に応じて触媒を使用しつつ、重合することにより得ることができる。反応温度としては、例えば、120〜220℃であり、好ましくは150〜200℃にて数時間、撹拌下に反応させて得ることができる。
上記重合開始剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等のアルキレングリコール;イソフタリルアルコール、テレフタリルアルコール、β,β′−ビスヒドロキシエチルテレフタレート、β,β′−ビスヒドロキシエチルイソフタレート等の芳香族ジオール;シクロヘキサン1,4−ジオール、シクロヘキサン1,4−ジメタノール等の脂環式ジオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンアジペートジオール、ポリプロピレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリエチレンプロピレンジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール等を挙げることができる。
上記触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラエチルチタネート、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズラウレート、オクチル酸スズ、塩化第一スズ等を挙げることができる。触媒の使用量は、好ましくは0.5〜500ppmである。
本発明において、ポリカプロラクトンの数平均分子量は1万〜6.5万が好ましく、より好ましくは3万〜6万である。数平均分子量1万未満であると、樹脂自体に備わっていなければならない機械的強度や耐熱性が十分でないおそれがあり好ましくない。数平均分子量6.5万を超えると、成形時の加熱によっても粘性係数が大きいため強化繊維基材に充分に含浸しなくなるおそれがあり、ポリカプロラクトンを溶剤に溶かすなどの操作が必要になる可能性があり好ましくない。なお、数平均分子量は、THF、トルエン、クロロホルム等を移動相としてポリスチレン標準粒子を分子量標準にしてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定することができる。
本発明において、ポリカプロラクトンのペレット材またはシート材には有機過酸化物を含有させ、後述する加熱加圧することにより、この有機過酸化物によりポリカプロラクトンを架橋させる。上記有機過酸化物としては、例えば、オクタノイルパーオキサイド、ウラリルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソブチレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンセンハイドロパーオキサイド、ピナンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等を挙げることができる。
有機過酸化物の使用量は、ポリカプロラクトン100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部である。なお、架橋のための加熱温度は、140〜220℃が好ましい。架橋反応に要する時間は、通常、10分〜3時間程度である。
有機過酸化物は分解することにより遊離ラジカルが発生し、高分子中の水素を引き抜いて分子間に炭素−炭素結合を形成し、高分子鎖を架橋することができる。この有機過酸化物の分解は加熱のみにより行う場合と促進剤を併用する場合とがあり得る。この促進剤として、例えば、アミノ基が有機過酸化物と反応してラジカルを生成し得るジメチルアニリンが好ましい。
本発明において、有機過酸化物を含むポリカプロラクトンのペレット材またはシート材を得るには、ポリカプロラクトンに有機過酸化物を、一旦有機過酸化物の活性化温度未満の条件(例えば、90〜110℃)で溶融混練する等の方法で配合し、ペレット化またはシート化する。
本発明における強化繊維基材の素材としては、例えば、アラミド、ビニロン等の有機繊維やガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維の他にも、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維等の合成繊維織物;麻(***、亜麻、黄麻等)繊維、竹繊維、パルプ、綿繊維、ココヤシ繊維、羊毛、絹、バナナ、ケナフなどの天然繊維、レーヨン等の再生繊維等を挙げることができる。
また、強化繊維は、繊維強化ポリカプロラクトンの強度を向上させるために、繊維長は10mm以上であることが好ましく、20mm以上の長繊維や連続長繊維であることがより好ましい。また、繊維束の番手は100〜2000texであることが好ましく、また、面状体の場合は単重が、10〜300g/mであることが好ましい。
本発明において、かかる強化繊維の基材の形態としては、一方向基材、織物、編物若しくは組物又はこれらの組合せである編織物、チョップドストランドマット又は連続繊維マットのマット基材を挙げることができる。
また、強化繊維基材は、ポリカプロラクトンとの密着性を向上させるために、表面処理されていてもよい。例えば、ガラス繊維であれば、シランカップリング剤で処理してもよい。シランカップリング剤としては、加水分解性基と疎水基(有機基)とを有するシラン化合物であって、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等の不飽和二重結合を有するもの;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基を有するもの;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するアミノシラン化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。これらのうち、好ましくは(メタ)アクリルシラン化合物やアミノシラン化合物である。
本発明の製造方法においては、加熱加圧により成形と並行してポリカプロラクトンを架橋させるので、加熱温度は、有機過酸化物の活性化温度以上、例えば、140〜220℃とする。架橋反応に要する時間は、通常、10分〜3時間程度であるので、これを考慮して加熱加圧時間を設定する。
なお、この加熱加圧工程とは別個に加熱又は紫外線照射若しくは放射線照射等により架橋させる工程を設けても良い。
ポリカプロラクトンは100℃のシクロヘキサノン中で24時間抽出した場合のゲル分量が50〜100%の範囲内の程度に架橋していることが、成形体を加熱したときに樹脂のべとつきの程度が少なく、耐熱性に優れているので好ましい。ゲル分量は70〜100%がより好ましく、80〜100%がさらに好ましく、90〜100%が一層好ましい。
加熱加圧成形において強化繊維基材1層ごとに間にポリカプロラクトンのペレット材またはシート材を1層又は複数層挟んでも良く、複数層の強化繊維基材の間にポリカプロラクトンのペレット材またはシート材を挟んでも良い。また、複数種類の強化繊維基材を組み合わせてもよい。複数層の強化繊維基材を積層する場合は、強化繊維基材の繊維方向を揃えてもよく、又は、変化させてもよく、繊維方向を変えて積層することにより、耐荷重性を調節することができる。
強化繊維基材とマトリックス樹脂との重量配合は、繊維の種類により異なり得るが、例えば、ガラス繊維の場合には、繊維強化ポリカプロラクトン全重量に対して、強化繊維基材10〜80重量%が好ましく、20〜70重量%がより好ましい。強化繊維基材の量が10重量%未満であると、成形品の物性が低くなったり、そりやうねりが大きくなる傾向にあり、80重量%を超すと、繊維に樹脂が未含浸となる傾向にある。その他の種類の繊維であっても、上記値を参考にしつつ、適宜配合割合を求めることができる。
本発明の繊維強化ポリカプロラクトンは、強化繊維を強化材とし、数平均分子量が1万以上のポリカプロラクトンを架橋してなる架橋ポリカプロラクトンをマトリックス樹脂とする。上記強化繊維としては、上述したものを好適に適用することができる。
さらに、本発明の繊維強化ポリカプロラクトンにおいて、ポリカプロラクトンは100℃のシクロヘキサノン中で24時間抽出した場合のゲル分量が50〜100%の範囲内の程度に、好ましくは70〜100%、より好ましくは80〜100%、さらに好ましくは90〜100%の程度に、架橋している。
このような本発明の繊維強化ポリカプロラクトンは、上述した本発明の製造方法で好適に製造することができるが、かならずしもそれに限るものではなく、必要に応じて、上述の説明を参照しつつ、特に、ポリカプロラクトンの数平均分子量が大きい場合に、適宜、例えば、ポリカプロラクトンを溶剤に溶かすなどの操作を適用してもよい。
本発明における繊維強化ポリカプロラクトンは、熱水や熱風で容易に変形加工することができる。変形加工の温度は、ポリカプロラクトンの融点である60℃以上、一般には、60〜120℃程度であり、60〜100℃がより好ましい。変形は、例えば、曲げ、伸長、それらの組み合わせ等であり得る。
また、ポリカプロラクトンは、生分解性を有するので、強化繊維織基材自体も生分解性ある天然繊維の基材を使用すれば、繊維強化ポリカプロラクトン全体を生分解性とすることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1〜2
架橋ポリカプロラクトン成形品の作製
プラクセルH5(数平均分子量5万、ダイセル化学社製カプロラクトン)を100℃で完全に溶融させ、縦型ミキサーで撹拌しつつ、プラクセルH5の100重量部に対してパーヘキシン25B(2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3)、(有機過酸化物、日本油脂社製、150℃での半減期1時間)1重量部を添加して15分間混練した後、トレイに排出した。その後、80℃に加熱し、4gづつにペレットにし小分けした。それをプレス機を用いて80℃で、125μm厚さの樹脂シートを成形した。
次に、質量202g/m2のトルコ朱子織組織のガラス繊維織物(日東紡績社製WPA15D103)を実施例1においてはγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン処理し、実施例2においてはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン処理し、これを強化繊維基材として使用して、9枚の上記樹脂シートの間に、8枚のガラス繊維織物を1枚ずつ最外層が樹脂シートになるように挟みこみ、130℃、30分プレスし、その後引続き150℃、120分プレスして複合材を作製した。100℃のシクロヘキサノン中で24時間抽出した場合のゲル分量は、いずれも90%であった。複合材中のガラス繊維含有量を、複合材を電気炉で900℃/1時間焼いた後の灰分として測定したところ、実施例1、実施例2とも40重量%であった。
比較例1
非架橋カプロラクトン繊維強化樹脂の作製
プラクセルH7(数平均分子量7万、ダイセル化学社製カプロラクトン)を用いて実施例と同様にして4gのペレット化後、プレス機を用いて120℃で、200μm厚さの樹脂シートを成形した。
つぎに、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン処理したガラス繊維織物(日東紡績社製WPA15D103)を強化繊維基材として使用して、8枚の上記樹脂シートの間に、7枚のガラス繊維織物を1枚ずつ最外層が樹脂シートになるように挟みこみ、150℃、90分プレスして作製した。複合材中のガラス繊維含量を、複合材を電気炉で900℃/1時間焼いた後の灰分として測定したところ、50重量%であった。
各実施例、比較例について、下記の評価方法で評価した。結果を図1に示した。
評価方法:動的粘弾性
セイコーインスツルメント社製粘弾性測定装置DMS6100型を用いて、両持ち曲げモードで1Hzの正弦歪を印加することにより測定した。測定温度範囲は0〜100℃で、昇温速度は2℃/分とした。
数平均分子量7万のカプロラクトンを使用した場合は、分子量が高すぎてガラス繊維に含浸させる際には150℃の高温と長時間のプレスを必要とした。また、この場合、有機過酸化物との溶融混練が不可能であり、この場合は溶剤に溶かす操作が必要であることが判った。また、実施例から、ポリカプロラクトンを繊維強化することにより、10GPa以上の弾性率が得られ、実用可能範囲が広がることが明らかになった。さらに、加熱によりマトリックス樹脂の結晶部分が融解し、約60℃以上で弾性率が急激に低下するため、繊維強化樹脂構造体が自由に変形できるようになることが確認できた。
さらに、図1から以下のことが判った。すなわち、ポリカプロラクトンを架橋させることにより、結晶の融点以上の温度でのtanδが低下した。実際、比較例1(非架橋PCL−FRP)の100℃でのtanδ=0.65だが実施例1〜2(架橋PCL−FRP)では0.3〜0.4と低い。これは粘弾性体の粘性成分が架橋により減少したためであり、結晶の融解温度以上でも、もはや液状ではなくゲル状になったことが分る。このことは、加熱成形時に樹脂が流動することがなく成形性が向上するばかりでなく、成形品を融点付近に加熱し2次加工する際に、ベとつきを抑え、成形品の加工性の向上をもたらすことができるという優れた特性を有していることを意味する。
また、ポリカプロラクトンの架橋の度合いは有機過酸化物の種類、含有量、加熱加圧成形の成形条件等により制御できる。そのため、有機過酸化物を含むポリカプロラクトンの分子量と、ポリカプロラクトンの架橋の度合いを適宜設定することにより、繊維強化ポリカプロラクトン成形品の材料特性と2次加工性を要求特性に応じて設定することができる。
本発明の複合材は、上述の性質を生かした用途に有利に使用することができ、例えば、各種の工業材料、試作材料として各種成形品、例えば、家電製品、スポーツ用品、建築資材、玩具、遊具、模型等に用いることができる。
実施例1、2及び比較例1で得た複合材の弾性率(E′)及びtanδの温度による変化を示すグラフ。

Claims (5)

  1. 有機過酸化物を含むポリカプロラクトンのペレット材またはシート材と、強化繊維基材を重ね合わせ、加熱加圧し、前記ポリカプロラクトンを前記強化繊維基材に含浸させ、且つ前記ポリカプロラクトンを架橋させることを特徴とする繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法。
  2. 前記有機過酸化物を含むポリカプロラクトンのペレット材またはシート材において、該ポリカプロラクトンの数平均分子量が1万〜6.5万である請求項1に記載の繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法。
  3. 前記強化繊維基材の強化繊維の繊維長が10mm以上である請求項1または請求項2に記載の繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法。
  4. 強化繊維を強化材とし、数平均分子量が1万以上のポリカプロラクトンを架橋してなり、且つ100℃のシクロヘキサノン中で24時間抽出した場合のゲル分量が50%以上であるポリカプロラクトンをマトリックス樹脂とすることを特徴とする繊維強化ポリカプロラクトン。
  5. 前記強化繊維の繊維長が10mm以上である請求項4に記載の繊維強化ポリカプロラクトン。
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