JP2007070428A - 植物性樹脂含有組成物及び植物性樹脂含有成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐衝撃性及び耐熱性の高いポリ乳酸を含む植物性樹脂含有組成物及びそれを用いた植物性樹脂含有成形体を提供する。
【解決手段】 ポリ乳酸と、熱可塑性樹脂と、無機繊維とを含み、前記無機繊維は、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂のいずれか一方を主成分として含む樹脂によりコーティングされている植物性樹脂含有組成物とする。前記無機繊維の含有量は、前記植物性樹脂含有組成物の全重量に対して5重量%以上35重量%以下であることが好ましく、前記熱可塑性樹脂は、生分解性樹脂であることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、植物性樹脂含有組成物とそれを用いた植物性樹脂含有成形体に関する。
近年、石油に代表される化石資源の大量消費による枯渇と、二酸化炭素濃度の増加による地球温暖化が問題になりつつある。そのため、石油由来の汎用樹脂を植物由来のポリ乳酸等の植物性樹脂で置き換えようとする動きが世界的に盛んになっている。ポリ乳酸は、枯渇する心配のないトウモロコシ等の植物から作られ、廃棄後も土中の微生物の働きにより無害な水と二酸化炭素に分解される。また、ポリ乳酸は、その焼却によって発生した水と二酸化炭素が再び光合成により植物に戻るという循環型の素材であり、環境に低負荷である。
最近では、ノートパソコン、携帯電話等の電子機器の筐体に対してもポリ乳酸を主成分とした植物性樹脂を使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、樹脂としてのポリ乳酸は、曲げ強さ等の剛性は大きいが、アイゾット衝撃強度等の耐衝撃性が弱く、荷重たわみ温度等の耐熱性が低いため、電子機器の筐体に単体で用いるのは困難である。このため、ポリ乳酸を含む樹脂にタルク等の無機フィラーを含有させて特性の向上を図ることが試みられた。これにより、ポリ乳酸を含む樹脂の耐熱性は向上したが、樹脂構造が脆くなり、耐衝撃性はかえって低下した。一方、ポリ乳酸を含む樹脂にガラス繊維や炭素繊維等の無機繊維を含有させてその特性の向上を図ることが提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。
特開2001−244645号公報 特開2001−329072号公報 特開2004−175831号公報
ポリ乳酸を含む樹脂にガラス繊維や炭素繊維等の無機繊維を含有させることにより、引張強度、曲げ弾性率、寸法精度等の特性の向上を図ることができる。しかし、ポリ乳酸を含む樹脂に単に無機繊維を含有させただけでは、アイゾット衝撃強度等の耐衝撃性の向上を図るには不十分であった。
本発明は、耐衝撃性及び耐熱性の向上を図ることができるポリ乳酸を含む植物性樹脂含有組成物及びそれを用いた植物性樹脂含有成形体を提供する。
本発明の植物性樹脂含有組成物は、ポリ乳酸と、熱可塑性樹脂と、無機繊維とを含む植物性樹脂含有組成物であって、前記無機繊維は、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂のいずれか一方を主成分として含む樹脂によりコーティングされていることを特徴とする。
また、本発明の植物性樹脂含有成形体は、上記本発明の植物性樹脂含有組成物から形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、耐衝撃性及び耐熱性の高いポリ乳酸を含む植物性樹脂含有組成物及びそれを用いた植物性樹脂含有成形体を提供することができる。
(実施形態1)
先ず、本発明の植物性樹脂含有組成物の実施形態について説明する。本発明の植物性樹脂含有組成物は、ポリ乳酸と、熱可塑性樹脂と、無機繊維とを含み、上記無機繊維は、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂のいずれか一方を主成分として含む樹脂によりコーティングされている。ここで、主成分として含むとは、コーティングする樹脂の全重量に対して50重量%以上含まれていることをいう。
ポリ乳酸は、植物由来の植物性(生分解性)樹脂であり、このポリ乳酸を含む樹脂を用いて成形体を作製することにより、この成形体に生分解性を付与することができる。これにより、この成形体は、そのまま地中に廃棄しても地中に存在する微生物によってその大部分が自然に無害な水と二酸化炭素に分解される。また、この成形体は、燃焼しても燃焼熱が小さく炉を傷めにくいのに加え、ダイオキシン等の有害物質の発生が少ないため、環境負荷が小さく、対環境性に非常に優れている。
上記ポリ乳酸の分子量や分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば特に限定されるものではないが、重量平均分子量としては、好ましくは1万以上、より好ましくは4万以上、特に好ましくは8万以上である。
また、上記植物性樹脂含有組成物は、上記無機繊維を含んでいるため、引張強度、曲げ弾性率、熱収縮率(寸法精度)等の特性の向上を図ることができる。これらの特性の向上は、無機繊維の本来の効果である。
さらに、上記無機繊維は、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂のいずれか一方を主成分として含む樹脂によりコーティングされているため、ポリ乳酸及び熱可塑性樹脂と、上記無機繊維とを、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂を介して強固に結合させることができ、上記植物性樹脂含有組成物に高い耐衝撃性と耐熱性を付与できる。これは、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂のいずれか一方を主成分として含む樹脂は、ポリ乳酸及び熱可塑性樹脂との化学的な結合力が強く、且つ高温に対する安定性(耐熱性)が高いからである。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、ナフタレン型エポキシ、臭素化エポキシ、フェノールノボラック型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシ、ビフェニル型エポキシ、シクロペンタジエン型エポキシ等及びこれらの混合物を用いることができる。
また、上記ウレタン樹脂としては、ポリエーテルジオール系ウレタン、ポリエステルジオール系ウレタン等を用いることができる。
このように、本発明の植物性樹脂含有組成物では、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂のいずれか一方を主成分として含む樹脂によりコーティングされた無機繊維を含有させるだけで、耐衝撃性と耐熱性とを向上できるとともに、上記無機繊維の本来の効果により例えば曲げ弾性率等の特性をも向上できる。
上記無機繊維に上記樹脂をコーティングする量及び厚さは、上記無機繊維の本来の効果を低減しないように、コーティング量としては無機繊維100重量部に対して0.1〜3重量部、コーティング厚さとしては1〜30nmが好ましい。また、上記無機繊維は、その表面全体を上記樹脂でコーティングすることが望ましい。
上記無機繊維は、ガラス繊維又は炭素繊維であることが好ましい。これらの無機繊維は、強度が大きく、耐熱性が高いからである。なお、無機繊維の平均繊維長さは、通常0.5〜3mmである。
また、上記コーティングされた無機繊維の含有量は、植物性樹脂含有組成物の全重量に対して5重量%以上35重量%以下であることが好ましい。5重量%未満では上記無機繊維の本来の効果が得られず、35重量%を超えると流動性が低下して成形性が悪化するからである。
また、上記植物性樹脂含有組成物は、熱可塑性樹脂を含んでいるため、ポリ乳酸の一部を耐衝撃性や耐熱性に優れた石油由来の熱可塑性樹脂で置き換えたポリマーアロイとすることができ、耐衝撃性及び耐熱性をさらに向上させることができる。
上記熱可塑性樹脂は、生分解性樹脂であることが好ましい。樹脂成分をすべて生分解性樹脂とすることで、対環境性をさらに向上させることができるからである。ポリ乳酸以外の生分解性樹脂としては、例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、芳香族脂肪族コポリエステル等が使用できる。その中で特に、ポリブチレンサクシネート又はポリブチレンサクシネートアジペートが好ましい。ポリブチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネートアジペートは結晶性樹脂であり、結晶核となることにより、ポリ乳酸の結晶化を促進できるからである。これにより、上記植物性樹脂含有組成物の耐衝撃性と耐熱性とをさらに向上できる。
また、上記熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂アロイ、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート及びポリエチレンから選ばれる少なくとも1種類の樹脂であってもよい。これらの樹脂は、ポリ乳酸よりも耐衝撃性と耐熱性とが十分に高く、ポリ乳酸とポリマーアロイを形成可能だからである。
上記ポリ乳酸と上記熱可塑性樹脂との重量混合比は、4:6〜7:3であることが好ましい。この範囲内であれば、ポリ乳酸の特性と熱可塑性樹脂の特性とを共により効果的に発揮できるからである。
上記樹脂組成物は、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂のいずれか一方を主成分として含む樹脂によりコーティングした非繊維無機フィラーをさらに含んでもよい。これにより、樹脂構造を脆くすることなく、ポリ乳酸及び熱可塑性樹脂と、上記非繊維無機フィラーとを、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂を介して強固に結合させることができ、耐衝撃性と耐熱性とを低下させずに、上記非繊維無機フィラーの種類を選択することで、機械的強度、難燃性、導電性等の特性を向上できる。これらの特性の向上は、非繊維無機フィラーの本来の効果である。
上記非繊維無機フィラーとしては、金属水酸化物、金属酸化物、タルク、カーボンブラック等を使用できる。金属水酸化物としては、例えばAl(OH)3、Mg(OH)2等が使用でき、金属酸化物としては、例えばSb23、Fe23、Cu2O等を使用できる。金属水酸化物及び金属酸化物は難燃剤として機能し、タルクは結晶化剤として機能し、カーボンブラックは導電剤として機能する。
上記コーティングされた非繊維無機フィラーと上記コーティングされた無機繊維との合計含有量は、植物性樹脂含有組成物の全重量に対して5重量%以上50重量%以下であることが好ましい。5重量%未満では上記非繊維無機フィラー及び上記無機繊維の本来の効果が得られず、50重量%を超えると流動性が低下して成形性が悪化するからである。
上記植物性樹脂含有組成物には、さらに改質剤として乳酸系ポリエステルを添加することが好ましい。これにより、耐衝撃性が向上するのみならず、難燃化効果も向上する。この乳酸系ポリエステルとしては、乳酸とジカルボン酸とジオールとを共重合したポリマーが使用できる。このジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等を挙げることができる。また、ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等を挙げることができる。
上記植物性樹脂含有組成物には、さらに添加剤として、可塑剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、顔料、着色剤、帯電防止剤、香料、発泡剤、抗菌・抗カビ剤等を配合することも可能である。これらの添加により、耐衝撃性、耐熱性、剛性等がより改善されると共に、他の特性をも付与できる。これらの添加剤の選択にあたっては、ポリ乳酸系樹脂の特性に鑑みて、生物に対して無害なもので、燃焼により有毒ガスを発生しないなど、環境に対して低負荷な材料を選択することが好ましい。
(実施形態2)
次に、本発明の植物性樹脂含有成形体の実施形態について説明する。本発明の植物性樹脂含有成形体は、実施形態1で説明した本発明の植物性樹脂含有組成物から形成された樹脂成形体である。これにより、対環境性に非常に優れ、且つ耐衝撃性及び耐熱性が高く、並びに引張強度、曲げ弾性率、熱収縮率(寸法精度)等の特性が向上した樹脂成形体を提供できる。また、本発明の植物性樹脂含有成形体は、粉砕等した後に再溶融・再成形させるリサイクル処理を行った後でも、高い耐衝撃性と耐熱性とを維持することができる。
上記樹脂成形体には、例えば、ノートパソコン、携帯電話等の電子機器の植物性樹脂含有筐体が含まれる。図1は、本発明の植物性樹脂含有成形体の一例を示すノートパソコン用筐体の正面図である。図1の筐体は、射出成形により形成できる。
(実施形態3)
次に、本発明における植物性樹脂含有組成物及び植物性樹脂含有成形体の製造方法の実施形態について説明する。
本発明における植物性樹脂含有組成物の製造方法の一例は、先ず、無機繊維をエポキシ樹脂又はウレタン樹脂のいずれか一方を主成分として含む樹脂でコーティングする工程を含む。コーティング方法は特に限定されず、溶融した上記樹脂に集束済みの無機繊維を浸漬する方法等により行うことができる。
次に、高温で溶融したポリ乳酸と熱可塑性樹脂とに、上記コーティングした無機繊維を混練する。混練は押出機を用いて行うことができる。押出機としては、単軸押出機、二軸押出機のいずれも使用できるが、同方向二軸押出機を使用することが好ましい。樹脂と無機繊維とのより均一な混合が可能だからである。溶融温度は、210℃〜230℃以下とする。
このように、本発明の植物性樹脂含有組成物は、上記樹脂でコーティングした無機繊維を添加するのみで、耐衝撃性と耐熱性とを向上させることができ、製造工程を簡略化できる。また、コーティングに使用する樹脂の量は、前述のように少量でよいため、製造コストを上昇させることなく、上記植物性樹脂含有組成物の耐衝撃性と耐熱性とを向上させることができる。
また、本発明における植物性樹脂含有成形体の製造方法の一例は、上記植物性樹脂含有組成物を射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形等により成形する工程を含む。成形条件としては、例えば射出成形の場合では、次のように設定できる。射出成形前の植物性樹脂含有組成物の乾燥条件は、乾燥温度が70℃〜100℃、乾燥時間が4時間〜6時間である。また、射出成形の際の金型温度は、10℃〜85℃、シリンダ温度は、210℃〜230℃、冷却時間は、10秒〜90秒である。
次に、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<樹脂組成物の作製>
先ず、マトリクス樹脂として、三井化学社製のポリ乳酸“レイシアH−100J”(商品名)と、生分解性樹脂である昭和高分子社製のポリブチレンサクシネート“ビオノーレ1020”(商品名)とを準備した。また、日東紡社製のコーティングガラス繊維“CS−3PE−941”を準備した。このコーティングガラス繊維は、ガラス繊維の表面を予めシランカップリング処理した後、マトリクス樹脂との親和性を持ち、耐熱性をも有するエポキシ系化合物を主成分とするサイジング剤でコーティングしたものである。このサイジング剤は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂85重量部とポリエステルジオール系ウレタン樹脂15重量とを混合したものである。
次に、上記ポリ乳酸と上記ポリブチレンサクシネートとを重量比1:1で混合したマトリクス樹脂70重量部と、上記コーティングガラス繊維30重量部とを、テクノベル(TECHNOVEL)社製の同方向回転完全噛合型2ベントタイプ二軸押出機“ベルストルフZE40A”(商品名)を用いて混練した。混練後、溶融物を押出機の口金よりストランド状に押出し、水冷した後にペレタイザーで切断し、本実施例のペレット状の樹脂組成物を作製した。
<アイゾット衝撃強度の測定>
上記ペレット状の樹脂組成物を90℃で5時間乾燥した後、金型温度80℃、シリンダ温度220℃、冷却時間30秒で射出成形して得られたJIS Z 2204 1号試験片(12mm×127mm×3.2mm)を加工して、JIS Z 2204 2号A試験片(12mm×64mm×3.2mm、ノッチ2.54mm)を成形し、アイゾット衝撃強度を測定した。具体的には、東洋精機製作所製のアイゾット衝撃試験機“B−121202403”(商品名)を使用し、JIS K 7110に準拠して、アイゾット衝撃試験を行った。その結果を表1に示す。
<曲げ強さの測定>
上記ペレット状の樹脂組成物を90℃で5時間乾燥した後、金型温度80℃、シリンダ温度220℃、冷却時間30秒で射出成形し、JIS Z 2204 1号試験片(12mm×127mm×3.2mm)を成形し、曲げ強さを測定した。具体的には、インストロン社製の万能試験機“INSTORON5581”(商品名)を使用し、JIS K 7203に準拠して、曲げ強さ試験を行った。その結果を曲げ弾性率として表1に示す。
<荷重たわみ温度の測定>
上記ペレット状の樹脂組成物を90℃で5時間乾燥した後、金型温度80℃、シリンダ温度220℃、冷却時間30秒で射出成形し、JIS Z 2204 1号試験片(12mm×127mm×3.2mm)を成形し、荷重たわみ温度を測定した。具体的には、安田精機製作所製のヒートデストーションテスタ“148HD−PC”(商品名)を使用し、試験片の大きさ以外はJIS K 7220に準拠して、荷重たわみ温度試験を行った。その結果を表1に示す。
<熱収縮率の測定>
JIS Z 2204 1号試験片(12mm×127mm×3.2mm)を用いて熱収縮率を測定した。具体的には、試験片を温度100℃で1時間加熱処理し、加熱処理の前後の試験片の長さをノギスで測定し、下記式により熱収縮率α(%)を測定した。
熱収縮率α=〔(加熱処理前の長さ−加熱処理後の長さ)/加熱処理前の長さ〕×100
その結果を表1に示す。
上記アイゾット衝撃強度、曲げ強さ、荷重たわみ温度及び熱収縮率の測定における各試験片の成形は、住友重機工業社製の横型射出成形機“SG50−SYCAP MIII”(型締め力:50t)を使用した。また、各測定はそれぞれ5つのサンプルについて行い、その測定した値の平均値を測定値とした。
(実施例2)
先ず、マトリクス樹脂として、三井化学社製のポリ乳酸“レイシアH−100J”(商品名)と、生分解性樹脂である昭和高分子社製のポリブチレンサクシネート“ビオノーレ1020”(商品名)とを準備した。また、三菱レイヨン社製のコーティング炭素繊維“TR−06U”を準備した。このコーティング炭素繊維は、炭素繊維の表面を予めシランカップリング処理した後、マトリクス樹脂との親和性を持ち、耐熱性をも有するウレタン系化合物を主成分とするサイジング剤でコーティングしたものである。このサイジング剤は、ポリエステルジオール系ウレタン樹脂63重量部とビスフェノールA型エポキシ樹脂37重量とを混合したものである。
次に、上記ポリ乳酸と上記ポリブチレンサクシネートとを重量比1:1で混合したマトリクス樹脂65重量部と、上記コーティング炭素繊維35重量部とを、テクノベル(TECHNOVEL)社製の同方向回転完全噛合型2ベントタイプ二軸押出機“ベルストルフZE40A”(商品名)を用いて混練した。混練後、溶融物を押出機の口金よりストランド状に押出し、水冷した後にペレタイザーで切断し、本実施例のペレット状の樹脂組成物を作製した。
次に、上記樹脂組成物を用いて実施例1と同様にして試験片を成形し、その試験片を用いて実施例1と同様にしてアイゾット衝撃強度、曲げ強さ、荷重たわみ温度及び熱収縮率をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリブチレンサクシネートに代えて、ABS樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、実施例1と同様にしてアイゾット衝撃強度、曲げ強さ、荷重たわみ温度及び熱収縮率をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
ガラス繊維を用いなかった以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、実施例1と同様にしてアイゾット衝撃強度、曲げ強さ、荷重たわみ温度及び熱収縮率をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
(比較例2)
コーティングガラス繊維“CS−3PE−941”に代えて、従来の日東紡社製のコーティングガラス繊維“CS−3PE−957”(商品名)を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、実施例1と同様にしてアイゾット衝撃強度、曲げ強さ、荷重たわみ温度及び熱収縮率をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
本比較例で使用したコーティングガラス繊維は、ガラス繊維の表面を予めシランカップリング処理した後、アクリル系化合物を主成分とするサイジング剤でコーティングしたものである。このサイジング剤は、ポリエチレン60重量部と、ウレタン樹脂20重量部と、ポリグリシジルメタクリレート20重量部とを混合したものである。
<透過電子顕微鏡(TEM)による観察>
実施例1と比較例2のそれぞれのサンプルの幅方向の断面を、日立製作所製の透過電子顕微鏡“H−7100FA”を用いて観察した。その結果、実施例1では、ガラス繊維とマトリクス樹脂とはその界面で密着しているのが観察された。一方、比較例2では、ガラス繊維とマトリクス樹脂とはその界面で密着せず、ガラス繊維とマトリクス樹脂との間には空隙が観察された。
Figure 2007070428
表1から、本発明のコーティングガラス繊維を用いた実施例1は、ガラス繊維を用いなかった比較例1に比べて、ガラス繊維の本来の効果である曲げ弾性率及び熱収縮率だけでなく、本発明の効果であるアイゾット衝撃強度及び荷重たわみ温度の特性も向上していることが分かる。
また、本発明のコーティング炭素繊維を用いた実施例2は、炭素繊維を用いなかった比較例1に比べて、炭素繊維の本来の効果である曲げ弾性率及び熱収縮率だけでなく、本発明の効果であるアイゾット衝撃強度及び荷重たわみ温度の特性も向上していることが分かる。
一方、従来のコーティングガラス繊維を用いた比較例2は、無機繊維を用いなかった比較例1に比べて曲げ弾性率及び熱収縮率の特性は向上したが、アイゾット衝撃強度及び荷重たわみ温度の特性向上は見られなかった。
以上の実施例1〜3を含む本発明の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) ポリ乳酸と、熱可塑性樹脂と、無機繊維とを含む植物性樹脂含有組成物であって、
前記無機繊維は、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂のいずれか一方を主成分として含む樹脂によりコーティングされていることを特徴とする植物性樹脂含有組成物。
(付記2) 前記無機繊維は、ガラス繊維又は炭素繊維である付記1に記載の植物性樹脂含有組成物。
(付記3) 前記無機繊維の含有量は、前記植物性樹脂含有組成物の全重量に対して5重量%以上35重量%以下である付記1又は2に記載の植物性樹脂含有組成物。
(付記4) 前記熱可塑性樹脂は、生分解性樹脂である付記1に記載の植物性樹脂含有組成物。
(付記5) 前記生分解性樹脂は、ポリブチレンサクシネート又はポリブチレンサクシネートアジペートである付記4に記載の植物性樹脂含有組成物。
(付記6) 前記熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂アロイ、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート及びポリエチレンから選ばれる少なくとも1種類の樹脂である付記1に記載の植物性樹脂含有組成物。
(付記7) 前記ポリ乳酸と前記熱可塑性樹脂との重量混合比は、4:6〜7:3である付記1に記載の植物性樹脂含有組成物。
(付記8) エポキシ樹脂又はウレタン樹脂のいずれか一方を主成分として含む樹脂によりコーティングした非繊維無機フィラーをさらに含む付記1〜7のいずれか1項に記載の植物性樹脂含有組成物。
(付記9) 前記非繊維無機フィラーは、金属水酸化物又は金属酸化物からなる付記8に記載の植物性樹脂含有組成物。
(付記10) 前記非繊維無機フィラーは、タルク又はカーボンブラックからなる付記8に記載の植物性樹脂含有組成物。
(付記11) 付記1〜10のいずれか1項に記載の植物性樹脂含有組成物から形成されていることを特徴とする植物性樹脂含有成形体。
以上のように本発明によれば、耐衝撃性及び耐熱性の高い植物性樹脂含有組成物及びそれを用いた植物性樹脂含有成形体を提供でき、植物性樹脂含有組成物から形成したノートパソコン、携帯電話等を代表とする電子機器用筐体の耐衝撃性と耐熱性を向上させることができる。
本発明の植物性樹脂含有成形体の一例を示すノートパソコン用筐体の正面図である。

Claims (5)

  1. ポリ乳酸と、熱可塑性樹脂と、無機繊維とを含む植物性樹脂含有組成物であって、
    前記無機繊維は、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂のいずれか一方を主成分として含む樹脂によりコーティングされていることを特徴とする植物性樹脂含有組成物。
  2. 前記無機繊維の含有量は、前記植物性樹脂含有組成物の全重量に対して5重量%以上35重量%以下である請求項1に記載の植物性樹脂含有組成物。
  3. 前記熱可塑性樹脂は、生分解性樹脂である請求項1に記載の植物性樹脂含有組成物。
  4. 前記ポリ乳酸と前記熱可塑性樹脂との重量混合比は、4:6〜7:3である請求項1又は3に記載の植物性樹脂含有組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の植物性樹脂含有組成物から形成されていることを特徴とする植物性樹脂含有成形体。
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