JP2007069480A - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】可逆性感熱記録媒体が製造工程または使用環境などで紫外線に曝された場合に、紫外線による分子分解の悪影響が基材層に及ばないようにし、耐紫外線性により変色がなく、視認性に優れた可逆性感熱記録媒体とすることである。
【解決手段】基材層1の表面側にバリア層2と保護層3とからなる2層の紫外線硬化性樹脂層を設けると共に、温度変化に伴う発色性または透明性の変化により可視画像を表示および消去可能な可逆性感熱記録層4とを一体に設けたカード状積層体からなる可逆性感熱記録媒体Aであり、この積層体における基材層1と基材層1に最も近い紫外線硬化性樹脂層であるバリア層2との間に紫外線不透過層5を設けた可逆性感熱記録媒体とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、熱や光により文字や画像等の情報を表示または消去可能な可逆性感熱記録媒体およびこれを用いた情報記録表示媒体に関する。
一般に、磁気記録手段やICチップを内蔵する情報記録装置の表示手段として、可逆性感熱記録層を有するカード状の可逆性感熱記録媒体が知られている(特許文献1、2、3)。
このようなカード状の可逆性感熱記録媒体は、磁気カードまたはICカードとも呼ばれるものであり、可逆性感熱記録層を形成するには、材料に溶剤を加えて塗液とし、これを基材に塗布して乾燥させる。その際に、形成された可逆性感熱記録層内に残った溶剤が基材を損傷する場合があった。
図3に示すように、このような原因による基材層12の損傷を防止するために、溶剤が基材層12に触れないように基材層12と可逆性感熱記録層13との間に耐溶剤性に優れた樹脂でバリア層14を設ける手法が採られることが知られている(特許文献4)。
特開昭63− 41186号公報 特開平 2−188293号公報 特開平 5−124360号公報 特開2000−148794号公報(請求項6参照)
しかし、上記した従来技術の可逆性感熱記録媒体において、紫外線の多い環境で使用された場合に基材層の劣化や変色といった問題が起こる場合がある。
また、可逆性感熱記録媒体の製造工程において、耐溶剤性に優れたバリア層として紫外線硬化性樹脂が採用された場合に、バリア層の硬化処理として紫外線が照射されることになるが、このときの紫外線が基材層を劣化させ、または変色(いわゆる「色やけ」)させ、製品の視認性を妨げる等の好ましくない影響を与えるという問題点があった。
また、紫外線硬化性樹脂からなる層は、溶剤を非透過にするバリア層として採用されるばかりでなく、可逆性感熱記録層の外側(表面)に保護層として設ける場合があり、その場合の硬化処理時にも同様に紫外線が基材層を劣化させ、変色させるなどの好ましくない影響があった。
このような問題点は、基材層を形成するための樹脂として、紫外線エネルギーにより分解されやすい非晶質ポリエステル樹脂を採用した基材層である場合に特に起こりやすいことである。
因みに「色やけ」は、基材のポリエステル樹脂が、紫外線のエネルギーにより分解されて起こるが、このような「色やけ」は、シート状の可逆性感熱記録媒体を最終製品のカード状情報記録媒体にも残存し、その外観を悪くする。例えば、白色のカード状情報記録媒体が黄変した状態に仕上がり、これではデザイン(意匠)にも好ましくない影響を及ぼし、商品としての外観やイメージも低下させることになる。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決し、可逆性感熱記録媒体が製造工程または使用環境などで紫外線に曝された場合に、紫外線による分子分解による好ましくない影響が基材層に及ばないようにし、耐紫外線性により変色がなく、視認性に優れた可逆性感熱記録媒体とすることである。
また、特にこの発明の他の課題としては、可逆性感熱記録媒体において、耐溶剤性に優れたバリア層や保護層として紫外線硬化性樹脂を採用した場合に、その硬化処理として照射される紫外線により基材層の変色や劣化を起こさないようにすることである。
特に、この発明の可逆性感熱記録媒体において、非晶質ポリエステル樹脂を含有する基材層を採用した場合には、バリア層や保護層などに紫外線硬化性樹脂を採用する場合のみならず、バリア層や保護層などに紫外線硬化性樹脂を採用しない場合でも、紫外線の影響が基材層に及ばないようにして、耐紫外線性に優れた可逆性感熱記録媒体とすることである。
上記した課題を解決するために、この発明においては、基材層の表面側に、温度変化に伴う発色性または透明性の変化により可視画像を表示および消去可能な可逆性感熱記録層を一体に設けた積層体からなり、この積層体における可逆性感熱記録層と前記基材層との間に紫外線不透過層を設けてなる可逆性感熱記録媒体としたのである。
上記したように構成されるこの発明の可逆性感熱記録媒体は、基材層の表面側から可逆性感熱記録層を通過して紫外線が照射された場合でも紫外線不透過層がそのような紫外線を吸収することにより、基材層まで紫外線を到達させない。そのため、紫外線の悪影響が基材層に及ばないようになり、耐紫外線性に優れ、視認性に優れた可逆性感熱記録媒体になる。
また、前記した課題を解決するために、他の可逆性感熱記録媒体に係る発明においては、
基材層の表面側に、1層以上の紫外線硬化性樹脂層と、温度変化に伴う発色性または透明性の変化により可視画像を表示および消去可能な可逆性感熱記録層とを一体に設けた積層体からなり、この積層体における基材層と基材層に最も近い紫外線硬化性樹脂層との間に紫外線不透過層を設けてなる可逆性感熱記録媒体としたのである。
上記したように構成されるこの発明の可逆性感熱記録媒体は、基材層と基材層に最も近い紫外線硬化性樹脂層との間に紫外線不透過層を設けたので、可逆性感熱記録媒体の紫外線硬化性樹脂層に対して硬化処理のために紫外線を照射する際、紫外線が紫外線不透過層で吸収または反射等されてこの層を透過せず基材層に到達しない。そのため、製造工程で曝される紫外線の影響が基材層に及ばず、耐紫外線性に優れて変色のない視認性に優れた可逆性感熱記録媒体となる。
また、紫外線不透過層として、高分子型紫外線吸収剤からなる紫外線不透過層を設けた上記の可逆性感熱記録媒体にすると、紫外線吸収剤のブリードを防止し、層間剥離がなく、強度に経時劣化のない可逆性感熱記録媒体となるので好ましく、また効率よく紫外線を吸収して可及的に層厚の薄い可逆性感熱記録媒体とするためにもそのような構成が好ましい。
このように好ましい作用のある高分子型紫外線吸収剤からなる紫外線不透過層としては、紫外線不透過層が、紫外線吸収性分子構造を有するモノマーと重合性モノマーとの高分子共重合体、または紫外線吸収性分子構造を有するモノマーの重付加物もしくは重縮合物からなる紫外線不透過層が好ましいものである。
また、この発明では、可逆性感熱記録媒体が上記した構成により、基材層と基材層に最も近い紫外線硬化性樹脂層との間に紫外線不透過層を設けているので、非晶質ポリエステル樹脂を100重量%以下の割合で含有する基材層を採用した場合にも、バリア層や保護層などとして紫外線硬化性樹脂を使用する場合のみならず、紫外線硬化性樹脂が使用されない場合でも、使用環境における紫外線の影響が基材層に及ばないようにして、耐紫外線性に優れた可逆性感熱記録媒体となる。
すなわち、非晶質ポリエステル樹脂を100重量%以下の割合で含有する基材層の表面側に、温度変化に伴う発色性または透明性の変化により可視画像を表示および消去可能な可逆性感熱記録層を一体に設けた積層体からなり、この積層体における可逆性感熱記録層と基材層との間に紫外線不透過層を設けてなる可逆性感熱記録媒体とすることにより、使用環境における紫外線の影響が基材層に及ばないので、耐紫外線性に優れた可逆性感熱記録媒体となる。
以上のように構成される可逆性感熱記録媒体を用い、これに非接触ICチップおよびアンテナを重ねて一体化して設けた情報記録表示媒体とすることにより、製造工程または使用環境で曝される紫外線の影響が可逆性感熱記録媒体の基材層に及ばないようになり、耐紫外線性に優れて変色のない視認性に優れた情報記録表示媒体となる。
この発明の可逆性感熱記録媒体は、可逆性感熱記録層と前記基材層との間に紫外線不透過層を設けたので、製造工程または使用環境などで紫外線に曝された際に、紫外線による基材分子分解の悪影響がなく、耐紫外線性に優れていて変色がなく、視認性に優れた可逆性感熱記録媒体となる利点がある。特に、非晶質ポリエステル樹脂を含有する基材層を採用した場合にも、紫外線の影響が基材層に及ばず、耐紫外線性に優れた可逆性感熱記録媒体となる利点がある。
また、基材層と基材層に最も近い紫外線硬化性樹脂層との間に紫外線不透過層を設けたこの発明の可逆性感熱記録媒体では、バリア層や保護層などとして紫外線硬化性樹脂が採用された場合に、特に製造工程で曝される紫外線の影響が基材層に及ばないようになり、耐紫外線性に優れて変色のない視認性に優れた可逆性感熱記録媒体となる利点がある。
また、このような利点を有する可逆性感熱記録媒体を用い、これに非接触ICチップおよびアンテナを重ねて一体化して設けた情報記録表示媒体とすることにより、製造工程または使用環境で曝される紫外線の影響がなく、耐紫外線性に優れて変色のない視認性に優れた情報記録表示媒体となる。
この発明の実施形態とその製造方法を以下に添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、第1実施形態の可逆性感熱記録媒体は、基材層1の表面側にバリア層2と保護層3とからなる2層の紫外線硬化性樹脂層を設けると共に、温度変化に伴う発色性または透明性の変化により可視画像を表示および消去可能な可逆性感熱記録層4とを一体に設けたカード状積層体からなる可逆性感熱記録媒体Aであり、この積層体における基材層1と基材層1に最も近い紫外線硬化性樹脂層であるバリア層2との間に紫外線不透過層5を設けたものである。この実施形態は、積層体における可逆性感熱記録層4と基材層1との間に紫外線不透過層5を設けた可逆性感熱記録媒体Aであるということもできる。
図2に示すように、第2実施形態の情報記録表示媒体Bは、その基材層として2枚のコアシート6、7を用い、その1枚の片側に上記同様に、紫外線不透過層5と、バリア層2と、可逆性感熱記録層4と、保護層3とを順に積層して設け、もう1枚のコアシート7との間に、アンテナコイル8と一体の非接触型ICチップ9を埋設したインレットシート10を挟持するように積層し、さらにオーバーシート11を重ねてこれらを加熱加圧して一体化した積層体からなる。これをカード状に打ち抜くと情報記録表示カードになり、またタグその他の情報記録表示媒体として所要の形状に適宜に製作することができる。
アンテナコイル8は、シート状素材に印刷やエッチングを行なうことにより形成してもよく、またアンテナコイルを配線したICチップ(図示せず。)を使用してもよい。
この発明の非接触ICチップ付きでカード状の情報記録表示媒体Bに記録された情報は、従来周知の方法によって、保存された情報を読み取ったり、新規な情報を書き込んだりすることができる。
上記した構成の第1実施形態および第2実施形態においては、基材層を構成する材料となるコアシート6、7が、積層体として一体化しやすいように接着性または熱融着性を考慮し、非晶質ポリエステル樹脂を100重量%以下の割合で含有する樹脂組成物で形成されることが好ましく、より具体的には一種類の非晶質ポリエステル樹脂組成物を含むものの他に、例えば複数の非晶質ポリエステル樹脂のポリマーアロイ樹脂組成物や非晶質ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のポリマーアロイ樹脂組成物等を用いて形成されることが好ましい。
ここで、非晶質ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分との脱水縮合体から得られるものであって、しかもカード等の製造工程において、プレス融着等のように実用上行なわれる熱加工を行なっても、結晶化による白濁化や融着不良等の実害を起こさないものであり、例えば分子構造上の結晶性の低いものの他、結晶化処理前のPBT(ポリブチレンテレフタレート)等も含む概念である。
非晶質ポリエステル系樹脂の原材料となる芳香族ジカルボン酸成分として好ましい代表例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、テレフタル酸の一部を他のジカルボン酸で置換したものでもよい。
ここでいう他のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ネオペンチル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、p−オキシ安息香酸などが挙げられる。なお、これらの他のジカルボン酸成分は、一種でも二種以上の混合物であってもよく、また、置換される他のジカルボン酸の量も適宜選択することができる。
また、非晶質ポリエステル系樹脂の原材料となるジオール成分の好ましい例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、これらのエチレングリコールは、その一部を他のジオール成分で置換したものであってもよい。
ここでいう他のジオール成分としては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロール、メトキシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。なお、これらの他のジオール成分は、一種でも二種以上の混合物であってもよく、また、置換される他のジオールの量も適宜選択することができる。
また、この発明に用いられる非晶質ポリエステル系樹脂のうち、テレフタル酸とエチレングリコールとを縮合重合させて形成されたポリエチレンテレフタレートは、コストの点から好ましいものであり、またテレフタル酸以外の他のジカルボン酸成分及び/又はエチレングリコール以外の他のジオール成分を含んだ共重合ポリエステルも好ましいものである。
共重合ポリエステルとしては、ジカルボン酸成分の60モル%以上がテレフタル酸であり、残りのジカルボン酸成分が他のジカルボン酸成分で置換されたジカルボン酸成分と、ジオール成分の60モル%以上がエチレングリコールで、残りのジオール成分が他のジオール成分で置換されたジオール成分とを縮合重合させた共重合ポリエステルが挙げられる。
さらにこの発明に用いる芳香族ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートと上記の共重合ポリエステルとの混合物を採用してもよい。
このような混合物を採用する場合には、特に共重合ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレートにおけるエチレングリコールの約30モル%を、1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換して作製され、実質的に非晶質性の芳香族ポリエステル樹脂が好ましく、例えばイーストマンケミカル社製の商品名が「PETG」のものを採用できる。
前記の非晶質ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のポリマーアロイ樹脂組成物におけるポリカーボネート樹脂は、主鎖にカーボネート結合(−O−CO−O−)を有する重合体であれば、これを広く採用できる。
ポリカーボネート系樹脂としては、フェノールとアセトンとから合成されるビスフェノールAから界面重合法、エステル交換法、ピリジン法等によって製造されるもの、ビスフェノールAとジカルボン酸誘導体(例えばテレ(イソ)フタル酸ジクロリド等)との共重合体により得られるポリエステルカーボネート、ビスフェノールAの誘導体(例えばテトラメチルビスフェノールA等)の重合により得られるものを例示することができる。
また、実施形態の基材層やオーバーシートは、以上述べた基材層を単層で採用できる他、単層でないもので要求機能が達成される場合には、例えば非晶質ポリエステル樹脂フィルムと他の種類の異なるフィルムとの2層以上の積層体を採用してもよい。
さらに、基材層には、必要に応じて、着色剤、滑剤、フィラー、衝撃改良剤等の添加剤を含有させてもよい。特に、タルクのような板状フィラー、またはポリブチレンテレフタレートのような引張強度を低下させるポリマーをブレンドしてもよい。
基材層の厚さは、作成するカード状などの情報記録表示媒体の厚さに対応するものであればよいが、一般的なカードの場合には50μm〜250μmが好ましく、75μm〜200μmであることがより好ましい。
この発明における紫外線不透過層には、周知の低分子型の紫外線吸収剤を高分子の樹脂母材に溶解または分散させたもの、または適宜に希釈して基材層(支持体)に塗布できる高分子型紫外線吸収剤を採用することができる。
低分子型の紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤または無機系紫外線吸収剤が挙げられる。低分子型の有機系紫外線吸収剤は、分子構造中に紫外線吸収能をもつ有機化合物であり、具体的には2、4―ジヒドロキシベンゾフェノン、2―ヒドロキシ−4―メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、トリアジン系、ベンゾエート系化合物などがあげられる。これらの紫外線吸収剤は単独で使われても良いし、二種類以上を混合しても良い。
無機系紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、シリカ、アルミナなどの紫外線領域に吸収を持つ顔料があげられる。この中でも、可視光領域には吸収を持たないものがより好ましい。これらの紫外線吸収剤は単独で使われても良いし、二種類以上を混合しても良い。
また、紫外線不透過層を形成する樹脂母材となる高分子樹脂としては、透明で製膜性のよいものが好ましく、さらに耐熱性に優れ、分解性、黄変性などがないものが好ましい。例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
高分子樹脂への紫外線吸収剤の含有量は、高分子樹脂100重量部に対して紫外線吸収剤5〜50重量部が好ましい。少なすぎると十分な耐候性が得られ難く、多すぎるとブリードが起こり、脆くなって接着性、耐久性等に影響を及ぼすからである。
次に、高分子型の紫外線吸収剤は、高分子構造中に紫外線吸収機能を示す構造を有する高分子重合体を用いうる。すなわち紫外線吸収性分子構造を有するモノマーと重合性モノマーとの高分子共重合体、または紫外線吸収性分子構造を有するモノマーの重付加物もしくは重縮合物からなる紫外線吸収剤である。
具体的には、分子構造中に反応性の不飽和エチレン基を有するベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなどの紫外線吸収分子構造をもつモノマーを、メタクリル酸メチル、スチレン、エチレンなどの重合性モノマーと共重合させた高分子共重合体が適用でき、また分子構造中にヒドロキシエチル基を有するベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなどの紫外線吸収分子構造をもつモノマーを、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸エステルなどのモノマーと重付加、重縮合させた高分子共重合体を挙げることができる。
上記した紫外線吸収分子構造をもつモノマーの具体例としては、2−ヒドロキシ−4−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロキシ)エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロキシ)エトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物や、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロキシプロピルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物が挙げられる。
これらのモノマーは単独成分であっても複数の成分であってもよく、また反応性HALS(ヒンダードアミン光安定剤)など他の機能性を有する反応性モノマーと共重合したものでも良い。
また、これらの高分子型紫外線吸収剤は、単独で使用しても2種以上混合して使用しても良く、低分子型紫外線吸収剤と併用し混合しても良い。
このような高分子型の紫外線吸収剤は、低分子型の紫外線吸収剤に比べて熱安定性や紫外線吸収性能安定性がよいという特徴があり、さらに低分子型に比べて紫外線吸収剤のブリードを抑えることができ、層間剥離や経時変化のない可逆性感熱記録媒体を得ることができるという優れた効果を奏する。また、高分子型の紫外線吸収剤は、低分子型よりも紫外線吸収機能が高いために、積層体構造の可逆性感熱記録媒体の厚みを薄く形成することができる。
高分子構造中に占める紫外線吸収機能を示す構造の割合は、5〜60重量%程度が好ましい。このような範囲未満の少量では、層を厚く形成しても充分な耐紫外線性がなく、上記範囲を超えて多量に配合すると、紫外線不透過層の形成のための製膜性や強度が不足する。
紫外線不透過層の厚みは、1〜10μm程度が好ましく、より好ましくは1〜5μmである。厚みが所定厚より薄いと紫外線吸収能の効果が充分に発揮されず、所定厚より厚い透明性や接着性が悪くなるからである。
なお、基材層自体に紫外線吸収剤を添加することも考えられるが、添加する紫外線吸収剤の量を多くせざるを得ないことから、ブリードが起こりやすくなったり、基材層の透明性を損なうことがあるので、好ましくない。さらに、シート製造時の熱や圧力変化により紫外線吸収剤が分解したり、昇華したりし、充分な効果が発揮できない場合があるため、好ましくない。
この発明における紫外線硬化性樹脂層を形成する紫外線硬化性樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどが挙げられる。また、ポリウレタンアクノリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートなどにオリゴマー成分、モノマー成分を添加することで伸び率を調整することもできる。
オリゴマー成分の例としては、ウレタンアクリレート化合物、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、エポキシアクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
また、紫外線硬化性樹脂の硬化収縮率の低減や硬化後の強度向上のため、ウレタンアクリレート分子内にアミド基を導入し、すなわちアミノ変性したウレタンアクリレートを配合してもよい。
このような紫外線硬化性樹脂層の厚さは、1〜10μmであることが、溶剤の不透過(バリア)性を確保するために好ましく、より好ましい層厚は1〜4μmである。
次に、可逆性感熱記録層について説明する。
可逆性感熱記録層は、透明性または発色性を温度によって可逆的に変化させることにより可視画像を表示および消去可能な材料からなり、このような色調変化タイプ、または透明性変化タイプの可逆性感熱記録材料は、樹脂母材と記録材料とからなる。
樹脂母材の種類としては、透明で製膜性の良い合成樹脂が好ましく、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、その他の酢酸ビニル化合物、塩化ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂などの透明なアモルファス樹脂などが挙げられ、これらは単独で用いても、または2種以上を混合して用いてもよい。さらに架橋性樹脂を用いることもできる。
透明性が変化するタイプの記録材料としては、有機低分子化合物を高分子樹脂母材内に0.1〜2.0μm程度の直径の集合体となって分散させたものが好ましく用いることができる。このタイプ記録層では、高分子樹脂母材中に分散した有機低分子化合物が、結晶化と溶融の間で体積変化を起こし、それに伴って高分子樹脂母材との間でボイドが生成され、これにより光散乱が生じるという作用を利用している。
有機低分子化合物の具体例としては、炭素数12以上の高級脂肪酸、高級脂肪酸エステルなど周知の有機低分子化合物の他、カルボン酸、ジカルボン酸、ケトン、エーテル、アルコール、エステル、スルフィド、脂肪酸アミド、脂肪族二塩基酸、脂肪族二塩基酸エステルおよびその誘導体などからなる結晶性低分子化合物でもよく、これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いることもできる。
この発明においては、樹脂母材に分散させる有機低分子化合物のうち、炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステルは、低融点(mp)のものであり、比較的低温での熱処理によって融解し、結晶化するので好ましいものである。さらに炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステルに加えて炭素数10以上の脂肪族二塩基酸の高融点(mp)のものを併用し、脂肪酸アルキルエステルと脂肪族二塩基酸の配合割合を調整すれば、透明化する温度領域を調整でき、所定温度での透明性および白濁の程度を変化させることができる。
また、炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステルの例としては、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ベヘニル、ベヘン酸メチル、ベヘン酸エチル、ベヘン酸ブチル、ベヘン酸オクチル、ベヘン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、リグノセリン酸メチル、リグノセリン酸エチルなどが挙げられる。
また炭素数10以上の脂肪族二塩基酸の例としては、セバシン酸、ドデカン2酸、テトラデカン2酸、エイコサン2酸などが挙げられる。
炭素数10以上の脂肪族二塩基酸としては、例えばセバシン酸、ドデカン2酸、テトラデカン2酸、エイコサン2酸等が挙げられる。炭素数12以上の脂肪酸アルキルエステルおよび炭素数10以上の脂肪族二塩基酸は、単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
発色性、すなわち色調が変化するタイプの記録材料の例としては、電子供与性呈色化合物及び電子受容性化合物を高分子樹脂母材に溶解もしくは分散させたものが挙げられる。熱の作用によって酸の性質を示したり、塩基の性質を示す電子受容性化合物が、可逆的構造を有する電子供与性呈色化合物に対して、顕色剤となったり、減色剤となったりすることを利用したものである。
例えば、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物の溶融温度異常の温度まで加熱した後、急に冷却すると発色し、溶融温度以下の温度で加熱した後、徐々に冷却すると消色する。また、顕色剤として長鎖アルキル基を持つ電子受容性化合物を用いた場合は、長鎖アルキル基構造のため顕色剤自体が凝集力を持つ。このため、加熱条件や加熱後の冷却速度により、ロイコ染料に接触したり分離したりすることができ、顕色剤とロイコ染料が接触することで発色し、分離することで消色するのである。
分子構造内にラクトン環を持ち、電子 放出によるラクトン環の開環という構造変化により発色性を示す電子供与性呈色性化合物(いわゆるロイコ染料)の具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(1−エチル2−メチルインドール−3−イル)フタリド等のフタリド化合物、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6(N−エチルイソペンチルアミノ)フルオラン、3−シクロヘキシルメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ベンジルエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−メチルプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオランなどのフルオラン化合物等が挙げられる。
電子受容性化合物としては、例えば炭素数6以上の脂肪族基を有する有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール性化合物(炭素数12以上の脂肪族基を有するフェノール性化合物が好ましい。)が挙げられる。
電子受容性化合物の具体例としては、例えばドデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、エイコシルホスホン酸、α−ヒドロキシデカン酸、α−ヒドロキシテトラデカン酸、α−ヒドロキシヘキサデカン酸、α−ヒドロキシオクタデカン酸、α−ヒドロキシペンタデカン酸、α−ヒドロキシエイコサン酸、α−ヒドロキシドコサン酸、α−ヒドロキシテトラコサン酸、α−ヒドロキシヘキサコサン酸、α−ヒドロキシオクタコサン酸などが挙げられる。
フェノール性化合物としては、例えば4´−ヒドロキシ−4−オクタデシルベンズアニリド、N−オクタデシル−4−ヒドロキシベンズアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N´−オクタデシル尿素、4−ヒドロキシフェニルプロピオノ−ベヘニルヒドラジドなどが挙げられる。
電子供与性呈色化合物、電子受容性化合物および高分子樹脂母材の配合割合は、例えばロイコ染料10質量部に対し、電子受容性化合物を好ましくは10〜100質量部、さらに好ましくは20〜50質量部であり、ロイコ染料10質量部に対し、高分子樹脂母材は、好ましくは10〜200質量部、さらに好ましくは20〜100質量部である。
可逆性記録層は、高分子樹脂母材中に有機低分子化合物を分散させたのち、支持体などの上に塗布することにより、または高分子樹脂母材中に電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物を溶解または分散させた後、支持体などの上に塗布することにより形成される。
可逆性感熱記録層の厚さは、3μm〜30μmであることが好ましいが、特にこの範囲に限定されるものではない。
透明白濁タイプの場合には、可視画像のコントラストを高くして鮮明さを向上させるために光反射層をさらに設けることが好ましい。光反射層は、例えばアルミニウム、スズなどの金属蒸着または蒸着箔の接着またはアルミニウム粉、白色系顔料等を混合した光反射性着色塗料を紫外線硬化性樹脂層または支持体上に塗布することにより形成しても良い。
可逆性感熱記録層が色調変化タイプによって形成されている場合には、光反射層の替わりに着色層を配置することが好ましい。着色層は、例えば、顔料、染料等を混合した着色塗料等を塗布することによって形成される。
図1に示すように、通常、可逆性記録層4の上には、保護層3が設けられる。保護層3を設けることにより、リライト耐久性やサーマルヘッドとのマッチング性を向上させることができる。
保護層3は、最外層となり、サーマルヘッドやその他の物等との接触を考慮して、耐擦傷性、耐汚染性に優れた材料からなることが好ましい。例えば、前述した紫外線硬化性樹脂の他に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアクリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、電子線硬化性樹脂等の樹脂を用いて形成することが好ましい。
紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマーを主成分とするものに、各種アクリレートモノマー、その他の添加剤等を適宜混合し、取扱い性、作業性、硬化性等を調整したものを使用することができる。
保護層3の厚みは、樹脂材料の種類等に応じて適宜設計することが好ましいが、一般的には、0.5〜20μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは2〜10μmの範囲内である。保護層の厚みが0.5μmより薄いと充分な保護効果が得られない場合があり、20μmより厚いと可逆性記録層のコントラストが低下することがある。
可逆性感熱記録媒体Aは、レーザー等の光を用いて可視画像を表示または消去することも可能であり、その場合には可逆性感熱記録層4に光吸収剤を含有させることが好ましい。光吸収剤の例としては、アゾ系色素、シアニン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、スクアリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトキノン系色素、ポリフィリン系色素、インジゴ系色素、ジチオール錯体系色素、アズレニウム系色素、キノンイミン系色素、キノンジミイン系色素等が挙げられる。
また、前記した光吸収剤に代えて、または光吸収剤の可逆性感熱記録層に対する添加と共に、可逆性感熱記録層4に隣接させて光熱変換層を配置してもよい。赤外線レーザーを使用する場合には、赤外線レーザーによる印字感度を向上させるために赤外吸収色素を含有する材料からなる可視光透過性の光熱変換層を設けることが好ましい。
赤外吸収色素としては、使用する半導体レーザー光の発振波長付近に吸収ピークをもつものが選択される。一般には、波長300nm〜1000nm、好ましくは700〜900nmの半導体レーザーを使用することができ、赤外吸収色素としては、かかる波長領域に吸収ピークを有するシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、アントラキノン系色素等が好ましく用いられる。
光熱変換層を構成する樹脂母材としては、可視光透過性が高く、製膜性が良好なものが好ましく、また、耐熱性に優れ、分解せず黄変しないものが好ましい。具体例としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリエステル−ウレタン共重合体等が挙げられる。また、可逆性記録層を構成する高分子樹脂母材と同様のものを使用してもよい。光熱変換層の厚さは、0.1μm〜10μmであることが好ましく、更に0.5μm〜5μmであることが好ましいが、特に、この範囲に限定されるものではない。
可逆性感熱記録媒体Aまたは情報記録表示媒体Bは、以上のような材料で形成されたオーバーシート、コアシート、インレットシート、その他のシートを重ね合わせ、一体に貼り合わせてカード状、シート状その他の積層体に形成することができる。
このような各シートの貼り合わせ手法は、シート同士が均一に密着して積層一体化されるならば周知の手法を採用すればよく、例えば接着剤を介した接着、加熱加圧による熱融着を採用できる。シート状に積層した場合には、その後に所定サイズのカード形状に打ち抜けばよい。前記した加熱加圧方式としては、シートの材質に適当であるようにプレス方式やラミネート方式などを適宜に選択して採用する。
可逆性感熱記録媒体Aまたは情報記録表示媒体Bに例えば発色画像を形成させるには、一旦、発色温度以上に加熱したのち急冷されるようにすればよい。具体的には、たとえばサーマルヘッドやレーザー光で短時間加熱すると記録層が局部的に加熱されるため、直ちに熱が拡散し急激な冷却が起こり、発色状態が固定できる。
一方、消色させるためには適当な熱源を用いて比較的長時間加熱し冷却するか、発色温度よりやや低い温度に一時的に加熱すればよい。長時間加熱すると記録媒体の広い範囲が昇温し、その後の冷却は遅くなるため、その過程で消色される。この場合の加熱方法には、熱ローラー、熱スタンプ、熱風、セラミックヒータなどを用いてもよいし、サーマルヘッドを用いて長時間加熱してもよい。記録層を消色温度域に加熱するためには、例えばサーマルヘッドへの印加電圧やパルス幅を調節することによって、印加エネルギーを記録時よりやや低下させればよい。
この方法を用いれば、サーマルヘッドだけで記録および消去でき、画像の消去と新しい画像の表示によりいわゆるオーバーライトが可能になる。記録装置としては、サーマルヘッドを有する熱プリンターであれば良く、熱転写プリンター、昇華型プリンターなどを用いても良い。また、熱ローラー、熱スタンプによって消色温度域に加熱して消去することもできる。画像の表示手段としては、サーマルヘッドやレーザー装置等が挙げられ、画像の消去手段としては、サーマルヘッド、セラミックヒータ、熱ローラー、熱スタンプ、熱風機等が挙げられる。
先ず、図1に層構成を示した第1実施形態と同じ構造の可逆性感熱記録媒体を製造した。
非結晶性ポリエステル樹脂(三菱樹脂社製:ディアフィクスPA−C、厚さ100μm)のシートを基材層1とし、その表面に以下の材料(1)(2)(3)を混合した組成物からなる紫外線不透過層形成用塗液を調製し、これをバーコーターでコーティングした後、100℃で5分間換羽させ、厚さ2μmの紫外線不透過層5を形成した。
[紫外線不透過層組成]
(1) アクリル樹脂(三菱レイヨン社製:BR−80) 50重量部
(2) ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバガイギー社製:チヌビン234)
20重量部
(3) トルエン 200重量部
次に、以下の材料(1)(2)(3)を混合した組成物からなる紫外線硬化性樹脂層(バリア層)の塗液を調製し、これをバーコーターで上記形成した紫外線不透過層に重ねて塗工し、160W/cmの高圧水銀ランプ下で5m/分の速度で通過させて紫外線硬化性樹脂層(バリア層)2を形成した。
[紫外線硬化性樹脂層(バリア層)の塗液組成]
(1) 紫外線硬化性樹脂(東亞合成社製:アロニックスM1200) 100重量部
(2) 重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製:イルガキュア184)3重量部
(3) 溶剤(2−プロパノール) 50重量部
次に、以下の工程で可逆性感熱記録層を形成した。すなわち、色素前駆体としてクリスタルバイオレットラクトン10質量部と、電子受容性化合物としてヒドロキシフェニルプロピオノ−ベヘニルヒドラジド20質量部と、高分子樹脂母材(三菱レイヨン社製:LR−1503)50質量部と、溶剤(トルエン)150質量部を混合し、ペイントシェーカーを用いて2時間分散させて可逆性記録層用分散液を調製した。この可逆性記録層用分散液に硬化剤としてイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製:コロネートL、固形分75質量%)を5質量部添加して充分に攪拌し、可逆性感熱記録層形成用の塗液を作製した。
得られた塗液を前記工程で作製した紫外線硬化性樹脂からなるバリア層2上にバーコーターで塗布し、100℃で5分間乾燥させて可逆性感熱記録層4を形成した。
次に、可逆性感熱記録層4の上に重ねて前記した紫外線硬化性樹脂層(バリア層)の塗液を乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布し、120W/cmの高圧水銀ランプ下で10m/分の速度で通過させて硬化させ紫外線硬化性樹脂層(保護層)3を形成して実施例1のシート状の可逆性感熱記録媒体を製造した。
次に、コアシート6、7として非結晶性ポリエステル樹脂(三菱樹脂社製:ディアフィクスPG−WHI、厚さ280μm)を2枚重ねて、これを前記のように製造した可逆性感熱記録媒体と、オーバーシートの非結晶性PETコポリマーであるPETG(三菱樹脂社製:ディアフィクスPA−C、厚さ100μm)との間に挟んで、温度130℃、圧力20kgf/cm2、保持時間10分の条件でプレス加工を行って積層一体化させた。
得られたシート状積層体からなる可逆性感熱記録媒体に対して、以下の(a)、(b)、(c)の評価項目により測定試験を行い、その結果を表1に示した。
(a) 地肌濃度
反射濃度計(X−Rite928)にて反射濃度を測定し、測定値を地肌濃度とした。因みに、測定値は数値が大きいほど黄色が強く、数値が小さいほど透明に近いことを示すものである。
(b) リライト特性
プリンターとして、パナソニックコミュニケーションズ社製:KU−R28112KFLを用い、サーマルヘッド印字条件0.5mJ/dots、ヒーターバー消去条件128℃(速度28mm/秒)で印字と消去を行なって、印字後の濃度をマクベス反射濃度計RD−918で測定し、消去後の濃度を反射濃度計X−Riteで測定した。
(c) 視認性
印字画像の外観を肉眼で見てカードが黄色に変化して印字画像が見えにくい場合を×印とし、カード全体が白色で鮮やかな青色に印字が見える場合を○印として評価した。
Figure 2007069480
実施例1において、紫外線不透過層を以下の組成で形成したこと以外は、全く同様にしてシート状の可逆性感熱記録媒体を作製した。
[紫外線不透過層組成]
(1) 高分子型ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(日本触媒社製:UV−G714)
100重量部
(2) メチルエチルケトン 300重量部
[比較例1]
実施例1において、紫外線不透過層を省略したこと以外は、全く同様にしてシート状の可逆性感熱記録媒体を作製した。
表1の結果からも明らかなように、紫外線不透過層を有していないシート状の可逆性感熱記録媒体は、製造直後からシート地が黄変して外観が不良であり、印字濃度は低く、消去濃度は高くて印字画像が見え難いため視認性の評価も悪いものであった。
これに対して、実施例1、2は、シート地が白色で外観が良好であり、印字濃度は高く、消去濃度は低くて印字画像が見えやすいため視認性の評価も良好であった。
なお、高分子型紫外線吸収剤を用いた実施例2の方が、実施例1よりも地肌濃度および消去濃度が低く、より優れたものであった。
第1実施形態の可逆性感熱記録媒体を示す断面図 第2実施形態の情報記録表示媒体を示す断面図 従来例の可逆性感熱記録媒体を示す断面図
符号の説明
1、12 基材層
2、14 バリア層
3 保護層
4、13 可逆性感熱記録層
5 紫外線不透過層
6、7 コアシート
8 アンテナコイル
9 ICチップ
10 インレットシート
11 オーバーシート
A 可逆性感熱記録媒体
B 情報記録表示媒体

Claims (6)

  1. 基材層の表面側に、温度変化に伴う発色性または透明性の変化により可視画像を表示および消去可能な可逆性感熱記録層を一体に設けた積層体からなり、この積層体における可逆性感熱記録層と前記基材層との間に紫外線不透過層を設けてなる可逆性感熱記録媒体。
  2. 基材層の表面側に、1層以上の紫外線硬化性樹脂層と、温度変化に伴う発色性または透明性の変化により可視画像を表示および消去可能な可逆性感熱記録層とを一体に設けた積層体からなり、この積層体における基材層とこの基材層に最も近い紫外線硬化性樹脂層との間に紫外線不透過層を設けてなる可逆性感熱記録媒体。
  3. 紫外線不透過層が、高分子型紫外線吸収剤からなる紫外線不透過層である請求項1または2のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
  4. 紫外線不透過層が、紫外線吸収性分子構造を有するモノマーと重合性モノマーとの高分子共重合体、または紫外線吸収性分子構造を有するモノマーの重付加物もしくは重縮合物からなる紫外線不透過層である請求項1または2のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
  5. 基材層が、非晶質ポリエステル樹脂を100重量%以下の割合で含有する基材層である請求項1〜4のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体に、非接触ICチップおよびアンテナを重ねて一体化して設けた情報記録表示媒体。
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