JP2007068969A - イオントフォレーシス装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電極構造体中において生じる電極反応によるガスの発生や好ましくないイオンの生成、或いは通電時における薬物の化学反応による変質を抑止、或いは少なくとも低減することができるイオントフォレーシス装置を提供する。
【解決手段】 イオントフォレーシス装置における作用側電極構造体又は非作用側電極構造体に、比表面積が10m/g以上の導電体を含有する分極性電極、単位体積当たりの静電容量が1F/g以上の導電体を含有する分極性電極、或いは活性炭を含有する分極性電極を設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、イオントフォレーシス装置に関し、特に、電極構造体における好ましくない電極反応を抑止ないし抑制できるイオントフォレーシス装置に関する。
イオントフォレーシスは、溶液中においてプラス又はマイナスのイオンに解離した薬物を電圧により駆動して経皮的に生体内に移行させるものであり、患者に対する負担が少なく、薬物の投与量の制御性に優れるなどの利点を有している。
図9は、上記イオントフォレーシスを行うための装置であるイオントフォレーシス装置の基本的な構成を示す説明図である。
図示されるように、イオントフォレーシス装置は、電極111と、プラス又はマイナスの薬物イオンに解離する薬物の溶液(薬液)を保持する薬液保持部114とを有する作用側電極構造体110、電極121と、電解液を保持する電解液保持部122とを有する非作用側電極構造体120、及び電極111、121に両端を接続された電源130を備えており、薬液保持部114及び電解液保持部122を生体皮膚に接触させた状態で電極111に薬物イオンと同一導電型の電圧を、電極121にその反対導電型の電圧を印加することで薬物イオンが生体に投与される。
このようなイオントフォレーシス装置における解決課題の一つに電極構造体110、120中において生じる種々の電極反応がある。
例えば、薬物がプラスの薬物イオンに解離するカチオン性薬物である場合には、水の電気分解によって電極111においては水素イオンや酸素ガスが発生する場合があり、電極121においては水酸基イオンや水素ガスが発生する場合があり、薬物の種類によっては通電時に電極111の近傍で薬物が化学反応を起こして変質する場合があり、更に、薬液保持部114に塩素イオンが含まれている場合には塩素ガスや次亜塩素酸が発生する場合がある。
同様に、薬物がマイナスの薬物イオンに解離するアニオン性薬物である場合には、水の電気分解によって電極111においては水酸基イオンや水素ガスが発生する場合があり、電極121においては水素イオンや酸素ガスが発生する場合があり、薬物の種類によっては通電時に電極111の近傍において薬物が化学反応を起こして変質する場合があり、更に、電解液保持部122に塩素イオンが含まれている場合には塩素ガスや次亜塩素酸が発生する場合がある。
電極構造体110、120において上記のようなガスが発生した場合には、電極111、121から薬液、電解液への通電が阻害されることになり、水素イオン、水酸基イオン、次亜塩素酸が発生した場合には、これらが生体界面に移行することで生体に有害な作用を及ぼすこととなる。また薬物の変質を生じると、所期の薬効が得られなくなったり、有毒性の物質が生成されるなどの好ましくない状況を生じる場合がある。
上記のような問題を解決できるイオントフォレーシス装置として、特許文献1は、陽極に銀電極、陰極に塩化銀電極が使用されるイオントフォレーシス装置を開示している。
このイオントフォレーシス装置では、通電によって陽極の銀は酸化されて不溶性の塩化銀となり、陰極では塩化銀が還元されて金属銀となる反応が優先的に生じるため、上記のような電極反応による各種ガスの発生や各種イオンの生成を抑制することができる。
しかしながら、このイオントフォレーシス装置では、装置の保存中における銀電極の溶解を防止することが難しく、特にカチオン性の薬物を投与する装置の場合には、適用できる薬物の種類が極めて限定されてしまう。また、銀電極から塩化銀が生成される際のモルフォロジー変化が大きいために、そのようなモルフォロジーの変化が装置の特性に影響を与えないための特別の配慮が必要となり、例えば、張り合わせの構造が採用できないなど、装置の形態に大きな制約を生じる問題もある。更に、このイオントフォレーシス装置では、通電時の薬物の変質の問題は解消されない。
上記の問題を解決できる他のイオントフォレーシス装置として、特許文献2は、図10に示されるイオントフォレーシス装置を開示している。
図示されるように、このイオントフォレーシス装置は、電極211と、電極211に接触する電解液を保持する電解液保持部212と、電解液保持部212の前面側に配置される第2導電型のイオン交換膜213と、イオン交換膜213の前面側に配置される第1導電型の薬物イオンを含む薬液を保持する薬液保持部214と、薬液保持部214の前面側に配置される第1導電型のイオン交換膜215を備える作用側電極構造体210と、図9と同様の非作用側電極構造体220及び電極230とから構成されている。
このイオントフォレーシス装置では、電解液と薬液とが第2導電型の第2イオン交換膜213によって区画されているため、電解液の組成を薬液と独立に選択することが可能である。従って、塩素イオンを含まない電解液を使用することが可能であり、電解液中の電解質として、水の電気分解よりも酸化又は還元電位の低いものを選択することで、水の電気分解に起因する酸素ガスや水素ガス、水素イオンや水酸基イオンの生成を抑制することが可能である。或いは複数種類の電解質を溶解させた緩衝電解液を使用することで、水素イオンや水酸基イオンが生成されることによるpH変化を抑制することも可能である。更に、このイオントフォレーシス装置では、薬物イオンの電解液保持部への移行が第2イオン交換膜により遮断されるために、通電時の化学反応によって薬物が変質する問題も解決されている。
その反面、特許文献2のイオントフォレーシス装置は、装置を構成する部材数が多く、しかも、電解液保持部212及び薬液保持部214はウェットな状態(含水率が高い状態)での取り扱いが必要になることから、製造の自動化や大量生産化が難しく、或いは製造コストの低減が難しいという問題がある。
米国特許第4744787号公報 特許第3040517号公報
本発明は、電極構造体中における酸素ガス、塩素ガス又は水素ガスの発生を抑止又は抑制することができるイオントフォレーシス装置を提供することをその目的とする。
本発明は、電極構造体中における水素イオン、水酸基イオン又は次亜塩素酸の発生を抑止又は抑制することができるイオントフォレーシス装置を提供することをもその目的とする。
本発明は、通電時の薬物の化学反応による変質を抑止又は抑制することができるイオントフォレーシス装置を提供することをもその目的とする。
本発明は、上記のようなガス又はイオンの発生、或いは薬物の変質を抑止又は抑制できるとともに、通電によって電極に大きなモルフォロジーの変化を生じさせないイオントフォレーシス装置を提供することをもその目的とする。
本発明は、上記のようなガス又はイオンの発生、或いは薬物の変質を抑止又は抑制できるとともに、構成が簡略化されたイオントフォレーシス装置を提供することをもその目的とする。
本発明は、上記のようなガス又はイオンの発生、或いは薬物の変質を抑止又は抑制できるとともに、製造の自動化又は大量生産化を行い易いイオントフォレーシス装置を提供することをもその目的とする。
本発明は、上記のようなガス又はイオンの発生、或いは薬物の変質を抑止又は抑制できるとともに、製造コストを低減することが可能なイオントフォレーシス装置を提供することをもその課題とする。
本発明は、単位重量当たりの静電容量が1F/g以上の導電体を含有する分極性電極を有する電極構造体を備えることを特徴とするイオントフォレーシス装置である(請求項1)。
請求項1のイオントフォレーシス装置は、単位重量当たりの静電容量が1F/g以上の導電体を含有する分極性電極(電気2重層容量キャパシタ(ECDC)とも呼ばれる)を有するが故に、分極性電極における通電は、分極性電極の表面に電気2重層が形成されることにより生じる。従って、電極反応を生じることなく、或いは電極反応を低減させた状態で、必要量の薬物イオンの投与に十分な通電を行うことが可能となる。その結果、酸素ガス、塩素ガス又は水素ガスなどのガスの発生、或いは水素イオン、水酸基イオン、次亜塩素酸などの好ましくないイオンの発生を抑止し、或いは少なくとも低減することができる。
請求項1における導電体の単位重量当たりの静電容量は、より好ましくは10F/g以上とすることができ、これにより、電極反応を生じることなく、或いは電極反応を低減させた状態で通電し得る電流量を増大させることができる。
本発明は、比表面積が10m/g以上の導電体を含有する分極性電極を有する電極構造体を備えることを特徴とするイオントフォレーシス装置とすることもできる(請求項2)。
請求項2のイオントフォレーシス装置は、比表面積が10m/g以上の導電体を含有する分極性電極を有するが故に、分極性電極における通電は、分極性電極の表面に電気2重層が形成されることにより生じる。従って、電極反応を生じることなく、或いは電極反応を低減させた状態で、必要量の薬物イオンの投与に十分な通電を行うことが可能となる。その結果、酸素ガス、塩素ガス又は水素ガスなどのガスの発生、或いは水素イオン、水酸基イオン、次亜塩素酸などの好ましくないイオンの発生を抑止し、或いは少なくとも低減することができる。
請求項2における導電体の比表面積は、より好ましくは100m/g以上とすることができ、これにより、電極反応を生じることなく、或いは電極反応を低減させた状態で通電し得る電流量を増大させることができる。
請求項1、2の発明における導電体としては、金、銀、アルミニウム、ステンレスなどの金属導電体、或いは活性炭や酸化ルテニウムなどの非金属導電体を使用することが可能であるが、この導電体として非金属導体を使用することが特に好ましく、これにより、分極性電極から金属イオンが溶出して生体に移行する懸念を低減又は解消することが可能となる。なお、分極性電極を構成する導電体として、アルマイトなどの表面に不溶化処理が施された金属導電体を使用した場合も、同様の効果を得ることができる。
本発明は、活性炭を含有する分極性電極を有する電極構造体を備えることを特徴とするイオントフォレーシス装置とすることもできる(請求項3)。
請求項3のイオントフォレーシス装置は、活性炭を含有する分極性電極を有するが故に、分極性電極における通電は、活性炭の表面に電気2重層が形成されることにより生じる。従って、電極反応を生じることなく、或いは電極反応を低減させた状態で、電解液や薬液への通電を行うことが可能となる。その結果、酸素ガス、塩素ガス又は水素ガスなどのガスの発生、或いは水素イオン、水酸基イオン、次亜塩素酸などの好ましくないイオンの発生を抑止し、或いは少なくとも低減することができる。
ここで分極性電極に含有させる活性炭には、ヤシ殻、木粉、石炭、ピッチ、コークスなどの炭素を含有する原料を炭化、賦活することで得られるごく普通の活性炭を使用することができる。請求項3の発明における活性炭は、単位重量当たりの静電容量が1F/g以上であること、或いは比表面積が10m/g以上であることが好ましい。
請求項3の発明では、活性炭として、天然繊維、人工繊維を炭化、賦活するなどにより得られる活性炭繊維を使用すること(請求項4)も可能であり、これにより、取扱性に優れる分極性電極を得ることができる。活性炭繊維繊維は、例えば、織布や不織布の形態のものを使用することができる。
また、この場合の活性炭繊維としては、ノボロイド繊維(フェノール樹脂を繊維化した後、架橋処理し、分子構造を3次元化させた繊維)を炭化、賦活させたものを使用すること(請求項5)が特に好ましく、これにより、柔軟性や機械的強度(引っ張り強度など)に優れるとともに極めて比表面積が高く、静電容量の大きい分極性電極を得ることができる。
請求項1〜5の発明においては、分極性電極に電解液を保持させることが可能であり(請求項6)、これにより、分極性電極と電解液の接触状態を良好なものとし、分極性電極から電解液への通電性を高めることができる。
なお、請求項6の発明では、電解液の浸透性に優れる活性炭又は活性炭繊維を含有する分極性電極を特に好ましく使用することができる。また、分極性電極に保持させる電解液に増粘剤を配合して電解液の粘度を調整することにより、分極性電極内における電解液の保持性を更に向上させ、分極性電極の取扱性や装置の組立の容易性を向上させることも可能である。
請求項1〜6の発明においては、分極性電極にバインダーポリマーを配合することが好ましい(請求項7)。
この場合に使用できるバインダーポリマーは、請求項1、2における導電体や請求項3における活性炭の結着剤としての役割を果たし、電解液などに溶解しない化学的に安定な性状を有するものであれば、特段の制限なく任意のポリマーを使用することができる。
例えば、活性炭を含有する分極性電極において、バインダーポリマーとしてフェノール樹脂などの熱硬化性の樹脂を使用する場合であれば、活性炭を分散させたバインダーポリマー、又は活性炭に含浸させたバインダーポリマーを熱硬化させて分極性電極を構成することが可能であり、或いは活性炭を分散させたバインダーポリマー、又は活性炭に含浸させたバインダーポリマーを熱硬化させ、更にこれを炭化、賦活して分極性電極の静電容量を増大させることも可能である。
またバインダーポリマーにある程度柔軟性のあるポリマーを使用するなどにより、分極性電極に柔軟性を持たせることが好ましく、これにより、生体の動きや皮膚の凹凸に追随できる柔軟性のある電極構造体を備えるイオントフォレーシス装置を提供することができる。
このような目的及び生体への安全性などから、バインダーポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン又はポリフッ化ビニリデンフロライドを使用することが好ましい。
活性炭を含有する分極性電極における活性炭97〜80重量部に対するバインダーポリマーの好ましい配合量は、3〜20重量部である。
請求項1〜8の発明においては、前記電極構造体が集電体を更に備え、前記分極性電極が前記集電体の前面側に配置されていることが好ましく(請求項9)、これにより、分極性電極から均等な電流密度での通電が生じるようにすることが可能となり、より効率の高い薬物投与を行いうるイオントフォレーシス装置を実現できる。
かかる目的を達成するために、請求項9の集電体は、分極性電極よりも比抵抗又は面抵抗が小さいものが使用される。
請求項9の発明においては、集電体が、炭素繊維又は炭素繊維紙により形成されていることが好ましい(請求項10)。
かかる構成によれば、金属製の部材を使用することなく電極構造体を形成することが可能となるため、金属製の部材から溶出した金属イオンが溶出して生体に移行する懸念を低減又は解消することが可能となる。
また炭素繊維や炭素繊維紙は面抵抗が低い素材であるため、分極性電極から均等な電流密度での通電を生じさせることが可能であり、炭素繊維や炭素繊維紙は柔軟性の高い素材であるため、生体の動きや皮膚の凹凸に追随できる柔軟性のある電極構造体を備えるイオントフォレーシス装置を提供することが可能になる。
請求項9又は10の発明においては、前記分極性電極にバインダーポリマーが配合されており、前記集電体に前記バインダーポリマーの一部が含浸されていることが好ましい(請求項11)。
この場合には、集電体にバインダーポリマーが含浸できることが必要であり、この必要から、請求項11における集電体としては、炭素繊維又は炭素繊維紙が特に好ましく使用される。
なお、請求項11のイオントフォレーシス装置では、バインダーポリマーの一部が集電体に含浸する際に、請求項1、2における導電体や請求項3における活性炭の一部がバインダポリマーとともに集電体内に入り込むようにしても構わない。
請求項11の発明におけるバインダーポリマーは、請求項7について上記したと同様のものを使用することができ、バインダーポリマーとして熱硬化性のものを使用した場合であれば、活性炭とバインダーポリマーよりなる組成物を集電体に含浸させた後に硬化させることができる。或いは、硬化させた後に更に、炭化、賦活することで静電容量を増大させることも可能である。
また、請求項8について上記したと同様の理由により、請求項11におけるバインダーポリマーとして、ポリテトラフルオロエチレン又はポリフッ化ビニリデンフロライドを使用することが好ましい。
請求項9〜11の発明における集電体は、本願出願人による特願2004−317317号に記載の構成を備えることができ、請求項10又は11の発明における集電体は、本願出願人による特願2005−222892号に記載の構成を備えることができる。
即ち、前記集電体にポリマーマトリクスにカーボン粉を混入させた導電性樹脂よりなる端子部材が取り付けられていること(請求項12)が可能であり、或いは前記集電体が、所定の面積を有する導電シート部と、前記導電シート部と一体に形成された延長部とを有すること(請求項13)が可能である。
請求項9の発明においては、前記集電体を、導電粉を含有する導電塗料の塗膜により形成することが可能であり(請求項14)、これにより、集電体の形成に係る製造コストを低減することが可能となる。
この場合、導電塗料に含有される導電粉としてカーボン粉を使用すること(請求項15)が好ましく、これにより、集電体から溶出した金属イオンが生体に移行する懸念を低減又は解消することが可能となる。
請求項14又は15の発明においては、前記分極性電極と前記集電体とを導電性接着剤により接着させることが可能であり(請求項16)、これにより、分極性電極と集電体との間での通電性を高めることができる。
請求項14〜16の発明においては、前記集電体をプラスチック基体上に形成することが可能であり(請求項17)、これにより、製造コストを大幅に上昇させることなく集電体の取扱性を向上させることができる。なお、この場合のプラスチック基体としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルム又は薄板を使用することが可能である。
上記請求項1〜17の発明における分極性電極を有する電極構造体は、イオントフォレーシス装置における作用側電極構造体として使用でき、或いは非作用側電極構造体として使用することができる。
即ち、イオントフォレーシス装置は、上記の通り、生体に投与すべき薬物イオンを保持する作用側電極構造体と、その対極としての役割を有する非作用側電極構造体とを有することが通常であるが、この場合には、本発明のイオントフォレーシス装置は、作用側電極構造体と非作用側電極構造体の少なくとも一方を、請求項1〜17の電極構造体としたものであり、好ましくは、この双方を請求項1〜17の電極構造体とすることができる。
イオントフォレーシス装置の種類によっては、電源の両極に接続される2つの電極構造体の双方に生体に投与すべき薬物が保持される場合があり(この場合は双方の電極構造体が、作用側電極構造体であるとともに非作用側電極構造体である)、或いは電源のそれぞれの極に複数の電極構造体が接続される場合もあるが、そのような場合は、本発明のイオントフォレーシス装置は、これらの電極構造体の少なくとも一つを、請求項1〜17の電極構造体としたものであり、好ましくは、その全てを請求項1〜17の電極構造体とすることができる。
請求項1〜17の発明においては、前記電極構造体が、前記分極性電極の前面側に配置され、薬物イオンを含有する薬液を保持する薬液保持部を更に備えることができる(請求項18)。
請求項18における薬物イオンの導電型は、プラス又はマイナスのいずれでも構わないが、説明の便宜上、以下の請求項18についての説明においては、薬物イオンの導電型を第1導電型と表現する。
請求項18の電極構造体は、イオントフォレーシス装置における作用側電極構造体として使用することができ、薬液保持部を生体皮膚に当接させた状態で分極性電極に薬物イオンと同一導電型の電圧を印加することにより、薬液保持部の薬物イオンが生体に投与される。
請求項18の発明において、薬液保持部が分極性電極の直前に配置されており、薬液保持部の薬液が分極性電極に接触している場合には、分極性電極から薬液保持部への通電の全部又は少なくとも一部は、薬液保持部中の第2導電型のイオンが分極性電極にトラップされて電気2重層が形成されることにより生じる。従って、電極反応を生じることなく、或いは電極反応を低減させた状態で薬液への通電を行うことが可能であり、その結果、ガスや好ましくないイオンの発生を抑止し、或いは少なくとも低減することができる。
また、分極性電極に電解液が保持されている場合には、主として電解液中の第2導電型のイオンが分極性電極にトラップされて電気2重層が形成されることにより通電が生じ、電解液から薬液への通電は、主としてイオンの移動により生じる。
請求項18の発明では、予め分極性電極に第1導電型のイオンをトラップさせておき、その状態で、薬液保持部を生体皮膚に当接させて、分極性電極に第1導電型の電圧を印加して通電を行うことも可能である。
この場合には、分極性電極から薬液保持部への通電の全部又は一部は、分極性電極にトラップされた第1導電型のイオンがリリースされて薬液保持部の薬液(又は分極性電極に保持される電解液)に移行することにより生じるため、上記と同様、通電時におけるガスや好ましくないイオンの発生を抑止し、或いは少なくとも低減させることができる。
分極性電極への第1導電型のイオンのトラップは、分極性電極に第2導電型の電圧を印加した状態で通電することにより行うことができ、これにより、薬液に含まれる薬物イオン(或いは、他の第1導電型のイオン)を分極性電極にトラップさせることができる。
請求項18の発明では、前記分極性電極に、前記薬液保持部の薬液と同一組成の薬液が保持されていることが好ましい(請求項19)。
かかる発明では、分極性電極と薬液の接触面積の増大によって分極性電極から薬液への通電性が向上することに加え、分極性電極及び薬液保持部に保持される薬液が同一組成であるが故に、装置の保管中における薬液の混合による装置特性の経時的変化を防止することができる。
なお、請求項19の発明では、分極性電極に保持される薬液に増粘剤を配合することにより分極性電極中における薬液の保持性を向上させることが可能である。この場合、装置特性の経時的変化を防止するために、薬液保持部にもこれと同一の増粘剤を同量配合することが好ましい。
なお、以降の説明においては、説明の簡略のため、分極性電極から他の部材への通電に関して、単に通電が特定のメカニズムにより生じることのみを説明し、特定のガスやイオンの発生が抑制されるとのみ説明する場合があるが、そのような説明は、その特定のメカニズムにより分極性電極から他の部材への通電の全部又は一部が生じることを意味し、特定のガスやイオンの発生が抑止又は低減されることを意味する。
請求項18発明では、薬液保持部の前面側に第1導電型のイオン交換膜を更に備えることが可能であり、これにより、生体対イオンの薬液保持部への移行を遮断して生体対イオンの移動により消費される電流量を低減させ、薬物の投与効率を上昇させることができる。
請求項18の発明では、薬液保持部と分極性電極の間に第2導電型のイオン交換膜を更に備えることも可能であり、この場合には、仮に分極性電極においてある程度の電極反応が生じたとしても、これにより生成される水素イオンや水酸基イオン、或いは次亜塩素酸などの有害なイオンの生体側への移行を第2導電型のイオン交換膜により遮断することができる。また、分極性電極に薬液を保持するイオントフォレーシス装置の場合であれば、通電によって薬物イオンの変質が仮に生じたとしても、その変質した薬物イオンの生体側への以降を第2導電型のイオン交換膜により遮断することができる。
なお、上記第2導電型のイオン交換膜は分極性電極と一体に接合されていることが好ましく、これにより、第2導電型のイオン交換膜と分極性電極の通電性を良好にし、また電極構造体の組立作業を簡略化することができる。従って、電極構造体の製造の自動化や大量生産化が容易となり、或いは製造コストの低減を図ることが可能になる。
第2導電型のイオン交換膜と分極性電極の接合は、例えば熱圧着により行うことができる。
請求項1〜19の発明においては、前記電極構造体が、前記分極性電極の前面側に配置され、薬物イオンがドープされた第1イオン交換膜を更に備えることができる(請求項20)。
なお、請求項20における第1イオン交換膜は、カチオン交換膜及びアニオン交換膜のいずれでもあり得るため、説明の便宜上、以下の請求項20についての説明においては、第1イオン交換膜の導電型を第1導電型と表現する。
請求項20の電極構造体は、以下の第1又は第2の態様でイオントフォレーシス装置における作用側電極構造体として使用することができる。
第1の態様では、第1イオン交換膜に第1導電型の薬物イオンをドープする(第1イオン交換膜中のイオン交換基に薬物イオンを結合させる)とともに、分極性電極に第1導電型のイオンをトラップし、第1イオン交換膜を生体皮膚に当接させた状態で分極性電極に第1導電型の電圧を印加することにより、第1イオン交換膜にドープされた薬物イオンが生体に投与される。
この場合には、分極性電極から第1イオン交換膜への通電は、分極性電極にトラップされた第1導電型のイオンがリリースされて第1イオン交換膜に移行することにより生じる。従って、通電時におけるガスや好ましくないイオンの発生を抑制することができる。
第1イオン交換膜にドープされた薬物イオンは、分極性電極から移行した第1導電型のイオンに置換されて、生体に移行することが可能になる。
この第1の態様では、第1イオン交換膜が生体対イオンの分極性電極側への移行を遮断するため、薬物の投与効率を上昇させることが可能であり、更に生体皮膚に直接接触させる部材である第1イオン交換膜に薬物イオンが保持されているために、薬物イオンの投与効率を一層上昇させることが可能である。また、薬物イオンが第1イオン交換膜にドープされる形態で保持されるため、保存中における薬物イオンの安定性が高くなり、安定化剤、抗菌剤、防腐剤などの使用量の低減又は装置の保存期間の延長が可能となる。
更に、第1の態様では、分極性電極と第1イオン交換膜のみから作用側電極構造体を構成し、従来のイオントフォレーシス装置において使用されていた薬液保持部などのウェットな部材を有さないようにすることが可能である。従って、作用側電極構造体の組立作業を容易化することができ、製造の自動化や大量生産化が容易となり、或いは製造コストの低減を図ることが可能になる。
第1の態様では、分極性電極から第1イオン交換膜への通電性を確保するために、第1イオン交換膜は、分極性電極に接触して配置されることになる。
第1イオン交換膜は分極性電極と一体に接合されていることが好ましく、これにより、第1イオン交換膜と分極性電極の通電性を良好にし、また電極構造体の組立作業を簡略化することができる。従って、電極構造体の製造の自動化や大量生産化が容易となり、或いは製造コストの低減を図ることが可能になる。
第1の態様における第1イオン交換膜への薬物イオンのドープ及び分極性電極への第1導電型のイオンのトラップは、適当な濃度の薬物イオンを含む薬液に第1イオン交換膜を浸漬させた状態で、分極性電極に第2導電型の電圧を印加して通電することにより行うことができる。
第2の態様では、分極性電極と、第1導電型の薬物イオンがドープされた第1イオン交換膜の間に電解液を保持する電解液保持部を配置し、第1イオン交換膜を生体皮膚に当接させた状態で分極性電極に第1導電型の電圧を印加することにより、薬物イオンが生体に投与される。
この場合の電解液保持部の電解液は、第1イオン交換膜中の薬物イオンを置換するための第1導電型のイオン(以下、電解液中の第1導電型のイオンを「第1電解イオン」という。)を供給する役割と、分極性電極に移行する第2導電型のイオン(以下、電解液中の第2導電型のイオンを「第2電解イオン」という。)を供給する役割を果たす。
即ち、第2電解イオンが分極性電極に移行してトラップされ、電気2重層を形成することで、分極性電極から電解液保持部への通電が生じ、第1イオン交換膜中の薬物イオンは、電解液保持部からの第1電解イオンに置換されることで生体への移行が可能となる。
上記のように、分極性電極から電解液保持部への通電は、第2電解イオンの分極性電極への移行によって生じるため、通電時におけるガスや好ましくないイオンの発生を抑制することができる。
第2の態様では、分極性電極と電解液保持部の間に第2導電型の第2イオン交換膜を更に配置することによって、薬物イオンの分極性電極への移行を遮断し、通電の際における薬物イオンの変質を防止することが可能である。
なお、この場合の第2イオン交換膜は分極性電極と一体に接合することが好ましく、これにより、請求項18の発明について上記したと同様の効果を達成することができる。
或いは電解液保持部と第1イオン交換膜と間に、第2導電型の第2イオン交換膜を更に配置することによっても、薬物イオンの分極性電極への移行を遮断し、通電の際における薬物イオンの変質を防止することが可能である。
ただし、この場合の第2イオン交換膜の輸率が1である場合には、第1電解イオンが第1イオン交換膜に移行して薬物イオンを置換することができないため、第2の態様における第2イオン交換膜には、ある程度輸率が低いもの(例えば、輸率が0.7〜0.95など)が使用されるが、そのような輸率の低い第2イオン交換膜を使用した場合でも、薬物イオンの電解液保持部への移行は十分に抑止することが可能である。
なお、ここでの輸率は、上記電解液保持部に保持される電解液と、適当な濃度の薬物イオン及び薬物対イオンを含む薬液(例えば、第1イオン交換膜への薬物イオンのドープに使用した薬液)の間に第2イオン交換膜を配置した状態で、電解液側に第1導電型の電圧を印加したときに第2イオン交換膜を介して運ばれる総電荷のうち、薬物対イオンが第2イオン交換膜を通過することにより運ばれる電荷量の割合として定義される。
また本発明は、薬物イオンを保持する作用側電極構造体と、前記作用極構造体の対極としての非作用側電極構造体とを備えるイオントフォレーシス装置であって、
前記非作用側電極構造体が、単位体積当たりの静電容量が1F/g以上の導電体、比表面積が10m/g以上の導電体、又は活性炭を含有する分極性電極と、
前記分極性電極の前面側に配置された第3イオン交換膜とを備えることを特徴とするイオントフォレーシス装置とすることもできる(請求項21〜23)。
請求項21〜23における薬物イオンの導電型は、プラス又はマイナスのいずれでも構わないが、説明の便宜上、以下の請求項21〜23についての説明においては、薬物イオンの導電型を第1導電型と表現する。なお、請求項21〜23における作用側電極構造体は、必ずしも請求項1〜20に規定される分極性電極を有する必要はない。また、作用側電極構造体における薬物イオンは、薬液の状態で保持されていても良く、イオン交換膜にドープされていても構わない。
請求項21〜23の発明における第3イオン交換膜としては、第1、第2導電型のいずれのイオン交換膜も使用することができる。
第3イオン交換膜として第1導電型のイオン交換膜を使用する場合には、作用側電極構造体に第1導電型の電圧を印加して薬物イオンを生体に投与する一方、非作用側電極構造体においては、第3イオン交換膜を生体皮膚に当接させた状態で分極性電極に第2導電型の電圧が印加される。
この場合には、分極性電極から第3イオン交換膜への通電は、第3イオン交換膜のイオン交換基に結合している第1導電型のイオンや、生体からの第1導電型のイオンが、分極性電極に移行してトラップされ、電気2重層を形成することにより生じる。また、分極性電極に電解液が保持されている場合であれば、分極性電極から第3イオン交換膜への通電は、主として、分極性電極に保持される電解液中の第1導電型のイオンが分極性電極に移行してトラップされ、電気2重層を形成することにより生じる。従って、通電時における非作用側電極構造体でのガスや好ましくないイオンの発生を抑制することができる。
第3イオン交換膜として、第2導電型のイオン交換膜を使用する場合には、予め非作用側電極構造体の分極性電極に第2導電型のイオンをトラップした上で、作用側電極構造体に第1導電型の電圧を印加し、非作用側電極構造体に第2導電型の電圧を印加して薬物イオンの生体への投与が行われる。
この場合の非作用側電極構造体における分極性電極から第3イオン交換膜への通電は、分極性電極にトラップされた第2導電型のイオンがリリースされて第3イオン交換膜に移行することにより生じる。従って、通電時における非作用側電極構造体でのガスや好ましくないイオンの発生を抑制することができる。
分極性電極への第2導電型のイオンのトラップは、適当な電解液に第3イオン交換膜を浸漬した状態で、非作用側電極構造体の分極性電極に第1導電型の電圧を印加した状態で通電することにより行うことができる。
或いは、第3イオン交換膜として、第2導電型のイオン交換膜を使用するとともに、分極性電極に電解液を保持させることも可能であり、この場合は、分極性電極に保持される電解液中の第1導電型のイオンが分極性電極にトラップされて、電気2重層を形成することにより、分極性電極から電解液の通電が生じ、分極性電極に保持される電解液中の第2導電型のイオンが第3イオン交換膜を介して生体側に移行することで生体への通電が生じる。
第3イオン交換膜として、第1、第2導電型のいずれのイオン交換膜を使用する場合であっても、請求項21〜23における非作用側電極構造体は、分極性電極と第3イオン交換膜のみからなる極めてシンプルな構成とすることが可能であり、しかも、電解液保持部などのウェットな部材を有さない構成とすることが可能である。従って、非作用側電極構造体の組立作業を容易化することができ、製造の自動化や大量生産化が容易となり、或いは製造コストの低減を図ることが可能になる。
なお、請求項21〜23における第3イオン交換膜を備える代わりに、非作用側電極構造体が、分極性電極に接触する電解液を保持する電解液保持部を備えるものとすることも可能である。
この場合には、作用側電極構造体に第1導電型の電圧を印加して薬物イオンを生体に投与する一方、非作用側電極構造体においては、電解液保持部を生体皮膚に当接させた状態で分極性電極に第2導電型の電圧が印加され、分極性電極から電解液保持部への通電は、電解液保持部の第1電解イオンが分極性電極に移行してトラップされ、電気2重層を形成することにより生じる。従って、通電時における非作用側電極構造体でのガスや好ましくないイオンの発生を抑制することができる。
本明細書における「薬物」は、調製されているか否かに関わらず、一定の薬効又は薬理作用を有し、病気の治療、回復又は予防、健康の増進又は維持、病状や健康状態などの診断、或いは美容の増進又は維持などの目的で生体に投与される物質を意味する。
本明細書における「薬物イオン」は、薬物がイオン解離することにより生じるイオンであって、薬効又は薬理作用を担うイオンを意味し、「薬物対イオン」は、薬物イオンの対イオンを意味する。薬物の薬物イオンへの解離は、薬物を水、アルコール類、酸、アルカリなどの溶媒に溶解させることにより生じるものであっても良く、更に電圧の印加やイオン化剤の添加等を行うことにより生じるものであっても良い。
本明細書における「薬液」は、薬物イオンを含む流動物をいい、薬物を溶媒に溶解させた溶液や薬物が液状である場合における原液などの液体状態のものだけでなく、薬物の少なくとも一部が薬物イオンに解離する限り、薬物を溶媒等に懸濁又は乳濁させたもの、軟膏状又はペースト状に調整されたものなど各種の状態のものを含む。
本明細書における「皮膚」は、イオントフォレーシスによる薬物イオンの投与を行い得る生体表面を意味しており、例えば口腔内の粘膜なども含まれる。「生体」は人及び動物を含む。
本明細書における「前面側」は、薬物イオンの投与に際して装置内を流れる電流の経路上における生体皮膚に近い側を意味する。
本明細書における「第1導電型」は、プラス又はマイナスの電気極性を意味し、「第2導電型」は第1導電型と反対の導電型(マイナス又はプラス)を意味する。
本発明の電解液保持部の電解液に含まれる第1電解イオン、第2電解イオンは必ずしもそれぞれ単一種類である必要はなく、いずれか一方又は双方が複数種類であっても構わない。同様に、薬液保持部に含まれる薬物イオン、或いはイオン交換膜にドープされる薬物イオンは必ずしも単一種類である必要はなく、複数種類であっても構わない。
イオン交換膜には、イオン交換樹脂を膜状に形成したものの他、イオン交換樹脂をバインダーポリマー中に分散させ、これを加熱成型などにより製膜することで得られる不均質イオン交換膜や、イオン交換基を導入可能な単量体、架橋性単量体、重合開始剤などからなる組成物や、イオン交換基を導入可能な官能基を有する樹脂を溶媒に溶解させたものを、布や網、或いは多孔質フィルムなどの基材に含浸充填させ、重合又は溶媒除去を行った後にイオン交換基の導入処理を行うことにより得られる均質イオン交換膜など各種のものが知られている。本発明のイオン交換膜には、これらの任意のイオン交換膜が使用できるが、これらのうち、多孔質フィルムの孔中にイオン交換樹脂を充填したタイプのイオン交換膜が特に好適に使用される。
より具体的には、カチオン交換膜としては、(株)トクヤマ製ネオセプタCM−1、CM−2、CMX、CMS、CMBなどの陽イオン交換基が導入されたイオン交換膜が使用でき、アニオン交換膜としては、例えば、(株)トクヤマ製ネオセプタAM−1、AM−3、AMX、AHA、ACH、ACSなどの陰イオン交換基が導入されたイオン交換膜を使用できる。
本明細書における「第1導電型のイオン交換膜」は、第1導電型のイオンを選択的に通過させる機能を有するイオン交換膜を意味する。即ち、第1導電型がプラスである場合には「第1導電型のイオン交換膜」はカチオン交換膜であり、第1導電型がマイナスである場合には「第1導電型のイオン交換膜」はアニオン交換膜である。
同様に、「第2導電型のイオン交換膜」は、第2導電型のイオンを選択的に通過させる機能を有するイオン交換膜を意味する。即ち、第2導電型がプラスである場合には「第2導電型のイオン交換膜」はカチオン交換膜であり、第2導電型がマイナスである場合には「第2導電型のイオン交換膜」はアニオン交換膜である。
カチオン交換膜に導入される陽イオン交換基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等を挙げることができ、強酸性基であるスルホン酸基を使用することにより、輸率の高いカチオン交換膜を得ることができるなど、導入する陽イオン交換基の種類によってイオン交換膜の輸率を制御することが可能である。
アニオン交換膜に導入される陰イオン交換基としては、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基、ピリジル基、イミダゾール基、4級ピリジニウム基、4級イミダゾリウム基等を挙げることができ、強塩基性基である4級アンモニウム基や4級ピリジニウム基を使用することにより、輸率の高いアニオン交換膜を得ることができるなど、導入する陰イオン交換基の種類によってイオン交換膜の輸率を制御することが可能である。
陽イオン交換基の導入処理としては、スルホン化、クロロスルホン化、ホスホニウム化、加水分解などの種々の手法が、また陰イオン交換基の導入処理としては、アミノ化、アルキル化などの種々の手法が知られているが、このイオン交換基の導入処理の条件を調整することにより、イオン交換膜の輸率を調整することが可能である。
また、イオン交換膜中のイオン交換樹脂量や膜のポアサイズなどによってもイオン交換膜の輸率を調整することが可能である。例えば、多孔質フィルム中にイオン交換樹脂が充填されたタイプのイオン交換膜の場合にあっては、0.005〜5.0μm、より好ましくは0.01〜2.0μm、最も好ましくは0.02〜0.2μmの平均孔径(バブルポイント法(JIS K3832−1990)に準拠して測定される平均流孔径)の多数の小孔が、20〜95%、より好ましくは30〜90%、最も好ましくは30〜60%の空隙率で形成された5〜140μm、より好ましくは10〜120μm、最も好ましくは15〜55μmの膜厚を有する多孔質フィルムを使用し、5〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%、特に好ましくは20〜60質量%の充填率でイオン交換樹脂を充填させたイオン交換膜を使用することができるが、これらの多孔質フィルムが有する小孔の平均孔径、空隙率、イオン交換樹脂の充填率によってもイオン交換膜の輸率を調整することが可能である。
本明細書中において第1導電型又は第2導電型のイオン交換膜について述べる「イオンの通過の遮断」は、必ずしも一切のイオンを通過させないことを意味するのではなく、例えば、ある程度の速度をもってイオンの通過が生じる場合であっても、その程度が小さいが故に実用上十分な期間に渡って装置を保存しても通電の際に薬物の電極近傍での変質が生じない程度に薬物イオンの通過が抑制され、或いは薬物の投与効率を十分に高めることができる程度に生体対イオンの通過が抑制される場合などが含まれる。
同様に、本明細書中において第1導電型又は第2導電型のイオン交換膜について述べる「イオンの通過の許容」は、イオンの通過に一切の制約が生じないことを意味するのではなく、イオンの通過がある程度制限される場合であっても、反対導電型のイオンに比較して十分に高い速度又は量をもって通過させる場合を含む。
本明細書中において半透膜について述べる「イオンの通過の遮断」、「イオンの通過の許容」も上記と同様であり、イオンを一切通過させないことや、イオンの通過に一切の制限を生じないことを意味するものではない。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明に係るイオントフォレーシス装置Xの概略構成を示す説明図である。
なお、以下では、説明の便宜上、薬効成分がプラスの薬物イオンに解離する薬物(例えば、塩酸リドカインや塩酸モルヒネなど)を投与するためのイオントフォレーシス装置を例として説明するが、薬効成分がマイナスの薬物イオンに解離する薬物(例えば、アスコルビン酸など)を投与するためのイオントフォレーシス装置の場合は、以下の説明における各イオン交換膜、分極性電極やカチオン交換膜にドープされるイオン、及び電極に印加される電圧の導電型を逆転させることで、以下の実施態様と実質的に同一の効果を達成できるイオントフォレーシス装置を構成することができる。
図示されるように、イオントフォレーシス装置Xは、電源30と、電源30のプラス極と給電線31により接続された作用側電極構造体10及び電源30のマイナス極と給電線32により接続された非作用側電極構造体20から構成されている。
作用側電極構造体10及び非作用側電極構造体20は、上壁16u、26u及び外周壁16s、26sとからなる容器16、26であって、その内部に以下に述べる各種の構造を収容できる空間が形成され、下面16b、26bが開放された容器16、26を備えている。
この容器16、26はプラスチックなどの任意の素材から形成することができるが、好ましくは内部からの水分の蒸発や外部からの異物の侵入を防ぐことができ、生体の動きや皮膚の凹凸に追随できる柔軟な素材から形成される。また容器16、26の下面16b、26bには、イオントフォレーシス装置Xの保存中における水分の蒸発や異物の混入を防ぐための適宜の材料からなる取り外し可能なライナーを貼付することができ、外周壁16s、26sの下端部16e、26eには、薬物投与の際に皮膚との密着性を高めるための粘着剤層を設けることが可能である。
なお、例えば、後述の作用側電極構造体10H、10Iや非作用側電極構造体20A〜20Cのように、薬液保持部や電解液保持部などのウェットな部材(含水率の高い部材)を有さない場合には、この容器16、26は必ずしも備える必要はない。
電源30としては、電池、定電圧装置、定電流装置、定電圧・定電流装置などを使用することができるが、0.01〜1.0mA/cm、好ましくは、0.01〜0.5mA/cmの範囲で電流調整が可能であり、50V以下、好ましくは、30V以下の安全な電圧条件で動作する定電流装置を使用することが好ましい。
図2(A)〜(D)は、上記イオントフォレーシス装置Xの作用側電極構造体10として使用することができる作用側電極構造体10A〜10Dの構成を示す断面説明図である。
作用側電極構造体10Aは、給電線31に接続される導電性の集電体11a及び集電体11aの前面側に配置された分極性電極11bとからなる電極部材11を有している。この分極性電極11bには、単位体積当たりの静電容量が1F/g以上の導電体、又は比表面積が10m/g以上の導電体、又は活性炭を含有する、例えば平板状の形態の部材を使用することができる。
好ましい分極性電極11bの構成としては、比表面積100m/g程度の活性炭粉末95重量部に対してポリテトラフルオロエチレン5重量部を配合した組成物を膜状に成形したものを例示することができる。
更に好ましくは、分極性電極11bを活性炭繊維、又はバインダポリマーを含浸させた活性炭繊維により構成することができ、この場合の活性炭繊維としては、極めて高い比表面積(例えば1000〜2500m/g)と高い引張強度(例えば300〜400N/mm)を有し、柔軟性にも優れるノボロイド繊維を炭化、賦活することで得られる活性炭繊維を特に好ましく使用できる。ノボロイド繊維を炭化、賦活することで得られる活性炭繊維は、例えば「カイノール活性炭繊維」の商品名で日本カイノール社から入手することができる。
作用側電極構造体10Aにおける分極性電極11bには、電解液を含浸して保持することができ、特に好ましくは、後述の薬液保持部14に保持される薬液と同一組成の薬液を保持することができる。
集電体11aと分極性電極11bは、熱圧着や導電性接着剤を用いた接着などの手法により積層一体化することができる。
分極性電極11bの膜厚は、10μm〜20mm程度とすることができ、好ましくは20μm〜2mm程度とすることができる。
また作用側電極構造体10Aは、分極性電極11bに接触する薬液を保持する薬液保持部14を備えている。薬液は、薬効成分がプラスの薬物イオンに解離する薬物の溶液である。薬液保持部14は、この薬液を液体状態で保持することができ、或いはガーゼ、濾紙、ゲルなどの適当な吸収性の担体に含浸させて保持することもできる。
作用側電極構造体10Aでは、薬液保持部14を生体皮膚に当接させた状態で集電体11aにプラス電圧を印加することで、薬液保持部14の薬物イオンが生体に投与される。この場合の分極性電極11bから薬液保持部14への通電は、薬液中のマイナスイオンが分極性電極11bにトラップされ、電気2重層を形成することにより生じる(分極性電極11bに電解液が保持されている場合には、この電解液中のマイナスイオンが分極性電極11bにトラップされることによっても分極性電極11bにおける通電が生じる)。従って、通電による酸素ガスや塩素ガスの発生、水素イオン、次亜塩素酸の生成が抑制される。
作用側電極構造体10Bは、作用側電極構造体10Aと同様の電極部材11及び薬液保持部14を備えるとともに、薬液保持部14の前面側に更にカチオン交換膜15を備えている。
作用側電極構造体10Bでは、通電時のガスの発生や好ましくないイオンの生成の抑制に関しては作用側電極構造体10Aと同様の効果が達成されることに加え、生体対イオンの薬液保持部14への移行がカチオン交換膜15により遮断されるため、薬物イオンの投与効率が上昇するという追加的な効果が達成される。
作用側電極構造体10Cは、作用側電極構造体10Aと同様の電極部材11及び薬液保持部14を備えるとともに、分極性電極11bと薬液保持部14の間にアニオン交換膜13を備えている。
作用側電極構造体10Cでは、分極性電極11bから薬液保持部14への通電は、薬液保持部14のマイナスイオンがアニオン交換膜13を経て分極性電極11bに移行してトラップされ、電気2重層を形成することにより生じる(分極性電極11bに電解液が保持されている場合には、上記に加え、この電解液中のマイナスイオンが分極性電極11bにトラップされることによっても分極性電極11bにおける通電が生じる)。従って、通電時のガスの発生や好ましくないイオンの生成の抑制に関しては作用側電極構造体10Aと同様の効果が達成される。
更に作用側電極構造体10Cでは、薬液保持部14の薬物イオンの分極性電極11b側への移行がアニオン交換膜13により遮断されるため、通電時における薬物の分解や変質が防止できるという追加的な効果が達成される。
作用側電極構造体10Dは、作用側電極構造体10Aと同様の電極部材11及び薬液保持部14を備えるとともに、分極性電極11bと薬液保持部14の間にアニオン交換膜13を備え、薬液保持部14の前面側にカチオン交換膜15を備えている。
作用側電極構造体10Dでは、通電時のガスの発生や好ましくないイオンの生成の抑制に関しては作用側電極構造体10Aと同様の効果が達成されることに加え、作用側電極構造体10B、10Cと同様の態様で、通電時における薬物の分解や変質の防止、及び薬物の投与効率の上昇という追加的な効果が達成される。
なお、作用側電極構造体10C、10Dでは、分極性電極11とアニオン交換膜13とを熱圧着などの手法によって接合一体化させることが可能であり、これにより分極性電極11からアニオン交換膜13への通電状態を良好にすることができ、或いは作用側電極構造体10C、10Dの組立作業を容易化できる。
図3(A)〜(C)は、上記イオントフォレーシス装置Xの作用側電極構造体10として使用することができる他の態様の作用側電極構造体10E〜10Gの構成を示す断面説明図である。
作用側電極構造体10Eは、作用側電極構造体10Aと同様の電極部材11と、分極性電極11bに接触する電解液を保持する電解液保持部12と、電解液保持部12の前面側に配置され、プラスの薬物イオンがドープされたカチオン交換膜15とを備えている。
この作用側電極構造体10Eでは、カチオン交換膜15を生体皮膚に当接させた状態で集電体11aにプラス電圧を印加することで、カチオン交換膜15にドープされた薬物イオンが生体に投与される。
この場合の分極性電極11bから電解液保持部12への通電は、電解液中のマイナスイオンが分極性電極11bに移行してトラップされ、電気2重層を形成することにより生じる。従って、通電による酸素ガスや塩素ガスの発生、水素イオン、次亜塩素酸の生成が抑制される。
電解液保持部12からカチオン交換膜15への通電は、電解液保持部12中のプラスイオンがカチオン交換膜15に移行することにより生じ、このプラスイオンは、生体に移行した薬物イオンに置換してカチオン交換膜15中のイオン交換基に結合する。
作用側電極構造体10Eでは、カチオン交換膜15が生体対イオンの電解液保持部12への移行を遮断するために、高い効率で薬物の投与を行うことができる。
作用側電極構造体10Eの電解液保持部12は、電解液を液体状態で保持しても良く、或いはガーゼ、濾紙、ゲルなどの吸収性の担体に含浸させて保持しても良い。
電解液保持部12のプラスイオンが、薬物イオンに比して移動度が大きい場合には、このプラスイオンの生体への移行が優先的に生じ、薬物の投与効率が低下する場合があるため、電解液保持部12の電解液は、薬物イオンと同程度、或いはそれ以上の移動度を有するプラスイオンを含まない組成とすることが好ましい。
カチオン交換膜15への薬物イオンのドープは、適当な濃度の薬物イオンを含む薬液にカチオン交換膜15を浸漬することにより行うことができる。このときの薬物イオンのドープ量は、薬液中の薬物イオンの濃度、浸漬時間、浸漬回数などにより調整することができる。
作用側電極構造体10Fは、作用側電極構造体10Eと同様の電極部材11、電解液保持部12及びカチオン交換膜15を備えるとともに、電解液保持部12とカチオン交換膜15の間に更にアニオン交換膜13を備えている。
作用側電極構造体10Fでは、通電時のガスの発生や好ましくないイオンの生成の抑制に関しては作用側電極構造体10Eと同様の効果が達成されることに加え、カチオン交換膜15にドープされた薬物イオンの電解液保持部12へ移行がアニオン交換膜13により遮断されるため、通電時における分極性電極11b近傍での薬物の変質が防止されるという追加的な効果が達成される。
作用側電極構造体10Fでは、電解液保持部12からカチオン交換膜15への通電を生じるためには、電解液保持部12のプラスイオンがアニオン交換膜13を通過してカチオン交換膜15に移行することが必要である。従って、このアニオン交換膜13にはある程度輸率の低いアニオン交換膜が使用される。
なお、通電条件などによっては、アニオン交換膜13とカチオン交換膜15の界面において水の電気分解を生じる場合があるため、これを防ぐ意味でアニオン交換膜13とカチオン交換膜15の間に、電解液保持部12のプラスイオンを通過を許容できる半透膜を更に配置することが好ましい。
アニオン交換膜13とカチオン交換膜15の界面、或いはアニオン交換膜13/半透膜/カチオン交換膜15の各界面は、熱圧着などの手法により接合させることが可能であり、これによりこれらの間の通電性や取扱性を高めることができる。
作用側電極構造体10Fにおけるアニオン交換膜13は、電解液保持部12のプラスイオンの通過を許容する一方で、薬物イオンの通過を遮断する分子量分画特性を有する半透膜に置き換えても上記と同様の効果を達成できる。
作用側電極構造体10Gは、作用側電極構造体10Eと同様の電極部材11、電解液保持部12及びカチオン交換膜15を備えるとともに、分極性電極11と電解液保持部12の間に更にアニオン交換膜13を備えている。
この作用側電極構造体10Gでは、分極性電極11bから電解液保持部12への通電は、電解液保持部12のマイナスイオンがアニオン交換膜13を経て分極性電極11bに移行してトラップされ、電気2重層を形成することにより生じる。従って、通電時のガスの発生や好ましくないイオンの生成の抑制に関しては作用側電極構造体10Eと同様の効果が達成される。
電解液保持部12からカチオン交換膜15への通電は、作用側電極構造体10Eと同様にして生じる。また、カチオン交換膜15にドープされた薬物イオンの分極性電極11への移行はアニオン交換膜13により遮断されるため、通電時における薬物の分解や変質が防止されるという追加的な効果が達成される。
図4(A)、(B)は、上記イオントフォレーシス装置Xの作用側電極構造体10として使用することができる更に他の態様の作用側電極構造体10H、10Iの構成を示す断面説明図である。
作用側電極構造体10Hは、作用側電極構造体10Aと同様の電極部材11から構成されている。
この作用側電極構造体10Hでは、予め分極性電極11bに薬物イオンをトラップする処理を行った後に薬物の投与が行われる。
この処理は、適当な濃度の薬物イオンを含む薬液に分極性電極11bを浸漬した状態で集電体11aにマイナスの電圧を印加して通電することにより行うことができる。
上記処理が行われた作用側電極構造体10Hを用い、分極性電極11bを生体皮膚に当接させた状態で集電体11aにプラスの電圧を印加することで、分極性電極11bにドープされた薬物イオンが生体に投与される。
この場合の分極性電極11bから生体皮膚への通電は、分極性電極11bにトラップされた薬物イオンがリリースされて生体皮膚に移行することにより生じるため、通電による酸素ガスや塩素ガスの発生、水素イオン、次亜塩素酸の生成が抑制される。
作用側電極構造体10Hにおいて、薬液を含浸させた分極性電極11bを使用することも可能であり、場合には、分極性電極11bにプラスイオンをトラップする処理は不要となる。即ち、この場合は、薬液中のマイナスイオンが分極性電極11bにトラップされ、薬液中の薬物イオンが生体側に移行することで、分極性電極11bから生体皮膚への通電が生じる。この場合も、通電による酸素ガスや塩素ガスの発生、水素イオン、次亜塩素酸の生成が抑制される。
図示のように、作用側電極構造体10Hは、集電体11aと分極性電極11bのみからなる極めてシンプルな構造であり、作用側電極構造体10Hの製造の自動化、大量生産化は極めて容易であり、製造コストの大幅な低減が可能である。
作用側電極構造体10Iは、作用側電極構造体10Aと同様の電極部材11と、分極性電極11bの前面側に接触して配置されたカチオン交換膜15を備えている。
この作用側電極構造体10Iでは、予めカチオン交換膜15に薬物イオンをドープするとともに、分極性電極11bにプラスイオンをトラップする処理を行った後に薬物の投与が行われる。
この処理は、適当な濃度の薬物イオンを含む薬液にカチオン交換膜15を浸漬した状態で、集電体11aにマイナスの電圧を印加して通電することにより行うことができる。この処理に先だって、作用側電極構造体10Eについて上記したと同様にして、カチオン交換膜15に薬物イオンをドープしておくこともできる。
上記処理が行われた作用側電極構造体10Iを用い、カチオン交換膜15を生体皮膚に当接させた状態で集電体11aにプラスの電圧を印加することで、カチオン交換膜15にドープされた薬物イオンが生体に投与される。
この場合の分極性電極11bからカチオン交換膜15への通電は、分極性電極11bにトラップされたプラスイオンがリリースされてカチオン交換膜15に移行することにより生じるため、通電による酸素ガスや塩素ガスの発生、水素イオン、次亜塩素酸の生成が抑制される。なお、分極性電極11bからカチオン交換膜15に移行したプラスイオンは、生体に移行した薬物イオンに置換してカチオン交換膜15のイオン交換基に結合する。
作用側電極構造体10Iにおいて、電解液又は薬液を含浸させた分極性電極11bを使用することも可能であり、この場合には、分極性電極11bにプラスイオンをトラップする処理は不要となる。即ち、この場合は、電解液又は薬液中のマイナスイオンが分極性電極11bにトラップされ、電解液又は薬液中のプラスイオンがイオン交換膜15に移行することにより、分極性電極11bからイオン交換膜15への通電が生じる。この場合も、通電による酸素ガスや塩素ガスの発生、水素イオン、次亜塩素酸の生成が抑制される。
図示のように、作用側電極構造体10Iは、集電体11a、分極性電極11b及びカチオン交換膜15からなる極めてシンプルな構造であり、また作用側電極構造体10Iの組み立てに際してウェットな部材を取り扱う必要がない。従って、作用側電極構造体10Iの製造の自動化、大量生産化は極めて容易であり、製造コストの大幅な低減が可能である。
分極性電極11bとカチオン交換膜15は、熱圧着などの手法によって接合一体化させることで、両者間の通電性や取扱性を高めることが可能である。
図5(A)〜(D)は、上記イオントフォレーシス装置Xの非作用側電極構造体20として使用することができる非作用側電極構造体20A〜20Dの構成を示す断面説明図である。
非作用側電極構造体20Aは、給電線32に接続される導電性の集電体21aと、この集電体21a上に形成された分極性電極21bとからなる電極部材21を有している。この分極性電極21bは、作用側電極構造体10Aの分極性電極11bと実質的に同一の構成を有している。
即ち、分極性電極21bは、単位体積当たりの静電容量が1F/g以上の導電体、又は比表面積が10m/g以上の導電体、又は活性炭を含有する、例えば平板状の形態の部材から構成することが可能である。
好ましい分極性電極21bの構成としては、比表面積100m/g程度の活性炭粉末95重量部に対してポリテトラフルオロエチレン5重量部を配合した組成物を膜状に成形したものを例示することができ、特に好ましい分極性電極21bの構成としては、ノボロイド繊維を炭化、賦活することで得られる活性炭繊維を例示することができる。
分極性電極21bには、電解液を含浸させておくことができる。
非作用側電極構造体20Aでは、分極性電極21bを生体に当接させた状態で集電体21aにマイナス電圧を印加することにより、生体皮膚又は分極性電極21bに保持される電解液からプラスイオンが分極性電極21bに移行してトラップされ、電気2重層を形成することにより通電が生じる。従って、通電時における水素ガスの発生や水酸基イオンの生成が抑制される。
なお、分極性電極21bに予めマイナスイオンをトラップしておけば、そのマイナスイオンが生体に移行することにより通電を生じるが、この場合も上記と同様、通電時における水素ガスの発生や水酸基イオンの生成が抑制される。
非作用側電極構造体20Aは、集電体21a及び分極性電極21bのみからなる極めてシンプルな構造であるため、作用側電極構造体20Aは、その製造の自動化、大量生産化は極めて容易であり、製造コストを大幅に低減することができる。加えて、非作用側電極構造体20Aは作用側電極構造体10Hと同一の構成を有しているため、非作用側電極構造体20Aと作用側電極構造体10Hは同一のプロセスで製造することが可能である。従って、非作用側電極構造体20Aと作用側電極構造体10Hとを備えるイオントフォレーシス装置は、その製造プロセスを更に大幅に簡略化させ、製造の自動化、大量生産化を容易にし、製造コストを大幅に低減させることが可能である。
非作用側電極構造体20Bは、非作用側電極構造体20Aと同様の電極部材21と、分極性電極21bに接触して配置されたカチオン交換膜25Cを備えている。
非作用側電極構造体20Bでは、カチオン交換膜25Cを生体に当接させた状態で集電体21aにマイナス電圧を印加することにより、生体皮膚又は分極性電極21bに保持される電解液からプラスのイオンがカチオン交換膜25Cを経て分極性電極21bに移行してトラップされ、電気2重層を形成することにより通電が生じるため、通電時における水素ガスの発生や水酸基イオンの生成が抑制される。
非作用側電極構造体20Bは、集電体21a、分極性電極21b及びカチオン交換膜25Cからなる極めてシンプルで、かつウェットな部材を有さない構造であるため、作用側電極構造体20Aの製造の自動化、大量生産化は極めて容易であり、製造コストを大幅に低減することができる。加えて、非作用側電極構造体20Bは作用側電極構造体10Iと同一の構成を有しているため、非作用側電極構造体20Bと作用側電極構造体10Iは同一のプロセスで製造することが可能である。従って、非作用側電極構造体20Bと作用側電極構造体10Iとを備えるイオントフォレーシス装置は、その製造プロセスを更に大幅に簡略化させ、製造の自動化、大量生産化を容易にし、製造コストを大幅に低減させることが可能である。
非作用側電極構造体20Cは、非作用側電極構造体20Aと同様の電極部材21を備えるとともに、分極性電極21bに接触して配置されたアニオン交換膜25Aを備えている。
非作用側電極構造体20Cでは、予め分極性電極21bにマイナスイオンをトラップさせる処理を行った後に、薬物投与のための通電が行われる。
このトラップのための処理は、適当な電解液にアニオン交換膜25Aを浸漬した状態で、分極性電極21にプラスの電圧を印加して通電することにより行うことができる。
薬物の投与に際しては、上記処理が行われた非作用側電極構造体20Bのアニオン交換膜25Aを生体皮膚に当接させた状態で分極性電極21にマイナスの電圧が印加される。
この場合における分極性電極21から生体皮膚への通電は、分極性電極21bにトラップされたマイナスイオンがリリースされて生体皮膚に移行することにより生じるため、水素ガスの発生や水酸基イオンの生成は抑制される。
非作用側電極構造体20Cは、非作用側電極構造体20Bと同様、シンプルでウェットな部材を有さない構造であるため、製造の自動化、大量生産化が容易であり、製造コストの大幅な低減が可能である。
非作用側電極構造体20Dは、非作用側電極構造体20Aと同様の電極部材21を備えるとともに、分極性電極21bに接触する電解液を保持する電解液保持部22及び電解液保持部22の前面側に配置されたアニオン交換膜25Aを備えている。
非作用側電極構造体20Dでは、アニオン交換膜25Aを生体に当接させた状態で集電体21aにマイナス電圧を印加した場合、電解液保持部22のプラスイオンが分極性電極21bに移行して活性炭にトラップされ、電気2重層を形成することにより通電が生じるため、通電時における水素ガスの発生や水酸基イオンの生成が抑制される。
電解液保持部22と生体皮膚との間では、主として電解液保持部22のマイナスイオンがアニオン交換膜25Aを介して生体に移行することで通電を生じる。
なお、非作用側電極構造体20Dでは、上記アニオン交換膜25Aを省略しても、上記と同等の効果が達成される。
図6(A)は、上記作用側電極構造体10A〜10Iの電極部材11又は非作用側電極構造体20A〜20Dの電極部材21として特に好ましく使用される電極部材40の平面図であり、図6(B)はそのA−A断面図を示している。
図中41は、カーボン繊維からなる集電体であり、集電体41の一表面には、分極性電極42が形成されている。
この分極性電極42は、単位体積当たりの静電容量が1F/g以上の導電体、又は比表面積が10m/g以上の導電体、又は活性炭を含有する板状の部材から構成することが可能である。
好ましい分極性電極42の構成としては、比表面積100m/g程度の活性炭粉末95重量部に対してポリテトラフルオロエチレン5重量部を配合した組成物を膜状に成形したものを例示することができ、特に好ましい分極性電極42の構成としては、ノボロイド繊維を炭化、賦活することで得られる活性炭繊維を例示することができる
また集電体41の反対面には、オス型嵌合部43a、胴部43b及び接合部43cからなる端子部材43が取り付けられている。
端子部材43は、集電体41上に配置した型中において、シリコンゴムなどのポリマーマトリクスに、グラファイトや黒鉛、カーボンブラック、或いはガラス状炭素の微細粉や炭素繊維を裁断した短繊維などのカーボンフィラーを配合した組成物を加熱加硫させることで硬質化させたものであり、上記組成物を集電体41を構成する炭素繊維中に含侵した状態で固化することで集電体41と端子部材43とが接合部43cにおいて一体化されている。
この電極部材40は、カーボン繊維が高い導電性と柔軟性を有するため、分極性電極42から均一な電流密度での通電を行うことが可能となり、生体の動きや皮膚の凹凸に追随できる柔軟性のある作用側電極構造体10A〜10I、非作用側電極構造体20A〜20Dを実現することができる。
また、電源30からの給電線31、32への接続は、オス型嵌合部43aに嵌合するメス型嵌合部を有するコネクターを用いて行うことが可能であるが、このメス型嵌合部に金属製の材料が使用されている場合であっても、オス型嵌合部43aが胴部43bによって集電体41から隔てられているために、コネクターの金属が溶出して生体に移行することが防止される。
なお、端子部材43の集電体41への取付方法は任意であり、例えば図6(C)に示すように、端子部材43に係止部43d、43eを形成し、集電体41に設けた小孔に係止部43eを挿通させることで取り付けを行うことも可能である。
図7(A)は、上記作用側電極構造体10A〜10Iの電極部材11又は非作用側電極構造体20A〜20Dの電極部材21として特に好ましく使用される他の態様の電極部材50の平面図であり、図7(B)はそのA−A断面図を示している。
図中51は、円形の導電シート部51aと導電シート部51aから延長する細長い延長部51bとを有するカーボン繊維で形成された集電体である。導電シート部51aの一表面には、分極性電極42と同様の分極性電極52が形成されている。
この電極部材50は、電極部材40と同様に、分極性電極52から均一な電流密度での通電を行うことが可能であり、生体の動きや皮膚の凹凸に追随できる柔軟性のある作用側電極構造体10A〜10I、非作用側電極構造体20A〜20Dを実現することができる。
この電極部材50は、図7(C)に示すように、外周壁16s、26s又は上壁16u、26uに開口16h、26hが形成された容器16、26と組み合わせて使用され、開口16h、26hから延長部51bを引き出した状態で容器16、26に収容される。
電源30からの給電線31、32への接続は、当該引き出された延長部51bにおいて、給電線31、32の先端に取り付けた鰐口クリップなどのコネクターを用いて行うことができる。
また、作用側電極構造体10A〜10Gや非作用側電極構造体20Dのように、内部に電解液保持部12、22、薬液保持部14などの含水率の高い部材が収容されるイオントフォレーシス装置の場合には、開口16h、26hに位置する延長部51bに、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、シラン系樹脂などを含浸させることで撥水性を付与した撥水部51cを設けることで、作用側電極構造体、非作用側電極構造体からの水分の漏れ出しを防止でき、或いは上記鰐口クリップなどのコネクターに金属製の部材が使用されている場合に、その部材から溶出した金属イオンが作用側電極構造体、非作用側電極構造体に侵入することを防止できる。
上記電極部材40、50の集電体41、51は、炭素繊維紙で形成しても上記と同様の効果を得ることができ、集電体41、51の炭素繊維又は炭素繊維紙にシリコンゴムや熱可塑性ポリウレタンなどの軟質ポリマーを含浸させることで、炭素繊維の脱落による電極品質の低下を防止し、電極部材40、50の取扱性を向上させることも可能である。
図8は、上記作用側電極構造体10A〜10Iの電極部材11又は非作用側電極構造体20A〜20Dの電極部材21として特に好ましく使用される更に他の態様の電極部材60を示す説明図であり、当該電極部材60の平面図が(B)に、そのA−A断面図が(A)に示されている。
図示されるように電極部材60は、支持体としての役割を果たす基体61、当該基体61上に形成される円形形状の集電体62並びに集電体62から外方に延長する給電線63、集電体62上に形成された円形形状の分極性電極64から構成されている。
ここで基体61は、典型的には0.02〜0.2mm程度の厚さ寸法を有するプラスチック製の素材よりなる薄膜体であり、柔軟性や価格の低廉性などからPETフィルムが特に好ましく使用される。
集電体62及び給電線63は、導電粉を含有する導電塗料を基体61上に塗布することにより形成された、例えば0.02〜0.2mm程度の厚さ寸法を有する導電性の塗膜から構成することができる。
この場合の導電塗料には熱硬化タイプのものを使用することが好ましく、これにより、化学的安定性に優れる塗膜を得ることができる。また導電塗料に含有される導電粉としては、金粉や銅粉などの金属粉を使用することも可能であるが、カーボン粉を使用することが特に好ましく、これにより、集電体62から溶出した金属イオンが生体に移行する懸念を低減又は解消することができる。
集電体63は、不図示の延長端において、電源30の端子に半田や導電性接着剤などで接続することができる。
分極性電極64は、分極性電極42と同様の構成とすることができる。なお、図示の例では、分極性電極64の面積が集電体62よりもわずかに小さく形成された場合が示されているが、分極性電極64を集電体62と同一の面積、あるいはそれよりも大きい面積とすることも可能である。
分極性電極64は、導電性接着剤65を用いて集電体62に接着することが可能であり、これにより、集電体62から分極性電極64への通電性を向上させることができる。
電極部材60は、安価で入手容易な材料のみから構成することが可能であり、また打ち抜きや導電性塗料の塗布など自動化や大量生産化に適する手法により製造することが可能であるため、製造コストの低廉化が容易であるという利点を有する。
以上、いくつかの実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内において種々の改変が可能である。
例えば、実施形態において示した電極構造体や分極性電極などの具体的な形状や寸法は単なる例として示したものであり、本発明は実施形態中に示される形状、寸法などにより制限されない。
また、上記実施形態では、分極性電極からのより均一な電流密度での通電を実現するために集電体が使用される場合について説明したが、集電体は必ずしも使用することは必要ではなく、分極性電極のみで電極部材を構成することも可能である。
また、作用側電極構造体10A〜10Iのいずれか1又は複数と、非作用側電極構造体20A〜20Dのいずれか1又は複数を組み合わせて本発明のイオントフォレーシス装置を構成することは可能であるが、作用側電極構造体10A〜10Iのいずれか1又は複数と図9、10に示される非作用側電極構造体120、210とを組み合わせ、或いは非作用側電極構造体20A〜20Dのいずれか1又は複数と、図9、10に示される作用側電極構造体110、210とを組み合わせて本発明のイオントフォレーシス装置を構成することも可能である。
或いは、作用側電極構造体10A〜10Iのいずれかを使用する一方、イオントフォレーシス装置そのものには非作用側電極構造体を設けずに、例えば、生体皮膚に作用側電極構造体を当接させ、アースとなる部材にその生体の一部を接触させた状態で作用側電極構造体に電圧を印加して薬物の投与を行うようにすることも可能であり、この場合も、通電時における作用側電極構造体での酸素ガスや水素ガス、塩素ガスなどの発生、或いは水素イオン、水酸基イオン、次亜塩素酸の生成が抑制されるという本発明の基本的な効果は達成されるのであり、そのようなイオントフォレーシス装置も本発明の範囲に含まれる。
また、上記実施形態では、作用側電極構造体、非作用側電極構造体及び電源がそれぞれ別体として構成されている場合について説明したが、これらの要素を単一のケーシング中に組み込み、或いはこれらを組み込んだ装置全体をシート状又はパッチ状に形成して、その取扱性を向上させることも可能であり、そのようなイオントフォレーシス装置も本発明の範囲に含まれる。
本発明の一実施形態に係るイオントフォレーシス装置の概略構成を示す説明図。 (A)〜(D)は、本発明の一実施形態に係るイオントフォレーシス装置の作用側電極構造体の構成を示す断面説明図。 (A)〜(C)は、本発明の一実施形態に係るイオントフォレーシス装置の作用側電極構造体の構成を示す断面説明図。 (A)、(B)は、本発明の一実施形態に係るイオントフォレーシス装置の作用側電極構造体の構成を示す断面説明図。 (A)〜(D)は、本発明の一実施形態に係るイオントフォレーシス装置の作用側電極構造体の構成を示す断面説明図。 (A)は、本発明の一実施形態に係るイオントフォレーシス装置に使用される電極の平面図。(B)はそのA−A断面図。(C)はその変形例を示す断面図。 (A)は、本発明の一実施形態に係るイオントフォレーシス装置に使用される他の態様の電極の平面図。(B)はそのA−A断面図。(C)はこの電極を容器に収容した状態を示す断面図。 (B)は、本発明の一実施形態に係るイオントフォレーシス装置に使用される他の態様の電極の平面図。(A)はそのA−A断面図。 従来のイオントフォレーシス装置の構成を示す説明図。 従来の他のイオントフォレーシス装置の構成を示す説明図。
符号の説明
X イオントフォレーシス装置
10、10A〜10I 作用側電極構造体
11 電極部材
11a 集電体
11b 分極性電極
12 電解液保持部
13 アニオン交換膜
14 薬液保持部
15 カチオン交換膜
16 容器
20、20A〜20D 非作用側電極構造体
21 電極部材
21a 集電体
21b 分極性電極
22 電解液保持部
25A アニオン交換膜
25C カチオン交換膜
30 電源
31、32 給電線
40 電極部材
41 集電体
42 分極性電極
43 端子部材
43a オス型嵌合部
43b 胴部
43c 接合部
43d、43e 係止部
50 電極部材
51 集電体
51a 導電シート部
51b 延長部
51c 撥水部
52 分極性電極
60 電極部材
61 基体
62 集電体
63 給電線
64 分極性電極
65 導電性接着剤
110、210 作用側電極構造体
120、220 非作用側電極構造体
111、121、211、221 電極
212、122 電解液保持部
213、215 イオン交換膜
114、214 薬液保持部
130、230 電源

Claims (23)

  1. 単位重量当たりの静電容量が1F/g以上の導電体を含有する分極性電極を有する電極構造体を備えることを特徴とするイオントフォレーシス装置。
  2. 比表面積が10m/g以上の導電体を含有する分極性電極を有する電極構造体を備えることを特徴とするイオントフォレーシス装置。
  3. 活性炭を含有する分極性電極を有する電極構造体を備えることを特徴とするイオントフォレーシス装置。
  4. 前記活性炭が活性炭繊維であることを特徴とする請求項3に記載のイオントフォレーシス装置。
  5. 前記活性炭繊維がノボロイド繊維を炭化、賦活して得られたものであることを特徴とする請求項4に記載のイオントフォレーシス装置。
  6. 前記分極性電極に電解液が保持されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のイオントフォレーシス装置。
  7. 前記分極性電極にバインダーポリマーが配合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のイオントフォレーシス装置。
  8. 前記バインダーポリマーがポリテトラフルオロエチレン又はポリフッ化ビニリデンフロライドであることを特徴とする請求項7に記載のイオントフォレーシス装置。
  9. 前記電極構造体が集電体を更に有し、
    前記分極性電極が前記集電体の前面側に配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のイオントフォレーシス装置。
  10. 前記集電体が、炭素繊維又は炭素繊維紙により形成されていることを特徴とする請求項9に記載のイオントフォレーシス装置。
  11. 前記分極性電極にバインダーポリマーが配合されており、
    前記集電体に、前記バインダーポリマーの一部が含浸されていることを特徴とする請求項9又は10に記載のイオントフォレーシス装置。
  12. ポリマーマトリクスにカーボン粉を混入させた導電性樹脂よりなる端子部材が、前記集電体に取り付けられていることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載のイオントフォレーシス装置。
  13. 前記集電体が、所定の面積を有する導電シート部と、前記導電シート部と一体に形成された延長部とを有することを特徴とする請求項10又は11に記載のイオントフォレーシス装置。
  14. 前記集電体が導電粉を含有する導電塗料の塗膜であることを特徴とすることを特徴とする請求項9に記載のイオントフォレーシス装置。
  15. 前記導電粉がカーボン粉であることを特徴とする請求項14に記載のイオントフォレーシス装置。
  16. 前記集電体と前記分極性電極が導電性接着剤により接着されていることを特徴とする請求項14又は15に記載のイオントフォレーシス装置。
  17. 前記集電体が、プラスチック基体上に形成されていることを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載のイオントフォレーシス装置。
  18. 前記電極構造体が、前記分極性電極の前面側に配置された薬物イオンを含有する薬液を保持する薬液保持部を更に備えることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のイオントフォレーシス装置。
  19. 前記分極性電極に前記薬液保持部の薬液と同一組成の薬液が保持されていることを特徴とする請求項18に記載のイオントフォレーシス装置。
  20. 前記電極構造体が、前記分極性電極の前面側に配置され、薬物イオンがドープされた第1イオン交換膜を更に備えることを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載のイオントフォレーシス装置。
  21. 第1導電型の薬物イオンを保持する作用側電極構造体と、
    前記作用極構造体の対極としての非作用側電極構造体とを備えるイオントフォレーシス装置であって、
    前記非作用側電極構造体が、
    単位体積当たりの静電容量が1F/g以上の導電体を含有する分極性電極と、
    前記分極性電極の前面側に配置された第3イオン交換膜とを備えることを特徴とするイオントフォレーシス装置。
  22. 第1導電型の薬物イオンを保持する作用側電極構造体と、
    前記作用極構造体の対極としての非作用側電極構造体とを備えるイオントフォレーシス装置であって、
    前記非作用側電極構造体が、
    比表面積が10m/g以上の導電体を含有する分極性電極と、
    前記分極性電極の前面側に配置された第3イオン交換膜とを備えることを特徴とするイオントフォレーシス装置。
  23. 第1導電型の薬物イオンを保持する作用側電極構造体と、
    前記作用極構造体の対極としての非作用側電極構造体とを備えるイオントフォレーシス装置であって、
    前記非作用側電極構造体が、
    活性炭を含有する分極性電極と、
    前記分極性電極の前面側に配置された第3イオン交換膜とを備えることを特徴とするイオントフォレーシス装置。
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