JP2007059126A - 電解質組成物、固体電解質膜および固体高分子型燃料電池 - Google Patents

電解質組成物、固体電解質膜および固体高分子型燃料電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2007059126A
JP2007059126A JP2005240995A JP2005240995A JP2007059126A JP 2007059126 A JP2007059126 A JP 2007059126A JP 2005240995 A JP2005240995 A JP 2005240995A JP 2005240995 A JP2005240995 A JP 2005240995A JP 2007059126 A JP2007059126 A JP 2007059126A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
structural block
proton
atom
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2005240995A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Sato
博之 佐藤
Makoto Yoshino
真 吉野
Wataru Toyama
弥 外山
Azuma Matsuura
東 松浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Priority to JP2005240995A priority Critical patent/JP2007059126A/ja
Publication of JP2007059126A publication Critical patent/JP2007059126A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)

Abstract

【課題】 高プロトン伝導性と耐水性を保ちつつ優れた耐メタノール透過性を実現しうる新規な電解質膜材料、そのような材料を使用した固体電解質膜および固体高分子型燃料電池を提供する。
【解決手段】 プロトン伝導基を側鎖に有する構造ブロック(構造ブロックA)と、プロトン伝導基を有さない構造ブロック(構造ブロックB)とを含むブロックコポリマーを含む電解質組成物を使用する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池の固体電解質膜に関する。より具体的には、プロトン伝導特性を有するメタノール酸化還元燃料電池(またはメタノール直接型燃料電池:Direct Methanol Fuel Cell、以下DMFCとも言う。)の固体電解質膜に関する。
燃料電池用固体電解質膜は、2枚の電極に挟まれた電解質膜としてプロトン伝導性ポリマーを用いた膜である。固体高分子型燃料電池は、他の燃料電池と比べてパワー重量比が高く、低温での動作が可能である特長を持つ。現時点では自動車用駆動源、家庭用発電設備、携帯機器用電源のような小型軽量化、負荷応答の迅速さが要求される用途を想定して研究が進められている。
固体高分子型燃料電池はメタノールなどの燃料極で発生させたプロトンを、酸素などの空気極で反応させ、水を生成することにより電池を構成するものであり、電極間に挟まれる固体電解質膜のプロトン伝導性が高いほど燃料電池としての効率も上昇する。携帯機器用としては、メタノールを直接燃料として利用するダイレクトメタノール方式が有力である。
しかしながら、現在有力な製品となっている米デュポン社のNafion膜は燃料であるメタノールの透過性が高いために、発電中に燃料が失われて発電容量が低下するほか、メタノールと空気の副反応により発電電力が低下する、空気極の触媒活性が低下するなど、電池の特性が劣化してしまう問題がある。しかも、メタノールが高濃度になるほど性能の劣化も顕著になるため、燃料電池の特性を向上させるためにダイレクトメタノール方式で高濃度の燃料を用いることは困難である。
これに対し、燃料であるメタノールの濃度を高めることができれば、燃料電池の駆動時間を長くすることが可能となるため、高い耐メタノール透過(クロスオーバー)性を実現しうる新規な電解質膜材料の開発が望まれている。
メタノールは、膜が吸水することにより水を介して膜を透過する。そのためメタノール透過性を低減するためには、電解質膜でメタノール伝導チャネルとなりうる、親水性部分のサイズ調節が有効である。ここで親水性部分とは、電解質膜中に存在する、特に水を吸着しやすい領域のことで、シミュレーションでその大きさを推定することができる。
親水性部分は、小さなサイズのものが電解質膜中に均等に分布していることが好ましいと考えられる。このような状態を得るための親水性部分のサイズの調節には、膜の構成に関与しているポリマー分子の自己組織化によって親水性部分とそれ以外の部分とを相分離により生じさせる相分離構造を用いる手法が考えられる。特に、ブロックコポリマーの自己組織化により形成されるミクロ相分離構造が利用できれば、ナノメートルレベルでのサイズ調整も可能である。
ミクロ相分離構造には膜構成成分の体積比により、球状ミセル構造、シリンダー構造、ラメラ構造、ジャイロイド構造などがある。近年ではジブロックコポリマーやトリブロックコポリマーの自己組織化を利用した、伝導チャネルの空間配置の制御手法が提案されるようになってきた(たとえば特許文献1,2参照。)。
従来提案されている手法は、プロトン伝導基を含むポリマーと、含まないポリマーとのジブロックコポリマーやトリブロックコポリマーを利用するものである。
しかしこれらの場合、プロトン伝導基を含むポリマーが不均一な相分離構造を形成してしまう可能性がある。たとえば膜の表面ではミクロ相分離構造が形成されていても、膜内部では最も期待される親水性部分の球状ミセル構造が生ぜず、親水性部分と疎水性部分とで層状構造が形成されてしまう可能性が高くなる。たとえば、ミクロ相分離構造を利用した側鎖型スルホン化ポリイミド膜が提案されており(特許文献3参照。)、この膜はメタノール透過性の低い優れた性質を示すが、吸水することで膜厚が2倍以上と、顕著な異方的体積変化をおこしてしまうと言われている(非特許文献1参照。)。膜厚方向に特化した体積変化の要因は、上で述べたように膜内部では層状構造が形成されてしまうためだと考えられる。層状の相分離構造が形成されてしまうと、ミクロ相分離によるメタノール透過性の抑制効果が、大幅に損なわれてしまう問題を生じる。
特開2003−142125号公報(特許請求の範囲) 特開2004−359925号公報(段落番号0018) 特開2004−155998号公報(特許請求の範囲) ヤン・イン等(Yan Yin et al.),「ジャーナル・オブ・マテリアル・ケミストリー(J.Mater.Chem.)」,2004,第14巻,p.1062−1070
本発明は、上記の問題を解決し、高プロトン伝導性と耐水性を保ちつつ優れた耐メタノール透過(クロスオーバー)性を実現しうる新規な電解質膜材料、そのような材料を使用した固体電解質膜および固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
本発明の一態様によれば、プロトン伝導基を側鎖に有する構造ブロック(構造ブロックA)と、プロトン伝導基を有さない構造ブロック(構造ブロックB)とを含むブロックコポリマーを含む電解質組成物が提供される。
本発明態様により、高プロトン伝導性と耐水性を保ちつつ優れた耐メタノール透過(クロスオーバー)性を実現しうる新規な電解質膜材料が得られる。
構造ブロックAが、下記式(1)で示される構造と下記式(2)で示される構造とからなり、構造ブロックBが、下記式(2)で示される構造からなること、
(構造ブロックA中の式(2)で表される構造と構造ブロックBの式(2)で表される構造とは同一であっても、異なっていてもよい。式(1)および(2)において、R1は、炭素原子とケイ素原子の少なくともいずれか一方を含み、水素原子、フッ素原子、窒素原子、リン原子および酸素原子からなる群から選ばれた少なくとも一つを含み、プロトン伝導基を含んでいてもよい基である。Ar1は、フッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよく、プロトン伝導基を含んでいてもよい、脂環族炭化水素基、芳香族基およびボロンナイトライド基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基を含む基である。Zはプロトン伝導基を含む基である。R2は、炭素原子とケイ素原子の少なくともいずれか一方を含み、水素原子、フッ素原子、窒素原子、リン原子および酸素原子からなる群から選ばれた少なくとも一つを含み、プロトン伝導基を含まない基である。Ar2は、フッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよい、脂環族炭化水素基、芳香族基およびボロンナイトライド基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基を含み、プロトン伝導基を含まない基である。Eは、各式中および各式間において互いに独立に、
1,R2,Ar1およびAr2の相互の間を化学結合するための連結部分である。a,bおよびdは互いに独立に1以上の整数、cは0または1以上の整数である。eは1以上の整数、fおよびgは互いに独立に0または1以上の整数であり、f+g≧1である。式(1)および(2)中に現れる単結合記号(線の部分)は一本の単結合であっても複数の単結合であってもよい。)、
その場合に、aとeが、互いに独立に、2〜20の範囲にあること、前記Zが、下記式(3)で示される構造を含むこと、
(式(3)において、Z’はプロトン伝導基を意味する。d’およびa’は、互いに独立に、1以上の整数である。その他の各記号は、式(1)の各記号とは独立に、式(1)の各記号と同様の意味を有する。)、
d’×a’が2以上であること、R1とR2との少なくともいずれか一方が、フッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよいベンゼン環、またはフッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよいベンゼン環とエーテル結合とを含み、Ar1とAr2との少なくともいずれか一方が、フッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよいナフタレン環を含み、Eがイミド結合であること、前記構造ブロックAからプロトン伝導基を除いた構造単位の比誘電率と構造ブロックBの構造単位の比誘電率との差が5以下であること、前記ブロックコポリマーの数平均分子量Mnが5,000〜500,000の範囲にあること、が好ましい。
本発明の他の態様によれば、上記の電解質組成物からなる固体電解質膜およびその固体電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池が提供される。
本発明の更に他の一態様によれば、上記の電解質組成物が有機溶媒を含み、当該有機溶媒を含む電解質組成物を基体上に塗布し、その後溶媒を除去する、固体電解質膜の製造方法が提供される。前記溶媒の除去後、熱圧延法による処理を行うことが好ましい。
本発明の更に他の一態様によれば、上記方法によって作製された固体電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池が提供される。
これらの、固体電解質膜、その製造方法および固体高分子型燃料電池の諸発明態様により、高プロトン伝導性と耐水性を保ちつつ優れた耐メタノール透過(クロスオーバー)性を実現しうる新規な電解質膜材料を使用した高品質の固体電解質膜および固体高分子型燃料電池が得られる。
本発明により、高プロトン伝導性と耐水性を保ちつつ優れた耐メタノール透過(クロスオーバー)性を実現しうる新規な電解質膜材料、そのような材料を使用した固体電解質膜および固体高分子型燃料電池を提供できる。
以下に、本発明の実施の形態を図、表、式、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、表、式、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
固体電解質膜に使用されるポリマー中におけるプロトン伝導基の分布のミクロ相分離構造への影響を調べるため、プロトン伝導基を側鎖に有する構造ブロック(構造ブロックAと呼称する)とプロトン伝導基を有さない構造ブロック(構造ブロックBと呼称する)とをセグメントとして、各セグメントの集合で表現される多種類の重合体モデル構造を構築し、経路積分を利用した相分離シミュレーションを実施して伝導チャネルの構造評価を行った。
計算プログラムとしては、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の土井プロジェクトで開発された、ソフトマテリアルのための統合化シミュレータOCTAに搭載されている、動的平均場シミュレータSUSHI(c2000−2002、OCTA Licensing Committee、ソフトマテリアルOCTA)を用い、上記構造から構築できるポリマー分子について、同一モル量で同一のイオン交換能力を有するためには、ポリマー分子中のプロトン伝導基のモル濃度が同程度であると仮定して、それぞれのポリマー分子中のミクロ相分離構造をシミュレートした。
その結果、構造ブロックAと構造ブロックBとのブロックコポリマーが、メタノール伝導チャネルのサイズ微細化と均一化に最も適した構造であることを見出した。
この様子を、簡略化のためスルホン化ベンゼン環構造とベンゼン環構造とで構築されるポリマー分子について、従来技術に相当するジブロックコポリマーにおけるミクロ相分離構造および、スルホン化ベンゼン環構造を側鎖に、幹にベンゼン環構造を有する構造と、ベンゼン構造とのブロックコポリマーにおけるミクロ相分離構造とを図1,2に示す。図1が前者のシミュレーションの結果得られたミクロ相分離構造、図2が後者のシミュレーションの結果得られたミクロ相分離構造である。黒みの少ない部分が親水性部分を示しており、本発明に係るポリマーでは、より小さなサイズのものが均等に分布していることが理解される。
この結果に基づき、本発明の第一の態様は、プロトン伝導基を側鎖に有する構造ブロック(構造ブロックA)と、プロトン伝導基を有さない構造ブロック(構造ブロックB)とを含むブロックコポリマーを含む電解質組成物である。このようなブロックコポリマーを含むことにより、固体高分子型燃料電池等の固体電解質として使用した場合、耐水性を保ちつつ、メタノールクロスオーバーが少なく、かつ高いプロトン伝導性を有する電解質組成物が得られる。本ブロックコポリマーには構造ブロックAおよび構造ブロックB以外の構造部分も存在してもよいが、構造ブロックAと構造ブロックBとだけで本ブロックコポリマーを構成できるのであればそれで充分である。
プロトン伝導基を側鎖に有するには、もっとも一般的にはグラフト重合が挙げられる。その場合、構造ブロックAをプロトン伝導基を側鎖に有するグラフトオリゴマーまたはポリマーと言い換えてもよい。ただし、本発明に係る側鎖は、グラフト重合に限らず、どのような方法により作製されてもよい。
構造ブロックAおよび構造ブロックBの化学的構造についても、いわゆる有機物と見なされるもので、炭素とケイ素との少なくともいずれか一方、および、選択的に、酸素、硫黄等を構造の幹部分に有するものであれば、特に制限はない。構造ブロックAと構造ブロックBとの結合の仕方についても特に制限はなく、ラジカル重合、イオン重合、縮重合、放射線重合等任意の重合方法を利用することができる。構造ブロックAと構造ブロックBとの結合部分が、重合の際に生じる結合部分と一致する必要もない。構造ブロックAと構造ブロックBとの結合部分が、重合の際に生じる結合部分と一致する場合、構造ブロックAおよび構造ブロックBはいわゆるモノマー単位でもオリゴマー単位でもよい。
より具体的には、構造ブロックAが、下記式(1)で示される構造と下記式(2)で示される構造とからなり、構造ブロックBが、下記式(2)で示される構造からなることが好ましい。
構造ブロックA中の式(2)で表される構造と構造ブロックBの式(2)で表される構造とは同一であっても、異なっていてもよい。式(1)および(2)において、R1は、炭素原子とケイ素原子の少なくともいずれか一方を含み、水素原子、フッ素原子、窒素原子、リン原子および酸素原子からなる群から選ばれた少なくとも一つを含み、プロトン伝導基を含んでいてもよい基である。Ar1は、フッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよく、プロトン伝導基を含んでいてもよい、脂環族炭化水素基、芳香族基およびボロンナイトライド基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基を含む基である。Zはプロトン伝導基を含む基である。R2は、炭素原子とケイ素原子の少なくともいずれか一方を含み、水素原子、フッ素原子、窒素原子、リン原子および酸素原子からなる群から選ばれた少なくとも一つを含み、プロトン伝導基を含まない基である。Ar2は、フッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよい、脂環族炭化水素基、芳香族基およびボロンナイトライド基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基を含み、プロトン伝導基を含まない基である。Eは、各式中および各式間において互いに独立に、R1,R2,Ar1およびAr2の相互の間を化学結合するための連結部分である。a,bおよびdは互いに独立に1以上の整数、cは0または1以上の整数である。eは1以上の整数、fおよびgは互いに独立に0または1以上の整数であり、f+g≧1である。式(1)および(2)中に現れる単結合記号(線の部分)は一本の単結合であっても複数の単結合であってもよい。
式(1)で示される構造において、プロトン伝導基は、Z中に含まれるが、式(4)、(5)中にも含まれている場合があり得る。
式(1)中、式(4)の部分は必ず存在するが、式(5)の部分は存在しない場合もあり得る。c=0の場合である。一方、式(6)の部分のみが存在し、式(7)の部分が存在しない場合も、逆に、式(7)の部分のみが存在し、式(6)の部分が存在しない場合もあり得る。
b=1,c=0の場合、b=1,c=1の場合、f=1,g=0の場合、f=1,g=1の場合、f=0,g=1の場合は、[]の中にモノマー単位があり、その他の場合はオリゴマー単位があると考えることができる。
a〜gの値については次のように考えることができる。ただし、それぞれ、平均値としての値で把握すれば充分である。
b,c,f,gの上限には特に制限はないが、一般的にはそれぞれ5以下が好ましい。あまり大きいとプロトン伝導基の濃度が相対的に低下することになる。
aについては、一般的には2〜20の範囲が好ましい。2より小さい場合や20より大きい場合には、構造上、プロトン伝導基を側鎖に有する構造ブロック(構造ブロックA)と、プロトン伝導基を有さない構造ブロック(構造ブロックB)とを含むブロックコポリマーという特徴を発揮しがたくなる場合がある。最大伸張状態での分子中における式(1)の構造の長さで表すとすれば2nm以下であることが特に好ましい。
eについては、一般的には2〜20の範囲が好ましい。2より小さい場合や20より大きい場合には、構造上、プロトン伝導基を側鎖に有する構造ブロック(構造ブロックA)と、プロトン伝導基を有さない構造ブロック(構造ブロックB)とを含むブロックコポリマーという特徴を発揮しがたくなる場合がある。
dについては、1以上であれば特に制限はないが、プロトン伝導基の数に比してdが大きすぎるとプロトン伝導基の作用が低減する場合がある。
1は、炭素原子とケイ素原子の少なくともいずれか一方を含む。一般的には炭素原子が構造の幹部分を形成するが、ケイ素原子が構造の幹部分に含まれることもあり得る。水素原子やフッ素原子は、炭素原子やケイ素原子と直接結合する場合の他、どのような結合に含まれていてもよい。窒素原子、リン原子および酸素原子の結合の仕方にも特に制限はない。
1としては、より具体的には、炭化水素基、たとえば、置換されていてもよく、不飽和結合を含んでいてもよく、枝分かれしていてもよい脂肪族炭化水素基、置換されていてもよく、不飽和結合を含んでいてもよく、枝分かれしていてもよい脂環族炭化水素基、置換されていてもよく、縮合環であってもよく、複素環であってもよい芳香族基、これらの組み合わせ、ならびにそれらをエーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミド結合等で結びつけたものを挙げることができる。R1自体がプロトン伝導基を含んでいてもよい。図3は、R1の具体例である。
2については、プロトン伝導基を含まない基である点を除いて、R1と同様に考えることができる。R1とR2とが、プロトン伝導基の有無以外は同一の化学構造であっても差し支えない。むしろ、式(1)と式(2)の部分の相溶性が高まり、好ましい場合が多い。
図4は、R2の具体例である。中でも、R1とR2との少なくともいずれか一方が、フッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよいベンゼン環、またはフッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよいベンゼン環とエーテル結合とを含むものが好ましい。
Ar1とAr2は、脂環族炭化水素基、芳香族基およびボロンナイトライド基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基を含む基であり、これらの基は共に、フッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよい。ただし、Ar1はプロトン伝導基を含んでもよいが、Ar2はプロトン伝導基を含まない。Ar1にプロトン伝導基が含まれる場合、その数や他の部分との結合の仕方については特に制限はない。Ar1およびAr2中の芳香族基には縮合環や複合環も含まれる。エーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミド結合等が含まれていてもよい。
図5は、Ar1の具体例、図6はAr2の具体例である。なかでも、Ar1とAr2との少なくともいずれか一方が、フッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよいナフタレン環を含むものが好ましい。
Eは、R1,R2,Ar1およびAr2の相互の間を化学結合するための連結部分であり、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミド結合等が実用的であるが、他の結合であってもよい。また、Eが、結合や原子を全く含まず、「−E−」で単なる単結合記号(−記号)を表す場合も含まれる。
エーテル結合はジヒドロキシ化合物同士の縮合、エステル結合はジヒドロキシ化合物とジカルボン酸との縮合または末端にヒドロキシ基とカルボキシ基とを有する化合物の自己縮合、アミド結合は、ジアミノ化合物とジカルボン酸との縮合または末端にアミノ基とカルボキシ基とを有する化合物の自己縮合、イミド結合は、ジアミノ化合物とテトラカルボン酸との縮合等によって得ることができる。
Eがイミド結合であることが好ましい。イミド結合の場合、Eとその他の部分とを結ぶ結合は二本生じる。すなわち、式(1),(2)における幹を構成する単結合記号(線の部分)は複数の単結合を表す場合もあり得る。
Zはプロトン伝導基を含む基である。本発明に係るプロトン伝導基はプロトンを生成し得る基を意味する。具体的には、スルホン酸基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、リン酸基、ホスホン酸基および硝酸基を挙げることができる。スルホン酸基が好ましい。Z中にはプロトン伝導基が複数含まれていてもよく、複数種含まれていてもよい。「(Z中に含まれるプロトン伝導基の数)×d」としては、2以上が好ましく、2〜20の範囲がより好ましい。
高いプロトン伝導性を実現するためのイオンチャネル構造は、プロトン伝導基によって得られる。このプロトン伝導基を有するZの大きさに関しては、イオンチャネル構造の発揮しやすさの観点から、ZにおいてR1からプロトン伝導基に至るまでの幹中の最短経路に含まれる原子の数が4以上であることが好ましく、20以下であることが好ましい。4未満では、側鎖にプロトン伝導基があるというよりは、プロトン伝導基が幹に直接置換基として存在する場合に近づき、プロトン伝導基を側鎖に有する構造ブロック(構造ブロックA)と、プロトン伝導基を有さない構造ブロック(構造ブロックB)とを含むブロックコポリマーという特徴を発揮しがたくなる。20を越えると、プロトン伝導基の作用が低減する場合が多い。
なお、「R1からZ中のプロトン伝導基に至るまでの幹中の最短経路に含まれる」とは、幹が一本である場合には、R1の次にある原子を一つ目として数えた場合に、プロトン伝導基の直前の原子までの数を意味する。たとえば、図10の番号(8)の場合は5である。一方、ベンゼン環を含む等、幹が一本でない場合には、R1の次にある原子を一つ目として数えた場合に、その最短経路をたどった場合における、プロトン伝導基の直前の原子までの数を意味する。図10の番号(9)の場合は、7ではなく、5である。プロトン伝導基が複数存在する場合は、それぞれについての最短経路をたどった場合における、プロトン伝導基の直前の原子までの数の内最小のもので判断すればよい。
さらに、一般に、プロトン伝導基同士が近接し過ぎるとスポンジ状の膜構造になりやすく、メタノール透過性が増大する可能性があるため、プロトン伝導基同士があまり近づかないように配置することが重要な場合もある。上記と同様な数え方で、二つのプロトン伝導基の間に挟まれる原子の数が3以上であることが好ましい。
Z中におけるプロトン伝導基を含む基の化学的構造については特に制限はないが、エーテル結合、エステル結合、アミド結合等で連鎖を形成させて造られたものが実用的である。その場合は、Zの中に、Eと同様の結合部分があると考えることもできる。さらにその場合の骨格としては、式(1)の構造を利用することができる。この場合、上述の説明と同様の理由から、Eとその他の部分とを結ぶ結合は二本生じ得る。すなわち、式(1),(2)における単結合記号(線の部分)は、幹を構成しない部分についても、複数の単結合を表す場合もあり得る。
これを具体的に表すと、Zが下記式(3)で示される構造を含むものである。
式(3)において、Z’はプロトン伝導基を意味する。d’およびa’は、互いに独立に、1以上の整数である。その他の各記号は、式(1)の各記号とは独立に、式(1)の各記号と同様の意味を有する。d’およびa’も平均値としての値で把握すれば充分である。
a’の条件は上記dと同様に考えることができる。d’については、d’×a’が、2以上であることが好ましく、2〜20の範囲であることがより好ましい。
図7は、Zの具体例である。又、図8は式(1)の具体例であり、図9は式(2)の具体例である。
メタノール伝導チャネルのサイズ微細化と均一化の目的からは、構造ブロックAからプロトン伝導基を除いた構造単位の比誘電率と構造ブロックBの構造単位の比誘電率との差が5以下であることが好ましい。
また、絶対値としては、比誘電率がメタノールよりも20以上小さい、10以下であることが好ましい。
このようになっていると、構造ブロックAと構造ブロックBの相溶性が高まり、親水性部分の微細化と均一分散化をより容易に達成できるからである。なお、上記において「構造単位」とは、たとえば式(1)や(2)では[]に囲まれた部分(すなわちaやeを除いた部分)を意味する。なお、構造ブロックAからプロトン伝導基を除いた構造単位や構造ブロックBの構造単位の比誘電率は、そのような部分が単独の分子を形成する場合の値を実測して求めることができる。ここで「単独の分子を形成する場合」とは、たとえば、式(1)のEがエステル結合である場合には、末端にカルボキシ基またはヒドロキシ基を末端に持つ分子を意味する。
本発明に係るブロックコポリマーの大きさについては特に制限はないが、取扱の容易さや膜形成の性能上、数平均分子量Mnが5,000〜500,000の範囲にあることが好ましい。本発明に係るブロックコポリマーが混合物である場合は、混合物を一つのポリマーとして扱いMnを定める。
メタノールクロスオーバーの低減は、剛直構造の導入により実現できる。この観点から、上記式(1)〜(3)の構造には、脂環族炭化水素基芳香族基、ボロンナイトライド基等の剛直構造を導入することが好ましい。
また、上記式(1)〜(3)の構造にフッ素を導入することで、H結合を低減し、水/メタノールまたは強酸雰囲気下での劣化を防止または低減できる。この点からは、たとえば、上記式(1)〜(3)の構造にパーフルオロ基を含ませることが好ましい。
本発明により、新規な電解質組成物が得られる。この電解質組成物からは、DMFCや改質型メタノール燃料電池等の固体高分子型燃料電池に使用できる固体電解質膜を得ることができる。DMFCに使用した場合、低いメタノールクロスオーバー性と高いプロトン伝導性と高い耐水性とを有する固体電解質膜とすることができる。この固体電解質膜は水素燃料電池用に使用してもよい。
なお、本発明に係る電解質組成物中には、上記したブロックコポリマー以外に、他のポリマーや溶媒、触媒、添加剤を共存させることができる。他のポリマーとしては、ポリアクリレート、ポリシロキサンを、溶媒としてはジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、メタクレゾールを、触媒としてはイミダゾール、トリフェニルフォスフィン、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを挙げることができる。
このようにして得られる本発明の電解質組成物から固体電解質膜を作成することができるが、本発明の電解質組成物が有機溶媒を含む場合には、この電解質組成物を基体上に塗布し、その後溶媒を除去することで容易に固体電解質膜を製造することができる。溶媒の除去後加熱処理や光照射処理を行うこともできる。この基体としては、電解質組成物や溶媒に対し不活性で、電解質組成物の膜を形成できるものであればどのようなものでもよい。さらに、溶媒の除去後熱圧延法による処理を行うことも有用である場合が多い。触媒層と電解質膜との間の密着性を向上させる効果が得られる。熱圧延法による処理としては、温度100〜160℃、圧力10〜150kg/cm2の条件が好ましい。なお、本発明に使用する光の種類には特に制限はなく、可視光線や紫外線を使用できるが、反応が迅速である点から紫外線が好ましい。
このようにして得た固体電解質膜は、固体高分子型燃料電池、なかんずく、DMFCや改質型メタノール燃料電池等に使用できる。DMFCに使用した場合、低いメタノールクロスオーバー性と高いプロトン伝導性とを有し、さらに耐水性に優れた固体電解質膜とすることができる。この固体電解質膜は水素燃料電池用に使用してもよい。
なお、本発明に係る電解質組成物には、上記のように固体電解質膜状態になったものも含めることができる。
次に本発明の実施例および比較例を詳述する。なお、実施例に示した測定値は以下の方法で測定した。
(イオン交換容量)
膜構成原子種の割合による分子量概算値でプロトン伝導基の数を割ることにより求めた。
(プロトン伝導度)
固体電解質膜を直径35mmに切り出した後、ポリテトラフルオロエチレンホルダー上に設置し、交流4端子のインピーダンス測定で求めたCole−Coleプロットから膜抵抗を測定した。測定は水中で行った。電圧端子間は3,4,5,6mmとした。インピーダンス測定にはLCRメータを使用した。温度変化は伝導度測定セルを入れた恒温浴槽内の温度を変えて行った。測定温度範囲は5〜70℃であった。
(メタノール透過性)
イオン交換水と10体積%メタノール水溶液とを、直径35mmの固体電解質膜を介して配置し、室温(30℃)で1時間までのイオン交換水側のメタノール濃度変化をガスクロマトグラフィーにて測定した。得られたメタノール濃度直線の傾きにより、メタノール透過速度を求めた。
(耐水性)
膜を80℃の水に所定の時間浸した後に取り出し、120度に曲げた際に目視確認で破断が生じるまでの時間とした。
なお、使用した主要化合物の構造を図12に示す。また、主要化合物の反応例を、図13〜15に示す。
[実施例1]
乾燥容器内にて、3,5−ジアミノ安息香酸(DABA)二塩酸塩0.25g(1ミリモル)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)0.1g(0.5ミリモル)、m−クレゾール4mLを、窒素下で撹拌溶解した。溶解後の溶液に1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)0.43g(1.7ミリモル)、安息香酸0.3gを加え、混合溶液を80℃にて4時間加熱した。得られた反応混合液については、180℃でさらに10時間加熱した後に室温(30℃)で冷却した。
これにより、図16の(1)に示すような構造体が得られた。なお、+の記号は[NTDA−DABA]と[NTDA−ODA]とがランダムな順序で結合していることを意味する(以下同様)。
冷却後の溶液に、4,4’−オキシジアニリン(ODA)0.1g(0.5ミリモル)、m−クレゾール1.5mLを、窒素下で撹拌溶解した。溶解後の溶液に1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)0.08g(0.3ミリモル)、安息香酸0.1gを加え、混合溶液を80℃にて4時間加熱した。得られた反応混合液については、180℃でさらに10時間加熱した後に室温(30℃)で冷却した。
これにより、図16の(2)に示すようなブロックポリマー(またはオリゴマー。以下同様。)が得られた。
冷却後の溶液に、2,2’−ベンジジンスルホン酸(BDSA)二塩酸塩0.4g(1ミリモル)、m−クレゾール2mL、トリエチルアミン0.3mL、安息香酸0.3gを加えて撹拌混合し、80℃にて4時間過熱した。得られた反応混合液については、180℃でさらに10時間加熱した後に室温(30℃)で冷却した。
冷却後の溶液を撹拌アセトン中に注ぎ、そのまま撹拌を続けて繊維状の沈殿を得た。沈殿物は濾過後にアセトン洗浄し、吸引濾過した生成物を、フィルム状に延ばし、真空乾燥することにより、NTDA−DABA−BDSAとNTDA−ODAのランダム重合鎖とNTDA−ODA重合鎖とのブロック共重合ポリイミドのトリエチルアミン塩フィルムを得た。NTDA−DABA−BDSAは、NTDA−DABAにおけるDABAのカルボキシ基にBDSAのアミノ基が側鎖として結合した状態を表している(図15参照)。
得られたフィルムを60℃に加熱したメタノールに5時間浸漬した後、0.5Nの硫酸水溶液に15時間浸漬してプロトン交換した。プロトン交換後のフィルムを水洗した後150℃で10時間真空乾燥し、図16の(3)に示すように、プロトン型のポリイミド膜(固体電解質膜1)を得た。
この固体電解質膜1について、イオン交換容量、プロトン伝導度、メタノール透過速度、耐水性を評価した。結果を表1に示す。表1には、Nafion膜の評価値も示してある。なお、非特許文献1にあるような吸水による異方的な膜厚変化も確認されず、層状などの相分離は生じていなかったものと考えられる。
なお、本例におけるイミド結合は、式(1),(2)において、単結合記号が二本の単結合である例に該当する。NTDAは、式(1),(2)がナフタレン環を有する場合に該当する。ODAは、式(1),(2)のAr1とAr2とが、ベンゼン環とエーテル結合とを含む場合に該当する。
[実施例2]
乾燥容器内にて、4,4’−オキシジアニリン(ODA)0.2g(1ミリモル)、m−クレゾール3mLを、窒素下で撹拌溶解した。溶解後の溶液に1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)0.3g(1.2ミリモル)、安息香酸0.2gを加え、混合溶液を80℃にて4時間加熱した。得られた反応混合液については、180℃でさらに10時間加熱した後に室温(30℃)で冷却した。これにより、図17の(1)に示すような構造体が得られた。
冷却後の溶液に、3,5−ジアミノ安息香酸(DABA)二塩酸塩0.25g(1ミリモル)、m−クレゾール2mL、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)0.2g(0.8ミリモル)、安息香酸0.1gを加え、混合溶液を80℃にて4時間加熱した。得られた反応混合液については、180℃でさらに10時間加熱した後に室温(30℃)で冷却した。
これにより、図17の(2)に示すようなブロックポリマーが得られた。
冷却後の溶液に、2,2’−ベンジジンスルホン酸(BDSA)二塩酸塩0.4g(1ミリモル)、m−クレゾール2mL、トリエチルアミン0.3mL、安息香酸0.3gを加えて撹拌混合し、80℃にて4時間過熱した。得られた反応混合液については、180℃でさらに10時間加熱した後に室温(30℃)で冷却した。
冷却後の溶液を撹拌アセトン中に注ぎ、そのまま撹拌を続けて繊維状の沈殿を得た。沈殿物は濾過後にアセトン洗浄し、吸引濾過した生成物をフィルム状に延ばし、真空乾燥することにより、NTDA−DABA−BDSAとNTDA−ODAとのジブロック共重合ポリイミドのトリエチルアミン塩フィルムを得た。NTDA−DABA−BDSAは、実施例1の場合と同様、NTDA−DABAにおけるDABAのカルボキシ基にBDSAのアミノ基が側鎖として結合した状態を表している(図15参照)。
得られたフィルムを60℃に加熱したメタノールに5時間浸漬した後、0.5Nの硫酸水溶液に15時間浸漬してプロトン交換した。プロトン交換後のフィルムを水洗した後150℃で10時間真空乾燥し、図17の(3)に示すように、プロトン型のポリイミド膜(固体電解質膜2)を得た。
この固体電解質膜2について、イオン交換容量、プロトン伝導度、メタノール透過速度、耐水性を評価した。結果を表1に示す。非特許文献1にあるような吸水による異方的な膜厚変化は確認されなかった。
[比較例1]
乾燥容器内にて、2,2’−ベンジジンスルホン酸(BDSA)二塩酸塩0.4g(1ミリモル)、4,4’−オキシジアニリン(ODA)0.2g(1ミリモル)、m−クレゾール4mL、トリエチルアミン0.5mLを、窒素下で撹拌溶解した。溶解後の溶液に1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)0.5g(2ミリモル)、安息香酸0.3gを加え、混合溶液を80℃にて4時間加熱した。得られた反応混合液については、180℃でさらに10時間加熱した後に室温(30℃)で冷却した。
冷却後の溶液を撹拌アセトン中に注ぎ、そのまま撹拌を続けて繊維状の沈殿を得た。沈殿物は濾過後にアセトン洗浄し、吸引濾過した生成物をフィルム状に延ばし真空乾燥することにより、NTDA−BDSAとNTDA−ODAとのランダム共重合ポリイミドのトリエチルアミン塩フィルムを得た。
得られたフィルムを60℃に加熱したメタノールに5時間浸漬した後、0.5Nの硫酸水溶液に15時間浸漬してプロトン交換した。プロトン交換後のフィルムを水洗した後150℃で10時間真空乾燥し、図18に示すように、プロトン型のポリイミド膜(固体電解質膜3)を得た。
この固体電解質膜3について、イオン交換容量、プロトン伝導度、メタノール透過速度、耐水性を評価した。結果を表1に示す。この電解質膜は水に浸漬すると、数時間程度で破断してしまうなど耐水性に問題が確認された。
[比較例2]
乾燥容器内にて、4,4’−オキシジアニリン(ODA)0.2g(1ミリモル)、m−クレゾール3mLを、窒素下で撹拌溶解した。溶解後の溶液に1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)0.3g(1.2ミリモル)、安息香酸0.2gを加え、混合溶液を80℃にて4時間加熱した。得られた反応混合液については、180℃でさらに10時間加熱した後に室温(30℃)で冷却した。
これにより、図11の(1)に示すようなポリマーが得られた。
冷却後の溶液に、2,2’−ベンジジンスルホン酸(BDSA)二塩酸塩0.4g(1ミリモル)、m−クレゾール2mL、トリエチルアミン0.3mL、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)0.2g(0.8ミリモル)、安息香酸0.1gを加え、混合溶液を80℃にて4時間加熱した。得られた反応混合液については、180℃でさらに10時間加熱した後に室温(30℃)で冷却した。
冷却後の溶液を撹拌アセトン中に注ぎ、そのまま撹拌を続けて繊維状の沈殿を得た。沈殿物は濾過後にアセトン洗浄し、吸引濾過した生成物をフィルム状に延ばし真空乾燥することにより、NTDA−BDSAとNTDA−ODAとのジブロック共重合ポリイミドのトリエチルアミン塩フィルムを得た。
得られたフィルムを60℃に加熱したメタノールに5時間浸漬した後、0.5Nの硫酸水溶液に15時間浸漬してプロトン交換した。プロトン交換後のフィルムを水洗した後150℃で10時間真空乾燥し、図11の(2)に示すような、プロトン型のポリイミド膜(固体電解質膜4)を得た。
この固体電解質膜4について、イオン交換容量、プロトン伝導度、メタノール透過速度、耐水性を評価した。結果を表1に示す。この電解質膜は水に浸漬すると、数時間程度で破断してしまうなど耐水性に問題が確認された。
なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
(付記1)
プロトン伝導基を側鎖に有する構造ブロック(構造ブロックA)と、プロトン伝導基を有さない構造ブロック(構造ブロックB)とを含むブロックコポリマーを含む電解質組成物。
(付記2)
構造ブロックAが、下記式(1)で示される構造と下記式(2)で示される構造とからなり、構造ブロックBが、下記式(2)で示される構造からなる、付記1に記載の電解質組成物。
(構造ブロックA中の式(2)で表される構造と構造ブロックBの式(2)で表される構造とは同一であっても、異なっていてもよい。式(1)および(2)において、R1は、炭素原子とケイ素原子の少なくともいずれか一方を含み、水素原子、フッ素原子、窒素原子、リン原子および酸素原子からなる群から選ばれた少なくとも一つを含み、プロトン伝導基を含んでいてもよい基である。Ar1は、フッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよく、プロトン伝導基を含んでいてもよい、脂環族炭化水素基、芳香族基およびボロンナイトライド基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基を含む基である。Zはプロトン伝導基を含む基である。R2は、炭素原子とケイ素原子の少なくともいずれか一方を含み、水素原子、フッ素原子、窒素原子、リン原子および酸素原子からなる群から選ばれた少なくとも一つを含み、プロトン伝導基を含まない基である。Ar2は、フッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよい、脂環族炭化水素基、芳香族基およびボロンナイトライド基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基を含み、プロトン伝導基を含まない基である。Eは、各式中および各式間において互いに独立に、
1,R2,Ar1およびAr2の相互の間を化学結合するための連結部分である。a,bおよびdは互いに独立に1以上の整数、cは0または1以上の整数である。eは1以上の整数、fおよびgは互いに独立に0または1以上の整数であり、f+g≧1である。式(1)および(2)中に現れる単結合記号(線の部分)は一本の単結合であっても複数の単結合であってもよい。)
(付記3)
aとeが、互いに独立に、2〜20の範囲にある、付記2に記載の電解質組成物。
(付記4)
前記Zが、下記式(3)で示される構造を含む、付記2または3に記載の電解質組成物。
(式(3)において、Z’はプロトン伝導基を意味する。d’およびa’は、互いに独立に、1以上の整数である。その他の各記号は、式(1)の各記号とは独立に、式(1)の各記号と同様の意味を有する。)
(付記5)
d’×a’が2以上である、付記4に記載の電解質組成物。
(付記6)
前記プロトン伝導基がスルホン酸基である、付記1〜5のいずれかに記載の電解質組成物。
(付記7)
1とR2との少なくともいずれか一方が、フッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよいベンゼン環、またはフッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよいベンゼン環とエーテル結合とを含み、
Ar1とAr2との少なくともいずれか一方が、フッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよいナフタレン環を含み、
Eがイミド結合である、
付記2〜6のいずれかに記載の電解質組成物。
(付記8)
前記構造ブロックAからプロトン伝導基を除いた構造単位の比誘電率と構造ブロックBの構造単位の比誘電率との差が5以下である、付記1〜7のいずれかに記載の電解質組成物。
(付記9)
前記ブロックコポリマーの数平均分子量Mnが5,000〜500,000の範囲にある、付記1〜8のいずれかに記載の電解質組成物。
(付記10)
付記1〜9のいずれかに記載の電解質組成物からなる固体電解質膜。
(付記11)
付記10に記載の固体電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池。
(付記12)
付記1〜9のいずれかに記載の電解質組成物が有機溶媒を含み、当該有機溶媒を含む電解質組成物を基体上に塗布し、その後溶媒を除去する、固体電解質膜の製造方法。
(付記13)
前記溶媒の除去後、熱圧延法による処理を行う、付記12に記載の固体電解質膜の製造方法。
(付記14)
付記12または13の方法によって作製された固体電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池。
ジブロックコポリマーにおけるミクロ相分離構造のシミュレーション結果を示す図である。 本発明に係るポリマーにおけるミクロ相分離構造のシミュレーション結果を示す図である。 1の具体例を示す図である。 2の具体例を示す図である。 Ar1の具体例を示す図である。 Ar2の具体例を示す図である。 Zの具体例を示す図である。 式(1)の構造の具体例を示す図である。 式(2)の構造の具体例を示す図である。 1からプロトン伝導基に至るまでの幹中の最短経路の数え方を説明するための図である。 比較例2で行われる反応を示す図である。 実施例で使用した主要化合物の構造を示す図である。 実施例で使用した主要化合物の反応例を示す図である。 実施例で使用した主要化合物の反応例を示す図である。 実施例で使用した主要化合物の反応例を示す図である。 実施例1で行われる反応を示す図である。 実施例2で行われる反応を示す図である。 比較例1で行われる反応を示す図である。

Claims (5)

  1. プロトン伝導基を側鎖に有する構造ブロック(構造ブロックA)と、プロトン伝導基を有さない構造ブロック(構造ブロックB)とを含むブロックコポリマーを含む電解質組成物。
  2. 構造ブロックAが、下記式(1)で示される構造と下記式(2)で示される構造とからなり、構造ブロックBが、下記式(2)で示される構造からなる、請求項1に記載の電解質組成物。
    (構造ブロックA中の式(2)で表される構造と構造ブロックBの式(2)で表される構造とは同一であっても、異なっていてもよい。式(1)および(2)において、R1は、炭素原子とケイ素原子の少なくともいずれか一方を含み、水素原子、フッ素原子、窒素原子、リン原子および酸素原子からなる群から選ばれた少なくとも一つを含み、プロトン伝導基を含んでいてもよい基である。Ar1は、フッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよく、プロトン伝導基を含んでいてもよい、脂環族炭化水素基、芳香族基およびボロンナイトライド基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基を含む基である。Zはプロトン伝導基を含む基である。R2は、炭素原子とケイ素原子の少なくともいずれか一方を含み、水素原子、フッ素原子、窒素原子、リン原子および酸素原子からなる群から選ばれた少なくとも一つを含み、プロトン伝導基を含まない基である。Ar2は、フッ素、アルキル基およびフッ素で置換されたアルキル基からなる群から選ばれた少なくとも一つで置換されていてもよい、脂環族炭化水素基、芳香族基およびボロンナイトライド基からなる群から選ばれた少なくとも一つの基を含み、プロトン伝導基を含まない基である。Eは、各式中および各式間において互いに独立に、
    1,R2,Ar1およびAr2の相互の間を化学結合するための連結部分である。a,bおよびdは互いに独立に1以上の整数、cは0または1以上の整数である。eは1以上の整数、fおよびgは互いに独立に0または1以上の整数であり、f+g≧1である。式(1)および(2)中に現れる単結合記号(線の部分)は一本の単結合であっても複数の単結合であってもよい。)
  3. 前記Zが、下記式(3)で示される構造を含む、請求項2に記載の電解質組成物。
    (式(3)において、Z’はプロトン伝導基を意味する。d’およびa’は、互いに独立に、1以上の整数である。その他の各記号は、式(1)の各記号とは独立に、式(1)の各記号と同様の意味を有する。)
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電解質組成物からなる固体電解質膜。
  5. 請求項4に記載の固体電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池。
JP2005240995A 2005-08-23 2005-08-23 電解質組成物、固体電解質膜および固体高分子型燃料電池 Withdrawn JP2007059126A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005240995A JP2007059126A (ja) 2005-08-23 2005-08-23 電解質組成物、固体電解質膜および固体高分子型燃料電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005240995A JP2007059126A (ja) 2005-08-23 2005-08-23 電解質組成物、固体電解質膜および固体高分子型燃料電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007059126A true JP2007059126A (ja) 2007-03-08

Family

ID=37922444

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005240995A Withdrawn JP2007059126A (ja) 2005-08-23 2005-08-23 電解質組成物、固体電解質膜および固体高分子型燃料電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007059126A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009110950A (ja) * 2007-10-12 2009-05-21 Sumitomo Chemical Co Ltd 膜−電極接合体の製造方法、膜−電極接合体および燃料電池

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009110950A (ja) * 2007-10-12 2009-05-21 Sumitomo Chemical Co Ltd 膜−電極接合体の製造方法、膜−電極接合体および燃料電池

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Yang et al. Branched sulfonated polyimide membrane with ionic cross-linking for vanadium redox flow battery application
Du et al. Imidazolium-functionalized poly (arylene ether ketone) cross-linked anion exchange membranes
Lu et al. Crosslinked poly (vinylbenzyl chloride) with a macromolecular crosslinker for anion exchange membrane fuel cells
Li et al. A novel branched side-chain-type sulfonated polyimide membrane with flexible sulfoalkyl pendants and trifluoromethyl groups for vanadium redox flow batteries
Li et al. Enhanced proton conductivity of sulfonated poly (arylene ether ketone sulfone) for fuel cells by grafting triazole groups onto polymer chains
Harilal et al. Pyridine-bridged polybenzimidazole for use in high-temperature PEM fuel cells
Zhong et al. Preparation and properties of UV irradiation-induced crosslinked sulfonated poly (ether ether ketone) proton exchange membranes
Xu et al. Novel ether-free sulfonated poly (biphenyl) tethered with tertiary amine groups as highly stable amphoteric ionic exchange membranes for vanadium redox flow battery
Shiino et al. Structural investigation of sulfonated polyphenylene ionomers for the design of better performing proton-conductive membranes
Ghorai et al. Chemically stable sulfonated polytriazoles containing trifluoromethyl and phosphine oxide moieties for proton exchange membranes
Lin et al. Phosphoric acid doped polybenzimidazole/imidazolium-modified silsesquioxane hybrid proton conducting membranes for anhydrous proton exchange membrane application
JP2011068872A (ja) リン酸ドープ電解質膜およびその製造方法並びにそれを含む燃料電池
Zhang et al. High conductivity membrane containing polyphosphazene derivatives for vanadium redox flow battery
JP4210659B2 (ja) 側鎖末端にスルホン酸基を有するポリイミド及びこれを採用した高分子電解質と燃料電池
Wang et al. Synthesized Geminal-imidazolium-type ionic liquids applying for PVA-FP/[DimL][OH] anion exchange membranes for fuel cells
Jang et al. Alkyl spacer grafted ABPBI membranes with enhanced acid-absorption capabilities for use in vanadium redox flow batteries
Das et al. Salt‐leaching technique for the synthesis of porous poly (2, 5‐benzimidazole)(ABPBI) membranes for fuel cell application
Pan et al. Preparation and properties of sulfonated polybenzimidazole-polyimide block copolymers as electrolyte membranes
Hu et al. Cross‐linked polymer electrolyte membrane based on a highly branched sulfonated polyimide with improved electrochemical properties for fuel cell applications
Li et al. Enhanced proton conductivity and relative selectivity of sulfonated poly (arylene ether ketone sulfone) proton exchange membranes by using triazole-grafted 3-Glycidyloxypropyltrimethoxysilane
Wu et al. Thermal cure-induced crosslinked polybenzimidazole containing 4, 5-diazafluorene and pyridine for high-temperature proton exchange membrane
Li et al. Rigid–Flexible Hybrid Proton‐Exchange Membranes with Improved Water‐Retention Properties and High Stability for Fuel Cells
Yin et al. Precise modification of poly (aryl ether ketone sulfone) proton exchange membranes with positively charged bismuth oxide clusters for high proton conduction performance
Sinirlioglu et al. Investigation of proton conductivity of PVDF based anhydrous proton exchange membranes (PEMs) obtained via a facile “Grafting Through” strategy
Lee et al. Preparation and characterization of proton exchange membranes based on semi-interpenetrating sulfonated poly (imide-siloxane)/epoxy polymer networks

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20081104