JP2007054048A - ハイブリダイゼーション検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハイブリダイゼーション検出時におけるS/N比を高くし、ハイブリダイゼーションの検出精度を高めること。
【解決手段】反応場において、プローブ核酸鎖とターゲット核酸鎖との間のハイブリダイゼーションを進行させた後に、そのハイブリダイゼーションが進行する前記反応場の温度を所定温度よりも高くする昇温処理を行うことにより、ハイブリダイゼーション検出時におけるS/N比を高くするハイブリダイゼーション検出方法を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ハイブリダイゼーションを検出する技術分野に属する。より詳細には、プローブ核酸鎖とターゲット核酸鎖との間のハイブリダイゼーションを進行させた後に、反応場の温度条件等を操作することによって、ハイブリダイゼーション検出時におけるS/N比を向上させるハイブリダイゼーション検出方法などに関する。
近年、DNAチップ若しくはDNAマイクロアレイ(以下、本願では「DNAチップ」とする。)をはじめとするハイブリダイゼーション検出技術の実用化が進んでいる。DNAチップは、多種・多数のDNAプローブを、基板表面に集積して固定したものである。DNAチップを用いて、DNAチップ基板表面のプローブ核酸鎖と、細胞・組織などより採取したターゲット核酸鎖とのハイブリダイゼーションを検出することにより、細胞・組織などにおける遺伝子発現などを網羅的に解析することができる。
一般的に、DNAチップを用いたハイブリダイゼーションの検出は、次のような手順で行われている。まず、プローブ核酸鎖が固定等された反応場に、試料核酸を供給する。次に、反応場に固定されたプローブ核酸鎖と、試料核酸中のターゲット核酸鎖とのハイブリダイゼーションを進行させる。次に、反応場に、インターカレーターなどを供給し、蛍光強度などにより、ハイブリダイゼーションを検出する。
なお、先行文献として、例えば、特許文献1には、DNAチップの同一配列の方向を垂直方向に固定し、垂直方向に温度勾配を設ける塩基配列決定又は核酸定量方法が、特許文献2には、バイオチップの温度を上昇させながら個々のスポットにおけるハイブリダイゼーション反応を検出するステップを含むハイブリダイゼーション反応検出方法が、それぞれ記載されている。
特開2003−300号公報。 特開2001−255328号公報。
プローブ核酸鎖は、同プローブ核酸鎖との正規相補鎖を有するターゲット核酸鎖だけでなく、プローブ核酸鎖の塩基配列の一部と相同性を有する核酸もハイブリダイゼーションし(ミスハイブリダイゼーション)、反応場にミスマッチ二本鎖核酸を生成し得る。このミスマッチ二本鎖核酸由来の検出信号(例えば、蛍光)は、ノイズ(バックグラウンドノイズ)となる。このため、例えば、ターゲット核酸鎖を定量的に検出する場合、ハイブリダイゼーションの検出精度が必ずしも充分ではないという技術的課題があった。
また、二本鎖核酸に特異的に結合するインターカレーターを用いてハイブリダイゼーションを検出する場合では、反応場に存在する一本鎖核酸の一部に形成され得る自己ループ構造に結合したり、一本鎖核酸に非特異的に吸着したりする場合があるため、ハイブリダイゼーション検出時に、ノイズ蛍光(バックグラウンドノイズ蛍光)が発生するという技術的課題があった。
そこで、本発明は、ハイブリダイゼーション検出時におけるS/N比を向上して、ハイブリダイゼーションの検出精度を高めることを主な目的とする。
本発明者らは、ハイブリダイゼーション検出におけるS/N比、即ち、検出に有用な正規検出信号(S)と検出に有用でないノイズ信号(バックグラウンドノイズ信号、N)との比の向上を達成することを目的する研究を鋭意行ったところ、ハイブリダイゼーションを進行させた後に、反応場の温度操作を適切に行う工程などを採用することによって、前記S/N比を有効に向上させることを新規に見出し、以下の発明を完成させた。
まず、本発明では、プローブ核酸鎖とターゲット核酸鎖との間のハイブリダイゼーションを進行させた後に、該ハイブリダイゼーションが進行する反応場の温度を所定温度よりも高くする昇温処理工程を行うことによって、ハイブリダイゼーション検出時におけるS/N比を向上させるハイブリダイゼーション検出方法を提供する。なお、「昇温処理」とは、現状の温度条件をより高温条件にシフトすることを言う。
前記昇温処理工程の方法や手段は、狭く限定されないが、例えば、前記核酸鎖が存在する反応場の加温又は高温溶液置換(反応場の溶液をより高温の溶液に置換すること。)によって行う。また、この昇温処理工程では、ハイブリダイゼーションを進行させた後、前記反応場の温度を、ミスハイブリダイゼーションの結果得られたミスマッチ二本鎖核酸の融解温度(Tm)よりも高い温度で、かつフルマッチ二本鎖核酸のTm未満の温度に設定することにより、該ミスマッチ二本鎖核酸を選択的に解離させる。
本発明では、前記反応場のスポット(サンプル溶液を滴下等するための場所)毎に異なる配列の前記プローブ核酸を固定しておいた場合、前記昇温処理工程は、前記プローブ核酸と前記ターゲット核酸鎖とのTmに基づいて前記スポット毎に独立して行うようにしてもよい。
あるいは、前記昇温処理では、前記ハイブリダイゼーションの反応平衡定数と、前記ミスハイブリダイゼーションの反応平衡定数と、の差をより大きくすることにより、前記ハイブリダイゼーションの結果得られたミスマッチ二本鎖核酸をより選択的に解離させるようにしてもよい。さらに、前記昇温処理では、前記反応場の温度を前記所定温度まで瞬間的に上昇させることも有用な手段となる。瞬間的な温度上昇により、フルマッチ二本鎖核酸に対してミスマッチ二本鎖核酸をより選択に解離させることができるようになるからである。
次に、本発明に係るハイブリダイゼーション検出方法において、その検出方法は、狭く限定されないが、例えば、蛍光色素を予め標識したターゲット核酸鎖とプローブ核酸鎖とをハイブリダイゼーションさせて、前記蛍光色素由来の蛍光を検出する第一の検出方法に加えて、より好適には、二本鎖核酸に吸着又は結合するインターカレーターを用いてハイブリダイゼーションを検出する第二の検出方法を採用することができる。
第一の検出方法では、上記昇温処理を適切に行うことで、ミスマッチ二本鎖核酸を選択的に解離させた後に、不要なターゲット核酸を反応場から洗浄除去することでノイズ蛍光を低減できる。インターカレーターを用いた第二の検出方法では、上記昇温処理を適切に行うことで、反応場に存在するミスマッチ二本鎖核酸を選択的に解離させることによって、該ミスマッチ二本鎖核酸に吸着又は結合したインターカレーターから発せられるノイズ蛍光を低減することができる。
また、特に、インターカレーターを用いる第二の検出方法では、プローブ核酸鎖が保持又は固定された反応場に、ターゲット核酸鎖を供給する核酸供給工程と、前記反応場の温度を高くする第一昇温処理と、前記反応場にインターカレーターを供給するインターカレーター供給工程と、前記反応場の温度を再度高くする第二昇温処理と、前記インターカレーターによりハイブリダイゼーションを検出するハイブリダイゼーション検出工程と、を少なくとも行うのが望ましい。
特に、前記第二昇温処理工程では、(1)反応場に存在する一本鎖核酸に吸着したインターカレーターを、該一本鎖から解離する、(2)反応場に存在する一本鎖核酸に形成された自己ループ構造を解く、以上(1)、(2)のいずれか又は両方を行うようにする。
次に、本発明では、ハイブリダイゼーションの場となる反応場に電界を印加する工程を適切な段階で実施することにより、S/N比向上に寄与する望ましい結果が得られる。
例えば、ハイブリダイゼーションを進行させる段階において、前記反応場に電界を印加する。この電界印加によって得られる電気力学的作用(例えば、誘電泳動や電気泳動)により、ターゲット核酸鎖をプローブ核酸鎖の近傍に移動させることができるため、ハイブリダイゼーションを促進できる。
電界印加は、ミスマッチ核酸鎖の解離促進にも利用できる。例えば、上記昇温処理を行う工程中又はその前後の工程において、前記反応場に適切な電界を印加することによって、該反応場に存在しているミスマッチ二本鎖核酸を選択的に解離させ、その結果、当該反応場に、フルマッチ二本鎖核酸(正規ハイブリダイゼーションによって得られたミスマッチ部位のない正規二本鎖核酸)の二本鎖状態を選択的に維持させることができる。
また、電界印加によって、反応場に存在するプローブ核酸鎖の近傍における核酸鎖濃度をより高めることができるので、昇温処理工程により不必要なミスマッチ二本鎖核酸を選択に解離させる際に、電界印加により強化された濃度勾配によって、解離した一本鎖核酸は、溶液中のプローブ核酸鎖近傍からより遠い領域へ拡散し易くなり、この結果、ミスマッチ二本鎖核酸の再形成が行われ難くなるという効果も期待できる。
また、本発明では、ハイブリダイゼーション検出に用いるプローブ核酸鎖が前記反応場に固定されている場合において、上記昇温処理後に、該プローブ核酸鎖とのハイブリダイゼーションによって得られるフルマッチ二本鎖核酸が反応場に残る条件設定に基づき、該反応場を溶液洗浄してもよい。
この溶液洗浄は、昇温処理や電界印加等によって、ミスマッチ二本鎖核酸から解離した(ノイズ発生原因となる)一本鎖核酸を、検出段階前に反応場から予め除去しておくために有用な工程である。
さらに、この溶液洗浄工程は、昇温処理された後の反応場に対する電界印加を行った後に行ってもよく、加えて、この電界印加工程と溶液洗浄工程を複数回繰り返すようにしてもよい。電界印加により、反応場に存在するフルマッチ二本鎖核酸とミスマッチ二本鎖核酸とにおいて、後者のミスマッチ二本鎖核酸のみを選択的に解離させ、溶液洗浄によりミスマッチ二本鎖核酸から解離した一本鎖核酸を反応場から除去することができる。これを何度か繰り返すと、ミスマッチ二本鎖核酸の解離をさらに進行させることができる。その結果、反応場には、フルマッチ二本鎖核酸とミスマッチ二本鎖核酸を形成した一方の相補鎖である(固定化された)プローブ核酸鎖が残るようになる。
以下、本発明に係る技術用語を説明する。
「反応場」は、ハイブリダイゼーション反応の場となり得る領域や空間をすべて包含する。
「プローブ核酸鎖」とは、前記反応場に存在し、当該核酸鎖とハイブリダイゼーションする標的核酸を検出するための探り針(検出子)として機能する核酸鎖であって、反応場に遊離状態で存在したり、あるいは基板、ビーズ、繊維体などの表面にその一端が固定されて存在したりする。例えば、DNAプローブなどのオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが代表的である。
「ターゲット核酸鎖」は、プローブ核酸鎖の塩基配列と完全な相補性を持つ配列を有する核酸であり、ハイブリダイゼーションを検出する際に、反応場に滴下又は供給される。なお、「試料核酸」は、ハイブリダイゼーションを検出する際に、反応場に滴下又は供給される核酸であり、ターゲット核酸鎖を含む場合と含まない場合の両方を包含する。
「核酸鎖」とは、プリンまたはピリミジン塩基と糖がグリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステルの重合体(ヌクレオチド鎖)を意味し、プローブDNAを含むオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチオドが重合したDNA(全長あるいはその断片)、逆転写により得られるcDNA(cプローブDNA)、RNA等を広く含む。
「ハイブリダイゼーション」は、核酸(ヌクレオチド鎖)間の相補結合形成反応であり、DNA−DNA、DNA−RNA、RNA−RNA間の相補結合などを広く含む。「ミスハイブリダイゼーション」は、ミスマッチな塩基間(不適合な塩基間)で相補結合した部位を有する状態で二本鎖を形成する反応を言う。
「フルマッチ二本鎖核酸」は、(正規)ハイブリダイゼーションによって形成された二本鎖核酸であり、「ミスマッチ二本鎖核酸」は、ミスハイブリダイゼーションによって形成された、ミスマッチ部位を有する二本鎖核酸である。
「融解温度(Tm)」は、melting temperatureのことであり、核酸間の相補結合(ハイブリダイゼーション)が解離する温度である。
「自己ループ構造」は、「自己ループ構造」は、一本鎖又は二本鎖を構成する核酸鎖の一部において、ループ形状を形成して突出する構造部分であって、相補塩基対部分を持つものと持たないものの両方を含む。
「S/N比」は、検出に有用な正規検出信号(S)と検出に有用でないノイズ信号(バックグラウンドノイズ信号、N)との比を意味し、この比の値が大きいほど、検出精度が高い。
「ノイズ」は、ハイブリダイゼーションの検出において、バックグラウンドノイズとなる検出信号(例えば、蛍光強度)を意味する。なお、本発明では、例えば、ハイブリダイゼーションの結果得られた相補鎖部分に対して特異的に結合したインターカレーターが発する正規蛍光に対して、前記相補鎖部分以外の核酸部位に対して非特異的に結合したインターカレーターが発する蛍光をノイズ蛍光と呼ぶ。
「インターカレーター」は、二本鎖核酸の相補結合部位に特異的に結合又は吸着して蛍光を発する性質を有する物質であって、ハイブリダイゼーション検出に用いられる物質である。例えば、POPO−1やTOTO−3、SYBR(登録商標)GreenIなどを挙げることができる。なお、このインターカレーターは、正規な(フルマッチな)相補鎖部分以外に、場合により、ミスマッチ二本鎖核酸の相補鎖部位、自己ループ構造部位、遊離状態又は固定化された状態の一本鎖核酸、二本鎖核酸の余剰の一本鎖部位などにも非特異的に結合又は吸着してしまい、ノイズ蛍光を発する場合がある。
本発明により、ハイブリダイゼーション検出時におけるS/N比を向上し、ハイブリダイゼーションの検出精度を高めることができる。
以下、本発明に係るハイブリダイゼーション検出方法の実施形態例ついて、添付図面を参照にしながら説明する。
まず、図1は、本発明に係るハイブリダイゼーション検出方法における蛍光検出の基本的な原理の一例を模式的に示す図である。
この図1には、符号Sで示す表面(例えば、基板、ビーズ、繊維状体など)に対して、その一方の末端が固定された状態のプローブ核酸鎖1aと、このプローブ核酸鎖1aが存在する反応場Rへ導入されたターゲット核酸鎖1bと、の間でハイブリダイゼーションが進行して、相補鎖(二本鎖核酸)が形成されている状態が示されている。
なお、本発明では、プローブ核酸鎖1aを固定する末端は、3′末端、5′末端のいずれであってもよい(特に図示せず)。また、このプローブ核酸鎖1aについては、例えば、後述する溶液洗浄工程等を行わない場合などでは、固定された状態で使用される形態に限定されず、プローブ核酸鎖1aを反応場R内に遊離させた状態で使用してもよい。
次に、図1中の符号Iは、ハイブリダイゼーションによって得られた前記相補鎖部分に特異的に結合して蛍光を発する性質のインターカレーターを示している。この蛍光検出の例では、図示しない外部光源(例えば、所定波長のレーザ光源)から反応場R内へ蛍光励起光Qを絞り込んで照射することにより、インターカレーターIからの励起蛍光Fの強度(蛍光量)を公知のフォトディテクターなどの光検出手段Dで測定することによって、ハイブリダイゼーションを検出することができる。
ここで、このインターカレーターIは、反応場R中に遊離している一本鎖核酸、相補鎖を形成している片側の核酸(例えば、プローブ核酸鎖1aよりも長鎖のターゲット核酸鎖1b)の余剰一本鎖部分や自己ループ構造を形成する核酸鎖部分などにも非特異的に結合してしまい、蛍光(即ち、ノイズ蛍光)を発する。本発明は、このようなノイズ蛍光を低減することを主目的としている。
次に、図2は、本発明に係るハイブリダイゼーション検出方法の基本的な原理の他の例を模式的に示す図である。
この図2では、符号Sで示す表面(例えば、基板、ビーズ、繊維状体など)に対して、その一方の末端が固定された状態のプローブ核酸鎖1aと、このプローブ核酸鎖1aが存在する反応場Rへ導入されたターゲット核酸鎖1cと、の間でハイブリダイゼーションが進行し、相補鎖(二本鎖核酸)が形成されている状態が示されている。
このターゲット核酸鎖1cには、所定の蛍光色素Xが予め標識(ラベル)されており、図示しない外部光源(例えば、所定波長のレーザ光源)から反応場R内へ蛍光励起光Qを絞り込んで照射することにより、前記蛍光色素Xからの励起蛍光Fの強度(蛍光量)を公知のフォトディテクターなどの光検出手段Dで測定することによって、ハイブリダイゼーションを検出することができる。
以下、本発明に係るハイブリダイゼーション検出方法に係わる工程の好適な数例について、図3〜7を参照しながら説明する。なお、以下の工程例では、インターカレーターを用いたハイブリダイゼーション検出が代表例として示されている。
まず、図3に示す第1方法例の工程は、大別すると、順番に、ハイブリダイゼーション、ミスマッチ二本鎖核酸(略、ミスマッチ鎖)の選択的解離、解離一本鎖の洗浄除去、インターカレーター供給、蛍光検出(ハイブリダイゼーション検出)からなる。以下、工程順に説明する。
(ハイブリダイゼーション工程)
反応場Rに供給された試料核酸中には、プローブ核酸鎖の塩基配列と完全相補的な塩基配列部分を有するターゲット核酸鎖と、プローブ核酸鎖の塩基配列と一部相補的でない塩基配列部位を有する核酸鎖と、が含まれていた場合を想定すると、正規のハイブリダイゼーションによってフルマッチ二本鎖核酸1が形成されるとともに、ミスマッチ部位Mを有するミスマッチ二本鎖核酸2が形成されている(図3参照)。なお、ハイブリダイゼーションの諸条件は、目的に沿うように自由に設計可能である。
(ミスマッチ鎖の選択的解離工程)
前記ハイブリダイゼーションに続いて、ミスマッチ二本鎖核酸2の選択的解離を行う。即ち、フルマッチ二本鎖核酸1を解離させることなく、ミスマッチ二本鎖核酸2だけを解離させる。
この工程は、例えば、反応場Rの溶液温度環境を、反応場Rを加温したり、反応場Rの溶液をより高温のバッファー溶液で置換したりすることにより、昇温処理を行う。より詳しくは、ミスマッチ二本鎖核酸2のTm以上であり、かつフルマッチ二本鎖核酸1のTm未満の温度条件に設定する。
このような昇温処理が実施された反応場Rでは、ミスマッチ二本鎖核酸2の選択的解離が進行し、フルマッチ二本鎖核酸1はその二本鎖状態を維持する。図3において、符号2aは、ミスマッチ二本鎖核酸2を形成したプローブ核酸鎖(一本鎖)を示し、符号2bは、該プローブ核酸鎖2aから解離した一本鎖核酸(以下、解離一本鎖)を示している。
なお、前記反応場Rのスポット毎に異なる配列の前記プローブ核酸を固定しておく場合では、前記昇温処理を前記プローブ核酸と前記ターゲット核酸鎖とのTmに基づいて前記スポット毎に独立して行うようにしてもよい。スポット毎に独立した最適温度制御を行うことによって、ハイブリダイゼーション反応量のスポット毎のばらつきを抑えることができる。スポット毎の局部加熱の手段としては、例えば、ペルチェ、Pt、IRレーザー、誘導加熱(DC,AC)、発熱抵抗体(TFT等)などを採用できる。
前記昇温処理工程では、ハイブリダイゼーションの反応平衡定数と、前記ミスハイブリダイゼーションの反応平衡定数と、の差をより大きくすることにより、ハイブリダイゼーションの結果得られたミスマッチ二本鎖核酸2をより選択的に解離させるようにしてもよい。
また、この工程では、反応場Rに対して電界印加を行うことによって、ミスマッチ二本鎖核酸2の選択的解離を進行させてもよい。より具体的には、ミスマッチ二本鎖核酸2の選択的解離が進行し、かつ、フルマッチ二本鎖核酸1の二本鎖状態が維持可能である電気力学的作用を反応場Rへ提供できる電界条件を選択して、電界印加を行なうようにする。
この電界印加工程は、上記昇温処理と組み合わせて実施してもよい。例えば、昇温処理工程と電界印加工程を前後問わず順に行ったり、同時平行で行ったりしてもよい。電界印加工程を行うことにより、反応場Rのプローブ核酸鎖が存在する領域に核酸鎖を集中せしめると、試料核酸の濃度が不均一になる。このため、昇温処理を行ってミスマッチ二本鎖核酸2が解離した際に、濃度勾配により、解離一本鎖核酸が溶液中のプローブ核酸鎖近傍からより遠い領域に拡散し、再度ミスマッチ二本鎖核酸2を形成する確率を低減することができる。
なお、電界印加は、反応場Rに臨む電極(図示せず。)の界面でのイオン溶液の電気分解を極力防止する観点などから交流電界であることが望ましく、より詳しくは、1kHz〜500MHzにおける任意の電圧値を選定するのが望ましい。
さらに、この工程では、反応場Rへ所定の酵素を添加することによって、ミスマッチ二本鎖核酸2の選択的解離を促進させてもよい(酵素処理)。この工程で採用できる酵素としては、ミスマッチ二本鎖核酸2のミスマッチ部位を認識して切断するものが好適である。例えば、ミスマッチ二本鎖核酸2が二本鎖DNAである場合、その一塩基ミスマッチ部位を認識して、該ミスマッチ部位を選択的に切断するEndonuclease Vを好適に採用できる。
ミスマッチ二本鎖核酸2において、Endonuclease Vなどの酵素によりその一塩基ミスマッチ部位が切断されると、このミスマッチ二本鎖核酸2はより短い二つの二本鎖部分に分割される。この結果、当初のミスマッチ二本鎖核酸2よりもTm値が低下するため、分割されていないミスマッチ二本鎖核酸2と比較してより低温域で解離させることができる。このとき、フルマッチ二本鎖核酸1のTm値未満の温度を上限とする昇温処理や電界印加を行うと、分割されたミスマッチ二本鎖核酸が一本鎖核酸に解離する。
(解離一本鎖の洗浄除去工程)
再び図3に基づいて説明する。続く工程では、昇温処理や電界印加、あるいはこれらの操作と酵素処理を行った結果、反応場Rに遊離している一本鎖核酸(図3の2bを参照)を反応場Rから除去することを目的とする。例えば、フルマッチ二本鎖核酸1の相補鎖結合に影響を与えないpH、温度、濃度などの条件に精密に設定された洗浄用バッファー溶液を反応場Rへ導入して、該バッファー溶液とともに前記一本鎖核酸を反応場R外へ除去する。なお、図3の中央に示された図では、ミスマッチ二本鎖核酸2から解離した一本鎖核酸2bが反応場R外へ除去される様子が模式的に示されている。
(インターカレーター供給工程)
次に、フルマッチ二本鎖核酸1とミスマッチ二本鎖核酸2を形成していたプローブ核酸鎖2aとが存在している反応場RへインターカレーターIを供給する。このインターカレーターIは、二本鎖部位へ特異的に結合又は吸着して蛍光を発する特性を持つものであれば、特に狭く限定されない。なお、二本鎖部位以外の部分に対する非特異的な結合又は吸着ができるだけ起こらないインターカレーターIを使用した方が望ましいことは言うまでもない。
(蛍光検出工程)
インターカレーターIを反応場Rに供給し、所定時間経過後に、図示しない外部光源(例えば、所定波長のレーザ光源)から反応場R内へ蛍光励起光Qを絞り込んで照射することにより、インターカレーターIからの励起蛍光Fの強度(蛍光量)を公知のフォトディテクターなどの光検出手段Dで測定することによって、ハイブリダイゼーションを検出する。
この場合、フルマッチ二本鎖核酸1に結合又は吸着したインターカレーターIからの蛍光Fは、反応場R内での正規ハイブリダイゼーションを検出するために有用な蛍光である。本蛍光検出では、前工程において、遊離一本鎖2b(又は2b,2b)が反応場Rから洗浄除去されているので、該遊離一本鎖2bに非特異的に吸着するインターカレーターからのノイズ蛍光の発生は起こらないため、S/N比の向上が達成できている。
しかし、上記洗浄除去工程を経てもなお反応場Rに一本鎖状態で存在している(固定化された)プローブ核酸鎖2aには、インターカレーターIが非特異的に吸着して、ノイズ蛍光Fを発してしまう可能性がある(図3参照)。したがって、この蛍光検出工程を行う段階では、予め反応場Rからプローブ核酸鎖2aを除去しておくことが望ましい。以下、それに好適な方法例について説明する。
図4は、本発明に係るハイブリダイゼーション検出方法の第2方法例の工程フローを示した図である。
この第2方法例の工程は、大別すると、順番に、ハイブリダイゼーション、ミスマッチ二本鎖核酸(略、ミスマッチ鎖)の選択的解離、解離一本鎖核酸の分解(消化)、洗浄除去(必要に応じて行う)、インターカレーター供給、蛍光検出(ハイブリダイゼーション検出)からなる。以下、工程順に説明する。
(ハイブリダイゼーション工程)/(ミスマッチ鎖の選択的解離工程)
ハイブリダイゼーション工程とこの工程に続くミスマッチ二本鎖核酸の選択的解離工程については、既述した第1方法例(図3参照)と全く同様の方法で行うことから、重複を避けるため説明を割愛する。
(解離一本鎖の分解(消化)工程)
本工程では、反応場Rに存在し、インターカレーターIの非特異的吸着により、ノイズ蛍光の発生原因となってしまう一本鎖核酸を、蛍光検出段階前に予め所定の酵素Eによって、一塩基単位にまで分解(消化)することを目的とする。また、一本鎖核酸は、場合によっては自己ループ構造を形成して、この構造部分にインターカレーターIが結合又は吸着すると、ノイズ蛍光を発してしまうことから、この観点でも、一本鎖核酸を酵素Eにより分解する。
なお、本工程において、酵素分解の対象となる一本鎖核酸には、(1)ミスマッチ二本鎖核酸2を昇温処理や電界印加で解離させたことで発生したプローブ核酸鎖2a、(2)同解離によって遊離状態で存在する一本鎖核酸2b、(3)Endonuclease Vなどを用いた酵素処理を経てから昇温処理や電界印加を行った場合に発生する一本鎖核酸、(4)反応場Rに余剰に添加されて遊離状態で存在するターゲット核酸鎖やミスマッチ核酸鎖(図示せず。)、(5)ハイブリダイゼーションに関与しなかったプローブ核酸鎖などが少なくとも含まれる。なお、「EndonucleaseV」は、DNA二本鎖中の一塩基ミスマッチ部位を認識して、該ミスマッチ部位を選択的に切断する核酸分解酵素の一種である。
本工程で採用可能な酵素Eは、一本鎖核酸を特異的に分解する酵素であり、例えば、エンドヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼ、あるいは、T4 DNA Polymeraseなどを採用できる。
本工程を行った結果、反応場Rには、一塩基単位の核酸分子3群とフルマッチ二本鎖核酸1とが共存する状態となっている(図4参照)。なお、本工程後において、念のため、所定条件下の溶液洗浄を行って、一本鎖核酸をより確実に反応場Rから除去しておいてもよい(図4参照)。
(インターカレーター供給工程/蛍光検出工程)
一本鎖核酸が反応場Rから除去された状態で、フルマッチ二本鎖核酸1が存在している反応場RへインターカレーターIを供給し、所定時間経過後に、図示しない外部光源(例えば、所定波長のレーザ光源)から反応場R内へ蛍光励起光Qを絞り込んで照射することにより、フルマッチ二本鎖核酸1に特異的に結合又は吸着したインターカレーターIからの励起蛍光Fの強度(蛍光量)を公知のフォトディテクターなどの光検出手段Dで測定することによって、ハイブリダイゼーションを検出する。
なお、本発明では、蛍光検出を行う前、あるいは蛍光検出を行う段階において、反応場Rに存在する一本鎖核酸で形成され得る自己ループ構造を解いて、通常の一本鎖状態に戻すためのタンパク処理を行ってもよい。これは、自己ループ構造部分にインターカレーターIが結合又は吸着して、ノイズ蛍光を発し、S/N比が低下してしまうことを防止するのに役立つ。この場合に好適なタンパク質は、一本鎖核酸に形成された自己ループ構造を解いて、通常の一本鎖状態に戻す作用を発揮するものである。
例えば、一本鎖DNA結合タンパク質(single-strand DNA binding protein、以下SSB)を採用することができる。このSSBは、DNAの複製において必要不可欠なタンパク質であり、自己ループ構造を解離させる作用を発揮する結果、同自己ループ構造部分からインターカレーターIを反応場Rへ放出させることにより、その蛍光(ノイズ蛍光)を消失させることができる。
図5は、本発明に係るハイブリダイゼーション検出方法におけるハイブリダイゼーション工程段階で採用し得る付加的方法の概念を示す図である。
まず、この方法を実施する目的は、ハイブリダイゼーション効率を向上させることにより、反応場Rにおけるハイブリダイゼーション量を増加させ、ひいては蛍光検出段階での検出感度を向上させることである。
図5に示す方法では、ハイブリダイゼーションを進行させる段階において、反応場Rに交流電界などの電界を印加する。適切な条件の電界印加によって得られる電気力学的作用(例えば、誘電泳動や電気泳動)により、ターゲット核酸鎖1bをプローブ核酸鎖1aの近傍に向けて移動させて、ハイブリダイゼーションを促進できる。
例えば、反応場Rにおける誘電泳動を利用することができる。なお、「誘電泳動」は、電界が一様でない場において、分子が電界の強い方へ駆動する現象である。交流電圧をかけた場合も、かけた電圧の極性の反転につれて分極の極性も反転するので、直流の場合と同様に駆動効果が得られる。特に、高周波交流電界中においては、時間的平均電場の自乗の勾配に比例して双極子に力が働き、泳動する。例えば、核酸分子は、液相中において電界の作用を受けると伸長又は移動することが知られている。その原理は、骨格をなすリン酸イオン(陰電荷)とその周辺にある水がイオン化した水素原子(陽電荷)とによってイオン曇を作っていると考えられ、これらの陰電荷及び陽電荷により生じる分極ベクトル(双極子)が、高周波高電圧の印加により全体として一方向を向き、その結果として伸長し、加えて、不均一電界が印加された場合、電気力線が集中する部位に向かって移動する(Seiichi Suzuki,Takeshi Yamanashi,Shin-ichi Tazawa,Osamu Kurosawa and Masao Washizu:“Quantitative analysis on electrostatic orientation of DNA in stationary AC electric field using fluorescence anisotropy”,IEEE Transaction on Industrial Applications,Vol.34,No.1,P75-83(1998))。
次に、図6は、本発明に係るハイブリダイゼーション検出方法の第3方法例の工程フロー図である。
この図6に示すハイブリダイゼーション検出方法は、プローブ核酸鎖が保持又は固定された反応場Rに、試料の核酸を供給する核酸供給工程(符号P1)と、反応場に電界を印加する電界印加工程(符号P2)と、反応場の温度を高くする第一昇温処理工程(符号P3)と、反応場にインターカレーターを供給するインターカレーター供給工程(符号P4)と、反応場の温度を再度高くする第二昇温処理工程(符号P5)と、ハイブリダイゼーションを検出するハイブリダイゼーション検出工程(符号P6)と、を有し、さらに、従前に取得したハイブリダイゼーション検出データに基づいて、ハイブリダイゼーション検出データを補正するデータ補正工程(符号P7)と、を有する。なお、本発明は、これの全工程をセットで実施する場合に狭く限定されない。即ち、目的に応じて、いくつかの工程を適宜組み合わせて、ハイブリダイゼーションを検出する場合も、本発明に包含される。
核酸供給工程(符号P1)。
この工程P1は、前記の通り、プローブ核酸鎖が保持又は固定された反応場に、核酸試料を滴下又は供給する工程である。例えば、ノズルなどから、DNAチップの基板表面に形成した各ウエル(即ち、反応場)に所定量の試料を、自動処理で連続的に供給する。
電界印加工程(符号P2)。
この工程は、反応場Rに電界を印加し、ターゲット核酸鎖をプローブ核酸鎖の近傍に移動させる工程である(図5参照)。この工程は、任意の工程である。これにより、ハイブリダイゼーションを促進できるため、ハイブリダイゼーションの検出精度を高くできる。
第一昇温処理工程(符号P3)。
この工程は、例えば、Tmより低い第一の温度で、該温度における反応平衡状態になるまで、前記ハイブリダイゼーションを進行させた後、ミスハイブリダイゼーションによって生成したミスマッチ二本鎖核酸の融解温度(Tm)よりも高い第二の温度であり、かつ、フルマッチ二本鎖核酸のTm未満の温度に設定することにより、ミスマッチ二本鎖核酸を選択的に解離させる工程である。これにより、ハイブリダイゼーションに対するミスハイブリダイゼーションの相対的な量を低減し、ハイブリダイゼーションの検出精度を高めることができる。なお、この第一昇温処理工程(符号P3)では、工程の一部又は全部を、電界印加工程(符号P2)と並行で行ってもよい。
インターカレーター供給工程(符号P4)。
この工程は、反応場にインターカレーターIを供給する工程である。インターカレーターIは、二本鎖核酸と特異的に結合するものであれば、その種類は特に限定されない。インターカレーターIを用いることにより、ハイブリダイゼーションを蛍光強度により測定できるため、定量的に測定できるという利点がある。
第二昇温処理工程(符号P5)。
この工程は、反応場Rの温度を所定温度よりも高くすることにより、インターカレーターIが吸着した状態の一本鎖核酸からインターカレーターIを解離させたり、インターカレーターと結合している(一本鎖核酸の)自己ループ構造部位を解離させたりする工程である。これにより、インターカレーターを用いてハイブリダイゼーションを検出する場合において、蛍光ノイズ(バックグラウンドノイズ)を低減できるため、ハイブリダイゼーション検出時におけるS/N比を高くし、ハイブリダイゼーションの検出精度を高めることができる。
ハイブリダイゼーション検出工程(符号P6)。
この工程は、上述の通り、核酸プローブとターゲット核酸とのハイブリダイゼーションを、蛍光強度などにより、検出する工程である。
データ補正工程(符号P7)。
この工程は、従前に取得してあるハイブリダイゼーション検出データに基づいて、ハイブリダイゼーション検出データを補正する工程である。例えば、測定ごとに、昇温処理前と昇温処理後の蛍光強度を取得しておき、その測定データに基づいて、S/N比の向上した度合(補正係数)を算出しておく。そして、その補正係数を用いて、ハイブリダイゼーション検出データを補正する。これにより、ハイブリダイゼーションの検出精度をより高めることができる。
実施例1では、ハイブリダイゼーション後に高温処理手順を行うことにより、ミスハイブリダイゼーションを低減し、ハイブリダイゼーションのS/N比を向上することができるかどうかを調べた。実験手順の概要は、次の通りである。
まず、実験に用いる基板を作製した。1cm角に切断したシリコン基板を洗浄し、オゾン処理、過酸化水素水処理により表面を清浄化・水酸化した後、120℃、30分間、加熱乾燥した。次に、トルエンに、アミノプロピルシランを、トルエンに対する体積比で2%添加して溶液を調製し、その溶液の中に、洗浄した基板を、50℃、30分間、浸漬し、シリコン表面の水酸基とアミノプロピルシランとを反応させ、トルエン及び水で洗浄した。次に、コハク酸無水物100mgを10mlのジメチルホルムアミドに溶解して溶液を調製し、その溶液に基板を浸漬して、50℃、2時間、アミド化反応を行い、アミノプロピルシランとコハク酸とを反応させ、基板を洗浄した。
次に、基板表面に、DNAオリゴマーを固定した。アミノ末端を有するDNAオリゴマー(配列番号1)を純水に溶解した後(濃度10μM)、基板表面(1mmスポット)に滴下し、加湿下80度で1時間、DNAオリゴマーのアミノ基と、基板表面のコハク酸とを反応させ、DNAオリゴマーを固定した。
次に、基板表面に固定したプローブ核酸鎖と、試料核酸中のターゲット核酸鎖とのハイブリダイゼーションを測定した。試料核酸には、プローブ核酸鎖の全塩基配列と相補的な配列を有する核酸(フルマッチ核酸、配列番号2)、及び、プローブ核酸鎖の塩基配列の一部と相補的な配列を有する核酸(ミスマッチ核酸、配列番号3)を用いた。試料核酸を、Hepes buffer中に溶解し、1nMに調製し、その溶液を、基板表面に10μl液盛りし、加湿下、65℃、4時間、ハイブリダイゼーションを進行させた。ハイブリダイゼーション反応後、80℃、5分間、高熱処理し、インターカレーターとしてSYBR Green I(Molecular Probes社製、以下同じ
)を添加し、450nmの励起光を照射して、基板の蛍光を測定した。なお、対照区では、ハイブリダイゼーション反応後、80℃、5分間、高熱処理を行わずに、インターカレーターを添加して、基板の蛍光を顕微鏡で観察した。
結果を図7に示す。図中、縦軸は蛍光強度(相対値)、一番左の棒グラフはフルマッチ核酸を用いて高温処理を行わずに蛍光強度を測定した場合、左から二番目の棒グラフはフルマッチ核酸を用いて高温処理後蛍光強度を測定した場合、同じく三番目の棒グラフはミスマッチ核酸を用いて高温処理を行わずに蛍光強度を測定した場合、同じく四番目の棒グラフはミスマッチ核酸を用いて高温処理後蛍光強度を測定した場合、一番右の棒グラフは試料核酸を添加せず
高温処理も行わずに蛍光強度を想定した場合(blank)である。
図7に示す通り、フルマッチ核酸の場合は、高温処理を行わなかった場合と行った場合の蛍光比が1.2:1.1であり、高温処理を行っても、蛍光強度は、あまり低下しなかった。一方、ミスマッチ核酸の場合は、高温処理を行わなかった場合と行った場合の蛍光比が1.1:0.5であり、高温処理を行うことにより、蛍光強度が、大きく低下した。
従って、以上の結果は、ハイブリダイゼーション後に、高温処理を行うことにより、ミスハイブリダイゼーションの検出を低減でき、フルマッチ核酸とミスマッチ核酸との蛍光比を大幅に改善できることを示している。即ち、本実験結果は、ミスハイブリダイゼーションの検出を低減することにより、ハイブリダイゼーション検出時におけるS/N比を高くし、ハイブリダイゼーションの検出精度を高めることができることを示す。
実施例2では、実施例1と同様、ハイブリダイゼーション後に高温処理手順を行うことにより、ミスハイブリダイゼーションを低減し、ハイブリダイゼーションのS/N比を向上できるかどうか、調べた。なお、本実験では、蛍光色素Cy3を試料核酸に結合させることにより、ハイブリダイゼーション検出時の蛍光強度を測定した。
実験手順の概要は、次の通りである。
まず、基板表面に、アビジンを固定した。アビジン溶液300μl(100mg/l、HEPES buffer)中に、ジーンシリコン(登録商標、東洋鋼鈑株式会社製)を、室温で30分間浸し、アビジンを固定し、HEPES Tween Bufferで5分間洗浄し、HEPES Bufferで3回バッファー置換を行った。
次に、プローブ固定を行った。予め、DNAオリゴマーをビオチン処理して、プローブ固定溶液を調製し、次に、プローブ固定溶液300μl(500nM、HEPES Buffer)中に基板を、室温で60分間浸し、アビジン−ビオチン結合によりDNAオリゴマーを固定し、HEPES Tween Bufferで5分間洗浄し、HEPES Bufferで3回バッファー置換を行った。
次に、基板表面に固定したプローブ核酸鎖と、試料核酸中のターゲット核酸鎖とのハイブリダイゼーションを測定した。試料核酸には、プローブ核酸鎖の全塩基配列と相補的な配列を有する核酸(30mer、フルマッチ核酸)、及び、3塩基を除き、プローブ核酸鎖の塩基配列と相補的な配列を有する核酸(30mer、ミスマッチ核酸)を用いた。試料核酸をHEPES buffer中に溶解し、50nMに調製し、蛍光色素Cy3を結合させた後、その試料核酸溶液をマルチディッシュウェルに300μLずつ分注した。次に、その試料核酸溶液中に、基板を浸し、ハイブリダイゼーション用オーブンで、55℃、3時間、インキュベーションし、ハイブリダイゼーションを進行させ、ハイブリダイゼーション反応後、HEPES Tween Bufferで5分間洗浄し、HEPES Bufferで3回バッファー置換を行った。次に、ハイブリダイゼーション反応後、80℃、5分間、高熱処理し、次に、基板を蛍光顕微鏡にセットし、蛍光強度を測定した。なお、対照では、ハイブリダイゼーション反応後、高熱処理を行わずに、蛍光強度を測定した。
結果を図8に示す。図中、縦軸は蛍光強度を、左側のグラフは高温処理を行わなかった場合を、右側のグラフは高温処理を行った場合を、「PM」は試料核酸としてフルマッチ核酸を用いた場合を、「MM3」は3つの塩基配列のみ非相補的なミスマッチ核酸を用いた場合を、をそれぞれ示す。
図8に示す通り、高温処理を行わなかった場合は、フルマッチ核酸の場合の蛍光強度とミスマッチ核酸の場合の蛍光強度の比率(蛍光比、MM3/PM)が0.82だったのに対し、高温処理を行った場合は、蛍光比が0.03だった。即ち、ハイブリダイゼーション後に高温処理を行うことにより、蛍光強度のS/N比が25倍以上、改善された。
従って、以上の結果は、実施例1と同様、ハイブリダイゼーション後に、高温処理を行うことにより、ミスハイブリダイゼーションの検出を低減でき、フルマッチ核酸とミスマッチ核酸の蛍光比を大幅に改善できることを示す。即ち、本実験結果は、ミスハイブリダイゼーションの検出を低減することにより、ハイブリダイゼーション検出時におけるS/N比を高くし、ハイブリダイゼーションの検出精度を高めることができることを示す。
実施例3では、二本鎖核酸に結合するインターカレーターを添加した後に高温処理手順を行うことにより、蛍光ノイズ(バックグラウンドノイズ)を低減し、ハイブリダイゼーションのS/N比を向上できるかどうか、調べた。
実験手順の概要は、次の通りである。ハイブリダイゼーションバッファー中に、DNAオリゴマー(プローブ核酸鎖)150nMと、そのDNAオリゴマーと相補的な又は非相補的なDNAオリゴマー(ターゲット核酸、及び、ターゲットでない試料核酸)150nMと、インターカレーター(SYBR(登録商標)Green I)と、を加え、溶液を調製した。次に、この溶液を、95℃、5分間、加熱し、核酸を一本鎖に変性させた後、4℃に急冷した。次に、25℃、1分間、インキュベーションを行なった後、インターカレーターによる蛍光強度を検出した。そして、温度を1℃ずつ上昇させ、各温度で1分間、インキュベーションを行なった後に、同様にインターカレーターによる蛍光強度を検出した。なお、本実験で用いたハイブリダイゼーションバッファーの組成は、100mM HEPES(pH7.7)、20mMMgClである。また、本実験では、プローブ核酸鎖として配列番号4の配列を有するDNAを、ターゲット核酸鎖として配列番号5の配列を有するDNAを、ターゲットでない試料核酸として配列番号6の配列を有するDNAを、それぞれ用いた。
結果を図9及び図10に示す。図9は、蛍光強度の温度特性を示す図、図10は、図9の値に基づいて取得した蛍光強度のS/N比を示す図、である。図9中、横軸は測定温度を、縦軸は蛍光強度(シグナル強度)を示す。また、同図中、「M.M」は、ターゲットでない試料核酸を用いた場合の蛍光強度を、「P.M」はターゲット核酸鎖を用いた場合の蛍光強度を、「blank」は試料核酸を加えなかった場合の蛍光強度(コントロール)を、それぞれ、プロットしている。図10中、横軸は測定温度を、縦軸はS/N比を示す。
図10に示すように、プローブ核酸鎖と非相補的な核酸(ターゲットでない試料核酸)を加えた場合、55℃付近を越えると、蛍光強度は、blankと同程度にまで減弱した。ターゲットでない試料核酸は、プローブ核酸鎖とはハイブリダイゼーションしないため、蛍光ノイズであると推測できる。即ち、それらの核酸が、自己ループを形成してインターカレーターと結合したり、インターカレーターと非特異的に吸着したりしたため、蛍光強度が検出されたと推測できる。従って、この実験結果は、インターカレーターを用いてハイブリダイゼーションを検出する場合、インターカレーターを供給した後、55℃以上で昇温処理することにより、蛍光ノイズ(バックグラウンドノイズ)を低減できることを強く示唆する。
また、図10に示すように、インターカレーターを用いてハイブリダイゼーションを検出する場合、58℃付近が、S/N比の極大だった。測定温度の上昇に伴い、プローブ核酸鎖とターゲット核酸鎖とのハイブリダイゼーションも徐々に解離するため、温度が高すぎても、S/N比は低下する。従って、本実験結果は、インターカレーターを用いてハイブリダイゼーションを検出する場合、昇温処理を行い、測定温度を58℃付近にすることにより、S/N比を高くし、ハイブリダイゼーションの検出精度を高めることができることを示す。
実施例4では、昇温処理を行うことにより、ミスハイブリダイゼーションした核酸がプローブ核酸から解離するかどうかについて、シミュレーションを行った。
図11は、シミュレーションモデルを示す模式図である。このシミュレーションでは、拡散層Cとして、高さ(Height of layer)Lの単位計算セルが、基板S上にn個積層し、その上に、バルク層Cが存在するモデルを用いた。
プローブ核酸鎖Pは、基板Sの表面上に存在するものと想定し、ハイブリダイゼーション反応は、基板Sと接している拡散層Cで進行するものと想定した。拡散層Cにおけるターゲット核酸鎖の移動は、図中の上側の式に近似し、拡散層におけるハイブリダイゼーション反応CPの反応速度は、図中の下側の式に従うものと想定した。
実際の計算では、拡散層Cの高さ(厚み)Lを10nm、層数nを1000層とし、基板表面におけるハイブリダイゼーション反応CPの反応場の面積(Area)Sを10mm、プローブ核酸鎖の密度(Probe conc.)Pを1×1011/mmとした。反応場の液量(Total Volume)Wは5μL、ターゲット核酸鎖の濃度(Target conc.)Cは、フルマッチ核酸、ミスマッチ核酸のどちらの場合も1nMとした。拡散係数(diffusion constant)Dは1×10とした。この計算で用いた温度は、65℃及び80℃である。
ハイブリダイゼーション反応CPの反応速度は、フルマッチ核酸鎖を用いる場合とミスマッチ核酸鎖を用いる場合でほとんど変化しないため、先行文献「Biochem.32(1993)3095」に記載された活性化エネルギー(Ea=112kcal/mol)、及び、頻度因子(lnA=163)とより算出した。逆反応速度は、ニアレストネーバー法を用いて算出した平衡定数(kinetic constant)、及び、ハイブリダイゼーション反応CPの反応速度から算出した。ニアレストネーバー法で算出した、フルマッチ核酸を用いる場合のエントロピー、エンタルピーは、それぞれ、ΔS=−632.2cal/mol、ΔH=−231200cal/mol、ミスマッチ核酸を用いる場合のエントロピー、エンタルピーは、それぞれ、ΔS=−534cal/mol、ΔH=−198000cal/molである。
図12は、65℃でフルマッチ核酸又はミスマッチ核酸をハイブリダイゼーションさせた後、80℃に昇温した場合のシミュレーション結果を示す図である。縦軸は、基板上でハイブリダイゼーションした核酸の濃度(mol/m)を、横軸は時間(秒)を、それぞれ示す。図12中、丸印でプロットした曲線がフルマッチ核酸を用いる場合のシミュレーション結果、三角印でプロットした曲線がミスマッチ核酸を用いる場合のシミュレーション結果である。
図12に示す通り、反応場の温度が65℃の場合(0〜0.01秒まで)、フルマッチ核酸とミスマッチ核酸のどちらを用いる場合でも、ほぼ同じ量のハイブリダイズが起きている。一方、反応場の温度を80℃に昇温すると(0.01秒以降)、ハイブリダイゼーションしたフルマッチ核酸の濃度はそれほど下がらなかったのに対し、ハイブリダイゼーションしたミスマッチ核酸の濃度は大きく減少した(図12下側の曲線参照)。
従って、このシミュレーション結果は、昇温処理を行うことにより、ハイブリダイゼーションしたミスマッチ核酸の濃度が、非常に短時間で、大きく減少することを示唆し、さらに、高温処理を行うことにより、ミスマッチ核酸のみを解離させることができることを示唆する。
図13は、フルマッチ核酸又はミスマッチ核酸を用いる場合における、温度変化とハイブリダイゼーション量との関係、及び、その際、拡散層に存在するターゲット核酸鎖の濃度の変化を示すシミュレーション結果である。
図13中、左上のシミュレーション結果は、フルマッチ核酸を用いる場合における温度変化とハイブリダイゼーション量との関係を示し、右上のシミュレーション結果は、ミスマッチ核酸を用いる場合における温度変化とハイブリダイゼーション量との関係を示す。両シミュレーション結果とも、縦軸は、基板上でハイブリダイゼーションした核酸の濃度(mol/m)を、横軸は時間(秒)を、それぞれ示し、矢印部分は、その時点で、反応場を80℃又は65℃に変化させたことを示す。
図13中、左下のシミュレーション結果は、フルマッチ核酸を用いる場合において、拡散層に存在するターゲット核酸鎖(フルマッチ核酸)の濃度の変化を示し、右下のシミュレーション結果は、ミスマッチ核酸を用いる場合において、拡散層に存在するターゲット核酸鎖(ミスマッチ核酸)の濃度の変化を示す。両シミュレーション結果とも、縦軸は、ターゲット核酸鎖の濃度(mol/m)を、横軸は時間(秒)を、それぞれ示し、反応場の温度変化は、上の二つのシミュレーション結果と対応している。両シミュレーション結果中、CA[900]又はCB[900]の曲線は、基板面から1μmの位置におけるターゲット核酸鎖の濃度を、同じく[800]の曲線は、基板面から2μmの位置におけるターゲット核酸鎖の濃度を、同じく[700]の曲線は基板面から3μmの位置におけるターゲット核酸鎖の濃度を、同じく[600]の曲線は基板面から4μmの位置におけるターゲット核酸鎖の濃度を、同じく[500]の曲線は基板面から5μmの位置におけるターゲット核酸鎖の濃度を、それぞれ表す。
図13に示す通り、フルマッチ核酸とミスマッチ核酸のどちらを用いる場合でも、反応場を80℃に昇温すると、ハイブリダイゼーション量が減少する(上の二つのシミュレーション結果を参照)とともに、拡散層では、基板表面から近い位置において、ターゲット核酸の濃度が急激に上昇した(下の二つのシミュレーション結果を参照)。
ミスマッチ核酸を用いる場合、昇温した際のハイブリダイゼーション量の減少がフルマッチ核酸を用いる場合よりも非常に顕著であり、拡散層におけるターゲット核酸鎖の濃度の上昇も、フルマッチ核酸を用いる場合よりも急激であった。また、ミスマッチ核酸を用いる場合、反応場の温度を65℃に戻しても、短時間では、ハイブリダイゼーション量が充分に回復しなかった。
以上のシミュレーション結果は、昇温処理を行うことにより、S/N比(この場合、プローブ核酸とフルマッチ核酸とのハイブリダイゼーション濃度を、プローブ核酸鎖とミスマッチ核酸とのハイブリダイゼーション濃度で除した値)を高くできること、並びに、一度、高温処理を行うことにより、その後、反応場の温度を下げても、S/N比の高い状態が持続することを示唆する。
図14は、上記シミュレーションによって得られたハイブリダイゼーション反応の挙動を模式的に示す図である。
ハイブリダイゼーションの開始時には、フルマッチ核酸(図14中の符号N参照)、ミスマッチ核酸(図4中の符号N参照)のどちらとも、ほぼ同じ速度で、ハイブリダイゼーションが進行する。また、ハイブリダイゼーションの進行に伴い、基板表面に濃度勾配が形成される(図14中、左側のモデル参照)。
次に、ハイブリダイゼーションの終了時(その温度における反応平衡状態に達した時)には、フルマッチ核酸、ミスマッチ核酸のどちらとも、プローブ核酸鎖とハイブリダイゼーションする(図14中、真ん中のモデル参照)。
次に、昇温処理を行うことにより、ディネイチャー反応が進行する。その際、プローブ核酸とミスマッチ核酸Nとのハイブリダイゼーションのほうが、プローブ核酸鎖とフルマッチ核酸Nとのハイブリダイゼーションよりも、解離速度が大きいため、ミスマッチ核酸Nが、優先的に、基板表面から解離して拡散していく(図14中、右側のモデル参照)。
従って、所定温度における反応平衡状態になるまで、ハイブリダイゼーションを進行させた後、昇温処理を行うことにより、ミスハイブリダイゼーション(プローブ核酸鎖とミスマッチ核酸とのハイブリダイゼーション)を減少させることができるため、S/N比を改善できる。
本実施例5では、パーフェクトマッチ(完全相補的)な二本鎖核酸とミスマッチ二本鎖核酸との間の昇温操作(高温溶液置換操作)による一本鎖解離への影響の違いをミスマッチ塩基数(1〜3)の観点から検証した実験である。
まず、前記されたように予めプローブDNA(30mer)が固定された基板上へ、標的となるDNA(ターゲットDNA)溶液(溶媒:100mM HEPES/200mM NaCl)を投入し、ハイブリダイゼーション反応を任意の温度(プローブDNAと相補的な配列を有するDNAのTm近傍、もしくは、Tmよりも低い温度)で行った。
本実験で用いたターゲットDNA溶液は、(1)「プローブDNAと相補的な配列を有するDNA」と、「プローブDNAと相補的な配列を有するDNA(配列番号4)に蛍光色素Cy3が修飾されたDNA」と、を1:1で混合させた溶液、(2)「プローブDNAと相補的な配列を有するDNA」と「プローブDNAと相補的な配列の内1塩基だけミスマッチを有し(配列番号5)、蛍光色素Cy3が修飾されたDNA」とを1:1で混合させた溶液、(3)「プローブDNAと相補的な配列を有するDNA」と「プローブDNAと相補的な配列の内2塩基だけミスマッチを有し(配列番号6)、蛍光色素Cy3が修飾されたDNA」とを1:1で混合させた溶液、(4)「プローブDNAと相補的な配列を有するDNA」と「プローブDNAと相補的な配列の内3塩基だけミスマッチを有し(配列番号7)、蛍光色素Cy3が修飾されたDNA」とを1:1で混合させた溶液、以上(1)から(4)を用いた。
上記ターゲットDNA(フルマッチ、ミスマッチ3種)の塩基配列を次の表1に示す。
ここで、本実施例に用いたプローブDNAと相補的な配列を有するターゲットDNAのTmは65℃で、ハイブリダイゼーションの温度は55℃とした。上記したそれぞれの溶液を用いてハイブリダイゼーション反応を行った後、基板をプローブDNAと相補的な配列を有するDNAのTmよりも高い温度のBuffer溶液を用いて短時間のうちに溶液置換を行った。本実施例5では、置換溶液として、100mM HEPES/0.5%Tween混合溶液を用い、80℃で5分間置換を行った。
図15にハイブリダイゼーション反応および高温溶液置換を行った後、基板上Cy3からの蛍光強度を測定した結果を示す。高温溶液置換した後では、上記溶液(1)によるハイブリダイゼーションの蛍光強度(相補的なプローブDNAによるハイブリダイゼーション量)はほとんど低下していないが(図15の最左の棒グラフ対参照)、上記溶液(2)の1塩基ミスマッチ配列を有するターゲットDNA、上記溶液(3)の2塩基ミスマッチ配列を有するターゲットDNA、上記溶液(4)の3塩基ミスマッチ配列を有するターゲットDNAによるミスハイブリダイゼーション量は大幅に低下していることがわかる。1塩基ミスマッチのミスハイブリダイゼーション量は、正規のハイブリダイゼーション量に対して、90%以上低減可能であった。
以上から、Tmよりも高い温度のバッファー溶液で反応場を置換することにより、ミスハイブリダイゼーション量を低下させることができるので、ハイブリダイゼーション反応検出の高精度化に有効であることがわかる。
本実施例6に係わる実験は、電界印加によるミスマッチ二本鎖核酸の解離促進を検証した。本実験では、図16に示すように、電極を有する基板上でハイブリダイゼーションを進行させた後、電界を印加することによってミスハイブリダイゼーションを選択的に解離させた。
まず、予めプローブDNAが固定された電極基板上の反応場に対して、「表1」の配列番号4(パーフェクトマッチ)、配列番号5(一塩基ミスマッチ)に対応するターゲットDNAを含むバッファー溶液(溶媒:100mM HEPES/200mM NaCl)を投入し、ハイブリダイゼーション反応を任意の温度(プローブDNAと相補的な配列を有するDNAのTm近傍、もしくは、Tmよりも低い温度)で行った。
ハイブリダイゼーション後は、余剰なターゲットDNAを除去するために、100mM HEPES/0.5%Tween溶液(RT,5分)で洗浄した。次に、Buffer溶液(100mM HEPES/200mM NaCl)のみを基板上に投入し、電極間に電界を5分間印加した。その後、解離して余剰となったDNAを除去するために、100mM HEPES/0.5%Tween溶液(RT,5min)で洗浄した。
電界印加前後のCy3蛍光強度測定結果から、配列番号4のターゲットDNAによる正規ハイブリダイゼーション由来の蛍光(相補鎖ターゲットからの蛍光)、もしくは、配列番号5のターゲットDNAによるミスハイブリダイゼーション由来の蛍光(1塩基ミスマッチターゲットからの蛍光)の残留率(Residual ratio)を求めた。その結果を、図17に示す。
図17に示すように、例えば電極間に、10MHzで5.5Vppを印加した場合、パーフェクトマッチ由来の蛍光の残留率は減少せず、1塩基ミスマッチターゲットによるミスハイブリダイゼーション由来の残留率が減少している(約80%)。このことから、電界印加によってミスハイブリダイゼーションのみが減少したことがわかる。印加電圧を高くするとパーフェクトマッチからの残留率も減少し始めるが、1塩基ミスマッチターゲットによるミスハイブリダイゼーションの残留率との差も開く。さらに、印加電圧を高くした場合(9.5Vpp)は、固定されたプローブにダメージがあり、ハイブリダイゼーション自体が起こらなくなるため適正な印加電圧値ではなくなる。
以上より、電界印加によってミスハイブリハイブリダイゼーションを選択的に解離することができ、印加電圧をコントロールすることにより、ミスハイブリハイブリダイゼーションをより選択的に解離することが可能であり、これにより、ハイブリダイゼーションの高精度化を達成できることがわかる。
なお、前記電極は、アルミニウムや金などの金属、あるいはITO(インジウム−スズ−オキサイド)等の透明な導体で形成され、反応領域中のイオン溶液による電気化学的な反応を防止するために、図示はしないが、SiO、SiC、SiN、SiOC、SiOF、TiO等の一つから選択される材料によって形成した絶縁層で覆う場合もある。また、前記電極構造は、図3の形態に限定されるものは無く、対向する電極の面積が異なる構造、対向する電極が同一平面状に配置される構造等でもよい。また、前記印加電圧は、電極界面におけるイオン溶液の電気分解を極力防止するために交流であることが望ましく、本実施例では、1kHz〜500MHzにおける任意の電圧値で図17と同様の効果が得られている。
ここで、ミスハイブリダイゼーションの解離の原理としては、電界印加によるBuffer溶液の温度上昇効果、Buffer溶液中に誘起される対流によりDNAに外力が加わる効果、あるいは、DNAへの直接的な電界(分極)作用により外力が加わる効果などが挙げられ、水素結合数の少ないミスハイブリダイゼーションがより解離し易いために、任意の電圧印加条件でミスハイブリダイゼーションを選択的に解離できると考えられる。
また、本実施例において、電界印加によるミスハイブリダイゼーション解離工程後の洗浄は、直ちに行われることが望ましい。さらに望ましくは、電界印加中に洗浄工程を同時に行う、あるいは、洗浄溶液は常に新しいものに循環していることがよい。
これは、ミスハイブリダイゼーションが解離されたとしても、その戻りの反応が非常に早いため、解離されたDNAをできるだけ早く基板表面から遠くへ遠ざけないと、再びミスハイブリダイゼーションが起こってしまうからである。あるいは、電界印加→洗浄→電界印加→洗浄・・・・と繰り返すことで、徐々にミスハイブリダイゼーションを減少させていくことも可能である。
実施例5の高温溶液置換方法と実施例6の電界印加方法を組み合わせることによって、より高精度なハイブリダイゼーションを得ることができるため、本実施例7ではその検証実験を行った。
まず、図16に示す電極基板上でハイブリダイゼーションを行った後、高温溶液置換工程、電界印加工程を行い、ミスハイブリダイゼーションを減少させた。まず、予めプローブDNAが固定された電極基板上の反応場へ、前記表1に示されている各ターゲットDNAを含むバッファー溶液(溶媒:100mM HEPES/200mM NaCl)を投入し、ハイブリダイゼーション反応を任意の温度(プローブDNAと相補的な配列を有するDNAのTm近傍、もしくは、Tmよりも低い温度)で行い、余剰なDNAを除去するために100mM HEPES/0.5%Tween溶液で5分間洗浄した。その後、高温溶液置換工程として、電極基板を80℃の100mM HEPES/0.5%Tween溶液で5分間洗浄した。
次に、バッファー溶液(100mM HEPES/200m MNaCl)のみを電極基板上に投入し、電極間に10MHz、7.5Vppを印加した。その時に解離し、反応場に遊離したDNAを除去するために、100mM HEPES/0.5%Tween溶液(RT,5min)で電極基板を再度洗浄した。以上、ハイブリダイゼーション後(洗浄後)、高温洗浄後、電界印加前後のCy3蛍光強度を測定した結果を図18に示す。
図18に示されているように、各工程後のCy3蛍光強度を比較すると、段階的にミスハイブリダイゼーションが減少していることがわかる。1塩基ミスマッチを含むターゲットDNAによるミスハイブリダイゼーションの結果を見ると、短時間高温溶液置換及び電界印加の効果により、最終的に90%以上のミスハイブリダイゼーションの低減を達成できている。従って、実施例5と実施例6に係わる各技術の組み合わせは、さらなるハイブリダイゼーション高精度化に有効であることがわかる。
以上から、本実施例7では、ハイブリダイゼーションに続いて、短時間の高温溶液置換と電界印加をこの順番で行ったが、この順番に限らず、電界印加後に高温溶液置換を実施しても同様の効果を得ることができると考えられる。また、実施例6で示したように、電界印加→洗浄を繰り返す工程を加えることによって、ミスハイブリダイゼーション低減の効果を高めることができる。
本発明は、ハイブリダイゼーションを検出する技術に利用可能である。例えば、プローブ核酸鎖とターゲット核酸鎖との間のハイブリダイゼーションを検出する時におけるS/N比を向上させる技術として利用できる。
本発明に係るハイブリダイゼーション検出方法における蛍光検出の基本的な原理の一例を模式的に示す図である。 本発明に係るハイブリダイゼーション検出方法の基本的な原理の他の例を模式的に示す図である。 本発明に係るハイブリダイゼーション検出方法の第1方法例の工程フロー図である。 本発明に係るハイブリダイゼーション検出方法の第2方法例の工程フロー図である。 ハイブリダイゼーション工程で利用できる付加的工程の概念図である。 本発明に係るハイブリダイゼーション検出方法の例について示す工程図である。 フルマッチ核酸とミスマッチ核酸とをそれぞれ高温処理した場合の蛍光強度を示す図である。 フルマッチ核酸とミスマッチ核酸とをそれぞれ高温処理した場合の蛍光強度を示す図である。 蛍光強度の温度特性を示す図である。 図9の値に基づいて取得した蛍光強度のS/N比を示す図である。 シミュレーションモデルを示す模式図である。 65℃でフルマッチ核酸又はミスマッチ核酸をハイブリダイゼーションさせた後、80℃に昇温した場合のシミュレーション結果である。 フルマッチの場合又はミスマッチの場合における、温度変化とハイブリダイゼーション量との関係、及び、その際の拡散層のハイブリダイゼーション濃度の変化を示すシミュレーション結果である。 シミュレーションによって得られたハイブリダイゼーション反応の挙動を模式的に示す図である。 実施例5の実験結果を示す図(図面代用グラフ)である。 電界印加実験に利用した基板構造を模式的に示す図である。 実施例6の実験結果を示す図(図面代用グラフ)である。 実施例7の実験結果を示す図(図面代用グラフ)である。

Claims (15)

  1. プローブ核酸鎖とターゲット核酸鎖との間のハイブリダイゼーションを進行させた後に、該ハイブリダイゼーションが進行する反応場の温度を所定温度よりも高くする昇温処理工程を行うことによって、
    ハイブリダイゼーション検出時におけるS/N比を向上させるハイブリダイゼーション検出方法。
  2. 前記昇温処理工程では、
    前記ハイブリダイゼーションを進行させた後、前記反応場の温度を、ミスハイブリダイゼーションの結果得られたミスマッチ二本鎖核酸の融解温度(Tm)よりも高い温度で、かつフルマッチ二本鎖核酸のTm未満の温度に設定することにより、該ミスマッチ二本鎖核酸を選択的に解離させることを特徴とする請求項1記載のハイブリダイゼーション検出方法。
  3. 前記反応場のスポット毎に異なる配列の前記プローブ核酸が固定されており、
    前記昇温処理工程は、前記プローブ核酸と前記ターゲット核酸鎖とのTmに基づいて前記スポット毎に独立して行うことを特徴とする請求項2記載のハイブリダイゼーション検出方法。
  4. 前記昇温処理工程では、
    前記ハイブリダイゼーションの反応平衡定数と、前記ミスハイブリダイゼーションの反応平衡定数と、の差をより大きくすることによって、
    前記ミスハイブリダイゼーションの結果得られたミスマッチ二本鎖核酸をより選択的に解離させることを特徴とする請求項1記載のハイブリダイゼーション検出方法。
  5. 前記反応場の温度を前記所定温度まで瞬間的に上昇させることを特徴とする請求項1記載のハイブリダイゼーション検出方法。
  6. 高温溶液置換によって前記反応場の温度を前記所定温度まで瞬間的に上昇させることを特徴とする請求項5記載のハイブリダイゼーション検出方法。
  7. 二本鎖核酸に吸着又は結合するインターカレーターを用いてハイブリダイゼーションを検出することを特徴とする請求項1記載のハイブリダイゼーション検出方法。
  8. 前記昇温処理を行うことでミスマッチ二本鎖核酸を選択的に解離させることにより、該ミスマッチ二本鎖核酸由来のノイズ蛍光を低減することを特徴とする請求項1記載のハイブリダイゼーション検出方法。
  9. プローブ核酸鎖が保持又は固定された反応場に、ターゲット核酸鎖を供給する核酸供給工程と、
    前記反応場の温度を高くする第一昇温処理工程と、
    前記反応場にインターカレーターを供給するインターカレーター供給工程と、前記反応場の温度を再度高くする第二昇温処理工程と、
    前記インターカレーターによりハイブリダイゼーションを検出するハイブリダイゼーション検出工程と、
    を少なくとも含む請求項7記載のハイブリダイゼーション検出方法。
  10. 前記第二昇温処理工程では、次の(1)、(2)のいずれか又は両方を行うことを特徴とする請求項7記載のハイブリダイゼーション検出方法。
    (1)反応場に存在する一本鎖核酸に吸着したインターカレーターを、該一本鎖から解離する。
    (2)反応場に存在する一本鎖核酸に形成された自己ループ構造を解く。
  11. ハイブリダイゼーションを進行させる段階で、前記反応場に電界を印加することを特徴とする請求項1記載のハイブリダイゼーション検出方法。
  12. 前記昇温処理を行う工程中又はその前後の工程において、前記反応場に電界を印加することを特徴とする請求項1記載のハイブリダイゼーション検出方法。
  13. 前記プローブ核酸鎖は前記反応場に固定されており、
    前記昇温処理後に、
    該プローブ核酸鎖とのハイブリダイゼーションによって得られるフルマッチ二本鎖核酸が反応場に残るように、該反応場を溶液洗浄することを特徴とする請求項1記載のハイブリダイゼーション検出方法。
  14. 昇温処理された後の反応場に対する電界印加を行った後に、前記溶液洗浄を行うことを特徴とする請求項13記載のハイブリダイゼーション検出方法。
  15. 前記電界印加と溶液洗浄とからなる工程を複数回繰り返すことを特徴とする請求項14記載のハイブリダイゼーション検出方法。
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