JP2007052345A - 屈折率傾斜多層薄膜構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 光学設計による反射防止フィルムの問題点、及びサブ波長格子による反射防止構造体の問題点を同時に解決し、かつ、良好な反射防止機能を有する、工業的に生産可能な表面構造体を提供する。
【解決手段】 可視光全域の透過率が70%以上で、厚さが380nm以下である薄膜層を少なくとも3層以上含む多層膜構造体であり、かつ各層の可視光領域の屈折率を外部媒体に最も近い最表層から基材に最も近い最下層方向に1.0から2.5の間で段階的に見かけ屈折率が大きくなるように変化させていることを特徴とする、屈折率傾斜多層薄膜。
【選択図】 なし

Description

本発明は、反射防止膜などの光学薄膜に利用し得るナノ粒子多層薄膜とその作成方法に関する。詳しくは、最上層薄膜表面から基材に至る空間に形成される薄膜各層の屈折率が、外部媒質である空気の屈折率1.0から基材の屈折率までの中間の屈折率を持つ薄膜層を多数介在させながら徐々に変化するとき、可視光反射率が著しく減少するというサブ波長格子の原理を利用した反射防止構造体とその作成方法に関する。本発明の方法とそれによって作成されている屈折率傾斜多層薄膜構造体は、従来の反射防止フィルム(ARフィルム)の設計と原理は一部同じであるが、方式が全く異なるものである。
ディスプレイ表面やショーウィンドー・ショーケース、展示額縁などに設けられる光学用反射防止フィルムの開発は盛んに行われており、様々な材料や設計方法が利用され製品化されている。特にディスプレイの分野では、旧来の曲面表示であるCRTに代わり、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、リアプロジェクター、FED(フィールドエミッションディスプレイ)、OLED(有機EL)など種々の方式のFPD(フラットパネルディスプレイ)が登場し、携帯電話のような小型表示から大型テレビのような大画面表示まで用途も多種多様化しているが、これらの多くの用途で視認性向上のため画面の反射防止加工が用いられてきた。
反射防止層の作成方法は大きく分けてドライ法(真空成膜法)とウェット法(湿式成膜法)がある。ドライ法は蒸着やスパッタリングを用いて主として低屈折率の金属弗化物や金属酸化物を基材表面にコートする方法である。これは膜厚精度が高く、非常に高性能な反射防止効果を与えるが、生産性が低くコストが著しく高いという欠点を持ち合わせている。一方、近年は塗工により安く大量に生産が可能なウェット法の技術が進歩し、膜厚精度もある程度向上したため、多く用いられるようになってきた。
特許文献1〜3等にはディスプレイ表面に用いてコントラストを向上させたり、外光の映り込みを防止する廉価な反射防止膜が提案されている。ウェット法の問題としては、サブミクロン厚さの塗工を精度よくできない、塗工層は被塗工層を溶解してはならないので積層する場合には溶剤に制限がある、塗工層と被塗工層の接着性の確保が必要であるなどが挙げられる。
従来用いられてきた反射防止層の設計原理を簡単に述べると以下の通りである(入射角ゼロ度、光学媒体の散乱・吸収はないとする)。これはドライ法とウェット法のARフィルムで共通となる原理である。
(1)屈折率の低い材料で強度反射率を低減する…式(1)
R=(n −n)/(n +n)…(1)
(2)表面と裏面の反射光の位相を半波長ずらして干渉効果により打ち消す…式(2)
(薄膜の屈折率が基材より小さい場合)
d=λ/4 …(2)
式(1)及び式(2)において、n:外部媒質の屈折率、n:反射防止層の屈折率、
:基材の屈折率、R:反射率、d:反射防止層の厚さ、λ:入射光の波長、を表わす。
式(1)より、屈折率の低い材料を反射防止膜に用いると、反射率を低下できることが分かる
薄膜を付着した透明体の反射率を最小にするには、反射防止層表面と裏面の反射光の位相を半波長ずらして干渉効果により打ち消す効果を併用する。このための位相条件は、薄膜の屈折率が基材より小さい場合(低屈折材料)はnd=λ/4、薄膜の屈折率が基材より大きい場合(高屈折材料)はnd=λ/2となる。位相条件に合わせた厚さの薄膜層を形成することで、全体の反射率が最小になるよう設計する。ドライ法などで多用される2層以上の反射防止膜の設計は、各層の反射率が最小になる波長を組み合わせて反射率カーブをフラットにし、可視光全域をカバーするようなワイドバンド反射防止体とする。
一方、SWG(Sub Wavelength Grating)或いはサブ波長格子は、全く別の反射防止構造として知られている。これは、断面が三角形状の微細な凹凸構造を表面に多数形成した場合、そのピッチが可視光の波長以下(380nm以下)、深さを200〜300nm以上にすると、深さ方向に屈折率が連続的に変化する無数の層が存在することと等価となり、フレネル反射が起こらなくなるというものである。光の反射は、主としてその入射面の屈折率の急激な変化により生じる。従って、光が入射する境界において屈折率が連続して滑らかに変化するような構造があれば、入射光は最終的に反射しなくなる。夜行性の蛾の複眼上にはこのような構造があり、夜間の光を反射せず最大限取り込む効果、及び目が反射して天敵に見つかるのを避ける効果を与えている。
サブ波長格子による反射率の低減効果は大きく、可視光の全波長域に関して0.5%以下のほぼフラットな反射率特性となる。これはARフィルムの原理である、屈折率の低い材料で反射率を低減する効果を極限まで高めたものと言える。サブ波長格子のその他の長所は、反射光の位相差による打ち消しを行わないので、対象とする波長を可視光全域にすることができる点、入射角による影響が少ない点などが挙げられる。
サブ波長格子構造による反射防止体を用いた技術は、非特許文献1及び特許文献4に見られる。
これは、節足動物の複眼の表面をポリマーなどに押し付けて、反射防止構造の形状を転写するというものであり、直接的なパタン複製技術である。節足動物は蛾に限られていない。
また、特許文献5及び6には、光入射面に光の波長よりも小さい周期の周期構造を有する構造体が記載されている。この記載内容は、この構造が反射防止機能を始め様々な光学機能を発揮することに関するものである。反射防止は錐形の微細周期構造をつくることで可能になるとしている。しかしこの特許は製造法については触れていない。
特許文献7には、低屈折率ポリマー球状粒子をフィルム内に内添し、反射防止及び防眩特性を発現する技術が開示されている。この内容は、媒体になるフィルム材料と球状粒子の屈折率を選択し、サブ波長格子構造と同様の光学特性を発揮するというものである。
:特開2001−21706号公報 :特開2002−71904号公報 :特開2002−55205号公報 :特開2003−139905号公報 :特開2002−286906号公報 :特開2004−170508号公報 :特開2004−26974号公報 :Journal of Optical Society of America A, Vol.12, No.2, 333 (1995)
従来の光学計算で設計し、ドライ法・ウェット法によって作成する反射防止フィルムは、実際の製品として市場に広く流通しているが、以下の点で反射防止効果に限界があった。
(1)反射防止膜の材料として、屈折率の低い材料ほど効果が高い。しかし低屈折率材料の屈折率は、ポリマーで1.35程度(環状フッ素系樹脂)、無機物質で1.37程度(弗化マグネシウム)が最低で、それ以上低いものは存在しない。従って上記式(1)より、Rの値に限界が来る。
(2)式(2)が対象とするのは、コヒーレントな単色光である。即ちコヒーレントでない自然光の場合は位相差による打ち消し効果が不完全になるため、反射率を波長に関して測定すると、反射率カーブと呼ばれる曲線を描くようになる。このカーブをできるだけフラットにするために、ドライ法などでは反射防止層を2層以上の構成にして下層の高屈折率層により位相を1/2λずらして重ねあわせる、などの工夫を行っている。実際に可視光の全波長域に関して良好な反射防止効果を得るためには、4〜5層の反射防止層が必要となるが、それでも反射率カーブを可視光全域でフラットにするのは容易ではない。
(3)異なる屈折率の層からなる多層膜は、適応波長のみならず適応入射角の問題もある。式(2)は垂直入射に近い条件では有効であり、反射率を低減させるが、実際の使用状況ではあらゆる角度から自然光が入射することになるため、必ずしも計算通りの効果が得られるとはいえない。
前記段落0009で述べたサブ波長格子による反射防止構造体については次のような問題点がある。
(1)大面積のサブ波長格子の量産は、突起物のサイズ、要求される精度などから容易ではない。現状ではリソグラフィー法は低価格に量産することは難しく、ナノインプリント法によって作成する場合でも、スタンパーの稼働率やパタン転写可能面積から考えると生産性は高くならない。
(2)突起物の先端部は鋭く尖っているため破損し易く、突起物の間の溝には汚れ等が付着・蓄積しやすい。サブ波長格子の溝に汚れが蓄積した場合、その周辺では屈折率が徐々に変化する構造ではなくなってしまい、反射防止効果が低減する。
これら諸問題を内包しながらも、サブ波長格子の効果を得るためには微細な突起物の存在が不可欠であり、かつその構造体は最表面に位置する必要がある。
(3)また、他の既存技術に見られる問題点としては、以下のことが考えられる。
特許文献4については、実際に工業生産を念頭に置いた場合、非常に小面積の型によるインプリントになるため効率性に劣るという欠点がある。
特許文献5及び特許文献6は、製造法については触れておらず、このような光学構造をいかにして実現するか明確に示していない。
特許文献7については、屈折率の異なる材料を組み合わせて、反射防止・防眩効果を有する表面の平坦なフィルムとする点では優れているが、すべての材料要素はポリマーであるため、この構造体の構成部位の屈折率下限はそれほど低くできない。したがって顕著な反射防止効果は得られないと考えられる。
本発明は、上記の、従来の光学設計による反射防止フィルムの問題点、及びサブ波長格子による反射防止構造体の問題点を同時に解決し、かつ、良好な反射防止機能を有する、工業的に生産可能な表面構造体を提供しようとするものである。
上記の問題を解決するための手段として、外部媒質と基板の間に屈折率に段階的傾斜構造を持たせた多数の薄膜層からなる構造体を形成するとき、サブ波長格子と同等で、かつ従来のARフィルムより優れた反射防止効果を有し、表面は平滑であるためサブ波長格子の問題点であった防汚性、耐久性を大幅に高めた反射防止構造体を提供できることを見出し、本発明に至った。本発明は、以下の発明を包含する。
(1)可視光全域の透過率が70%以上で、厚さが380nm以下である薄膜層を少なくとも3層以上含む多層膜構造体であり、かつ各層の可視光領域の見かけ屈折率を外部媒体に最も近い最表層から基材に最も近い最下層方向に、1.0から2.5の間で段階的に見かけ屈折率を大きく変化させていることを特徴とする、屈折率傾斜多層薄膜。
(2)前記多層膜構造体を構成する3層以上の薄膜層の中の少なくとも一層が、金属アルコキシドを用いたゾルゲル法の原理で作成されている平均直径380nm以下のナノ粒子を含有する低屈折率層であることを特徴とする、(1)項記載の屈折率傾斜多層薄膜。
(3)前記多層膜構造体を構成する3層以上の薄膜層の中の少なくとも一層が、弗化マグネシウム(屈折率1.37)、弗化リチウム(屈折率1.39)、弗化カルシウム(屈折率1.43)及び弗化バリウム(屈折率1.48)から選ばれる無機粒子を主たる構成成分とするナノ粒子を含有する層であることを特徴とする、(1)項又は2項に記載の屈折率傾斜多層薄膜。
(4)上記多層膜構造体を構成する薄膜層の中の少なくとも一層が、中空或いは多孔質の無機粒子を主たる構成成分とするナノ粒子を含有する層であることを特徴とする、(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の屈折率傾斜多層薄膜。
(5)前記無機粒子が、平均粒径が3nmから380nmのナノ粒子であることを特徴とする、(3)項又は(4)項に記載の屈折率傾斜多層薄膜。
(6)前記ナノ粒子は、バインダーを使用するか若しくは粒子同士の熱融着によって粒子同士が固定されていることを特徴とする、(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載の屈折率傾斜多層薄膜。
(7)前記多層膜構造体を構成する3層以上の薄膜層の中の少なくとも一層が低屈折率の有機高分子材料を塗工して形成されている薄膜層であることを特徴とする、(1)項又は(2)項に記載の屈折率傾斜多層薄膜。
(8)前記外部媒体に最も近い最表層の上に、厚さ3〜10nmの防汚層が形成されていることを特徴とする(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載の屈折率傾斜多層薄膜。
(9)前記(1)項〜(8)項に記載の屈折率傾斜多層薄膜から選ばれる1種を成膜する方法であって、
前記屈折率傾斜多層薄膜を形成している3層以上の薄膜層を成膜する際に、各薄膜層毎に、成膜時に使用する塗工液中のナノ粒子の2次凝集状態を制御して該塗工液から形成される各薄膜層内の粒子間隙を調整することによって平均体積空隙率が10〜95%の範囲内で、且つ可視光領域の見かけ屈折率が1.0から2.5の範囲内である層を形成すると共に、
各薄膜層を、外部媒体に最も近い最表層から基材に最も近い最下層方向に向かってそれらの可視光領域の見かけ屈折率が1.0から2.5の間で段階的に大きくなるように順次積層形成することを特徴とする、屈折率傾斜多層薄膜の成膜方法。
(10)前記ナノ粒子として2種以上の異なる粒子径のナノ粒子を使用することを特徴とする(9)項記載の屈折率傾斜多層薄膜の成膜方法。
(11)前記成膜時に使用する塗工液はバインダー成分を含有しており、前記ナノ粒子相互間のバインダー成分の含有量を変化させて平均体積空隙率が10〜95%の範囲で、可視光領域の見かけ屈折率が1.0から2.5の間である薄膜層を形成することを特徴とする(9)項又は(10)項に記載の屈折率傾斜多層薄膜の成膜方法。
(12)前記(10)項及び(11)項に記載の方法を組み合わせることにより、平均体積空隙率が10〜95%の範囲で、可視光領域の見かけ屈折率が1.0から2.5の間である薄膜層を形成することを特徴とする(9)項記載の屈折率傾斜多層薄膜の成膜方法。
(13)前記成膜時に使用する塗工液中のナノ粒子の2次凝集状態を制御して該塗工液から形成される各薄膜層内の粒子間隙を調整する手段が、金属アルコキシドのゾルゲル法を応用して上記粒子間の空隙率をコントロールする方法であることを特徴とする(9)項〜(13)項のいずれか1項に記載の屈折率傾斜多層薄膜の成膜方法。
(14)前記金属アルコキシドのゾルゲル法は、金属アルコキシドを水中に加え、水溶液として加水分解し、該水溶液に相溶性の低い有機溶媒を加えて強攪拌することで水相を有機溶媒相中に微細な分散胞として分散させてO/Wエマルションとし、各分散胞中で金属アルコキシド分子間の脱水縮合による重合を進める方法である、(13)項記載の屈折率傾斜多層薄膜の成膜方法。
本発明に記載の方法で得られる見かけ屈折率に段階的傾斜構造を持たせた構造体は、サブ波長格子と同等の反射防止効果を有することが示された。これは従来のARフィルムより優れた反射防止特性を有し、表面は平滑であるためサブ波長格子の問題点であった防汚性、耐久性を大幅に高めた反射防止構造体である。また、従来のARフィルムのように入射光と反射光の位相を半波長ずらして干渉により反射防止効果を高める手法を伴わないため、波長依存性が少なく、可視光全域に関して反射防止効果が得られる。
本発明に拠れば、光入射面の最外層から順に見かけ屈折率を徐々に大きくする反射防止層を数層形成し、外部媒質(空気)の屈折率1.0から段階的に基板の屈折率に近づけていく構造体を形成することによって前記問題を解決することができる。
具体的には、例えば石英基板〔屈折率1.45(λ=600nm)〕上に形成された5層からなる構造体の場合、最上層に見かけ屈折率1.1程度の低屈折率層、次に1.2程度の第2層、1.3程度の第3層が続き、石英基板と接する面には見かけ屈折率1.4程度の第4層が配置されるようにして、外部媒質から基板までの空間の屈折率を傾斜させる。この断続的な屈折率傾斜構造は、サブ波長格子の原理である連続的な屈折率傾斜構造と等価となり、最終的にフレネル反射をほぼゼロにする。反射防止構造の各層の目標とする見かけ屈折率は、外部媒質と基板との屈折率の差を層数で均等割りした値で、ほぼ直線的な屈折率の傾斜を付けることが好ましい。
各層の厚さは等しくすることが好ましく、かつ各塗工層で形成される反射防止構造全体の厚さは、最低150nm(ナノメートル)以上、好ましくは200〜2000nmである。その理由は、各層の厚さが不均一であると、サブ波長格子の原理と同様の屈折率の直線的な傾斜構造が得られなくなるからであり、かつ反射防止構造全体の厚さが150nmより小さい場合は、可視光の波長から考えて、屈折率の変化が急激に起こることとなり、サブ波長格子の効果が得られず、フレネル反射が生じる結果となるからである。原理的に、通常のARフィルムのように入射光と反射光の位相を半波長ずらして干渉させて打ち消すという効果は、サブ波長格子及び本発明の屈折率傾斜構造体は行わないため、塗工各層の厚さには厳密な計算値は求められない。しかし、おおよそ100nm程度が良好な結果を与えることが光学的な計算で確認される。
本発明において、反射防止層を構成する成分として無機ナノ粒子が使用される。無機ナノ粒子の粒径が可視光の波長以上の大きさ、具体的には粒径が380nmより大きいと、反射光が散乱(拡散反射)するためフィルムの可視光透過性(透明性)が低下して好ましくない。従って、本発明で用いる無機粒子は可視光の波長以下の直径、詳しくは100nm以下の直径、さらに詳しくは50nm以下の直径が望ましい。この範囲の粒径を有するものはいわゆるナノ粒子とされる。実質的に本発明の無機ナノ粒子の直径は3nmを下限とするものとする。粒子に用いる材質は、それ自体がマクロな塊の状態で光学的に透明である必要はない。粒子径が規定のサイズを満足していれば、可視光の波長より十分小さいため散乱は起こらず、光学的に透明になる。
以上述べた無機粒子が形成する各層の見かけ屈折率は、次のような要素で決定される。すなわち、粒子を構成する固体物質のもつ固有の屈折率と、その粒子内部及び粒子間の空隙率である。各層の見かけの屈折率は空隙に含まれる空気の屈折率(n=約1.00)と粒子を構成する固体物質の屈折率の体積比を用いた相加平均に他ならず、空隙率をコントロールすることで各層を意図した屈折率に設計することができる。
必要な屈折率を有する塗工層を作成するための具体策として、本発明では金属アルコキシドのゾルゲル法を応用して上記粒子間の空隙率をコントロールする方法を提唱する。すなわち、金属アルコキシドを水中に加え水溶液とし加水分解する。加水分解のための触媒としては酸とアルカリの両方が使用可能であるが、アミノシラン系の金属アルコキシドの加水分解は触媒がなくても十分進行する。この水溶液に相溶性の低い有機溶媒を加え、強攪拌することで水相を有機溶媒相中に微細な分散胞として分散させO/Wエマルションとし、各分散胞中で金属アルコキシド分子間の脱水縮合による重合を進める。重合過程で金属アルコキシドは水溶成分→ゾル→ゲルの順に高分子量化しつつ粒径を持つようになる。エマルションの粒径は攪拌回転数、攪拌時間、容器の形状などによって影響されるが、通常のエマルションの粒径は約400nm以上である。仮に粒径400nmのエマルション中に0.04vol%の金属アルコキシド成分が含まれる場合、ゲル化・乾燥後の粒子の直径は30nmとなりナノ粒子のサイズになる。
上記金属アルコキシドのゾルゲル法の応用で用いる金属アルコキシドとしては、機能性シラン(シリル化剤)や、いわゆるシランカップリング剤などを用いる。例えば、テトラメトキシシラン(屈折率1.37)、テトラエトキシシラン(屈折率1.38)、モノメチルトリメトキシシラン(屈折率1.37)、モノメチルトリエトキシシラン(屈折率1.38)、ジメチルジメトキシシラン(屈折率1.37)、ジメチルジエトキシシラン(屈折率1.38)、フェニルトリメトキシシラン(屈折率1.47)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。コアの金属は特にシリコンである必要はなく、チタネート系など他のものでもよい。
上記各分散胞中の水溶成分が徐々にゲル化していく現象が起きるため、分散液全体では複数のナノ粒子が同時に生成することになる。この際、金属アルコキシドのゲル化と並行して、有機溶媒の揮発を行っていく。最終的には水と有機溶媒は完全に気化して除去し、ナノ粒子同士を低密度な状態で接合・成膜化する。ゲル化の状態を予め調節することで、ナノ粒子同士が接触する際にまだ脱水縮合できるようにすると、ナノ粒子同士は溶媒の乾燥とともに自動的に接着する。
このようにして得られる塗工層空間中の空隙率及び見かけ屈折率をコントロールするためには、金属アルコキシドの種類、水相中の金属アルコキシド濃度、有機溶剤中の水相エマルションのサイズ、水相と有機溶剤相の比率などを調節する。例えば、分散液中の水相中の金属アルコキシド濃度を高くして生成するナノ粒子のサイズを大きくした場合、乾燥後の成膜の空隙率は比較的大きくなり見かけ屈折率は小さくなる。逆に水相中の金属アルコキシド濃度を低くして生成するナノ粒子のサイズを小さくした場合、乾燥後の成膜は比較的緻密になり空隙率は小さくなるため、見かけ屈折率は使用する金属アルコキシドの塊(バルク)の値に近くなる。
球の充填を考えると、粒径が変化しても密度は不変の筈であるが、実際のゾルゲル法では上記のように粒径が小さいほど高密度で緻密な層を形成する。生成するナノ粒子同士を完全にゲル化する前に接着する方法では、粒界は点接着とならず粒子表面がある程度の面積を使った面接着になる。したがって、ナノ粒子の粒径が小さいときは粒子数が多くなり、接着に使用される粒子表面の合計面積も拡大し、塗工層内の空隙率が低下する。一方、ナノ粒子の粒径が大きいと粒子数は少なくなり、接着に使用される粒子表面の合計面積はそれほど大きくならない。この原理を用いることで、ゾルゲル法で作成するナノ粒子からなる塗工層の密度を調整することができる。
上記のゾルゲル法の応用で得られる材料は、スピンコート法、スリットダイコート法、ディップコート法、キャップコート法などで塗工し、基材表面で薄膜化する。例えば、スピンコート法は、数ナノメートル〜数百ナノメートルまでの塗工厚さを精度よくコントロール可能であり再現性も良いが、大面積の塗工に向かないバッチ式であるため、量産に向かないなどの欠点もある。例えば、スリットダイコート法は、連続塗工が可能であるため大面積・量産向きであるが、厚さ100ナノメートル以下の塗工層を精度よく作れないという欠点がある。何れかの方法、或いは組み合わせたやり方でも良いが、塗工は第一層から下塗りの層を溶かさないように順次重ねて塗っていく。新たな塗工層が下塗りの層を溶かしてしまうと、膜厚精度が維持できず、設計通りの反射防止効果が得られなくなるからである。このためには、一層毎に塗工層を完全にゲル化し、固着していく必要がある。
本発明では、上述のゾルゲル法を応用した低屈折率層に、さらに次のような光学層を組み合わせて、全体の屈折率傾斜構造を形成することもできる。すなはち、
(1)フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル、アクリル、オレフィン系樹脂などの低屈折率有機高分子材料を溶剤塗工した層
(2)弗化マグネシウム(屈折率1.37)、弗化リチウム(屈折率1.39)、弗化カルシウム(屈折率1.43)、弗化バリウム(屈折率1.48)、二酸化珪素(屈折率1.44)などのナノ粒子を有機・または無機バインダーで固定、若しくは熱融着した層
(3)弗化マグネシウム(屈折率1.37)、弗化リチウム(屈折率1.39)、弗化カルシウム(屈折率1.43)、弗化バリウム(屈折率1.48)、二酸化珪素(屈折率1.44)などの低屈折率無機物質を真空蒸着あるいはスパッタリング等の手段で薄膜形成した層
(4)ナノポーラスシリカ(屈折率1.27)などの中空或いは多孔質のナノ粒子を有機・或いは無機バインダーで固定、若しくは熱融着した層、
を上記ゾルゲル法による低屈折率層と組み合わせる方法である。以下に詳細を記す。
本発明の反射防止層を形成するための材料として、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル、アクリル、オレフィン系樹脂などを用いることができる。例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソール共重合体(屈折率1.35)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(屈折率1.34)、ポリメタクリル酸トリフルオロエチル(屈折率1.42)、ポリテトラフルオロエチレン(屈折率1.35〜1.38)、ポリ酢酸ビニル(屈折率1.45〜1.47)、ポリメタクリル酸イソブチル(屈折率1.49)、ポリ−4−メチルペンテン−1(屈折率1.47)などが一部の具体例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
このような有機高分子材料を用いる場合、屈折率は最低でも1.34程度までしかないので、さらに他の低屈折率層と組み合わせて、全体の屈折率傾斜構造体を完成する必要がある。これらの低屈折率有機高分子材料を反射防止層として薄膜化するためには、適当な溶剤に所定濃度で溶解し、既に述べたスピンコート法、スリットダイコート法、ディップコート法、キャップコート法、バーコート法などで塗工する。
本発明の反射防止層を形成するための材料として、無機粉体、無機粒子、無機微粒子、或いはナノ粒子などを用いることができる。例えば、弗化マグネシウム(屈折率1.37)、弗化リチウム(屈折率1.39)、弗化カルシウム(屈折率1.43)、弗化バリウム(屈折率1.48)、二酸化珪素(屈折率1.44)などを一部の具体例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。このような無機材料を用いる場合、屈折率は最低でも1.37程度までしかないので、さらに他の低屈折率層と組み合わせて、全体の屈折率傾斜構造体を完成する必要がある。
上述の無機粒子を用いて反射防止層を形成する場合、粒径が可視光の波長以上の大きさ、具体的には粒径が380nm以上の大きさでは、反射光が散乱(拡散反射)するためフィルムの可視光透過性(透明性)が低下して好ましくない。従って、本発明で用いる無機粒子は可視光の波長以下の直径、詳しくは100nm以下の直径、さらに詳しくは、50nm以下の直径が望ましいが、この範囲の粒径を有するものは、いわゆるナノ粒子とされる。実質的に本発明の無機ナノ粒子の直径は3nmを下限とするものとする。
粒子に用いる材質は、それ自体がマクロな塊の状態で光学的に透明である必要はない。粒子径が規定のサイズを満足していれば、可視光の波長より十分小さいため散乱は起こらず、光学的に透明になる。粒子の形状はどのようなものでも良いが、長径と短径のアスペクト比が10以内であるほうが光学的等方性を得るために好ましい。本発明では目的の屈折率を有する反射防止層を形成するために、異なる屈折率を持つ2種類以上の無機ナノ粒子を所定の比率で混合して用いてもよい。
このような無機ナノ粒子を低密度に充填して低屈折率層を作成する。密度のコントロールで、必要な見かけ屈折率を有する塗工層を作成する。これはナノ粒子間に残る空間を空気(屈折率1.0)が占めるため、層全体の見かけ屈折率が低下するためである。低密のナノ粒子層を形成するためには、希薄なバインダー液中に単分散したナノ粒子を塗布し、分散媒体を蒸発させることによって粒子同士をバインダー成分で付着・固定する。乾燥過程で、無機ナノ粒子の粒界に残るバインダー成分が粒子同士を結合させる。
蒸発の過程で無機ナノ粒子が2次凝集体を形成すると、凝集体内部にバインダー成分が詰まるなどして実質上粒径が大きくなることがあり、光学的透明性が失われ、かつ低密度でなくなるため低屈折率も実現できなくなる。また、膜厚の精度も低下して好ましくない。従って、できるだけ単分散の状態を維持しつつ分散媒体を気化させなければならない。
単分散の状態を保った層を形成するには、粒子近傍のζ(ゼータ)電位が大きくなるようコントロールし、粒子間に働く斥力を常に維持するようにしながら分散媒体を気化させるのが効果的な方法である。このため、微量のゼータ電位コントロール剤の添加を行い、粒子間の斥力をコントロールする。この方法は、溶媒の除去過程において粒子同士が凝集するまでの時間を遅らせ、かつ層内の粒子の充填率が下がるため、低密度・低屈折率の反射防止層を形成するのに有利である。
密度をコントロールするための他の手段として、異なる粒径をもつ粒子を2種類以上混合し、反射防止層として用いる方法がある。この方法では、粒径の比較的大きな粒子だけで反射防止層を構成する場合は空隙率が高くなるため見かけの屈折率は低くなり、粒径の比較的大きな粒子と小さな粒子を組み合わせた場合は空隙率が低くなるため見かけの屈折率は高くなる。ここでいう粒径の大小は、相対的なサイズの相違を指しているので具体的に記述する必要はない。ただし、粒径が5nm近傍以下になると、分散体の溶媒を乾燥・気化する際に粒界がなくなる、或いは不明瞭になる現象が起きる。別の言い方をすれば、造膜性が現われてくる。このような粒径を限界粒子径というが、この条件を満たす粒子のみを使用した場合は、結果的に反射防止層の空隙率が著しく減少するため、見かけ屈折率は大きくなる。
その他、ナノ粒子間に残留するバインダー材料の量を変えることで粒子間の空隙率を調整する方法がある。これは、予め使用するバインダー材料の濃度を幾種類か設定し、分散媒体気化後の残留固形分量をコントロールすることで、各塗工層の粒子間空隙の閉塞率を決めるというものである。
バインダー材料は、各反射防止層を形成するナノ粒子の粒界を接着するために十分な量が必要であるが、過剰に使用してはならない。これは、バインダー成分が塊になって可視光の波長よりも大きな直径を有するようになると、反射防止層の色付き、散乱光の発生、反射防止効果の低減等の影響が現われるためである。また、バインダー成分は、分散媒体の気化時にマイグレーションによって主に厚さ方向、乾燥条件によっては面内方向に移動することがある。これは乾燥時に熱源に近い場所、すなはち、乾燥速度が部分的に速い場所にバインダー液が移動することによって起こるので、熱風乾燥でも風乾でも基本的に不可避である。しかし、熱風乾燥の場合は乾燥温度を下げることによりマイグレーションを低減できるし、風乾を用いればより効果的にマイグレーションを防ぐことができる。最も理想的なのは、凍結乾燥によって分散媒体を昇華させる手法である。この場合、マイグレーションはゼロになると考えられるが、生産効率が低いのであまり現実的ではない。
無機ナノ粒子を結合して反射防止層にするために用いるバインダー(接着剤)成分は、金属アルコキシドを用いることができる。例えばテトラメトキシシラン(屈折率1.37)、テトラエトキシシラン(屈折率1.38)、モノメチルトリメトキシシラン(屈折率1.37)、モノメチルトリエトキシシラン(屈折率1.38)、ジメチルジメトキシシラン(屈折率1.37)、ジメチルジエトキシシラン(屈折率1.38)、フェニルトリメトキシシラン(屈折率1.47)、などの機能性シラン(シリル化剤)が挙げられる。コアの金属は、特にシリコンである必要はなく、チタネート系など他のものでもよい。
無機ナノ粒子を結合する有機物質バインダーの例として、アクリル系、エポキシ系、酢酸ビニル系、シリコーン系、ポリウレタン系などの接着剤が挙げられる。ただし、本発明に使用できるバインダーの形態は溶液タイプに限るということである。バインダーがエマルションタイプの場合、粒径は通常400nm以上になるため、溶媒乾燥後に接着剤の固形成分の塊が無機ナノ粒子の中に現われ、かつその直径から可視光を散乱することがあるからである。
無機ナノ粒子は塗工前に分散媒体中にバインダー成分とともに分散させるが、この時の分散媒体としては水、有機溶剤、あるいは水と有機溶剤の混合系を用いる。水と混合する有機溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、などのアルコール類、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、フェノール類、アミン類、ケトン類などが挙げられるが、特にこれに限定するものではない。塗工液分散媒体中の有機溶剤混合比は、通常50%以下がよいが、好ましくは30%以下にする。ナノ粒子が無機物である場合は、水または水と有機溶剤の混合系を使用する。また、ナノ粒子が有機物・無機物いずれの場合でも、分散媒体が分散物(粒子)を過度に溶解してはならず、分散媒体の分散物(粒子)に対する溶解度積は0.01程度以下が好ましい。
何れの場合でも、上述のゾルゲル法の応用と組み合わせることで、容易に低屈折率層を形成することができる。これは、例えば有機高分子材料を溶剤塗工する場合は、屈折率は最低1.35程度にしかならないため、表層に位置する見かけ屈折率1.1程度の低屈折率層を作成するのに本発明のゾルゲル法の応用を組み合わせるのが有効であるからである。ナノ粒子や中空ナノ粒子を用いて低密度層を作成すると、ある程度の低屈折率層を作成することができる。しかし、屈折率制御の容易さに関して本発明のゾルゲル法の応用は優れるため、より簡便に最表層付近の屈折率が1.1近くである積層構造を作成することが可能となる。
本発明の反射防止膜は、必要に応じて、屈折率傾斜多層薄膜の全層を積層した後、最上層を形成している最も屈折率の低い塗工層上に、さらに防汚層を設けることができる。防汚層は、その厚さが10nm以下、好ましくは3〜5nmとし、塗工法あるいは蒸着法によって成膜することによって形成される。防汚層は、その厚さが重要であり、3〜5nmとすることにより、最表面に位置しながら反射防止効果には関与しない、光学的に無視できる層となる。厚さが上記数値を超えると、反射・散乱などの光学的な影響が現れるため、好ましくない。
防汚層を形成するための素材には、最表面に形成される層であるが故に、耐薬品性、拭き取り性、耐候性、硬度等を兼ね備えた性能が要求されるが、極めて薄い層でなければならないことから、この層に求められる最低限の性能は拭き取り性と硬度である。広く用いられる層形成素材は、フッ素樹脂や金属アルコキシシランなどであり、これらは希薄溶液として塗工法で最上層上に付与される。他に、金属や金属酸化物を蒸着法又はスパッタリング法で薄膜として積層してもよい。このような防汚層を設けることによって、汚染防止の他に、表面強度の向上を図ることができる。特に屈折率1.1程度を目指す反射防止層の最上層は低密度の状態のナノ粒子で形成されているために強度不足が懸念されるが、このような防汚層をその上に設けることで、粒子の脱落防止、低密度構造の破損防止、粒子間への皮脂等の汚れ物質の侵入防止、その他使用上考えられる表面汚れの定着防止効果が得られ、本発明の屈折率傾斜多層薄膜構造体をより強固な実用品に仕上げることができる。
また、本発明の屈折率傾斜多層薄膜構造体の各層間の接着力を高めるため、有機・無機プライマー、あるいはシランカップリング剤などを用いることも有効である。ただし、使用に際しては各層との接着性の有無を予め確認しておくことが重要であり、かつ使用は非常に希薄な状態で行って単分子層に近い極薄の層間接着層を形成するのが理想的である。この理由は、接着層が光学的な影響を与える厚さになると計算通りの屈折率傾斜構造とはならないからである。
以下に本発明の具体的特徴を詳細に説明するため、実施例を記載する。なお、本発明はその主旨を再現しようとする限り、これらの実施例に限定されるものではない。また、各実施例及び比較例中の部は質量部を示す。
実施例1
(第1層)
モノメチルトリメトキシシランを0.001体積%で水中に加え、酢酸で1時間加水分解した。この水溶液とメチルエチルケトンを35部対65部で混合し、ホモジナイザーで強攪拌してエマルション(強攪拌ディスパージョン)とした。その後、回転数を弱めて攪拌を続けながら温度60℃で3時間保持し、水相中での金属アルコキシドのゲル化を進めた。ゲル化がある程度進んだところで、スピンコーターにて1500rpmで光学用石英基板上に分散体を塗工して成膜した。次に、石英基板ごとヒーター上で120℃、5分間の加熱・乾燥を施し、金属アルコキシドのゲル化の続き、及び溶剤、水を気化させる工程を行った。こうして得られた第1層は、塗工層厚さは平均約97nm、見かけ屈折率1.36(シングルビーム・エリプソメーターによる測定)であった。第1層の詳細を表1に示す。
(第2層)
モノメチルトリメトキシシランを0.003体積%で水中に加え、酢酸で1時間加水分解した。この水溶液とメチルエチルケトンを25部対75部で混合し、ホモジナイザーで強攪拌してエマルション(強攪拌ディスパージョン)とした。その後、回転数を弱めて攪拌を続けながら温度60℃で3時間保持し、水相中での金属アルコキシドのゲル化を進めた。ゲル化がある程度進んだところで、スピンコーターにて1500rpmで分散体を上記光学用石英基板上の第1層上に塗工して成膜した。次に石英基板ごとヒーター上で120℃、5分間の加熱・乾燥を施し、金属アルコキシドのゲル化の続きおよび溶剤、水を気化させる工程を行った。こうして得られた第2層は、塗工層厚さは平均約99nm、見かけ屈折率1.30(シングルビーム・エリプソメーターによる測定)であった。第2層の詳細を表1に示す。
(第3層)
モノメチルトリメトキシシランを0.009体積%で水中に加え、酢酸で1時間加水分解した。この水溶液とメチルエチルケトンを17部対83部で混合し、ホモジナイザーで強攪拌してエマルション(強攪拌ディスパージョン)とした。その後、回転数を弱めて攪拌を続けながら温度60℃で3時間保持し、水相中での金属アルコキシドのゲル化を進めた。ゲル化がある程度進んだところで、スピンコーターにて1500rpmで分散体を上記光学用石英基板上の第2層上に塗工して成膜した。次に石英基板ごとヒーター上で120℃、5分間の加熱・乾燥を施し、金属アルコキシドのゲル化の続きおよび溶剤、水を気化させる工程を行った。こうして得られた第3層は、塗工層厚さは平均約103nm、見かけ屈折率1.23(シングルビーム・エリプソメーターによる測定)であった。第3層の詳細を表1に示す。
(第4層)
モノメチルトリメトキシシランを0.02体積%で水中に加え、酢酸で1時間加水分解した。この水溶液とメチルエチルケトンを12部対88部で混合し、ホモジナイザーで強攪拌してエマルション(強攪拌ディスパージョン)とした。その後、回転数を弱めて攪拌を続けながら温度60℃で3時間保持し、水相中での金属アルコキシドのゲル化を進めた。ゲル化がある程度進んだところで、スピンコーターにて1500rpmで分散体を上記光学用石英基板上の第3層上に塗工して成膜した。次に石英基板ごとヒーター上で120℃、5分間の加熱・乾燥を施し、金属アルコキシドのゲル化の続きおよび溶剤、水を気化させる工程を行った。こうして得られた第4層は、塗工層厚さは平均約100nm、見かけ屈折率1.16(シングルビーム・エリプソメーターによる測定)であった。第4層の詳細を表1に示す。
(第5層)
モノメチルトリメトキシシランを0.04体積%で水中に加え、酢酸で1時間加水分解した。この水溶液とメチルエチルケトンを7部対93部で混合し、ホモジナイザーで強攪拌してエマルション(強攪拌ディスパージョン)とした。その後回転数を弱めて攪拌を続けながら温度60℃で3時間保持し、水相中での金属アルコキシドのゲル化を進めた。ゲル化がある程度進んだところで、スピンコーターにて1500rpmで分散体を上記光学用石英基板上の第4層上に塗工して成膜した。次に石英基板ごとヒーター上で120℃、5分間の加熱・乾燥を施し、金属アルコキシドのゲル化の続きおよび溶剤、水を気化させる工程を行った。こうして得られた第5層は、塗工層厚さは平均約102nm、見かけ屈折率1.09(シングルビーム・エリプソメーターによる測定)であった。第5層の詳細を表1に示す。
上記の方法に従って製造された5層積層構造の塗工層を形成した光学用石英基板について、可視光全域にわたる反射率を測定した。結果を図1に示す。図1の反射率測定結果から、本発明の実施例1で製造したものの反射強度は可視光全域に関して3%以下となり、非常に低反射率の光学特性を発揮していると評価できる。また、通常のARコート処理された反射防止フィルムなどとは異なり、低波長域・高波長域のいずれにおける反射率も著しく減少している。この様に反射率に波長依存性がないという特徴は、サブ波長格子に見られるものであり、本発明の実施例1が塗工法によってサブ波長格子と同等の効果を与えていることがわかる。言い換えると、金属アルコキシドのゲル化を応用した方法と多層塗工を組み合わせることで、サブ波長格子効果を得ることが出来たことがわかる。
なお、前記第1層から第5層の各単独層の厚さ及び見かけ屈折率は、積層構造を形成する場合における各層の形成条件と同様の条件で光学用石英基板上に各単独層を形成して測定した。
Figure 2007052345
実施例2
(第1層)
平均粒子径20nm、屈折率1.44のシリカ粒子をホモジナイザーを用いて1体積%で水中に分散液とし、これに酢酸1.0ppmを用いて1時間加水分解したモノメトキシシランを0.14体積%で添加し、塗工液とした。この塗工液を1500rpmで光学用石英板(厚さ1.5mm)上にスピンコートし、溶媒である水を風乾により気化して除き、バインダーとして用いるアルコキシシランを無機粒子と反応させるため、120℃で5分間加熱した。このようにして形成された第1層は、塗工層厚さが平均で約102nm、見かけ屈折率1.35(シングルビーム・エエイプソメーターによる測定)であった。詳細を表2に示す。
(第2層)
平均粒径20nm、屈折率1.44のシリカ粒子をホモジナイザーを用いて1体積%で水中に分散液とし、これに酢酸1.0ppmを用いて1時間加水分解したモノメチルトリメトキシシランを0.13体積%で添加し、塗工液とした。この塗工液を1500rpmで光学用石英基板(厚さ1.5mm)上にスピンコートし、溶媒である水を風乾により気化して除き、バインダーとして用いるアルコキシシランを無機粒子と反応させるため、120℃で5分間の加熱を施した。こうして得られた第2層は、塗工層厚さは平均約99nm、見かけ屈折率1.27(シングルビーム・エリプソメーターによる測定)であった。詳細を表2に示す。
(第3層)
平均粒径20nm、見かけ屈折率1.27のナノポーラスシリカ粒子をホモジナイザーを用いて1体積%で水中に分散液とし、これに酢酸1.0ppmを用いて1時間加水分解したモノメチルトリメトキシシランを0.12体積%で添加し、塗工液とした。この塗工液を1500rpmで光学用石英基板(厚さ1.5mm)上にスピンコートし、溶媒である水を風乾により気化して除き、バインダーとして用いるアルコキシシランを無機粒子と反応させるため、120℃で5分間の加熱を施した。こうして得られた第3層は、塗工層厚さは平均約98nm、見かけ屈折率1.19(シングルビーム・エリプソメーターによる測定)であった。詳細を表2に示す。
(第4層)
平均粒径20nm、屈折率1.27のナノポーラスシリカ粒子をホモジナイザーを用いて1体積%で水中に分散液とし、これに酢酸1.0ppmを用いて1時間加水分解したモノメチルトリメトキシシランを0.14体積%で添加し、塗工液とした。この塗工液を1500rpmで光学用石英基板(厚さ1.5mm)上にスピンコートし、溶媒である水を風乾により気化して除き、バインダーとして用いるアルコキシシランを無機粒子と反応させるため、120℃で5分間の加熱を施した。こうして得られた第4層は、塗工層厚さは平均約100nm、見かけ屈折率1.11(シングルビーム・エリプソメーターによる測定)であった。詳細を表2に示す。
なお、前記第1層から第4層の各単独層の厚さ及び見かけ屈折率は、積層構造を形成する場合における各層の形成条件と同様の条件で光学用石英基板上に各単独層を形成して測定した。
Figure 2007052345
また、上記実施例2において、シリカ、ナノポーラスシリカ等の材料は以下に記載したものを使用した。
(シリカ粒子)
商品名:カタロイドS1−50
製造元:触媒化成(株)
平均粒径:約20nm
50%水分散系
(ナノポーラスシリカ)
製造元:住友大阪セメント(株)
平均粒径:約30nm
7.7%水分散系
上記の方法に従って製造された4層積層構造の塗工層を形成した光学用石英基板について、可視光全域にわたる反射率を測定した。結果を図2に示す。
図2の反射率測定結果から、本発明の実施例2の反射強度は可視光全域に関して3%以下となり、非常に低反射率の光学特性を発揮しているといえる。また、通常のARコート処理された反射防止フィルムなどとは異なり、低波長・高波長の反射率が著しく減少している。この様に反射率に波長依存性がないという特徴は、サブ波長格子に見られるものであり、本発明の実施例2が塗工法でサブ波長格子と同等の効果を与えていることがわかる。言い換えると、市販のナノ粒子と多層塗工を組み合わせることで、サブ波長格子効果を得ることが出来た。
比較例1
市販のARコートフィルム〔商品名、日本化薬製 KAYACOAT ARS−D250TG−125(単層タイプ:このフィルムはウェットコート法でつくられている)〕を入手し、反射率特性を大塚電子製MCPD100で測定したところ、図3のような反射率カーブが得られた。図3から明らかなように、低波長・高波長側での反射率が高く波長依存性が見られるため、全波長領域で反射防止効果が高いとはいえない。
比較例2
市販のARコートフィルム〔商品名、ソニーケミカル製 AR1−1215(PETベース:多層タイプ)〕を入手し、反射率特性を大塚電子製MCPD100で測定したところ、図4のような反射率カーブが得られた。このフィルムはスパッタリング法で作成されているARフィルムであり、反射率が1%程度の領域が430〜600nmの範囲と、比較例1のものよりも広域となっているが、依然として低波長・高波長側での反射率が著しく高く波長依存性が見られるため、全波長領域で反射防止効果が高いとはいえない。
比較例3
スタンプ式ナノプリント法で作成されたサブ波長格子構造体〔NTT-AT製テスト品(PCベース)〕を入手し、反射率特性を大塚電子製MCPD100で測定したところ、図5のような反射率カーブが得られた。このフィルムは波長依存性が見られず、可視光全域において2%以下の低反射率を実現している。しかし、この構造体の製作には、ナノレベルの表面凹凸加工が施されている型が必要であること、また、該型表面の凹凸形状を基材面に一定時間押圧転写する操作が必要であること等の理由から、コスト高で生産速度も遅いため商業的規模での生産に適していないという問題がある。
比較例4
東海光学(株)がインターネット上で公開している多層構造のARコートフィルム(多層構造体)は、図5に示される反射率を有しているとされている。このフィルムは、蒸着法で作成されたARフィルムであり、反射率が1%以下の領域が420〜640nmの比較的に広い範囲にある。しかし、可視光領域400〜800nm全域を対象とすると、低波長域や高波長域での反射率は依然として高く、波長依存性が見られるため、全波長域での反射率が低いとはいえない。
以上の実施例及び比較例から明らかなように、本発明の屈折率傾斜多層薄膜構造体は、従来のARフィルムより優れた反射防止特性を有しており、塗工法によって形成されている層表面が平滑であるためサブ波長格子の問題点であった防汚性、耐久性を大幅に高めた反射防止構造体である。また、従来のARフィルムのように入射光と反射光の位相を半波長ずらして干渉により反射防止効果を高める手法を伴わないため、波長依存性が少なく、可視光全域に関して反射防止効果が得られる。
実施例1で作成した屈折率傾斜多層薄膜の反射特性を示す図 実施例2で作成した屈折率傾斜多層薄膜の反射特性を示す図 比較例1のARコートフィルムの反射特性を示す図 比較例2のARコートフィルムの反射特性を示す図 比較例3のサブ波長構造体の反射特性を示す図 比較例4のARコートフィルムの反射特性を示す図

Claims (13)

  1. 可視光全域の透過率が70%以上で、厚さが380nm以下である薄膜層を少なくとも3層以上含む多層膜構造体であり、かつ各層の可視光領域の見かけ屈折率を外部媒体に最も近い最表層から基材に最も近い最下層方向に、1.0から2.5の間で段階的に見かけ屈折率を大きく変化させていることを特徴とする、屈折率傾斜多層薄膜。
  2. 前記多層膜構造体を構成する3層以上の薄膜層の中の少なくとも一層が、金属アルコキシドを用いたゾルゲル法の原理で作成されている平均粒径380nm以下のナノ粒子を含有する低屈折率層であることを特徴とする、請求項1に記載の屈折率傾斜多層薄膜。
  3. 前記多層膜構造体を構成する3層以上の薄膜層の中の少なくとも一層が、弗化マグネシウム(屈折率1.37)、弗化リチウム(屈折率1.39)、弗化カルシウム(屈折率1.43)及び弗化バリウム(屈折率1.48)から選ばれる無機粒子を主たる構成成分とするナノ粒子を含有する層であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の屈折率傾斜多層薄膜。
  4. 上記多層膜構造体を構成する薄膜層の中の少なくとも一層が、中空或いは多孔質の無機粒子を主たる構成成分とするナノ粒子を含有する層であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の屈折率傾斜多層薄膜。
  5. 前記無機粒子が、平均粒径が3nmから380nmのナノ粒子であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の屈折率傾斜多層薄膜。
  6. 前記ナノ粒子は、バインダーを使用するか若しくは粒子同士の熱融着によって粒子同士が固定されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の屈折率傾斜多層薄膜。
  7. 前記多層膜構造体を構成する3層以上の薄膜層の中の少なくとも一層が低屈折率の有機高分子材料を塗工して形成されている薄膜層であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の屈折率傾斜多層薄膜。
  8. 前記請求項1〜7に記載の屈折率傾斜多層薄膜から選ばれる1種を成膜する方法であって、
    前記屈折率傾斜多層薄膜を形成している3層以上の薄膜層を成膜する際に、各薄膜層毎に、成膜時に使用する塗工液中のナノ粒子の2次凝集状態を制御して該塗工液から形成される各薄膜層内の粒子間隙を調整することによって平均体積空隙率が10〜95%の範囲内で、且つ可視光領域の見かけ屈折率が1.0から2.5の範囲内である層を形成すると共に、
    各薄膜層を、外部媒体に最も近い最表層から基材に最も近い最下層方向に向かってそれらの可視光領域の見かけ屈折率が1.0から2.5の間で段階的に大きくなるように順次積層形成することを特徴とする、屈折率傾斜多層薄膜の成膜方法。
  9. 前記ナノ粒子として2種以上の異なる粒子径のナノ粒子を使用することを特徴とする請求項8記載の屈折率傾斜多層薄膜の成膜方法。
  10. 前記成膜時に使用する塗工液はバインダー成分を含有しており、前記ナノ粒子相互間のバインダー成分の含有量を変化させて平均体積空隙率が10〜95%の範囲で、可視光領域の見かけ屈折率が1.0から2.5の間である薄膜層を形成することを特徴とする請求項8又は9に記載の屈折率傾斜多層薄膜の成膜方法。
  11. 前記請求項9及び請求項10に記載の方法を組み合わせることにより、平均体積空隙率が10〜95%の範囲で、可視光領域の見かけ屈折率が1.0から2.5の間である薄膜層を形成することを特徴とする請求項8記載の屈折率傾斜多層薄膜の成膜方法。
  12. 前記成膜時に使用する塗工液中のナノ粒子の2次凝集状態を制御して該塗工液から形成される各薄膜層内の粒子間隙を調整する手段が、金属アルコキシドのゾルゲル法を応用して上記粒子間の空隙率をコントロールする方法であることを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載の屈折率傾斜多層薄膜の成膜方法。
  13. 前記金属アルコキシドのゾルゲル法は、金属アルコキシドを水中に加え、水溶液として加水分解し、該水溶液に相溶性の低い有機溶媒を加えて強攪拌することで水相を有機溶媒相中に微細な分散胞として分散させてO/Wエマルションとし、各分散胞中で金属アルコキシド分子間の脱水縮合による重合を進める方法である、請求項12記載の屈折率傾斜多層薄膜の成膜方法。


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