JP2007049688A - 近似同期cdma通信方式 - Google Patents

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Abstract

【課題】ZCZ符号を使用して、低コストで高効率の多元接続を実施することができ、他局間干渉を除去して伝送効率を向上させるようにした近似同期CDMA通信方式を提供する。
【解決手段】送信データに2値系列の拡散符号による拡散処理を施した送信系列により搬送波を変調して送信する送信部1と、受信信号の検波出力に対して、2相系列の逆拡散符号による相関処理を行って復調する受信部2とを有し、拡散符号および逆拡散符号は、互いに対をなす符号同士の相関関数が同期点において正または負のピーク値となるとともに同期点近傍の零相関領域では0となり、対をなさない符号同士の相関関数は同期点を含む零相関領域で0となるZCZ符号であり、拡散符号は、先頭部分および末尾部分に所定長さのガードチップが付加されたものである。複数の送信部からの情報フレームの先頭チップを同期点シフトの許容範囲内で受信すれば他局間干渉が除去できる。
【選択図】図6

Description

本発明は、他局間干渉を除去して伝送効率を向上させることができる近似同期CDMA通信方式に関する。さらに詳しくは、ZCZ符号を使用して同期点に許容範囲を設けることができ、厳密な送信電力制御や同期制御を行うことなく低コストかつ高効率の符号分割多元接続(CDMA)を実施することのできる近似同期CDMA通信方式に関する。
このところ、無線ICタグ、微弱無線利用機器、無線PAN(パーソナル・エリア・ネットワーク)などに代表される近距離無線通信がさまざまな分野で利用されており、さらに新たな応用も期待されている。このような近距離無線通信の変調方式には、情報ビットに対応させて搬送波をオン・オフさせるASK(Amplitude Shift Keying)が数多く採用されている。その理由として、搬送波の同期を取ることなくノンコヒーレントな検波(振幅値検出による情報復調)が可能である、それに伴って適用範囲が広がる、低コストでのハードウエア化が容易であること等が挙げられる。
さらに、耐雑音性を考慮したASK−SS方式や多元接続を目的としたASK−CDMA(符号分割多元接続)方式が考えられるが、後者は、他局間干渉の影響が大きく現実的でないと考えられていた。
それに対して、近年、オン・オフによるSS方式では、数値1,0の並びからなる2値系列を送信系列(拡散系列)とし、相関復調ではその2値系列の代わりに数値1,−1からなる2相系列を用いるほうが伝送効率を高くできることが示され、それを利用した非同期ASK−CDMA方式が議論されている。この方式では、瞬時電力は大きくなるが、平均パワーを同じとすれば、また、コヒーレント的な復調を行なうとすれば、通常議論されている非同期PSK−CDMA方式の誤り特性とほぼ同じになるものと考えられる。
しかし、この方式もまた、他局間干渉の影響が大きく、そのために、干渉を低減させるためには系列長の長い拡散系列を使用する必要があり、特に、近距離無線通信では効率的でない。
一方、光通信の分野では、下記の特許文献1により、ZCZ符号を使用して高効率の符号分割多元接続(CDMA)を実施することのできる光近似同期CDMA方式が提案されている。この特許文献1は本発明の発明者等によって提案されたものである。
特開2005−175849号公報
以上のように、近距離無線通信に有効に適用できるCDMA方式が求められていたのであるが、これまでには、他局間干渉の影響が少なく、高効率かつ低コストのCDMA方式は実現されていなかった。例えば、前述のような非同期ASK−CDMA方式には、他局間干渉の影響が大きく、干渉を低減させるためには伝送効率を低下させざるを得ないという問題点があった。
また、特許文献1には、光近似同期CDMA方式に関する技術が記載されているが、これはあくまでも光通信を対象としたものであり、光のオン・オフによる情報伝送方式である。電波による近距離無線通信においても高効率かつ低コストのCDMA方式が求められるところである。
そこで、本発明は、ZCZ符号を使用して同期点に許容範囲を設けるようにし、厳密な送信電力制御や同期制御を行うことなく低コストで高効率の符号分割多元接続(CDMA)を実施することができ、他局間干渉を除去して伝送効率を向上させるようにした近似同期CDMA通信方式を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の近似同期CDMA通信方式は、送信データの各情報ビットに数値1,0の並びからなる2値系列の拡散符号による拡散処理を施した送信系列により搬送波を変調して送信する送信部と、受信信号の検波出力に対して、数値1,−1からなる2相系列の逆拡散符号による相関処理を行って復調する受信部とを有し、前記拡散符号および前記逆拡散符号は、互いに対をなす符号同士の相関関数が同期点において正または負のピーク値となるとともに同期点の近傍の零相関領域における同期点以外では0値となり、対をなさない符号同士の相関関数は同期点を含む零相関領域で0値となるZCZ符号であり、前記拡散符号は、先頭部分および末尾部分に所定長さのガードチップが付加されたものであり、複数の前記送信部からの情報フレームの先頭チップが零相関領域に相当する同期点シフトの許容範囲内に前記受信部に到達すれば他局間干渉が除去できるものである。
また、上記の近似同期CDMA通信方式において、前記拡散符号は、互いに対をなす前記逆拡散符号との相関関数が同期点において正のピーク値となる第1拡散符号と、負のピーク値となる第2拡散符号とからなり、前記送信部は、前記情報ビットの数値1,0に応じて前記第1拡散符号および前記第2拡散符号のいずれか一方を選択して前記拡散処理を行うものであることが好ましい。
また、上記の近似同期CDMA通信方式において、前記拡散符号は、原符号の所定長さの末尾部分をガードチップとして先頭に付加するとともに、前記原符号の所定長さの先頭部分をガードチップとして末尾に付加したものであることが好ましい。
また、上記の近似同期CDMA通信方式において、前記送信部は、前記送信系列により搬送波をASK変調して送信するものであることが好ましい。
また、上記の近似同期CDMA通信方式において、前記受信部は、受信信号の非同期検波を行うものとすることができる。
本発明は、以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
ZCZ符号を使用した近似同期CDMA通信方式では、厳密な同期制御を行うことなく、近似的な同期制御を行うだけで、他局間干渉やマルチパスによる干渉を完全に除去できる。これにより、低コストで信頼性が高く、伝送効率も高い通信システムが構築でき、近距離無線通信にも有効に適用できる。特に、最も情報誤りの要因となる他局間干渉は原理的には完全除去できるので、伝送効率が飛躍的に向上する。また、希望局からの信号の受信強度が他局よりも小さい場合でも、他局信号を除去して希望局からの情報を正確に復調することができる。これにより、原理的には送信側のレベルを電力制御する必要がなくなり、低コストの通信システムが可能となる。さらに、基地局に対する上り回線においても伝送効率の高い通信システムが構築できる。
送信情報の各ビットの数値1,0に応じて第1拡散符号および第2拡散符号のいずれか一方を選択して送信するようにしているので、受信情報の誤り率を低減させ、高効率の通信を行うことができる。また、送信部の回路も簡素で低コストとすることができる。
拡散符号の先頭部と末尾部にはガードチップが付され、拡散符号が循環性を持つように構成されているので、周期相関関数の演算を容易に行うことができ、演算回路も簡素化することができる。
送信部が搬送波をASK変調して送信するものである場合には、受信部の構成もさらに簡素化することができる。検波回路として包絡線検波等の非同期検波を行うものを使用でき、通信システムのコストをさらに低減することができる。
図1は、従来の一般的なCDMA通信方式の全体構成を示す概略図である。なお、図1では簡単化のために送信側を1つだけ示しているが、実際には複数の送信局が多元接続を行うものである。この方式は、送信側でユーザ毎に割り当てられた拡散符号を用いて情報信号に拡散処理を行い、拡散処理後の情報フレームにより搬送波を変調する。搬送波はUHF帯(300MHz〜3GHz)などの電波が使用され、変調はASK(Amplitude Shift Keying)、FSK(Frequency Shift
Keying)、PSK(Phase Shift Keying)などがよく利用される。受信側では、受信波と参照搬送波とにより検波を行い、その検波出力に送信側と対応する逆拡散符号を用いて逆拡散処理(相関処理)を行うことにより情報信号を復調する。逆拡散符号は、通常、送信側が使用した拡散符号と同じ符号が用いられる。
CDMA通信方式は、スペクトル拡散技術を応用した通信方式であり、ユーザごとに異なる拡散符号を使用することにより、多元接続が可能となる。次に、CDMA通信方式の特徴を述べる。
送信側での拡散変調より、情報信号は広い周波数帯域に分散した電力密度の小さい電波信号となり伝送路に送られるので、他の狭帯域通信に対して妨害を与えにくい。伝送路では、目的の電波信号に他局からの信号や局所的な雑音(有色雑音)が加わるが、受信側での逆拡散により、希望信号に対しては拡散符号長に相当する処理利得を得ることができ、雑音に対しては白色雑音化されるため情報信号の復調が容易に行える。すなわち、TDMA(時分割多元接続)などの他の多元接続方式に比べて有色雑音に対する耐性が強い。
また、ユーザ数の増加に対して通信情報の誤り率が緩やかに増大するため、回線数の制限が緩やかである。さらに、拡散符号が分からなければ復調できない、あるいは、周波数に対する電力密度が小さいことよりどの周波数帯が使用されているのか分かりにくいので、秘匿性・秘話性に優れている。
CDMA通信方式での同期制御は、同期方式と非同期方式に大別できる。同期方式は、図2に示すように、各局の情報フレームの先頭チップを同じタイミングで受信する方式である。この方式では、同期点での相関値が自己相関はピークをとり、相互相関は0値となるような符号が用いられるため高い処理利得を得ることができる。しかし、この同期方式は、1つの送信局(例えば、基地局)から複数の受信局に一斉に送信する場合は使用可能であるが、その逆方向の通信に対しては使用が難しい。なぜならば、各送信局からの情報フレームの先頭チップが受信局に同時に到達するように同期制御を行うことは困難であるからである。
上記のような厳密な同期制御が困難な場合には非同期方式が用いられる。非同期方式は、図3に示すように、同期制御を特に行わず各送信局からの情報フレームの先頭チップがばらばらに受信される方式である。複数局からの信号到達時が不定であるため、拡散符号にも制限を受け、多重数(回線数)が減少したり、他局間干渉が増大するという問題点がある。また、他局間干渉を減少させるためには、基地局での受信強度をほぼ一定にするために、基地局への距離に応じて送信電力を調整する電力制御を行う必要が出てくる。
本発明は、厳密な同期制御を行う必要もなく、上記のような非同期方式における種々の問題点も解決することのできる、近似同期方式を適用したCDMA通信方式である。近似同期方式は、各送信局からの情報フレームの先頭チップが所定の時間幅領域に収まるように受信できれば、上記の同期方式と同様の利点を得ることができるものである。
本発明は、拡散符号および逆拡散符号としてZCZ(Zero Correlation
Zone:零相関領域)符号を利用することにより、他局間干渉の無い近似同期CDMA方式を実現したものである。すなわち、他局間干渉の除去により高い伝送効率を実現することができる。まず、ZCZ符号の定義を示す。ZCZ符号は、数値1,0の並びからなる2値系列の第1符号(拡散符号)と数値1,−1からなる2相系列の第2符号(逆拡散符号)の符号対の集合からなる新しい符号である。
第1符号および第2符号の相関関数とは、第1符号と第2符号の対応する成分同士(同期点シフトに相当するインデックスずれも考慮する)の積をすべて加算したものである。第1符号と第2符号をベクトルと考えれば、第1符号と第2符号の内積である。ここでは、互いに対をなす第1符号および第2符号の相関関数を便宜的に自己相関関数と呼び、対をなさない第1符号および第2符号の相関関数を相互相関関数と呼ぶ。ZCZ符号においては、自己相関関数が、同期点でピーク値をとり、その両側の所定幅の領域で0値をとる。その所定幅の領域を零相関領域と言う。相互相関関数は、同期点とその両側の零相関領域で0値をとる。
送信側から送られた情報フレームの先頭チップが同期点シフト分だけずれるので、受信側における逆拡散処理(相関処理)の出力(相関出力)は、拡散符号の成分を同期点シフト分だけシフトさせて逆拡散符号と内積を求めることで得られる。理想的な相関出力の特性は図4のようになる。希望局との相関出力(自己相関)は、同期点(同期点シフト0)で大きなピーク値をとり、その他ではピーク値に比べて十分小さい値をとる。一方、他局との相関出力(相互相関)は、同期点を含めた全ての同期点シフトで十分小さい値をとる。このような相関出力特性により、他局間干渉やマルチパス波の影響を除去することができ、情報を正確に復調できる。
相関の定式について以下に記載する。長さNの符号xをx=(x,…,x,…,xN−1)と表す。ただし、符号xの各要素xは数値である。符号yも同様であるとする。相関関数Rxy(τ)は、2つの符号x,yを同期点シフトに対応する要素数τだけシフトさせた内積である。符号を周期的なものとするか否かで、相関関数も周期相関関数と非周期相関関数とが考えられる。これらの相関関数において、一般的には、x=yの場合を自己相関関数、x≠yの場合を相互相関関数とする。そして自己相関関数は同じ符号の内積で表せるので、同期点τ=0で最大値を得る。また、相互相関関数が大きな値とならないように符号の集合が選択される。
ZCZ符号の定義を以下に説明する。長さNの符号からなる系列対(a,b)のM個の集合を式(1)とする。ただし、符号aは数値1,−1のN個の並びからなる2相系列、符号bは数値1,0のN個の並びからなる2値系列とする。ここで、符号aと符号bの周期相関関数を式(2)と定義する。ただし、式(2)において、(n mod N)は整数nをNで割った余り(剰余)を表す。
Figure 2007049688
Figure 2007049688
この時、周期相関関数が、式(3)を満たすならば、集合Sを零相関領域Zczを有するZCZ符号と呼び、S(N,M,Zcz,ω)と表す。ただし、|ω|は系列bの要素1の数に等しく、|ω|<Nである。
Figure 2007049688
また、本発明においては、式(2)、式(3)の相関関数を、同じ系列対すなわちj=kの場合を自己相関関数と定義し、異なる系列対すなわちj≠kの場合を相互相関関数と定義する。式(3)を図に表すと図5のようになる。零相関領域は1≦|τ|≦Zczの領域で示される。自己相関関数は、同期点τ=0で最大値となり、零相関領域で0となる。相互相関関数は同期点および零相関領域で0となる。
ZCZ符号の具体的な構成法は数多く存在するが、その中でも系列数の点で有利なものとして、次の2種類の構成法が考えられている。第1の構成法は、M系列またはルジャンドル系列と平衡アダマール系列とを複合させてZCZ符号を構成するものである。第2の構成法は、アダマール行列(例えば、シルベスター型アダマール行列)を利用してZCZ符号を構成するものである。
ここで、ZCZ符号の系列数の上界を説明する。系列数M,系列長N,零相関領域ZczのZCZ符号S(N,M,Zcz,ω)においては、符号の直交性から、系列数Mの上界が次式(3.1)で表されることが分かる。
M≦N/(Zcz+1) ・・・(3.1)
また、前述の第1の構成法または第2の構成法によって作成したZCZ符号Sに関しては、系列数Mが次式(3.2)のようになる。
M=N/(Zcz+1)−1 ・・・(3.2)
すなわち、第1の構成法または第2の構成法によるZCZ符号では、系列数Mは数学的な上界よりも1だけ少ない値となり、数学的な上界にほぼ到達していることが分かる。
第1の構成法から構成したZCZ符号は、零相関領域Zczが、Zcz=2,6,10,…と複数種類の領域幅が可能である。ここで、式(3.2)から、零相関領域Zczの大きなZCZ符号は系列数Mが減少することが分かる。すなわち、この構成法で与えられるZCZ符号は、零相関領域Zczが2の場合に最も系列数が多くなる。第2の構成法から構成したZCZ符号は、零相関領域Zcz=1となる。したがって、第2の構成法によるZCZ符号では、第1の構成法のZCZ符号よりも系列数Mを多くできる。また、実際のシステム構築を考慮するとZcz=1または2が適していると考えられる。
次に、他局間干渉の除去の原理を説明する。上記のZCZ符号において、2値系列bを拡散符号として送信系列を送ることを考える。また、それに対応する2相系列aを逆拡散符号として相関処理を行い復調を行うものとする。図6は、本発明のZCZ符号を用いたCDMA通信システムの全体構成を示す概略図である。
CDMA通信システム10は、送信部1と受信部2と空間伝送路3とからなる。送信部1では、数値0,1からなる情報信号に対して2値系列の拡散符号による拡散処理を施して送信系列とし、さらにその送信系列により搬送波を変調して空間伝送路3に送信する。搬送波の変調方式は、ASK(振幅)が適しているが、他の変調方式(FSK(周波数)、PSK(位相)など)が使用できる場合には、それを使用してもよい。
受信部2では、受信電波と参照搬送波とにより検波を行い、受信信号の検波出力に対して2相系列の逆拡散符号による相関処理を行って情報信号を復調する。なお、ここでは受信部2が参照搬送波を使用した同期検波(コヒーレント検波)を行うように説明したが、必ずしも同期検波による必要はない。送信部1がASK変調によって変調送信している場合は、受信部2は包絡線検波等の非同期検波(ノンコヒーレント検波)によって検波することができる。その場合には参照搬送波は不要である。
図7は、CDMA通信方式において、ZCZ符号を利用した近似同期方式を示す図である。図7において、零相関領域Zczが同期点の前後両側に配置され、この零相関領域Zczが許容時間に相当している。複数の送信局からの信号A,B,Cには、それぞれハッチングで示したガードチップ区間が配置されている。図7に示すように、全ての送信信号が零相関領域(許容時間)の区間内で受信できるように同期制御ができるのであれば、すなわち、各送信局からの信号A,B,Cの情報フレームの先頭チップが許容時間内に受信されるならば、他局間干渉を完全に除去できることになる。
図8は、情報フレームにおけるガードチップの配置を示す図である。図8に示すように、ユーザjに割り当てられた長さNの拡散符号bの前後に、零相関領域Zczに対応するチップ数のガードチップを配置して、長さL=N+2Zczの拡張拡散符号Bとする。すなわち、原符号bの末尾のZczチップ分の部分を原符号の先頭部の前に配置し、原符号bの先頭のZczチップ分の部分を原符号の末尾部の後に配置する。拡張拡散符号Bは次の式(4)で表される。
Figure 2007049688
このように拡張した拡張拡散符号Bでは循環性を持つため、同期点がシフトしても式(2)で示した周期相関関数が正常に計算できる。
実際には、情報信号の各情報ビット1,0の2値情報に対応した拡散符号bと反転拡散符号^bとを作ることができる。ここで、本明細書の本文中では、上部に記号^が付された符号名を、その符号名の前に記号^を付することにより代替表示している。つまり、符号^bは符号bの反転を表している。反転拡散符号^bは、逆拡散符号aとの相関関数が同期点τ=0において負のピーク値を持つものである。符号aと符号^bの組は、ZCZ符号^S(N,M,Zcz,−ω)を構成する。
送信部1では、2値情報(1,0)の一方(例えば、1)に対して、符号bに基づく拡張符号Bを送信し、他方(例えば、0)に対して、符号^bに基づく拡張符号^Bを送信する。受信部2では、受信信号の検波出力に対して、各送信局に割り当てられた拡散符号bに対応する逆拡散符号aによる相関処理により情報信号を復調する。このとき、零相関領域Zczの大きさは同期点のばらつきを吸収可能であるように設定されているので、理論上は他局間干渉を完全に除去できる。
ZCZ符号の構成をもって干渉無く情報を復調できる方式を以下に説明する。長さN1=3のM系列(平方剰余系列)の符号mをm=(−++)とする。また、長さN2=8のM系列型アダマール符号(M系列を1つずつシストして構成した符号)Hを式(5)とする。ここで、全ての要素が1の行は除かれている。なお、符号m,Hの要素+,−は要素1,−1を省略して表したものである。
Figure 2007049688
第1の構成法により長さN1・N2=24、系列数M=N2−1=7のZCZ符号S(24,7,2,8)が構成できる。これは式(6)で表される。
Figure 2007049688
図9に符号aと符号Bの相関特性を示し、図10に符号aと符号^Bの相関特性を示す。符号B、符号^Bは、後述の式(7)で示される。ここで、図9と図10では、相関関数の同期点τ=0におけるピーク値が正負逆方向に現れていることが分かる。
したがって、情報1を符号Bで送り、情報0を符号^Bで送れば、情報を確実に識別できる。ここで、零相関領域Zcz=2の区間において、同期点がシフトしたときに零相関領域の利点を保つためには、周期相関関数が式(2)として計算できなければならない。そのために、以下のガードチップを付加した長さL=N+2Zcz=28の符号B、符号^Bを式(7)のように拡張して構成する。
Figure 2007049688
拡張された符号B,^Bと符号aとの自己相関関数の値は、同期点τ=0においてはピーク値±ωとなり、同期点以外の零相関領域では自己相関関数および相互相関関数のいずれも0となるので他局間干渉やマルチパス干渉を除去して情報を復調できる。
すなわち、送信側は2値情報(1,0)を送るために、それらに対応して異なった2値系列(符号B,^B)を選択して送信し、受信側では同じ2相系列(符号a)との相関を計算してピーク値が正または負となることより情報を復調できる。
各送信局では2値情報の各ビットの1と0に対応させて、自局に割り当てられた2値系列(拡張拡散符号B,^B)のどちらかを選択し、情報フレームの先頭が同期点にほぼ一致して受信されるように近似的な同期制御をして情報フレームを送信する。受信局では情報を復調したい希望局に対応する2相系列(逆拡散符号a)を用いて受信信号との相関処理を行い、正または負のピーク値によって2値情報を復調する。
図11は、受信強度に違いがある場合の通信システム20を示す図である。希望局(送信機A)の信号が他局(送信機B)の信号よりも小さい場合は、一般的には希望局の信号を誤り無く復調するのは困難である。このため従来のCDMA通信方式では、受信局での受信強度が同程度となるように送信局側の送信電力を調整する電力制御が行われていた。本発明の場合は、図11に示すように、希望局(送信機A)の信号が他局(送信機B)の信号よりも小さくても、問題なく希望局の信号を復調できる。
これは、同期許容範囲(零相関領域)では、他局からの干渉信号を完全に除去できるので、他局からの信号の受信強度が大きくても問題が生じないためである。これにより、本発明では電力制御を行わずに通信距離の遠近問題を解決することができる。このため、通信システムのトータルコストを低減させるとともに、信頼性の高い通信を行うことができる。
前述のように、ZCZ符号の系列数に対する数学的上界を示し、ZCZ符号の具体的な2つの構成法を示した。これらのZCZ符号は、系列数が数学的上界にほぼ到達しており、伝送効率の高いシステムが構築可能である。また、それぞれのZCZ符号は異なる性質を有するので、それぞれの特徴を生かしたシステムへの適用が考えられる。
例えば、第1の構成法によるZCZ符号は零相関領域の幅を選択することができるので、システムの同期許容時間に相当する零相関領域を有する符号を用いることで信頼性の高いシステムを構築することができる。第2の構成法によるZCZ符号は系列長の半分のピーク値をとり、系列数も系列長の約半分と多いため、伝送効率の高いシステムが構築可能である。また、零相関領域はZcz=1と固定であるが、伝送速度(チップ幅)を変えることで同期許容時間を変更することもできる。このように、多様なシステムが考えられる。
以上のように、ZCZ符号を使用することにより、零相関領域での相互相関値が0となる符号の集合が構築できる。これらの符号を利用した通信システムでは、厳密な同期制御を行うことなく、近似的な同期制御を行うだけで、他局間干渉やマルチパスによる干渉を完全に除去できる。このため、本発明によれば、低コストで信頼性が高く、伝送効率も高い通信システムが構築でき、近距離無線通信にも有効に適用できる
本発明では、その他にも次のような利点がある。同期信号を全ての送信側に送信すれば、複数の送信局がその同期信号に基づいて送信開始することにより近似同期制御できるので、近似同期制御に対するハードウエアのコストは非同期の場合とほとんど変わらず、低コストで実現可能である。最も情報誤りの要因となる他局間干渉は原理的には完全除去できるので、伝送効率が飛躍的に向上する。受信強度によらず干渉除去できるので、原理的には送信側のレベルを電力制御する必要がない。送信側が複数の拡散符号を用いることより、情報伝送速度を可変できるような通信システムが容易に構築できる。送信側では2値情報に対して送信系列のうちの1つを同期信号に合わせてASK送信し、受信側では受信信号のレベルを検出(ノンコヒーレント検波)し、受信系列との相関より正か負のピーク値を検出して情報復調できるので、送受信のための回路が簡単である。
本発明により、有色雑音や妨害信号の多い環境でも、信頼性が高く、伝送効率も高い通信システムが構築できる。また、厳密な電力制御や同期制御が不要であり、通信システム全体のコストを低減することができる。本発明は近距離無線通信にも有効に適用できる
従来のCDMA通信方式の全体構成を示す概略図である。 CDMA通信方式での同期方式を示す図である。 CDMA通信方式での非同期方式を示す図である。 CDMA通信方式での相関特性を示す図である。 CDMA通信方式でのZCZ符号における相関関数を示す図である。 本発明のCDMA通信方式の全体構成を示す概略図である。 ZCZ符号を使用した近似同期方式を示す図である。 情報フレーム中のガードビットを示す図である。 ZCZ符号における符号aと拡張符号Bの相関特性を示す図である。 ZCZ符号における符号aと拡張符号Bの相関特性を示す図である。 希望局の信号の受信強度が他局よりも小さい場合の通信システムを示す図である。
符号の説明
1 送信部
2 受信部
3 空間伝送路
10 ZCZ符号を用いたCDMA通信システム
20 受信強度に違いがある場合の通信システム

Claims (5)

  1. 送信データの各情報ビットに数値1,0の並びからなる2値系列の拡散符号による拡散処理を施した送信系列により搬送波を変調して送信する送信部(1)と、
    受信信号の検波出力に対して、数値1,−1からなる2相系列の逆拡散符号による相関処理を行って復調する受信部(2)とを有し、
    前記拡散符号および前記逆拡散符号は、互いに対をなす符号同士の相関関数が同期点において正または負のピーク値となるとともに同期点の近傍の零相関領域における同期点以外では0値となり、対をなさない符号同士の相関関数は同期点を含む零相関領域で0値となるZCZ符号であり、
    前記拡散符号は、先頭部分および末尾部分に所定長さのガードチップが付加されたものであり、
    複数の前記送信部(1)からの情報フレームの先頭チップが零相関領域に相当する同期点シフトの許容範囲内に前記受信部(2)に到達すれば他局間干渉が除去できるものである近似同期CDMA通信方式。
  2. 請求項1に記載した近似同期CDMA通信方式であって、
    前記拡散符号は、互いに対をなす前記逆拡散符号との相関関数が同期点において正のピーク値となる第1拡散符号と、負のピーク値となる第2拡散符号とからなり、
    前記送信部(1)は、前記情報ビットの数値1,0に応じて前記第1拡散符号および前記第2拡散符号のいずれか一方を選択して前記拡散処理を行うものである近似同期CDMA通信方式。
  3. 請求項1,2のいずれか1項に記載した近似同期CDMA通信方式であって、
    前記拡散符号は、原符号の所定長さの末尾部分をガードチップとして先頭に付加するとともに、前記原符号の所定長さの先頭部分をガードチップとして末尾に付加したものである近似同期CDMA通信方式。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載した近似同期CDMA通信方式であって、
    前記送信部(1)は、前記送信系列により搬送波をASK変調して送信するものである近似同期CDMA通信方式。
  5. 請求項4に記載した近似同期CDMA通信方式であって、
    前記受信部(2)は、受信信号の非同期検波を行うものである近似同期CDMA通信方式。
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