JP2007049073A - インダクタ及びその製造方法 - Google Patents

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忠夫 片平
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裕之 松元
Teruhiko Fujiwara
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Abstract


【課題】 磁性粉末と結合材の混和物を成形した圧粉磁芯の内部にコイルを内蔵した磁芯一体型構造のインダクタにおいて、特性低下を伴うことなく、圧粉磁芯の磁性粉末の充填率を向上させることで、より小型化が可能な、インダクタと、その製造方法を提供することにある。
【解決手段】 250℃以上の温度領域における質量減少速度が1〜20%/分の添加物を結合材に加え、該添加物を熱処理工程で適宜分解除去することで、成形工程で磁性粉末に負荷される応力と、結合材の硬化反応に伴う収縮によって磁性粉末に負荷される応力を、熱処理によって緩和することを促進する。添加物には、非イオン系界面活性剤やチタネート系カップリング剤を使用できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、軟磁性材料粉末と結合材の混和物を成形した圧粉磁芯にコイルが埋め込まれた構造のインダクタとその製造方法に関するもので、特に圧粉磁芯の軟磁性材料粉末の充填率を向上したインダクタとその製造方法に関するものである。
近年、電気機器、電子機器の小型化が一層進み、これらに用いられる部品に対する小型化の要求は留まるところがないのが実情である。このような背景から電気機器、電子機器に用いられる重要な部品であるインダクタについても、小型化、高効率化の要求がますます高まっている。
インダクタの構造には種々のものがあり、高効率化を目的としてコイルの周囲に閉磁路を構成する磁芯を配置した構造のものが多用されている。このような磁芯を構造の観点からみると、フェライトの焼結体からなるフェライト磁芯、アモルファス合金薄帯や高珪素鋼などの板材の積層した積層磁芯、アモルファス鉄粉、Fe−Si粉末、Fe−Cr−Si粉末、Fe−Si−Al粉末などの磁性金属の粉末を結合材を用いて圧縮成形した圧粉磁芯に大別される。
これらのうちでフェライト磁芯は、低損失の点で優れているが飽和磁束密度が小さいという欠点を有する。これに対し、積層磁芯や圧粉磁芯は、渦電流などに起因する損失を抑制しながら、金属磁性体の有する大きな飽和磁束密度を活用し得る磁芯である。従って、部品の小型化には、積層磁芯や圧粉磁芯が適している。
しかしながら、近年の電気機器、電子機器の小型化には、非常に急激なものがあり、インダクタには、小型化と同時に、大きな直流電流下における高インダクタンスが求められており、これを達成するには、磁芯の飽和磁束密度と高周波帯域、大電流におけるインダクタンスを一層向上させることが必要である。
このような観点から積層磁芯と圧粉磁芯を比較すると、積層磁芯においては、材料として用いる高珪素鋼やアモルファス合金それ自体の飽和磁束密度は高いものの、周波数帯域が高くなるに従い、積層に用いる材料を薄くする必要があり、これに伴う占積率低下により飽和磁束密度の低下を招くことがある。
ところが圧粉磁芯においては、粒度を微細化した磁性金属粉末粒子間に、高分子材料などの絶縁材を介在させることで、比抵抗の向上が可能であり、かつ鉄系の磁性金属粉末を用いることで、ある程度の高い飽和磁束密度を発現し得ることから、高周波帯域に対応し、かつ大電流を必要とするチョークコイル、トランスなどのインダクタに適した材料と言える。また、小型のインダクタにおいては、積層磁芯よりも圧粉磁芯の方が所要形状を得るのが容易であるという利点もある。
さらに圧粉磁芯を採用することの利点として、圧粉磁芯内部にコイルを配置した磁芯一体構造のインダクタを得ることが、他の構造の磁芯に比較すると容易であることが挙げられる。図1は、磁芯一体構造のインダクタの一例を示す斜視図で、コイルの構造が明瞭となるように、便宜的に圧粉磁芯の部分を破線で示しコイルを実線で示した。
図1において、1はインダクタ、2はコイル、3は圧粉磁芯、4a、4bは端子である。このようなインダクタ1においては、コイル2として導体の占積率を大きくするために、断面が長方形の平角導体を導体の幅方向がコイルの中心線と直交するように巻き回した、エッジワイズ巻きのコイルが多用される。また、特に形状の例を示さないが、コイル2の端末には適宜フォーミング加工を施し、表面実装に適した形状の端子4a、4bとするのが一般的である。
このようなインダクタの特性を向上するには、前記のように磁芯の飽和磁束密度向上が不可欠であるが、圧粉磁芯は、磁性金属粉末と結合材の混和物を圧縮成型して作製することから、粉末粒子間には空隙が存在し、この空隙は当然のことながら飽和磁束密度向上にはまったく寄与しないし、透磁率低下をも助長することがある。
これに対処するため、磁性金属粉末の粒度を調整し、大きな粒子間の空隙に小さな粒子を充填することが行われている。このような技術を適用する場合は、径の小さい粒子をも結合材で均一に被覆することが重要となる。反面、結合材は前記の空隙と同様に特性低下の一因となるので、可能な限り使用量を少なくする必要がある。
このため、結合材としては、磁性金属粉末と混合する工程においては、磁性金属粉末表面との親和性が大きい低粘度の液体で、圧縮成形後においては、磁性金属粉末表面との接着強度と、それ自体の機械的強度が大きい固体であることが望ましい。そして、このような特徴を具備した材料として、エポキシ樹脂を代表とする各種の熱硬化性高分子材料が挙げられる。
ここで問題となるのは、熱硬化性高分子材料の硬化反応に伴う収縮により、磁性金属粉末に応力が生じることである。一般に熱硬化性高分子材料の硬化反応では、硬化反応に与る低分子化合物の重付加反応や重縮合反応の進行に伴い、体積の減少、即ち収縮が起こるので、これは避け難い問題である。
磁性金属に応力が加わることは、透磁率の低下や磁気損失の増加、つまりインダクタとしての特性低下に繋がり、結合材の収縮に由来する応力も無視することはできない。また、磁性金属粉末粒子と熱硬化性高分子材料の界面の接着強度が大きいと、磁性金属粉末粒子の表面近傍に加わる剪断応力も大きくなり特性低下を助長する。
そして、圧粉磁芯における磁性粉末間の空隙を減少する方法として、特許文献1にはスペーシング材と称する材料を用いる技術が開示されている。しかし、本特許文献にはスペーシング材として、種々の材料が例示されているものの、前記の結合材の収縮による圧粉磁芯の特性低下、及びその抑制方法については開示されていない。
特許第3624681号公報
従って、本発明の課題は、磁性粉末と結合材の混和物を成形した圧粉磁芯の内部にコイルを内蔵した磁芯一体型構造のインダクタにおいて、特性低下を伴うことなく、圧粉磁芯の磁性粉末の充填率を向上させることで、より小型化が可能なインダクタとその製造方法を提供することにある。
前記のように熱硬化性高分子材料は、硬化収縮による応力の発生という問題を除けば、圧粉磁芯の結合材として有用である。そこで、本発明者らは、前記の問題に対処する方策として、磁性粉末表面に緩衝層ないしは潤滑層を付与することを検討した。また、圧粉磁芯の製造工程では、成形工程での磁性粉末への圧力の影響を除くために、熱処理を行うのが一般的であるが、熱処理工程で、低分子量成分を量的な制御が可能な状態で揮発させることが、結合材の硬化収縮に伴って磁性粉末に生じる応力を減少させるのに効果的であることを見出して、本発明をなすに至ったものである。
即ち、本発明は、磁性粉末と結合材からなる混和物を成形してなる圧粉磁芯と、前記圧粉磁芯に内蔵されるコイルを有する磁芯一体型構造のインダクタにおいて、前記結合材が、250℃以上の温度領域における熱分解による質量減少速度が1〜20%/分である添加物を含むことを特徴とするインダクタであり、このような添加物として、非イオン系界面活性剤、炭素数が8以上の脂肪族炭化水素基を有するチタネート系カップリング剤などが挙げられる。
さらに本発明のインダクタにおいては、前記磁性粉末を予め前記添加物により被覆することがより効果的であり、前記磁性粉末として、結晶質軟磁性粉末、非晶質軟磁性金属粉末、ナノ結晶軟磁性金属粉末が挙げられ、これらを混合して使用することも可能である。
また、本発明は、磁性粉末と250℃以上の温度領域における熱分解による質量減少速度が1〜20%/分である添加物を含む結合材を混合分散して得られる混和物を、キャビティ内にコイルが配置された金型に充填して圧縮成形を行い、コイルを内蔵する圧粉磁芯を得る工程と、前記圧粉磁芯を、250〜500℃の温度領域で5分以上保持する、熱処理工程を含むことを特徴とするインダクタの製造方法である。
また、本発明のインダクタの製造方法においては、前記添加物として、非イオン系界面活性剤、炭素数が8以上の脂肪族炭化水素基を有するカップリング剤などを使用することが特徴であり、前記磁性粉末を前記添加物で予め被覆することで、前記添加物がより効果的になる。
かかる製造方法によれば、前記圧粉磁芯の前記磁性粉末の占積率が66%以上であり、前記圧粉磁芯の透磁率が19以上であるインダクタが得られる。
本発明のインダクタは、圧粉磁芯の結合材に、特定の温度領域において一定速度で揮発する添加物が加えてあるため、結合材の主成分として熱硬化性高分子材料を用いた場合であっても、硬化収縮の影響が磁性粉末に及ぶことが極めて少なく、インダクタとしての特性低下を抑制することができる。
このような特性を具備する添加物としては、界面活性剤やカップリング剤を挙げることができるが、この場合は、磁性粉末表面を予め被覆しておくことにより、磁性粉末表面と結合材との間の接着強度が過度に大きくなるのを抑制できるので、磁性粉末表面近傍における剪断応力に起因する特性低下を防止できる。
さらに本発明においては、前記界面活性剤として、非イオン系界面活性剤を用いることが望ましい。この理由は、界面活性剤には多種類のものがあるが、本発明者らの検討結果によると、磁性粉末、殊に磁性金属粉末の表面被覆には非イオン系界面活性剤が適していることが判明したからである。
さらに本発明においては、前記カップリング剤として、炭素数が8以上の脂肪族炭化水素基を有するチタネート系カップリング剤を用いることが望ましい。この理由として、カップリング剤の金属原子に結合した基が、一定以上の鎖長の脂肪族炭化水素であれば、磁性粉末表面の滑性を高め、熱処理工程における減少速度の制御が比較的容易で、熱分解による炭素残留量が比較的少ないことなどがある。
本発明によれば、結合材に前記添加物を加えることで、インダクタとしての特性低下を防止し得ることは前記の通りであるが、この他に重要な効果として、圧粉磁芯における磁性粉末の占積率の向上が挙げられる。これは、前記添加物により、磁性粉末に表面滑性、ないしは潤滑性が付与され、圧縮成形における磁性粉末粒子間の摩擦が低減されることによるもので、これによって前記のような磁性粉末の占積率や透磁率が得られるものと解される。
また、これに付随する効果として、圧粉磁芯の成形圧力を低減できることが挙げられる。即ち、従来方法と本発明の方法で、磁性粉末の占積率が同等の圧粉磁芯を得ようとすると、磁性粉末粒子間の摩擦が少ないため、本発明の方が低い成形圧力で済むという効果が得られる。これは金型の耐用期間を延ばすことに繋がり、製造コスト低減に寄与する。
本発明のインダクタは、圧粉磁芯の結合材が前記の添加物を含有し、熱処理により前記添加物の少なくとも一部が除かれているのが大きな特徴であるが、その他の構成や製造方法には、従来と顕著な差異はない。従って、結合材の主成分としては、各種の熱可塑性ないしは熱硬化性高分子材料が挙げられる。
具体的には、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミドなどが挙げられ、耐熱性などの要求特性や用途によって適宜選択される。しかしながら、これらに限定されるものではないことは勿論である。
次に、具体的な実施例を比較例とともに説明する。
原料の磁性粉末として、粒子形状がほぼ球形で、平均粒径が15μm鉄系アモルファス合金粉末を、ガスアトマイズ法により調製した。この磁性粉末に対し、化1で示される非イオン系界面活性剤に20%エチルアルコール溶液を加え、粉末表面全体が十分に濡れるまで攪拌し、風乾によりエチルアルコールを除去して表面処理を施した。この際、非イオン系界面活性剤の添加量は、エチルアルコールで希釈しない状態で、磁性粉末100質量部に対し1質量部となるようにした。
Figure 2007049073
次に、前記表面処理済み磁性粉末100質量部に対し、7質量部のエポキシ樹脂の50%メチルエチルケトン溶液を加え、十分に攪拌した後、風乾により溶媒を除去した。つまり、結合材の主成分として加えたエポキシ樹脂の固形分は、表面処理済み磁性粉末100質量部に対し、3.5質量部である。引き続き200メッシュの篩を通過するまで粉砕し、造粒を行った。なお、ここで用いたエポキシ樹脂は、主剤がビスフェールA型エポキシ樹脂、硬化剤がジシアンジアミド系の高温硬化型である。
次に、造粒した磁性粉末を用いて、圧縮成形により、外径が15mm、内径が10mm、高さが6mmのトロイダル形状の圧粉磁芯を成形し、150℃で1時間熱処理することにより結合材の硬化を行った。圧縮成形の圧力は、300MPa、600MPa、900MPa、1.2GPaとして、成形圧力と磁性粉末の占積率の関係を求め、恒温槽を用いてこれらの圧粉磁芯に、450℃で20分間の熱処理をした後、巻線を施して透磁率とコアロスを測定した。
ここでは、比較例1として、磁性粉末にエポキシ樹脂を直接加えて造粒した磁性粉末、比較例2として、非イオン系界面活性剤の代替に、ポリメタクリル酸メチルを用いて表面を被覆した後に、エポキシ樹脂を加えて造粒した磁性粉末、比較例3として、非イオン系界面活性剤の代替に、ノボラック型フェノール樹脂を用いて表面被覆した後に、エポキシ樹脂を加えて造粒した磁性粉末を調製して、それぞれトロイダル形状の圧粉磁芯を成形し、前記と同様の熱処理及び特性評価を行った。
図2は、実施例1及び比較例1〜3の成形圧力と磁性粉末の占積率の関係を示す図である。また、図3は、実施例1及び比較例1〜3の成形圧力と周波数:1MHzにおける透磁率:μの関係を示す図である。
図2に示した結果によれば、実施例1はいずれの比較例よりも、成形圧力増加に伴う粉末充填率の増加が著しく、いずれの条件においても、磁性粉末の占積率が66%を超えている。これは、非イオン性界面活性剤によって、磁性粉末表面に付与される潤滑性の効果が表れているためと解される。
また、図3に示した結果によれば、実施例1は、いずれの比較例よりも透磁率が高く、いずれの条件でも21を超える数値を発現し、しかも、図2に示した磁性粉末の占積率とは必ずしも対応した数値とはなっていない。これは、潤滑性の効果が、圧縮成形の際に磁性粉末に加わる歪みの低減に繋がった他に、結合材の硬化反応による収縮に伴って磁性粉末粒子に加わる応力が、熱処理によって低減したためと解される。
ちなみに、熱重量分析装置で、5℃/分の昇温速度で重量減少速度を測定した結果によれば、実施例1に用いた非イオン系界面活性剤の、250〜450℃における重量減少速度は2.1%/分であった。また、比較例2に用いたポリメタクリル酸メチルは、200〜250℃の温度範囲で急激な重量減少が見られ、250℃以上の温度範囲では、残留量が殆ど0であった。また、比較例3に用いたノボラック型フェノール樹脂、及び結合材として用いたエポキシ樹脂は、250〜450℃における重量減少速度は1%/分未満であり、この温度領域では熱分解が少ない。
つまり、実施例1においては、熱処理温度の近傍で、添加物が適度に減少し、結合材の収縮の影響が殆ど解消されていることが示唆されている。なお、比較例2のトロイダル形状の圧粉磁芯では、熱処理後に、成形直後には見られなかった部分的な膨れが見られた。これは、添加物の急激な熱分解により短時間に多量の熱分解ガスが発生したためと解される。つまり、透磁率が実施例1や他の比較例よりも低い数値となったのは、膨れに伴って、磁性粉末の占積率が低下したことが一因と考えられる。
図4は、実施例1及び比較例1〜3のコアロス:Pcvの測定結果を示す図である。図4に示した結果によれば、実施例1の圧粉磁芯は、いずれの比較例よりも低いコアロスを示している。これは前記の理由が反映された結果と考えられる。
また、図5は、実施例1及び比較例1〜3のトロイダル形状の圧粉磁芯における、透磁率:μの周波数特性を示す図で、高周波領域においても、透磁率の顕著な低下は見られず、添加物が熱処理により減少しても、結合材の主成分であるエポキシ樹脂が残存し、磁性粉末粒子間の絶縁が維持されていることを示している。
次に、これらの磁性粉末を用いて、図1に示した構造の、内部にコイルを配置したインダクタ1を調製し、実装効率を評価した。ここで用いたコイル2は、断面が幅1.2mm、厚さ0.5mmで、ポリアミドイミドからなる絶縁層を有し、銅からなる平角導体を、内径が3.6mmとなるようにエッジワイズ巻した形状で、巻数は3.5ターンである。また、圧粉磁芯3の外形寸法は、10mm×10mm×4mmである。
その結果、実施例1では、インダクタンス:Lが0.60μHで、電流値が0.1〜10Aの範囲で、平均実装効率が88%であった。これに対し、比較例1〜3のインダクタはインダクタンス:Lが0.51〜0.54μHで、平均実装効率が81〜83%という数値となり、実施例1とは明らかな差が認められた。
次に、実施例2として、実施例1に用いた非イオン系界面活性剤の代替に、チタネート系カップリング剤を用いた例を説明する。ここでは、チタネート系カップリング剤として、化2に示した化学構造のプロポキシトリステアロイルチタンを用いた。また、比較に供するために、比較例4では、シランカップリング剤として、化3に示した化学構造のトリエトキシアミノプロピルシランを用いた。
Figure 2007049073
Figure 2007049073
ここでは、それぞれのカップリング剤を磁性粉末:100質量部に対して1質量部になるように加えて磁性粉末の表面処理を行った他は、実施例1と同様にして、トロイダル形状の圧粉磁芯と、コイルを内蔵したインダクタを調製し特性を評価した。なお、それぞれのカップリング剤は、均一に磁性粉末を表面を濡らすために、10倍量のエチルアルコールで希釈して添加した。
図6は、実施例2及び比較例4の成形圧力と磁性粉末の占積率の関係を示す図、図7は、実施例2及び比較例4の成形圧力と周波数:1MHzにおける透磁率:μの関係を示す図である。また、図8は、実施例2及び比較例4のコアロスの測定結果を示す図である。
これらの結果から、実施例2はいずれの特性においても、比較例4よりも優れた数値を示していて、いずれの条件においても、磁性粉末の占積率は66%を超え、透磁率は21を超えている。これは、チタネート系カップリング剤の方は、ステアロイル基という高級脂肪酸がチタン原子に結合した構造となっていて、磁性粉末表面に十分な潤滑性を付与しているのに対し、シランカップリング剤の方は、水素結合の効果を発現するアミノ基が付加していて、磁性粉末表面の潤滑性向上に寄与しなかったためと解される。
ちなみに、実施例1の場合と同様に、ここで用いたチタネート系カップリング剤と、シランカップリング剤について熱分解特性を評価したが、250〜450℃の温度領域における質量減少速度は、両方とも1.6〜1.9%/分であり、この場合の特性の差異は、前記のように主に磁性粉末表面の潤滑性に起因すると考えられる。
以上に説明したように、本発明によれば、磁性粉末と結合材との混和物を、巻線コイルと一体に成形して得られるインダクタの、高特性化を実現することが可能となり、インダクタの小型化、軽量化、ひいては、これを用いた機器の小型化に寄与するところは非常に大きい。
なお、特に数値を示さないが、250℃以上の温度領域、中でも圧粉磁芯の熱処理温度、つまり実質的な上限温度が500℃であるため、250〜500℃の温度領域における質量減少速度が、1〜20%/分の範囲であれば、本発明の添加物として、適用可能ではあるものの、5%/分を超える場合は、比較例2と同様の現象が認められることがあり、望ましい質量減少速度は1〜5%/分である。また、ここで500℃を実質的な上限温度としたのは、これ以上の温度領域では、結合材が短時間で熱分解し、圧粉磁芯の保形性が著しく低下するからである。
磁芯一体構造のインダクタの一例を示す斜視図。 実施例1及び比較例1〜3の成形圧力と磁性粉末の占積率の関係を示す図。 実施例1及び比較例1〜3の成形圧力と周波数:1MHzにおける透磁率:μの関係を示す図。 実施例1及び比較例1〜3のコアロス:Pcvの測定結果を示す図。 実施例1及び比較例1〜3のトロイダル形状の圧粉磁芯における透磁率:μの周波数特性を示す図。 実施例2及び比較例4の成形圧力と磁性粉末の占積率の関係を示す図。 実施例2及び比較例4の成形圧力と周波数:1MHzにおける透磁率:μの関係を示す図。 実施例2及び比較例4のコアロスの測定結果を示す図。
符号の説明
1 インダクタ
2 コイル
3 圧粉磁芯
4a,4b 端子

Claims (7)

  1. 磁性粉末と結合材からなる混和物を成形してなる圧粉磁芯と、前記圧粉磁芯に内蔵されるコイルを有する磁芯一体型構造のインダクタにおいて、前記結合材は、250℃以上の温度領域における熱分解による質量減少速度が1〜20%/分である添加物を含むことを特徴とするインダクタ。
  2. 前記添加物は、非イオン系界面活性剤、炭素数が8以上の脂肪族炭化水素基を有するカップリング剤から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1に記載のインダクタ。
  3. 前記添加物は、前記磁性粉末の表面を被覆してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインダクタ。
  4. 前記磁性粉末は、結晶質軟磁性金属粉末、非晶質軟磁性金属粉末、ナノ結晶軟磁性金属粉末から選ばれる少なくともいずれかを含み、前記圧粉磁芯の前記磁性粉末の占積率は66%以上であり、前記圧粉磁芯の透磁率は19以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインダクタ。
  5. 磁性粉末と結合材に、250℃以上の温度領域における熱分解による質量減少速度が1〜20%/分である添加物を加えて混合分散を行い、混和物を得る工程と、金型のキャビティ内にコイルを配置した後に、混和物を充填して圧縮成形を行い、コイルを内蔵する圧粉磁芯を得る工程と、前記圧粉磁芯を250〜500℃の温度領域で5分以上保持する熱処理工程を含むことを特徴とするインダクタの製造方法。
  6. 前記添加物は、非イオン系界面活性剤、炭素数が8以上の脂肪族炭化水素基を有するカップリング剤から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項5に記載のインダクタの製造方法。
  7. 前記磁性粉末を前記添加物で被覆する表面処理工程を含むことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のインダクタの製造方法。
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