JP2007048996A - 照明光学装置の調整方法、照明光学装置、露光装置、およびデバイスの製造方法 - Google Patents
照明光学装置の調整方法、照明光学装置、露光装置、およびデバイスの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 光学系中において光の偏光状態を所望の偏光状態から変化させる部位を検知し、当該部位を必要に応じて光学調整することのできる照明光学装置の調整方法。
【解決手段】 被照射面を照明する光束の偏光状態を測定する第1測定工程(S11)と、第1測定工程の後に、光源と被照射面との間の光路中の所望位置に偏光子を所要の姿勢で挿入する挿入工程(S12)と、偏光子を挿入した後に、被照射面を照明する光束の偏光状態を測定する第2測定工程(S13)と、第1測定工程の測定結果と第2測定工程の測定結果とに基づいて、所望位置と光源との間の光学系の不具合を判断する判断工程(S14)とを含む。
【選択図】 図6
【解決手段】 被照射面を照明する光束の偏光状態を測定する第1測定工程(S11)と、第1測定工程の後に、光源と被照射面との間の光路中の所望位置に偏光子を所要の姿勢で挿入する挿入工程(S12)と、偏光子を挿入した後に、被照射面を照明する光束の偏光状態を測定する第2測定工程(S13)と、第1測定工程の測定結果と第2測定工程の測定結果とに基づいて、所望位置と光源との間の光学系の不具合を判断する判断工程(S14)とを含む。
【選択図】 図6
Description
本発明は、照明光学装置の調整方法、照明光学装置、露光装置、およびデバイスの製造方法に関し、特に半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のデバイスをリソグラフィー工程で製造するための露光装置に関するものである。
この種の典型的な露光装置においては、光源から射出された光束が、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズを介して、多数の光源からなる実質的な面光源としての二次光源を形成する。二次光源(一般には、照明光学装置の照明瞳またはその近傍に形成される照明瞳分布)からの光束は、フライアイレンズの後側焦点面の近傍に配置された開口絞りを介して制限された後、コンデンサーレンズに入射する。
コンデンサーレンズにより集光された光束は、所定のパターンが形成されたマスクを重畳的に照明する。マスクのパターンを透過した光は、投影光学系を介してウェハ上に結像する。こうして、ウェハ上には、マスクパターンが投影露光(転写)される。なお、マスクに形成されたパターンは高集積化されており、この微細パターンをウェハ上に正確に転写するにはウェハ上において均一な照度分布を得ることが不可欠である。
また、本出願人は、任意方向の微細パターンを忠実に転写するのに適した照明条件を実現するために、フライアイレンズの後側焦点面に輪帯状の二次光源を形成し、この輪帯状の二次光源を通過する光束がその周方向を偏光方向とする直線偏光状態(以下、略して「周方向偏光状態」という)になるように設定する技術を開示している(たとえば特許文献1)。
上述の周方向偏光状態に限定されることなく、特定の直線偏光状態の光を用いて特定のパターンの投影露光を行うことは、投影光学系の解像度向上に有効である。さらに一般的には、マスクパターンに応じて特定の偏光状態(以下、非偏光状態を含む広い概念)の光を用いて投影露光を行うことは、投影光学系の解像度向上に有効である。
しかしながら、所望の偏光状態の光でマスク(ひいてはウェハ)を照明しようとしても、照明光路中に光の偏光状態を変化させる光学部材が介在すると、所望の偏光状態で結像しなくなり、ひいては結像性能が悪化する可能性がある。特に、光学部材を形成する光学材料の内部歪みや光学部材のホールドに伴う歪みにより発生する位相差、反射防止膜や反射膜で発生する位相差などに起因して光の偏光状態が変化することがある。また、各光学部材の製造や組み立ての過程において位相差が微小量ずつ発生し、光学系全系を通過してウェハに達する光の偏光状態が所望の偏光状態と異なってしまうことがある。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、光学系中において光の偏光状態を所望の偏光状態から実質的に変化させる部位を検知することができ、当該部位を必要に応じて光学調整することのできる照明光学装置を提供することを目的とする。また、光の偏光状態を所望の偏光状態から実質的に変化させる部位を検知することができ、当該部位を必要に応じて光学調整することのできる照明光学装置を用いて、微細パターンを感光性基板上に所望の偏光状態で結像させて忠実で且つ良好な露光を行うことのできる露光装置および露光方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、光源からの光束に基づいて被照射面を照明する照明光学装置の調整方法において、
前記被照射面を照明する光束の偏光状態を測定する第1測定工程と、
前記第1測定工程の後に、前記光源と前記被照射面との間の光路中の所望位置に偏光子を所要の姿勢で挿入する挿入工程と、
前記偏光子を挿入した後に、前記被照射面を照明する光束の偏光状態を測定する第2測定工程と、
前記第1測定工程の測定結果と前記第2測定工程の測定結果とに基づいて、前記所望位置と前記光源との間の光学系の不具合を判断する判断工程とを含むことを特徴とする調整方法を提供する。
前記被照射面を照明する光束の偏光状態を測定する第1測定工程と、
前記第1測定工程の後に、前記光源と前記被照射面との間の光路中の所望位置に偏光子を所要の姿勢で挿入する挿入工程と、
前記偏光子を挿入した後に、前記被照射面を照明する光束の偏光状態を測定する第2測定工程と、
前記第1測定工程の測定結果と前記第2測定工程の測定結果とに基づいて、前記所望位置と前記光源との間の光学系の不具合を判断する判断工程とを含むことを特徴とする調整方法を提供する。
本発明の第2形態では、光源からの光束に基づいて照明瞳面上に瞳光強度分布を形成し、該照明瞳面を通過した光束を用いて被照射面を照明する照明光学装置の調整方法において、
前記瞳光強度分布の偏光状態が所望の偏光状態に近づくように前記瞳光強度分布の形状を小さく設定する設定工程と、
前記設定工程の後に、前記光源と前記被照射面との間の光路中の所望位置に拡散部材を挿入する挿入工程と、
前記拡散部材を挿入した後に、前記瞳光強度分布の偏光状態を測定する測定工程と、
前記測定工程の測定結果に基づいて、前記所望位置と前記被照射面との間の光学系の不具合を判断する判断工程とを含むことを特徴とする調整方法を提供する。
前記瞳光強度分布の偏光状態が所望の偏光状態に近づくように前記瞳光強度分布の形状を小さく設定する設定工程と、
前記設定工程の後に、前記光源と前記被照射面との間の光路中の所望位置に拡散部材を挿入する挿入工程と、
前記拡散部材を挿入した後に、前記瞳光強度分布の偏光状態を測定する測定工程と、
前記測定工程の測定結果に基づいて、前記所望位置と前記被照射面との間の光学系の不具合を判断する判断工程とを含むことを特徴とする調整方法を提供する。
本発明の第3形態では、光源からの光束に基づいて被照射面を照明する照明光学装置の調整方法において、
前記光源と前記被照射面との間の光路中の所望位置に移相子を所要の姿勢で挿入する挿入工程と、
前記移相子を挿入した後に、前記移相子の光学軸の回転角度を変化させつつ少なくとも2つの回転角度位置において前記被照射面を照明する光束の偏光状態を複数回測定する測定工程と、
前記測定工程の複数回の測定結果に基づいて、前記所望位置と前記光源との間の第1光学系の移相子としての偏光特性および前記所望位置と前記被照射面との間の第2光学系の移相子としての偏光特性を算出する特性算出工程とを含むことを特徴とする調整方法を提供する。
前記光源と前記被照射面との間の光路中の所望位置に移相子を所要の姿勢で挿入する挿入工程と、
前記移相子を挿入した後に、前記移相子の光学軸の回転角度を変化させつつ少なくとも2つの回転角度位置において前記被照射面を照明する光束の偏光状態を複数回測定する測定工程と、
前記測定工程の複数回の測定結果に基づいて、前記所望位置と前記光源との間の第1光学系の移相子としての偏光特性および前記所望位置と前記被照射面との間の第2光学系の移相子としての偏光特性を算出する特性算出工程とを含むことを特徴とする調整方法を提供する。
本発明の第4形態では、第1形態〜第3形態の調整方法により調整されたことを特徴とする照明光学装置を提供する。
本発明の第5形態では、光源からの光束に基づいて被照射面を照明する照明光学装置において、
前記被照射面を照明する光束の偏光状態を測定するための偏光測定部と、
前記光源と前記被照射面との間の光路中の複数の位置に選択的に偏光子を挿脱自在に配置するための偏光子挿脱部とを備えていることを特徴とする照明光学装置を提供する。
前記被照射面を照明する光束の偏光状態を測定するための偏光測定部と、
前記光源と前記被照射面との間の光路中の複数の位置に選択的に偏光子を挿脱自在に配置するための偏光子挿脱部とを備えていることを特徴とする照明光学装置を提供する。
本発明の第6形態では、光源からの光束に基づいて照明瞳面上に瞳光強度分布を形成し、該照明瞳面を通過した光束を用いて被照射面を照明する照明光学装置において、
前記瞳光強度分布の形状の大きさを変更するための形状変更部と、
前記瞳光強度分布の偏光状態を測定する偏光測定部と、
前記光源と前記被照射面との間の光路中の複数の位置に選択的に拡散部材を挿脱自在に配置するための拡散部材挿脱部とを備えていることを特徴とする照明光学装置を提供する。
前記瞳光強度分布の形状の大きさを変更するための形状変更部と、
前記瞳光強度分布の偏光状態を測定する偏光測定部と、
前記光源と前記被照射面との間の光路中の複数の位置に選択的に拡散部材を挿脱自在に配置するための拡散部材挿脱部とを備えていることを特徴とする照明光学装置を提供する。
本発明の第7形態では、光源からの光束に基づいて被照射面を照明する照明光学装置において、
前記被照射面を照明する光束の偏光状態を測定するための偏光測定部と、
前記光源と前記被照射面との間の光路中の複数の位置に選択的に移相子を挿脱自在に配置し且つ前記移相子の光学軸の回転角度を変化させるための移相子挿脱駆動部とを備えていることを特徴とする照明光学装置を提供する。
前記被照射面を照明する光束の偏光状態を測定するための偏光測定部と、
前記光源と前記被照射面との間の光路中の複数の位置に選択的に移相子を挿脱自在に配置し且つ前記移相子の光学軸の回転角度を変化させるための移相子挿脱駆動部とを備えていることを特徴とする照明光学装置を提供する。
本発明の第8形態では、所定のパターンを照明するための第4形態〜第7形態の照明光学装置と、前記所定のパターンの像を感光性基板上に形成するための投影光学系とを備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
本発明の第9形態では、第4形態〜第7形態の照明光学装置を介して所定のパターンを照明し、照明された前記パターンを投影光学系により感光性基板に露光する露光工程と、
前記露光工程により露光された前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするデバイスの製造方法を提供する。
前記露光工程により露光された前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするデバイスの製造方法を提供する。
本発明の典型的な形態にしたがう照明光学装置では、被照射面を照明する光束の偏光状態を測定する偏光測定部と、光路中の複数の位置に選択的に偏光子を挿脱自在に配置する偏光子挿脱部とを備えている。したがって、被照射面を照明する光束の偏光状態を測定した後に光路中の所望位置に偏光子を所要の姿勢で挿入し、被照射面を照明する光束の偏光状態を再び測定することにより、2回の測定結果に基づいて偏光子の挿入位置と光源との間の光学系の不具合を判断することができる。
こうして、本発明の照明光学装置では、光学系中において光の偏光状態を所望の偏光状態から実質的に変化させる部位を検知することができ、当該部位を必要に応じて光学調整することができる。したがって、本発明の露光装置および露光方法では、光の偏光状態を所望の偏光状態から実質的に変化させる部位を検知することができ、当該部位を必要に応じて光学調整することのできる照明光学装置を用いて、微細パターンを感光性基板上に所望の偏光状態で結像させて忠実で且つ良好な露光を行うことができ、ひいては良好なデバイスを製造することができる。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。図1において、感光性基板であるウェハWの法線方向に沿ってZ軸を、ウェハWの面内において図1の紙面に平行な方向にY軸を、ウェハWの面内において図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。
図1を参照すると、本実施形態の露光装置は、露光光(照明光)を供給するための光源1を備えている。光源1として、たとえば193nmの波長の光を供給するArFエキシマレーザ光源や248nmの波長の光を供給するKrFエキシマレーザ光源などを用いることができる。光源1から射出されたほぼ平行な光束は、リレーレンズ系2、偏光状態切換部3(3a,3b,3c)、および輪帯照明用の回折光学素子4を介して、アフォーカルレンズ5に入射する。
リレーレンズ系2は、光源1からのほぼ平行な光束を所定の矩形状の断面を有するほぼ平行な光束に変換して偏光状態切換部3へ導く機能を有する。偏光状態切換部3は、偏光状態切換部3は、光源側から順に、光軸AXを中心として結晶光学軸が回転自在に構成されて入射する楕円偏光の光を直線偏光の光に変換する1/4波長板3aと、光軸AXを中心として結晶光学軸が回転自在に構成されて入射する直線偏光の偏光方向を変化させる1/2波長板3bと、照明光路に対して挿脱自在なデポラライザ(非偏光化素子)3cとを備えている。
すなわち、偏光状態切換部3は、デポラライザ3cを照明光路から退避させた状態で、光源1からの光を所望の偏光方向を有する直線偏光の光に変換して回折光学素子4へ入射させる機能を有し、デポラライザ3cを照明光路中に設定した状態で、光源1からの光を実質的に非偏光の光に変換して回折光学素子4へ入射させる機能を有する。アフォーカルレンズ5は、その前側焦点位置と回折光学素子4の位置とがほぼ一致し且つその後側焦点位置と図中破線で示す所定面6の位置とがほぼ一致するように設定されたアフォーカル系(無焦点光学系)である。
一方、回折光学素子4は、基板に露光光(照明光)の波長程度のピッチを有する段差を形成することによって構成され、入射ビームを所望の角度に回折する作用を有する。具体的には、輪帯照明用の回折光学素子4は、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、そのファーフィールド(またはフラウンホーファー回折領域)に輪帯状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、光束変換素子としての回折光学素子4に入射したほぼ平行光束は、アフォーカルレンズ5の瞳面に輪帯状の光強度分布を形成した後、輪帯状の角度分布でアフォーカルレンズ5から射出される。
アフォーカルレンズ5の前側レンズ群5aと後側レンズ群5bとの間の光路中においてその瞳位置またはその近傍には、偏光変換素子7および円錐アキシコン系8が配置されている。偏光変換素子7および円錐アキシコン系8の構成および作用については後述する。アフォーカルレンズ5を介した光束は、σ値可変用のズームレンズ9を介して、オプティカルインテグレータとしてのマイクロフライアイレンズ(またはフライアイレンズ)10に入射する。マイクロフライアイレンズ10は、縦横に且つ稠密に配列された多数の正屈折力を有する微小レンズからなる光学素子である。
一般に、マイクロフライアイレンズは、たとえば平行平面板にエッチング処理を施して微小レンズ群を形成することによって構成される。ここで、マイクロフライアイレンズを構成する各微小レンズは、フライアイレンズを構成する各レンズエレメントよりも微小である。また、マイクロフライアイレンズは、互いに隔絶されたレンズエレメントからなるフライアイレンズとは異なり、多数の微小レンズ(微小屈折面)が互いに隔絶されることなく一体的に形成されている。しかしながら、正屈折力を有するレンズ要素が縦横に配置されている点でマイクロフライアイレンズはフライアイレンズと同じ波面分割型のオプティカルインテグレータである。
所定面6の位置はズームレンズ9の前側焦点位置の近傍に配置され、マイクロフライアイレンズ10の入射面はズームレンズ9の後側焦点位置の近傍に配置されている。換言すると、ズームレンズ9は、所定面6とマイクロフライアイレンズ10の入射面とを実質的にフーリエ変換の関係に配置し、ひいてはアフォーカルレンズ5の瞳面とマイクロフライアイレンズ10の入射面とを光学的にほぼ共役に配置している。したがって、マイクロフライアイレンズ10の入射面上には、アフォーカルレンズ5の瞳面と同様に、たとえば光軸AXを中心とした輪帯状の照野が形成される。
この輪帯状の照野の全体形状は、後述するようにズームレンズ9の焦点距離に依存して相似的に変化する。マイクロフライアイレンズ10を構成する各微小レンズは、マスクM上において形成すべき照野の形状(ひいてはウェハW上において形成すべき露光領域の形状)と相似な矩形状の断面を有する。マイクロフライアイレンズ10に入射した光束は多数の微小レンズにより二次元的に分割され、その後側焦点面またはその近傍(ひいては照明瞳面)には、入射光束によって形成される照野とほぼ同じ光強度分布を有する二次光源、すなわち光軸AXを中心とした輪帯状の実質的な面光源からなる二次光源が形成される。
マイクロフライアイレンズ10の後側焦点面またはその近傍に形成された二次光源からの光束は、コンデンサー光学系11を介した後、マスクブラインド12を重畳的に照明する。こうして、照明視野絞りとしてのマスクブラインド12には、マイクロフライアイレンズ10を構成する各微小レンズの形状と焦点距離とに応じた矩形状の照野が形成される。マスクブラインド12の矩形状の開口部(光透過部)を介した光束は、結像光学系13の集光作用を受けた後、所定のパターンが形成されたマスクMを重畳的に照明する。
すなわち、結像光学系13は、マスクブラインド12の矩形状開口部の像をマスクM上に形成することになる。マスクステージMS上に保持されたマスクMのパターンを透過した光束は、投影光学系PLを介して、ウェハステージWS上に保持されたウェハ(感光性基板)W上にマスクパターンの像を形成する。こうして、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面(XY平面)内においてウェハステージWSを二次元的に駆動制御しながら、ひいてはウェハWを二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハWの各露光領域にはマスクMのパターンが順次露光される。
円錐アキシコン系8は、光源側から順に、光源側に平面を向け且つマスク側に凹円錐状の屈折面を向けた第1プリズム部材8aと、マスク側に平面を向け且つ光源側に凸円錐状の屈折面を向けた第2プリズム部材8bとから構成されている。そして、第1プリズム部材8aの凹円錐状の屈折面と第2プリズム部材8bの凸円錐状の屈折面とは、互いに当接可能なように相補的に形成されている。また、第1プリズム部材8aおよび第2プリズム部材8bのうち少なくとも一方の部材が光軸AXに沿って移動可能に構成され、第1プリズム部材8aの凹円錐状の屈折面と第2プリズム部材8bの凸円錐状の屈折面との間隔が可変に構成されている。
ここで、第1プリズム部材8aの凹円錐状屈折面と第2プリズム部材8bの凸円錐状屈折面とが互いに当接している状態では、円錐アキシコン系8は平行平面板として機能し、形成される輪帯状の二次光源に及ぼす影響はない。しかしながら、第1プリズム部材8aの凹円錐状屈折面と第2プリズム部材8bの凸円錐状屈折面とを離間させると、輪帯状の二次光源の幅(輪帯状の二次光源の外径と内径との差の1/2)を一定に保ちつつ、輪帯状の二次光源の外径(内径)が変化する。すなわち、輪帯状の二次光源の輪帯比(内径/外径)および大きさ(外径)が変化する。
ズームレンズ9は、輪帯状の二次光源の全体形状を相似的に拡大または縮小する機能を有する。たとえば、ズームレンズ9の焦点距離を最小値から所定の値へ拡大させることにより、輪帯状の二次光源の全体形状が相似的に拡大される。換言すると、ズームレンズ9の作用により、輪帯状の二次光源の輪帯比が変化することなく、その幅および大きさ(外径)がともに変化する。このように、円錐アキシコン系8およびズームレンズ9の作用により、輪帯状の二次光源の輪帯比と大きさ(外径)とを制御することができる。
なお、輪帯照明用の回折光学素子4に代えて、4極照明用の回折光学素子(不図示)を照明光路中に設定することによって、4極照明を行うことができる。4極照明用の回折光学素子は、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、そのファーフィールドに4極状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、4極照明用の回折光学素子を介した光束は、マイクロフライアイレンズ10の入射面に、たとえば光軸AXを中心とした4つの円形状の照野からなる4極状の照野を形成する。その結果、マイクロフライアイレンズ10の後側焦点面またはその近傍にも、その入射面に形成された照野と同じ4極状の二次光源が形成される。
また、輪帯照明用の回折光学素子4に代えて、円形照明用の回折光学素子(不図示)を照明光路中に設定することによって、通常の円形照明を行うことができる。円形照明用の回折光学素子は、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、ファーフィールドに円形状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、円形照明用の回折光学素子を介した光束は、マイクロフライアイレンズ10の入射面に、たとえば光軸AXを中心とした円形状の照野を形成する。その結果、マイクロフライアイレンズ10の後側焦点面またはその近傍にも、その入射面に形成された照野と同じ円形状の二次光源が形成される。
さらに、輪帯照明用の回折光学素子4に代えて、他の複数極照明用の回折光学素子(不図示)を照明光路中に設定することによって、様々な複数極照明(2極照明、8極照明など)を行うことができる。同様に、輪帯照明用の回折光学素子4に代えて、適当な特性を有する回折光学素子(不図示)を照明光路中に設定することによって、様々な形態の変形照明を行うことができる。
偏光変換素子7は、アフォーカルレンズ5の瞳位置またはその近傍に、すなわち照明光学系(2〜13)の瞳面またはその近傍に配置されている。したがって、輪帯照明の場合、偏光変換素子7には光軸AXを中心としたほぼ輪帯状の断面を有する光束が入射することになる。偏光変換素子7は、図2に示すように、全体として光軸AXを中心とした輪帯状の有効領域を有し、この輪帯状の有効領域は光軸AXを中心とした円周方向に等分割された8つの扇形形状の基本素子により構成されている。これらの8つの基本素子において、光軸AXを挟んで対向する一対の基本素子は互いに同じ特性を有する。
すなわち、8つの基本素子は、光の透過方向(Y方向)に沿った厚さ(光軸方向の長さ)が互いに異なる4種類の基本素子7A〜7Dを2個づつ含んでいる。具体的には、第1基本素子7Aの厚さが最も大きく、第4基本素子7Dの厚さが最も小さく、第2基本素子7Bの厚さは第3基本素子7Cの厚さよりも大きく設定されている。その結果、偏光変換素子7の一方の面(たとえば入射面)は平面状であるが、他方の面(たとえば射出面)は各基本素子7A〜7Dの厚さの違いにより凹凸状になっている。
各基本素子7A〜7Dは、旋光性を有する光学材料である水晶により構成され、その結晶光学軸が光軸AXとほぼ一致するように設定されている。以下、図3を参照して、水晶の旋光性について簡単に説明する。図3を参照すると、厚さdの水晶からなる平行平面板状の光学部材100が、その結晶光学軸と光軸AXとが一致するように配置されている。この場合、光学部材100の旋光性により、入射した直線偏光の偏光方向が光軸AX廻りにθだけ回転した状態で射出される。
このとき、光学部材100の旋光性による偏光方向の回転角(旋光角度)θは、光学部材100の厚さdと水晶の旋光能ρとにより、次の式(1)で表わされる。
θ=d・ρ (1)
一般に、水晶の旋光能ρは、波長依存性(使用光の波長に依存して旋光能の値が異なる性質:旋光分散)があり、具体的には使用光の波長が短くなると大きくなる傾向がある。「応用光学II」の第167頁の記述によれば、250.3nmの波長を有する光に対する水晶の旋光能ρは、153.9度/mmである。
θ=d・ρ (1)
一般に、水晶の旋光能ρは、波長依存性(使用光の波長に依存して旋光能の値が異なる性質:旋光分散)があり、具体的には使用光の波長が短くなると大きくなる傾向がある。「応用光学II」の第167頁の記述によれば、250.3nmの波長を有する光に対する水晶の旋光能ρは、153.9度/mmである。
第1基本素子7Aは、Y方向に偏光方向を有する直線偏光の光が入射した場合、Y方向をZ軸廻りに+180度回転させた方向すなわちY方向に偏光方向を有する直線偏光の光を射出するように厚さdAが設定されている。したがって、この場合、図4に示す輪帯状の二次光源31のうち、一対の第1基本素子7Aの旋光作用を受けた光束が形成する一対の円弧状領域31Aを通過する光束の偏光方向はY方向になる。
第2基本素子7Bは、Y方向に偏光方向を有する直線偏光の光が入射した場合、Y方向をZ軸廻りに+135度回転させた方向すなわちY方向をZ軸廻りに−45度回転させた方向に偏光方向を有する直線偏光の光を射出するように厚さdBが設定されている。したがって、この場合、図4に示す輪帯状の二次光源31のうち、一対の第2基本素子7Bの旋光作用を受けた光束が形成する一対の円弧状領域31Bを通過する光束の偏光方向はY方向をZ軸廻りに−45度回転させた方向になる。
第3基本素子7Cは、Y方向に偏光方向を有する直線偏光の光が入射した場合、Y方向をZ軸廻りに+90度回転させた方向すなわちX方向に偏光方向を有する直線偏光の光を射出するように厚さdCが設定されている。したがって、この場合、図4に示す輪帯状の二次光源31のうち、一対の第3基本素子7Cの旋光作用を受けた光束が形成する一対の円弧状領域31Cを通過する光束の偏光方向はX方向になる。
第4基本素子7Dは、Y方向に偏光方向を有する直線偏光の光が入射した場合、Y方向をZ軸廻りに+45度回転させた方向に偏光方向を有する直線偏光の光を射出するように厚さdDが設定されている。したがって、この場合、図4に示す輪帯状の二次光源31のうち、一対の第4基本素子7Dの旋光作用を受けた光束が形成する一対の円弧状領域31Dを通過する光束の偏光方向はY方向をZ軸廻りに+45度回転させた方向になる。
なお、別々に形成された8つの基本素子を組み合わせて偏光変換素子7を得ることもできるし、あるいは平行平面板状の水晶基板に所要の凹凸形状(段差)を形成することにより偏光変換素子7を得ることもできる。また、偏光変換素子7を光路から退避させることなく通常の円形照明を行うことができるように、偏光変換素子7の有効領域の径方向の大きさの1/3以上の大きさを有し且つ旋光性を有しない円形状の中央領域7Eが設けられている。ここで、中央領域7Eは、たとえば石英のように旋光性を有しない光学材料により形成されていてもよいし、単純に円形状の開口であってもよい。
本実施形態の露光装置には、ウェハWを保持するためのウェハステージWSに、ウェハWに入射する照明光(露光光)の偏光状態を測定するための偏光測定部14が設けられている。偏光測定部14の測定結果は、制御部20に供給される。偏光測定部14の詳細な構成および作用については、特開2005−5521号公報に開示されている。偏光測定部14を用いてウェハWに入射する照明光の瞳内における偏光状態を測定し、照明光が瞳内において適切な偏光状態(たとえば上述した周方向偏光状態など)になっているか否かが判定される。制御部20は、偏光測定部14の測定結果に基づいて、必要に応じて偏光状態切換部3を駆動し、マスクM(ひいてはウェハW)への照明光の偏光状態を所望の偏光状態に調整する。
本実施形態では、周方向偏光輪帯照明(輪帯状の二次光源を通過する光束が周方向偏光状態に設定された変形照明)に際して、偏光状態切換部3中の1/2波長板3bの結晶光学軸の光軸廻りの角度位置を調整して輪帯照明用の回折光学素子4にY方向偏光(Y方向に偏光方向を有する直線偏光)の光を入射させることによって、Y方向偏光の光を偏光変換素子7に入射させる。その結果、マイクロフライアイレンズ10の後側焦点面またはその近傍には、図4に示すように、輪帯状の二次光源(輪帯状の照明瞳分布)31が形成され、この輪帯状の二次光源31を通過する光束が周方向偏光状態に設定される。
周方向偏光状態では、輪帯状の二次光源31を構成する円弧状領域31A〜31Dをそれぞれ通過する光束は、各円弧状領域31A〜31Dの円周方向に沿った中心位置における光軸AXを中心とする円の接線方向とほぼ一致する偏光方向を有する直線偏光状態になる。周方向偏光状態の輪帯状の照明瞳分布に基づく周方向偏光輪帯照明では、最終的な被照射面としてのウェハWに照射される光がS偏光を主成分とする偏光状態になる。ここで、S偏光とは、入射面に対して垂直な方向に偏光方向を有する直線偏光(入射面に垂直な方向に電気ベクトルが振動している偏光)のことである。また、入射面とは、光が媒質の境界面(被照射面:ウェハWの表面)に達したときに、その点での境界面の法線と光の入射方向とを含む面として定義される。
その結果、周方向偏光輪帯照明では、投影光学系の光学性能(焦点深度など)が向上し、ウェハ(感光性基板)上において高コントラストの良好なマスクパターン像が得られる。一般に、輪帯照明に限定されることなく、たとえば周方向偏光状態の複数極状の照明瞳分布に基づく照明においても、ウェハWに入射する光がS偏光を主成分とする偏光状態になり、ウェハW上において高コントラストの良好なマスクパターン像が得られる。この場合、輪帯照明用の回折光学素子4に代えて、複数極照明(2極照明、4極照明、8極照明など)用の回折光学素子を照明光路に設定し、偏光状態切換部3中の1/2波長板3bの結晶光学軸の光軸廻りの角度位置を調整して複数極照明用の回折光学素子にY方向偏光の光を入射させることによって、Y方向偏光の光を偏光変換素子7に入射させる。
以上のように、光源1から供給される光に基づいて被照射面としてのマスクMを照明する本実施形態の照明光学装置(1〜13)は、光源1とマスクMとの間の光路中に配置されてマスクMに達する光の偏光状態を所定の偏光状態に設定するための偏光設定部として、偏光状態切換部3(3a,3b,3c)および偏光変換素子7を備えている。しかしながら、たとえば偏光状態切換部3および偏光変換素子7の作用により所望の偏光状態の光でマスクM(ひいてはウェハW)を照明しようとしても、前述したように照明光路中に光の偏光状態を変化させる光学部材が介在すると、所望の偏光状態で結像しなくなり、ひいては結像性能が悪化する可能性がある。以下、光源1から投影光学系PLまでを照明光学装置と考え、この照明光学装置(1〜PL)の光学系中において光の偏光状態を所望の偏光状態から実質的に変化させる部位(光学系部分)を検知し、検知した当該部位を必要に応じて光学調整する調整機構および調整方法について説明する。
[第1実施例]
図5は、第1実施例にかかる調整機構の要部構成を概略的に示す図である。図6は、第1実施例の調整方法の工程を概略的に説明するフローチャートである。図5を参照すると、第1実施例の調整機構は、光源1とウェハ(被照射面)Wとの間の光路中(現実的には光源1とマスクMとの間の光路中)の所望位置に偏光ビームスプリッター15のような偏光子を挿脱自在に配置するための偏光子挿脱部21を備えている。偏光子挿脱部21は、制御部20からの指令にしたがって、光路中の複数の位置に選択的に偏光ビームスプリッター15を配置する。なお、偏光ビームスプリッター15に代えて、グラントムソンプリズムのような他の適当な偏光子を用いることもできる。
図5は、第1実施例にかかる調整機構の要部構成を概略的に示す図である。図6は、第1実施例の調整方法の工程を概略的に説明するフローチャートである。図5を参照すると、第1実施例の調整機構は、光源1とウェハ(被照射面)Wとの間の光路中(現実的には光源1とマスクMとの間の光路中)の所望位置に偏光ビームスプリッター15のような偏光子を挿脱自在に配置するための偏光子挿脱部21を備えている。偏光子挿脱部21は、制御部20からの指令にしたがって、光路中の複数の位置に選択的に偏光ビームスプリッター15を配置する。なお、偏光ビームスプリッター15に代えて、グラントムソンプリズムのような他の適当な偏光子を用いることもできる。
第1実施例の調整方法では、図6に示すように、偏光測定部14を用いて、ウェハW上の複数の位置(厳密には投影光学系PLの有効結像領域内の複数の位置)に入射する照明光の偏光状態を順次測定する(S11)。測定工程S11の測定結果に基づいて、入射する照明光の偏光状態が所望の偏光状態と実質的に異なっているウェハW上の位置が確認される。次いで、光源1とウェハWとの間の光路中の所望位置、たとえば図5に実線で示すようにマスクMの直前の位置に、偏光ビームスプリッター15を所要の姿勢で挿入する(S12)。
ここで、偏光ビームスプリッター15は、入射照明光の偏光状態が所望の偏光状態と実質的に異なっていたウェハW上の当該位置に対応する光束の通過領域に配置される。また、偏光ビームスプリッター15は、ウェハW上の当該位置に入射する照明光の所望の偏光状態に対応する偏光状態の光だけを透過させる姿勢で配置される。すなわち、制御部20は偏光測定部14の測定結果に基づいて偏光子挿脱部21に指令を供給し、偏光子挿脱部21は制御部20からの指令にしたがって偏光ビームスプリッター15を所望位置に所要の姿勢で配置する。
次いで、偏光測定部14を用いて、ウェハW上の当該位置に入射する照明光の偏光状態を再び測定する(S13)。そして、測定工程S11の測定結果と測定工程S13の測定結果とに基づいて、偏光ビームスプリッター15の挿入位置(マスクMの位置)と光源1との間の光学系の不具合を判断する(S14)。
具体的に、判断工程S14では、ウェハW上の当該位置に関する測定工程S11の測定結果と測定工程S13の測定結果とが実質的に異なる場合、すなわち測定工程S11の測定結果は所望の偏光状態と実質的に異なっているが測定工程S13の測定結果がほぼ所望の偏光状態になっている場合、偏光ビームスプリッター15の挿入位置とウェハWとの間の光学系すなわち投影光学系PLには光の偏光状態を所望の偏光状態から実質的に変化させる不具合がなく、偏光ビームスプリッター15の挿入位置と光源1との間の光学系、実際には偏光ビームスプリッター15の挿入位置と偏光状態切換部3中の1/2波長板3bとの間の光学系に不具合があるものと判断する。実際に、露光装置に搭載される投影光学系PLは高い光学性能を確保するように設計され且つ高精度に光学調整されているので、投影光学系PLに不具合があることは稀である。
次に、マスクMの直前に配置された偏光ビームスプリッター15を光路から退避させ、たとえば図5に破線で示すようにマスクブラインド12の直前の位置または直後の位置(あるいはマスクブラインド12上の位置)に、偏光ビームスプリッター15を所要の姿勢で挿入する(S15)。ここで、偏光ビームスプリッター15は、ウェハW上の当該位置に対応する光束の通過領域に配置され、ウェハW上の当該位置に入射する照明光の所望の偏光状態に対応する偏光状態の光だけを透過させる姿勢で配置される。すなわち、工程S15では、偏光ビームスプリッター15の挿入位置を変化させる。
次いで、偏光測定部14を用いて、ウェハW上の当該位置に入射する照明光の偏光状態を再び測定する(S16)。そして、測定工程S11の測定結果と測定工程S16の測定結果とに基づいて、偏光ビームスプリッター15の今回の挿入位置(マスクブラインド12の位置)と光源1(実際には偏光状態切換部3中の1/2波長板3b)との間の光学系の不具合を判断する(S17)。
具体的に、判断工程S17では、測定工程S11の測定結果は所望の偏光状態と実質的に異なっているが測定工程S13の測定結果がほぼ所望の偏光状態になっている場合、マスクブラインド12とマスクMとの間の光学系すなわち結像光学系13には光の偏光状態を所望の偏光状態から実質的に変化させる不具合がなく、マスクブラインド12と1/2波長板3bとの間の光学系に不具合があるものと判断する。マスクブラインド12と1/2波長板3bとの間の光学系に不具合があると判断された場合、必要に応じて、挿入位置変化工程S15と測定工程S16と判断工程S17とを繰り返すことにより、光学系中において不具合がある部位(光学系部分)をさらに特定することができる。
最後に、第1実施例の調整方法では、判断工程S17において不具合があると判断された光学系を光学調整する(S18)。具体的に、調整工程S18では、たとえば不具合があると判断された光学系中の少なくとも1つの光学部材(ミラーを含む)を交換する。なお、測定工程S11の測定結果に基づいて、ウェハW上の複数の位置に入射する照明光の偏光状態が所望の偏光状態と実質的に異なる場合、ウェハW上の各位置について工程S12〜S18を繰り返してもよい。
こうして、第1実施例の調整機構および調整方法では、照明光学装置の光学系中において光の偏光状態を所望の偏光状態から実質的に変化させる部位を検知することができ、当該部位を必要に応じて光学調整することができる。なお、第1実施例では、偏光ビームスプリッター15の初期的な挿入位置、挿入位置の変化などについて様々な変形例が可能である。
[第2実施例]
図7は、第2実施例にかかる調整機構の要部構成を概略的に示す図である。図8は、第2実施例の調整方法の工程を概略的に説明するフローチャートである。図7を参照すると、第2実施例の調整機構は、光源1とウェハ(被照射面)Wとの間の光路中(現実的には光源1とマスクMとの間の光路中)の所望位置に拡散部材16を挿脱自在に配置するための拡散部材挿脱部22を備えている。拡散部材挿脱部22は、制御部20からの指令にしたがって、光路中の複数の位置に選択的に拡散部材16を配置する。
図7は、第2実施例にかかる調整機構の要部構成を概略的に示す図である。図8は、第2実施例の調整方法の工程を概略的に説明するフローチャートである。図7を参照すると、第2実施例の調整機構は、光源1とウェハ(被照射面)Wとの間の光路中(現実的には光源1とマスクMとの間の光路中)の所望位置に拡散部材16を挿脱自在に配置するための拡散部材挿脱部22を備えている。拡散部材挿脱部22は、制御部20からの指令にしたがって、光路中の複数の位置に選択的に拡散部材16を配置する。
第2実施例の調整方法では、図8に示すように、偏光測定部14を用いて、ウェハW上の代表的な位置(厳密には投影光学系PLの有効結像領域内の代表的な位置)に関する瞳光強度分布の偏光状態を測定する(S20)。すなわち、一般的に、光学系(照明光学系や投影光学系)の射出瞳に形成される瞳光強度分布が中心よりも周辺付近で偏光状態が不均一となる傾向にあるため、測定工程(第1測定工程)S20では、瞳光強度分布の分布を計測し、瞳光強度分布の中心部と周辺部との偏光状態を確認する。
測定工程S20の結果、瞳光強度分布の中心部の偏光状態が均一であることが確認された場合には、次の工程S21へ移行する。もし、瞳光強度分布の中心部の偏光状態が均一でないことが確認された場合には、アキシコン系8を構成する移動可能な光学部材を移動調整することやズームレンズ(ズーム光学系)9を構成する移動可能な光学部材を移動調整することの少なくとも1つを実行し、その後、偏光測定部14を用いた再計測を行う。
さて、次に、照明瞳面に形成される瞳光強度分布の偏光状態が所望の偏光状態に近づくように瞳光強度分布の形状を小さく設定する(S21)。具体的に、設定工程S21では、例えば輪帯照明用の回折光学素子4に代えて、直径が比較的小さい円形状の瞳光強度分布を照明瞳面上に形成するための小σ検査用の回折光学素子(不図示)を照明光路中に設置する。この場合、小σ検査用の回折光学素子は、瞳光強度分布の形状の大きさを変更するための形状変更部を構成することになる。なお、小σ検査用の回折光学素子に限定されることなく、例えばマイクロフライアイレンズ10の射出側に形状変更部としての可変開口絞りを配置し、この可変開口絞りの開口を比較的小さい円形状にすることにより瞳光強度分布の形状を小さく設定することもできる。
前述の如く、一般に、光学系全系での偏光分布は、光学系の射出瞳の中心よりも周辺で不均一になる傾向がある。これは、瞳の中心を通過する光束よりも周辺を通過する光束の方が、前述の光学材料の内部歪みや光学部材のホールド歪みの影響を受け易く、膜への入射角度が大きくなって位相特性の比較的大きい領域を経るためである。したがって、瞳光強度分布の形状を小さく設定することにより、光学系全系の偏光分布がほぼ均一になり、ひいては瞳光強度分布の偏光状態が所望の偏光状態に近づく。
次いで、偏光測定部14を用いて、ウェハW上の代表的な位置(厳密には投影光学系PLの有効結像領域内の代表的な位置)に関する瞳光強度分布の偏光状態を測定する(S22)。測定工程(第2測定工程)S22では、瞳光強度分布の偏光状態がほぼ所望の偏光状態になっていることを確認する。例えば、光学系の射出瞳の中心部に絞り込まれた光束による偏光分布が均一となっていることを確認し、光学系の射出瞳の中心部に絞り込まれた光束により所望の均一な偏光状態が確保されていることを確認する。
次いで、光源1とウェハWとの間の光路中の所望位置、たとえば図7に実線で示すようにマスクブラインド12の直前の位置(またはマスクブラインド12の直後の位置、あるいはマスクブラインド12上の位置)に、瞳光強度分布を拡大させるための拡散部材(拡散板)16を挿入する(S23)。この拡散部材16の設定により、設定工程S21にて小さく絞った瞳面での光強度分布を、初期の第1測定工程(S20)の計測に用いた光強度分布まで拡大する。つまり、偏光状態が良好な瞳面での光強度分布を種火として、拡散部材16にて所望の大きさの光強度分布に拡大することで、拡散部材16の個所にて良好な偏光状態を持つ光強度分布を得ることができる。
次いで、偏光測定部14を用いて、拡散部材16の作用により拡大された瞳光強度分布の偏光状態を測定する(S24)。そして、測定工程S22の測定結果と測定工程S24の測定結果とに基づいて、拡散部材16の挿入位置(マスクブラインド12の位置)とウェハWとの間の光学系の不具合を判断する(S25)。具体的に、判断工程S25では、測定工程S22の測定結果と測定工程S24の測定結果とがほぼ同じである場合、すなわちマスクブラインド12の直前の位置に挿入した拡散部材16の作用により拡散された光束がマスクブラインド12とウェハWとの間の光学系中(すなわち結像光学系13および投影光学系PL中)の光学部材の周辺領域を通過しても瞳光強度分布の偏光状態がほぼ所望の偏光状態のままである場合、結像光学系13および投影光学系PLには光の偏光状態を所望の偏光状態から実質的に変化させる不具合がないものと判断する。
逆に、判断工程S25では、測定工程S22の測定結果と測定工程S24の測定結果とが実質的に異なる場合、すなわちマスクブラインド12の直前の位置に挿入した拡散部材16の作用により拡散された光束が結像光学系13および投影光学系PL中の光学部材の周辺領域を通過することにより瞳光強度分布の偏光状態が所望の偏光状態とは実質的に異なる状態に変化した場合、結像光学系13または投影光学系PLに不具合があるものと判断する。以下、第2実施例では、判断工程S25において結像光学系13または投影光学系PLに不具合があると判断されたものとして説明を進める。
次に、マスクブラインド12の直前に配置された拡散部材16を光路から退避させ、たとえば図7に破線で示すようにマスクMの直前の位置に拡散部材16を挿入する(S26)。すなわち、工程S26では、拡散部材16の挿入位置を変化させる。次いで、偏光測定部14を用いて、挿入位置が変化した拡散部材16の作用により拡大された瞳光強度分布の偏光状態を測定する(S27)。そして、測定工程S22の測定結果と測定工程S27の測定結果とに基づいて、拡散部材16の今回の挿入位置(マスクMの位置)とウェハWとの間の光学系の不具合を判断する(S28)。
具体的に、判断工程S28では、測定工程S22の測定結果と測定工程S27の測定結果とがほぼ同じである場合、すなわちマスクMの直前の位置に挿入した拡散部材16の作用により拡散された光束がマスクMとウェハWとの間の光学系中(すなわち投影光学系PL中)の光学部材の周辺領域を通過しても瞳光強度分布の偏光状態がほぼ所望の偏光状態のままである場合、投影光学系PLに不具合がないものと判断する。
逆に、判断工程S28では、測定工程S22の測定結果と測定工程S27の測定結果とが実質的に異なる場合、すなわちマスクMの直前の位置に挿入した拡散部材16の作用により拡散された光束が投影光学系PL中の光学部材の周辺領域を通過することにより瞳光強度分布の偏光状態が所望の偏光状態とは実質的に異なる状態に変化した場合、投影光学系PLに不具合があるものと判断する。上述したように、露光装置に搭載される投影光学系PLに不具合があることは稀であり、第2実施例においても投影光学系PLに不具合がないものとして説明を進める。すなわち、判断工程S28において結像光学系13に不具合があると判断されたものとして説明を進める。
最後に、第2実施例の調整方法では、判断工程S28において不具合があると判断された結像光学系13を光学調整する(S29)。具体的に、調整工程S29では、たとえば結像光学系13中の少なくとも1つの光学部材(ミラーを含む)を交換する。なお、判断工程S25において結像光学系13および投影光学系PLに不具合がないと判断された場合、必要に応じて、拡散部材16の挿入位置をマスクブラインド12よりも光源側の所望位置(たとえば被照射面であるウェハWと光学的に共役な位置またはその近傍)に変化させる工程(工程S26に対応)と、工程S27およびS28に対応する工程とを繰り返すことにより、光学系中において不具合がある部位(光学系部分)をさらに特定することができる。
こうして、第2実施例の調整機構および調整方法においても第1実施例と同様に、照明光学装置の光学系中において光の偏光状態を所望の偏光状態から実質的に変化させる部位を検知することができ、当該部位を必要に応じて光学調整することができる。なお、第2実施例では、拡散部材16の初期的な挿入位置、挿入位置の変化などについて様々な変形例が可能である。また、第2実施例では、設定工程S21により絞り込まれた光束にて所望の偏光状態が維持できていることが予め分かっている場合や保証されている場合には、測定工程S20は必須なものではなく、測定工程S20を省略することも可能である。また、第2実施例において、設定工程S21を経て得られる瞳光強度分布の偏光状態が既知である場合、測定工程S22の実施を省略する変形例も可能である。このように、第2実施例では、第1測定工程S20と第2測定工程S22との少なくとも一方を省略することが可能である。
[第3実施例]
入射光の偏光状態が光学系により移相作用を受けて偏光状態が変化する様は、ミューラー行列式によって表される。たとえば、入射光の偏光状態を表すストークスパラメータをS=(S0,S1,S2,S3) とすると、光学系による移相作用を表すミューラー行列[C(Γ)]は、次の式(2)で表される。
入射光の偏光状態が光学系により移相作用を受けて偏光状態が変化する様は、ミューラー行列式によって表される。たとえば、入射光の偏光状態を表すストークスパラメータをS=(S0,S1,S2,S3) とすると、光学系による移相作用を表すミューラー行列[C(Γ)]は、次の式(2)で表される。
式(2)において、Γは、移相子の持つリタデーション量である。また、移相子の進相軸方位をθとすると、回転マトリクス[T(θ)]は、次の式(3)で表される。
移相子を透過した光の偏光状態を表すストークスパラメータをS’=(S0’,S1’,S2’,S3’) とすると、このストークスパラメータS’は、次の式(4)で表される。
以下、移相子による偏光状態への影響を追跡する演算式を用いて、第3実施例の基本的な考え方を説明する。式(2)で表される既知の特性を有する移相子Cを光学系の途中に配置した場合、移相子Cの上流側の上流光学系を未知の移相子Aとして表すミューラー行列を次の式(5)で示すように[C(Γa)]とし、未知の移相子Aの進相軸方位をθaとすると、回転マトリクス[T(θa)]は次の式(6)で表される。
一方、移相子Cの下流側の下流光学系を未知の移相子Bとして表すミューラー行列を次の式(7)で示すように[C(Γb)]とし、未知の移相子Bの進相軸方位をθbとすると、回転マトリクス[T(θb)]は次の式(8)で表される。
入射光の偏光状態を表すストークスパラメータをS=(S0,S1,S2,S3) とし、既知の移相子Cの上流に配置された上流光学系(その未知の移相作用は[C(Γa)]で表される)を透過し、既知の移相子C(その移送作用は[C(Γ)]で表される)を透過し、既知の移相子Cの下流に配置された下流光学系(その未知の移相作用は[C(Γb)]で表される)を透過した出射光の偏光状態を表すストークスパラメータS’=(S0’,S1’,S2’,S3’)とすると、ストークスパラメータS’は以下の式(9)に示すミューラー行列で表される。
光学系の途中に配置する既知の移相子Cのリタデーション量Γや進相軸方位θを変えながら出射光の偏光状態の計測を行うと、式(9)に示すミューラー行列式が複数得られる。これらの複数のミューラー行列式は、未知の移相子Aのリタデーション量Γaおよびその進相軸方位θaと、未知の移相子Bのリタデーション量Γbおよびその進相軸方位θbとを求めることのできる連立方程式となり得る。すなわち、この連立方程式を解くことにより、既知の移相子Cの上流に配置された上流光学系を表す移相子Aのリタデーション量Γaおよびその進相軸方位θa、並びに既知の移相子Cの下流に配置された下流光学系を表す移相子Bのリタデーション量Γbおよびその進相軸方位θbをそれぞれ求め、ひいては上流光学系の偏光状態への影響、下流光学系の偏光状態への影響、および光学系全系(上流光学系+下流光学系)の偏光状態への影響を定量的に把握することができる。
ここで、直線偏光状態に限らず様々な入射偏光状態を維持したまま入射光と同じ出射偏光状態を得るには、上流光学系を表す移相子Aのリタデーション量Γaおよび下流光学系を表す移相子Bのリタデーション量Γbがともに0であることが必要条件になる。このように、既知の移相子Cの挿入位置を変えつつ出射光の偏光状態を計測し、上流光学系を表す移相子Aのリタデーション量Γaおよび下流光学系を表す移相子Bのリタデーション量Γbを求めることにより、光の偏光状態を所望の偏光状態から実質的に変化させる不具合のある部位(光学系部分)を特定(限定)することができるとともに、その部位を表す移相子のリタデーション量およびその進相軸方位を把握することが可能になる。
図9は、第3実施例にかかる調整機構の要部構成を概略的に示す図である。図10は、第3実施例の調整方法の工程を概略的に説明するフローチャートである。図9を参照すると、第3実施例の調整機構は、光源1とウェハ(被照射面)Wとの間の光路中(現実的には光源1とマスクMとの間の光路中)の所望位置に波長板(1/2波長板、1/4波長板など)17のような移相子を挿脱自在に配置し且つその光学軸の回転角度(すなわち移相子の進相軸方位)を変化させるための移相子挿脱駆動部23を備えている。移相子挿脱駆動部23は、制御部20からの指令にしたがって、光路中の複数の位置に選択的に波長板17を配置する。なお、波長板17に代えて、旋光子のような他の適当な移相子を用いることもできる。
第3実施例の調整方法では、図10に示すように、偏光測定部14を用いて、ウェハW(厳密には投影光学系PLの有効結像領域)に入射する照明光の偏光状態を測定する(S31)。測定工程(第1測定工程)S31では、照明光学装置の光学系(2〜PL)を通過した出射光の偏光状態を表すストークスパラメータが得られる。次いで、光源1とウェハWとの間の光路中の所望位置、たとえば図9に実線で示すようにマスクブラインド12の直前の位置(またはマスクブラインド12の直後の位置、あるいはマスクブラインド12上の位置)に、波長板17を所要の姿勢で挿入する(S32)。すなわち、制御部20は移相子挿脱駆動部23に指令を供給し、移相子挿脱駆動部23は制御部20からの指令にしたがって波長板17を所望位置に所要の姿勢で配置する。
次いで、光路中に挿入した波長板17の光学軸の回転角度(進相軸方位)を変化させつつ、少なくとも2つの回転角度位置においてウェハWを照明する光束の偏光状態を複数回測定する(S33)。測定工程(第2測定工程)S33では、挿入した波長板17を含む光学系(2〜PL)を通過した出射光の偏光状態を表すストークスパラメータが、変化する波長板17の進相軸方位毎に複数組得られる。次いで、測定工程S31の測定結果と測定工程S33の複数回の測定結果とに基づいて、波長板17の挿入位置(マスクブラインド12の位置)と光源1との間の上流光学系(第1光学系)の移相子としての偏光特性、および波長板17の挿入位置とウェハWとの間の下流光学系(第2光学系)の移相子としての偏光特性を算出する(S34)。
具体的に、特性算出工程S34では、上述したように、光学系(2〜PL)を通過した出射光の偏光状態に関する複数回の測定結果により、式(9)に示すようなミューラー行列式を複数得る。そして、特性算出工程S34では、これらの複数のミューラー行列式が形成する連立方程式を解くことにより、波長板17の移相子としての特性が既知であるから、既知の移相子としての波長板17の上流に配置された上流光学系(2〜11)を表す移相子Aのリタデーション量Γaおよびその進相軸方位θa、並びに波長板17の下流に配置された下流光学系(結像光学系13+投影光学系PL)を表す移相子Bのリタデーション量Γbおよびその進相軸方位θbをそれぞれ求め、ひいては上流光学系(2〜11)の偏光状態への影響および下流光学系(13,PL)の偏光状態への影響を定量的に把握する。
最後に、第3実施例の調整方法では、特性算出工程S34の算出結果に応じて、上流光学系(2〜11)または下流光学系(13,PL)を光学調整する(S35)。具体的に、調整工程S35では、上流光学系(2〜11)の移相子としてのリタデーション量Γaが0と実質的に異なる値である場合、上流光学系(2〜11)に偏光不具合があると判断し、上流光学系(2〜11)中の少なくとも1つの光学部材(ミラーを含む)を交換する。同様に、下流光学系(13,PL)の移相子としてのリタデーション量Γbが0と実質的に異なる値である場合、下流光学系(13,PL)に偏光不具合があると判断し、下流光学系(13,PL)中の少なくとも1つの光学部材(ミラーを含む)を交換する。この場合、計測や演算によって得られたリタデーション量が既知の光学部材を、リタデーション量のより小さい光学部材と交換する。
あるいは、直線偏光状態の光が通過するように設計された光学系では、入射直線偏光状態を変化させないために、入射光の偏光方向と上流光学系または下流光学系の進相軸方位とが直交又は平行になるように、上流光学系または下流光学系を光軸廻りに所定角度だけ回転させて位置決めする方法も可能である。あるいは、リタデーション量が0と実質的に異なる値となって偏光不具合があると判断された上流光学系または下流光学系中に、複屈折性を有する材料を加工して得られた移相子(波長板や旋光性をもつ光学部材)を挿入することにより偏光不具合を相殺(キャンセル)する方法も可能である。この種の相殺用移相子として、国際公開第WO2005/041277号パンフレットに開示された非球面波長板や、特願2005−120709号明細書および図面に提案された旋光子ユニット(可変旋光ユニット)などを用いることができる。
ここで、可変旋光ユニットは、入射する直線偏光に旋光角度を可変的に付与するための複数の可変旋光部材を有する。複数の可変旋光部材の各々は、旋光性を有する光学材料により形成され且つ光軸と交差する方向に沿って相対的に移動可能な2つの偏角プリズムを有する。2つの偏角プリズムは、互いに補完的なくさび状の断面形状を有し、結晶光学軸が光軸にほぼ平行になるように配置される。
なお、上述の説明では、同一の移相子を用いて偏光状態を複数回測定しているが、必要に応じて特性の異なる移相子に代えてさらに偏光状態の測定を行うこともできる。また、上述の説明では、マスクブラインドの直前の位置(または直後の位置、あるいはマスクブラインド上の位置)に移相子を配置して測定を行っているが、他の所望位置に移相子を挿入して第3実施例を実施することもできる。この場合、たとえば第1実施例の手法および第2実施例の手法のうちの少なくとも一方を用いて偏光不具合のある部位を特定し、その不具合のある部位の情報に基づいて移相子の挿入位置を決定することもできる。
また、移相子の挿入位置については、たとえばウェハWと光学的に共役な像共役位置、像共役位置の近傍、照明瞳面と光学的に共役な瞳共役位置、または瞳共役位置の近傍に、移相子を挿入することができる。具体的に、図9において破線で示すように、たとえばマスクMの直前の位置、結像光学系13の瞳またはその近傍、マイクロフライアイレンズ10の直前の位置または直後の位置などに、移相子を挿入することができる。
第3実施例では、工程S32にて移相子を所要の姿勢で挿入し、工程S33にて移相子を回転させながら少なくとも2つの回転角度位置で偏光計測を複数回行い、工程S34にてその結果を基にミューラー行列計算の連立方程式を解く特性算出工程を行っている。このため、第3実施例では、移相子挿入前の偏光計測(第1測定工程)S31を行う例を示したが、この測定工程S31は必須なものではない。この場合、例えば、移相子挿入前の入射と出射の偏光状態が明確であれば、上記式(9)で示すミューラー行列の方程式における[T(θ)]、[C(Γ)]、[T(−θ)]をなくした方程式が一つ得られるので、複数回の計測回数を減らす効果が期待できる。
上述の実施形態にかかる露光装置では、照明光学装置によってマスク(レチクル)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、上述の実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図11のフローチャートを参照して説明する。
先ず、図11のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、その1ロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、上述の実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
また、上述の実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図12のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図12において、パターン形成工程401では、上述の実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
なお、上述の実施形態では、露光光としてKrFエキシマレーザ光(波長:248nm)やArFエキシマレーザ光(波長:193nm)を用いているが、これに限定されることなく、他の適当なレーザ光源、たとえば波長157nmのレーザ光を供給するF2レーザ光源などに対して本発明を適用することもできる。さらに、上述の実施形態では、照明光学装置を備えた露光装置を例にとって本発明を説明したが、以外の被照射面を照明するための一般的な照明光学装置に本発明を適用することができることは明らかである。
1 光源
3 偏光状態切換部
4 回折光学素子
5 アフォーカルレンズ
7 偏光変換素子
8 円錐アキシコン系
9 ズームレンズ
10 マイクロフライアイレンズ
11 コンデンサー光学系
12 マスクブラインド
13 結像光学系
14 偏光測定部
15 偏光子
16 拡散部材
17 移相子
20 制御部
21 偏光子挿脱部
22 拡散部材挿脱部
23 移相子挿脱駆動部
M マスク
PL 投影光学系
W ウェハ
3 偏光状態切換部
4 回折光学素子
5 アフォーカルレンズ
7 偏光変換素子
8 円錐アキシコン系
9 ズームレンズ
10 マイクロフライアイレンズ
11 コンデンサー光学系
12 マスクブラインド
13 結像光学系
14 偏光測定部
15 偏光子
16 拡散部材
17 移相子
20 制御部
21 偏光子挿脱部
22 拡散部材挿脱部
23 移相子挿脱駆動部
M マスク
PL 投影光学系
W ウェハ
Claims (24)
- 光源からの光束に基づいて被照射面を照明する照明光学装置の調整方法において、
前記被照射面を照明する光束の偏光状態を測定する第1測定工程と、
前記第1測定工程の後に、前記光源と前記被照射面との間の光路中の所望位置に偏光子を所要の姿勢で挿入する挿入工程と、
前記偏光子を挿入した後に、前記被照射面を照明する光束の偏光状態を測定する第2測定工程と、
前記第1測定工程の測定結果と前記第2測定工程の測定結果とに基づいて、前記所望位置と前記光源との間の光学系の不具合を判断する判断工程とを含むことを特徴とする調整方法。 - 前記挿入工程では、前記偏光子として、偏光ビームスプリッターまたはグラントムソンプリズムを挿入することを特徴とする請求項1に記載の調整方法。
- 前記判断工程の判断結果に応じて、前記所望位置と前記光源との間の光学系を光学調整する調整工程をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の調整方法。
- 前記判断工程の判断結果に応じて、前記所望位置と前記光源との間の光学系を光学調整する調整工程をさらに含み、
前記調整工程は、前記所望位置と前記光源との間の光学系中の少なくとも1つの光学部材を交換することを特徴とする請求項1または2に記載の調整方法。 - 光源からの光束に基づいて照明瞳面上に瞳光強度分布を形成し、該照明瞳面を通過した光束を用いて被照射面を照明する照明光学装置の調整方法において、
前記瞳光強度分布の偏光状態が所望の偏光状態に近づくように前記瞳光強度分布の形状を小さく設定する設定工程と、
前記設定工程の後に、前記光源と前記被照射面との間の光路中の所望位置に拡散部材を挿入する挿入工程と、
前記拡散部材を挿入した後に、前記瞳光強度分布の偏光状態を測定する測定工程と、
前記測定工程の測定結果に基づいて、前記所望位置と前記被照射面との間の光学系の不具合を判断する判断工程とを含むことを特徴とする調整方法。 - 前記挿入工程では、前記被照射面の近傍、前記被照射面と光学的に共役な共役位置、または該共役位置の近傍に、前記拡散部材を挿入することを特徴とする請求項5に記載の調整方法。
- 前記判断工程の判断結果に応じて、前記所望位置と前記被照射面との間の光学系を光学調整する調整工程をさらに含むことを特徴とする請求項5または6に記載の調整方法。
- 前記判断工程の判断結果に応じて、前記所望位置と前記被照射面との間の光学系を光学調整する調整工程をさらに含み、
前記調整工程は、前記所望位置と前記被照射面との間の光学系中の少なくとも1つの光学部材を交換することを特徴とする請求項5または6に記載の調整方法。 - 光源からの光束に基づいて被照射面を照明する照明光学装置の調整方法において、
前記光源と前記被照射面との間の光路中の所望位置に移相子を所要の姿勢で挿入する挿入工程と、
前記移相子を挿入した後に、前記移相子の光学軸の回転角度を変化させつつ少なくとも2つの回転角度位置において前記被照射面を照明する光束の偏光状態を複数回測定する測定工程と、
前記測定工程の複数回の測定結果に基づいて、前記所望位置と前記光源との間の第1光学系の移相子としての偏光特性および前記所望位置と前記被照射面との間の第2光学系の移相子としての偏光特性を算出する特性算出工程とを含むことを特徴とする調整方法。 - 前記特性算出工程の算出結果に応じて、前記第1光学系または前記第2光学系を光学調整する調整工程をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の調整方法。
- 前記調整工程は、前記第1光学系中の少なくとも1つの光学部材または前記第2光学系中の少なくとも1つの光学部材を交換する交換工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の調整方法。
- 前記調整工程は、前記第1光学系または前記第2光学系を光軸廻りに所定角度だけ回転させて位置決めする回転工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の調整方法。
- 前記挿入工程では、前記移相子として、波長板または旋光子を挿入することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の調整方法。
- 前記挿入工程では、前記被照射面の近傍、前記被照射面と光学的に共役な像共役位置、該像共役位置の近傍、照明瞳面と光学的に共役な瞳共役位置、または該瞳共役位置の近傍に、前記移相子を挿入することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の調整方法。
- 請求項1乃至14のいずれか1項に記載の調整方法により調整されたことを特徴とする照明光学装置。
- 光源からの光束に基づいて被照射面を照明する照明光学装置において、
前記被照射面を照明する光束の偏光状態を測定するための偏光測定部と、
前記光源と前記被照射面との間の光路中の複数の位置に選択的に偏光子を挿脱自在に配置するための偏光子挿脱部とを備えていることを特徴とする照明光学装置。 - 前記偏光子は、偏光ビームスプリッターまたはグラントムソンプリズムであることを特徴とする請求項16に記載の照明光学装置。
- 光源からの光束に基づいて照明瞳面上に瞳光強度分布を形成し、該照明瞳面を通過した光束を用いて被照射面を照明する照明光学装置において、
前記瞳光強度分布の形状の大きさを変更するための形状変更部と、
前記瞳光強度分布の偏光状態を測定する偏光測定部と、
前記光源と前記被照射面との間の光路中の複数の位置に選択的に拡散部材を挿脱自在に配置するための拡散部材挿脱部とを備えていることを特徴とする照明光学装置。 - 前記拡散部材挿脱部は、前記被照射面の近傍、前記被照射面と光学的に共役な共役位置、または該共役位置の近傍に、前記拡散部材を挿入することを特徴とする請求項18に記載の照明光学装置。
- 光源からの光束に基づいて被照射面を照明する照明光学装置において、
前記被照射面を照明する光束の偏光状態を測定するための偏光測定部と、
前記光源と前記被照射面との間の光路中の複数の位置に選択的に移相子を挿脱自在に配置し且つ前記移相子の光学軸の回転角度を変化させるための移相子挿脱駆動部とを備えていることを特徴とする照明光学装置。 - 前記移相子挿脱駆動部は、前記被照射面の近傍、前記被照射面と光学的に共役な像共役位置、該像共役位置の近傍、照明瞳面と光学的に共役な瞳共役位置、または該瞳共役位置の近傍に、前記移相子を挿入することを特徴とする請求項20に記載の照明光学装置。
- 前記移相子は、波長板または旋光子であることを特徴とする請求項20または21に記載の照明光学装置。
- 所定のパターンを照明するための請求項1乃至22のいずれか1項に記載の照明光学装置と、前記所定のパターンの像を感光性基板上に形成するための投影光学系とを備えていることを特徴とする露光装置。
- 請求項1乃至22のいずれか1項に記載の照明光学装置を介して所定のパターンを照明し、照明された前記パターンを投影光学系により感光性基板に露光する露光工程と、
前記露光工程により露光された前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするデバイスの製造方法。
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