JP2007048583A - X線発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 回転対陰極を備えたX線発生装置において、高輝度のポイントフォーカス用X線を得る。
【解決手段】 回転対陰極1は、回転軸2を対称軸とする裁頭円錐状となっている。電子線照射手段5は、回転対陰極1の外周面側の所定の2箇所に配置された2つのフィラメント6を備えている。そして、2つのフィラメント6から放出された電子線を回転対陰極1の外周面の2箇所に照射すると、この2箇所の照射部で発生した2本のポイントフォーカス用X線7が回転対陰極1の裁頭円錐の仮想頂点4よりも外側の交差点8で交差する。したがって、交差点8でのX線強度は2倍となり、高輝度のポイントフォーカス用X線を得ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 回転対陰極1は、回転軸2を対称軸とする裁頭円錐状となっている。電子線照射手段5は、回転対陰極1の外周面側の所定の2箇所に配置された2つのフィラメント6を備えている。そして、2つのフィラメント6から放出された電子線を回転対陰極1の外周面の2箇所に照射すると、この2箇所の照射部で発生した2本のポイントフォーカス用X線7が回転対陰極1の裁頭円錐の仮想頂点4よりも外側の交差点8で交差する。したがって、交差点8でのX線強度は2倍となり、高輝度のポイントフォーカス用X線を得ることができる。
【選択図】 図1
Description
この発明は、回転対陰極を備えたX線発生装置に関する。
従来の回転対陰極を備えたX線発生装置には、円筒状の回転対陰極を回転させ、回転対陰極の外周面側に配置されたフィラメントから放出された電子線を回転対陰極の外周面に照射させ、この照射部からX線を発生させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。この場合、X線の取り出し方向により、点状のポイントフォーカス用X線および線状のラインフォーカス用X線が取り出される。このうち、ポイントフォーカス用X線は、試料の微小部を分析するためのX線源等として利用される。
しかしながら、上記従来のX線発生装置では、フィラメントから放出された電子線の円筒形状の回転対陰極の外周面に対する照射部が1箇所であるので、特に、この照射部から取り出されたポイントフォーカス用X線のX線強度が十分に大きいとはいえず、高輝度のポイントフォーカス用X線が得られないという問題があった。
このため、試料の微小部を分析するためのポイントフォーカス用X線として高輝度のものが要求される場合には、上記特許文献1には記載がないが、全反射コリメータあるいはフレネルゾーンプレートを用いてポイントフォーカス用X線を集光する方法を採用することがあるが、全反射コリメータの全反射効率、フレネルゾーンプレートの透過率が50%程度と低いこともあって、依然として、高輝度のポイントフォーカス用X線が得られないという問題があった。
そこで、この発明は、高輝度のポイントフォーカス用X線を得ることができるX線発生装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するため、回転軸を中心に回転可能に設けられた回転対陰極の外周面に電子線照射手段から電子線を照射し、この電子線の照射された前記回転対陰極の外周面からX線を発生させるようにしたX線発生装置において、前記回転対陰極は前記回転軸を対称軸とする裁頭円錐状であり、前記電子線照射手段は前記回転対陰極の外周面側の複数箇所に配置された複数のフィラメントを備えていて且つ電子線を前記回転対陰極の外周面上の複数箇所に照射するようになっており、ポイントフォーカス用X線の取り出し方向は前記回転対陰極の裁頭円錐の仮想頂点側であることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記目的を達成するため、回転軸を中心に回転可能に設けられた回転対陰極の外周面に電子線照射手段から電子線を照射し、この電子線の照射された前記回転対陰極の外周面からX線を発生させるようにしたX線発生装置において、前記回転対陰極は前記回転軸を対称軸とする裁頭円錐状であり、前記電子線照射手段は前記回転対陰極の外周面側に1つ以上のフィラメントを備え、前記フィラメントは該フィラメントが配設される1つ以上の配設線に沿って連続して配設されていて且つ電子線を前記回転対陰極の外周面上の1箇所以上の領域に照射するようになっており、ポイントフォーカス用X線の取り出し方向は前記回転対陰極の裁頭円錐の仮想頂点側であることを特徴とするものである。
これらの発明によれば、回転対陰極は回転軸を対称軸とする裁頭円錐状であり、電子線照射手段が備える複数箇所に配置された複数のフィラメントからの電子線を回転対陰極の外周面上の複数箇所に照射させて、または、電子線照射手段が1つ以上の配設線に沿って連続して配設された1つ以上のフィラメントを備えていて該フィラメントからの電子線を外周面上の1箇所以上の領域に照射させて、この複数箇所の照射部または1箇所以上の領域で発生したX線のうちのポイントフォーカス用X線の取り出し方向を回転対陰極の裁頭円錐の仮想頂点側としているので、複数箇所の照射部または1箇所以上の領域で発生したポイントフォーカス用X線が回転対陰極の裁頭円錐の仮想頂点側で交差し、この交差部におけるX線強度が数倍となり、したがって高輝度のポイントフォーカス用X線を得ることができる。
(第1実施形態)
図1はこの発明の第1実施形態としてのX線発生装置の要部の斜視図を示す。このX線発生装置は真空用筐体(図示せず)を備え、この真空用筐体内には回転対陰極1が回転軸2を中心に回転可能に設けられている。回転対陰極1は、回転軸2を対称軸とする裁頭円錐状となっている。
図1はこの発明の第1実施形態としてのX線発生装置の要部の斜視図を示す。このX線発生装置は真空用筐体(図示せず)を備え、この真空用筐体内には回転対陰極1が回転軸2を中心に回転可能に設けられている。回転対陰極1は、回転軸2を対称軸とする裁頭円錐状となっている。
回転対陰極1の裁頭円錐の仮想頂点側における真空用筐体のX線透過窓には、ベリリウム(Be)箔等のX線透過率の高い材料からなるX線透過膜3が設けられている。ここで、回転対陰極1の裁頭円錐の外周面(母線)の仮想頂点側への延長は、図1において点線で示すようになり、その交点が仮想頂点4となる。この場合、仮想頂点4は、X線透過膜3の外側に位置するが、X線透過膜3の内側に位置するようにしてもよい。
回転対陰極1の外周面側には、回転対陰極1の外周面の複数箇所例えば2箇所に電子線を照射するための電子線照射手段5が設けられている。電子線照射手段5は、回転対陰極1の外周面側の所定の2箇所に配置された2つのフィラメント6を備えている。この場合、フィラメント6は、タングステン線をコイル状に巻いたものからなっている。また、フィラメント6は、回転対陰極1の外周面側において回転軸2を中心とする同一円周上において2回対称となる位置に配置され、且つ、回転対陰極1の裁頭円錐の外周面の母線に平行するように配置されている。
そして、このX線発生装置では、真空用筐体内を真空状態とし、且つ、回転対陰極1が回転軸2と共に回転している状態において、2つのフィラメント6から放出された電子線が回転対陰極1の外周面の所定の2回対称となる箇所に照射されると、この2箇所の電子線が照射される部分(照射部)からX線が発生する。この2箇所の照射部で発生したX線のうちのポイントフォーカス用X線7は、回転対陰極1の裁頭円錐の仮想頂点4側に取り出し角θで取り出される。
この取り出された2つのポイントフォーカス用X線7は、X線透過膜3を透過し、X線透過膜3の外側の図1において符号8で示す交差点において交差する。この交差点8は、取り出し角θの関係で、仮想頂点4よりも外側に位置する。そして、交差点8では、2つのポイントフォーカス用X線7が交差しているので、X線強度が2倍となり、したがって高輝度のポイントフォーカス用X線を得ることができる。ここで、交差点8は、試料の分析すべき微小部へのポイントフォーカス用X線の照射部となる。
ところで、回転対陰極1の外周面に照射されたX線のエネルギーは回転対陰極1内でほとんど熱として消費され、回転対陰極1が高温となるため、回転対陰極1を強制冷却する必要がある。このため、図1では詳細に図示していないが、回転対陰極1および回転軸2は共に内部を空洞とされた構造となっている。
そして、回転軸2内に回転不能に挿通された冷却水用配管と回転軸2との間の空間と冷却水用配管内の空間とのうちのいずれか一方の空間を介して供給された冷却水が回転対陰極1の内部に導入され、この導入された冷却水が他方の空間を介して排出され、これにより、回転対陰極1を強制冷却するようになっている。
なお、電子線照射手段5は、回転対陰極1の外周面側の3箇所以上に配置された3つ以上のフィラメント6を備えていてもよい。この場合、3つ以上のフィラメント6は、回転対陰極1の外周面側において回転軸2を中心とする同一円周上に配置するようにしてもよく、また回転対陰極1の外周面側においてn(3以上の整数)回対称となる位置に配置するようにしてもよい。
(第2実施形態)
図2はこの発明の第2実施形態としてのX線発生装置の要部の斜視図を示す。このX線発生装置において、図1に示すX線発生装置と異なる点は、電子線照射手段5に、回転対陰極1の外周面側に回転軸2に中心を有する円周をフィラメント6が配設される仮想の配設線とし、この配設線に沿って連続して配設された1つのフィラメント6(リング状のフィラメント)を備えさせた点である。
図2はこの発明の第2実施形態としてのX線発生装置の要部の斜視図を示す。このX線発生装置において、図1に示すX線発生装置と異なる点は、電子線照射手段5に、回転対陰極1の外周面側に回転軸2に中心を有する円周をフィラメント6が配設される仮想の配設線とし、この配設線に沿って連続して配設された1つのフィラメント6(リング状のフィラメント)を備えさせた点である。
そして、このX線発生装置では、リング状のフィラメント6から放出された電子線が回転対陰極1の外周面の回転軸2を中心とする所定の円周を含む環状または帯状の領域に照射されると、この照射部からX線が発生する。この照射部で発生したX線のうちのポイントフォーカス用X線7は、回転対陰極1の裁頭円錐の仮想頂点4側に取り出し角θで取り出され、X線透過膜3を透過して交差点8において交差する。この場合、交差点8では、多数のポイントフォーカス用X線7が交差するので、X線強度がかなり大きくなり、より一層高輝度のポイントフォーカス用X線を得ることができる。
なお、フィラメント6は、必ずしも回転軸2に中心を有する円周に沿ってのみ配設される必要はなく、回転対陰極1の外周面側において回転軸2に中心を有する円周を中心として蛇行する蛇行曲線を仮想の配設線として、これに沿って配設するようにしてもよい。また、フィラメント6は、回転対陰極1の外周面側において2つ以上の異なる配設線に沿ってそれぞれ1つ以上配設して、電子線が回転対陰極1の外周面上の2箇所以上の領域に照射されるようにしてもよい。
これらの変形例では、上記第2実施形態と比べて回転対陰極1上における電子線が照射される領域がより広くなるので、交差点8におけるX線強度がより大きくなり、さらにより一層高輝度のポイントフォーカス用X線を得ることができる。また上記の何れの実施例や変形例においても、フィラメント6は、円周または蛇行曲線である配設線に沿って1つの配設線につき2つ以上配設するようにしてもよく、また、回転対陰極1の外周面側において回転軸2に重心を有する正多角形を仮想の配設線として、これに沿って配設するようにしてもよい。
1 回転対陰極
2 回転軸
3 X線透過膜
4 仮想頂点
5 電子線照射手段
6 フィラメント
7 ポイントフォーカス用X線
8 X線交差点
2 回転軸
3 X線透過膜
4 仮想頂点
5 電子線照射手段
6 フィラメント
7 ポイントフォーカス用X線
8 X線交差点
Claims (7)
- 回転軸を中心に回転可能に設けられた回転対陰極の外周面に電子線照射手段から電子線を照射し、この電子線の照射された前記回転対陰極の外周面からX線を発生させるようにしたX線発生装置において、前記回転対陰極は前記回転軸を対称軸とする裁頭円錐状であり、前記電子線照射手段は前記回転対陰極の外周面側の複数箇所に配置された複数のフィラメントを備えていて且つ電子線を前記回転対陰極の外周面上の複数箇所に照射するようになっており、ポイントフォーカス用X線の取り出し方向は前記回転対陰極の裁頭円錐の仮想頂点側であることを特徴とするX線発生装置。
- 請求項1に記載の発明において、前記複数のフィラメントは、前記回転対陰極の外周面側において前記回転軸を中心とする同一円周上に配置されていることを特徴とするX線発生装置。
- 請求項2に記載の発明において、前記複数のフィラメントは、前記回転対陰極の外周面側において複数回対称となる位置に配置されていることを特徴とするX線発生装置。
- 回転軸を中心に回転可能に設けられた回転対陰極の外周面に電子線照射手段から電子線を照射し、この電子線の照射された前記回転対陰極の外周面からX線を発生させるようにしたX線発生装置において、前記回転対陰極は前記回転軸を対称軸とする裁頭円錐状であり、前記電子線照射手段は、前記回転対陰極の外周面側に1つ以上のフィラメントを備え、前記フィラメントは該フィラメントが配設される1つ以上の配設線に沿って連続して配設されていて且つ電子線を前記回転対陰極の外周面上の1箇所以上の領域に照射するようになっており、ポイントフォーカス用X線の取り出し方向は前記回転対陰極の裁頭円錐の仮想頂点側であることを特徴とするX線発生装置。
- 請求項4に記載の発明において、前記配設線は、前記回転対陰極の外周面側において前記回転軸を中心とする円周、当該円周を中心として蛇行する蛇行曲線または前記回転軸に重心を有する多角形であることを特徴とするX線発生装置。
- 請求項5に記載の発明において、前記フィラメントは、前記回転対陰極の外周面側において2つ以上の異なる前記配設線に沿ってそれぞれ1つ以上配設されていることを特徴とするX線発生装置。
- 請求項4〜6の何れか一項に記載の発明において、前記フィラメントは、1つの前記配設線につき2つ以上配設されていることを特徴とするX線発生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005231516A JP2007048583A (ja) | 2005-08-10 | 2005-08-10 | X線発生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008288159A (ja) * | 2007-05-21 | 2008-11-27 | Dialight Japan Co Ltd | X線管 |
EP3696845A1 (en) * | 2019-02-12 | 2020-08-19 | Malvern Panalytical B.V. | X-ray tube and x-ray analysis system |
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2005
- 2005-08-10 JP JP2005231516A patent/JP2007048583A/ja active Pending
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US11315749B2 (en) | 2019-02-12 | 2022-04-26 | Malvern Panalytical B.V. | X-ray tube and X-ray analysis system |
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CN111564350B (zh) * | 2019-02-12 | 2024-05-24 | 马尔文帕纳科公司 | X射线管和x射线分析*** |
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