JP2007046995A - 微細金属構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高温下、長期間の応力付加に対しても形状の安定性が高く、バネ弾性を維持する微細金属構造体を提供する。
【解決手段】 本発明の微細金属構造体は、リソグラフィまたは金型により樹脂型を形成する工程と、導電性基板上で、樹脂型に金属材料からなる層を電鋳により形成する工程と、樹脂型を除去する工程と、導電性基板を除去する工程とを備える方法により製造される構造体であって、金属材料は、Niを50質量%以上含み、Rh,Pt,Ru,ReとWとからなる群より選ばれる少なくとも1種をNiに対する固溶限以下の割合で含むNi基合金であり、ある局面によれば、電鋳後、固溶化熱処理をすることを特徴とする。また、別の局面によれば、金属材料は、電鋳後の加熱処理により、X線回折法で単相のNi固溶体に由来する回折ピークを呈することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の微細金属構造体は、リソグラフィまたは金型により樹脂型を形成する工程と、導電性基板上で、樹脂型に金属材料からなる層を電鋳により形成する工程と、樹脂型を除去する工程と、導電性基板を除去する工程とを備える方法により製造される構造体であって、金属材料は、Niを50質量%以上含み、Rh,Pt,Ru,ReとWとからなる群より選ばれる少なくとも1種をNiに対する固溶限以下の割合で含むNi基合金であり、ある局面によれば、電鋳後、固溶化熱処理をすることを特徴とする。また、別の局面によれば、金属材料は、電鋳後の加熱処理により、X線回折法で単相のNi固溶体に由来する回折ピークを呈することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)などを構成する微細金属構造体に関し、特に、バネ弾性に優れ、長期間の応力付加に対し形状の変化が少ないコンタクトプローブおよびこのコンタクトプローブを備えるプローブカードまたは検査装置に関する。
ICおよびLSIなどの半導体装置または液晶表示装置などに形成される回路の良否を検査するウェハテストは、一般に、コンタクトプローブを備える検査装置を用いて行なわれる。このコンタクトプローブには、たとえば、図2および図3に示すようなものがある(特許文献1参照)。コンタクトプローブは、図2に示すように、被測定面20に接触させるための先端部21と、検査装置にコンタクトプローブを取り付ける際にコンタクトプローブを支持し、電気的接続をするための支持部23と、先端部21を支持部23に接続し、バネ弾性を有するバネ部22とを備える。
図3に示すコンタクトプローブも、同様に、被測定面30に接触させるための先端部31と、バネ部32と、コンタクトプローブを支持するための支持部33とを備えるが、バネ部32の形状が、図2に示すコンタクトプローブのバネ部22と異なる。バネ部の形状は、図2および図3に示すような1回湾曲しただけのものに限らず、S字形または波形のものもある。このようなコンタクトプローブを基板上に多数本セットしたものがプローブカードであり、半導体装置などの回路に合わせて作製されたプローブカードが検査装置に取付けられる。
検査においては、コンタクトプローブを被測定面に押し当て、バネ部の弾性を利用して、被測定面上に形成された自然酸化膜やレジスト残留物などの絶縁膜を破り、その下に隠れた電極材料と電気的接触を確保する必要がある。また、検査は、加速試験により短時間で不良品を取除くため、半導体装置または液晶表示装置などの通常の動作温度より高温である150℃〜200℃の雰囲気下で行なわれる。この検査は、バーンインテストと呼ばれ、検査に使用するコンタクトプローブには、高温下でもバネ特性を高く維持し、長時間の応力付加によっても変形しない特性が要求される。
バーンインテストなどの検査に使用されるコンタクトプローブには、従来より種々の態様が知られており、たとえば、Ni−W合金からなり、Wの比率を5重量%〜30重量%とするコンタクトプローブがある(特許文献2参照)。このコンタクトプローブは、合金をナノ構造とすることにより耐磨耗性を高めることができ、図6に示すように、胴部61の断面を正方形または長方形としたものは、バネ強度が高いとある。また、同文献には、このようなコンタクトプローブとして、テーパー部62を介して、楔形状の先端部63を有する例が紹介されている。
特開2003−254995号公報
特開2001−116765号公報
従来、高弾性のNi系微細構造体は、Niのメッキ浴に光沢剤を配合して電鋳により製造されている。光沢剤としては、2−ブチン−1,4−ジオールなどの炭素−炭素不飽和結合を有する有機系光沢剤のほか、サッカリンなどのSを含有する有機系光沢剤を添加し、CやSを共析されることで内部歪を増大させ、電流密度を3A/dm2程度以上に設定することにより、結晶粒径を数10ナノメートルオーダーに小さくし、転移点などの欠陥を導入して、高強度および高弾性を得ている。この微細構造体は、材料の初期強度は大きいが、転移密度と内部歪が大きいため、高温雰囲気下での長期間の応力付加により経時的な変形を生じやすい。このような弾性限界内での応力付加による経時的な変形を抑制するため、内部歪を除去する目的で焼鈍処理を施すことができるが、Ni系高弾性微細構造体は、CまたはSなどの過飽和な状態を利用して弾性率を向上させているので、焼鈍によりCまたはSが結晶粒界に吐き出されると、弾性率が低下する。また、CまたはSが粒界に偏析し、さらに酸化すると、脆化を引き起こす。
本発明の課題は、高温下、長期間の応力付加に対しても形状の安定性が高く、バネ弾性を維持する微細金属構造体を提供することにある。また、このような微細金属構造体を備えるプローブカードおよび検査装置を提供することにある。
本発明の微細金属構造体は、リソグラフィまたは金型により樹脂型を形成する工程と、導電性基板上で、樹脂型に金属材料からなる層を電鋳により形成する工程と、樹脂型を除去する工程と、導電性基板を除去する工程とを備える方法により製造される構造体であって、金属材料は、Niを50質量%以上含み、Rh,Pt,Ru,ReとWとからなる群より選ばれる少なくとも1種をNiに対する固溶限以下の割合で含むNi基合金であり、ある局面によれば、電鋳後、固溶化熱処理をすることを特徴とする。また、別の局面によれば、金属材料は、電鋳後の加熱処理により、X線回折法で単相のNi固溶体に由来する回折ピークを呈することを特徴とする。
この微細金属構造体は、被測定面に接触する先端部と、支持および電気的接続を行なう支持部と、先端部を支持部に接続するバネ部を備えるコンタクトプローブである態様が好ましく、本発明のプローブカードまたは検査装置は、かかるコンタクトプローブを備えることを特徴とする。
本発明の微細金属構造体は、バネ弾性に優れ、長期間の応力付加に対して高温下でも寸法変化が小さい。
本発明の微細金属構造体は、リソグラフィまたは金型により樹脂型を形成し、導電性基板上で樹脂型に金属材料からなる層を電鋳により形成した後、樹脂型と導電性基板を除去する方法により製造され、金属材料がNiを50質量%以上含み、Rh,Pt,Ru,ReとWとからなる群より選ばれる少なくとも1種をNiに対する固溶限以下の割合で含むNi基合金であり、電鋳後、固溶化熱処理をすることを特徴とする。強度および硬度を向上させるために、何らかの第2層を析出させる方法があるが、析出強化型の合金系では、析出粒子が加熱により成長または移動し、分散状態および析出粒子の大きさの均一性により特性が変化し、安定な品質が得られない。したがって、長期間にわたり弾性限界内の応力を付加することにより形状が変形し、破壊する現象(以下、この現象を「クリープ」ともいう。)を抑制し、高い弾性率を維持するためには、析出強化型の合金系では不適当であり、固溶強化型の合金が好ましい。
電鋳が可能な金属としては、Ni,Cu,Zn,Snおよび貴金属があるが、高強度であり、電鋳時の陰極効率が高い点でNiが好ましい。しかし、純Niの電鋳物では、CまたはSを過飽和に取り込んだ構造体以外では硬度が不充分であるため、合金化による強化が必要である。母材であるNiに配合する金属は、固溶強化能を高く維持するためには、配合する金属の原子半径がNiの原子半径と大きく異なる金属とする必要がある。本発明のNi基合金は、Niの原子半径と大きく異なり、固溶限が大きい観点から、Rh,Pt,Ru,Re,Wからなる群より選ばれる合金元素を少なくとも1種を、Niに対する固溶限以下の割合で含有する。Rh,Pt,Ru,ReとWについて、Niの原子半径を1としたときの原子半径の比率を表1に示す。また、600℃でのNiに対する固溶限を表1に示す。特に、Wは、Niに対する固溶限が広く、固溶強化能が高い点で好ましい。
Ni基合金がNiWであるときは、合金化による十分な強化能を得る点で、Wの含有量は1質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましい。一方、高温で長期間にわたり使用する場合でも金属間化合物の析出がなく、機械特性を維持する固溶強化が可能である点で、Wの含有量は、16.8質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましい。
電鋳で形成した金属構造体は、熱力学的に準安定相を形成するため、たとえば、NiW合金では、Ni原子とW原子がランダムに島状に分散した構造を持ち、X線回折法で観測すると、アモルファスとしてピークが検出されないか、またはNiのピークとWのピークとが別々に検出される。一方、固溶体になると、Ni固溶体に基づく単相の回折ピークが検出される。本発明では、電鋳後、固溶化熱処理をすることを特徴とし、電鋳後の加熱処理により、金属構造体は、X線回折法で観測すると、単相のNi固溶体に由来する回折ピークを呈する。
図1に固溶化熱処理前後のNiW合金のX線回折データを示す。図1(a)は、固溶化熱処理前のX線回折データであり、ピーク11,12はWに由来し、他のピークはNiに由来する。図1(b)は、固溶化熱処理後のX線回折データであり、図1(b)に示すように、固溶化熱処理によりピーク11,12が消失し、単相のNi固溶体に由来する回折ピークを呈する。加熱処理条件は、NiW合金を含め、固溶金属種によらず、Ni基合金を十分に固溶化させるため、300℃以上が好ましく、370℃以上がより好ましい。同様の観点から、処理時間は、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。固溶化熱処理は、電鋳後であれば、樹脂型または導電性基板を除去する前でも有効であるが、樹脂型および導電性基板を除去した後に固溶化熱処理をする方が加熱効率が高く、均一な構造体を得やすい。
NiWの電鋳においては、Ni源として硫酸ニッケル、塩化ニッケルまたはスルファミン酸ニッケルなどが使用でき、W源としてはタングステンナトリウムまたは酸化タングステンなどが使用できる。これらを含む水溶液にピット防止剤として少量の界面活性剤とクエン酸などのカルボン酸系錯化剤およびpH調整剤としてアンモニアなどを加えて電鋳を行なう。また、通常、Niメッキなどに使用される光沢剤を除くメッキ浴により電鋳が可能である。光沢剤とは、アルカンスルホン酸、スルホ安息香酸イミドなどのSを含む有機化合物、またはブチンジオールに代表される炭素−炭素不飽和結合を有する有機化合物である。これらの化合物は、電鋳中に分解され、CまたはSとなって、合金中に取り込まれる。電鋳により生成したNiには、CまたはSが過飽和状態で含まれ、加熱または応力付加によって粒界に吐き出され、弾性率の低下を引き起こす原因となる。したがって、加熱および応力付加による弾性率の変動を抑制する点で、粒界に吐き出される可能性があるNiと固溶元素以外の不純物の合計含有率は、C,Sを含めて、1000ppm以下が好ましく、200ppm以下がより好ましい。不純物の中でも、特にCとSについては、それぞれ500ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましい。ピット防止に使用される界面活性剤からも極微量のCまたはカルボニル基が合金中に混入するが、Niと合金元素であるRh,Pt,Ru,ReとW以外の不純物が100ppm以下であるときは、弾性率の低下またはクリープ特性は特に問題とならないことが多い。
微細金属構造体は、Au,Ag,Cu,Ru,Ir,Pt,Rh,PdとCoとからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むコート層を有すると、導電性を高めることができる点で好ましい。Au,AgもしくはCuまたはAu合金,Ag合金もしくはCu合金は、導電性が高く、熱伝導性も高いため、抵抗発熱を抑えるとともに、発生した熱を逃がしやすく、許容電流値の向上に寄与する。Rhは、Pt族の中で最も比抵抗率が低く、高硬度で耐磨耗性が良好である点で好ましい。Ruは、導電性および硬度などにおいてRhと同等の特性を有し、加えてコストが安い点で有用である。Rh合金およびPd−Co合金も同様に、高い導電性と耐磨耗性の双方を有する。Rh合金としては、硬度および耐熱性の向上の観点から、Pt、Irなどとの合金が好適である。合金の組成比は、Rhの10質量%以下の割合で配合する態様が好ましい。一方、Pd−Co合金の組成比は、導電性を高める観点から、Pdに対して5質量%〜25質量%の割合でCoを配合する態様が好ましい。コート層の厚さは、十分な導電性を確保する点で0.05μm〜1μmが好ましい。
本発明の微細金属構造体は、高温下においても優れたクリープ耐性を奏し、弾性率を維持するため、コンタクトプローブとして有用であり、このコンタクトプローブを備えるプローブカードおよび検査装置は、バーンインテストにおいても耐久性に優れ、信頼性が高い。
実施の形態1
本実施の形態においては、リソグラフィにより樹脂型を形成する工程と、導電性基板上で樹脂型に金属材料からなる層を電鋳により形成する工程と、樹脂型を除去する工程と、導電性基板を除去する工程とを備える方法により製造し、金属材料は、Niを50質量%以上含み、Rh,Pt,Ru,ReとWとからなる群より選ばれる少なくとも1種をNiに対する固溶限以下の割合で含むNi基合金であり、電鋳後、固溶化熱処理をすることにより微細金属構造体を製造する。この微細金属構造体は、特に、バネ弾性と耐クリープ性に優れる。
本実施の形態においては、リソグラフィにより樹脂型を形成する工程と、導電性基板上で樹脂型に金属材料からなる層を電鋳により形成する工程と、樹脂型を除去する工程と、導電性基板を除去する工程とを備える方法により製造し、金属材料は、Niを50質量%以上含み、Rh,Pt,Ru,ReとWとからなる群より選ばれる少なくとも1種をNiに対する固溶限以下の割合で含むNi基合金であり、電鋳後、固溶化熱処理をすることにより微細金属構造体を製造する。この微細金属構造体は、特に、バネ弾性と耐クリープ性に優れる。
耐クリープ性を高めるためには、材料中の内部歪および転位密度を減少させる方法があるが、この方法によりバネ弾性が低下する。本実施の形態では、母材であるNiと原子半径が大きく異なるRh,Pt,Ru,ReまたはWなどを固溶限以下の割合で含むNi基合金を固溶化熱処理することにより、高い弾性率を維持し、クリープを抑制する微細金属構造体を製造するできる。また、Ni母材と固溶元素以外の不純物を100ppm以下とすることにより耐クリープ性を高めることができる。
図4(a)に示すように、まず、導電性基板41上に樹脂層42を形成する。導電性基板として、たとえば、Cu、Ni、ステンレス鋼などからなる金属製基板を使用することができる。また、Ti、Crなどの金属材料をスパッタリングしたSi基板などを用いることもできる。樹脂層には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのポリメタクリル酸エステルを主成分とする樹脂材料、または紫外線(UV)もしくはX線に感受性を有する化学増幅型樹脂材料などを用いる。樹脂層の厚さは、形成しようとするコンタクトプローブの厚さに合せて任意に設定することができ、たとえば、40μm〜500μmとすることができる。
つぎに、樹脂材料42上にマスク43を配置し、マスク43を介してUVまたはX線44などを照射する。本発明の製造方法においては、高いアスペクト比を有するコンタクトプローブが得られる点で、UV(波長200nm)より短波長であるX線(波長0.4nm)を使用するのが好ましい。また、X線の中でも指向性の高いシンクロトロン放射のX線(以下、「SR」という。)を使用する態様がより好ましい。SRを用いるLIGA法は、ディープなリソグラフィが可能であり、厚さ数100μmのコンタクトプローブをミクロンオーダの高精度で大量に製造することができる。
マスク43は、コンタクトプローブのパターンに応じて形成した、UVまたはX線44などの吸収層43aと、透光性基材43bとからなる。透光性基材43bには、SiN、Si、ダイヤモンド、Tiなどを用いる。また、吸収層43aには、Au、W、Taなどの重金属またはその化合物などを用いる。X線44の照射により、樹脂層42のうち、樹脂層42aは露光され変質するが、樹脂層42bは吸収層43aにより露光されない。このため、ポジ型樹脂の場合、現像により、変質(分子鎖が切断)した部分のみが除去され、図4(b)に示すような樹脂型42bが得られる。
つぎに、電鋳を行ない、図4(c)に示すように、樹脂型42bに金属材料層45aを堆積する。電鋳とは、金属イオン溶液を用いて導電性基板上に金属材料からなる層を形成することをいう。導電性基板41をめっき電極として電鋳を行なうことにより、樹脂型42bに金属材料層45aを堆積することができる。使用するメッキ浴には、通常のNiメッキと異なり、サッカリンおよび2−ブチン−1,4−ジオールなどを配合していないため、得られる金属材料には、Niと合金元素以外の不純物の合計量を1000ppm以下とすることができる。また、不純物の中でも、特にCとSについては、各々500ppm以下とすることができる。樹脂型42bの空孔部が埋まる程度に金属材料層45aを堆積する場合、堆積した金属材料層から、最終的に本発明の微細金属構造体であるコンタクトプローブを得ることができる。また、樹脂型42bの高さを超え、樹脂型42b上にも金属材料を堆積すると、樹脂型42bおよび基板41を除去することにより、空孔部を有する微細構造体が得られ、得られた構造体を金型として、後述する金型を利用する製造方法に使用することができる。
電鋳後、固溶化熱処理をし、必要に応じて、研磨または研削により所定の厚さに揃えると、図4(d)に示すような微細金属構造体45が得られる。その後、図4(e)に示すように、ウェットエッチングまたはプラズマエッチングにより樹脂型を除去する。つづいて、酸もしくはアルカリによりウェットエッチングし、または機械加工により導電性基板41を除去すると、図4(f)に示すような微細金属構造体45を得ることができる。得られた微細金属構造体には、必要に応じて、厚さ0.05μm〜1μmの金などからなるコート層を施すことができる。
実施の形態2
本実施の形態においては、金型により樹脂型を形成する工程と、導電性基板上で、樹脂型に金属材料からなる層を電鋳により形成する工程と、樹脂型を除去する工程と、導電性基板を除去する工程とを備える方法により製造され、金属材料は、Niを50質量%以上含み、Rh,Pt,Ru,ReとWとからなる群より選ばれる少なくとも1種をNiに対する固溶限以下の割合で含むNi基合金であり、金属材料は、電鋳後の加熱処理により、X線回折法で単相のNi固溶体に由来する回折ピークを呈する微細金属構造体を製造する。
本実施の形態においては、金型により樹脂型を形成する工程と、導電性基板上で、樹脂型に金属材料からなる層を電鋳により形成する工程と、樹脂型を除去する工程と、導電性基板を除去する工程とを備える方法により製造され、金属材料は、Niを50質量%以上含み、Rh,Pt,Ru,ReとWとからなる群より選ばれる少なくとも1種をNiに対する固溶限以下の割合で含むNi基合金であり、金属材料は、電鋳後の加熱処理により、X線回折法で単相のNi固溶体に由来する回折ピークを呈する微細金属構造体を製造する。
電鋳により形成する金属構造体は、熱力学的に準安定相を形成するため、たとえば、NiW合金の場合、電鋳直後にX線回折法で計測される構造はアモルファスまたはNiとWが別々の相を構成したものである。しかし、電鋳後に加熱処理をすることにより、X線回折法で単相の回折ピークが検出されるようになり、実施の形態1と同様に、高い弾性率を維持し、クリープを抑制する微細金属構造体を製造するできる。
図5(a)に示すとおり、凸部を有する金型52を用いて、エンボス成形、反応性成形または射出成型などのモールドにより、図5(b)に示すような凹状の樹脂型53を形成する。樹脂としては、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオキシメチレンなどのポリアセタール樹脂などの熱可塑性樹脂を用いる。金型52は、本発明の微細金属構造体であるため、リソグラフィ法と電鋳を組み合せた上述の方法により製造することが好ましい。
つぎに、樹脂型53の上下を反転した後、図5(c)に示すように、導電性基板51に貼り付ける。続いて、図5(d)に示すように、樹脂型53を研磨し、樹脂型53aを形成する。その後は前述と同様に、電鋳により樹脂型53aに金属材料層55aを堆積し(図5(e))、電鋳後、固溶化熱処理をし、必要に応じて研磨または研削により厚さを調整した後(図5(f))、樹脂型を除去し(図5(g))、導電性基板51を除去すると、図5(h)に示すような本発明の微細金属構造体55が得られる。
実施例1〜3
まず、図4(a)に示すように、導電性基板41上に樹脂層42を形成した。導電性基板としては、TiをスパッタリングしたSi基板を用いた。樹脂層を形成する材料は、メタクリル酸メチルとメタクリル酸との共重合体を用い、樹脂層の厚さは550μmとした。つぎに、樹脂層42上にマスク43を配置し、マスク43を介してX線44を照射した。X線としては、SRを照射した。マスク43は、透光性基材43bがSiNからなり、吸収層43aがWNからなるものを用いた。
まず、図4(a)に示すように、導電性基板41上に樹脂層42を形成した。導電性基板としては、TiをスパッタリングしたSi基板を用いた。樹脂層を形成する材料は、メタクリル酸メチルとメタクリル酸との共重合体を用い、樹脂層の厚さは550μmとした。つぎに、樹脂層42上にマスク43を配置し、マスク43を介してX線44を照射した。X線としては、SRを照射した。マスク43は、透光性基材43bがSiNからなり、吸収層43aがWNからなるものを用いた。
X線44の照射後、メチルイソブチルケトンにより現像し、X線44により変質した部分を除去すると、図4(b)に示すような樹脂型42bが得られた。つぎに、電鋳を行ない、樹脂型42bの空孔部に金属材料層45aを堆積した(図4(c))。使用したメッキ浴組成などのメッキ条件を表2に示す。電流密度は、100A/dm2(実施例1)、80A/dm2(実施例2)および50A/dm2(実施例3)とした。実施例1の金属材料についてのX線回折データを図1(a)に示す。図1(a)に示すように、この金属材料は、Niに由来する回折ピークのほかに、Wに由来する回折ピーク11,12を示した。
電鋳後、350℃で1時間かけて固溶化熱処理をした。つぎに、研磨して表面の凹凸を除去し、厚さを500μmに整え(図4(d))、酸素プラズマにより樹脂型を除去した後(図4(e))、KOH水溶液によりウェットエッチングし、導電性基板41を除去して、図4(f)に示すような、微細金属構造体45を得た。得られた微細金属構造体を図7に示す。図7(a)は平面図であり、VIIB−VIIBで切断した断面図を図7(b)に示す。この微細金属構造体は、図7に示すように、T1=4mm、T2=1.2mm、Y1=16mm、Y2=5mm、Y3=4mm、H=0.5mmであった。
得られた微細金属構造体のX線回折データを図1(b)に示す。図1(b)に示すように、電鋳後の加熱処理により、Wに由来するピーク11,12が消失し、その結果、単相のNi固溶体に由来する回折ピークを呈した。材料組成、弾性率、クリープ量および硬度を表3に示す。弾性率については、製造後の初期値を測定してから、100℃の恒温槽に入れ、1万時間後と、2万時間経過後の弾性率を室温で測定した。弾性率は、引張試験器による応力歪特性を測定することによりヤング率を測定した。クリープ量は、100℃の雰囲気下、600MPaの歪応力を付加し、1万時間経過後と2万時間経過後の変形量(%)を測定した。硬度は、固溶化熱処理前のビッカース硬度を測定した後、350℃で1時間かけて固溶化熱処理をした後のビッカース硬度を測定した。
比較例1
表4に示すメッキ条件で電鋳を行なった。表4に示すように、このメッキ浴には光沢剤としてサッカリンソーダおよび2−ブチン−1,4−ジオールを配合し、メッキ電流を4.5A/dm2に設定して電鋳を行なった。その結果、平均粒径70nmの微細金属構造体が得られた。弾性率とクリープ量は、固溶化熱処理を施していない検体について測定した。これらの点以外は実施例1と同様にして微細金属構造体を製造し、特性を評価した。製造した微細金属構造体の材料組成、弾性率、クリープ量および硬度を表3に示す。
表4に示すメッキ条件で電鋳を行なった。表4に示すように、このメッキ浴には光沢剤としてサッカリンソーダおよび2−ブチン−1,4−ジオールを配合し、メッキ電流を4.5A/dm2に設定して電鋳を行なった。その結果、平均粒径70nmの微細金属構造体が得られた。弾性率とクリープ量は、固溶化熱処理を施していない検体について測定した。これらの点以外は実施例1と同様にして微細金属構造体を製造し、特性を評価した。製造した微細金属構造体の材料組成、弾性率、クリープ量および硬度を表3に示す。
表3に示すように、実施例1〜3では、100℃の高温状態で2万時間経過しても弾性率の低下は少ないが、比較例では、100℃で2万時間経過すると、弾性率が約60%にまで低下した。同様に、クリープ量も、実施例1〜3では、2万時間経過しても0.2%以内であり、比較例に比べて大幅に耐クリープ性が向上した。また、実施例1〜3では、350℃の固溶化熱処理により硬度が2倍以上高まるのに対して、比較例では1/3程度にまで低下した。
実施例4〜7
本実施例では、表2に示すメッキ条件の代わりに、表5〜表8に示すメッキ条件で電鋳を行なった。
実施例4;表5
実施例5;表6
実施例6;表7
実施例7;表8
本実施例では、表2に示すメッキ条件の代わりに、表5〜表8に示すメッキ条件で電鋳を行なった。
実施例4;表5
実施例5;表6
実施例6;表7
実施例7;表8
これらの点以外は実施例1と同様にして微細金属構造体を製造した。製造した微細金属構造体の材料組成、弾性率、クリープ量および硬度を表9に示す。実施例1〜3のWの代わりに、実施例4〜7では、Pt,Rh,RuまたはReを用いたが、Wの場合と同様の傾向が認められ、100℃で1万時間経過後においても、弾性率の低下が小さく、クリープ量も小さく抑えることができた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の微細金属構造体は、バネ弾性に優れ、長期間の応力付加に対して高温下でも寸法変化がほとんどないため、バーンインテストに使用するコンタクトプローブ、またはパワーMEMSであるマイクロガスタービンのタービンブレードなどとして有用である。
20,30 被測定面、21,31 先端部、22,32 バネ部、23,33 支持部、41,51 導電性基板、42b,53a 樹脂型、43 マスク、44 X線、45a,55a 金属材料層、52 金型。
Claims (8)
- リソグラフィまたは金型により樹脂型を形成する工程と、
導電性基板上で、前記樹脂型に金属材料からなる層を電鋳により形成する工程と、
樹脂型を除去する工程と、
導電性基板を除去する工程と
を備える方法により製造される構造体であって、
前記金属材料は、Niを50質量%以上含み、Rh,Pt,Ru,ReとWとからなる群より選ばれる少なくとも1種をNiに対する固溶限以下の割合で含むNi基合金であり、前記電鋳後、固溶化熱処理をすることを特徴とする微細金属構造体。 - リソグラフィまたは金型により樹脂型を形成する工程と、
導電性基板上で、前記樹脂型に金属材料からなる層を電鋳により形成する工程と、
樹脂型を除去する工程と、
導電性基板を除去する工程と
を備える方法により製造される構造体であって、
前記金属材料は、Niを50質量%以上含み、Rh,Pt,Ru,ReとWとからなる群より選ばれる少なくとも1種をNiに対する固溶限以下の割合で含むNi基合金であり、前記金属材料は、電鋳後の加熱処理により、X線回折法で単相のNi固溶体に由来する回折ピークを呈することを特徴とする微細金属構造体。 - 前記金属材料は、Wを1質量%以上、16.8質量%以下の割合で含むNi基合金であり、電鋳後、300℃以上で固溶化熱処理をすることを特徴とする請求項1または2に記載の微細金属構造体。
- 前記電鋳は、NiSO4とNa2WO4を含むメッキ浴により実施することを特徴とする請求項3に記載の微細金属構造体。
- 前記電鋳は、炭素−炭素不飽和結合を有する有機系光沢剤およびSを含有する有機系光沢剤を除くメッキ浴を使用することを特徴とする請求項4に記載の微細金属構造体。
- 前記金属材料は、Ni,Rh,Pt,Ru,ReとW以外の不純物の合計量が1000ppm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の微細金属構造体。
- Au,Ag,Cu,Ru,Ir,Pt,Rh,PdとCoとからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むコート層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の微細金属構造体。
- 前記微細金属構造体は、被測定面に接触する先端部と、支持および電気的接続を行なう支持部と、前記先端部を前記支持部に接続するバネ部を備えるコンタクトプローブである請求項1または2に記載の微細金属構造体。
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JP2017048423A (ja) * | 2015-09-01 | 2017-03-09 | 住友電気工業株式会社 | ニッケルタングステン合金およびコンタクトプローブ |
-
2005
- 2005-08-09 JP JP2005231077A patent/JP2007046995A/ja not_active Withdrawn
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