JP2007045757A - 植栽資材 - Google Patents

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Abstract

【目的】各種抵抗性種苗を移植・植栽するに当たって、環境害抵抗性或いは病虫害抵抗性を発現させると同時に抵抗性種苗の生長を促進させる植栽資材。
【解決手段】マツノザイセンチウに対して抵抗性があるクロマツ苗を、植栽する予定地において、クロマツが、マツノマダラカミキリの幼虫害により被害を受けて枯死した森林から土着菌根菌を採取し、主としてコツブタケを単離・増殖してその菌糸体を、植栽する予定地において栽培・生産されたマツノザイセンチウ抵抗性クロマツ苗に感染させ、植栽予定地に植栽する。或いは、マツノザイセンチウ抵抗性クロマツ苗を育種する予定地で栽培・生産されたマツノザイセンチウ抵抗性クロマツから採取した種子と、当該植栽予定地の土着菌根菌を採取し、主としてコツブタケを単離・増殖した、その菌糸体と、植物体と、保持材とを混合して、錘状、円柱状または角柱状等任意の形状に成形して形状保持する。

Description

本発明は、植材資材に関する。より詳細には、本発明は、植栽予定地周辺近傍の土壌に生息する土着菌根菌根菌を感染させた抵抗性種苗から成る植栽資材、及び抵抗性種苗から採取した種子と、植栽予定地の土着菌根菌の菌糸体と、植物体と、保持材とを含み、特定の林木の抵抗性種苗を育種する予定地に施工して、土着菌根菌感染抵抗性種苗を育種するための植栽資材に関する。
本発明で使用する用語「種苗」とは、「種子」と「苗」を意味する。植物学的には「種子」は、胚珠の発育したものであるが、本発明では、植物学上の種子・果実・胞子・栄養器官などを含む。本発明が主として対象とするアカマツ、クロマツ、カラマツ、スギ、ヒノキの場合は、植物学上、真の種子である。
本発明で使用する「苗」は、本発明が主として対象とするアカマツ、クロマツ、カラマツ、ヒノキでは、苗齢が1年生、2年生、或いは3年生、スギ(実生)は、1年生、2年生或いは3年生、スギ(さし木生)の場合は、1年生、或いは2年生、エゾマツは、2年生、トドマツは4〜5年生で、それぞれぞ、30〜50cmの大きさのものが好ましい。
なお、農林水産省告示では、スギ、ヒノキ、アカマツ、及びクロマツに関して、一定の区域で採取・育成された種苗は、気候などの自然条件からみて、ほぼ造林用材料として生育に適すると認められる区域を「配布区域」として指定し、配布区域以外への配布を禁止している。従って、本発明における抵抗性種苗の移植とは、農林水産省告示で指定する配布区域内での移植である。
林木は、その成長過程で、気象条件や土壌条件等自然環境、病虫害、鳥獣害等種々の加害要因により被害を受ける。この加害要因に対して抵抗性を示す品種を育成するための育種事業が、国家事業としても行われてきた。
たとえば、1970年度から、林野庁において作成された実施要領に基づいて、雪害・凍雪・寒風害に対して抵抗性の強い個体を選別し、採取園・採穂園を造成し、そこから優良種苗を生産し、その普及を図ることを事業内容とする気象害抵抗性育種事業が実施されてきた。その結果、たとえば、豪雪地でも、雪圧に耐えて根本曲がりが顕著に小さなスギとして、「出羽の雪1号」「出羽の雪2号」が登録され、また耐寒性育種として、カラマツ属樹木、ヒノキ等がある。
また、1978年度から、同じくマツノザイセンチュウに対して抵抗性を有するアカマツ、クロマツの個体を選別し、採取園を造成し、そこから優良種苗を生産し、その普及を図ることを事業内容とするマツノザイセンチュウ抵抗性育種事業が実施されてきた。
また、1983年度から、同じくマツ枯対策として、日本産クロマツにマツノザイセンチュウに抵抗性のある中国産馬尾松(タイワンアカマツ)の花粉を交配した抵抗性育種「和華松」を育成し、保安林などの急を要する場所に植え、マツノザイセンチュウ抵抗性マツ供給特別対策事業が実施されてきた。
その他、スギカミキリなどの虫害に対する抵抗性育種も進んでいる。また、スギザイノタマバエを対象とした地域抵抗性育種事業も実施されている。
抵抗性育種の生産・供給方法を、マツノザイセンチュウに対して抵抗性を有するアカマツ、クロマツに関して概説する。
先ず、松枯れの被害が甚大な林分で生き残ったマツの中から、抵抗性候補になるアカマツ、クロマツを選定し、マツノザイセンチュウの人工感染による抵抗性の検定を行い、マツノザイセンチュウに強い抵抗性を有するアカマツ、クロマツを選定する。これらの抵抗性アカマツ、クロマツからの種苗を生産するために、できるだけ多くの抵抗性マツ採種園を造成し、種子採取を行い、育苗し、供給している。また、より抵抗性が高いマツ苗を生産するには、抵抗性採種園の種子から生産された苗にマツノザイセンチュウを人工感染し、生き残った苗を感染済み苗として供給・出荷している。
この育種方法は、抵抗性マツ以外の抵抗性育種の場合でもほぼ同じである。即ち、抵抗性種苗の生産は、主として造林地付近又は気候のよく似ている地域にある限定された「抵抗性種苗採種園」の土壌環境で行われている。従って、抵抗性種苗を購入して植付ける土壌環境と、抵抗性種苗採種園の土壌環境は当然ながら異なっている。抵抗性育種事業者の中には、各県に抵抗性種苗採種園を造成しているが、たとえ、抵抗性種苗を移植する土地が、抵抗性種苗採種園が造成されている同じ県内にあったとしても、それぞれの土壌は、土壌微生物学、或いは植物微生物生態学上は、同じではない。即ち、従来の抵抗性種苗の生産は、「抵抗性種苗採種園」という極めて限定された空間内で、いわば純粋培養されていた。
ところで、樹木はすべて根ではなく、後述する菌根菌と共生することで、宿主植物は菌根菌による養分吸収が増大して成長が促進される。特に、マツ属等高等植物の根の表面あるいは内部には、ある種の菌根菌が生息し、宿主植物との間に共生(symbiosis)関係が形成されているとき、菌と植物根から成る共生系を菌根(mycorrhiza)と呼び、共生している菌根菌を菌根菌(mycorrhiza fungi)と呼ぶ。一般に、菌根の形成によって、宿主植物は菌根菌による養分吸収が増大して成長が促進される。特に、土壌中に低濃度で存在し移動性に乏しいリンの吸収に寄与し、窒素についてはアンモニウムイオンとして吸収可能なことから酸性土壌で生育する植物には菌根菌は必須である。
従って、菌根菌を活用することによって、樹木への施肥量(特に、リン酸)の節減、水分ストレスの緩和等が可能であり、植物の生長を促進することができる。
この知見と利用して、例えば、マツに菌根菌を感染して環境ストレスに対する抵抗性を付与し、マツ材線虫病害抵抗性を改良する方法が研究されてきた。しかし、従来研究に使用されてきた菌根菌の胞子および菌糸体は、その採取、培養、増殖の流れが限定空間の中で扱われており、あらゆる厳しい環境に対応したものではないのが現状である。特に、菌根菌の機能を最大限に生かす為に土着菌根菌を用いた抵抗性種育種用資材は、未だ研究も行われていないのが実状である。
たとえば、特許文献1は、菌根菌資材として、一般的に菌糸体、培地、肥料から成る資材を開示しているが、これらの菌糸体や培地などは、あらゆる厳しい環境現場への適応性に欠けている。
また、マツと特異的に共生関係を築く外生菌根菌に関する研究は行われているが、資材化に向けての研究はそれほど進展していない。しかしながら、マツの利用分野は海岸砂防林、治山等多岐にわたり、それらの現場に適応するマツが求められている。菌根菌の機能を最大限に活かすためには、荒廃地である現地に適応した菌種、植生の土壌条件、環境条件を最大公約数的に組合わせることが必要である。
また、本発明者は、これまで菌根菌を幅広く扱い、その応用範囲を各地で検証し、菌根菌を用いた製品を提案した(特許文献2)。しかし、特許文献2に記載した資材で用いた菌根菌も、限定空間の中で扱われて生産されたものであり、あらゆる厳しい環境現場への適応性に欠けている。
特許第2842834号公報 特開平09−233948号公報
従って、発明が解決しようとする主たる課題は、各種抵抗性種苗を移植・植栽するに当たって、植栽する土壌に生息する菌根菌を種苗に感染し、気象害抵抗性或いは病虫害抵抗性を発現させると同時に、感染させた菌類により抵抗性種苗の生長を促進させることである。
発明が解決しようとする別の課題は、土着菌根菌感染抵抗性種苗を育種しようとる予定地で生産された抵抗性種苗から採取した種子と、植栽予定地の土着菌根菌の菌糸体と、植物体と、保持材とを含み、特定の林木の抵抗性種苗を育種する予定地に施工して土着菌根菌感染抵抗性種苗を育種するための植栽資材を提供することである。
発明が解決しようとする別の課題は、各種抵抗性種苗を移植する土壌に生息する菌根菌を所定の植物バイオテクノロジーにより培養・増殖して保存する方法を確立することである。
発明が解決しようとする特定的な課題は、マツ属に特異的に作用する生物ストレスであるマツノザイセンチュウや、病害、乾燥、風害、塩害等各種環境ストレスにより被害を受けて枯死したマツ林を復元・更新する方法および植栽資材を提供することである。
前述したように、たとえば抵抗性マツの種苗の生産は、そのために造成された抵抗性マツ採種園で行われている。造林業者等は抵抗性マツ採種園から抵抗性マツ種苗を購入してきて、計画した土壌に植栽している。当然、両者の土壌は、土壌微生物学、或いは植物微生物生態学上異なっている。従って、土壌に生息する菌根菌の植物生長促進効果を最大限に発揮させるには、抵抗性マツ採種園の土壌ではなく、抵抗性マツの種苗を植え付ける現場の土壌に生息する菌根菌を培養・増殖して抵抗性マツに感染しなければならない。
高中木、低木等樹木の生長促進に寄与する菌根菌に関して説明する。樹木はすべて根ではなく、菌根菌と共生することで、宿主植物は菌根菌による養分吸収が増大して成長が促進される。樹木と共生する菌根菌は、菌根菌の宿主植物根内への侵入が、主として根の表面にとどまっている外生菌根(ectomycorrhiza),主として根の細胞組織内へ侵入している内生菌根(endomycorrhiza)と大別しているが、その中間的な形態の菌根菌もある。
外生菌根菌は、内生菌根菌と同様に、土壌中よりリンを吸収し、それを宿主植物へ供給する。また、森林では窒素が養分への制限因子となることが多く、外生菌糸による窒素の吸収と宿主植物への供給は、森林生態系では需要である。さらに、外生菌根菌は、植物ホルモンの生産、水ストレス耐性の増大、病害耐性の増大、土壌構造の維持等植物の育成促進に重要な寄与をしている。
外生菌根菌は、植栽予定地での保存安定性、苗への感染が非常に難しいため、従来、その目的を達した例はない。本発明者は、本発明の主要な植栽資材になる外生菌根菌についてこれまで、林野庁造林課が定めた林木育種事業の地区区分である北海道育種基本区、東北育種基本区、関東育種基本区、関西育種基本区および九州育種基本区を参考にして、それぞれの海岸線、山岳地、肥沃地、痩せ地、乾燥地、湿地、堅密地、平地・緩斜地、荒廃地等様々の土壌条件、環境条件下の土壌から外生菌根菌を採取し、植物バイオテクノロジーにより培養・増殖・保存し、種々の菌根菌の特性を把握すると共に、植栽地への適応条件をスクリーニングし、効率的な菌糸体培養システムを検討し、それに成功した。従って、本発明はその知見に基づいてなされた。
外生菌根(ectomycorrhiza)は、マツ科(Pinaceae)、カバノ木科(Betulaceae)、ブナ科(Fagaceae)、フトモモ科(Myrtaceae)、モクマオウ科(Casuarinaceae)などに属する多くの樹種に形成される。外生菌根(ectomycorrhiza)はおもに担子菌類と子のう菌類によって形成され、細根は菌糸で覆われている。それを菌鞘という。菌鞘から菌糸や菌糸束が土壌中へ伸び、その先に子実体が形成される。
本発明が利用する外生菌根菌は、ショウロ、コツブタケ(Pisolithus tinctorius)、ヌメイリグチ、Cenococcum geophilium、ハンノキイグチ(Gyrodon lividus)、ヒダハタケ(Paxillus inrolutus)、P.filamentosus)、ヤマイグチ(Leccinum scabrum)、Xerocomus porosporus)、Phlebopus sudanics、Cortinarius subporphyropus、ヒメワカフサタケ(Hebeloma sacchariolens)、クサウラベニタケ(Rhodophyllus rhodopolius)、マツタケ(Tircholoma)、ハツタケ(Russula)、キツネタケ属菌(Laccaria spp.)、ワカフサタケ属菌(Hebeloma spp.)、ミネシメジ(Tricholoma saponaccum)、アカゲシメジ(T.imbricatum)、テングタケダマシ(Amanita sychnopyramis f. subannulata)、ツルタケ(A. vaginata var.vaginata)、フクロツルタケ(A. volvata)、クロトマヤタケモドキ(Inocybe cincinnata)、コバヤシアセタケ(I. kobayashi)、シロトマヤタケの近縁(Inocybe Sp. 1)、クリフウセンタケ(Cortinarius spp.)、フウセンタケ属菌(Cortinarius sp. 1)、オニイグチモドキ(Strobilomyces sp.1)、クリカワヤシャイグチ(Austroboletus gracilis)、キイロイグチ(Pulveroboletus ravenelii)、キアミアシイグチ(Boletus ornatipes)、イグチ属菌(Boletus sp.1)、ニガイグチモドキ(Tylopilus sp. 1)、ニガイグチ属菌(Tylopilus sp. 1)、シロハツモドキ(Tylopilus neofellus)、イロガワリベニタケ(R.rubescens)、アカカバイロタケ(R.compacta)、クサハツモドキ(R.laurocerasi)、イロガワリシロハツ(r.metachroa)、ニセクサハツ(R.pectinatoidese)、ヤマブキハツ(R.ochroleuca)、ヒビワレシロハツ(R.alboarcolata)、ドクベニタケ(R.emetica)、カラムサキハツ(R.omiensis)、ベニタケ属菌(Russula sp. 1)、ツチカブリ(Lactarius piperatus)、チチタケ(L.volemus)、クロチチダマシ(L.gerardii)、キチチタケ(L.gerardii)、チチタケ属菌1(Lactarius sp. 1)、チチタケ属菌2(Lactarius sp. 2)、チチタケ属菌3(Lactarius sp. 3)等から抵抗性苗の種類に応じて適当に選択される。ただし、これらの中には、一部子実体で示してあるので、それが外生菌根菌の学名に対応するわけではない。
特に、外生菌根菌であるコツブタケ(Pisolithus tinctorius)は、1個体の広がりが、根状菌糸束の太さが3mm、長さが30mを越すことがある。コツブタケ(Pisolithus tinctorius)は、腐食や褐色腐朽材を好まないが、鉱物質土壌ではよく伸びる。従って、荒れ地、砂地等土壌中の有機物が少ないところでの使用に適している。さらに、コツブタケ(Pisolithus tinctorius)は、針葉樹、広葉樹を問わず約20種の植物と共生するので、本発明で最も好ましく使用される。
以下、本発明において、外生菌根菌と、それを感染すると好ましい抵抗性種苗との組合せを説明する。以下の説明において、例示した外生菌根菌のみを感染するという意味ではなく、例示した外生菌根菌が豊富ならば好ましいということである。
コツブタケ(Pisolithus tinctorius)と共生させると好ましい植物としては、痩せ地でも生育が可能なマツ類、或いは乾燥地でも生育が可能なアカマツ、クロマツ、カラマツ等である。
従って、本発明で外生菌根菌と抵抗性苗との最も好ましい組合せは、主としてコツブタケ(Pisolithus tinctorius)と、耐雪圧抵抗性スギ、耐寒性カラマツ属、耐寒性ヒノキ、或いは耐寒性エゾマツ・トドマツ等殆ど全ての気象害抵抗性苗、及びマツノザイセンチュウ抵抗性苗、スギカミキリ抵抗性苗或いはスギザイノタマバエ抵抗性苗等病虫害抵抗性苗との組合せである。
本発明で外生菌根菌と抵抗性苗とのより好ましい組合せは、主としてCenococcum geophiliumと、耐雪圧抵抗性スギ、耐寒性カラマツ属、耐寒性ヒノキ、或いは耐寒性エゾマツ・トドマツ等殆ど全ての気象害抵抗性苗、及びマツノザイセンチュウ抵抗性苗、スギカミキリ抵抗性苗或いはスギザイノタマバエ抵抗性苗等病虫害抵抗性苗との組合せである。
本発明で外生菌根菌と抵抗性苗とのより好ましい組合せは、主としてキツネタケと、耐雪圧抵抗性スギ、耐寒性カラマツ属、耐寒性ヒノキ、或いは耐寒性エゾマツ・トドマツ等殆ど全ての気象害抵抗性苗、及びマツノザイセンチュウ抵抗性苗、スギカミキリ抵抗性苗或いはスギザイノタマバエ抵抗性苗等病虫害抵抗性苗との組合せである。
本発明で外生菌根菌と抵抗性苗との好ましい組合せは、主としてチャボイタケ(Thelephone terrestris)と、耐雪圧抵抗性スギ、耐寒性カラマツ属、耐寒性ヒノキ、或いは耐寒性エゾマツ・トドマツ等殆ど全ての気象害抵抗性苗、及びマツノザイセンチュウ抵抗性苗、スギカミキリ抵抗性苗或いはスギザイノタマバエ抵抗性苗等病虫害抵抗性苗との組合せである。
本発明により、特定の林木の抵抗性種苗を植栽する予定地において、林木が、気象条件や土壌条件等の環境的要因或いは病虫害、鳥獣害等の生物的要因により被害を受けて枯死した森林から土着菌根菌を採取し、その菌糸体を、植栽する予定地において栽培・生産された抵抗性種苗に感染させた植栽予定地に植栽するための土着菌根菌感染抵抗性種苗から成る植栽資材が提供される。
これを、たとえばマツ苗を例にすると、マツ苗を植栽する予定地において、マツが枯死した地域を調査し、その原因が、マツに特異的に作用するマツノザイセンチュウ等生物ストレスか、或いは病害、乾燥、風害、塩害等各種環境ストレスかを判定し、植栽する予定地から土着菌根菌を採取し、その菌糸体を、植栽する予定地において栽培・生産された抵抗性マツ苗に感染して土着菌根菌感染抵抗性マツ苗として生産し、それを植栽予定地に植栽する。
或いは、本発明により、特定の林木の抵抗性種苗を育種する予定地で栽培・生産された抵抗性種苗から採取した種子と、当該植栽予定地の土着菌根菌の菌糸体と、植物体と、保持材とを含み、特定の林木の抵抗性種苗を育種する予定地に施工して土着菌根菌感染抵抗性種苗を育種するための植栽資材が提供される。
この植栽資材は、予め、たとえば錘状または円柱状、角柱状に成形することが好ましい。このような形状に成形しておけが、商取引、植栽予定地への移動、搬入に便利であり、植栽予定地、或いは枯死せずに生存しているマツの根系表土に差し込むだけで施工できるので好ましい。
この発明の場合、種子は、マツノザイセンチュウ抵抗性マツ種苗、スギカミキリ抵抗性スギ種苗、スギザイノタマバエ抵抗性スギ種苗、耐雪圧抵抗性スギ種苗、耐寒性カラマツ属種苗、耐寒性ヒノキ種苗、或いは耐寒性エゾマツ・トドマツ種苗の種子が好ましい。
保持材としては、土着菌根菌の菌糸体の保存性を高め、土壌の膨軟化、保水性の改善、保肥力の改善、透水性の改善、土壌のリン酸供給能の改善、土壌の団粒形成の促進に資する泥炭、パーク堆肥、腐植酸質資材、木炭、竹炭、珪藻土焼成粒、ゼオライト、バーミキュライト、パーライト、ベントナイト、VA(vesicle arbuscule)菌根菌資材、ポリエチレンイミン系資材、ポリビニルアルコール系資材、ローム層土、沖積層土、砂質土、礫質土、及びこれらの混合物から成る群から選択することが好ましい。
このようにして製造した本発明の植栽資材或いは抵抗性種苗育種用資材を所定の土壌に植え付ける場合、土壌改良剤及び/又は土壌改質資材を使用してもよい。土壌改良剤としては、土壌を凝集或いは団粒化して土壌物理性を改変することを目的として土壌に施用される有機高分子化合物で、非イオン型高分子としてポリビニルアルコール類、陰イオン型高分子のポリアクリル酸、陽イオン型高分子としてポリアクリルアミド類が例示される。
従って、上記課題は下記の各項に記載した手段により解決される。
(1)特定の林木の抵抗性種苗を植栽する予定地において、林木が、気象条件や土壌条件等の環境的要因或いは病虫害、鳥獣害等の生物的要因により被害を受けて枯死した森林から土着菌根菌を採取し、その菌糸体を、植栽する予定地において栽培・生産された抵抗性種苗に感染させた植栽予定地に植栽するための土着菌根菌感染抵抗性種苗から成る植栽資材。
(2)前記(1)項に記載した植栽資材において、抵抗性種苗が、マツノザイセンチュウ抵抗性マツ種苗、スギカミキリ抵抗性スギ種苗、スギザイノタマバエ抵抗性スギ種苗、耐雪圧抵抗性スギ種苗、耐寒性カラマツ属種苗、耐寒性ヒノキ種苗、或いは耐寒性エゾマツ・トドマツ種苗である。
(3)前記(1)または(2)項に記載した植栽資材において、土着菌根菌が、ショウロ、コツブタケ(Pisolithus tinctorius)、ヌメイリグチ、Cenococcum geophilium(ケノコッカム・ゲオフィルム)、チャボイタケ、ハンノキイグチ(Gyrodon lividus)、ヒダハタケ(Paxillus inrolutus)、P.filamentosus)、ヤマイグチ(Leccinum scabrum)、Xerocomus porosporus)、Phlebopus sudanics、Cortinarius subporphyropus、ヒメワカフサタケ(Hebeloma sacchariolens)、クサウラベニタケ(Rhodophyllus rhodopolius)、マツタケ(Tircholoma)、ハツタケ(Russula)、キツネタケ属菌(Laccaria spp.)、ワカフサタケ属菌(Hebeloma spp.)、ミネシメジ(Tricholoma saponaccum)、アカゲシメジ(T.imbricatum)、テングタケダマシ(Amanita sychnopyramis f. subannulata)、ツルタケ(A. vaginata var.vaginata)、フクロツルタケ(A. volvata)、クロトマヤタケモドキ(Inocybe cincinnata)、コバヤシアセタケ(I. kobayashi)、シロトマヤタケの近縁(Inocybe Sp. 1)、クリフウセンタケ(Cortinarius spp.)、フウセンタケ属菌(Cortinarius sp. 1)、オニイグチモドキ(Strobilomyces sp.1)、クリカワヤシャイグチ(Austroboletus gracilis)、キイロイグチ(Pulveroboletus ravenelii)、キアミアシイグチ(Boletus ornatipes)、イグチ属菌(Boletus sp.1)、ニガイグチモドキ(Tylopilus sp. 1)、ニガイグチ属菌(Tylopilus sp. 1)、シロハツモドキ(Tylopilus neofellus)、イロガワリベニタケ(R.rubescens)、アカカバイロタケ(R.compacta)、クサハツモドキ(R.laurocerasi)、イロガワリシロハツ(r.metachroa)、ニセクサハツ(R.pectinatoidese)、ヤマブキハツ(R.ochroleuca)、ヒビワレシロハツ(R.alboarcolata)、ドクベニタケ(R.emetica)、カラムサキハツ(R.omiensis)、ベニタケ属菌(Russula sp. 1)、ツチカブリ(Lactarius piperatus)、チチタケ(L.volemus)、クロチチダマシ(L.gerardii)、キチチタケ(L.gerardii)、チチタケ属菌1(Lactarius sp. 1)、チチタケ属菌2(Lactarius sp. 2)、チチタケ属菌3(Lactarius sp. 3)から成る群から選択された少なくとも1種である。
(4)前記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載した植栽資材において、菌根菌が、主としてコツブタケ(Pisolithus tinctorius)で、抵抗性種苗が、マツノザイセンチュウ抵抗性マツ種苗、スギカミキリ抵抗性スギ種苗、スギザイノタマバエ抵抗性スギ種苗、耐雪圧抵抗性スギ、耐寒性カラマツ属、耐寒性ヒノキ、及び耐寒性エゾマツ・トドマツから成る群から選択された種苗である。
(5)前記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載した植栽資材において、菌根菌が、主としてCenococcum geophilium(ケノコッカム・ゲオフィルム)で、抵抗性種苗が、マツノザイセンチュウ抵抗性マツ種苗、スギカミキリ抵抗性スギ種苗、及びスギザイノタマバエ抵抗性種苗耐雪圧抵抗性スギ、耐寒性カラマツ属、耐寒性ヒノキ、及び耐寒性エゾマツ・トドマツから成る群から選択された種苗である。
(6)前記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載した植栽資材において、菌根菌が、主としてキツネタケで、抵抗性種苗が、マツノザイセンチュウ抵抗性マツ種苗、スギカミキリ抵抗性スギ種苗、ギザイノタマバエ抵抗性スギ種苗、耐雪圧抵抗性スギ、耐寒性カラマツ属、耐寒性ヒノキ、及び耐寒性エゾマツ・トドマツから成る群から選択された種苗である。
(7)前記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載した植栽資材において、菌根菌が、主としてチャボイタケ(Thelephone terrestris)で、抵抗性種苗が、マツノザイセンチュウ抵抗性マツ種苗、スギカミキリ抵抗性スギ種苗、スギザイノタマバエ抵抗性種苗耐雪圧抵抗性スギ、耐寒性カラマツ属、耐寒性ヒノキ、及び耐寒性エゾマツ・トドマツから成る群から選択された種苗である。
(8)特定の林木の抵抗性種苗を育種する予定地で栽培・生産された抵抗性種苗から採取した種子と、当該植栽予定地の土着菌根菌の菌糸体と、植物体と、保持材とを含み、特定の林木の抵抗性種苗を育種する予定地に施工して土着菌根菌感染抵抗性種苗を育種するための植栽資材。
(9)前記(8)項において、植栽資材を予め、錘状、円柱状または角柱状等任意の形状に成形して形状保持する。
(10)前記(8)または(9)項において、種子が、マツノザイセンチュウ抵抗性マツ種苗、スギカミキリ抵抗性スギ種苗、スギザイノタマバエ抵抗性スギ種苗、耐雪圧抵抗性スギ種苗、耐寒性カラマツ属種苗、耐寒性ヒノキ種苗、或いは耐寒性エゾマツ・トドマツ種苗の種子である。
(11)前記(8)〜(10)のいずれか1項において、保持材が、土着菌根菌の菌糸体の保存性を高め、土壌の膨軟化、保水性の改善、保肥力の改善、透水性の改善、土壌のリン酸供給能の改善、土壌の団粒形成の促進に資する泥炭、パーク堆肥、腐植酸質資材、木炭、竹炭、珪藻土焼成粒、ゼオライト、バーミキュライト、パーライト、ベントナイト、VA(vesicle arbuscule)菌根菌資材、ポリエチレンイミン系資材、ポリビニルアルコール系資材、ローム層土、沖積層土、砂質土、礫質土、及びこれらの混合物から成る群から選択された1種である。
請求項1に記載した発明により、各種抵抗性種苗を移植・植栽するに当たって、植栽する予定地の土壌に生息する菌根菌を予め種苗に感染させてあるので、植栽予定地に植栽しても、各種抵抗性を発現し、且つ感染させた菌根菌により抵抗性種苗の生長を促進させることができる。
請求項2に記載した発明により、マツノザイセンチュウ抵抗性マツ種苗、スギカミキリ抵抗性スギ種苗、スギザイノタマバエ抵抗性スギ種苗、耐雪圧抵抗性スギ種苗、耐寒性カラマツ属種苗、耐寒性ヒノキ種苗、或いは耐寒性エゾマツ・トドマツ種苗が、それぞれの病虫害抵抗性或いは環境抵抗性を発現すると同時に、土着菌根菌によりその生長が促進される。
請求項3に記載した発明により、針葉樹及び広葉樹を含む殆どの抵抗性種苗と共生させることができる。
請求項4に記載した発明により、病虫害抵抗性種苗と土着菌根菌の最も好ましい組合わせ、および気象害抵抗性種苗と土着菌根菌の最も好ましい組合わせ、及びが提供される。
請求項5に記載した発明により、病虫害抵抗性種苗と土着菌根菌のより好ましい組合わせ、および気象害抵抗性種苗と土着菌根菌のより好ましい組合わせが提供される。
請求項6に記載した発明により、病虫害抵抗性種苗と土着菌根菌の好ましい組合わせ、および気象害抵抗性種苗と土着菌根菌の好ましい組合わせが提供される。
請求項7に記載した発明により、病虫害抵抗性種苗と土着菌根菌の組合わせ、および気象害抵抗性種苗と土着菌根菌の組合わせが提供される。
請求項8に記載した発明により、特定の林木の抵抗性種苗を育種する予定地で栽培・生産された抵抗性種苗から採取した種子と、当該植栽予定地の土着菌根菌の菌糸体と、植物体と、保持材とを含む植栽資材であるので、特定の林木の抵抗性種苗を育種する予定地に施工して土着菌根菌感染抵抗性種苗を育種することができる。従って、植栽予定地に植栽しても、その土地で各種抵抗性を発現し、且つ感染させた菌根菌により抵抗性種苗の生長を促進させることができる。
請求項9に記載した発明により、予め、錘状、円柱状または角柱状等任意の形状に成形して形状保持させることにより、商取引、植栽予定地への移動、搬入に便利であり、植栽予定地、或いは枯死せずに生存しているマツの根系表土に差し込むだけで施工できる。
請求項10に記載した発明により、土地の条件に適応したマツノザイセンチュウ抵抗性マツ種苗、スギカミキリ抵抗性スギ種苗、スギザイノタマバエ抵抗性スギ種苗、耐雪圧抵抗性スギ種苗、耐寒性カラマツ属種苗、耐寒性ヒノキ種苗、或いは耐寒性エゾマツ・トドマツ種苗を生産・育苗することができる。
請求項11に記載した発明により、土着菌根菌の菌糸体の保存性を高め、土壌の膨軟化、保水性の改善、保肥力の改善、透水性の改善、土壌のリン酸供給能の改善、土壌の団粒形成の促進に資する。
本発明は、植栽予定地のマツノザイセンチュウ抵抗性種子を、土着菌根菌糸体培養物内(ポット)または圃場に接種・育成したアカマツ、クロマツ、カラマツの1〜3年生苗である。また、菌根菌は、ショウロ属(rhizopogon)、コツブタケ(Pisolithus tinctorius)である。通常、海岸線にはクロマツ、山岳地帯にはアカマツを植栽する。さらに、菌糸体培養物は、菌糸体の安定的な住拠となる無菌培養資材とし、植栽前は径10cm(1年生苗)〜径15cm(3年生苗)のロンングポット内で100%菌糸体培養物となったものを使用する。
また、本発明は、植栽予定地のスギザイノタマバエ抵抗性スギ種子、耐雪圧抵抗性スギ種子、耐寒性カラマツ属種子、耐寒性ヒノキ種子、或いは耐寒性エゾマツ・トドマツ種子を土着菌根菌糸体培養物内(ポット)または圃場に接種・育成した1〜3年生苗で、それぞれぞ、30〜50cmの大きさのものである。
本発明に従って、予め土着菌根菌の菌糸体培養物を作成し、培養物に植栽予定地の土壌条件を付加したローム層土、沖積層土、砂質土、礫質土、及びこれらの混合物から成る群から選択された無菌培養土と、菌糸体を安定化させる無菌培養資材を菌糸体培養物と混和するか、または、それらの無菌培養土および無菌培養資材を菌糸体培養物の外側に装着する。種子は菌糸体培養物内で播種する。
このような構成にした土着菌根菌資材を、予め、錘状、円柱状または角柱状等任意の形状に成形して形状保持して、植栽予定地に搬入して土壌に植え付ける。この場合、土壌改良剤及び/又は土壌改質資材を使用してもよい。土壌改良剤としては、土壌を凝集或いは団粒化して土壌物理性を改変することを目的として土壌に施用される有機高分子化合物で、非イオン型高分子としてポリビニルアルコール類、陰イオン型高分子のポリアクリル酸、陽イオン型高分子としてポリアクリルアミド類、木炭、竹炭、珪藻土焼成粒、ゼオライト、バーミキュライト、パーライト、ベントナイト、VA(vesicle arbuscule)菌根菌資材、ポリエチレンイミン系資材、ポリビニルアルコール系資材等が例示され。土壌改良剤及び/又は土壌改質資材を使用するときは、100〜110℃で約2時間焼土するか、或いはクロールピクリン等消毒剤により燻蒸消毒する。後者は毒性があるので、前者の焼土法が好ましい。
以下、実施例を掲げ本発明を具体的に説明する。
バーミキュライト、パーライト、鹿沼土を、3:2:5で混合した土壌を105℃で2時間焼土滅菌し、これに各2年生のクロマツの対照苗、菌根菌(コツブタケ他)感染苗、植栽予定地土着菌根菌(コツブタケ他)感染苗の3種の苗を植栽し、1ヶ月間灌水をして、活着させた後、灌水を止め、以降の苗木に対する水分ストレスによる障害の程度を灌水を止めてから、5日後および10日後追跡調査した。得た結果を表1に示す。
Figure 2007045757
各3年生のクロマツの対照苗、菌根菌(コツブタケ他)感染苗、植栽予定地である山口県内の岩礁地帯の土着菌根菌(コツブタケ他)感染苗、それぞれ?本を、風害、塩害を受けやすい山口県内の岩礁地帯に植栽し、植栽後1年後の生存率(%)を追跡調査した。その結果を表2に示す。
Figure 2007045757
本発明の1実施例による土着菌根菌資材の構成は表3に示す通りである。
Figure 2007045757
上記の各成分を混合し、高さ20cm程度の四角錐状に成形した植栽資材を、海岸線に植栽された3年生クロマツ苗の根系に埋め込んだ。また、資材中の菌糸体は自家培養したものと植栽地で採取し、培養したものの種類を使用した。
以上の試験におけるクロマツ苗の生育状況を表4に示す。
Figure 2007045757
表4の結果から、資材中の菌糸体がマツ苗に感染し、生育状況の向上に大きく寄与することが確認できた。さらに、土着菌根菌を利用することによりその効果が一層向上することも確認できた。
本発明は、下記に例示する産業上の利用可能性がある。
1.林野庁造林課が策定した精英樹選抜育種事業実施要領(1985)に基づいて実施されている事業では、主としてスギ、ヒノキを対象とする気象害抵抗性育種事業、主としてアカマツ、クロマツを対象とするマツノザイセンチュウ抵抗性育種事業、主としてカラマツを対象とするカラマツ材質育種事業では、隔離された限定区間である採種園、採穂園を造成し、そこから抵抗性を有する種苗を生産し、その普及を図っている。しかしながら、抵抗性種苗を購入して移植する土壌環境と、抵抗性種苗採種園の土壌環境は当然ながら異なっている。抵抗性育種事業者の中には、各県に抵抗性種苗採種園を造成しているが、たとえ、抵抗性種苗を移植する土地が、抵抗性種苗採種園が造成されている同じ県内にあったとしても、それぞれの土壌は、土壌微生物学、或いは植物微生物生態学上は、同じではない。即ち、従来の抵抗性種苗の生産は、「抵抗性種苗採種園」という極めて限定された空間内で、いわば純粋培養されていたものである。一方、本発明による第一の植栽資材は、特定の林木の抵抗性種苗を植栽する予定地において、林木が、気象条件や土壌条件等の環境的要因或いは病虫害、鳥獣害等の生物的要因により被害を受けて枯死した森林から土着菌根菌を採取し、その菌糸体を、植栽する予定地において栽培・生産された抵抗性種苗に感染させた土着菌根菌感染抵抗性種苗から成るので、植栽予定地に植栽しても、各種抵抗性を発現し、且つ感染させた土着菌根菌により抵抗性種苗の生長を促進させることができる。従って、森林保護産業或いは森林保護事業に資することができる。
2.本発明による第二の植栽資材は、特定の林木の抵抗性種苗を育種する予定地で栽培・生産された抵抗性種苗から採取した種子と、当該植栽予定地の土着菌根菌の菌糸体と、植物体と、保持材とを含み、特定の林木の抵抗性種苗を育種する予定地に施工して土着菌根菌感染抵抗性種苗を育種するための植栽資材なので、特定の林木の抵抗性種苗を育種する予定地に施工して土着菌根菌感染抵抗性種苗を育種することができ、従って、植栽予定地に植栽しても、その土地で各種抵抗性を発現し、且つ感染させた菌根菌により抵抗性種苗の生長を促進させることができ、さらに、予め、錘状、円柱状または角柱状等任意の形状に成形して形状保持されているので、商取引のための移動、植栽予定地への移動、搬入に便利であり、植栽予定地、或いは枯死せずに生存している林木の根系表土に差し込むだけで施工でき、この点からも森林保護産業或いは森林保護事業に資することができる。

Claims (11)

  1. 特定の林木の抵抗性種苗を植栽する予定地において、林木が、気象条件や土壌条件等の環境的要因或いは病虫害、鳥獣害等の生物的要因により被害を受けて枯死した森林から土着菌根菌を採取し、その菌糸体を、植栽する予定地において栽培・生産された抵抗性種苗に感染させた、植栽予定地に植栽するための土着菌根菌感染抵抗性種苗から成る植栽資材。
  2. 抵抗性種苗が、マツノザイセンチュウ抵抗性マツ種苗、スギカミキリ抵抗性スギ種苗、スギザイノタマバエ抵抗性スギ種苗、耐雪圧抵抗性スギ種苗、耐寒性カラマツ属種苗、耐寒性ヒノキ種苗、或いは耐寒性エゾマツ・トドマツ種苗である請求項1記載の植栽資材。
  3. 土着菌根菌が、ショウロ、コツブタケ(Pisolithus tinctorius)、ヌメイリグチ、Cenococcum geophilium(ケノコッカム・ゲオフィルム)、チャボイタケ、ハンノキイグチ(Gyrodon lividus)、ヒダハタケ(Paxillus inrolutus)、P.filamentosus)、ヤマイグチ(Leccinum scabrum)、Xerocomus porosporus)、Phlebopus sudanics、Cortinarius subporphyropus、ヒメワカフサタケ(Hebeloma sacchariolens)、クサウラベニタケ(Rhodophyllus rhodopolius)、マツタケ(Tircholoma)、ハツタケ(Russula)、キツネタケ属菌(Laccaria spp.)、ワカフサタケ属菌(Hebeloma spp.)、ミネシメジ(Tricholoma saponaccum)、アカゲシメジ(T.imbricatum)、テングタケダマシ(Amanita sychnopyramis f. subannulata)、ツルタケ(A. vaginata var.vaginata)、フクロツルタケ(A. volvata)、クロトマヤタケモドキ(Inocybe cincinnata)、コバヤシアセタケ(I. kobayashi)、シロトマヤタケの近縁(Inocybe Sp. 1)、クリフウセンタケ(Cortinarius spp.)、フウセンタケ属菌(Cortinarius sp. 1)、オニイグチモドキ(Strobilomyces sp.1)、クリカワヤシャイグチ(Austroboletus gracilis)、キイロイグチ(Pulveroboletus ravenelii)、キアミアシイグチ(Boletus ornatipes)、イグチ属菌(Boletus sp.1)、ニガイグチモドキ(Tylopilus sp. 1)、ニガイグチ属菌(Tylopilus sp. 1)、シロハツモドキ(Tylopilus neofellus)、イロガワリベニタケ(R.rubescens)、アカカバイロタケ(R.compacta)、クサハツモドキ(R.laurocerasi)、イロガワリシロハツ(r.metachroa)、ニセクサハツ(R.pectinatoidese)、ヤマブキハツ(R.ochroleuca)、ヒビワレシロハツ(R.alboarcolata)、ドクベニタケ(R.emetica)、カラムサキハツ(R.omiensis)、ベニタケ属菌(Russula sp. 1)、ツチカブリ(Lactarius piperatus)、チチタケ(L.volemus)、クロチチダマシ(L.gerardii)、キチチタケ(L.gerardii)、チチタケ属菌1(Lactarius sp. 1)、チチタケ属菌2(Lactarius sp. 2)、チチタケ属菌3(Lactarius sp. 3)から成る群から選択された少なくとも1種である請求項1または2の植栽資材。
  4. 菌が、主としてコツブタケ(Pisolithus tinctorius)で、抵抗性種苗が、マツノザイセンチュウ抵抗性マツ種苗、スギカミキリ抵抗性スギ種苗、スギザイノタマバエ抵抗性スギ種苗、耐雪圧抵抗性スギ、耐寒性カラマツ属、耐寒性ヒノキ、及び耐寒性エゾマツ・トドマツから成る群から選択された気象害抵抗性種苗である請求項1〜3項のいずれか1項に記載の植栽資材。
  5. 菌が、主としてCenococcum geophilium(ケノコッカム・ゲオフィルム)で、抵抗性種苗が、マツノザイセンチュウ抵抗性マツ種苗、スギカミキリ抵抗性スギ種苗、及びスギザイノタマバエ抵抗性種苗耐雪圧抵抗性スギ、耐寒性カラマツ属、耐寒性ヒノキ、及び耐寒性エゾマツ・トドマツから成る群から選択された請求項1〜3項のいずれか1項に記載の植栽資材。
  6. 菌が、主としてキツネタケで、抵抗性種苗が、マツノザイセンチュウ抵抗性マツ種苗、スギカミキリ抵抗性スギ種苗、ギザイノタマバエ抵抗性スギ種苗、耐雪圧抵抗性スギ、耐寒性カラマツ属、耐寒性ヒノキ、及び耐寒性エゾマツ・トドマツから成る群から選択された請求項1〜3項のいずれか1項に記載の植栽資材。
  7. 菌が、主としてチャボイタケ(Thelephone terrestris)で、抵抗性種苗が、マツノザイセンチュウ抵抗性マツ種苗、スギカミキリ抵抗性スギ種苗、スギザイノタマバエ抵抗性種苗耐雪圧抵抗性スギ、耐寒性カラマツ属、耐寒性ヒノキ、及び耐寒性エゾマツ・トドマツから成る群から選択された請求項1〜3のいずれか1項に記載の植栽資材。
  8. 特定の林木の抵抗性種苗を育種する予定地で栽培・生産された抵抗性種苗から採取した種子と、当該植栽予定地の土着菌根菌の菌糸体と、植物体と、保持材とを含み、特定の林木の抵抗性種苗を育種する予定地に施工して土着菌根菌感染抵抗性種苗を育種するための植栽資材。
  9. 予め、錘状、円柱状または角柱状等任意の形状に成形して形状保持した請求項8の植栽資材。
  10. 種子が、マツノザイセンチュウ抵抗性マツ種苗、スギカミキリ抵抗性スギ種苗、スギザイノタマバエ抵抗性スギ種苗、耐雪圧抵抗性スギ種苗、耐寒性カラマツ属種苗、耐寒性ヒノキ種苗、或いは耐寒性エゾマツ・トドマツ種苗の種子である請求項8または9の植栽資材。
  11. 保持材が、泥炭、パーク堆肥、腐植酸質資材、木炭、竹炭、珪藻土焼成粒、ゼオライト、バーミキュライト、パーライト、ベントナイト、VA(vesicle arbuscule)菌根菌資材、ポリエチレンイミン系資材、ポリビニルアルコール系資材、ローム層土、沖積層土、砂質土、礫質土、及びこれらの混合物から成る群から選択された1種である請求項8〜10のいずれか1項に記載の植栽資材。
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