JP2007037207A - モータおよびモータ配電部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 サイズが設置スペースのために制限され、インバータの制御部を別に有する場合に、小型化を実現しながら簡単な構造により容易にかつ堅固安定的にモータに搭載できる配電部品およびモータを提供する。
【解決手段】 モータ9の回転軸11に沿って見てモータに重なるようにモータの外側に位置し、配電接続部を構成するバスバー31と、バスバーに重なるように位置して、スイッチングを行うスイッチング素子23とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 モータ9の回転軸11に沿って見てモータに重なるようにモータの外側に位置し、配電接続部を構成するバスバー31と、バスバーに重なるように位置して、スイッチングを行うスイッチング素子23とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、モータおよびモータ配電部品に関するものである。
モータは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する機能を有し、化石燃料から機械エネルギーを取り出すエンジンとともに、各種の交通手段に用いられている。交通手段のうち、自動車にはエンジン車が圧倒的に多く用いられてきたが、化石燃料の高騰や、地球温暖化防止のためのCO2排出量の抑制などを背景に、電気自動車やハイブリッド自動車が注目を集め、とくにハイブリッド自動車はその単位燃料当りの走行距離が高いために飛躍的にその台数を増やしている。
上記のような交通手段に用いられるモータに限らず、モータに供給される電力は、各種電力変換装置によって電力の形態を変換される場合が多い。このとき、モータには大きな電力が供給されるので、電力変換装置も大きな電力を扱うことになり、電力変換装置自体の電力損失を減らし、効率のよい電力変換を行う必要がある。このため電力変換装置には、オンオフを繰り返すスイッチとして動作する半導体デバイス、すなわちスイッチング素子が用いられる。スイッチング素子は、オン状態で電圧ゼロ、またオフ状態で電流ゼロなので、オンオフの電圧電流のタイムラグが生じなければ消費電力はゼロである。しかし、実際はタイムラグが生じるため、スイッチング素子では、電力の消費はゼロではなく、ロスとして熱が発生する。
スイッチング素子は電力変換装置の重要な部分を占めるが、電力変換装置にはスイッチング素子のほかに、そのスイッチング素子の動作を制御する、マイコンやマイコンにモータの回転状態の情報を知らせるセンサなどを含む制御部が備えられる。交通手段に限らず機械装置に用いられるモータには小型化が求められるが、とくに交通手段では上記電力変換装置またはモータなどに対する小型化の要求が厳しい。このため、スイッチング素子を含む制御部全体をモータの側部にバスバーを介在させて取り付けた、制御部一体型車両用モータ(とくにカーエアコンのコンプレッサ用モータ)が提案された(特許文献1参照)。この方式によれば、耐衝撃性を確保しながら小型化を実現することができる。また、3相の薄型DCブラシレスモータのステータに配電を行うための円環状バスバーの製造歩留まりを向上させる構造について、提案がなされている(特許文献2)。上記円環状バスバーを用いることにより、配電部材は、その製造が比較的簡単となり、低コストでかつ絶縁耐圧を高めることが可能となる。
特開2003−324903号公報
特開2003−134728号公報
しかしながら、制御部の全体をモータと一体化する方式(特許文献1)では、制御部全体と一体化されたモータが所定サイズを超え、車両または機械装置への搭載に支障をきたすケースが多く生じる。たとえば現状のハイブリッド自動車では、モータは、エンジンやトランスミッションと近接して配置され、モータ用スペースは非常に限られるため、スイッチング素子を含む制御部とモータとは別体で構成される。電力は、バッテリーから昇圧コンバータ、インバータ中のスイッチング素子を経てモータへと供給されるが、上記別体で構成される場合、スイッチング素子とモータとは高圧ケーブルで接続されている。
また、上記特許文献2に開示の配電部材によれば、その配電部材中のバスバーの製造歩留り、耐絶縁性能などを向上させることはできるが、車両もしくは機械装置またはモータの小型化などについて触れていない。
上記のように、機械装置に応じて、そこに配置されるモータおよびその電力変換装置に求められる小型化の要求内容が異なる。このような多様な小型化の要求は、空間利用効率の向上の要求と言い換えることができる。このような空間利用効率の向上を得た上で、さらに上記配電部品のモータへの搭載の容易性(搭載性)およびその搭載状態の堅固安定性を得ることが重要である。
本発明は、たとえばモータのサイズが設置スペースのために制限され、インバータの制御部を別に有する場合に、高い空間利用効率性を実現しながら簡単な構造により優れた搭載性を有し、かつ堅固安定的にモータに搭載できる配電部品およびその配電部品を備えたモータを提供することを目的とする。
本発明のモータは、インバータによりスイッチングされた電力を供給されるモータである。このモータは、モータの軸線に沿って見てそのモータに重なるようにモータの外側に位置し、モータの配電接続部を構成するバスバーと、モータから見てバスバーよりも遠くに、バスバーに重なるように位置して、スイッチングを行うスイッチング素子とを備える。
この構成により、モータとスイッチング素子とは、バスバーを介在させて軸線に沿って重なるように、すなわちモータ端部外側において一体化することができる。このため、モータとモータ用配電部品との一体化を、モータ側面外形を複雑な形状にすることなく、またモータ側面からはみ出す部分を抑制した上で、実現できる。この結果、装置間の空隙部などにおける空間利用効率度を高めることができる。また、バスバーおよびスイッチング素子を備える配電部品とモータとの接続構造が簡単なので、モータへの配電部品の搭載を搭載性よく、かつ接続を堅固に耐久性に優れるように形成することができる。
本発明のモータ用配電部品は、インバータによりスイッチングされた電力をモータに供給するモータ用配電部品である。このモータ用配電部品は、モータ端部に配置された取付部に取り付けられ、モータの配電接続部となるバスバーを備える。そして、バスバーに重なるように位置して、スイッチングを行うスイッチング素子を備える。上記の取付部は、モータ端部にバスバーを外付けする部材であれば何でもよい。たとえばバスバーをモータに固定するバスバー固定部材であってよい。また、バスバーを絶縁性の壁の間に収納するバスバーハウジングであってもよい。バスバーハウジングは、そのバスバーハウジングをモータに固定するハウジング固定部、バスバーをバスバーハウジングに固定するバスバー固定部などを含んでもよい。モータ側面は、モータが回転体を含むため特有の円筒面状の部分を有する。モータ端部は、円筒面状部分を含むモータ側面に交差する端面といいかえることができ、その端面は平坦部、凹凸、段差等を含むが、上記モータ側面とは明らかに相違する形状を有する。モータ端部に取り付けられるバスバーハウジングは、その底部裏面の形状がそのモータ端面に適合するように形成されている。モータ端面の平坦部がバスバーハウジングを取り付けるほど十分広ければ、バスバーハウジングの底部裏面も平坦部のみで構成される。しかし、そのような場合に限定されない。
上記構成により、側面へのはみ出しが抑制されたコンパクトな、すなわち空間利用効率性および搭載性に優れた、スイッチング素子一体型モータを実現するのに貢献することができる。またバスバーとスイッチング素子とは重なるように位置するので、バスバーとスイッチング素子とを、簡単な接続構造により、堅固に耐久性に優れるように、容易に配線することができる。また場合によっては、接続部品を用いることなく、バスバーとスイッチング素子とを、直接、半田付けやろう付けによって接続することができる。
つぎに図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態例における、モータ用配電部品およびそのモータ用配電部品が設けられたモータ10、を示す斜視図である。この配電部品一体型モータ10には、回転軸11に沿って見て、モータ本体9の端部9aに、そのモータ本体9に重なるように、バスバー31が取り付けられ、そのバスバー31をモータ本体9との間に挟むように、半導体スイッチング素子23が配置されている。バスバー31は、3相配電の場合、U,V,Wの3相に対応して3本設けられる。これら3本のバスバーは、絶縁性のバスバーハウジング33の壁および底部に囲まれた溝状スペースに収容され取り付けられている。バスバー31は銅板を打ち抜き、表面にスズめっきが施されている。バスバーハウジング33は、たとえば耐熱性樹脂で形成される。耐熱性樹脂としては、たとえばポリフェニレンスルフィド(PPS)などを用いることができる。強度を確保するために金属部材で強化してもよい。バスバー31のモータ本体9への取付部としては、バスバーハウジング33、バスバーハウジング33のモータ本体9への取付部品(図示せず)、バスバー31のバスバーハウジング33内での固定部材(図示せず)等をあげることができる。
スイッチング素子23は基板21に搭載され、その基板21は後で説明する回路を構成するように基板21において配線がなされている(回路、配線について図8、図10参照)。スイッチング素子23を搭載した基板21をパワーモジュール20と呼ぶ。基板21には、バスバー31と接続するのが容易なように、接続パッド25が設けられる。接続パッド25は、基板裏面側に露出するタイプ(表面側露出部はワイヤボンディン配線に必要)でもよいし、表面側にのみ露出するタイプでもよい(図5(a),(b)参照)。また、基板21には、インバータ制御部40から高圧接続端子29へと、プラス側とマイナス側とに対応して2本の高圧ケーブル41が接続される。高圧接続端子29は、バスバー31と同じ材質で形成され、基板21へは半田付けまたはろう付けで取り付けられる。また、基板21には、コネクタ27が設けられ、コネクタ27は、スイッチング素子23のオンオフなどを制御するためにゲートに信号を伝達するインバータ制御部40からの制御線43と、所定の配線を実現する。コネクタ27は、基板21にねじ止めし、各端子を基板に半田付けまたはろう付けで接続する。なお図1ではスイッチング素子23をバスバー31との間で挟むように位置する放熱部は省略しているが、後で示すように、実際には放熱部は配置される。
図2は、本発明の実施の形態例におけるモータへの配電系統を示す模式図である。バッテリーからの電力は、その電圧をリレーおよび昇圧コンバータにより上げられ、インバータ制御部40およびパワーモジュール20を経てモータに供給される。インバータ制御部40と、スイッチング素子搭載基板(パワーモジュール)20とは別体で構成され、両者の間は2本の高圧ケーブル41で接続される。インバータ制御部40にパワーモジュール20が含まれる構成の場合、高圧ケーブル41は、3相のそれぞれに1本ずつ計3本必要であった。また、本発明の構成を有していても、プラス側に3相に共通の配線バーと、マイナス側に3相に共通の配線バーとを配置しない場合、高圧ケーブルはU相,V相,W相の3本必要である。要するに、プラス側に3相に共通の配線バーと、マイナス側に3相に共通の配線バーとを配置して、U相,V相,W相のスイッチング素子のプラス側端子(ソースまたはドレイン)を3相に共通のプラス側配線バーに、またマイナス側端子(ドレインまたはソース)を3相に共通のマイナス側配線バーに接続することにより、高圧ケーブルを2本にすることができる。上記のU,V,W相に共通の、プラス側配線バーおよびマイナス側配線バーを備えていれば、基板の有無には関係しない。図2では、ここでは図示していない上記配線バーを備えており、インバータ制御部40と、パワーモジュール20とを別体にして、パワーモジュール20をバスバー31に近接配置し、インバータ制御部40とパワーモジュール20とを結ぶ高圧ケーブル41は、プラス側とマイナス側の2本としている。
図3は、モータ端部9a上に位置するモータ用配電部品を、軸線に沿って見た正面図である。パワーモジュール20のスイッチング素子23は、U、V、Wの3相のバスバー31に重なるように配置されている。バスバー31は、バスバーハウジング33の絶縁性の壁間および図示していない底部で形成される溝状スペースに収容され固定されており、基板21の接続パッド25と接続されている。スイッチング素子Q1,Q2はU相用であり、Q3,Q4はV相用であり、またQ5,Q6はW相用である。接続パッド25も、U、V、W相に対応して3つあり、各相のバスバーと重なるように、バスバーの真上に、配置されている。高圧接続端子29はプラス端子とマイナス端子の2つが、モータ端部9aから外周側に突き出すように設けられ、図示していない高圧ケーブルと、圧着ボルト孔29aに挿通されるボルト、ナットにより接続される。
基板21には、基板21の配線各部と接続されるコネクタ27aが設けられる。コネクタ27aにコネクトされる相手側のコネクタ27bには、スイッチング素子のゲートに制御信号を送る、インバータ制御部からの制御線43が連結される。コネクタ27a,27bおよび制御線43とは、制御線コネクト部49を形成する。基板21は、モータ9に取り付けられてもよいし、バスバーハウジング33に取り付けられてもよい。また、接続パッドとバスバーとの接続による固定力のみで取り付け、とくに他に取付部を有しなくてもよい。
図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。バスバー31は、パワーモジュール20と重なる部分(接続部)以外の部分は、バスバーハウジング33に収容された、弧状で帯状の金属板(とくに銅板)として構成される。しかし、パワーモジュール20と重なる接続部では、接続パッドと接続を形成するため、バスバーハウジングの壁間の開口部へと立ち上がる部分を有し、図4の場合、コ字状の断面形状とされている。図4において、3本のバスバー31は、バスバーハウジング33の隔壁33w,外壁33a、底部33bで囲まれた各相スペースに収容されている。バスバー31は基板21に設けた接続パッド底部25bと接続される部分以外は絶縁される。ここに示すタイプの接続パッドは、上記裏面側と、ワイヤボンディングされる表(おもて)面側とに、露出部を有する。パワーモジュール部カバー22と基板21とで囲まれた空間Jには、絶縁樹脂が充填されることが望ましい。
基板21の上には基板全体を覆うように放熱部50が配置され、モータ9、スイッチング素子23などから生じる熱を放散する。熱は、主に、モータ9およびスイッチング素子23から生じる。上記のようにモータ端部9aにバスバーとスイッチング素子とが近接して配置される場合、スイッチング素子23からの熱がバスバーの底辺部を伝ってモータ本体表面から放散されることにより、スイッチング素子23の温度上昇を抑制する場合もある。しかし、このような経路の放熱は多くは期待できず、このため、放熱部50の役割は重要である。放熱部50については、図7において詳しく説明する。
図5は、バスバーと接続パッドとの接続部における断面図である。図5(a)は、バスバー31の接続部の断面がコ字状の場合であり、図5(b)はバスバー31のバスバー接続部の断面がL字状の場合である。図5(a)において、バスバー31のバスバー接続部の断面は、底辺部31b、壁部31wおよびトップ部31tによって構成される。その底辺部31bはバスバーハウジング底部33bと接し、そのトップ部31tは、基板21の裏面に露出する接続パッド25bと、半田39により接続される。図5(a)のような接続構造の場合、接続パッド25は基板21の裏面側に露出する部分25bを有することが必須となる。表面側はワイヤボンディングによる接続箇所となる。また、図5(b)において、バスバー接続部のL字状断面は、その底辺部31bおよび壁部31wによって構成される。その底辺部31bはバスバーハウジング底部33bと接し、その壁部31wは、基板21と接続パッド25に設けられた孔部を挿通され、接続パッド25を越えた側で半田39により接続パッドと接続される。この構成により、基板裏面側での半田付け等が難しい場合、基板表面側において接続パッドとバスバーとを接続することができる。図5(b)のような接続構造の場合、接続パッド25は基板21の裏面側に露出する部分を持つ必要はなく、短絡等を考慮すれば無いほうが望ましい。また、図5(a),(b)ともに基板21の上に放熱部50が設けられる。上述のように、上記バスバー接続部以外の部分は、図示していない取付固定部などを除いて、バスバー接続部の底辺部31bがそのまま弧状に延びた部分から構成される。
上記の構成により、モータ本体9とスイッチング素子23とは、バスバー31を介在させて回転軸11に沿って見て重なるように、すなわちモータ端部9aにおいて一体化することができる。このため、モータ9と、バスバー31、スイッチング素子23および基板21等を含むモータ用配電部品と、の一体化を、モータ側面外形を複雑な形状にすることなく、またモータ側面からはみ出す部分を抑制した上で、実現できる。モータ本体9は、回転体を含み、特有の円筒面状の側面形状を有する。本発明のモータ用配電部品におけるバスバー31は、上記円筒面状の形状を有する側面にではなく、側面に交差するモータ端面(端部)9aに取り付けられる。モータ端部9aは、凹凸や段差はあるかもしれないが、十分な広さの平坦部があるため、バスバーハウジングなどを取り付けやすい。このため、相対する互いの面形状を相補的に適合するように工数をかけることなく、自然に空間利用効率を高めることができる。また、モータによってはモータ端部に十分な平坦部がなく、たとえば段差や凹凸のある部分にバスバーハウジングを取り付ける場合があるが、そのような場合でもモータ側面に取り付ける場合とバスバーハウジングの底部裏面形状は自ずと異なる。そして、上記段差等がある場合であっても空隙部の空間利用効率性を高めることができる。また、バスバー31、スイッチング素子23および基板21等を備える配電部品と、モータとの接続構造が簡単なので、モータへの配電部品の搭載を搭載性よくでき、かつ接続を堅固に耐久性に優れるように形成することができる。
図6は、接続部の断面がコ字状の弧状バスバーを製作する際のバスバーの中間品を示し、図6(a)は、銅板からバスバー31となる部分を打ち抜いた状態を示す図である。この場合、バスバー接続部は弧状バスバーの外周側に突き出ており、バスバー31は一体物として形成される。ここで、バスバー接続部は、バスバーのトップ部31t、壁部31w、底辺部31bなどを含み、接続パッド25と接続するための部分をさす。図6中の中間品における点線にしたがって折り曲げることにより、バスバー接続部の壁部31wおよびトップ部31tが形成される。銅板から打ち抜く場合の歩留り等を向上させるために、図6(b)に示すように、弧状バスバーの内周側に突き出るようにバスバー接続部を設けた一体物としてもよい。図6(c)は、バスバー31と、壁部31wおよびトップ部31tとを別個に作り、溶接部36により一体化した中間品を示す図である。図6(c)の場合、弧状のバスバー(底辺部を含む)を、たとえば硬めの材質の帯板として、壁部31wやトップ部31tを導電性重視の材質とすることなど、材質の組み合わせの多様化を実現することができる。硬めの帯板、たとえば銅材は冷間引き抜きや押し出しにおける加工度を大きくして得ることができる。導電率を低下させないようにして組成や熱処理で硬くしてもよい。図6では、1つの相のバスバーの中間品のみを示すが、他の相のバスバーの中間品では、短絡防止または放電防止のために、バスバー接続部間の間隔をあけるために、バスバー接続部の弧における位置をずらすことが望ましい。さらに各相のバスバー接続部の間隔が小さい場合には、バスバーハウジングに収容した状態で、バスバー接続部間およびその周辺、たとえばパワーモジュールに重なる範囲の接続部分の空間を絶縁物または絶縁樹脂で充填するか、または遮断することが望ましい。
モータおよびスイッチング素子には、上記のように熱対策が必要である。たとえば車両の場合、エンジンには、放熱のために、通常、水冷路が設けられ、放熱を行うが、車両に用いられるモータについても水冷式の放熱を行うのが普通である。また、車両用モータに対する電力変換装置の場合、スイッチング素子では、上述のように熱が発生するので、放熱部を設ける。とくに、上記のモータでは、モータ端部に、バスバーとスイッチング素子とが重なるように配置されるので、放熱は重要である。図7(a)は、パワーモジュール20をバスバー31との間で挟むように配置された放熱部50を示す図である。放熱部50の放熱容量は、パワーモジュールの発熱量、スイッチング素子の耐熱温度などに応じて設定し、その際、自然空冷、強制空冷または水冷を選択する。空冷の場合には空冷用フィンを設け、強制空冷の場合には空気の強制流を、空気流路構造、ファン配置などにより形成する。材質は、基板やスイッチング素子の熱膨張率に合うようにし、熱伝導率の高いもの、たとえばAlNを用いる。水冷の場合には、図7(b)に示すように、内部に冷却水を流す経路を持った放熱部50をパワーモジュール20の基板に接触するように搭載する。放熱部50と基板とは接着剤で貼り合わせ、放熱部とバスバーハウジングとは嵌め込みやねじ止め等、この種のものの固定手段として既知の任意の手段で固定することができる。
モータの許容上限温度(大略200℃程度)と、スイッチング素子の許容上限温度(シリコン系素子では大略120℃程度)とでは、スイッチング素子のほうが相当低いので、モータ用水冷路とスイッチング素子用水冷路とは、別系統とされるのが普通である。一つはモータ用水冷路、他の一つは制御部におけるスイッチング素子用水冷路である。インバータ制御部にスイッチング素子が配置される場合(従来例)、エンジンやモータが集中配置される箇所と、そこから離れたインバータ制御部が位置する箇所とに、水冷路を別個にひくことは部品使用量の増大やスペースの有効活用の阻害要因となりやすい。上記本発明の場合には、スイッチング素子とモータとは一体化されるので、たとえ水冷路が別系統であっても、別系統の水冷路を空間利用効率が高くなるように配置することができる。さらに、シリコンより耐熱性に優れた半導体、たとえばSiCをスイッチング素子に用いた場合、スイッチング素子の許容上限温度はモータの許容上限温度に近づく。この場合、モータ用水冷路とスイッチング用水冷路とを連続化することが可能となる。図7(c)はモータ用水冷路とスイッチング用水冷路とを連続化した水冷路を示す図である。図7(c)において、パワーモジュール20に搭載された放熱部50を通る水冷路は、モータ冷却水導入部56と連結され、パワーモジュールの冷却水とモータの冷却水とを連続使用とされている。上記のような冷却水の連続化により、冷却水路の短縮化、部品使用量の減少、軽量化、小型化をはかることが可能となる。上記のような冷却水の連続化は、シリコン素子でも可能な場合もあるが、SiC素子などシリコンよりも耐熱性に優れた半導体素子を用いることにより容易に実現することができる。モータ用水冷路とエンジン用水冷路とは連続とされる場合が多く、そのような場合、スイッチング素子水冷路と、エンジン用水冷路またはモータ用水冷路と連続とされる。
図8は、バスバーおよび基板21上のスイッチング素子の配置を示す図である。また図9はスイッチング素子を示し、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。また、図10は、図8に示す配線形態の回路図である。スイッチング素子23は、シリコン(Si)、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)など大電力を制御できる素子を用いる。図8および図9では、スイッチング素子として縦型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を用いた場合を示しているが、配線パターンを変更することにより横型デバイスを用いてもよい。また、サイリスタ、GTO(Gate Turn-Off Thyristor)、バイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated
Gate Bipolar Transistor)など任意のスイッチング素子を用いることができる。縦型MOSFETを用いた場合には、裏面がドレイン(D)になり、図8に示す配線形態となる。基板21の固定ねじ孔21aは、基板のモータへの固定、または放熱部の固定等に用いてもよい。
Gate Bipolar Transistor)など任意のスイッチング素子を用いることができる。縦型MOSFETを用いた場合には、裏面がドレイン(D)になり、図8に示す配線形態となる。基板21の固定ねじ孔21aは、基板のモータへの固定、または放熱部の固定等に用いてもよい。
スイッチング素子23のドレインDは、基板21上の配線パターンまたは基板に貼り付けた配線バー61に半田付けまたはろう付けで取り付けられる。図8では、プラス側に全相に共通の配線バー61と、マイナス側に全相に共通の配線バー61とを配置して、図1または2などに示すように、高圧ケーブルの本数を2本としている。スイッチング素子23のゲートGは、基板に設けられたコネクタ27aにワイヤボンディングされたワイヤ55で接続されている。図8では、1本のワイヤ55で各部分間を接続する場合を示すが、電流の大きさに応じてワイヤ本数を増やしてもよい。すなわち同じ部分間を2本以上のワイヤで接続してもよい。図8および図10では、U、V、Wの各相のハイサイド(スイッチング素子Q1,Q3,Q5)とローサイド(スイッチング素子Q2,Q4,Q6)とに各1つのスイッチング素子を配置した場合を示すが、電流の大きさによっては両サイドとも各2つ以上のスイッチング素子を配置してもよい。
上記のワイヤボンディングされたワイヤ55、スイッチング素子23、バスバー31は、各部分間の電気的な絶縁をはかるために、絶縁物たとえばシリコンゲルで覆ってもよい(図4における空間Jへの絶縁物充填)。パワーモジュール部分は外部からの影響(水、油、塵芥)を受けて劣化しないように、またはパワーモジュール内部で放電しないように、絶縁充填剤で封止して保護してもよい。また、パワーモジュール部には、図4に示したように、外部からの影響を受けにくくするためにパワーモジュール部カバー22を設ける。パワーモジュール部カバー22は、バスバーハウジング33に嵌め込みするか、接着またはねじ止めにより固定する。
上記のように本発明の実施の形態例について説明したが、その他の変形例については、より一般的に述べるとつぎの態様がある(上述の実施の形態例と重複する態様もある)。
スイッチング素子は、最も広くは、基板に搭載されている必要はなく、モータ軸線に沿ってみて、バスバーがモータに重なるように配置され、そのバスバーに重なるようにスイッチング素子が配置されていれば該当する。この場合、インバータ制御部からスイッチング素子に高圧ケーブルが接続される場合、高圧ケーブルの本数は2本である必要はなく、配電系統数に応じた本数であってよい。すなわち3相配電の場合、3本であってよい。ただし、基板の有無にかかわらず、各相のスイッチング素子が接続される、全相に共通のプラス側接続部(例えば配線バー)および全相に共通のマイナス側接続部(例えば配線バー)があれば、配電系統数によらず高圧ケーブル本数を2本とすることができる。
また、モータの軸線に沿って見てモータに重なるようにバスバーを取り付ける取付部は、要するにバスバーをモータ端部に取り付ける部材である。モータは回転体を含み、特有の円筒面状の側面形状を有する。本発明のモータ用配電部品におけるバスバーは、上記円筒面状の形状を有する側面にではなく、側面に交差するモータ端面(端部)に取り付けられる。その取付部の形状が、側面に取り付けるものと異なっていることは、たとえば凹凸、段差はあったとしても自ずと明らかである。
上記のスイッチング素子は基板に搭載され、その基板に配置された接続パッドに、バスバーが、直接、接続されるようにできる。これにより、特別な接続材が不要となり、信頼性を向上させることができる。なお「直接、接続する」とは、半田やろうなどで互いを接続することをさす。
上記のバスバーはバスバーハウジングに収容され、そのバスバーハウジングは、バスバーとモータとの間に介在する絶縁性の底部と、その底部に交差するようにバスバーの側部に立つ絶縁性の壁とで形成する溝状スペースに、バスバーを収容するようにできる。これにより、バスバーの周囲との絶縁性を外乱などにも安定して確実に得ることができる。また、バスバーの側部に立つバスバーハウジングの壁間が開いているので、壁の上に基板を置いて、その壁間の開いている部分に基板の接続パッドを容易に精度よく位置決めして配置できる。
また、バスバーとの間にスイッチング素子を挟むように、放熱部を備えることができる。これにより、モータからの熱量を多く受け、スイッチング素子自身も熱を生じる配置により、小型化を実現しながら、熱によってスイッチング素子の機能が阻止されることがなくなる。
また、上記の放熱部はモータの水冷路と連続する水冷路を有するようにできる。たとえば耐熱性半導体のSiCを用いることにより、モータ水冷系との連続化を容易に実現し、部品使用量減少、構造の簡単化、軽量化、小型化を実現することができる。たとえばハイブリッド自動車において、モータの水冷路とエンジンの水冷路とが連続とされている場合、スイッチング素子の水冷路とエンジンの水冷路とを連続とすることができる。
上記のモータは回転駆動力を得るために第1の配電系と第2の配電系とを備え、バスバーは、第1の配電系のスイッチング電力の配電接続部を構成する第1のバスバーと、第2の配電系のスイッチング電力の配電接続部を構成する第2のバスバーとを有する。上記スイッチング素子は、モータの軸線に沿って見て、第1のバスバーに重なるように位置してその第1のバスバーに接続される第1のスイッチング素子(複数個でもよい)と、第2のバスバーに重なるように位置してその第2のバスバーに接続される第2のスイッチング素子(複数個でもよい)とを有する構成をとることができる。
上記構成により、たとえば3相配電の場合、モータの端部に設けた3相用のバスバーの各々に対応するスイッチング素子を簡単に接続することができ、信頼性、耐久性を高めることができる。またバスバーとスイッチング素子とを接続する接続部品を削減することができる。なお、上記のバスバーとスイッチング素子とは、特別の接続部品を用いて接続してもよいし、特別な接続部品を用いることなく半田付けやろう付けによって両者を直接接続してもよい。
また、第1のバスバーと第1のスイッチング素子とは、モータの軸線に沿って見て第1のバスバーに重なるように位置する基板上の第1の接続パッドを介在させ、また第2のバスバーと第2のスイッチング素子とは、モータの軸線に沿って見て第2のバスバーに重なるように位置する基板上の第2の接続パッドを介在させて、それぞれ接続されるようにしてもよい。
上記構成により、基板における配線と、半田付けやろう付けによる接続パッドとバスバーとの接続とにより、バスバーとスイッチング素子との接続が可能になる。この結果、高信頼性、高耐久性のモータ用配電部品を提供することができ、たとえばハイブリッド自動車の組み立て工程を簡単化することができる。
また、バスバーはバスバーハウジングに収納され、基板上の接続パッドは、そのバスバーハウジングの壁間の開口部(溝状スペースの開口部)に位置して、バスバーと接続されるようにできる。これにより、各相のバスバーの絶縁を確保して、パワーモジュールとバスバーとの接続を半田付けやろう付けにより簡単に行なうことができる。
また、バスバー接続部は、断面がコ字状であり、その底辺部がバスバーハウジングの底部に接し、そのトップ部が基板の接続パッドに接続されるようにできる。これにより、特別の接続部品を用いることなく、バスバー接続部と基板の接続パッドとを、直接、接続することができる。
また、バスバー接続部は、断面がL字状であり、その底辺部がバスバーハウジングの底部に接し、その壁部の上部が基板のおもて側で接続パッドに接続されるようにできる。これにより、基板裏面の接続パッドとバスバー接続部との接続が難しい場合、基板表面側の接続パッドの箇所に突き出たバスバー接続部と接続パッドとをおもて側から簡単に接続することができる。
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明のモータにおけるモータ用配電部品では、モータ端部に取り付けたバスバーに重ねるようにスイッチング素子を配置するので、搭載性が良く、機構的に堅固安定であり、空間利用効率の向上にも寄与することができる。
9 モータ本体、9a モータ端部、10 スイッチング素子一体型モータ(モータ)、11 回転軸、20 スイッチング素子搭載基板(パワーモジュール)、21 基板、21a 固定用ねじ孔、22 パワーモジュール部カバー、23 スイッチング素子、25,25b 接続パッド、27,27a,27b コネクタ、29 高圧接続端子、29a 圧着ボルト孔、31,31b,31w,31t バスバー、33,33a,33b、33w バスバーハウジング、36 バスバー溶接部、39 半田、40 インバータ制御部、41 高圧ケーブル、43 制御線、49 制御線コネクト部、50 放熱部、55 ワイヤー、56 モータ冷却水導入部、61 配線バー、J 絶縁樹脂充填部。
Claims (10)
- インバータによりスイッチングされた電力を供給されるモータであって、
前記モータの軸線に沿って見てそのモータに重なるように前記モータの外側に位置し、前記モータの配電接続部を構成するバスバーと、
前記モータから見て前記バスバーよりも遠くに、前記バスバーに重なるように位置して、前記スイッチングを行うスイッチング素子とを備える、モータ。 - 前記スイッチング素子は基板に搭載され、その基板に配置された接続パッドに、前記バスバーが、直接、接続される、請求項1に記載のモータ。
- 前記バスバーはバスバーハウジングに収容され、そのバスバーハウジングは、前記バスバーと前記モータとの間に介在する絶縁性の底部と、その底部に交差するように前記バスバーの側部に立つ絶縁性の壁とで形成する溝状スペースに、前記バスバーを収容する、請求項1または2に記載のモータ。
- 前記バスバーとの間に前記スイッチング素子を挟むように、放熱部を備える、請求項1〜3のいずれかに記載のモータ。
- 前記放熱部が前記モータの水冷路と連続する水冷路を有する、請求項4に記載のモータ。
- インバータによりスイッチングされた電力をモータに供給するモータ用配電部品であって、
前記モータ端部に配置される取付部に取り付けられ、前記モータの配電接続部となるバスバーと、
前記バスバーに重なるように位置して、前記スイッチングを行うスイッチング素子とを備える、モータ用配電部品。 - 前記スイッチング素子は基板に搭載され、その基板に配置された接続パッドに、前記バスバーが、直接、接続される、請求項6に記載のモータ用配電部品。
- 前記バスバーの取付部はバスバーハウジングを含み、そのバスバーハウジングは、絶縁性の底部と、その底部に交差するように前記バスバーの側部に立つ絶縁性の壁とで形成する溝状スペースに、前記バスバーを収容する、請求項6または7に記載のモータ用配電部品。
- 前記バスバーとの間に前記スイッチング素子を挟むように、放熱部を備える、請求項6〜8のいずれかに記載のモータ用配電部品。
- 前記放熱部が、前記モータの水冷路と連続するように形成された水冷路を有する、請求項9に記載のモータ用配電部品。
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-
2005
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