JP2007031663A - 膜形成用組成物、それを用いて形成された絶縁膜及び電子デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 カゴ型構造を有する化合物と水酸基と反応可能な化学種を含むことを特徴とする膜形成用組成物、該組成物を用いて得られる絶縁膜および該絶縁膜を有する電子デバイス。
【選択図】 なし
Description
また、有機ポリマーは概して有機溶剤への溶解性の不十分なものが多く、塗布液中での析出、絶縁膜中でのブツ発生の抑制が重要な課題となっているが、溶解性を向上させるためにポリマー主鎖を折れ曲がり構造にするとガラス転移点の低下、耐熱性の低下が弊害となりこれらを両立することは容易ではない。
また、ポリアリーレンエーテルを基本主鎖とする高耐熱性樹脂が知られており(特許文献1)、比誘電率は2.6〜2.7の範囲である。しかし、高速デバイスを実現するためには更なる低誘電率化が望まれている。
<1>
カゴ型構造を有する化合物と水酸基と反応可能な化学種を含むことを特徴とする膜形成用組成物。
<2>
水酸基と反応可能な化学種が水酸基と反応可能な官能基を2つ以上有することを特徴とする上記<1>に記載の膜形成用組成物。
<3>
水酸基と反応可能な官能基を有する分子が環状構造を有することを特徴とする上記<1>および<2>に記載の膜形成用組成物。
カゴ型構造が飽和炭化水素構造であることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<5>
膜形成用組成物に含まれる全固形分中の総炭素数に占めるカゴ型構造の総炭素数の比率が30%以上であることを特徴とする上記<1>〜<4>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<6>
カゴ型構造がアダマンタン構造であることを特徴とする上記<1>〜<5>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
カゴ型構造がジアマンタン構造であることを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<8>
カゴ型構造を有する化合物が下記式(I)で表される少なくとも一つの化合物の重合体である上記<7>に記載の膜形成用組成物。
Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはシリル基を表す。
mは1〜14の整数を表す。
Xはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはシリル基を表す。
nは0〜13の整数を表す。
カゴ型構造を有する化合物が窒素原子を有さないことを特徴とする上記<1>〜<8>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<10>
有機溶剤を含む上記<1>〜<9>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<11>
上記<10>に記載の膜形成用組成物を用いて形成した絶縁膜。
<12>
上記<11>に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
本発明で述べる「カゴ型構造」とは、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような分子を指す。例えば、アダマンタン構造はカゴ型構造と考えられる。対照的にノルボルナン(ビシクロ[2,2,1]ヘプタン)などの単一架橋を有する環状構造は、単一架橋した環状化合物の環が容積を定めないことから、カゴ型構造とは考えられない。
ここでいう炭素原子にはカゴ型構造に置換した連結基や置換基の炭素原子を含めない。例えば、1−メチルアダマンタンは10個の炭素原子で構成され、1−エチルジアマンタンは14個の炭素原子で構成されるものとする。
さらに別の置換基で置換されていてもよい。
この中でより好ましい連結基は、−C(R11)(R12)−、−CH=CH−、−C≡C−、アリーレン基、−O−、−Si(R16)(R17)−またはこれらを組み合わせた基であり、特に好ましいものは、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−Si(R16)(R17)−またはこれらの組み合わせである。
Rは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜10)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20)またはシリル基(好ましくは炭素数0〜20)を表し、Rが水素原子以外の場合、Rはさらに別の置換基で置換されていてもよい。置換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、アリールオキシ基、アリールスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、シリル基等が挙げられる。Rは好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数0〜20のシリル基であり、より好ましくは水素原子または炭素数0〜10のシリル基である。
mは1〜14の整数を表し、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1〜3の整数であり、特に好ましくは2または3である。
nは0〜13の整数を表し、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましくは0または1である。
重合したポリマーの質量平均分子量の好ましい範囲は1000〜500000、より好ましくは5000〜300000、特に好ましくは10000〜200000である。
本発明で述べる「水酸基と反応可能な化学種」とは水素ラジカル、水素イオン、水素分子など脱水反応を起こして水酸基そのものを除去する化学種と、Si−OH基、Si−H基、Si−X(Xはハロゲン元素)、アルコキシシリル基、Si−N結合、Si−O−Si結合、C−OH基、Si−OH基、COOH基、エステル基など水酸基と反応可能な官能基を有し、絶縁膜中の水酸基と反応し化学結合を形成しうる化合物の両方を含む。
水酸基と反応可能な官能基は水酸基と反応可能な化学種内に一つあれば本発明の効果は得られるが、より好ましくは2つ以上あることが好ましく、特に好ましくは3つ以上である。また、水酸基と反応可能な化学種は環状構造を有することも好ましい。環状構造の例としてはベンゼン骨格やシクロへキサン骨格に代表される炭素からなるものでも良いし、Si−O結合の繰り返し構造からなる環状構造であっても良い。また、一つの化学種内に複数の環状構造があっても良いし、種類も異なって良い。
また、本発明における水酸基と反応可能な化学種は分子、オリゴマー、高分子いずれの形態であっても使用可能である。これらの化学種は、成膜工程において生じる水酸基と反応を起こし、除去、または新規な結合を生じる為、水酸基による吸湿を防止することができる。また、2つ以上の水酸基から架橋構造を形成する際は膜強度の向上も実現できる。これらの化学種の最適濃度は膜形成用組成物における全固形分に対する質量%で好ましくは0.001%〜10%、より好ましくは0.01%〜8%、特に好ましくは0.05%〜5%である。
本発明に用いることの出来る好適な溶剤の例としては、特に限定はされないが、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−エトキシメタノール、3−メトキシプロパノール等のアルコール系溶剤;アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ベラトロール等のエーテル系溶剤;メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤などが挙げられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
塗布液中でのカゴ型構造を有する化合物の濃度は、目的膜厚により適宜設定できるが、一般的には1〜20質量%、好ましくは3〜15質量%である。
これらの添加剤の添加量は、添加剤の用途または塗布液の固形分濃度によって適当な範囲が存在するが、一般的に、塗布液中の質量%で好ましくは0.001%〜10%、より好ましくは0.01%〜5%、特に好ましくは0.05%〜2%である。
ば、該塗布液の溶媒よりも高沸点の有機化合物や、熱分解性低分子化合物、熱分解性ポリマー等が挙げられる。
発泡剤の添加量は、塗布液の固形分濃度によって適当な範囲が存在するが、一般的に、塗布液中の質量%で好ましくは0.01%〜20%、より好ましくは0.1%〜10%、特に好ましくは0.5%〜5%である。
絶縁膜の吸湿性を評価するためには、絶縁膜形成直後に測定した誘電率と、水分を吸着後の誘電率を比較することで可能である。水の誘電率は80程度あるので、水が吸着することで絶縁膜の誘電率が上昇する。すなわち、誘電率の上昇が少ない絶縁膜ほど吸湿性が低く良好な絶縁膜であると判断でき、絶縁膜の用途にもよるが誘電率の上昇が0.05以下であることが望ましい。なお、水分を吸着させるためには通常の大気環境下で長時間放置すればよいが、時間の短縮のために高温多湿環境内に絶縁膜を置き、積極的に水蒸気を絶縁膜に吸着させることにより加速評価を行うことも可能である。
Macromolecules, 24, 5266 (1991) に記載の方法により4,9−ジブロモジアマンタンを合成した。500mlフラスコに市販のp−ジビニルベンゼン1.30g、4,9−
ジブロモジアマンタン3.46g、ジクロロエタン200ml、および塩化アルミニウム2.66gを仕込み、内温70℃で24時間攪拌した。その後、200mlの水を加え、有機層を分液した。無水硫酸ナトリウムを加えた後、固形分を濾過で除去し、ジクロロエタンを半分量になるまで減圧下で濃縮し、この溶液にメタノールを300ml加え、析出
した沈殿を濾過した。質量平均分子量が約10000のポリマー(A−4)を2.8g得た。
窒素雰囲気グローブボックス内にて、上記のポリマー(A−4)1.0gとヘキサメチルジシラザン0.05gを混合し、シクロヘキサノン5.0mlおよびアニソール5.0mlの混合溶剤に加熱溶解し、塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で150℃で60秒間加熱した後、クリーンオーブン中窒素雰囲気下で400℃1時間の加熱処理を行った。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率(測定温度25℃、以降も同様)をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.55であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率(測定温度25℃、以降も同様)を測定したところ、8.7GPaであった。その後121℃ 相対湿度95%の環境で24時間放置したところ比誘電率が0.02上昇した。
実施例1と同様に実験し、ヘキサメチルジシラザンの代わりにヘキサクロロジシロキサンを用いたところ比誘電率は2.55、ヤング率は8.8GPaであった。その後121℃ 相対湿度95%の環境で24時間放置したところ比誘電率が0.03上昇した。
実施例1と同様に実験し、ヘキサメチルジシラザンの代わりにテトラメチルシクロテトラシロキサンを用いたところ比誘電率は2.56、ヤング率は9.6GPaであった。その後121℃ 相対湿度95%の環境で24時間放置したところ比誘電率が0.01上昇した。
実施例1と同様に実験し、ヘキサメチルジシラザンを使用しなかったところ、比誘電率は2.56、ヤング率は8.8GPaであった。その後121℃ 相対湿度95%の環境で24時間放置したところ比誘電率が0.11上昇した。
ジアマンタンを原料に用いて、Macromolecules, 5262, 5266 (1991) に記載の合成法に従って、4,9−ジエチニルジアマンタンを合成した。次に、4,9−ジエチニルジアマンタン10gと1,3,5−トリイソプロピルベンゼン50mlとPd(PPh3)4 120mgを窒素気流下で内温190℃で12時間攪拌した。反応液を室温にした後、イソプロピルアルコール300mlを添加した。析出した固体を濾過して、メタノールで洗浄した。質量平均分子量20000のポリマー(A)を3.0g得た。
窒素雰囲気グローブボックス内にて合成例2で合成したポリマー(A)1.0gとテトラメチルシクロテトラシロキサン0.05gをシクロヘキサノン10.0mlに溶解し、塗布液を調製した。この溶液を0.2ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で110℃で90秒間加熱した後250℃で60秒間加熱して、更にクリーンオーブン中で窒素中400℃30分の加熱処理を行った。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率は2.36、ヤング率は9.1GPaであった。その後121℃ 相対湿度95%の環境で24時間放置したところ比誘電率が0.01上昇した。
実施例4と同様に実験し、テトラメチルシクロテトラシロキサンを使用しなかったところ比誘電率は2.46、ヤング率は7.1GPaであった。その後121℃ 相対湿度95%の環境で24時間放置したところ比誘電率が0.13上昇した。
窒素雰囲気グローブボックス内にて先に例示のポリマー(B)(シグマ−アルドリッチより入手)1.0gとテトラメチルシクロテトラシロキサン0.05gをシクロヘキサノン10.0mlに溶解し、塗布液を調製した。この溶液を0.2ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で110℃で90秒間加熱した後200℃で60秒間加熱して、更にクリーンオーブン中で窒素中400℃30分の加熱処理を行った。得られた膜厚0.50ミクロンの絶縁膜の比誘電率は2.60であった。また、ヤング率は4.3GPaであった。その後121℃ 相対湿度95%の環境で24時間放置したところ比誘電率が0.12上昇した。
Claims (12)
- カゴ型構造を有する化合物と水酸基と反応可能な化学種を含むことを特徴とする膜形成用組成物。
- 水酸基と反応可能な化学種が水酸基と反応可能な官能基を2つ以上有することを特徴とする請求項1に記載の膜形成用組成物。
- 水酸基と反応可能な官能基を有する分子が環状構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の膜形成用組成物。
- カゴ型構造が飽和炭化水素構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の膜形成用組成物。
- 膜形成用組成物に含まれる全固形分中の総炭素数に占めるカゴ型構造の総炭素数の比率が30%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の膜形成用組成物。
- カゴ型構造がアダマンタン構造であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の膜形成用組成物。
- カゴ型構造がジアマンタン構造であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の膜形成用組成物。
- カゴ型構造を有する化合物が窒素原子を有さないことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の膜形成用組成物。
- 有機溶剤を含む請求項1〜9のいずれかに記載の膜形成用組成物。
- 請求項10に記載の膜形成用組成物を用いて形成した絶縁膜。
- 請求項11に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
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