JP2007031617A - 熱収縮性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベルに好適な透明性、耐溶剤性、自然収縮性及び低温収縮性等の物性バランスに優れた熱収縮性フィルムの提供する。
【解決手段】 ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素とからなる1種または2種類以上のブロック共重合体水添物と、ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体を主成分として配合してなる混合樹脂において、該混合樹脂の損失弾性率(E”)のピーク温度が−45℃から50℃の温度範囲内に少なくとも1つ存在するとともに、該混合樹脂を延伸してなるフィルムにおいて、80℃×10秒での熱収縮率が少なくとも一方向において20%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベルに好適な透明性、耐溶剤性、自然収縮性及び低温収縮性等の物性バランスに優れた熱収縮性フィルムに関する。
ビニル芳香族炭化水素含有量が比較的高い、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体は、透明性、耐衝撃性等の特性を利用して射出成形用途、シート、フィルム等の押出し成形用途等に使用されている。とりわけビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体樹脂を用いた熱収縮性フィルムは、従来使用されている塩化ビニル樹脂の残留モノマーや可塑剤の残留および焼却時の塩化水素の発生の問題もないため、食品包装やキャップシール、ラベル等に利用されている。熱収縮フィルムに必要な特性として自然収縮性、低温収縮性、透明性、機械強度、包装機械適性等の要求がある。これまで、これらの特性の向上と良好な物性バランスを得るため種々の検討がなされてきた。
例えば下記特許文献1には室温での自然収縮性を改良するため、スチレン系炭化水素と共役ジエン炭化水素からなるブロック共重合体とスチレン系炭化水素を含有した特定Tgのランダム共重合体の組成物からなるポリスチレン系熱収縮フィルムが開示されている。下記特許文献2にはフィルムの経時安定性と耐衝撃性に優れた透明性熱収縮性フィルムを得るため、ビカット軟化点が105℃を越えないビニル芳香族炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体共重合体とビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロックからなる共重合体との組成物で、特定の熱収縮力を特徴とする熱収縮性硬質フィルムが開示されている。下記特許文献3には透明性、剛性及び低温面衝撃性をバランスさせた組成物を得るため、特定構造と分子量分布を有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロックからなる共重合体とビニル芳香族炭化水素−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂との組成物が開示されている。
下記特許文献4には透明性と耐衝撃性に優れた樹脂組成物を得るため、特定構造のビニル芳香族炭化水素ブロックビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体ブロックを有するブロック共重合体とビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体を含有する透明高強度樹脂組成物が開示されている。下記特許文献5には、低温収縮性、光学特性、耐クラック特性、寸法安定性等に優れる収縮フィルムを得るため、ビニル芳香族炭化水素含有量が95〜20重量%で、ビカット軟化点が90℃を越えないビニル芳香族炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体共重合体とビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロックからなる共重合体との組成物を少なくとも1層有する多層低温収縮性フィルムが開示されている。
下記特許文献6には、自然収縮性、強度、表面特性、剛性、低温収縮性等に優れる収縮フィルムを得るため、両外層が特定ブタジエン単位含量のスチレン−ブタジエン−スチレン型ブロック共重合体とスチレン−ブチルアクリレートの混合物、中間層が特定ブタジエン単位含量のスチレン−ブタジエン−スチレン型ブロック共重合体とスチレン−ブチルアクリレートの混合物からなる少なくとも3層の多層ポリスチレン系熱収縮フィルムが開示されている。下記特許文献7には、自然収縮性、耐熱融着性、透明性、収縮仕上がり性のいずれかの特性に優れた熱収縮性フィルムを得るため、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素からなるブロック共重合体とビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体を組み合わせた配合物を中間層とし、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素からなるブロック共重合体を主成分とした混合重合体を表裏層とする熱収縮性ポリスチレン系積層フィルムが開示されている。
下記特許文献8には、低温での熱収縮特性、収縮仕上がり性、自然収縮率、熱時、フィルム同士のブロッキングが発生しない熱収縮性フィルムを得るため、中間層が特定のビカット軟化点のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主成分とし、内外層が特定のビカット軟化点のスチレン−共役ジエンブロック共重合体を主成分とする特定の熱収縮率を有する多層熱収縮性ポリスチレン系フィルムが開示されている。下記特許文献9には、加工特性、保存安定性、臭気が少なく、剛性や耐衝撃性に優れた樹脂組成物及びフィルム、多層フィルムを得るため、特定の分子量分布、残存単量体量を特徴とするスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる共重合体樹脂とスチレンと共役ジエンからなるブロック共重合体樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂組成物を主体とする層を有する(多層)熱収縮性フィルムが開示されている。
下記特許文献10には仕上がり性、剛性、自然収縮性優れる熱収縮性フィルムを得るため、特定の粘弾性挙動示すビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素のブロック共重合体とビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルの熱収縮性ポリスチレンフィルムが開示されている。下記特許文献11には柔軟性に富み、反発弾性と耐傷付き性が優れ、且つ取り扱い性が良好な水添共重合体を得るため、ビニル芳香族炭化水素の含有量、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの含有量、重量平均分子量、及び共役ジエンの二重結合の水添率が特定の範囲にある水添共重合体が開示されている。下記特許文献12には柔軟性、引張強度、耐摩耗性、耐打痕性に優れ、且つ架橋性が良好な水添共重合体を得るため、ビニル芳香族炭化水素の含有量、ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの含有量、重量平均分子量、共役ジエンの二重結合の水添率及びtanδのピーク温度が特定の範囲にある水添共重合体が開示されている。
しかしながら、これらのビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体とその水添物は、自然収縮性、低温収縮性、透明性及び耐溶剤性等の物性バランスが十分でなく、これらの文献にはそれらを改良する方法に関して開示されていない。
特開平4−52129号公報 特開平5−104630号公報 特開平6−220278号公報 特開平7−216187号公報 特開昭61−41544号公報 特開2000−185373号公報 特開2000−6329号公報 特開2002−46231号公報 特開2002−201324号公報 特開平11−349704号公報 WO03/035705号公報 WO04/003027号公報
本発明は、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベルに好適な透明性、耐溶剤性、自然収縮性及び低温収縮性等の物性バランスに優れた熱収縮性フィルムの提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定のブロック共重合体水添物により上記の目的が達成されることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は
1.ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素とからなる1種以上のブロック共重合体水添物と、ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体を主成分として配合してなる混合樹脂において、該混合樹脂の損失弾性率(E”)のピーク温度が45℃から50℃の温度範囲内に少なくとも1つ存在するとともに、該混合樹脂を延伸してなるフィルムの80℃×10秒での熱収縮率が少なくとも一方向において20%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルム、
2.上記1に記載のビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素とからなる少なくとも1種のブロック共重合体水添物において、損失弾性率(E”)のピーク温度が−40℃から40℃の温度範囲内に少なくとも1つ存在することを特徴とする熱収縮性フィルム、
3.延伸フイルムの引張弾性率が、15000kgf/cm以上であることを特徴とする上記1または2に記載の熱収縮性フィルム、
4.上記1〜3のいずれかに記載の混合樹脂に、可塑剤及び/又は粘着付与樹脂を1〜10重量部の範囲で添加したことを特徴とする熱収縮性フィルム、
に関する。
本発明のビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素とからなるブロック共重合体
水添物と、ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体を主成分として配合してなる混合重合体は、損失弾性率のピークを特定範囲に調整することによって、フィルムの剛性、自然収縮性が優れており、耐溶剤性が良好な熱収縮性フィルムを得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のフィルムのビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素からなる1種または2種類以上のブロック共重合体水添物と、ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体を配合してなる混合樹脂において該混合樹脂の損失弾性率(E”)のピーク温度が−45℃から50℃の温度範囲、好ましくは−40℃から40℃の温度範囲に少なくとも1つのピークが存在することにより良好な収縮仕上がり性を持ったフィルムが得られる。
本発明のフィルムの損失弾性率のピークが−45〜50℃の温度範囲に少なくとも1つ存在すれば、上記温度範囲以外に複数のピークが存在しても良い。例えば上記範囲内に1つピークが存在し、さらに−45℃以下と50℃以上に各々1ピークが存在しても良い。
ここで述べる損失弾性率のピーク温度とは、例えば株式会社ユービーエム製粘弾性測定解析装置DVE−V4或いは東洋ボールドウイン社製レオバイブロンDDV−3型等を用い、振動周波数35Hz、昇温速度3℃/分、測定温度−100℃から150℃の範囲で貯蔵弾性率(E’)と損失弾性率(E”)を測定し、損失弾性率(E”)の温度依存曲線が極大値を与える温度である。
上記構成の混合樹脂に損失弾性率のピークを特定範囲に持たせるには、構成する各樹脂の少なくとも1種の樹脂に同じような特性を持たせることが必要である。従って、本フィルムを構成する樹脂の少なくとも1種に損失弾性率のピークが−45〜50℃の温度範囲内に持っているビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素とからなるブロック共重合体水添物であることが必要となる。
本発明のブロック共重合体水添物は、ビニル芳香族炭化水素単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体から構成されるセグメントを少なくとも1つと、共役ジエン単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体から構成されるセグメントを少なくとも1つ有する。該ブロック共重合体水添物の水添前のポリマー構造は特に制限は無いが、例えば一般式、
(A−B)、A−(B−A) 、B−(A−B)n+1
[(A−B)m+1−X、[(A−B)−A]m+1−X
[(B−A)m+1−X、[(B−A)−B]m+1−X
(上式において、セグメントAはビニル芳香族炭化水素単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体、セグメントBは共役ジエン単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体である。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エポキシ化大豆油等のカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。n、k及びmは1以上の整数、一般的には1〜5の整数である。また、Xに複数結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていても良い。)で表される線状ブロック共重合体水添物やラジアルブロック共重合体水添物、或いはこれらのポリマー構造の任意の混合物が使用できる。また、上記一般式で表されるラジアルブロック共重合体水添物において、更にA及び/又はBが少なくとも一つXに結合していても良い。
本発明において、セグメントA、セグメントBにおけるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体中のビニル芳香族炭化水素は均一に分布していても、テーパー(漸減)状に分布していてもよい。また該共重合体中水添物には、ビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がセグメント中にそれぞれ複数個共存してもよい。セグメントA中のビニル芳香族炭化水素含有量({セグメントA中のビニル芳香族炭化水素/(セグメントA中のビニル芳香族炭化水素+共役ジエン)}×100)とセグメントB中のビニル芳香族炭化水素含有量({セグメントB中のビニル芳香族炭化水素/(セグメントB中のビニル芳香族炭化水素+共役ジエン)}×100)との関係は、セグメントAにおけるビニル芳香族炭化水素含有量のほうが、セグメントBにおけるビニル芳香族炭化水素含有量より大である。セグメントAとセグメントBの好ましいビニル芳香族炭化水素含有量の差は5重量%以上であることが好ましい。
本発明で使用するブロック共重合体水添物において、共役ジエンに基づく不飽和二重結合の水素添加率(水添率)は、重合体中の共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合の60%以上、好ましくは75%以上、更に好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上が水添されている必要がある。水添率が60%以上にあっては耐溶剤性に優れる。なお、共重合体中のビニル芳香族炭化水素に基づく芳香族二重結合の水添率については特に制限はないが、水添率を50%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下にすることが好ましい。水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)により知ることができる。
水添前のブロック共重合体は、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の開始剤を用いてビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンを重合することにより得ることができる。
炭化水素溶媒としては、例えばn−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素類、また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等が使用できる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
また重合開始剤としては、一般的に共役ジエン及びビニル芳香族化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等を用いることができる。アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1から20の脂肪族及び芳香族炭化水素リチウム化合物であって、1分子中に1個のリチウムを含む化合物や1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が挙げられる。
具体的にはn−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンとの反応生成物等が挙げられる。更に、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書等に開示されている有機アルカリ金属化合物も使用することができる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
ビニル芳香族炭化水素としてはスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレンなどがあるが、特に一般的なものはスチレンが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
上記ブロック共重合体の水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物および/または還元性有機金属化合物との混合物があげられる。
チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できるが、具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物があげられる。また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物あるいは有機亜鉛化合物等があげられる。
水添反応は一般的に0〜200℃、より好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。水添反応に使用される水素の圧力は0.1〜15MPa、好ましくは0.2〜10MPa、更に好ましくは0.3〜7MPaが推奨される。また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。本発明において、水添前のブロック共重合体を製造する際の重合温度は一般的に−10℃〜150℃、好ましくは40℃〜120℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は10時間以内であり、特に好適には0.5〜5時間である。また、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガスなどをもって置換するのが望ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に制限されるものではない。更に重合系内には触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意する必要がある。
本発明のブロック共重合体水添物は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの重量比が60/40〜95/5、好ましくは65/35〜90/10、更に好ましくは68/32〜85/15である。ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの比が60/40〜95/5の範囲にあっては剛性と伸びが向上した熱収縮性フィルムを得ることができる。尚、ブロック共重合体水添物のビニル芳香族炭化水素含有量は、水添前のブロック共重合体のビニル芳香族化合物含有量で把握しても良い。
本発明のブロック共重合体水添物に組み込まれているビニル芳香族炭化水素のブロック率は20〜100重量%、好ましくは25〜98重量%、更に好ましくは30〜93重量%である。ブロック率が20〜100重量%の範囲にあっては、剛性と伸びのバランスに優れる。
上記のような粘弾性特性を持った樹脂を少なくとも1種配合することによって本発明のフィルムは良好な収縮仕上がり性を得ることが出来るのである。次に本発明のフィルムの構成樹脂であるビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体について説明する。
前記ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体のビニル芳香族系炭化水素とは主としてスチレン系の単量体のことをいい、具体的にはスチレン、α−アルキル置換スチレン例えばα−メチルスチレン類、核アルキル置換スチレン類、核ハロゲン置換スチレン類等から選ばれたもので、目的により適当なものを少なくとも1種選べば良い。また、脂肪族不飽和カルボン酸エステルとはアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、等の炭素数C1〜C12好ましくはC2〜C12のアルコールとアクリル酸とのエステル誘導体、またはメタアクリル酸、または同様に炭素数C1〜C12好ましくはC2〜C12、より好ましくはC3〜C12のアルコールとメタアクリル酸とのエステル誘導体、またα、β不飽和ジカルボン酸、例えばフマル酸、イタコン酸、マレイン酸、その他等、またはこれらジカルボン酸とC2〜C12のアルコールとのモノ又はジエステル誘導体等から少なくとも1種選ばれるものである。これらは一般に該エステル類主体のものでその量が好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上のものである。
又、その種類は好ましくはアクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル等のエステル類を主体にするものが良い。又これらのエステル類のそれぞれの単独の重合体でのガラス転移点(Tg)が0℃以下程度、好ましくは−10℃以下となる単量体の少なくとも1種を含む成分と、スチレンとの共重合体がより好ましい。また該スチレン系誘導体成分又は該カルボン酸系誘導体のTgが高いものを用いても結果として、共重合体が低いTgを有した他の単量体の性質が優と出る2成分、又は3成分以上、場合により4成分以上の混合脂肪族不飽和カルボン酸エステル又は同様に該スチレン系成分を共重合しても良い、又該エステルのアルコールの炭素数がC1の場合(特にメタアクリル酸メチル)は、他の同炭素数C2以上のものを同時に含む多元共重合体が好ましい。又これ等にジエン系モノマーを更に共重合しても良く、又、これ等の共重合体のジエン系に由来する部分の少なくとも1部を水添したものでも良く、又これ等上記すべての場合にジエン系ゴムを少なくとも1部含む重合体を利用したいわゆるグラフト共重合体にした所の各種マトリックスの粒子(平均径:0.01〜10μmで、いわゆるマトリックス取込み、サラミ構造等のものを含む)を含むいわゆる透明ハイインパクト(HI)化したものがより好ましい。
これ等には例えばスチレン−ブチルアクリレート−メチルメタアクリレート−ジエン含有ゴム系の重合体(グラフト部を含む)、共重合体又は通常のHI処方のもの等がある。又スチレン成分主体の部分が少なくとも1部ブロック的な部分を有し、他部分が該不飽和カルボン酸系成分主体の部分を少なくとも1部有する共重合体、又は該他部分がスチレン系成分又は該カルボン酸成分とのランダム部分を有する上記の自由な組合わせの共重合体でも良い。又は、上述のスチレン系成分とカルボン酸系成分のランダム共重合体、又は両成分のブロック的共重合体、又はどちらかがランダム的で、他方がブロック的な共重合体、又はどちらかのブロック的部分が両成分のテーパー状重合体となったもの等で、これ等に更に自由な重合体主鎖の、自由な位置(重合体又はセグメント部分の少なくとも1つの末端部分、少なくとも1つの中央部分等をいう)に炭素数C1〜C22の炭化水素基(例えばアルキル基、シクロヘキサン構造等を少なくとも1部有するもの)を少なくとも1つ含むものが諸強度特性上好ましい。
これ等は重合触媒残渣、連鎖移動剤残渣又は特定の化合物を重合中に加えて重合すれば良い。前者には例えば公知のパーオキサイド系の触媒として1官能のもの、またはそれ以上の2、3、4、5……官能のものから少なくとも1つ自由に選ばれる。又多官能のものには例えばシクロヘキサン環を有した4官能ケトール構造のもの等がある。又、追加して連鎖移動剤を用いても良く、これ等には例えばn−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどがある。成分(II)の製造方法は、スチレン系樹脂製造の公知の方法、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等を用いることができる。
前記ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体のメルトフローレート(以後MFRと記す)[JISK−6870に準拠し、G条件(温度200℃、荷重5Kg)で測定]は成形加工の点から0.1〜20g/10min、好ましくは1〜10g/10minが推奨される。
本発明のフィルムの剛性(弾性率)および耐自然収縮性はビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合樹脂を配合することによって付与される。剛性のあるスチレン系樹脂としてはポリスチレンが挙げられるが、このポリスチレン樹脂は非常に高いビカット軟化温度を有しているためn−ブチルアクリレート(BA)を共重合することによってビカット軟化温度を調整することによって熱収縮フィルムに非常に適した樹脂となるのである。しかし該樹脂は重要なフィルムの腰や耐自然収縮性を付与させる反面、硬くて脆い性質がある。そのため該樹脂を単独で熱収縮フィルムとして使用することは非常に困難である。上記特性を付与したビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素からなるブロック共重合体水添物を少なくとも1種以上配合することによって、強い腰をもち、耐自然収縮性に優れ、かつ収縮仕上がりが良好なフィルムを得ることが出来る。
スチレンとBAの共重合比は使用用途によって適宜調整されるが一般的にはスチレンが98〜50重量%、より好ましくは95〜75重量%の範囲がよい。スチレンが50重量%未満ではビカット軟化温度は低下するが配合後のフィルムの剛性を付与させる役目を果たせなくなり、また98重量%を越えるとビカット軟化温度が高すぎ配合フィルムの収縮性、特に低温収縮性が失われ、好ましくない。
本発明のフィルムは損失弾性率特性を満たしていれば、上記に示した特定の損失弾性率を持ったビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素からなるブロック共重合体水添物と、ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体以外の重合体を配合しても良い。
その重合体としては相溶性等、配合することによる効果が明確に現れるということより、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素からなるブロック共重合体水添物が好ましい。特にスチレン−ブタジエンブロック共重合体水添物がより好ましい。
また、必要に応じてスチレン−ブタジエン共重合体水添物混合物体以外にもスチレン系重合体を配合することもできる。本発明において最も好適に用いられるスチレン系重合体はポリスチレン(GPPS)である。収縮仕上がり性、低温収縮性を低下させない範囲でポリスチレンを混合することによってフィルムの更なる剛性の向上も期待できる。
本発明のフィルムにおいてビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素とからなる1種または2種類以上のブロック共重合水添物と、ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体を配合してなる混合樹脂の配合量はフィルム全体の50重量%以上、より好ましくは70重量%以上あることが好ましい。上記混合樹脂が50重量%未満では、本フィルムに上記に示した特性を付与させることが困難となるからである。
本発明のフィルムは特定の損失弾性率特性を付与するのと同様に、延伸フィルムの引張弾性率が15000kgf/cm以上であることが好ましい。この引張弾性率特性を付与させるためには本発明配合が必要となる。現在SBSを主体とした熱収縮性フィルムの弾性率は14000kgf/cm程度が一般的で、収縮フィルムをボトルに挿入する場合に折れない必要があること等により厚みは60μm程度は必要とされている。従ってフィルムの剛性の指標となる引張弾性率を15000kgf/cm 以上と高くすることによってフィルムを60μm以下、好ましくは55μm以下にすることが可能となる。 さらに製品用途に応じて本発明のフィルムに低温収縮性を付与させる目的で上記樹脂100重量部に対して可塑剤及び/又は粘着付与樹脂を1〜10重量部、さらに好ましくは2〜8重量部添加することが可能である。可塑剤もしくは粘着付与樹脂の量が1重量部未満では可塑化が十分達成されず、低温収縮性を添加によって発現させる効果が得られ難く、可塑剤もしくは粘着付与樹脂の量が10重量部を越えると溶融粘度の低下等により良好なフィルムを得ることが難しくなる。上記可塑剤としては以下のものを例示することができる。
a)ジオクチルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート等の脂肪族エステル系が挙げられる。
b)ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等の芳香族エステル系が挙げられる。
c)ポリ(1、4−エチレンアジペート)、ポリ(1、4−エチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系が挙げられる。
d)トリクレジルホスフェート、トリフエニルホスフェート等のリン酸エステル系。また、粘着付与樹脂としては以下のものを例示することができる。
a)ロジン、変成ロジン、重合ロジン、ロジングリセリンエステル等のロジン系が挙げられる。
b)αピネン重合体、βピネン重合体、ジペンテン重合体、テルペン−フェノール重合体、αピネン−フェノール共重合体等のポリテルペン系樹脂が挙げられる。
c)シクロペンタジエン−イソプレン−(1、3−ペンタジエン)−(1−ペンテン)の共重合体、(2−ペンテン)−ジシクロペンタジエンの共重合体、1、3−ペンタジエン主体の樹脂等のC5系石油樹脂が挙げられる。
d)インデン−スチレン−メチルインデン−αメチルスチレン共重合体等のC、C10系のタール系石油樹脂が挙げられる。
e)ジシクロペンタジエン主体の樹脂等のDCPD系石油樹脂、およびa)〜e)の部分水添品や完全水添品が挙げられる。
また、以上の可塑剤もしくは粘着付与樹脂は1種又は2種以上混合して用いてもよい。特に透明性と低温収縮性等の収縮特性の改良効果とのバランスから可塑剤としては、フタル酸系、ポリエステル系の可塑剤が、粘着付与樹脂としては、重合度200以下の水添テルペン樹脂、および同じくC5系水添石油樹脂が好適に使用される。
また、本発明のフィルムでは、上記に示した可塑剤もしくは粘着付与樹脂以外にも目的に応じて各種の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、無機フィラー等を各用途に応じて適宜添加できる。
つぎに本発明のフィルムの製造方法を具体的に説明するが、下記製造方法には限定されない。上記内容で配合されたポリスチレン系樹脂を押出機によって溶融させ、押出す製造方法が一般的である。押出に際しては、Tダイ法、チューブラ法などの既存のどの方法を採用してもよい。溶融押出された樹脂は、冷却ロール、空気、水等で冷却された後、熱風、温水、赤外線、マイクロウエーブ等の適当な方法で再加熱され、ロール法、テンター法、チューブラ法等により、1軸または2軸に延伸される。
延伸温度はフィルムを構成している樹脂の軟化温度や熱収縮性フィルムの要求用途によって変える必要があるが、概ね60〜130℃、好ましくは80〜120℃の範囲で制御される。延伸倍率は、フィルム構成組成、延伸手段、延伸温度、目的の製品形態に
応じて1.5〜6倍の範囲で適宜決定される。また、1軸延伸にするか2軸延伸にするかは目的の製品の用途によって決定される。
また、延伸した後フィルムの分子配向が緩和しない時間内に速やかに、当フィルムの冷却を行うことも、収縮性を付与して保持する上で重要な技術である。
本発明のフィルムは80℃×10秒の熱収縮率が少なくとも一方向において20%以上であることが好ましい。収縮率が20%未満の場合、収縮フィルムとして実用的な機能を発揮しずらい。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例に示す測定値および評価は次のように行った。ここで、フィルムの流れ方向をMD、その直交方向をTDと記載した。
(1)スチレン含有量
スチレン含有量は、紫外分光光度計(装置名:UV−2450;島津製作所)を用いて測定した。
(2)水添率
水添率は核磁気共鳴装置(装置名:DPX−400;ドイツ国、BRUKER社製)で測定した。
(3)貯蔵弾性率及びtanδピーク温度:株式会社ユービーエム製粘弾性測定解析装置DVE−V4を用い、振動周波数35Hz、昇温速度3℃/minの条件で、厚さ2mmの試験片を用い、温度−50℃〜150℃の範囲を測定して求めた。
(4)曇り度:ASTMD1003に準拠(試験片厚さ0.04mm)して測定した。曇り度が低い程、良い透明性を示す。
(5)引張弾性率:引張速度100mm/min、試験片幅10mm、チャック間20mm、測定温度23℃で行い、MD、TDの平均値であらわした。
(6)熱収縮率:延伸フィルムを80℃の温水中に10秒間浸漬し、次式より算出した。
熱収縮率(%)=(L1−L2 )/L1 ×100、但し、L1 :収縮前の長さ(延伸方向)、L2:収縮後の長さ(延伸方向)。
(7)自然収縮率:延伸フィルムを35℃で3日間放置し、次式より算出した。
自然収縮率(%)=(L3−L4 )/L3 ×100、但し、L3 :放置前の長さ(延伸方向)、L4:放置後の長さ(延伸方向)。
(8)耐溶剤性:酢酸エチルとイソプロピルアルコールの比率が40/60の23℃の溶剤中に4cm×4cm(タテ×ヨコ)の延伸フィルムを浸漬し、収縮開始までの時間を目視で計測した。判定基準は、○5秒以上、×は5秒未満。
(芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素からなるブロック共重合体水添物の調整)
水添前のブロック共重合体はシクロヘキサン中、n−ブチルリチウムを開始剤、テトラメチルエチレンジアミンをランダム化剤として、スチレンとブタジエンを重合しブロック共重合体を製造した。
水添ブロック共重合体の調製において、モノマーはシクロヘキサンで濃度25重量%に希釈したものを使用した。
また、水添触媒は、窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた水添触媒を使用した。
水添触媒をブロック共重合体100重量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加した後、脱溶媒してブロック共重合体水添物を得た。ブロック共重合体水添物の水添率は、水添率が97%になるように水素量で調整した。
脂肪族不飽和カルボン酸エステル−スチレン共重合体は、スチレン84重量%とn−ブチルアクリレート16重量%の共重合体(以後、共重合体Aと記載する)を使用した。
[実施例1]
スチレン82重量%とブタジエン18重量%とからなるブロック共重合体水添物(損失弾性率のピーク温度:−40℃および30℃)30重量%、スチレン75重量%とブタジエン25重量%とからなるブロック共重合体(損失弾性率のピーク温度:−35℃および104℃)40重量%、共重合体Aを30重量%の混合樹脂を押出機で溶融押出しし、溶融体をキャストロールで冷却し総厚み200μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを91℃の温度雰囲気のテンタ−延伸設備内でTD方向に5倍延伸して、約40μmの熱収縮性フィルムを得た。
[実施例2]
スチレン82重量%とブタジエン18重量%とからなるブロック共重合体水添物(損失弾性率のピーク温度:−40℃および30℃)40重量%、スチレン80重量%とブタジエン20重量%とからなるブロック共重合体(損失弾性率のピーク温度:−82℃および109℃)30重量%、共重合体Aを30重量%の混合樹脂とした以外は実施例1と同様な方法で熱収縮性フィルムを得た。
[実施例3]
スチレン82重量%とブタジエン18重量%とからなるブロック共重合体水添物(損失弾性率のピーク温度:−40℃および30℃)35重量%、スチレン75重量%とブタジエン25重量%とからなるブロック共重合体(損失弾性率のピーク温度:−35℃および104℃)30重量%、共重合体Aを30重量%、ポリスチレン樹脂5重量%の混合樹脂とし、延伸温度を110℃とした以外は実施例1と同様な方法で熱収縮性フィルムを得た。
[実施例4]
スチレン82重量%とブタジエン18重量%とからなるブロック共重合体水添物(損失弾性率のピーク温度:−40℃および30℃)50重量%、共重合体Aを50重量%の混合樹脂とした以外は実施例1と同様な方法で熱収縮性フィルムを得た。
[実施例5]
スチレン70重量%とブタジエン30重量%とからなるブロック共重合体水添物(損失弾性率のピーク温度:−22℃および110℃)50重量%、共重合体Aを50重量%の混合樹脂とした以外は実施例1と同様な方法で熱収縮性フィルムを得た。
[比較例1]
スチレン80重量%とブタジエン20重量%とからなるブロック共重合体(損失弾性率のピーク温度:−82℃および109℃)50重量%、SC008 50重量%の混合樹脂とした以外は実施例1と同様な方法で熱収縮性フィルムを得た。このフィルムは自然収縮性、フィルム弾性率は良好なものの、十分な収縮仕上がり性を得ることが出来なかった。
[比較例2]
共重合体Aを単身とした以外は実施例1と同様な方法で熱収縮性フィルムを得た。このフィルムは自然収縮性、フィルム弾性率は良好なものの、耐破断性および収縮仕上がり性において実用上問題を生じた。
[比較例3]
スチレン82重量%とブタジエン18重量%とからなるブロック共重合体水添物(損失弾性率のピーク温度:−40℃および30℃)50重量%とスチレン75重量%とブタジエン25重量%とからなるブロック共重合体(損失弾性率のピーク温度:−35℃および104℃)50重量%の混合樹脂とした以外は実施例1と同様な方法で熱収縮性フィルムを得た。このフィルムは収縮仕上がり性はほぼ良好であったが、フィルム弾性率、自然収縮性において実用上問題を生じた。
[比較例4]
実施例1と同様な混合樹脂とし、延伸温度を125℃とした以外は実施例1と同様な方法で熱収縮性フィルムを得た。このフィルムは80℃×10秒の収縮率が15%以下となり、収縮トンネル内の収縮仕上がり性が不良であった。
結果は表1にまとめてあるが、損失弾性率のピーク温度は混合物のため、ピーク温度がシフトしている。
表1の実施例1〜5は熱収縮性フィルムとして優れた物性を有し、かつ低い自然収縮性、高い弾性率を有していることが分かる。特にビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素とからなるブロック共重合体水添物を配合物は、耐溶剤性が格段に改良されている。
Figure 2007031617
本発明の熱収縮性フィルムは透明性、耐溶剤性、自然収縮性及び低温収縮性等の物性バランスに優れることから、フィルムの寸法安定性及び低温収縮性を同時に達成でき、飲料容器包装やキャップシール及び各種ラベル等に好適に利用できる。

Claims (4)

  1. ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素とからなる1種以上のブロック共重合体水添物と、ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体を主成分として配合してなる混合樹脂において、該混合樹脂の損失弾性率(E”)のピーク温度が45℃から50℃の温度範囲内に少なくとも1つ存在するとともに、該混合樹脂を延伸してなるフィルムの80℃×10秒での熱収縮率が少なくとも一方向において20%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルム。
  2. 請求項1に記載のビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系炭化水素とからなる少なくとも1種のブロック共重合体水添物において、損失弾性率(E”)のピーク温度が−40℃から40℃の温度範囲内に少なくとも1つ存在することを特徴とする熱収縮性フィルム。
  3. 延伸フイルムの引張弾性率が、15000kgf/cm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱収縮性フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の混合樹脂に、可塑剤及び/又は粘着付与樹脂を1〜10重量部の範囲で添加したことを特徴とする熱収縮性フィルム。
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