JP2007023305A - 自動車用電線のための導体素線およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車用電線のための導体素線として、強度、耐衝撃性、導電率のいずれについても、高い性能を有する導体素線およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】Feを0.03〜0.3wt%、Pを0.01〜0.1wt%含有し、残部がCuおよび不可避不純物である銅合金を用いて素線を形成する。好ましい態様としては、Snをさらに加える。製造工程においては、冷間での伸線加工のあと、300〜600℃の温度で0.5〜4時間維持することによって焼鈍する。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車用ワイヤーハーネスなどの自動車用電線の芯線に用いられる導体素線およびその製造方法に関し、特に、軽量化と省スペースを目的とした細径化自動車用電線に用いられる導体芯線とその製造方法に関する。
自動車用ワイヤーハーネスは、自動車内部の各装置や制御機器などを電気的に接続する電線として広く用いられている(例えば、特許文献1〜4)。
近年、自動車の高性能化に伴って、搭載される装置や制御機器が増加し、それによって配線箇所が多くなり、使用されるワイヤーハーネスの総重量が増加している。一方で、自動車は、燃費向上や省資源の観点から車両の軽量化が進められており、ワイヤーハーネスも軽量で省スペースなものが求められている。その対策の一つとして導体の細径化が挙げられる。
従来の自動車用電線には、一般的に軟銅素線を7本拠り合せた芯線が用いられてきた。
芯線を細径化する際に留意すべき点は、細径化しても従来の芯線と比べて、強度や耐衝撃性が劣らないようにすることである。また、併せて耐屈曲性にも注意する必要がある。
強度と耐衝撃性は、ワイヤーハーネス配策時や取り付け時に断線を生じさせないために重要な特性である。また、耐屈曲性は、自動車走行中の振動などによって電線が断線しないために重要な特性である。
芯線の細径化は、用いる素線を細径化するか、または素線の使用本数を減らすかによって行なわれるが、いずれの態様であっても、素線の強度、耐衝撃性、耐屈曲性は、従来よりも向上させなければならない。
これらの問題を解決する目的で、ステンレス素線やケブラー繊維などの異種材料素線を拠り合わせたり、Cu−Sn、Cu−Cr−Zr、Cu−Ni−Siなどの銅合金素線を用いたりする方法が提案されている(例えば、特許文献5、6)。
しかし、これらの芯線は、強度、耐衝撃性の向上と導電性向上とのバランス、および低コスト化の要求を完全に満足するものではない。
従って、ワイヤーハーネスの軽量化に適し、コスト面でも優位な自動車電線用の導体素線が求められている。
特許第3275506号公報 特開平06−060739号公報 特開平06−187831号公報 特開平11−224538号公報 特許第3156381号公報 特開平07−192535号公報
本発明の課題は、自動車用電線のための導体素線として、強度、耐衝撃性、導電率のいずれについても、高い性能を有する導体素線およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究をした結果、銅合金の成分のうち、Fe、Pの含有量を特定の範囲に限定することによって、さらに好ましくは特定量のSnを加え、また好ましくは特定の温度条件での熱処理を施すことによって、前記課題を解決し得る素線が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は、次の特徴を有するものである。
(1)自動車用電線のための導体素線であって、銅合金からなり、該銅合金が、Feを0.03〜0.3wt%、Pを0.01〜0.1wt%含有し、残部がCuおよび不可避不純物であることを特徴とする、自動車用電線のための導体素線。
(2)上記銅合金が、さらに、Snを0.5wt%以下の量だけ含有し、該銅合金からFeとPとSnとを除いた残部が、Cuおよび不可避不純物であることを特徴とする、上記(1)記載の導体素線。
(3)引張強さが250MPa以上であり、かつ、破断時の伸びが15%以上であることを特徴とする、上記(1)または(2)記載の導体素線。
(4)自動車用電線のための導体素線の製造方法であって、
Feを0.03〜0.3wt%、Pを0.01〜0.1wt%含有し、残部がCuおよび不可避不純物である銅合金を用意し、冷間において該銅合金に伸線加工を施して、目的の線径を有する導体素線とする伸線工程と、
前記伸線工程の後に、前記導体素線に、300〜600℃の温度で0.5〜4時間維持する熱処理を施す熱処理工程とを、
有することを特徴とする、自動車用電線のための導体素線の製造方法。
(5)上記伸線工程において用意する銅合金が、さらに、Snを0.5wt%以下の量だけ含有し、該銅合金からFeとPとSnとを除いた残部が、Cuおよび不可避不純物であることを特徴とする、上記(4)記載の製造方法。
導体素線の材料である銅合金を、Cu−Fe−P合金(好ましい態様では、Cu−Fe−P−Sn合金)とし、Fe含有量を0.03〜0.3wt%とし、P含有量を0.01〜0.1wt%とすることで、細径化しながらも、従来と同等の強度・耐衝撃性を有する導体素線を得ることができる。
この導体素線を1本以上用いて形成した導体線は、当然に従来よりも細径化されており、該導体線を芯線として形成したハーネスは、従来と同じ配策方法を取ることができ、自動車の軽量化、燃費の向上、省スペース、省資源を達成することができる。
先ず、本発明による導体素線を説明する。
当該導体素線は、自動車用電線の芯線を形成するための素線であって、上記課題を達成し得るように組成を最適化された銅合金からなる。この導体素線を1以上用い、必要に応じて撚りを加え、自動車用電線の芯線を形成する。
当該導体素線を構成する銅合金の基本組成は、Fe含有量が0.03〜0.3wt%、P含有量が0.01〜0.1wt%であり、残部がCuと不可避不純物である。この基本組成によって、当該導体素線は上記作用を示す。
上記銅合金におけるFeの含有量は、0.03〜0.3wt%(重量%)であるが、より好ましくは0.03〜0.2wt%であり、特に好ましい範囲は0.05〜0.2wt%である。Feの含有比率を特に好ましい範囲へと狭めるにつれて、上記作用がより顕著に示されるようになる。
Feの含有量が適正であれば、主として導体素線の機械的強度が向上する。Feの含有量が下限0.03wt%を下回ると、導体素線としたときに、目的の強度と耐衝撃性とが得られない。一方、Feの含有量が上限0.3wt%を超えると、耐衝撃性を得ることができず、また、導電性も低下する。
上記銅合金におけるPの含有量は、0.01〜0.1wt%であるが、より好ましくは0.01〜0.04wt%であり、特に好ましくは0.02〜0.04wt%である。
Feと共に、Pの含有比率を特に好ましい範囲へと狭めるにつれて、上記作用がより顕著に示されるようになる。Pの含有量が適正であれば、主として導体素線の機械的強度が向上する。Pの含有量が下限0.01wt%を下回ると、目的の強度と耐衝撃性とが得られない。一方、Pの含有量が上限0.1wt%を超えると、耐衝撃性を得ることができず、また、導電性も低下する。
上記銅合金のより好ましい態様として、Fe、Pに加えてさらに、Snを添加する態様が挙げられる。この場合、上記銅合金からFeとPとSnとを除いた残部が、Cuおよび不可避不純物となる。
Snを添加することで導体素線の強度がより向上するという効果が得られる。Snの好ましい添加量は0.5wt%以下である。Snの添加が過度になり0.5wt%を越えると導電率が低下する傾向にあり、また、耐衝撃性を得ることが困難になる傾向にある。また、Sn添加による作用効果を顕著とするには、Snの含有量を0.05wt%以上とすることが好ましい。
これらの点から、Sn含有量の好ましい範囲は、0.05〜0.5wt%、より好ましくは0.05〜0.3wt%、特に好ましくは0.05〜0.25wt%である。
当該導体素線(銅合金素線)の強化機構は、Fe−P化合物が析出することによる析出強化によるものであり、好ましい態様としてSnによる固溶強化を加えることにより、さらに強度が向上する。
各添加元素〔Fe、P、さらに好ましい態様として加えられるSn〕の各含有量を、上記範囲とすることによって、強度および耐衝撃性の付与と導電性とがバランスよく得られる。また、目的の線径の導体素線へと伸線加工を施す前の段階にある母線(荒引線)を、連続鋳造圧延法によって製造することが可能になる。
上記のように、銅合金に添加される金属は、FeとP、さらには好ましい態様として添加されるSnである。これら添加される金属以外の残部は、全て銅であることが理想的であるが、実際には、不可避不純物が存在する。
不可避不純物は、上記銅合金を構成する主たる元素〔Cu、Fe、P、さらに好ましい態様として添加されるSn〕以外に、精製上不可避的に存在する不純物であって、主として、例えば、鉛、砒素、ビスマス、酸素などが挙げられる。
鉛、砒素、ビスマスなど、金属の不可避不純物の合計含有量は、導体素線の導電性低下を防ぐことや、表面傷の発生を防ぐことなどから、0.01wt%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.005wt%以下である。
また、酸素は、多く存在すると合金の溶解、圧延中に、合金元素〔Fe、P、さらに好ましい態様として加えられるSn〕による強化機構に悪影響を及ぼす可能性があるために、0.002wt%以下に抑えることが望ましい。
当該導体素線の線径は、0.05〜0.5mmであり、好ましくは0.1〜0.3mmである。素線の線径を前記の範囲とすることにより、細径化と材料強度とを両立させることができる。素線の線径が0.05mmより小さいと導体の材料強度を確保し難くなる傾向が強くなり、0.5mmより大きいと、これを用いて得られる芯線も太くなり、細径化というメリットがなくなる。
当該導体素線の引張強さは、250MPa以上であり、好ましくは300〜350MPaである。また、当該導体素線の破断時の伸びは、15%以上であり、好ましくは20〜25%である。
これら引張強さと破断時の伸びは、JIS C 3002に準拠して測定される。
当該導体素線に上記の機械的性質を与えるためには、後述するとおり、素線を冷間において伸線加工によって形成した後に、後述の焼鈍を施すことが必須である。
当該導体素線が、冷間での伸線加工によって形成され、かつ、冷間での伸線加工の後で焼鈍を施されたものであることは、当該導体素線の金属組織を光学顕微鏡にて観察することによって判定することが可能である。即ち、焼鈍を施される前の組織は、繊維状の加工組織であるが、焼鈍を施されたものは、再結晶組織となる。
当該導体素線を用いて自動車用電線導体を形成するには、当該導体素線を目的の芯線径に応じた必要本数だけ用い、好ましい態様として撚り線とする。
図1は、当該導体素線を用いた自動車用電線導体の断面の一例を示した模式図である。同図の例では、当該導体素線1は7本用いられ、それらが撚られて自動車用電線導体(芯線)2となっており、それを覆って絶縁被覆層3が形成された構成となっている。
撚り線を形成するに際しては、基本的には当該導体素線を、従来の軟銅素線よりも細径化し、従来と同様の7本撚りを行なう。また、極細の素線の多数本撚り線とすることにより、電線の耐屈曲性がさらに向上し、また、撚り線の外周表面の凸凹が小さくなり、導体全体の断面形状が円形に近くなり、絶縁厚さを薄くすることができ、さらに、全周にわたり絶縁層の厚さのばらつきも小さくなる。その結果、絶縁層全体で耐磨耗性が向上すると同時に、部位毎の耐磨耗性のばらつきも小さくなるという効果も得られる。
撚り線を形成する場合の、当該導体素線の好ましい本数は7〜50程度であり、このような本数となるように、素線径を選択すればよい。
撚り線の撚り方は、公知の集合撚り、同心撚りであってもよい。集合撚りは、素線を集めて撚り合わせただけのものであり、製造コストが安いというメリットがある。同心撚りは、素線を同心円状に並べて、断面が多角形状、円形状になるように撚り合わせたものである。これらの撚りは、用途に応じて適宜選択すればよい。
次に当該導体素線の製造方法を説明する。
当該製造方法は、上記で説明した本発明による導体素線の好ましい製造方法であって、上記(4)に示したとおり、伸線工程と、熱処理工程とを、少なくとも有する。
伸線工程において用意すべき銅合金は、本発明による導体素線の説明において述べた銅合金である。即ち、Cu−Fe−P合金、好ましい態様としてSnがさらに添加されたCu−Fe−P−Sn合金である。上記したように、不可避不純物が含まれていてもよい。
伸線工程における伸線加工は、さらに、2段階の加工工程に分けられる。即ち、上記銅合金材料を荒引線の状態にまで荒引加工する伸線第一工程と、該荒引線を目的の素線径を有する導体素線にまで冷間において引き伸ばす伸線第二工程である。
伸線第一工程における荒引加工は、公知の加工法であればよいが、製造コストをより低く抑える方法として、銅合金湯の溶製と連続鋳造圧延法とによる鋳造・圧延を行なうことが好ましい。
連続鋳造圧延法とは、銅合金湯の溶製、鋳造、鋳塊から線材への圧延までの工程を、連続的に行なう方法である。
連続鋳造圧延法には、ホイルベルト式連続鋳造圧延法、ツインベルト式連続鋳造圧延法、DIP法が含まれる。例えば、「銅および銅合金の基礎と工業技術」(日本伸銅協会)を参照)などを適用して荒引線を製造することも可能である。
伸線第一工程の一例を挙げる。
先ず、シャフト炉などで電気銅を溶解し、この銅溶湯を保持炉内に流し込み、上記添加元素(Fe、P、好ましい態様としてさらにSn)を規定値内で添加して銅合金湯を溶製する。
次に、前記銅合金溶湯を用い、連続鋳造圧延法にて鋳造・圧延を行ない(即ち、銅合金溶湯を用いて連続的に鋳造し熱間圧延を行ない)荒引線を得る。
該荒引線の線径は、特に限定はされないが、6〜13mm程度が好ましい。
上記と同様の銅合金溶湯を水冷鋳造法で鋳造し、これを熱間押出・熱間圧延によって目的の荒引線を得ることも可能である。ただし、この方法では、工程数が増えるために製造コストが高くなり、連続鋳造圧延法の場合と比べて導体素線の価格が高くなる。
伸線第二工程では、上記のようにして得た荒引線に対して、冷間での伸線加工を施して加工効果による強度アップを図るとともに、目的の線径に仕上げる。
冷間での伸線加工方法自体は、公知の技術を用いてよく、ダイスによる伸線加工が一般的であるが、圧延加工、スウェージング加工などを適用してもよい。
冷間での伸線加工とは、室温(例えば、JIS Z 0050によれば5〜35℃)に保持した荒引線に、上記のダイスによる伸線加工、圧延加工、スウェージング加工などを行うことである。
導体素線の断面形状は、円形が一般的であるが、目的に応じて方形の他、扇形などの異形状であってもよい。
冷間での伸線加工に用いる装置は、スリップ式の連続伸線機を用いることが一般的であるが、ノンスリップ式の伸線機を用いてもかまわない。
熱処理工程では、上記冷間工程によって得られた銅合金線に熱処理を施す。
この熱処理は、耐衝撃性向上を主目的として実施される。熱処理の温度は300〜600℃とするのが好ましく、450〜550℃とするのがより好ましい。加熱温度が300℃より低いと、伸びおよび導電性が低くなり、600℃より高い温度では引張強さが低くなる。伸びおよび引張強さの低下は、耐衝撃性が低くなる要因となり好ましくない。
また、熱処理時間は0.5〜4時間とすることが好ましく、0.5〜2時間とすることがより好ましい。熱処理時間が0.5時間より短いと伸びおよび導電性が低くなり、4時間より長いと引張強さが低くなる。
焼鈍を施すための方法自体は、公知の方法を用いてよく、通電焼鈍が生産性の点で好ましいが、管状炉内を通過させる焼鈍、バッチ式の焼鈍等であってもよい。
本実施例では、Fe、P、Snの含有量を種々の値に変化させた銅合金を用いて導体素線を形成し、さらに、これらに熱処理を施したもの、施さないものを作製して、その性能を観察し、本発明による導体素線の含有量の設定値および熱処理の有無に臨界的意義があるかどうかを調べた。
Fe、P、Snの含有量が本発明による規定の範囲内に属するものとして、実施例品No.1〜10を作製した。
また、Fe、P、Snの含有量のうちのいずれかが本発明による規定の範囲から外れているものとして、比較例品No.11〜19を作製した。また、Fe、P、Snの含有量は本発明による規定の範囲内に属するが、熱処理を施さない試料として、比較例品No.20〜29を作製した。
またさらに、特許第3275506号に示された銅合金線を製作し、比較例品(No.30、31、)として本実施例品と性能を比較した。
また、比較例品No.32は、従来公知の軟銅線であって、連続鋳造圧延法で製造されたタフピッチ銅荒引線を、伸線加工し、熱処理を施して製造したものである。
〔実施例品1〜10、比較例品11〜29の製作〕
シャフト炉にて電気銅を溶解し、この銅溶湯を保持炉内に転湯して、合金元素を表1に示す所定の割合だけ添加して銅合金溶湯を溶製した。
次に、この銅合金用溶湯に対して、ホイルベルト式連続鋳造圧延法にて、鋳造と圧延とを連続的に行い、線径8mmの銅合金荒引線を得た。
得られた荒引線に対して連続伸線機を用いて、引抜きダイスによる冷間加工を施して線径0.22mmの銅合金素線を得た。
得られた銅合金素線のうち、実施例品1〜10、比較例品11〜19に対しては、温度500℃の窒素雰囲気中に、1.5時間保持する熱処理(焼鈍)を施した。
Figure 2007023305
〔評価〕
実施例品1〜10、比較例品11〜32の導体素線に対して、引張強さ、導電率、耐衝撃性の測定を行った。評価方法はそれぞれ以下の通りとした。
化学成分:JIS H 3250(銅及び銅合金棒)に規定された分析方法
引張強さ:JIS Z 2241(金属材料引張試験方法)
導電率:JIS H 0505(非鉄金属材料の体積抵抗率及び導電率測定方法)
耐衝撃性:高速引張試験機を用いて1m/秒の引張速度で引張試験を行い、得られた応力−ひずみ曲線で囲まれた面積から衝撃吸収エネルギーを求めた。
表2に評価結果をまとめて示す。ここで耐衝撃性については従来品である軟銅線(No.32)より優れるものを◎、同等のものを○、劣るものを×で示した。自動車用電線として必要な導電性を、導電率70%以上であるとした。
Figure 2007023305
表2の評価結果から明らかなように、実施例品(本発明による導体素線)は、従来の軟銅線(No.32)に比べて、優れた耐衝撃性を有し、かつ自動車用電線として必要な導電性を確保していることが確認できた。
比較例品No.30、31の銅合金線は、強度・耐衝撃性は本発明品と遜色のない特性を示すものの、導電率が58〜65%と低く、自動車用電線として必要な導電性を満足していないことがわかった。
本発明によって、強度、耐衝撃性、導電率のいずれについても、高い性能を有する導体素線を提供することが可能となった。
また、当該導体素線を撚り合わせて、好ましい自動車用電線導体が得られた。
本発明による導体素線を用いて形成した自動車用電線の断面の一例を示した模式図である。
符号の説明
1 導体素線
2 芯線
3 絶縁被覆層

Claims (5)

  1. 自動車用電線のための導体素線であって、銅合金からなり、該銅合金が、Feを0.03〜0.3wt%、Pを0.01〜0.1wt%含有し、残部がCuおよび不可避不純物であることを特徴とする、自動車用電線のための導体素線。
  2. 上記銅合金が、さらに、Snを0.5wt%以下の量だけ含有し、該銅合金からFeとPとSnとを除いた残部が、Cuおよび不可避不純物であることを特徴とする、請求項1記載の導体素線。
  3. 引張強さが250MPa以上であり、かつ、破断時の伸びが15%以上であることを特徴とする、請求項1または2記載の導体素線。
  4. 自動車用電線のための導体素線の製造方法であって、
    Feを0.03〜0.3wt%、Pを0.01〜0.1wt%含有し、残部がCuおよび不可避不純物である銅合金を用意し、冷間において該銅合金に伸線加工を施して、目的の線径を有する導体素線とする伸線工程と、
    前記伸線工程の後に、前記導体素線に、300〜600℃の温度で0.5〜4時間維持する熱処理を施す熱処理工程とを、
    有することを特徴とする、自動車用電線のための導体素線の製造方法。
  5. 上記伸線工程において用意する銅合金が、さらに、Snを0.5wt%以下の量だけ含有し、該銅合金からFeとPとSnとを除いた残部が、Cuおよび不可避不純物であることを特徴とする、請求項4記載の製造方法。
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