JP2007016950A - 動圧軸受部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
細径な軸受部品の内面に対して容易且つ高精度で動圧発生溝の加工を可能にすると共に、動圧軸受部品を歩留まり良く大量且つ安価に生産可能にする動圧軸受部品の製造製造方法を提供する。
【解決手段】
軸受心材1の外面に転写部材2を設ける工程Aと、転写部材2の外面に転写溝加工を行う工程Bと、転写部材2の転写面3に金属軸受部材4を設けてマスター軸5を形成する工程Cと、マスター軸5をインサートして金属軸受部材4の外面に樹脂成形部材7を一体成形する工程Dと、成形品を金型から取り出して軸受心材1を除去する工程Eと、転写部材2を除去して金属軸受部材4の内面に動圧発生溝5を形成する工程Fとを備え、樹脂成形部材7の軸心側に動圧発生溝5を形成する金属軸受部材4を一体化させた。
【選択図】 図6

Description

本発明は、内面に動圧発生溝を形成した動圧軸受部品の製造方法に関するものであって、例えばハードディスクのスピンドルモータやポリゴンミラーのレーザー走査用モータなどのように、高速で且つ高精度に回転するモータ類の軸受部品に適用できる。
この種の高速モータ類では、ヘリングボーンその他の溝パターンの動圧発生溝によって、ラジアル方向及び又はスラスト方向の軸受面を形成する動圧軸受が用いられており、これらの動圧発生溝は軸受装置を構成する軸部品と軸受部品の間に形成されているが、この動圧発生溝は軸側の外面を加工して形成する場合と、軸受側の内面を加工して形成する場合とがある。
例えば、軸側の外面を加工して動圧発生溝を形成する前者の先行技術としては、特許文献1〜3などに開示されているものがある。
特開2000−120695号公報 特開平11−093945号公報 特開平08−283953号公報
また、軸受側の内面を加工して形成する動圧発生溝を形成する後者の先行技術としては、特許文献4〜6などに開示されているものがある。
特開2004−324674号公報 特開2001−146914号公報 特開2000−312943号公報
前者の先行技術では、特許文献1〜3などにも開示されているように、細径な軸の外面に対して、メッキやエッチングなどの化学処理を施すことによって、微細なヘリングボーンなどによる動圧発生溝を、比較的容易且つ安価に高精度で形成することが可能であるが、溝加工による自重の減少や遠心力で作動流体が溝内から流出することなどによって、安定したスラスト浮上特性が損なわれていた。
後者の先行技術では、特許文献4〜6などにも開示されているように、細径な軸受部品の内面に対して、ボール転造による溝加工用の冶工具を用いて動圧発生溝を塑性加工しており、前者の先行技術に比べて安定したスラスト浮上特性が得られるが、微細なヘリングボーンなどによる動圧発生溝を、軸心と同心状態に位置決めして塑性加工することは容易ではなく、歩留まり良く大量且つ安価に生産することを阻害していた。
そこで本発明では、これら従来技術の課題を解決し得る動圧軸受部品の製造方法を提供するものであって、特許文献4〜6などの先行技術のようにボール転造による塑性加工を用いない新規な製造方法によって、細径な軸受部品の内面に対して容易且つ高精度で動圧発生溝の加工を可能にすると共に、これによって動圧軸受部品を歩留まり良く大量且つ安価に生産可能にすることを主たる目的としている。
本発明による動圧軸受部品の製造方法は、軸受心材の外面に転写部材を設ける工程と、転写部材の外面を溝加工して動圧発生溝の反転パターンによる転写溝加工を行う工程と、転写部材の転写面に金属軸受部材を設けてマスター軸を形成する工程と、マスター軸を金型内にインサートして金属軸受部材の外面に樹脂成形部材を一体成形する工程と、マスター軸と一体に成形品を金型から取り出して転写部材から軸受心材を除去する工程と、転写部材を除去して金属軸受部材の内面に動圧発生溝を形成する工程とを備え、樹脂成形部材の軸心側に動圧発生溝を形成する金属軸受部材を一体化させた動圧軸受部品を製造する。(請求項1)
請求項1に記載した動圧軸受部品の製造方法において、前記軸受心材には硬質金属製の円柱軸を用いる形態を採ることができる。(請求項2)
請求項1又は2に記載した動圧軸受部品の製造方法において、前記転写部材は軟質金属メッキ層で形成する形態を採ることができる。(請求項3)
請求項1〜3のいずれかに記載した動圧軸受部品の製造方法において、前記転写溝加工を行う工程で転写部材に対して転造加工を行う形態を採ることができる。(請求項4)
請求項1〜4のいずれかに記載した動圧軸受部品の製造方法において、前記金属軸受部材は表面硬度が高く且つ耐食性のある硬質金属メッキ層で形成する形態を採ることができる。(請求項5)
請求項1〜5のいずれかに記載した動圧軸受部品の製造方法において、前記樹脂成形部材を一体成形する工程で軸受部品を使用するモータ類のハウジングも同時成形する形態を採ることができる。(請求項6)
請求項1〜6のいずれかに記載した動圧軸受部品の製造方法において、前記軸受心材を除去する工程で転写部材から引き抜き除去する形態を採ることができる。(請求項7)
請求項1〜7のいずれかに記載した動圧軸受部品の製造方法において、前記転写部材を除去する工程で溶解液によって転写部材を溶解除去する形態を採ることができる。(請求項8)
請求項1による動圧軸受部品の製造方法では、転写部材の外面に溝加工した反転パターンを、金属軸受部材に転写して動圧発生溝を形成しているので、ボール転造などで動圧軸受部品の軸心孔に対して、動圧溝加工を直接行う従来技術に比べると、溝加工作業が各段に容易であって且つ加工精度を高めることが可能であるから、動圧軸受部品を歩留まり良く大量且つ安価に生産可能にすることができる。
また、製造された動圧軸受部品は樹脂成形部材の軸心側が金属軸受部材によって補強されていると共に、金属軸受部材が製造過程では転写部材を介して軸心部材で保形されているので、樹脂成形品であるにも係わらず軸心孔及び動圧発生溝は、真円度及び寸法精度が確保された状態で製造することが可能である。
請求項2による動圧軸受部品の製造方法では、軸受心材として例えばステンレス材などの硬質金属製の円柱軸を用いる形態を採ることによって、転写部材に対して転造などで転写溝加工する際には、転造圧力による転写部材の変形を防止すると共に、樹脂成形部材をインサート成形する際には、射出成形圧力による転写部材及び金属軸受部材の変形を防止することが可能である。
請求項3による動圧軸受部品の製造方法では、転写部材を例えば銅メッキなどの軟質金属メッキ層で形成する形態を採ることによって、転造その他による転写溝の溝加工が容易であると共に、溶解液などによって金属軸受部材から容易に分離除去することが可能である。
請求項4による動圧軸受部品の製造方法では、転写溝加工を行う工程で転写部材に対して転造加工を行う形態を採ることによって、ボール転造などで動圧軸受部品の軸心孔に対して、動圧溝加工を直接行う従来技術に比べると、溝加工作業が各段に容易であって且つ加工精度を高めることが可能である。
請求項5による動圧軸受部品の製造方法では、金属軸受部材を例えばニッケルメッキなどの硬質金属メッキ層で形成することによって、動圧軸受部品の軸受面を表面硬度が高く且つ耐食性のあるものにすることができる。
請求項6による動圧軸受部品の製造方法では、樹脂成形部材を一体成形する工程で軸受部品を使用するモータ類のハウジングも同時成形する形態を採ることによって、動圧軸受部品モータ類のハウジングを個別に製造する場合に比べ、生産性を向上してコストダウンを図ることができると共に、ハウジングに装着されるモータ部品との位置決め精度も向上させることが可能である。
請求項7による動圧軸受部品の製造方法では、軸受心材を除去する工程で転写部材から引き抜き除去する形態を採ることによって、金属軸受部材に転写された動圧発生溝のパターン面が、転写部材によって保護された状態で軸受心材を除去することができる。
請求項8による動圧軸受部品の製造方法では、転写部材を除去する工程で溶解液によって転写部材を溶解除去する形態を採ることによって、金属軸受部材に転写された動圧発生溝のパターン面を損なうことなく転写部材を容易に除去することができる。
以下に、本発明による動圧軸受部品の製造方法について、本発明を適用した好適な実施形態を示す添付図面に基づいて詳細に説明するが、図1〜10では軸方向と平行なラジアル軸受面に動圧発生溝を設けた第1の実施例を示し、図11及び図12では軸方向と平行なラジアル軸受面に動圧発生溝を設けると共に、軸方向と直角なスラスト軸受面に動圧発生溝を設けた第2の実施例を示す。
いずれの実施例の場合にも、軸受心材の外面に転写部材を設ける工程Aと、転写部材に転写溝を加工する工程Bと、転写部材の外面に金属軸受部材を設ける工程Cと、転写部材と金属軸受部材を設けた軸受心材をインサート軸に樹脂成形部材を射出成形する工程Dと、成形品から軸受心材を除去する工程Eと、樹脂成形部材と金属軸受部材から転写部材を除去する工程Fとを順次実施し、樹脂成形部材の軸心側に動圧発生溝を形成する金属軸受部材を一体化させた動圧軸受部品を製造することができる。
工程Aは、軸受部品の内径より小径な軸受心材の外面に軸受部品の内径より大径となる厚みで転写部材を設ける工程であって、軸受心材である円柱軸1に対してレジスト処理やシルク印刷その他公知の各種手段で非メッキ部分をマスキングし、予め設定した所定の長さ範囲に亘ってメッキ処理を行い、図1で示すように円柱軸1の外周面に転写部材となる肉薄状をした軟質金属メッキ層2を局部的に設ける。
軸受心材は、無電解メッキや電鋳その他によって転写部材を設ける際に、容易且つ良好な状態で付着できる材質であること、外周面によって軸受部品の軸心孔が確定されるので高い真円度及び外径寸法精度が得られる材質であること、メッキ処理する際に変質及び変形しないこと、軸受心材を除去する工程Eで転写部材から除去する際に容易且つ滑面状態で分離できること、などが要求される。
この実施例では、焼き入れ処理を施したステンレス鋼をストレートの円柱状に形成した中実軸による円柱軸1を軸受心材として使用しており、特にステンレス鋼のなかでも硬度が高くて耐酸及び耐食性にも優れたSUS420Jなどの使用が望ましいが、ステンレス鋼に限定されず同等の性能を有する他の硬質金属材(例えば、ニッケルクロム鋼その他のニッケル合金やクロム合金など)や、セラミックの表面に硬質金属被膜を施したものなどの使用も可能である。
軸受心材は、用途に適合させて各種のサイズを採ることが可能であって、この実施例による円柱軸1は外径寸法を0.3〜1.5mm程度にすると共に、長さ寸法は少なくとも転写部材の巾寸法より十分に長くした所望長さに設定することができるが、この実施による円柱軸1の場合には長さ寸法を7.5mm程度にしている。
また、軸受心材は中実軸による円柱軸だけではなく中空軸によるパイプを用いたり、パイプ内に樹脂材を充填して補強した形態を採ることも可能であると共に、この実施例では横断面の形状を円柱状に形成した円柱軸にしているが、横断面の形状が一定ならば多角形状その他の非円形状の形態を採ることも可能であり、端部を円錐台形状その他の次第に縮径するに形状にしても良い。
転写部材は、軸受心材に対して容易に接合できる材質であること、転写溝を加工する工程Bにおいて、外周面に所望パターンによる動圧発生溝の転写溝加工が容易な材質であること、金属軸受部材を設ける工程Cにおいて、転写溝加工した外周側が軸受部品となる金属軸受部材と強固に接合できる材質であること、転写部材を除去する工程Fにおいて、分離面となる金属軸受部材の内周側の円滑性を損なうことなく、金属軸受部材から容易に除去することが可能な材質であること、などが要求される。
この実施例では転写部材として、工程Bにおいて転造による転写溝加工が容易であること、工程Cにおいて金属軸受部材と強固に接合できること、工程Fにおいて溶解液による溶解除去が容易であること、安価でメッキの成長速度が速いことなどの理由から、銅又は銅合金などの軟質金属材を電鋳した軟質金属メッキ層2を形成し、軟質金属メッキ層2は巾寸法3.0mm程度にすると共に、皮膜の厚さを10〜30μ程度に設定している。
この転写部材は、軟質金属メッキ層2を電鋳(電解メッキ)ではなくの無電解メッキで形成することも可能であると共に、メッキする金属材料として銅以外の真鍮や金或いは銀などの軟質金属材を用いて電鋳又は無電解メッキすることも可能であり、また転造以外の公知手段で溝加工を行う場合には、当該溝加工手段に適合した材料で金属軸受部材と強固に接合でき且つ、工程Fにおいて除去が可能な材料を使用することができる。
例えば、動圧軸受用軸の外周面に動圧発生溝を設ける場合には、上記した転造による塑性加工以外に、軸の外周面に塗布したレジスト層を電解又は化学エッチング或いはレーザ照射などによって除去し、所定パターンの動圧発生溝を加工する公知技術があり、本発明による動圧軸受部品の製造方法では、これらの公知技術を工程Aと工程Bに適用し、これらレジスト層を転写部材とする形態を採ることもできる。
また、転写部材を水溶性樹脂によって形成する形態を採ることも可能であり、この場合には軸受心材である円柱軸1を金型内にインサートし、水溶性樹脂による転写部材を射出成形することができ、その後に次工程である工程Bにおける転写溝加工を実施することができるが、この射出成形金型に動圧発生溝を設けておくと、次工程である工程Bにおける転写溝加工を同時に実施することができる。
工程Bは、転写部材の外面を軸受部品の内径に適合する深さで溝加工して動圧発生溝の反転パターンによる転写溝加工を行う工程であって、この実施例では転写部材である軟質金属メッキ層2の外周面に対して転造加工を行い、図2で示すように転写凹部3aと転写凸部3bで動圧発生溝の反転パターンによる転写面3を形成するが、転写凹部3aは皮膜の厚さの1/2程度の深さ(5μ)で溝加工する。
転写面3は、公知の先行技術による動圧溝転造装置を用いて容易に転造加工することが可能であり、例えば特開平11−13746号公報に開示されている先行技術などの場合と同様に、水平移動テーブル上に設けた2個のローラで円柱軸1の下方を回転可能に支持すると共に、円柱軸1の上方には動圧発生溝を展開状態にして刻設した平ダイスを水平移動可能に設け、水平移動テーブルと平ダイスを同方向に水平移動させると、軟質金属メッキ層2の外周面に反転パターンによる転写面3が転造加工される。
また、転写面3の加工は上記した転造手段以外の公知転造手段で行うことも可能であると共に、工程Bで前記したように転写部材であるレジスト層に対し、電解又は化学エッチング或いはレーザ照射などを行って所定パターンの溝加工を行うことが可能であり、これらの溝加工は所望なヘリングボーンパターンやV字パターン或いはスパイラルパターンなどによる動圧発生溝に適合させ、その動圧発生溝の反転パターンによる転写溝加工を行う。
工程Cは、少なくとも軸受部品の外径に適合する厚みで転写部材の転写面に金属軸受部材を設ける工程であって、軟質金属メッキ層2の外周面に転写凹部3aと転写凸部3bで形成した動圧発生溝の反転パターンによる転写面3に対し、図3及び図4で示すように軟質金属メッキ層2より肉厚状をした金属軸受部材となる硬質金属メッキ層4を設け、これによって硬質金属メッキ層4の内周側には、転写面3とは相補形状の動圧溝パターン面5が動圧凹部5aと動圧凸部5bで形成される。
金属軸受部材は、転写部材に対して容易且つ強固に接合できる材質であること、工程Fにおいて転写部材を容易に除去することができると共に、除去した際に分離面で形成した内周側の動圧発生溝形状が損なわれない材質であること、動圧軸受部品として真円度及び寸法精度が確保され且つ、表面硬度が高くて耐食性があること、などが要求される。
この実施例では金属軸受部材として、軟質金属メッキ層2の銅又は銅合金と電鋳メッキで容易且つ強固に接合できること、工程Eにおいて円柱軸1を引き抜き除去できること、工程Fにおいて溶解液によって軟質金属メッキ層2の除去が容易であると共に、溶解除去した際に内周側の動圧発生溝形状が損なわれことがなく、真円度及び寸法精度が確保され且つ、表面硬度が高くて耐食性があることなどの理由から、ニッケル又はニッケル合金などの硬質金属材を電鋳した硬質金属メッキ層4を形成し、その被膜の厚さは100μ程度に設定して軟質金属メッキ層2より十分に厚肉状にしている。
この金属軸受部材は、硬質金属メッキ層4を電鋳(電解メッキ)ではなく硬質金属材による無電解メッキで形成することとも可能であると共に、メッキする金属材料としてニッケル又はニッケル合金にカーボンを添加して導電性を高めたり、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)や黒鉛などの自己潤滑性微粒子を添加して摺動性及び耐摩耗性を高めたりする公知技術を適用することができる。
工程Dは、転写部材の転写面に金属軸受部材を設けた軸受心材をマスター軸とし、このマスター軸を射出成形金型内にインサートして金属軸受部材の外面に樹脂成形部材を一体成形する工程であって、この実施例では円柱軸1の外周面に軟質金属メッキ層2と硬質金属メッキ層4を積層したマスター軸6をインサートし、硬質金属メッキ層4の外周面に射出成形を行い、図5で示すように樹脂成形部材である樹脂スリーブ7を一体成形している。
樹脂成形部材は、この実施例ではラジアル軸受面に適合させて円筒状の樹脂スリーブ7に形成したが、用途に応じて金型のキャビティを所望に設定し、ラジアル及びスラスト軸受面に適合させて後述する第2の実施例のように有底筒状体に形成したり、その他のモータ部品を装着するハウジングと一体成形して、例えば高速スピンドルモータの軸受装置に適用させることもできる。
このインサート成形では、積層した転写部材と金属軸受部材である軟質金属メッキ層2と硬質金属メッキ層4が、軸受心材である円柱軸1によって保形されているので、成形時に射出圧力を受けても内外径の変形を防止できると共に、射出成形後も円柱軸1を装着したままの状態で金型から取り出し、熱収縮が完了した後に次工程である軸受心材除去工程を実施することにより、軸受部品の真円度及び内外径の寸法精度を確保することが可能である。
成形樹脂材は、機械的強度や寸法安定性などに優れているので液晶ポリマー(LCP)の使用が望ましいか、液晶ポリマーの他にもポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリアセタール樹脂やポリアミド樹脂などの結晶性ポリマー或いは、これら以外でも同様の機能を発揮する高機能樹脂材を使用することが可能であり、これらの樹脂材には必要に応じて繊維強化剤や潤滑剤となる添加剤を加えても良い。
工程Eは、内側及び金属軸受部材から軸受心材を除去する工程であって、内側及び金属軸受部材である軟質金属メッキ層2と硬質金属メッキ層4を係止保持した状態で、軸受心材である円柱軸1を軸線方向へ引き抜くか、軸線方向へ僅かに打撃を加える程度で、図6及び図7で示すように除去することが可能であり、引き抜いた後の除去孔8で形成された軸心孔には軟質金属メッキ層2の内周面が露出する。
この軸受心材除去では、硬質金属メッキ層4の内周側に形成した動圧溝パターン面5は、電鋳による銅又は銅合金などで形成した軟質金属メッキ層2によって保護されており、また電鋳メッキ層の特性として軸心から外側へ引っ張り応力が作用するので、特に肉薄状に形成した軟質金属メッキ層2と円柱軸1との間には、微細な空隙を生じて円柱軸1の引き抜き除去を容易に行うことができる。
また、必要に応じて軸受心材1の外周面を鏡面加工したり、軸受心材1の外周面に予め摺動性のある皮膜をコーティングしたり、軟質金属メッキ層2にポリ四フッ化エチレン(PTFE)などの自己潤滑性微粒子を含有させて離型性を向上させたり、軟質金属メッキ層2と硬質金属メッキ層4又は軸受心材円柱軸1に対して、一時的に加熱或いは冷却して両者の熱膨張係数の相違を利用するなど、公知の各種手段によって除去を一段と容易にすることも可能である。
工程Fは、金属軸受部材から転写部材を除去する工程であって、この実施例では電鋳によるニッケル又はニッケル合金で形成した硬質金属メッキ層4から、電鋳による銅又は銅合金で形成した軟質金属メッキ層2を溶解除去するが、その際には塩化第2鉄溶液、塩化銅溶液、過酸化水素水と硫酸の混合液、過硫酸アンモニウム水溶液、あるいはアンモニア水のうち少なくとも1種からなる銅溶解液を用いる。
これにより、樹脂成形部材の軸心側に動圧発生溝を形成する金属軸受部材を一体化させた動圧軸受部品を製造することができるが、この動圧軸受部品9は図8及び図9で示すように、樹脂成形部材である樹脂スリーブ7の軸心側が金属軸受部材である硬質金属メッキ層4によって補強されているので、真円度及び寸法精度が確保され且つ表面硬度が高くて耐食性があると共に、内周側には転写部材である軟質金属メッキ層2から転写された動圧溝パターン面5が、図10で示す展開図のように容易に且つ精度良く形成される。
なお、工程Fにおける転写部材の除去は、転写部材を軟質金属メッキ層2以外の例えばレジスト層で形成した場合には、当該レジスト層を溶解し得る溶剤やレーザー照射などによって除去するようにし、転写部材を水溶性樹脂によって形成した場合には、当該水溶性樹脂を純水などによって除去するなと、転写部材として用いる材料の性状に応じて適宜の形態を採ることができる。
次に、軸方向と平行なラジアル軸受面と軸方向と直角なスラスト軸受面とを備えた第2の実施例による動圧軸受部品の製造方法を、図11及び図12に基づいて説明するが、この実施例でも第1の実施例の場合と同様に、工程A〜工程Fを順次実施して動圧軸受部品の製造するものであるから、共通する部分の重複した説明は省略して相違する部分を重点に説明する。
まず、工程Aでは軸受心材に対して転写部材を設けるが、その領域は軸受心材の一方側端面を含む一端側の外面であるから、図11で示すように円柱軸1(軸受心材)の一方側端面を含む一端側の外面に対して、軟質金属メッキ層12(転写部材)を有底筒状に設け、工程Bでは軟質金属メッキ層12の外周面側と端面側に対して個別に転造その他で溝加工を行い、図12で示す動圧溝パターン面5,15の反転パターンによる転写溝の加工を行う(図示を省略)。
また、工程Cでは軟質金属メッキ層12(転写部材)に対して、転写溝を被覆する態様で硬質金属メッキ層14(金属軸受部材)を有底筒状に設け、工程Dでは軟質金属メッキ層12(転写部材)と硬質金属メッキ層14(金属軸受部材)を積層した円柱軸1(軸受心材)をインサート軸として、金型内で硬質金属メッキ層14(金属軸受部材)の外側に射出成形を行い、有底筒状の樹脂スリーブ17(樹脂成形部材)を一体成形する。
さらに、工程Eでは金型から取り出した射出成形品から円柱軸1(軸受心材)を、他端側への引き抜きなどによって除去し、工程Fでは軟質金属メッキ層12(転写部材)を溶解液などによって溶解除去することによって、図12で示すように樹脂スリーブ17(樹脂成形部材)の軸心側に動圧発生溝を形成する金属軸受部材14を一体化させた動圧軸受部品19を製造することができる。
この動圧軸受部品19は、工程Fにおける軟質金属メッキ層12(転写部材)の除去によって、硬質金属メッキ層14(金属軸受部材)の内側には軟質金属メッキ層12(転写部材)から転写された動圧溝パターン面5,15による動圧発生溝が形成されるが、この動圧発生溝は軸周側のラジアル軸受面となる動圧溝パターン面5と、軸端側のスラスト軸受面となる動圧溝パターン面15によって形成される。
なお、第1及び第2の実施例による動圧軸受部品9,19において、例えば工程Fでの溶解除去が不十分あったり、その他の理由で動圧溝パターン面5,15による動圧発生溝の修正がを必要な場合には、後加工によって修正することも可能であり、その際には従来技術として広く用いられているボール転造による溝加工を利用することができるが、この場合には新規に溝加工を行うのではなく、既に溝加工されている動圧溝パターン面5,15をトレースしながら修正加工を行うので、その加工作業は極めて容易である。
本発明を適用した第1の実施例による動圧軸受部品の製造方法の工程説明図であって、軸受心材の外面に転写部材を設ける工程Aの説明図。 同じく、転写部材に転写溝を加工する工程Bの説明図。 同じく、転写部材の外面に金属軸受部材を設ける工程Cの説明図。 図3の工程Cの要部を拡大した説明図。 同じく、転写部材と金属軸受部材を設けた軸受心材をインサート軸に樹脂成形部材を射出成形する工程Dの説明図。 同じく、成形品から軸受心材を除去する工程Eの説明図。 図6の工程Eの要部を拡大した説明図。 同じく、樹脂成形部材と金属軸受部材から転写部材を除去する工程Fの説明図。 図8の工程Fの要部を拡大した説明図。 図8工程Fで完成した動圧軸受部品における動圧溝パターンの展開図。 本発明を適用した第2の実施例による動圧軸受部品の製造方法の工程説明図であって、軸受心材の外面に転写部材を設ける工程Aの説明図。 同じく、樹脂成形部材と金属軸受部材から転写部材を除去する工程Fの説明図。
符号の説明
1 円柱軸(軸受心材)
2,12 軟質金属メッキ層(転写部材)
3 転写面
4,14 硬質金属メッキ層(金属軸受部材)
5,15 動圧溝パターン面
6 マスター軸(インサート部材)
7,17 樹脂スリーブ(樹脂成形部材)
8 除去孔(軸心孔)
9,19 動圧軸受部品

Claims (8)

  1. 軸受心材の外面に転写部材を設ける工程と、転写部材の外面を溝加工して動圧発生溝の反転パターンによる転写溝加工を行う工程と、転写部材の転写面に金属軸受部材を設けてマスター軸を形成する工程と、マスター軸を金型内にインサートして金属軸受部材の外面に樹脂成形部材を一体成形する工程と、マスター軸と一体に成形品を金型から取り出して転写部材から軸受心材を除去する工程と、転写部材を除去して金属軸受部材の内面に動圧発生溝を形成する工程とを備え、樹脂成形部材の軸心側に動圧発生溝を形成する金属軸受部材を一体化させたことを特徴とする動圧軸受部品の製造製造方法。
  2. 前記軸受心材には、硬質金属製の円柱軸を用いる請求項1に記載した動圧軸受部品の製造方法。
  3. 前記転写部材は、軟質金属メッキ層で形成する請求項1又は2に記載した動圧軸受部品の製造方法。
  4. 前記転写溝加工を行う工程では、転写部材に対して転造加工を行う請求項1〜3のいずれかに記載した動圧軸受部品の製造方法。
  5. 前記金属軸受部材は、硬質金属メッキ層で形成する請求項1〜4のいずれかに記載した動圧軸受部品の製造方法。
  6. 前記樹脂成形部材を一体成形する工程では、軸受部品を使用するモータ類のハウジングも同時成形する請求項1〜5のいずれかに記載した動圧軸受部品の製造方法。
  7. 前記軸受心材を除去する工程では、転写部材から引き抜き除去する請求項1〜6のいずれかに記載した動圧軸受部品の製造方法。
  8. 前記転写部材を除去する工程では、溶解液によって転写部材を溶解除去する請求項1〜7のいずれかに記載した動圧軸受部品の製造方法。
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