JP2007014974A - レーザ溶接方法およびレーザ溶接装置 - Google Patents

レーザ溶接方法およびレーザ溶接装置 Download PDF

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Abstract

【課題】個々の鋼板の形状ばらつき等に起因する隙間の状態に応じた良好な溶接品質が得られるようし、併せて従来は必須とされた手直し修正工数やラインタクトの遅れ等を解消しためっき鋼板等のレーザ溶接技術を提供する。
【解決手段】亜鉛めっき鋼板製のパネル部品W1,W2同士を重ね合わせてレーザ光Lの照射による溶接を施す際に、部品W1,W2同士の間に微小な隙間を確保するためにレーザ光照射位置Pの近傍を加圧ピン11にて加圧矯正する。同時に溶接状態をプラズマモニタリング方式にてリアルタイムで監視して、溶接状態変化の有無判定を行う。その有無判定結果に応じ、光学系に介在させた偏向板12を適宜回転させて、溶接条件であるレーザ光照射位置Pと加圧ピン11による加圧矯正位置となすオフセット量Mを変化させる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、加熱によりガスが発生する被覆層により表面処理された板材、特に自動車の車体パネル材料として使用される亜鉛めっき鋼板に代表されるような板材のレーザ溶接方法およびレーザ溶接装置に関し、より詳しくは少なくとも二枚の板材同士を重ね合わせてレーザ光照射による連続溶接を施す際に、ポロシティ対策として板材同士の間に微小な隙間を確保するべくレーザ光照射位置の近傍を加圧矯正する一方で、溶接状態をリアルタイムで監視するようにしたレーザ溶接方法とレーザ溶接装置に関するものである。
めっき鋼板を含む少なくとも二枚の鋼板同士を重ね合わせてレーザ光照射による連続溶接を施す場合、溶接時の熱により鋼板表面のめっき層が蒸発して気体となり、これがビード内にポロシティ(溶着金属中の小さなブローホールの群)として残ることによって溶接部の強度が低下することが知られている。
このポロシティの抑制対策として、鋼板同士の間に積極的に隙間を設けて、溶接中に発生した気泡を外部へ排出することが有効であることもまた知られているが、隙間が大きすぎると鋼板同士が溶着せずに溶接欠陥としていわゆる未溶着が発生するため、例えば特許文献1に記載のようにいずれか一方の鋼板に予め突起部を形成する一方、ピンやローラ等の加圧矯正治具を併用して突起部を他方の鋼板に接触させることで、鋼板同士の間の隙間を適正な大きさに管理することが行われている。また、一部では特許文献2に記載のような溶接品質検査装置をもって溶接品質を管理することも行われている。
特開2001−162388号公報 特開平10−6051号公報
しかしながら、例えば自動車の車体の一部を形成することになる複雑な三次元形状のパネル部品では、パネル部品自体の形状ばらつきや組立進行過程での累積による形状変化等のために同じ部位でも車体ごとに微妙に隙間の大きさが異なり、ポロシティや未溶着が発生しないような適正な隙間の大きさを保つには、パネル部品ごとにその都度隙間の大きさを把握して加圧矯正治具による矯正力を調整する必要があり、加圧矯正治具の構造の複雑さあるいは手順の複雑さを考慮すると実用的でない。
特に溶接作業そのものが自動化された量産ラインでは、微小な隙間をその都度把握することが不可能であるため、例えば特許文献2に記載のような溶接品質検査装置や目視によって溶接不良部位を検知して、後工程にて例えばMIG溶接等により溶接不良部位を修正(手直し)することも行われている。
ところが、MIG溶接等による手直し修正作業は部分溶接故にビード品質の低下を招き易いだけでなく、手直し修正工数の発生に伴い全体の工数および工程数の増加によりコストアップが余儀なくされるほか、ラインタクト(タクトタイム)の遅れにより生産性が低下することとなって好ましくない。
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、とりわけ個々の鋼板の形状ばらつき等に応じて適正な隙間を確保して良好な溶接品質が得られるようし、さらに従来は必須とされた手直し修正工数やラインタクトの遅れ等を解消することができるようにしたレーザ溶接方法およびレーザ溶接装置を提供するものである。
請求項1に記載の発明は、加熱によりガスが発生する被覆層により表面処理された板材を含む少なくとも二枚の板材同士を重ね合わせてレーザ光照射による連続溶接を施す際に、板材同士の間に微小な隙間を確保するためにレーザ光照射位置の近傍を加圧矯正する一方、溶接状態をリアルタイムで監視するようにしたレーザ溶接方法として、溶接中に溶接状態の変化に応じレーザ光照射位置と加圧矯正位置となすオフセット量を変化させることを特徴とする。
この場合において、請求項2に記載のように、いずれか一方の材板のうちレーザ光照射による溶接部位の近傍に予め突起部を形成しておき、この突起部が他方の板材に接触するようにレーザ光照射位置よりも溶接方向進行側を加圧矯正するのが望ましい。また、溶接中における溶接状態の変化の有無は、例えば請求項3に記載のように、レーザ光照射位置の溶接状態をいわゆるプラズマモニタリング等の手法によりリアルタイムで監視した結果に基づいて行うのが望ましい。より望ましくは請求項4に記載のように、溶接状態をリアルタイムで監視して溶接品質の適否判定を行う一方、その溶接品質の適否判定とは別に溶接中の溶接状態の変化の有無を判定するものとする。
その上で、請求項5に記載のように、レーザ光照射位置と加圧矯正位置となすオフセット量を変化させるのと同時にレーザ光の焦点位置を板圧方向で変化させることが一段と望ましい。
請求項6に記載に発明は、請求項1に記載の技術をレーザ溶接装置として捉えたものであって、加熱によりガスが発生する被覆層により表面処理された板材を含む少なくとも二枚の板材同士を重ね合わせてレーザ光照射による連続溶接を施すレーザ溶接装置として、板材同士の間に微小な隙間を確保するためにレーザ光照射位置の近傍を加圧矯正する加圧矯正手段と、溶接中に溶接状態をリアルタイムで監視してその溶接状態の変化の有無を判定する溶接品質検査手段と、溶接中の溶接状態の変化に応じレーザ光照射位置と加圧矯正位置となすオフセット量を変化させるオフセット量変更手段とを備えていることを特徴とする。
ここで、特に請求項1,6に記載の発明では、溶接中であれば例えばレーザ光が板材を溶融するときに発生するプラズマ光や吸収されずに反射した反射光を溶接品質検査手段にてモニタリングすることで、溶接中における溶接状態の変化の変化の有無を判定することができ、その結果から板材同士の間の隙間の状態をも推測可能であるとの知見に基づいている。
例えばプラズマモニタリング方式の溶接品質検査手段を採用した場合には0.1秒単位程度で溶接状態の変化の有無を判定することが可能であることから、溶接中に溶接直後のビードを長手方向で細分化した上でその個々の溶接状態の変化の有無を判定することがで可能である。具体的には、正常なビードの状態から未溶着が発生しつつある状態およびポロシティが発生しつつある状態にそれぞれ移行する過程を把握することが可能であるため、溶接状態に変化が表れ出したならば、直ちに溶接条件を変えて正常な状態を維持することが可能である。
ここで、溶接中に溶接状態を積極的に制御できる因子として、加圧矯正手段による加圧力や、レーザ光照射位置と加圧矯正位置とのなす距離(オフセット量)等があるが、通常、加圧矯正手段による加圧にはエアシリンダ等を用いるため、加圧力調整による溶接品質の制御では加圧力の微調整が難しく、且つ加圧力調整の応答性が悪いとう欠点がある。そこで、本発明では、溶接状態の変化に基づく溶接条件の調整にレーザ光照射位置と加圧矯正手段による加圧位置とのなすオフセット量を用いる。
したがって、少なくとも請求項1,6に記載の発明では、溶接品質検査手段による溶接状態の変化の有無判定結果として未溶着が発生しつつある傾向を示したときにはこのオフセット量を小さくし、ポロシティが発生しつつある傾向を示したときには逆にオフセット量を大きくすれば、良好な溶接状態ひいては良好なビードの品質を維持してゆくことができるようになる。
請求項1,6に記載の発明によれば、溶接中に溶接状態の変化の有無判定結果に応じレーザ光照射位置と加圧矯正位置となすオフセット量を変化させるようにしたため、個々の板材の形状ばらつき等に応じて隙間寸法が変化してもその隙間の状態を予測した上で溶接条件を調整することができ、その結果として常に良好な溶接品質が得られるほか、従来は必須とされた手直し修正工数やラインタクトの遅れ等を解消して、とりわけ量産ラインでの生産性の向上とコストダウンを図ることができるようになる。
図1は本発明に係るレーザ溶接装置のより具体的な実施の形態を示す概略説明図であり、本実施の形態では加熱によりガスが発生する被覆層により表面処理された板材として自動車の車体の一部を構成することになる亜鉛めっき鋼板製のパネル部品W1,W2同士を重ね合わせた上でこれらを被溶接物として連続溶接する場合の例を示している。
なお、ここでは図2に示すように上側となるパネル部品W1には溶接部位の近傍に予め所定のピッチにて突起部としてエンボス部Eを形成してあり、後述するようにレーザ溶接に先立ってこれらのエンボス部Eが下側のパネル部品W2に接触するように加圧矯正することで、双方のパネル部品W1,W2同士の間に所定の大きさの隙間Gが確保される。この隙間Gの大きさは、例えばパネル部品W1の板圧をtとしたときに0.4t程度が適正な大きさとされ、一般的な自動車用車体のパネル部品の場合には上記隙間Gは0.1〜0.3mm程度に設定される。
図1に示すように、溶接母機として機能する図示外の溶接ロボットのロボットアーム1の先端にはブラケット2およびリニアスライド機構3を介してレーザ溶接用の加工ヘッド4を装着してあるとともに、それとは別に、溶接状態ひいては溶接直後のビードの状態の適否判定とともに、溶接中の溶接状態の変化の有無判定を行う溶接品質検査手段としてのモニタリング装置5を付帯させてある。また、加工ヘッド4は加圧シリンダ6のピストンロッド6aに連結してあり、これにより加圧シリンダ6の伸縮作動に応じて加工ヘッド4全体がリニアスライド機構3を介して同図の上下方向にスライド変位可能となっている。
加工ヘッド4のヘッド本体7は、その内部にコリメーションレンズ8およびフォーカスレンズ9等からなるレーザ光学系を有していて、図示しないレーザ発振器から出力されたレーザ光Lを光ファイバーケーブル10を介して導入した上で、パネル部品W1上の溶接部位Pを焦点位置としてこれを照射することになる。また、ヘッド本体7の外周下部には加圧矯正手段としての加圧ピン11を設けてある。この加圧ピン11は、レーザ光Lの照射位置Pよりも溶接進行方向前方側に所定量Mだけオフセットした位置を加圧拘束するように予め設定してあり、したがって、図2に示したようにパネル部品W1,W2同士のなす隙間Gが所定の大きさのものとなるように加圧ピン11にて加圧拘束しながら、その加圧位置を追いかけるようにレーザ光Lの照射位置Pが移動してレーザ溶接が施されることになる。なお、加圧矯正手段としては、上記の加圧ピン11に代えて回転体である加圧ローラを用いることももちろん可能である。
ヘッド本体7内のレーザ光学系を構成しているコリメーションレンズ8とフォーカスレンズ9との間には、レーザ光Lの照射位置Pと加圧ピン11による加圧矯正位置とのなすオフセット量Mの大きさを積極的に変化させるためのオフセット量変更手段として偏向板12を配置してある。この偏向板12は、図3に示すように軸13を介してヘッド本体7に回転可能に支持させてあるとともに、一対のギヤ14,15を介して偏向板駆動用モータ16にて回転駆動させるようになっている。そして、図1に示すように偏向板12が水平な中立姿勢にある状態では偏向板12における入射光線と出射光線とが一致している一方、図5に示すように偏向板12を水平な中立姿勢から反時計回り方向に所定角度だけ回転させた時には、入射光線L1と出射光線L2との平行状態を保ちながらも偏向板12における入射光線L1に対して出射光線L2が溶接方向進行側に、同様に図6に示すように偏向板12を水平な中立姿勢から時計回り方向に所定角度だけ回転させた時には、偏向板12における入射光線L1に対して出射光線L2が反溶接方向進行側にそれぞれオフセットし、結果としてパネル部品W1上においてレーザ光Lの照射位置Pと加圧ピン11による加圧矯正位置とのなすオフセット量Mが変化するように設定してある。そして、レーザ光Lの照射位置Pそのもののオフセット量の大きさは偏向板12の回転角に応じて変化することになる。
また、ヘッド本体7内のフォーカスレンズ9には焦点位置変更手段として焦点合わせ機構17を付帯させてある。この焦点合わせ機構17は、図4に示すようにヘッド本体7の下部のめねじ部18に対し外周におねじ部19を有するレンズ固定用筐体20を螺合させるとともに、そのレンズ固定用筐体20にフォーカスレンズ9を支持させてある。そして、レンズ固定用筐体20にドリブンギヤとして機能するリングギヤ21を固定するとともに、そのリングギヤ21に対してレンズ固定用筐体20に固定したレンズ駆動用モータ22側のドライブギヤ23を噛み合わせてある。これにより、モータ22の起動に基づくレンズ固定用筐体20の正逆転動作に応じてフォーカスレンズ9が光軸方向に変位して、結果として図7に示すように焦点位置P1がパネル部品W1,W2の板圧方向で変化することになる。
一方、溶接品質検査手段としてのモニタリング装置5は、例えばレーザ光照射による溶接時にその溶接部位Pから発生するプラズマ光を受光する受光部(受光センサ)24と、その受光部24が捉えた受光信号をセンサーボックス25経由で取り込んで、プラズマ光の強度と溶接状態との相関から溶接品質の適否判定とともに溶接状態の変化の有無判定を行う解析装置(解析用パーソナルコンピュータ)26とをもって構成されている。なお、受光部24は、パネル部品W1上でのレーザ光Lの照射位置Pを指向するようにヘッド本体7にブラケット27を介して固定支持されている。そして、後述するように解析装置26での溶接状態の変化の有無判定結果に応じモータ制御盤28を介して偏向板駆動用モータ16またはレンズ駆動用モータ22を駆動させることで、結果として図1のオフセット量Mのほかおよび図7の焦点位置P1を可変制御することになる。
したがって、このように構成されたレーザ溶接装置によれば、図1に示すようにレーザ光Lをパネル部品W1上の溶接部位Pに照射する一方、加圧ピン11をパネル部品W1に押し付けてパネル部品W1,W2同士の間の隙間Gを加圧矯正し、その隙間Gが適正なものとなるように保ちながら加工ヘッド4全体を所定速度で移動させ、実質的に加圧ピン11による加圧矯正位置を追いかけるようにしてレーザ光Lを移動させながらレーザ溶接を施すことになる。この場合、加圧ピン11がパネル部品W1に及ぼす加圧矯正力は加圧シリンダ6の出力によって調整されるとともに、レーザ光学系の偏向板12は図1のように水平な中立姿勢にある。
同時に、レーザ光Lの照射位置(溶接部位)Pを指向しているモニタリング装置5の受光部24が溶接の進行に伴って発生するプラズマ光や吸収されずに反射した反射光を連続的に検知していて、且つモニタリング装置5の解析装置26では受光部24が捉えたプラズマ光の強弱に応じて溶接品質の適否すなわち溶接直後のビードの状態の適否判定とともに、溶接中の溶接状態の変化の有無判定をリアルタイムで行っている。
具体的には、解析装置26ではリアルタイム処理として例えば0.1秒単位程度で溶接品質の適否を判定することが可能であり、図9に示したように溶接中に溶接直後のビードBeを長手方向で3mm程度の複数の領域として01領域、02領域、03領域‥のように細分化した上でその個々の領域ごとの溶接品質の適否を判定することになる。そして、その判定結果はリアルタイムで解析装置26の表示部29に図10のような形態で可視表示されることになる。そして、適否判定の結果が例えば図10の「未溶着&アンダーフィルNGエリア」または「ポロシティNGエリア」に入っている場合には、警報を発するか、もしくは該当部位にマーキング等を施して溶接不具合部位を特定しておき、後工程にて手直しを施すことになる。
これとは別に、溶接状態が例えば図10の「未溶着&アンダーフィルNGエリア」または「ポロシティNGエリア」に入らないまでも、正常なビードの状態(良好エリア)から未溶着もしくはアンダーフィルが発生しつつある状態、またはポロシティが発生しつつある状態が確認できた場合、すなわち実際の溶接状態に従前と異なる変化があらわれた場合には、溶接条件を変えて正常な状態を維持するべく、ここでは、その溶接条件としてレーザ光Lの照射位置Pと加圧ピン11による加圧矯正位置とのオフセット量Mを変化させる。なお、上記のような未溶着もしくはアンダーフィルが発生しつつある状態、またはポロシティが発生しつつある状態は、解析装置26での適否判定の閾値を複数設定することで判定可能である。
より具体的には、図1に示すように偏向板12が水平な中立姿勢にあって、且つその偏向板12における入射光線L1と出射光線L2とが一致している状態において、その出射光線L2の光軸と加圧ピン11による加圧矯正位置とのなすオフセット量Mを基準として、解析装置26での溶接状態の変化の有無判定結果として未溶着もしくはアンダーフィルが発生しつつある状態と判定された場合には、解析装置26からの指令によりモータ制御盤28を介して偏向板12を図5のように反時計回り方向に回転駆動させて、偏向板12の入射光線L1に対して出射光線L2を偏向させることより、先のオフセット量Mを小さくする。逆に、解析装置26での溶接状態の変化の有無判定結果としてポロシティが発生しつつある状態と判定された場合には、同様に解析装置26からの指令によりモータ制御盤28を介して偏向板12を図6のように時計回り方向に回転駆動させて、先のオフセット量Mを大きくする。
このようにオフセット量Mをもって溶接条件を溶接動作中に積極的に変化させることにより、溶接状態ひいてはビード品質を常に適正に維持することが可能となる。
ここで、上記のようにオフセット量Mを変化させるべく図5,6のようにレーザ光Lを偏向板12にて偏向させると、それに伴って溶接速度までもが一時的に変化してしまうという二次的な問題がある。例えば、図5に示すようにオフセット量Mを図1の当初のものより小さくするべくレーザ光Lの照射位置Pをそれよりも溶接進行方向前方側にある加圧ピン11に近付けると、溶接速度は一時的に速くなり、逆に図6に示すようにオフセット量Mを図1の当初のものより大きくするべくレーザ光Lの照射位置Pをそれよりも溶接進行方向前方側にある加圧ピン11から遠ざけると、溶接速度は一時的に遅くなることになる。溶接動作中に溶接速度が変化すると例えばレーザ光Lの照射によるパネル貫通能力も変化してしまい、かえってパネル未溶着等の新たな不具合の発生を招きやすくなる。
図8は溶接速度と焦点位置およびパネル貫通能力との相関を示しており、図7の(a),(b),(c)の各焦点位置P1の状態において適正とされる溶接速度ではいずれの場合にもレーザ光Lが少なくとも上側のパネル部品W1を貫通するのに対して、溶接速度が速くなるといずれの場合にも部分貫通もしくは非貫通等の溶接不具合が発生することになる傾向を示している。
この関係を前提として、例えば先に述べたような未溶着発生傾向にある状態でオフセット量Mを小さくすると、溶接速度が一段と速くなってパネル貫通能力(溶け込み能力)が低下し、結果としてパネル未溶着の度合いを一段と促進してしまうことになる。逆に、ポロシティ発生傾向にある状態でオフセット量Mを大きくすると、溶接速度が一段と遅くなってパネル貫通能力(溶け込み能力)が過大になりすぎ、結果としてポロシティの発生を一段と助長してしまうことになる。
このようなことから、図7の(b)の状態を標準状態として良好な溶接品質を維持するためには、上記にようにレーザ光Lを偏向してオフセット量Mを変化させるのと並行して、そのオフセット量Mの変更に応じて溶接速度が速くなるような状況下ではレーザ光Lの焦点位置P1を図7の(a)のように下側にずらし、逆にオフセット量Mの変更に応じて溶接速度が遅くなるような状況下ではレーザ光Lの焦点位置P1を図7の(c)のように上側にずらす必要がある。
そこで、上記のような偏向板12の回転によるオフセット量Mの変更と併せて、加工ヘッド4に付帯している焦点合わせ機構17にてレーザ光Lの焦点位置P1を変化させる。
例えば、先に述べたように解析装置26での溶接状態の変化の有無判定結果として未溶着もしくはアンダーフィルが発生しつつある状態と判定された場合には、解析装置26からの指令によりモータ制御盤28を介して偏向板12を図5のように反時計回り方向に回転駆動させて、偏向板12の入射光線L1に対して出射光線l2を偏向させることより、先のオフセット量Mを小さくする。その際に、オフセット量Mの変化に伴い一時的に溶接速度が速くなってレーザ光Lのパネル貫通能力が低下するため、モータ制御盤28を介してレンズ駆動用モータ22に指令を与えて、図7に示すようにレーザ光Lの焦点位置P1が上側のパネル部品W1の上面よりも下側となるように、フォーカスレンズ9を支持している筐体20を回転駆動させる。そして、偏向板12によるレーザ光Lの偏向が終わり溶接速度が元の速度に戻ったならば、再び筐体20を回転させて、レーザ光Lの焦点位置P1を図7の(b)の標準状態に戻す。
このようなオフセット量Mの一時的な変更に併せて焦点位置P1を変化させることにより、溶接品質は良好な状態に保たれるため、モニタリング装置5の解析装置26による溶接状態の変化の有無判定結果も図10の未溶着もしくはアンダーフィルが発生しつつある状態から同図の良好エリア内の状態に相当する良好状態に戻されることから、この状態をもって偏向板12を図1の中立姿勢に戻す。
この時、偏向板12を中立姿勢に戻すことは、オフセット量Mの変化とともに一時的に溶接速度が遅くなってレーザ光Lのパネル部品貫通能力が高くなることを意味することから、図7の(c)ようにレーザ光Lの焦点位置P1が上側のパネル部品W1の上面よりもさらに上方側となるように、フォーカスレンズ9が固定されている筐体20を上記と同様に回転させる。そして、偏向板12が当初の中立姿勢に戻り、且つ溶接速度も当初の状態に戻ったならば、再度フォーカスレンズ9が固定されている筐体20を回転させて、レーザ光Lの焦点位置P1を図7の(b)のような標準状態に戻す。
一方、先に述べたように解析装置26での溶接状態の変化の有無判定結果としてポロシティが発生しつつある状態と判定された場合には、解析装置26からの指令によりモータ制御盤28を介して偏向板12を図6のように時計回り方向に回転駆動させて、偏向板12の入射光線L1に対して出射光線L2を偏向させることより、先のオフセット量Mを大きくする。その際に、オフセット量Mの変化に伴い一時的に溶接速度が遅くなってレーザ光Lのパネル部品貫通能力が高くなるため、モータ制御盤28を介してレンズ駆動用モータ22に指令を与えて、図7の(c)に示すようにレーザ光Lの焦点位置P1が上側のパネル部品W1の上面よりも上側となるように、フォーカスレンズ9を支持している筐体20を回転駆動させる。そして、偏向板12によるレーザ光Lの偏向が終わり溶接速度が元の速度に戻ったならば、再び筐体20を回転させて、レーザ光lの焦点位置P1を図7の(b)の標準状態に戻す。
このようなオフセット量Mの一時的な変更に併せて焦点位置P1を変化させることにより、溶接品質は良好な状態に保たれるため、モニタリング装置5の解析装置26による溶接状態の変化の有無判定結果も図10のポロシティが発生しつつある状態から同図の良好エリア内の状態に相当する良好状態に戻されることから、この状態をもって偏向板12を図1の中立姿勢に戻す。
この時、偏向板12を中立位置に戻すことは、オフセット量Mの変化とともに一時的に溶接速度が速くなってレーザ光Lのパネル部品貫通能力が低下することを意味することから、図7の(a)のようにレーザ光Lの焦点位置P1が上側のパネル部品W1の上面よりもさらに下側となるように、フォーカスレンズ9が固定されている筐体20を上記と同様に回転させる。そして、偏向板12が当初の中立姿勢に戻り、且つ溶接速度も当初の状態に戻ったならば、再度フォーカスレンズ9が固定されている筐体20を回転させて、レーザ光Lの焦点位置P1を図7の(b)のような標準状態に戻す。
このように本実施の形態によれば、モニタリング装置5による溶接状態の変化の有無判定結果に応じ、パネル部品W1上でのレーザ光Lの照射位置Pと加圧ピン11による加圧矯正位置となすオフセット量Mを積極的に変化させ、それと同時にレーザ光Lの焦点位置P1を板圧方向で変化させるようにしたことにより、常に良好な溶接状態を維持することが可能となる。
ここで、これまでの実施の形態では亜鉛めっき鋼板について記載しているが、加熱によりポロシティの原因となるガスが発生する被覆層が形成されているような板材のレーザ溶接一般に本発明を適用可能であることはもちろんである。
本発明に係るレーザ溶接装置のより具体的な実施の形態を示す構成説明図。 図1におけるパネル部品のA部拡大図。 図1における偏向板を中心とした垂直断面図。 図1における焦点合わせ機構を中心とした垂直断面図。 図1におけるオフセット量を小さくする際の挙動を示す説明図。 図1におけるオフセット量を大きくする際の挙動を示す説明図。 レーザ光の焦点位置をパネル部品の板圧方向で変化させた場合の説明図。 溶接速度とレーザ光の焦点位置およびパネル部品貫通能力との相関を示す特性図。 溶接直後のビードを長手方向で細分化してその適否判定をする際の説明図。 図1のモニタリング装置による判定結果の表示例を示す説明図。
符号の説明
1…ロボットアーム
4…加工ヘッド
5…モニタリング装置(溶接品質検査手段)
7…ヘッド本体
8…コリメーションレンズ
9…フォーカスレンズ
11…加圧ピン(加圧矯正手段)
12…偏向板(偏向手段またはオフセット量変更手段)
16…偏向板駆動用モータ
17…焦点合わせ機構(焦点位置変更手段)
22…レンズ駆動用モータ
24…受光部
26…解析装置
E…エンボス部(突起部)
G…隙間
L…レーザ光
M…オフセット量
P…レーザ光の照射位置(溶接部位)
P1…焦点位置
W1,W2…パネル部品(亜鉛めっき鋼板)

Claims (13)

  1. 加熱によりガスが発生する被覆層により表面処理された板材を含む少なくとも二枚の板材同士を重ね合わせてレーザ光照射による連続溶接を施す際に、板材同士の間に微小な隙間を確保するためにレーザ光照射位置の近傍を加圧矯正する一方、溶接状態をリアルタイムで監視するようにしたレーザ溶接方法であって、
    溶接中に溶接状態の変化に応じレーザ光照射位置と加圧矯正位置となすオフセット量を変化させることを特徴とするレーザ溶接方法。
  2. いずれか一方の板材のうちレーザ光照射による溶接部位の近傍に予め突起部を形成しておき、この突起部が他方の板材に接触するようにレーザ光照射位置よりも溶接方向進行側を加圧矯正することを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  3. レーザ光照射位置の溶接状態をリアルタイムで監視してその溶接状態の変化の有無を判定することを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ溶接方法。
  4. 溶接状態をリアルタイムで監視して溶接品質の適否判定を行う一方、その溶接品質の適否判定とは別に溶接中の溶接状態の変化の有無を判定することを特徴とする請求項3に記載のレーザ溶接方法。
  5. レーザ光照射位置と加圧矯正位置となすオフセット量を変化させるのと同時にレーザ光の焦点位置を板圧方向で変化させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレーザ溶接方法。
  6. 加熱によりガスが発生する被覆層により表面処理された板材を含む少なくとも二枚の板材同士を重ね合わせてレーザ光照射による連続溶接を施すレーザ溶接装置であって、
    板材同士の間に微小な隙間を確保するためにレーザ光照射位置の近傍を加圧矯正する加圧矯正手段と、
    溶接中に溶接状態をリアルタイムで監視してその溶接状態の変化の有無を判定する溶接品質検査手段と、
    溶接中の溶接状態の変化に応じレーザ光照射位置と加圧矯正位置となすオフセット量を変化させるオフセット量変更手段と、
    を備えていることを特徴とするレーザ溶接装置。
  7. いずれか一方の板材のうちレーザ光照射による溶接部位の近傍に予め突起部が形成されていて、加圧矯正手段はこの突起部が他方の板材に接触するようにレーザ光照射位置よりも溶接方向進行側を加圧矯正するものであることを特徴とする請求項6に記載のレーザ溶接装置。
  8. 溶接品質検査手段は、レーザ光照射位置をリアルタイムで監視してその溶接状態の変化の有無を判定するものであることを特徴とする請求項6または7に記載のレーザ溶接装置。
  9. 溶接品質検査手段は、溶接状態をリアルタイムで監視して溶接品質の適否判定を行う一方、その溶接品質の適否判定とは別に溶接中の溶接状態の変化の有無を判定することを特徴とする請求項8に記載のレーザ溶接装置。
  10. オフセット量変更手段によりレーザ光照射位置と加圧矯正位置となすオフセット量を変化させるのに連動して、レーザ光の焦点位置を板圧方向で変化させる焦点位置変更手段を備えていることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のレーザ溶接装置。
  11. オフセット量変更手段は、レーザ光学系の一部に設けた偏向手段であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のレーザ溶接装置。
  12. 偏向手段は、溶接品質検査手段による溶接状態の変化の有無判定を受けてその角度が可変制御されるものであることを特徴とする請求項11に記載のレーザ溶接装置。
  13. 焦点位置変更手段は、溶接品質検査手段による溶接状態の変化の有無判定を受けてその焦点位置を可変制御するモータ駆動の焦点調合わせ機構であることを特徴とする請求項10に記載のレーザ溶接装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102240851A (zh) * 2011-07-01 2011-11-16 大连理工大学 一种薄因瓦合金的焊接成形方法
CN103862173A (zh) * 2014-03-25 2014-06-18 大连理工大学 一种殷瓦钢薄膜的高速激光焊接方法
CN111954584A (zh) * 2018-04-13 2020-11-17 松下知识产权经营株式会社 激光焊接方法以及激光焊接装置
CN112004637A (zh) * 2018-04-13 2020-11-27 松下知识产权经营株式会社 激光焊接方法
WO2021251239A1 (ja) * 2020-06-08 2021-12-16 パナソニックIpマネジメント株式会社 レーザ溶接装置およびレーザ溶接方法

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