JP2007013043A - 電子素子搭載用電極アセンブリ及びこれを用いた電子部品、並びに固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 電子素子1が搭載される面と、基板Bに接続される外部電極Eとなる面とが夫々表裏の関係となっている構造の電極(6a,6bほか)を2以上有する電子素子搭載用電極アセンブリ10であって、一又は複数の上記電極の側縁又はコーナー部分に、上記側縁又はコーナー部分から内側に向かって切り欠かれた開口部7を少なくとも1つ備えたもの、及びこれを電子素子1に接続して構成した電子部品とする。
【選択図】 図1
Description
図4に、従来知られた典型的な固体電解コンデンサの斜視図を示す。又図5に、上記の典型的な固体電解コンデンサと比較してi)外装樹脂体積に対する素子占有体積、及びii)等価直列抵抗の両面で優位な、一般に下面電極構造と称される構造の固体電解コンデンサの一例の斜視図を示す(例えば特許文献1参照)。
コンデンサに用いられるタンタル金属粉末体を加圧成形して加圧成形体を得る。このとき、タンタル金属粉末体には、加圧前に陽極引き出し部3aとなるタンタルリード線2を予め埋設しておく。
(2) 第二工程―焼結体の製造
第一工程で得られた加圧成形体を、高真空下、高温で焼結することにより、金属粉同士の物理的結合を得て焼結体を形成する。このタンタル粉末で構成した焼結体が陽極として機能する。
(3) 第三工程―誘電体酸化皮膜の形成
上記(2)で得た焼結体の表面に、陽極酸化若しくは化学的酸化手法により五酸化二タンタル(Ta2O5)の誘電体酸化皮膜を形成し、化成体を得る。この酸化皮膜は絶縁体として機能する。
(4) 第四工程―固体電解質の形成
上記(3)で得た化成体の多孔質部位に、陽極体金属に対向する対向電極(陰極)として固体電解質層を形成する。この固体電解質層は、例えば二酸化マンガン(MnO2)等からなるものである。
(5) 第五工程―陰極層の形成
上記(4)の固体電解質層上に、カーボンペースト、銀ペーストからなる陰極層を形成し、コンデンサ素子を得る。
(6) 第六工程―素子の電極(陽極,陰極)への搭載
上記(5)で作成したコンデンサ素子を、コンデンサ素子搭載用電極(陽極,陰極)に、陽極は溶接により、陰極は導電性接着剤により接合して搭載する。
(7) 第七工程―外装
最後に、上記(6)で陽極電極及び陰極電極に搭載したコンデンサ素子を絶縁性の樹脂で被覆する。この際、従来知られた典型的なタンタル固体電解コンデンサにおいては、陽極電極及び陰極電極夫々の外部電極引き出し部3a,3bをさらに折り曲げ加工して、電極引き出し部3a,3bをチップ部品の下面まで取り回している。
また、図5に示した構造を代表とする下面電極構造では、各電極(陽極電極6a及び陰極電極6b)について見ると、電子素子1が搭載される面と、基板に接続される外部電極となる面が夫々表裏の関係となっている。すなわち、図4の素子に見られる外部電極引き出し部3a,3bのとりまわしがないので、等価直列抵抗を更に低減出来る効果もある。
特に、コンデンサ素子搭載用電極上に、i)導電性接着剤を塗布した後、ii)コンデンサ素子を搭載して導電性接着剤を延展する際、この導電性接着剤内に気泡が閉じ込められることがあり、これが誘因となって、
(1) コンデンサ素子とコンデンサ素子搭載電極との機械的及び電気的接続が十分に行われず、
(2) 等価直列抵抗が高くなると共に、各コンデンサ毎に得られる電気的特性がばらつくという問題があった。
(1) 固体電解コンデンサにおいては、コンデンサ素子陰極を陰極リードフレームと電気的に接続するに際して、
陰極リードフレームとコンデンサ素子陰極を接続する第一の導電性接着剤と、
陰極リードフレームからはみ出た第一の導電性接着剤及びコンデンサ素子の陰極層の一部分を覆う第二の導電性接着剤とを備えることで、
コンデンサ素子と陰極リードフレームとの電気的接続を安定化し、それによって等価直列抵抗のばらつきを抑える試みがなされている(例えば特許文献2参照)。
(2) また、積層型コンデンサにおいては、積層した各コンデンサ素子と陰極引き出し部となるリードフレームとの導電性接着剤による接続を確実なものとすべく、i)積層する各コンデンサ素子の陰極部の少なくとも一部に切り欠き部を設け、ii)続いて、各コンデンサ素子をリードフレームへ搭載する際に上記切り欠き部に導電性接着剤を充填することにより、積層コンデンサ素子とリードフレームとの接続をより確実なものとする方法が試みられている(例えば特許文献3参照)。
次に、特許文献3の手法を図5を代表とする下面電極構造のチップ型固体電解コンデンサに適用すると、切り欠き部を設けることにより当該部位に該当する体積分だけ体積効率が低下することとなる。そうすると、製品体積に対するコンデンサ素子の占有率を従来の典型的な固体電解コンデンサよりも大きくできるという下面電極構造特有の効果が減じられてしまう。
i) 基板上における固体電解コンデンサの実装箇所に半田ペーストを印刷等の適宜手法で塗布しておき、
ii) その半田ペースト上に固体電解コンデンサを載置した後、
iii) コンデンサが載せられた状態の基板をリフロー炉に通し、
iv) その際に炉内で半田を溶かしてコンデンサと基板を接続する、
という方法を用いると、上記特許文献2及び3に記載の構成では依然として、上記半田ペースト内に気泡が閉じ込められた際に、基板と固体電解コンデンサ外部電極との間で安定した電気的接続が得られないという問題が解消されないままであった。
(1) コンデンサ素子とコンデンサ素子搭載用電極の間のほか、このコンデンサ素子搭載用電極と実装基板との間における機械的及び電気的接続が十分安定して行われ、
(2) 等価直列抵抗の低減が実現されると共に、各コンデンサ毎に得られる電気的特性のバラツキが十分抑制され得る構成は、これまで提供されていなかったのである。
その他、導電性接着剤等を用いて電子素子が電極アセンブリ(上記コンデンサにおける陰極と陽極等、一若しくは複数の電極からなる、又は上記電極を含んでなる、電子素子と電気的又は機械的に接触可能に構成されたものを指す)に接続され、さらに、この電極アセンブリと基板との接続に半田ペースト等が用いられる各種電子部品についても上記と同様の技術的課題が存在していたが、それらは未だ解決されないままであった。
i) 電子素子と電極の間に介在する導電性接着剤内の気泡が開口部から抜け出し易くなり、電子素子と電極の間に新たな導通経路を追加せずとも安定かつ確実な電気的接続が得られ、同時に、
ii) 上記電子素子が接続された電極と実装基板との間を接続する半田ペースト内の気泡が開口部から抜け出し易くなり、この電極と実装基板との間でも安定かつ確実な電気的接続が得られる、
ことを見い出し、かかる構成を採ることで、等価直列抵抗その他の抵抗成分がより少なく、しかも電気的特性のバラツキがより少ない電子素子を提供可能なことを確信して、本発明を完成した。
一又は複数の前記電極の側縁又はコーナー部分に、前記側縁又はコーナー部分から内側に向かって切り欠かれた開口部を少なくとも1つ備えたことを特徴とするものである。
「電子素子」とは、或る電子部品を構成する主要部分又はその電子部品の電気的性質を特徴付ける核となる部分、例えば上記タンタル固体電解コンデンサの場合で言えば、封止樹脂や陽極電極及び負極電極等の付随的構成要素を除外した後に残る、タンタルの加圧成形体からなるコンデンサ素子等を指し示すものとする。
「電子素子搭載用電極アセンブリ」とは、コンデンサにおける陰極と陽極等、一若しくは複数の電極からなる、又は上記電極を含んでなる、電子素子と電気的又は機械的に接触可能に構成されたものをいう。
なお、以下の説明では、上述した図4〜図6に示すものと同一構成要素には同一符号を付して説明するものとする。
なお便宜上、以下では本発明の電極アセンブリ上に搭載される電子素子を、例えばタンタルを加圧成形してなる固体電解コンデンサ素子として説明する。したがって、本実施形態では、電子素子搭載用電極アセンブリ及びこれに電子素子が電気的に接続されてなる電子部品の夫々を、適宜コンデンサ素子搭載用電極アセンブリ及びチップ型固体電解コンデンサと称する。
尚本実施形態では、図1B及びAに示すとおり、アセンブリした状態で開口部7に対応する位置に電極保持フィルム9が残る様、貫通孔Hの態様が適宜調整されている。後記図2及び図3に示す別の構成例の場合も同様である。
図1に示す本実施形態のコンデンサ素子搭載用電極アセンブリ10は、
i) ポリイミドからなる電極保持フィルム9に、電極引き出し部に相当する形状の貫通孔Hを設け、
ii) その上に、陽極電極6a、陰極電極6bとして厚さ18μm程度の圧延銅板を(例えばエポキシ系接着剤を介して)配置した後、
iii) 陽極電極6a及び陰極電極6bの表面にメッキ層8を、電極保持フィルム9側から無光沢半田メッキにより形成する、
ことにより作製した。
このように、電極引き出し部に相当する部分には、最初にメッキ層8が形成される。なお、後工程を経て樹脂封止が終わったのち、外部に露出した電極引き出し部にはさらに半田メッキが施される。この半田メッキが施された箇所が、本実施形態に係るチップ型固体電解コンデンサの外部電極Eに相当する(後述)。
尚本実施形態では、上記の通り陰極電極6bにおける陰極側の端部壁に近接した側縁に、その側縁から陽極6a側に向かって切り欠かれた二本の直線状の開口部7を備えている。
本実施形態では、上記工程からなるコンデンサ素子搭載用電極アセンブリ10の厚さを、80μm程度とした。
次に、先に述べた第一工程〜第五工程の周知手法によりコンデンサ素子1を製造した([背景技術]参照)。尚本実施例においては、固体電解質層をポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンからなるものとした。
そののち、得られたコンデンサ素子1をコンデンサ素子搭載用電極アセンブリ10に搭載した。ここで、本実施形態のチップ型固体電解コンデンサPは、背景技術で述べた下面電極構造を備えるものでもあるので、以下の説明に関しては、図5の記載も参照されたい。
まず陽極側については、鉄―ニッケル合金を母材とし、外表面に無光沢錫メッキを施した金属スペーサ(図5に於いて参照符号5として示される部材)を、陽極導出リード(図5に於いて参照符号2として示される部材)と抵抗溶接した上、該金属スペーサと陽極電極6aとをレーザー溶接により接続して構成した(金属スペーサの詳細については[特許文献1]参照)。
一方、陰極側については、コンデンサ素子1の陰極と陰極電極6bとを導電性接着銀等の導電性接着剤Aで接続して構成した。
その後、上記コンデンサ素子搭載用電極アセンブリ10に搭載したコンデンサ素子1を、電極引き出し部を残して絶縁性樹脂で被覆又は封止して1.6×0.8×0.8mm(1608サイズ)の大きさに形成し、そして外部に露出した電極引き出し部にさらに半田メッキを施して外部電極Eとすることで、チップ型固体電解コンデンサPを作製した。
ここで、チップ型固体電解コンデンサPの外部電極Eは、図1Bに示す通り、実装基板B上の不図示の電極(所望の配線パターン又はランド)と電気的に接続され得るものである。
本実施形態のチップ型固体電解コンデンサPを基板B上に実装する要領はこれまでと同様であり、表面実装機等の適宜手段によって所定位置にコンデンサが載置された状態の基板Bをリフロー炉に通し、その際炉内でコンデンサPと基板Bとの間に介在する半田ペーストSを溶かして接続する手法が一般的である(図1B参照)。
i) 電極6a,6bと電子素子1或いは実装基板Bの間を接続する接続材料(導電性接着剤Aや半田ペーストS等)内に閉じ込められ得る気泡の逃げ道を作り、
ii) それによって、電子素子1と電子素子搭載用電極アセンブリ10の電極6a,6b、及びその電極6a,6bと実装基板B間の電気的接続を安定かつ確実なものとし、
iii) 結果的にESRその他の抵抗成分が少なく、かつ電気的特性のバラツキが少ない電子部品を提供することが可能となる。
なお、比較に用いる本発明の特徴を備えたチップ型固体電解コンデンサは、上記実施形態と同じ材料及び工程で構成されたものである。また、比較例として作製したチップ型固体電解コンデンサは、陰極電極が開口部7を持たない以外は上記実施形態と同様の構成を備えたものである。さらに、比較は両者とも同一定格仕様のチップ型固体電解コンデンサを用いて同一条件(周波数f=100kHz)の下で行ったものである。
ここで、ESRは本発明の効果を表現する手段として最も有用な指標である。その標準偏差値は、各コンデンサ毎に得られる電気的特性のバラツキの程度を示す指標であり、ESRと同様に本発明の効果を表現する手段として有用なものである。
なお比較は、上記と同様、本実施形態に係るチップ型固体電解コンデンサと、従来例に係る下面電極構造のチップ型固体電解コンデンサ(比較例)とを用いて行った。
これは、本実施形態に係るチップ型固体電解コンデンサでは、コンデンサ素子搭載用電極アセンブリの電極に開口部7を備えているので、i)コンデンサを基板に実装した際に、コンデンサと基板の間に介在する半田ペースト内に閉じ込められる気泡が減じられる結果、ii)機械的及び電気的に安定した接続が得られることによる。
以上、本発明につき各種実施形態等を用いて具体的に説明したが、本発明は上記各種実施形態等に記載の構成に限定されず、種々の設計変更が可能である。
例えば、上記各例では、本発明の適用対象にタンタルコンデンサ素子を用いたが、この発明の適用対象となるコンデンサ素子は特に限定されるものではない。さらに本発明は、導電性接着剤等を用いて電子素子が電極アセンブリに接続され、かつ、この電極アセンブリと基板との接続に半田ペースト等が用いられる各種電子部品に対しても適用可能である。この場合であっても、上記と同様の技術的効果が得られる。電子素子や電子部品の種類は特に限定されない。
要するに本発明に於いては、電子素子が搭載される面と、基板に接続される外部電極となる面が夫々表裏の関係にある電極の側縁又はコーナー部分に、上記側縁又はコーナー部分から内側に向かって切り欠かれた開口部を設けることで、その電極と電子素子或いは実装基板の間を接続する接続材料(導電性接着剤や半田ペースト等)内に閉じ込められ得る気泡を逃がすことが出来れば良く、係る技術的効果を得る意図の下、開口部の形状を任意に規定しても構わない。
その他、上記電子素子搭載用電極アセンブリの各電極の形成方法に特に限定はなく、例えば金属板を所望の形状に打ち抜く手法で形成しても構わない。
貫通孔Hの開口態様に関しても、上記の如く開口部7に対応する位置に電極保持フィルム9が残る様な巧妙な態様ではなく、単に電極6a,6bの外形に近似した又はそれよりやや小さい寸法の孔を電極保持フィルム9上に穿設しておく態様でも構わない。
メッキ層の厚さに関しても、上記実施形態又は図1に記載のものに限定されない。
i) 導電性接着剤等により電子素子と電子素子搭載用電極アセンブリとを接続する際、及び
ii) 上記電子素子と電子素子搭載用電極アセンブリを接続して得られた電子部品を、半田ペースト等を用いて基板と接続する際に、
これら接続材料(導電性接着剤や半田ペースト等)内に閉じ込められ得る気泡を開口部を利用して外部に逃がすことが出来、
それによって、上記電子素子−電子素子搭載用電極アセンブリ−基板の間において電気的及び機械的に安定した接続を得ることが出来ると共に、電気的特性のバラツキが少なく、しかもESRその他の抵抗成分の少ない電子部品を提供することが出来る新規かつ有用なるものであることが明らかである。
B 基板
E 外部電極
P チップ型固体電解コンデンサ
S 半田ペースト
1 コンデンサ素子
2 陽極導出リード線
3a 陽極引き出し部
3b 陰極引き出し部
4 外装樹脂
5 金属スペーサ
6a 陽極電極
6b 陰極電極
7 電極開口部
8 無光沢はんだメッキ部
9 電極保持フィルム
10 電子素子搭載用電極アセンブリ
Claims (3)
- 電子素子が搭載される面と、基板に接続される外部電極となる面とが夫々表裏の関係となっている構造の電極を2以上有する電子素子搭載用電極アセンブリであって、
一又は複数の前記電極の側縁又はコーナー部分に、前記側縁又はコーナー部分から内側に向かって切り欠かれた開口部を少なくとも1つ備えたことを特徴とする電子素子搭載用電極アセンブリ。 - 請求項1に記載の電子素子搭載用電極アセンブリと、
これに電気的に接続された電子素子と
からなることを特徴とする電子部品。 - 請求項1に記載の電子素子搭載用電極アセンブリと、
これに電気的に接続された固体電解コンデンサ素子と
からなることを特徴とするチップ型固体電解コンデンサ。
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