JP2007005872A - 超音波スピーカシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 超音波スピーカシステムにおいて、音声信号の波形を忠実に空気振動に変換し、大きな出力を得るとともに良好な音響環境を形成する。
【解決手段】 超音波帯域の搬送信号を出力する第1超音波スピーカ、音声信号を搬送信号で周波数変調した変調信号を出力する第2超音波スピーカ7は、金属製の振動板15の背面側に磁界を形成する駆動部17を設ける。駆動部17において、ポールピース19の一端部に磁石18を接合し、他端部近傍に信号の供給を受ける外周側コイル20a、内周側コイル20bを巻回し、他端面21と振動板15との間に間隙部22を設ける。外周側コイル20a、内周側コイル20bに変調信号、搬送信号が供給されると、他端面21周辺に形成された磁界が変動して振動板15表面にうず電流、さらにローレンツ力が発生し、振動板15を振動させる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、超音波スピーカ及び超音波スピーカに用いられる電気音響変換技術に関する。
従来、指向性の高い音声を出力する手段として、超音波を搬送波として可聴帯域の音声を空気中に伝播させる超音波スピーカシステムが知られている。この超音波スピーカシステムにおいては、可聴音帯域の音声信号によって超音波帯域の搬送信号を振幅変調(AM:Amplitude Modulation)してスピーカから出力し、伝搬したい音声の音像を空中に定位させる方式がある(たとえば、特許文献1参照)。一方、異なる周波数の超音波を複数のスピーカから同時に出力し、これら複数の超音波を聴取者に同時に聴取させ、聴取者の鼓膜に超音波同士の周波数差の音声を聴取させる方法も提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
特開2005−101749号公報 Theory,History and The Advancement of Parametric Loudspeakers Rev.E(Authors:James J.Croft,Joseph O.Norris,American Technology Corporation)
しかし、特許文献1に示す振幅変調方式によると、変調により音声信号の波形が大きく歪んでしまうため、スピーカから出力されて聴取者の耳に聴取される音声は再現性の悪いものとなり、良好な音響環境が得られない。
また、上記非特許文献1に記載した方法によれば、信号レベルでの波形の歪みを防止しうることも考えられるが、上記非特許文献1には超音波スピーカに適用したい音声出力方式の概念が提示されているのみであり、如何なる構成により当該超音波スピーカを実現できるのかについて具体的に明示されていない。
ここで、超音波スピーカシステムにおいて大きな出力を得るとともに良好な音響環境を形成するためには、超音波スピーカの振動板が、超音波の周波数帯域で振幅の大きな歪みのない振動を行う必要がある。そして、上記特許文献1、非特許文献1に提示された超音波スピーカをはじめとする従来の超音波スピーカには、動電型のスピーカや圧電型のスピーカが用いられている。しかし、動電型のスピーカは、振動板に重くて体積の大きいコイルが固着されているために振動板の高速振動が妨げられ、また、圧電型のスピーカは、圧電変換素子の物理的特質上、聴取される音声は元の音声信号に比して特定周波数帯域(特に中低域)において大きく減衰したものとなる。そのため、これらのスピーカを用いた場合、大きな出力が得られず、また、良好な音響環境が形成できないという問題がある。
本発明はこのような問題に基づいてなされたものであり、超音波スピーカシステムにおいて、音声信号の波形を忠実に空気振動に変換し、大きな出力を得るとともに、良好な音響環境を形成することを課題としている。
係る課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、超音波スピーカシステムであって、超音波帯域の信号を出力する第1の超音波出力手段と、可聴帯域の音声信号の供給を受け該音声信号に依存して周波数帯域を連続的に変化させた超音波帯域の信号を出力する第2の超音波出力手段と、前記第1の超音波出力手段から出力された前記信号により超音波を出力する第1の超音波発生器、及び前記第2の超音波出力手段から出力された前記信号により超音波を出力する第2の超音波発生器を備えた拡声手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記第1の超音波出力手段は超音波帯域の信号を発生する発振手段であり、前記第2の超音波出力手段は前記超音波帯域の信号を前記音声信号によって周波数変調し該周波数変調により得られた変調信号を出力する周波数変調手段であり、前記両超音波発生器のうち少なくとも前記第2の超音波発生器において、ローレンツ力により前記振動板を振動させる駆動部を備えたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記駆動部を備えた前記超音波発生器は、前記振動板と前記駆動部との間に間隙部を設けたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の構成に加え、前記振動板は、金属製であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記拡声手段は、可聴帯域の信号に基づいて可聴音を空気中に出力させる音声発生器を備え、該音声発生器の周囲に前記第1の超音波発生器及び前記第2の超音波発生器を配設したことを特徴とする。
上記、請求項1に記載の発明によれば、第1及び第2の超音波発生器から超音波を出力することにより、第1及び第2の超音波発生器から指向性の高い空気振動を遠方に向けて発し、聴取者の鼓膜に両超音波の差音を聴取させることができる。そして、第2の超音波出力手段が可聴帯域の音声信号に依存して周波数帯域を連続的に変化させた超音波を第2の超音波発生器から出力させることにより、第1及び第2の超音波発生器から発生した超音波を同時に聴取した聴取者の鼓膜に両超音波の差音の変化を聴取させることができる。そして、第2の超音波出力手段から出力される超音波は、可聴帯域の音声信号に依存して周波数帯域が連続的に変化するので元の音声信号の特質が忠実に保たれており、かかる信号を超音波発生器から出力することで、聴取者に元の音声信号を高い品位で再現した高出力の音声を聴取させることができ、出力の高い、良好な音響環境を形成できる。
請求項2に記載の発明によれば、超音波帯域の搬送信号を可聴帯域の音声信号によって周波数変調(FM:Frequency Modulation)して得た変調信号を出力することにより、元の音声信号の再現性及び利得が高い変調信号を形成することができる。そして、少なくとも第2の超音波発生器は、ローレンツ力により振動板を振動させることにより、超音波の領域の信号を効率よく振動板に伝導させて振動させることができる。これにより、差音として聴取される音声の再現性と利得を高め、より出力の高い、より良好な音響環境を形成できる。
請求項3に記載の発明によれば、ローレンツ力により振動板を振動させる超音波発生器において、振動板と駆動部との間に間隙部を設けたことにより、コイル等、振動板を振動させるための質量や体積の大きな他の構成から振動板を物理的に離間させることができる。これにより、超音波帯域の高速の振動であっても振動板に歪みを生ずることなく振動させることができるので、差音として聴取される音声の再現性と利得を更に高め、一層出力の高い、一層良好な音響環境を形成できる。
請求項4に記載の発明によれば、金属によって振動板を形成することにより、超音波帯域の信号による高速の振動であっても振動板に物理的な歪みが生じにくくなる。これにより、振動板の物理的特性によって音響が劣化することを防ぎ、一層出力の高い、一層良好な音響環境を形成することができる。
請求項5に記載の発明によれば、拡声手段において、可聴帯域の信号に基づいて可聴音を空気中に出力させる音声発生器を備え、音声発生器の周囲に第1の超音波発生器及び第2の超音波発生器を配設したことにより、同一方向に向けて音声発生器の発した可聴音と第1及び第2の超音波発生器の発した超音波を伝播させることができる。これにより、可聴音並びに超音波の伝播方向に存在する聴取者に、可聴音並びに双方の超音波の差音としての音声を聴取させることができる。これにより、超音波の差音としての音声により形成された音場が可聴音により形成された音場によって補完されるので、奥行きのある自然な臨場感を持った音響環境を形成することができる。
以下、本発明を実施するための実施の形態について説明する。
図1は、この実施の形態の超音波スピーカシステムの全体構成を示す概略図である。同図に示すとおり、超音波スピーカシステム1Aは、オーディオ入力部1と、発振部(発振手段)2と、周波数変調部(周波数変調手段)3と、増幅部4、4、4と、可聴音スピーカ(音声発生器)5、M個(M≧1)の第1超音波スピーカ(第1の超音波発生器)6〜6、N個(N≧1)の第2超音波スピーカ(第2の超音波発生器)7〜7を有する拡声部8(拡声手段)とを備えている。
オーディオ入力部1は、入力ジャック等を備え、音声信号sの供給を受けるために必要な処理を行う。
発振部2は、LC発信器や水晶発信器などであり、超音波帯域の特定周波数の信号である搬送信号sを出力する。
周波数変調部3は、可変容量ダイオード等を備え、発振部2から供給された搬送信号をオーディオ入力部1から供給された音声信号により周波数変調を行い、変調の結果得られた変調信号sを出力する。
増幅部4、4、4は、FET等を備えた増幅回路であって、入力された電気信号を増幅して出力する。
可聴音スピーカ5は、高性能超小型スピーカであり、直径3センチメートル程度の略半球状の振動板5aを有し、20Hz〜20kHz程度の可聴周波数帯域において非常に良好な再生特性を有する。可聴音スピーカ5は、小型で可聴周波数帯域において非常に良好な再生特性を有するスピーカであれば、動電形、静電形、圧電形等、どのような変換方式のものを用いてもよい。
第1超音波スピーカ6〜6、第2超音波スピーカ7〜7は、20kHzより高い超音波領域における再生特性が良好なスピーカである。この第1超音波スピーカ6〜6、第2超音波スピーカ7〜7の具体的構成については後述する。
図2は、この実施の形態の超音波スピーカシステム1Aにおける拡声部8を正面から見た模式図である。同図に示すとおり、拡声部8は、略円板状に形成された基板9の正面において、中心部に、可聴音スピーカ5が振動板5aを正面に向けて固着された状態で配設され、この可聴音スピーカ5の周囲には、複数の有底円筒形の第1超音波スピーカ6〜6、及び複数の有底円筒形の第2超音波スピーカ7〜7が、振動板15を正面に向けた状態で密集して配設されている。可聴音スピーカ5、第1超音波スピーカ6〜6、第2超音波スピーカ7〜7の底面からは、電気信号を導通させるリード線(図2に図示せず)がそれぞれ引き出されており、引き出されたこれらのリード線(図2に図示せず)は基板9の正面上を基板9の中央部方向に収束するように配設され、可聴音スピーカ5の背面で導線10に接続されている(リード線の配設状態と導線10との接続状態は図2に図示せず)。基板9の裏側の略中心部からは、導線10が引き出され、増幅部4、4、4(図1)に接続されている。
図3は、この実施の形態の超音波スピーカシステム1Aにおける拡声部8を側方から見た模式図であり、同図は拡声部8の構成に加え、拡声部8の発信の様子を模式的に示している。同図に示すとおり、基板9の略中央部には、正面(図3の右側)から背面(図3の左側)へ孔部9aが貫通形成されており、正面側の開口部9bにおいて、可聴音スピーカ5、第1超音波スピーカ6〜6、第2超音波スピーカ7〜7からそれぞれ引き出されたリード線(図3に図示せず)が導線10に接続され、この導線10が孔部9aを貫通して基板9の背面側に引き出されている。
また、図3に示すとおり、可聴音スピーカ5から出力される音声の伝播の中心軸11a(即ち、振動板5aの背面中心部から振動板5aの正面中心部に向けて引いた仮想線)は、第1超音波スピーカ6〜6、及び第2超音波スピーカ7〜7から発生される超音波の伝播方向(即ち正面側の振動板15と垂直方向)11bと平行である。なお、図2及び図3において、第1超音波スピーカ6〜6、及び第2超音波スピーカ7〜7は同じ構成を持つので、以下、第1超音波スピーカ6、第2超音波スピーカ7とする。
図4は、この実施の形態の超音波スピーカシステム1Aにおける、第2超音波スピーカ7の振動板周辺の側面断面を示す模式図である。同図に示すとおり、第2超音波スピーカ7は、略円板状の底板部16の周縁に略筒状の側部12が設けられた、略有底円筒形の本体部11を有している。側部12の内周部の一部には、側部12に対して略直交方向に円板状の振動板保持部13が突設され、この振動板保持部13の略中央部分には、略円形の開口部14が開口形成されている。本体部11は、木材、アルミニウム、鋼等、加工が容易で塑性が高い素材によって形成されている。
開口部14の内周部には、略円板状の振動板15が固着されている。振動板15は、質量が小さく、高い剛性と適度な弾性を有し、容易に板状に加工形成できるとともに、高周波磁界中に置かれた際にうず電流を多く発生する材質によって形成されている。この実施の形態においては、振動板15は金属たとえばジュラルミンによって形成されている。
本体部11の内周部であって底板部16と振動板15との間に形成された空間には、振動板15を振動させる駆動部17が配設されている。駆動部17は、磁石18と、ポールピース19と、外周側コイル20a、内周側コイル20bとを有している。
磁石18は、略円板状であって底板部16と略平行に配設されている。この磁石18は、アルニコ、フェライト、ネオジウム等の保磁力の高い物質で形成した永久磁石であり、一側側がN極、他側側がS極となっている。なお、磁石18は、電磁石や超伝導物質等、磁力の大きさを制御したりより高い磁力を発生したりできるものによって形成してもよい。
磁石18の周縁部には、略円筒形のポールピース19が開口端部を底板部16及び振動板15に対向した状態で配設され、このポールピース19の一端側(図4の下側)の内周部は磁石18の周縁部にそれぞれ接合されている。ポールピース19は軟鉄、パーマロイ等、透磁性の高い軟磁性材料で形成されている。ポールピース19の他端部(図4の上側)に形成された他端面21は振動板15に近接した状態で離間対向し、他端面21と振動板15との間には、それぞれ間隙部22が設けられている。この間隙部22は、駆動部17が発生する磁力が振動板15に良好に伝達されるとともに、振動板15が垂直方向(図4の上下方向)に振動したときに振動板と他端面21とが接触しない程度に振動板15と他端面21を離間させた大きさに形成する。
外周側コイル20a、内周側コイル20bは、それぞれ略環状に形成され、絶縁性の材料によって断面略コの字形に形成された略環状の外側被覆部23a、内側被覆部23bに収容されて、ポールピース19の他端部近傍の外周部及び内周部に配設されている。即ち、外周側コイル20a、内周側コイル20bは、ポールピース19との対向面側、振動板15側、底板部16側が被覆部23a、23bに被覆されている。外周側コイル20a、内周側コイル20bの一端部同士はそれぞれ被覆銅線によって形成した導電部24によって電気的に接続され、外周側コイル20a、内周側コイル20bはそれぞれリード線25a、25bの一端部側に接続されている。リード線25a、25bは径小の銅線等であり、本体部11の底板部16の一部に貫通形成された孔部26から本体部11の外部に引き出され、他端部側が増幅部4の+端子及び−端子(図示せず)のいずれかと接続されている。
なお、この実施の形態においては、第1超音波スピーカ6も第2超音波スピーカ7と同じ構成を備えている。
次に、この実施の形態の作用について説明する。
図1に示すとおり、超音波スピーカシステム1Aにおいて、発振部2は定常的に発振し、所定周波数f(ただしfは可聴帯域より高い超音波帯域)の信号を搬送信号sとして出力する。この搬送信号sは、周波数変調部3、及び増幅部4を介して第1超音波スピーカ6に送信される。
ここで、オーディオアンプ(図示せず)等から超音波スピーカシステム1Aに対して周波数f(ただしfは可聴帯域)の音声信号sが供給されると、この音声信号sをオーディオ入力部1が受信し、増幅部4を介して可聴音スピーカ5、及び、周波数変調部3に送信する。
周波数変調部3は、音声信号sを搬送信号sによって周波数変調を行い、周波数f+fの信号を形成する。周波数変調部3は、形成した周波数f+fの変調信号sを、増幅部4を介して第2超音波スピーカ7に送信する。変調信号sは元の音声信号sを周波数変調したものであるため、音声信号sの特質に忠実に依存した、再現性と利得の高い信号として形成できる。
第2超音波スピーカ7(及び第1超音波スピーカ6)において変調信号s(又は搬送信号s)を受信すると、図4に示すとおり、信号はリード線25a(又はリード線25b)から外周側コイル20a(又は内周側コイル20b)、及び導電部24を介して内周側コイル20b(又は外周側コイル20a)に供給される。
磁石18により発生した磁束はポールピース19に導かれて他端面21の周辺に磁界を形成しているが、外周側コイル20a、及び内周側コイル20bに信号が導通して外周側コイル20a、及び内周側コイル20b周辺に磁界が形成されると、磁石18により発生した磁界が変化し、この変化により、振動板15の表面には磁界の向きと直交方向にうず電流が発生し、さらにうず電流の向き及び磁界の向きのいずれとも直行方向にローレンツ力が発生する。外周側コイル20a、及び内周側コイル20bに流れる電流の大きさや向きが変化すると、磁界の向きとうず電流の大きさや向きがそれぞれ変化、反転し、これによりローレンツ力の大きさや向きも変化、反転する。これにより、外周側コイル20a、及び内周側コイル20bに変調信号s(又は搬送信号s)が入力されると、信号の変化に伴って振動板15に生ずるローレンツ力が変化し、この変化に伴って振動板15が振動し(図2参照)、変調信号sや搬送信号sが空気振動に変換されて空気中に伝播する。
搬送信号s、変調信号sはうず電流を発生させ易い高周波電流であり、かかる信号s、sにより生じたローレンツ力により振動板15を振動させることにより、信号s、sを効率よく振動板15に伝導して振動させることができる。これにより、差音として聴取される音声の再現性と利得を高め、より出力の高い、より良好な音響環境を形成できる。
また、振動板15は軽量で剛性の高い金属(ジュラルミン)によって形成されていることにより、超音波帯域の信号による高速の振動であっても振動板15に物理的な歪みが生じにくい。また、振動板15と他端面21との間に間隙部22が設けられ、振動板15と駆動部17とが離間しているため、振動板15の振動が駆動部17によって妨げられることがない。よって、振動板15は超音波帯域の高速の振動であっても歪みを生ずることなく振動する。
第1超音波スピーカ6及び第2超音波スピーカ7はそれぞれ基板9の正面方向に振動板15が向き、かかる方向がそれぞれの超音波スピーカ6、7から発せられる超音波の伝播方向11b、11b(図3)となる。そのため、伝播方向11b、11bにいる聴取者の鼓膜には、第1超音波スピーカ6及び第2超音波スピーカ7の双方から発せられた超音波が伝播する。
ここで、図5に、この実施の形態の超音波スピーカシステム1Aにおける、第1超音波スピーカ6及び第2超音波スピーカ7の発する超音波と差音(Difference Tone)との関係を表した模式図を示す。同図に示すとおり、複数のスピーカからそれぞれ周波数の異なる超音波(ただし超音波同士の周波数差は可聴帯域の周波数)が出力された場合、これらの超音波を同時に聴取した聴取者の鼓膜には、各超音波同士の周波数差に相当する周波数の音声が聴取される。たとえば、同図に示すように、一のスピーカから特定周波数(ここでは80kHz)の超音波100を出力し、他のスピーカから他の特定周波数(ここでは81kHz)の超音波101を同時に出力すると、両超音波100、101を同時に聴取した聴取者の鼓膜には、両超音波100、101の周波数差(ここでは1kHz)の可聴音102が聴取されることになる。そして、両超音波100、101の周波数差を連続的に変化させれば、この周波数差に対応して連続的に変化する音声を聴取者に聴取させることができる。この実施の形態の超音波スピーカシステム1Aにおいては、かかる原理を適用して聴取者に音声を聴取させる。
具体的には、第1超音波スピーカ6から搬送信号sに基づく周波数fの超音波が出力され、第2超音波スピーカ7から変調信号sに基づく周波数f+fの超音波が出力されると、両超音波スピーカ6、7から発せられた超音波を同時に聴取した聴取者の鼓膜には、周波数差fの音声、すなわち音声信号sに基づく音声が聴取される。搬送信号sの周波数は一定であり、変調信号sの周波数は音声信号sの周波数fに依存して絶えず変動しているため、聴取者の鼓膜には、音声信号sの変動が聴取されることになる。
そして、図2及び図3に示すとおり、拡声部8の基板9中央には可聴音スピーカ5が配設されており、音声信号sに基づいて音声を出力する。第1超音波スピーカ6、第2超音波スピーカ7から超音波を発生させるとともに可聴音スピーカ5から音声を発生させると、可聴音スピーカ5から発生された音声波は第1超音波スピーカ6、第2超音波スピーカ7から発生された超音波に周囲を囲まれた状態で空気中に伝播する。そして、第1超音波スピーカ6、第2超音波スピーカ7から発生される超音波の伝播方向11b及び中心軸11a方向においては、可聴音スピーカ5から発生される可聴音の音声波と第1超音波スピーカ6、第2超音波スピーカ7から発生される直進性の高い超音波とが相互に作用しあい、可聴音スピーカ5の形成する音場と、第1超音波スピーカ6、第2超音波スピーカ7の発生する音場とが融合する。そして、原音の周波数特性を損ねることなく音声を出力できる可聴音スピーカ5からも音声を発生させて音場を形成し、第1超音波スピーカ6、第2超音波スピーカ7の形成した音場と融合させることにより、第1超音波スピーカ6、第2超音波スピーカ7の形成した音場が補完され、奥行きのある自然な臨場感を持った音響環境を形成することができる。
以上示したとおり、この実施の形態の超音波スピーカシステム1Aにおいては、聴取者に元の音声信号sを高い品位で再現した高出力の音声を聴取させることができ、出力の高い、良好な音響環境を形成することができる。
上記実施の形態においては、第1超音波スピーカ6、第2超音波スピーカ7の振動板15を金属たとえばジュラルミン製としたが、これに限定されず、質量が小さく、高い剛性と適度な弾性を有し、容易に板状に加工形成できるとともに、高周波磁界中に置かれた際にうず電流を多く発生する材質であれば、ジュラルミン以外のどのような金属、及び、金属以外のどのような材質を用いて振動板15を形成してもよい。
上記実施の形態においては、発振部2、周波数変調部3等をコイル、コンデンサ、トランジスタ等の電子回路によって形成し、各素子の特性によって発振や変調を行うものとしたが、これに限定されず、CPU等を用いて発振や変調を制御させてもよい。
上記実施の形態において、拡声部8は、基板9の正面に可聴音スピーカ5、第1超音波スピーカ6、第2超音波スピーカ7を、それぞれ振動板5a、15を正面に向けた状態で配設したが、基板9の正面に第1超音波スピーカ6、第2超音波スピーカ7を、背面に可聴音スピーカ5をそれぞれ固着して配設し、内面が回転双曲面の反響板を基板9の背面側に離間対向させ、可聴音スピーカ5から出力した音声を反響板の内面に反響させて基板9の正面方向に伝播させることもできる。可聴音スピーカ5から出力した音声を回転双曲面形状の反響板の内面に反響させることにより、可聴音スピーカ5から出力した音声の指向性を高めて伝播させることができる。
上記実施の形態においては、超音波スピーカシステム1Aに周波数変調部3を備え、周波数変調によって変調信号sを形成したが、周波数変調部3に代えてパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式の変調部を設け、音声信号sをPWM変調して第2超音波スピーカ7に送って出力させ、第1超音波スピーカ6から出力される超音波との差音を形成するものとしてもよい。変調信号の形成に、比較的単純な回路構成によって実現できるパルス幅変調方式を用いることにより、超音波スピーカシステム1Aを簡単な回路構成によって実現し、製造工程の簡略化やコストダウンを図ることができる。
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態に限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
以上の通り、本発明の超音波スピーカシステムは、音像の定位性に優れ、音場の広帯域感の再現性にも優れており、指向性のある超音波の平行ビームでスピーカシステムを実現できるため、スポット音声サービス事業として、商店、百貨店、スーパーマーケット等の商業施設における商品説明宣伝、また、ホール、ドライブインシアター、博物館、動物園等の文化アミューズメント施設における展示上映説明、更に、駅舎、道路等の公共施設における注意喚起情報提供等に対して適用でき、音響特性再現用のハイファイスピーカ、公共放送用拡声器としても応用できる。
この実施の形態の超音波スピーカシステムの全体構成を示す概略図である。 同上超音波スピーカシステムにおける拡声部を正面から見た模式図である。 同上超音波スピーカシステムにおける拡声部を側方から見た模式図である。 同上超音波スピーカシステムにおける、第2超音波スピーカの振動板周辺の側面断面を示す模式図である。 同上超音波スピーカシステムにおける、第1超音波スピーカ及び第2超音波スピーカの発する超音波と差音(Difference Tone)との関係を表した模式図である。
符号の説明
1A・・・超音波スピーカシステム
2・・・発振部
3・・・周波数変調部
5・・・可聴音スピーカ
6、6〜6・・・第1超音波スピーカ
7、7〜7・・・第2超音波スピーカ
8・・・拡声部
15・・・振動板
17・・・駆動部
22・・・間隙部
100・・・超音波
101・・・超音波
・・・音声信号
・・・搬送信号
・・・変調信号

Claims (5)

  1. 超音波帯域の信号を出力する第1の超音波出力手段と、
    可聴帯域の音声信号の供給を受け該音声信号に依存して周波数帯域を連続的に変化させた超音波帯域の信号を出力する第2の超音波出力手段と、
    前記第1の超音波出力手段から出力された前記信号により超音波を出力する第1の超音波発生器、及び前記第2の超音波出力手段から出力された前記信号により超音波を出力する第2の超音波発生器を備えた拡声手段と
    を備えたことを特徴とする超音波スピーカシステム。
  2. 前記第1の超音波出力手段は超音波帯域の信号を発生する発振手段であり、
    前記第2の超音波出力手段は前記超音波帯域の信号を前記音声信号によって周波数変調し該周波数変調により得られた変調信号を出力する周波数変調手段であり、
    前記両超音波発生器のうち少なくとも前記第2の超音波発生器において、ローレンツ力により前記振動板を振動させる駆動部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の超音波スピーカシステム。
  3. 前記駆動部を備えた前記超音波発生器は、前記振動板と前記駆動部との間に間隙部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波スピーカシステム。
  4. 前記振動板は金属製であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の超音波スピーカシステム。
  5. 前記拡声手段は、可聴帯域の信号に基づいて可聴音を空気中に出力させる音声発生器を備え、該音声発生器の周囲に前記第1の超音波発生器及び前記第2の超音波発生器を配設したことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の超音波スピーカシステム。
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