JP2007000812A - 排気ガス浄化システム - Google Patents

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Abstract

【課題】最上流に配設する触媒部入口の排気ガス温度が900℃程度の高温域でも触媒部に備えたナノサイズの貴金属粒子が焼結しにくく、良好な排気ガス浄化性能を発揮できる排気ガス浄化システムを提供すること。
【解決手段】 上流触媒部及び下流触媒部は、多孔質無機酸化物に担持されたナノサイズの貴金属粒子を備え、上流触媒部と下流触媒部との貴金属粒子の粒径比が2:1〜10:1の排気ガス浄化システムである。上流触媒部の多孔質無機酸化物に4〜20nm、下流触媒部の多孔質無機酸化物に、2〜10nmの貴金属粒子を担持させる。上流触媒部に流入する排気ガス温度T℃と、下流触媒部に流入する排気ガス温度T℃との差が50〜100℃である。
【選択図】なし

Description

本発明は、排気ガス浄化システムに関し、更に詳細には、特に内燃機関から排出されるガスを効率良く浄化する排気ガス浄化システムに関する。
自動車の排ガス規制は世界的に拡大していることから、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属微粒子を多孔体酸化物であるアルミナ(Al)などの担体に担持させた三元触媒が、排ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)を浄化する目的で使用されている。
しかし、触媒の活性点である貴金属は、数百℃レベルの高温では凝集が生じるため、活性点の表面積が低下する。
そこで、凝集を抑制するためには、貴金属微粒子間距離の制御、及び貴金属微粒子の粒径を制御することが挙げられる。この中で、貴金属微粒子間距離の制御に関しては、貴金属微粒子を担体外表面に担持すると凝集が進行しやすいなどの点から、担体の外表面だけではなく、担体の内部表面すなわち細孔の表面にも貴金属微粒子を担持させることが重要となる。
また、貴金属微粒子の粒径の制御に関しては、初期の貴金属微粒子が小さすぎると、微粒子の融点の低下が生じることから、ある程度の粒径が必要であることが知られている(例えば非特許文献1参照)。
Ph.buffat et.al. Phys.Rev.A,Vol.13,No.6.(1976)
更に、担持している金属微粒子の粒径が不均一であると、一部に存在する粒径の大きな金属粒子を核として凝集が更に進行しやすくなることが知られている(例えば非特許文献2参照)。
M.Che,J.F.Dutel et.al. J.Phys.Chem,80,p2371.(1976)
このため、貴金属微粒子の凝集を抑制するためには、貴金属微粒子はある程度の大きさで、且つ担体表面に均一に分散担持されていることが有効である。
そこで、キレート化剤により金属コロイドを形成して担体表面に金属を分散担持させた触媒が提案されている(特許文献1参照。)。
また、4級アンモニウム塩を保護コロイドとして使用し、担体細孔内部にコロイド塩を含浸担持させた触媒が提案されている(特許文献2参照。)。
特開2000−279824号公報(第2頁) 特開2002−1119号公報(第2頁)
しかしながら、上記特許文献に開示された技術では、担体であるアルミナの細孔径よりも分子サイズが大きな高分子を貴金属微粒子の保護剤として使用しているため、貴金属微粒子を細孔内部に担持させることができなかった。
また、4級アンモニウム塩を保護コロイドとして使用した場合には、長期保管などにより、コロイドの一部が凝集して沈殿するなど、コロイド塩の安定性に問題があった。
更に、単純に貴金属コロイド粒を担体細孔内部に担持しても、貴金属粒自身の移動が抑制できなかった。即ち、貴金属の凝集劣化が生じてしまうという問題があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、最上流に配設する触媒部入口の排気ガス温度が900℃程度の高温域でも触媒部に備えたナノサイズの貴金属粒子が焼結しにくく、良好な排気ガス浄化性能を発揮できる排気ガス浄化システムを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、排気温度が高く粒凝集が進みやすい上流触媒部の貴金属粒子を大きく、逆に排気温度が低く粒凝集の進みにくい下流触媒部の貴金属粒子を小さくすることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の排気ガス浄化システムは、内燃機関又は燃焼装置の排気通路の上流側から、上流触媒部と下流触媒部をこの順に配設して成る排気ガス浄化システムであって、
上流触媒部及び下流触媒部は、多孔質無機酸化物に担持されたナノサイズの貴金属粒子を備え、
上流触媒部の貴金属粒子と下流触媒部の貴金属粒子の粒径比が2:1〜10:1であることを特徴とする。
また、本発明の排気ガス浄化システムの好適形態は、上流触媒部の多孔質無機酸化物に、粒径が4〜20nmである貴金属粒子を担持させ、
下流触媒部の多孔質無機酸化物に、粒径が2〜10nmである貴金属粒子を担持させたことを特徴とする。
更に、本発明の排気ガス浄化システムの他の好適形態は、上流触媒部に流入する排気ガス温度T℃と、下流触媒部に流入する排気ガス温度T℃との差が50〜100℃であることを特徴とする。
更にまた、本発明の排気ガス浄化システムの更に他の好適形態は、上流触媒部及び下流触媒部で用いる貴金属粒子において、次式(1)
露出率(%)=0.895×(A×B×C×D)/(E×F)×100 …(1)
(式中のAはCO吸着量[cc/g]、Bは担持貴金属断面積[nm]、Cは担持貴金属密度[g/cc]、DはTEM粒子半径[nm]、Eは化学量論比、Fは担持濃度[%/g]、を示す)
で表される露出率が、50〜85%であることを特徴とする。
また、本発明の排気ガス浄化システムの他の好適形態は、上流触媒部及び/又は下流触媒部において、900℃の排気ガスに3時間接触させたときの、貴金属粒子の初期及び耐久後の粒径比が、3:10〜7:18であることを特徴とする。
排気温度が高く粒凝集が進みやすい上流触媒部の貴金属粒子を大きく、逆に排気温度が低く粒凝集の進みにくい下流触媒部の貴金属粒子を小さくすることで、最上流に配設する触媒部入口の排気ガス温度が900℃程度の高温域でも触媒部に備えたナノサイズの貴金属粒子が焼結しにくく、良好な排気ガス浄化性能を発揮できる。
以下、本発明の排気ガス浄化システムについて詳細に説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「%」は特記しない限り質量百分率を示す。
上述の如く、本発明の排気ガス浄化システムは、内燃機関又は燃焼装置の排気通路の上流側から、上流触媒部と下流触媒部をこの順に配設して成る。
また、上流触媒部及び下流触媒部は、ナノサイズの貴金属粒子が担持された多孔質無機酸化物を備え、この貴金属粒子の一部は多孔質無機酸化物中に埋没している。
更に、上流触媒部の貴金属粒子と下流触媒部の貴金属粒子の粒径比は、2:1〜10:1である。
なお、上記ナノサイズとは、粒径が、一般には1〜100nm、本願で用いる多孔質無機酸化物においては10〜50nmの大きさであることを示す。
このように、多孔質無機酸化物の表面に担持させる貴金属粒子が、各触媒部を流通する排気ガス温度に適する大きさとなっているため、担持する貴金属粒子の粒径の変化率が低く、触媒活性が長期間維持される。特に、上流触媒部では700〜1000℃程度の高温下においても貴金属粒子の凝集が防止され、下流触媒部では該粒凝集が起こらない範囲で単位重量あたりの触媒活性が高められる。
よって、本システムは、耐熱性に優れるとともに、排気ガス浄化効率が著しく良好となる。
ここで、多孔質無機酸化物の表面(担持面)は、外表面のみならず、多孔質無機酸化物が有しているくぼみ状、スリット状などの細孔の内表面をも含む。
そして、貴金属粒子は、多孔質無機酸化物の外表面だけではなく、内表面にも担持できるため、触媒全体の表面積が有効利用できる。即ち、触媒の単位重量あたりの触媒活性が向上し、反応させる排気ガス吸着量が増大する。
なお、一般的に、多孔質無機酸化物の外表面に担持されている貴金属粒子は、その粒子間距離が短く凝集が進行しやすい状況となるが、多孔質無機酸化物内部の細孔内に担持されているときは、粒子間距離は長くなり凝集が抑制される。
更に、上流触媒部の多孔質無機酸化物が担持する貴金属粒子は、粒径が4〜20nmであることが好適であり、下流触媒部の多孔質無機酸化物が担持する貴金属粒子は、粒径が2〜10nmであることが好適である。
このときは、貴金属粒子の粒径の変化率がより低くなり易く、触媒活性が長期間維持され得る。
更に、上流触媒部に流入する排気ガス温度T℃と、下流触媒部に流入する排気ガス温度T℃との差は、50〜100℃であることが好適である。
かかる排気ガス温度差を有するように上流触媒部と下流触媒部を配設することで、幅広い温度域での浄化処理が可能となる。
なお、流入排気ガス温度は、排気流路の形状、触媒部の配設間隔、温度センサーを用いた燃焼運転の制御などにより調節できる。
更にまた、上流触媒部、下流触媒部のいずれか一方又は双方においては、多孔質無機酸化物が担持する貴金属粒子は、次式(1)
露出率(%)=0.895×(A×B×C×D)/(E×F)×100 …(1)
(式中のAはCO吸着量[cc/g]、Bは担持貴金属断面積[nm]、Cは担持貴金属密度[g/cc]、DはTEM粒子半径[nm]、Eは化学量論比、Fは担持濃度[%/g]、を示す)
で表される露出率が、50〜85%であることが好適である。
このときは、多孔質無機酸化物に分散して担持されている貴金属粒子の凝集が抑制され得る。
また、多孔質無機酸化物の貴金属粒子に対するアンカー効果が顕著に発揮され、加熱後であっても触媒製造時の状態をより長期間に亘り維持できる。
ここで、アンカー効果とは、貴金属粒子の周囲を囲んでいる多孔質無機酸化物が、貴金属粒子を固定化するアンカーとして作用することを言う。具体的には、図1(b)に示すように、貴金属粒子が、多孔質無機酸化物中にその一部が埋没された状態で多孔質無機酸化物表面に担持される。
これにより、貴金属粒子間距離が維持され、貴金属粒子の凝集が効果的に抑制される。
一般的に、貴金属粒子の粒子径が10nm以下の微粒子である場合には、貴金属粒子は凝集しやすいが、貴金属粒子の一部が多孔質無機酸化物表面に埋没しているため、アンカー効果が顕著に発揮され、加熱後であっても触媒製造時の状態が維持されることによる。
よって、貴金属粒子の粒径の変化率が低いため、触媒活性が長期間維持され、耐熱性に優れた排気ガス浄化システムとなる。
アンカー効果を発揮させる観点からは、上記多孔質酸化物は、遷移金属を含むことが望ましく、特にセリアを用いることがより望ましい。
また、上記多孔質酸化物がセリアであるときは、その粒径は、10〜50nmであることが望ましく、20〜30nmであることがより望ましい。
このときは、適度な量の貴金属粒子がセリアに埋没され易くなると同時に、セリアの酸素ストレージ機能が十分に発揮されるので、充分な触媒活性が得られる。
更に、セリアに担持される貴金属粒子の粒径は、3〜10nmであることが望ましい。
このときは、適度な量の貴金属粒子がセリアに埋没され易くなるので、充分な触媒活性が得られる。
本発明の排気ガス浄化システムにおいては、貴金属粒子の露出率が50〜85%であれば、上述のように、貴金属粒子の一部が該多孔質無機酸化物中に埋没された状態で担持されていることとなる。
通常、触媒として有効に機能するのは、表面に存在する原子であるため、露出率が低すぎる場合には、貴金属粒子の安定性は高いものの、貴金属粒子が充分に反応物質に接触することが困難となり、結果として充分な触媒活性を得ることができない。
このため、触媒としての性能を維持するために露出率は少なくとも50%以上であることが好ましい。
一方、貴金属粒子の露出率が高すぎる場合には、触媒の初期活性は高いものの、多孔質無機酸化物表面に担持された貴金属粒子が加熱により凝集することがあるため耐久性に乏しい。
このため、露出率は85%を超えないことが好ましい。
また、上流触媒部、下流触媒部のいずれか一方又は双方においては、上記貴金属粒子の担持量は、触媒部1L当たり0.72g以下であることが好適である。
従来は、かかる担持量では、使用に伴い貴金属粒子が凝集して充分な触媒活性が得られなったが、本システムでは、各触媒部ともに貴金属粒子が凝集しにくいので上記担持量で十分な排気ガス浄化能を発揮できる。
更に、上述のように、アンカー効果が発揮されるときは、多孔質無機酸化物中にナノサイズの貴金属粒子の一部が埋没された状態とするので、貴金属の使用量を従来より低減しても、十分な触媒活性を維持できる。
また、上記貴金属粒子としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)又はロジウム(Rh)、及びこれらを任意に組合わせて使用することが好適である。
これらの貴金属は、触媒活性が高く、排気ガスの浄化に有効である。
更に、本排気ガス浄化システムの各触媒部では、多孔質無機酸化物、貴金属粒子のいずれか一方又は双方は、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)又は亜鉛(Zn)、及びこれらを任意に組合せた遷移金属と接触していることが好適である。
このときは、これらの遷移金属が貴金属粒子の触媒活性を補助するため、触媒活性がより向上し得る。
なお、多孔質無機酸化物、貴金属粒子のいずれか一方がこれらの遷移金属に接触していないときは、該遷移金属の近傍に存在していることがよい。
更にまた、これらの遷移金属は、一部又は全部が担体と複合化合物を形成していることが望ましい。
このときは、遷移金属を含む複合化合物に貴金属粒子が接触していれば、触媒性能が向上し得ると考えられる。これは、排気ガスが貴金属表面上に吸着された後、複合化合物表面に移動して複合化合物表面上で排気ガスを浄化するスピルオーバと呼ばれる現象によるものと考えられる。
即ち、貴金属粒子と該複合化合物とが接触していることにより、貴金属が触媒としてだけではなく、排気ガスを吸着する吸着サイトとしての役割をも担うようになるため、複合化合物の中の遷移金属が活性化されて触媒反応を行う触媒サイトとして機能するようになることが考えられる。
このように、本排気ガス浄化システムでは、各触媒部において、貴金属粒子の触媒活性を遷移金属を含む複合化合物が補う効果が得られるため、触媒活性が向上し得る。
また、遷移金属の一部又は全部が担体と複合化合物を形成していることにより、この複合酸化物が、貴金属粒子の移動を抑制するアンカーの役割として作用し得るため、貴金属の凝集が抑制されて、触媒活性点の劣化が抑えられる。
また、各触媒部において、貴金属担持多孔質無機酸化物は、セリア(CeO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、シリカ(SiO)又はチタニア(TiO)、及びこれら酸化物を任意に組合わせたもので構成された担体に担持して使用することできる。
このときは、多孔質無機酸化物との密着性が良好となり得る。また、触媒金属である貴金属粒子や遷移金属を活性化させる効果、担体の耐熱性を向上させる効果を発揮し得る。
なお、これらの担体構成材料は、多孔質無機酸化物と同種のものでも良いし、異種の物でもよい。また、貴金属担持多孔質無機酸化物粉末自体をハニカム状などに成形して使用することもできる。
更に、担体構成材料である上記酸化物は、多孔質無機酸化物、貴金属粒子のいずれか一方又は双方を包接させることができる。
このときは、貴金属粒子の移動や凝集がより抑制され、触媒製造時の分散状態をより長期間維持できる。
例えば、図2に示すように、繊維状の酸化物を多孔質無機酸化物、貴金属粒子、遷移金属の周囲に配設して、これらを抱持させることができる。
このように、本排気ガス浄化システムは、排気温度が高く粒凝集が進みやすい上流触媒部の貴金属粒子を大きく、逆に排気温度が低く粒凝集の進みにくい下流触媒部の貴金属粒子を小さくすることで、最上流に配設する触媒部入口の排気ガス温度が高温域でも触媒部に備えたナノサイズの貴金属粒子が焼結しにくく、良好な排気ガス浄化性能を発揮できる。
具体的には、上流触媒部、下流触媒部のいずれか一方又は双方は、900℃の排気ガスに3時間接触させた後に、上記貴金属粒子の初期及び耐久後の粒径比を、3:10〜7:18の範囲内に抑えることができる。
次に、上流触媒部及び下流触媒部が備える貴金属担持多孔質無機酸化物の製造方法について説明する。かかる貴金属担持多孔質無機酸化物の製造方法には、大別するとコロイド法と逆ミセル法の2種がある。
(コロイド法)
本方法では、貴金属粒子の周囲が有機分子に保護された状態で、溶媒中に分散した貴金属コロイドを、多孔質無機酸化物の一例であるセリアの前駆体に包接させ、触媒前駆体を形成する工程(包接工程)と、この触媒前駆体を酸化雰囲気で焼成する工程(焼成工程)と、を行うことで、貴金属担持多孔質無機酸化物(貴金属担持セリア)を得る。
このように、貴金属粒子のコロイドを作製し、この貴金属コロイドの周囲にセリアの前駆体であるセリウム水酸化物を形成させた後に、この触媒前駆体を酸化雰囲気で焼成することで、セリア内部に金属粒子を分散担持させることが可能となる。
また、貴金属コロイドの周囲にセリア前駆体を形成するため、貴金属粒子の一部がセリアに埋没された状態となる。
この結果、貴金属粒子の固定化が可能となり、耐熱性が高い触媒が得られる。
ここで、上記有機分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミド、ポリアクリル酸、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸などの安定度の高い化合物、又はこれらの混合物を用いることができる。
また、上記溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノールなどのアルコール類、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、又はこれらの混合物を用いることができる。
これらの有機分子や分散溶媒を用いて触媒前駆体を形成した場合には、貴金属粒子の周囲に有機分子の保護層が配位されるので、貴金属粒子が溶媒中に均一に分散され得る。また、コロイド溶液の安定性、即ち、沈降分離抑制が可能となる。
このため、貴金属粒子が均一にセリア前駆体に取り込まれた状態で触媒前駆体が形成される。
更に、この触媒前駆体を酸化雰囲気で焼成することにより、セリア前駆体であるセリア水酸化物から水が蒸発し、焼成後に細孔が多く形成されるため、高比表面積のセリアが形成される。
そして、この触媒前駆体は、貴金属粒子が均一にセリア前駆体に取り込まれているため、焼成して作製された触媒は、貴金属粒子が内表面も含む全てのセリア表面に均一に担持された状態となる。
このように、貴金属コロイドの大きさがセリアの細孔より大きい場合であっても、細孔内部にまで貴金属粒子を含浸担持させることが可能となる。
また、このような担持方法を用いることにより、貴金属粒子の周囲にセリアの障壁が形成されるため、この障壁によるアンカー効果が得られ、貴金属粒子の凝集が抑制される。
更に、障壁をつくることで、貴金属粒子の一部がセリアに埋没する。
更にまた、この障壁の一部が遷移金属の複合化合物となるときは、貴金属による遷移金属の触媒活性化が生じ、結果として、触媒活性点の表面積がより向上し、耐久後も優れた触媒性能を示すようになる。
上述の効果を得るためには、貴金属コロイド溶液は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)又はロジウム(Rh)、及びこれらを任意に組合わせた貴金属と、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)又は亜鉛(Zn)、及びこれらを任意に組合わせた遷移金属との複合金属化合物をコロイド粒子として含むことが好適である。
この場合には、貴金属コロイドの核となる粒子を、貴金属及び遷移金属の複合体とすることで、遷移金属を含む複合化合物を貴金属の周囲に選択的に配置した触媒材料の調製が可能となる。
また、セリア前駆体は、硝酸塩や酢酸塩などの水溶性無機塩の形で、初めに貴金属と遷移金属の複合金属化合物のコロイド粒子を含有する水溶液に投入し、アンモニア水やテトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液などの塩基性沈殿剤を投入して水酸化物を形成しても良い。
更に、コロイド水溶液にアルコキシドを投入し、複合金属化合物のコロイド粒子の周囲に水酸化物を形成しても良い。
更にまた、貴金属コロイドを構成する有機分子のポリマー鎖は、例えば、イミノ(NH)基などを有し、コロイド溶液の液性が塩基性であれば、セリア前駆体を含有する水溶液に沈殿剤と貴金属コロイドの混合水溶液を投入することにより、貴金属コロイドをセリアに安定して担持させることが可能となる。
ここで、上記コロイド法の一例を、図3に示す概略的な工程フロー図にて説明する。また、図4に、排気ガス浄化システムの製造過程の概略図を示す。
図3に示すように、まず、STEP1(以下「S1」のように示す)では、溶媒中に貴金属塩と有機分子を投入して攪拌し、混合溶液を調整する。
ここで、貴金属塩としては、ジニトロジアミン塩、トリアンミン塩、テトラアンミン塩、ヘキサアンミン塩などの貴金属錯体、硝酸塩、塩化物、硫酸塩などの無機塩が使用可能である。遷移金属塩は、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩などが使用可能である。
また、有機分子としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミド、ポリアクリル酸、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸などが使用可能である。
なお、これらは、二種以上の混合溶液として用いても良い。
ここでは、図4(a)に示すように、溶媒中には貴金属イオン10と、有機分子11が存在する。
次に、S2では、この混合溶液に還元剤を加えて貴金属イオン10を還元し、図4(b)に示すように、還元された貴金属粒子10aの周囲に有機分子11が配位した貴金属コロイド12の分散液とする。
ここで、還元剤としては、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、水素ガスなどが使用可能である。
また、S3では、包接工程として、この分散液にセリア前駆体であるセリア水和物を投入し、充分に攪拌した後、この溶液に沈殿剤水溶液をpH7.0になるまで滴下した後、得られた溶液を一晩熟成する。
図4(c)に示すように、貴金属コロイド12は、セリア前駆体である水酸化物13に取り込まれて、触媒前駆体14の沈殿物が得られる。また、貴金属コロイド12のうち一部12aは、セリア水酸化物13に一部が取り込まれた状態となる。その他の貴金属コロイド12bはセリア水酸化物13に完全に包接された状態である。
ここで、セリア前駆体は含水物であっても良い。また、沈殿剤水溶液としては、アンモニア水やTMAH水溶液などが使用可能である。
更に、S4では、得られた沈殿物をメンブランフィルタでろ過後、大量の水を用いて沈殿物を洗浄する。
そして、S5では、沈殿物を120℃にて一昼夜乾燥する。
S6では、焼成工程として、乾燥後の沈殿物を400℃で1時間、空気気流中で焼成し、図4(d)に示すような貴金属担持セリア15を得ることができる。
得られた貴金属担持セリア15は、貴金属コロイド12がセリア前駆体であるセリア水酸化物13に取り込まれた触媒前駆体14を焼成して得られるため、セリア水酸化物13から水が蒸発することにより脱水収縮する。
この際に、セリア17には細孔が多く形成されており、セリア水酸化物13に取り込まれた貴金属コロイド12は、セリア17の外表面及び細孔内部である内表面に埋没する貴金属粒子16となる。
このように、セリア17上で貴金属粒子16が均一に分散されて強固に固定され、また、セリア17が貴金属粒子16のアンカーとして作用することから、貴金属粒子16の凝集が抑えられ、触媒性能が向上する高比表面積で触媒活性の高い貴金属担持セリア15ができる。
また、上記包接工程(図3のS3、図4の(c))では、溶媒中に貴金属コロイドが分散しているコロイド溶液へ部分酸化剤を投入しても良い。
上記部分酸化剤とは、例えば、過酸化水素などの酸化性物質を含む水溶液などを示す。この部分酸化剤は、一旦還元剤により還元メタル化した貴金属粒子、又は貴金属と遷移金属の複合化合物の表面を部分的に酸化する。この酸化により、貴金属粒子又は複合化合物は、セリア前駆体であるセリア水和物との親和性が高くなり、セリアに担持する貴金属粒子又は複合化合物の固定化が促進される。そして、貴金属粒子や複合化合物の露出率を制御できる。
この効果は、貴金属単独の場合に特に有効である。貴金属は遷移金属と比べて比較的安定であるため、部分酸化を行わない場合にはセリアと充分な貴金属との親和力を制御できない。このため、貴金属の露出率の制御が難しい。しかし、コロイド溶液に部分酸化剤を投入し、貴金属の表面を所定の割合で部分酸化した場合には、貴金属の表面の部分的に酸化された箇所のセリア前駆体との親和性がより高くなり、焼成後の貴金属粒子の露出率が決まる。
このように、コロイド溶液に投入する部分酸化剤の量によって、触媒における貴金属粒子や複合化合物の露出率を制御することが可能となる。
更に、上記コロイド法の他の例を、図5に示す概略的な工程フロー図にて説明する。また、図6に、上記貴金属担持セリアの製造過程の概略図を示す。
図5に示す工程フロー図では、S2の後に部分酸化剤水溶液を投入した点以外は、図3の工程フロー図と同等の操作を行う。
まず、S1では、溶媒中に貴金属塩と有機分子を投入して攪拌し、混合溶液を調整する ここで、貴金属塩としては、ジニトロジアミン塩、トリアンミン塩、テトラアンミン塩、ヘキサアンミン塩などの貴金属錯体、硝酸塩、塩化物、硫酸塩などの無機塩が使用可能である。遷移金属塩は、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩などが使用可能である。
また、有機分子としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミド、ポリアクリル酸、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸などが使用可能である。
なお、これらは二種以上の混合溶液として用いても良い。また、ここでは、分散媒中には金属のイオンと、有機分子が存在する。
次に、S2では、この混合溶液に還元剤を加えて貴金属イオンを還元し、還元された貴金属粒子の周囲に有機分子が配位した貴金属コロイドの分散液とする。
ここで、還元剤としては、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、水素ガスなどが使用可能である。
また、S3では、この分散液に部分酸化剤水溶液を投入し、貴金属粒子を部分酸化する。このとき、部分酸化剤としては、過酸化水素などの金属粒子に酸素原子を与え得る性質を有する酸化剤であれば、いずれの化合物でも使用可能である。
セリア前駆体であるセリア水和物を投入し、充分に攪拌した後は、この溶液に沈殿剤水溶液をpH7.0になるまで滴下し、得られた溶液を一晩熟成する。
その後、貴金属コロイドがセリア前駆体である水酸化物に取り込まれた触媒前駆体の沈殿物が得られる。このとき、貴金属コロイドの一部は、セリア水酸化物に取り込まれた状態であり、他は水酸化物に完全に包接された状態である。
ここで、セリア前駆体は含水物であっても良い。また、沈殿剤水溶液としては、アンモニア水やTMAH水溶液などが使用可能である。
更に、S4では、得られた沈殿物をメンブランフィルタでろ過後、大量の水を用いて沈殿物を洗浄する。
S5では、沈殿物を120℃にて一昼夜乾燥する。
S6では、乾燥後の沈殿物を400℃で1時間、空気気流中で焼成し、貴金属担持セリアを得ることができる。
得られた貴金属担持セリアは、貴金属コロイドがセリア前駆体であるセリア水酸化物に取り込まれた触媒前駆体を焼成して得られるため、セリア水酸化物から水が蒸発することにより脱水収縮する。
この際に、セリアには細孔が多く形成されており、セリア水酸化物に取り込まれた貴金属コロイドは、セリアの外表面及び細孔内部である内表面に埋没する貴金属粒子となる。
このように、セリア上で貴金属粒子が均一に分散されて強固に固定され、また、セリアが貴金属粒子のアンカーとして作用することから、貴金属粒子の凝集が抑えられ、高比表面積となり、触媒活性が高められる。
また、図6に示すように、部分酸化剤により貴金属粒子の露出率を制御することができる。
図6(a)は、部分酸化剤の量を少なくして製造した貴金属担持セリア20の部分断面図である。この貴金属担持セリア20では、貴金属粒子21の一部がセリア22中に埋没された状態でセリア22表面に担持されている。
ここでは、部分酸化剤の量が少ないため、貴金属粒子21の露出率は高く、周囲を囲んでいるセリア22の量も少ない。
図6(b)は、部分酸化剤の量を貴金属担持セリア20より多くして製造した貴金属担持セリア30の部分断面図である。この貴金属担持セリア30では、貴金属粒子31がセリア32中に50%程度埋没された状態でセリア32表面に担持されている。
図6(c)は、更に部分酸化剤の量を貴金属担持セリア30より多くして製造した貴金属担持セリア40の部分断面図である。この貴金属担持セリア40では、貴金属粒子41の大半がセリア42中に埋没された状態でセリア42表面に担持されている。
ここでは、部分酸化剤の量が多いため、貴金属粒子41の露出率は低く、金属粒子73の周囲を囲んでいるセリア42の量が多い。
図6(a)〜(c)に示すように、部分酸化剤の量によって、貴金属粒子のセリアとの親和力制御できるため、セリアに担持された貴金属粒子の露出率を制御することができる。
(逆ミセル法)
本方法では、貴金属粒子又は貴金属粒子と遷移金属との複合メタル粒を、液滴の粒径が20nm以下である逆ミセル内に析出させた後に、該逆ミセル内に部分酸化剤を添加する工程と、逆ミセル内で、貴金属粒子又は貴金属粒子と遷移金属との複合メタル粒を、多孔質無機酸化物の一例であるセリアの前駆体に包接させる工程と、を行い貴金属担持多孔質無機酸化物(貴金属担持セリア)を得る。
この方法採用する場合は、逆ミセル内で貴金属粒子又は貴金属粒子と遷移金属との複合メタル粒を部分的に酸化させることにより、貴金属粒子又は貴金属粒子と遷移金属との複合メタル粒とセリア前駆体との親和性を高めることが可能となる。
また、上記コロイド法と同様に、部分酸化剤を用いることにより、貴金属粒子又は貴金属粒子と遷移金属との複合メタル粒の露出率を制御することが可能となる。
ここで、逆ミセル法の一例を、図7に示す概略的な工程フロー図にて説明する。また、図8に、貴金属担持セリアの製造過程の概略図を示す。
図7に示すように、まず、STEP1(以下「S1」のように示す)では、有機溶媒中に界面活性剤を溶解させた混合溶液を調整する。
ここでは、有機溶媒としては、シクロヘキサン、シクロヘプタン、オクタノール、イソオクタン、n−ヘキサン、n−デカン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが使用可能である。
また、界面活性剤としては、ポリエチレングリコール(5)モノ−4−ノニルフェニルエーテル、ペンタエチレングリコールドデシルエーテルなどが使用可能である。
なお、これらは二種以上を混合して用いても良い。
次いで、S2では、この混合溶液に、貴金属の塩及び遷移金属の塩の混合水溶液を投入して2時間攪拌する。
このときは、図8(a)に示すように、微細な逆ミセル50が形成される。逆ミセル50は、直径十数nm程度の球状液滴の周囲に界面活性剤51が内側に親水基外側に疎水基が向くように配列し、逆ミセル50内部の水相には貴金属の塩及び遷移金属の塩を含む水溶液52が含有される。
ここで、貴金属の塩及び遷移金属の塩としては、硝酸塩、酢酸塩、塩化物、アミン化合物、カルボニル化合物、金属アルコキシドなどを使用することが可能である。
なお、これらは二種以上の混合溶液として用いても良い。
また、S3では、逆ミセル50を含む有機溶媒の混合溶液に、貴金属及び遷移金属の還元剤を投入して2時間攪拌する。
このときは、図8(b)に示すように、貴金属の塩及び遷移金属の塩を逆ミセル50内部で同時に還元してメタル化させる。
ここで、還元剤としては、例えば、アンモニア、テトラメチルアンモニウム、アルカリ金属水酸塩(水酸化ナトリウムなど)、ヒドラジン、ホウ素化水素ナトリウムなどが使用可能である。
その後、S4では、逆ミセルを含む有機溶媒の混合溶液中に部分酸化剤水溶液を投入し、逆ミセル中で貴金属及び遷移金属の複合メタル粒の一部を酸化する(図8(c))。
ここで、部分酸化剤水溶液としては、上述のように、過酸化水素などの金属粒子に酸素原子を与え得る性質を有する酸化剤であれば、いずれの化合物でも使用可能である。
また、S5では、セリウム水溶液を混合して2時間攪拌し、一部酸化した貴金属53と遷移金属54の複合メタル粒を含有している逆ミセル50内にセリウム塩及び水を含有させる。
ここで、セリウム塩としては、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、アミン化合物などが使用可能である。
更に、S6では、逆ミセルを含む有機溶媒の混合溶液中に沈殿剤水溶液を混合し、逆ミセル50内部のセリウム塩を析出させる。
このときは、図8(d)に示すように、逆ミセル50内部のセリウム塩がメタル化してセリウム55として析出させ、貴金属53及び遷移金属54の複合メタル粒をセリウム55で包接する。
ここで、沈殿剤としては、ヒドラジン、ホウ素化水素ナトリウム、アンモニアなどを使用することができる。
なお、これらは二種以上の混合溶液として用いても良い。
そして、S7では、この逆ミセルを含む有機溶媒の混合溶液中にアルコールを添加して2時間攪拌し、逆ミセルを崩壊させる。
このときは、図8(e)に示すように、逆ミセルの崩壊により、貴金属53及び遷移金属54の複合メタル粒をセリウム55で包接した沈殿物が得られる。
ここで、アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノールなどを使用することが可能である。
次に、S8では、得られた沈殿物をメンブランフィルタでろ過後、アルコール及び水を用いて洗浄し、沈殿物に含まれる不純物(例えば界面活性剤など)を除去する。
また、S9では、沈殿物を120℃にて一昼夜乾燥する。
S10では、乾燥後に、400℃で1時間、空気気流中で沈殿物を焼成し、図8(f)に示すような貴金属担持セリア56を得ることができる。
この貴金属担持セリア56では、貴金属と遷移金属の一部(遷移金属の複合粒)58がセリア57表面に埋没された状態で担持される。
上述した逆ミセル法では、貴金属は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)又はロジウム(Rh)、及びこれらを任意に組合わせたものを使用するのが好適である。
また、遷移金属は、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)又は亜鉛(Zn)、及びこれらを任意に組合わせたものを使用するのが好適である。
更に、セリア前駆体は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)又はランタン(La)、及びこれらを任意に組合わせたものを有する化合物を使用するのが好適である。
このように、逆ミセル法を用いた貴金属担持セリアの製造方法においても、貴金属粒子の周囲にセリア前駆体が形成されるため、貴金属粒子の一部がセリアに埋没された状態となる。
このため、貴金属粒子の固定化が可能となり、耐熱性の高い触媒部が得られる。
なお、上述した貴金属担持多孔質無機酸化物の製造方法においては、原料の種類や使用条件などによって得られる該多孔質無機酸化物の触媒活性が異なるため、使用する元素、還元剤や析出剤の種類、反応温度、反応時間、攪拌強度及び攪拌方法などを適宜変更して、所望の触媒部、排気ガス浄化システムを得ることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)上流触媒部の作製
Ptコロイド水溶液(Pt粒径6nm、Pt濃度4%)を、2−メチル−2,4−ペンタンジオール/イソプロポキシドAl=5/1重量比で混合し、乾燥焼成してPt/アルミナ粉末を得た。
この粉末に、硝酸Ce水溶液を含浸させ、乾燥焼成してPt/Ce/アルミナ粉末を得た。
この粉末と、水と、硝酸とを磁性ボールミルに投入し、混合粉砕してスラリーとした。
このスラリーを20ccのセラミックスハニカム触媒に塗布し上流触媒部を得た。
なお、この触媒部において、Pt量は0.007g、CeO量は0.2g、アルミナ量は1.8gであった。
(2)下流触媒部の作製
ジニトロジアンミンPt水溶液(Pt濃度4%)をアルミナ粉末と混合し、乾燥焼成してPt/アルミナ粉末を得た。
この粉末に、硝酸Ce水溶液を含浸させ、乾燥焼成してPt/Ce/アルミナ粉末を得た。
この粉末と、水と、硝酸とを磁性ボールミルに投入し、混合粉砕してスラリーとした。
このスラリーを20ccのセラミックスハニカム触媒に塗布し下流触媒部を得た。
なお、この触媒部において、Pt量は0.007g、CeO量は0.2g、アルミナ量は1.8gであった。
(実施例2)
(1)上流触媒部の作製
実施例1と同様の触媒部を作製した。
(2)下流触媒部の作製
Ptコロイド粒径を8nmとした以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、下流触媒部を作製した。
(比較例1)
上流触媒部として、実施例1で得た下流触媒部と同様のものを用いた。
また、下流触媒部として、実施例1で得た上流触媒部と同様のものを用いた。
<評価測定>
(1)耐久試験
上流触媒部及び下流触媒部を流路上に配設し、上流触媒部入口が900℃、下流触媒部入口が700℃となるようにガスを流通させ、30時間耐久させた。
このときの初期と耐久後のPt粒径を表1に示す。
(2)浄化反応試験
以下に示す条件で、排気模擬ガスを触媒に流通させ、転化率を求めた。
CO :0.6vol%
:0.2vol%
:0.63vol%
NO :1000volppm
:1665volppmC
CO :14vol%
O :10vol%
残部 :N
SV :60000−1
反応温度 :550℃
(3)Pt粒子及びCeOの粒径測定
TEM(透過型電子顕微鏡)にてPt粒子とCeOの粒径を観察した。
以上の評価測定(1)〜(3)の結果を表1に示す。
Figure 2007000812
表1に示すように、実施例1,2で得た触媒粉末は、本発明の好適実施形態であり、耐久試験後でもPt粒子の粒径が小さいまま維持されていた。実施例1,2を比較すると、Pt粒子の粒径比に好適な範囲があることがわかる。
また、上流触媒部に用いたPt粒子の粒径を下流触媒部に用いたPt粒子の粒径よりも大きくしたことにより、長期に亘り排気ガスを浄化できることが確認された。比較例1のように、初期の上流触媒部及び下流触媒部において、用いたPt粒子の粒径が同一であると、浄化率が著しく低減した。
また、参考例1〜5として、貴金属粒径と耐久温度が貴金属粒径に及ぼす影響を、種々のPt/アルミナ粉末を用いて測定した。この結果を表2に示す。
(参考例1)
ジニトロジアンミンPt水溶液(Pt粒径1nm)を、アルミナ粉末に混合し、乾燥焼成して、Pt/アルミナ粉末を得た。
(参考例2)
Ptコロイド水溶液(Pt粒径3nm)を、2−メチル−2、4−ペンタンジオール/イソプロポキシドAl=5/1重量比で混合し、乾燥焼成してPt/アルミナ粉末を得た。
(参考例3〜5)
Pt粒径の異なるコロイド(Pt粒径6nm,8nm,24nm)を用いた以外は、参考例2と同様の操作を繰返して、Pt/アルミナ粉末を得た。
<評価測定>
各参考例で得られた粉末を、700℃、3時間、900℃、3時間の2種類で空気中焼成した。
このときの初期と耐久後のPt粒径を表2に示す。
Figure 2007000812
表2に示すように、耐久温度が異なると、初期のPt粒径に好適範囲が存在することがわかる。
以上、本発明を好適実施例により詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形が可能である。
例えば、本発明の排気ガス浄化触媒システムは、上流触媒部と下流触媒部をタンデム配置する構成以外に、これらの上流側、下流側、両触媒部の間、該触媒部に並設(V型等)した流路上などに、排気ガス成分を浄化し得る他の触媒部を随時設けて、3段以上の配置構成とすることができる。
また、これら触媒部は、耐熱性材料から成るハニカム状のモノリス担体、メタル担体などに担持することができる。また、チェッカードハニカム担体を使用することもできる。
(a)従来の貴金属粒子の担持状態、(b)本発明に係る担持状態を示す概略図である。 酸化物が貴金属粒子を抱接している状態を示す概略図である。 コロイド法の一例を示す工程フロー図である。 (a)混合溶液、(b)貴金属コロイド、(c)触媒前駆体、(d)触媒を示す概略図である。 コロイド法の他の例を示す工程フロー図である。 部分酸化剤の添加量を(a)〜(c)の順に増加させたときの担持状態を示す概略断面図である。 逆ミセル法の一例を示す工程フロー図である。 (a)逆ミセル、(b)逆ミセル内の貴金属と遷移金属が析出した状態、(c)逆ミセル内に担体前駆体の塩及び水が含有された状態、(d)逆ミセル内で担体前駆体が析出した状態、(e)逆ミセルを崩壊して得られた沈殿物、(f)触媒を示す概略図である。
符号の説明
1 PM粒子(100nm程度)
2 貴金属
3 セリア
4 遷移金属
5 酸化物
10 貴金属イオン
11 有機分子
12 貴金属コロイド
13 セリア水酸化物
14 触媒前駆体
15 貴金属担持セリア
16 貴金属粒子
17 セリア
20,30,40 貴金属担持セリア
21,31,41 貴金属粒子
22,32,42 セリア
50 逆ミセル
51 界面活性剤
52 貴金属の塩及び遷移金属の塩を含む水溶液
53 貴金属
54 遷移金属
55 セリウム
56 貴金属担持セリア
57 セリア
58 遷移金属の複合粒

Claims (9)

  1. 内燃機関又は燃焼装置の排気通路の上流側から、上流触媒部と下流触媒部をこの順に配設して成る排気ガス浄化システムであって、
    上流触媒部及び下流触媒部は、多孔質無機酸化物に担持されたナノサイズの貴金属粒子を備え、
    上流触媒部の貴金属粒子と下流触媒部の貴金属粒子の粒径比が2:1〜10:1であることを特徴とする排気ガス浄化システム。
  2. 上流触媒部の多孔質無機酸化物に、粒径が4〜20nmである貴金属粒子を担持させ、
    下流触媒部の多孔質無機酸化物に、粒径が2〜10nmである貴金属粒子を担持させたことを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
  3. 上流触媒部に流入する排気ガス温度T℃と、下流触媒部に流入する排気ガス温度T℃との差が50〜100℃であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
  4. 上流触媒部及び下流触媒部で用いる貴金属粒子において、次式(1)
    露出率(%)=0.895×(A×B×C×D)/(E×F)×100 …(1)
    (式中のAはCO吸着量[cc/g]、Bは担持貴金属断面積[nm]、Cは担持貴金属密度[g/cc]、DはTEM粒子半径[nm]、Eは化学量論比、Fは担持濃度[%/g]、を示す)
    で表される露出率が、50〜85%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
  5. 上流触媒部及び/又は下流触媒部において、貴金属粒子の担持量が、触媒部1L当たり0.72g以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
  6. 上流触媒部及び/又は下流触媒部において、貴金属粒子が、白金、パラジウム及びロジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
  7. 上流触媒部及び/又は下流触媒部において、多孔質無機酸化物及び/又は貴金属粒子が、セリア、アルミナ、ジルコニア、シリカ及びチタニアから成る群より選ばれた少なくとも1種の酸化物に包接されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
  8. 上流触媒部及び/又は下流触媒部において、多孔質無機酸化物及び/又は貴金属粒子が、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から成る群より選ばれた少なくとも1種の遷移金属と接触していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
  9. 上流触媒部及び/又は下流触媒部において、900℃の排気ガスに3時間接触させたときの、貴金属粒子の初期及び耐久後の粒径比が、3:10〜7:18であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化システム。
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