JP2006507513A - 改良型液晶ディスプレイ装置 - Google Patents

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ベンカット, ナガ ラジャ,
スバラオ, クリシュナ プラサド,
シバラマクリシュナ チャンドラセクハル,
チャンナバサベシュワール, ベーラッパ イェラマガッド,
ウマ, シッダーリンガヤ ヒレマス,
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Abstract

(a)一対の透明な基板が保持されて、この種の装置において一般的なギャップを有して対向しており、(b)各基板は、その表面の一方に、電極として機能する透明な導電性材料の塗膜を有し、(c)その結果としての基板上に高分子塗膜のさらなる層があり、(d)二周波アドレス可能ネマティック液晶が基板の被覆表面間のギャップに充填され、セルを形成し、(e)交差した一対の偏光子間にセルが組み込まれたものである液晶装置。上記装置は従来のTN液晶ディスプレイに対して以下の長所を有する:(i)より広く対称な視野角、(ii)より速い応答速度、(iii)高い多重化能力。

Description

本発明は改良型液晶ディスプレイ(LCD)装置に関する。より詳しくは、二周波アドレスラビングフリーねじれネマティック液晶ディスプレイ装置に関する。LCD産業はその製品が単純な時計の表示部からフラットパネルカラーTVスクリーンに至る数百億ドル産業である。現在、ネマティック液晶方式の装置(ねじれネマティック(TN)装置やその変形である超ねじれネマティック(STN)装置など)が世界のLCD市場において優位に立っている。本発明に記載の装置は従来のTN装置に対して幾つかの点で明らかな長所を有する。これらのうちで最も重要なものは、通常のTN装置よりも、(i)著しく速い応答速度(約一桁から二桁速い)、及び(ii)より広く且つより対称的な視野角、である。
市販のほぼ全てのLCDが棒状分子のネマティック液晶を使用している。(本発明は円盤状分子の液晶すなわちディスコティック液晶に関するものではない)TN装置は二枚の平行なガラス基板からなり、これらは互いにスペーサによって離間されている。ガラス基板の内側表面は、インジウムスズ酸化物などの透明な導電性材料からなる薄層で被覆され、さらにポリイミドの薄層が塗工されている。液晶ディレクタの巨視的配向(棒状分子の優先軸の配向)は綿布などを用いた前以ってのポリイミド一方向ラビング処理によって行われる。ラビング方向は二枚の基板で直交している。セルはその後、ネマティック液晶で満たされる。境界条件により、各ガラス基板上のラビング方向に沿ってディレクタは配向され、よってディレクタは一方の基板から他方に向かって継続的に90度のねじれを蒙る。ガラス基板の外側表面には偏光シートが取り付けられる。各偏光シートの振動軸(偏光軸)は、それが取り付けられた基板におけるディレクタ軸と平行である。非偏光は、セルの入口側に固定された偏光子によって直線偏光へと変えられ、偏光軸が90度回転して出口側に現れる。現れた光は第二の偏光子によって伝えられる。このような構成、いわゆる「ノーマリーホワイトモード」では、このようにオフの状態でディスプレイが明るくなる。ネマティック膜に対して垂直な電界を加えると、加えられた電界の方向にディレクタが沿うように液晶分子(正の誘電異方性、ε−ε=Δε>0)が配向される。このオンの状態では、入射光の偏光状態が液晶媒体によって回転せず、ディスプレイが暗くなる。ラビング方向に対して一方の偏光子を平行に保ち、もう一方の偏光子を直交するものとすると、オフの状態で暗くなり、オンの状態で明るくなる。これがいわゆる「ノーマリーブラックモード」である。
近年、ポリイミド塗膜を偏光紫外線に露光することによる非接触配向法が開発された。ラビング法に代えてこの光配向法を用いることも可能である。
上記TN装置の欠点は、斜めから見たときにオン・オフ状態間のコントラストに著しい低下が生じ、垂直方向高角度においてはコントラスト反転さえ生じることである。本明細書に添付の図面の図1は、従来のTN装置におけるコントラスト比の典型的な極座標線図を示すものである。ここでθ、φはそれぞれ、極角、方位角と呼ばれる。偏光子と分析器の軸は互いに直交する。コントラスト比は垂直軸において、かなり非対称なものである。
視野角を改善するためにこれまで多くの方法が提言されてきたものであり、例えば外部位相差フィルム[H.Mori、Jpn.J.Appl.Phys.、36、1068〜1072(1997年);H.Mori、Yoji Itoh、Yosuke Nishiura、Taku Nakamura、Yukio Shinaganea、Jpn.J.Appl.Phys.、36、143〜147(1997年);H.Ong、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、320、59〜67(1998年)]、補償LC層[E.Wiener−Avnear、「複屈折補償を伴うねじれネマティック液晶光弁(Twisted nematic liquid crystal light valve with birefringence compensation)」、米国特許4,408,839号(1983年10月11日);E.Wiener−Avnear及びJ.Grinberg、米国特許4,466,702号(1984年);I.Kobayashi、U.Mitsuhiro、U.Ishihara、S.Yokoyama、K.Adachi、K.Fujimoto、H.Taneka、Y.Miyatake及びS.Hotta、SID1989、Digest of Technical Papers、P−114(1989年)]、垂直配向を含むマルチドメイン手法などの新たな駆動手法[K.H.Yang、Jpn.J.Appl.Phys.、31、L1603〜1605(1992年);及びJ.Chen、P.J.Bos、D.R.Bryant、D.L.Johnson、S.H.Jamal、J.P.Kelly、SID95、Digest、865〜868(1995年)]、ベンド配向手法[P.J.Bos及びK.R.Kochler/Beran、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、113、329〜339(1984年)]、横型電界駆動手法[G.Baur、R.Kiefer、H.Klausmann及びF.Windseheid、Liquid Crystal Today、5、13〜14(1995年);M−Oh−e、M.Yoneya及びK.Kondo、J.Appl.Phys.、82、528〜535(1997年);S.H.Lu、H.Y.Kim、I.C.Park、B.G.Rho、J.S.Park、H.S.Park及びC.H.Lu、Appl.Phys.Lett.、71、2851〜2853(1997年)]、及びアモルファスTN−LCD手法[Y.Toko、T.Sugiyama、K.Katoh、Y.Iimura及びS.Kobayashi、SID 93 Digest、622〜625(1993年);J.Appl.Phys.、74、2071〜75(1993年);K.Katoh及びS.Kobayashi、Display Devices、26〜28(1993年)]などがある。
このうち、いわゆるアモルファスTN−LCDは、比較的簡単な制作工程しか必要とせずまた視野角が広く且つ対称であり、注目に値する。使用される液晶材料はカイラル(chiral)分子をドープしたネマティックであり、ドーパントの濃度を調整してセル内のディレクタに90度のねじれを与えたものである。高分子膜が透明導電性基板上に塗工されるが、ラビングは行われない。ラビング無しの高分子膜は光学的等方性を有する。このようにオフの状態では、ネマティックディレクタは各基板の表面と平行であるが、基板平面にランダムに配向されている。オンの状態では、ディレクタは基板に対して垂直となる。この装置では視野角特性が改善され、コントラスト反転が起きない。
さらに、従来のTN−LCDはLC分子を配向するのにポリイミド層を機械的にラビングして作成されてきたが、この技術が埃と帯電を生じることが指摘される。これはアクティブマトリクス駆動方式TN−LCD用の薄膜トランジスタ(TFT)を破壊することがあり、非常に深刻な欠点である。よって製品歩留りを向上しまた作成工程を単純且つコスト効率の良いものとするためには、ラビングフリー技術を採用することが不可欠である。
従来のTN装置のもう一つの主な欠点は、その電気光学反応がかなり遅いことである。一般にセルギャップが約8μmであると、スイッチオフ時間τOFF(すなわち、暗状態からスタートして透過率90%に達するまで要する時間)は約30msである。これは急速アドレスのマルチプレックスディスプレイに装置を使用しようとした場合特に著しく欠点となる。
さらに、今日のカラーTFT−LCDはTN方式で動作するものである。巨大なCRT市場に切り込んでいくためにTFT−LCDが持つべき特徴の一つが動画ビデオに適した応答時間の速さである。
したがって、応答時間が非常に速い新しい単純マトリックス型LCDの開発が必要である。
本発明の主な目的は、応答がずっと速く、同時に視野角が広く且つ対称なラビングフリー装置を提供することである。
本発明は、二周波アドレス可能アモルファスTN−LCDを記述するものである。従来の(単一周波数)TN−LCDよりも二周波アドレスTNディスプレイの応答時間の方がずっと速いことははっきりと確認されている[M.Schadt、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、89、77〜92(1982年);I.C.Koo及びS.T.Wu、シンガポール、ワールド・サイエンティフィック・パブリッシャー社刊「液晶の光学及び非線形光学(Optics and Nonlinear Optics of Liquid Crystals)」;W.Haase、ニューヨーク、チャップマン・アンド・ホール社刊「側鎖液晶高分子(Side chain liquid crystal polymers)」Ch.11、C.B.McArdle編;H.Kitzerow、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、321、457〜472(1998年)]。さらに二周波アドレスTN−LCDにおいては、従来のアドレッシングと比べ、30倍以上に多重化能力(multiplexibility)が増加することが分かっている。[M.Schadt、Mol.Cryst.Liq.Cryst.、89、77〜92(1982年)]。本発明では、二周波アドレス可能ネマティックLCがアモルファスTN−LCD構成に使用されている。そして非常に速い応答時間、並びに広い視野角を得られることが分かる。
本発明で用いられる二周波アドレス可能ネマティックLC材料は以下の特性を有する。ネマティック相では誘電異方性(Δε)の符号が周波数によって変化する。低周波の場合、Δεは正で、十分な強さの印加電界の方向と平行に分子が配向する。高周波の場合、Δεは負となり、分子は印加電界の方向と直行するように配向する。すなわち、Δεの符号が変わるクロスオーバ周波数(F)がある。よってそれぞれf<f、f>fのいずれであるかに応じて電界に平行又は直交するように分子を配向することが可能である。装置にはこうした特性を有する材料のどれでも使用可能であり、例えば同種列(homologous series)4−アルキルオキシベンゾイルオキシ(alkyloxybenzoyloxy)−4´−シアノアゾベンゼン(cyanoazobenzene)の4番目、6番目、8番目(n=4、6、8のnOBCAB)などの純粋化合物や市販の誘電スイッチ材料[ZLI−2461、M1混合物(Merck社)、RO−TN−2851(Roche社)、EK11650(イーストマン・コダック社)]である。
化合物6OBCABは冷却様態において以下の順で遷移する:等方性→275℃→ネマティック→127℃→スメクチックA90℃→結晶。クロスオーバ周波数Fは130℃で200kHzであり、この温度で装置のパフォーマンスを評価した。他の実施例として我々は、室温でネマティック相を示す市販の誘電スイッチ材料(2F−3333、Rolic社)を本実験において用い、装置の動作原理を明示した。この材料は多成分混合物であり、主成分として、4つのベンゼン環を有するエステル及びピリダジンを用いている。
Figure 2006507513
Figure 2006507513
この材料の仕様は以下に示す:
透明化温度(Clearing temperature):68℃
融解温度:<10℃
ε:9.4
誘電異方性、Δε(低周波):+4.1
Δε(高周波):−4.7
クロスオーバ周波数F:3.2kHz
通常の屈折率、n.:〜1.5
光学異方性、Δn:〜0.10
粘度(+22℃):71mP
本発明による液晶装置は、
(a)一対の透明な基板が保持されて、この種の装置において一般的なギャップを有しており、
(b)基板は、その表面の一方に、電極として機能する透明な導電性材料の塗膜を有し、
(c)その結果としての基板上に高分子塗膜のさらなる層があり、
(d)二周波アドレス可能ネマティック液晶が基板の被覆表面間のギャップに充填され、セルを形成し、
(e)交差した一対の偏光子間にセルが組み込まれたものである。
本発明の一つの実施の形態においては、ガラス、プラスチック、他の同様な材料といった透明な材料が基板として使用可能である。
本発明の別の実施の形態においては、前記結果としての基板がシリカによって被覆され、これをバリヤ層として用いることでガラスから液晶材料へのイオンの溶出を防止する。
本発明のさらに別の実施の形態においては、前記結果としての基板に、カラーマトリックスTNディスプレイの画素パターンに対応した一定パターンの赤、緑、青のカラーフィルタが組み込まれている。
本発明のさらに別の実施の形態においては、インジウムスズ酸化物、酸化スズから選択された導電性材料が使用される。
本発明のさらに別の実施の形態においては、前記結果としての基板が、配向層として使用されるポリイミド、ポリアミド、などから選択された高分子のさらなる層で被覆されている。
本発明のさらに別の実施の形態においては、ポリエチレンテレフタレート膜、ポリイミド膜、ガラス小球体、などのスペーサを使用することで、基板が離間されている。
本発明の一つの実施の形態においては、例えば同種列4−アルキルオキシベンゾイルオキシ−4´−シアノアゾベンゼンの4番目、6番目、8番目などの純粋化合物や市販の誘電スイッチ材料[ZLI−2461、M1混合物(Merck社)、RO−TN−2851(Roche社)、EK11650(イーストマン・コダック社)、混合物2F−3333(Rolic社)]などの二周波アドレス可能ネマティック材料が用いられている。
本発明のさらに別の実施の形態においては、反射型における使用を目的として、装置底部に光反射体を設けてもよい。
装置は以下に説明するようにして作成される。ガラス基板の表面は、インジウムスズ酸化物(ITO)などの透明な導電性材料によって被覆された。次にポリイミドのさらなる層をITO被覆基板上に塗工した。ラビングは行わなかった。二枚の基板の被覆表面は間に約8μmのギャップを有して対向するものとして保持され、このギャップは非導電性スペーサによって規定される。その後ギャップには市販の二周波混合物2F−3333又は純粋化合物6OBCABが充填される。いずれの場合も、誘電スイッチ材料はカイラル成分をドープしたものである。カイラル成分の濃度はd/p=1/4となるように調整されており、ここでd、pはセル厚み、カイラルピッチを表す。これがセル内でのディレクタの90度のねじれを生じる。作成後のセルは交差した偏光子間において位置決めされる。
以下の実施例において本発明を詳細に記述するが、これらはただ発明を例示するものであり、よって本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
実施例1
ガラス基板の表面を、透明な導電性材料であるインジウムスズ酸化物(ITO)で被覆した。次いでポリイミド(Liquicoat(R)PI ZLI−2650、メルク社)のさらなる層がITO被覆基板上に塗工される。ラビングは行わなかった。二枚の基板の被覆表面は間に8μmのギャップを有して対向するものとして保持され、このギャップは非導電性スペーサによって規定される。その後ギャップには、カイラル成分(CM−9209F、Rolic社)をドープした市販の二周波ネマティック混合物(2F−3333、Rolic社)が充填される。カイラル成分の濃度を調整して0.2重量%とし、セル内でディレクタに90度のねじれを生じさせる。混合物は等方相でセル内へと充填される。この作成後のセルは交差した偏光子間において位置決めされる。
実施例2
ガラス基板の表面を、透明な導電性材料であるインジウムスズ酸化物(ITO)で被覆した。次いでポリイミド(Liquicoat(R)PI ZLI−2650、メルク社)のさらなる層がITO被覆基板上に塗工される。ラビングは行わなかった。二枚の基板の被覆表面は間に8μmのギャップを有して対向するものとして保持され、このギャップは非導電性スペーサによって規定される。その後ギャップには、カイラル成分4−[4−(S−メチルヘプチルオキシ(S-Methylheptyloxy))ベンゾイルオキシ]−4−シアノアゾベンゼンをドープした二周波アドレス可能化合物6OBCABが充填され、これは以下の順で遷移する:等方性→183℃→コレステリック→178℃→スメクチックA→77℃→結晶。カイラル成分の濃度を調整して1重量%とし、セル内でディレクタに90度のねじれを生じさせる。混合物はネマティック相でセル内へと充填される。この作成後のセルは交差した偏光子間において位置決めされる。
実施例1、2に記述した2つの装置をテスト装置として用いる。装置1と呼ばれる実施例1で作成の第1の装置及び装置2と呼ばれる実施例2で作成の第2の装置を用いて行った調査の結果を以下に示す。
装置1
電気光学応答時間を調査するため、正弦形状又は四角形状の一定振幅の交流電圧をサンプルに加え、周波数はflow=1kHz(Δε>0)とfhigh=20kHz(Δε<0)の間で切り替わった。装置から得られた通常の電気光学応答曲線を図2に示す。「flow」、「fhigh」の記された領域は、印加電圧(60Vrms)の周波数がそれぞれ1kHz(flow)、20kHz(fhigh)であった時間分を表す。動作周波数をfhighからflowへと変えると、装置は明状態から暗状態へと切り替わる。このスイッチング中の電気光学応答の拡大図を図3に示す。このスイッチングに要する時間τon(すなわち、明状態からスタートして透過率10%に達するまで要する時間)は1.2msである。周波数をflowからfhighへと切り替えることは暗状態から明状態への切り替えにつながるものであり、これに対応する電気光学応答曲線を図4に示す。このスイッチングに要する時間τoffは550μsである。図5に示すように、電圧が大きくなるにつれ、τonとτoffは共に短くなる。
従来の単一周波数方式に対するこの二周波駆動方式の改良点を評価するため、単一周波数駆動のTN−LCD装置の性能を調べた。電圧60Vrms、繰返し率2Hzで持続時間0.5秒の1kHz正弦波パルスを用いて装置を駆動することによりオン・オフ状態で得られた電気光学応答をそれぞれ図6、7に示す。これらの図から抽出されるτon、τoffの値はそれぞれ1.2ms、110msである。このように二周波アドレッシングは、従来の単一周波数アドレッシング方式と比べると200倍速いスイッチオフ時間をもたらす。
本発明の装置におけるオン状態の輝度とオフ状態の輝度のコントラスト比の極座標線図を図8に示す。コントラスト比を示す曲線が固定値θにおいて垂直及び水平方向で対称であることから、装置の利点は明らかである。偏光子の軸間中途における斜めの視野角でのコントラスト比の減少はLC材料の光学系が原因ではない。これは交差した偏光子の斜角における不完全な遮光特性によるものである(例えば、M.Oh−E、M.Yoneya、M.Ohta及びK.Kondo、Liquid Crystals、22、391〜400(1997年);H.Bock、Appl.Phys.Lett.、73、2905〜2907(1998年)を参照のこと)。
装置2
電気光学応答時間を調査するため、正弦形状又は四角形状の一定振幅の交流電圧をサンプルに加え、周波数はflow=10kHz(Δε>0)とfhigh=600kHz(Δε<0)の間で切り替わった。装置から得られた通常の電気光学応答曲線を図9に示す。「flow」、「fhigh」の記された領域は、印加電圧(30Vrms)の周波数がそれぞれ10kHz(flow)、600kHz(fhigh)であった時間分を表す。動作周波数をfhighからflowへと変えると、装置は明状態から暗状態へと切り替わる。このスイッチング中の電気光学応答の拡大図を図10に示す。このスイッチングに要する時間τon(すなわち、明状態からスタートして透過率10%に達するまで要する時間)は50μsである。周波数をflowからfhighへと切り替えることは暗状態から明状態への切り替えにつながるものであり、これに対応する電気光学応答曲線を図11に示す。このスイッチングに要する時間τoffは300μsである。図12に示すように、電圧が大きくなるにつれ、τonとτoffは共に短くなる。
従来の単一周波数方式に対するこの二周波駆動方式の改良点を評価するため、単一周波数駆動のTN−LCD装置の性能を調べた。振幅30Vrms、繰返し率0.5s−1でパルス持続時間0.5秒である周波数10kHzの電圧を用いて装置を駆動することにより同一温度(130℃)のオン・オフ状態で得られた電気光学応答をそれぞれ図13、14に示す。これらの図から抽出されるτon、τoffの値はそれぞれ50μs、60msである。このように二周波アドレッシングは、従来の単一周波数アドレッシング方式と比べると200倍速いスイッチオフ時間をもたらす。
本発明の装置におけるオン状態の輝度とオフ状態の輝度のコントラスト比の極座標線図を図15に示す。コントラスト比を示す曲線が固定値θにおいて垂直及び水平方向で対称であることから、装置の利点は明らかである。偏光子の軸間中途における斜めの視野角でのコントラスト比の減少はLC材料の光学系が原因ではなく、上記したように、これは交差した偏光子の斜角における不完全な遮光特性によるものである。
結果の比較及び推論
2つのテスト装置での調査から、単一周波数アドレッシング方式と比べて二周波アドレッシングが200倍速いスイッチオフ時間をもたらすことがわかる。ただし装置のセルに使用された二種類のネマティックLC混合物の物性が異なるため、動作周波数及び電圧に違いが生じている。また、装置2は非常な高温(すなわち、130℃)で動作するため、応答時間は室温で動作する装置1と比べて速いものである。
図8、15を図1と比較すると、本発明で採用した技術によって視野角錐が広がり、より対称に見えることは明らかである。ただし装置2のコントラスト比は装置1のものと比べるとずっと小さく、一方で装置1のコントラスト比は従来のTN−LCDのものとほぼ同じである。この理由は、透明化温度が非常に高いもの(275℃)であるため装置2にはネマティックLC混合物が等方相で充填されていないのに対して、透明化温度がかなり低いもの(68℃)であるため装置セル1には等方相のネマティックLC混合物が充填されているためである。ネマティック相のLCをラビング処理無しのポリイミド膜のセルに充填すると、主に流れ配向(flow alignment)によりLC分子が不均一な配向となることは公知である[Y.Toko、T.Sugiyama、K.Katoh、Y.Iimura及びS.Kobayashi、J.Appl.Phys.、74、2071〜75(1993年)]。
発明の効果
・本装置は従来のTN−LCD装置よりも応答時間がずっと速い(約200倍速い)ものであり、したがって、応答時間の速い単純マトリックス型TN−LCDの制作に利用可能である。
・本装置は従来のTN−LCDよりもさらに広く且つさらに均一な視野角を有する。したがって、従来のTN−LCDの視野角を拡大するための位相差板、補償板、又は複雑な電極パターンの付加が必要なく、本装置は経済的である。
・本装置は制作が容易であるのみならず、高分子の機械的ラビング処理を避けることで歩留りも向上する。
・本装置は二周波アドレッシング技術によって高い多重化能力(multiplexing capabilities)を有する。

Claims (16)

  1. 視野角が広い二周波二振幅アドレスねじれネマティック液晶装置であって、
    (a)スペーサを介して対向状態に保持された一対の透明な基板と、
    (b)前記基板の表面を被覆するシリカの絶縁層と、
    (c)各基板の一方の表面上にあって電極として機能する導電性透明材料の塗膜と、
    (d)その結果としての基板上のラビング処理無しの高分子塗膜のさらなる層を、カイラル化合物をドープしたネマティック相の二周波アドレス可能ネマティック液晶を基板の被覆表面間のギャップに充填することで得られるセルと共同して使用し、
    (e)間にセルを有する一対の偏光子からなる装置。
  2. 透明基板が、ガラス板、プラスチック材料から選択される請求項1記載の装置。
  3. 導電性透明材料が、インジウムスズ酸化物、酸化スズ、それ以外の導電性高分子から選択される請求項1記載の装置。
  4. 基板から液晶へのイオンの溶出を防止するために、各基板が、その表面の一方に、バリヤ層として機能するシリカから選択された材料からなる途膜を有する請求項1記載の装置。
  5. 得られた基板の表面が、ポリイミド、ポリアミドから選択された高分子で被覆され、配向層を形成している請求項1記載の装置。
  6. 基板の被覆表面が、約2〜10μm、好ましくは8μmのギャップを有して対向するものとして保持されている請求項1記載の装置。
  7. ポリエチレンテレフタレート膜、ポリイミド膜、ガラス小球体、棒状体から選択されたスペーサを使用することで、基板が離間されている請求項1記載の装置。
  8. ネマティック相の二周波アドレス可能液晶材料は、低周波の場合、誘電異方性(Δε)の符号が正となり、十分な強さの印加電界の方向と平行に分子が配向するものであり、高周波の場合、Δεは負となり、分子は印加電界の方向と直行するように配向するものである請求項1記載の装置。
  9. 二周波アドレス可能ネマティック材料が、同種列4−アルコキシベンゾイルオキシ(alkoxybenzoyloxy)−4´−シアノアゾベンゼン(cyanoazobenzene)の純粋な4番目、6番目、8番目、市販のZLI2461、M1混合物(Merck社)、RO−TN2851(Roche社)、EK11650(イーストマン・コダック社)、混合物2F−3333(Rolic社)から選択される請求項1記載の装置。
  10. 二周波アドレス可能ネマティック材料は、CM−9209F(Rolic社)、CB−15(Merck社)及びコレステロールエステルから選択されるカイラル成分をドープしたものである請求項1記載の装置。
  11. ドーパントの濃度を調整してセル内のディレクタに90度のねじれを与えたものである請求項1記載の装置。
  12. 反射型における使用を目的として、装置底部に光反射体が随意設けられている請求項1記載の装置。
  13. 二振幅方式では低周波及び高周波の間の印加電圧の大きさが可変である請求項1記載の装置。
  14. 高周波はパルス方式で、1〜10msの範囲の短い持続時間で印加される請求項1記載の装置。
  15. 前記装置は極角±40°以上の広く且つ対称な視野角を有するものである請求項1記載の装置。
  16. 装置の電気光学応答時間τoffが10μs〜20msの範囲である請求項1記載の装置。
JP2003553327A 2001-12-14 2001-12-14 改良型液晶ディスプレイ装置 Pending JP2006507513A (ja)

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