JP2006507180A - 広帯域照明装置 - Google Patents

Abstract

本発明は、いろいろな動作条件において、車両のヘッドライトとしての特定の光の分散を得るために、光源としての場所に配置された、複数の半導体光源を具備する広帯域照明装置に関する。半導体光源の一部は、可視波長領域内の光を放出し、他の部分は、非可視波長領域内の光を放出する。特に好ましい方法により、個々の光学成分が、目標となる、いろいろな放射特性を得るために、個々に又は群毎に半導体光源に関連付けられる。このような１つの広帯域照明装置を使用して、コンパクトな個々のヘッドライトを作り出すことができ、この手段により、自動車の前の直近及び主要ビーム領域の両方が、可視光によって照らされ得る。同じヘッドライトを使用して、夜間視界を向上するためのシステムと共に使用するために、非可視領域内の光を提供することもできる。

Description

本発明は、請求項１及び１４の前段による、特に自動車で使用するための、広帯域照明装置、及びこのような装置を操作するのに適した方法に関する。

夜間の悪い視界は、多くの運転者が恐れる、面倒かつ危険な状況である。視界が悪いことにより、夜間の事故率は、昼間及び視界が良い場合の走行時と比べて極めて高い。特に、夜間においては、以下のような困難が発生する。即ち、
− 対向交通に対するロービームライトの視界範囲が狭く、多くの運転者が、不適切な判断をする。このことにより、照らされていない障害物、歩行者、明かりをつけずに自転車に乗っているヒト、及び動物、したがって事故を認識するのが遅くなる。
− 対向車両のヘッドライト及びその反射により、特に車道が濡れている場合、運転者の目がくらみ、運転者は、瞬間的にブラックホールに入り込む。夜盲症及び年配の運転者は、視力がより低いので、特に危険である。
− 雨、霧、及び吹雪の場合には、視界条件が、さらに一層悪くなることがある。

夜間の交通場面をできる限り照らすことができるようにするために、車両のヘッドライトがあるが、この発光特性は、経路に適応され得る。これらのヘッドライトを、異なる積載状態を補償するために又は車両前部の凸部又は凹部を照らすために、モータにより垂直に傾けるか、又は湾曲部を照らすために、水平に回動させることができる。このことに必要なメカニズムは、非常に複雑であり、また故障しやすいので、代替形態として、異なる種類のヘッドライトを設けて、この間で切り換えることができる。例えば、霧又は雪が降っている場合に、これに対応する特別なヘッドライトを、より広くかつより低い照明を生成するために使用することもできる。過度に多くのヘッドライトを車両にしばしば装備することがあるが、これは、設計及びコスト上の理由により、望ましくない。

夜間の視界のさらなる改良形態が、特許文献１に記載されている光電子システムによって達成される。このシステムは、交通場面のビデオ画像を記録し、これを好適な方法で運転者に提示するものである。提示された画像は、特に暗い場合、悪天候の場合、及び霧の場合に、運転者が自分の眼では検出することができない又はかろうじて検出することのできる追加情報を含む。

このシステムは、通常のヘッドライトに加えて、近赤外線内で放出するレーザダイオードを光源として利用する、２つの赤外線ヘッドライトを含む。レーザダイオードは、パルスの形態で操作される。ビデオ画像を記録するためのＣＣＤカメラが、車両のルーフ領域に収容される。ＣＣＤカメラは、レーザダイオードと同期する電子シャッタを備える。光学帯域フィルタが、カメラの対物レンズの前部に装着される。ビデオ画像は、液晶表示装置上で運転者に示される。レーザ光を使用することは、一連の利点を有する。即ち、

レーザは、近赤外線の８１０ｎｍの波長で放出する。赤外線は、実際には人間の眼には見えないので、持続的なハイビーム照明を提供することができる。

半導体光源を用いて、対向車両の可視ヘッドライトによるカメラの眩惑を、かなり減少させることができる。まず、ハロゲンランプなどの可視光源は、数百ｎｍの範囲を有するのに対して、半導体光源からの光のみが、数ｎｍのスペクトル範囲を有する。狭い通過帯域を有する光学フィルタを、カメラの対物レンズの前部に挿入した場合には、レーザ光の殆ど全部が透過されるが、対向車両の光は、５０から１００倍減衰される。第二に、レーザダイオードは駆動電流の直後に出るので、簡単に素早くパルス化し得る。レーザと同期している速い電子シャッタを備えたビデオカメラを使用した場合には、対向車両の光をさらに減少することができる。

優先日後に公開された、独国特許出願１０１２９７４３号明細書（車両のヘッドライト）には、二次元アレイが示されており、これは、複数の光ビームを放出するために互いに平行に組み立てられた複数の電子光源と、アレイからの光を受信するために、基本的にアレイの区域と平行に、その焦点距離から距離をおいて配置された収束レンズと、光源が個々に又はまとめて選択的に光を放出できるようにするために組み立てられた光源用駆動電子機器とを具備する。この特許文献においては、さらに、可視波長領域内の光を放出する光源と、非可視波長領域内の光を放出する光源とを組み合わせることができる。例示されている機器により、駆動電子機器を利用するだけで、ヘッドライトの発光特性をいろいろな運転又は周囲条件に適応させることができる。したがって、機械可動部品も全く不要となり、すべての光源が、ヘッドライトの放出特性を決める、共通の光学装置に割り当てられる。

独国特許出願公開第４００７６４６Ａ１号明細書

本発明の目的は、個々の放出特性を個々の光源に割り当てることができる、照明装置、及びこのような照明装置を操作するのに適した方法を見出すことである。

本発明は、請求項１及び１４の特徴を有する、広帯域照明装置及びこのような照明装置を操作するのに適した方法によって達成される。

本発明は、複数の半導体光源によって形成された、特に自動車で使用するための、広帯域照明装置に関する。この場合、半導体光源の一部分は、可視波長領域内の光を放出し、半導体光源の別の部分は、非可視波長領域内の光を放出する。特に本発明による方法においては、半導体光源の少なくともいくつかに、個々の放出特性を生成するための光学装置が、個々に又は群毎に設けられる。このことにより、１つの照明装置内で、好ましくは発光ダイオード又は半導体レーザである異なる光源により、異なる放出特性を有する光を、好ましい方法で放出することができる。

したがって、例えば、本発明による照明装置により、可視光を放出する個々の光源に異なる光学装置を個々に設け、個々に又は群毎に光源を作動させて様々に自動車の前部領域を照らすことによる、近距離ビームとハイビームとを組み合わせたヘッドライトを作ることが考えられる。したがって、ロービーム及びハイビームの範囲のために、別個のヘッドライト、或いは２つの又は２連の白熱バルブ（いろいろに配置された白熱フィラメントを備えた）をヘッドライト内で使用する必要がなくなる。したがって、光学装置が設けられた半導体光源が適用された、１つの照明モジュールで、異なる照明特性が得られる。このため、個々の半導体光源を個々に又は群毎に個々に駆動することができる電子制御ユニットを備えた照明装置を設けるだけで良い。特に好ましい方法においては、このような駆動方法により、さらに、個々の半導体光源の放射強度に影響を及ぼすことができるので、本発明による照明装置の放射特性全体を、特に照明範囲及び照明強度に関する、いろいろな照明要件に適応させることができる。

可視光を放出する半導体光源と非可視光を放出する半導体光源とを組み合わせることにより、振動に対して強い、コンパクトな広帯域照明器を設けることができる。車両の前の近距離及び遠範囲の両方を、１つのヘッドライトによる可視光で照らすことができるので、このような広帯域照明装置は、自動車で使用するのに極めて適しているが、これはまた、夜間視界を向上するためのシステムの光源としても使用できるものである。この場合、主として、赤外線又は紫外線の波長領域内の光を放出する半導体光源が、好適である。広帯域照明装置の形態の有益な方法により、非可視光を放出する半導体光源に対する可視光を放出する半導体光源の比率を、使用する区域によっていろいろに選択することができる。例えば、赤外線の半導体レーザは人間の眼には見えないので、特にパルスの動作で、極めて高い放射密度で動作することができる。したがって、本発明による照明装置において必要とされる赤外線光源の数を、可視光を放出する光源の数より極めて低い数に選択することができ、これにより、例えば、ハイビームの範囲が十分に照らされると考えられる。

他方、本発明による照明装置を、特別な赤外線ヘッドライトとして、特に夜間視界を向上するための自動車システムで、使用することも考えられる。しかし、自動車の前面に赤外線ヘッドライトを用いる場合には、車両の前部を明るくするために、赤い可視光を放出する光源を使用してはならないことを明記した交通関連法的条項を考慮することが必要である。ヘッドライトが近赤外線領域内の光を放出すると、ヒトによっては、これを赤くゆらめく弱い光だと知覚する危険性がある。したがって、これを回避するために、好ましい方法により、本発明による照明装置の、より少ない数の半導体光源が、赤くゆらめく光を覆うのに役立つ、特に白い、可視光を放出するようにすることができる。眼の安全については、所定数の半導体光源が、人間である観測者が、比較的長い時間、ヘッドライトを直接見ないような強度を有する可視光を放出することも好ましいであろう。

広帯域照明装置の場合には、可視及非可視波長領域の両方において、十分な強度及び放射密度を有する光を放出することができるようにするために、細長く、基本的に矩形の、光進入開口部を有する、平らな光学装置が、特に好ましい方法により好適となる。このような平らな光学装置は、多数の個々の光学装置がある場合においても、特に比較的小さい構造空間しか必要とせず、これにより、光源の最適な区域密度が可能となる。二次元平面への投影が円筒形の二次元のデカルトの楕円に対応する中央領域を、光進入区域に垂直に有する光学装置が、特に好適である。前記中央領域は、放物面反射装置と組み合わせることが特に好ましい。このように構成された光学装置が、例えば、優先日後に公開された、独国特許出願ＤＥ１０２４９８１９号明細書（非対称ヘッドライト）に記載されている。

半導体光源が横に並んで配列された場合にできる構造空間は、複数の半導体光源を個々の光学装置の少なくともいくつかに割り当てると、さらに最適化できる。このようにして共通の光学装置に割り当てられた個々の半導体光源によって放出された光は、個々の異なる放射特性を有するが、それぞれの光源が、光学装置の焦点に対して異なる位置に配置されるので、このように生成された異なる放射特性が、本発明による照明装置の考えられる多くの適用形態にとって好ましいものとなる。したがって、一般に、可視光で動作する近距離ヘッドライトは、眩しさを防止するために、主に車両前方の車道の領域内で光を放出し、同時に、夜間視界を向上するのに役立つ、ヘッドライトの光の非可視光成分は、対向車線又は沿道の領域も照らすことが望ましい。

個々の半導体光源が、個々に又は群毎に光源を操作でき、かつまた、特に光源の発光強度に影響を及ぼす電子機器によって駆動される場合、本発明による照明装置を、好ましい方法により、その透過装置の一部として通信システム又は距離測定用システムに接続することも考えられる。通信システムとの相互作用において、半導体光源の一部分、特に非可視波長領域内の光を放出する部分のビーム強度が、通信信号に基づいて変調され得る。広帯域照明装置のこのような有益な改良形態により、車両照明を利用して、車両間通信を確立することができる。

同様に、距離測定用システムとの相互作用において、本発明による照明装置により、半導体光源の少なくとも一部分のパルス作動を通して、測定パルスを放出することも考えられ、この測定パルスは、物体に反射した後、距離測定システムの受信装置によって受信され、前記受信装置は、前記測定パルスと同期する。このようにして、前方車両からの距離を判断するだけでなく、例えば、厚い霧又は雨の場合にも現在の視界を評価することもできる。この場合、自動車の前部ヘッドライトとして使用する場合に、本発明による照明装置は、例えば、前方車両からの距離を調節する場合にも利用できる。さらに、車両の背面の照明器具として照明装置を使用すること、さらに、例えば後続車両との距離を測定するために、調節される後部フォグランプと合わせて、照明装置を利用することも考えられる。

Claims (19)

1. 複数の半導体光源によって形成された、自動車で使用するための、広帯域照明装置であって、
   前記半導体光源の一部分が、可視波長領域内の光を放出し、
   前記半導体光源の他の部分が、非可視波長領域内の光を放出する広帯域照明装置であって、
   前記半導体光源の少なくともいくつかが、個々の放出特性を生成するために、個々に又は群毎に光学装置に割り当てられることを特徴とする広帯域照明装置。
2. 前記半導体光源の少なくとも一部分が、発光ダイオード又は半導体レーザであることを特徴とする請求項１に記載の広帯域照明装置。
3. 非可視波長領域内の光を放出する前記半導体光源が、赤外線又は紫外線の波長領域内の光を放出することを特徴とする請求項１あるいは２に記載の広帯域照明装置。
4. 前記複数の半導体光源が、可視波長領域内の光を放出することを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載の広帯域照明装置。
5. 前記複数の半導体光源が、非可視波長領域内の光を放出することを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載の広帯域照明装置。
6. 前記光学装置の光進入開口部が、細長く、基本的に矩形であることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項に記載の広帯域照明装置。
7. 前記光学装置が、二次元平面への投影が円筒形の二次元のデカルトの楕円に対応する中央領域を、前記光進入区域に垂直に有し、
   前記中央領域が、放物面反射装置と組み合わせられることを特徴とする請求項６に記載の広帯域照明装置。
8. 前記半導体光源に割り当てられた前記光学装置の少なくとも一部が、異なる放出特性を有することを特徴とする請求項１〜７のいずれか一項に記載の広帯域照明装置。
9. 複数の半導体光源が、個々の光学装置に割り当てられることを特徴とする請求項１〜８のいずれか一項に記載の広帯域照明装置。
10. 可視光用の前記照明装置の放出挙動が、非可視光用の前記照明装置の放出挙動とは異なることを特徴とする請求項８あるいは９に記載の広帯域照明装置。
11. 前記半導体光源を個々に、又は群毎に個々に駆動するための手段が設けられることを特徴とする請求項１〜１０のいずれか一項に記載の広帯域照明装置。
12. 前記半導体光源を個々に、又は群毎に、異なる強度で駆動するための手段が設けられることを特徴とする請求項１１に記載の広帯域照明装置。
13. 前記照明装置が、通信システム及び／又は距離測定用システムに接続されることを特徴とする請求項１１あるいは１２に記載の広帯域照明装置。
14. それぞれ、少なくとも１つの半導体光源、特に発光ダイオードが割り当てられた個々の光学装置からなるアレイによって形成された、広帯域照明装置を操作する方法であって、
    可視波長領域内の光が、前記半導体光源の一部分によって放出され、
    非可視波長領域内の光が、前記半導体光源の他の部分によって放出される広帯域照明装置を操作する方法であって、
    前記半導体光源が、個々に又は群毎に個々に駆動され得ることを特徴とする広帯域照明装置を操作する方法。
15. 前記半導体光源が、個々に又は群毎に、異なる強度で駆動され得ることを特徴とする請求項１４に記載の広帯域照明装置を操作する方法。
16. 非可視波長領域内の光を放出する前記半導体光源の、光の放射が、通信信号によってパルス化又は変調され得ることを特徴とする請求項１４あるいは１５に記載の広帯域照明装置を操作する方法。
17. 距離測定及び／又は視界範囲を判断するために、請求項１〜１６のいずれか一項に記載の広帯域照明装置を使用する方法。
18. アクティブな赤外線又は紫外線の周囲照明に基づいて動作する、夜間視界を向上するためのシステムにおける請求項１〜１７のいずれか一項に記載の広帯域照明装置の使用。
19. 自動車の車両間通信システムとしての、請求項１〜１８のいずれか一項に記載の広帯域照明装置の使用。