JP2006506988A - 染色体5q35に位置したヒトII型糖尿病遺伝子−SLIT−3 - Google Patents
染色体5q35に位置したヒトII型糖尿病遺伝子−SLIT−3 Download PDFInfo
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Abstract
II型糖尿病と染色体5q35上の遺伝子座との関連性が開示される。詳細には、この遺伝子座内の遺伝子SLIT-3は、II型糖尿病に関する罹患性遺伝子であることが連鎖解析により示される。薬物送達を標的化する経路およびII型糖尿病を有するヒトまたはII型糖尿病を発症する危険性があるヒト、特に肥っていないヒトの同定におけるII診断適用が開示される。
Description
関連出願
本出願は2002年11月1日に出願された米国仮特許出願第60/423,541号の利益を主張する。前記出願の全教示は参照により本明細書に援用される。
本出願は2002年11月1日に出願された米国仮特許出願第60/423,541号の利益を主張する。前記出願の全教示は参照により本明細書に援用される。
背景技術
炭水化物利用が低下し、脂質およびタンパク質利用が亢進した代謝病である真性糖尿病は、インスリンの絶対的または相対的欠乏によって引き起こされる。より重篤な場合では、糖尿病は慢性血糖症、糖尿、水および電解質の喪失、ケトアシドーシスおよび昏睡によって特徴付けられる。長期合併症は、神経障害、網膜障害、腎臓障害、大血管および小血管の全身性変性変化、および感染に対する増大した罹患性の発現を含む。糖尿病の最も通常の形態は、II型、標的組織における損なわれたインスリン分泌およびインスリン抵抗性による高血糖症によって特徴付けられるインスリン非依存性糖尿病である。遺伝的および環境的双方の因子が該疾患に寄与する。例えば、肥満は該病気の発症において主要な役割を演じる。II型糖尿病は、しばしば、真性糖尿病の緩徐な発症の軽度の形態である。
炭水化物利用が低下し、脂質およびタンパク質利用が亢進した代謝病である真性糖尿病は、インスリンの絶対的または相対的欠乏によって引き起こされる。より重篤な場合では、糖尿病は慢性血糖症、糖尿、水および電解質の喪失、ケトアシドーシスおよび昏睡によって特徴付けられる。長期合併症は、神経障害、網膜障害、腎臓障害、大血管および小血管の全身性変性変化、および感染に対する増大した罹患性の発現を含む。糖尿病の最も通常の形態は、II型、標的組織における損なわれたインスリン分泌およびインスリン抵抗性による高血糖症によって特徴付けられるインスリン非依存性糖尿病である。遺伝的および環境的双方の因子が該疾患に寄与する。例えば、肥満は該病気の発症において主要な役割を演じる。II型糖尿病は、しばしば、真性糖尿病の緩徐な発症の軽度の形態である。
II型糖尿病の健康の関連は非常に大きい。1995年、世界中で糖尿病に罹った成人は1億3500万人であった。3億人に近い人が2025年には糖尿病になるであろうと見積もられる(King H.ら,Diabetes Care, 21(9):1414-1431(1998))。アイスランドにおける成人の集団におけるII型糖尿病の有病率は2.5%であり(Vilbergsson, S.ら,Diabet.Med., 14(6):491-498(1997))、これは該病気を有する34歳を超えるほぼ5,000の人を含む。
発明の概要
本明細書中に記載するごとく、染色体5q35上の遺伝子座は、II型糖尿病において主な役割を演じることが示されている。II型糖尿病遺伝子座という遺伝子座は、SLIT-3をコードする核酸を含む。
本明細書中に記載するごとく、染色体5q35上の遺伝子座は、II型糖尿病において主な役割を演じることが示されている。II型糖尿病遺伝子座という遺伝子座は、SLIT-3をコードする核酸を含む。
本発明は、II型糖尿病−関連遺伝子座内に位置する遺伝子、特に、SLIT-3遺伝子を含む核酸、およびこれらの核酸によってコードされるアミノ酸に関する。本発明は、さらに、II型糖尿病を有する者、およびII型糖尿病を発症する危険性がある者を同定するにおける、薬物送達および診断用の経路標的化に関する。また、特に、非−肥満である者において、II型糖尿病を持つ、あるいはII型糖尿病を発症する危険性がある個体を同定するのに用いることができるハプロタイプおよびSNPを記載する。その結果、存在する病気の兆候、例えば、食事の変化、運動および/または投薬前にこれらの個体に対して介在を処方することができる。II型糖尿病遺伝子座における遺伝子の同定は、改良された診断剤および治療剤に導くことができる病気プロセスの良好な理解を導くことができる。
本発明は、SLIT-3核酸における多型を検出することを含み、ここで、核酸における多型の存在がII型糖尿病に対する罹患性を示す、個体においてII型糖尿病に対する罹患性を診断する方法に関する。本発明は、加えて、SLIT-3核酸における多型を検出することを含み、ここで、核酸における多型の存在がII型糖尿病を示す、個体においてII型糖尿病を診断する方法に関する。1つの態様において、SLIT-3核酸における多型の存在を検出することによってII型糖尿病またはII型糖尿病に対する罹患性を診断するにおいて、SLIT-3核酸における多型の存在は、例えば、図11に示された多型の1以上の存在によって示すことができる。
他の態様において、本発明は、対照試料におけるSLIT-3核酸によってコードされたポリペプチドの発現または組成と比較して、試験試料におけるSLIT-3核酸によってコードされたポリペプチドの発現または組成の変化を検出することを含み、ここで、試験試料におけるポリペプチドの発現または組成の変化の存在はII型糖尿病に対する罹患性を示す、個体におけるII糖尿病に対する罹患性を診断する方法に関する。本発明は、加えて、対照試料におけるSLIT-3核酸によってコードされたポリペプチドの発現または組成と比較して、試験試料におけるSLIT-3核酸によってコードされるポリペプチドの発現または組成の変化を検出することを含み、ここで、試験試料におけるポリペプチドの発現または組成の変化の存在はII型糖尿病を示す、個体においてII型糖尿病を診断する方法に関する。
また、本発明は、SLIT-3核酸を含む単離された核酸分子であって、ここで、該SLIT-3核酸は、図10に示された核酸配列の群、および図10に示された核酸配列の群の相補体から選択される1以上のヌクレオチド配列を含む該単離された核酸分子に関する。ある態様においては、ヌクレオチド配列は図11に示されたもののような1以上の多型を含む。別の態様において、本発明は、図10に示された核酸配列の群および図10に示された核酸配列の群の相補体から選択されるヌクレオチド配列に対して高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする単離された核酸分子に関する。ある態様においては、ヌクレオチド配列は図11に示されたもののような1以上の多型を含む。
また、試料を第二の核酸分子と接触させることを含み、ここで、該第二の核酸分子は図10に示された核酸配列の群および図10に示された核酸配列の相補体から選択される核酸配列を含み、ここで、該核酸配列は高ストリンジェンシー条件下で第一の核酸にハイブリダイズする、試料において第一の核酸分子の存在につきアッセイする方法が、本発明によって企図される。ある態様においては、第二の核酸分子は、図11に示されたもののような1以上の多型を含む。
また、本発明は、調節配列に作動可能に連結された本発明の単離された核酸分子(例えば、図10に示された配列、または図10に示された配列の相補体)を含むベクター、ならびに該ベクターを含む組換え宿主細胞に関する。また、本発明は、核酸分子の発現に適した条件下で組換え宿主細胞を培養することを含む、多型を有する単離された核酸分子によってコードされるポリペプチドの生産方法を提供する。
また、試料を、コードされるポリペプチドに特異的に結合する抗体と接触させることを含む、試料中の本発明の単離された核酸分子によってコードされるポリペプチドの存在につきアッセイする方法が本発明によって企図される。
本発明は、さらに、レポーター遺伝子に作動可能に連結したSLIT-3遺伝子のプロモーター領域を含む核酸を含有する溶液を、試験すべき薬剤と接触させ;該薬剤の存在下でレポーター遺伝子の発現のレベルを評価し;次いで、該薬剤の存在下でのレポーター遺伝子の発現のレベルを、該薬剤の非存在下でのレポーター遺伝子の発現のレベルを比較することを含み;ここで、もし該薬剤の存在下におけるレポーター遺伝子の発現のレベルが、該薬剤の非存在下における発現のレベルから、統計学的に有意な量だけ異なるならば、該薬剤はSLIT-3遺伝子または核酸の発現を改変する、SLIT-3核酸の発現を改変する薬剤を同定する方法に関する。また、本方法によって同定される薬剤も企図される。
本発明は、加えて、本発明の核酸またはその誘導体または断片を含有する溶液を、試験すべき薬剤と接触させ;該薬剤の存在下における核酸、誘導体または断片の発現を、該薬剤の非存在下における核酸、誘導体または断片の発現と比較することを含み;ここで、もし該薬剤の存在下における核酸、誘導体または断片の発現が、該薬剤の非存在下における発現とは、統計学的に有意な量だけ異なるならば、該薬剤はSLIT-3核酸の発現を改変する薬剤である、SLIT-3核酸の発現を改変する薬剤を同定する方法を含む。ある態様においては、該薬剤の存在下における核酸、誘導体または断片の発現は、該薬剤の非存在下における1以上のスプライシング変種の発現とは種類または量が異なる1以上のスプライシング変種の発現を含む。また、本方法によって同定される薬剤も企図される。
本発明により企図されるSLIT-3核酸の発現を改変する代表的な薬剤は、例えば、SLIT-3遺伝子または核酸に対するアンチセンス核酸;SLIT-3遺伝子または核酸;SLIT-3ポリペプチド;SLIT-3遺伝子または核酸受容体;SLIT-3結合剤;ペプチド擬似物;融合タンパク質;そのプロドラッグ;抗体;およびリボザイムを含む。また、核酸を含有する細胞をそのような薬剤と接触させることを含む、SLIT-3核酸の発現を改変する方法も企図される。
本発明は、さらに、DNA結合ドメインおよびSLIT-3ポリペプチドをコードする核酸、スプライシング変種、またはその断片または誘導体を含む第一のベクター、および転写活性化ドメインをコードする核酸、および試験ポリペプチドをコードする核酸を含む第二のベクターを用いる酵母2−ハイブリッド系を使用することを含む、SLIT-3ポリペプチド(例えば、図11に示された1以上の多型を含む核酸によってコードされたSLIT-3ポリペプチド)と相互作用するポリペプチドを同定する方法に関する。もし転写活性化が酵母2−ハイブリッド系で起これば、試験ポリペプチドはSLIT-3ポリペプチドと相互作用するポリペプチドである。
本発明のある方法においては、II型糖尿病治療剤を用いる。II型糖尿病治療剤は、本明細書中に記載したSLIT-3ポリペプチド活性および/またはSLIT-3核酸発現を改変する(例えば、増強するかまたは阻害する)薬剤(例えば、核酸のアゴニストまたはアンタゴニスト)であり得る。別の態様においては、II型糖尿病治療剤は、Roboファミリーのメンバー(例えば、robo1、robo2またはrig-1)のポリペプチド活性および/または核酸発現を改変する(例えば、増強するかまたは阻害する)薬剤である。
II型糖尿病治療剤は、例えば、さらなるポリペプチドを供するか、あるいはSLIT-3ポリペプチドまたはRoboファミリーのメンバーであるポリペプチドをコードする核酸の転写または翻訳を上方調節することによって;ポリペプチドの翻訳後プロセッシングを改変することによって;スプライシング変種の転写を改変することによって;または(例えば、ポリペプチドに結合することによって、または本明細書中に記載したSLIT-3結合剤またはRoboファミリーのメンバーのいくつかの他の結合剤のようなSLIT-3またはRoboファミリーのメンバーと相互作用するもう1つのポリペプチドに結合することによって)ポリペプチド活性に干渉することによってSLIT-3またはRoboファミリーのメンバーをコードする核酸の発現、転写または翻訳を改変(例えば、下方調節)することによって、Roboファミリーのポリペプチドメンバーの活性を改変することによって;あるいはSLIT-3およびRoboファミリーの1つ以上のメンバーの間の相互作用を改変するなどのような、種々の手段によってSLIT-3核酸またはRoboファミリーのメンバーのポリペプチド活性または核酸発現を改変することができる。別の態様において、薬剤は、Roboファミリーのアゴニストまたはアンタゴニスト、ならびにRoboファミリー受容体の活性を改変する薬剤のような、Roboファミリーポリペプチド(例えば、robo1、Robo2またはrig-1)の代謝または活性を改変するものを含む。
さらなる態様において、本発明は、SLIT-3核酸またはその断片または誘導体;Roboファミリー核酸またはその断片または誘導体;(図11に記載されたもののような1以上の多型を有するSLIT-3核酸によってコードされた)SLIT-3核酸によってコードされたポリペプチド;Roboファミリー遺伝子または核酸によってコードされたポリペプチド;SLIT-3受容体;Roboファミリー受容体、SLIT-3結合剤;robo1結合剤、robo2結合剤およびrig-1結合剤のようなRoboファミリー結合剤;ペプチド擬似物;融合タンパク質;プロドラッグ;抗体;SLIT-3遺伝子または核酸発現を改変する薬剤;Roboファミリーメンバー核酸発現を改変する薬剤;SLIT-3遺伝子によってコードされたポリペプチドの活性を改変する薬剤;Roboファミリー遺伝子または核酸によってコードされたポリペプチドの活性を改変する薬剤;SLIT-3遺伝子または核酸によってコードされたポリペプチドの転写後プロセッシングを改変する薬剤;Roboファミリー遺伝子または核酸のメンバーによってコードされたポリペプチドの転写後プロセッシングを改変する薬剤;SLIT-3ポリペプチドとSLIT-3結合剤との相互作用を改変する薬剤;Roboファミリーポリペプチドと、Roboファミリー結合剤との相互作用を改変する薬剤;SLIT-3ポリペプチドと、Roboファミリーメンバーとの相互作用を改変する薬剤;SLIT-3遺伝子または核酸によってコードされたスプライシング変種の転写を改変する薬剤;Roboファミリーメンバー遺伝子または核酸によってコードされるスプライシング変種の転写を改変する薬剤;ならびにリボザイムよりなる群から選択される薬剤のようなII型糖尿病治療剤に関する。また、本発明は、本明細書中に記載された少なくとも1つのII型糖尿病治療剤を含む医薬組成物に関する。
また、本発明は、II型糖尿病治療剤を治療上有効量にて個体に投与することを含む、個体においてSLIT-3ポリペプチドに関連する病気または疾患(例えば、II型糖尿病)、または(robo1、robo2およびrig-1のような)Roboファミリーのメンバーに関連する病気または疾患を治療する方法に関する。ある態様において、II型糖尿病治療剤は、SLIT-3アゴニストまたはRoboファミリーのメンバーのアゴニストであり;他の態様においては、II型糖尿病治療剤はSLIT-3アンタゴニストまたはRoboファミリーのメンバーのアンタゴニストである。本発明は、加えて、本明細書中に記載された方法によるような、II型糖尿病の治療における使用のための医薬の製造のための、本明細書中に記載されたII型糖尿病治療剤の使用に関する。
外因性SLIT-3遺伝子または核酸、およびSLIT-3ポリペプチドをコードする核酸よりなる群から選択される核酸を含むトランスジェニック動物がさらに本発明によって企図される。
さらに別の態様において、本発明は、試料を、ハイブリダイゼーションに適した条件下でSLIT-3核酸の配列の一部に少なくとも部分的に相補的である連続ヌクレオチド配列を含む核酸と接触させ、次いで、SLIT-3核酸と、SLIT-3核酸の配列の部分に少なくとも部分的に相補的である連続ヌクレオチド配列を含む核酸との間でハイブリダイゼーションが起こったか否かを評価することを含み;ここで、もしハイブリダイゼーションが起これば、SLIT-3核酸が試料に存在する、SLIT-3核酸の存在につき試料をアッセイする方法に関する。ある態様においては、連続ヌクレオチド配列は該SLIT-3核酸の配列の部分に完全に相補的である。所望であれば、該SLIT-3核酸の少なくとも一部の増幅を行うことができる。
ある他の態様においては、連続ヌクレオチド配列は長さが100以下のヌクレオチドであり、図10に示された核酸配列のうちの1つにおけるヌクレオチドの連続配列に対して少なくとも80%同一であり、図10に示された核酸配列のうちの1つにおけるヌクレオチドの連続配列の相補体に対して少なくとも80%同一であるか、または該SLIT-3核酸に選択的にハイブリダイズすることができるかのいずれかである。
他の態様において、本発明は、SLIT-3遺伝子または核酸の存在につき試料をアッセイするための試薬に関し、該試薬はSLIT-3遺伝子(核酸)の核酸配列の一部に対して少なくとも部分的に相補的である連続ヌクレオチド配列を含み、あるいは該試薬は該SLIT-3遺伝子または核酸の核酸配列の一部に対して完全に相補的である。また、SLIT-3核酸の核酸配列の一部に対して少なくとも部分的に相補的である連続ヌクレオチド配列を含む1以上の標識された核酸、および該標識用の検出用の試薬を(例えば、別々の容器中に)含む、例えば、SLIT-3核酸の存在につき試料をアッセイするための試薬キットが本発明によって企図される。ある態様においては、標識された核酸は、該SLIT-3遺伝子または核酸のヌクレオチド配列の一部に対して完全に相補的である連続ヌクレオチド配列を含む。他の態様においては、標識された核酸は、該SLIT-3遺伝子または核酸のヌクレオチド配列の一部に対して少なくとも部分的に相補的であり、およびプライマー伸長のための条件下で維持した場合に該SLIT-3核酸に対するプライマーとして作用することができる連続ヌクレオチド配列を含むことができる。
また、本発明は、長さが100以下のヌクレオチドであり、a)図10に示した核酸配列の1つにおけるヌクレオチドの連続配列に対して少なくとも80%同一であり;b)図10に示された核酸配列の1つにおけるヌクレオチドの連続配列の相補体に対して少なくとも80%同一であり;またはc)SLIT-3核酸に対して選択的にハイブリダイズすることができる核酸のSLIT-3核酸の存在につき試料をアッセイするための使用を提供する。
さらに別の態様において、長さが100以下のヌクレオチドであって、a)図10に示された核酸配列の1つにおけるヌクレオチドの連続配列に対して少なくとも80%同一であり;b)図10に示された核酸配列の1つにおけるヌクレオチドの連続配列の相補体に対して少なくとも80%同一であり;またはc)SLIT-3核酸に対して選択的にハイブリダイズすることができる第一の核酸の、SLIT-3に関連する病気または疾患に対する罹患性を診断するためのような、第一の核酸(例えば、図11に記載されたSNPまたはマーカー)からの少なくとも1つのヌクレオチドの違いを有するSLIT-3遺伝子の存在につき試料をアッセイするための使用。
また、本発明は、あるハプロタイプ(遺伝子マーカーの組合せ)の個体における存在または非存在を決定することを含む、個体においてII型糖尿病に対する罹患性を診断する方法に関する。該病気の罹患性を診断する本発明の1つの局面において、一般的な集団におけるその存在の頻度と比較して、II型糖尿病に対して罹患性の個体により頻繁に存在するSLIT3遺伝子における危険性のあるハプロタイプの1つにつきスクリーニングすることを含む方法が記載され、ここで、危険性があるハプロタイプの存在はII型糖尿病に対する罹患性を示す。「危険性があるハプロタイプ」は、II型糖尿病に対して高い相関を示すSLIT3遺伝子に関して本明細書中に記載されたハプロタイプの1つまたは組合せを含むことを意図する。1つの態様において、危険性があるハプロタイプは図11に記載された少なくとも1つの単一ヌクレオチド多型の存在によって特徴付けられる。1つの態様において、II型糖尿病に関連するハプロタイプまたはII型糖尿病に対する罹患率は表2(A1、A2、A3、A4、A5、A6、B1、B2、B3、B4およびB5として同定されたハプロタイプ)または表5(C1、C2、C3、C4およびC5として同定されたハプロタイプ)で同定された1以上のハプロタイプを含む。他の態様において、危険性があるハプロタイプは5q35遺伝子座における、図11に記載されたマーカーの1以上を含み、ここで、ハプロタイプの存在はII型糖尿病に対する罹患性の診断である。別の態様において、本発明は、5q35遺伝子座における、以下のマーカー:表2および/または表5に記載されたハプロタイプにおける1以上のマーカー、ならびに/あるいは表4に記載された1以上のマーカーの1以上を含むハプロタイプの個体における存在または非存在を決定することを含む、個体においてII型糖尿病に対する罹患性を診断する方法に関する。ハプロタイプの存在または非存在は、例えば、個体からの核酸の酵素増幅、電気泳動分析、制限断片長多型分析および/または配列分析を含めた種々の方法によって決定することができる。
また、本発明は、前記個体から核酸試料を得;次いで、5q35遺伝子座における、図11に記載された1以上のマーカーを含むハプロタイプの存在または非存在につき核酸試料を分析することを含み、ここで、ハプロタイプの存在はII型糖尿病に対する罹患性の診断である、個体においてII型糖尿病に対する罹患性を診断する方法に関する。もう1つの態様において、本発明は、個体から核酸試料を得;次いで、5q35遺伝子座における、以下のマーカー:表2および/または表5に記載されたハプロタイプに記載された1以上のマーカー、ならびに/あるいは表4に記載された1以上のマーカーのマーカーを含むハプロタイプの存在または非存在につき核酸試料を分析することを含み、ここで、ハプロタイプの存在はII型糖尿病に対する罹患性の診断であることを特徴とする、個体においてII型糖尿病に対する罹患性を診断する方法に関する。
また、染色体5q35上の遺伝子座において、図11に示された1以上のマーカーおよび/または単一ヌクレオチド多型を含むハプロタイプの個体における存在または非存在を決定することを含み、ここで、ハプロタイプの存在はII型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性の診断である、個体においてII型糖尿病またはII型糖尿病に対する罹患性を診断する方法がここで記載される。
また、II型糖尿病に罹患していない個体と比較して、II型糖尿病に罹患した個体により頻繁に存在するSLIT-3核酸において危険性があるハプロタイプにつきスクリーニングすることを含み、ここで、危険性があるハプロタイプは危険性を有意に増大させる、個体においてII型糖尿病に対する診断および同定または罹患性のための方法が記載される。ある態様においては、有意な増加は少なくとも約20%であり、または有意な増加は少なくとも約1.2のオッズ率として同定される。
本発明の主な適用は、II型糖尿病を発症する高い危険性があるものの予測を含む。II型糖尿病に寄与する遺伝的因子を規定する診断試験を、一般的な集団に対する個体の危険性を規定する既知の臨床危険性因子とともに、またはそれとは独立して用いることができよう。II型糖尿病に対する危険性がある個体を同定するためのより良好な手段は、現在の臨床的危険因子のより攻撃的な管理を含めた、良好な予防および治療方法に導くはずである。
本発明の別の適用は、II型糖尿病に関与する律速経路の特異的同定である。対照と比較して糖尿病患者において有意により共通する遺伝的変異を持つ病気遺伝子は、II型糖尿病の病因における特異的に確証(validated)原因工程を表す。すなわち、遺伝子が原因であるか、または単純に病気過程に対して反応するかについての不確実性が排除される。病気遺伝子によってコードされるタンパク質は、II型糖尿病素因の生物学的プロセスに関与する律速分子経路を規定する。そのようなII型遺伝子によってコードされるタンパク質またはその分子経路におけるその相互作用タンパク質は、低分子、タンパク質、抗体または核酸療法によって選択的に調節され得る薬物標的を表すことができる。そのような具体的な情報は大いに必要である。というのは、II型糖尿病に罹った集団が増大しつつあるからである。
本発明の第三の適用は、特定の薬物、SLIT3またはその経路に対して作用しない薬物に対してさえ個体の応答を予測するためのその使用である。一般に、患者は同一薬物に対して同等には応答しないことはよく知られた現象である。与えられた薬物に対する薬物応答における差の多くは、ある遺伝子およびその対応する経路における個体間の遺伝的およびタンパク質の差に基づくと考えられる。我々の発明は、II型糖尿病とSLIT3との関連も規定する。いくつかの現在のまたは将来の治療剤は直接的にまたは間接的にこの遺伝子に影響することができ、従って、そのII型糖尿病の危険性がSLIT3遺伝的変異によって部分的には決定される患者において効果的である。他方、それらの同一薬物は、SLIT3遺伝子において危険性変異を有しない患者において効果が低いか、または効果がないであろう。従って、SLIT3変異またはハプロタイプは薬理ゲノム学診断として用いて、薬物応答を予測し、与えられた個体における治療剤の選択を案内することができる。
本発明の前記および他の目的、特徴および利点は、添付の図面で説明された本発明の好ましい実施形態のより具体的な記載に従って明らかとなろう。
発明の詳細な説明
II型糖尿病患者の集団ベースのリストを有する集団についての広範な家系的情報は、染色体5q35上の遺伝子座をマッピングするための強力な遺伝子共有方法と組合わされてきた。糖尿病患者およびその血族は全ゲノムマーカーセットで遺伝子型が特定されてきた。肥満は糖尿病の発症の一因となるため、ボディマス指数(BMI)に従って資料は分類された。アイスランドにおける、II型糖尿病を引きこす遺伝子の全ゲノムサーチの結果をここに示す。
II型糖尿病患者の集団ベースのリストを有する集団についての広範な家系的情報は、染色体5q35上の遺伝子座をマッピングするための強力な遺伝子共有方法と組合わされてきた。糖尿病患者およびその血族は全ゲノムマーカーセットで遺伝子型が特定されてきた。肥満は糖尿病の発症の一因となるため、ボディマス指数(BMI)に従って資料は分類された。アイスランドにおける、II型糖尿病を引きこす遺伝子の全ゲノムサーチの結果をここに示す。
糖尿病に関連する遺伝子座
糖尿病の早期発症単一遺伝子形態を引き起こす遺伝子についての証拠がこれまでに同定されている。6つの遺伝子における変異が発見されており、これは、MODY、すなわち若年者の成人発症型糖尿病を引き起こす。MODY1〜MODY6はHNF4a、グルコキナーゼ、HNF1a、IPF1、HNF1bおよびNEUROD1における変異のためである(MODY1:Yamagata Kら,Nature 384:458-460(1996); MODY2:Froguel P, Fら,Nature 356:162-164(1992);MODY3: Yamagata K.ら,Nature 384:455-458(1996); MODY4: Yoshioka M.ら,Diabetes May;46(5):887-94(1997) MODY5: Horikawa Y.ら, Nat. Genet.17:384-385(1997) MODY6:Kristinsson S.Y.ら, Diabetologia Nov;44(11):2098-103(2001))。
糖尿病の早期発症単一遺伝子形態を引き起こす遺伝子についての証拠がこれまでに同定されている。6つの遺伝子における変異が発見されており、これは、MODY、すなわち若年者の成人発症型糖尿病を引き起こす。MODY1〜MODY6はHNF4a、グルコキナーゼ、HNF1a、IPF1、HNF1bおよびNEUROD1における変異のためである(MODY1:Yamagata Kら,Nature 384:458-460(1996); MODY2:Froguel P, Fら,Nature 356:162-164(1992);MODY3: Yamagata K.ら,Nature 384:455-458(1996); MODY4: Yoshioka M.ら,Diabetes May;46(5):887-94(1997) MODY5: Horikawa Y.ら, Nat. Genet.17:384-385(1997) MODY6:Kristinsson S.Y.ら, Diabetologia Nov;44(11):2098-103(2001))。
1つの遺伝子が、糖尿病の晩期発症形態に寄与する疾患遺伝子、calpain 10遺伝子(CAPN10)として同定されている。CAPN10は、糖尿病を持つメキシコ系アメリカ人の同胞対の全ゲノムスクリーニングを通じて同定されたHorikawa Y.ら,Nat.Genet.26(2) 163-175(2000))。リスク対立遺伝子は、グルコース誘導分泌の調節障害およびインスリン刺激グルコース廃棄の速度の低下と関連することが示されている(Lynn S.ら,Diabetes, 51(1):247-250(2002); Sreenan, S.K.ら,Diabetes 50(9) 2013-2020(2001)およびBaier, L.J.ら,J.Clin.Invest. 106(7) R69-73(2000))。
種々の集団における多くの全ゲノムスクリーニングが行われており、これは糖尿病についての主な遺伝子座をもたらした。遺伝子座は、メキシコ系アメリカ人において染色体2q37(Hanis, C.L.ら,Nat.Genet., 13(2):161-166(1996))、染色体15q21(Coxら,Nat.Genet.21(2):213-215(1999))、染色体10q26(Duggirala, R.ら, Am.J.Hum.Genet., 68(5):1149-1164(2001))、染色体3p(Ehm, M.G.ら,Am.J.Hum.Genet., 66(6):1871-1881(2000))、およびピマ族インディアンにおいて染色体1q21-23および11q23-q25(Hanson R.L.ら,Am J.Hum Genet., 63(4):1130-1138(1998))で報告されている。白色人種の集団においては、フィンランド人において染色体12q24(Mahtaniら,Nat.Genet., 14(1):90-4(1994))、ユタにおけるアメリカ人において染色体1q21-q23(Elbein, S.C.ら, Diabetes, 48(5):1175-1182(1999))、フランス人家族において染色体3q27−pter(Vionnet, N.ら, Am.J.Hum.Genet.67(6):1470-80(2000)およびスカンジナビア人において染色体18p11(Parker, A.ら,Diabetes, 50(3) 675-680(2001))に対して連鎖が観察されている。最近の研究は、染色体2q24.3上のオーストラリア先住民における主な遺伝子座を報告している(Busfield, F.ら,Am.J.Hum.Genet., 70(2):349-357(2002))。多くの他の研究は、示唆された遺伝子座をもたらし、あるいはこれらの遺伝子座を複製している。
関連研究はII型糖尿病について報告している。これらの研究のほとんどは、人々の群における該疾患に対する中程度の関連を示すが、該疾患を説明していない。Altshulerらは、なされた関連研究を概説し、明らかにされた16の遺伝子のうちのただ1つに対する関連が精査に耐えると結論づけた。Altshulerらは、PPARgにおけるPro12Ala多型がII型糖尿病に関連することを確認した。今日に至るまで、該疾患を染色体5q35に関連づける、II型糖尿病における連鎖研究はなかった。
SLIT-3
本明細書中に記載された発明は、II型糖尿病をSLIT-3(slitホモログ3(Drosophila))として知られた遺伝子に関連づけた。Drosophila SLITは、中線パターニングに関与する分泌されたタンパク質である。Drosophila神経系において、SLITは中線膠細胞よって生産され、化学忌避剤として機能して、交連軸索の再交差を防ぐ(Kidd, T.ら,Cell, 96:785-794(1999))。これは、5つのIgドメイン、3つのフィブロネクチンIII型(FNIII)反復、単一の膜貫通ドメイン、および多数の保存された細胞質モチーフを持つ細胞内ドメインを含む、受容体のファミリーであるRoundabout、つまりRoboによって媒介される(Kidd, T.ら,Cell, 92:205-215(1998))。3つの脊椎動物SLIT遺伝子および3つの区別されるRobo遺伝子(robo1、robo2、rig-1)がある(Yuan, S.S.ら,Dev.Biol., 207:62-75(1999);Brose, K.ら,Cell, 96:795-806(1999))。脊椎動物中線において、SLITおよびRoboの発現は脊髄における交連軸索(Zou, Y.ら,Cell, 102:363-375(2000))、視神経交差における網膜神経節細胞軸索(Fricke, C.ら,Science, 292:507-510(2001); Erskine, L.ら,J.Neurosci., 20:4975-4982(2000);およびNiclou, S.P.ら,J.Neurosci., 20:4962-4974(2000))、および脳梁の線維(Shu,T.およびL.J.Richards, J.Neurosci., 21:2749-2758(2001))を制御することが提唱されている。
本明細書中に記載された発明は、II型糖尿病をSLIT-3(slitホモログ3(Drosophila))として知られた遺伝子に関連づけた。Drosophila SLITは、中線パターニングに関与する分泌されたタンパク質である。Drosophila神経系において、SLITは中線膠細胞よって生産され、化学忌避剤として機能して、交連軸索の再交差を防ぐ(Kidd, T.ら,Cell, 96:785-794(1999))。これは、5つのIgドメイン、3つのフィブロネクチンIII型(FNIII)反復、単一の膜貫通ドメイン、および多数の保存された細胞質モチーフを持つ細胞内ドメインを含む、受容体のファミリーであるRoundabout、つまりRoboによって媒介される(Kidd, T.ら,Cell, 92:205-215(1998))。3つの脊椎動物SLIT遺伝子および3つの区別されるRobo遺伝子(robo1、robo2、rig-1)がある(Yuan, S.S.ら,Dev.Biol., 207:62-75(1999);Brose, K.ら,Cell, 96:795-806(1999))。脊椎動物中線において、SLITおよびRoboの発現は脊髄における交連軸索(Zou, Y.ら,Cell, 102:363-375(2000))、視神経交差における網膜神経節細胞軸索(Fricke, C.ら,Science, 292:507-510(2001); Erskine, L.ら,J.Neurosci., 20:4975-4982(2000);およびNiclou, S.P.ら,J.Neurosci., 20:4962-4974(2000))、および脳梁の線維(Shu,T.およびL.J.Richards, J.Neurosci., 21:2749-2758(2001))を制御することが提唱されている。
受容体のRoboファミリーに加えて、SLITタンパク質は、筋肉形成分化におけるCDO(Kang, J.S.ら,J.Cell Biol., 143:403-413(1998))、中線交差におけるDCC(ネトリン受容体)(Stein, EおよびM.Tessier-Lavigne, Science, 291:1928-1938(2001))および(運動ニューロンで発現される)グリピカンに対するリガンドであることが示されている。
発生中のマウス胚におけるイン・サイチュハイブリダイゼーション研究は、SLIT-3が発生中の脳、目、耳、鼻および肢芽でSLIT-3が発現されることを示している(Yuan, S.S.ら,Dev.Biol., 207:62-75(1999))。加えて、ラット脳(胚および成体の)のイン・サイチュハイブリダイゼーションは、SLITタンパク質が発生中の脳および成体の脳の双方において役割を有することを示している(Marillat, V.ら,J.Comp.Neurol., 442:130-155(2002))。
Itohらは1998年にヒトSLIT-3をクローン化した(Itoh, A.ら,Brain Res.Mol.Brain Res., 62:175-186(1998))。SLIT-3に対するmRNAのサイズは5.5kbおよび9.5kbであり、小さい方の転写物が主である。オープンリーディングフレーム(ORF)は4569bpであり、1523アミノ酸ポリペプチドをコードする。ノーザンブロット分析は胎児の肺および胎児の腎臓における発現を明らかにした。ヒト成人組織においては、SLIT-1およびSLIT-3のmRNAは、主として、各々、脳、脊髄、および甲状腺で発現される。SLIT-2は副腎、甲状腺および気管においても弱く発現される。SLIT-3は卵巣、心臓および小腸で発現される(Itoh, A.ら,前掲)。これらのタンパク質の発現パターンに基づき、SLITタンパク質は内分泌系ならびに神経系において役割を有することが示唆されている。SLIT-3は内分泌系の形態形成に寄与すると提案されている(Itoh, A.ら,前掲)。膵臓、肝臓、骨格筋、脂肪組織、小腸および視床下部における発現が、組織特異的cDNAについてのPCRで観察されている(データは示さず)。放射線ハイブリッドパネルのPCR分析はSLIT-3遺伝子を染色体5q35にマッピングした(Nakayama, M.ら,Genomics, 51:27-34(1998))。
ヒトSLIT-2およびSLIT-3の予測されるアミノ酸配列は、SLIT-1に対して同一のドメイン構造およびほぼ60%の類似性を呈する。SLIT-1、SLIT-2およびSLIT-3は、全て、推定シグナルペプチド、アミノおよびカルボキシ末端保存フランキング領域(LRR-NR、LRR-CR)と境界を形成する4ユニットのタンデムアレイのロイシンリッチな反復(LRR)、2群のEGF様モチーフ反復、Agrin-Laminin Perlecan-SLIT(ALPS)保存ドメイン、およびシステインリッチな(Cysリッチな)カルボキシ末端ドメインを含む。しかしながら、それらは、疎水性プロットによって予測されるように推定膜貫通ドメインは有しない。それ自体、SLITタンパク質は多くの結合ドメインを含み、1つ以上のタンパク質と相互作用できる。drosophila SLITタンパク質と比較して、3つのヒトSLITタンパク質は多数のEGF様モチーフおよび反復数のLRR1およびLRR3を共有する。4ユニットのLRRを含有する領域はヒトSLITタンパク質の中での最も保存されたエレメントであり、この領域を形成するアミノ酸の数は3つのタンパク質の間でも完全に保存されている(Itoh, A.ら,前掲)。
SLIT-3は他のSLITタンパク質と共通でない潜在的に独特な機能を有すると提案されている(Little, M.H.ら,Am.J.Physiol.Cell.Physiol., 281:C485-495(2001))。哺乳動物SLIT-3遺伝子産物の細胞分布およびプロセッシングが腎臓上皮細胞によって特徴付けられている。SLIT-2ではなくSLIT-3は、大部分がミトコンドリア内に局所している。融合性上皮単層において、SLIT-3もまた細胞表面に輸送される。しかしながら、SLIT-2について観察されたのと同様なSLIT-3タンパク質分解プロセッシングの証拠はない。SLIT-3は、レポーター緑色蛍光タンパク質をミトコンドリアに向けることができるNH2末端ミトコンドリア局所化シグナルを含む。SLIT-1からの相当する領域はミトコンドリア標的化を誘導することができない。したがって、SLIT-3タンパク質は、上皮細胞内の2つの区別される部位:ミトコンドリアおよび、より融合性の高い細胞においては、細胞表面に標的化され、局所化されていると結論された。双方の位置に対する標的化は特異的NH2末端配列によって駆動される。
研究は、ミトコンドリア機能の崩壊とII型糖尿病との間の関連を示している。事実、β細胞におけるミトコンドリア機能不全はよく記載されている(Maechler, P.およびC.B.Wollheim, Nature, 414:807-812(2001))。ミトコンドリアDNA(mtDNA)における遺伝的障害は、II型糖尿病表現型とともに存在する多数の遺伝的障害の発生をもたらし得る。ミトコンドリアtRNA遺伝子における変異(Leu)(UUR)は、母系的に遺伝されたII型糖尿病および聾を持つ大きな家系において記載されている(van den Ouweland, J.M.ら、Nat.Genet., 1:368-371(1992))。mtDNAコピー数の減少もまた糖尿病の病因に関連づけられている。II型糖尿病の発生に対するmtDNAの変動の寄与は知られていないが、II型糖尿病の骨格筋におけるmtDNAコピー数の50%減少が観察されている(Antonetti, D.A.ら、J.Clin.Invest., 95:1383-1388(1995))。また、mtDNA含有量の低下が、該疾患の発症前の患者においてさえ末梢血液細胞で報告されている(Lee, H.K.ら、Diabetes Res.Clin.Pract., 42:161-167(1998))。
染色体5q35に対する関連を示すII型糖尿病の第一の公知の連鎖研究を本明細書中に記載する。行われた連鎖研究に基づき、II型糖尿病と染色体5q35上の遺伝子座、特に、SLIT-3遺伝子との間の直接的関係が発見された。
本発明の核酸
SLIT-3核酸、一部および変種
従って、本発明は、ヒトSLIT-3核酸を含む単離された核酸分子に関する。本明細書中で用いる用語「SLIT-3核酸」は、SLIT-3ポリペプチドをコードする単離された核酸分子(例えば、SLIT-3遺伝子)をいう。本発明のSLIT-3核酸分子はRNA、例えば、mRNA、またはcDNAおよびゲノムDNAのようなDNAであり得る。DNA分子は二本鎖または一本鎖であり得;一本鎖RNAまたはDNAは、コーディング、つまりセンス鎖または非コーディング、つまりアンチセンス鎖のいずれかであり得る。核酸分子は該遺伝子のコーディング配列の全てまたは一部を含むことができ、さらに、(例えば、調節配列を含めた)イントロンのようなさらなる非コーディング配列および非コーディング3’および5’配列を含むことができる。
SLIT-3核酸、一部および変種
従って、本発明は、ヒトSLIT-3核酸を含む単離された核酸分子に関する。本明細書中で用いる用語「SLIT-3核酸」は、SLIT-3ポリペプチドをコードする単離された核酸分子(例えば、SLIT-3遺伝子)をいう。本発明のSLIT-3核酸分子はRNA、例えば、mRNA、またはcDNAおよびゲノムDNAのようなDNAであり得る。DNA分子は二本鎖または一本鎖であり得;一本鎖RNAまたはDNAは、コーディング、つまりセンス鎖または非コーディング、つまりアンチセンス鎖のいずれかであり得る。核酸分子は該遺伝子のコーディング配列の全てまたは一部を含むことができ、さらに、(例えば、調節配列を含めた)イントロンのようなさらなる非コーディング配列および非コーディング3’および5’配列を含むことができる。
例えば、SLIT-3核酸は図1に示されるゲノム配列、またはSLIT-3ポリペプチドをコードする単離された核酸分子(例えば、cDNAまたは遺伝子)の部分または断片であり得る。ある態様においては、単離された核酸分子は図10に示された配列よりなる群から選択される核酸分子、またはかかる核酸分子の相補体を含む。
加えて、本発明の核酸分子をマーカー配列、例えば、ポリペプチドの単離または精製を助けるポリペプチドをコードする配列に融合させることができる。かかる配列は、限定されるものではないが、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質およびインフルエンザからの血球凝集素(HA)ポリペプチドマーカーをコードするものを含む。
本明細書中で用いられる「単離された」核酸分子は、通常(ゲノム配列におけるように)遺伝子またはヌクレオチド配列の横に並び、かつ/または(例えば、RNAライブラリーにおけるように)他の転写された配列から完全にまたは部分的に精製されている核酸から分離されたものである。例えば、本発明の単離された核酸は、それが天然に生じる複雑な細胞環境、または組換え技術によって生産された場合の培養培地、または化学的に合成された場合の化学前駆体または他の化学物質に対して実質的に単離され得る。いくつかの場合において、単離された物質は組成物(例えば、他の物質を含有する粗抽出物)、緩衝系または試薬ミックスの一部を形成する。他の状況においては、該物質は、例えば、PAGEまたはHPLCのようなカラムクロマトグラフィーによって測定して実質的に均質まで精製することができる。好ましくは、単離された核酸分子は存在する全てのマクロ分子種の少なくとも約50、80または90%(モル濃度ベース)を含む。ゲノムDNAに関しては、用語「単離された」は、ゲノムDNAが天然で関連する染色体から分離される核酸分子をいうこともできる。例えば、単離された核酸分子は、核酸分子が由来する細胞のゲノムDNA中の核酸分子の横に並ぶ約5kb未満の、限定されないが4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kbのヌクレオチドを含むことができる。
核酸分子は他のコーディングまたは調節配列に融合させることができ、これは依然として単離されていると考えられる。かくして、ベクターに含まれた組換えDNAは本明細書中で用いる「単離された」の定義に含まれる。また、単離された核酸分子は異種宿主細胞中の組換えDNA分子、ならびに溶液中の部分的にまたは実質的に精製されたDNA分子を含む。また、「単離された」核酸分子は本発明のDNA分子のイン・ビボおよびイン・ビトロRNA転写物も含む。単離された核酸分子は、化学的に、または組換え手段によって合成される核酸分子または核酸配列を含むことができる。従って、ベクターに含まれた組換えDNAは本明細書中で用いられる「単離された」の定義に含まれる。また、単離された核酸分子は異種生物における組換えDNA分子、ならびに溶液中の部分的にまたは実質的に精製されたDNA分子を含む。本発明のDNA分子のイン・ビボおよびイン・ビトロRNA転写物も「単離された」核酸配列に含まれる。かかる単離された核酸分子はコードされたポリペプチドの製造において、(例えば、他の哺乳動物種からの)相同配列を単離するためのプローブとして、(例えば、染色体とのイン・サイチュハイブリダイゼーションによる)遺伝子マッピングで、またはノーザンブロット分析のような組織(例えば、ヒト組織)における遺伝子の発現を検出するのに有用である。
また、本発明は、天然では必ずしも見出されないが、SLIT-3ポリペプチドをコードする核酸分子、またはSLITポリペプチドの別のスプライシング変種、またはその多型変種に関する。かくして、例えば、本発明は、天然に生じるヌクレオチド配列とは異なるが、遺伝暗号の縮重のため、本発明のSLITポリペプチドをコードする配列を含むDNA分子に関する。また、本発明は、部分(断片)をコードする、またはSLIT-3ポリペプチドのアナログまたは誘導体のような変種ポリペプチドをコードする核酸分子を含む。かかる変種は、対立遺伝子変動または一塩基多型の場合におけるように天然で生じることができるか、あるいは種々の変異原および変異誘発方法によって誘導されたもののように天然では起こり得ない。意図された変動は、限定されるものではないが、付加および欠失を含めた、保存的または非保存的アミノ酸変化をもたらし得る1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失および置換を含む。好ましくは、ヌクレオチド(および/または得られたアミノ酸)変化はサイレントであるか、または保存されており;すなわち、それらはSLIT-3ポリペプチドの特徴または活性を変えない。1つの態様において、核酸配列は、1つ以上の多型マイクロサテライトマーカーを含む断片である。別の態様において、ヌクレオチド配列は、SLIT-3遺伝子における1つ以上の一塩基多型を含む断片である。
本発明の核酸分子の他の改変は、例えば、標識、メチル化、非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメート)、荷電結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート)のようなヌクレオチド間修飾、ペンダント部位(例えば、ポリペプチド)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレン)、キレーター、アルキレーター、および修飾された結合(例えば、α芳香族核酸)を含むことができる。また、水素結合および他の化学相互作用を介して指定された配列に結合する能力において核酸分子を模倣する合成分子も含まれる。かかる分子は、例えば、分子の骨格中のリン酸結合が置き換わってペプチド結合になっているものを含む。
また、本発明は、選択的ハイブリダイゼーション用のような高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で、本明細書中に記載したヌクレオチド配列にハイブリダイズする核酸分子(例えば、本明細書中に記載されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズし、所望により、該ポリペプチドの活性を有する核酸分子)に関する。1つの態様において、本発明は、(例えば、選択的ハイブリダイゼーション用の)高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で、図10に示された配列よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズする本明細書中に記載された変種を含む。別の態様において、本発明は、(例えば、選択的ハイブリダイゼーション用の)高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で、アミノ酸配列またはその多型変種をコードするヌクレオチド配列にハイブリダイズする本明細書中に記載された変種を含む。好ましい態様において、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション下でハイブリダイズする変種はSLITポリペプチドの活性を有する。
かかる核酸分子は(例えば、高ストリンジェンシー条件下での)特異的なハイブリダイゼーションによって検出し、かつ/または単離することができる。本明細書中で用いる「特異的ハイブリダイゼーション」とは、(例えば、第一の核酸がハイブリダイゼーションを行うべき試料においていずれかの他の核酸よりも第二の核酸に対してより高い類似性を有する場合に)第一の核酸が第二の核酸以外のいずれかの核酸にハイブリダイズしないように、第二の核酸にハイブリダイズする第一の核酸の能力をいう。ハイブリダイゼーションについての「ストリンジェンシー条件」は、インキュベーションおよび洗浄条件、例えば、特定の核酸の第二の核酸へのハイブリダイゼーションを可能とする温度および緩衝液濃度の条件をいう当該分野の用語であり;第一の核酸は完全に(すなわち、100%)第二の核酸に相補的であり得るか、あるいは第一および第二の核酸は完全よりは低い(例えば、70%、75%、85%、95%)ある程度の相補性を共有することができる。例えば、完全に相補的な核酸を相補性のより低いものから区別するある高ストリンジェンシー条件を用いることができる。核酸ハイブリダイゼーションについての「高ストリンジェンシー条件」、「中程度ストリンジェンシー条件」および「低ストリンジェンシー条件」は、本明細書中に参考としてその教示全体を援用する、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel, F.M.ら,“Current Protocols in Molecular Biology”, John Wiley & Sons, (2001))において2.10.1〜2.10.16頁および6.3.1〜6.3.6頁で説明されている。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する正確な条件はイオン強度(例えば、0.2×SSC、0.1×SSC)、温度(例えば、室温、42℃、68℃)およびホルムアミドのような脱安定化剤またはSDSのような変性剤の濃度のみならず、核酸配列の長さ、塩基組成、ハイブリダイズする配列の間のパーセントミスマッチ、および他の非同一配列内のその配列のサブセットの発生の頻度等の要因に依存する。かくして、2つの核酸分子の間の同一性または類似性の同様な程度を維持しつつ、これらのパラメーターの1つ以上を変化させることによって同等な条件を決定することができる。典型的には、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約95%以上相互に同一な配列が相互にハイブリダイズしたままであるような条件を用いる。ハイブリダイゼーションが起こらないストリンジェンシーのレベルからハイブリダイゼーションが初めて観察されるレベルまでハイブリダイゼーション条件を変えることにより、所定の配列が試料中の最も類似した配列に(例えば、選択的に)ハイブリダイズすることを可能とする条件を決定することができる。
例示的な条件は、中程度または低ストリンジェンシー条件についての洗浄条件の決定を記載する、Krause,M.H.およびS.A.Aaronson, Methods in Enzymology 200:546-556(1991)およびAusubelら、“Current Protocols in Molecular Biology”, John Wiley & Sons, (2001)に記載されている。洗浄は、ハイブリッドの相補性の最小レベルを決定するように条件が通常は設定される工程である。一般に、相同ハイブリダイゼーションのみが起こる最低温度から出発し、最終洗浄温度を低下させる(SSC濃度は一定に保持)各℃は、ハイブリダイズする配列間のミスマッチングの最大程度において1%の増加を可能とする。一般に、SSCの濃度を2倍にすると、-17℃のTmの増加がもたらされる。これらのガイドライン下で、洗浄温度は、求められるミスマッチのレベルに依存して、高、中程度または低ストリンジェンシーにつき経験的に決定することができる。
例えば、低ストリンジェンシー洗浄は0.2×SSC/0.1%SDSを含有する溶液中での室温での10分間の洗浄を含むことができ;中程度ストリンジェンシー洗浄は0.2×SSC/0.1%SDSを含有する予め加温した溶液(42℃)中での42℃での15分間の洗浄を含むことができ;高ストリンジェンシー洗浄は0.1×SSC/0.1%SDSを含有する予め加温した(68℃)溶液中での68℃における15分間の洗浄を含むことができる。さらに、洗浄を反復してまたは連続して行って、当該分野で知られた所望の結果を得ることができる。同等の条件は、当該分野で知られるように、標的核酸分子と用いるプライマーまたはプローブとの間の同様な程度の同一性または類似性を維持しつつ、例として与えられたパラメーターの1つ以上を変化させることによって決定することができる。
2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列のパーセント相同性または同一性は、最適比較目的のために配列をアラインメントさせることによって決定することができる(例えば、最適なアラインメントのために第一の配列の配列にギャップを導入することができる)。次いで、対応する位置におけるヌクレオチドまたは核酸を比較し、2つの配列の間のパーセント同一性は配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一位置の数/位置の合計数×100)。一方の配列における位置がもう一方の配列中の対応する位置と同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基によって占められる場合、分子はその位置で相同である。本明細書中で用いるごとく、核酸またはアミノ酸「相同性」は核酸またはアミノ酸「同一性」と同等である。ある態様においては、比較目的でアラインメントさせた配列の長さは参照配列の少なくとも30%、例えば、少なくとも40%であり、ある態様では、少なくとも60%であり、他の態様では、少なくとも70%、80%、90%または95%である。2つの配列の実際の比較は、例えば、数学的アルゴリズムを用いた、周知の方法によって達成することができる。かかる数学的アルゴリズムの好ましい非限定的例はKarlinら、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 90:5873-5877(1993)に記載されている。かかるアルゴリズムはAltschulら、Nucleic Acids Res.25:389-3402(1997)に記載されているようにNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に取り込まれる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、各プログラム(例えば、NBLAST)の初期値パラメーターを用いることができる。1つの態様において、配列比較のためのパラメーターはスコア=100、語長=12に設定することができるか、あるいは変化させることができる(例えば、W=5またはW=20)。
配列の比較で利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的例はMyersおよびMiller, CABIOS 4(1):11-17(1988)のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージ(Accelrys, Cambridge, UK)の一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に取り込まれる。アミノ酸配列を比較するためのALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重量残渣表、12のギャップ長さペナルティ、およびギャップペナルティー4を用いることができる。配列分析用のさらなるアルゴリズムは当該分野で知られており、TorellisおよびRobotti、Comput.Appl.Biosci.10:3-5(1994)に記載されたADVANCEおよびADAM;ならびにPearsonおよびLipman, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444-8(1988)に記載されたFASTAを含む。
別の態様において、2つのアミノ酸配列の間のパーセント同一性は、BLOSUM63マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれかを用いるGCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラム、および12、10、8、6または4のギャップ重み、および2、3、または4の長さ重みを用いて達成することができる。さらに別の態様において、2つの核酸配列の間のパーセント同一性は、50のギャップ重みおよび3の長さ重みを用いるGCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムを用いて達成することができる。
また、本発明は、高ストリンジェント条件下で、図10に示された配列よりなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはかかる配列の相補体を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズする断片または部分を含む単離された核酸分子を提供し、また、高度にストリンジェントな条件下で、アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列またはその多型変種にハイブリダイズする断片または部分を含む単離された核酸分子を提供する。本発明の核酸断片は、長さが、少なくとも約15、好ましくは少なくとも約18、20、23または25ヌクレオチドであり、30、40、50、100、200以上のヌクレオチドであり得る。より長い断片、例えば、本明細書中に記載する抗原性ポリペプチドをコードする長さが30以上のヌクレオチドは、後に記載する抗体の産生のため等に、特に有用である。
プローブおよびプライマー
関連する局面において、本発明の核酸断片は、本明細書中に記載したようなアッセイにおいてプローブまたはプライマーとして用いられる。「プローブ」または「プライマー」は、核酸分子の相補的ストランドに塩基特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドである。かかるプローブおよびプライマーはNielsenら、Science 254:1497-1500(1991)に記載されたように、ポリペプチド核酸を含む。
関連する局面において、本発明の核酸断片は、本明細書中に記載したようなアッセイにおいてプローブまたはプライマーとして用いられる。「プローブ」または「プライマー」は、核酸分子の相補的ストランドに塩基特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドである。かかるプローブおよびプライマーはNielsenら、Science 254:1497-1500(1991)に記載されたように、ポリペプチド核酸を含む。
プローブまたはプライマーは少なくとも約15、例えば約20〜25、ある態様では約40、50または75の、図10に示された配列よりなる群から選択される連続したヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはその多型変種にハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。他の態様においては、プローブまたはプライマーは100以下のヌクレオチド、ある態様では、6〜50ヌクレオチド、例えば12〜30ヌクレオチドを含む。他の態様では、プローブまたはプライマーは連続したヌクレオチド配列に対して、または連続したヌクレオチド配列の相補体に対して少なくとも70%同一であり、例えば少なくとも80%同一であり、ある態様では、少なくとも90%同一であり、他の態様では、少なくとも95%同一であるか、連続したヌクレオチド配列に対して、または連続したヌクレオチド配列の相補体に対して選択的にハイブリダイズすることさえできる。しばしば、プローブまたはプライマーは、さらに、標識、例えば、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子を含む。
前述のような本発明の核酸分子は、標準的な分子生物学技術および本明細書中で提供した配列情報を用いて同定し、単離することができる。例えば、核酸分子は、図10に示した配列よりなる群から選択される配列、またはかかる配列の相補体の1つ以上に基づいて設計された、あるいは本明細書中で提供するアミノ酸配列の1つ以上をコードする配列に基づくヌクレオチドに基づいて設計された合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応によって増幅し、単離することができる。一般には、PCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification (H.A.Erlich編, Freeman Press, NY, NY, 1992);PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications (Innisら編, Academic Press, San Diego, CA 1990);Mattilaら, Nucl.Acids Res.19:4967(1991);Eckertら,PCR Methods and Applications 1:17 (1991); PCR(McPhersonら編, IRL Press, Oxford); および米国特許第4,683,202号参照。核酸分子はcDNA、mRNAまたはゲノムDNAを鋳型として用いて増幅することができ、適当なベクターにクローン化し、DNA配列分析によって特徴付けることができる。
他の適当な増幅方法はリガーゼ連鎖反応(LCR)(WuおよびWallace, Genomics 4:560(1989), Landegrenら, Science 241:1077(1988)参照)、転写増幅(Kwohら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173(1989))、および自己維持的配列複製(Guatelliら, Proc.Nat.Acad.Sci. USA 87:1874(1990))および核酸ベースの配列増幅(NASBA)を含む。後者の2つの増幅方法は等温転写に基づく等温反応を含み、これらは、各々、約30または100対1の比率にて増幅産物として一本鎖RNA(ssRNA)および二本鎖DNA(dsDNA)をともに生じる。
増幅されたDNAは標識し、例えば、放射性標識し、ヒト細胞に由来するcDNAライブラリー、zap expressにおけるmRNA、ZIPLOXまたは他の適当なベクターをスクリーニングするためのプローブとして用いることができる。対応するクローンを単離し、DNAをイン・ビボ切り出しに続いて得ることができ、当該分野で認められた方法によってクローン化されたインサートをいずれかの向きまたは双方の向きに配列決定して、適当な分子量のポリペプチドをコードする正しいリーディングフレームを同定することができる。例えば、本発明の核酸分子のヌクレオチド配列の直接的分析は、商業的に利用可能なよく知られた方法を用いて達成することができる。例えば、Sambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual (第二版, CSHP, New York 1989); Zyskindら, Recombinant DNA Laboratory Manual (Acad.Press, 1988))参照。加えて、蛍光方法もまた核酸(Chenら, Genome Res.9, 492(1999))およびポリペプチドを分析するのに利用できる。これらの方法または同様な方法を用い、ポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードするDNAを単離し、配列決定し、さらに特徴付けることができる。
本発明のアンチセンス核酸分子は、図10に示された配列の1つ以上のヌクレオチド配列、および/または図10に示された配列の1つ以上の相補体、および/または図10に記された1つ以上の部分、または図10に示された配列の1つ以上の相補体を用いて設計し、当該分野で知られた手法を用いて化学合成および酵素連結反応を用いて構築することができる。例えば、アンチセンス核酸分子(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に生じるヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を増加させ、あるいはアンチセンスとセンス核酸との間で形成された二重鎖の物理的安定性を増加させるように設計された種々に修飾されたヌクレオチドを用いて化学的に合成することができ、例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドを用いることができる。別法として、その中に核酸分子がアンチセンス方向にサブクローニングされた発現ベクターを用いて、アンチセンス核酸分子を生物学的に生産することができる。(すなわち、挿入された核酸分子から転写されたRNAは目的の標的核酸に対してアンチセンス方向であろう)。
また、核酸配列を用いて患者中の内因性DNA配列と比較し、前述の1つ以上の障害を同定することもでき、関連DNA配列にハイブリタイズしてそれを発見するか、試料から既知の配列を減算するためのプローブとして用いることもできる。核酸配列をさらに用いて、遺伝的フィンガープリンティング用のプライマーを導いて、DNA免疫化技術を用いて抗ポリペプチド抗体を惹起させることができ、かつ抗原として用いて、抗DNA抗体を惹起させるか、または免疫応答を誘導することができる。本明細書中に同定されたヌクレオチド配列の部分または断片(および対応する完全な遺伝子配列)はポリヌクレオチド試薬として多数の方法で用いることができる。例えば、これらの配列を用いて:(i)それらの各遺伝子を染色体にマッピングし;かつ、かくして、遺伝病に関連する遺伝子領域を突き止め;(ii)微量な生物学的試料から個体を同定し(組織タイピング);かつ(iii)生物学的試料の法医学的同定を助けることができる。加えて、本発明のヌクレオチド配列を用いて、分析、特徴付け、または治療的用途のための組換えポリペプチドを同定し、発現させることができ、もしくは対応するポリペプチドが構成的に組織分化の間に、または疾患状態において発現される組織についてのマーカーとして用いることができる。核酸配列は、加えて、本明細書中に記載されたスクリーニングおよび/または診断アッセイにおいて試薬として用いることができ、本明細書中に記載されたスクリーニングおよび/または診断アッセイで用いられるキット(例えば、試薬キット)の成分として含めることもできる。
ベクターおよび宿主細胞
本発明の別の局面は、図10に示された配列、およびその相補体(またはその一部)よりなる群から選択される核酸分子を含む核酸構築物に関する。該構築物は、本発明の配列がセンスまたはアンチセンス方向に挿入されたベクター(例えば、発現ベクター)を含む。本明細書中で用いる場合、用語「ベクター」とは、それが連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子をいう。あるタイプのベクターは「プラスミド」であり、これはさらなるDNAセグメントを連結することができる環状二本鎖DNAループをいう。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、ここで、さらなるDNAセグメントをウイルスゲノムに連結することができる。あるベクターは、それが導入される宿主細胞(例えば、細菌複製起点およびエピソーム哺乳動物ベクターを有する細菌ベクター)中で自己複製することができる。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)を宿主細胞への導入に際して宿主細胞のゲノムへ組み込み、それにより、宿主ゲノムとともに複製される。発現ベクターは、それが作動可能に連結された遺伝子の発現を指令することができる。一般に、組換えDNA技術における有用な発現ベクターは、しばしば、プラスミドの形態である。しかしながら、本発明は、同等の機能を供するウイルスベクター(例えば、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルス)のような他の形態の発現ベクターを含むことを意図する。
本発明の別の局面は、図10に示された配列、およびその相補体(またはその一部)よりなる群から選択される核酸分子を含む核酸構築物に関する。該構築物は、本発明の配列がセンスまたはアンチセンス方向に挿入されたベクター(例えば、発現ベクター)を含む。本明細書中で用いる場合、用語「ベクター」とは、それが連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子をいう。あるタイプのベクターは「プラスミド」であり、これはさらなるDNAセグメントを連結することができる環状二本鎖DNAループをいう。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、ここで、さらなるDNAセグメントをウイルスゲノムに連結することができる。あるベクターは、それが導入される宿主細胞(例えば、細菌複製起点およびエピソーム哺乳動物ベクターを有する細菌ベクター)中で自己複製することができる。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)を宿主細胞への導入に際して宿主細胞のゲノムへ組み込み、それにより、宿主ゲノムとともに複製される。発現ベクターは、それが作動可能に連結された遺伝子の発現を指令することができる。一般に、組換えDNA技術における有用な発現ベクターは、しばしば、プラスミドの形態である。しかしながら、本発明は、同等の機能を供するウイルスベクター(例えば、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルス)のような他の形態の発現ベクターを含むことを意図する。
ある態様においては、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中での核酸分子の発現に適した形態の本発明の核酸分子を含む。これは、組換え発現ベクターが、発現される核酸配列に作動可能に連結された、発現に用いられる宿主細胞に基づいて選択された、1つ以上の調節配列を含むことを意味する。組換え発現ベクター内では、「作動可能に連結」または「動作可能に連結」は、目的の核酸配列が(例えば、インビトロ転写/翻訳系において、またはベクターを宿主細胞に導入する場合に宿主細胞において)ヌクレオチド配列の発現を可能とするように調節配列に連結されていることを意味することを意図する。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。かかる調節配列は、例えば、Goeddel、”Gene Expression Technology”, Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA(1990)に記載されている。調節配列は、宿主細胞の多くのタイプにおいてヌクレオチド配列の構成的発現を指令するもの、およびある種の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指令するものを含む(例えば、組織特異的調節配列)。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、および所望のポリヌクレオチドの発現レベルのような因子に依存し得るのは当業者に認識されるであろう。本発明の発現ベクターは宿主細胞に導入して、それにより、本明細書中に記載された核酸分子によってコードされた、融合ポリペプチドを含めたポリペプチドを生産することができる。
本発明の組換え発現ベクターは原核または真核細胞、例えば、E.coliのような細菌細胞(バキュロウイルス発現ベクターを用いる)昆虫細胞、酵母細胞または哺乳動物細胞における本発明のポリペプチドの発現のために設計することができる。適当な宿主細胞はGoeddel、前掲でさらに議論されている。別法として、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを用いて、イン・ビトロにて転写し、翻訳することができる。
本発明の別の局面は、本発明の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞に関する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」はここでは相互交換可能なように用いられる。かかる用語は特定の対象細胞のみならず、かかる細胞の子孫または潜在的子孫をいうと理解される。ある修飾は変異または環境の影響のいずれかによって引き続く世代で起こり得るので、かかる子孫は、事実、親細胞と同一ではないが、本明細書中で用いられる用語の範囲内に依然として含まれる。
宿主細胞はいずれの原核細胞または真核細胞でもあり得る。例えば、本発明の核酸分子は細菌細胞(例えば、大腸菌)、昆虫細胞、酵母細胞、または(チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞のような)哺乳動物細胞で発現させることができる。他の適当な宿主細胞は当業者に知られている。
ベクターDNAは慣用的な形質転換またはトランスフェクション技術を介して原核細胞または真核細胞に導入することできる。本明細書中で用いる場合、用語「形質転換」および「トランスフェクション」は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを含めた、外来性核酸分子(例えば、DNA)を宿主細胞に導入するための種々の当該分野で認められた技術をいうことを意図している。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするのに適した方法はSambrookら(前掲)、および他の研究室マニュアルに見出すことができる。
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションのためには、用いる発現ベクターおよびトランスフェクション技術に依存して、ごく一部の細胞のみが外来性DNAをそのゲノムに取り込むことができることが知られている。これらの要素を同定し、選択するためには選択マーカー(例えば、抗生物質に対する抵抗性)をコードする遺伝子を、一般に、目的とする遺伝子と共に宿主細胞に導入する。好ましい選択マーカーはG418、ハイグロマイシンおよびメトトレキセートのような薬物に対する耐性を付与するものを含む。選択マーカーをコードする核酸分子は本発明の核酸分子と同一のベクターにて宿主細胞に導入することができるか、あるいは別のベクターで導入することができる。導入された核酸分子で安定にトランスフェクトされた細胞は、薬物選択によって同定することができる(例えば、選択マーカー遺伝子が取り込まれた細胞は生存し、他方、他の細胞は死滅する)。
培養中の原核または真核宿主細胞のような本発明の宿主細胞を用いて、本発明のポリペプチドを生産、(すなわち発現)することができる。従って、本発明は、さらに、本発明の宿主細胞を用いてポリペプチドを生産する方法を提供する。1つの態様において、該方法は、適当な培地中で、(本発明のポリペプチドをコードする組換え発現ベクターが導入された)本発明の宿主細胞を、該ポリペプチドが生産されるように培養することを含む。別の態様において、該方法は、さらに、培地または宿主細胞からポリペプチドを単離することを含む。
また、本発明の宿主細胞を用いて、非ヒトトランスジェニック動物を生産することもできる。例えば、1つの態様において、本発明の宿主細胞は、本発明の核酸分子が導入された受精卵または胚性幹細胞である(例えば、外因性SLIT遺伝子、またはSLITポリペプチドをコードする外因性核酸)。次いで、かかる宿主細胞を用いて、外因性ヌクレオチド配列がゲノムに導入された非ヒトトランスジェニック動物または内因性ヌクレオチド配列が改変された相同な組換え動物を作り出すことができる。かかる動物はヌクレオチド配列および該配列によってコードされたポリペプチドの機能および/または活性を調べるのに、ならびにそれらの活性のモジュレーターを同定および/または評価するのに有用である。本明細書中で用いる場合「トランスジェニック動物」は非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはラットまたマウスのようなげっ歯類であり、ここで、該動物の細胞の1つ以上はトランスジーンを含む。トランスジェニック動物の他の例は非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリおよび両生類を含む。トランスジーンは、トランスジェニック動物がそれから発生する細胞のゲノムに組み込まれ、成熟動物のゲノムにとどまり、それにより、トランスジェニック動物の1つ以上の細胞型または組織においてコードされた遺伝子産物の発現を指令する外因性DNAである。本明細書中で用いる場合、「相同組換え動物」は非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスであり、ここで、動物の発生に先立って、内因性遺伝子と動物の細胞、例えば、動物の胚細胞に導入された外因性DNA分子との間の相同組換えによって内因性遺伝子は改変されている。
胚操作およびマイクロインジェクションを介するトランスジェニック動物、特に、マウスのような動物を作製する方法は当該分野では慣用的となっており、例えば、米国特許第4,736,866号および米国特許第4,870,009号、米国特許第4,873,191号、およびHogan, Manipulating the Mouse Embryo(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1986)に記載されている。相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築する方法は、さらに、Bradley, Current Opinion in BioTechnology 2:823-829(1991)および PCT公開番号WO 90/11354、WO 91/01140、WO 92/0968およびWO 93/04169に記載されている。本明細書中に記載された非ヒトトランスジェニック動物のクローンは、Wilmutら,Nature 385:810-813(1997)およびPCT公開番号WO 97/07668およびWO 97/07669記載された方法に従って生産することもできる。
本発明のポリペプチド
また、本発明は、SLIT-3核酸によってコードされた単離されたポリペプチド(「SLIT-3ポリペプチド」)およびその断片および変種、ならびに本明細書中に記載されたヌクレオチド配列(例えば、他のスプライシング変種)によってコードされたポリペプチドに関する。用語「ポリペプチド」とはアミノ酸のポリマーをいい、特定の長さのものは言わず;かくして、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質はポリペプチドの定義内に含まれる。本明細書中で用いる場合、ポリペプチドは、それが組換えおよび非組換え細胞から単離された時に細胞物質を実質的に含まないか、またはそれが化学的に合成されたときに化学前駆体または他の化学物質を含まない場合に「単離された」または「精製された」と言われる。しかしながら、ポリペプチドは、それが通常では細胞中で(例えば、「融合タンパク質」において)会合していない別のポリペプチドに結合することができ、依然として「単離され」または「精製され」ている。
また、本発明は、SLIT-3核酸によってコードされた単離されたポリペプチド(「SLIT-3ポリペプチド」)およびその断片および変種、ならびに本明細書中に記載されたヌクレオチド配列(例えば、他のスプライシング変種)によってコードされたポリペプチドに関する。用語「ポリペプチド」とはアミノ酸のポリマーをいい、特定の長さのものは言わず;かくして、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質はポリペプチドの定義内に含まれる。本明細書中で用いる場合、ポリペプチドは、それが組換えおよび非組換え細胞から単離された時に細胞物質を実質的に含まないか、またはそれが化学的に合成されたときに化学前駆体または他の化学物質を含まない場合に「単離された」または「精製された」と言われる。しかしながら、ポリペプチドは、それが通常では細胞中で(例えば、「融合タンパク質」において)会合していない別のポリペプチドに結合することができ、依然として「単離され」または「精製され」ている。
本発明のポリペプチドは均一となるまで精製することができる。しかしながら、ポリペプチドが均一になるまで精製されない調製物は有用であると理解される。重要な特徴は、該調製物がかなりの量の他の成分の存在下においてさえ、ポリペプチドの所望の機能を可能とすることである。かくして、本発明は種々の程度の純度を含む。1つの態様において、用語「実質的に細胞物質を含まない」は、約30(乾燥重量)%未満の他のタンパク質(すなわち、汚染タンパク質)、約20%未満の他のタンパク質、約10%未満の他のタンパク質、または約5%未満の他のタンパク質を有するポリペプチドの調製物を含む。
ポリペプチドが組換えにより生産される場合、それは実質的に培地を含まず、すなわち、培地はポリペプチド調製物の容量の約20%未満、約10%未満、または約5%未満を表す。用語「実質的に化学前駆体または他の化学物質を含まない」は、それがその合成に関与する化学前駆体または他の化学物質から分離されるポリペプチドの調製物を含む。ひとつの態様において、用語「実質的に化学前駆体または他の化学物質を含まない」は、約30(乾燥重量)%未満の化学前駆体または他の化学物質、約20%未満の化学前駆体または他の化学物質、約10%未満の化学前駆体または他の化学物質、あるいは約5%未満の化学前駆体または他の化学物質を有する他のポリペプチドの調製物を含む。
1つの態様において、本発明のポリペプチドは、図10に示された配列よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはかかる核酸の相補体、またはその部分、例えば、図10に示された配列、またはその部分または多型変種によってコードされたアミノ酸配列を含む。しかしながら、本発明のポリペプチドは、断片および配列変種も含む。変種は、生物における同一遺伝子座によってコードされる実質的に相同なポリペプチド、すなわち、対立遺伝子変種、並びに他のスプライシング変種を含む。また、変種は生物における他の遺伝子座に由来するが、図10に示された配列、またはかかる配列の相補体、またはその一部、またはその多型変種からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされたポリペプチドに対して実質的な相同性を有するポリペプチドを含む。また、変種は、これらのポリペプチドと実質的に相同または同一であるが、別の生物に由来するポリペプチド、すなわち、オルソログも含む。また、変種は、化学合成によって製造されるポリペプチドと実質的に相同な、または同一のポリペプチドも含む。また、変種は、組換え方法によって生産されるポリペプチドと実質的に相同または同一であるポリペプチドも含む。
本明細書中で用いる場合、2つのポリペプチド(または該ポリペプチドの領域)は、アミノ酸配列が少なくとも約45〜55%、ある態様では、少なくとも約70〜75%、他の態様では少なくとも約80〜85%、他の態様では約90%以上の相同または同一である場合に実質的に相同または同一である。本発明による実質的に相同なアミノ酸配列は、図10に示された配列またはその一部の1つ以上と、詳しく前述したストリンジェント条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるか、あるいはより詳しく前述したストリンジェント条件下で、図10に示された配列の1つをコードする核酸配列、またはその一部、またはその多型変種にハイブリダイズする核酸分子によってコードされる。
また、本発明は、低い程度の同一性を有するが、本発明の核酸分子によってコードされるポリペプチドによって行われる同一機能の1つ以上を行うように十分な類似性を有するポリペプチドを含む。
類似性は、ポリペプチドにおける所定のアミノ酸が類似の性質の別のアミノ酸によって置換されている場合に保存されたアミノ酸置換によって決定される。保存的置換は表現型的にサイレントなようである。保存的置換として典型的に観察されるのは脂肪族アミノ酸Ala、Val、LeuおよびIleの間での相互の置換;ヒドロキシル残基SerとThrの相互交換、酸性残基AspとGluの交換、アミド残基AsnとGlnの間の置換、塩基性残基LysとArgの交換、および芳香族残基PheとTyrの間の置換である。いずれのアミノ酸変化が表現型的にサイレントでありそうかに関するガイダンスはBowieら、Science 247:1306−1310(1990)に見出される。
変種ポリペプチドは1つ以上の置換、欠失、挿入、逆位、融合、およびトランケーションまたはこれらのいずれかの組合せによってアミノ酸配列が異なり得る。さらに、変種ポリペプチドは十分に機能的であり得るか、あるいは1つ以上の活性において機能を欠く可能性がある。十分に機能的な変種は、典型的には、保存的変異、もしくは重要でない残基または重要でない領域における変異のみを含む。また、機能的変種は、機能において変化をもたらさない、または重要でない変化をもたらす同様なアミノ酸の置換を含むこともできる。あるいは、かかる置換はある程度まで肯定的にまたは否定的に機能に影響し得る。非機能的変種は、典型的には、1つ以上の非保存的アミノ酸置換、欠失、挿入、逆位またはトランケーション、もしくは重要な残基または重要な領域における置換、挿入、逆位または欠失を含む。
機能に必須であるアミノ酸は、部位特異的変異誘発またはアラニンスキャニング変異誘発のような当該分野で公知の方法によって同定することができる(Cunninghamら,Science 244:1082-1185(1989))。後者の手法は、分子中の各残基において単一のアラニン変異を導入する。次いで、得られた変異体分子を、イン・ビトロにおける生物学的活性、あるいはイン・ビトロ増殖活性につき試験する。ポリペプチド活性に重要な部位は、結晶化、核磁気共鳴または光親和性標識のような構造解析によって決定することもできる(Smithら,J.Mol.Biol. 224:899-904(1992); de Vosら、Science 255:306-312(1992))。
本発明は、本発明のポリペプチドのポリペプチド断片も含む。断片は、図10に示された配列の1つを含む核酸分子、またはかかる核酸の相補体、または他の変種によってコードされるポリペプチドに由来し得る。しかしながら、本発明は本明細書中に記載したポリペプチドの変種の断片も含む。本明細書中で用いる場合、断片は少なくとも6つの連続したアミノ酸を含む。有用な断片は、ポリペプチドの生物学的活性の1つ以上を保有するもの、ならびに免疫原として用いて、ポリペプチド特異的抗体を作り出すことができる断片を含む。
生物学的に活性な断片(長さが例えば、6、9、12、15、16、20、30、35、36、37、38、39、40、50、100以上のアミノ酸であるペプチド)は、よく知られた方法を用いてポリペプチド配列の分析によって同定されたドメイン、セグメントまたはモチーフ、例えば、シグナルペプチド、細胞外ドメイン、1つ以上の膜貫通セグメントまたはループ、リガンド結合領域、ジンクフィンガードメイン、DNA結合ドメイン、アシル化部位、グリコシル化部位、またはリン酸化部位を含むことができる。
断片は分離できる(他のアミノ酸またはポリペプチドに融合していない)か、あるいはより大きなポリペプチド内に存在することができる。さらに、いくつかの断片は単一のより大きなポリペプチド内に含まれ得る。1つの態様において、宿主における発現のために設計された断片は、ポリペプチド断片のアミノ末端に融合した異種プレおよびプロポリペプチド領域、ならびに該断片のカルボキシル末端に融合したさらなる領域を有することができる。
かくして、本発明はキメラポリペプチドまたは融合ポリペプチドを提供する。これらは、ポリペプチドに対して実質的に相同でないアミノ酸配列を有する異種タンパク質またはポリペプチドに動作可能に連結した本発明のポリペプチドを含む。
「動作可能に連結」は、ポリペプチドと異種タンパク質がインフレームで融合していることを示す。異種タンパク質はポリペプチドのN末端またはC末端に融合することができる。1つの態様において、融合ポリペプチドはポリペプチド自体の機能に影響しない。例えば、融合ポリペプチドは、ポリペプチド配列がGST配列のC末端に融合しているGST融合ポリペプチドであり得る。融合ポリペプチドの他のタイプは、限定されるものではないが、酵素融合ポリペプチド、例えば、βガラクトシダーゼ融合、酵母ツーハイブリッドGAL融合、ポリHis融合およびIg融合を含む。かかる融合ポリペプチド、特にポリHis融合は組換えポリペプチドの精製を容易にすることができる。ある宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)においては、ポリペプチドの発現および/または分泌は異種シグナル配列を用いて増加させることができる。従って、別の態様において、融合ポリペプチドはそのN末端に異種シグナル配列を含む。
欧州特許出願公開464 533は、免疫グロブリン定常領域の種々の部分を含む融合タンパク質を開示している。Fcは治療および診断で有用であり、かくして、例えば、薬物動態学的特性の改良をもたらす(欧州特許出願公開0232 262)。薬物の発見において、例えば、ヒトタンパク質は、アンタゴニストを同定するためのハイスループットスクリーニングアッセイを目的としてFc部分と融合されてきた。Bennettら,Journal of Molecular Recognition, 8:52-58(1995)およびJohansonら,The Journal of Biological Chemistry, 270,16:9459-9471(1995)。かくして、本発明は、本発明のポリペプチドおよび種々のサブクラス(IgG、IgM、IgA、IgE)の免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々の部分を含む可溶性融合ポリペプチドも含む。
キメラポリペプチドまたは融合ポリペプチドは標準的な組換えDNA技術によって製造することができる。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNA断片は慣用的技術に従ってインフレームにて一緒に連結される。別の態様において、融合遺伝子は、自動DNA合成器を含めた慣用的技術によって合成することができる。別法として、核酸断片のPCR増幅は、引き続いて、アニールし、再度増幅して、キメラ核酸配列を作ることができる2つの連続した核酸断片の間に相補的突出を惹起するアンカープライマーを用いて行うことができる(Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology, 1992を参照)。
さらに、融合部分(例えば、GSPタンパク質)を既にコードする多くの発現ベクターが商業的に入手可能である。本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を、融合部位がポリペプチドにインフレームにて連結するようにかかる発現ベクターにクローン化することができる。
単離されたポリペプチドは、それを天然で発現する細胞から精製することができるか、それを発現するように改変されている細胞(組換体)から精製することができるか、あるいは公知のタンパク質合成方法を用いて合成することができる。1つの態様において、ポリペプチドは組換えDNA技術によって製造される。例えば、ポリペプチドをコードする核酸分子を発現ベクターにクローン化し、発現ベクターを宿主細胞に導入し、ポリペプチドを宿主細胞で発現させる。次いで、標準的なタンパク質精製技術を用い、ポリペプチドを適当な精製スキームによって細胞から単離することができる。
本発明のポリペプチドを用いて、抗体を惹起させるか、あるいは免疫応答を誘導することができる。また、ポリペプチドをアッセイにおける試薬、例えば、標識された試薬として用いて、ポリペプチド、またはそれが生物学的流体中で結合する分子(例えば、リガンド)のレベルを定量的に測定することができる。ポリペプチドは、対応するポリペプチドが構成的にか、組織分化の間にか、あるいは疾患状態においてのいずれかで優先的に発現される細胞または組織に対するマーカーとして用いることもできる。ポリペプチドを用いて、対応する結合剤、例えば、相互作用トラップアッセイ等におけるリガンドを単離し、結合相互作用のペプチドまたは小分子のアンタゴニストまたはアゴニストにつきスクリーニングすることができる。
本発明の抗体
遺伝子または核酸産物の1つの形態に特異的に結合するが、遺伝子または核酸産物の他の形態には特異的には結合しないポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体も提供される。変種、または多型部位を含む参照遺伝子産物の、いずれかの部分に結合する抗体も提供される。本明細書中で用いる用語「抗体」とは、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性のある部分、すなわち、抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子をいう。本発明のポリペプチドに特異的に結合する分子は、そのポリペプチドまたはその断片に結合するが、そのポリペプチドを天然に含有する試料、例えば、生物学的試料中の他の分子には実質的に結合しない分子である。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性のある部分の例は、抗体をペプシンのような酵素で処理することによって生じさせることができるF(ab)およびF(ab’)2断片を含む。本発明は、本発明のポリペプチドに結合するポリクローナルおよびモノクローナル抗体を提供する。本明細書中で用いる用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」とは、本発明のポリペプチドの特定のエピトープと免疫反応することができる抗原結合部位のただ1つの種を含む抗体分子の集団をいう。かくして、モノクローナル抗体組成物は、典型的には、それが免疫反応する本発明の特定のポリペプチドに対する単一の結合親和性を呈する。
遺伝子または核酸産物の1つの形態に特異的に結合するが、遺伝子または核酸産物の他の形態には特異的には結合しないポリクローナル抗体および/またはモノクローナル抗体も提供される。変種、または多型部位を含む参照遺伝子産物の、いずれかの部分に結合する抗体も提供される。本明細書中で用いる用語「抗体」とは、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性のある部分、すなわち、抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子をいう。本発明のポリペプチドに特異的に結合する分子は、そのポリペプチドまたはその断片に結合するが、そのポリペプチドを天然に含有する試料、例えば、生物学的試料中の他の分子には実質的に結合しない分子である。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性のある部分の例は、抗体をペプシンのような酵素で処理することによって生じさせることができるF(ab)およびF(ab’)2断片を含む。本発明は、本発明のポリペプチドに結合するポリクローナルおよびモノクローナル抗体を提供する。本明細書中で用いる用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」とは、本発明のポリペプチドの特定のエピトープと免疫反応することができる抗原結合部位のただ1つの種を含む抗体分子の集団をいう。かくして、モノクローナル抗体組成物は、典型的には、それが免疫反応する本発明の特定のポリペプチドに対する単一の結合親和性を呈する。
ポリクローナル抗体は、適当な対象を、所望の免疫原、例えば、本発明のポリペプチドまたはその断片で免疫化することによって前述のように調製することができる。免疫化対象における抗体力価は、固定化ポリペプチドを用いる酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)でのような標準的技術によって経時的にモニターすることができる。所望ならば、ポリペプチドに対する抗体分子は哺乳動物から(例えば、血液から)単離することができ、さらに、プロテインAクロマトグラフィーのようなよく知られた技術によってさらに精製して、IgG画分を得ることができる。免疫化後の適当な時点において、例えば、抗体力価が最高となると、抗体産生細胞を対象から得ることができ、これを用いて、元来KohlerおよびMilstein,Nature 256:495−497(1975)によって記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら,Immunol.Today 4:72(1983))、EBVハイブリドーマ技術(Coleら,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R.Liss, 1985, Inc.,pp.77-96)またはトリオーマ技術のような標準的技術によってモノクローナル抗体を調製することができる。ハイブリドーマを生産するための技術はよく知られている(一般に、Current Protocols in Immunology (1994) Coliganら(編)John Wiley & Sons, Inc., New York、NY参照)。簡単に述べると、不死化細胞系(典型的には、骨髄腫)を、前述のように免疫原で免疫化した哺乳動物からのリンパ球(典型的には、脾臓細胞)に融合させ、得られたハイブリドーマ細胞の培養上清をスクリーニングして、本発明のポリペプチドに結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定する。
リンパ球および不死化細胞系を融合するのに用いる多くのよく知られたプロトコルのいずれも、本発明のポリペプチドに対するモノクローナル抗体を作り出す目的で適用することができる(例えば、Current Protocols in Immunology, 前掲;Galfreら,Nature 266:55052(1977);R.H.Kenneth,Monoclonal Antibodies: A New Dimension In Biological Analyses, Plenum Publishing Corp., New York, New York (1980);およびLerner, Yale J.Biol.Med.54:387-402(1981)参照)。さらに、当業者であれば、やはり有用であろう方法の多くの変形があることを認識するであろう。
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製する代替法として、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージ提示ライブラリー)をポリペプチドでスクリーニングして、それにより、ポリペプチドに結合する免疫グロブリンライブラリーのメンバーを単離することによって、本発明のポリペプチドに対するモノクローナル抗体を同定し、単離することができる。ファージ提示ライブラリーを作り出し、それをスクリーニングするためのキットは商業的に入手可能である(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System, カタログ番号27-9400-01;およびStratagene SurfZAP(商標)Phage Display Kit,カタログ番号240612)。加えて、抗体提示ライブラリーを作り出し、スクリーニングするのに用いられる特に影響を受けやすい方法および試薬の例は、例えば、米国特許第5,223,409号;PCT公開番号WO 92/18619; PCT公開番号WO 91/17271; PCT公開番号WO 92/20791; PCT公開番号WO 92/15679; PCT公開番号WO 93/01288;PCT公開番号WO 92/01047; PCT公開番号WO 92/09690; PCT公開番号WO 90/02809; Fuchsら,Bio/Technology 9:1370-1372(1991); Hayら,Hum.Antibod.Hybridomas 3:81-85(1992); Huseら,Science 246:1275-1281(1989); およびGriffithsら, EMBO J.12:725-734(1993)で見出すことができる。
加えて、標準的な組換えDNA技術を用いて作成することができる、ヒトおよび非ヒト部分双方を含むキメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体のような組換え抗体は本発明の範囲内のものである。かかるキメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体は当該分野で公知の組換えDNA技術によって製造することができる。
一般に、本発明の抗体(例えば、モノクローナル抗体)を用いて、アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降のような標準的な技術によって本発明のポリペプチドを単離することができる。ポリペプチド特異的抗体は細胞からの天然ポリペプチド、および宿主細胞で発現された組換えにより製造されたポリペプチドの精製を容易にすることができる。さらに、ポリペプチドの発現の豊富さおよびパターンを評価するために発明のポリペプチドに特異的な抗体を用いて、(例えば、細胞溶解物、細胞上清、または組織試料中の)ポリペプチドを検出することができる。抗体を診断的に用いて、臨床試験手法の一部として組織中のタンパク質レベルをモニターし、例えば、与えられた治療方法の有効性を決定することができる。抗体を検出可能な物質にカップリングさせて、その検出を容易にすることができる。検出可能な物質の例は種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、および放射性物質を含む。適当な酵素の例はホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼを含み;適当な補欠分子族複合体の例はストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを含み;適当な蛍光物質の例はウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリスリンを含み;発光物質の例はルミノールを含み;生物発光物質の例はルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンを含み、適当な放射性物質の例は125I、131I、35Sまたは3Hを含む。
診断アッセイ
本明細書中に記載された核酸、プローブ、プライマー、ポリペプチドおよび抗体は、II型糖尿病の、またはII型糖尿病に対する罹患性の、またはSLIT−3遺伝子に関連する状態の診断方法において、ならびに(例えば、II型糖尿病の、II型糖尿病に対する罹患性の、またはSLIT−3遺伝子に関連する状態の診断で有用な)キットにおいて用いることができる。1つの態様において、該キットは図11で確認されるSNPのプライマーの1つ以上を含むプライマーを含む。
本明細書中に記載された核酸、プローブ、プライマー、ポリペプチドおよび抗体は、II型糖尿病の、またはII型糖尿病に対する罹患性の、またはSLIT−3遺伝子に関連する状態の診断方法において、ならびに(例えば、II型糖尿病の、II型糖尿病に対する罹患性の、またはSLIT−3遺伝子に関連する状態の診断で有用な)キットにおいて用いることができる。1つの態様において、該キットは図11で確認されるSNPのプライマーの1つ以上を含むプライマーを含む。
本発明の1つの態様において、SLIT−3遺伝子に関連する疾患または状態の診断(例えば、II型糖尿病の、またはII型糖尿病に対する罹患性の診断)は、本明細書中に記載したようにSLIT核酸中の多型を検出することによってなされる。該多型は、フレームシフトをもたらす、単一のヌクレオチド、または1つを超えるヌクレオチドの挿入または欠失のようなSLIT−3核酸の変化;コードされるアミノ酸に変化をもたらす少なくも1つのヌクレオチドの変化;未成熟停止コドンの発生をもたらす少なくとも1つのヌクレオチドの変化;ヌクレオチドによってコードされる1つ以上のアミノ酸の欠失をもたらす数個のヌクレオチドの欠失;遺伝子のコーディング配列の中断をもたらす、非同等組換えまたは遺伝子変換によるような1個または数個のヌクレオチドの挿入;遺伝子のすべてまたは一部の複製;遺伝子の全てまたは一部の移動;または遺伝子の全てまたは一部の再編成であり得る。1つを超えるかかる変化は単一の遺伝子に存在させることができる。かかる配列の変化は、SLIT−3核酸によってコードされるポリペプチドの差を引き起こす。例えば、もし該差がフレームシフトの変化であれば、フレームシフトはコードされたアミノ酸の変化をもたらすことができ、かつ/または未成熟停止コドンの発生をもたらすことができ、トランケートされたポリペプチドの発生を引き起こす。あるいは、疾患または状態に関連する多型、またはSLIT−3核酸に関連する疾患または状態に対する罹患性は1つ以上のヌクレオチドにおける同義変化であり得る(すなわち、SLIT−3核酸によってコードされるポリペプチドの変化をもたらさない改変)。かかる多型はスプライシング部位を変更させ、mRNAの安定性または輸送に影響し、あるいはそうでなければ遺伝子の転写または翻訳に影響し得る。前述の変化または改変のいずれかを有するSLIT−3核酸を、ここでは、「改変された核酸」という。
II型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性、あるいはSLIT-3遺伝子に関連する別の疾患または状態を診断する第一の方法において、サザン分析、ノーザン分析、またはインサイチュハイブリダイゼーションのようなハイブリダイゼーション方法を用いることができる(Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel,F.ら編,John Wiley & Sons(1999年を通じての全ての追録を含む)参照)。例えば、ゲノムDNA、RNAまたはcDNAの試験対象(「試験個体」)からの生物学的試料(「試験試料」)は、SLIT-3遺伝子に関連する(例えば、II型糖尿病)疾患または状態に罹った、またはその素因があるか、またはそれに対する欠陥を有する、疾患または状態に対する罹患性を有することが疑われる個体のような個体から得られる。該個体は成人、子供または胎児であり得る。試験試料は、ゲノムDNAを含む任意の源、例えば、血液試料、羊膜液の試料、脳脊髄液の試料、または皮膚、筋肉、頬または結膜粘膜、胎盤、胃腸管、または他の器官からの組織試料由来であり得る。胎児細胞または組織からのDNAの試験試料は、羊水穿刺または絨毛膜絨毛サンプリングによるなどして、適当な方法によって得ることができる。次いで、DNA、RNA、またはcDNA試料を調べて、SLIT-3核酸における多型が存在するか否かを判断し、かつ/またはSLIT-3によってコードされるいずれのスプライシング変種が存在するかを判断する。多型またはスプライシング変種の存在は、ゲノムDNA、RNA、またはcDNA中の遺伝子の、核酸プローブへのハイブリダイゼーションによって示すことができる。本明細書中で用いられる「核酸プローブ」はDNAプローブまたはRNAプローブであり得;核酸プローブは、例えば、(例えば、図11に記載された)SLIT-3核酸における少なくとも1つの多型を含み、かつ/またはSLIT-3核酸の特定のスプライシング変種をコードする核酸を含むことができる。プローブは前述の核酸分子のいずれでもあり得る(例えば、遺伝子もしくは核酸、断片、遺伝子または核酸を含むベクター、プローブもしくはプライマーなど)。
II型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性、またはSLIT-3遺伝子に関連する別の状態を診断するためには、ハイブリダイゼーション試料は、SLIT-3核酸を含有する試験試料を少なくとも1つの核酸プローブと接触させることによって形成される。mRNAまたはゲノムDNAを検出するための好ましいプローブは、本明細書中に記載されたmRNAまたはゲノムDNA配列にハイブリダイズさせることができる標識された核酸プローブである。核酸プローブは、例えば、全長核酸分子、または長さが少なくとも15,30,50,100,250または500ヌクレオチドであって、ストリンジェント条件下で適当なmRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドのようなその部分であり得る。例えば、核酸プローブは図10に示された配列の1つの全てまたは部分、またはその相補体、またはその部分であり得る。本発明の診断アッセイで用いられる他の適当なプローブは前述した(例えば、「本発明の核酸」なる見出しで議論したプローブおよびプライマー参照)。
ハイブリダイゼーション試料は、核酸プローブのSLIT-3核酸への特異的ハイブリダイゼーションを可能とするのに十分な条件下で維持する。本明細書中で用いる「特異的ハイブリダイゼーション」は(例えば、ミスマッチがない)正確なハイブリダイゼーションを示す。特異的なハイブリダイゼーションは、例えば、前述の高ストリンジェンシー条件または中程度ストリンジェンシー条件下で行うことができる。特に好ましい態様においては、特異的なハイブリダイゼーションのためのハイブリダイゼーション条件は高ストリンジェンシーである。
次いで、もし存在すれば、特異的なハイブリダイゼーションを標準的な方法を用いて検出する。もし特異的なハイブリダイゼーションが核酸プローブと試験試料中のSLIT-3核酸との間で起これば、SLIT-3は多型を有するか、あるいは核酸プローブに存在するスプライシング変種である。1つを超える核酸プローブを、この方法で同時に用いることもできる。核酸プローブのいずれか1つの特異的ハイブリダイゼーションはSLIT-3核酸における多型、またはSLIT-3核酸をコードする特定のスプライシング変種の存在を示し、従って、SLIT-3核酸に関連する疾患または状態(例えば、II型糖尿病)に対する罹患性について診断的である。
ノーザン分析においては(Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel, F.ら編,John Wiley & Sons, 前掲参照)、前述のハイブリダイゼーション方法を用いて、SLIT-3遺伝子に関連する疾患または状態(例えば、II型糖尿病)に対する罹患性に関連する、多型または特定のスプライシング変種の存在を同定する。ノーザン分析では、RNAの試験試料は、適当な手段によって個体から得られる。前述の核酸プローブの、個体からのRNAへの特異的ハイブリダイゼーションは、SLIT-3核酸における多型、またはSLIT-3核酸によってコードされる特定のスプライシング変種の存在を示し、従って、II型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性、あるいはSLIT-3核酸に関連する状態(例えば、II型糖尿病)について診断的である。
核酸プローブの使用の代表的な例については、例えば、米国特許第5,288,611号および同第4,851,330号を参照のこと。
別法として、ペプチド核酸(PNA)プローブを、前述のハイブリダイゼーション方法において核酸プローブの代わりに用いることができる。PNAは、メチレンカルボニルリンカーを介してグリシン窒素に付着した有機塩基(A、G、C、TまたはU)と共に、N-(2-アミノエチル)グリシンユニットのようなペプチド様無機骨格を有するDNA模倣体である(例えば、Nielsen, P.E.ら, Bioconjugate Chemistry 5,American Chemical Society, p.1(1994)参照)。PNAプローブは、SLIT-3核酸に関連する疾患または状態(例えば、II型糖尿病)に対する罹患性に関連する多型を有する遺伝子に特異的にハイブリダイズするように設計することができる。PNAプローブのSLIT-3遺伝子へのハイブリダイゼーションは、II型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性、あるいはSLIT-3核酸に関連する状態に対する診断である。
本発明の別の方法において、制限消化による改変分析を用いて、遺伝子中の改変(変異)または多型が制限部位の創生または排除をもたらす場合、改変された遺伝子、または多型を含む遺伝子を検出することができる。ゲノムDNAを含む試験試料は、個体から得られる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、試験個体からのゲノムDNAの試験試料中のSLIT-3核酸(および、必要であれば、フランキング配列)を増幅させることができる。RFLP分析は前述のように行われる(Current Protocols in Molecular Biology, 前掲参照)。関連DNA断片の消化パターンは、SLIT-3核酸における改変または多型の存在または非存在を示し、従って、II型糖尿病、SLIT-3核酸に関連する疾患または状態に対する罹患性の存在または非存在を示す。
また、配列分析を用いて、SLIT-3核酸における特異的多型を検出することもできる。DNAまたはRNAの試験試料は、試験個体から得られる。PCRまたは他の適当な方法を用いて、所望であれば、遺伝子または核酸および/またはそのフランキング配列を増幅させることができる。SLIT-3核酸、または該核酸の断片、またはcDNA、または該cDNAの断片、またはmRNA、または該mRNAの断片の配列は、標準的な方法を用いて測定される。核酸、核酸断片、cDNA、cDNA断片、mRNA、またはmRNA断片の配列は、遺伝子、cDNAの既知の核酸配列と比較する(例えば、図10に示した配列の1つ以上、または適切であればその相補体、またはmRNA)。SLIT-3における多型の存在は、個体がII型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性を有することを示す。
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを用いて、増幅されたオリゴヌクレオチドと対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブとのドットブロットハイブリダイゼーションの使用を介して、SLIT-3核酸における多型の存在を検出することもできる(例えば、Saiki,R.ら,Nature 324:163-166(1986)参照)。「対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド」(本明細書中では「対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ」ともいう)は、SLIT-3核酸に特異的にハイブリダイズし、SLIT-3核酸に関連する疾患または状態に対する罹患性に関連する多型を含む、およそ10〜50塩基対、好ましくはおよそ15〜30塩基対のオリゴヌクレオチドである。SLIT-3核酸中の特定の多型に特異的な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブは、標準的な方法を用いて調製することができる(Current Protocols in Molecular Biology, 前掲参照)。SLIT-3核酸に関連する疾患または状態、またはSLIT-3核酸に関連する疾患または状態に対する罹患性に関連する遺伝子中の多型を同定するためには、DNAの試験試料を個体から得る。PCRを用いて、SLIT-3核酸の全てまたは断片およびフランキング配列を増幅することができる。増幅されたSLIT−3核酸(または該遺伝子または核酸の断片)を含むDNAは、標準的な方法(Current Protocols in Molecular Biology, 前掲参照)を用いてドットブロットし、該ブロットをオリゴヌクレオチドプローブと接触させる。次いで、増幅されたSLIT-3核酸へのプローブの特異的ハイブリダイゼーションの存在を検出する。個体由来のDNAへの、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションは、SLIT-3核酸中の多型を示し、従って、SLIT-3核酸に関連する疾患または状態、またはSLIT-3核酸に関連する疾患または状態(例えば、II型糖尿病)に対する罹患性を示す。
本発明は、さらに、一塩基多型を含む遺伝子または核酸の参照または変種対立遺伝子もしくはその相補体にハイブリダイズする対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを提供する。これらのオリゴヌクレオチドはプローブまたはプライマーであり得る。
対立遺伝子特異的プライマーは、多型に重複する標的DNA上の部位にハイブリダイズし、プライマーがそれに対して完全な相補性を呈する対立遺伝子形態の増幅をプライムするに過ぎない。Gibbs, Nucleic Acid Res.17,2427-2448(1989)参照。このプライマーは、末端部位にハイブリダイズする第2のプライマーと組み合わせて用いられる。増幅は該2つのプライマーから進行し、検出可能な産物をもたらし、これは、特定の対立遺伝子形態が存在することを示す。対照は通常はプライマーの第2の対で行われ、その一方は、多型部位において単一塩基ミスマッチを示し、もう一方は、末端部位に対する完全な相補性を呈する。単一塩基ミスマッチは増幅を妨げ、検出可能な産物は形成されない。該方法は、ミスマッチが、多型と整列させたオリゴヌクレオチドの最も3’側の位置に含まれる場合に最良に働く。なぜならば、この位置はプライマーからの伸長に対して最も不安定であるからである(例えば、WO 93/22456参照)。
ロックト核酸(locked nucleic acid)(LNA)のようなアナログを添加しつつ、プライマーおよびプローブのサイズを8塩基と少なくなるまで減少させることができる。LNAは、フラノン環における2’および4’位置がO-メチレン(オキシLNA)、S-メチレン(チオLNA)、またはアミノメチレン(アミノLNA)部分を介して連結される二環状DNAアナログの新規なクラスである。これらのLNA変種の全てに共通しているのは、相補的核酸に対する親和性であり、これはDNAアナログについて報告された中で実に最高である。例えば、特定の全てのオキシLNAナノマーは、各々、対応するDNAノナマーに対するDNAおよびRNA双方についての28℃とは反対に、各々、相補的DNAまたはRNAとの複合体の場合、64℃および74℃の融解温度を有することが示されている。また、Tmの実質的な増加は、LNAモノマーが標準的なDNAまたはRNAモノマーと組み合わせて用いられる場合に得られる。プライマーおよびプローブでは、LNAモノマーがどこに含まれるかに応じて(たとえば、3’末端、5’末端または中央)に応じて、Tmはかなり増加され得る。
別の態様において、個体からの標的核酸配列セグメントに相補的なオリゴヌクレオチドプローブのアレイを用いて、SLIT-3核酸中の多型を同定することができる。例えば、1つの態様において、オリゴヌクレオチドアレイを用いることができる。オリゴヌクレオチドアレイは、典型的には、基材の表面の異なる既知の位置にカップリングされた複数の異なるオリゴヌクレオチドプローブを含む。「Genechips(商標)」とも記載されるこれらのオリゴヌクレオチドアレイは、例えば、米国特許第5,143,854号およびPCT特許公開公報第WO90/15070号およびWO92/10092に一般的に記載されている。これらのアレイは、一般には、機械的合成方法、またはフォトリソグラフィー方法および固相オリゴヌクレオチド合成方法の組合せを組み込んだ光指令合成方法を用いて製造することができる。ここに引用してその各々の全教示を援用する、Fodorら、Science 251: 767-777(1991)、Pirrungら、米国特許第5,143,854(また、PCT出願第WO 90/15070号も参照)およびFodorらのPCT公開公報第WO 92/10092号および米国特許第5,424,186号参照。機械的合成方法を用いるこれらのアレイの合成についての技術は、ここに引用してその全教示を援用する米国特許第5,384,261号に記載されている。別の例において、直線アレイを利用することができる。
一旦オリゴヌクレオチドアレイを調製したならば、目的の核酸を該アレイとハイブリダイズさせ、多型について走査する。ハイブリダイゼーションおよびスキャンニングは、一般には、本明細書中に記載され、また、例えば、引用してその全教示を援用する公開されたPCT出願第WO 92/10092号および同第WO 95/11995号、および米国特許第5,424,186号に記載されている方法によって行われる。簡単に述べれば、1以上の従前に同定された多型マーカーを含む標的核酸配列を、よく知られた増幅技術、例えば、PCRによって増幅させる。典型的には、これは、多型から上流および下流双方の標的配列の2つの鎖に相補的なプライマー配列の使用を含む。また、非対称PCR技術を用いることもできる。次いで、一般には標識を一体化させた増幅標的を適当な条件下でアレイとハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションおよびアレイの洗浄の完了に際して、アレイを走査して、標的配列がハイブリダイズしたアレイ上の位置を決定する。該スキャンから得られたハイブリダイゼーションデータは、典型的には、アレイ上の位置の関数としての蛍光強度の形態である。
例えば、単一多型の検出のための単一検出ブロックに関して主として記載したが、アレイは複数の検出ブロックを含むことができ、したがって、複数の特異的多型を分析することができる。別の配置において、一般には、検出ブロックは、アレイへの標的のハイブリダイゼーションの間に変化、最適条件を用いることができるように、単一アレイまたは複数の別々のアレイ内にグループ化することができるのが理解されるであろう。例えば、A-Tリッチなセグメントに入るものとは別に、ゲノム配列のG-Cリッチな鎖(stretch)に入る多型の検出を供するのがしばしば望ましいであろう。これは、各状況についてのハイブリダイゼーション条件の個別の最適化を可能とする。
多型検出用のオリゴヌクレオチドアレイのさらなる使用は、例えば、ここに引用してその全教示を援用する米国特許第5,858,659号および第5,837,832号に見出すことができる。核酸分析の他の方法を用いて、II型糖尿病遺伝子における多型、またはII型糖尿秒遺伝子によってコードされる変種を検出することができる。代表的な方法は、例えば、直接的手動配列決定(ChurchおよびGilbert, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:1991-1995(1988); Sanger, F.ら, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463-5467(1977); Beavisらの米国特許第5,288,644号);自動蛍光配列決定; 一本鎖高次構造多型アッセイ(SSCP); 均一変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(CDGE); 変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)(Sheffield, V.C.ら, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:232-236(1989))、移動度シフト分析(Orita, M.ら, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2766-2770(1989))、制限酵素分析(Flavellら, Cell 15:25(1978); Geeverら、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 78:5081(1981)); ヘテロ二重鎖分析;化学的ミスマッチ切断(CMC)(Cottonら, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:4397-4401(1985)); RNase保護アッセイ(Myers, R.M.ら, Science 230:1242(1985)); E.coli mutSタンパク質のようなヌクレオチドミスマッチを認識するポリペプチドの使用;対立遺伝子-特異的PCRを含む。
本発明の別の態様において、SLIT−3核酸に関連する病気または疾患(例えば、II型糖尿病)またはSLIT-3核酸に関連する病気または疾患(例えば、II型糖尿病)に対する罹患性の診断は、定量的PCR(動的熱サクリング)による発現分析によっても成す事ができる。TaqMan(登録商標)を利用するこの技術を用いて、多型の同定、および患者がホモ接合性であるかまたはヘテロ接合性であるかの同定を可能とすることができる。該技術は、SLIT-3核酸によってコードされたポリペプチド、またはSLIT-3核酸によってコードされるスプライシング変種の発現または組成の改変の存在を評価することができる。さらに、変種の発現は物理的にまたは機能的に異なるものとして定量することができる。
本発明のもう1つの態様において、II型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性、またはSLIT-3遺伝子に関連する疾患の診断は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光を含めた種々の方法により、SLIT-3ポリペプチドの発現および/または組成を調べることによって成す事ができる。個体由来の試験試料は、SLIT-3核酸によってコードされたポリペプチドの発現の改変および/またはその組成の改変の存在につき、あるいはSLIT-3核酸によってコードされた特定の変種の存在につき評価される。SLIT−3核酸によってコードされるポリペプチドの発現の改変は、例えば、定量的ポリペプチド発現(すなわち、生じたポリペプチドの量)の改変であり得;SLIT-3核酸によってコードされるポリペプチドの組成の改変は定量的ポリペプチド発現(例えば、改変されたSLIT-3ポリペプチド、または異なるスプライシング変種の発現)の改変である。好ましい態様においては、SLIT-3核酸に関連する病気または疾患、またはSLIT-3核酸に関連する病気または疾患に対する罹患性の診断は、SLIT-3核酸によってコードされる特定のスプライシング変種、またはスプライシング変種の特定のパターンを検出することによってなされる。
そのような改変(定量的および定性的)双方も存在させることもできる。本明細書中で用いられるポリペプチド発現または組成における用語「改変」とは、対照試料におけるSLIT-3核酸によるポリペプチドの発現または組成と比較した、試験試料中の発現または組成の改変を言う。対照試料は(例えば、同一タイプの細胞由来)試験試料に対応する試料であり、SLIT-3核酸に関連する病気または疾患に対する罹患性によって影響されない個体由来のものである。対照試料と比較した、試験試料中のポリペプチドの発現または組成の改変は、SLIT-3核酸に関連する病気または疾患に対する罹患性を示す。同様に、試験試料中の1以上の異なるスプライシング変種の存在、または対照試料と比較した、試験試料中の有意に異なる量の異なるスプライシング変種の存在は、SLIT-3核酸に関連する病気または疾患、またはSLIT-3核酸に関連する病気または疾患に対する罹患性を示す。分光測定、熱測定、レクトロフォレシス、等電点電気泳動、およびイムノブロッティング(Current Protocols in Molecular Biology, 特に第10章参照)のようなイムノアッセイ(例えば、Davidらの米国特許第4,376,110号)を含めた、SLIT-3核酸によってコードされるポリペプチドの発現または組成を調べる種々の手段を用いることができる。例えば、1つの態様においては、(例えば、前記したような)ポリペプチドに結合することができる抗体、好ましくは検出可能な標識を持つ抗体を用いることができる。抗体はポリクローナル、またはより好ましくはモノクローナルとすることができる。インタクト抗体、またはその断片(たとえばFabまたはF(ab’)2)を用いることができる。プローブまたは抗体に関する用語「標識された」は、検出可能な物質をプローブまたは抗体にカップリング(すなわち、物理的に連結)させることによるプローブまたは抗体の直接的標識、ならびに直接的に標識されるもう1つの試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接的標識を含むことを意図する。間接的標識の例は、それが蛍光的に標識されたストレプトアビジンで検出できるように、蛍光的に標識された二次抗体およびDNAプローブのビオチンでの末端標識を用いる一次抗体の検出を含む。
改変されたSLIT-3核酸(例えば、図11に示された1以上の改変を有するSLIT-3核酸)によってコードされたポリペプチドに特異的に結合する前記した抗体、または非−改変核酸によってコードされたポリペプチドに特異的に結合する抗体、または核酸によってコードされた特定のスプライシング変種に特異的に結合する抗体を用いるウエスタンブロッティング分析を用いて、特定のスプライシング変種、または多型もしくは改変SLIT-3核酸によってコードされるポリペプチドの試験試料中の存在、あるいは特定のスプライシング変種、または非−多型または非−改変核酸によってコードされるポリペプチドの試験試料における非存在を同定することができる。多型または改変核酸によってコードされるポリペプチドの存在、または非−多型または非−改変核酸によってコードされるポリペプチドの非存在は、SLIT-3核酸によってコードされる特定のスプライシング変種の存在(または非存在)と同様に、SLIT-3核酸に関連する病気または疾患、またはSLIT-3核酸に関連する病気もしくは疾患(例えば、II型糖尿病)に対する罹患性の診断である。
この方法の1つの態様において、試験試料中のSLIT-3核酸によってコードされるポリペプチドのレベルまたは量を、対照試料中のSLIT-3によってコードされるポリペプチドのレベルまたは量と比較する。差が統計学的に有意であるような、対照試料中のポリペプチドのレベルまたは量よりも高いまたは低い試験試料中のポリペプチドのレベルまたは量は、SLIT-3核酸によってコードされたポリペプチドの発現の改変を示し、SLIT-3核酸に関連する病気もしくは疾患、またはそのSLIT-3核酸に関連する病気または疾患(たとえば、II型糖尿病)に対する罹患性の診断である。あるいはまた、試験試料中のSLIT-3核酸によってコードされるポリペプチドの組成を、対照試料中のSLIT-3核酸によってコードされるポリペプチドの組成(例えば、異なるスプライシング変種の存在)と比較する。対照試料におけるポリペプチドの組成と比較した、試験試料中のポリペプチドの組成の差は、SLIT-3核酸に関連する病気もしくは疾患、またはSLIT-3核酸に関連する病気もしくは疾患(例えば、II型糖尿病)に対する罹患性についての診断である。別の態様において、ポリペプチドのレベルもしくは量および組成双方は、試験試料および対照試料で評価することができる。対照試料と比較した試験試料中のポリペプチドの量またはレベルの差;対照試料と比較した試験試料中の組成の差;あるいは量またはレベルの差、および組成の差の双方は、SLIT-3核酸に関連する病気または疾患、またはSLIT-3核酸に関連する病気または疾患に対する罹患性を示す。
本発明は、さらに、危険性があるハプロタイプを同定することによる、個体におけるII型糖尿病に対する罹患性の診断または同定方法に関する。本明細書中に記載される「ハプロタイプ」とは、図11に記載されたもののような遺伝子マーカーの組合せ(「対立遺伝子」)をいう。ある態様においては、ハプロタイプは1以上の対立遺伝子、2以上の対立遺伝子、3以上の対立遺伝子、4以上の対立遺伝子、5以上の対立遺伝子を含むことができる。遺伝子マーカーはSLIT3に関連する「多型部位」における特定の「対立遺伝子」である。1を超える配列が集団(天然集団または合成集団、例えば合成分子のライブラリーのいずれか)中で可能なヌクレオチド位置を、ここでは、「多型部位」という。多型部位が単一ヌクレオチドの長さである場合、該部位は単一ヌクレオチド多型(「SNP」)という。例えば、もし特定の染色***置において、集団の1つのメンバーがアデニンを有し、集団のもう1つのメンバーが同一位置においてチミンを有すれば、この位置は多型部位であって、より具体的には、該多型部位はSNPである。多型部位は、置換、挿入または欠失に基づいた配列中の差を可能とすることができる。多型部位に関する配列の各バージョンは、ここでは、多型部位の「対立遺伝子」という。かくして、以前の例において、SNPはアデニン対立遺伝子およびチミン対立遺伝子双方を可能とする。
典型的には、参照配列は特定の配列についていう。参照配列と異なる対立遺伝子は「変種」対立遺伝子という。例えば、参照SLIT3配列はここでは配列番号:1(図1)によって記載される。本明細書中で用いる用語「変種SLIT3」とは、配列番号:1とは異なるが、実質的に同様である配列をいう。本明細書中で記載するハプロタイプを形成する遺伝子マーカーはSLIT3変種である。さらなる変種は、ポリペプチド、例えば、SLIT3ポリペプチドに影響する変化を含むことができる。これらの配列の差は、参照ヌクレオチド配列と比較した場合、前記で詳細に記載したごとく、フレームシフトをもたらす単一ヌクレオチド、または1を超えるヌクレオチドの挿入または欠失;コードされたアミノ酸の変化をもたらす少なくとも1つのヌクレオチドの変化;未成熟停止コドンの発生をもたらす少なくとも1つのヌクレオチドの変化;ヌクレオチドによってコードされる1以上のアミノ酸の欠失をもたらすいくつかのヌクレオチドの欠失;リーディングフレームのコーディング配列の中断をもたらす、非同等組換えまたは遺伝子変換のような1個または数個のヌクレオチドの挿入;配列の全部または一部の複製;移動;またはヌクレオチド配列の再編成を含むことができる。そのような配列変化はSLIT3核酸によってコードされるポリペプチドを改変する。例えば、もし核酸配列における変化がフレームシフトを引き起こすならば、該フレームシフトはコードされたアミノ酸の変化をもたらしかねず、および/または未成熟停止コドンの発生をもたらしかねず、トランケートされたポリペプチドの発生を引き起こす。あるいはまた、II型糖尿病に関連する多型、またはII型糖尿病に対する罹患性は、1以上のヌクレオチドにおける同義変化(すなわち、アミノ酸配列に変化をもたらさない変化)であり得る。そのような多型は、例えば、スプライス部位を改変し、mRNAの安定性または輸送に影響し、あるいはポリペプチドの転写または翻訳に影響し得る。参照ヌクレオチド配列によってコードされたポリヌクレオチドは、特定の参照アミノ酸配列を持つ「参照」ポリペプチドであり、変種対立遺伝子によってコードされたポリペプチドは、変種アミノ酸配列を持つ「変種」ポリペプチドという。
ハプロタイプは遺伝子マーカー、例えば、多型部位における特定の対立遺伝子の組合せである。本明細書中に記載するハプロタイプ、例えば、表2および5に示したものは、II型糖尿病を持たない個体におけるよりもII型糖尿病を持つ個体においてより頻繁に見出される。従って、これらのハプロタイプは、個体において、II型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性を検出するための予測価値を有する。本明細書中に記載するハプロタイプは、種々の遺伝子マーカー、例えば、SNPおよびマイクロサテライトの組合せである。従って、ハプロタイプの検出は、前記した方法のような、多型部位における配列を決定するための当該分野で知られた方法によって達成することができる。
本明細書中に記載されたある種の方法において、II型糖尿病に対する危険性がある個体は、危険性があるハプロタイプが同定された個体である。1つの態様において、危険性があるハプロタイプは、II型糖尿病の有意な危険性を付与するものである。1つの態様において、ハプロタイプに関連する有意性はオッズ比によって測定される。さらなる態様において、該有意性はパーセンテージによって測定される。1つの態様において、有意な危険性は、限定されるものではないが、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8および1.9を含めた、少なくとも約1.2のオッズ比として測定される。さらなる態様において、少なくとも1.2のオッズ比が有意である。さらなる態様において、少なくとも約1.5のオッズ比が有意である。さらなる態様において、少なくとも約1.7の危険性の有意な増加は有意である。さらなる態様において、危険性の有意な増加は少なくとも約20%であり、限定されるものではないが、約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%および98%を含む。さらなる態様において、危険性の有意な増加は少なくとも約50%である。しかしながら、危険性が医学的に有意であるか否かを決定するのは、具体的な病気、ハプロタイプおよび、しばしば、環境因子を含めた種々の因子に依存し得る。
また、本発明は、健康な個体(対照)におけるその存在の頻度と比較して、II型糖尿病に罹患した個体(罹患)により頻繁に存在するSLIT-3核酸における危険性のあるハプロタイプについてスクリーニングすることを含み、ここで、ハプロタイプの存在はII型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性を示す、個体においてII型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性を診断する方法に関する。蛍光ベースの技術(Chenら、Genome Res.9, 492(1999))PCR、LCR、ネステッドPCR、および核酸増幅のための他の技術のような、II型糖尿病に関連するSNPおよび/またはマイクロサテライトマーカーの存在についての遺伝子型タイピングのための標準的な技術を用いることができる。好ましい態様においては、該方法は、個体において、II型糖尿病に関連するSLIT-3核酸におけるSNPおよび/またはマイクロサテライトの存在または頻度を評価することを含み、ここで、健康な対照個体と比較したSNPおよび/またはマイクロサテライトの過剰な、またはより高い頻度は、該個体がII型糖尿病を有するか、II型糖尿病に対して罹患性であることを示す。スクリーニングツールとして用いることができるハプロタイプを含むSNPおよびマーカーについては、図11参照。II型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性を決定するための診断試験の設計で用いられるSNPおよびマーカーを記載する図11も参照されたし。例えば、危険性があるハプロタイプは、図11に記載されたもののようなマイクロサテライトマーカーおよび/またはSNPを含むことができる。ハプロタイプの存在は、II型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性の診断である。ハプロタイプ分析は、LODスコアを用いる候補罹患性遺伝子座を規定することを含む。次いで、規定された領域を、100kb未満のマーカーの間の平均的間隔を有するマイクロサテライトマーカーで超微細マッピングする。公のデータベースで見出され、その領域内でマップされた全ての使用可能なマイクロサテライトマーカーを用いることができる。加えて、ヒトゲノムのdeCODE遺伝子配列アセンブリー内で同定されたマイクロサテライトマーカーを用いることができる。
期待−最大化アルゴリズムを用いる患者および対照群におけるハプロタイプの頻度は見積もることができる(Dempster A.ら、1977, J.R.Stat.Soc.B, 39:1-389)。欠けている遺伝子型および相での不確実性を扱うことができるこのアルゴリズムの実施を用いることができる。帰無仮説下では、患者および対照は同一の頻度を有すると推定される。尤度アプローチを用い、他のハプロタイプの頻度の比率は両群で同一であると推定されるのに対し、本明細書中に記載されたマーカーを含むことができる、候補危険ハプロタイプが対照よりも患者においてより高い頻度を有することが許容される代替仮説が検定される。尤度は両仮説下で別々に最大化され、対応する1-df尤度比率の統計学を用いて、統計的有意性を評価する。
1−lodドロップにおいて危険性があるハプロタイプを探すためには、例えば、遺伝子型決定マーカーの全ての可能な組合せの関連を調べ、但し、それらのマーカーは現実的な領域にわたるものとする。組合わせた患者および対照の群は、2つの組、すなわちサイズが等しい患者および対照の元々の群にランダムに分割することができる。次いで、ハプロタイプ分析を反復し、最も有意な登録p−値を決定する。このランダム化スキームは、例えば、100回にわたって反復して、p−値の経験的な分布を構築することができる。
表2(A1、A2、A3、A4、A5、A6、B1、B2、B3、B4およびB5として同定されるハプロタイプ)または表5(C1、C2、C3、C4およびC5として同定されるハプロタイプ)で同定される危険性があるハプロタイプを、II型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性と関連付ける。ある態様において、II型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性と関連付けられたハプロタイプは、5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S879、DG5S881、D5S2075、DG5S883、DG5S38を含み;5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S1058およびDG5S37を含み;5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S1058、DG5S37、DG5S101を含み;5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S881、DG5S1058、D5S2075、DG5S883、DG5S38を含み;5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S879、DG5S1058、DG5S37を含み;5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S881、D5S2075、DG5S883、DG5S38を含み;5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S953、DG5S955、DG5S13、DG5S959を含み;5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S888およびDG5S953を含み;5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S953、DG5S955、DG5S124を含み;5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S888、DG5S44、DG5S953を含み;5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S953、DG5S955、DG5S13、DG5S123、DG5S959を含み;5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S881、SLT 90256、SLT 89801、SLT 8967、SLT 278を含み;5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S881、SLT 89801、DG5S1645、SLT 8967、SLT 278を含み;5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S881、SLT 89801、DG5S1645、SLT 8967、SLT 8778を含み;5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S881、SLT 90256、SLT 89801、SLT 8967、SLT 8778を含み;または5q35遺伝子座におけるマーカーDG5S881、rs297898、SLT 89801、DG5S1645、SLT 8967を含む。
ハプロタイプの存在はII型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性の診断である。
特定の態様において、DG5S879、DG5S881、D5S2075、DG5S883、DG5S38におけるハプロタイプ0、4、-4、0、4;DG5S1058およびDG5S37におけるハプロタイプ4、-6;DG5S1058、DG5S37、DG5S101におけるハプロタイプ4、-6、0;DG5S881、DG5S1058、D5S2075、DG5S883、DG5S38におけるハプロタイプ4、4、-4、0、4;DG5S879、DG5S1058、DG5S37におけるハプロタイプ0、4、-6;DG5S881、D5S2075、DG5S883、DG5S38におけるハプロタイプ4、-4、0、4;DG5S953、DG5S955、DG5S13、DG5S959におけるハプロタイプ0、0、0、5;DG5S888およびDG5S953におけるハプロタイプ27、0;DG5S953、DG5S955、DG5S124におけるハプロタイプ0、0、4;DG5S888、DG5S44、DG5S953におけるハプロタイプ27、0、0;DG5S953、DG5S955、DG5S13、DG5S123、DG5S959におけるハプロタイプ0、0、0、0、5;DG5S881、SLT 90256、SLT 89801、SLT 8967、SLT 278におけるハプロタイプ4、G、G、C、G;DG5S881、SLT 89801、DG5S1645、SLT 8967、SLT 278におけるハプロタイプ4、G、0、C、G;DG5S881、SLT 89801、DG5S1645、SLT 8967、SLT 8778におけるハプロタイプ4、G、0、C、T;DG5S881、SLT 90256、SLT 89801、SLT 8967、SLT 8778におけるハプロタイプ4、G、G、C、T;DG5S881、rs297898、SLT 89801、DG5S1645、SLT 8967におけるハプロタイプ4、T、G、0、Cの存在はII型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性の診断である。
別の態様において、危険性があるハプロタイプは、以下のマイクロサテライトマーカーおよびSNP:表2および/または表5におけるハプロタイプで記載された1以上のマーカー、表4に記載された1以上のマーカーによって規定される有意なマーカーおよびSNPハプロタイプによって特徴付けられる。これらのマーカーおよびSNPは、前記したごとく、II型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性を決定するための診断試験を設計するのに用いることができる危険性があるハプロタイプを表す。
別の態様において、危険性があるハプロタイプは図11に表された多型の存在である。SNPは図11に示された位置および示された対立遺伝子によって特徴付けられる。
診断の方法で有用なキット(例えば、試薬キット)は、例えば、本明細書中に記載された、ハイブリダイゼーションプローブまたはプライマー(例えば、標識されたプローブまたはプライマー)、標識された分子の検出用試薬、制限酵素(例えば、RFLP分析用)、対立遺伝子−特異的オリゴヌクレオチド、改変されたまたは非−改変(天然)SLIT-3ポリペプチドに結合する抗体、SLIT-3を含む核酸の増幅用手段、またはSLIT-3核酸の核酸配列を分析するための、またはSLIT-3ポリペプチドのアミノ酸配列を分析するための手段を含めた、本明細書中に記載された方法のいずれかで有用な化合物を含む。1つの態様において、II型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性を診断するためのキットは、II型糖尿病を有するか、またはII型糖尿病に罹患性がある個体により頻繁に存在する危険性があるハプロタイプを含むSLIT-3核酸中の領域の核酸増幅用のプライマーを含むことができる。該プライマーは、II型糖尿病を示すSNPに隣接する核酸の部分を用いて設計することができる。ある態様においては、プライマーは、図11に示されたII型糖尿病に対する危険性があるハプロタイプ、より特別には、以下のマーカーおよびSNP:5q35の遺伝子座における、表2および/または表5におけるハプロタイプに記載された1以上のマーカー、および/または表4に記載された1以上のマーカーを含むハプロタイプに関連付けられたSLIT遺伝子の領域を増幅するように設計される。
スクリーニングアッセイおよびそれにより同定される薬剤
本発明は、本発明の核酸にハイブリダイズする分子の存在を同定するための、ならびに本発明の核酸によってコードされるポリペプチドの存在を同定するための方法(ここでは「スクリーニングアッセイ」ともいう)を提供する。1つの態様において、試料中の目的とする核酸分子(例えば、本発明の核酸に対して有意な相同性を有する核酸)の存在(または非存在)は、試料を、前記したストリンジェント条件下で、本発明の核酸を含む核酸(例えば、図10に示された配列の1つの配列を有する核酸、その相補体、または図10に示された配列の1つの配列を有するアミノ酸をコードする核酸、またはそのような核酸の断片または変種)と接触させ、次いで、ハイブリダイゼーションの存在(または非存在)につき試料を評価することによって評価することができる。1つの態様において、高ストリンジェンシー条件は、選択的ハイブリダイゼーションに適した条件である。別の態様において、目的とする核酸分子を含む試料を、目的とする核酸分子(例えば、SLIT-3核酸)の一部に対して少なくとも部分的に相補的な連続ヌクレオチド配列(例えば、前記したプライマーまたはプローブ)を含む核酸と接触させ、接触させた試料をハイブリダイゼーションの存在または非存在につき評価する。もう1つの態様において、連続ヌクレオチド配列を含む核酸は、目的とする核酸分子の一部に対して完全に相補的である。
本発明は、本発明の核酸にハイブリダイズする分子の存在を同定するための、ならびに本発明の核酸によってコードされるポリペプチドの存在を同定するための方法(ここでは「スクリーニングアッセイ」ともいう)を提供する。1つの態様において、試料中の目的とする核酸分子(例えば、本発明の核酸に対して有意な相同性を有する核酸)の存在(または非存在)は、試料を、前記したストリンジェント条件下で、本発明の核酸を含む核酸(例えば、図10に示された配列の1つの配列を有する核酸、その相補体、または図10に示された配列の1つの配列を有するアミノ酸をコードする核酸、またはそのような核酸の断片または変種)と接触させ、次いで、ハイブリダイゼーションの存在(または非存在)につき試料を評価することによって評価することができる。1つの態様において、高ストリンジェンシー条件は、選択的ハイブリダイゼーションに適した条件である。別の態様において、目的とする核酸分子を含む試料を、目的とする核酸分子(例えば、SLIT-3核酸)の一部に対して少なくとも部分的に相補的な連続ヌクレオチド配列(例えば、前記したプライマーまたはプローブ)を含む核酸と接触させ、接触させた試料をハイブリダイゼーションの存在または非存在につき評価する。もう1つの態様において、連続ヌクレオチド配列を含む核酸は、目的とする核酸分子の一部に対して完全に相補的である。
これらの態様のいずれにおいても、目的とする核酸の全てまたは一部は、ハイブリダイゼーションの実行に先立って増幅に供すことができる。
別の態様において、試料中の、本発明のポリペプチドまたはその断片または変種のような目的とするポリペプチドの存在(または非存在)は、試料を、目的とするポリペプチドに特異的にハイブリダイズする抗体(例えば、前記したもののような抗体)と接触させ、次いで、目的とするポリペプチドへの抗体の結合の存在(または非存在)につき試料を評価することによって評価することができる。
別の態様において、本発明は、本明細書中に記載されたポリペプチドの活性を改変する(例えば、増加または減少させる)か、あるいはそうでなければ該ポリペプチドと相互作用する薬剤(例えば、融合タンパク質、ポリペプチド、ペプチド擬似物、プロドラッグ、受容体、結合剤、抗体、低分子もしくは他の薬物、またはリボザイム)を同定する方法を提供する。例えば、そのような薬剤は本明細書中に記載されたポリペプチドに結合する(例えば、SLIT-3結合剤);例えば、本発明のポリペプチドの活性に対する刺激性または阻害性効果を有する;またはSLIT-3結合剤と相互作用する本発明のポリペプチドの能力を変化させる(例えば、増強または阻害する)(例えば、受容体または他の結合剤);またはSLIT-3ポリペプチドの翻訳後プロセッシングを改変する(例えば、タンパク質分解プロセッシングを改変して、それが通常合成される場所から、細胞表面のような細胞中のもう1つの場所に向ける薬剤;より多くのポリペプチドが細胞から放出されるように、タンパク質分解プロセッシングを改変する薬剤)薬剤を同定するための手段を提供する。
1つの態様において、本発明は、本明細書中に記載されたポリペプチド(またはその生物学的に活性な部分)に結合するかまたはその活性を調節する候補または試験薬剤を、スクリーニングするためのアッセイ、ならびに該アッセイによって同定可能な薬剤を提供する。試験薬剤は、生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な平行固相または液相ライブラリー;解析を必要とする合成ライブラリー方法;「1−ビーズ−1−化合物」ライブラリー方法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー方法を含めた、当該分野で知られたコンビナトリアルライブラリー方法における多数のアプローチのいずれかを用いて得ることができる。生物学的ライブラリーアプローチはポリペプチドライブラリーに制限され、他方、他の4つのアプローチはポリペプチド、非−ペプチドオリゴマー、または化合物の低分子ライブラリーに適用可能である(Lam, K.S., Anticancer Drug Des.12:145(1997))。
1つの態様において、SLIT-3ポリペプチドの活性を改変する薬剤を同定するためには、SLIT-3ポリペプチド、(図11に示された1以上の多型を含む核酸のような)SLIT-3核酸によってコードされた別のスプライシング変種、または(前記した)その断片もしくは誘導体を含有するかもしくは発現する細胞、細胞溶解物、または溶液を、試験すべき薬剤と接触させることができ;あるいはまた、該ポリペプチドは試験すべき薬剤と直接接触させることができる。SLIT-3活性のレベル(量)を評価し(例えば、SLIT-3活性のレベル(量)を直接または間接的に測定し)、対照における活性のレベル(すなわち、試験すべき薬剤の非存在下における、SLIT-3ポリペプチドまたはその活性な断片もしくは誘導体の活性のレベル)と比較する。もし薬剤の存在下における活性のレベルが、薬剤の非存在下における活性のレベルとは、統計学的に有意である量だけ異なるならば、該薬剤は、SLIT-3ポリペプチドの活性を改変する薬剤である。対照に対するSLIT-3活性のレベルの増加は、該薬剤がSLIT-3活性を増強するか、または該活性のアゴニストである薬剤であることを示す。同様に、対照に対するSLIT-3活性のレベルの減少は、該薬剤が、SLIT-3活性を阻害する(該活性のアンタゴニストである)薬剤であることを示す。もう別の態様において、試験すべき薬剤の存在下におけるSLIT-3ポリペプチドまたはその誘導体もしくは断片の活性レベルを、以前に確立された対照レベルと比較する。統計学的に有意な量だけ対照レベルとは異なる、薬剤の存在下における活性のレベルは、該薬剤がSLIT-3活性を改変することを示す。
また、本発明は、遺伝子の発現(例えば、転写または翻訳)を改変する(例えば、増加または減少させる)、あるいはそうでなければ本明細書中に記載された核酸と相互作用するSLIT-3核酸の発現を改変する薬剤(例えば、アンチセンス核酸、融合タンパク質、ポリペプチド、ペプチド擬似物、プロドラッグ、受容体、結合剤、抗体、低分子もしくは他の薬物、またはリボザイム)を同定するアッセイ、ならびに該アッセイによって同定可能な薬剤を提供する。例えば、SLIT-3ポリペプチドをコードする核酸(例えば、SLIT-3核酸)を含有する溶液を、試験すべき薬剤と接触させることができる。該溶液は、例えば、核酸を含有する細胞または核酸を含有する細胞溶解物を含むことができ;あるいはまた、該溶液は、核酸の転写/翻訳に必要なエレメントを含む別の溶液であり得る。また、所望であれば、溶液に懸濁しない細胞を使用することもできる。SLIT-3発現のレベルおよび/またはパターン(例えば、異なるスプライシング変種のレベルおよび/またはパターンのような、発現されたmRNAまたはタンパク質のレベルおよび/またはパターン)を評価し、対照における発現のレベルおよび/またはパターン(すなわち、試験すべき薬剤の非存在下におけるSLIT-3発現のレベルおよび/またはパターン)と比較する。もし薬剤の存在下におけるレベルおよび/またはパターンが、薬剤の非存在下におけるレベルおよび/またはパターンとは、統計学的に有意な量または様式で異なるならば、該薬剤は、II型糖尿病遺伝子の発現を改変する薬剤である。SLIT-3発現の増強は、該薬剤がSLIT-3活性のアゴニストであることを示す。同様に、SLIT-3発現の阻害は、該薬剤がSLIT-3活性のアンタゴニストであることを示す。別の態様において、試験すべき薬剤の存在下におけるSLIT-3ポリペプチドのレベルおよび/またはパターン(例えば、異なるスプライシング変種)を、従前に確立されている対照のレベルおよび/またはパターンと比較する。統計学的に有意な量または様式で対照レベルおよび/またはパターンと異なる薬剤の存在下におけるレベルおよび/またはパターンは、該薬剤がSLIT-3発現を改変する薬剤であることを示す。
本発明の別の態様において、SLIT-3核酸の発現を改変するかまたは本明細書中に記載された核酸と相互作用する薬剤は、レポーター遺伝子に作動可能に連結されたSLIT-3核酸のプロモーター領域をコードする核酸を含有する細胞、細胞溶解物、または溶液を用いて同定することができる。試験すべき薬剤との接触の後、レポーター遺伝子の発現のレベル(例えば、発現すべきmRNAまたはタンパク質のレベル)を評価し、対照における発現のレベル(すなわち、試験すべき薬剤の非存在下におけるレポーター遺伝子の発現のレベル)と比較する。もし薬剤の存在下におけるレベルが、薬剤の非存在下におけるレベルとは、統計学的に有意な量または様式で異なるならば、該薬剤は、SLIT-3核酸プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の発現を改変するその能力によって示されるように、SLIT-3の発現を改変する薬剤である。レポーターの発現の増強は、該薬剤がSLIT-3のアゴニストであることを示す。同様に、レポーターの発現の阻害は、該薬剤がSLIT-3のアンタゴニストであることを示す。別の態様において、試験すべき薬剤の存在下におけるレポーターの発現のレベルを、従前に確立されている対照レベルと比較する。統計学的に有意な量または様式で対照レベルとは異なる薬剤の存在下におけるレベルは、該薬剤が発現を改変することを示す。
SLIT-3核酸によってコードされる異なるスプライシング変種の量を改変する薬剤(例えば、第一のスプライシング変種の活性を増強し、且つ第二のスプライシング変種の活性を阻害する薬剤)、ならびに第一のスプライシング変種の活性のアゴニストおよび第二のスプライシング変種の活性のアンタゴニストである薬剤は、前記したこれらの方法を用いて容易に同定することができる。
本発明の他の態様において、アッセイを用いて、SLIT-3結合剤に関連するポリペプチドの活性に対する試験薬剤の影響力を評価することができる。例えば、SLIT-3ポリペプチドと相互作用する化合物(本明細書においては「SLIT-3結合剤」と呼び、レポーターのような、SLIT-3ポリペプチドと相互作用するポリペプチドまたは他の分子であり得る)を発現する細胞を、試験薬剤の存在下でSLIT-3と接触させ、SLIT-3およびSLIT-3結合剤の間の相互作用を改変する試験薬剤の能力を決定する。あるいはまた、SLIT-3結合剤を含有する細胞溶解物または溶液を用いることができる。SLIT-3またはSLIT-3結合剤に結合する薬剤は、SLIT-3結合剤に結合し、それと会合し、またはそうでなければ相互作用するSLIT-3の能力に干渉するか、あるいはそれを増強することによって相互作用を改変することができる。SLIT-3ポリペプチドまたはSLIT-3結合剤に結合する試験薬剤の能力の測定は、例えば、試験薬剤のポリペプチドへの結合を、直接または間接的に125I、35S、14Cまたは3Hでの標識を検出することによって測定することができ、放射の直接的計数によって、またはシンチレーション計数によって放射性同位体を検出することができるように、試験薬剤を放射性同位体または酵素標識をカップリングさせることによって達成させることができる。あるいはまた、試験薬剤は、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素的に標識することができ、そしてこの酵素的標識は、適当な基質の生成物への変換の決定によって検出される。相互反応体のいずれかを標識することなく、ポリペプチドと相互作用する試験薬剤の能力を決定するのも、本発明の範囲内のものである。例えば、ミクロフィジオメーターを用いて、試験薬剤、SLIT-3核酸、またはSLIT-3結合剤を標識することなく、試験薬剤の、SLIT-3核酸またはSLIT-3結合剤との相互作用を検出することができる。McConnell, H.M.ら、Science 257:1906-1912(1992)。本明細書中で用いるごとく、「ミクロフィジオメーター」(例えば、Cytosensor(商標))は、光−アドレス可能ポテンシオメトリックセンサー(LAPS)を用いてその環境を細胞が酸性化する速度を測定する分析機器である。酸性化速度の変化は、リガンドおよびポリペプチドの間の相互作用の指標として用いることができる。
かくして、これらの受容体を用いて、SLIT-3遺伝子と関連する病気または疾患を治療するのに用いるか、またはSLIT-3遺伝子に関連する病気または疾患(例えば、II型糖尿病)に対する罹患性を治療するための、アゴニストまたはアンタゴニストである化合物をスクリーニングすることができる。薬物は、SLIT-3活性化を調節するように設計して、シグナル伝達経路、および遺伝子下流の転写事象を調節するのに用いることができるか、あるいはタンパク質またはポリペプチドとSLIT-3との相互作用を改変するように設計することができる。
本発明の別の態様において、アッセイを用いて、本明細書中で記載したごとく、1以上のSLIT-3ポリペプチドと相互作用するポリペプチドを同定することができる。例えば、FieldsおよびSong(Fields, S.およびSong, O., Nature 340:245-246(1989))によって記載されたもののような酵母2−ハイブリッド系を用いて、1以上のSLIT-3ポリペプチドと相互作用するポリペプチドを同定することができる。そのような酵母2−ハイブリッド系においては、ベクターは、2つの機能的ドメイン(DNA結合ドメインおよび転写活性化ドメイン)を有する転写因子の柔軟性に基づいて構築される。もし2つのドメインが分離されるが、相互に相互作用する2つの異なるタンパク質に融合されれば、転写活性化は達成することができ、特異的マーカー(例えば、HisおよびAdeのような栄養マーカー、またはLacZのような色マーカー)の転写を用いて、相互作用および転写活性化の存在を同定することができる。例えば、本発明の方法においては、DNA結合ドメインおよびSLIT-3ポリペプチドをコードする核酸、スプライシング変種、またはその断片もしくは誘導体を含む第一のベクターを用い、ならびに転写活性化ドメインをコードする核酸および潜在的にSLIT-3ポリペプチドと相互作用し得るポリペプチドをコードする核酸、スプライシング変種、またはその断片もしくは誘導体(例えば、SLIT-3ポリペプチド結合剤または受容体)を含む第二のベクターを用いる。適当な条件(例えば、Clontech(Palo Alto, California USA)のMatchmaker(商標)系で用いられるような接合条件)下での第一のベクターおよび第二のベクターを含有する酵母のインキュベーションは、目的とするマーカーを発現するコロニーの同定を可能とする。これらのコロニーを調べて、SLIT-3ポリペプチドまたはその断片もしくは誘導体と相互作用するポリペプチドを同定することができる。そのようなポリペプチドは、前記したごとく、SLIT-3ポリペプチドの発現の活性を改変する薬剤として有用であり得る。
本発明の前記アッセイ方法の1を超える態様において、SLIT-3核酸、SLIT-3結合剤、またはアッセイの他の成分のいずれかを固体支持体上に固定化して、ポリペプチドの一方、または双方の複合体を形成していない形態からの複合体を形成している形態の分離を容易とし、ならびにアッセイの自動化に適応することが望ましい。試験薬剤のポリペプチドへの結合、または試験薬剤の存在下および非存在下におけるポリペプチドの結合剤との相互作用は、反応体を含有するのに適したいずれかの容器中で達成することができる。そのような容器の例はマイクロタイタープレート、試験管、およびミクロ遠心管を含む。1つの態様において、融合タンパク質(例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合タンパク質)を提供することができ、これは、SLIT-3核酸またはSLIT-3結合剤がマトリックスまたは他の固体支持体に結合することを可能とするドメインを加える。
もう1つの態様において、SLIT-3をコードする核酸を含有する細胞、細胞溶解物、または溶液を試験薬剤と接触させ、細胞、細胞溶解物または溶液中の適当なmRNAまたはポリペプチド(例えば、スプライシング変種)の発現を測定する方法で、本発明の核酸分子の発現のモジュレーターを同定する。試験薬剤の存在下における適当なmRNAまたはポリペプチドの発現のレベルを、試験薬剤の非存在下におけるmRNAまたはポリペプチドの発現のレベルと比較する。次いで、試験薬剤は、この比較に基づいて発現のモジュレーターとして同定することができる。例えば、mRNAまたはポリペプチドの発現が、試験薬剤の非存在下におけるよりもその存在下においてより大きい(統計学的に有意により大きい)場合には、試験薬剤は、mRNAまたはポリペプチドの発現の刺激物質またはエンハンサーとして同定される。あるいはまた、mRNAまたはポリペプチドの発現が試験薬剤の非存在下におけるよりもその存在下においてより小さい(統計学的に有意により小さい)場合には、試験薬剤は、mRNAまたはポリペプチド発現の阻害剤として同定される。細胞におけるmRNAまたはポリペプチド発現のレベルは、mRNAまたはポリペプチドを検出するための本明細書中で記載された方法によって測定することができる。
本発明は、さらに、前記したスクリーニングアッセイによって同定された新規な薬剤に関する。従って、適当な動物モデルにおいて本明細書中に記載したように同定された薬剤をさらに用いるのは本発明の範囲内のものである。例えば、本明細書中に記載したように同定された薬剤(例えば、調節剤、アンチセンス核酸分子、特異的抗体、またはポリペプチド−結合剤である試験薬剤)は、動物モデルで用いて、そのような薬剤での治療の効能、毒性または副作用を測定することができる。あるいはまた、本明細書中に記載したごとく同定された薬剤は、動物モデルで用いて、そのような薬剤の作用メカニズムを決定することができる。
さらに、本発明は、本明細書中に記載されたような試料のための、ならびに本明細書中で記載された治療におけるように、治療で用いる医薬の製造のための、前記スクリーニングアッセイによって同定された新規な薬剤の使用に関する。加えて、本明細書中で記載されたごとく同定された薬剤を用いて、SLIT-3核酸によってコードされるポリペプチドの活性を改変し、あるいはポリペプチドまたは核酸を本明細書中で記載されたごとく同定された薬剤と接触させる(またはポリペプチドまたは核酸を含む細胞を接触させる)ことによって、SLIT-3核酸の発現を改変することができる。
医薬組成物
また、本発明は、本明細書中に記載された核酸、特に本明細書中に記載されたポリペプチドをコードするヌクレオチドを含み;本明細書中に記載されたポリペプチドを含み、および/またはSLIT-3核酸によってコードされた他のスプライシング変種;ならびに/あるいは本明細書中に記載されたようにSLIT-3核酸発現またはSLIT-3ポリペプチド活性を改変する(例えば、増強させるかまたは阻害する)薬剤を含む医薬組成物に関する。例えば、ポリペプチド、タンパク質(例えば、SLIT-3核酸レポーター)、SLIT-3核酸発現を改変する薬剤、またはSLIT-3結合剤または結合パートナー、その断片、融合タンパク質またはプロドラッグ、または本発明のヌクレオチドを含むヌクレオチドまたは核酸構築体(ベクター)、またはSLIT-3ポリペプチド活性を改変する薬剤を、医薬上許容され得る担体または賦形剤とともに製剤化し、医薬組成物を調製することができる。担体および組成物は滅菌することができる。該製剤は投与の形態に適するべきである。
また、本発明は、本明細書中に記載された核酸、特に本明細書中に記載されたポリペプチドをコードするヌクレオチドを含み;本明細書中に記載されたポリペプチドを含み、および/またはSLIT-3核酸によってコードされた他のスプライシング変種;ならびに/あるいは本明細書中に記載されたようにSLIT-3核酸発現またはSLIT-3ポリペプチド活性を改変する(例えば、増強させるかまたは阻害する)薬剤を含む医薬組成物に関する。例えば、ポリペプチド、タンパク質(例えば、SLIT-3核酸レポーター)、SLIT-3核酸発現を改変する薬剤、またはSLIT-3結合剤または結合パートナー、その断片、融合タンパク質またはプロドラッグ、または本発明のヌクレオチドを含むヌクレオチドまたは核酸構築体(ベクター)、またはSLIT-3ポリペプチド活性を改変する薬剤を、医薬上許容され得る担体または賦形剤とともに製剤化し、医薬組成物を調製することができる。担体および組成物は滅菌することができる。該製剤は投与の形態に適するべきである。
適当な医薬上許容され得る担体は、限定されるものではないが、水、塩溶液(例えば、NaCl)、生理食塩水、緩衝生理食塩水、アルコール、グリセロール、エタノール、アラビアガム、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロースまたは澱粉、デキストロースのような炭水化物、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど、ならびにその組合せを含む。医薬調製物は、所望であれば、活性剤と有害には反応しない補助剤、例えば、滑沢剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝液、着色剤、香味料および/または芳香物質などと混合することができる。
該組成物は、所望であれば、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することもできる。組成物は液状溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放製剤、または粉末とすることができる。組成物は伝統的な結合剤およびトリグリセライドのような担体とで座薬として処方することができる。経口製剤は医薬グレードのマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような標準的な担体を含むことができる。
これらの組成物の導入方法は、限定されるものではないが、皮内、筋肉内、腹腔内、眼内、静脈内、皮下、局所、経口および鼻腔内を含む。導入の他の適当な方法は(後に述べる)遺伝子治療、再充填可能または生分解性デバイス、粒子加速デバイス(「遺伝子銃」)および遅延放出ポリマーデバイスを含むこともできる。また、本発明の医薬組成物は他の薬剤との組合せ療法の一部として投与することもできる。
組成物は、ヒトへの投与に適合した医薬組成物として常套的な手法に従って製剤化することができる。例えば、静脈内投与用の組成物は、典型的には、滅菌等張水性緩衝液中の溶液である。必要であれば、組成物は、可溶化剤、および注射部位における痛みを和らげるための局所麻酔剤を含むこともできる。一般には、成分は、成分を別々に供給するか、あるいは例えば、活性剤の量を示すアンプルまたはサシェ剤のような密封された容器中の凍結乾燥粉または無水分濃縮物として一緒に単位投与形態に混合される。組成物が注入によって投与されるべき場合、それは、滅菌医薬グレードの水、生理食塩水またはデキストロース/水を含有する注入ボトルに分配することができる。組成物が注射によって投与される場合、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルを、成分が投与に先立って混合できるように供することができる。
局所投与では、局所適用に適合した担体を含み、好ましくは水よりも大きな動的粘性を有する非噴霧性形態、粘性ないし半固体または固体形態を使用することができる。好適な製剤としては、限定されるものではないが、溶液、懸濁液、エマルジョン、クリーム、軟膏、粉末、注腸剤、ローション、ゾル、リニメント、膏薬、エアロゾルなどが挙げられ、これらは、所望であれば、滅菌し、あるいは補助剤、例えば、保存剤、安定化剤、湿潤剤、緩衝液、または浸透圧に影響する塩と混合される。該薬剤は化粧用製剤に配合することができる。局所適用では、適当なのは噴霧可能なエアロゾル処方であり、ここで、好ましくは固体または液体の不活性な担体物質と組合わせて、有効成分が圧搾容器に充填され、あるいは圧縮された揮発性の通常はガス状のプロペラント、例えば、圧縮空気と混合される。
本明細書中に記載した薬剤は中性または塩形態として製剤化することができる。
医薬上許容され得る塩は、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するもののような、遊離アミノ基とで形成された塩、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、第二鉄水酸化物、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するもののような、遊離カルボキシル基とで形成された塩を含む。
薬剤は治療上有効量にて投与される。特定の障害または疾患の治療で治療的に有効である薬剤の量は、障害または疾患の性質に依存し、これは、標準的な臨床技術によって決定することができる。加えて、インビトロまたはインビボアッセイを所望により使用して、最適な投与量範囲を突き止めるのを助けることができる。また、製剤において使用される正確な用量は投与の経路、病気の症状の重篤度に依存し、担当医師および各患者の状況の判断に従って決定されるべきである。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から得られる用量−応答曲線から外挿することができる。
また、本発明は、本発明の医薬組成物の1以上の成分を充填した1以上の容器を含む医薬パックまたはキットを提供する。任意に、そのような容器と組み合わせることができるのは、医薬または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する当局によって規定された形態の注意書きであり、その注意書きは、ヒト投与についての製造、使用または販売の当局による認可を反映する。該パックまたはキットは、投与態様、薬物投与の順番(例えば、別々、順次または同時)に関する情報を記すことができる。また、該パックまたはキットは、治療を受ける患者の注意を喚起するための手段を含む。該パックまたはキットは組合せ療法の単一単位用量とすることができるか、あるいはそれは複数の単位用量とすることができる。特に、薬剤を分離し、任意の組み合わせにおいて一緒に混合し、単一のバイアルまたは錠剤にて供することができる。ブリスターパックまたは他の分配手段に組立てられた薬剤が好ましい。本発明の目的では、単位用量は、各薬剤の個々の薬物動態学に依存し、標準的な時間経過にてFDA認可の用量にて投与される投与量を意味することを意図する。
治療の方法
また、本発明は、SLIT-3、またはRoundaboutまたはRoboファミリーのメンバーに関連するある種の病気および疾患のための処置(予防および/または治療)の方法に関する。このファミリーはSLIT-3およびRoboファミリーのメンバーの相互作用に関連するポリペプチド(例えば、robo1、robo2およびrig.1に対する受容体)および他の分子を含む。本発明は、加えて、前記したごとく、SLIT-3、またはRoundaboutまたはRoboファミリーのメンバーと関連するある種の病気および疾患に対する処置のような医薬の製造のための、SLIT-3およびRoboファミリーのメンバーの相互作用に関連するポリペプチドおよび他の分子の使用に関する。
また、本発明は、SLIT-3、またはRoundaboutまたはRoboファミリーのメンバーに関連するある種の病気および疾患のための処置(予防および/または治療)の方法に関する。このファミリーはSLIT-3およびRoboファミリーのメンバーの相互作用に関連するポリペプチド(例えば、robo1、robo2およびrig.1に対する受容体)および他の分子を含む。本発明は、加えて、前記したごとく、SLIT-3、またはRoundaboutまたはRoboファミリーのメンバーと関連するある種の病気および疾患に対する処置のような医薬の製造のための、SLIT-3およびRoboファミリーのメンバーの相互作用に関連するポリペプチドおよび他の分子の使用に関する。
特に、本発明は、II型糖尿病治療剤を用いる、II型糖尿病、またはII型糖尿病に対する罹患性を治療する方法に関する。「II型糖尿病治療剤」は、本明細書中に記載したごとく、SLIT-3ポリペプチド活性および/またはSLIT-3核酸発現を改変する(例えば、増強または阻害する)薬剤(例えば、II型糖尿病核酸アゴニストまたはアンタゴニスト)である。ある実施形態においては、II型糖尿病治療剤は、SLIT-3またはRobo受容体ファミリーのメンバーの活性および/または核酸発現を改変するか、あるいはSLIT-3とRoboファミリーのメンバーとの間の相互作用を改変する。
II型糖尿病治療剤は、例えば、さらなるSLIT-3ポリペプチドまたはRoboファミリーポリペプチドを供することによって、またはSLIT-3核酸、またはRoboファミリーのメンバーであるポリペプチドをコードする核酸の転写または翻訳を上方制御することによって;SLIT-3ポリペプチドまたはRoboファミリーポリペプチドの翻訳後プロセッシングを改変することによって;SLIT-3またはRoboファミリースプライシング変種の転写を改変することによって;または(例えば、SLIT-3ポリペプチドに結合することによって)SLIT-3ポリペプチド活性に干渉することによって、またはRoboファミリーのメンバーと相互作用するもう1つのポリペプチドに結合することによって、SLIT-3核酸の発現、転写または翻訳を改変(例えば、下方制御)することによって、SLIT-3核酸とRoboファミリーのメンバーとの相互作用(例えば、SLIT-3と、Roboファミリーのメンバー、例えば、robo1受容体、robo2受容体およびrig-1受容体の1以上との相互作用)を改変することによって;Roboのメンバーの活性を改変(例えば、作動させるかまたは拮抗させる)させることによるなど、種々の手段によってSLIT-3ポリペプチド活性または核酸発現を改変することができる。
代表的なII型糖尿病治療剤は以下のものを含む:
本明細書中に記載された核酸またはその断片もしくは誘導体、特に本明細書中に記載されたポリペプチドをコードするヌクレオチドおよびそのような核酸を含むベクター(例えば、SLIT-3ポリペプチドをコードする核酸またはその活性な断片もしくは誘導体またはオリゴヌクレオチド;その相補体、またはその断片もしくは誘導体、および/またはII型糖尿病核酸によってコードされた他のスプライシング変種またはその断片もしくは誘導体のような遺伝子、cDNA、および/またはmRNA);
robo1、robo2またはrig-1またはRoboファミリーポリペプチドをコードする核酸を含めた、Roboファミリーのメンバーをコードする核酸、またはその断片もしくは誘導体、およびそのような核酸を含むベクター(例えば、遺伝子、核酸、cDNA、および/またはmRNA、またはその活性な断片もしくは誘導体をコードする核酸、またはオリゴヌクレオチド;
本明細書中に記載されたポリペプチドおよび/またはSLIT-3核酸によってコードされたスプライシング変種またはその断片もしくは誘導体);
本明細書中に記載されたポリペプチドおよび/またはSLIT-3核酸によってコードされたスプライシング変種またはその断片もしくは誘導体);
Roboファミリーのメンバー(例えば、robo1)についての遺伝子によってコードされたポリペプチド、またはその断片もしくは誘導体;
他のポリペプチド(例えば、SLIT-3受容体、robo1受容体、robo2受容体およびrig-1のようなRoboファミリー受容体);SLIT-3結合剤;Roboファミリーの結合剤、またはRoboファミリーのメンバーの活性に影響する(例えば、増加または減少させる)もの;
改変されたSLIT-3ポリペプチドに対する抗体、または非−改変SLIT-3ポリペプチドに対する抗体、前記したSLIT-3核酸によってコードされた特定のスプライシング変種に対する抗体のような抗体;または改変されたrobo1ポリペプチドに対する抗体、または非−改変robo1ポリペプチドに対する抗体、またはrobo1の特定のスプライシング変種に対する抗体のようなRoboファミリーのメンバーに対する抗体;
ペプチドミメティックス;その融合タンパク質またはプロドラッグ;リボザイム;他の小さな分子;ならびに
SLIT-3核酸またはRoboファミリーのメンバーの発現またはポリペプチドの活性を改変(例えば、増強または阻害)するか、またはSLIT-3スプライシング変種またはRoboファミリーポリペプチド変種の転写を調節する他の薬剤(例えば、いずれのスプライシング変種が発現されるかに影響するか、または発現される各スプライシング変種の量に影響する薬剤)。
1を超えるII型糖尿病治療剤は、所望であれば、同時に使用することができる。
核酸であるII型糖尿病核酸治療剤は、II型糖尿病の治療において、またはII型糖尿病に対する罹患性についての治療で用いられる。本明細書中で用いる用語「治療」は、病気または疾患に関連する兆候を軽減するのみならず、病気または疾患の開始を妨げまたは遅延させる、また、病気または疾患の兆候の酷さまたは頻度を少なくすることをいう。該療法は、個体において、SLIT-3ポリペプチドまたはRoboファミリーポリペプチドの活性を改変(例えば、阻害または増強)し、置き換え、補充するように設計される。例えば、II型糖尿病治療剤は、SLIT-3核酸、またはSLIT-3核酸の特異的スプライシング変種の発現または利用性を上方制御し、または増加させ、あるいは逆に、SLIT-3核酸、またはSLIT-3核酸の特異的スプライシング変種の発現または利用性を下方制御し、または減少させるように投与することができる。天然SLIT-3遺伝子または核酸、または特別なスプライシング変種の発現または利用性の上方制御または増加は、欠陥遺伝子またはもう1つのスプライシング変種の発現または活性と干渉し、またはそれを補償し;天然SLIT-3遺伝子または特別なスプライシング変種の発現または利用性の下方制御または減少は、欠陥遺伝子または特別なスプライシング変種の発現または活性を最小化し、それにより、欠陥遺伝子または特別なスプライシング変種の影響力を最小化する。同様に、例えば、II型糖尿病治療剤を投与して、RoboファミリーのメンバーまたはRoboファミリーメンバーの特別なスプライシング変種をコードする核酸の発現または利用性を上方制御し、または増加させることができ、あるいは逆に、Roboファミリーメンバーをコードする核酸、またはRoboファミリーメンバーをコードする核酸の特異的スプライシング変種の発現または利用性を下方制御または減少させることができる。
II型糖尿病治療剤は治療上有効量(すなわち、病気に関連する兆候を軽減し、病気の開始を妨げまたは遅延させ、および/または病気の兆候の酷さまたは頻度を小さくすることによるなどして、病気を治療するのに十分な量)にて投与される。特定の個体の障害または疾患の治療において治療上有効な量は病気の兆候および重症度に依存し、標準的な臨床技術によって決定することができる。加えて、イン・ビトロまたはイン・ビボアッセイは、所望により、最適な投与量範囲を同定するのを助けるのに使用することができる。処方で使用されるべき正確な用量は投与の経路、および病気または障害の重症度にも依存し、これは、実行者および各患者の状況の判断に従って決定されるべきである。有効用量は、イン・ビトロまたは動物モデル試験系に由来する用量−応答曲線から外挿することができる。
1つの実施形態において、本発明の核酸(例えば、図10に示された配列の1つのようなSLIT-3ポリペプチドをコードする核酸、またはその相補体;SLIT-3ポリペプチドをコードするもう1つの核酸、またはそのスプライシング変種、誘導体もしくは断片)は、単独、あるいは前記したように医薬組成物にて用いることができる。例えば、SLIT-3遺伝子、またはSLIT-3ポリペプチドをコードする核酸またはcDNAはそれ自体にて、あるいはベクター内に含めて、細胞が天然SLIT-3ポリペプチドを生産するように細胞に(イン・ビトロまたはイン・ビボ)にて導入することができる。必要であれば、遺伝子またはcDNA、または遺伝子、核酸またはcDNAを含むベクターで形質転換された細胞を、病気に罹った個体に導入(または再度導入)することができる。かくして、天然では、天然SLIT-3発現および活性を欠き、または改変されたSLIT-3発現および活性を有するか、あるいは病気−関連性SLIT-3スプライシング変種の発現を有する細胞は、SLIT-3ポリペプチド、またはSLIT-3ポリペプチドの活性な断片(またはSLIT-3ポリペプチドの異なる変種)を発現するように作成することができる。ある実施形態においては、SLIT-3ポリペプチドをコードする核酸、またはその活性な断片もしくは誘導体を、ウイルスベクターのような発現ベクターに導入することができ、該ベクターは動物中の適当な細胞に導入することができる。ウイルスおよび非ウイルス導入系を含めた他の遺伝子導入系を用いることができる。別法として、リン酸カルシウム共沈殿、機械的技術(例えば、マイクロインジェクション);リポソームを介する膜融合−媒介導入;または直接的DNA取り込みのような非ウイルス遺伝子導入方法を用いることもできる。
もう1つの実施形態において、Roboファミリーポリペプチド、またはそのスプライシング変種、誘導体もしくは断片をコードする核酸は、単独で、あるいは前記した医薬組成物にて用いることができる。例えば、核酸は、それ自体で、またはベクター内に含めて、細胞が天然Roboファミリーポリペプチドを生産するように該細胞に(イン・ビトロまたはイン・ビボいずれかにて)導入することができる。必要であれば、遺伝子またはcDNA、または遺伝子、核酸またはcDNAを含むベクターで形質転換された細胞を、病気に罹った個体に導入(または再導入)することができる。かくして、天然では、天然Roboファミリーポリペプチドの発現および活性を欠くか、あるいは改変されたRoboファミリーポリペプチドの発現および活性を有するか、あるいは病気−関連性Roboファミリーポリペプチドスプライシング変種を有する細胞は、Roboファミリーポリペプチド、またはRoboファミリーポリペプチドの活性な断片(またはRoboファミリーポリペプチドの異なる変種)を発現するように作成することができる。ある実施形態においては、Roboファミリーポリペプチドをコードする核酸、またはその活性な断片もしくは誘導体は、ウイルスベクターのような発現ベクターに導入することができ、該ベクターは動物中の適当な細胞に導入することができる。ウイルスおよび非ウイルス導入系を含めた他の遺伝子導入系を用いることができる。
別法として、本発明のもう1つの実施形態において、本発明の核酸;本発明の核酸に相補的な核酸;またはそのような核酸の一部(例えば、後に記載するオリゴヌクレオチド);またはRoboファミリーのメンバーをコードする核酸は「アンチセンス」療法で用いることができ、ここで、II型糖尿病遺伝子のmRNAおよび/またはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズする核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)を投与するか、またはイン・サイチュで作り出す。mRNAおよび/またはDNAに特異的にハイブリダイズするアンチセンス核酸は、例えば、翻訳および/または転写を阻害することによって、SLIT-3ポリペプチドの発現を阻害する。アンチセンス核酸の結合は、慣用的塩基対相補性によって、あるいは例えば、DNA二重鎖への結合の場合には、二重らせんの主溝における特異的相互作用を介することができる。
本発明のアンチセンス構築体は、例えば、前記した発現プラスミドとして送達することができる。該プラスミドが細胞中で転写されると、それは、SLIT-3ポリペプチドまたはRoboファミリーポリペプチドをコードするmRNAおよび/またはDNAの一部に相補的なRNAを生じる。別法として、アンチセンス構築体は、エクス・ビボで作り出され、細胞に導入されるオリゴヌクレオチドプローブであり得る;次いで、それは、ポリペプチドのmRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズすることによって発現を阻害する。1つの実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは、内因性ヌクレアーゼ、例えば、エキソヌクレアーゼおよび/またはエンドヌクレアーゼに対して耐性であり、それにより、それらをイン・ビボで安定にする修飾されたオリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドとして用いられる例示的な核酸分子はDNAのホスホルアミデート、ホスホチオエートおよびメチルホスホネートアナログである(米国特許第5,176,996号;第5,264,564号;第5,256,775号も参照されたし)。加えて、アンチセンス療法で有用なオリゴマーの構築に対する一般的なアプローチは、例えば、Van der Krolら(Biotechniques 6:958-976(1988));およびSteinら(Cancer Res.48:2659-2668(1988))によって記載されている。アンチセンスDNAに関しては、翻訳開始部位に由来するオリゴデオキシリボヌクレオチドが好ましい。
アンチセンス療法を行うには、SLIT-3をコードするmRNAに相補的なオリゴヌクレオチド(mRNA、cDNAまたはDNA)を設計する。アンチセンスオリゴヌクレオチドはSLIT-3のmRNA転写物に結合し、翻訳を妨げる。絶対的相補性は、好ましいものであるが必要ではない。本明細書中で言及するRNAの一部に対して「相補的な」配列は、配列が、RNAとハイブリダイズでき、安定な二重鎖を形成する十分な相補性を有することを示す;二本鎖アンチセンス核酸の場合には、二本鎖DNAの一本鎖がかくして試験でき、あるいは三重鎖形成をアッセイすることができる。ハイブリダイズする能力は、後に詳細に記載するように、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さ双方に依存する。一般に、ハイブリダイズする核酸が長くなれば、それが含有し、依然として安定な二重鎖(場合によっては三重鎖)を形成するRNAとの塩基ミスマッチは多くなる。当業者であれば、標準的な手法を使用することによって、ミスマッチの許容される程度を確認することができる。
アンチセンス療法で用いるオリゴヌクレオチドはDNA、RNA、またはそのキメラ混合物または誘導体または修飾バージョン(一本鎖または二本鎖)であり得る。オリゴヌクレオチドは塩基部位、糖部位、またはリン酸骨格において修飾して、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーションなどを改良することができる。オリゴヌクレオチドは、(例えば、イン・ビボにて宿主細胞受容体を標的化するための)ペプチド、または細胞膜(例えば、Letsingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6553-6556(1989);Lemaitreら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:648-652(1987);PCT国際公開番号WO 88/09810参照)または血液−脳関門(例えば、PCT国際公開番号WO 89/10134)を横切っての輸送を容易とする薬剤、またはハイブリダイゼーション−トリガード切断剤(例えば、Krolら、Biotechniques 6:958-976(1988)参照)またはインターカレーティング薬剤(例えば、Zon, Pharm.Res.5:539-549(1988)参照)を含むことができる。この目的では、オリゴヌクレオチドはもう1つの分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーショントリガード架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション−トリガード切断剤)にコンジュゲートすることができる。
アンチセンス分子は、イン・ビボでSLIT-3を発現する分子に送達される。アンチセンスDNAまたはRNAを細胞に送達するために多数の方法を用いることができ;例えば、アンチセンス分子は組織部位に直接注入することができるか、あるいは所望の細胞を標的化するように設計された修飾されたアンチセンス分子(例えば、標的細胞表面で発現される受容体または抗原に特異的に結合するペプチドまたは抗体に連結されたアンチセンス)を全身投与することができる。別法として、好ましい実施形態においては、組換えDNA構築体が利用され、そこでは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは強力なプロモーター(例えば、pol IIIまたはpol II)の制御下に置かれる。患者中の標的細胞をトランスフェクトするためのそのような構築体の使用の結果、内因性SLIT-3転写物とで相補的塩基対を形成し、それにより、SLIT-3のmRNAの翻訳を妨げる十分な量の一本鎖RNAが転写される。例えば、ベクターが細胞に取り込まれ、アンチセンスRNAの転写を指令するように、ベクターをイン・ビボで導入することができる。そのようなベクターはエピソームのままでいることができるか、あるいはそれが転写されて所望のアンチセンスRNAを生じることができる限り、染色体に組み込まれるようになる。そのようなベクターは、当該分野で標準的であって、前記した組換えDNA技術方法によって構築することができる。例えば、プラスミド、コスミド、YACまたはウイルスベクターを用いて、直接的に組織部位に導入することができる組換えDNA構築体を調製することができる。別法として、所望の組織に選択的に感染するウイルスベクターを用いることができ、その場合、投与はもう1つの経路によって達成することができる(例えば、全身)。
また、内因性SLIT-3またはRoboファミリーポリペプチドの発現は、標的化相同組換えを用いて遺伝子、核酸またはそのプロモーターを不活化するか、または「ノックアウトする」ことによって低下させることもできる(例えば、Smithiesら、Nature 317:230-234(1985);Thomas & Capecchi, Cell 51:503-512(1987);Thompsonら、Cell 5:313-321(1989)参照)。例えば、内因性遺伝子または核酸(核酸のコーディング領域または調節領域いずれか)に対して相同なDNAが近接する改変された非機能的遺伝子または核酸(または完全に無関係なDNA配列)を、選択マーカーおよび/または陰性選択マーカーと共に、または無しで用いて、イン・ビボで遺伝子または核酸を発現する細胞をトランスフェクトすることができる。標的化相同組換えを介するDNA構築体の挿入の結果、遺伝子または核酸が不活化される。組換えDNA構築体は、前記したごとく、適当なベクターを用いてイン・ビボにて必要な部位に直接投与するか、あるいはそれに対して標的化することができる。
別法として、非−改変遺伝子または核酸の発現は同様な方法を用いて増加させることができる:標的化相同組換えを用いて、非−改変機能的遺伝子または核酸、例えば、図10に示された配列の1つを有する核酸、その相補体、またはその一部を含むDNA構築体を、前記したごとく、細胞中の改変されたSLIT-3の代わりに挿入することができる。もう1つの実施形態において、標的化相同組換えを用いて、細胞に存在するものとは異なるII型糖尿病ポリペプチド変種をコードする核酸を含むDNA構築体を挿入することができる。別法として、内因性SLIT-3またはRoboファミリー核酸発現は、SLIT-3またはRoboファミリー核酸(すなわち、SLIT-3プロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なデオキシリボヌクレオチド配列を標的化して、体内の標的細胞中のSLIT-3またはRoboファミリー核酸の転写を妨げる三重らせん構造を形成することによって低下させることができる(一般には、Helene, C., Anticancer Drug Des., 6(6):569-84(1991); Helene, Cら、Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27-36(1992); およびMaher, L.J., Bioassays 14(12):807-15(1992)参照)。同様に、本明細書中で記載したアンチセンス構築体は、SLIT-3またはRoboファミリータンパク質の1つの正常な生物学的活性に拮抗することによって、組織の操作、例えば、組織分化、イン・ビボおよびエクス・ビボ組織培養双方で用いることができる。さらに、アンチセンス技術(例えば、アンチセンス分子のマイクロインジェクション、またはその転写物がII型糖尿病遺伝子のmRNAまたは遺伝子配列に対してアンチセンスであるプラスミドでの形質転換)を用いて、SLIT-3またはRoboファミリーメンバーの役割、または発生事象においてのSLIT-3およびRoboファミリーメンバーの相互作用、ならびにSLIT-3またはRoboファミリーメンバーの正常な細胞機能、成人組織におけるSLIT-3およびRoboファミリーメンバーの相互作用を調べることができる。そのような技術は細胞培養で利用することができるが、トランスジェニック動物の創製することができる。
本発明のさらにもう1つの実施形態において、本明細書中に記載した他のII型糖尿病治療剤は、II型糖尿病遺伝子に関連する病気または疾患に対する罹患性の治療または予防で用いることもできる。該治療剤は前記した組成物にて、またはそれ自体で送達することができる。それらは全身投与することができるか、あるいは特定の組織に標的化することができる。治療剤は、化学合成;組換え生産;イン・ビボ生産(例えば、Meadeらに対する米国特許第4,873,316号のようなトランスジェニック動物)を含めた種々の手段によって製造することができ、例えば、本明細書中に記載されたもののような標準的な手段を用いて単離することができる。
前記治療の方法のいずれかの組合せ(例えば、改変されたmRNAまたはSLIT-3またはRoboファミリーのメンバーを標的化するアンチセンス療法と組み合わせた非−改変ポリペプチドの投与;SLIT-3によってコードされた第二のスプライシングまたはRoboファミリーのメンバーを標的化するアンチセンス療法と組み合わせたSLIT-3によってコードされた第一のスプライシング変種またはRoboファミリーのメンバーの投与)を用いることもできる。
治療のモニタリング進行
また、本発明は、RNAまたはタンパク質レベルまたはその酵素活性において、SLIT3またはSLIT3のイソ形態の発現(例えば、相対的または絶対的発現)の調節に対する治療の有効性をモニターする方法に関する。SLIT3メッセージまたはタンパク質または酵素活性は、末梢血液またはそれに由来する細胞の試料中で測定することができる。発現または活性のレベルの評価は、SLIT3治療剤での治療前および間になすことができる。
また、本発明は、RNAまたはタンパク質レベルまたはその酵素活性において、SLIT3またはSLIT3のイソ形態の発現(例えば、相対的または絶対的発現)の調節に対する治療の有効性をモニターする方法に関する。SLIT3メッセージまたはタンパク質または酵素活性は、末梢血液またはそれに由来する細胞の試料中で測定することができる。発現または活性のレベルの評価は、SLIT3治療剤での治療前および間になすことができる。
例えば、本発明の1つの実施形態において、標的集団のメンバーである個体を、例えば、一般的なまたは特定の細胞サブ画分または細胞サブ画分の組合せにおける末梢血液中にて、SLIT3タンパク質またはmRNA、またはそのイソ形態の絶対的および/または相対的レベルを調べることによって、SLIT3阻害剤での治療に対する応答につき評価することができる。加えて、SLIT3遺伝子の内のまたはその近く(100〜200kb内)のハプロタイプまたは変異のような変異を用いて、II型糖尿病に対して高い危険性がある個体を同定して、II型糖尿病の予防または治療のための医薬剤に対する臨床試験のパワーおよび効率を増加させることができる。ハプロタイプおよび他の変異を用いて、そのII型糖尿病危険性への非−SLIT3関与を有するような臨床試験中の患者を排除し、または分類して、関与する他の遺伝子または経路を有する患者を豊富化し、臨床試験のパワーおよび感度を増加させることができる。そのような変異は、個体のための医薬剤の選択をガイドするために薬理ゲノム学試験として用いることができる。
ここに記載したのは、染色体5q35への連結を示すII型糖尿病の第一の公知の連鎖研究である。行われた連鎖研究に基づき、II型糖尿病および染色体5q35上の遺伝子座、特に、SLIT3遺伝子の間の直接的な関係が発見された。
さて、断じて限定的であることを意図しない以下の実施例によって本発明を説明する。
研究は、1350人の糖尿病患者の暗号化リストを提供して頂いたIcelandic Heart Associationと共同で行った。1967年〜1991年に、Heart Associationは心血管病およびその合併症の研究を開始した。血糖の測定は、参加者の徹底的なチェックに含まれ、これは、糖尿病と診断される多くの個体に導いた。参加者のリストはアイスランド人口の約3分の1の偏りのない試料である。1991年以降の年に診断された個体はIcelandic Heart Associationにて、またはReykjavik, アイスランドの2つの主な病因のうちの1つにおいて診断された。
II型糖尿病研究における全ての参加者はIcelandic Heart Associationを訪問し、そこで、各人は質問に答え、血液を採取し、血糖評価を受け、測定を受けた。身長(m)および体重(kg)を測定して、身体質量指標を計算した。血清においては、絶食血中グルコースおよびトリグリセリドレベルを同様に測定した。II型糖尿病の診断は、世界保健機構によって設定された診断基準(1999)に基づいた。7mMを超える絶食グルコースを持つ全ての患者はII型糖尿病を有すると診断され、6.1および6.9mMの間の絶食血中糖を持つ個体は損なわれた絶食グルコースを持つと診断された。もし参加者が糖尿病の前歴を有していなかったならば、彼らは、その診断を確認させるためにもう1つの試験のために再来することを要請された。糖尿病投薬中の全ての個体はII型と分類された。質問は、診断時の年齢および投薬のタイプに関する質問を含んだ。全ての患者は、そのDNAを用いて患者の遺伝子型を確認する2人の親族を伴うことを要請された。
患者が1967年〜1991年の間に行った研究に参加して以来、彼らがHeart Associationを訪問してからある場合にはかなりの時間が経過した。従って、全ての患者には、もう1回の絶食血中グルコース試験を受けて、実験への参加の時点におけるその血糖レベルにつきチェックするよう要請された。かくして、全ての患者には確認できない印を付け、これは、血中グルコースレベルの結果がこの特定の研究のために係属していることを意味する。確認された糖尿病の印は、測定を受けた患者に与えられた。確認された患者では連鎖分析が行われ、確認されなかった患者は、もし彼らが確認された指標の患者の近い親族である場合のみ含めた。患者の最初のリストは1350のII型糖尿病を含んだが、この研究の間に、指標患者の親族である新しい患者が診断された。糖尿病の前歴はないが、上昇した絶食グルコースを持つ全ての参加者は、前記したWHO基準に従って診断された。今日において、1404のII型糖尿病患者、および、および損なわれた絶食グルコースを持つ266人の患者が、その近い親族の3972人とともに研究に参加した。この研究は、Data Protection Commission of IcelandおよびNational Bioethics Committee of Icelandによって認可された。研究に参加した全ての患者およびその親族からは同意が表明された。
実験の概要
この特定の遺伝的研究は、ポジショナルクローニングアプローチを用いることによって、II型糖尿病に寄与する遺伝的変種または遺伝子を同定することを狙ったものである。3つの工程が行われた。
(i)ゲノムワイドの連鎖研究、ここでは、関連性II型糖尿病患者内で共有する過剰な対立遺伝子を用いて、病気罹患性遺伝子/複数遺伝子を保有し得る、典型的には2〜8メガ塩基長の染色体セグメントを同定した。
(ii)遺伝子座−広関係研究、ここでは、高密度のマイクロサテライトマーカーを大きな患者および対照群にタイプ分けした。2つの群の間の個々の対立遺伝子またはハプロタイプの頻度を比較することによって、推定病気遺伝子/複数遺伝子の位置を数百キロ塩基に絞った。
(iii)候補遺伝子評価、ここでは、さらなるマイクロサテライトおよび/またはSNPを、より小さな候補領域内に同定される全ての遺伝子にタイプ分けし、さらなる関連性分析を用いて、遺伝子のいずれが当該病気に対して強い関連性を示すかを同定した。
この特定の遺伝的研究は、ポジショナルクローニングアプローチを用いることによって、II型糖尿病に寄与する遺伝的変種または遺伝子を同定することを狙ったものである。3つの工程が行われた。
(i)ゲノムワイドの連鎖研究、ここでは、関連性II型糖尿病患者内で共有する過剰な対立遺伝子を用いて、病気罹患性遺伝子/複数遺伝子を保有し得る、典型的には2〜8メガ塩基長の染色体セグメントを同定した。
(ii)遺伝子座−広関係研究、ここでは、高密度のマイクロサテライトマーカーを大きな患者および対照群にタイプ分けした。2つの群の間の個々の対立遺伝子またはハプロタイプの頻度を比較することによって、推定病気遺伝子/複数遺伝子の位置を数百キロ塩基に絞った。
(iii)候補遺伝子評価、ここでは、さらなるマイクロサテライトおよび/またはSNPを、より小さな候補領域内に同定される全ての遺伝子にタイプ分けし、さらなる関連性分析を用いて、遺伝子のいずれが当該病気に対して強い関連性を示すかを同定した。
連鎖分析
家系の構成
連鎖分析のために、964人のII型糖尿病患者および損なわれた絶食グルコースを持つ203人の個体から血液試料を得た。患者は、各患者が少なくとも1人の他の患者に関連する(6つの減数***事象内またはそれを含める)ようなファミリーに分類した。このようにして、772人の患者はファミリー−705人のII型糖尿病患者および損なわれた絶食グルコースを持つ67人に当てはめられた。確認されたII型患者はプロバンドとして処理し、各プロバンドが6つの減数***事象内およびそれを含め、関連するファミリーに分けられた。他の患者、未確認II型およびIFG患者は、もし彼らが3つの減数***事象内およびそれを含めたプロバンドに関連するならば、該ファミリーにつけ加えられた。この背後にある合意性は、実験にできる限り多くの患者を含めることであった。損なわれた絶食グルコースは直ちに診断したのであり、より密接に関連するこれらの患者は確認された糖尿病患者に対するものであり、彼らは該病気を有するか、またはそれを発症するようであると推定された。
家系の構成
連鎖分析のために、964人のII型糖尿病患者および損なわれた絶食グルコースを持つ203人の個体から血液試料を得た。患者は、各患者が少なくとも1人の他の患者に関連する(6つの減数***事象内またはそれを含める)ようなファミリーに分類した。このようにして、772人の患者はファミリー−705人のII型糖尿病患者および損なわれた絶食グルコースを持つ67人に当てはめられた。確認されたII型患者はプロバンドとして処理し、各プロバンドが6つの減数***事象内およびそれを含め、関連するファミリーに分けられた。他の患者、未確認II型およびIFG患者は、もし彼らが3つの減数***事象内およびそれを含めたプロバンドに関連するならば、該ファミリーにつけ加えられた。この背後にある合意性は、実験にできる限り多くの患者を含めることであった。損なわれた絶食グルコースは直ちに診断したのであり、より密接に関連するこれらの患者は確認された糖尿病患者に対するものであり、彼らは該病気を有するか、またはそれを発症するようであると推定された。
関連性および遺伝子型分けされた個体の各対に対する、906マーカーの組についての同一性状態(IBS)分布を、特定の関連性度に対応する参照分布に対して比較することによって、ファミリーを関係誤差につきチェックした。参照分布は、アイスランド人口の大きなサブセットから構築した。もしファミリーの残りとのその関係がジェネオロジーデータベースに規定された関係と合致しないならば、該個体は研究から排除した。
研究のために入手できた残りの材料は以下のものであった:764人の遺伝子型分けされた親族とともに、227ファミリーにおける763人の今や確認されたII型患者。患者のうち、667人は確認されたII型患者であり、35人は未確認のII型患者であり、52人は損なわれた絶食グルコース(IFG)を持つ確認された患者であり、9人はIFGを持つ未確認患者であった。
患者試料の層化
患者をそのBMIに基づいて2つのサブ−表現型に分類し:非−肥満II型糖尿病患者は30未満のBMIを有する患者であり、肥満II型糖尿病患者は30以上のBMIを有する患者である。糖尿病患者を非−肥満および肥満群に分類する理由は、他の因子はこれらの2つの群における病気の病因に影響するであろうことである。肥満単独は糖尿病表現型に寄与し得る。従って、この因子は分離した。肥満は、環境および遺伝的因子の組合せによるのが最もありそうである。この非−肥満および肥満糖尿病患者への分類は、現実には、資料を2つの半体に分け;患者の60%は非−肥満カテゴリーにあり(25未満のBMIを持つ20%(痩せ型)および25〜30の間のBMIを持つ40%(過剰体重))、患者の40%は肥満カテゴリーにある(30を超えるBMI)。
患者をそのBMIに基づいて2つのサブ−表現型に分類し:非−肥満II型糖尿病患者は30未満のBMIを有する患者であり、肥満II型糖尿病患者は30以上のBMIを有する患者である。糖尿病患者を非−肥満および肥満群に分類する理由は、他の因子はこれらの2つの群における病気の病因に影響するであろうことである。肥満単独は糖尿病表現型に寄与し得る。従って、この因子は分離した。肥満は、環境および遺伝的因子の組合せによるのが最もありそうである。この非−肥満および肥満糖尿病患者への分類は、現実には、資料を2つの半体に分け;患者の60%は非−肥満カテゴリーにあり(25未満のBMIを持つ20%(痩せ型)および25〜30の間のBMIを持つ40%(過剰体重))、患者の40%は肥満カテゴリーにある(30を超えるBMI)。
前記したのと同一のファミリーの組を用いるが、特定のサブ−群に属しない患者を未知の病気状態を有するとは分類しないで、それらのサブ−表現型の各々についてのアフェクテッド−オンリー連鎖分析を行った。特定のサブ−表現型に制限し、いくつかのファミリーは、もはや、影響を受ける者と分類される関連性患者の対を含まず、よって、連鎖分析では貢献しなかった。そのようなファミリーは特定のサブ−表現型の分析から排除した。連鎖分析で用いた患者およびファミリーの数を以下の表1にまとめる。
ゲノムワイドスキャン
ゲノムワイドスキャンは772人の患者およびその親族に対して行った。9人の患者は遺伝誤差のため排除され、従って、連鎖分析は763人の患者および764人の親族で行った。該手法はGretarsdottirら、Am J Hum Genet., 70(3):593-603(2002)に記載されている。簡単に述べると、DNAを、4cMの平均分解能にて、906のマイクロサテライトマーカーのフレームワークマーカー組で遺伝子型分けした。対立遺伝子は自動的にTrueAlleleプログラム(Cybergenetics, Co., Pittsburgh, PA)で呼び出し、プログラムDecodeGT(deCODE genetics, ehf., Iceland)を用いて、質に従って分類し、呼び出した遺伝子型を編集した(Palsson, B.ら、Genome Res., 9(10):1002-1012(1999))。マーカーについての集団対立遺伝子頻度は、deCODE geneticsにおける種々の病気プロジェクトのゲノムワイドの研究に参加した30,000人を超えるアイスランド人の群から構築された。さらなるマーカーは染色体5q上の遺伝子内に遺伝子型分けされ、そこでは、我々はもっとも強い連鎖シグナルを観察して、ファミリー内で共有された家系による同一性(IBD)に対する情報を増加させた。それらのマーカーでは、少なくとも180人のアイスランド人対照を遺伝子型分けして、集団対立遺伝子頻度を導いた。
ゲノムワイドスキャンは772人の患者およびその親族に対して行った。9人の患者は遺伝誤差のため排除され、従って、連鎖分析は763人の患者および764人の親族で行った。該手法はGretarsdottirら、Am J Hum Genet., 70(3):593-603(2002)に記載されている。簡単に述べると、DNAを、4cMの平均分解能にて、906のマイクロサテライトマーカーのフレームワークマーカー組で遺伝子型分けした。対立遺伝子は自動的にTrueAlleleプログラム(Cybergenetics, Co., Pittsburgh, PA)で呼び出し、プログラムDecodeGT(deCODE genetics, ehf., Iceland)を用いて、質に従って分類し、呼び出した遺伝子型を編集した(Palsson, B.ら、Genome Res., 9(10):1002-1012(1999))。マーカーについての集団対立遺伝子頻度は、deCODE geneticsにおける種々の病気プロジェクトのゲノムワイドの研究に参加した30,000人を超えるアイスランド人の群から構築された。さらなるマーカーは染色体5q上の遺伝子内に遺伝子型分けされ、そこでは、我々はもっとも強い連鎖シグナルを観察して、ファミリー内で共有された家系による同一性(IBD)に対する情報を増加させた。それらのマーカーでは、少なくとも180人のアイスランド人対照を遺伝子型分けして、集団対立遺伝子頻度を導いた。
遺伝子座内で遺伝子型特定されたさらなるマイクロサテライトマーカーは公に入手可能であるか、あるいはdeCODE geneticsで設計されていた−それらのマーカーはDG表示で示される。DNA配列内の反復を同定し、遺伝子座を横切って均等に間隔を設けられた設計プライマーの選択を可能とした。反復および他のマーカーに対する位置の同定は、deCODE geneticsにおける物理的マッピングチームを利用した。
ゲノム規模のスキャンで用いたマーカーについては、遺伝子位置は、deCODE geneticsに構築された最近公表された高分解能遺伝子地図(HRGM)から取得した(Kong A.ら、Nat Genet., 31:241-247(2002))。さらなるマーカーの遺伝子位置は利用可能であればHRGMから、あるいはこの特定の連鎖研究のために遺伝子型分けした家族資料に対するHRGM地図を構築するのに用いられたのと同一の遺伝子マッピング方法を適用することによって獲得した。
連鎖分析のための統計学的方法
連鎖分析は、(特定すべきいずれの特別な病気遺伝モデルもなくして)非−パラメーターのアフェクテッド−オンリー対立遺伝子−共有方法を適用することによって、関連性患者の間の過剰の共有の統計学的有意性を決定するソフトウェアAllegro(Gudbjartssonら、Nat.Genet.25:12-3, (2000))を用いて行った。deCODE geneticsで開発された連鎖プログラムであるAllegroは、多数点計算に基づいてLODスコアを計算する。ベースライン連鎖分析はSpairsスコアリング関数(Whittemore, A.S.およびHalpern, J., Biometrics 50:118-27(1994); Kruglyak Lら、Am J Hum Genet 58:1347-63, (1996))、指数関数対立遺伝子−共有モデル(Kong, A.およびCox, N.J., Am.J.Hum.Genet., 61:1179(1997))、および各影響を受けた対の同等な重み付けおよび各ファミリーの同等な重み付けの間のlogスケールで中途にあるファミリー重み付けスキームを用いた。該分析では、影響を受けなかった全ての遺伝子型分けした個体は「未知」として処理した。小さな試料挙動を持つ関心のため、対応するP−値は、通常は、比較のため2つの異なる方法で計算した。第一のP−値は大試料理論に基づいて計算し;Zlr=√(2loge(10)LOD)は、連鎖無しの帰無仮説下で標準正規分布として近似的に分布させた。第二のP−値は、帰無仮説下で、その完全なデータサンプリング分布に対して観察されたLODスコアを比較することによって計算した。データ組が一握りのファミリーよりも多くよりなる場合、これらの2つのP−値は非常に似ている傾向があった。
連鎖分析は、(特定すべきいずれの特別な病気遺伝モデルもなくして)非−パラメーターのアフェクテッド−オンリー対立遺伝子−共有方法を適用することによって、関連性患者の間の過剰の共有の統計学的有意性を決定するソフトウェアAllegro(Gudbjartssonら、Nat.Genet.25:12-3, (2000))を用いて行った。deCODE geneticsで開発された連鎖プログラムであるAllegroは、多数点計算に基づいてLODスコアを計算する。ベースライン連鎖分析はSpairsスコアリング関数(Whittemore, A.S.およびHalpern, J., Biometrics 50:118-27(1994); Kruglyak Lら、Am J Hum Genet 58:1347-63, (1996))、指数関数対立遺伝子−共有モデル(Kong, A.およびCox, N.J., Am.J.Hum.Genet., 61:1179(1997))、および各影響を受けた対の同等な重み付けおよび各ファミリーの同等な重み付けの間のlogスケールで中途にあるファミリー重み付けスキームを用いた。該分析では、影響を受けなかった全ての遺伝子型分けした個体は「未知」として処理した。小さな試料挙動を持つ関心のため、対応するP−値は、通常は、比較のため2つの異なる方法で計算した。第一のP−値は大試料理論に基づいて計算し;Zlr=√(2loge(10)LOD)は、連鎖無しの帰無仮説下で標準正規分布として近似的に分布させた。第二のP−値は、帰無仮説下で、その完全なデータサンプリング分布に対して観察されたLODスコアを比較することによって計算した。データ組が一握りのファミリーよりも多くよりなる場合、これらの2つのP−値は非常に似ている傾向があった。
2を超えるLODスコアを持つ全ての暗示的遺伝子座にはいくらか過剰のマーカーで追跡して、ファミリー内のIBD−共有についての情報を増加させ、LODスコアが偽陽性連鎖を表す機会を減少させた。用いた情報の尺度はNicolae(D.L.Nicolae, Thesis, University of Chicago (1999))によって規定され、これは、Allegroプログラム出力の対である。この尺度はDempsterら(Dempster, A.P.ら、J.R.Statist. Soc.B, 39:1(1977))によって従前に記載されているように情報の古典的な尺度に関連性し−もしマーカー遺伝子型が完全に非情報的であれば情報はゼロに等しく、もし遺伝子型が影響を受けた親族の中の家系による対立遺伝子共有の正確な量を決定するならば1に等しい。4cMの平均マーカースペーシングを持つフレームワークマーカー組の使用は、典型的には、連鎖分析で用いたファミリーにおける約0.7の情報含有量をもたらした。センチモルガンごとにマーカー密度を1マーカーまで増大させると、通常、0.85を超えて情報含有量が増加した。
結果
フレームワークマーカー組でのゲノムワイドの連鎖分析の結果を図2に示し、これは、対立遺伝子−共有LOD−スコア−対−23染色体の各々についてのセンチモルガン(cM)単位のp−末端からの遺伝子距離を描く。該分析は3つの表現型:全てII型糖尿病患者(実線)、非−肥満糖尿病患者(ダッシュ線)および肥満糖尿病患者(点線)で行った。1.84のLOD−スコアが、全てのII型糖尿病患者を分析で用いた場合に、フレームワークマーカー組を持つ染色体5q34−q35.2で観察された。連鎖分析を非−肥満糖尿病患者に制限した場合、このLOD−スコアは2.81まで増大する。肥満糖尿病患者はこの領域では連鎖を示さなかった。
フレームワークマーカー組でのゲノムワイドの連鎖分析の結果を図2に示し、これは、対立遺伝子−共有LOD−スコア−対−23染色体の各々についてのセンチモルガン(cM)単位のp−末端からの遺伝子距離を描く。該分析は3つの表現型:全てII型糖尿病患者(実線)、非−肥満糖尿病患者(ダッシュ線)および肥満糖尿病患者(点線)で行った。1.84のLOD−スコアが、全てのII型糖尿病患者を分析で用いた場合に、フレームワークマーカー組を持つ染色体5q34−q35.2で観察された。連鎖分析を非−肥満糖尿病患者に制限した場合、このLOD−スコアは2.81まで増大する。肥満糖尿病患者はこの領域では連鎖を示さなかった。
さらなるマーカーをこの領域で遺伝子型分けして、情報含有量を増大させ、連鎖を確認した。この遺伝子座におけるIBD−共有についての情報は、フレームワークマーカー組では約78%であった。情報含有量を増加させるため、もう1つの38マイクロサテライトマーカーを、観察されたシグナルを含む40cM領域内で遺伝子型分けした。さらなるマーカーを含む連鎖分析の反復により、非−肥満糖尿病患者ではLOD−スコアは3.64まで増大した(P−値=3.18×10-5)。全ての患者につき、ピークLOD−スコアは2.9まで増大した(P−値=1.22×10-4)。これを図3に示す。
LOD−スコアのピークはマーカーD5S625に中心があり、LODにおける1つのドロップによって決定された領域はマーカーDG5S5からマーカーD5S429までである(各々、動原体およびテロメア)。ワン−LOD−ドロップは約9cMであり、約3.5Mbであると見積もられる。この1−LOD−ドロップは、推定病気関連性遺伝子の位置に対して80〜90%の信頼区間に概略対応する。
遺伝子座−広関連性研究
連鎖の領域を狭めるための遺伝子型分け
目的とする領域を狭めるため、連鎖分析を行い、続いて、1−LOD−ドロップの包括的な関連性研究を行った。これは、連鎖分析は、それが平均して、大きな染色体セグメントを共有する密接に関連する個体間での共有を比較する点で制限された分解能を有するために行った。関連性分析のため、同定された多数のさらなるマイクロサテライトマーカーを1−LOD−ドロップに位置すると同定し、それらのマーカーを双方の患者群およびアイスランド人口からランダムに選択された非常に多数の無関係対照の間でタイプ分けした。
連鎖の領域を狭めるための遺伝子型分け
目的とする領域を狭めるため、連鎖分析を行い、続いて、1−LOD−ドロップの包括的な関連性研究を行った。これは、連鎖分析は、それが平均して、大きな染色体セグメントを共有する密接に関連する個体間での共有を比較する点で制限された分解能を有するために行った。関連性分析のため、同定された多数のさらなるマイクロサテライトマーカーを1−LOD−ドロップに位置すると同定し、それらのマーカーを双方の患者群およびアイスランド人口からランダムに選択された非常に多数の無関係対照の間でタイプ分けした。
すでにタイプ分けし、連鎖分析で用いた17のマーカーに加えて、67マーカーを同定し、1−LOD−ドロップでタイプ分けした。遺伝子座−広関連性マイクロサテライトを図7に示す。新しい多型反復(ジヌクレオチドまたはトリヌクレオチド反復)をSputnikプログラムで同定した。CEPH試料1347-02(CEPHゲノミックス寄託所)のより小さな対立遺伝子をマイクロサテライトの対立遺伝子から差し引き、参照として用いた。かくして、合計84のマーカーが関連性分析で入手でき、すなわち、平均密度は42kbごとに1マーカー、または0.107cMごとに1マーカーであった。全てのそれらのマーカーを590人の非−肥満糖尿病患者および477人の無関係対照につきタイプ分けした。
関連性およびハプロタイプ分析のための統計学的方法
病気に対する単一マーカー関連性のために、Fisher抽出試験を用いて、各個々の対立遺伝子についての両側P−値を計算した。結果を表す場合、マイクロサテライト、SNPおよびハプロタイプについてのキャリア頻度よりはむしろ対立遺伝子頻度を用いた。ハプロタイプ分析は、NEMO (NEsted MOdels)と呼ばれるdeCODEで開発されたコンピュータープログラムを用いて行った(Gretarsdottirら、Nat Genet.Oct;35(2):131-8(2003))。NEMOを用いて、マーカー−マーカー関連性を調べると共に、マーカーの間の、およびケース−対照ハプロタイプ分析のために連鎖非平衡(LD)を計算した。NEMOでは、ハプロタイプ頻度は最大尤度によって見積もり、患者および対照の間の差は、一般化された尤度比率試験を用いて試験した。最大尤度見積もり、尤度比率およびP-値は観察されたデータについて直接的にEM-アルゴリズムの助けを借りて計算し、よって、相および失われた遺伝子型での不確実性による情報の喪失は、尤度比率によって自動的に把握され、ほとんどの状況下では、大試料理論を用いて、統計学的優位性を信頼性よく決定できた。対立遺伝子またはハプロタイプの相対的危険性(RR)、すなわち、同一マーカーの全ての他の対立遺伝子と比較した対立遺伝子の危険性は、集団帰属危険性(PAR)と共に掛け算モデルを仮定して計算した(Terwilliger, J.D.& Ott, J.A.haplotype-based “haplotype relative risk” approach to detecting allelic associations. Hum Hered 42, 337-46(1992)およびFalk, C.T.& Rubinstein, P.Haplotype relative risks: an easy reliable way constract a proper control sample for risk calculations. Ann Hum Genet 51(Pt3), 227-33(1987))。
病気に対する単一マーカー関連性のために、Fisher抽出試験を用いて、各個々の対立遺伝子についての両側P−値を計算した。結果を表す場合、マイクロサテライト、SNPおよびハプロタイプについてのキャリア頻度よりはむしろ対立遺伝子頻度を用いた。ハプロタイプ分析は、NEMO (NEsted MOdels)と呼ばれるdeCODEで開発されたコンピュータープログラムを用いて行った(Gretarsdottirら、Nat Genet.Oct;35(2):131-8(2003))。NEMOを用いて、マーカー−マーカー関連性を調べると共に、マーカーの間の、およびケース−対照ハプロタイプ分析のために連鎖非平衡(LD)を計算した。NEMOでは、ハプロタイプ頻度は最大尤度によって見積もり、患者および対照の間の差は、一般化された尤度比率試験を用いて試験した。最大尤度見積もり、尤度比率およびP-値は観察されたデータについて直接的にEM-アルゴリズムの助けを借りて計算し、よって、相および失われた遺伝子型での不確実性による情報の喪失は、尤度比率によって自動的に把握され、ほとんどの状況下では、大試料理論を用いて、統計学的優位性を信頼性よく決定できた。対立遺伝子またはハプロタイプの相対的危険性(RR)、すなわち、同一マーカーの全ての他の対立遺伝子と比較した対立遺伝子の危険性は、集団帰属危険性(PAR)と共に掛け算モデルを仮定して計算した(Terwilliger, J.D.& Ott, J.A.haplotype-based “haplotype relative risk” approach to detecting allelic associations. Hum Hered 42, 337-46(1992)およびFalk, C.T.& Rubinstein, P.Haplotype relative risks: an easy reliable way constract a proper control sample for risk calculations. Ann Hum Genet 51(Pt3), 227-33(1987))。
ハプロタイプ分析においては、ハプロタイプを一緒にグループ分けし、病気に対する関連性につき全体として該グループを試験するのが有用であろう。これは、NEMOで行うのが可能である。モデルは全ての可能なハプロタイプの組の分割によって定義され、そこでは、同一群におけるハプロタイプは同一危険性を付与すると推定され、他方、異なる群におけるハプロタイプは異なる危険性を付与し得る。帰無仮説および代替仮説は、後者が前者よりも微細な分割に対応する場合に縮小されるといわれる。NEMOはハプロタイプ空間の分割において完全な柔軟性を提供する。このようにして、関連性につき複数ハプロタイプを一緒に試験し、異なる危険性があるハプロタイプが異なる危険性を付与するかを試験するのが可能である。
LDの尺度として、LDの2つの標準定義、D’およびR2を用いた。というのは、それらがLDの量に関して補い合う情報を提供するからである(Lewontin, R.”The interaction of selection and linkage I. General considerations: Heterotic models.” Genetics, 1964.49:49-67; Hill, W.G.およびA.Robertson, “Linkage disequilibrium in finite populations.” Theor.Appl.Genet., 1968.22:226-231)。D’およびR2を見積もる目的で、全ての2−マーカー対立遺伝子組合せの頻度を、最大尤度方法を用いて見積もり、連鎖非平衡からの偏差を、尤度比率試験を用いて見積もった。D’およびR2標準定義は、小さな対立遺伝子確率によって重み付けされた2つのマーカーの全ての可能な対立遺伝子組合せについての値にわたって平均することによってマイクロサテライトを含めるように拡大された。
1−LOD-ドロップにおいて遺伝子型分けされたマーカーの密な組から構築された可能なハプロタイプの数は非常に大きく、患者および対照群で現実に観察されたハプロタイプの数はかなり小さかったが、病気に対する関連性のための全てのそれらのハプロタイプはかなりの仕事であった。該分析は保存的マーカーの組から構築されたハプロタイプに制限されないことに注意されたし。というのは、いくつかのマーカーは非常に変異でき、周囲のマーカーから構築されたよく保存されたハプロタイプを分割するだろうからである。
病気に対する最も強い関連性を示す候補領域におけるハプロタイプを同定する問題に対するアプローチは2倍であった:まず、試験したハプロタイプは、含まれたマーカーが実質的なLDにあると予測できるのに十分小さなサブ−領域にわたるように制限された。この研究では、300kbよりも小さくわたるハプロタイプのみを考慮した。第2に、反復的手法を適用し、これは、最も重要なハプロタイプを徐々に形成する。3マーカーから構成されたハプロタイプで出発し、病気に対して強い関連性を示したハプロタイプを選択し、他の近いマーカーをそれらのハプロタイプに加え、関連性試験を反復した。この手法を反復することによって、病気に対して最も強い関連性を示すハプロタイプを同定した。
結果
関連性分析では、590人の非−肥満アイスランドII型糖尿病患者および477人の無関係集団対照を、合計84のマイクロサテライトマーカーを用いて遺伝子型分けした。これらのマーカーはほぼ3.5Mbの領域を横切って均等に分布した。該領域は連鎖ピークを中心とし1-LOD-ドロップに対応した。次いで、前記した手法を追跡し、病気に対する関連性を示した5までのマーカーよりなる単一−マーカーおよびハプロタイプを同定した。結果を図4にまとめる。図4では、マーカーまたはハプロタイプの位置は水平軸上に示し、関連性試験からの対応するP-値は垂直軸上に示す。これは、0.01未満のP-値を有する全ての試験したハプロタイプについて示す。水平棒は、対応するハプロタイプのサイズを示し、全てのマーカーの位置は図面の底部に示す。全ての位置はMbで示し、NCBI Build33という。
関連性分析では、590人の非−肥満アイスランドII型糖尿病患者および477人の無関係集団対照を、合計84のマイクロサテライトマーカーを用いて遺伝子型分けした。これらのマーカーはほぼ3.5Mbの領域を横切って均等に分布した。該領域は連鎖ピークを中心とし1-LOD-ドロップに対応した。次いで、前記した手法を追跡し、病気に対する関連性を示した5までのマーカーよりなる単一−マーカーおよびハプロタイプを同定した。結果を図4にまとめる。図4では、マーカーまたはハプロタイプの位置は水平軸上に示し、関連性試験からの対応するP-値は垂直軸上に示す。これは、0.01未満のP-値を有する全ての試験したハプロタイプについて示す。水平棒は、対応するハプロタイプのサイズを示し、全てのマーカーの位置は図面の底部に示す。全ての位置はMbで示し、NCBI Build33という。
一連の関連するハプロタイプが観察され、これは、1−LOD-ドロップ内の2つの位置における非−肥満糖尿病患者について強い関連性を示す。これらの領域をA(168.37〜168.83Mb)およびB(169.70〜170.17Mb)で示し、表2には、それらの領域の各々における最も有意なハプロタイプをリストする。各ハプロタイプでは、表は、NEMOを用いて計算された関連性についての両側単一−検定P-値、対応する相対的危険性、患者および対照群におけるハプロタイプの見積もられた頻度、ハプロタイプがわたる領域、およびハプロタイプを規定するマーカーおよび対立遺伝子(太文字)、しかしながら、2つの領域の各々内にリストされたハプロ内のいくつかは非常に関連性し、病気に対する関連性の単一観察として考慮されるべきであることに注意されたし。これは、ハプロタイプの間の対様式相関(D’およびR2双方)をリストする表3中の領域Aにつき示される。相関に基づき、我々はA-ハプロタイプを2つの群に分けることができる;群IはA1、A4およびA6を含み群IIはA2、A3およびA5を含む。群の各々内のハプロタイプは非常に相関するが、異なる群におけるハプロタイプの間にはかなり低い相関しかない。表2より、群IはハプロタイプA6単独によって規定することができると観察される。というのは、ハプロタイプA1およびA4双方はA6のサブセットだからである。同様に、群IIはA2単独によって定義することができる。A2およびA6の間の相関は弱いので、それらは、領域Aにおける非−肥満糖尿病患者に対する関連性のほとんど独立した観察を構成する。よって、非−肥満糖尿病患者に対する関連性につき群として一緒にハプロタイプA2およびA6を試験するのが可能である。この試験はP-値=2.9×10-9を与え、対応する相対的危険性は4.2であり、集団帰属危険性は11.5%であり、および、各々、患者および対照群において対立遺伝子頻度は0.078および0.020である。
領域Aの調査
領域Aにおける遺伝子
領域A内およびその周りの全ての遺伝子を同定した(UCSC(University of California at Santa Cruz (http://www.cbse.ucsc.edu/Genome/;これはInternational Human Genome Sequencing Consortiumによって作成されたNCBI Build33に基づくヒト参照配列である)。6つも最も重要なハプロタイプによって規定された領域、168.37〜168.83Mbにおいて、ただ1つの遺伝子SLIT3(slitホモログ3(Drosophila)がある)。SLIT3は168.03から168.66Mbまでの600kbにわたり伸びるむしろ大きな遺伝子であり、危険性があるハプロタイプは該遺伝子の5’-端部に位置し、第1の4つのエクソンを含む。これを図5に示し、これは、間隔167.6〜169Mb(塗りつぶした丸印)中の全てのマイクロサテライトの位置、SLIT3の全てのエクソン(塗りつぶしたボックス)の位置、および危険性があるハプロタイプA1、...、A6(灰色の水平棒)のスパンを示す。該図は、4つの隣接遺伝子ODZ2(odd Oz/ten-m ホモログ2)、KIAA0869、RARS(アルギニル-tRNAシンテターゼ)およびPANK3(パントテン酸キナーゼ3)(陰影を付けたボックス)の位置を示し、それらは、SLIT3に対して動原体側に位置し、すなわち、観察された関連性シグナルから500kb離れている。SLIT3のエクソンも図8に示され、この図はエクソンのBuild33の位置を描く。
領域Aにおける遺伝子
領域A内およびその周りの全ての遺伝子を同定した(UCSC(University of California at Santa Cruz (http://www.cbse.ucsc.edu/Genome/;これはInternational Human Genome Sequencing Consortiumによって作成されたNCBI Build33に基づくヒト参照配列である)。6つも最も重要なハプロタイプによって規定された領域、168.37〜168.83Mbにおいて、ただ1つの遺伝子SLIT3(slitホモログ3(Drosophila)がある)。SLIT3は168.03から168.66Mbまでの600kbにわたり伸びるむしろ大きな遺伝子であり、危険性があるハプロタイプは該遺伝子の5’-端部に位置し、第1の4つのエクソンを含む。これを図5に示し、これは、間隔167.6〜169Mb(塗りつぶした丸印)中の全てのマイクロサテライトの位置、SLIT3の全てのエクソン(塗りつぶしたボックス)の位置、および危険性があるハプロタイプA1、...、A6(灰色の水平棒)のスパンを示す。該図は、4つの隣接遺伝子ODZ2(odd Oz/ten-m ホモログ2)、KIAA0869、RARS(アルギニル-tRNAシンテターゼ)およびPANK3(パントテン酸キナーゼ3)(陰影を付けたボックス)の位置を示し、それらは、SLIT3に対して動原体側に位置し、すなわち、観察された関連性シグナルから500kb離れている。SLIT3のエクソンも図8に示され、この図はエクソンのBuild33の位置を描く。
SNPおよびマイクロサテライトの同定
SLIT3を横切るSNPを同定するために、SLIT3の全ての36のエクソンおよびそれらのフランキング領域を94人の非−肥満糖尿病患者において配列決定した。その結果、68のSNPが同定され、これを図9に示す(図9は、エクソンおよびフランキング配列の配列決定の後にSLIT3を横切って見出されたSNPのBuild33位置を描く)。それらは4つの非−同義アミノ酸変化SLT_683623(PからR)、SLT_673223(YからF)、SLT_596643(QからR)およびSLT_585043(V〜A)を含む。2つのSNP,SLT_596643およびSLT_585043は、各々、rs2288792およびrs891921として公のドメインで既に報告されているSNPである。さらなるSNPは、公のドメイン(US National Center for Biotechnology Information’s SNP database)からSNPを選択し、次いで、それらについてSNPアッセイを設計することによって遺伝子を横切って同定した。SNP SG05S458およびSG05S459は12集団−ベースのDNA試料につきSLIT3の5’末端を配列決定するスポットから同定した。SLIT3を横切って同定されたSLPのDNA配列については図10を参照されたし;SLIT3を横切る多型として同定された全てのSNPおよびマイクロサテライトのBuild33位置については図11を参照されたし。
SLIT3を横切るSNPを同定するために、SLIT3の全ての36のエクソンおよびそれらのフランキング領域を94人の非−肥満糖尿病患者において配列決定した。その結果、68のSNPが同定され、これを図9に示す(図9は、エクソンおよびフランキング配列の配列決定の後にSLIT3を横切って見出されたSNPのBuild33位置を描く)。それらは4つの非−同義アミノ酸変化SLT_683623(PからR)、SLT_673223(YからF)、SLT_596643(QからR)およびSLT_585043(V〜A)を含む。2つのSNP,SLT_596643およびSLT_585043は、各々、rs2288792およびrs891921として公のドメインで既に報告されているSNPである。さらなるSNPは、公のドメイン(US National Center for Biotechnology Information’s SNP database)からSNPを選択し、次いで、それらについてSNPアッセイを設計することによって遺伝子を横切って同定した。SNP SG05S458およびSG05S459は12集団−ベースのDNA試料につきSLIT3の5’末端を配列決定するスポットから同定した。SLIT3を横切って同定されたSLPのDNA配列については図10を参照されたし;SLIT3を横切る多型として同定された全てのSNPおよびマイクロサテライトのBuild33位置については図11を参照されたし。
470人の非−肥満糖尿病患者および658人の集団−ベースの対照についてのSNPは、蛍光偏光鋳型−指向染料−ターミネーター取り込み(SNP-FP-TDIアッセイ)でSNPを検出する方法を用いて遺伝子型分けした(Chen, X., Zehnbauer, B., Gnirke, A.& Kwok, P.Y.Fluorescense energy transfer detection as a homogenous DNA diagnostic method. Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94,10756-10761(1997))。
SLIT3の関連性研究
SLIT3中およびその周りに位置した29のマイクロサテライトマーカーおよび77のSNPを、非−肥満糖尿病に対する単一−マーカー関連性につき試験した。図12は(Build33位置を含めた)SLIT3を横切っての関連性研究につき使用したマイクロサテライトのDNA配列を示し;図13は、SLIT3を横切る関連性分析につき使用したSNPおよびマイクロサテライトの名称を示す。関連性研究のこの部分については、マイクロサテライトおよびSNP双方につきタイプ分けされている523人の非−肥満糖尿病患者および323人の無関係集団対照を用いた。13のマーカーは、0.05未満のP-値にて、患者および対照の間の異なる対立遺伝子頻度を有した。それらの結果を表4にリストする。図6は、SLIT3のエクソニック構造(図6aおよび106のマイクロサテライトおよびSNPの位置(図6b)と共に単一−マーカー関連性の結果(図6c)を示す。
SLIT3中およびその周りに位置した29のマイクロサテライトマーカーおよび77のSNPを、非−肥満糖尿病に対する単一−マーカー関連性につき試験した。図12は(Build33位置を含めた)SLIT3を横切っての関連性研究につき使用したマイクロサテライトのDNA配列を示し;図13は、SLIT3を横切る関連性分析につき使用したSNPおよびマイクロサテライトの名称を示す。関連性研究のこの部分については、マイクロサテライトおよびSNP双方につきタイプ分けされている523人の非−肥満糖尿病患者および323人の無関係集団対照を用いた。13のマーカーは、0.05未満のP-値にて、患者および対照の間の異なる対立遺伝子頻度を有した。それらの結果を表4にリストする。図6は、SLIT3のエクソニック構造(図6aおよび106のマイクロサテライトおよびSNPの位置(図6b)と共に単一−マーカー関連性の結果(図6c)を示す。
関連性を示す13のマーカーのうち5つは、第1のエクソンの近くであってその下流のSLIT3の5’端部に位置した。ハプロタイプ分析を反復し、SLIT3における106のマイクロサテライトおよびSNPに制限し、遺伝子座−広関連性では、5以下の恐らくは非−連続マーカーを含む300kbよりも短いハプロタイプのみを試験した。表5は、非−肥満糖尿病に対する最も広い関連性を示した5つのハプロタイプを示し、p-値は2.3×10-8〜6,9×10-8の範囲であった。遺伝子座−広関連性で観察された最も重要なハプロタイプのように、相互に強く相関するこれらの5つのハプロタイプはSLIT3の5’端部における最小の4つのエクソンにわたる。ハプロタイプC1のスパンを図6の底部に示す。事実、それらのハプロタイプを規定するにおける鍵となるSNPは、最初のエクソンの非常に近くに位置する。4つの最も重要なハプロタイプC1〜C4は非常に共通しており、対立遺伝子頻度は患者において0.28であり、対照において0.16であり、相対的危険性は2.1であり、集団帰属危険性は27.5%である。
ハプロタイプC1,…、C5は遺伝子座−広関連性研究で観察された最も重要なマイクロサテライトハプロタイプと同一領域に位置するが、それらがSLIT3の5’−端部の非−肥満糖尿病に対する関連性の独立した観察を構成する。例えば、ハプロタイプC1およびハプロタイプA2およびA6の間の相関係数R2は、各々、0および0.02である。再度、ちょうどA2およびA6に関するように、ハプロタイプC1、A2およびA6は非−肥満糖尿病に対する関連性についての群として一緒に試験することができる。この試験がP-値=6.3×10-11を与え、群としてのハプロタイプの対応する相対的危険性および集団帰属危険性は2.2および33%である。ハプロタイプ群の頻度は非−肥満糖尿病患者では0.33であり、対照群では0.18である。
領域における他の遺伝子の関連性研究
隣接遺伝子のいずれかが糖尿病に対して何らかの関連性を示すかを確認するために、ODZ2、KIAA0869、RARSおよびPANK3のエクソンを配列決定し、見出されたSNPを、非−肥満糖尿病患者および集団対照の同一群において、多数のマイクロサテライトマーカーおよび公のSNPと共にタイプ分けした。これらの遺伝子のいずれにわたっても関連性は観察されなかった。
隣接遺伝子のいずれかが糖尿病に対して何らかの関連性を示すかを確認するために、ODZ2、KIAA0869、RARSおよびPANK3のエクソンを配列決定し、見出されたSNPを、非−肥満糖尿病患者および集団対照の同一群において、多数のマイクロサテライトマーカーおよび公のSNPと共にタイプ分けした。これらの遺伝子のいずれにわたっても関連性は観察されなかった。
表1:全ての患者を用いた場合、および分析を、各々、肥満または非−肥満糖尿病患者ン制限した場合の双方における、ゲノムワイドの連鎖スキャンに寄与する患者およびファミリーの数。
表2:非−肥満糖尿病に対して最も強い関連性を示す1-LOD-ドロップ内のハプロタイプ。各ハプロタイプについては、我々は(I)非−肥満糖尿病に対する関連性の単一試験についての両側P-値、(II)対応する相対的危険性(RR)、(III)患者および対照群におけるハプロタイプの見積もった対立遺伝子頻度、(IV)(NCBI33という)ハプロタイプのスパンおよび(v)ハプロタイプを規定する対立遺伝子(太文字)およびマーカーを示す。ハプロタイプは、1-LOD-ドロップ内の2つの異なる領域に対応する2つの群AおよびBに分ける。
表3:非−肥満糖尿病に対してもっとも強い関連性を示すA-領域中の6つのハプロタイプの間の対様式相関D’の見積もりは上方右側隅に示し、R2の見積もりは下方左側隅に示す。ハプロタイプは表2のようにA1、…、A6で印す。
表4:SLIT3に関する最も重要な単一−マーカー対立遺伝子関連性結果。両側P-値<0.05に関する全ての結果をマイクロサテライトおよびSNP双方について示す。対応する相対的危険性(RR)、試験で用いた非−肥満糖尿病患者および対照の数、および双方の群における危険性のある変種の対応する頻度を表に含める。
表5:SLIT3内のマイクロサテライトおよびSNPハプロタイプ関連性。非−肥満糖尿病に対して最も強い関連性を示す、5以下のマーカーを含み、300kbよりも短い5つのハプロタイプ。強く相関し、全てが遺伝子の5’端部にわたる5つのハプロタイプ。
本明細書中で引用した全ての刊行物の教示はここに引用してその全体を援用する。その好ましい実施形態を参照して本発明を具体的に示し、記載してきたが、当業者であれば、添付の請求の範囲に含まれる発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細において種々の変化をそこで成す事ができるのは当業者に理解されるであろう。
Claims (51)
- SLIT-3核酸における多型を検出する工程を含み、核酸における多型の存在がII型糖尿病に対する罹患性を示す、個体におけるII型糖尿病に対する罹患性の診断方法。
- 対照試料中のSLIT-3核酸によりコードされるポリペプチドの発現または組成と比較して、試験試料中のSLIT-3核酸によりコードされるポリペプチドの発現または組成における変化を検出する工程を含み、試験試料中のポリペプチドの発現または組成における変化がII型糖尿病の罹患性を示す、II型糖尿病に対する罹患性の診断方法。
- SLIT-3核酸の多型が図11に示される少なくとも1つの多型の存在を検出することにより示される請求項記載の方法。
- SLIT-3核酸を含有してなる単離された核酸分子であって、SLIT-3核酸が、図10に示される核酸配列からなる群より選ばれるヌクレオチド配列、または図10に示される核酸配列からなる群の相補体を有し、ヌクレオチド配列が多型を含む、核酸分子。
- 図10に示される核酸配列、または図10に示される核酸配列の群の相補体からなる群より選ばれるヌクレオチド配列に高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし、ヌクレオチド配列が多型を含む、単離された核酸分子。
- 前記試料と第2の核酸分子とを接触させる工程を含み、第2の核酸分子が図10に示される核酸配列および図10に示される核酸配列の相補体からなる群より選ばれるヌクレオチド配列含み、ヌクレオチド配列が多型を含み、高ストリンジェンシー条件下で第1の核酸とハイブリダイズする、試料中の第1の核酸分子の存在についてアッセイする方法。
- a)図10に示される核酸配列;および
b)1つの核酸配列の相補体が図10に示される;
からなる群より選ばれ、核酸分子が多型を含み、調節配列に作動可能に連結されている単離された核酸分子を含有してなるベクター。 - 請求項7記載のベクターを含有してなる組換え宿主細胞。
- 核酸分子の発現に適した条件下で請求項10記載の組換え宿主細胞を培養する工程を含む、多型を有する単離された核酸分子によりコードされるポリペプチドの製造方法。
- 試料と、コードされるポリペプチドに特異的に結合する抗体とを接触させる工程を含む、試料中の請求項4記載の単離された核酸分子によりコードされるポリペプチドのアッセイ方法。
- a)レポーター遺伝子に作動可能に連結されたSLIT-3核酸のプロモーター領域を含有する核酸を含有する溶液と試験対象の薬剤とを接触させる工程;
b)レポーター遺伝子の発現のレベルを評価する工程;および
c)発現のレベルと薬剤の非存在下でレポーター遺伝子の発現のレベルとを比較する工程を含み、薬剤の存在下でのレポーター遺伝子の発現のレベルが、薬剤の非存在下での発現のレベルとは統計的に有意である量により異なり、薬剤がSLIT-3核酸の発現を変化させる、SLIT-3核酸の発現を変化させる薬剤の同定方法。 - 請求項11記載の方法に従って同定されうる、SLIT-3核酸の発現を変化させる薬剤。
- a)核酸またはその誘導体または断片を含有する溶液と、請求項1記載の試験対象の薬剤とを接触させる工程、
b)発現と薬剤の非存在下での核酸、誘導体または断片の発現とを比較する工程、
を含み、薬剤の存在下でのヌクレオチド、誘導体または断片の発現が、薬剤の非存在下での発現と統計学的に有意な量で異なる場合、薬剤はSLIT-3核酸の発現を変化させる薬剤である、
SLIT-3核酸の発現を変化させる薬剤の同定方法。 - 薬剤の存在下でのヌクレオチド、誘導体または断片の発現が、薬剤の非存在下での1つ以上のスプライシングバリアントの発現とは性質または量において異なる1つ以上のスプライシングバリアントの発現を含む、請求項13記載の方法。
- 請求項14記載の方法により同定可能である、SLIT-3核酸の発現を変化させる薬剤。
- SlIT-3核酸に対するアンチセンス核酸;SLIT-3ポリペプチド;SLIT-3核酸レセプター;SLIT-3結合剤;ペプチド模倣物、融合タンパク質;そのプロドラッグ;抗体;およびリボザイムからなる群より選ばれる、SLIT-3核酸の発現を変化させる薬剤。
- SLIT-3核酸を含有する細胞と請求項18記載の薬剤とを接触させる工程を含む、SLIT-3核酸の発現を変化させる方法。
- DNA結合ドメインおよびSLIT-3ポリペプチド、そのスプライシングバリアント、または断片または誘導体をコードする核酸を含む第1のベクター、ならびに転写活性化ドメインおよび試験ポリペプチドをコードする核酸をコードする核酸を含む第2のベクターを用いて酵母ツーハイブリッドシステムを使用する工程を含み、転写活性化が、酵母ハイブリッドシステムで生じる場合、試験ポリペプチドはSLIT-3ポリペプチドと相互作用するポリペプチドである、表3に示される多型を含むSLIT-3ポリペプチドと相互作用するポリペプチドの同定方法。
- SLIT-3核酸またはその断片もしくは誘導体;多数のRoboファミリー核酸またはその断片もしくは誘導体;SLIT-3核酸によりコードされるポリペプチド;多数のRoboファミリー核酸によりコードされるポリペプチド;Roboファミリーのメンバーのレセプター;SLIT-3核酸結合剤;Roboファミリーメンバー核酸結合剤;ペプチド模倣物;融合タンパク質;プロドラッグ;抗体;SLIT-3核酸発現を変化させる薬剤;Roboファミリーメンバー核酸発現を変化させる薬剤;Roboファミリーメンバーのポリペプチドコード核酸の活性を変化させる薬剤;SLIT-3核酸によりコードされるポリペプチドの転写後プロセシングを変化させる薬剤;Roboファミリーメンバーの核酸によりコードされるポリペプチドの転写後プロセシングを変化させる薬剤;SLIT-核酸とSlIT-3結合剤との相互作用を変化させる薬剤;Roboファミリーメンバーの核酸とRoboファミリー結合剤との相互作用を変化させる薬剤;Roboファミリーメンバーの核酸とRoboファミリー結合剤との相互作用を変化させる薬剤;SLIT-3核酸とRoboファミリーメンバーとの相互作用を変化させる薬剤;SLIT-3核酸によりコードされるスプライシングバリアントの転写を変化させる薬剤;Roboファミリーメンバーの核酸によりコードされるスプライシングバリアントの転写を変化させる薬剤;およびリボザイムからなる群より選ばれるII型糖尿病治療剤。
- 請求項19記載のII型糖尿病治療剤を含有してなる医薬組成物。
- II型糖尿病治療剤がSLIT-3核酸またはその断片もしくは誘導体を含有してなる単離された核酸分子が単離された核酸である請求項20記載の医薬組成物。
- II型糖尿病治療剤がSLIT-3核酸によりコードされるポリペプチドである請求項20記載の医薬組成物。
- II型糖尿病治療剤を治療有効量で個体に投与することを含む、個体におけるSLIT-3に関連する疾患または状態の治療方法。
- II型糖尿病治療剤がSLIT-3核酸アゴニストである請求項23記載の方法。
- II型糖尿病治療剤がSLIT-3核酸アンタゴニストである請求項23記載の方法。
- 外因性SLIT-3核酸およびSLIT-3ポリペプチドをコードする核酸からなる群より選ばれる核酸を含有してなるトランスジェニック動物。
- a)ハイブリダイゼーションに適切な条件下で、試料と、SLIT-3遺伝子の配列の一部に少なくとも部分的には相補的である連続したヌクレオチド配列を含有してなる核酸とを接触させる工程、および
b)SLIT-3遺伝子核酸と、SLIT-3核酸の配列の一部に少なくとも部分的に相補的である連続したヌクレオチド配列を含有する核酸との間にハイブリダイゼーションが生じているかを評価する工程;
を含み、ハイブリダイゼーションが生じている場合、SLIT-3核酸が核酸内に存在する、
SLIT-3核酸の存在について試料をアッセイする方法。 - 連続したヌクレオチド配列がSLIT-3核酸の配列の一部に完全に相補的である請求項27記載の方法。
- 前記SLIT-3核酸の少なくとも一部の増幅をさらに含む、請求項27記載の方法。
- 前記連続したヌクレオチド配列が100未満の長さであり、a)図10に示される核酸配列の1つのうちのヌクレオチドの連続した配列に少なくとも80%同一である;b)図10に示される核酸配列の1つのヌクレオチドの連続した配列の相補体に少なくとも80%同一である;またはc)前記SLIT-3核酸に選択的にハイブリダイズしうる、請求項27記載の方法。
- 前記SLIT-3核酸のヌクレオチド配列の一部に少なくとも部分的に相補的な連続したヌクレオチド配列を含有してなる核酸を含有してなる、SLIT-3核酸の存在について試料をアッセイするための医薬。
- 核酸が連続したヌクレオチド配列を含有してなり、前記SLIT-3核酸のヌクレオチド配列の一部に完全に相補的である、これはSLIT-3核酸のヌクレオチド配列の一部に完全に相補的である請求項31記載の試薬。
- a)SLIT-3核酸のヌクレオチドの一部に少なくとも部分的に相補的な連続したヌクレオチド配列を含有する1つ以上の標識核酸;および
b)前記標識の検出のための試薬
を別々の容器中に含有してなる、SLIT-3核酸の存在について試料をアッセイするための試薬キット。 - 標識核酸が、前記SLIT-3核酸のヌクレオチド配列の一部に完全に相補的である連続したヌクレオチド配列を含有してなる請求項33記載の試薬キット。
- SLIT-3核酸の核酸配列の一部に少なくとも部分的に相補的である連続した核酸配列を含有してなる1つ以上の核酸を含有してなり、プライマー伸長のための条件下に維持されると前記SLIT-3核酸のプライマーとして作用しうる、SLIT-3核酸の存在について試料をアッセイするための試薬キット。
- SLIT-3核酸の存在について試料をアッセイするための、a)図10に示される核酸配列の1つ内のヌクレオチドの連続した配列に少なくとも80%同一である;b)図10に示される核酸配列の1つ内のヌクレオチドの連続した配列の相補体と少なくとも80%同一である;またはc)前記SLIT-3核酸に選択的にハイブリダイズしうる、
のいずれかである100未満のヌクレオチドである核酸の使用。 - 第1の核酸との少なくとも1つの核酸差異を有するSLIT-3核酸の存在について試料をアッセイするための、100未満のヌクレオチド長であり、a)図10に示される核酸配列の1つのヌクレオチドの連続した配列に少なくとも80%同一である;
b)図10に示される核酸配列の1つのヌクレオチドの連続した配列の相補体に少なくとも80%同一である;または
c)前記SLIT-3核酸に選択的にハイブリダイズすることができる;
のいずれかである100未満のヌクレオチド長である核酸の使用。 - SLIT-3に関連する疾患または状態に対する罹患性を診断するための、
a)図10に示される核酸配列の1つのヌクレオチドの連続した配列に少なくとも80%同一である;
b)図10に示される核酸配列の1つの連続した配列の相補体に少なくとも80%同一である;または
c)前記SLIT-3核酸に選択的にハイブリダイズすることができる;
のいずれかである100以下のヌクレオチド長である核酸の使用。 - 5q35遺伝子座位において、表2に示されるハプロタイプまたは表5に示されるハプロタイプの個体における存在または非存在を決定する工程を含み、ハプロタイプの存在がII型糖尿病に対する罹患性の診断である、II型糖尿病に対する罹患性を診断する方法。
- ハプロタイプの存在または非存在を決定する工程が個体からの酵素増幅を含む、請求項39記載の方法。
- ハプロタイプの存在または非存在を決定する工程がさらに電気泳動分析を含む請求項40記載の方法。
- ハプロタイプの存在または非存在を決定する工程が制限断片長多型分析を含む請求項39記載の方法。
- ハプロタイプの存在または非存在を決定する工程が配列分析をさらに含む請求項39記載の方法。
- a)個体に由来する核酸試料を得る工程;および
b)SLIT-3遺伝子を含有する5q35遺伝子座に、表2に示されるか、または表5に示されるハプロタイプの存在または非存在について核酸試料を分析する工程、
を含み、ハプロタイプの存在がII型糖尿病に対する罹患性の診断である、個体におけるII型糖尿病に対する罹患性の診断方法。 - 染色体5q35上の1つ以上のマーカーおよび/または図11に示される単一ヌクレオチド多型を含有するハプロタイプの、個体における存在または非存在を決定する工程を含み、ハプロタイプの存在がII型糖尿病に対する罹患性の診断である、個体におけるII型糖尿病に対する罹患性を診断する方法。
- II型糖尿病に対して罹患性でない個体と比べてII型糖尿病に対して罹患性である個体においてより頻繁に存在するSLIT-3核酸においてリスクのあるハプロタイプについてスクリーニングする工程を含み、個体におけるII型糖尿病のリスクのあるハプロタイプがリスクを有意に増大させる、個体におけるII型糖尿病に対する罹患性を診断および同定する方法。
- 有意な増大が少なくとも約20%である請求項46記載の方法。
- 有意な増大が少なくとも約1.2のオッズ比として同定される請求項46記載の方法。
- 個体におけるSLIT3に関連する疾患または常態の治療のための医薬の製造のためのII型糖尿病治療剤の使用。
- II型糖尿病治療剤がSLIT-3核酸アゴニストである請求項49記載の使用。
- II型糖尿病治療剤がSLIT-3核酸アンタゴニストである請求項49記載の使用。
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