JP2006347786A - Iii族窒化物半導体基板およびiii族窒化物半導体基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】III族窒化物半導体基板1は、下地基板10上に形成されたマスク19、AlaGa1−aN(0≦a<1)により構成され、組成aが一定である第一層11、第一層11上に形成される第二層12、組成bが一定のAlbGa1−bN(0<b≦1)により構成される第三層13を備える。第一層11は、マスク19の開口部191内部を埋め込むとともに、被覆部192の上面を覆っている。第二層12は、AlxGa1−xN(0<x<1)により構成され、組成xが層厚方向に変化し、第三層13に接する表面の組成xが、第一層11に接する表面の組成xよりも高くなった組成分布である。組成a、b、xはa<x<bなる関係が成立している。
【選択図】 図1
Description
III族窒化物半導体基板としては、従来から、GaN基板が使用されている。しかしながら、このGaN基板上にAlGaN層を含む素子構造を形成した場合には、GaN基板の格子定数と、AlGaN層の格子定数との差により、AlGaN層に歪みが生じることがある。たとえば、GaN基板上にレーザ構造体を形成する場合、クラッド層としてAlの組成の高いAlGaN層を使用することがある。Alの組成の高いAlGaN層をクラッド層とすることで、光閉じこめ効果を向上させることができるからである。
この場合には、AlGaN層と、GaN基板との格子定数の差が大きくなり、AlGaN層に大きな歪みが生じる可能性が高い。
そのため、従来のGaN基板にかえて、Alを含んだAlGaN基板を使用することが望まれている。
すなわち、AlGaN基板のAlGaN層は2μm以上の厚さになると表面にアレイ状のクラックが高密度に発生することがわかった。また、AlN組成が0.1を超えた場合にも、アレイ状のクラックが発生しやすいことも明らかとなった。なお、AlGaN基板で生じるアレイ状のクラックは、GaN基板でのクラックとは異なるものである。
さらには、従来の方法により製造されたAlGaN基板のAlGaN層は、転位密度が高いということも明らかとなった。
クラックが多く、転位密度の高いAlGaN層を有する基板上に、レーザ構造体等を形成した場合には、良好なデバイス特性は得られないと考えられる。
GaNバッファ層と、AlGaN層との熱膨張係数の違いによって、引っ張り応力が生じる。この引っ張り応力が、AlGaN層でのアレイ状のクラックの発生に大きく影響していると考えられる。
また、GaNバッファ層と、AlGaN層との格子定数の違いにより、AlGaN層に大きな歪みが生じると考えられ、この歪みもアレイ状のクラックの発生に大きく影響していると考えられる。
さらに、本発明者は、鋭意検討した結果、貫通転位により、AlGaN基板のAlGaN層の転位密度が高くなっていると推測した。
本発明は、このような知見推測に基づくものである。
を備え、前記第二層は、AlxGa1−xN(0<x<1)層により構成され、組成xが層厚方向に変化し、前記第三層に接する表面の組成xが、前記第一層に接する表面の組成xよりも高くなった組成分布を有し、前記組成a、b、xにおいてa<x<bとなる関係が成立していることを特徴とするIII族窒化物半導体基板が提供される。
また、本発明では、第一層の組成aは一定であるとしているが、ここでいう一定とは、組成aに対し、−10%〜+10%の範囲内の変動を含む概念であり、−10%〜+10%の範囲内の変動があっても、一定であるとみなされる。同様に第三層において、組成bが一定であるとは、組成bに対し、−10%〜+10%の範囲内の変動を含む概念である。
ここで、第一層の成長方法は特に限定されるものではなく、例えば、ELO(epitaxial lateral overgrowth)法によって成長してもよく、また、FIELO(facet-initiated epitaxial lateral overgrowth)法により成長してもよい。
FIELO法により第一層を成長させた場合には、第一層は、下地基板に対して傾斜するファセット面を有する構造体を形成しながら成長するため、開口部を通過した貫通転位がファセット面で折れ曲がり、上方の第二層、第三層への貫通転位の伝播を効果的に抑制することができる。
これにより、第三層の転位密度の低減を確実に図ることができる。
また、下地基板上に前記絶縁膜が直接形成されていてもよく、下地基板上にバッファ層が形成されており、このバッファ層上に絶縁膜が形成されていてもよい。
下地基板上にバッファ層を形成することで、このバッファ層上に形成される第一層〜第三層の結晶性をより一層高めることができる。
ここで、絶縁膜部の配列ピッチとは、配列方向に沿って隣接する一対の絶縁膜部の幅の中点間の距離をいう。なお、絶縁膜部の幅とは、複数の絶縁膜部の配列方向の幅である。
絶縁膜部の配列ピッチを2〜15μmとすることで、結晶性の高い第一層を形成することができる。
なかでも、絶縁膜は、加工しやすいSiO2により構成されることが好ましい。
III族窒化物半導体基板1は、下地基板10と、下地基板10上に形成されたGaNバッファ層Bと、このGaNバッファ層B上に形成されたマスク(絶縁膜)19と、AlaGa1−aN(0≦a<1)により構成され、組成aが一定である第一層11と、この第一層11上に形成される第二層12と、第二層12上に形成され、組成bが一定のAlbGa1−bN(0<b≦1)により構成される第三層13とを備える。
第二層12は、AlxGa1−xN(0<x<1)により構成され、組成xが層厚方向に変化し、第三層13に接する表面の組成xが、第一層11に接する表面の組成xよりも高くなった組成分布を有している。組成a、b、xにおいては、a<x<bなる関係が成立している。
下地基板10は、単結晶基板が好ましく、例えば、サファイア基板、炭化珪素(SiC)基板、シリコン(Si)基板、ガリウムヒ素(GaAs)基板、ガリウムリン(GaP)基板である。
また、下地基板10としては、GaN基板を使用してもよい。
図2は、GaNバッファ層B上にマスク19を形成した状態を示す平面図である。
マスク19の厚みは、0.01〜5μmである。このマスク19は、Siを構成元素とする絶縁膜である。マスク19は、SiO2あるいは、SiNxにより構成されるものであることが好ましい。なかでも、加工の容易さの点から、マスク19は、SiO2により構成されることが特に好ましい。
また、マスク19は、単層構成であってもよく、多層構成であってもよい。
被覆部192の対向する2辺は、サファイア基板の<10−10>方向に沿っており、被覆部192の対向する他の2辺は、サファイア基板の<10−10>方向と直交する方向に沿っている。
被覆部192の配列ピッチP1,P2は、2〜15μmであり、なかでも、3〜11μmであることが好ましい。配列ピッチP1,P2を3〜11μmとすることで、第一層11の結晶性を向上させることができる。
また、配列ピッチP1に対する被覆部192の幅W1は配列ピッチの30〜70%であることが好ましい。また、配列ピッチP2に対する被覆部192の幅W2も配列ピッチP2の30〜70%であることが好ましい。被覆部192の幅W1,W2を配列ピッチP1,P2の30〜70%とすることで、結晶性のよい第一層11を形成することができる。
ここで、配列ピッチP1は、隣接する被覆部192の幅W1の中点間の距離をいい、配列ピッチP2は、隣接する被覆部192の幅W2の中点間の距離をいう。
また、被覆部192のサファイア基板の<10−10>方向の断面形状、および、サファイア基板の<10−10>方向と直交する方向の断面形状は、特に限定されるものではないが、長方形形状、台形形状等が例示できる。
第一層11は、AlaGa1−aN(0≦a<1)により構成され、組成aは、一定である。この第一層11は、エピタキシャル成長層である。
ここで、第一層11としては、a=0のGaN層であることが好ましい。GaN層は、その初期成長が安定であるからである。また、一般に下地基板10として、表面に0.01〜10μmのGaN層を成長させた基板が使用されることが多いため、第一層11をGaN層とすることが好ましい。
第二層12は、組成xが層厚方向に変化し、第三層13に接する表面の組成xが、第一層11に接する表面の組成xよりも高くなった組成分布を有する。
本実施形態では、第二層12の組成xは、第一層11から第三層13に向かい5段階にわたって階段状に増加している。本実施形態では、第二層12は、5層構成(層121〜125)となっている。例えば、各層121〜125の組成xが第一層11側から第三層13側に向かい、0.1ずつ増加するような構成を採用することができる。第一層11側の層121をAl0.2Ga0.8N、層122をAl0.3Ga0.7N、層123をAl0.4Ga0.6N、層124をAl0.5Ga0.5N、層125をAl0.6Ga0.4Nとすることができる。
なお、第三層13に接する層125の組成xは、第三層13のAlbGa1−bN(0<b≦1)の組成bの30%以上の値であることが好ましい。
また、第二層12の組成xを階段状に増加させる場合には、第二層12が多層構成となるが、第二層12は、2層以上、30層以下であることが好ましい。結晶の品質、コストを考慮すると、2層以上、15層以下であることがより好ましい。
また、第二層12を構成する各層の厚みは0.2〜50μmであることが好ましい。
第二層12全体の層厚は、2〜100μmであることが好ましいが、コスト等を考慮すると、3〜50μmであることがより好ましく、なかでも、3〜25μmであることが特に好ましい。
第二層12の層厚を3μm以上とすることで、第三層13表面でのアレイ状のクラックを確実に減少させることができる。
第三層13のAlbGa1−bNの組成bは、0.1≦b≦1であることが好ましい。従って、第三層13は、AlNであってもよい。
さらに、0.3≦b≦1であることがより好ましく、さらには、0.5≦b≦1であることが特に好ましい。
さらに、第三層13の層厚を3μmを超えるものとすることで、第二層12のクラックが、第三層13表面にまで伝播してしまうことを防止できる。
なお、第二層12のクラックが、第三層13表面にまで伝播してしまうことをより確実に防止し、さらに、第三層13表面まで達するミスフィット転位に起因する欠陥を確実に低減するためには、第三層13の層厚を5μm以上とすることが好ましい。第三層13の成長の安定性およびコスト等を考慮すると、第三層13の層厚は、5〜300μm、さらに好ましくは5〜50μmである。
まず、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法により、400〜700℃(より好ましくは450〜600℃)で下地基板10上にGaNバッファ層Bを形成する。
なお、良質なGaNバッファ層Bを形成するために、GaNバッファ層Bを形成する前段で、900〜1200℃で下地基板10表面を清浄化してもよい。清浄化する際の温度は、900〜1200℃であればよいが、1000℃以上であれば、確実に清浄化を図ることができる。
なお、GaNバッファ層B、第一層11〜第三層13を全てHVPE法で製造する必要はなく、例えば、下地基板10上にMOCVD法により、GaNバッファ層Bを形成し、さらに、HVPE法により、第一層11〜第三層13を形成してもよい。
なお、各層11〜13の形成をHVPE法により行えば、各層11〜13の層厚を厚くすることが可能である。
本実施形態では、第一層11と第三層13との間に、第二層12を設けている。第二層12は、組成xが層厚方向に変化し、第三層13に接する表面の組成xが、第一層11に接する表面の組成xよりも高くなった組成分布のAlxGa1−xN(0<x<1)により構成される層である。この第二層12により、第一層11と、第三層13との間の熱膨張係数の差を緩和することができる。そのため、第三層13に加わる引っ張り応力を低減させることができ、第三層13でのアレイ状のクラックの発生を低減することができる。
これに加え、第二層12を設けることで、第一層11と、第三層13との間の格子定数の差を緩和することができる。格子定数の差に基づく歪みが第三層13で発生しにくくなるため、第三層13でのアレイ状のクラックの発生を確実に低減することができる。
すなわち、第二層12内では、AlxGa1−xN(0<x<1)の組成xが層厚方向に変化しているため、ミスフィット転位によりある程度の欠陥が生じる可能性がある。特に、本実施形態では、組成xが階段状に増加する組成分布としているので、第二層12において、組成xが急激に変化する組成不連続面を形成することができ、組成不連続面において、欠陥を生じさせることが可能となる。
第一層11〜第三層13の熱膨張係数の違い、格子定数の違いにより、ストレスが第二層12に加わると、第二層12の前記欠陥により、組成不連続面に多数のクラックが発生する。この第二層12のクラックの存在により、第三層13に加わる引っ張り応力が低減されることとなり、第三層13表面でのアレイ状のクラックの発生をさらに、低減させることが可能となる。
また、第二層12の組成不連続面には、欠陥やクラックが生じるため、第一層11および第二層12間でミスフィット転位が生じたとしても、第二層12の組成不連続面の欠陥やクラックによりミスフィット転位の伝播が阻害されることとなる。これにより、第三層表面でのアレイ状のクラックの発生を確実に低減させることができる。
これにより、第二層12と、第三層13との格子定数の差による、第三層13でのアレイ状のクラックの発生を低減することができる。また、第二層12と、第三層13との熱膨張係数の差により生じる引っ張り応力を小さくすることができ、第三層13におけるアレイ状のクラックの発生を低減することができる。
たとえば、前記実施形態では、下地基板10と、第一層11との間に、GaNバッファ層Bを形成したが、これに限らず、例えば、AlNのバッファ層を形成してもよい。
また、GaNバッファ層Bを形成せずに、下地基板10上に第一層11を直接形成してもよい。さらには、第一層を低温成長させて、バッファ層としてもよい。
例えば、図3(A)、(B)に示すように、第二層12を単層構成とし、第一層11から第三層13に向かい、なだらかに組成xが増加するものとしてもよい。
さらに、第一層11から第三層13に向かい直線的に組成xが増加するものとしてもよい。
さらに、前記実施形態では、III族窒化物半導体基板1は、下地基板10を備えるものとしたが、これに限らず、下地基板10を有しない構成としてもよい。例えば、下地基板上に第一層〜第三層を形成し、第一層と下地基板との界面からエッチング等により、下地基板を分離してもよい。
平面多角形形状の被覆部をドット状に配置した場合には、諸条件を調整することで、次のように第一層が成長することがある。
第一層を形成する際に、諸条件を調整する(例えば、HVPE法により第一層を形成し、NH3ガスの供給量と、HClガスの供給量との比であるV/III比を30以上とする)ことで、被覆部の角部に第一層の3次元核を形成することができる。この3次元核を基準として、マスクの開口部や被覆部に第一層が広がり、下地基板の基板面に対して傾斜したファセット面を有する構造体が形成される。
第一層の成長を続けると、マスクの被覆部の角部から成長した構造体同士が、マスクの被覆部上面のほぼ中央で合体する。また、前記構造体同士は、開口部の被覆部に囲まれた部分のほぼ中央でも合体する。
さらに、第一層の成長を続けると、第一層は、マスクの開口部や被覆部を完全に埋め込む。
一方、開口部191のうち、サファイア基板の<11−20>方向に沿った部分からは、第一層11が横方向成長し、サファイア基板の<1−100>方向に沿った断面形状がT字型の第一層11が成長する。これらの第一層11は、被覆部192上で合体し、第一層11により、マスク19が完全に埋め込まれる。
この場合においても、第一層11は、下地基板10に対して傾斜するファセット面を有する構造体を形成しながら、成長するため、マスク19の開口部191を通過した貫通転位がファセット面で折れ曲がり、上方の第二層12、第三層13への貫通転位の伝播を効果的に抑制することができる。これにより、第三層13中での結晶欠陥の発生を確実に防止できる。
また、前記実施形態では、被覆部192がドット状に配置されたマスク19を使用したが、これに限らず、例えば、図5に示すように、被覆部392がストライプ状に配置されたマスク39を使用してもよい。マスク39は、平面矩形形状の被覆部392と、平面矩形形状の開口部391とが交互に配置されたものである。被覆部392の長手方向を、下地基板(サファイア基板)の<1−100>方向に沿った方向とすることが好ましい。このように被覆部392を配置することで、ファセット面を有する構造体を形成しながら、第一層11を成長させることができる。
なお、マスク39の被覆部392の配列ピッチは、2〜15μmであることが好ましい。
本実施例では、図1に示した構造のIII族窒化物半導体基板をHVPE法により、製造した。
まず、高純度ガリウム(Ga)をHVPE装置の石英製のGaソースボートの中に充填し、高純度アルミニウム(Al)をアルミナ製のAlソースボートの中に充填した。そして、Gaソースボート、Alソースボートを、水平型石英製のリアクタ内の所定配置にそれぞれ配置した。
サファイア基板の<10−10>方向の被覆部の配列ピッチは、7μmであり、また、サファイア基板の<10−10>方向に直交する方向の配列ピッチも7μmである。また、開口部のサファイア基板の<10−10>方向の幅および、サファイア基板の<10−10>方向に直交する方向の幅は、いずれも4μmであった。
さらに、被覆部は、平面略矩形形状であり、対向する2辺は、サファイア基板の<10−10>方向に沿っている。また、被覆部の対向する他の2辺は、サファイア基板の<10−10>方向と直交する方向に沿っている。
窒素(N2)ガスを前記リアクタ内に供給してリアクタ内の空気を置換した後、N2ガスを10000SCCMで供給した。そして、ヒータによってリアクタ内を加熱した。ここでの加熱方法は、リアクタの外壁をヒータにより加熱する所謂ホットウオール法である。
NH3ガスを3000SCCMで導入して、GaNバッファ層の表面のGaNの解離を防いだ。Alソースボート、Gaソースボート、サファイア基板の温度が、それぞれ500℃、800℃、1050℃に保持されていることを確認した後、第一層の気相成長を開始した。
具体的には、HClガスの供給量を30SCCM(AlCl3供給量10SCCM)として、2分間供給した。
次に、HClガスの供給量を60SCCM(AlCl3供給量20SCCM)とし、2分間供給した。
次に、HClガスの供給量を120SCCM(AlCl3供給量40SCCM)とし、2分間供給した。
さらに、HClガスの供給量を150SCCM(AlCl3供給量50SCCM)とし、2分間供給した。
以上より、5層からなる第二層が形成された。
このようにして形成された第一層、第二層、第三層の層厚は、それぞれ17μm、8μm、28μmであった。
d(c)=0.4981+(0.5185−0.4981)×(1−c)…(式1)
この式1に基づいて、第三層の組成bを求めたところ、b=0.72であった。
また、式1に基づいて、第二層の各層の組成を求めたところ、第一層側から順に、Al0.06Ga0.94N、Al0.15Ga0.85N、Al0.23Ga0.77N、Al0.29Ga0.71N、Al0.38Ga0.62Nとなっていた。
III族窒化物半導体基板の下地基板は、無色透明なサファイア基板であるので、III族窒化物半導体基板の裏側のサファイア基板側から光学顕微鏡で観察したところ、図7に示すように、第一層および第二層にアレイ状のクラックが発生しているのが、確認された。
アレイ状のクラックは第一層および第二層で生じているが、第三層表面にまでは及んでいないことが確認された。
また、電子線加速電圧5kV、観察倍率10000倍で、発光波長220または360nmのカソードルミネッセンス(CL)像から、ダークスポットを数えることで、III族窒化物半導体基板の転位密度を求めた。III族窒化物半導体基板の転位密度は8×108cm−2あった。
表面にGaN層が形成されたサファイア基板(実施例で使用したサファイア基板と同じもの)上に、GaNバッファ層、第一層、第三層を形成した。
GaNバッファ層、第一層、第三層の形成方法は、実施例と同じである。比較例は、第一層と第三層との間に第二層を形成しない点およびマスクを形成しない点において、実施例と異なっている。
比較例において、第一層の層厚は18μm、第三層の層厚は、29μmであった。
顕微鏡で、第三層の表面を観察したところ、図8に示すように、アレイ状のクラックが発生していることが確認できた。このクラックは第三層の表面に高密度で発生していた。
また、実施例と同様の方法で転位密度を求めたところ、比較例における転位密度は、5×109cm−2であった。
10 下地基板
11 第一層
12 第二層
13 第三層
19 マスク
20 サファイア基板
21 バッファ層
22 AlGaN層
39 マスク
121 層
122 層
123 層
124 層
125 層
191 開口部
192 被覆部
391 開口部
392 被覆部
B バッファ層
W1 幅
W2 幅
P1 配列ピッチ
P2 配列ピッチ
Claims (6)
- 開口部が形成された絶縁膜と、
組成aが一定のAlaGa1−aN(0≦a<1)により構成され、前記絶縁膜の前記開口部内部を埋め込み、前記絶縁膜上を覆う第一層と、
この第一層上に形成される第二層と、
前記第二層上に形成され、組成bが一定のAlbGa1−bN(0<b≦1)により構成される第三層と、
を備え、
前記第二層は、AlxGa1−xN(0<x<1)層により構成され、組成xが層厚方向に変化し、前記第三層に接する表面の組成xが、前記第一層に接する表面の組成xよりも高くなった組成分布を有し、
前記組成a、b、xにおいてa<x<bとなる関係が成立していることを特徴とするIII族窒化物半導体基板。 - 請求項1に記載のIII族窒化物半導体基板において、
下地基板を備え、
前記下地基板上に前記絶縁膜が形成されていることを特徴とするIII族窒化物半導体基板。 - 請求項2に記載のIII族窒化物半導体基板において、
前記下地基板上に形成されたバッファ層を備え、
前記バッファ層上に前記絶縁膜が形成されていることを特徴とするIII族窒化物半導体基板。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載のIII族窒化物半導体基板において、
前記絶縁膜は、所定の配列ピッチでドット状に配列した複数の絶縁膜部、或いは、所定の配列ピッチでストライプ状に配列した複数の絶縁膜部を備え、
前記配列ピッチは、2〜15μmであることを特徴とするIII族窒化物半導体基板。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載のIII族窒化物半導体基板において、
前記絶縁膜は、酸化シリコン、又は窒化シリコンにより構成されることを特徴とするIII族窒化物半導体基板。 - III族窒化物半導体基板の製造方法であって、
下地基板上に開口部が形成された絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の前記開口部から、組成aが一定のAlaGa1−aN(0≦a<1)層を成長させて第一層を形成する工程と、
前記第一層上に、組成xが前記組成aよりも大きいAlxGa1−xN(0<x<1)により構成される第二層を成長させる工程と、
前記第二層上に、組成bが一定で、かつ、組成bが前記組成xよりも大きいAlbGa1−bN(0<b≦1)により構成される第三層を成長させる工程とを含み、
第二層を成長させる前記工程では、組成xが層厚方向に変化し、第三層に接する表面の組成xが、第一層に接する表面の組成xよりも高くなった組成分布を有する第二層を成長させることを特徴とするIII族窒化物半導体基板の製造方法。
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