JP2006339836A - 音響振動板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】巻回された導線間が接着剤で硬化された平面コイルを備えた音響振動板を製造することができ、絶縁性シート固有の振動音が音質に影響を与えることがなく、特に中高音域の音質悪化を改善した音響振動板を製造でき、また音響振動板における導線の占有率を高くして音波エネルギーへの変換能率を高めることができ、さらに平面コイルの導体抵抗にばらつきが生じ難いため、品質とその安定性に優れた音響振動板の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】表面に粘着層4が形成された支持体2の表面に導線を巻回し貼着して平面コイル5を形成する導線巻回工程と、前記導線巻回工程で形成された平面コイル5の表面に接着剤6を塗布する接着剤塗布工程と、塗布された接着剤6を硬化させて接着剤硬化平面コイルを得た後に支持体2の粘着層4から前記接着剤硬化平面コイルを剥離させる平面コイル剥離工程と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、スピーカやヘッドホン,イヤホン等、あるいは受信した音を電気信号に変換するマイクロホンや音波センサ等に適用される平面コイルを備えた音響振動板の製造方法に関するものである。
従来より、ガムゾーン型スピーカと呼ばれる電気音響変換器では、ボイスコイルに相当する導電体の平面コイルパターンが形成された音響振動板を磁界発生器の対の中間部に設置し、導電体に駆動電流を供給することによって音響振動板をその平面に対して垂直方向に振動させるようにしたものが用いられている。
このガムゾーン型スピーカの音響振動板は、導電体を音響振動板のほぼ全域に配置させた構造のために、全面が同位相で駆動され広帯域で良好な過渡特性を得ることができるという特徴を有している。
しかし、従来のガムゾーン型スピーカの磁界発生器によって形成される磁界は、音響振動板上で磁界の方向が反転したり磁束密度の低い部分が部分的に存在するため、音響振動板では、磁界の方向や磁束密度に応じて、コイルの巻回方向を反転させたりコイル部を部分的に配置させる必要があった。そのため、平面コイルを支持する合成樹脂シート等の支持部材が不可欠で、支持部材の上にコイルを部分的に配置したり、コイルの巻回方向を変えたりしなければならなかった。
また、音響振動板の全面にコイルを配置できないため、音響振動板の全面に渡って均一な駆動力を発生させることのできる完全な全面駆動型スピーカとすることができず、さらに所定の磁束密度を有する音響振動板の幅の狭い領域に導電体を適正配置する必要があるため、高い工作精度を要するという問題があった。
以上のような問題を解決するため本出願人は鋭意研究し、新しい電気音響変換器を開発し特許権を取得した(特許第3612319号)。この新しい電気音響変換器は、磁界発生器によって一方向の高い磁束密度を音響振動板の全面に渡って形成しているため、音響振動板の平面コイルの巻回方向は一方向で良く、また平面コイルを音響振動板の全面に渡って非常に広範囲に配置できるというこれまでとは大きく異なる特徴を有している。
そして、このような新たな電気音響変換器の特徴を生かすために、従来の合成樹脂シート等の支持部材による音質への影響をなくした高性能な音響振動板が必要となった。
従来の音響振動板の製造方法としては、合成樹脂シート等の絶縁性シートの表面に所定の厚さの銅箔を貼着し、その銅箔をエッチング等の方法によって不要な部分を溶解除去して所望するパターンのコイルを形成するものが知られている。
また、(特許文献1)には「合成樹脂シート等の絶縁性シートの表面に、導電性材料をスパッタリングして第1の金属膜を形成する工程と、第1の金属膜の表面に電解メッキ法により第2の金属膜を付着させる工程と、を備えたスピーカ用振動板の製造方法」が開示されている。
(特許文献2)には「アクリル系フィルム等の基板上にコイルパターンのフォトレジストを形成する工程と、メッキ法によりフォトレジストの開口部にコイルとなる導体を成長させる工程と、を備えたコイル一体型振動板の製造方法」が開示されている。
特開2000−345369号公報 特開2003−299184号公報
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)乃至(特許文献2)に開示の技術は、コイル(導体)が合成樹脂シート等の絶縁性シートの表面に形成されているので、コイルと共に絶縁性シートも振動して絶縁性シート固有の振動音が音質に影響を与え、特に中高音域の音質を悪化させるという課題を有していた。
(2)エッチングやスパッタリング,メッキ等で形成される導体のコイルパターンは、短絡を防止するため導体間に30〜100μm程度の間隔が必要なので、導体の占有率が低くなり、駆動力が低下することによる音波エネルギーへの変換能率が低下するという課題を有していた。
(3)メッキやエッチング等で形成された導体は、厚さや幅にばらつきを生じる。このため、コイルとしての電気抵抗値を均一化させることが難しく、品質とその安定性に欠けていた。さらに、ばらつきに応じて部分的に電気抵抗が増大するため音波エネルギーへの変換能率が低下するという課題を有していた。
(4)導体間の絶縁や固定のために導体を被う樹脂層を必要とする場合があり、この樹脂層によって振動板の重量が増加し、音波エネルギーへの変換能率を高めるための障害になるという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、巻回された導線間が接着剤で硬化された平面コイルを備えた音響振動板を製造することができ、絶縁性シート固有の振動音が音質に影響を与えることがなく、特に中高音域の音質悪化を改善した音響振動板を製造でき、また音響振動板における導線の占有率を高くして音波エネルギーへの変換能率を高めることができ、さらに平面コイルの導体抵抗にばらつきが生じ難いため、品質とその安定性に優れた音響振動板の製造方法を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明の音響振動板の製造方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の音響振動板の製造方法は、表面に粘着層が形成された支持体の表面に導線を巻回し貼着して平面コイルを形成する導線巻回工程と、前記導線巻回工程で形成された前記平面コイルの表面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、塗布された前記接着剤を硬化させて接着剤硬化平面コイルを得た後に前記支持体の前記粘着層から前記接着剤硬化平面コイルを剥離させる平面コイル剥離工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)導線巻回工程と接着剤塗布工程と平面コイル剥離工程とを備えているので、平面コイルが合成樹脂シート等の絶縁性シートで支持されることなく、巻回された導線間が接着剤で硬化された平面コイルを備えた音響振動板を製造することができるため、絶縁性シート固有の振動音が音質に影響を与えることがなく、特に中高音域の音質悪化を改善した音響振動板を製造できる。
(2)導体間の間隔を30〜100μm程度必要としていた従来の方法に比べ、表面に1μm前後の非常に薄い絶縁皮膜で覆われた導線を使用して螺旋状に隙間なく巻回することができるので導体の占有率を高めることができ、さらに導線間に樹脂等の絶縁材料がないため音響振動板を軽量化でき、これらにより音波エネルギーへの変換能率を高めることができる。
(3)導線巻回工程では、粘着層が形成された支持体の表面に貼着しながら導線を巻回するため、導線を隙間なく高密度に巻回した状態を維持でき、非常に安定した作業が行えると共に優れた性能と品質の音響振動板を製造できる。
(4)導体抵抗の安定した導線を使用して巻回できるので、平面コイル各部の導体抵抗にばらつきが生じ難く、音響振動板としての電気抵抗値を均一化させて品質とその安定性に優れた音響振動板が製造できる。さらに、ばらつきに伴う電気抵抗の部分的な増大がないため、音波エネルギーへの変換能率が低下しない。
ここで、支持体としては、合成樹脂製,ゴム製,金属製,ガラス製等の種々の材質で形成されたものが用いられる。
粘着層としては、アクリル系,ゴム系,シリコーン系等の種々の粘着剤で支持体の表面に形成されたものが用いられる。
導線としては、銅及び銅合金製,アルミニウム及びアルミニウム合金製,銅クラッド・アルミニウム線等のクラッド材等が用いられ、導線を密に巻回するためにポリエステルやエナメル,ポリウレタン,ポリアミドイミド等の絶縁皮膜で被覆された被覆線が用いられる。なかでも、アルミニウム線の表面に銅が被覆された銅クラッド・アルミニウム線は、軽量でかつ半田付け性,耐食性にも優れるため好適に用いられる。また、線の断面を角型に近付けたリボン線を用いることにより、さらに導体の占有率を高めることができる。
導線巻回工程において、導線は1本乃至複数本を同時に巻回するが、串状の道具を使用し先端部で整えながら粘着層に貼着して平面コイルを形成することができる。特に、並列とする複数の導線をまとめて巻回する方法は、粘着層の表面に形成された平面コイルの導線間に隙間が形成され難くなり、平面コイルの密度が均一化できるとともに導線巻回工程に要する時間を短縮でき、生産性に優れるため好ましい。また、平面コイル全体の抵抗値を低くして用いる場合には、この並列に巻いた導線を並列接続して使用すると良い。低音域用の音響振動板の場合は、外径の大きな平面コイルを形成する必要があるため巻回数が多く、複数本をまとめて巻回する効果は特に大きい。
また、アクリル板やガラス板,合成樹脂製シート等で形成された透明乃至は半透明の支持体を用い、平面コイルが形成された支持体の反対側から光を照射すると、平面コイルの導線間の隙間から光が漏れるため、導線が隙間なく密に巻回されているかについて容易に検査することができるため好ましい。
また、回転可能に形成されたテーブルの上に支持体を固定し、支持体を回転させて平面コイルを形成すると、導線を平面コイルの径方向に少しずつずらしていくだけで、精度よく導線を巻回し平面コイルを形成することができるため好ましい。
接着剤塗布工程としては、形成された平面コイルの表面に、接着剤を滴下する、吹き付ける、スクリーン印刷する等の方法で塗布することができる。なかでも、スクリーン印刷で塗布する方法が好適に用いられる。何故ならば、選択的に平面コイルの表面だけに接着剤を塗布することができ、接着剤のロスを少なくし生産性に優れるとともに、スクリーンの厚さや開口の大きさ、接着剤の粘度等を一定にすることによって接着剤の塗布量を安定化させることができるため、品質とその安定性に優れるからである。
平面コイルの表面に塗布する接着剤としては、ポリエステル系,エポキシ系,ゴム系,シリコーン樹脂系,シアノアクリレート系,ポリイミド系等の接着剤を用いることができる。また、ラジカル重合形,ラジカル付加形,カチオン重合形,酸硬化形等の紫外線硬化型接着剤、加熱されて接着性を呈するホットメルト樹脂等を用いることもできる。接着剤の材質に求められることは、平面コイルの導線間を接着する機能の他、接着剤固有の振動を発生しないこと、さらに音響振動板全体の固有振動を防ぐ機能などである。例えば、内部損失の高いシリコーン樹脂系等の接着剤を用いると、硬化した接着剤の固有の振動音が生じ難いだけでなく、音響振動板全体の固有振動をも吸収して音質に優れた音響振動板を製造できるため好ましい。
平面コイル剥離工程は、塗布された接着剤を硬化させて接着剤硬化平面コイルを得た後、支持体の粘着層から接着剤硬化平面コイルを剥離させるので、接着剤は、接着剤が硬化した接着剤硬化平面コイルの機械的強度が粘着層の粘着力よりも大きなものが用いられる。接着剤硬化平面コイルを剥離する際に、接着剤硬化平面コイルが破れてしまうことを防止するためである。
なお、平面コイル剥離工程において溶剤等、粘着層の粘着力を弱める手段を適時用いることで、このような剥離する際の平面コイルへのダメージを少なくすることができる。このような手段を用いる場合には、平面コイルの接着剤に対して接着力を弱めることのないよう手段の選択には注意が必要である。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の音響振動板の製造方法であって、前記粘着層が、化学変化により粘着力が低下する剥離性の粘着剤で形成され、前記平面コイル剥離工程において、前記粘着層に化学変化を生じさせる構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)粘着層が、化学変化により粘着力が低下する剥離性の粘着剤で形成されているので、平面コイル剥離工程において粘着層に化学変化を生じさせるだけで粘着力を低下させることができ、接着剤硬化平面コイルを折れ曲がったり破れたりすることなく、支持体から容易に剥離させることができる。
(2)粘着層に対し、加熱する,紫外線を照射する,水をかける等の簡単な操作で粘着層に化学変化を起こさせて粘着力を弱めることができるので、溶剤を使用する場合のように、接着剤硬化平面コイルの接着剤の接着力に影響を与えることなく、接着剤硬化平面コイルを支持体から容易に剥離させることができる。
ここで、化学変化によって粘着力が低下する剥離性の粘着剤としては、アクリル系,ゴム系,シリコーン系等の粘着剤を用いることができ、加熱すると粘着力が低下する熱剥離性粘着剤,紫外線を照射すると硬化して粘着力が低下する紫外線剥離性粘着剤,水をかけると粘着力が低下する水剥離性粘着剤等が用いられる。熱剥離性粘着剤は、例えば、室温の状態では適度の粘着性を有しており、これにより導線を粘着層の表面に貼着して巻回することができるが、80〜180℃に加熱した状態では粘着層中で発泡し、それに伴って粘着力が急激に低下して剥離を容易に行なうことができる。この粘着剤の粘着力は、室温の状態では50〜1500g/20mmに設定され、80〜180℃に加熱した状態では0〜200g/20mm程度に設定されたものが用いられる。このような粘着剤としては、例えば、日東電工製の熱剥離シート(商品名:リバアルファ)の粘着剤を用いることができる。
平面コイル剥離工程において、粘着層に化学変化を生じさせる手段としては、粘着剤の種類によって適宜選択して用いることができる。前記熱剥離シートの場合は、加熱された熱プレートや熱ロールで支持体とともに加熱する手段,粘着層に熱風を当てる手段,所定の温度まで加熱した水等の液体に支持体とともに浸す手段等が用いられる。加熱温度としては、粘着剤の発泡温度である80〜180℃の範囲に設定される。
また、粘着剤の種類によって、粘着層に紫外線を照射する手段、粘着層に水をかけたり水中に浸漬したりする手段等も用いることができる。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の音響振動板の製造方法であって、前記接着剤硬化平面コイルの複数枚を貼り合せて複層平面コイルを形成する複層平面コイル形成工程を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)接着剤はその重量が振動板全体の重量に影響して音波エネルギーへの変換能率に影響するため、塗布量はできるだけ少ない方が好ましい。接着剤硬化平面コイルはフィルム等の支持部材を有していないため、接着剤の塗布量が少なくなるにつれ、接着剤硬化平面コイルが1枚では機械的強度が不足しがちとなり導線間に裂けを生じ易くなる場合がある。特に振幅が大きな低音域用の音響振動板としては強度が不足する場合がある。これに対して2枚の接着剤硬化平面コイルを貼り合わせた場合、一方の平面コイルにおいて導線間の境目となる位置に他方の平面コイルの導線が重なるような部分が随所に発生し、裂け難くなる。このように複数の接着剤硬化平面コイルを貼り合わせることにより、接着剤を薄く塗布しても導線間の境目を減少させて非常に裂け難く機械的強度に優れた音響振動板とすることができる。
(2)複数の接着剤硬化平面コイルを貼り合わせることにより、接着剤硬化平面コイルが1枚の場合に比べ接着剤の割合を減らしても機械的強度を確保できる。従って、接着剤の重量を少なくし、導線の占有率を高くして音波エネルギーへの変換能率を高めることができる。
(3)音響振動板を接着剤硬化平面コイル1枚で構成する場合、平面コイルの裏側となる片面に接着剤を塗布するため、音響振動板の表裏間では非対象な構造となる。このような構造では平面コイルに塗布した接着剤が硬化する際に、非常に少ない収縮が発生しても全体として大きく撓んで平面を保つことが難しくなる。なお、一般的に中高音域用では接着剤硬化平面コイルの表側より音波を発生させるが、表側にも接着剤を塗布すると、撓みは避けられるが接着剤による音質への影響が避けられなくなる。従って、複数の接着剤硬化平面コイルを貼り合わせ、平面コイル間が接着剤となるように音響振動板の表裏間で対象な構造とすることにより、音質に影響を与えることなく撓みを打ち消して音響振動板の平面を維持させることができる。
ここで、複層平面コイルとしては、接着剤硬化平面コイルの接着剤が塗布された面を裏側、塗布されていない面を表側とし、裏側同士を向かい合わせて貼り合せるもの、一方の接着剤硬化平面コイルの裏側に他方の表側を貼り合わせるもの、表側同士を貼り合わせるものを用いることができる。なお、中高音域用の音響振動板では、音波を発生する面は接着剤の音質への影響を避けるために接着剤が塗布されていない面となるように構成することが好ましい。また、接着剤に収縮が発生する場合には振動面が一方向に撓むことを防ぐために、音響振動板としての表側と裏側の間で面対象となるような構造とすることが好ましい。このように、複層平面コイルでは接着剤の材質や振動板の用途に合わせ、複数の接着剤硬化平面コイルの貼り合せ方を変化させて用いることができる。
接着剤硬化平面コイルを貼り合せる接着剤としては、請求項1で説明したものと同様なので、説明を省略する。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の音響振動板の製造方法であって、弾性変形可能なエッジ部を前記接着剤硬化平面コイル又は前記複層平面コイルの外周縁側及び内周縁側に接着するエッジ部接着工程と、前記平面コイルの引出線を前記エッジ部を斜めに横切るように前記エッジ部に接着する引出線接着工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)音響振動板は平面コイルの引出線が外部の音源装置等に接続され、電気信号を流すと、磁界発生器との間で平面コイルの面に対して垂直方向に振動して音を発生させるものである。この振動の際に、平面コイルの引出線が磁界発生器やエッジ部に当たって折れたり断線したりすることを防止するために、平面コイルの引出線はエッジ部に取付けられる。しかし、エッジ部も同様に振動するため、引出線にはエッジ部の振動に応じた前後方向の曲げの力が働き断線するおそれが生じる。本発明における平面コイルの引出線は、エッジ部を斜めに横切るようにエッジ部に接着する引出線接着工程を備えているので、エッジ部を斜めに横切る傾斜を小さくして、エッジ部の振動が引出線に与える影響を小さくすることができる。これにより、引出線への負担を少なくし、断線し難くして音響振動板の耐久性を高めることができる。
ここで、エッジ部としては、接着剤硬化平面コイル又は複層平面コイルを磁界発生器より離して設置するために、接着剤硬化平面コイル又は複層平面コイルの外周縁側と内周縁側に配置され、電気音響変換器内に配設された支持部と音響振動板とを弾性的に連結するサスペンション機能を有するシート状体が用いられる。弾性変形を容易にするため襞部を形成したものも用いられる。
エッジ部の材質としては、シリコーン樹脂製,ウレタンフォーム等のウレタン樹脂製等で形成された合成樹脂製、ゴム製、ポリエステル繊維等の合成樹脂製等の繊維で形成された織布,不織布等にシリコーン樹脂,ウレタン樹脂等の合成樹脂を含浸させた複合シート、襞の形状を良好に維持させるために前記複合シートを重ねて貼り合せた複層複合シート等が用いられる。
エッジ部接着工程において、エッジ部は、接着剤硬化平面コイルのいずれか一方の面と貼り付けることができる。また、接着剤硬化平面コイルを貼り合せて複層平面コイルを形成する際には、複数枚の接着剤硬化平面コイルの間に貼り代を挟み込んで貼り付けることができる。
エッジ部は、接着剤硬化平面コイル又は複層平面コイルの外周縁側と内周縁側に設置されるが、引出線を貼り付けるエッジ部としては、外周縁側のエッジ部の方が適している。それは、エッジ部を斜めに横切る傾斜を小さくするために、エッジ部に円周に沿ったある程度の距離が必要であり、そのためには円周が長い外周縁側の方が適しているからである。
一般的に引出線は、平面コイルの巻き始めと巻き終わり部を巻回せずに残して形成してもよいが、接着剤硬化平面コイルにおいて導線の巻き始めと巻き終わりとなる位置の巻回されたコイル部を解くことによって作り出すこともできる。また、引出線は接着剤硬化平面コイルの内周端側と外周端側に位置し、内周端側の引出線を外周縁側のエッジ部に接着するためには、内周端側引出線を平面コイルの外周端側に渡す必要がある。その手段としては、内周端側引出線を平面コイルの半径方向に横断させる方法を用いると良い。引出線を磁束の方向に対して平行として引出線の渡し部における電磁力の発生を防ぐことができ、音響振動板全体の駆動力に影響を及ぼさなくて済むからである。
引出線接着工程において、引出線は、接着剤硬化平面コイルの外周の略接線方向乃至は接線の内側に引き出され、エッジ部に接着されるのが好ましい。引出線が接線に対して垂直に近い角度で外側に引き出されてエッジ部に接着されると、エッジ部の振動が引出線に影響し曲げの力が直接働いて引出線が断線し易くなるからである。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1に記載の音響振動板の製造方法であって、前記平面コイルの前記導線の終端を、端子に接続されるリード線に複数回巻きつけ、巻きつけた前記導線の先端と前記リード線とを半田付けするリード線接続工程を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)平面コイルの導線は、スピーカ等の電気音響変換器の所定の端子に接続するが、導線は径が小さく、音波による振動,組み立て時や取り扱い時の振動等で端子との半田付け部で断線し易い。そのため、一旦リード線を端子に取り付け、そのリード線に導線の終端を何度も巻きつけ、巻きつけた導線の先端とリード線とを半田付けすることにより、導線を巻きつけたリード線で振動等の外部からの力を吸収させ、導線の半田付け部に力が直接伝わるのを防止して導線を断線し難くすることができ信頼性に優れる。
ここで、リード線としては、軟質の軟銅線,無酸素銅線,銅被覆鋼線,銀やすず等のめっき線等を用いることができる。軟質のリード線を用いるのは、振動等の外部からの力を吸収させるためである。
以上のように、本発明の音響振動板の製造方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)平面コイルが合成樹脂シート等の絶縁性シートで支持されることなく、巻回された導線間が接着剤で硬化された平面コイルを備えた音響振動板を製造することができるため、絶縁性シート固有の振動音が音質に影響を与えることがなく、特に中高音域の音質悪化を改善した音響振動板の製造方法を提供することができる。
(2)導体の占有率を高めることができ、さらに導線間に樹脂等の絶縁材料がないため音響振動板を軽量化でき、これらにより音波エネルギーへの変換能率の高い音響振動板の製造方法を提供することができる。
(3)粘着層が形成された支持体の表面に貼着しながら導線を巻回するため、非常に安定した作業を行うことができ作業性に優れ、さらに導線を隙間なく高密度に巻回でき優れた性能と品質が得られる音響振動板の製造方法を提供することができる。
(4)平面コイル各部の導体抵抗にばらつきが生じ難く、音響振動板としての電気抵抗値を均一化させて品質とその安定性に優れた音響振動板の製造方法を提供することができる。さらに、ばらつきに伴う電気抵抗の部分的な増大がないため、音波エネルギーへの変換能率が低下しない音響振動板の製造方法を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)接着剤硬化平面コイルを折れ曲がったり破れたりすることなく、支持体から容易に剥離させることができ、生産性に優れるとともに製品得率の高い音響振動板の製造方法を提供することができる。
(2)接着剤硬化平面コイルの接着力に影響を与えることなく、平面コイルを支持体から容易に剥離させることができ、品質を低下させない音響振動板の製造方法を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)非常に裂け難く機械的強度に優れた音響振動板の製造方法を提供することができる。
(2)接着剤の重量を少なくし、導線の占有率を高くして音波エネルギーへの変換能率を高めた音響振動板の製造方法を提供することができる。
(3)音質に影響を与えることなく撓みを打ち消して平面を維持させた音響振動板の製造方法を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、
(1)エッジ部を斜めに横切る傾斜を小さくしてエッジ部の振動が引出線に与える影響を小さくすることにより、引出線を断線し難くして耐久性を高めた音響振動板の製造方法を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1の効果に加え、
(1)導線は径が小さいため、音波による振動,組み立て時や取り扱い時の振動等で端子との半田付け部で断線し易いが、導線を巻きつけたリード線で振動等の外部からの力を吸収させ、導線の半田付け部に力が直接伝わるのを防止して導線を断線し難くすることができ信頼性に優れた音響振動板の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における音響振動板の製造方法の導線巻回工程を示す要部断面端面図であり、図2は接着剤塗布工程を示す要部断面端面図であり、図3は平面コイル剥離工程を示す要部断面端面図である。
図中、1は透明なアクリル板やガラス板等で回転可能に形成され裏面から表面に向かって蛍光灯等の可視光が照射されているテーブル、2はポリエステル製,ポリイミド製,ポリプロピレン製等の透明乃至は半透明な合成樹脂製シート等で形成されテーブル1の表面に配置された支持体、3は支持体2の裏面に形成されテーブル1の表面に支持体2を貼着する粘着層、4はアクリル系,ゴム系,シリコーン系等で形成され80〜180℃に加熱されることによって発泡して粘着力が低下する熱剥離性の粘着剤で支持体2の表面に形成された粘着層、4aは加熱されて発泡し粘着力が低下した粘着層、5は絶縁皮膜を有する銅クラッド・アルミニウム線等の導線をスパイラル状に巻回して粘着層4の表面に貼着して形成された平面コイル、6は平面コイル5の表面に塗布されたエポキシ系,ゴム系,シリコーン樹脂系,シアノアクリレート系等の接着剤、7は塗布された接着剤5が硬化して形成された接着剤硬化平面コイルからなる音響振動板である。
以上のように構成された本発明の実施の形態1における音響振動板の製造方法について、図面を参照しながら以下説明する。
導線巻回工程において(図1参照)、支持体2の裏面に形成された粘着層3を用いて、テーブル1の表面に支持体2を貼着する。次に、テーブル1を支持体2と共に回転させながら、支持体2の表面の粘着層4の表面に導線をスパイラル状に巻回して平面コイル5を形成する。巻回は、テーブル1の裏面から可視光を表面に向かって照射し、平面コイル5における導線間の隙間の有無を検査しながら行う。
導線は1本乃至複数本を同時に巻回するが、串状の道具を使用し先端部で整えながら行うことにより、隙間なく密に粘着層4に貼着することができる。
次に、接着剤塗布工程において(図2参照)、平面コイル5の表面にスクリーン印刷等によって接着剤6を塗布する。
接着剤6が硬化した後、表面に平面コイル5が形成されている支持体2をテーブル1から剥がし、支持体2の表面の粘着層4を熱ロールや熱風等によって80〜180℃に加熱する。これにより、図3に示すように、粘着層4が発泡して粘着力が低下した粘着層4aになるので、平面コイル5の表面で接着剤6が硬化した接着剤硬化平面コイル(音響振動板)7を、粘着層4aから容易に剥離することができる(以上、平面コイル剥離工程)。
以上のような本発明の実施の形態1における音響振動板の製造方法によれば、以下のような作用が得られる。
(1)導線巻回工程と接着剤塗布工程と平面コイル剥離工程とを備えているので、平面コイル5が合成樹脂シート等の絶縁性シートで支持されることなく、巻回された導線間が接着剤6で硬化された平面コイル5を備えた音響振動板7を製造することができるため、絶縁性シート固有の振動音が音質に影響を与えることがなく、特に中高音域の音質悪化を改善した音響振動板7を製造できる。
(2)導線を平面方向に隙間なく巻回した平面コイル5が製造できるので、導体の占有率を高めることができ、さらに導線間に樹脂等の絶縁材料が充填されないため、音響振動板7を軽量化でき、音波エネルギーへの変換能率を高めることができる。
(3)導線巻回工程では粘着層4を設け貼着しながら導線を巻回するため、導線を隙間なく高密度に巻回した状態を維持でき、非常に安定した作業が行えると共に優れた性能と品質の平面コイル5を製造できる。
(4)導体抵抗の安定した導線を巻回した平面コイル5が製造できるので、平面コイル5の各部の導体抵抗にばらつきが生じ難い。これにより、音響振動板としての電気抵抗値を均一化できるので品質とその安定性に優れ、また、ばらつきに伴う電気抵抗の部分的な増大がないため、音波エネルギーへの変換能率が低下しない音響振動板7を製造することができる。
(5)粘着層4が、加熱により発泡して粘着力が低下する熱剥離性の粘着剤で形成されているので、平面コイル剥離工程において粘着層4を加熱することで、接着剤硬化平面コイル7を折れ曲がったり破れたりすることなく支持体2から容易に剥離させることができ、生産性に優れるとともに接着剤硬化平面コイル7の製品得率を高めることができる。
(6)透明乃至は半透明の支持体2を用い、支持体2の下方から光を照射するので、導線が隙間なく密に巻回されていることを確認しながら作業できるため、作業効率を高めることができると共に優れた性能と品質の平面コイル5を製造できる。
(7)回転可能に形成されたテーブル1の上に支持体2を固定し、テーブル1を回転させて平面コイル5を形成するので、巻回する導線を平面コイル5の径方向に少しずつずらしていくだけで精度よく導線を巻回でき、容易に平面コイル5を形成できる。
なお、実施の形態1においては、支持体2を、粘着層3を用いてテーブル1に固定した場合について説明したが、粘着層3で貼着せずに真空チャック等を用いてテーブル1に固定してもよい。
また、粘着層4として、加熱により発泡して粘着力が低下する熱剥離性の粘着剤で形成された場合について説明したが、紫外線を照射すると硬化して粘着力が低下する紫外線剥離性粘着剤、水をかけると粘着力が低下する水剥離性粘着剤等のように、その他の化学変化によって粘着力が低下するものを用いてもよい。これらの粘着剤を用いた場合は、平面コイル剥離工程において、粘着剤の種類に応じ、粘着層に紫外線を照射したり粘着層に水をかけたりすることにより化学変化を生じさせて粘着層の粘着力を低下させることができ、同様の作用が得られる。
(実施の形態2)
図4は実施の形態2における音響振動板の製造方法の複層平面コイル形成工程を示す要部断面端面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
7a,7bは接着剤硬化平面コイル7,7を複数枚貼り合わせて形成された複層平面コイルからなる音響振動板である。
複層平面コイル形成工程では、図4(a)に示すように、接着剤硬化平面コイル7,7の接着剤6,6の面同士を向かい合わせて接着することで複層平面コイルからなる音響振動板7aを製造することができる。
図4(a)では、貼り合せた時に2枚の平面コイル5が互いに同じ巻き方向となるように、また、精密に巻回して一方の平面コイル5において全ての導線間となる境目の位置に他方の平面コイル5の導線が重なるように貼り合わせることにより機械的強度を高めることができ、接着剤6を薄く塗布しても裂け難い音響振動板7aを製造できる。このように平面コイル5の全面に渡って導線間の境目となる位置に他方の平面コイル5の導線が重なるようにした場合に、音響振動板7aの裂けに対する強度が最も大きくなるが、無造作に貼り合わせるだけでも、このような重なりが随所に発生するため、裂けに対する強度は増大する。また、特に貼り合せた時に2枚の平面コイル5の巻き方向が互いに逆方向となるようにした場合は、一方と他方の平面コイル5,5の導線において交差する部分が発生するため、このような重なり部を確実に発生させることができる。
また、接着剤6,6同士を内側にして貼り合わせるので、音響振動板7aの接着剤6が塗布されていない面より音波を発生させることができ、接着剤6の音質に与える影響を避けることができる。
さらに、音響振動板7aでは表と裏の面の間で面対象となるような構造としているため、接着剤6が硬化する際の収縮に伴う接着剤硬化平面コイル7の撓みを打ち消しあって、音響振動板7aの平面を保つことができる。
図4(b)に示すように、接着剤硬化平面コイル7において接着剤6の面に、他の接着剤硬化平面コイル7の平面コイル5の面を接着することによっても、複層平面コイルからなる音響振動板7bを製造することができる。このような構造は、接着剤6硬化時の収縮による撓み等への影響が少ない場合に、接着剤6の面を増やして音響振動板7bの機械的強度をさらに高める等の目的で有効である。
(実施の形態3)
図5は実施の形態3における音響振動板の製造方法を示す平面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、8,8aはシリコーン樹脂製やウレタンフォーム,ウレタン樹脂等の合成樹脂製、ゴム製、織布,不織布等にシリコーン樹脂,ウレタン樹脂等の合成樹脂を含浸させた複合シート、襞の形状を良好に維持させるために前記複合シートを重ねて貼り合せた複層複合シート等で形成され、接着剤硬化平面コイルからなる音響振動板7の外周縁側及び内周縁側に取付けられ、図示しない支持部と音響振動板(接着剤硬化平面コイル)7とを弾性的に連結するサスペンション機能を有するエッジ部、9はエッジ部8を横切るように接着された音響振動板7の平面コイルの内周端側引出線、10はエッジ部8を横切るように接着された音響振動板7の平面コイルの外周端側引出線である。
エッジ部接着工程において、エッジ部8は音響振動板(接着剤硬化平面コイル)7の外周縁側に、エッジ部8aは内周縁側に接着される。なお、実施の形態2で説明した接着剤硬化平面コイル7を重ねて複数枚接着した複層平面コイル7a,7bに接着する場合もある。この場合は、接着剤硬化平面コイル7,7の間に貼り代を挟み込んで貼り付けることができる。
次に、引出線接着工程において、内周端側引出線9,外周端側引出線10は、音響振動板7の外周の接線となるような小さな角度で引き出し、エッジ部8を横切るように接着する。なお、内周端側引出線9をエッジ部8に接着するためには、まず、平面コイル5の外周端側に渡す必要があるが、その手段として音響振動板7において半径方向に横断させる方法をとっている。これは内周端側引出線9の渡し部を磁束の方向に対して平行とするためで、これにより内周端側引出線9の電磁力の発生を防ぎ、音響振動板7の駆動力に影響を与えないようにしている。
また、内周端側引出線9,外周端側引出線10の終端は、スピーカ等の電気音響変換器の所定の図示しない端子に接続するが、内周端側引出線9,外周端側引出線10は導線の径が小さく、音波による振動,組み立て時や取り扱い時の振動等で端子との半田付け部で断線し易い。そのため、リード線接続工程において、図示しないリード線を端子に取り付け、そのリード線に内周端側引出線9,外周端側引出線10の導線を何度も巻きつけるようにすると良い。即ち、巻きつけた導線の先端とリード線とを半田付けすることにより、巻きつけ部で外部からの力を吸収させ、半田付け部に力が伝わらないようにして切れ難くする。なお、導線を巻きつけたリード線を熱収縮チューブ等で被覆すると、巻きつけた導線が解けたりするのを防止できるとともに、導線や導線の半田付け部を補強することができ好ましい。
以上のような実施の形態3における音響振動板の製造方法によれば、実施の形態1又は2に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)内周端側引出線9,外周端側引出線10を、エッジ部8を斜めに横切るようにエッジ部8に接着する引出線接着工程を備えているので、エッジ部8を斜めに横切る傾斜を小さくするにつれて、エッジ部8の振動が内周端側引出線9,外周端側引出線10に与える影響を小さくすることができ、内周端側引出線9,外周端側引出線10が断線し難くなって音響振動板7の耐久性を高めることができる。
(2)内周端側引出線9,外周端側引出線10を、エッジ部8に接着する引出線接着工程を備えているので、音響振動板7が前後に振動する際に内周端側引出線9や外周端側引出線10に衝突して断線したり異音を発生したりすることがなくなる。また、従来のスピーカのような振動板において錦糸線等のリード線への半田付けによる繋ぎ替えが不要となるため、それらの重量が原因となる振動板の部分的なバランスの崩れや、半田付け不良などの障害がなくなる。
以上、実施の形態1〜3について述べたが、本発明はこれらのものに限定されることなく適用できる。例えば、接着剤硬化平面コイルの製造法は導体の占有率を高めているため、平面コイルを利用したトランスや、薄型カード等に実装されるアンテナとして用いられる空芯平面コイルなどにも利用できる。
スピーカやヘッドホン,イヤホン等、あるいは受信した音を電気信号に変換するマイクロホンや音波センサ等に適用される平面コイルを備えた音響振動板の製造方法に関し、巻回された導線間が接着剤で硬化された平面コイルを備えた音響振動板を製造することができ、絶縁性シート固有の振動音が音質に影響を与えることがなく、特に中高音域の音質悪化を改善した音響振動板を製造でき、また音響振動板における導線の占有率を高くして音波エネルギーへの変換能率を高めることができ、さらに平面コイルの導体抵抗にばらつきが生じ難いため、品質とその安定性に優れた音響振動板の製造方法を提供できる。
実施の形態1における音響振動板の製造方法の導線巻回工程を示す要部断面端面図 接着剤塗布工程を示す要部断面端面図 平面コイル剥離工程を示す要部断面端面図 実施の形態2における音響振動板の製造方法の複層平面コイル形成工程を示す要部断面端面図 実施の形態3における音響振動板の製造方法を示す平面図
符号の説明
1 テーブル
2 支持体
3 粘着層
4,4a 粘着層
5 平面コイル
6 接着剤
7 接着剤硬化平面コイル(音響振動板)
7a,7b 複層平面コイル(音響振動板)
8,8a エッジ部
9 内周端側引出線
10 外周端側引出線

Claims (5)

  1. 表面に粘着層が形成された支持体の表面に導線を巻回し貼着して平面コイルを形成する導線巻回工程と、前記導線巻回工程で形成された前記平面コイルの表面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、塗布された前記接着剤を硬化させて接着剤硬化平面コイルを得た後に前記支持体の前記粘着層から前記接着剤硬化平面コイルを剥離させる平面コイル剥離工程と、を備えていることを特徴とする音響振動板の製造方法。
  2. 前記粘着層が、化学変化により粘着力が低下する剥離性の粘着剤で形成され、前記平面コイル剥離工程において、前記粘着層に化学変化を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の音響振動板の製造方法。
  3. 前記接着剤硬化平面コイルの複数枚を貼り合せて複層平面コイルを形成する複層平面コイル形成工程を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の音響振動板の製造方法。
  4. 弾性変形可能なエッジ部を前記接着剤硬化平面コイル又は前記複層平面コイルの外周縁側及び内周縁側に接着するエッジ部接着工程と、前記平面コイルの引出線を前記エッジ部を斜めに横切るように前記エッジ部に接着する引出線接着工程と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の音響振動板の製造方法。
  5. 前記平面コイルの前記導線の終端を、端子に接続されるリード線に複数回巻きつけ、巻きつけた前記導線の先端と前記リード線とを半田付けするリード線接続工程を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1に記載の音響振動板の製造方法。
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