JP2006338925A - 燃料電池システム - Google Patents

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栄一 安本
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修 酒井
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靖 菅原
Shinsuke Takeguchi
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Abstract

【課題】燃料電池のアノード触媒の性能劣化を簡易な構成により正確に把握してエアーブリード量を正確に増加させることが可能である、優れた耐久性及び発電効率と通常発電運転時における出力電圧値の安定性を有する好適な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】酸化剤ガス供給部17が供給する酸化剤ガスと、燃料ガス供給部7が供給する改質水素を含む燃料ガスにエアーブリード機構12が供給する空気を混合したガスとを用いて発電する燃料電池15を制御する制御部20とを備える燃料電池システム100であって、制御部20が、起動運転時及び停止運転時の少なくとも何れかの時、燃料電池15のアノード触媒の性能低下を診断し、該診断の結果に基づいてエアーブリード機構12を制御して燃料ガスへの空気の供給量を増加させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、携帯機器、電気自動車、家庭用コージェネレーションシステム等に使用される燃料電池システムに関し、特に、アノード触媒の性能低下に応じてエアーブリード量を増加させる燃料電池システムに関する。
従来から、高効率な小規模発電が可能である燃料電池システムは、発電の際に発生する熱エネルギーを利用するためのシステム構築が容易であるため、高いエネルギー利用効率を実現可能な分散型の発電システムとして開発が進められている。
燃料電池システムでは、発電運転の際、その発電部の本体として配設される燃料電池スタック(以下、単に燃料電池という)に、燃料ガスと酸化剤ガスとが各々供給される。すると、燃料電池では、その供給される燃料ガス中の水素と酸化剤ガス中の酸素とが用いられて、所定の電気化学反応が進行する。この電気化学反応の進行により、水素及び酸素が有する化学的なエネルギーが、電気的なエネルギーに直接変換される。これにより、燃料電池システムは、負荷に向けて電力を出力する。
以下、従来の燃料電池システムの構成及び動作について概説する。
図10は、従来の燃料電池システムの一般的な構成の一部を模式的に示すブロック図である。尚、図10では、燃料ガスとして都市ガスを改質して生成する改質ガスを用いると共に、酸化剤ガスとして空気を用いる構成を示している。又、以下の記載において、「CO」は「一酸化炭素」を意味する。
図10に示すように、従来の燃料電池システム200は、原料流量調整バルブ101と脱硫器102とを備えている。原料流量調整バルブ101は、都市ガスの供給手段から脱硫器102への都市ガスの供給量を調整する。又、脱硫器102は、原料流量調整バルブ101を通過した都市ガスに含まれるメルカプタンやジメチルサルファイド等の付臭剤を除去する。
又、この燃料電池システム200は、改質器103と変成器104と浄化器105とを備えている。改質器103は、脱硫器102を通過して付臭剤が除去された都市ガスを用いて、水蒸気改質反応により改質ガスを生成する。又、変成器104は、改質器103が生成した改質ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を、シフト反応により低減する。又、浄化器105は、変成器104を通過した改質ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を、選択酸化反応により更に低減する。そして、少なくとも改質器103と変成器104と浄化器105とにより、燃料改質部106を構成している。尚、図10に示すように、水の供給手段から改質器103への水の供給は、改質水供給ポンプ107により行われる。又、後述する空気流量調整部111から浄化器105への空気の供給量は、選択酸化用流量調整部108により調整される。
又、この燃料電池システム200は、燃料電池109を備えている。この燃料電池109は、燃料改質部106が生成した改質ガスを用いて発電を行う。この燃料電池109としては、例えば、高分子電解質型燃料電池を備える。この高分子電解質型燃料電池は、プロトンの伝導性を有する高分子電解質膜を備えている。この高分子電解質膜は、その両面に白金触媒(アノード触媒及びカソード触媒)を備えている。斯かる高分子電解質型燃料電池では、アノード触媒上で、白金の触媒作用により、改質ガスに含まれる水素がプロトン及び電子に変換される触媒反応が進行する。この際、プロトンは、高分子電解質膜の内部を移動して、カソード触媒上に到達する。又、電子は、外部負荷を経由して、カソード触媒上に到達する。一方、カソード触媒上では、白金の触媒作用により、到達するプロトン及び電子と後述する加湿器112から供給される空気中の酸素とから水を生成する触媒反応が進行する。尚、図10に示すように、発電運転中に発熱する燃料電池109の冷却は、熱交換部110により行われる。
又、この燃料電池システム200は、空気流量調整部111と加湿器112と燃焼器114とを備えている。空気流量調整部111は、大気中から選択酸化用流量調節部108及び加湿器112及び後述するエアーブリード機構113への空気の供給量を調整する。又、加湿器112は、空気流量調整部111を通過した空気を、燃料電池109から排出される高温高湿状態の排空気を用いて加温及び加湿する。又、燃焼器114は、燃料電池109から排出される排改質ガスを、燃料電池109から排出されかつ加湿器112を通過した排空気を用いて燃焼する。そして、排燃焼ガスとして、燃料電池システム200の外部に排出する。
又、この燃料電池システム200は、エアーブリード機構113を備えている。エアーブリード機構113は、発電運転の際、燃料改質部106が生成した改質ガスに、燃料電池109への供給前、空気流量調整部111を通過した空気を所定の供給量で供給する。このエアーブリード機構113により、燃料電池システム200は、燃料電池109におけるアノード触媒の被毒を抑制する。
具体的には、燃料改質部106が生成する改質ガスは、通常、微量の一酸化炭素を含んでいる。この一酸化炭素は、白金と容易に結合するため、燃料電池109のアノード触媒の被毒を引き起こす。このアノード触媒の被毒は、アノード触媒上における水素を用いる触媒反応の進行を著しく阻害する。そこで、エアーブリード機構113により改質ガスに空気を供給して、燃料電池109のアノード触媒上に酸素を供給する。そして、アノード触媒に結合した一酸化炭素を、酸素を用いて更に酸化して、二酸化炭素に変換する。これにより、アノード触媒上から二酸化炭素が脱離して、排改質ガスと共に燃料電池109の外部に排出されるので、燃料電池109におけるアノード触媒の被毒を抑制することが可能になる。
ところで、近年の燃料電池システムでは、上述したエアーブリード機構に加えて、燃料電池自体にも耐CO被毒性を付与するために、白金触媒に代えて白金−ルテニウム合金触媒を燃料電池のアノード触媒として用いている。この白金−ルテニウム合金触媒を用いる構成によれば、エアーブリード機構による被毒抑制効果に加えて、酸素吸着能を有するルテニウムにより改質ガス中の水分等からも酸素が吸着及び白金上に供給されて被毒が抑制されるので、燃料電池でのアノード触媒の被毒をより一層効果的に抑制することが可能になる。
しかしながら、この白金−ルテニウム合金触媒をアノード触媒として用いる燃料電池システムでは、長期に渡って発電運転が継続される場合や、発電運転の起動と停止とが繰り返される運転(以下、DSS運転という)の場合、ルテニウムが溶出して、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が低下するので、燃料電池自体の耐CO被毒性が経時的に低下する。この場合、エアーブリード機構による改質ガスへの空気の供給量(以下、エアーブリード量という)が不足するため、燃料電池のアノード触媒の被毒が経時的に低下して、燃料電池の出力電圧値が経時的に低下する。
そこで、発電運転中、一時的に改質ガスに含まれる一酸化炭素の濃度が上昇して、アノード触媒の被毒により燃料電池の出力電圧値がノーマル電圧値より所定の電圧値だけ低い警戒電圧値を下回った場合、エアーブリード機構によるエアーブリード量を20〜30%程度増加することにより、発電運転を停止することなく、燃料電池の出力電圧値を警戒電圧値以上の電圧値にまで回復させる燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−207135号公報
しかしながら、上述した従来の提案では、燃料電池の出力電圧値が所定の閾値を下回った後、エアーブリード量を増加して、燃料電池の出力電圧値を所定の電圧値にまで回復させるので、発電運転中に燃料電池の出力電圧値が変動する。この燃料電池の出力電圧値の変動は、燃料電池システムに接続される外部負荷の安定な動作を著しく阻害する。
又、上述した従来の提案では、燃料電池の出力電圧値が所定の閾値を下回り、エアーブリード量を増加する際、そのエアーブリード量の増加量をアノード触媒の性能低下を補填するための正確な増加量とすることは難しい。換言すれば、例えば、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの減少によりアノード触媒の被毒が進行した場合、そのルテニウムの残存率を正確に把握してエアーブリード量を正確に増加させることは難しい。その理由は、発電運転中に燃料電池の出力電圧値の変動値を検出しても、その出力電圧値の変動値は、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に反映していないからである。
又、エアーブリード量の増加量が白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの減少を補填するための正確な増加量を超える場合には、過剰分の酸素が燃料電池において改質ガスに含まれる水素の単なる燃焼反応を促進するため、燃料電池の発電運転のために使用可能な水素の量が減少する。つまり、燃料電池への酸素の過剰な供給は、燃料電池システムの発電効率を悪化させる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされてものであり、燃料電池のアノード触媒の性能低下を簡易な構成により正確に把握してエアーブリード量を正確に増加させることが可能である、優れた耐久性及び発電効率と通常発電運転時における出力電圧値の安定性を有する好適な燃料電池システムを提供することを目的としている。
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る燃料電池システムは、空気を供給するエアーブリード機構と、酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と、原料を改質して水素を含む燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、前記酸化剤ガス供給部が供給する前記酸化剤ガスと、前記燃料ガス供給部が供給する前記燃料ガスに前記エアーブリード機構が前記空気を供給して得る前記燃料ガスと前記空気との混合ガスとを用いて発電する燃料電池と、少なくとも前記エアーブリード機構及び前記酸化剤ガス供給部及び前記燃料ガス供給部及び前記燃料電池を制御して起動運転及び停止運転を行う制御部とを備える燃料電池システムであって、前記制御部が、前記起動運転時、前記燃料電池のアノード触媒の性能低下を診断して、該診断の結果に基づいて前記エアーブリード機構を制御して前記燃料ガスへの前記空気の供給量を増加させる(請求項1)。
かかる構成とすると、制御部が燃料電池システムの起動運転時に燃料電池のアノード触媒の性能低下を診断してエアーブリード機構による燃料ガスへの空気の供給量を増加させるので、通常発電運転時における電力の出力特性が優れた燃料電池システムを提供することが可能になる。
この場合、前記制御部が、前記燃料ガス供給部が通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する際の前記燃料電池の出力電圧値と所定の基準電圧値との電圧差に基づいて前記診断する(請求項2)。
かかる構成とすると、燃料ガス供給部が通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の燃料ガスを燃料電池に供給する際の出力電圧値と所定の基準電圧値との電圧差に基づいてアノード触媒の性能低下を診断するので、アノード触媒の性能低下の程度を極めて正確に診断することができる。その結果、エアーブリード機構による燃料ガスへの空気の供給量を極めて正確に増加させることができるので、優れた耐久性及び発電効率を備える燃料電池システムを提供することが可能になる。
この場合、前記燃料ガス供給部が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を第1の温度以上で第1の濃度以下に低減する変成器を備え、前記変成器の温度が前記第1の温度未満であることを前記制御部が判定して前記変成器が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を前記第1の濃度を超えるよう低減することにより前記通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する(請求項3)。
かかる構成とすると、特別な設備を配設することなく、従来の燃料電池システムの構成及び動作を利用して、通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の燃料ガスを燃料電池に供給することが可能になる。
又、上記の場合、前記燃料ガス供給部が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を第2の温度以上で第2の濃度以下に低減する浄化器を備え、前記浄化器の温度が前記第2の温度未満であることを前記制御部が判定して前記浄化器が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を前記第2の濃度を超えるよう低減することにより前記通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する(請求項4)。
かかる構成としても、特別な設備を配設することなく、従来の燃料電池システムの構成及び動作を利用して、通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の燃料ガスを燃料電池に供給することが可能になる。
又、上記の場合、前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を前記第2の温度以上で前記第2の濃度以下に低減するために前記浄化器に所定の流量以上で空気を供給する空気供給部を更に備え、少なくとも前記変成器及び前記浄化器の温度が前記第1及び第2の温度以上であることを前記制御部が判定して前記空気供給部が前記所定の流量未満で前記空気を供給又は供給を停止することにより前記通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する(請求項5)。
かかる構成としても、特別な設備を配設することなく、従来の燃料電池システムの構成及び動作を利用して、通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の燃料ガスを燃料電池に供給することが可能になる。
又、本発明に係る燃料電池システムは、空気を供給するエアーブリード機構と、酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と、原料を改質して水素を含む燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、前記酸化剤ガス供給部が供給する前記酸化剤ガスと、前記燃料ガス供給部が供給する前記燃料ガスに前記エアーブリード機構が前記空気を供給して得る前記燃料ガスと前記空気との混合ガスとを用いて発電する燃料電池と、少なくとも前記エアーブリード機構及び前記酸化剤ガス供給部及び前記燃料ガス供給部及び前記燃料電池を制御して起動運転及び停止運転を行う制御部とを備える燃料電池システムであって、前記制御部が、前記停止運転時、前記燃料電池のアノード触媒の性能低下を診断して、該診断の結果に基づいて前記エアーブリード機構を制御して前記燃料ガスへの前記空気の供給量を増加させる(請求項6)。
かかる構成とすると、制御部が燃料電池システムの停止運転時に燃料電池のアノード触媒の性能低下を診断してエアーブリード機構による燃料ガスへの空気の供給量を増加させるので、通常発電運転時における電力の出力特性が優れた燃料電池システムを提供することが可能になる。
この場合、前記制御部が、前記燃料ガス供給部が通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する際の前記燃料電池の出力電圧値と所定の基準電圧値との電圧差に基づいて前記診断する(請求項7)。
かかる構成とすると、燃料ガス供給部が通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の燃料ガスを燃料電池に供給する際の出力電圧値と所定の基準電圧値との電圧差に基づいてアノード触媒の性能低下を診断するので、アノード触媒の性能低下の程度を極めて正確に診断することができる。その結果、エアーブリード機構による燃料ガスへの空気の供給量を極めて正確に増加させることができるので、優れた耐久性及び発電効率を備える燃料電池システムを提供することが可能になる。
この場合、前記燃料ガス供給部が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を第1の温度以上で第1の濃度以下に低減する変成器を備え、前記変成器の温度が前記第1の温度未満であることを前記制御部が判定して前記変成器が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を前記第1の濃度を超えるよう低減することにより前記通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する(請求項8)。
かかる構成とすると、特別な設備を配設することなく、従来の燃料電池システムの構成及び動作を利用して、通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の燃料ガスを燃料電池に供給することが可能になる。
又、上記の場合、前記燃料ガス供給部が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を第2の温度以上で第2の濃度以下に低減する浄化器を備え、前記浄化器の温度が前記第2の温度未満であることを前記制御部が判定して前記浄化器が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を前記第2の濃度を超えるよう低減することにより前記通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する(請求項9)。
かかる構成としても、特別な設備を配設することなく、従来の燃料電池システムの構成及び動作を利用して、通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の燃料ガスを燃料電池に供給することが可能になる。
又、上記の場合、前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を前記第2の温度以上で前記第2の濃度以下に低減するために前記浄化器に所定の流量以上で空気を供給する空気供給部を更に備え、少なくとも前記変成器及び前記浄化器の温度が前記第1及び第2の温度以上であることを前記制御部が判定して前記空気供給部が前記所定の流量未満で前記空気を供給又は供給を停止することにより前記通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する(請求項10)。
かかる構成としても、特別な設備を配設することなく、従来の燃料電池システムの構成及び動作を利用して、通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の燃料ガスを燃料電池に供給することが可能になる。
又、上記の場合、前記制御部が、前記燃料電池のアノード触媒の性能低下を前記起動運転時に加えて前記停止運転時にも前記診断する(請求項11)。
かかる構成とすると、制御部が燃料電池のアノード触媒の性能低下を起動運転時に加えて停止運転時にも診断するので、通常発電運転時における電力の出力特性がより一層優れた燃料電池システムを提供することが可能になる。
又、上記の場合、前記燃料電池が、プロトン伝導性を有する高分子電解質膜の一方の面にアノード触媒を他方の面にカソード触媒を各々備え、前記アノード触媒及び前記カソード触媒の少なくともアノード触媒が白金−ルテニウム合金触媒からなる高分子電解質型燃料電池である(請求項12)。
かかる構成とすると、燃料電池が、アノード触媒及びカソード触媒の少なくともアノード触媒が白金−ルテニウム合金触媒からなる高分子電解質型燃料電池であるので、本発明を好適に実施することが可能になる。
本発明に係る燃料電池システムによれば、燃料電池のアノード触媒の性能低下を正確に把握して、燃料電池へのエアーブリード量を正確に増加させることが可能になるので、アノード触媒の被毒を確実に解消することが可能になると共に、高分子電解質膜の損傷や発電効率の悪化を確実に防止することが可能になる。
又、本発明に係る燃料電池システムによれば、燃料電池のアノード触媒の性能低下を、従来の燃料電池システムの構成及び動作を利用する簡易な構成により、通常発電運転を行わない時に正確に把握するので、燃料電池システムの出力電圧値の安定性を確実に確保することが可能になる。
つまり、本発明によれば、燃料電池のアノード触媒の性能低下を簡易な構成により正確に把握してエアーブリード量を正確に増加させることが可能である、優れた耐久性及び発電効率と出力電圧値の安定性を有する好適な燃料電池システムを提供することが可能になるという効果が得られる。
尚、本発明によれば、燃料電池へのエアーブリード量を極めて正確に増加させることにより、高分子電解質膜の寿命を長寿命化することができるので、燃料電池システムの寿命を長寿命化することも十分に期待できる。
本発明の概念は、発電運転の起動と停止とが繰り返されるDSS運転を行う燃料電池システムを対象とする。
又、本発明は、改質ガスを生成する燃料改質部と、この燃料改質部が生成する改質ガスに空気を供給するエアーブリード機構とを備える燃料電池システムを対象とする。
又、本発明を実施するための最良の形態では、白金−ルテニウム合金触媒をアノード触媒として用いる燃料電池システムを一例に挙げて説明する。
又、本明細書では、燃料電池システムの起動から電力の出力開始までの間の運転を、燃料電池システムの「起動運転」と定義する。又、電力の出力停止から燃料電池システムの動作停止までの間の運転を、燃料電池システムの「停止運転」と定義する。尚、燃料電池システムが電力を出力している際の運転を、燃料電池システムの「通常発電運転」と定義する。
先ず、本発明の実施の形態1〜7において共通する、燃料電池のアノード触媒の性能低下を正確に把握して、エアーブリード量の増加量を正確に求める、燃料電池システムの基本的な動作概念について説明する。
白金−ルテニウム合金触媒をアノード触媒として用いる燃料電池システムでは、例えばDSS運転が行われる場合、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムが溶出するので、その白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が経時的に低下する。つまり、酸素吸着能及び酸素供給能を有するルテニウムの残存率が経時的に低下するので、燃料電池自体の耐CO被毒性が経時的に低下する。
ところで、白金−ルテニウム合金触媒をアノード触媒として用いる燃料電池システムでは、アノード触媒の被毒を、ルテニウムが有する酸素吸着能及び白金への酸素供給能とエアーブリード機構が有する空気供給能とを利用して効果的に抑制する。従って、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が経時的に低下して、燃料電池自体の耐CO被毒性が経時的に低下する場合、燃料電池の発電性能を好適に維持するためには、その白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率の低下に応じて、エアーブリード機構による改質ガスへのエアーブリード量を正確に増加させる必要がある。
一方、燃料改質部を備える一般的な燃料電池システムでは、燃料改質部における改質器の温度が水蒸気改質反応を進行させるための所定の温度であっても、燃料改質部における変成器の温度がシフト反応を進行させるための所定の温度でない場合や、燃料改質部における浄化器の温度が選択酸化反応を進行させるための所定の温度でない場合、燃料改質部が生成する改質ガスは100ppm以上の高濃度の一酸化炭素を含む。
又、燃料改質部における改質器及び変成器及び浄化器の温度が水蒸気改質反応を進行させるための所定の温度及びシフト反応を進行させるための所定の温度及び選択酸化反応を進行させるための所定の温度であっても、選択酸化用流量調整部から浄化器への空気の供給量が不足する場合、つまり、浄化器におけるストイキオメトリが悪化する場合、燃料改質部が生成する改質ガスは100ppm以上の高濃度の一酸化炭素を含む。
そこで、本発明では、上述した燃料改質部が元々有する性質を積極的に利用して、燃料電池システムの起動運転時又は停止運転時、燃料改質部における変成器の温度がシフト反応を進行させるための所定の温度以下の診断温度である時、燃料電池を破壊しない程度でありかつ通常発電運転時には供給しない程度の高濃度の一酸化炭素を含む改質ガスを、燃料改質部から燃料電池に意図的に供給する。或いは、燃料改質部における浄化器の温度が選択酸化反応を進行させるための所定の温度以下の診断温度である時、燃料電池を破壊しない程度でありかつ通常発電運転時には供給しない程度の高濃度の一酸化炭素を含む改質ガスを、燃料改質部から燃料電池に意図的に供給する。
又は、上述した燃料改質部が元々有する性質を積極的に利用して、燃料電池システムの起動運転時又は停止運転時、燃料改質部における改質器及び変成器及び浄化器の温度が水蒸気改質反応を進行させるための所定の温度及びシフト反応を進行させるための所定の温度及び選択酸化反応を進行させるための所定の温度である時、選択酸化用流量調整部から浄化器への空気の供給量を所定の減少率で減少させる。又は、選択酸化用流量調整部から浄化器への空気の供給を停止する。これにより、燃料電池を破壊しない程度でありかつ通常発電運転時には供給しない程度の高濃度の一酸化炭素を含む改質ガスを、燃料改質部から燃料電池に意図的に供給する。
又、上述の如く燃料改質部から燃料電池に高濃度の一酸化炭素を含む改質ガスを供給する際、空気流量調整部を駆動して、加湿器から燃料電池に空気を供給する。
そして、一酸化炭素を含む改質ガスと空気とを燃料電池に供給する際、燃料電池の出力電圧値を測定して、この測定する出力電圧値と所定の基準電圧値との電圧差に基づいて、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求める。そして、この正確に求めたルテニウムの残存率に応じて、燃料電池へのエアーブリード量の最適な増加量を正確に求める。これにより、燃料電池システムにおいて、燃料電池の発電性能を好適に維持する。
次に、本発明の実施の形態1〜7において共通する、燃料電池のアノード触媒の性能低下を正確に把握して、エアーブリード量の増加量を正確に求める、燃料電池システムの基本的な動作原理について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めるための原理を説明する模式図である。尚、図2において、縦軸は燃料電池の出力電圧値を示しており、横軸は改質ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を示している。
又、図2において、電圧値Eは、純水素を供給する場合の燃料電池の出力電圧値を示している。又、図2において、CO濃度C1は、通常発電運転時に燃料電池へ供給する改質ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を示している。又、CO濃度C2は、燃料電池システムの起動運転時又は停止運転時、最適なエアーブリード量を正確に求める際に燃料電池へ供給する改質ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を示している。
又、図2において、曲線aは、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が100%である場合の燃料電池の出力電圧特性を示している。又、曲線bは、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が80%である場合の燃料電池の出力電圧特性を示している。又、曲線cは、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が60%である場合の燃料電池の出力電圧特性を示している。又、曲線dは、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が40%である場合の燃料電池の出力電圧特性を示している。又、曲線eは、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が20%である場合の燃料電池の出力電圧特性を示している。又、曲線fは、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が0%である場合の燃料電池の出力電圧特性を示している。
図2に示すように、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が100%である場合(曲線a)、純水素の供給を受けて電圧値Eの電圧を出力可能な燃料電池は、燃料改質部から通常発電運転時の許容濃度であるCO濃度C1の一酸化炭素を含む改質ガスの供給を受けることにより、電圧値Ea1の電圧を出力する。又、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が0%である場合(曲線f)、この燃料電池は、燃料改質部からCO濃度C1の一酸化炭素を含む改質ガスの供給を受けることにより、電圧値Ef1の電圧を出力する。ここで、図2に示すように、電圧値Ea1と電圧値Ef1との電圧差は、ΔEaf1である。
一方、図2に示すように、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が100%である場合(曲線a)、この燃料電池は、燃料改質部から起動運転時又は停止運転時のCO濃度C2の一酸化炭素を含む改質ガスの供給を受けることにより、電圧値Ea2の電圧を出力する。又、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が0%である場合(曲線f)、この燃料電池は、燃料改質部からCO濃度C2の一酸化炭素を含む改質ガスの供給を受けることにより、電圧値Ef2の電圧を出力する。ここで、図2に示すように、電圧値Ea2と電圧値Ef2との電圧差は、ΔEaf2である。そして、この電圧差ΔEaf2は、上述の電圧差ΔEaf1よりも大きい。
つまり、燃料電池に高濃度の一酸化炭素を含む改質ガスを意図的に供給すれば、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの減少に起因する燃料電池の出力電圧値の低下値を拡大して読み取ることができるので、ルテニウムの残存率を極めて正確に求めることが可能になる。
従って、図2に示す原理によれば、通常発電運転時の許容濃度であるCO濃度C1を超えるCO濃度C2の一酸化炭素を含む改質ガスを燃料電池に供給することで、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの微小な減少も、燃料電池の出力電圧値の低下値に基づいて、極めて正確に求めることが可能になる。
例えば、長期に渡る発電運転やDSS運転によりルテニウムが溶出して、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が100%(曲線a)から80%〜20%(曲線b〜曲線e)に低下した場合、CO濃度C1の一酸化炭素を含む改質ガスを供給して得られる燃料電池の出力電圧値の低下値が微小であっても、CO濃度C2の一酸化炭素を含む改質ガスを燃料電池に供給することにより、電圧値Ea2と電圧値Eb2〜Ee2との電圧差ΔEab2〜ΔEae2の如く、燃料電池の出力電圧値の低下値を拡大して正確に読み取ることが可能になる。これにより、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの微小な減少も、極めて正確に求めることが可能になる。
一方、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めた後、そのルテニウムの残存率に応じて、エアーブリード量の最適な増加量を正確に求める。
図3は、燃料電池システムの制御部が記憶する、燃料電池の出力電圧値の基準電圧値に対する電圧差と、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率と、エアーブリード量の最適な増加量との相互関係を示すデータテーブルである。尚、図3において、項目Aは燃料電池の出力電圧値の基準電圧値に対する電圧差を示している。又、項目Bは、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を示している。又、項目Cは、エアーブリード量の最適な増加量を示している。
燃料電池システムにおいて、制御部は、燃料電池の出力電圧値の基準電圧値に対する電圧差を正確に測定すると、図3に示す相互関係に基づいて、その電圧差に対応する白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求める。そして、制御部は、図3に示す相互関係に更に基づいて、そのルテニウムの残存率に対応するエアーブリード量の最適な増加量を正確に求める。例えば、図3に示すように、制御部が電圧差0を測定した場合、白金−ルテニウム合金触媒においてルテニウムが100%残存することになるので、エアーブリード増加量は0とする。一方、制御部が電圧差ΔEab2〜ΔEaf2を測定した場合、ルテニウムの残存率は80%〜0%であるので、エアーブリード増加量をSab〜Safとする。
尚、実際には、例えば、CO濃度C2の一酸化炭素を含む改質ガスを供給して得られる燃料電池の所定の基準電圧値に対する電圧差とルテニウムの残存率との関係式を予め準備しておき、この関係式に燃料電池の出力電圧値の低下値を入力することにより、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求める。又、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率とエアーブリード量の増加量との関係式を予め準備しておき、この関係式にルテニウムの残存率を入力することにより、エアーブリード量の増加量を正確に求める。これらの演算は、燃料電池システムが有する制御部が実行する。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(実施の形態1)
先ず、実施の形態1の燃料電池システム100の構成について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に示す燃料電池システムの構成の一部を模式的に示すブロック図である。尚、図1では、燃料ガスとして都市ガスを改質して生成する改質ガスを用いると共に、酸化剤ガスとして空気を用いる燃料電池システムの構成を示している。
図1に示すように、本実施の形態の燃料電池システム100は、原料流量調整バルブ1と脱硫器2とを備えている。原料流量調整バルブ1は、都市ガスの供給手段から脱硫器2への都市ガスの供給量を調整する。又、脱硫器2は、原料流量調整バルブ1を通過した都市ガスに含まれるメルカプタンやジメチルサルファイド等の付臭剤を除去する。尚、都市ガスの供給手段としては、都市ガスのインフラストラクチャーを用いる。
又、この燃料電池システム100は、改質器3と変成器4と浄化器5とを備えている。改質器3は、脱硫器2を通過して付臭剤が除去された都市ガスを用いて、水蒸気改質反応により水素を豊富に含む改質ガスを生成する。又、変成器4は、改質器3が生成した改質ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を、シフト反応により低減する。又、浄化器5は、変成器4を通過した改質ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を、選択酸化反応により更に低減する。尚、改質器3及び変成器4及び浄化器5の各々は、図1では特に図示しないが、水蒸気改質反応及びシフト反応及び選択酸化反応等の温度を検出するための温度センサーを各々備えている。
又、この燃料電池システム100は、燃焼器6を備えている。燃焼器6は、水蒸気改質反応を進行させるために必要となる熱を、都市ガス、又は、後述する燃料電池15から排出される排改質ガスを燃焼することにより、少なくとも改質器3に供給する。尚、燃焼器6での燃焼により発生する燃焼排ガスは、燃料電池システム100の外部に放出される。
そして、図1に示すように、本実施の形態の燃料電池システム100では、少なくとも改質器3と変成器4と浄化器5と燃焼器6とにより、燃料改質部7を構成している。
又、この燃料電池システム100は、改質水供給ポンプ8と燃焼用都市ガス供給バルブ9及び燃焼用空気供給バルブ10と選択酸化用流量調整部11とを備えている。改質水供給ポンプ8は、水蒸気改質反応を進行させるために必要な水を、水の供給手段から燃料改質部7の改質器3に供給する。尚、水の供給手段としては、通常、水道を用いる。又、燃焼用都市ガス供給バルブ9及び燃焼用空気供給バルブ10は、都市ガスの供給手段及び大気中から燃焼器6への都市ガス及び空気の流入を調節する。又、選択酸化用流量調整部11は、選択酸化反応を進行させるために必要となる空気の、後述する空気流量調整部17から燃料改質部7の浄化器5への供給量を調整する。
又、この燃料電池システム100は、その発電部の本体として、燃料電池15を備えている。この燃料電池15は、燃料改質部7が生成した改質ガスを用いて発電を行う。本実施の形態の燃料電池システム100は、燃料電池15として、比較的低温での発電が可能である高分子電解質型燃料電池を備えている。ここで、高分子電解質型燃料電池は、プロトンの伝導性を有する高分子電解質膜を備えている。又、この高分子電解質膜は、その両面に、アノード触媒及びカソード触媒を備えている。本実施の形態では、これらのアノード触媒及びカソード触媒の内の少なくともアノード触媒に、白金−ルテニウム合金触媒を用いている。この白金−ルテニウム合金触媒を少なくともアノード触媒として用いることにより、酸素吸着能を有するルテニウムが発電運転中に燃料改質部7が供給する改質ガス中の水分等から酸素を吸着して白金上に供給するので、白金に結合する一酸化炭素を二酸化炭素に変換して燃料電池15の外部へ放出することが可能になる。つまり、この白金−ルテニウム合金触媒を用いる構成により、燃料電池システム100は、燃料電池15自体に耐CO被毒性を付与している。
尚、本実施の形態では、少なくともアノード触媒に白金−ルテニウム合金触媒を用いる構成を示しているが、この白金−ルテニウム合金触媒を用いる構成に限定されることはない。例えば、ルテニウムに代えてロジウム等の遷移金属を用いて、白金−ロジウム合金触媒等を少なくともアノード触媒として用いる構成としてもよい。又、白金と共に遷移金属を用いる構成に限定されることはなく、酸素を吸着等してこれを白金上に供給することによりアノード触媒の被毒を抑制することが可能な元素であれば、如何なる元素であっても白金と共にアノード触媒の一部として用いることが可能である。
斯かる高分子電解質型の燃料電池15では、アノード触媒上で、白金の触媒作用によって、改質ガスに含まれる水素がプロトン及び電子に変換される触媒反応が進行する。この際、プロトンは、高分子電解質膜の内部を移動して、カソード触媒上に到達する。又、電子は、燃料電池システム100に電気的に接続する外部負荷を経由して、カソード触媒上に到達する。一方、カソード触媒上では、白金の触媒作用により、到達するプロトン及び電子と後述する加湿器18から供給される酸素とから水を生成する触媒反応が進行する。
又、この燃料電池システム100は、熱交換部16を備えている。熱交換部16は、図1では特に図示しない貯水槽内の冷却水を燃料電池15の内部に循環することにより、発電運転中に発熱する燃料電池15と冷却水との間で熱の交換を行う。そして、熱交換部16は、発電運転中に発熱する燃料電池15の温度が所定の温度範囲内で推移するように、燃料電池15の動作温度を適宜制御する。
又、この燃料電池システム100は、バイパス弁13及びバイパス経路14を備えている。バイパス弁13は、燃料改質部7が生成する改質ガスの燃料電池15への供給と、燃料改質部7が生成する改質ガスのバイパス経路14への供給とを、必要に応じて適宜切り替える。又、バイパス経路14は、燃料改質部7が生成して、バイパス弁13を通過した改質ガスを、燃料電池15を迂回させて、後述する凝縮器19へ直接供給する。尚、バイパス弁13としては、例えば、三方弁を用いる。
又、この燃料電池システム100は、空気流量調整部17を備えている。空気流量調整部17は、大気中から選択酸化用流量調節部11及び後述する加湿器18及び後述するエアーブリード機構12への空気の供給量を調整する。この空気流量調整部17は、本実施の形態の燃料電池システム100では、燃焼用空気供給バルブ10に空気を供給する空気供給系統から空気の供給を受ける。
又、この燃料電池システム100は、加湿器18を備えている。加湿器18は、空気流量調整部17を通過した空気を、燃料電池15から排出される高温高湿状態の排空気を用いて加温及び加湿する。本実施の形態では、加湿器18における空気用流路18aと排空気用流路18bとの間に、燃料電池15で用いる高分子電解質膜と同様の高分子電解質膜18cを設けている。この高分子電解質膜18cを介して、排空気用流路18b内の燃料電池15から排出された排空気の熱及び水分が、空気用流路18a内の空気流量調整部17を通過した空気に移動する。尚、燃料電池15から排出された後、加湿器18の排空気用流路18bを通過した排空気は、燃料電池システム100の外部に放出される。
又、この燃料電池システム100は、凝縮器19を備えている。凝縮器19は、発電運転の際、燃料電池15が排出する排改質ガスに含まれる水分を凝縮により除去する。そして、この凝縮器19は、不要な水分が取り除かれた排改質ガスを、燃料改質部7の燃焼器6に供給する。尚、凝縮器19において排改質ガスから除去した水は、燃料電池システム100の外部に排出される。
又、この燃料電池システム100は、エアーブリード機構12を備えている。エアーブリード機構12は、発電運転の際、燃料改質部7が生成した改質ガスに、燃料電池15への供給前、空気流量調整部17を通過した空気を所定の供給量で供給する。このエアーブリード機構12により、燃料電池システム100は、燃料電池15におけるアノード触媒の被毒を抑制する。
具体的には、燃料改質部7が生成する改質ガスは、通常、微量の一酸化炭素を含んでいる。この一酸化炭素は、アノード触媒を構成する白金と容易に結合する。つまり、改質ガスに含まれる一酸化炭素は、燃料電池15のアノード触媒の被毒を容易に引き起こす。このアノード触媒の被毒は、アノード触媒上における水素をプロトンと電子とに変換する触媒反応の進行を著しく阻害する。そこで、エアーブリード機構12を用いて改質ガスに空気を供給することにより、改質ガスと共に、燃料電池15を構成するアノード触媒上に酸素を供給する。そして、アノード触媒に結合する一酸化炭素を、エアーブリード機構12が供給する酸素により更に酸化して、二酸化炭素に変換する。これにより、生成する二酸化炭素がアノード触媒上から脱離して、排改質ガスと共に燃料電池15の外部に排出されるので、燃料電池15におけるアノード触媒の被毒を抑制することが可能になる。
つまり、本実施の形態の燃料電池システム100は、エアーブリード機構12が有するアノード触媒上への酸素供給機能を基本的に利用すると共に、燃料電池15における白金−ルテニウム合金触媒のルテニウムが有する白金への酸素供給機能をも更に利用することにより、燃料電池15のアノード触媒の被毒を効果的に抑制して、燃料電池15の発電性能の劣化を効果的に抑制する。
又、この燃料電池システム100は、制御部101を備えている。制御部101は、燃料改質部7、エアーブリード機構12、燃料電池15等の燃料電池システム100を構成する各構成要素の動作を、制御部101の記憶部が予め記憶した制御プログラム等に従って適宜制御する。又、この制御部101は、燃料電池15の出力電圧値を測定して、それに基づいて、燃料電池15の白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に把握する。そして、制御部101は、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率に応じて、発電運転の際のエアーブリード機構12による改質ガスへの空気の供給量を最適な供給量に設定する。
次に、実施の形態1の燃料電池システム100の動作について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、燃料電池システム100を構成する各構成要素の動作は、本実施の形態では、制御部101が適宜制御する。
図4は、本発明の実施の形態1に示す燃料電池システムの起動運転時における動作を模式的に示すフローチャートである。尚、図4において、ステップS3は、起動運転時において燃料電池の出力電圧値に基づいてエアーブリード量の正確な増加量を決定する診断ステップを示している。
図1に示す燃料電池システム100の起動運転時、制御部101は、先ず、燃焼用都市ガス供給バルブ9と燃焼用空気供給バルブ10との各々を共に開状態とする。そして、都市ガスの供給手段及び大気中から燃焼器6に都市ガス及び空気を供給する。一方、燃焼器6は、都市ガス及び空気の供給を受けると、これらの都市ガス及び空気を混合して、この混合して得る都市ガス及び空気の混合ガスを燃焼する。そして、この燃焼器6での混合ガスの燃焼により、燃料改質部7の加熱を開始する(ステップS1)。
次いで、制御部101は、燃料改質部7の浄化器5と凝縮器19とをバイパス弁13及びバイパス経路14を介して接続した状態において、原料流量調整バルブ1を操作して、都市ガスの供給手段から脱硫器2に所定の流量で都市ガスを供給する。すると、脱硫器2は、都市ガスに含まれるメルカプタンやジメチルサルファイド等の付臭剤を除去した後、その付臭剤を除去した都市ガスを改質器3に供給する。又、この際、制御部101は、改質水供給ポンプ8を稼働して、水の供給手段から改質器3への水の供給を開始する。
燃焼器6が燃料改質部7の加熱を開始すると共に、脱硫器2及び改質水供給ポンプ8が改質器3への都市ガス及び水の供給を各々所定の供給量で開始して、空気流量調整部17及び選択酸化用流量調整部11が浄化器5への空気の供給を所定の供給量で開始すると、燃料改質部7における改質器3及び変成器4及び浄化器5は、水蒸気改質反応及びシフト反応及び選択酸化反応により、水素を含む改質ガスの生成を開始する(ステップS2)。
この際、燃料改質部7における改質器3の温度が水蒸気改質反応を進行させるための所定の温度に到達するまでは、燃料改質部7が生成する改質ガスは非常に高濃度の一酸化炭素を含む。そこで、燃料電池システム100では、この非常に高濃度の一酸化炭素を含む改質ガスを、バイパス弁13及びバイパス経路14を介して凝縮器19に供給する。
以後、起動運転時における燃料電池15の出力電圧値に基づいてエアーブリード量の最適な増加量を正確に決定するための診断ステップS3(ステップSS1〜ステップSS6)が進行する。
制御部101は、燃料改質部7における変成器4の温度Tsの変化を、温度センサーにより逐次監視する。一方、変成器4の温度Tsは、燃焼器6が混合ガスを燃焼して生成する熱や、改質器3が排出する改質ガスの熱等により直接的又は間接的に加熱されて、徐々に上昇する。そして、制御部101は、変成器4の温度Tsがシフト反応を進行させるための所定の温度(例えば、200℃)より低い温度である診断温度Td(例えば、140℃)に到達したか否かを判定する(ステップSS1)。
制御部101は、変成器4の温度Tsが診断温度Tdに到達したと判定すると(ステップSS1でYES)、バイパス弁13の状態を、燃料改質部7の浄化器5と燃料電池15との接続を遮断しかつ浄化器5と凝縮器19とを接続する状態から、浄化器5と燃料電池15とを接続しかつ浄化器5と凝縮器19との接続を遮断する状態に変更する。これにより、燃料改質部7は、変成器4の温度Tsが診断温度Tdである時の、図2に示す濃度C2に相当する濃度(例えば、100ppm)の一酸化炭素を含む改質ガスを、浄化器5から燃料電池15に所定の供給量で供給し始める。又、この時、制御部101は、空気流量調整部17を制御する。これにより、加湿器18は、燃料電池15に所定の供給量で空気を供給し始める。そして、制御部101は、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を求めるために、燃料電池15の診断運転を開始する(ステップSS2)。
尚、制御部101は、変成器4の温度Tsが未だ診断温度Tdに到達していないと判定すると(ステップSS1でNO)、変成器4の温度Tsの変化を温度センサーにより引き続き監視する。そして、制御部101は、変成器4の温度Tsが診断温度Tdに到達したか否かを繰り返し判定する。
次いで、制御部101は、診断運転中における燃料電池15の出力電圧値Vdを測定する。(ステップSS3)。この際、制御部101は、この燃料電池15の出力電圧値Vdの値(例えば、740mV)を、制御部101が有するメモリーに格納する。
次いで、制御部101は、燃料電池15と、この燃料電池15の電力出力端子に接続されたインバータ等の負荷との電気的な接続を遮断して、燃料電池15の発電運転を停止する。又、制御部101は、バイパス弁13の状態を、燃料改質部7の浄化器5と燃料電池15とを接続しかつ浄化器5と凝縮器19との接続を遮断する状態から、浄化器5と燃料電池15との接続を遮断しかつ浄化器5と凝縮器19とを接続する状態に変更する。これにより、燃料改質部7から燃料電池15への改質ガスの供給を停止する。又、この時、制御部101は、空気流量調整部17の動作を制御する。これにより、加湿器18は、燃料電池15への空気の供給を停止する。そして、制御部101は、燃料電池15の診断運転を終了する(ステップSS4)。
次いで、制御部101は、ステップSS3において測定及び格納した燃料電池15の出力電圧値Vdと、予め制御部101のメモリーに格納されている基準電圧値Vsとを比較する。そして、制御部101は、出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低いか否かを判定する(ステップSS5)。
制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vd(例えば、740mV)が基準電圧値Vs(例えば、750mV)よりも低いと判定すると(ステップSS5でYES)、基準電圧値Vsと出力電圧値Vdとの電圧差ΔV(例えば、10mV)を演算して、この電圧差ΔVに基づいて、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求める。又、このルテニウムの残存率に基づいて、燃料電池15へのエアーブリード量の最適な増加量Sb(例えば、増加率として5%)を正確に求める。そして、制御部101は、このエアーブリード量の正確な増加量Sbをエアーブリード機構12のエアーブリード量の増加量として設定した後(ステップSS6)、診断ステップS3を終了する。
本実施の形態では、基準電圧値Vsを、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が100%であり、かつ改質ガスに含まれる一酸化炭素の濃度がCO濃度C2である場合の、図2に示す電圧値Ea2としている。
尚、このステップSS6において、基準電圧値Vsについては、任意の固定値を用いることができる。又、この基準電圧値については、アノード触媒以外の構成の劣化により燃料電池15の出力電圧値が低下することを予め見込んで、燃料電池システム100の発電運転の経過時間に伴って、順次低下させることも可能である。更に、燃料電池システム100のDSS運転において、前日における発電運転終了時の燃料電池15の出力電圧値を基準電圧値として設定することも可能である。
又、このステップSS6において、エアーブリード量の正確な増加量Sbは、予め制御部101が有する、ルテニウムの残存率に対するエアーブリード量の増加量のデフォルト値、又は、ルテニウムの残存率とエアーブリード量の増加量との関係式に基づいて、適宜求めることができる。ここで、ルテニウムの残存率とエアーブリード量の増加量との関係式に、燃料電池システム100の発電運転時間をパラメータとして導入してもよい。
一方、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低くないと判定すると(ステップSS5でNO)、ルテニウムの残存率及びエアーブリード量の正確な増加量Sbを導出及び設定することなく、診断ステップS3を終了する。
次いで、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低いと判定した場合(ステップSS5でYESの場合)、エアーブリード機構12による燃料電池15へのエアーブリード量を所定量だけ増加させる。具体的には、制御部101は、診断ステップS3の後、エアーブリード機構12を制御して、例えば白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率が100%である場合のエアーブリード量Snに上述した増加量Sbを加えて、このエアーブリード量Sn+Sbの供給量で改質ガスへの空気の供給を開始する(ステップS4a)。
一方、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低くないと判定した場合(ステップSS5でNOの場合)、診断ステップS3の後、エアーブリード量Snに増加量Sbを加えることなく、エアーブリード量Snを維持したまま、改質ガスへの空気の供給を開始する(ステップS4b)。
その後、制御部101は、燃料改質部7における変成器4の温度Tsの変化を温度センサーにより逐次監視しながら、変成器4の温度Tsがシフト反応を進行させるための所定の温度Tpd(例えば、200℃)に到達して、変成器4の温度Tsが所定の温度Tpdで安定したか否かを判定する(ステップS5)。
制御部101は、変成器4の温度Tsがシフト反応を進行させるための所定の温度Tpdに到達しかつ安定したと判定すると(ステップS5でYES)、バイパス弁13の状態を、燃料改質部7の浄化器5と燃料電池15との接続を遮断しかつ浄化器5と凝縮器19とを接続する状態から、浄化器5と燃料電池15とを接続しかつ浄化器5と凝縮器19との接続を遮断する状態に変更する。これにより、燃料改質部7は、燃料電池15に向けて改質ガスを所定の供給量で供給し始める。又、この時、制御部101は、空気流量調整部17を再び制御する。これにより、加湿器18は、燃料電池15に向けて空気を所定の供給量で供給し始める。又、この時、制御部101は、燃料電池15と、この燃料電池15の電力出力端子に接続されたインバータ等の負荷とを電気的に接続して、燃料電池15の発電運転を開始する。そして、制御部101は、燃料電池システム100の通常発電運転を開始する(ステップS6)。
一方、制御部101は、変成器4の温度Tsがシフト反応を進行させるための所定の温度Tpdに到達していないと判定すると(ステップS5でNO)、変成器4の温度Tsの変化を温度センサーにより引き続き監視する。そして、制御部101は、変成器4の温度Tsが所定の温度Tpdに到達しかつ安定したか否かを繰り返し判定する。
尚、図4のステップS6以降、燃料電池システム100では、燃料改質部7の改質器3が水蒸気改質反応による改質ガスの生成を継続する。又、変成器4は、シフト反応により、改質ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を数%程度にまで低減する。又、浄化器5は、選択酸化用流量調整部11が供給する空気を用いる選択酸化反応により、改質ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を50ppm以下(望ましくは、20ppm以下)にまで低減する。つまり、燃料改質部7は、一酸化炭素の濃度が十分に低減された良質の改質ガスを、バイパス弁13を介して燃料電池15に供給する。又、エアーブリード機構12は、燃料改質部7が生成する改質ガスへの空気の供給を、上述した図4のステップS4aに示すようにして継続する。
又、空気流量調整部17は、通常発電運転を開始後、大気中から選択酸化用流量調節部11及び加湿器18及びエアーブリード機構12への空気の供給量を調整する。そして、加湿器18は、空気流量調整部17を通過した空気を、燃料電池15から排出される高温高湿状態の排空気を用いて加温及び加湿した後、燃料電池15に供給する。
又、燃料電池15は、燃料改質部7が生成する改質ガスと、エアーブリード機構12が供給する空気と、加湿器18が供給する加温及び加湿された空気とを用いながら、通常発電運転を継続する。これにより、燃料電池システム100は電力の出力を継続する。
尚、通常発電運転の際、燃料電池15から排出される排空気は、加湿器18において空気流量調整部17が供給する空気の加温及び加湿のために用いられた後、燃料電池システム100の外部に放出される。又、燃料電池15から排出される排改質ガスは、凝縮器19において不要な水分が除湿された後、燃焼器6に供給される。そして、燃焼器6で、燃料改質部7が有する少なくとも改質器3を加熱するための燃料として再利用される。この際、制御部101は、燃料電池15が排出する排改質ガスのみにより改質器3の温度維持が可能である場合には、燃焼用都市ガス供給バルブ9を閉状態として、燃焼器6への都市ガスの供給を停止する。又、燃料電池15で発生する熱は、熱交換部16において冷却水との間で熱交換が行われることにより、給湯のための熱源として有効に利用される。
一方、燃料電池システム100の通常発電運転を停止する場合、制御部101は、燃料電池15の電力出力端子に接続されたインバータ等の負荷との電気的な接続を遮断することにより、燃料電池15の通常発電運転を停止する。又、制御部101は、バイパス弁13の状態を、燃料改質部7の浄化器5と燃料電池15とを接続しかつ浄化器5と凝縮器19との接続を遮断する状態から、浄化器5と燃料電池15との接続を遮断しかつ浄化器5と凝縮器19とを接続する状態に変更する。これにより、制御部101は、燃料改質部7から燃料電池15への改質ガスの供給を停止する。又、制御部101は、空気流量調整部17の動作を制御することにより、加湿器18から燃料電池15への空気の供給を停止する。
又、この際、制御部101は、原料流量調整バルブ1及び改質水供給ポンプ8を操作することにより、都市ガスの供給手段から脱硫器2への都市ガスの供給を停止すると共に、水の供給手段から改質器3への水の供給を停止する。又、制御部101は、燃焼用都市ガス供給バルブ9を閉状態とすると共に、燃焼用空気供給バルブ10を通過する空気を燃料改質部7に供給することにより、燃料改質部7の温度を低下させる。これにより、制御部101は、改質器3及び変成器4及び浄化器5において進行する水蒸気改質反応及びシフト反応及び選択酸化反応の進行を停止する。そして、燃料改質部7は、改質ガスの生成を停止する。
又、制御部101は、熱交換部16が燃料電池15を所定の温度にまで冷却した後、燃料電池システム100を構成する各構成要素の動作を全て停止して、燃料電池システム100の動作を完全に停止する。
以上、本実施の形態に示す燃料電池システム100では、燃料電池システム100の起動運転の際、変成器4の温度Tsがシフト反応のための所定の温度に到達する前の診断温度Tdに到達した時、一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを燃料改質部7から燃料電池15に供給する。これにより、燃料電池15の出力電圧値Vdと基準電圧値Vsとの電圧差を極めて正確に検出することができるので、燃料電池15の白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を極めて正確に求めることが可能になる。そして、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を極めて正確に求めることができるので、燃料改質部7が生成する改質ガスへのエアーブリード量を極めて正確に増加させることが可能になる。
又、燃料改質部7が生成する改質ガスへのエアーブリード量を極めて正確に増加させることができるので、又、これにより、燃料電池15の見かけ上の耐久性が向上するので、燃料電池システム100の寿命を長寿命化することも期待できる。
又、燃料改質部7が生成する改質ガスへのエアーブリード量を極めて正確に増加させることができるので、過剰分の酸素が燃料電池15において改質ガスに含まれる水素の単なる燃焼反応を促進することを抑制することが可能になる。従って、燃料電池15の発電運転において必要かつ十分な量の水素を確保することができるので、燃料電池システム100の発電効率を好適に確保することが可能になる。
又、本実施の形態に示す燃料電池システム100によれば、燃料電池システム100の起動運転時、燃料電池15の白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率に応じて燃料改質部7が生成する改質ガスへのエアーブリード量を極めて正確に増加させるので、通常発電運転中において燃料電池15の出力電圧値が変動することはない。従って、燃料電池システム100に接続される外部負荷の安定な動作を確実に確保することが可能になる。又、燃料電池15を構成する各燃料電池(セル)の出力電圧値のばらつきを抑制することが可能になる。
又、例えば、消費電力が減少する夜間に通常発電運転を停止するDSS運転では、燃料電池システム100の起動運転時において変成器4の温度Tsが診断温度Tdと等しくなる時点が毎日必然的に存在するため、起動運転の際に特別な操作を行うことなく、一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを容易に得ることが可能になる。従って、燃料電池15の白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を容易にかつ正確に求めることができるので、燃料改質部7が生成する改質ガスへのエアーブリード量を容易にかつ正確に増加させることが可能になる。
又、本実施の形態に示す燃料電池システム100の動作は、特別の構成要素を準備することなく、従来の燃料電池システムの構成において実施することが可能である。従って、燃料電池15の白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を簡易に求めて、燃料改質部7が生成する改質ガスへのエアーブリード量を簡易に増加させることが可能になる。
つまり、本実施の形態に示す燃料電池システム100によれば、燃料電池15のアノード触媒の性能低下を簡易な構成により正確に把握してエアーブリード量を正確に増加させることが可能である、優れた耐久性及び発電効率と通常発電運転時における出力電圧値の安定性を有する好適な燃料電池システム100を提供することが可能になる。
尚、本実施の形態では、燃料電池システム100の起動運転時、燃料改質部7における変成器4の温度Tsが所定の診断温度Tdに到達した際に一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを燃料電池15に供給する構成について説明したが、このような構成に限定されることはない。例えば、燃料電池システム100の起動運転時、燃料改質部7が生成する改質ガスに含まれる一酸化炭素の濃度をCOセンサーが逐次監視して、この一酸化炭素の濃度が所定の診断濃度に到達した際、一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを燃料電池15に供給する構成としてもよい。つまり、燃料電池システム100の起動運転時において一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを燃料電池15に供給することが可能な構成であれば、如何なる構成としてもよい。斯かる構成としても、本実施の形態において得られる効果と同様の効果を得ることが可能である。
又、本実施の形態では、燃料電池システム100の起動運転時、一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを供給する際の燃料電池15の出力電圧値Vdを測定して、この出力電圧値Vdと基準電圧値Vsとの電圧差ΔVに基づいて白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めて、このルテニウムの残存率に基づいてエアーブリード量の最適な増加量を正確に求める構成について説明したが、このような構成に限定されることはない。例えば、燃料電池システム100の起動運転時、一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを供給する際の燃料電池15の出力電圧値Vdを測定した後、この出力電圧値Vdと基準電圧値Vsとの電圧差ΔV1の値を、所定の変換テーブルに基づいて、許容濃度の一酸化炭素(即ち、図2に示すCO濃度C1に相当)を含む改質ガスを供給する場合の電圧差ΔV2に変換する。そして、この電圧差ΔV2に基づいて白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めて、このルテニウムの残存率に基づいてエアーブリード量の最適な増加量を正確に求める構成としてもよい。斯かる構成としても、本実施の形態において得られる効果と同様の効果を得ることが可能である。
又、本実施の形態では、燃料電池システム100の起動運転時、燃料電池15の出力電圧値Vdと基準電圧値Vsとの電圧差ΔVに基づいて、又は、電圧差ΔV1を変換して得る電圧差ΔV2に基づいて白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めて、このルテニウムの残存率に基づいてエアーブリード量の最適な増加量を正確に求める構成について説明したが、このような構成に限定されることはない。例えば、電圧差ΔVに基づいて、又は、電圧差ΔV1を変換して得る電圧差ΔV2に基づいて、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を求めることなく、エアーブリード量の最適な増加量を直接求める構成としてもよい。つまり、電圧差ΔV、又は、電圧差ΔV1若しくはΔV2とエアーブリード量の最適な増加量とが厳密に対応していれば、本実施の形態において得られる効果と同様の効果を得ることが可能である。
又、本実施の形態で示した診断温度Tdや基準電圧値Vs等は、その最適値が燃料電池システム100の形態や利用用途等によっても変化するため、一義的に定義することはできない。つまり、燃料電池システム100の形態や利用用途等に応じて、最適な診断温度Tdや基準電圧値Vs等の値を設定することにより、本発明の効果が得られる。
又、本実施の形態では、燃料電池15として高分子電解質型燃料電池を備える構成について説明したが、このような構成に限定されることはない。つまり、本発明の趣旨が適応可能な構成であれば、如何なる燃料電池システムに対しても本発明を応用することが可能である。
(実施の形態2)
本発明に係る実施の形態2では、診断運転用の一酸化炭素を含む改質ガスを得るための制御方法が、実施の形態1における制御方法と異なっている。
具体的には、燃料電池システム100の起動運転時、燃料電池15の診断運転を開始するか否かを決定する際、実施の形態1では変成器の温度Tsを検出するのに代えて、実施の形態2では浄化器の温度Tpを検出する。そして、浄化器の温度Tpが選択酸化反応を進行させるための所定の温度Tpdより低い温度である診断温度Tdに到達したか否かを判定して、浄化器の温度Tpが診断温度Tdに到達した際、燃料改質部7が生成する診断運転用の一酸化炭素を含む改質ガスを燃料電池15に供給する。そして、燃料電池15の診断運転を開始する。又、浄化器の温度Tpが選択酸化反応を進行させるための所定の温度Tpdに到達した後、燃料電池システム100の通常発電運転を開始する。
尚、その他の点については、実施の形態2で示す燃料電池システム100の構成及び動作は、実施の形態1で示した燃料電池システム100の構成及び動作と同様である。そのため、実施の形態2では、燃料電池システム100の構成及び動作に関して、実施の形態1で説明した構成及び動作と同様の構成及び動作については、その説明を省略する。
以下、実施の形態2の燃料電池システム100の動作に関して、実施の形態1で示した燃料電池システム100の動作に対する相違点について、図5を参照しながら詳細に説明する。
図5は、本発明の実施の形態2に示す燃料電池システム100の起動運転時における動作を模式的に示すフローチャートである。尚、図5において、ステップS3は、起動運転時において燃料電池の出力電圧値に基づいてエアーブリード量の最適な増加量を決定する診断ステップを示している。
図5に示すように、実施の形態2の燃料電池システム100では、燃料改質部7の加熱を開始して(ステップS1)、燃料改質部7において改質ガスの生成を開始すると(ステップS2)、燃料電池15の出力電圧値に基づいてエアーブリード量の最適な増加量を決定するための診断ステップS3(ステップSS1〜ステップSS6)が進行する。
制御部101は、燃料改質部7における浄化器5の温度Tpの変化を、温度センサーにより逐次監視する。一方、浄化器5の温度Tpは、燃焼器6が混合ガスを燃焼して生成する熱や、改質器3及び変成器4が排出する改質ガスの熱等により直接的又は間接的に加熱されて、徐々に上昇する。そして、制御部101は、浄化器5の温度Tpが選択酸化反応を進行させるための所定の温度Tpd(例えば、150℃)より低い温度である診断温度Td(例えば、100℃)に到達したか否かを判定する(ステップSS1)。
浄化器5の温度Tpが診断温度Tdに到達したと制御部101が判定すると(ステップSS1でYES)、燃料改質部7は、浄化器5の温度Tpが診断温度Tdである時の、図2に示すCO濃度C2に相当する濃度(例えば、110ppm)の一酸化炭素を含む改質ガスを、浄化器5から燃料電池15に所定の供給量で供給し始める。又、この時、制御部101は、空気流量調整部17を制御する。これにより、加湿器18は、燃料電池15に所定の供給量で空気を供給し始める。そして、制御部101は、燃料電池15の診断運転を開始する(ステップSS2)。
尚、制御部101は、浄化器5の温度Tpが未だ診断温度Tdに到達していないと判定すると(ステップSS1でNO)、浄化器5の温度Tpの変化を温度センサーにより引き続き監視する。そして、制御部101は、浄化器5の温度Tpが診断温度Tdに到達したか否かを繰り返し判定する。
次いで、制御部101は、診断運転中における燃料電池15の出力電圧値Vdを測定した後(ステップSS3)、燃料電池15の診断運転を終了する(ステップSS4)。
次いで、制御部101は、ステップSS3において測定及び格納した燃料電池15の出力電圧値Vdと基準電圧値Vsとを比較して、出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低いか否かを判定する(ステップSS5)。
制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vd(例えば、740mV)が基準電圧値Vs(例えば、750mV)よりも低いと判定すると(ステップSS5でYES)、基準電圧値Vsと出力電圧値Vdとの電圧差ΔVに基づいて白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めた後、燃料電池15へのエアーブリード量の正確な増加量Sb(例えば、増加率として5%)を求める。そして、制御部101は、このエアーブリード量の正確な増加量Sbをエアーブリード機構12のエアーブリード量の増加量として設定した後(ステップSS6)、診断ステップS3を終了する。
尚、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低くないと判定すると(ステップSS5でNO)、ルテニウムの残存率及びエアーブリード量の正確な増加量Sbを導出及び設定することなく、診断ステップS3を終了する。
次いで、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低いと判定した場合(ステップSS5でYESの場合)、エアーブリード機構12を制御することにより、エアーブリード量Sn+Sbの供給量で改質ガスへの空気の供給を開始する(ステップS4a)。一方、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低くないと判定した場合(ステップSS5でNOの場合)、エアーブリード量Snを維持して、改質ガスへの空気の供給を開始する(ステップS4b)。
その後、制御部101は、燃料改質部7における浄化器5の温度Tpの変化を温度センサーにより逐次監視しながら、浄化器5の温度Tpが選択酸化反応を進行させるための所定の温度Tpd(例えば、150℃)に到達して、浄化器5の温度Tpが所定の温度Tpdで安定したか否かを判定する(ステップS5)。
そして、制御部101は、浄化器5の温度Tpが選択酸化反応を進行させるための所定の温度Tpdに到達しかつ安定したと判定すると(ステップS5でYES)、燃料電池システム100の通常発電運転を開始する(ステップS6)。
尚、制御部101は、浄化器5の温度Tpが選択酸化反応を進行させるための所定の温度Tpdに到達していないと判定すると(ステップS5でNO)、浄化器5の温度Tpの変化を温度センサーにより引き続き監視する。そして、制御部101は、浄化器5の温度Tpが所定の温度Tpdに到達しかつ安定したか否かを繰り返し判定する。
以上、本実施の形態に示す燃料電池システム100では、燃料電池システム100の起動運転の際、浄化器5の温度Tpが選択酸化反応のための所定の温度Tpdに到達する前の診断温度Tdに到達した時、一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを燃料改質部7から燃料電池15に供給する。これにより、燃料電池15の出力電圧値Vdと基準電圧値Vsとの電圧差ΔVを正確に検出して、燃料電池15の白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めて、燃料改質部7が生成する改質ガスへのエアーブリード量を正確に増加させる。このような構成としても、実施の形態1の場合と同様の効果を得ることが可能である。
又、本実施の形態においても、燃料電池システム100の起動運転時において浄化器5の温度Tpが診断温度Tdと等しくなる時点が毎日必然的に存在するため、起動運転の際に特別な操作を行うことなく、又、特別の構成要素を準備することなく、一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを容易に得ることが可能になる。
尚、その他の点については、実施の形態1の場合と同様である。
(実施の形態3)
本発明に係る実施の形態3では、診断運転用の一酸化炭素を含む改質ガスを得るための制御方法が、実施の形態1及び2における制御方法と異なっている。
具体的には、実施の形態1及び2では、燃料電池15の診断運転を開始する際、変成器4の温度Ts又は浄化器5の温度Tpがシフト反応又は選択酸化反応を進行させるための所定の温度Tpdより低い温度である診断温度Tdに到達した時、燃料改質部7が生成する診断運転用の一酸化炭素を含む改質ガスを燃料電池15に供給する。これに代えて、実施の形態3の燃料電池システム100では、燃料改質部7の温度Tfr(即ち、改質器3の温度Tsr、変成器4の温度Ts、浄化器5の温度Tp)が所定の温度Tpdに到達した後、浄化器5への空気の供給量を減少又は供給を停止させて、診断運転用の一酸化炭素を含む改質ガスを得る。そして、燃料改質部7が生成する診断運転用の一酸化炭素を含む改質ガスを燃料電池15に供給して、燃料電池15の診断運転を開始する。又、浄化器5への空気の供給量の減少又は供給の停止を解除した後、燃料電池システム100の通常発電運転を開始する。
尚、その他の点については、実施の形態3において示す燃料電池システム100の構成及び動作は、実施の形態1及び2において示した燃料電池システム100の構成及び動作と同様である。そのため、実施の形態3では、燃料電池システム100の構成及び動作に関して、実施の形態1及び2において説明した構成及び動作と同様の構成及び動作については、その説明を省略する。
以下、実施の形態3の燃料電池システム100の動作に関して、実施の形態1及び2で示した燃料電池システム100の動作に対する相違点について、図6を参照しながら詳細に説明する。
図6は、本発明の実施の形態3に示す燃料電池システム100の起動運転時における動作を模式的に示すフローチャートである。尚、図6において、ステップS3は、起動運転時において燃料電池15の出力電圧値Vdに基づいてエアーブリード量の最適な増加量を決定する診断ステップを示している。
図6に示すように、実施の形態3の燃料電池システム100では、燃料改質部7の加熱を開始して(ステップS1)、燃料改質部7において改質ガスの生成を開始すると(ステップS2)、燃料電池15の出力電圧値Vdに基づいてエアーブリード量の最適な増加量を決定するための診断ステップS3(ステップSS1〜ステップSS8)が進行する。
制御部101は、燃料改質部7における改質器3の温度Tsr及び変成器4の温度Ts及び浄化器5の温度Tpの変化を、温度センサーにより各々逐次監視する。一方、改質器3の温度Tsr及び変成器4の温度Ts及び浄化器5の温度Tpは、燃焼器6が混合ガスを燃焼して生成する熱や、改質器3及び変成器4が排出する改質ガスの熱等により直接的又は間接的に加熱されて、徐々に上昇する。そして、制御部101は、改質器3の温度Tsrが水蒸気改質反応を進行させるための所定の温度Tpd(例えば、650℃)に到達したか否か、又、変成器4の温度Tsがシフト反応を進行させるための所定の温度Tpd(例えば、200℃)に到達したか否か、又、浄化器5の温度Tpが選択酸化反応を進行させるための所定の温度Tpd(例えば、150℃)に到達したか否かを判定する。つまり、制御部101は、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdに到達したか否かを判定する(ステップSS1)。
制御部101は、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdに到達したと判定すると(ステップSS1でYES)、選択酸化用流量調整部11を制御して、空気流量調整部17から浄化器5への空気の供給量を減少させる(ステップSS2)。又は、制御部101は、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdに到達したと判定すると、選択酸化用流量調整部11を制御して、空気流量調整部17から浄化器5への空気の供給を停止させる。このステップSS2に示す制御により、燃料改質部7が生成する改質ガスにおける一酸化炭素の濃度が上昇する。
次いで、燃料改質部7は、空気流量調整部17から浄化器5への空気の供給量が所定の減少率(例えば、通常発電運転時における50%)で減少された後、図2に示すCO濃度C2に相当する濃度(例えば、150ppm)の一酸化炭素を含む改質ガスを、浄化器5から燃料電池15に所定の供給量で供給し始める。又、この時、制御部101は、空気流量調整部17を制御する。これにより、加湿器18は、燃料電池15に所定の供給量で空気を供給し始める。そして、制御部101は、燃料電池15の診断運転を開始する(ステップSS3)。
尚、制御部101は、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdに到達していないと判定すると(ステップSS1でNO)、燃料改質部7の温度Tfrの変化を温度センサーにより引き続き監視する。そして、制御部101は、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdに到達したか否かを繰り返し判定する。
次いで、制御部101は、診断運転中における燃料電池15の出力電圧値Vdを測定した後(ステップSS4)、燃料電池15の診断運転を終了する(ステップSS5)。
次いで、制御部101は、燃料電池15の診断運転を終了した後、選択酸化用流量調整部11を制御して、空気流量調整部17から浄化器5への空気の供給量を復帰させる(ステップSS6)。又は、制御部101は、燃料電池15の診断運転を終了した後、選択酸化用流量調整部11を制御して、空気流量調整部17から浄化器5への空気の供給の停止を復帰させる。このステップSS6に示す制御により、燃料改質部7が生成する改質ガスにおける一酸化炭素の濃度が復帰する。
次いで、制御部101は、ステップSS4において測定及び格納した燃料電池15の出力電圧値Vdと基準電圧値Vsとを比較して、出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低いか否かを判定する(ステップSS7)。
制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vd(例えば、725mV)が基準電圧値Vs(例えば、730mV)よりも低いと判定すると(ステップSS7でYES)、基準電圧値Vsと出力電圧値Vdとの電圧差ΔVに基づいて白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めた後、燃料電池15へのエアーブリード量の正確な増加量Sb(例えば、増加率として6%)を求める。そして、制御部101は、このエアーブリード量の正確な増加量Sbをエアーブリード機構12のエアーブリード量の増加量として設定した後(ステップSS8)、診断ステップS3を終了する。
尚、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低くないと判定すると(ステップSS7でNO)、ルテニウムの残存率及びエアーブリード量の正確な増加量Sbを導出及び設定することなく、診断ステップS3を終了する。
次いで、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdの値が基準電圧値Vsの値よりも低いと判定した場合(ステップSS7でYESの場合)、エアーブリード機構12を制御することにより、エアーブリード量Sn+Sbの供給量で改質ガスへの空気の供給を開始する(ステップS4a)。一方、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低くないと判定した場合(ステップSS7でNOの場合)、エアーブリード量Snを維持して、改質ガスへの空気の供給を開始する(ステップS4b)。
そして、制御部101は、ステップS4a又はステップS4bの後、燃料電池システム100の通常発電運転を開始する(ステップS5)。
以上、本実施の形態に示す燃料電池システム100では、燃料電池システム100の起動運転の際、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdに到達した後、選択酸化用流量調整部11を制御して空気流量調整部17から燃料改質部7における浄化器5への空気の供給量を減少又は供給を停止することにより、一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを燃料改質部7から燃料電池15に供給する。これにより、燃料電池15の出力電圧値Vdと基準電圧値Vsとの電圧差ΔVを正確に検出して、燃料電池15の白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めて、燃料改質部7が生成する改質ガスへのエアーブリード量を正確に増加させる。このような構成としても、実施の形態1及び2の場合と同様の効果を得ることが可能である。
又、本実施の形態によれば、燃料電池システム100の起動運転時において選択酸化用流量調整部11を制御して空気流量調整部17から燃料改質部7における浄化器5への空気の供給量を減少又は供給を停止することは非常に容易であるため、起動運転の際に特別な操作を行うことなく、又、特別の構成要素を準備することなく、一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを容易に得ることが可能になる。
尚、その他の点については、実施の形態1及び2の場合と同様である。
(実施の形態4)
本発明に係る実施の形態4では、診断運転用の一酸化炭素を含む改質ガスを得るための制御方法が、実施の形態1〜3における制御方法と異なっている。
即ち、実施の形態1〜3では燃料電池システム100の起動運転時において燃料電池15の診断運転を行うのに対して、実施の形態4では燃料電池システム100の停止運転時において燃料電池15の診断運転を行う。
具体的には、実施の形態4では、燃料電池システム100の停止運転時、燃料電池15の診断運転を開始するか否かを決定する際、実施の形態1の場合と同様にして変成器4の温度Tsを検出する。そして、変成器4の温度Tsがシフト反応を進行させるための所定の温度Tpdより低い温度である診断温度Tdにまで低下したか否かを判定して、変成器4の温度Tsが診断温度Tdにまで低下した際、燃料改質部7が生成する診断運転用の一酸化炭素を含む改質ガスを燃料電池15に供給する。そして、燃料電池15の診断運転を開始する。又、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdにまで低下すると共に、燃料電池15の温度が所定の温度にまで低下した後、燃料電池システム100の動作を完全に停止する。
尚、その他の点については、実施の形態4において示す燃料電池システム100の構成及び動作は、実施の形態1〜3において示した燃料電池システム100の構成及び動作と同様である。そのため、実施の形態4では、燃料電池システム100の構成及び動作に関して、実施の形態1〜3で説明した構成及び動作と同様の構成及び動作については、その説明を省略する。
以下、実施の形態4の燃料電池システム100の動作に関して、実施の形態1〜3で示した燃料電池システム100の動作に対する相違点について、図7を参照しながら詳細に説明する。
図7は、本発明の実施の形態4に示す燃料電池システム100の停止運転時における動作を模式的に示すフローチャートである。尚、図7において、ステップS3は、停止運転時において燃料電池15の出力電圧値Vdに基づいてエアーブリード量の最適な増加量を決定する診断ステップを示している。
図1に示す燃料電池システム100の停止運転時、制御部101は、先ず、燃料電池15と、この燃料電池15の電力出力端子に接続されたインバータ等の負荷との電気的な接続を遮断して、燃料電池15の通常発電運転を停止する(ステップS1)。
この際、制御部101は、バイパス弁13の状態を、燃料改質部7の浄化器5と燃料電池15とを接続しかつ浄化器5と凝縮器19との接続を遮断する状態から、浄化器5と燃料電池15との接続を遮断しかつ浄化器5と凝縮器19とを接続する状態に変更する。これにより、燃料改質部7から燃料電池15への改質ガスの供給を停止する。又、この際、制御部101は、空気流量調整部17の動作を制御する。これにより、加湿器18は、燃料電池15への空気の供給を停止する。
次いで、制御部101は、燃料改質部7の浄化器5と凝縮器19とをバイパス弁13及びバイパス経路14を介して接続した状態において、原料流量調整バルブ1及び改質水供給ポンプ8を制御して、脱硫器2への都市ガスの供給量及び改質器3への水の供給量を減少させる。又は、制御部101は、燃料改質部7の浄化器5と凝縮器19とをバイパス弁13及びバイパス経路14を介して接続した状態において、燃焼用都市ガス供給バルブ9を制御して、燃焼器6への都市ガスの供給を停止する。尚、この際、燃焼用空気供給バルブ10から燃焼器6への空気の供給は継続する。
脱硫器2への都市ガスの供給量及び改質器3への水の供給量を減少させるか、又は、燃焼器6への都市ガスの供給を停止することにより、制御部101は、燃料改質部7の冷却を開始する(ステップS2)。
以後、燃料電池システム100の停止運転時における燃料電池15の出力電圧値Vdに基づいてエアーブリード量の最適な増加量Sbを決定するための診断ステップS3(ステップSS1〜ステップSS6)が進行する。
制御部101は、燃料改質部7における変成器4の温度Tsの変化を、温度センサーにより逐次監視する。一方、変成器4の温度Tsは、脱硫器2への都市ガスの供給量及び改質器3への水の供給量の減少、又は、燃焼器6への都市ガスの供給の停止により直接的又は間接的に冷却されて、徐々に低下する。そして、制御部101は、変成器4の温度Tsがシフト反応を進行させるための所定の温度Tpd(例えば、200℃)より低い温度である診断温度Td(例えば、130℃)にまで低下したか否かを判定する(ステップSS1)。
変成器4の温度Tsが診断温度Tdにまで低下したと制御部101が判定すると(ステップSS1でYES)、燃料改質部7は、変成器4の温度Tsが診断温度Tdである時の図2に示すCO濃度C2に相当する濃度(例えば、110ppm)の一酸化炭素を含む改質ガスを、浄化器5から燃料電池15に所定の供給量で供給し始める。又、この時、制御部101は、空気流量調整部17を制御する。これにより、加湿器18は、燃料電池15に所定の供給量で空気を供給し始める。そして、制御部101は、燃料電池15の診断運転を開始する(ステップSS2)。
尚、制御部101は、変成器4の温度Tsが未だ診断温度Tdにまで低下していないと判定すると(ステップSS1でNO)、変成器4の温度Tsの変化を温度センサーにより引き続き監視する。そして、制御部101は、変成器4の温度Tsが診断温度Tdにまで低下したか否かを繰り返し判定する。
次いで、制御部101は、診断運転中における燃料電池15の出力電圧値Vdを測定した後(ステップSS3)、燃料電池15の診断運転を終了する(ステップSS4)。
次いで、制御部101は、ステップSS3において測定及び格納した燃料電池15の出力電圧値Vdと基準電圧値Vsとを比較して、出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低いか否かを判定する(ステップSS5)。
尚、このステップSS5において、基準電圧値Vsについては、燃料電池システム100の通常発電運転を停止する直前における燃料電池15の出力電圧値を基準電圧値Vsとして設定することも可能である。
制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vd(例えば、740mV)が基準電圧値Vs(例えば、750mV)よりも低いと判定すると(ステップSS5でYES)、基準電圧値Vsと出力電圧値Vdとの電圧差ΔVに基づいて白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めた後、燃料電池15へのエアーブリード量の正確な増加量Sb(例えば、増加率として5%)を求める。そして、制御部101は、このエアーブリード量の正確な増加量Sbをエアーブリード機構12のエアーブリード量の増加量として設定した後(ステップSS6)、診断ステップS3を終了する。
尚、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低くないと判定すると(ステップSS5でNO)、ルテニウムの残存率及びエアーブリード量の正確な増加量Sbを導出及び設定することなく、診断ステップS3を終了する。
次いで、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低いと判定した場合(ステップSS5でYESの場合)、エアーブリード機構12を制御することにより、エアーブリード量Sn+Sbの供給量で改質ガスへの空気の供給を開始する(ステップS4a)。一方、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低くないと判定した場合(ステップSS5でNOの場合)、エアーブリード量Snを維持して、改質ガスへの空気の供給を開始する(ステップS4b)。
尚、この際、エアーブリード機構12による改質ガスへの空気の供給は、必ずしも行う必要はない。つまり、診断ステップS3において制御部101がエアーブリード量の設定変更のみを行い、次回の燃料電池システム100の通常発電運転時に設定変更したエアーブリード量を適用する構成としてもよい。
そして、制御部101は、燃料電池15の温度が所定の温度(例えば、40℃)にまで低下したと判定すると共に、原料流量調整バルブ1及び改質水供給ポンプ8及び燃焼用都市ガス供給バルブ9及び燃焼用空気供給バルブ10を完全に閉状態とすることにより、改質器3の温度Tsrが所定の温度(例えば、300℃)にまで低下して、変成器4の温度Tsが所定の温度(例えば、200℃)にまで低下して、浄化器5の温度Tpが所定の温度(例えば、100℃)にまで低下して、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdにまで低下したと判定すると(ステップS5でYES)、燃料改質部7及びその他の構成要素の動作を完全に停止して、燃料電池システム100の動作を完全に停止する(ステップS6)。
尚、制御部101は、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdにまで低下していないと判定すると(ステップS5でNO)、燃料改質部7の温度Tfrの変化を温度センサーにより引き続き監視する。そして、制御部101は、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdにまで低下したか否かを繰り返し判定する。
以上、本実施の形態に示す燃料電池システム100では、燃料電池システム100の停止運転の際、変成器4の温度Tsがシフト反応のための所定の温度Tpdより低い温度である診断温度Tdにまで低下した時、一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを燃料改質部7から燃料電池15に供給する。これにより、燃料電池15の出力電圧値Vdと基準電圧値Vsとの電圧差ΔVを正確に検出して、燃料電池15の白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めて、燃料改質部7が生成する改質ガスへのエアーブリード量を正確に増加させる。このような構成としても、実施の形態1〜3の場合と同様の効果を得ることが可能である。
又、本実施の形態によれば、燃料電池システム100の停止運転時において変成器4の温度Tsが診断温度Tdと等しくなる時点が毎日必然的に存在するため、停止運転の際に特別な操作を行うことなく、又、特別の構成要素を準備することなく、一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを容易に得ることが可能になる。
尚、その他の点については、実施の形態1〜3の場合と同様である。
(実施の形態5)
本発明に係る実施の形態5では、診断運転用の一酸化炭素を含む改質ガスを得るための制御方法が、実施の形態4における制御方法と異なっている。
具体的には、燃料電池システム100の停止運転時、燃料電池15の診断運転を開始するか否かを決定する際、実施の形態4では変成器4の温度Tsを検出するのに代えて、実施の形態5では浄化器5の温度Tpを検出する。そして、浄化器5の温度Tpが選択酸化反応を進行させるための所定の温度Tpdより低い温度である診断温度Tdにまで低下したか否かを判定して、浄化器5の温度Tpが診断温度Tdにまで低下した際、燃料改質部7が生成する診断運転用の一酸化炭素を含む改質ガスを燃料電池15に供給する。そして、燃料電池15の診断運転を開始する。又、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdにまで低下すると共に、燃料電池15の温度が所定の温度にまで低下した後、燃料電池システム100の動作を完全に停止する。
尚、その他の点については、実施の形態5において示す燃料電池システム100の構成及び動作は、実施の形態4において示した燃料電池システム100の構成及び動作と同様である。そのため、実施の形態5においては、燃料電池システム100の構成及び動作に関して、実施の形態4で説明した構成及び動作と同様の構成及び動作については、その説明を省略する。
以下、実施の形態5の燃料電池システム100の動作に関して、実施の形態4で示した燃料電池システム100の動作に対する相違点について、図8を参照しながら詳細に説明する。
図8は、本発明の実施の形態5に示す燃料電池システム100の停止運転時における動作を模式的に示すフローチャートである。尚、図8において、ステップS3は、停止運転時において燃料電池15の出力電圧値Vdに基づいてエアーブリード量の最適な増加量を決定する診断ステップを示している。
図8に示すように、実施の形態5の燃料電池システム100では、燃料電池15の通常発電運転を停止した後(ステップS1)、燃料改質部7の冷却を開始すると(ステップS2)、燃料電池15の出力電圧値Vdに基づいてエアーブリード量の最適な増加量Sbを決定するための診断ステップS3(ステップSS1〜ステップSS6)が進行する。
制御部101は、燃料改質部7における浄化器5の温度Tpの変化を、温度センサーにより逐次監視する。一方、浄化器5の温度Tpは、脱硫器2への都市ガスの供給量及び改質器3への水の供給量の減少、又は、燃焼器6への都市ガスの供給の停止により直接的又は間接的に冷却されて、徐々に低下する。そして、制御部101は、浄化器5の温度Tpが選択酸化反応を進行させるための所定の温度Tpd(例えば、150℃)より低い温度である診断温度Td(例えば、90℃)にまで低下したか否かを判定する(ステップSS1)。
浄化器5の温度Tpが診断温度Tdにまで低下したと制御部101が判定すると(ステップSS1でYES)、燃料改質部7は、浄化器5の温度Tpが診断温度Tdである時の図2に示すCO濃度C2に相当する濃度(例えば、120ppm)の一酸化炭素を含む改質ガスを、浄化器5から燃料電池15に所定の供給量で供給し始める。又、この時、制御部101は、空気流量調整部17を制御する。これにより、加湿器18は、燃料電池15に所定の供給量で空気を供給し始める。そして、制御部101は、燃料電池15の診断運転を開始する(ステップSS2)。
尚、制御部101は、浄化器5の温度Tpが未だ診断温度Tdにまで低下していないと判定すると(ステップSS1でNO)、浄化器5の温度Tpの変化を温度センサーにより引き続き監視する。そして、制御部101は、浄化器5の温度Tpが診断温度Tdにまで低下したか否かを繰り返し判定する。
次いで、制御部101は、診断運転中における燃料電池15の出力電圧値Vdを測定した後(ステップSS3)、燃料電池15の診断運転を終了する(ステップSS4)。
次いで、制御部101は、ステップSS3において測定及び格納した燃料電池15の出力電圧値Vdと基準電圧値Vsとを比較して、出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低いか否かを判定する(ステップSS5)。
制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vd(例えば、730mV)が基準電圧値Vs(例えば、750mV)よりも低いと判定すると(ステップSS5でYES)、基準電圧値Vsと出力電圧値Vdとの電圧差ΔVに基づいて白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めた後、燃料電池15へのエアーブリード量の正確な増加量Sb(例えば、増加率として5%)を求める。そして、制御部101は、このエアーブリード量の正確な増加量Sbをエアーブリード機構12のエアーブリード量の増加量として設定した後(ステップSS6)、診断ステップS3を終了する。
尚、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低くないと判定すると(ステップSS5でNO)、ルテニウムの残存率及びエアーブリード量の正確な増加量Sbを導出及び設定することなく、診断ステップS3を終了する。
次いで、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低いと判定した場合(ステップSS5でYESの場合)、エアーブリード機構12を制御することにより、エアーブリード量Sn+Sbの供給量で改質ガスへの空気の供給を開始する(ステップS4a)。一方、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低くないと判定した場合(ステップSS5でNOの場合)、エアーブリード量Snを維持して、改質ガスへの空気の供給を開始する(ステップS4b)。
そして、制御部101は、燃料電池15の温度が所定の温度(例えば、40℃)にまで低下したと判定すると共に、改質器3の温度Tsrが所定の温度(例えば、300℃)にまで低下して、変成器4の温度Tsが所定の温度(例えば、200℃)にまで低下して、浄化器5の温度Tpが所定の温度(例えば、100℃)にまで低下して、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdにまで低下したと判定すると(ステップS5でYES)、燃料電池システム100の動作を完全に停止する(ステップS6)。
尚、制御部101は、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdにまで低下していないと判定すると(ステップS5でNO)、燃料改質部7の温度Tfrの変化を温度センサーにより引き続き監視する。そして、制御部101は、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdにまで低下したか否かを繰り返し判定する。
以上、本実施の形態に示す燃料電池システム100では、燃料電池システム100の停止運転の際、浄化器5の温度Tpが選択酸化反応のための所定の温度Tpdより低い温度である診断温度Tdにまで低下した時、一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを燃料改質部7から燃料電池15に供給する。これにより、燃料電池15の出力電圧値Vdと基準電圧値Vsとの電圧差ΔVを正確に検出して、燃料電池15の白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めて、燃料改質部7が生成する改質ガスへのエアーブリード量を正確に増加させる。このような構成としても、実施の形態4の場合と同様の効果を得ることが可能である。
又、本実施の形態によれば、燃料電池システム100の停止運転時において浄化器5の温度Tpが診断温度Tdと等しくなる時点が毎日必然的に存在するため、停止運転の際に特別な操作を行うことなく、又、特別の構成要素を準備することなく、一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを容易に得ることが可能になる。
尚、その他の点については、実施の形態1〜4の場合と同様である。
(実施の形態6)
本発明に係る実施の形態6では、診断運転用の一酸化炭素を含む改質ガスを得るための制御方法が、実施の形態4及び5における制御方法と異なっている。
具体的には、実施の形態4及び5では、燃料電池15の診断運転を開始する際、変成器4の温度Ts又は浄化器5の温度Tpがシフト反応又は選択酸化反応を進行させるための所定の温度Tpdより低い温度である診断温度Tdにまで低下した時、燃料改質部が生成する診断運転用の一酸化炭素を含む改質ガスを燃料電池に供給する。これに代えて、実施の形態6の燃料電池システム100では、燃料電池15の通常発電運転を停止した後、浄化器5への空気の供給量を減少又は供給を停止させて、診断運転用の一酸化炭素を含む改質ガスを得る。そして、燃料改質部7が生成する診断運転用の一酸化炭素を含む改質ガスを燃料電池15に供給して、燃料電池15の診断運転を開始する。又、浄化器5への空気の供給量の減少又は供給の停止を解除して、燃料改質部7の温度Tfr(即ち、改質器3の温度Tsr、変成器4の温度Ts、浄化器5の温度Tp)が所定の温度Tpdにまで低下した後、燃料電池システム100の動作を完全に停止する。
尚、その他の点については、実施の形態6において示す燃料電池システム100の構成及び動作は、実施の形態4及び5で示した燃料電池システム100の構成及び動作と同様である。そのため、実施の形態6においては、燃料電池システム100の構成及び動作に関して、実施の形態4及び5において説明した構成及び動作と同様の構成及び動作については、その説明を省略する。
以下、実施の形態6の燃料電池システム100の動作に関して、実施の形態4及び5で示した燃料電池システム100の動作に対する相違点について、図9を参照しながら詳細に説明する。
図9は、本発明の実施の形態6に示す燃料電池システム100の停止運転時における動作を模式的に示すフローチャートである。尚、図9において、ステップS2は、停止運転時において燃料電池15の出力電圧値Vdに基づいてエアーブリード量の最適な増加量を決定する診断ステップを示している。
図9に示すように、実施の形態6の燃料電池システム100では、燃料電池15の通常発電運転を停止した後(ステップS1)、燃料電池15の出力電圧値Vdに基づいてエアーブリード量の最適な増加量Sbを決定するための診断ステップS2(ステップSS1〜ステップSS7)が進行する。
制御部101は、燃料電池15の通常発電運転を停止した後(ステップS1)、選択酸化用流量調整部11を制御して、空気流量調整部17から浄化器5への空気の供給量を減少させる(ステップSS1)。又は、制御部101は、燃料電池15の通常発電運転を停止した後、選択酸化用流量調整部11を制御して、空気流量調整部17から浄化器5への空気の供給を停止させる。このステップSS1に示す制御により、燃料改質部7が生成する改質ガスにおける一酸化炭素の濃度が上昇する。
次いで、燃料改質部7は、空気流量調整部17から浄化器5への空気の供給量が所定の減少率(例えば、通常発電運転時における50%)で減少された後、図2に示すCO濃度C2に相当する濃度(例えば、150ppm)の一酸化炭素を含む改質ガスを、浄化器5から燃料電池15に所定の供給量で供給し始める。又、この時、制御部101は、空気流量調整部17を制御する。これにより、加湿器18は、燃料電池15に所定の供給量で空気を供給し始める。そして、制御部101は、燃料電池15の診断運転を開始する(ステップSS2)。
次いで、制御部101は、診断運転中における燃料電池15の出力電圧値Vdを測定した後(ステップSS3)、燃料電池15の診断運転を終了する(ステップSS4)。
次いで、制御部101は、燃料電池15の診断運転を終了した後、選択酸化用流量調整部11を制御して、空気流量調整部17から浄化器5への空気の供給量を復帰させる(ステップSS5)。又は、制御部101は、燃料電池15の診断運転を終了した後、選択酸化用流量調整部11を制御して、空気流量調整部17から浄化器5への空気の供給の停止を復帰させる。このステップSS5に示す制御により、燃料改質部7が生成する改質ガスにおける一酸化炭素の濃度が復帰する。
次いで、制御部101は、ステップSS3において測定及び格納した燃料電池15の出力電圧値Vdと基準電圧値Vsとを比較して、出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低いか否かを判定する(ステップSS6)。
制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vd(例えば、720mV)が基準電圧値Vs(例えば、730mV)よりも低いと判定すると(ステップSS6でYES)、基準電圧値Vsと出力電圧値Vdとの電圧差ΔVに基づいて白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めた後、燃料電池15へのエアーブリード量の正確な増加量Sb(例えば、増加率として6%)を求める。そして、制御部101は、このエアーブリード量の正確な増加量Sbをエアーブリード機構12のエアーブリード量の増加量として設定した後(ステップSS7)、診断ステップS2を終了する。
尚、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低くないと判定すると(ステップSS6でNO)、ルテニウムの残存率及びエアーブリード量の正確な増加量Sbを導出及び設定することなく、診断ステップS2を終了する。
次いで、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdの値が基準電圧値Vsの値よりも低いと判定した場合(ステップSS6でYESの場合)、エアーブリード機構12を制御することにより、エアーブリード量Sn+Sbの供給量で改質ガスへの空気の供給を開始する(ステップS3a)。一方、制御部101は、燃料電池15の出力電圧値Vdが基準電圧値Vsよりも低くないと判定した場合(ステップSS6でNOの場合)、エアーブリード量Snを維持して、改質ガスへの空気の供給を開始する(ステップS3b)。
その後、制御部101は、燃料改質部7の冷却を開始する(ステップS4)。
制御部101は、燃料改質部7における改質器3の温度Tsr及び変成器4の温度Ts及び浄化器5の温度Tpの変化を、温度センサーにより各々逐次監視する。一方、改質器3の温度Tsr及び変成器4の温度Ts及び浄化器5の温度Tpは、脱硫器2への都市ガスの供給量及び改質器3への水の供給量の減少、又は、燃焼器6への都市ガスの供給の停止により直接的又は間接的に冷却されて、徐々に低下する。そして、制御部101は、燃料電池15の温度が所定の温度(例えば、40℃)にまで低下したと判定すると共に、改質器3の温度Tsrが所定の温度(例えば、300℃)にまで低下して、変成器4の温度Tsが所定の温度(例えば、200℃)にまで低下して、浄化器5の温度Tpが所定の温度(例えば、100℃)にまで低下して、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdにまで低下したと判定すると(ステップS5でYES)、燃料電池システム100の動作を完全に停止する(ステップS6)。
尚、制御部101は、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdにまで低下していないと判定すると(ステップS5でNO)、燃料改質部7の温度Tfrの変化を温度センサーにより引き続き監視する。そして、制御部101は、燃料改質部7の温度Tfrが所定の温度Tpdにまで低下したか否かを繰り返し判定する。
以上、本実施の形態に示す燃料電池システム100では、燃料電池システム100の停止運転の際、燃料電池15の通常発電運転を停止した後、選択酸化用流量調整部11を制御して空気流量調整部17から燃料改質部7における浄化器5への空気の供給量を減少又は供給を停止することにより、一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを燃料改質部7から燃料電池15に供給する。これにより、燃料電池15の出力電圧値Vdと基準電圧値Vsとの電圧差ΔVを正確に検出して、燃料電池15の白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めて、燃料改質部7が生成する改質ガスへのエアーブリード量を正確に増加させる。このような構成としても、実施の形態4及び5の場合と同様の効果を得ることが可能である。
又、本実施の形態によれば、燃料電池システム100の停止運転時において選択酸化用流量調整部11を制御して空気流量調整部17から燃料改質部7における浄化器5への空気の供給量を減少又は供給を停止することは非常に容易であるため、停止運転の際に特別な操作を行うことなく、又、特別の構成要素を準備することなく、一酸化炭素を一時的に高濃度に含む改質ガスを容易に得ることが可能になる。
尚、その他の点については、実施の形態4及び5の場合と同様である。
(実施の形態7)
本発明に係る実施の形態1〜3では、燃料電池システム100の起動運転時、燃料電池15の診断運転の結果に基づいて改質ガスへのエアーブリード量を増加する形態について説明した。一方、本発明に係る実施の形態4〜6では、燃料電池システム100の停止運転時、燃料電池15の診断運転の結果に基づいて改質ガスへのエアーブリード量を増加する形態について説明した。
ところで、本発明を実施するための最良の形態において、燃料電池15の診断運転を実行する時期は、燃料電池システム100の起動運転時、又は、燃料電池システム100の停止運転時の何れかの時期に限定する必要はない。つまり、本発明を実施するための最良の形態としては、燃料電池15の診断運転を、実施の形態1〜3又は実施の形態4〜6の如く燃料電池システム100の起動運転時又は停止運転時の何れかの時期に実行する形態以外に、燃料電池システム100の起動運転時及び停止運転時の両方の時期に実行する形態としてもよい。
以下、燃料電池システム100の起動運転時及び停止運転時の両方の時期に燃料電池15の診断運転を実行する形態について、複数の例を挙げて説明する。尚、実施の形態7で例示する構成は、実施の形態1〜6で示した構成を組み合わせた構成である。そのため、実施の形態7では、実施の形態1〜6の組み合わせ構成例のみを示すこととして、各々の形態に関する詳細な説明は、実施の形態1〜6に記載の説明及び図4〜9参照することとして省略する。
又、実施の形態7で用いる燃料電池システム100の構成及び基本的な動作は、実施の形態1〜6で示した燃料電池システム100の構成及び基本的な動作と同様である。そのため、実施の形態7では、実施の形態1〜6に共通する燃料電池システム100の構成及び基本的な動作に関する説明は省略する。
先ず、実施の形態7に係る第1の形態として、実施の形態1と実施の形態4とを組み合わせた形態を挙げることが可能である(図4及び図7参照)。この実施の形態1と実施の形態4とを組み合わせた形態では、燃料電池システム100の起動運転時において燃料改質部7の変成器4の温度Tsが診断温度Tdに到達した際に燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。又、燃料電池システム100の停止運転時において燃料改質部7の変成器4の温度Tsが診断温度Tdにまで低下した際に燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。
又、実施の形態7に係る第2の形態としては、実施の形態1と実施の形態5とを組み合わせた形態を挙げることが可能である(図4及び図8参照)。この実施の形態1と実施の形態5とを組み合わせた形態では、燃料電池システム100の起動運転時において燃料改質部7の変成器4の温度Tsが診断温度Tdに到達した際に燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。又、燃料電池システム100の停止運転時において燃料改質部7の浄化器5の温度Tpが診断温度Tdにまで低下した際に燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。
又、実施の形態7に係る第3の形態としては、実施の形態1と実施の形態6とを組み合わせた形態を挙げることが可能である(図4及び図9参照)。この実施の形態1と実施の形態6とを組み合わせた形態では、燃料電池システム100の起動運転時において燃料改質部7の変成器4の温度Tsが診断温度Tdに到達した際に燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。又、燃料電池システム100の停止運転時において燃料改質部7の浄化器5に供給する空気の供給量を減少させて燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。
又、実施の形態7に係る第4の形態として、実施の形態2と実施の形態4とを組み合わせた形態を挙げることが可能である(図5及び図7参照)。この実施の形態2と実施の形態4とを組み合わせた形態では、燃料電池システム100の起動運転時において燃料改質部7の浄化器5の温度Tpが診断温度Tdに到達した際に燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。又、燃料電池システム100の停止運転時において燃料改質部7の変成器4の温度Tsが診断温度Tdにまで低下した際に燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。
又、実施の形態7に係る第5の形態として、実施の形態2と実施の形態5とを組み合わせた形態を挙げることが可能である(図5及び図8参照)。この実施の形態2と実施の形態5とを組み合わせた形態では、燃料電池システム100の起動運転時において燃料改質部7の浄化器5の温度Tpが診断温度Tdに到達した際に燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。又、燃料電池システム100の停止運転時において燃料改質部7の浄化器5の温度Tpが診断温度Tdにまで低下した際に燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。
又、実施の形態7に係る第6の形態として、実施の形態2と実施の形態6とを組み合わせた形態を挙げることが可能である(図5及び図9参照)。この実施の形態2と実施の形態6とを組み合わせた形態では、燃料電池システム100の起動運転時において燃料改質部7の浄化器5の温度Tpが診断温度Tdに到達した際に燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。又、燃料電池システム100の停止運転時において燃料改質部7の浄化器5に供給する空気の供給量を減少させて燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。
又、実施の形態7に係る第7の形態として、実施の形態3と実施の形態4とを組み合わせた形態を挙げることが可能である(図6及び図7参照)。この実施の形態3と実施の形態4とを組み合わせた形態では、燃料電池システム100の起動運転時において燃料改質部7の浄化器5に供給する空気の供給量を減少させて燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。又、燃料電池システム100の停止運転時において燃料改質部7の変成器4の温度Tsが診断温度Tdにまで低下した際に燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。
又、実施の形態7に係る第8の形態として、実施の形態3と実施の形態5とを組み合わせた形態を挙げることが可能である(図6及び図8参照)。この実施の形態3と実施の形態5とを組み合わせた形態では、燃料電池システム100の起動運転時において燃料改質部7の浄化器5に供給する空気の供給量を減少させて燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。又、燃料電池システム100の停止運転時において燃料改質部7の浄化器5の温度Tpが診断温度Tdにまで低下した際に燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。
更に、実施の形態7に係る第9の形態として、実施の形態3と実施の形態6とを組み合わせた形態を挙げることが可能である(図6及び図9参照)。この実施の形態3と実施の形態6とを組み合わせた形態では、燃料電池システム100の起動運転時において燃料改質部7の浄化器5に供給する空気の供給量を減少させて燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。又、燃料電池システム100の停止運転時において燃料改質部7の浄化器5に供給する空気の供給量を減少させて燃料電池15の診断運転を行い、この診断運転の結果に基づいて、改質ガスへのエアーブリード量を必要に応じて補正する。
このように、本実施の形態によれば、燃料電池システム100の起動運転時及び停止運転時の両方の時期に燃料電池15の診断運転を実行する形態とすることにより、起動運転時と停止運転時との両方の時期において燃料電池15のアノード触媒の劣化状況を診断することができるので、エアーブリード量の増加量をより一層高精度に調整することが可能になる。
尚、その他の点については、実施の形態1〜6の場合と同様である。
本発明に係る燃料電池システムは、燃料電池のアノード触媒の性能劣化を簡易な構成により正確に把握してエアーブリード量を正確に増加させることが可能である、優れた耐久性及び発電効率と通常発電運転時における出力電圧値の安定性を有する好適な燃料電池システムとして、産業上利用可能である。
又、本発明に係る燃料電池発電システムは、携帯機器、電気自動車、家庭用コージェネレーションシステム等に使用される燃料電池システムとして、産業上利用可能である。
本発明の実施の形態1に示す燃料電池システムの構成の一部を模式的に示すブロック図である。 白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率を正確に求めるための原理を説明する模式図である。 燃料電池システムの制御部が記憶する、燃料電池の出力電圧値の基準電圧値に対する電圧差と、白金−ルテニウム合金触媒におけるルテニウムの残存率と、エアーブリード量の最適な増加量との相互関係を示すデータテーブルである。 本発明の実施の形態1に示す燃料電池システムの起動運転時における動作を模式的に示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に示す燃料電池システムの起動運転時における動作を模式的に示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3に示す燃料電池システムの起動運転時における動作を模式的に示すフローチャートである。 本発明の実施の形態4に示す燃料電池システムの停止運転時における動作を模式的に示すフローチャートである。 本発明の実施の形態5に示す燃料電池システムの停止運転時における動作を模式的に示すフローチャートである。 本発明の実施の形態6に示す燃料電池システムの停止運転時における動作を模式的に示すフローチャートである。 従来の燃料電池システムの一般的な構成の一部を模式的に示すブロック図である。
符号の説明
1 原料流量調整バルブ
2 脱硫器
3 改質器
4 変成器
5 浄化器
6 燃焼器
7 燃料改質部
8 改質水供給ポンプ
9 燃焼用都市ガス供給バルブ
10 燃焼用空気供給バルブ
11 選択酸化用流量調整部
12 エアーブリード機構
13 バイパス弁
14 バイパス経路
15 燃料電池
16 熱交換部
17 空気流量調整部
18 加湿器
18a 空気用流路
18b 排空気用流路
18c 高分子電解質膜
19 凝縮器
20 制御部
101 原料流量調整バルブ
102 脱硫器
103 改質器
104 変成器
105 浄化器
106 燃料改質部
107 改質水供給ポンプ
108 選択酸化用流量調整部
109 燃料電池
110 熱交換部
111 空気流量調整部
112 加湿器
113 エアーブリード機構
114 燃焼器
100,200 燃料電池システム

Claims (12)

  1. 空気を供給するエアーブリード機構と、
    酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と、
    原料を改質して水素を含む燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、
    前記酸化剤ガス供給部が供給する前記酸化剤ガスと、前記燃料ガス供給部が供給する前記燃料ガスに前記エアーブリード機構が前記空気を供給して得る前記燃料ガスと前記空気との混合ガスとを用いて発電する燃料電池と、
    少なくとも前記エアーブリード機構及び前記酸化剤ガス供給部及び前記燃料ガス供給部及び前記燃料電池を制御して起動運転及び停止運転を行う制御部とを備える燃料電池システムであって、
    前記制御部が、前記起動運転時、前記燃料電池のアノード触媒の性能低下を診断して、該診断の結果に基づいて前記エアーブリード機構を制御して前記燃料ガスへの前記空気の供給量を増加させる、燃料電池システム。
  2. 前記制御部が、前記燃料ガス供給部が通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する際の前記燃料電池の出力電圧値と所定の基準電圧値との電圧差に基づいて前記診断する、請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記燃料ガス供給部が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を第1の温度以上で第1の濃度以下に低減する変成器を備え、
    前記変成器の温度が前記第1の温度未満であることを前記制御部が判定して前記変成器が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を前記第1の濃度を超えるよう低減することにより前記通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する、請求項2記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃料ガス供給部が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を第2の温度以上で第2の濃度以下に低減する浄化器を備え、
    前記浄化器の温度が前記第2の温度未満であることを前記制御部が判定して前記浄化器が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を前記第2の濃度を超えるよう低減することにより前記通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する、請求項2記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を前記第2の温度以上で前記第2の濃度以下に低減するために前記浄化器に所定の流量以上で空気を供給する空気供給部を更に備え、
    少なくとも前記変成器及び前記浄化器の温度が前記第1及び第2の温度以上であることを前記制御部が判定して前記空気供給部が前記所定の流量未満で前記空気を供給又は供給を停止することにより前記通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する、請求項2記載の燃料電池システム。
  6. 空気を供給するエアーブリード機構と、
    酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と、
    原料を改質して水素を含む燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、
    前記酸化剤ガス供給部が供給する前記酸化剤ガスと、前記燃料ガス供給部が供給する前記燃料ガスに前記エアーブリード機構が前記空気を供給して得る前記燃料ガスと前記空気との混合ガスとを用いて発電する燃料電池と、
    少なくとも前記エアーブリード機構及び前記酸化剤ガス供給部及び前記燃料ガス供給部及び前記燃料電池を制御して起動運転及び停止運転を行う制御部とを備える燃料電池システムであって、
    前記制御部が、前記停止運転時、前記燃料電池のアノード触媒の性能低下を診断して、該診断の結果に基づいて前記エアーブリード機構を制御して前記燃料ガスへの前記空気の供給量を増加させる、燃料電池システム。
  7. 前記制御部が、前記燃料ガス供給部が通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する際の前記燃料電池の出力電圧値と所定の基準電圧値との電圧差に基づいて前記診断する、請求項6記載の燃料電池システム。
  8. 前記燃料ガス供給部が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を第1の温度以上で第1の濃度以下に低減する変成器を備え、
    前記変成器の温度が前記第1の温度未満であることを前記制御部が判定して前記変成器が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を前記第1の濃度を超えるよう低減することにより前記通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する、請求項7記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料ガス供給部が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を第2の温度以上で第2の濃度以下に低減する浄化器を備え、
    前記浄化器の温度が前記第2の温度未満であることを前記制御部が判定して前記浄化器が前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を前記第2の濃度を超えるよう低減することにより前記通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する、請求項7記載の燃料電池システム。
  10. 前記燃料ガスの一酸化炭素濃度を前記第2の温度以上で前記第2の濃度以下に低減するために前記浄化器に所定の流量以上で空気を供給する空気供給部を更に備え、
    少なくとも前記変成器及び前記浄化器の温度が前記第1及び第2の温度以上であることを前記制御部が判定して前記空気供給部が前記所定の流量未満で前記空気を供給又は供給を停止することにより前記通常発電運転時を超える一酸化炭素濃度の前記燃料ガスを供給する、請求項7記載の燃料電池システム。
  11. 前記制御部が、前記燃料電池のアノード触媒の性能低下を前記起動運転時に加えて前記停止運転時にも前記診断する、請求項1記載の燃料電池システム。
  12. 前記燃料電池が、プロトン伝導性を有する高分子電解質膜の一方の面にアノード触媒を他方の面にカソード触媒を各々備え、前記アノード触媒及び前記カソード触媒の少なくともアノード触媒が白金−ルテニウム合金触媒からなる高分子電解質型燃料電池である、請求項1記載の燃料電池システム。
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