JP2006337955A - 波長調整器 - Google Patents

波長調整器 Download PDF

Info

Publication number
JP2006337955A
JP2006337955A JP2005166018A JP2005166018A JP2006337955A JP 2006337955 A JP2006337955 A JP 2006337955A JP 2005166018 A JP2005166018 A JP 2005166018A JP 2005166018 A JP2005166018 A JP 2005166018A JP 2006337955 A JP2006337955 A JP 2006337955A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
base member
wavelength
temperature
holder
casing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005166018A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyuki Kobayashi
秀幸 小林
Kensuke Sasaki
健介 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oki Electric Industry Co Ltd filed Critical Oki Electric Industry Co Ltd
Priority to JP2005166018A priority Critical patent/JP2006337955A/ja
Publication of JP2006337955A publication Critical patent/JP2006337955A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
  • Light Guides In General And Applications Therefor (AREA)
  • Mechanical Light Control Or Optical Switches (AREA)

Abstract

【課題】 FBGの反射波長の望まない変動を高い精度で防止する。
【解決手段】 ファイバブラッググレーティングの反射波長を調整する波長調整器に,ファイバブラッググレーティング106が形成された光ファイバ102と;ファイバブラッググレーティング106の温度を制御する温度制御装置と;光ファイバ102が固定されるベース部材104と;ベース部材104を支持する支持手段と;を備え,支持手段とベース部材104との間に伸縮吸収材を介在させた。
【選択図】 図2

Description

本発明は,ファイバブラッググレーティングの反射波長を調整する波長調整器に関する。
近年,インターネットの普及等により通信需要が急速に増大し,光ファイバを用いた高速で大容量のネットワークが整備されつつある。このような高速,大容量光ネットワークでは,波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing,以下,WDMとも称する。)伝送技術が必要不可欠であり,特に波長間隔を狭めて光搬送波を波長軸上に高密度に配置した,いわゆる高密度WDM(Dense WDM,以下,DWDMとも称する。)方式が注目されている。
また,多重分離度や通信セキュリティが高く,WDMあるいはDWDM方式との併用によって波長利用効率を高めることが期待される光符号分割多重(Optical Code Division Multiplexing,以下,OCDMとも称する。)方式の伝送方式も注目されている。OCDM方式は送信側においてチャネル毎に異なる符号で変調し,受信側で送信側と同一符号で復号することで多重分離を行う方式であり,複数の波長と各波長の時間軸上の配置順序を符号とする波長ホップ/時間拡散併用方式(以後,波長ホップ方式とも称する。)や,拡散した光パルス列の相対位相差を符号とする位相符号方式などが知られている。
WDMあるいはDWDMシステムにおける光フィルタデバイスやOCDMシステムにおける符号器/復号器として,ファイバブラッググレーティング(以下,FBGとも称する。)を用いたものが知られている。FBGは,光ファイバのコア内に,格子状に屈折率変化領域,いわゆるグレーティングを形成したデバイスであり,特定波長の光を反射する特徴を有する。しかし,FBGは,その屈折率の温度依存性や,温度による光ファイバの伸縮などに起因して,FBGの周辺の温度(以後,環境温度とも称する。)の変化により反射波長が大きく変動することが知られている。
環境温度によるFBGの反射波長の変動を抑制する方法として,例えば特許文献1に開示された方法を挙げることができる。本文献に記載の方法によれば,負の熱膨張係数を有する板状ガラスセラミック基板上にFBGが形成された光ファイバを固定する。そして,環境温度の変化によるFBGの反射波長の変動を,板状ガラスセラミック基板の伸縮に従って光ファイバが伸縮することに起因するFBGの反射波長の変動量によって補償する。
特表2000−503415号公報
しかし,特に上記の符号器/復号器にFBGを用いる場合には,対をなす符号器と復号器との間でFBGの反射波長にずれがあると伝送品質が劣化するため,反射波長をほぼ一致させなければならない。上記方法ではなお,伝送品質を劣化させない程度の波長差を超える波長差を,符号器と復号器との間に生じさせうる波長変動が発生してしまう。
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,FBGの反射波長の望まない変動を高い精度で防止することが可能な波長調整器を提供することにある。
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,ファイバブラッググレーティングの反射波長を調整する波長調整器であって,ファイバブラッググレーティングが形成された光ファイバと;ファイバブラッググレーティングの温度を制御する温度制御装置と;光ファイバが固定されるベース部材と;ベース部材を支持する支持手段と;を備え,支持手段とベース部材との間には伸縮吸収材が介在している波長調整器が提供される。
上記発明によれば,温度制御装置によりFBGの温度を制御するため,FBGの温度を所定の温度に保つように制御すれば,温度変化による光ファイバの伸縮を防止できる。また,光ファイバが固定されるベース部材を支持する支持手段が伸縮した場合でも,支持手段とベース部材との間に介在する伸縮吸収材が支持手段の伸縮を吸収する。そのため,支持手段の伸縮がベース部材に固定される光ファイバに伝達されないので,支持手段の伸縮に伴う光ファイバの伸縮を防止できる。その結果,FBGの反射波長の望まない変動を高い精度で防止することができる。また,温度制御装置によりFBGの温度を所望の温度に制御すれば,FBGの反射波長を所望の波長にすることができる。この場合,FBGの反射波長が,支持手段の伸縮の影響を受けずに温度制御装置による温度制御によってのみ変化するため,高い精度で所望の波長に導くことができる。つまり,温度制御装置による温度制御により,FBGの反射波長を高い精度で調整することができる。そのため,例えば光源波長の揺らぎなどに対しても,温度制御を行うことで波長を整合させることができる。支持手段の伸縮は,例えば環境温度の変化に従って膨張/収縮することにより,また,応力が加えられることにより起こりうる。
上記伸縮吸収材は,温度の変化に伴う支持手段の膨張/収縮を吸収する。かかる構成によれば,支持手段の膨張/収縮がベース部材に伝達されることを防止できる。
上記ベース部材は低熱膨張性の材料で構成されてもよい。かかる構成によれば,環境温度等の変化に伴うベース部材の膨張/収縮を抑制できる。そのため,ベース部材に固定されている光ファイバがベース部材の膨張/収縮を起因として伸縮してしまうことを防止できる。
上記ベース部材は,少なくとも光ファイバのFBGが形成された部分の外周を囲むように構成されてもよい。支持手段の伸縮は伸縮吸収材によって吸収されるが,全てを吸収できない可能性もある。そのような場合でも,かかる構成によれば,ベース部材が光ファイバを囲んでいるため,ベース部材により,光ファイバへの支持手段の伸縮の伝達が遮断される。
上記支持手段は,波長調整器のケーシング,またはケーシングの内部でベース部材を支持するホルダのいずれか一方または双方であってもよい。
上記ホルダは,伸縮吸収材を介してベース部材を支持する。
上記温度制御装置は,ベース部材の温度を検出する温度センサと;ホルダに接触されるサーモモジュールと;温度センサにより検出される温度が所定の温度に保たれるようにサーモモジュールを制御するコントローラと;を備え,サーモモジュールは,ホルダを介してベース部材を加熱/冷却する構成であってもよい。
上記構成によれば,温度センサ,サーモモジュールおよびコントローラでベース部材の温度を制御することにより,ベース部材に固定されている光ファイバの温度を制御することができる。その際に,サーモモジュールとベース部材との間にホルダを介在させてホルダを介してベース部材を加熱/冷却することもできる。この場合,ホルダとベース部材とが上記伸縮吸収材を介して密着していれば,ホルダとベース部材間の熱の移動が効率的に行われる。
上記ホルダは高熱伝導性の材料で構成されてもよい。かかる構成によれば,サーモモジュールによる加熱/冷却がホルダからベース部材に伝達されやすいため,コントローラの制御に応じたベース部材の温度調整を遅延なく行うことができる。
上記ベース部材とホルダとが1カ所で係合していてもよい。かかる構成によれば,ベース部材が光ファイバの延長方向に移動することを防止できる。また,1カ所で係合することにより,係合部分においてベース部材がホルダの膨張/収縮の影響を受けることを防止する。
上記1カ所は,ホルダにおける光ファイバの延長方向の中央部であってもよい。かかる構成によれば,ホルダが膨張/収縮した場合でも位置のずれが起こりにくい中央部に係合部分が設けられる。そのため,係合部分においてベース部材がホルダの膨張/収縮の影響を受けることを防止できる。上記係合部は突起部および溝部により構成されていてもよい。その場合,係合し状態で,突起部と溝部との間には隙間があることが望ましい。
上記波長調整器は,低熱伝導性の材料からなる熱伝導防止部材をさらに備え,ベース部材は,ホルダと熱伝導防止部材とで囲まれるように構成されてもよい。ホルダは上記の通りサーモモジュールとベース部材との間に介在しており,熱伝導防止部材はサーモモジュールからベース部材への熱の伝達を阻害しないようにサーモモジュールから離れて配置されることが望ましい。なお,ホルダと熱伝導防止部材とは一体で構成されても構わない。かかる構成によれば,環境温度の変化がベース部材に伝達されることを熱伝導防止部材が抑制するため,ベース部材に温度分布が生じることを防止できる。
一方,上述のように,支持手段がケーシングであってもよい。
ケーシングの光ファイバの延長方向の両端には,光ファイバを挿通させるための貫通孔が形成されており,ベース部材の両端がケーシングの両端に形成された貫通孔に各々挿通され,ケーシングは貫通孔の箇所において伸縮吸収材を介してベース部材を支持するように構成されてもよい。かかる構成によれば,ケーシングの貫通孔にベース部材の両端が挿通されることにより,ベース部材が支持されている。そして,ケーシングの貫通孔の部分において,ケーシングと,そこに挿通されているベース部材との間には伸縮吸収材が介在している。そのため,ケーシングの膨張/収縮がベース部材に伝達されず,従って,ベース部材に固定されている光ファイバにケーシングの膨張/収縮が伝達されない。
上記ケーシングの貫通孔とベース部材との間の隙間は,伸縮吸収材により密閉されてもよい。かかる構成によれば,ケーシングの貫通孔が密閉されるため,ケーシングの内部へのゴミや水分等の侵入を阻止し,収容されているFBGにそれらの影響が及ぶことを防止できる。
上記ベース部材の両端は,ケーシングの貫通孔から外部に突出していてもよい。かかる構成によれば,ケーシングの膨張/収縮が光ファイバに伝達されることをより確実に防止できる。
以上説明したように本発明によれば,FBGの反射波長の望まない変動を高い精度で防止することが可能な波長調整器を提供することができる。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1実施形態)
以下では,本発明にかかる波長調整器を,位相符号方式OCDMにおいて符号器/復号器として用いることが可能な波長調整器100に適用して説明する。位相符号方式OCDMにおける符号器/復号器では,多点位相シフト構造を有するスーパーストラクチャFBG(Superstructure FBG,以後,SSFBGとも称する。)が用いられることがある。SSFBGは,長さならびに屈折率変化領域の周期が同一な(すなわち反射波長が等しい)複数個のFBG(以後,単位FBGと称する。)を,構成する符号に応じて任意に設定される単位FBG間の間隔(0も含む)を設けて構成したものである。この場合,対を成す符号器と復号器の波長差が僅か数pm(ピコメートル)であっても復号化が正確に行えないため,符号器と復号器の波長を高い精度で一致させる必要がある。
本実施形態にかかる波長調整器100は,FBGの反射波長の望まない変動を防止することができる。そのため,波長調整器100を符号器/復号器に適用すれば,符号器と復号器に各々備えられる単位FBGの反射波長がそれぞれ変動することにより符号器と復号器とで波長がずれてしまうことを防止できる。
また,本実施形態にかかる波長調整器100は,FBGの反射波長を所望の波長に調整することができる。そのため,波長調整器100を符号器/復号器に適用すれば,符号器/復号器の波長を所望の波長に調整することにより,光源の揺らぎなどに対応することができる。
FBGの反射波長が変動する要因には,温度と応力の2つの要因がある。温度は,FBGの温度であり,FBGの温度の変化に伴って反射波長が変動する。従って,FBGの周りの温度(環境温度)が変化すると,その温度変化がFBGに伝達されて,FBGの反射波長が変化する。応力は,FBGやFBGが形成されている光ファイバへの応力であり,応力の変化に伴って反射波長が変動する。応力には,光ファイバの径方向への応力と,光ファイバの延長方向への応力が含まれる。本実施形態にかかる波長調整器100によれば,ケーシング110の伸縮に伴う光ファイバへの応力伝達によるFBGの反射波長の変動を抑制できる。また,温度の変化によるFBGの反射波長の望まない変動を抑制できる。さらに,応力の変化によるFBGの反射波長を抑制しながらFBGの温度を制御することにより,FBGの反射波長を所望の波長に導くことができる。以下に,波長調整器100について詳細に説明する。
図1は,波長調整器100の外観を概略的に示す斜視図である。図1に示すように,波長調整器100は,ケーシング110と,ベース部材104と,光ファイバ102を備える。光ファイバ102はベース部材104に囲まれている。ベース部材104はケーシング110の両端から突出している。ベース部材104とケーシング110との間には,ケーシング110の膨張/収縮を吸収する第1の伸縮吸収材101が介在する。
図2を参照して,波長調整器100の構成を詳細に説明する。図2は,波長調整器100の断面図である。波長調整器100は,SSFBG106が形成された光ファイバ102と,ベース部材104と,ホルダ108と,ケーシング110と,温度センサ112と,サーモモジュール116と,断熱材118と,温度コントローラ(図示なし)を主に備える。
<各構成要素間の関係の説明>
まず,波長調整器100を構成する各構成要素間の関係について説明する。
SSFBG106が形成された光ファイバ102は,引張力や圧縮力などの応力が印加されていない状態で,2カ所の接着部114においてベース部材104に接着されて,ベース部材に固定されている。接着部114については,図8を参照して後述する。また,光ファイバ102は,例えばシリコーングリース等の熱伝導性の高い物質によりベース部材に密着されていてもよい。
ベース部材104は,ホルダ108により支持される。この際に,ベース部材に固定された光ファイバ102に形成されたSSFBG106が,ホルダ108における光ファイバ102の延長方向の中央部に位置するように,ベース部材104とホルダ108とが配置されることが望ましい。しかし,中央部ではなくても,SSFBG106がホルダ108内に位置するように配置されていれば構わない。ベース部材104とホルダ108との間には,第2の伸縮吸収材103が介在している。ホルダ108がベース部材104を支持する部分の構成については,後に図4を参照して詳述する。また,ベース部材104は係合部124においてホルダ108と係合している。係合部分の構成については,後に図7を参照して詳述する。なお,以後では,ホルダ108における光ファイバ102の延長方向をホルダ108の長手方向とも称する。同様に,ケーシング110における光ファイバ102の延長方向をケーシング110の長手方向とも称し,ベース部材104における光ファイバ102の延長方向をベース部材104の長手方向とも称する。
ベース部材104はまた,ケーシング110によっても支持される。より詳細には,ケーシング110の両端には,光ファイバ102を挿通させるための貫通孔が形成されている。波長調整器100では,光ファイバ102はベース部材に固定された状態でケーシング110の貫通孔に挿通される。つまり,ベース部材108の両端もまた,ケーシング110の両端に形成された貫通孔に各々挿通されている。このケーシング110の両端の貫通孔の箇所において,ベース部材104は第1の伸縮吸収材101を介してケーシング110により支持されている。ケーシング110がベース部材104を支持する部分の構成については,後に図6を参照して詳述する。
また,ベース部材104の中央部には温度センサ112が備えられる。なお,中央部でなくても,SSFBG106の近傍であれば構わない。温度センサ112は,ベース部材104の温度を検出する。なお,図2では温度センサ112は係合部124に配置されているが,上述のようにSSFBG106の近傍であれば係合部124でなくても構わない。
ホルダ108は,サーモモジュール116および断熱材118と接触している。また,ホルダ108は,低熱伝導性の材料からなるビス120によってケーシング110に固定されている。
サーモモジュール116は,ケーシング110の内面の一部に固定される。サーモモジュールはホルダ108と接触し,ホルダ108を加熱/冷却する。サーモモジュール110の両側には断熱材118が配置され,断熱材118もまたケーシング110の内面に固定される。サーモモジュール116および温度センサ112は,ケーシング110の外部にある温度コントローラに接続される。
次に,図8を参照して,接着部114について説明する。接着部114において,光ファイバ102がベース部材104に接着剤150で接着されている。図8(a)は,ベース部材が断面凹形状である場合の接着部114の構成を示す。図8(b)および図8(c)は,ベース部材が筒状である場合の接着部114の構成を示す。ベース部材が断面凹形状である場合には,図8(a)に示すように,光ファイバ102はベース部材104の凹部に載置された状態で接着剤150によりベース部材104に接着される。ベース部材が筒状である場合には,図8(c)に示すように,光ファイバ102はベース部材の内側の一部と接触するようにして接着剤150により接着されてもよいし,図8(b)に示すように,ベース部材と直接接触することなく間に接着剤150が介在するようにされてもよい。接着剤としては,紫外線硬化型のアクリル系接着剤や,エポキシ系などの接着剤を利用できる。
次に,図4を参照して,ホルダ108がベース部材104を支持する部分の構成と機能を合わせて説明する。図4は,図2のA−A切断面を示す断面図である。
図4に示すように,ホルダ108とベース部材104との間には,第2の伸縮吸収材103が介在している。つまり,ホルダ108は,第2の伸縮吸収材103を介してベース部材104を支持している。すなわち,ベース部材104は,接触あるいは密着していても力の加わった部位のみが動く状態となっており,溶接,ハンダ付け,ビス・ボルト・ピンによる固定,接着等で機械的に固定されてはいない。そして第2の伸縮吸収材103は,温度変化に伴うホルダ108の膨張/収縮を吸収する。従って,ホルダ108の膨張/収縮は,ベース部材には伝達されない。第2の伸縮吸収材103としては,例えば,シリコーングリースを挙げることができる。シリコーングリースを介してベース部材104とホルダ108を密着させれば,両者間の潤滑性を高めてホルダ108の膨張/収縮を吸収するだけでなく,ベース部材104とホルダ108との間の熱伝導効率を高めることができる。なお,第2の伸縮吸収材103としては,シリコーングリースに限定されることはなく,ホルダ108の膨張/収縮を吸収しつつ,かつ,ベース部材104とホルダ108を密着させうるものであれば,ゲル状の物質であってもよいし,粘性を有する物質であってもよい。さらに熱伝導性の高い物質であればより好ましい。
次に,図6を参照して,ケーシング110がベース部材104を支持する部分の構成と機能を合わせて説明する。図6は,図2のB−B切断面を示す断面図である。
図6に示すように,ケーシング110に形成された貫通孔に,ベース部材104が挿通されており,貫通孔とベース部材との間には第1の伸縮吸収剤101が介在している。つまり,ケーシング110は,第1の伸縮吸収材101を介してベース部材104を支持しており,ベース部材104と機械的に固定されていない。そして第1の伸縮吸収材101は,温度変化に伴うケーシング110の膨張/収縮を吸収する。従って,ケーシング110の膨張/収縮は,ベース部材には伝達されない。
また,ケーシング110の貫通孔と,その貫通孔に挿通されるベース部材104との間の隙間は,第1の伸縮吸収剤101によって密閉されている。隙間が密閉されることにより,ケーシング110の内部にゴミや水分などの異物が侵入することを防止できる。第1の伸縮吸収材101としては,例えば,シリコーンゴムを挙げることができる。シリコーンゴムは,硬化後も柔軟性を有するため,ベース部材104とケーシング110とを強固に固定せず,ケーシング110の膨張/収縮を吸収することができる。なお,第1の伸縮吸収材101は,シリコーンゴムに限定されることはなく,硬化後も柔軟性を有し,ケーシング110の膨張/収縮を吸収することができ,かつ,貫通孔とベース部材との間の隙間を密閉することができる物質であれば,ゲル状の物質であってもよいし,粘性を有する物質であってもよい。
次に,図7を参照して,ベース部材104とホルダ108との係合部分の構成と機能を合わせて説明する。
係合部124は,ベース部材104に形成された突起部142と,ホルダ108に形成された溝部140とで構成される。上述のように,ベース部材104はホルダ104とケーシング110とによって支持されるが,いずれにも機械的に固定されていない。そのため,光ファイバ102が引っ張られた場合などには,ベース部材104が光ファイバ102の延長方向に移動してケーシング110から抜けてしまう可能性がある。そこで,ベース部材104の突起部142をホルダ108の溝部140に挿入して係合させることにより,ベース部材が光ファイバ102の延長方向に移動することを防止する。
その際に,ホルダ108とベース部材104とは1カ所で係合していなければならない。複数箇所で係合していると,ホルダ108の膨張/収縮の影響をベース部材104が受けやすくなるからである。例えば,ベース部材104に突起部が2つあり,ホルダ108に突起部に対応する間隔で2つの溝部があり,各溝部に突起部が各々挿入されることによりベース部材104とホルダ108とが2カ所で係合する場合には,ホルダ108が膨張/収縮することにより各溝部の位置が変動して2つの溝部間の間隔が変わると,それに従ってベース部材104の2つの突起部間の間隔も代わり,その結果ベース部材104が伸縮してしまう。係合部が一カ所であれば,上記の問題は生じず,ホルダ108の膨張/収縮は,係合部124においてもベース部材104とホルダ108との間に介在する第2の伸縮吸収材103により吸収され,ベース部材には伝達されない。
また,係合部124において,ホルダ108の膨張/収縮をより確実にベース部材104に伝達しないようにするため,突起部142と溝部140との間には,少なくとも0.5mmの隙間があることが望ましい。この隙間にも上述の通り第2の伸縮防止材103が充填される。
また,係合部124は,ホルダ108の長手方向の中央部に配置されていてもよい。つまり,ホルダ108の長手方向の各端部から係合部124までの距離AおよびBがほぼ同一であってもよい。ホルダ108が均一に加熱/冷却される場合,ホルダ108は長手方向の中央部を中心として膨張/収縮するため,中央部は膨張/収縮によっても位置がずれにくいからである。
なお,係合部124の構成は上記に限定されることはなく,例えば,突起部がホルダ108に形成され,溝部がベース部材104に形成されていてもよい。また,溝部の数は2個以上でも構わない。
<各構成要素の説明>
以上,波長調整器100を構成する各構成要素間の関係について説明した。次に,各構成要素について詳細に説明する。
ケーシング110は,表面に金メッキを施した銅よりなるが,これに限定されるものではなく,例えばアルミニウムなど安価かつ加工が容易な材料を利用できる。本実施形態におけるケーシング110は箱状であり,長手方向のいずれかの側面にサーモモジュール11」6への電力供給端子1対および温度センサ112からの入力端子1対からなる端子部を有し,この端子部を介して温度コントローラが接続される。
断熱材118は,ガラスエポキシ材よりなるが,これに限定されるものではなく,例えばピーク材やマイカなどの低熱伝導性の材料を利用できる。また,断熱材118を取り除き,ホルダ108を低熱伝導性の材料からなるビスで架橋固定して空気断熱あるいは真空断熱とすることも可能である。
サーモモジュール116は,ペルチェ素子を用いた加熱/冷却モジュールよりなる。本実施形態ではサーモモジュール116を1つとして説明しているが,ホルダ108の形状や寸法に合わせて複数個配置することも可能である。
ベース部材104は,低熱膨張性の材料で構成される。低熱膨張性の材料として,例えばインバー,ガラスセラミックなどを挙げることができる。ベース部材104としては,熱膨張係数が1.2×10−6/K以下である材料で構成されることが望ましい。ベース部材104の形状は,固定される光ファイバ102を囲む形状であることが望ましい。ホルダ108やケーシング110の膨張/収縮は伸縮吸収材によって吸収されるが,膨張/収縮の程度によっては全てを吸収できない可能性もある。そのような場合でも,ベース部材104が光ファイバ102を囲む形状であれば,伸縮吸収材によって伝達される応力よりもベース部材の剛性の方が大きいため,ホルダ108やケーシング110の膨張/収縮の光ファイバ102への伝達が遮断される。本実施形態におけるベース部材104は,光ファイバ102を固定するための溝を形成した,断面が凹形状となる角柱状である。なお,ベース部材104の形状は角柱状に限定されることはなく,図5(a)に示したように,断面が円形状となる筒状であってもよいし,図5(b)(c)に示したように断面がV形状,U形状となるような形状であってもよく,その他でも光ファイバを囲む形状であればどのような形状でも構わない。ベース部材104の,光ファイバ102の延長方向の長さは,ケーシング102の光ファイバ102の延長方向の長さ以上である。
ホルダ108は,高熱伝導性の材料で構成される。高熱伝導性の材料として,例えば,銅,アルミなどを挙げることができる。ホルダ108としては,熱伝導率が398W/(m・K)以上である材料で構成されることが望ましい。
温度センサ112はサーミスタよりなるが,これに限定されるものではなく,例えば熱電対や白金熱抵抗体なども利用できる。
光ファイバ102は,コアに例えばゲルマニウムなどを添加して紫外感光性を高めたシングルモード光ファイバに,多点位相シフト構造を有するSSFBG106を形成したものである。図3に符号列として15ビットのM系列を用いた場合のSSFBG61の構成概略を示す。図3において「A」〜「P」で示す単位FBGはその全ての長さが等しく,かつ同一の屈折率変調領域周期を有する。ここで,単位FBG「C」と「D」,あるいは「G」と「H」との間などに示した「λ/4」とは,光搬送波の波長をλとしたときにλ/4に相当する間隔を空けて単位FBGを配置することを意味し,「0」とは隣接する単位FBG同士を密着させて(つまり,間隔が0で)配置することを意味する。上記のλ/4に相当する間隔は,光搬送波の位相π/2に相当する間隔であるため,例えば図3の左側(単位FBG「A」側)から光パルスが入射した場合,単位FBG「A」,「B」および「C」での反射パルスに対して,単位FBG「D」,「E」,「F」および「G」での反射パルスは位相がπシフトしていることになる。
<動作および作用の説明>
以上,波長調整器100を構成する各構成要素について詳細に説明した。次に,波長調整器100の動作と作用について説明する。
波長調整器100の波長調整は,SSFBG106を含む光ファイバ102の温度を変化させることにより行う。より詳細には,波長調整器100は,SSFBG106に含まれる各単位FBGの温度を制御することにより,FBGの反射波長を調整して,SSFBG106全体の波長を調整する。
温度コントローラにおいて設定温度を所定の値に設定すると,その設定値と温度センサ112による検出温度との差に応じて,温度コントローラは温度センサ112の検出温度が設定値と等しくなるようにサーモモジュール116の加熱/冷却を制御する。サーモモジュール116からの熱は,ホルダ108を介してベース部材104に伝達される。つまり,サーモモジュール116は,ホルダ108を介してベース部材104を加熱/冷却する。そのため,温度コントローラでのサーモモジュール116の制御により,ベース部材104は所定の温度に一定に保たれる。
ここで,サーモモジュール116の熱をベース部材104に伝達する高熱伝導性のホルダ108がベース部材108を覆っているため,ベース部材104の長手方向における温度分布の発生を抑制できる。
また,ベース部材104はホルダ108に機械的に固定されておらず,第2の伸縮吸収材103を介して支持されているのみである。そのため,サーモモジュール116による加熱/冷却や,環境温度の変化によって発生するホルダ108の膨張/収縮はベース部材104には伝達されない。また,ベース部材104はケーシング110にも機械的に固定されておらず,第1の伸縮吸収材101を介して支持されているのみである。そのため,環境温度の変化によって発生するケーシング110の膨張/収縮はベース部材104には伝達されない。また,ベース部材104は低熱膨張材料で構成されるため,ベース部材104自体の膨張/収縮も発生しない。そして,光ファイバ102に含まれるSSFBG106はベース部材104に固定されているため,ホルダ108やケーシング110の膨張/収縮はSSFBG106に伝達されない。つまり,ホルダ108やケーシング110の膨張/収縮によっては,SSFBG106に加わる応力は変化しないため,ホルダ108やケーシング110が膨張/収縮しても,SSFBG106の各単位FBGの反射波長は変動せず,SSFBG106の波長は変動しない。
そのため,SSFBG106は,温度の変化によってのみ波長が変動する。SSFBG106の温度は,温度センサ112,サーモモジュール116および温度コントローラからなる温度制御装置によって所定の温度に保たれるように制御される。従って,温度制御装置による温度制御によって,SSFBG106の波長を所定の波長に保つことができる。また,温度制御装置によりSSFBG106の温度を変えることにより,SSFBG106の波長を所望の波長に導くことができる。
SSFBG106の温度が変化すると,SSFBG106を構成する単位FBGにおける個々のグレーティングの実効屈折率neff,およびグレーティングピッチΛは温度変化に応じて変化する。
温度変化による中心波長の変動量ΔλB_Tempは,下記の数式1により求められる(例えば,Andreas Othonos and Kyriacos Kalli著:Fiber Bragg Gratings参照)。
Figure 2006337955
・・・(数式1)
数式1においてΔTは温度変化幅を表し,dΛ/dTは光ファイバの熱膨張係数を表す。
数式1で求められる反射中心波長変動量ΔλB_Tempは,温度コントローラによりベース部材104の温度を高くした場合には長波長側への変動量,ベース部材104の温度を低くした場合には短波長側への変動量となる。
本実施形態にかかる波長調整器100における,温度コントローラの設定温度による波長調整特性を図9に示す。図9の横軸は温度コントローラの設定温度であり,縦軸はSSFBG106の反射波長の変化量Δλを示す。図9において,黒三角形で示す点が測定点,それらの測定点を平滑化した値を直線160で示している。図9から分かるように,波長調整器100の波長は,設定温度15℃から45℃において300pm以上調整可能である。そのため,例えば光源波長の揺らぎに応じた波長調整も十分に可能である。
本実施形態にかかる波長調整器100における,温度コントローラの設定温度を45℃とした場合の反射波長の環境温度依存性を図10に示す。図10の横軸は環境温度を示し,縦軸はSSFBG106の反射波長の変化量Δλを示す。図10において,黒三角形で示す点が測定点,それらの測定点を平滑化した値を直線170で示している。図10から分かるように,環境温度が0℃から+55℃の範囲における最大波長変動量は5pmであり,波長変動率は環境温度変動1℃当たり0.01pmである。
図9および図10から分かるように,温度コントローラが0.1℃単位での温度設定が可能であれば,波長調整器100の反射中心波長を波長調整分解能1pmで調整できるだけでなく,環境温度が変動した場合でも,温度コントローラによる設定温度を再調整することなく反射波長を安定に維持することができる。
以上説明したように,本実施形態にかかる波長調整器100によれば,波長調整幅が300pm以上であり,任意波長への調整を波長調整分解能1pm以下で行うことができる。波長調整器100の波長調整能力により,環境温度の変化によって生じる微小な波長変動の再調整や,光源波長の揺らぎに応じた任意の波長調整を行うことができる。また,波長調整器100を位相符号器および位相復号器として使用する場合,波長調整器100に含まれるSSFBG106の製造誤差に影響されず,対を成す位相符号器と位相復号器の波長を高精度に一致させることができる。
(第2実施形態)
次に,本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では,本発明にかかる波長調整器を,位相符号方式OCDMにおいて符号器/復号器として用いることが可能な波長調整器200に適用して説明する。第2実施形態にかかる波長調整器200は,第1実施形態にかかる波長調整器100とほぼ同様の構成,機能を有するが,ベース部材が高熱伝導性の材料からなるホルダと低熱伝導性の材料からなるカバーとにより囲まれているところが波長調整器100と相違する。以下では,波長調整器100とほぼ同様の構成,機能を有する構成要素については,図中に同一の符号を付してその説明を省略し,波長調整器100と相違する部分について説明する。
<構成の説明>
波長調整器200において,ベース部材104は,ホルダ208により第2の伸縮吸収材103を介して支持されている。第1実施形態では,ホルダ108はベース部材の全外周を囲む形状であった。本実施形態では,ホルダ208は上部が開口した箱形で,底部にベース部材が載置されており,ベース部材の外周の一部を囲む形状である。ホルダ208の開口した上部は,熱伝導防止部材の一例であるカバー210によって塞がれている。ホルダ208は第1実施形態のホルダ108と同様に高熱伝導性の材質で構成されている。カバー210は低熱伝導性の材料で構成される。低熱伝導性の材料としては,例えばガラスエポキシ材,ピーク材などを挙げることができる。また,カバー210は熱伝導率が0.8W/(m・K)以下である材料で構成されることが望ましい。
図12(a)は,図11のC−C切断面の断面図である。図12(a)に示すように,ホルダ208は,断面が凹形状であり,ベース部材104の上部以外の外周を囲んでいる。ホルダ208とベース部材104との間には,第1実施形態と同様に第2の伸縮吸収材103が介在しており,ホルダ208は第2の伸縮吸収材103を介してベース部材104を支持し,かつ,サーモモジュール116からの熱をベース部材104に伝達する。
ホルダ208とベース部材104の上部,つまり,ホルダ208のサーモモジュール116との接触部分(底面)の反対側は,カバー210により覆われている。カバー210とベース部材104,ホルダ208との間にも,第2の伸縮吸収材103が介在し,カバー210とベース部材104,およびカバー210とホルダ208とは第2の伸縮吸収材103を介して密着している。従って,ベース部材104は,ホルダ208とカバー210とによって,第2の伸縮吸収材103を介して囲まれている。かかる構成によれば,サーモモジュール116がホルダ208を介してベース部材104を加熱/冷却することを可能にしながら,かつ,ベース部材104への環境温度の変化の伝達をカバー210によって阻止することができる。そのため,第1実施形態と比べて,ベース部材104の長手方向の温度分布の発生をより確実に抑制することができる。
なお,上記では熱伝導防止部材がカバー210としてホルダ208とは別個に構成されたが,ホルダ208と熱伝導防止部材が一体で構成されてもよい。例えば,図12(b)に示すように,サーモモジュール116との接触部分からベース部材104の底面までの部分(符号208aで示す領域)を,ホルダに相当するように高熱伝導性の材料で構成し,ベース部材104の側面および上部を囲む部分(符号210aで示す領域)を,熱伝導防止部材に相当するように低熱伝導性の材料で構成してもよい。なお,高熱伝導性の材料で構成する部分と低熱伝導性の材料で構成する部分との比率は適宜設定可能であるが,少なくとも,サーモモジュール116からの熱をベース部材104に効率的に伝達することができるように,サーモモジュール116と接触する部分からベース部材104の一部に達する部分までの領域は高熱伝導性の材料で構成されることが望ましい。
<動作および作用の説明>
本実施形態にかかる波長調整器200における温度コントローラの設定温度による波長調整特性を図13に示す。図13の横軸は温度コントローラの設定温度であり,縦軸はSSFBG106の反射波長の変化量Δλを示す。図13において,黒三角形で示す点が測定点,それらの測定点を平滑化した値を直線260で示している。図13から分かるように,波長調整器200の反射波長は,設定温度が15℃から45℃において300pm以上調整可能である。そのため,例えば光源波長の揺らぎに応じた波長調整も十分に可能である。
また,本実施形態にかかる波長調整器200における温度コントローラの設定温度を45℃とした場合の反射波長の環境温度依存性を図14に示す。図14の横軸は環境温度を示し,縦軸はSSFBG106の反射波長の変化量Δλを示す。図14において,黒三角形で示す点が測定点,それらの測定点を平滑化した値を直線270で示している。図14から分かるように,環境温度が−10℃から+55℃の範囲における最大波長変動量は7pmであり,波長変動率は環境温度変動1℃当たり0.05pmである。
図13および図14から分かるように,本実施形態における温度コントローラが0.1℃単位での温度設定が可能であれば,波長調整器200の反射中心波長を波長調整分解能1pmで調整できる。また,環境温度が変動した場合でも,温度コントローラによる設定温度を再調整することなく反射波長を安定に維持することができる。
本実施形態にかかる波長調整器200では,ベース部材104はホルダ208からの熱伝導により均一に加熱/冷却され,かつカバー210によりケーシング110を介した熱放射による温度変化が抑制されるため,ベース部材104の長手方向における温度分布の発生が抑制される。本実施形態の波長調整器200に含まれるSSFBG106は,上述のとおり複数個の単位FBGから構成される。ベース部材104の長手方向の温度分布は,個々の単位FBGの温度が異なることを意味する。この場合,個々の単位FBGの反射波長が異なり,波長調整器200としての反射波長が変動したり,符号となる光パルス列の相対位相差が変わってしまったりするなど,符号化特性(位相復号器の場合復号化特性)が異なってしまう。
ここで,本実施形態にかかる波長調整器200において,環境温度25℃において温度コントローラの設定温度を25℃,35℃および45℃とした場合の,ベース部材104表面の温度分布を調べると,図15に示すようになる。同図には,ベース部材104単体の場合の測定値を比較対象として示している。図15の横軸は,温度コントローラの設定温度を示し,縦軸はベース部材104の最大温度差(ベース部材104の表面において最も高温の部分の測定温度と,最も低温の部分の測定温度との差の値)を示す。図15において,波長調整器200におけるベース部材104の表面温度の温度差の測定点を黒四角形で示し,それらの測定点を平滑化した値を直線282で示している。また,ベース部材104単体の場合の温度差の測定点を黒三角形で示し,それらの測定点を平滑化した値を直線280で示している。図15から分かるように,ベース部材104単体では,設定温度が45℃である場合に温度差が最大となり,その温度差は約9℃である。一方,本実施形態の波長調整器200におけるベース部材104,つまり,ホルダ208とカバー210とによって囲まれた状態にあるベース部材104の温度差は最大でも0.1℃である。この結果は,図14に示したように反射波長が環境温度変動に対して安定していることと合致する。
波長調整器200を位相符号器/位相復号器として使用する場合に,ベース部材104の温度分布状態が符号/復号動作に与える影響を考える。位相符号器側のベース部材104には温度分布を設定せず,位相復号器側のベース部材104に温度分布を持たせて,復号波形における自己相関ピークとサブピークの比(以後,P/Wとする。)の変化を計算から求める(光源波長と位相符号器および位相復号器の反射波長は一致)と図16に示すようになる。図16において,横軸はベース部材104の最大温度差を示し,縦軸は自己相関ピークとサブピークの比を示す。図16において,黒三角形で示す点が算出値である。図16から分かるように,ベース部材104の温度分布が大きくなるとP/Wは小さくなり,温度分布が3℃から4℃の間でP/W<1となる。P/Wは上述のとおり自己相関ピークとサブピークの比であるため,復号動作を確実に行うためにはP/Wが大きい方が望ましい。
図15から分かるように,本実施形態における波長調整器200によれば,環境温度が変化してもベース部材104に温度分布が生じない。特に,温度コントローラの設定温度と環境温度との間に差がある場合でもベース部材104の長手方向の温度を均一に保つことができ,即ち,SSFBG106を構成する各単位FBGの温度を均一に保つことができる。そのため,図16から分かるように,波長調整器200を符号器/復号器として使用した場合に,環境温度の変化や設定温度と環境温度との差によっては,符号化特性/復号化特性は影響されない。
このように本実施形態の波長調整器200では,例えば温度コントローラの設定温度よりも環境温度が低くなった場合でもSSFBG106の温度を均一に保ち,符号化特性に影響を与えることなく,任意波長への調整,かつその波長の安定的な維持ができる。
以上説明したように,本実施形態にかかる波長調整器200によれば,波長調整幅が300pm以上であり,任意波長への調整を波長調整分解能1pm以下で行うことができる。また,波長を調整するために温度コントローラの設定温度を変化させても,SSFBG106の温度を均一に保つことができるため,符号化特性/復号化特性に影響を与えない。波長調整器100の波長調整能力により,環境温度の変化によって生じる微小な波長変動の再調整や,光源波長の揺らぎに応じた任意の波長調整を行うことができる。さらに,波長調整器100に含まれるSSFBG106の製造誤差に影響されず,対を成す位相符号器と位相復号器の波長を高精度に一致させることができる。
上述のように,本実施形態にかかる波長調整器100および波長調整器200は,FBGが形成された光ファイバをベース部材に固定し,そのベース部材を,支持手段であるホルダとケーシングとに伸縮吸収材を介して支持させて,ホルダとケーシングのいずれにも機械的に固定されないようにすることによって,ホルダとケーシングの膨張/収縮が光ファイバに伝達されることを防止する。そのため,ホルダやケーシングの膨張/収縮にともなって光ファイバへに加えられる応力が変動することはなく,FBGに応力の変化に起因する反射波長の変動を生じさせない。また,FBGの温度が温度制御装置によって制御されるので,FBGの温度を一定に保つことにより,FBGに温度の変化に起因する反射波長の変動も生じさせない。従って,本実施形態にかかる波長調整器100および波長調整器200によれば,FBGの反射波長の望まない変動を防止することができる。
また,本実施形態にかかる波長調整器100および波長調整器200は,温度制御装置によりFBGの温度を所望の温度に変化させることで,FBGの反射波長を所望の波長に調整することができる。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば,上記実施形態では,ベース部材はホルダとケーシングの双方により支持されているが,かかる例には限定されない。ベース部材はホルダとケーシングのどちらか一方により支持されていてもよい。つまり,ベース部材がホルダにより支持されておりケーシングが無い構成であってもよいし,ベース部材がケーシングにより支持されておりホルダが無い構成であってもよい。
また,上記実施形態では,ケーシングおよびホルダは,断面が四角形となる角柱状であるが,上記例には限定されず,ケーシングやホルダは断面が円形となる円柱状であってもよいし,断面が三角形,五角形等の多角形となる形状であってもよい。
また,上記実施形態では,ベース部材の両端がケーシングの両端に形成された各貫通孔から各々突出しているが,上記例には限定されない。突出していなくても,ベース部材の両端の位置が,ケーシングの各貫通孔においてケーシングの外側面と同一の位置にまで達していればよい。従って,ベース部材の光ファイバの延長方向の長さは,ケーシングの両端の貫通孔間の長さ以上であればよい。
また,上記実施形態では,本発明にかかる波長調整器を位相符号方式OCDMにおける位相符号器/位相復号器として用いることができると説明したが、これに限られず,例えば波長ホップ方式OCDMにおける符号器/復号器、WDMシステムにおけるフィルタデバイスなどとして本発明の波長調整器を用いることができる。
本発明の第1,第2実施形態にかかる波長調整器の外観を示す斜視図である。 第1実施形態にかかる波長調整器の断面図である。 同実施の形態におけるSSFBGの構成を示す説明図である。 図2のA−A切断面の断面図である。 同実施の形態におけるベース部材の形状の変形例を示す説明図である。 図2のB−B切断面の断面図である。 同実施の形態におけるベース部材とホルダの係合部を示す説明図である。 同実施の形態におけるベース部材と光ファイバの接着部を示す説明図である。 同実施の形態における,設定温度の変化に伴う波長調整器の波長変化量を示すグラフである。 同実施の形態における,環境温度の変化に伴う波長調整器の波長変化量を示すグラフである。 第2実施形態にかかる波長調整器の断面図である。 図11のC−C切断面の断面図である。 同実施の形態における,設定温度の変化に伴う波長調整器の波長変化量を示すグラフである。 同実施の形態における,設定温度の変化に伴う波長調整器の波長変化量を示すグラフである。 同実施の形態における,設定温度の変化に伴うベース部材の最大温度差を示すグラフである。 同実施の形態における,ベース部材の最大温度差に伴う相対P/W値を示すグラフである。
符号の説明
100,200 波長調整器
101 第1の伸縮吸収材
102 光ファイバ
103 第2の伸縮吸収材
104 ベース部材
106 SSFBG
108,208 ホルダ
110 ケーシング
112 温度センサ
116 サーモモジュール
124 係合部
210 カバー

Claims (15)

  1. ファイバブラッググレーティングの反射波長を調整する波長調整器であって;
    前記ファイバブラッググレーティングが形成された光ファイバと;
    前記ファイバブラッググレーティングの温度を制御する温度制御装置と;
    前記光ファイバが固定されるベース部材と;
    前記ベース部材を支持する支持手段と;
    を備え,前記支持手段と前記ベース部材との間には伸縮吸収材が介在していることを特徴とする波長調整器。
  2. 前記伸縮吸収材は,温度の変化に伴う前記支持手段の膨張/収縮を吸収することを特徴とする,請求項1に記載の波長調整器。
  3. 前記ベース部材は低熱膨張性の材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載の波長調整器。
  4. 前記ベース部材は,少なくとも前記光ファイバの前記ファイバブラッググレーティングが形成された部分の外周を囲むことを特徴とする,請求項1〜3のいずれか1項に記載の波長調整器。
  5. 前記支持手段は,前記波長調整器のケーシング,または前記ケーシングの内部で前記ベース部材を支持するホルダのいずれか一方または双方であることを特徴とする,請求項1〜4のいずれか1項に記載の波長調整器。
  6. 前記支持手段は,前記伸縮吸収材を介して前記ベース部材を支持するホルダであることを特徴とする請求項5に記載の波長調整器。
  7. 前記温度制御装置は,
    前記ベース部材の温度を検出する温度センサと;
    前記ホルダに接触されるサーモモジュールと;
    前記温度センサにより検出される温度が所定の温度に保たれるように前記サーモモジュールを制御するコントローラと;
    を備え,前記サーモモジュールは,前記ホルダを介して前記ベース部材を加熱/冷却することを特徴とする請求項6に記載の波長調整器。
  8. 前記ホルダは高熱伝導性の材料からなることを特徴とする請求項7に記載の波長調整器。
  9. 前記ベース部材と前記ホルダとが1カ所で係合していることを特徴とする,請求項7または8に記載の波長調整器。
  10. 前記1カ所は,前記ホルダにおける前記光ファイバの延長方向の中央部であることを特徴とする,請求項9に記載の波長調整器。
  11. 低熱伝導性の材料からなる熱伝導防止部材をさらに備え,
    前記ベース部材は,前記ホルダと前記熱伝導防止部材とで囲まれることを特徴とする,請求項7〜10のいずれか1項に記載の波長調整器。
  12. 前記支持手段は,前記ケーシングであることを特徴とする,請求項5に記載の波長調整器。
  13. 前記ケーシングの前記光ファイバの延長方向の両端には,前記光ファイバを挿通させるための貫通孔が形成されており,
    前記ベース部材の両端が前記ケーシングの両端の前記貫通孔に各々挿通され,
    前記ケーシングは,前記貫通孔の箇所において前記伸縮吸収材を介して前記ベース部材を支持することを特徴とする,請求項12に記載の波長調整器。
  14. 前記ケーシングの前記貫通孔と前記ベース部材との間の隙間は,前記伸縮吸収材により密閉されることを特徴とする,請求項13に記載の波長調整器。
  15. 前記ベース部材の両端は,前記ケーシングの前記貫通孔から外部に突出していることを特徴とする,請求項13または14に記載の波長調整器。


JP2005166018A 2005-06-06 2005-06-06 波長調整器 Pending JP2006337955A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005166018A JP2006337955A (ja) 2005-06-06 2005-06-06 波長調整器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005166018A JP2006337955A (ja) 2005-06-06 2005-06-06 波長調整器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006337955A true JP2006337955A (ja) 2006-12-14

Family

ID=37558541

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005166018A Pending JP2006337955A (ja) 2005-06-06 2005-06-06 波長調整器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006337955A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008197301A (ja) * 2007-02-13 2008-08-28 Oki Electric Ind Co Ltd ファイバブラッググレーティング装置
JP2012008562A (ja) * 2010-05-28 2012-01-12 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 波長選択スイッチとその制御方法
JP2013145303A (ja) * 2012-01-13 2013-07-25 Oki Electric Ind Co Ltd ファイバブラッググレーティング装置
CN103314318A (zh) * 2011-01-11 2013-09-18 可利雷斯股份有限公司 用于光学纤维部件的封装及其制造方法
CN107681419A (zh) * 2017-10-16 2018-02-09 四川思创优光科技有限公司 增益光纤散热结构、增益光纤装置及安装方法
CN109004504A (zh) * 2018-09-18 2018-12-14 西安盛佳光电有限公司 用于高功率光纤激光器的双包层光纤光栅的散热装置

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08286073A (ja) * 1995-04-18 1996-11-01 Sumitomo Electric Ind Ltd 光導波路の実装用パッケージ構造
JP2004045975A (ja) * 2002-07-15 2004-02-12 Oki Electric Ind Co Ltd ファイバグレーティング型フィルタパッケージ

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08286073A (ja) * 1995-04-18 1996-11-01 Sumitomo Electric Ind Ltd 光導波路の実装用パッケージ構造
JP2004045975A (ja) * 2002-07-15 2004-02-12 Oki Electric Ind Co Ltd ファイバグレーティング型フィルタパッケージ

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008197301A (ja) * 2007-02-13 2008-08-28 Oki Electric Ind Co Ltd ファイバブラッググレーティング装置
JP2012008562A (ja) * 2010-05-28 2012-01-12 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 波長選択スイッチとその制御方法
CN103314318A (zh) * 2011-01-11 2013-09-18 可利雷斯股份有限公司 用于光学纤维部件的封装及其制造方法
JP2014501949A (ja) * 2011-01-11 2014-01-23 コアレイズ オーワイ 光ファイバコンポーネント用パッケージ及びその製造方法
CN103314318B (zh) * 2011-01-11 2016-02-24 罗芬新纳激光设备有限公司 用于光学纤维部件的封装及其制造方法
US9383534B2 (en) 2011-01-11 2016-07-05 Rofin-Sinar Laser Gmbh Packaging for a fiber optic component and manufacturing method thereof
JP2013145303A (ja) * 2012-01-13 2013-07-25 Oki Electric Ind Co Ltd ファイバブラッググレーティング装置
CN107681419A (zh) * 2017-10-16 2018-02-09 四川思创优光科技有限公司 增益光纤散热结构、增益光纤装置及安装方法
CN109004504A (zh) * 2018-09-18 2018-12-14 西安盛佳光电有限公司 用于高功率光纤激光器的双包层光纤光栅的散热装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7260294B2 (en) Wavelength tuning device and wavelength tuning method
US6937793B2 (en) Tunable chromatic dispersion compensator
US7127140B2 (en) Fiber bragg grating device
JP2006337955A (ja) 波長調整器
KR100867914B1 (ko) 광 부호 분할 다중 전송 방법 및 광 부호 분할 다중 전송장치
JP4201023B2 (ja) ファイバブラッググレーティング装置
JP4200891B2 (ja) ファイバブラッググレーティング装置
JP4858208B2 (ja) ファイバブラッググレーティング装置
US11960130B2 (en) Method and system for stabilizing fiber grating optical parameters
JP5402202B2 (ja) ファイバブラッググレーティング装置
JP2011065026A (ja) ファイバブラッググレーティング装置
US8331745B2 (en) Assembly for applying a temperature gradient to a refractive index grating and chromatic dispersion compensator
JP2002258070A (ja) 分散補償ファイバグレーティングモジュール
JP5435044B2 (ja) ファイバブラッググレーティング装置
US7433559B1 (en) Temperature-compensated grating package and method of making the same
JP2008145807A (ja) ファイバブラッググレーティング装置
JP5182602B2 (ja) 可変分散補償器
JP2001324629A (ja) アレイ導波路型回折格子
Brennan et al. Packaging to reduce thermal gradients along the length of long fiber gratings
US6987909B1 (en) Optical systems and athermalized optical component apparatuses and methods for use therein
JP3888103B2 (ja) 分散補償ファイバグレーティングモジュール
JP2005157069A (ja) 分散補償モジュール
CA2492326A1 (en) Tunable chromatic dispersion compensator
KR20160024597A (ko) 다중 중첩 광섬유 격자를 이용한 파장 가변 필터 모듈

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071009

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091006

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100222

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100316