以下、本発明を回動式遊技機に適用した一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
(一実施形態の概要)
図1は、一実施形態の回胴式遊技機であるスロットマシン1を示している。図1のスロットマシン1は、遊技媒体として例えばメダル、コイン等を用いるタイプのものである。なお、その他にも回胴式遊技機には遊技球を用いるタイプのものもあり、こちらのタイプも実施形態として好適である。また本発明の実施にあたり、いずれのタイプを適用しても本質的な差違は生じない。
スロットマシン1は遊技者に相対する前面に前面扉4を有しており、この前面扉4の奥に箱型の本体部分2を有する。本体部分2の左側壁の内面と前面扉4の左側端部の背面とは上下2つの蝶番(図示しない)を介して相互に連結されている。この蝶番を軸として、前面扉4はその右側端に位置する鍵穴48にスロットマシン1専用の鍵を入れて時計回りに回すことで、片開き形式に手前に開閉することができ、前面扉4が閉じた状態で、蝶番は前面扉4の背後に隠れるようにして本体部分2の内側に収容される。
また前面扉4は、上半分の部分に液晶表示部58を有するほか、この液晶表示部58の下方に平坦な透明板(遊技パネル)6を有している。前面扉4の下半分の部分は遊技パネル6から前方に突出するように形成されており、この突出部にはメダル投入口26やベットボタン12,14,16(掛け数決定手段)、始動レバー18(始動操作手段)、左,中,右の各停止ボタン20,22,24(停止操作手段)等が遊技パネル6の下縁に沿って配設されている。その他、前面扉4の下半分には貯留精算ボタン46および化粧板50が配設されており、更に化粧板50の下には受け皿54が設けられている。
液晶表示部58は、遊技の進行に伴う演出のための映像や後述するボーナスゲームでの獲得メダル枚数等を表示させることで遊技者の遊技の進行を補助する役割をしている。な液晶表示部は、表示手段の一つに相当し、各種演出表示態様を表示させるものである。
遊技パネル6には、その略中央の位置に矩形の表示窓8(図柄表示部)が形成されており、この表示窓8を通してスロットマシン1に内設された可変回転体10a,10b,10cを透視することができる。また遊技パネル6には、表示窓8の周囲を取り巻くようにして表示領域38,40や表示部30,32,34等が形成されている。正面から見て表示窓8の右側に位置する表示領域40には、各種文字情報や図柄情報が付されており、反対の左側に位置する表示領域38にはベットランプ42およびボーナス告知ランプ44等の点灯表示部が配列されている。
また遊技パネル6には、表示領域38の下側に位置するスタートランプ28の他、クレジット枚数表示部30、ゲーム数表示部32、払出し枚数表示部34およびメダルインランプ36がそれぞれ設けられている。なお各ランプは遊技パネル6の背後の図示しないランプユニットのことである。各ランプの発光は遊技パネル6上で遊技者が視認することが可能である。上記の各ランプ、各表示部は表示手段の一つとして各種演出表示態様を表示することもできる。
メダルインランプ36は、遊技者が遊技を開始する前に点滅(または点灯)し、遊技者にメダル投入口26へメダルの投入を促す役割をしている。
ベットランプ(有効ラインランプ)42は、遊技者によりメダル投入口26より投入されたメダルの枚数に対応して1ベット、2ベット、3ベット(それぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けともいう)に対応したランプを点灯表示させて遊技者に掛け数を知らせる役割をしている(図中のベットランプ42の1は1ベット、2は2ベット、3は3ベットに対応している)。なおベットボタン12,14,16の押下操作はそれぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けに対応している。特に3枚掛けについては1回のゲームでの最大掛け数となるためMAXベット(ベットボタン12,14,16をそれぞれ1ベットボタン、2ベットボタン、MAXベットボタンと呼ぶ)と呼ぶ。
スタートランプ28は、始動レバー18の操作が有効になった場合に点灯(または点滅)し、遊技者にゲームのスタートを促す役割をしている。また払出枚数表示部34は、メダルの払出しを伴う当選種類が図柄の組み合わせとして表示された場合にその払出枚数を表示するほか、スロットマシン1に発生した各種の異常、遊技の進行に起因して発生した異常を表示するエラー表示器としても機能する。このため、以下では必要に応じて払出枚数表示部34をエラー表示部34ともいう。
クレジット枚数表示部30は、最大掛け数(例えば3ベット)を超えるメダルの貯留がある場合に貯留されている枚数として遊技者に貯留枚数を知らせる役割をしている。クレジット枚数表示部30の表示は、貯留精算ボタン46を1回操作することで貯留が解除され、メダルの貯留(クレジット)の精算を行なうことも可能である。
クレジットは最大で50まで貯留することができる。クレジットに貯留された枚数から、次回ゲームへのベット数を、ベットボタン12,14,16を操作することによって選択できるため、遊技をスムーズに進行することができる。クレジットからベットされた場合、ベットされた数だけクレジットとして貯留された枚数から減算されていく。なおメダルの払出しに伴い、最大クレジット数を超えた場合のメダルは払出口52を通じて受け皿54に払い出される。
ボーナスフラグ告知ランプ44は、遊技者に後述するボーナス等に当選したことを知らせる役割をしている。ボーナスフラグ告知ランプ44も表示手段に相当する。
ゲーム数表示部32は、後述するボーナスゲームでのメダルの払出しが集中して行われる特典の回数等の状況の表示を行なうことができる。
図1では特に描かれていないが、化粧板50にはスロットマシン1の機種名称やイラストなどが描かれている。化粧板50は前面扉4を装飾したり、遊技者の目を引きつけて遊技意欲を掻き立てたりする役割をしている。
鍵穴48は、スロットマシン1専用の鍵(以下では専用鍵として統一する)を入れて左右にそれぞれ約45度ほど回す(捻る)ことが可能となっており、右回りに回すことで前面扉4の施錠を解錠することができ、また左回りに回すことでスロットマシン1の遊技が中段した状態を遊技再開が可能な状態に戻す(リセットする)ことができる。なお、このリセットする操作については、後述するリセットスイッチ74を押下することでも同様の処理ができる。
払出口52の左右には2個のスピーカ56が設けられており、これらスピーカ56からは遊技の進行に伴う効果音やBGM、音声等が出力される。
その他、液晶表示部58の左右にランプ64、およびスロットマシン1の外周に沿ってランプ60,62,66が配置されており、これらランプ60,62,64,66は遊技状態に応じた発光装飾による演出を実施することができる。これらランプ60,62,64,66も表示手段の一つとして各種演出表示態様を表示(発光等の演出)することができる。
図1中に破線で示される5本の有効ライン68a,68b,68cは、表示窓8内に表示される図柄の配列を1つの組み合わせとして見るための方向を規定したものであり、それぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けのベット数に対応して有効化されるライン(一直線)となっている。具体的には、1枚掛けの遊技では中段位置にある水平な有効ライン68aが1本だけ有効化され、2枚掛けになると、これに加えて上段と下段の位置にある2本の水平な有効ライン68bが有効化されて都合3本となる。そして3枚掛けの遊技では、更に斜めの有効ライン68cが2本とも有効化され、合計5本の有効ライン68a,68b,68cのすべてが有効となる。いずれにしても、そのときの掛け数に応じて有効化されているライン68a〜68cに沿って並んだ図柄の配列を1つの組み合わせとしてみることができる。
図2はスロットマシン1の本体部分2の内部構造を示している。この図2では前面扉4を取り外した状態が示されている。本体部分2の上半分の部分には、前述の可変回転体10a,10b,10cを有する可変図柄表示装置10が設置されている。本体部分2の内面には、可変図柄表示装置の周囲をサブ制御基板94、メイン制御基板92、外部端子板96が取り囲むように取り付けられている。また本体部分2の下半分の部分には、図2でみて左側の内壁面に沿って電源ユニット70が設置されているほか、本体部分2の底の略中央位置にホッパ装置78が設置されており、このホッパ装置78の右脇の位置には遊技メダル補助収納庫84が設置されている。
ここで本実施形態のスロットマシン1は、機械的な可変図柄表示装置(回転装置)が3つの可変回転体から構成されている。これら3つの可変回転体は同形状であり、いずれも筒型の骨組に複数種の図柄(ベル、スイカ、チェリー等)が印刷された透光性を有する図柄帯(図3に示す)が張られたことにより筒状の形態を成している。前記筒状の形態を成した可変回転体はスロットマシン等の遊技機においてはリール、またはドラムと呼ばれている(以下では前記可変回転体をリール、前記可変図柄表示装置をリール装置として統一する)。リールは回転させたり、停止させたりしても、周方向でみてリールに付された帯状の図柄列の配置関係を常に保持している。
各々のリール10a,10b,10cにはステッピングモータからなるリール駆動モータ88a,88b,88c(可動表示体駆動手段)がそれぞれ設けられている。このため各リール10a,10b,10cは独立して回転、停止することができ、その回転時には表示窓8にて複数種類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。また各リール10a,10b,10cの回転軸は水平方向に延びる同一軸線上に配設されている。各リール10a,10b,10cには表示窓8から視認される位置に移動した図柄をリールの内周側から照らすためのリール内ランプ90a,90b,90cが設けられており、表示窓8より視認可能なリールの上段部分、中段部分、下段部分を各リール10a,10b,10c別に独立して点灯させることが可能に構成されている。これら各リール10a,10b,10cは、前面扉4を閉めることで外側から直接触れることができなくなる。
メイン制御基板92は、スロットマシン1の遊技の進行を行なうための中枢機器であり、このメイン制御基板92は、メダルの投入や払出し等、前記リール装置10の回転と停止等および各表示部28,30,32,34,36,42,44による表示等の遊技の進行に直接関わる動作を管理している。
サブ制御基板94は、スロットマシン1の遊技の進行を補助するための液晶表示部58への演出の表示および各ランプ60,62,64,66の管理を行っている。
外部端子板96は、スロットマシン1とホールコンピュータ等を接続する場合の各種の情報の出入り口としての役割をしている。
メイン制御基板92は、サブ制御基板94および外部端子板96と図示しない配線およびコネクタ等により接続されている。そのためメイン制御基板92から各種情報の伝達がサブ制御基板94および外部端子板96へ行われることを可能としている。
電源ユニット70内には、設定キースイッチ72、リセットスイッチ74、電源スイッチ76を有しており、スロットマシン1の設定を変更したり、異常が発生した際のエラー状態の解除を行ったり、電源のON−OFFを行なうことができる。また電源ユニット70は、前記メイン制御基板92を含め各種基板に電力を供給するために配線およびコネクタ等により接続されている。なお電源ユニット70は、スロットマシン1の外部からの不正な手段により直接触れることを防止するためのプラスチック等の合成樹脂で形成されたカバー(図示はしない)が施されている。
ホッパ装置78は、常時メダルを貯留させておくことで、メダルの払出しが行われる場合の供給源としての役割をしている。なおホッパ装置78の内部には図示しないがホッパモータを備えており、メダルの払出しが行われる場合はこのホッパモータが回転することにより、ホッパ装置78内に貯留されているメダルが払出し口80から払出される。ホッパ装置78内に貯留されているメダルは一定数量に達するとオーバーフロー状態となり、一定数量を超えた分のメダルは、オーバーフロー吐き出し口82から遊技メダル補助収納庫84に導かれて遊技メダル補助収納庫84へ貯留されていく。
遊技メダル補助収納庫84は、前述した通り、ホッパ装置78内にてオーバーフローしたメダルを受け入れるため、メダルの貯留の補助的な役割をしている。
(スロットマシンの内部構成)
図4は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン制御基板92を有しており、このメイン制御基板92にはCPU110をはじめROM112、RAM114、入出力インタフェース116等が実装されている。
前述したベットボタン12,14,16や始動レバー18、停止ボタン20,22,24、貯留精算ボタン46等はいずれもメイン制御基板92に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン制御基板92に出力することができる。具体的には、始動レバー18は前述の3つのリール10a〜10cを始動させる操作信号をメイン制御基板92に出力し、停止ボタン20,22,24はリール10a,10b,10cをそれぞれ停止させる操作信号をメイン制御基板92に出力する。鍵穴48は、専用鍵を挿入した後に左回りに回すことで、鍵穴48奥に設置されたエラー解除センサ100(図1では図示しない)よりリセット信号をメイン制御基板92に出力することができる。また右回りに回すことで前面扉4が開放されると、図示しない前面扉4の裏に設けられた扉開放センサ132により開放信号がメイン制御基板へ出力される。扉開放センサ132はエラー解除センサ100と隣接して設置されており、前面扉4が開放されると、前面扉4と本体部分2とが離れたことを検出することができる。
またスロットマシン1にはメイン制御基板92とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン制御基板92に各種の信号が入力されている。機器類には、前述の3つのリール10a〜10cを擁するリール装置10のほか、ホッパ装置78等がある。
リール装置10は各リール10a,10b,10cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサを有しており、これら位置センサ(各リールに対応してそれぞれ左リール位置センサ106a、中リール位置センサ106b、右リール位置センサ106cと呼ぶ)からの検出信号(インデックス信号)がメイン制御基板92に入力されている。またメダル投入口26の奥には図示しない投入センサ104およびロックアウトソレノイド102が設置されている。このうち投入センサ104は、メダル投入口26から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン制御基板92に出力することができる。一方のロックアウトソレノイド102は、前面扉4の内側でメダル投入口26の奥に配置されたメダルセレクタ(図示されていない)の通路をロックアウトする(塞ぐ)役割を果たす。ロックアウトソレノイド102は、ノーマル(非作動)の状態でメダルセレクタの通路をロックアウトしているが、作動時にはこの通路を開き(ロックアウト解除)、メダルの投入を受け付け可能な状態にする。また、投入されたメダルは投入センサ104で検出される。逆に、ロックアウトソレノイド102が非作動状態になるとメダルセレクタがロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、そのまま吐き出されて受け皿54に返却される。また、このとき合わせて投入センサ104の機能が無効化されるので、メダル投入によるベットあるいはクレジット加算のいずれも行われなくなる。
ホッパ装置78は、払出し口80内に払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ98を有しており、この払出センサ98からメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン制御基板92に入力されている。また、遊技メダル補助収納庫84にはメダル満タンセンサ86が設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン制御基板92に出力することができ、液晶表示部58等により遊技機の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者等に報知されることとなっている。
一方、メイン制御基板92からは、リール装置10やホッパ装置78に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール10a,10b,10cを回転させるための各リール駆動モータ88a,88b,88cの起動および停止を制御するための駆動パルス信号がメイン制御基板92から出力される。またホッパ装置78には、組み合わせが表示された図柄の種類に応じてメイン制御基板92から駆動信号が入力され、これを受けてホッパ装置78はメダルの払い出し動作を行なう。このときホッパ装置78内に払出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、メダルが全く無い状態であると、払出しセンサ98による枚数検出が滞ることとなり、所定時間経過(例えば3秒間)すると、払出しセンサ98より払出しメダルの異常信号がメイン制御基板92へ出力され、これを受けてメイン制御基板92は、メダルの払出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラー表示部34や液晶表示部58等に表示させる。
スロットマシン1は、メイン制御基板92の他にサブ制御基板94を備えており、このサブ制御基板94にはCPU118やROM120、RAM122、入出力インタフェース130、VDP124、音源IC128、オーディオアンプ126等が実装されている。サブ制御基板94はメイン制御基板92から各種の指令信号を受け、液晶表示部58や各ランプ60,62,64,66それぞれの点灯または点滅およびスピーカ56の作動を制御している。
更に、メイン制御基板92には外部端子板96が接続されており、スロットマシン1はこの外部端子板96を介して遊技場のホールコンピュータ108に接続されている。外部端子板96はメイン制御基板92から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ108に中継する役割を担っている。
その他、スロットマシン1の内部には電源ユニット70が収容されており、この電源ユニット70は外部電源から電力を取り込んでスロットマシン1の作動に必要な電力を生成する。ここで生成された電力は、電源ユニット70から各ユニットに供給されている。
また電源ユニット70には、設定キースイッチ72やリセットスイッチ74、電源スイッチ76等が付属している。これらスイッチ類はいずれもスロットマシン1の外側に露出しておらず、前面扉4を開くことで始めて操作可能となる。このうち電源スイッチ76は、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ72はスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ74はスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、更には設定キースイッチ72とともに設定を変更する際にも操作される。
(ゲーム処理)
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン制御基板92のCPUにて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
(1.回胴遊技処理)
図5は、スロットマシン1における基本的な1ゲーム(回胴遊技)の処理手順を一通り示している。1回のゲームは、まず始動処理(ステップS10)から始まる。この始動処理はリール10a,10b,10cの回転を開始させるための処理であり、ここではメダルの投入またはベットボタン12,14,16の操作を受け付けたり、始動レバー18の操作を契機とした乱数抽選を行ったりする処理が行われる。なお、始動処理(ステップS10)の詳細については、更に別のフローチャートを用いて詳しく後述する。
1回のゲームでは始動処理(ステップS10)に続いて停止処理(ステップS20)が実行される。この停止処理は、各リール10a〜10cの回転を停止させるとともに各リール10a〜10cの停止位置を制御するものである。これは、「リール制御」と称される処理に該当する。リール制御を用いた停止処理には、例えば当選種類と停止ボタンが押された位置の2つを参照して最終停止位置を決定するテーブル方式と、最大限当選種類を引込むコントロール方式の2つの方式があり、ここではどちらを用いる態様であってもよい。なお当選種類については、後述する始動処理にて説明する。リール制御を用いた停止処理についても別のフローチャートを用いて後述する。
リール制御によって停止処理を終えると、次に判定処理(ステップS30)が実行される。この判定処理は全リール10a,10b,10cの停止時に表示された図柄の表示態様(出目)から図柄の組み合わせが有効ラインに表示されたか否かを判断し、組み合わせが表示された場合はそれに応じた遊技結果を提供するためのものである。遊技結果のうち主な特典はメダルの払い出しであるが、メダルの払出しがなくとも、表示された組み合わせ図柄(シークレットボーナス図柄)の種類に応じてボーナスゲームに移行する特典が与えられたり、あるいはメダルの払出しとは別に内部状態(各種モード)を変更させる契機となったりするものがある。なお判定処理の具体的な内容については停止処理の後で説明する。
(2.始動処理)
図6は、上記の始動処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、メダルの投入またはベットボタン12,14,16の操作が待ち受けられる(ステップS101)。遊技者がベット操作またはメダル投入をしないうちは(No)、始動レバー18が有効化されないため、ステップS104の判断が否定(No)されて待ち受け状態(ステップS101)がループされ続ける。ベット操作またはメダル投入があると、これを受けて受付処理(ステップS102)が行われ、ベット数に応じた有効ラインランプの点灯が行われる。また受付処理(ステップS102)では、メイン制御基板92からメダル投入コマンドまたはベットコマンドがサブ制御基板94に送信される。
受付処理(ステップS102)に続いて始動レバー有効処理(ステップS103)が行われ、ここで初めて始動レバー18の操作が実質的に有効化される。この状態で遊技者が始動レバー18を操作すると、ステップS104の判断が肯定(Yes)されて次に始動レバー無効処理(ステップS105)が行われる。
始動レバー18の操作があると、これを契機として乱数の抽出(乱数抽選)が行われる(ステップS106)。また、始動レバー18の操作を受け付けてから乱数を抽出するタイミングは特に規定されておらず、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。
次のフラグ処理(ステップS107)では、抽出された乱数値から当選または落選が判断され(通常確率抽選実行手段あるいは高確率抽選実行手段により内部抽選が実行される)、当選の場合は当選種類(特別当選種類、一般小役、再遊技当選種類等)の種類に応じたフラグがONにされるとともに、メイン制御基板92から当選フラグコマンドがサブ制御基板94に送信される。また、通常確率抽選実行手段により通常の当選確率が適用された内部抽選が行われている遊技状態を通常遊技状態、高確率抽選実行手段により通常の当選確率に比べて高い当選確率が適用された内部抽選が行われている遊技状態を高確率遊技状態と呼ぶ。
また、落選の場合は、いずれの当選種類(特別当選種類、一般小役、再遊技当選種類等)も揃えることのできないハズレフラグがONにされる。当選または落選したフラグ(いわゆる、成立フラグ)は、該当するフラグがONになっている時に該当図柄を揃えることではじめて特典(遊技特典)が得られるものである。各々の特典については、判定処理にて別のフローチャートを用いて後述する。
上記のフラグ処理(ステップS107)が行われると、前回の始動処理でスタートされたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かが判断される(ステップS108)。タイムアップ(Yes)が確認されると、各リール10a,10b,10cが始動され(ステップS109)、ここから次回の始動までのウェイトタイマがスタートされる(ステップS110)。なお、フラグ処理については後述で詳細な説明をする。
(2−1.当選種類と当選図柄)
図7は、スロットマシン1の各種当選種類に対応した当選図柄の構成を示したものである。各々の当選図柄は全てのリールの停止時に表示窓8内に図柄の組み合わせ態様として有効ラインに揃うことでそれぞれの特典を得ることができるものである。
(2−1−1.特別当選図柄〔シークレットボーナス図柄〕:特別当選種類)
当選種類が特別当選種類〔シークレットボーナス(SecretB)である場合に対応する図柄がそれぞれシークレットボーナス図柄である。ただし本実施形態のスロットマシン1ではシークレットボーナス図柄としての専用図柄を設けていない。そのため、停止時の図柄の組み合わせ態様が「スイカ−ベル−リプレイ」となって表示窓8内の有効ラインに停止すると、シークレットボーナス図柄が揃ったとして「シークレットボーナスゲーム」が開始される。なお、本実施形態のスロットマシン1では、特別当選図柄については明示しないものである。つまりスロットマシン1の本体その他、遊技者にアピールするような箇所に特別当選図柄を明示することはしない。従って遊技者が、シークレットボーナス図柄となる図柄の組み合わせ態様について、知ることはできないものとなっている。
つまり、シークレットボーナス図柄が揃うと「シークレットボーナスゲーム」の遊技特典が得られることになる。この「シークレットボーナスゲーム」では、複数回のゲーム機会が集中して行なわれることで大量のメダルを獲得することができる特典を有している。そのため、シークレットボーナスは他の当選種類に比べて内部抽選で当選し辛くなっている(例えば1/256程度)。なお、シークレットボーナス図柄は、それ専用の図柄を設けるのではなく、後述するリプレイ図柄および一般小役図柄が特定の組み合わせ態様となって有効ラインに揃った(並んだ)場合にのみ有効となるものである。それゆえ、内部抽選でシークレットボーナスに当選した場合、遊技者にシークレットボーナスに当選したことを意識(認識、察知)させることがほとんどない。さらに、遊技者にはシークレットボーナス図柄をあえて明示しないことで、シークレットボーナスゲーム自体がいつ開始されて終了したのか不明確(傍目では分からない)とすることができる。なお、シークレットボーナスゲームを開始させる図柄の組み合わせは上記の「スイカ−ベル−リプレイ」以外の図柄の組み合わせとしてもよい。さらにシークレットボーナスとなる図柄の組み合わせパターンを複数持たせることとしてもよい。これは、シークレットボーナスに対応する図柄の組み合わせを遊技者により分かりづらくさせる(または全く分からなくさせる)ことができるからである。
(2−1−2.再遊技図柄〔リプレイ図柄〕:再遊技当選種類)
当選種類が再遊技当選種類(リプレイ)である場合に対応する図柄が、再遊技図柄(リプレイ図柄)である。リプレイ図柄の組み合わせ態様「リプレイ−リプレイ−リプレイ」が表示窓8内の有効ラインに停止すると「リプレイゲーム」が開始される。ここで「リプレイゲーム」とは、あらためてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、次回のゲーム時を再遊技として実行できることをいう。その場合の有効ライン数は、リプレイ図柄が揃ったゲームの有効ラインと同じラインとなる。
つまり、リプレイ図柄が揃うと「リプレイゲーム」という特典が得られることになる。また「リプレイゲーム」はメダルの払出しが行われない代わりにメダルを新たに消費する必要もない。そのため、当選頻度を高くして遊技者のメダルの消費量(一定時間当りにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選種類であるので、当選頻度が高くなったとしてもホールにとって不利益となることは非常に少ない。それゆえ、リプレイは、ゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑えることのできる非常に重要な当選種類としての役割を担っている。従ってリプレイに内部抽選において当選した場合には極力特典が得られるように、リプレイ図柄も各リール10a,10b,10cごと、それぞれ満遍なく配置されている(各リールとも概ね1〜4図柄おきに1個は配置する)。
(2−1−3.特定小役図柄〔チェリー図柄〕:特定小役)
当選種類が特定小役(チェリー)である場合に対応する図柄が、特定小役図柄(チェリー図柄)である。チェリー図柄は単一リール(左リール10a)の表示窓8内の有効ラインに停止する態様となっただけでメダルの払出し(2枚)が行なわれる。
つまり、チェリー図柄からは、2枚のメダルが払出されるという特典が得られることになる。左リール10aのみの停止態様だけで特典が得られるチェリー図柄は残りの中リールおよび右リールの図柄の組み合わせに影響されないため(中リールおよび右リールはどの図柄が停止した態様でもよい)、チェリー図柄の組み合わせとして「チェリー−ANY−ANY」と表されることもある。
また、チェリー図柄は左リールのみをよく狙って停止させれば当選した場合の特典を得ることができるため、全てのリールを目押ししなければならない他の当選図柄に比較して目押しの労力をさほど必要としない。このため、各リール10a,10b,10cごと、それぞれの配置は少なく(各リールとも概ね3〜5個配置される程度)、付与されるメダル数も他の当選種類に比べて少ない。このように、ある程度目押しをしないと取りこぼしが生じるようチェリー図柄の配置を少なくして、遊技者の目押しの技量の入る余地を持たせている
それでも左リール10aのチェリー図柄を正確に停止させることができれば当選したチェリーの特典を得られるため、リプレイに比べて内部抽選で当選し辛くなっているものの、リプレイと同様、ゲーム進行におけるメダルの大量消費を抑えることのできる重要な当選種類としての役割を持っている。
またチェリーを単一リールの有効ラインに停止するだけで特典を付与させることにより他のリールの図柄にチェリー図柄以外の図柄をより多く配置することが可能となる(例えば前記の他のリールにはチェリー図柄を設けない)。このため、チェリー図柄以外の当選図柄の配置にバリエーションを多く持たせることができ、遊技者に豊富な出目を見せることが可能となる。
なお、チェリー図柄の特典が付与されるリールを必ずしも左リール10aに限定することはなく、中リール10b、右リール10cの表示窓8内の有効ラインにチェリー図柄が停止した場合に特典が付与されることとしてもよい。つまり「ANY−チェリー−ANY」または「ANY−ANY−チェリー」となると特典を得ることができる。あるいは、左リール、中リールおよび右リールの3つリールのうち2つのリールのチェリー図柄が表示窓8内の有効ラインに停止したときの組み合わせ態様で特典を付与することとしてもよい。つまり「チェリー−チェリー−ANY」、「ANY−チェリー−チェリー」、「チェリー−ANY−チェリー」となると特典を得ることができる。
上記のいずれであっても、左リール、中リールおよび右リールの3つのリールの内の少なくとも1つ(あるいは2つ)のリールのチェリー図柄を狙って停止操作を行なうだけで特典が得られることが望ましい。これは遊技者が3つのリール全てを毎ゲーム目押しして停止操作する負荷を軽減させることにもなるからである。
(2−1−4.一般小役図柄〔ベル図柄、スイカ図柄〕:一般小役)
当選種類が一般小役であった場合に対応する図柄が、一般小役図柄(スイカ図柄またはベル図柄)である。スイカ図柄の組み合わせ態様「スイカ−スイカ−スイカ」またはベル図柄の組み合わせ態様「ベル−ベル−ベル」が表示窓8内の有効ラインに停止するとそれぞれ10枚、15枚のメダルの払出しが行われる。
つまり、スイカおよびベルという一般小役図柄が揃うと、それぞれに対応した枚数のメダルが払出されるという特典が得られることになる。そのため一般小役は、通常遊技にあって、メダルの増加が期待できる当選種類である。しかし、一般小役に過度に当選してしまうと、遊技者の獲得するメダルが過剰に増加してしまい、ホールとの利益バランスが崩れてしまう。それを回避するために、一般小役図柄は、各リール10a,10b,10cごとの配置を少なくして(各リールとも概ね3〜8図柄おきに1個配置する程度)、遊技者が各リールを正確に目押ししないと特典を得ることが難しくなっている。
なお、当該遊技機では、一般小役はスイカとベルという複数の種類を用意している。そのため、内部抽選で当選する割合にスイカとベルとで差を設けている(例えば、スイカは当選し易く、ベルは当選し辛い)。更に、スイカは目押しの技量を相当発揮しないとスイカ図柄を取りこぼしてしまうものとし、一方、ベルは目押しの技量をほとんど必要とせずにベル図柄を揃えられるものとしている。このような形態とすると、ベルとスイカとの間に価値(付与される遊技価値の差に加えて目押しの必要度の差)に差を設けることができ、初級の遊技者から上級の遊技者まで満足のできるゲーム性(目押しの難易度)を持たせることが可能となる。なお、一般小役は上記以外にもさらに複数設けてもよい。ただしあまり一般小役が多種類になってしまうと、その分、それぞれの図柄の配置数が減ることになり、全ての一般小役(またはその他図柄も含む)に目押しが必要となってしまう虞もあり、ベル、スイカを含めて3〜4種類程度に留めることが望ましい。
(2−1−5.その他の図柄〔ハズレ図柄〕)
図7には記載していないが、図3のリール配列上の図柄で左リール10aの1番と7番の図柄(おでんを手に持っている男の子の絵が描かれた図柄)はハズレ図柄である。中リール10bの8番と20番および右リール10cの4番と8番と16番の図柄も同じくハズレ図柄である。このハズレ図柄は表示窓8内に停止した際、単独の停止態様(例えばチェリー図柄が有効となるように)となっても、ハズレ図柄の組み合わせ態様として停止しても何も遊技特典が付与されないものである。なお、シークレットボーナス図柄としてハズレ図柄を含む態様としてもよい。こうすると、ますますシークレットボーナス図柄の組み合わせを特定することが困難になる。
(2−2.フラグ処理)
ここで、上記で説明したフラグ処理について、図8から図10を用いてさらに詳細に説明する。図8は、フラグ処理の具体的な内容を示している。先ずステップS201で現在シークレットボーナスゲーム(以下ではSBゲームとして統一する、SB(1)ゲームあるいはSB(2)ゲーム中であるかが判断される。続いてステップS202では、高確率遊技状態フラグがONであるかが判断される。高確率遊技状態フラグがONでない(No)と判断されると、通常時判定テーブルが選択され(ステップS204)、高確率遊技状態フラグがONである(Yes)と判断されると、高確率時判定テーブルが選択され(ステップS203)、次いでステップS205へと進む。なお以下では通常遊技状態のことを通常時、高確率遊技状態のことを高確率時と呼ぶ。
ここで、通常時判定テーブルおよび高確率時判定テーブルともに、先のステップS106で抽出された乱数(以下では、この乱数のことを抽出乱数という)を判定(いずれの当選種類に該当するかを判断)して該当する当選フラグを決定するものである。また、高確率時判定テーブルは、通常時判定テーブルに比べて、SB、さらには一般小役等の乱数抽選の当り値の範囲(当選許容値)が大きく変更されている。従って、高確率時判定テーブルが選択されると、SBに当選する可能性が高くなり、遊技者にとって非常に魅力のある有利な遊技状態でゲームを行なうことができる。この判定テーブルデータを具体的に示したものが図9である。図9(a)の通常時の当選許容値と(b)の高確率時の当選許容値を比較してみると、SB(1)およびSB(2)の当選許容値の範囲が約10倍に増加している。またベルが約5倍、リプレイは約2.5倍に当選許容値の範囲が増加している。それに対してハズレの当選許容値の範囲が約1/2.3に減少していることが分かる。これらよりいえることは、高確率時には約5回のゲームに1回の割合で揃う可能性が非常に高くなり、
〔 ベル(15枚の払出し)−5回のゲームに要するメダル数(5×3=15枚)=0 〕
と、遊技者がメダルを減らさずにゲームを行なうことが可能となる。実際のゲームではこの通りになるとは限らないが、これにリプレイが高確率で当選することが加わるため、ほとんどメダルを減らさないでゲームを行なうことが可能といえる。
なお、図9でSBをSBゲーム終了後に遊技状態を高確率遊技状態へと移行させるSB(2)と高確率遊技状態へと移行させないSB(1)とに分けている。SB(2)は、SB(1)に比べて当選しにくいものとなっている。これはSB(2)が、遊技特典としてSBゲームを行なえることに加えてSBゲーム終了後に遊技状態を高確率遊技状態へと移行させるという有利な条件を備えるものであるから、SB(2)に当選し易くして遊技者に過剰な利益が付与されてしまうことを抑えるために当選確率を低くしている。
ステップS205では、抽出乱数がSB(2)の当選許容値に該当するかが判断される。SB(2)の当選許容値に該当すると判断されると(Yes)、SB(2)当選フラグがONされる(ステップS206)とともに、高確率遊技状態フラグがONにされて(ステップS207)、ステップS215の演出パターン決定処理へと進む。
ステップS205で、抽出乱数がSB(2)の当選許容値に該当しないと判断されると(No)、ステップS208でSB(1)の当選許容値に該当するかが判断される。またここでも該当しないと判断されると(ステップS208=No)、ステップS211で小役(ベル、スイカ、チェリー)のいずれかの当選許容値に該当するかが判断される。さらに、ここでも該当しないと判断されると(ステップS211=No)、ステップS213でリプレイの当選許容値に該当するかが判断される。もしリプレイの当選許容値にも該当しないと判断されると(ステップS213=No、つまりハズレに該当)、演出パターン決定処理へと進む(ステップS215)。
ステップS208でSB(1)の当選許容値に該当すると判断されると、SB(1)当選フラグがONにされ(ステップS209)、続いてステップS210で高確率遊技状態フラグがONである場合は、通常確率遊技状態フラグがONにされてステップS215へと進む。またステップS211、ステップS213でそれぞれの当選許容値に該当すると判断された場合(ステップS211=YesまたはステップS213=Yes)、それぞれステップS212、ステップS214へと進み、小役フラグ、リプレイフラグがONにされてステップS215の演出パターン決定処理へと進む。
ステップS215で演出パターンが決定すると、当選フラグ(高確率遊技状態フラグがONの時はこれも含む)および演出パターンが情報コマンドとしてサブ制御基板94に送信される(ステップS216、コマンド送信処理)。
また、ステップS201でSB(1)ゲーム中またはSB(2)ゲーム中であると判断された場合(Yes)、ステップS217にてSBゲーム遊技処理で既に変更されている乱数抽選の当り値テーブルで抽出乱数が小役であるかが判断される。小役であると判断されると(Yes)、ステップS218で小役フラグがONにされてステップS216へと進む。また小役でないと判断された場合(ステップS217=No)もステップS216へと進み、当選フラグコマンドがサブ制御基板94へと送信されることになる。
(2−2−1.演出パターン決定処理)
ステップS215の演出パターン決定処理では、当選フラグに応じた演出パターンが選択される。ここで決定された演出パターンに従った演出表示が、後述する演出処理にて液晶表示部58やランプ、スピーカ等により実行されることになる。図10は演出パターンテーブルを具体的に示している。なお演出パターン乱数は、該当する当選フラグに応じた演出パターンを決定する乱数抽選が行なわれる際に用いられるものであり、演出パターン決定処理の中で用いられるもの(0から99の乱数)としている。もちろん抽出乱数に基づいて演出パターンが選択される態様としても問題はない。
図10は、演出表示として「通常演出」か「ミッション演出(勝利、引き分け、敗北)」のいずれの演出パターンを実行させるかの振り分けテーブルである。「通常演出」とは、特別に演出を行なわない内容のことをいい、液晶表示等で背景が時間とともに変化していく様子や、キャラクターが歩いていく様子などの内容が含まれたものである。ミッション演出とは、液晶表示等で複数回のゲームにわたって特別な演出が行なわれる内容のことをいう。
図10より、SBに実際に当選している場合、SB当選時、SBゲーム100ゲーム経過時、SBゲーム150ゲーム経過時のいずれかのゲーム時にミッション演出が行なわれる可能性がある。またミッション演出が行なわれる割合は、SB当選時よりもSBゲームが進行するにつれ行なわれる割合が高くなっている。これは、SBゲームの半分(100ゲーム)が経過した以降は、ミッション演出が行なわれる割合を高くして遊技者に現在SBゲームが行なわれている可能性が非常に高いことを確信させるという救済措置的な意味合いを持たせたものである。
上記の演出の振り分けはSB(1)、SB(2)ともに共通のものとする。これは演出内容からSB(1)に当選したのかSB(2)に当選したのか分からないものとして、遊技者に常に期待感を持たせることができる。ただし高確率遊技状態でもミッション演出を行なわせる。高確率遊技状態となって50ゲーム経過したときに高い割合でミッション演出を行なわせる。これは、SBゲーム終了後に頻繁にベルが当選したりリプレイがいつも以上に当選したりというゲーム展開が続けば、遊技者は高確率遊技状態に移行したのではないかと考える。しかし高確率遊技状態ではSB(1)、SB(2)ともに当選確率が相当高く変更されている遊技状態であるから、ほとんどの場合、50ゲーム以内にいずれかのSBに当選することが多いといえる。しかし、高確率遊技状態だと信じてゲームを行なっていても、50ゲームを経過してもいずれのSBにも当選しない(当選したような挙動が見受けられない)と、遊技者は果たして本当に高確率遊技状態と判断したことは正しかったのかと大いに不安を抱くようになる。このようなときにミッション演出を行なわせると、おそらく高確率遊技状態ではないかと思いゲームを行なっている遊技者に自分の判断が正しかったという安堵感を与えることができ、さらにもう少しゲーム回数を増やしていけばSBに当選するであろうという希望を持たせることもできる。
また、通常時にも、通常時のゲーム(通常ゲーム)を150ゲーム経過した時、通常ゲームを300ゲーム経過した時、通常ゲームを300ゲーム経過した以降の100ゲーム経過ごと、のいずれかにおいてミッション演出を行なわせる。これはミッション演出が行なわれることが即ちSB当選あるいはSBゲーム時とはならないという認識を遊技者に持たせるために行なうものである。しかし、通常時には、SB当選時およびSBゲーム時に比べて、ミッション演出が実行される割合は低く抑えられているので、遊技者に煩わしさを与えるまでには至らないといえる。さらに通常ゲームが300ゲームを超えるようなハマリ状態が継続してしまう場合にも100ゲーム経過するごとにミッション演出が少なからず実行されることは、遊技者に通常ゲームの退屈感を与えないことになる。
また、ミッション演出には、「勝利」、「引き分け」、「敗北」の3つのパターンがあり、通常ゲーム時には「勝利」が選ばれることは無く、SB当選時およびSBゲーム中および高確率時では3つのいずれも選ばれるようになっている。SB当選時およびSBゲーム中と通常ゲーム300ゲーム以降の100ゲームごとでは、「敗北」よりも「引き分け」が選ばれ易くなっており、「引き分け」が選ばれた場合、いずれかの遊技状態にあるかの判断を付きにくくさせている。さらに、通常ゲーム300ゲーム経過時までは、「敗北」が選ばれ易くなっており、通常ゲームが400ゲーム経過の時から、「引き分け」が選ばれやすくなると、遊技者はもしかしてSBゲームになった(あるいはSBに当選した)のではないかという期待感を持つようになる。
ミッション演出が行なわれる場合の時期(演出実行タイミング)を決定するものが、図11のミッション演出実行振り分けテーブルである。ここでは、始動時演出処理および停止時演出処理のいずれの演出処理でミッション演出を実行させるかが振り分けられる。なお始動時演出処理および停止時演出処理は後述する演出処理の中で説明するが、先の図10で選ばれた演出パターンを始動レバーが操作された時点で実行させるものが始動時演出処理であり、全ての停止ボタンが操作された時点(いずれかの出目が表示されたとき)で演出を実行させるのもが停止時演出処理である。
SB当選時、SBゲーム中、高確率遊技状態でのゲーム(高確率ゲーム)中、通常ゲーム中、という4つに分けた演出実行時の振り分けが行なわれる。SB当選時あるいは高確率ゲーム中は、停止時演出処理が行われる割合を非常に高くして、SB当選と高確率ゲームを分かりづらくしている。また始動レバーを操作した時に何も演出が起こらなくても、すべてのリールが停止した時に演出を実行させることで、遊技者は、始動時および停止時の双方でミッション演出が行なわれるのではないかという期待感を持ちながらゲームを進めることができる。
SBゲーム中は、始動時演出および停止時演出が半々の割合で実行される。SBゲーム中は、ミッション演出が実行される割合が高いので、いずれのタイミングで演出が実行されても、期待感を持てるようになっている。また、通常ゲーム中では、始動時演出処理が行われる割合を高くしている。これは、あえて現在の遊技状態がSBゲーム中である期待が薄いことを示唆するものである。遊技者に薄々ハマリ状態にあることを意識させることで見切りの早い遊技者にはゲームの止め時を与えるということにもなる。反対にこういったハマリ状態になりつつある遊技機を好んで狙ってゲームを行なう遊技者にとっては、格好の遊技機を提供することにもなる。
図12は、ミッション演出が行なわれる場合、演出を行なうゲーム回数の振り分けテーブルである。SB当選時およびSBゲーム中および高確率ゲーム中と通常ゲーム中の2つで、ミッション演出の継続ゲーム数が「1」から「10」ゲームの間のいずれかに決定される。ここで継続ゲーム数が「1」となる場合、ミッション演出で勝利となる、即ちSB当選あるいはSBゲーム中あるいは高確率ゲーム中であることが確定するので、選ばれる割合も非常に低いプレミアム的な演出となる。継続ゲーム数が「1」ではない場合、「5」ゲーム以上の演出が確定する。さらに「10」ゲームまで演出が継続し、かつ「勝利」となると、SB当選あるいはSBゲーム中あるいは高確率ゲームであることが確定する。この際ごく僅かではあるが「引き分け」となると通常ゲームが確定してしまう。従って、遊技者は、演出が「9」ゲームまで継続しても終了しなかった場合、ほぼSB当選あるいはSBゲーム中あるいは高確率ゲーム中であることに確信を持てる。「勝利」となる場合は、SB当選あるいはSBゲーム中あるいは高確率ゲーム中であるときのみであるから、できるだけ遊技者の興奮(盛り上がり)を極限まで高めるように「10」ゲームまで演出が継続する割合が約4割強と高くされている。
「引き分け」の場合の演出継続ゲーム数でみると、「6」ゲーム、「7」ゲームで終了するとSB当選あるいはSBゲーム中であることが確定するが、その選ばれる割合が低くなっている。つまり「引き分け」の場合は、おもに「5」ゲームあるいは「9」ゲームで演出が終了することが多くなり、演出で遊技状態を見極めることを難しくしている。
「敗北」の場合の演出継続ゲーム数でみると、「6」ゲームを境にして遊技状態を区別することができる。しかし、通常ゲーム時も「6」ゲームで演出が終了する割合が7割を超えており、遊技状態を断定できるまでには至らないようになっている。
また継続ゲーム数が「1」ゲームが選択された場合のみ始動時演出から綱引き対決が開始され、停止時演出に勝敗結果を表示させるものとして、始動時演出および停止時演出の双方で演出が実行される。こうすると次ゲームで遊技者が停止操作を行なう前には勝敗結果(この場合は勝利)が報知されるので、効率よくBB図柄を狙うことができ、メダルのロスを抑えることができる。
また、上記の演出表示パターン乱数として0から99までの乱数値、演出実行振り分け乱数として0から9までの欄数値、継続ゲーム数パターン乱数として0から20までの乱数値を用いたが、これらの乱数値を乱数抽選にて抽出するタイミングとして、メイン制御基板92で行なわれる内部抽選とは別の抽選(演出用の内部抽選)として先の内部抽選と同じタイミングでメイン制御基板92にて行なうこととする。
なお、上記の乱数抽出のタイミングを内部抽選の後としてもよい。さらに内部抽選の乱数をもって各演出の振り分けを行なうこととしてもよいし、メイン制御基板92の内部抽選の結果の当選フラグコマンドを受けてサブ制御基板94にて上記の演出用の内部抽選を行なうこととしてもよい。また演出実行タイミングも始動時演出処理および停止時演出処理に限定されることはない。
(3.リール停止処理:停止制御手段)
図13は、一例としてテーブル方式によるリール停止処理の内容を示している。リール制御については公知の技術を適用できるため、ここでは処理の流れを概略的に説明する。
リール停止処理では先ず、該当するゲームでの当落結果を表す成立フラグにしたがってリール制御テーブルが選択される(ステップS301)。なお、リール制御テーブルは予め全ての当落結果について複数のパターンのものが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン制御基板92のROM112に格納されている。
適切なパターンのリール制御テーブルが選択された状態で、停止ボタン20,22,24が押されるまで待ち受け状態となる(ステップS302,S310,S317)。これらの待ち受け状態で、左リール、中リールおよび右リールの各リール10a,10b,10cが既に停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグが立っていない状態(=0)であるか否かが判断されるとともに、あわせて左、中および右のいずれかの停止ボタン20,22,24が押されたか否かが判断される。いずれの停止ボタン20,22,24も押されていなければ、ステップS309の判断が否定(No)されてステップS302以降が繰り返される。
例えば、いわゆる「順押し」または「順はさみ押し」の手順に沿って最初に左の停止ボタン20が押されたとすると(ステップS302=Yes)、左の停止ボタン20が押された時点では第1リール停止フラグが立っていない(ステップS303=Yes)ため、左リール10aについて第1リール停止処理(ステップS304)が実行される。なお、ここでいう「第1リール停止処理」とは、1番目にリールを停止させる処理という意味である。
あるいは、いわゆる「中押し」の手順に沿って最初に中央の停止ボタン22が押されると(ステップS310=Yes,ステップS311=Yes)、中リール10bについて第1リール停止処理(ステップS312)が実行される。これ以外に、いわゆる「逆押し」または「逆はさみ押し」の手順に沿って最初に右の停止ボタン24が押された場合は(ステップS317=Yes、ステップS318=Yes)、右リール10cについて第1リール停止処理(ステップS319)が実行される。
左リール、中リールおよび右リールのいずれかのリール10a,10b,10cについて第1リール停止処理(ステップS304,S312,S319)が行われると、該当する成立フラグに対応した複数パターンのリール制御テーブルのなかから、乱数値に基づいて1つのテーブルパターンが選択される。これは、例えば1つの当選役「ベル」について、リール10a〜10c上にある図柄「ベル」を有効ライン上に停止させるために予め複数パターンのリール制御テーブルが用意されているが、前記テーブルの中から1つのパターンが選択されることを意味する。そして、1つのパターンが選択されると、該当するリール制御テーブルに基づいてリール10aから10cの停止位置が制御される。これにより、例えば図柄「ベル」が有効ライン上のどこかで停止されることとなる。
例えば、順押し手順に沿って左リール10aが第1番目に停止されるパターンを例にとると、ステップS304で左リール10aについて第1リール停止処理が行われる。また、このときメイン制御基板92は、左リール10aの停止目を表す停止情報コマンド(第1停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。
次のステップS306では残りの中リール、右リール10b,10cについてそれぞれリール制御テーブル(停止テーブル)が乱数抽選によって決定される。具体的には、図1において左リール10aの停止時に図柄「ベル」が下段位置に停止されたとすると、停止された時点で図柄の組み合わせが表示されるラインとして下段ラインまたは右上がりラインの2通り(MAXベットの場合)が選択可能となるが、ここでは乱数抽選によっていずれか一方(例えば右上がりライン)が選択される。なお、乱数抽選の振り分け率は半々程度でよい。
以上の処理(ステップS306)が行われると、続いて第1リール停止フラグがON(=1)にされるとともに(ステップS307)、左リール停止フラグがON(=1)にされる(ステップS308)。左リール停止フラグがON(=1)になった段階では全てのリール10a〜10cが停止していないので、ステップS309の判断が否定(No)されてステップS302以降が実行される。
すると、このとき既に左リール10aが停止しているので(ステップS302=No)、順押し手順に沿って2番目に中央位置の停止ボタン12が押されると(ステップS310=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS311=No)を経て中リール停止処理(ステップS313)が実行される。中リール停止処理では、先に中リール10bについて選択されているリール制御テーブル(停止テーブル)に基づいて停止位置が制御される。これにより、上記の右上がりに図柄が組み合わせとして表示されるラインの例でいうと、中リール10b上の図柄「ベル」が中段位置に停止することとなる。また停止目上は、右上がりライン上で左リール、中リール10a,10bに図柄「ベル」が2つ揃った状態(いわゆる「右上がりテンパイ」)となる。このときメイン制御基板92は、中リール10bの停止目を表す停止情報コマンド(第2停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。またこの場合、中リール10bは第2停止であるためステップS312,S314,S315は全て迂回され、ステップS316にて中リール停止フラグがON(=1)にされるだけとなる。
同様にして、最後に右の停止ボタン13が押されると(ステップS317=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS318=No)を経て、先に右リール10cについて選択されているリール制御テーブル(停止テーブル)に基づいて停止位置が制御される(ステップS320)。これにより、3番目の右リール10c上の図柄「ベル」が上段位置に停止するので、全リール停止時の出目は、右上がりライン上に図柄「ベル」が3つ揃った状態となる。このときメイン制御基板92は、右リール10cの停止目を表す停止情報コマンド(第3停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。またこの場合、右リール10cは第3停止であるためステップS319,S321,S322は全て迂回され、ステップS323にて右リール停止フラグがON(=1)にされる。
ここまでの処理を経て全リール停止フラグがONになると、ステップS309の判断が肯定(Yes)されるため、メイン制御基板92による処理は本ルーチンを抜ける。
なお、上記のリール停止処理では、内部抽選にて当選した当選種類に該当する当選図柄が停止操作の受け付けられた時点から表示窓8内に引き込み可能な範囲(位置)にある場合は、必ず引き込んで該当当選図柄を表示窓8内に停止させようとする制御が行なわれる。引き込み可能な範囲とは、リールが停止する際にリールの回転方向に移動が可能な最大の図柄分数(例えば、4コマ)のことをいう。
シークレットボーナス図柄は特に該当する専用の図柄を設けているのではなく、複数の一般小役図柄等からなる特定の組み合わせ態様を持って有効となるものである(本実施形態のスロットマシンでは「スイカ−ベル−リプレイ」)。図3のリール配列上から、遊技者が順押し(順はさみ押し)でリール停止処理を行なう場合、シークレットボーナス図柄を取りこぼす(揃えられない)ことがほとんどない。これは、左リール10aのスイカ図柄、中リール10bのベル図柄、右リール10cのリプレイ図柄ともに、引き込み可能範囲内(例えば、左リール10aのスイカ図柄からスイカ図柄までの間隔が最大でも4図柄分)に各図柄が配置されている。これは、中リール10bのベル図柄および右リール10cのリプレイ図柄も同様に、最大でも4図柄分の間隔で配置されている。従って左・中・右の各リールは順押し(若しくは順はさみ押し)を行なえば、適当に(目押しを全くせずに)停止操作を行なっても、左リール10aにはスイカ図柄を、中リール10bにはベル図柄を、右リール10cにはリプレイ図柄を停止させることができる。これが、順押しをした場合は、SSBとなる図柄の組み合わせを取りこぼすことがないとした理由である。ただし、順押し(順はさみ押し)以外の停止操作、つまり変則押し(逆押し、逆はさみ押し、中押し等)を行なった場合は、上記の限りではない。これは、左リール10aにチェリー図柄が存在することにより、引き込み可能な範囲に該当図柄(スイカ図柄)があったとしても、チェリー図柄を表示窓8内に停止してしまうことを回避する制御(所謂、蹴飛ばし制御)が行なわれるからである。変則押しを行なった場合は、既に中または右リールのうち少なくとも1つ以上のリールが停止していることとなるので、シークレットボーナスが有効となる場合の該当図柄の停止位置が限定されてしまうことで起こるものである。従って、スロットマシン1は例えば、「順押し専用」、「順押しまたは順はさみ押しにて御遊技下さい」等の表示(遊技機本体で遊技者が視認できる箇所、例えばベットボタンの近傍やメダル投入口の付近等)により遊技者が混乱しないように案内(教示、説明)することが望ましい。なお、図3の配列図でみると、「スイカ−ベル−リプレイ」が揃ったときに小役が重複して揃う場合がある。こうした場合には小役が揃わないように「蹴飛ばし制御」が行なわれることとなり取りこぼしが生じてしまう。そして小役と重複しないシークレットボーナス図柄が揃うまで、シークレットボーナス当選フラグは次回以降のゲームに持ち越されることになる。そのため、シークレットボーナスが有効となる図柄の組み合わせを複数種類設けたり、その他の当選種類との重複を回避できる組み合わせを設けることが望ましい。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、本実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式のいずれのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
(4.判定処理)
図14は、判定処理の内容を具体的に示している。上記のリール停止処理によって全てのリール10a,10b,10cが停止されると、メイン制御基板92はそのとき表示されている出目を確認する処理を行なう(ステップS401)
次に、全リール停止時の出目から組み合わせとして表示された出目がシークレットボーナス図柄としての出目であるか(ステップS402)、小役図柄(一般小役図柄)であるか(ステップS404)、リプレイ図柄(再遊技図柄)であるか(ステップS407)、それともハズレ図柄であるかがそれぞれ判断される。そして、そのとき組み合わせとして表示された出目がシークレットボーナスに該当すると判断されると(Yes)、シークレットボーナス遊技処理が行なわれる(ステップS403)。また、表示された組み合わせの出目が小役に該当すると判断されると(ステップS404=Yes)、各小役図柄に対応した枚数のメダル払出動作がホッパ装置78に指示されるとともに、払出し音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS405)。あるいは、リプレイ図柄の組み合わせが表示されたと判断される(ステップS407=Yes)と、リプレイゲーム処理(ステップS408)が実行される。ここでリプレイゲーム処理とは、あらためてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、次回のゲーム時を再遊技として実行できることをいう。その場合の有効ライン数は、リプレイ図柄が揃ったゲームの有効ラインと同じラインとなる(例えば、3ベットしてゲームを開始した結果、リプレイが揃った場合、次ゲーム時に再遊技を開始するときも3ベット時のライン数が有効となる)。
図6のステップS107のフラグ処理において、シークレットボーナスの当選フラグがONとなった場合は、該当する図柄の組み合わせでの停止態様となり、シークレットボーナス遊技処理(ステップS403)が実行されて判定処理は終了となる。
また、本実施形態のスロットマシン1では、SB(1)とSB(2)の図柄を特に分けていないが、別の組み合わせからなる態様とすることも可能である。ただし、全く別の組み合わせにしてしまうと、ゲームを続けていくうちに、SB(1)、SB(2)それぞれに該当する組み合わせが遊技者に分かってしまうことが考えられる。遊技者には極力、該当する組み合わせを分からなくしたほうがスロットマシン1の面白さを十分に味わうことができる。従って、「スイカ−ベル−リプレイ」といった組み合わせはそのままに、図3のリール配列図で、
〔 スイカ−ベル(5番)−リプレイ(5番) 〕となるとSB(1)
〔 スイカ−ベル(10番)−リプレイ(9番) 〕となるとSB(2)
というように決めておけば、図柄の種類の組み合わせ(見た目)としては同じであっても、実際は違う図柄の組み合わせとなるので、遊技者が仮にSBの図柄の組み合わせを探し出せたとしても、SB(1)あるいはSB(2)のいずれかであるかということまでは探し当てることが困難になる。なお、上記で「ベル(5番)」と表現したのは、図3のリール配列図の中リール10bの配列図の5番のベル図柄のことをいい、その他の「リプレイ(5番)」等についても同様に図3のリール配列図に対比させた表現である。
また小役図柄、リプレイ図柄の組み合わせを表示させることを許容された場合は、そのときに表示された組み合わせの図柄に応じて払出しまたはリプレイゲーム処理が実行されて、小役またはリプレイの当選フラグがOFFにされ(ステップS406、S409)この処理は終了される。なお上記の図柄に応じて払出しが行われることおよびステップS405は遊技価値付与手段の一例に相当する。また、ハズレフラグONの時や成立フラグに対応する図柄が有効ラインに揃っていない(取りこぼし)場合(ステップS407=No)は、シークレットボーナス当選フラグ以外の成立フラグがOFFにされて(ステップS410)同じく判定処理は終了となる。ここでシークレットボーナス当選フラグ以外の成立フラグがOFFにされることは、即ちシークレットボーナス当選フラグが次ゲーム以降も維持されるということを意味する。なぜなら、シークレットボーナスは、小役やリプレイが組み合わせとして表示された場合の特典よりも遊技者にとっての特典が有利なためである。このシークレットボーナスの特典が有利なことについては後述する。
なお、シークレットボーナス遊技処理(ステップS403)に進んだ場合は、この処理中においてシークレットボーナス当選フラグがOFFにされる。
(5.有利遊技状態)
本実施形態のスロットマシン1において、出目として特定の図柄の組み合わせ(「スイカ−ベル−リプレイ」)が表示されると、「有利遊技状態」へと遊技状態が移行される(有利遊技状態移行手段)。ここでいう「有利遊技状態」とは、シークレットボーナスゲームのこという。「シークレットボーナスゲーム」は複数回のゲーム機会が含まれており、この間に連続的にメダル等の払出しが行われる可能性があるため、遊技者にとっては通常の遊技よりも非常に有利な状態であるといえる(遊技価値付与機会増加手段)。またシークレットボーナスはその当選からゲーム開始から終了までゲーム数表示部32の表示やボーナス告知ランプ44の点灯告知、および液晶表示部58等でのボーナス告知演出あるいはボーナスゲーム演出を明確には行なわないものである。従って、遊技者はシークレットボーナスに当選したのか、あるいは現在のゲームでシークレットボーナスゲームが行なわれているか等を判断することが非常に困難なものとなっている。
なお、スロットマシン1は設定(例えば1〜6まで6段階の設定値があり、通常確率においては各設定ごとにBB、SSB等の当選確率に差がつけられている)を設けることで、終日遊技を行なった時の総獲得メダル枚数(遊技者が獲得したメダルの合計)に大幅な差をつけて遊技者の遊技意欲を向上させたり、ホールの経営形態などに合わせて設定値を変更したりすることができる。本実施形態のスロットマシン1では、通常遊技状態でのBB当選確率を、上記の設定値4に相当する1/256としている
(5−1.シークレットボーナス遊技処理)
図15は、シークレットボーナス遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理としてシークレットボーナス当選フラグがOFFにされるとともに、シークレットボーナスゲーム用に乱数抽選の当り値テーブルが変更される(ステップS501)。この当り値テーブルで一般小役(ベル)の当選確率が大幅に高くなっており、図16は通常ゲーム中とシークレットゲーム中の小役およびリプレイの当選確率を比較した表である。
図16で、ベルの当選確率が通常ゲームとシークレットボーナスゲームとを比較すると約8倍程、高確率(当りやすい)となっている。つまりシークレットボーナスゲームでは、ベル(15枚払出し)に約3回に1回の割合で当選する可能性が非常に高い遊技状態に変更が行なわれる。従って遊技者は、ベルが連続的に当選するようなゲームが展開されると、もしかしてシークレットボーナスゲームになった(移行した)のではないかと大いに期待を抱くこととなる。しかし、スロットマシン1では、通常ゲームにおいてもベルの当選確率が他の小役(スイカ、チェリー)に比較すると若干高くなっている(つまり他の小役に比べて当選しやすいといえる)。つまりスロットマシン1のメインの小役(通常ゲームから遊技者にメダルを付与する機会を多く与える小役)はベルであると表現することもできる。
次にリール装置10の始動処理(ステップS502)および停止処理(ステップS503)が実行される。これら始動処理および停止処理の内容は既に説明したものと同じである。停止処理によって全リール10a,10b,10cが停止すると、そのときの出目がメイン制御基板92からサブ制御基板94に送信され(ステップS504)、そしてメイン制御基板92内のシークレットボーナスゲーム数カウンタが1つカウントアップされる(ステップS505)。
次に、全リール10a,10b,10c停止時の出目が小役図柄の組み合わせであるか否かが判断される(ステップS506)。ここで小役図柄(ベル図柄、スイカ図柄、チェリー図柄のいずれか)である場合(ステップS506=Yes)、ステップS507の払出処理が行われメダルが付与される。さらにこのとき、メイン制御基板92はホッパ装置78を駆動して規定枚数(例えば15枚)のメダル払出しを実行するとともに、払出し音コマンドをサブ制御基板94に送信する(ステップS508)。また払出しが行われると、その枚数分だけメイン制御基板92内にて累計払出しメダル枚数のカウントアップが行なわれ(ステップS509)、これに続いて成立フラグがOFFにされる(ステップS510)。なお累計払出しメダル枚数として計数される対象は、シークレットボーナスゲーム開始時から終了時までに払い出されたメダルの総払出し枚数である。
ステップS506で停止時の出目が小役図柄の組み合わせでなければ(ステップS506=No)、ステップS510に進んで成立フラグがOFFにされる。この場合は、抽選でハズレフラグがONになっていたか、あるいは当選フラグがONになっていても遊技者が該当小役図柄を取りこぼしたかのいずれであると考えられる。
そして、ステップS511で、毎回のゲーム終了後にシークレットボーナスゲームを終了すべきか否かの終了判定が行なわれる。終了条件が満たされていない間(ステップS511=No)はステップS502に戻って次の始動処理が行なわれる。
シークレットボーナスゲームは、以下のいずれかの条件が満たされると終了する。
(1)ステップS505で、シークレットボーナスゲーム数カウンタのカウント数が200回に達したこと。
(2)ステップS509で、シークレットボーナスゲームでの累計払出しメダル枚数が400枚に達したこと(所謂、純増枚数が400枚に達した場合)。
上記いずれかの条件が満たされると、ステップS511の終了判定が肯定(Yes)され、次にシークレットボーナスゲームの終了処理が行われるとともに当り値テーブルが元に戻される(ステップS512)。
なお、シークレットボーナスゲーム中にのみ有効となる専用の図柄の組み合わせを用いて、シークレットボーナスゲーム中にはこの専用の図柄の組み合わせに当選することでメダルを獲得する態様であってもよい。
(6.演出処理)
以上は、メイン制御基板92による遊技制御の例であるが、本実施形態のスロットマシン1では、遊技の進行にあわせてサブ制御基板94により演出動作の制御が行われる。
図17は、サブ制御基板94により実行される演出処理の一例を示している。スロットマシン1の電源が投入(電源スイッチ76がONに操作)されると、この演出処理において先ず初期化処理が行われる(ステップS601)。次にメイン制御基板92から送信されるメダル投入コマンドが待ち受けられ(ステップS602)、実際にメダル投入コマンドが送信されると、これに応じて投入音やベット音等を出力させる演出(メダル投入演出処理)が行われる(ステップS603)。
続いて、メイン制御基板92から送信される当選(始動)フラグコマンドが待ち受けられる(ステップS604)。当選(始動)フラグコマンドは、始動レバー18の操作を契機としてメイン制御基板92から送信され、サブ制御基板94では、当選(始動)フラグコマンドを受信すると、それに合わせた演出動作の制御が行われる(ステップS605、始動時演出処理)。ここでの演出動作は例えば、リール始動音の出力や液晶表示装置58による画像表示演出等である。
上記のステップS605の始動時演出処理が行われると、続いて停止情報コマンドが待ち受けられる(ステップS606)。3つの停止ボタン20,22,24がすべて停止操作されると、メイン制御基板92からサブ制御基板94に停止情報コマンドが送信され、これを受けてサブ制御基板94では、それぞれ当選フラグと停止情報コマンドに応じた演出動作の制御が行われる(ステップS607、停止時演出処理)。ここでの演出動作は例えば、各リール停止音の出力やリール消灯演出、液晶表示装置58による画像表示演出等である(ステップS608)。
そして、ステップS609では、判定処理の結果に応じてメイン制御基板92から払出コマンドが送信されてくるので、これを受けてサブ制御基板94では払出し音出力による演出が行われる。さらに、ここではメイン制御基板92から送信される遊技ステータスコマンドが待ち受けられ、受信したコマンドから現在の遊技ステータスが吟味される。このときも受信した遊技ステータスコマンドに応じた演出動作の制御が行なわれる(遊技ステータス演出処理)。なお遊技ステータスは、遊技状態(通常ゲーム、シークレットボーナスゲーム等)を表すものである。
なお、上記のステップS606およびステップS607の停止情報コマンドおよび停止時演出処理は、第1リール停止処理、第2リール停止処理、第3リール停止処理とそれぞれの停止処理が行われたごとに停止時演出処理を行なわせることとしてもよい。
本実施形態のスロットマシン1では、液晶表示部58の演出表示のほか、スピーカ56、各ランプ60,62,64,66、ボーナスフラグ告知ランプ44、クレジット枚数表示部30、ゲーム数表示部32、払出し枚数表示部34等により様々な演出態様を実行させる。これにより遊技者を視覚的にも聴覚的にも満足させて、ゲームを楽しませることができる。
(7.遊技状態演出処理)
本実施形態のスロットマシン1は、シークレットボーナス図柄が揃う(該当図柄の組み合わせが停止態様として表示される)あるいは、シークレットボーナスゲームの開始時および終了時に特に明らかな報知を行なわない。ここでいう明らかな報知とは、液晶表示部58、スピーカ56、ランプ60,62,64,66等による確定画面(告知画面)および確定音(ファンファーレ、告知音)のことをいう。なお確定(告知)はシークレットボーナスに当選あるいは該当ゲーム開始時または終了時を明確にすることである。
つまり、遊技者はスロットマシン1でゲームを行なっていても、特別に遊技状態が変化したことをスロットマシン1の表示手段により明確に教示(告知、報知)されることが無い。そのため、通常ゲームを進行していく上で、一般小役(ベル)が複数のゲームにわたり連続して当選するような展開でゲームが行なわれれば、シークレットボーナスゲームが始まっている(開始されている)かもしれないと遊技状態から判断(予測、推測)しながらゲームを進めていくこととなる。前述のとおり、シークレットボーナスゲームは、200回ゲーム数を行なうか、あるいは累計払出しメダル枚数(純増枚数)が400枚に達することで終了となる。これはベルの当選確率が1/3と高く変更されることにより、約3回のゲームに1回の割合で当選する可能性が高くなり、
〔 ベル入賞(15枚のメダル払出し)−3回のゲームに必要な枚数(3×3枚のメダル投入)=6枚(払出し枚数から投入枚数を引いた差〔遊技者の利益〕) 〕
と、3回のゲームでの純増枚数が約6枚であるということもできる。従って、シークレットボーナスゲーム中は、短期間(少ないゲーム回数)で大量のメダルを獲得するというよりも、非常に緩やかにメダルが増加していくというゲームが展開される。加えて、終了条件に到達するまで相当時間(ゲーム数)が必要とされるので、従来のスロットマシン等の遊技機に見られる、大当たり(所謂ボーナスゲーム)から次回の大当たりまでの通常ゲーム、この通常ゲームが長くなる所謂ハマリといわれる状態に陥ることがほとんど無いように見せることができる。
しかし実際に、スロットマシン1内部では、通常ゲームとシークレットボーナスゲームとに遊技状態が明確に分かれているので、通常ゲームが長く続くこととなるハマリ状態に陥ることもありえる。しかし、スロットマシン1では、明確に遊技状態を遊技者に告知はしないものであるから、現在の遊技状態が通常ゲームなのか、あるいはシークレットボーナスゲームなのかそれとも高確率ゲームであるのか判断が付きにくい。それゆえハマリ状態という意識を持たせることなく、ゲームを進めさせていくことが可能となるのである。
上記のとおり、遊技状態を遊技者には分からないものとすることは、ハマリ状態を回避できて遊技者に興趣の減退を起こさせないという利点がある。ただし、遊技状態の変化を遊技者に全く知らせないのでは、遊技状態の変化を少しでも見つけて有利にゲームを行ないたいという遊技者の願望をかえって損ねてしまう虞もある。そこで、本実施形態のスロットマシン1では、液晶表示部58や各ランプ、各表示部等を使い、演出表示や効果音、ランプ点灯などの演出表示態様を実行させる。そして遊技者にシークレットボーナスゲームが行なわれているかもしれない(あるいは高確率ゲーム中であるかもしれない)という期待感を持たせる各種演出を行なう。
(7−1.遊技状態の変化を示唆する演出)
内部抽選の結果、シークレットボーナスに当選となった場合、前述の演出処理のステップS505の始動時演出処理あるいは、ステップS507の停止時演出処理において、シークレットボーナスに当選したことをそれとなく匂わせる演出(「ミッション演出」)を行なう。当選フラグがシークレットボーナスの場合には、始動時演出処理あるいは停止時演出処理のいずれにおいてミッション演出を行なう。ミッション演出以外の演出としては、通常演出があるが、この通常演出は、液晶表示部58内で行なわれている演出として、主人公のキャラクター(男の子)が主人公の兄弟(5人)を探しながら歩いている状況が展開される演出のことをいう(図示はしない)。ここでは、主人公が商店街や公園などを歩きながら、いろいろなキャラクターに遭遇したり、時には内部抽選にて当選した小役(あるいはリプレイ)が示唆されたり(所謂、小役ナビゲーション)しながら演出が展開していく。主人公の兄弟がすべて集合するとミッション演出が行なわれる。このミッション演出では、主人公のキャラクターとその兄弟(6人)と、相手キャラクターのチームとの綱引きが開始される。
(7−1−1.ミッション演出画像)
図18、図19は、ミッション演出の開始からミッション演出終了時の画像の一例である。図18(a)、(b)では、綱引き対決のチーム((a)の画像で上半分が主人公のチームで、下半分が相手のチームである)が表示される。図17(c)、(d)では綱引き対決が開始される場面が表示される。この演出が開始されると、遊技者はまるで自分が主人公のチームに参加しているかのように気分の高揚を覚える。そして勝敗の行方を見守りながらゲームを進めていくことになる。
図19(a)は、綱引き対決が興奮の盛り上がりを見せているクライマックスの場面である。どちらのチームが勝つのか遊技者が手に汗握る最高潮の演出となる。このときの遊技者は主人公のチームが勝利してくれることを祈らんばかりの気持ちで一杯となる。
図19(b)、(c)、(d)は、綱引き対決が終了して勝敗がついた場面をそれぞれ示している。図19(b)は勝利した場合、(c)は引き分けた場合、(d)は敗北した場合のそれぞれに表示される画像である。
またミッション演出は継続ゲーム数が「1」、「5」〜「10」ゲームのいずれか選ばれたゲーム数で決着がつく演出である。特に「1」ゲームが選択された場合のみ始動時演出から綱引き対決が開始され、停止時演出に勝敗結果を表示させるので遊技者は始動時演出が行なわれると、全てのリールを停止させた時に演出が行なわれることを期待するようになる。
一方、「5」ゲーム以上の継続ゲーム数が選ばれた場合、継続ゲーム数の間、一進一退の勝負が繰り広げられることで、遊技者は、まるで自分が綱引きに参加しているような気分になっていく。これは、スロットマシン1が、SBゲームでメダルを増やしていくことに喜びを覚えるということに留まることなく、連続して行なわれる演出を新たな楽しみちして見出せるゲーム性を持った遊技機であることを示している。