JP2006318691A - 燃料電池及び燃料電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の内部で生成される水の排水時の移動抵抗を少なくすることにより、安定した発電性を確保できる燃料電池及び燃料電池の製造方法を提供する。
【解決手段】アノード電極30とカソード電極32との間に電解質膜28が配置された電極構造体(MEA)22と、セパレータ24、26と、が積層されて、前記アノード電極30とこれに隣接するセパレータ26との間に燃料ガス流路48が形成され、且つ、前記カソード電極32とこれに隣接するセパレータ24との間に酸化剤ガス流路46が形成された燃料電池10であって、前記両電極30、32とこれらに隣接するセパレータ24、26との間にはシール部材が介在し、このシール部材により前記両ガス流路の一部が形成されており、前記両ガス流路を形成しているセパレータは、表面の水の接触角度が80度以下であり、且つ、このセパレータに隣接して前記両ガス流路を形成しているシール部材の少なくとも一部の表面の水の接触角度との差が40度以下である燃料電池。
【選択図】 図3

Description

本発明は、燃料電池及び燃料電池の製造方法に関する。特に、燃料電池の内部で生成される水の排水時の移動抵抗を少なくすることにより、安定した発電性を確保できる燃料電池及び燃料電池の製造方法に関する。
近年、燃料電池は、地球温暖化や環境破壊の抑制手段として、また次世代の発電システムとして大いに期待されており、さかんに研究開発が行われている。燃料電池は、水素と酸素の電気化学的な反応によりエネルギーを発生させるものであり、例えば、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体電解質型燃料電池、固体高分子型燃料電池などを挙げることができる。これらの中でも、固体高分子型燃料電池は、常温から起動が可能であるうえ小型で高出力であるため、自動車(二輪、四輪)やポータブル電源等の電力源として注目されている。
一般的な固体高分子型燃料電池は、電極構造体(MEA)をその基本構成単位とし、電極構造体をセパレータで挟持した発電セル(単セル)を数十個から数百個組み合わせてなるスタック(集合電池)として用いられる。スタックの基本構成単位である電極構造体は、アノード電極(燃料極)及びカソード電極(空気極)の二つの電極と、これら電極に挟持される高分子電解質膜とから形成され、通常、両電極は、高分子電解質膜に接して酸化・還元反応を行う触媒層と、この触媒層に接するガス拡散層とから形成される。
このような構成からなる固体高分子型燃料電池は、アノード電極(燃料極)側に水素を含む燃料を供給し、カソード電極(空気極)側に酸素又は空気を供給することで発電する。アノード電極(燃料極)に供給された燃料ガスは、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質膜を介してカソード電極(空気極)側へと移動し、その間に生じた電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギーとして利用される。
ところで、固体高分子型燃料電池のセパレータとしては、強度、コンパクト化、低温起動性が求められる点から、金属セパレータが多く用いられる。この金属セパレータには、アノード電極(燃料極)側の燃料ガス、カソード電極(空気極)側の酸素又は空気の他、燃料電池の内部で生成する水が、液体として流路内を流れる。このため、ガスの流れの下流領域においては、発電反応により生成した水が溜まり易い傾向がある。さらには、この生成水は、ガスの流路を閉塞し、フラッディングと呼ばれる現象を引き起こすおそれがある。フラッディング現象は、燃料電池の発電安定性を損ねたり、前回の発電時に生成して残留した水が氷点下で凍結することにより燃料電池セルを劣化させたり、ガス流路を閉塞して発電不能にさせる等の不具合の原因となるため、回避しなければならないものである。
そこで、特許文献1においては、セパレータのガス流路となる溝部に親水性塗膜を形成することにより、燃料電池の性能の低下を防ぐ技術が提案されている。この技術によれば、セパレータのガス流路となる溝部に、親水性塗膜による親水性を付与し、ガス流通溝に存在する水滴を効率的に燃料電池の外に排出することにより、ガス流通溝が水滴により閉塞されることを防止できる。
特開2001−093539号公報
ところで、燃料電池のセパレータにおいては、反応ガス等の漏れ止めを行うことを目的として、シール材によるシール部が設けられる場合がある。このシール材は、生産性やシール性精度の要請から、反応ガス流路の一部を覆うことがある。生産工程の減少又は金型の単純化に繋がる上、シール材とセパレータ基材との接着強度が向上し、耐久性に優れるセパレータを得ることができるためである。
通常、このようなシール材は撥水性を有しているため、シール部材を有するセパレータにおいては、特許文献1のようにガス流路部分に親水性を付与したのみでは、ガス流路は親水性となるものの、セパレータのシール部分に接触した水滴は玉状(図1(A)参照)となり、シール部表面との接触角度θが大きくなる。このため、燃料電池の内部で生成した水の排出性は、セパレータのガス流路部分では向上するものの、シール部に接触した部分ではいまだ十分ではなく、排出すべき生成水の流れが妨げられてしまう。特に、親水性を有するガス流路部分から撥水性であるシール部分にさしかかる境界においては、撥水角度の変化が大きくなり、水の移動抵抗が急激に増大することから、排出性が著しく低下してしまう。その結果、水滴によりガスの流れが妨げられ、発電性能が不安定となっていた。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、燃料電池の内部で生成される水の排水時の移動抵抗を少なくすることにより、安定した発電性を確保できる燃料電池及び燃料電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため、セパレータのシール部の水との接触角度に着目して鋭意研究を重ねた。その結果、セパレータのシール部と、セパレータの基材部との接触角度の差をある基準以下としたセパレータを用いることにより、燃料電池の内部で生成された水の移動抵抗を少なくすることができ、安定した発電性を確保できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) アノード電極とカソード電極との間に電解質膜が配置された電極構造体と、セパレータと、が積層されて、前記アノード電極とこれに隣接するセパレータとの間に燃料ガス流路が形成され、且つ、前記カソード電極とこれに隣接するセパレータとの間に酸化剤ガス流路が形成された燃料電池であって、前記両電極とこれらに隣接するセパレータとの間にはシール部材が介在し、このシール部材により前記両ガス流路の一部が形成されており、前記両ガス流路を形成しているセパレータは、表面の水の接触角度が80度以下であり、且つ、このセパレータに隣接して前記両ガス流路を形成しているシール部材の少なくとも一部の表面の水の接触角度との差が40度以下である燃料電池。
(1)の燃料電池は、両電極に隣接するセパレータに、燃料ガス流路及び/又は酸化剤ガス流路を構成する溝部が形成され、且つ、シール部材により両ガス流路の一部が形成されたものである。ここで、「セパレータに隣接して前記両ガス流路を形成しているシール部材」とは、「シール部材」のうち、ガス流路を形成しているセパレータ基材に接触し、且つ、シール部材自身が両ガス流路を形成しているシール部分をいう。
(1)の燃料電池によれば、両ガス流路を形成しているセパレータの表面の水の接触角度が80度以下であり、且つ、このセパレータに隣接して両ガス流路を形成しているシール部材の少なくとも一部の表面の水の接触角度との差を40度以下とすることにより、ガス流路のみならず、シール部に接触した生成水の接触角度を小さくすることができる。このため、燃料電池内で生成された水がガス流路を移動する際に、シール部材に接触した場合であっても、水滴が玉状となることを防止することができ、したがって、玉状の水滴によりガスの流れが妨げられることを抑制することができる。
また、親水性を有するセパレータのガス流路部分と、シール部材により構成されるガス流路部分との境界において、接触角度が大きく変化することがないため、生成水がガス流路を移動する際の移動抵抗が急激に増大し、排出性が低下することを防止できる。このため、燃料電池の発電によって生成する水を効率よく燃料電池の外部に排出することができ、安定した発電性を確保することが可能となる。
尚、両ガス流路を形成しているセパレータの表面の水の接触角度と、このセパレータに隣接して両ガス流路を形成しているシール部材の少なくとも一部の表面の水の接触角度と、の差は、好ましくは30度以下であり、更に好ましくは20度以下である。
ここで「接触角度」とは、固体と液体とが接触したときにできる液滴の弧が、固体となす角度をいう。図1(A)は、撥水性の固体表面に付着した水滴の状態を示す図である。また、図1(B)は、親水性の固体表面に付着した水滴の状態を示す図である。図1(A)に示されるように、固体であるセパレータの表面が撥水性である場合には、水滴は玉状となり、接触角度θは90度よりも大きいものとなる。一方、図1(B)に示されるように、セパレータの表面が親水性である場合には、水滴が潰れて接触角度θは90度よりも小さくなる。
接触角度θが大きいと、玉状の水によりガス流路の断面積の多くが塞がれ、ガスの流れが妨げられる(図1(A)参照)。玉状の水によりガスの流れが妨げられると、燃料電池の各反応部に十分な反応ガスが行き渡らなくなり、発電性能を低下させてしまう。さらには、排水が十分に行われなくなることから、フラッディングと呼ばれる現象が生じ、燃料電池の発電安定性が損なわれたり、前回の発電時に生成して残留した水が氷点下で凍結することにより燃料電池セルに応力が加わるため劣化したり、発電不能となってしまう。
そこで、ガス流路の閉塞を回避し、水の排出性を向上させるため、セパレータの少なくともガス流路を形成する表面は、親水性であることが要求される。セパレータの表面が親水性である場合には、水との接触角度θは小さくなり、付着した水は潰れた状態となる(図1(B)参照)。このため、生成水によってガス流路が閉塞されることがなく、上記のような不具合が生ずることもない。
この点、本発明においては、両ガス流路を形成しているセパレータの、表面の接触角度を80度以下としたものである。80度以下とすることにより、反応ガス流路に付着した生成水は、潰れた状態となってセパレータ表面に広がる。したがって、生成水がガス流路における圧損体となることを防止することができ、玉状の水によりガスの流れが妨げられて燃料電池の発電性能が低下することを抑制できる。
尚、両ガス流路を形成しているセパレータ表面の接触角度は、好ましくは70度以下であり、さらに好ましくは50度以下である。
また、本発明においては、セパレータの酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路を構成する溝部のみを親水性とし、その表面の水の接触角度を80度以下とする場合は勿論、セパレータを構成する基材すべての表面の水の接触角度を80度以下としても差し支えない。
上記のように、ガス流路の閉塞を回避し、水の排出性を向上させることを目的としてセパレータ基材による両ガス流路を親水性とすると、反応ガスの漏れ止めを目的としたシール部材が両ガス流路の一部を形成している箇所においては、このシール部材は、セパレータのガス流路を構成する基材部分よりも撥水性が高いことから、セパレータ基材によるガス流路とシール部材によるガス流路が隣接する境界部分、例えば、両ガス流路の出入口部分や両ガス流路に接しているシール部材が存在する部分では、親水性に大きな差が生じている。このため、ガス流路を移動する水が当該地点にさしかかると、移動抵抗が急激に大きくなり停滞しやすい傾向にあり、排水性が低下してしまう。
そこで、本発明においては、セパレータ基材によるガス流路と、シール部材によるガス流路が隣接する境界部分における親水性の差、すなわち水との接触角度の差を小さくすべく、セパレータ基材により形成されるガス流路のみならず、シール部材により形成されるガス流路の部分についても親水性を付与するものである。
尚、本発明においては、セパレータに冷却媒体流路を設けてセパレータ同士の間に冷却媒体を流す場合と、セパレータの両面に燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路をそれぞれ形成し、電極構造体の間に1枚のセパレータを挟み込むのみで発電する場合と、の両方の形態が含まれる。また、両形態を併用した燃料電池スタックであってもよい。
(2) 前記両ガス流路は、前記セパレータにおいて積層方向に貫通しているガス入口連通孔及びガス出口連通孔に連通しており、前記両ガス流路を形成しているシール部材の少なくとも一部は、前記両ガス流路と前記ガス出口連通孔との連通部に配置された(1)記載の燃料電池。
燃料電池の燃料ガス、酸化剤ガス、及び冷却媒体ガスの漏れ止めを行う目的で設けられるシール部材は、燃料電池の製造工程上、ガス出口連通孔やガス流路との境界部に接してしまう場合がある。このシール部材は、通常、撥水性を有することから、水の排出性の低下の原因となる。
(2)の燃料電池によれば、両ガス流路を形成しているセパレータの表面の水の接触角度と、両ガス流路を形成しているシール部材のうち、両ガス流路とガス出口連通孔との連通部に配置される部分の水の接触角度と、の差を40度以下とすることにより、ガス流路と当該シール部が隣接する境界部分における親水性の差を小さくし、ガス流路を移動する水が当該地点にさしかかっても、移動抵抗が急激に大きくなることを防止することが可能となる。このため、移動抵抗の増大による水の停滞を防止でき、且つ、ガス流路の閉塞を抑制することができ、その結果、安定した発電性を確保することが可能となる。同時に、燃料電池の製造工程において、シール部材により両ガス流路が覆われてしまう箇所があつたとしても、生成水の排水性を維持できることから、燃料電池の生産性を向上することができる。
(3) 前記両ガス流路を形成しているシール部材の少なくとも一部は、前記両ガス流路が形成されている領域の境界部に配置された(1)又は(2)記載の燃料電池。
(3)の燃料電池によれば、両ガス流路を形成しているセパレータの表面の水の接触角度と、両ガス流路を形成しているシール部材のうち、両ガス流路が形成されている領域の境界部に配置される部分の水の接触角度と、の差を40度以下とすることにより、ガス流路とシール部との境界部分における親水性の差を小さくし、ガス流路を移動する水が当該シール部に接触しても、移動の際に受ける抵抗を小さくすることが可能となる。このため、移動抵抗による水の停滞を防止でき、且つ、ガス流路の閉塞を抑制することができ、その結果、安定した発電性を確保することが可能となる。同時に、燃料電池の製造工程において、シール部材により両ガス流路が覆われてしまう箇所があったとしても、生成水の排水性を維持できることから、燃料電池の生産性を向上することができる。
(4) アノード電極とカソード電極との間に電解質膜を配置した電極構造体と、セパレータと、を積層して、前記アノード電極とこれに隣接するセパレータとの間に燃料ガス流路を形成し、且つ、前記カソード電極とこれに隣接するセパレータとの間に酸化剤ガス流路を形成する燃料電池の製造方法であって、前記両電極とこれらに隣接するセパレータとの間にシール部材を介在させて、このシール部材により前記両ガス流路の一部を形成し、前記両ガス流路を形成するセパレータの表面の水の接触角度と、このセパレータに隣接して前記両ガス流路を形成するシール部材の少なくとも一部の表面の水の接触角度との差を調整する工程を含む燃料電池の製造方法。
(4)の燃料電池の製造方法によれば、両ガス流路を形成するセパレータの表面の水の接触角度と、このセパレータに隣接して前記両ガス流路を形成するシール部材の少なくとも一部の表面の水の接触角度との差を調整することにより、燃料電池内で生成された水がガス流路を移動する際に、シール部材に接触した場合であっても、その撥水性により水滴が玉状となることを防止することができ、したがって、玉状の水滴によりガスの流れが妨げられることを抑制した燃料電池を製造することができる。
また、親水性を有するセパレータのガス流路部分と、シール部分により構成されるガス流路部分との境界においても、接触角度の変化を抑えることが可能となるため、生成水がガス流路を移動する際の移動抵抗が急激に増大し、排出性が低下することを防止できる。このため、燃料電池の発電によって生成する水を効率よく燃料電池の外部に排出することができ、安定した発電性を確保した燃料電池を製造することが可能となる。
本発明によれば、セパレータの表面を親水性とした燃料電池において、セパレータのシール部材の親水性を向上させ、両ガス流路を形成しているセパレータの表面の水の接触角度と、このセパレータに隣接して両ガス流路を形成しているシール部材の少なくとも一部の表面の水の接触角度と、の差をある基準以下とすることにより、移動抵抗による生成水の停滞を防止し、且つ、ガス流路の閉塞を抑制することができる。その結果、ガスの流れが妨げられることを防止し、燃料電池の各反応部に十分な反応ガスが行き渡るため、発電性能の低下を抑制することができる。さらには、燃料電池内で生成した水の排水が十分に行われることから、フラッディング現象を回避することができ、安定した発電性を確保することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[燃料電池(スタック)の全体構成]
図2に、本発明の実施形態にかかる燃料電池10の斜視図を示す。燃料電池(スタック)10は、複数の発電セル(単セル)12が矢印Aの方向に積層した積層体14を備え、積層体14の積層方向の両端には、端部発電セル12a及び12b、ターミナルプレート16a及び16b、及び、絶縁プレート18a及び18bを介してエンドプレート20a及び20bが配置される。
図3は、図2に示される燃料電池10の一部切り欠き側面図である。また、図4は、図2に示される燃料電池10を構成する発電セルの分解斜視説明図である。図3及び図4に示されるように、各発電セル(単セル)12は、水平方向(矢印A方向)に積層される電極構造体(MEA)22と、第1の金属セパレータ24及び第2の金属セパレータ26とを備える。
[発電セル(単セル)]
発電セル(単セル)12の構成単位となる電極構造体(MEA)22は、アノード電極(燃料極)30及びカソード電極(空気極)32と、これらの電極間に配置された高分子電解質膜28と、を備えている。また、これら両電極には、高分子電解質膜に接する触媒層(図示せず)と、ガス拡散層(図示せず)が、それぞれ構成要素として含まれる場合がある。
発電セル(単セル)12の矢印方向Bの一端縁部には、積層方向である矢印方向Aに互いに連通して、例えば、酸素、空気等の酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔40a、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔42a、及び、燃料ガスとしての水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔44bが、矢印方向C(鉛直方向)に配列して設けられる。
発電セル(単セル)12の矢印方向Bの他端縁部には、矢印方向Aに互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔44a、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔42b、及び、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔40bが、矢印方向C(鉛直方向)に配列して設けられる。
本実施形態に係る燃料電池(スタック)10においては、図2に示されるように、燃料電池(スタック)10を構成するエンドプレート20aにおいて、酸化剤ガス入口連通孔40aに酸素、空気等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔44aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。更に、冷却媒体入口連通孔42aに純粋やエチレングリコール等の冷却媒体が供給される。
[セパレータ]
本実施形態に係るセパレータ24及び26は、電極構造体(MEA)22の両電極側に配置され、電極構造体(MEA)22とともに発電セル(単セル)12を構成する。
第1の金属セパレータ24の電極構造体(MEA)22に隣接する面24aには、酸化剤ガス流路46が設けられる。酸化剤ガス流路46は、複数の酸化剤ガス流路溝46aを有するとともに、矢印方向Bに延在している。尚、酸化剤ガス流路溝46aは、例えば、矢印方向Bに一往復半だけ折り返すサーペタイン流路溝を構成してもよい。
第2の金属セパレータ26の電極構造体(MEA)22に隣接する面26aには、燃料ガス流路48が設けられる。燃料ガス流路48は、酸化剤ガス流路46と同様に、矢印方向Bに延在する複数の燃料ガス流路溝48aを有する。
第1の金属セパレータ24と、第2の金属セパレータ26とは、互いに対向する面24b、26bの間に冷却媒体流路50を一体的に形成する(図3参照)。冷却媒体流路50は、酸化剤ガス流路46の裏面側、及び、燃料ガス流路48の裏面側に一体的に形成され、矢印方向Bに延在する複数の冷却媒体流路50aを有する。この冷却媒体流路50は、冷却媒体入口連通孔42aと、冷却媒体出口連通孔42bとに連通する。
尚、本発明においては、金属セパレータの両面に、燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路をそれぞれ形成することにより、電極構造体の間に1枚のセパレータを挟み込むのみで、発電することも可能である。したがって、本発明の燃料電池においては、必ずしも発電セルごとに冷却媒体流路を形成する必要はなく、必要に応じて適宜、冷却媒体流路を形成すればよい。
本実施形態においては、図4(A)に示されるように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔40aから第1の金属セパレータ24の酸化剤ガス流路46に導入される。酸化剤ガス流路46では、酸化剤ガスが複数の酸化剤ガス流路溝46aに分散される。このため、酸化剤ガスは、各酸化剤ガス流路溝46aを介して、電極構造体(MEA)22のカソード電極(空気極)32に沿って移動する。
一方、図4(B)に示されるように、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔44aから第2の金属セパレータ26の燃料ガス流路48に導入される。燃料ガス流路48では、燃料ガスが複数の燃料ガス流路溝48aに分散される。更に、燃料ガスは、各燃料ガス流路溝48aを介して、電極構造体(MEA)22のアノード電極(燃料極)30に沿って移動する。
また、電極構造体(MEA)22においては、アノード電極(燃料極)30に供給される燃料となす水素含有ガス、及び、カソード電極(空気極)32に供給される酸素含有ガスは、次式(1)及び(2)に示す電気化学反応により消費され、発電が行われる。このとき、カソード電極(空気極)32側には、発電により水が生成する。
アノード(燃料極)反応:H→2H+2e ・・・(1)
カソード(空気極)反応:2H+2e+(1/2)O→HO・・・(2)
次いで、カソード電極(空気極)32に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔40bから排出される。同様に、アノード電極(燃料極)30に供給されて消費された燃料となる水素含有ガスは、燃料ガス出口連通孔44bから排出される。
図4(C)に示されるように、冷却媒体入口連通孔42aに供給された冷却媒体は、第1の金属セパレータ24及び第2の金属セパレータ26の間に形成された冷却媒体流路50に導入される。この冷却媒体流路50では、冷却媒体が矢印方向B(水平方向)に移動する。このため、冷却媒体は、電極構造体(MEA)22の発電面全面にわたって冷却することができ、その後、冷却媒体出口連通孔42bから排出される。
{反応ガス流路を形成するセパレータの接触角度}
本実施形態に係るセパレータ24aに設けられる酸化剤ガス流路46、及びセパレータ26aに設けられる燃料ガス流路48は、親水性を有し、これら流路を形成しているセパレータの表面の水の接触角度は80度以下である。70度以下がより好ましく、50度以下がさらに好ましい。
尚、セパレータの接触角度の測定は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、公知の接触角度計を用いて測定することが可能である。
両ガス流路を形成しているセパレータの表面の接触角度を80度以下とする方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、親水性を有する材料によってセパレータを製造してもよいし、少なくとも両ガス流路に親水性被膜を設ける方法、アルカリ処理を行う方法、及び、電解脱脂を行う方法等を採用することができる。
尚、本発明においては、セパレータの酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路を構成する部分のみを親水性として、表面の水の接触角度を80度以下とする場合は勿論、セパレータを構成する基材の表面すべてを80度以下としても差し支えない。
[シール部材]
本発明のシール部材は、両電極とこれらに隣接するセパレータとの間に介在するように設けられ、燃料ガス、酸化剤ガス、及び冷却媒体の漏れ止めを行うものであり、その一部が燃料ガス流路及び反応ガス流路の一部を構成するものである。
本実施形態においては、第1の金属セパレータ24の面24a及び24bには、この第1の金属セパレータ24の外周縁部を周回するように、第1シール部材54が一体的に設けられる。第1シール部材54は、面24aにおいて、酸化剤ガス入口連通孔40a、酸化剤ガス出口連通孔40b、及び、酸化剤ガス流路46を覆うことにより、酸化剤ガスの漏れ止めを行う。また、面24bにおいて、冷却媒体入口連通孔42a、冷却媒体出口連通孔42b、及び、冷却媒体流路50を覆うことにより、冷却媒体の漏れ止めを行う。
また、第2の金属セパレータ26の面26a及び26bには、この第2の金属セパレータ26の外周縁部を周回するように、第2シール部材56が一体的に設けられる。第2シール部材56は、面26aにおいて、燃料ガス入口連通孔44a、燃料ガス出口連通孔44b、及び、燃料ガス流路48を覆うことにより、燃料ガスの漏れ止めを行う。また、面26bにおいて、冷却媒体入口連通孔42a、冷却媒体出口連通孔42b、及び、冷却媒体流路50を覆うことにより、冷却媒体の漏れ止めを行う。
尚、本発明においてシール部材を配置する態様としては、両電極とこれらに隣接するセパレータとの間に介在するように設けられる態様であれば、特に限定されるものではない。例えば、本実施形態のように、セパレータの外周縁部を周回するようにセパレータに直接設ける態様の他、電極構造体(MEA)に設ける態様等を挙げることができる。
尚、本発明において、金属セパレータの両面に、燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路をそれぞれ形成し、電極構造体の間に1枚のセパレータを挟み込むのみで発電する場合には、セパレータの酸化剤ガス流路を設ける面及び燃料ガス流路を設ける面の両面にシール部材を設けてもよい。これにより、酸化剤ガス及び燃料ガスの両方の漏れ止めを行うことができる。
{ガス流路を形成しているシール部材の接触角度}
本実施形態に係るシール部材54、56のうち、燃料ガス流路48及び酸化剤ガス流路46を形成するシール部材の少なくとも一部は、親水性を有している。当該シール部分と隣接しており、ガス流路を形成しているセパレータ基材の表面の水の接触角度と、当該シール部分の表面の水の接触角度と、の差は40度以下である。この差は、好ましくは30度以下であり、さらに好ましくは20度以下である。
尚、接触角度の測定は、上記の反応ガス流路を形成するセパレータ表面の水の接触角度の測定と同様に、従来公知の方法を用いることができる。例えば、公知の接触角度計を用いて測定することが可能である。
本発明において、ガス流路を形成しているセパレータ基材の表面の水の接触角度と、このセパレータに隣接して両ガス流路を形成しているシール部材の少なくとも一部の表面の水の接触角度と、の差を40度以下とするためには、当該シール部材を親水性とする必要がある。
シール部材を親水性とする方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、親水性を付与すべきシール部材の箇所に親水化処理を施す方法の他、シール部材として親水性材料を用いる方法を挙げることができる。
親水化処理方法の具体例としては、親水性を付与すべきシール部材の箇所に、塩素化処理等のハロゲン化処理、プラズマ処理、UV処理、コロナ放電、エキシマレーザー処理、オゾン処理、放射線処理を施す方法が挙げられる。これらは単独で用いても、また2種以上を併用してもよい。これらの方法によれば、親水性を付与すべき箇所のみを処理することが可能となるため、処理による不純物混入の影響を抑制することができる。
親水化処理方法の別の例としては、親水性を付与すべきシール部材の箇所に、ポリシラザン等の親水性材料を塗布、コーティング、蒸着する方法を挙げることができる。ポリシラザンとしては、市販品を用いることも可能であり、例えば、クラリアント社製NP−P140−01を用いることができる。
親水性を有する材料を用いてシール部材を形成する場合の具体例としては、シール部材となる材料に、親水性を有する添加剤を配合する方法を挙げることができる。親水性を有する添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、酸化チタン、白金等の、結合水を有する無機物、また、PVA(ポリビニルアルコール)、界面活性剤、高級脂肪酸、高級アルコール等の、分子構造の中に水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルボニル基、スルホン酸基等の親水基を有する有機化合物を挙げることができる。
また、分子構造の中に水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルボニル基、スルホン酸基等の親水基を有する材料そのものを、シール部材の材料として用いる方法、あるいは、そのような材料をシール部材となる材料に配合する方法を採用することもできる。分子構造の中に親水基を有する材料としては、例えば、ビニルシリコーンゴム等の親水性ゴムが挙げられる。
本発明においては、親水性を付与する必要のあるシール部材の箇所につき、上記いずれかの方法により親水性を付与して当該箇所の表面と水との接触角度を低減させるとともに、ガス流路を形成しているセパレータ基材の表面の水の接触角度と、このセパレータに隣接して両ガス流路を形成している当該シール部材の親水性付与箇所の表面の水の接触角度と、の差を40度以下となるようにする。
尚、本発明において、上記の親水基を有する材料以外に用いられる、シール部材の材料としては、反応ガスおよび冷却溶媒の漏れ止めを行うことのできるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム、EPDM(エチレン−プロピエン−ジエン共重合体)等の弾性体を挙げることができる。
{親水性を付与すべきシール部材の箇所}
本発明において親水性を付与すべきシール部材の箇所は、シール部材全体の中でも両ガス流路を形成しているシール部材の少なくとも一部である。燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路を形成する面のうち、セパレータの基材で形成される箇所と、シール部材で形成される箇所と、の境界において、親水性に大きな差がある場合には、ガス流路を移動する生成水がシール部材に接触すると、その移動抵抗が急激に大きくなる。このため、生成水の停滞が起こりやすく、シール部材により形成されたガス流路表面の撥水性で玉状となった水によりガスの流れが抑制され、さらには排水性の低下によるフラッディング現象の誘引等から、燃料電池の発電性能が不安定となる。この点、本発明に係る燃料電池は、両ガス流路を親水性としつつ、ガス流路を形成するシール部材の少なくとも一部を親水性とし、ガス流路を移動する生成水の移動抵抗を低減させ、排出性を向上させたものである。
図5は、親水性を付与すべきシール部材の箇所として、好ましい一例を示す図である。また、図6は、図5の点線範囲の部分拡大図である。さらに、図7は、図6におけるA−A’の断面図である。
図5に示されるように、反応ガス流路の一部を形成しているシール部材のうち、親水性を付与すべき好ましい箇所としては、例えば、両ガス流路と両ガス出口連通孔との連通部(図5中の点線で囲まれた範囲P)が挙げられる。
図6に示されるように、範囲Pにおける反応ガス流路は、セパレータ基材で形成される溝部(点線範囲Qにおける溝部)と、シール部材により形成される溝部(点線範囲Rにおける溝部)と、を有する。そして、セパレータ基材で形成される溝部(点線範囲Qにおける溝部)は、親水性を有している一方で、シール部材により形成される溝部(点線範囲Rにおける溝部)は、シール部材が撥水性であることから、撥水性を有しているのが通常である。尚、点線範囲Rにおける溝部で形成される反応ガス流路は、セパレータ及び電極構造体の大きさによっては、流路内全面がシール部材で形成される場合や、一部が電極構造体で形成される場合もある。流路内全面がシール部材で形成される場合には、少なくとも溝部を親水化することによって、良好な水の排出性を確保できる。
このような反応ガス流路の内部を燃料電池の発電により生成した水が移動する際には、図5、図6に示される矢印方向に、即ち、両反応ガスの移動方向と同一方向に移動し、それぞれのガス出口連通孔からセル外部へと排水される。このとき、セパレータ基材で形成されるガス流路と、シール部材で形成されるガス流路との境界において、親水性の差が大きい場合には、流路表面と通過する水との接触角度は、急激に大きく変化してしまう。
図8及び図9は、両ガス出口連通孔との連通部付近のガス流路における、水の流れと接触角度との関係を表す図である。図8は、シール部材が撥水性である場合の図であり、図9は、シール部材が親水性である場合の図である。図8、図9におけるグラフのギャップ部分は、図6に示されるセパレータ基材で形成される溝部(点線範囲Qにおける溝部)と、シール部材により形成される溝部(点線範囲Rにおける溝部)と、の境界地点である。
図8に示されるように、シール部材が撥水性であるガス流路においては、セパレータ基材で形成される溝部(図6の点線範囲Qにおける溝部)と、シール部材により形成される溝部(図6の点線範囲Rにおける溝部)と、の境界地点においては、セパレータ基材による親水性の表面から、シール部材による撥水性の表面に変化する際の接触角度のギャップが大きい。このギャップが大きいと、水の移動抵抗が大きくなり、排出性が妨げられる場合がある。
一方で、図9に示されるように、シール部材が親水性であるガス流路においては、セパレータ基材で形成される溝部(図6の点線範囲Qにおける溝部)と、シール部材により形成される溝部(図6の点線範囲Rにおける溝部)と、の境界地点においても、セパレータ基材による表面から、シール部材による表面に変化する際の接触角度のギャップは小さい。このため、水の移動抵抗を低減することができ、その結果、良好な排出性を得ることができる。
また、反応ガス流路の一部を形成しているシール部材のうち、親水性を付与すべき好ましい箇所の別の例としては、両ガス流路が形成されている領域の境界部であるシール部材の箇所である。セパレータの外周縁部を周回するようにシール部材が配置される場合には、生産性の問題から、セパレータに設けられた反応ガス流路に、シール部材の端部が掛かる場合がある。このような場合には、ガス流路を移動する生成水は、当該シール部に接触し、当該シール部が撥水性である場合には、抵抗を受けてしまう。したがって、シール部材とセパレータ基材との境界部であって、両ガス流路に掛かる箇所については、当該シール部材を親水性とすることが好ましい。
図10は、反応ガス流路の一部を形成しているシール部材のうち、親水性を付与すべき好ましい箇所として、別の例を示す図である。図10に示されるように、反応ガス流路の側面に配置されるシール部材に親水性を付与する態様も、本発明における好ましい態様のひとつである。
[燃料電池(スタック)の製造方法]
本実施形態に係る燃料電池(スタック)10は、例えば、高分子電解質膜28をアノード電極30とカソード電極32との間に配置して電極構造体(MEA)22を得る工程と、電極構造体(MEA)22の両側にセパレータ24及び26を配置することにより、アノード電極30と第2の金属セパレータ26との間には燃料ガス流路48が設けられ、且つ、カソード電極32と第1の金属セパレータ24との間には酸化剤ガス流路46が設けられた発電セル(単セル)12を得る工程と、発電セル(単セル)12を複数積層して燃料電池(スタック)10を得る工程と、を含み、セパレータ24、26の外周縁部を周回して、シール部材54、56を設けるとともに、シール部材54、56に親水性を付与する工程をさらに含む製造方法により製造される。
また、本発明においては、1枚のセパレータの両面に、燃料ガス流路と酸化剤ガス流路をそれぞれ設けるとともに、それぞれの面の外周縁部を周回するようにシール部材を配置し、その後、電極構造体(MEA)と当該セパレータとを交互に積層する方法を挙げることもできる。尚、この場合には、必要に応じて適宜、複数のセパレータを配置し、セパレータ間に冷却媒体流路を形成する。
[セパレータの製造方法]
本実施形態にかかるセパレータ24、26の製造方法は、先ず、金属のプレスや、金属からの削りだしにより、セパレータそのものを成型する。その際、燃料ガス流路、酸化剤ガス流路、冷却媒体流路を形成するための溝部を設ける。次に、酸化剤ガス、燃料ガス、冷却媒体の漏れ止めのために必要となるシール部材を、セパレータの外周縁部を周回するように設ける。このとき、シール部材のうちで親水性とすべき箇所の接触角度と、当該箇所に隣接しているガス流路の接触角度とを、接触角度計を用いて調整しつつ、シール材を設置する。具体的には、上記した親水性を付与する方法のいずれかを用いて当該シール部材の箇所を親水性とし、隣接しているガス流路の接触角度との関係を調整する。尚、防錆性を付与するための表面処理等をさらに含んでいてもよい。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
[セパレータの成型工程]
ステンレス鋼板SUS316Lを材料とし、プレス加工で成型することにより、燃料電池用のセパレータを得た。得られたセパレータの外周縁部を周回するように、シリコーンゴムを用いた一体シール成形を行った。
[シール部材への親水性付与工程]
得られたセパレータのうち、反応ガス出口連通孔付近のガス流路を形成するシール部材に対し、下記の装置、条件によりプラズマ照射を実施した。
装置 :アネルバ社製DEM−451T
照射条件 :200W、13.56MHz、1min
<実施例2>
[セパレータの成型工程]
シリコーンゴムのかわりに、EPDMゴム(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム)を用いた以外は、実施例1と同様にセパレータの成形を行った。
[シール部材への親水性付与工程]
得られたセパレータのうち、反応ガス出口連通孔付近のガス流路を形成するシール部材に対し、クロルスルホン酸(関東化学社製)を30分間接触させることにより、塩素化処理を実施した。
<実施例3>
[セパレータの成型工程]
実施例1と同様にセパレータの成形を行った。
[シール部材への親水性付与工程]
得られたセパレータのうち、反応ガス出口連通孔付近のガス流路を形成するシール部材に対し、ポリシラザン(クラリアント社製NP−P140−01)を噴霧し、常温にて7日間放置することにより、ガラスコートの形成を実施した。
<実施例4>
[セパレータの成型工程]
シール部材の材料として、親水性添加剤を配合した下記の組成物を用いた以外は、実施例1と同様にセパレータの成型を行った。
EPDMゴム(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム):100質量部
ドデシルベンゼンスルホン酸(関東化学社製) :0.5質量部
酸化チタン :10質量部
<実施例5>
[セパレータの成型工程]
シール部材の材料として、親水性添加剤を配合した下記の組成物を用いた以外は、実施例1と同様にセパレータの成型を行った。
EPDMゴム(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム):100質量部
ドデシルベンゼンスルホン酸(関東化学社製) :0.1質量部
酸化チタン :3質量部
<実施例6>
[セパレータの成型工程]
シール部材の材料として、親水性ゴムであるビニルシリコーン(睦化学工業社製、ムツミシーグレスインジェクション)を用いた以外は、実施例1と同様にセパレータの成型を行った。
<比較例1>
プラズマ照射による親水化処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にセパレータの成形を行った。
<比較例2>
[セパレータの成型工程]
塩素化処理による親水化処理を行わなかった以外は、実施例2と同様にセパレータの成形を行った。
<評価>
[接触角度の測定]
実施例1〜6及び比較例1〜2で得られたセパレータにつき、接触角度計(協和界面科学社製、CA−X)を用いて、ガス流路を形成するセパレータ基材(ステンレス鋼板SUS316L)の表面と蒸留水との接触角度と、親水化処理を施したガス流路を形成するシール部材(シリコーンゴム)の表面と蒸留水との接触角度とを計測し、その差(Δ接触角)を得た。結果を表1に示す。
[水排水性の評価]
実施例1〜6及び比較例1〜2で得られたセパレータにより、電極構造体(MEA)を挟持し、発電セル(単セル)を作成した。セルのガス入口連通孔から50ccの水を添加し、その後、10秒間、反応ガスを掃気した。掃気後のセルの重量を測定することにより水の残存量を算出し、水排出性につき以下の評価を行った。結果を表1に示す。
○ :90%以上の水がセル外に排出されていた。
× :10%より多くの水がセル内に残留していた。
Figure 2006318691
ガス流路を形成するシール部材を親水性とした実施例1〜6においては、シール部材が撥水性である比較例1及び2と比較して、接触角度の差(Δ接触角)が小さいことが確認された。これにより、生成水の移動抵抗が小さいことが判る。また、実施例1〜6においては、いずれも水排出性が良好である一方で、比較例1及び2は、セル内への水の残留量が大きかった。これにより、ガス流路を形成するシール部材を親水性とし、セパレータ基材によって形成されるガス流路との親水性の差をある範囲内とすることにより、水の移動抵抗が低減することによる水の排出性を向上させ、その結果、燃料電池の発電安定性を確保できることが判った。
接触角を示す図である。 本実施形態にかかる燃料電池10の斜視図である。 図2に示される燃料電池10の一部切り欠き側面図である。 図2に示される燃料電池10を構成する発電セルの分解斜視説明図である。 親水性を付与すべきシール部材の箇所として、好ましい一例を示す図である。 図5における点線範囲Pの部分拡大図である。 図6におけるA−A’の断面図である。 水の流れと接触角度との関係を表す図である。 水の流れと接触角度との関係を表す図である。 親水性を付与すべきシール部材の箇所として、好ましい別の例を示す図である。
符号の説明
10 燃料電池(スタック)
12 発電セル(単セル)
12a、12b 端部発電セル
14 積層体
16a、16b ターミナルプレート
18a、18b 絶縁プレート
20a、20b エンドプレート
22 電極構造体(MEA)
24 第1の金属セパレータ
26 第2の金属セパレータ
28 高分子電解質膜
30 アノード電極(燃料極)
32 カソード電極(空気極)
40a 酸化剤ガス入口連通孔
40b 酸化剤ガス出口連通孔
42a 冷却媒体入口連通孔
42b 冷却媒体出口連通孔
44a 燃料ガス入口連通孔
44b 燃料ガス出口連通孔
46 酸化剤ガス流路
48 燃料ガス流路
50 冷却媒体流路
54 第1シール部材
56 第2シール部材
1 シール部材
2 セパレータ基材
3 反応ガス流路
4 水滴

Claims (4)

  1. アノード電極とカソード電極との間に電解質膜が配置された電極構造体と、セパレータと、が積層されて、前記アノード電極とこれに隣接するセパレータとの間に燃料ガス流路が形成され、且つ、前記カソード電極とこれに隣接するセパレータとの間に酸化剤ガス流路が形成された燃料電池であって、
    前記両電極とこれらに隣接するセパレータとの間にはシール部材が介在し、このシール部材により前記両ガス流路の一部が形成されており、
    前記両ガス流路を形成しているセパレータは、表面の水の接触角度が80度以下であり、且つ、このセパレータに隣接して前記両ガス流路を形成しているシール部材の少なくとも一部の表面の水の接触角度との差が40度以下である燃料電池。
  2. 前記両ガス流路は、前記セパレータにおいて積層方向に貫通しているガス入口連通孔及びガス出口連通孔に連通しており、前記両ガス流路を形成しているシール部材の少なくとも一部は、前記両ガス流路と前記ガス出口連通孔との連通部に配置された請求項1記載の燃料電池。
  3. 前記両ガス流路を形成しているシール部材の少なくとも一部は、前記両ガス流路が形成されている領域の境界部に配置された請求項1又は2記載の燃料電池。
  4. アノード電極とカソード電極との間に電解質膜を配置した電極構造体と、セパレータと、を積層して、前記アノード電極とこれに隣接するセパレータとの間に燃料ガス流路を形成し、且つ、前記カソード電極とこれに隣接するセパレータとの間に酸化剤ガス流路を形成する燃料電池の製造方法であって、
    前記両電極とこれらに隣接するセパレータとの間にシール部材を介在させて、このシール部材により前記両ガス流路の一部を形成し、
    前記両ガス流路を形成するセパレータの表面の水の接触角度と、このセパレータに隣接して前記両ガス流路を形成するシール部材の少なくとも一部の表面の水の接触角度との差を調整する工程を含む燃料電池の製造方法。
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