JP2006317105A - 給湯システム - Google Patents

給湯システム Download PDF

Info

Publication number
JP2006317105A
JP2006317105A JP2005141723A JP2005141723A JP2006317105A JP 2006317105 A JP2006317105 A JP 2006317105A JP 2005141723 A JP2005141723 A JP 2005141723A JP 2005141723 A JP2005141723 A JP 2005141723A JP 2006317105 A JP2006317105 A JP 2006317105A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot water
water tank
temperature
time
voltage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005141723A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiichi Tomioka
冨岡  敏一
Hiroshi Onishi
宏 大西
Masao Yamamoto
雅夫 山本
Atsushi Asaue
淳 麻植
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2005141723A priority Critical patent/JP2006317105A/ja
Publication of JP2006317105A publication Critical patent/JP2006317105A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Heat-Pump Type And Storage Water Heaters (AREA)
  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)

Abstract

【課題】水道水を水源とする貯湯槽、および貯湯槽内の水を加熱するための熱交換器を有する加熱装置を備えた給湯システムでは、熱交換器による加熱温度が比較的に低く、次亜塩素酸は分解するが、充分な加熱殺菌温度条件に達していない場合、貯湯する間に微生物が増殖する可能性がある。
【解決手段】貯湯槽内の下部に貯湯槽とは絶縁し電極を配置し、少なくとも下部内壁が金属からなる貯湯槽と前記電極との間に前記電極側を正にした電圧を印加する電圧印加手段を設け、貯湯槽内の下部の水温の履歴に応じて前記電圧印加手段を制御し、前記電極と貯湯槽との間に水道水を電解して次亜塩素酸を生成させる電圧を印加する時間tと前記電解電圧未満の電圧を印加する時間Tとを制御する制御手段を具備する。
【選択図】図2

Description

本発明は、水道水を水源とする貯湯槽、および貯湯槽内の水を加熱するための熱交換器を有する加熱装置を備えた給湯システムの改良に関する。
水道水を水源とする貯湯槽、および貯湯槽内の水を加熱するための加熱装置を備えた給湯システムについては、様々な加熱熱源を用いた機器が多く市販され、またその改良に関して多くの考案がなされてきた。
例えば、ガス燃焼式給湯システム、電気温水システムなど給湯目的のみのシステム以外に、ヒートポンプ式熱源を用いた冷房時の熱交換を利用した給湯システム、暖房と併用できる太陽熱温水器給湯システム、燃料電池の発電余熱を利用した給湯システムなどが既に開発されている。
これらの給湯システムは、一般的に高温水を貯湯し、したがって給湯水は加熱殺菌が行われているため、殺菌技術の必要性を感じない。このためあまりそのシステムに加熱以外の殺菌技術を付与した製品は知られていない。
瞬間湯沸かし器など貯湯を伴わないが、給湯に供される水について、その殺菌のために次亜塩素酸を追加し、殺菌力を向上する考案が特許文献1に開示されている。
特開2001−99486号公報
これら機器には共通した課題がある。すなわち、水道水を水源とする場合、水道水には次亜塩素酸が含まれ、その殺菌力により飲用に適した微生物増殖抑止が図られている。しかし、熱交換器により水道水が一度加熱されると、水中に含まれる次亜塩素酸は分解し、殺菌力は消滅することで微生物の増殖抑止効力も消滅する。一方、加熱による高温維持環境下での微生物の増殖抑止効力あるいは殺菌効果により、温水中の微生物の増殖は抑止される。
ここで上記機器には、大別して2つの課題がある。一つは、熱交換器による加熱温度が比較的に低く、次亜塩素酸は分解するが、充分な加熱殺菌温度条件に達していない場合、貯湯する間に微生物が増殖する可能性がある。他の一つは、一度は貯湯温度が高温に達したが、長時間保温や、流入水過多の後、何らかの都合で貯湯中に貯湯水の温度が低下し、充分な加熱殺菌温度条件を満たさない時間が継続し、かつ、次亜塩素酸濃度も低下した状態で貯湯する場合、その間に微生物が増殖する可能性がある。
本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、その目的は、給湯システムのメンテナンス性を考慮しながら、出湯する湯水が常に適正な清浄度を維持することが可能な給湯システムの提供することにある。
本発明の給湯システムは、(a)少なくとも下部内壁が金属からなる貯湯槽、(b)貯湯槽内の下部に貯湯槽とは絶縁されて設置された電極、(c)前記電極と貯湯槽との間に前記電極側を正にした電圧を印加する電圧印加手段、(d)貯湯槽の下部に接続された水供給管、(e)貯湯槽の上部に接続された給湯管、(f)熱交換器を有する管路を備え、その管路の入り口及び出口をそれぞれ前記貯湯槽の下部および上部に接続した加熱装置、(g)貯湯槽内の下部の水温を検出する温度検知手段、並びに(h)貯湯槽内の下部の水温の履歴に応じて前記電圧印加手段を制御し、前記電極と貯湯槽との間に水道水を電解して次亜塩素酸を生成させる電圧を印加する時間tと前記電解電圧未満の電圧を印加する時間Tとを制御する制御手段を具備する給湯システムであって、
前記制御手段は、時間Tを一定とし、前記温度検知手段により所定時間毎に測定される水温の時間変化を示す温度曲線の積分値に応じて時間tを可変とするように構成されている。
本発明は、また、(a)少なくとも下部内壁が金属からなる貯湯槽、(b)貯湯槽内の下部に貯湯槽とは絶縁されて設置された電極、(c)前記電極と貯湯槽との間に前記電極側を正にした電圧を印加する電圧印加手段、(d)貯湯槽の下部に接続された水供給管、(e)貯湯槽の上部に接続された給湯管、(f)熱交換器を有する管路を備え、その管路の入り口及び出口をそれぞれ前記貯湯槽の下部および上部に接続した加熱装置、(g)貯湯槽内の下部の水温を検出する温度検知手段、並びに(h)貯湯槽内の下部の水温の履歴に応じて前記電圧印加手段を制御し、前記電極と貯湯槽との間に水道水を電解して次亜塩素酸を生成させる電圧を印加する時間tと前記電解電圧未満の電圧を印加する時間Tとを制御する制御手段を具備する給湯システムであって、
前記制御手段は、時間tを一定とし、前記温度検知手段により所定時間毎に測定される水温の時間変化を示す温度曲線の積分値に応じて時間Tを可変とするように構成された給湯システムを提供する。
さらに、本発明は、(a)少なくとも下部内壁が金属からなる貯湯槽、(b)貯湯槽内の下部に貯湯槽とは絶縁されて設置された電極、(c)前記電極と貯湯槽との間に前記電極側を正にした電圧を印加する電圧印加手段、(d)貯湯槽の下部に接続された水供給管、(e)貯湯槽の上部に接続された給湯管、(f)熱交換器を有する管路を備え、その管路の入り口及び出口をそれぞれ前記貯湯槽の下部および上部に接続した加熱装置、(g)貯湯槽内の下部の水温を検出する温度検知手段、並びに(h)貯湯槽内の下部の水温の履歴に応じて前記電圧印加手段を制御し、前記電極と貯湯槽との間に水道水を電解して次亜塩素酸を生成させる電圧を印加する時間tと前記電解電圧未満の電圧を印加する時間Tとを制御する制御手段を具備する給湯システムであって、
前記制御手段は、時間(T+t)を一定とし、前記温度検知手段により所定時間毎に測定される水温の時間変化を示す温度曲線の積分値に応じて時間Tとtの比率を可変とするように構成された給湯システムを提供する。
上記制御装置によるTおよびtの制御のための前記温度曲線の積分値は、貯湯槽内の水温が、次亜塩素酸の分解開始温度以上で、水棲微生物の不活化開始温度未満を示した時間長さを基に計算されることが好ましい。この場合、水棲微生物の不活化条件以上の加熱が行われたときには、前記制御装置における温度曲線の積分値のカウントは初期に戻すことが好ましい。
また、前記温度曲線の積分値は、水棲微生物の不活化条件以上の加熱が終了した時を起点とし、Tは、貯湯槽内の水温が、次亜塩素酸の分解開始温度以上で、水棲微生物の不活化開始温度未満を示す温度範囲内における次亜塩素酸の分解想定時間より大きく、かつtは、電解により貯湯槽内に次亜塩素酸を0.1ppm以上1ppm以下の濃度に発生させるのに必要な時間とすることが好ましい。
さらに、上記水棲微生物の不活化開始条件は、温度60℃以上で10分間以上継続することであり、次亜塩素酸の分解開始温度以上、水棲微生物の不活化開始温度未満の水温は、40℃以上、60℃以下であり、次亜塩素酸の分解想定時間は少なくとも3時間であることが好ましい。
本発明は、水道水を水源とする貯湯槽、および貯湯槽内の水を加熱するための熱交換器を有する加熱装置を備え、熱交換器による加熱温度が比較的に低く、次亜塩素酸は分解するが、充分な加熱殺菌温度条件に達していないような給湯システムに好適に用いられ、常に適正な清浄度を維持する湯水を供給することができる。
また、本発明による給湯システムでは、貯湯槽の水温の低い部分の器壁凹凸部および間隙に、微生物の増殖付着を防止することができる。上記間隙などに付着した微生物は、貯湯水に次亜塩素酸を添加しても、微生物が窪地に存在するため、微生物近傍に次亜塩素酸が拡散しにくく、微生物の増殖を抑止することが難しい。また、上記間隙などに付着した微生物は、貯湯水温を上昇させても、器壁の熱伝導により貯湯水温よりさらに放熱の影響を受け、微生物の生育環境温度は増殖抑止温度まで上昇できない可能性が高い。
しかし、本発明によれば、定期的な次亜塩素酸の供給時以外は、電気分解開始電圧未満の電圧を印加することで、微生物の器壁への付着を防止できる。すなわち、微生物は本質的に負に帯電していることを利用し、貯湯槽の器壁を負極として電圧印加することで、微生物を正極に誘引し、負極から反発させる方向に力が作用し、貯湯槽の器壁、特に、貯湯槽の水温の低い部分の器壁凹凸部および間隙も含め、微生物の付着が防止できる効果が得られる。
さらに、周期的に次亜塩素酸を貯湯槽内に生成させることで、水中の微生物に殺菌作用を発揮し、槽内の清浄度を向上する効果を発揮できる。また、貯湯槽内の陽極電極を、槽内の最も水温の低い部分に配置することで、陽極電圧に近い貯湯槽の器壁に微生物の付着防止効果を発揮し、槽内の最も微生物の増殖の可能性の高い部分の清浄度を向上できる効果が得られる。
本発明は、貯湯槽内の下部に貯湯槽とは絶縁された電極を配置し、少なくとも下部内壁が金属からなる貯湯槽と前記電極との間に前記電極側を正にした電圧を印加する電圧印加手段を設け、貯湯槽内の下部の水温の履歴に応じて前記電圧印加手段を制御し、前記電極と貯湯槽との間に水道水を電解して次亜塩素酸を生成させる電圧を印加する時間tと前記電解電圧未満の電圧を印加する時間Tとを制御する制御手段を具備することを特徴とする。
具体的には、加熱装置が動作しているときの熱交換器の出口水温は70℃未満の給湯システムで、電圧印加手段は、貯湯槽の水温の最も低い部分に電気分解により生成される次亜塩素酸を供給する。
水道水中には若干であるが塩素成分が含まれることが公表資料により明らかになっている。また、添加された次亜塩素酸が水道水中で分解されることにより、塩素成分を生成することで水道水中の塩素成分は追加される。実際には、添加された次亜塩素酸から生じるよりは遙かに多い塩素成分が、水道水中には存在することが前記資料から読み取ることができる。このため、安定して次亜塩素酸を水道水の電気分解により生成し、供給することが可能である。以下にその電気分解により次亜塩素酸を生成する反応式を示す。
陽極反応:2Cl- → Cl2 + 2e- (E0=1.359V) (1)
陰極反応:2H+ + 2e- → H2(g) (2)
電解を続けると、溶液中のOH-は陽極側へ移動し、陽極で生成したCl2と反応し、次亜塩素酸を生成する。
Cl2 + 2OH- → ClO- + Cl- + H2O (3)
給湯システムに供給される水道水には、長い供給管路の間での微生物の増殖を抑止するために水道法規定量の遊離塩素成分、すなわち次亜塩素酸塩あるいは次亜塩素酸イオンが添加されている。
しかし、給湯システムの中で加熱される際に、式(4)に示すように、加熱により次亜塩素酸は分解される。
2HClO → 2HCl + O2 (4)
一方、給湯システム内部に残留するごく僅かな微生物は、次亜塩素酸殺菌成分が分解されると、給湯システム内部の貯湯温度の低い部分などで増殖する可能性がある。あるいは、水道水中にごく希に含まれる微生物も同じく、次亜塩素酸殺菌成分が分解されると、給湯システム内部の貯湯温度の低い部分などで増殖する可能性がある。これらを防止するため、給湯システム内部の貯湯温度の低い部分に、電気分解開始電圧未満の電圧を印加することで、微生物の本来帯電している電荷を利用し、貯湯槽壁を陰極に電圧印加することで、貯湯槽壁に対する微生物の付着を防止する効果がある。
すなわち、電気分解開始電圧以上の電圧では、上記反応式(1)〜(3)に示す次亜塩素酸の生成を促進し、電気分解開始電圧未満の電圧印加では、当然上記反応式(1)〜(3)に示す次亜塩素酸の生成は行われず、貯湯槽水中に漂う微生物の誘引を行い、微生物の貯湯槽壁への付着を防止する作用を発揮する。
さらに、上記反応式(2)で水素ガスが副生成物として生成する。この生成量は、次亜塩素酸の発生量を制限するため、副生成物の発生も極微量ではあるが生成する。一方、水道水の加熱に伴い、水道水中に溶存していた空気も加熱による溶解度の低減に伴い気泡化する。これら気泡は、貯湯槽から配管中に移動するに従い上部に溜まったり、ウオーターハンマー現象を引き起こしたりするなどの不都合を生じるため、貯湯槽頂部に設けられた空気抜き弁により系外に自動放出されるようにするのが好ましい。極微量ながら発生した水素気泡も、全て空気気泡と同様に自動排出されるようにするのが好ましい。この排出に際しては、微量でかつ濃度も低いため爆発・引火等のおそれもない。
水の電気分解開始電圧は、一般的に1.23Vとされている。本発明において微生物誘引のために印加される電気分解開始電圧未満の電圧は、1.2V以下で、特に0.7〜1.0Vにおいて顕著な誘引が認められる。以下の実施例においては、0.7Vを印加した例について説明する。
一方、電気分解のためには上記電気分解開始電圧より高い電圧印加が必要で、具体的には電解電圧と平衡電圧との差として過電圧が最低0.5V程度必要なため、実際の印加電圧は1.7V以上が望ましい。具体的には2V〜30V程度の電圧を印加し、次亜塩素酸を効率的に生成させることが望ましい。
次に、電気分解を行うタイミングについてその動作原理と共に説明する。
電気分解を行うタイミングは、貯湯槽内に流入あるいは残存する雑菌が繁殖しかける時間長さだけ電気分解をせずに、短時間電気分解を行うことで、貯湯槽内に次亜塩素酸を発生させ、雑菌の増殖抑止を行わせるタイミングの取り方が基本である。
ここで、電気分解をしない時間、すなわち休止時間(T)と、電気分解を行わせる時間(t)の計算方法についてその考え方を示す。
まず、休止時間について、その時間が長すぎると雑菌が増殖しすぎて殺菌しにくくなる点、雑菌増殖に伴う生成代謝物などで臭いやヌメリが発生し、電気分解で対応できにくくなる点、貯湯槽中の雑菌濃度が高くなることで水の衛生管理に問題が発生する点などで、休止時間の上限を考慮する必要がある。
貯湯槽内の生菌数に関してその許される上限値として、100CFU/ml(CFU=コロニーフォーミングユニット)等の数値が多く使用されている。この実情から貯湯槽内に殆ど雑菌の存在しない状況、すなわち1CFU/ml未満から、約100倍に増殖するという基準を想定し、清潔性を維持する環境、すなわち貯湯槽水中の雑菌が活発化し、上記基準より増殖し過ぎない休止時間になるようタイミングを取らなければならない。
次に、雑菌の増殖の度合いについて説明する。貯湯槽内には様々な雑菌の繁殖が予想される。その典型的なものは、水棲細菌で、実際の貯湯槽内からサンプリングした細菌の増殖状況を図1に示すと共に、その活性度などを用いて説明する。
図1は、貯湯槽内に生息する典型的な雑菌の活性度の異なる状態での時間経過に伴う増殖状態を示す。縦軸は単位水中での生菌数を対数軸で示し、横軸は経過時間を示す。雑菌は活性度の低い状態(菌I)、すなわち低温域で低い増殖率を示す。太い実線でその測定値を示し、細い実線でその近似曲線を示し、かつその近似曲線の数式をその傍らに示す。
次に、活性度の高まった状態(菌II)、すなわち適温域では高い増殖率を示す。同様にその測定値、近似曲線およびその数式を示す。
近似式は次式で示される。
y=Ae(B×T) (5)
y:生菌数
A:初期菌数
B:温度に起因する活性度
T:経過時間
水中の雑菌数は、時間の経過と共に増殖し、その増殖速度は水温に起因する活性度因子によって異なり、活性度の高いほど増殖速度は増加することを、この式(5)は示す。すなわち、貯湯槽中の雑菌による増殖温度依存性を把握することで、貯湯槽内の雑菌数は、水温の履歴と経過時間を測定することでおよそ推定することができる。
貯湯槽内の雑菌は、殺菌剤として有効な次亜塩素酸が存在する場合、増殖は極めて低いかまたは死滅する。しかし、次亜塩素酸が分解する40℃を越える温度域では、温度の上昇と共に活性度は高まり、生菌数は増加する傾向にある。しかし、60℃でその活性度は急速に低下し、60℃以上では温度による死滅領域に入る。
図1に示すように、菌の増殖は、その活性度に応じて対数増加し、生息環境温度が与えられることで、一定期間後の生菌数/増殖率の近似ができる。もちろん菌の種類によりその増殖率も異なるが、経験的による近似あるいは使用される水系に応じた概算に危険率を乗じた推定により、貯湯槽内の生菌数は上記考え方により推定できる。
次に、電気分解のタイミングとして、電気分解時間について説明する。
貯湯槽内に設けた電極と貯湯槽の器壁からなる電極との間に印加する電圧あるいは電流により、貯湯槽内に残留あるいは溶解している塩素成分が電気分解されて次亜塩素酸を生成し、貯湯槽内に供給される。実際には約22Vの電圧を電極間に印加し、約2Aの電流を流して電気分解させた場合、約10分間で、約200mlの溶液中に約500ppm濃度の次亜塩素酸を生成させることができる。
この次亜塩素酸濃度にも一般的に許される生菌数の上限があり、飲用などの供給水の衛生的管理として水中濃度は0.1〜1ppmの範囲に管理することが望まれている。また、高濃度になるに従い金属構造物の腐食が進行することからも、次亜塩素酸の適正濃度管理が推奨されている。上記考え方からも電気分解時間(t)は、次亜塩素酸の管理濃度に応じて決定される。
以上の考え方から、実際の休止時間と電気分解時間を含めたタイミングの決め方は、以下の3つの考え方のいずれかを用いる。
1)ある想定される休止時間(T)を一定とし、休止時間Tの間に増殖されるであろう菌数を計算する。この計算は、その休止時間の温度を測定し、所定時間毎に測定される水温の時間変化を示す温度曲線の積分値に応じて前述の近似式によりBを決定し、休止時間Tを代入して増殖されるであろう菌数を推定計算する。この菌数に応じた次亜塩素酸量、すなわち電気分解時間tを算出することで、電気分解タイミングを決める。毎回貯湯槽の温度を測定することでこれが繰り返される。
2)次亜塩素酸濃度の適正管理から、電気分解時間tが計算され、これを一定とし、測定される貯湯槽水温により、休止時間Tを決定する。すなわち、貯湯槽内の菌数を殆ど0とする次亜塩素酸濃度になるよう電気分解を行った後、前記近似曲線を利用して一般的に許される生菌数の上限近くに生菌数が増殖する時間が推定できる。これに危険率などを乗じて休止時間を推定する。休止時間終了後に電気分解を行い、再び生菌数を極めて低くさせる。この一連の工程を繰り返すことで、貯湯槽内の雑菌数の低減を図ることができる。
3)上記1)および2)では、初期菌数は殆ど少ない点から、一般的に許される生菌数の上限に近づく点まで、貯湯槽内の菌数は増加した後、電気分解で発生した次亜塩素酸による殺菌を行って菌数減少を図り、再び時間経過とともに一般的に許される生菌数の上限近くの点まで菌数が増加することが繰り返される。すなわち、2点の往復幅が極めて大きい管理である。そこで上記2点の考え方を取り入れ、休止時間Tと電気分解時間tについて、いずれか一方の変数を固定した方法で他の変数を決定する。
一方、貯湯槽は生活のリズムに応じてその使用方法にはサイクルがある。例えば朝洗顔し、夜風呂に入るなどのリズムにより、貯湯槽内の水温にリズムが現れることが多い。そのリズムに合わせたタイミングの取り方を提案するのがこの第3の方式である。
上記変数の決定により、t/Tの値を求める。次にt+Tの値を求める。このt+Tが生活のリズムと同期していない場合、生活のリズムを本方式タイミングの繰り返し周期とし、t+Tが生活リズムの周期より長い場合、そのリズムの中でt+Tを分割して実施させる。すなわち第3の本方式は、t/Tの比率が同じになるよう生活リズムの周期で分割休止時間と電気分解時間を計算し、それぞれの工程を繰り返し行う方式を提供するものである。
本発明において、上記の休止時間(T)および電気分解実行時間(t)は、以下のようにして求めるのが好ましい。
休止時間を求める際には、貯湯槽内で増殖する菌数は、温度に関係する増殖係数に経過時間を乗じた数値の指数関数として推定される。この増殖菌数が初期菌数(1未満)の100倍という基準を超えない菌数として菌数維持される条件下で上記経過時間を決定する。
一方、電気分解実行時間は、貯湯槽水温と次亜塩素酸の分解が始まる温度のそれぞれの対数値の差に、貯湯槽水温が次亜塩素酸の分解開始温度以上になった時間長さを乗じた数値に比例して決定される。
以下、実施の形態を詳細に説明する。
実施の形態1
図2は、本実施の形態の給湯システムの概略構成を示す図である。
貯湯槽1は、その内部に湯水を満水の状態で貯留している。この湯水は、上下の対流が生じにくい状態で貯湯されているため、上部が高温の湯で、下部ほど湯温が低下する積層状態となっている。貯湯槽1の湯は、給湯管4および給湯元バルブ5を経由して、利用者に給湯される。一方、貯湯槽1の底部には、給湯した湯水の分だけの水道水が、市水管2および市水元バルブ3を経由して供給される。
貯湯槽1内の水を加熱する加熱装置6は、ポンプ8および熱交換器9を有する管路7を備え、その管路の入り口7aおよび出口7bをそれぞれ貯湯槽1の下部および上部に接続している。
貯湯槽1内には、その水温の低い位置、すなわち貯湯槽底部に温度センサー10が取り付けられており、貯湯槽内の水温の推移を監視できる構成となっている。
貯湯槽1の水温の低い位置、すなわち貯湯槽底部には、耐食性の優れた金属で構成された陽極電極11が、貯湯槽構成部材の金属と電気的に絶縁するための電気絶縁材12を介して取り付けられている。13は貯湯槽構成部材の金属からなる電極を表しており、この例では貯湯槽の内面のほぼ全体が電極として働く。
上記の電極11と13との間に電圧を印加させる制御装置14は、温度センサー10、電極11、および貯湯槽構成金属で構成される電極13と接続されており、温度センサー10からの信号に応じて、印加する電圧およびそのタイミングを制御する。
次に、貯湯槽内部の湯水中に含まれる微生物の増殖の可能性と、殺菌成分を追加するための電気分解工程の時間などについて説明する。
電気分解の作動時間は、貯湯槽の水温変化の履歴により決定される。すなわち、貯湯槽1に設けられた温度センサー10からの信号を制御装置14に取り込み、水温変化の履歴に応じた電圧印加のタイミングを算出し、電極11と13間に印加する電圧を制御する。
表1は、現象を客観的に把握できる諸元に対する、貯湯槽中の微生物増殖の可能性、および処置するべき電気分解の時間について、その組み合わせをまとめたものである。すなわち表中の貯湯槽中の水温の変化については、その平均的な水温として、微生物の生育上限温度(水棲微生物の不活化開始温度未満)と、市水温度の間で、温度の高低を記した。
また、加熱のための熱交換器の稼働状態を示すファクターとして、熱交換器の状態に応じて稼働するポンプの稼働状態をフル稼働と停止状態の間で、稼働状態の高低を記した。
さらに、市水/次亜塩素酸を含む水道水の流入状態、すなわち貯湯槽の湯水の使用量の大小を高低として記した。
Figure 2006317105
上記諸元(貯湯槽中の水温、熱交換器の稼働状態、水道水の流入状態)について、その組み合わせを表記し、その中から起こりえない組み合わせを排除した後、貯湯槽中の微生物増殖の可能性について、過去の実例を参考に検討した。また、貯湯槽中の微生物増殖の可能性に対する対応として、次亜塩素酸供給のための電気分解工程の所要時間について参考に記入した。
その結果、表1より貯湯槽中の水温の低い場合に、微生物の増殖の可能性が高いことがわかる。希な例として、貯湯槽中の水温が低く、水道水の流入の少ない場合、すなわち熱交換器および湯水の使用の双方が少ない場合、貯湯水中の微生物の増殖が高い可能性がある。
貯湯槽中の微生物増殖の可能性は、貯湯槽中の水温の変化に最も影響を受けることがわかり、電気分解により生成される次亜塩素酸の量、すなわち電気分解時間の長さは、貯湯槽中の水温の変化により決定できる。
具体的には、貯湯水中の水温が低い場合、電気分解時間の長さをその水温の低さに応じて長くする。より精度を増すために、貯湯水中の水温が低く、かつ水道水の流入量の少ない場合、電気分解時間の長さを長くする必要がある。
貯湯槽内の水温については、下限および上限を次亜塩素酸の分解開始温度以上、水棲微生物の不活化開始温度未満(微生物生育上限温度)とし、その温度に応じて、電気分解時間の長さを長くする。すなわち、電気分解時間の長さは、基本的に次式により求められる。
t=K×[Log(Wt)−Log(Dt)]×[Tp] (6)
t:電気分解時間長さ
K:定数(貯湯槽の大きさ、貯湯槽使用環境により決定される)
Wt:貯湯槽水温
Dt:次亜塩素酸の分解開始温度(40℃)
Tp:次亜塩素酸の分解開始温度以上になったとき以降の経過時間
あるいは、水棲微生物の不活化開始温度(60℃)未満になった以降の経過時間、すなわち次亜塩素酸の分解開始温度以上になった以降の経過時間、あるいは、水棲微生物の不活化開始温度(60℃)未満になった以降の経過時間を横軸とし、縦軸に貯湯槽の水温を記した際の積分面積値により、電気分解時間の長さ(t)は決定される。
より精度を増す条件として、次亜塩素酸の分解開始温度以上、微生物の生育上限温度以下の条件で、一日当たりの水道水の流入量が貯湯槽の貯水容量の少なくとも10%未満の場合は、貯湯槽中の次亜塩素酸濃度が0.1mg/L以下に低下している可能性がある。上記条件では、微生物増殖の可能性が懸念されるため、次亜塩素酸補給のために、電気分解時間の長さを最長の80%程度に長くする必要がある。
上記両電極間に印加する電圧の制御について図3と共に説明する。
両電極間に印加する電圧の制御は、一定時間周期で繰り返し電気分解を行う工程を実施し、電気分解工程の長さは、貯湯槽内の水温が、次亜塩素酸の分解開始温度以上、微生物生育上限温度以下(水棲微生物不活化開始温度未満)を示した時間長さを基に比例計算するものとする。電気分解工程以外の時間は、電気分解開始電圧以下の電圧を両極に印加する。
具体的には、上記比例計算に基づき、貯湯槽内に次亜塩素酸を0.1ppm以上(0.1mg/L以上)で、1ppm以下の濃度に発生させるのに必要な時間電気分解の動作をさせる。
図3の21は貯湯槽内温度の履歴を表す曲線であり、22は微生物生育上限温度を示す。23は貯湯槽内の水棲微生物数を示す曲線である。24は貯湯槽の両電極間に印加される電圧、25は電気分解開始電圧を示す。
以下、本実施の形態の具体的な動作について、図3と共に説明する。
まず、貯湯槽を清浄化することで、貯湯槽内の菌数がほとんど無くなった時点、もしくは貯湯槽が40℃以下の低温に保たれ、市水の導入により市水中の次亜塩素酸濃度により貯湯槽内の菌数がほとんど無くなった時点、あるいは微生物の生育上限温度(60℃)を超える貯湯槽の稼働状態であり、いずれも貯湯槽内の菌数がほとんど無くなった時点Sを起点とする。
その後、貯湯槽が稼働しているが、微生物の生育上限温度を超える貯湯槽の稼働状態ではなく、貯湯槽内の水温が、次亜塩素酸の分解開始温度以上、微生物の生育上限温度以下で稼働し続ける。一定周期T時間毎にt分間電気分解が行われることで、T時間中に増殖しかける貯湯槽内の微生物数はt分間の電気分解により生成した次亜塩素酸の殺菌作用により低減する。以降この工程を繰り返す。この場合、電気分解の時間長さは、その前の水温履歴により変動する。この点から図3には電気分解時間の長さをt、t、tと記載した。
なお、電気分解を実施している以外の時間においては、貯湯槽内の両電極間には電気分解開始電圧未満の電圧が印加されており、貯湯槽内の微生物が、貯湯槽内底部の金属表面や間隙に付着することを防止している。
ここで、上記水棲微生物の不活化条件、すなわち微生物の生育上限温度は60℃以上、かつ10分間以上であり、次亜塩素酸の分解開始温度以上、水棲微生物の不活化開始温度未満の水温は40℃以上60℃未満である。また、かかる条件下での貯湯槽水中の次亜塩素酸の分解想定時間は3時間以上であることから、Tは3時間以上とし、具体的には貯湯槽内への市水流入の少ない時間帯で、かつ一日の決まった時間帯に電気分解を実施させることが望ましく、Tを24時間として深夜の湯水の最も使用量の少ない時間帯を選択することも可能である。
また、電気分解の時間については、電極の材料により多少異なるが、貯湯槽の貯水容量が300Lの場合で、電気分解は10分間程度(電気分解消費電力約40W)で、本実施の形態の微生物増殖を抑止することができた。陽極電極については、耐食性の材質特性を求められるが、白金系金属表面の電極など、市販の食塩水電気分解用の陽極材料であれば、利用可能である。
本実施の形態において、電気分解時間の長さをその前の水温履歴により変動する方式について説明したが、電気分解時間を変えずに電気分解の電流を制御することで、生成する次亜塩素酸量を制御することも可能である。
微生物の増殖抑制状況を表2に示す。表2は、貯湯槽に設置された点検口から、点検口部材を消毒した上で滅菌容器に貯湯槽内部の湯水を採取し、各項目の性状を測定した測定結果である。
水道法で定められた微生物の増殖に関して、異常は発生しておらず、安全性については全く問題がない。しかし、清浄性を表す目安として用いられる、水道法で規定されていない従属栄養細菌について、その増殖を観察した結果も併記した。
具体的には、一般細菌数、大腸菌群細菌数、レジオネラ細菌、および従属栄養細菌数について測定した。サンプリング時の貯湯槽内から採取直後の水温、遊離残留塩素濃度(次亜塩素酸量)も参考値として併記した。
Figure 2006317105
この表からも、本実施の形態1の給湯システムを実行した給湯システムにより清浄な湯水を供給できることがわかる。
ここで比較例として用いた給湯システムは、電解用電極を具備しない他は実施の形態1と同じ構成を有し、ほぼ同じ使用環境下で稼働している給湯システムを用いた。
本実施の形態1では、陰極として貯湯槽構成部材の金属に接続する例を挙げて説明したが、貯湯槽がFRPおよびプラスチックなどで構成される場合を含み、貯湯槽内部に陽極電極と電気的に絶縁された位置に陰極電極を配置しても差し支えない。特に、陽極より一定距離離れた位置に、板状に敷設された陰極電極であっても、本実施の形態と同様な貯湯槽内の清浄性が発揮できる。すなわち、細菌は、その表面が負に帯電するため、陽極に誘引される。したがって、プラスチック製の貯湯槽では、底部に陰極電極を敷設し、そこから一定距離離れた貯湯槽水中に陽極電極を陰極電極と絶縁して設置する。このような構成により、雑菌を貯湯槽の底から陽極電極に向かわせ、貯湯槽底から引き離すことができる。しかし、貯湯槽壁への微生物の付着をよりよく防止するには、微生物の生育温度となる貯湯槽の下部内壁を陰極として働く金属で構成することが好ましい。
実施の形態2
本実施の形態2の給湯システムは、実施の形態1と構成は同じである。
本実施の形態の給湯システムにおける両電極への電圧印加の制御について図4と共に説明する。
両電極11、13間に印加する電圧の制御は、水棲微生物の不活化条件の加熱が終了した時Sを起点とし、次亜塩素酸の分解開始温度以上、水棲微生物の不活化開始温度未満の水温が次亜塩素酸の分解想定時間以上を経過した時間から、その積分値を計算し、実施の形態1と同様にその面積値に比例して、上記休止時間を短縮制御して繰り返し動作させる。
制御装置による制御は、電気分解休止時間(T)を可変とし、次亜塩素酸の分解を想定される時間を経緯した時点で、電解により貯湯槽内に次亜塩素酸を0.1ppm以上、1ppm以下の濃度に発生させるのに必要な時間(t)を定める。
水棲微生物の不活化条件は温度60℃以上を10分間以上継続することであり、次亜塩素酸の分解開始温度以上および水棲微生物の不活化開始温度未満の水温は40℃以上および60℃未満であり、次亜塩素酸の分解想定時間(T)は3時間以上で、水温の履歴で計算される時間(T、T、Tと記載)である。
微生物の増殖抑制状況を表2に示す。表2は、貯湯槽に設置された点検口から、点検口部材を消毒した上で滅菌容器に貯湯槽内部の湯水を採取し、各項目の性状を測定した測定結果である。この表からも、本実施の形態2の給湯システムを実行した給湯システムにより清浄な湯水を供給できることがわかる。
実施の形態3
本実施の形態3は、上記した電気分解時間と休止時間の制御についての前記第3の方式であり、電気分解のための電圧印加時間は一定で、その休止時間の合計を上記貯湯槽水温変化の履歴により制御する給湯システムである。
本実施の形態3の給湯システムは、図5に示すように、一部の機能を追加した他は実施の形態1とほぼ同じ構成である。市水管2に水道水の流入量を検知する検知装置としての水量計15を設け、水量計15で検知した水道水の流入量を電気分解工程のタイミング情報として付加できるようにしている。図2と同じ構成要素には同じ番号を付し、説明は省略する。
上記のように、貯湯槽内の水温が低く、かつ水道水の流入の少ない場合、すなわち熱交換器および湯水の使用の双方が少ない場合は、貯湯水中の微生物の増殖の可能性が高い。本実施の形態においては、そのような場合には、電気分解時間の長さをその水温の低さに応じて長くする。より精度を増すために、貯湯水中の水温が低く、かつ水道水の流入の少ない場合、電気分解時間の長さを長くする必要がある。実際的には、貯湯槽内の次亜塩素酸量あるいは微生物量の制御としてより精度を増す条件として、次亜塩素酸の分解開始温度以上、微生物生育上限温度未満の条件で、1日当たりの水道水流入量が貯湯槽の貯水容量の少なくとも10%未満の場合は、貯湯槽中の次亜塩素酸濃度が0.1mg/L以下に低下している可能性がある。このような条件では、微生物増殖の可能性が懸念される。そこで、次亜塩素酸補給のために、電気分解時間の長さを最長の80%程度に長くすることが望ましい。
上記制御を可能とするため、図5の15に示す水道水流入量を検知する検地装置として、水量計を設置し、その出力を制御装置14に入力させることで上述の制御を行う。
本実施の形態の給湯システムにおいて両電極間に印加する電圧の制御について図6と共に説明する。
貯湯槽内の水温の履歴を基に、単位期間当たりの電気分解による次亜塩素酸の補給量を算出する。一方、きめ細かく次亜塩素酸の補給を行うため、単位期間当たりの電気分解の実行回数を決定する。この決定により、電気分解の休止時間(T)が計算される。
先に算出した、「単位期間当たりの電気分解による次亜塩素酸補給量」を基に、電気分解による次亜塩素酸の発生能力から、電気分解の実行時間(t)が算出される。
すなわち、図6に示すように、個々の休止時間(T0)の合計は総休止時間(=ΣT0=T)を示し、個々の電気分解の実行時間(t0)の合計(=Σt0=t)で発生させることのできる次亜塩素酸量が、前記「単位期間当たりの電気分解による次亜塩素酸の補給量」である。
この電気分解の個々の休止時間(T0)と個々の電気分解の実行時間(t0)のタイミングで電気分解を実行することできめ細かい微生物の増殖抑止が可能となる。
実施の形態1および2では、電気分解以外の時間には両電極間に電気分解開始電圧未満の電圧を印加し、貯湯槽の筐体、特に陽極近傍の筐体底部への微生物の付着を抑制するようにした。
しかし、実施の形態3では、きめ細かい制御で電気分解を実行するため、陽極近傍で実施の形態1あるいは2と比較して総電気分解時間は同じであるが、次亜塩素酸の濃度を実質的に高水準で維持できる。したがって、電気分解以外の時間における両電極間に電気分解開始電圧未満の電圧を印加するのを、短時間中断することができる。
すなわち、電気分解実施の直後、貯湯槽の筐体、特に陽極近傍の筐体底部への微生物の付着を抑制のための電気分解開始電圧未満の電圧印加を中止し、短時間の中止以降、電気分解開始電圧未満の電圧印加を再開することで、次亜塩素酸イオンの貯湯槽内への拡散を図ることができる。
上記水棲微生物の不活化条件は、温度60℃以上で10分間以上継続することであり、次亜塩素酸の分解開始温度以上および水棲微生物の不活化開始温度未満の水温は、それぞれ40℃以上および60℃未満である。
実際的な稼働の実例を示すと、図6に示す貯湯槽稼働の条件における具体的な次亜塩素酸の分解想定時間は3時間以上で、水温の履歴で計算される次亜塩素酸発生のための総電気分解時間は10分間程度/日であった。このことから電気分解の実施周期(T)は1時間、電気分解実施時間は30秒間、電気分解開始電圧未満の電圧印加休止時間は3分間として、両電極間への電圧印加を制御することで、貯湯槽内部の微生物増殖を抑制した。
貯湯槽内水中の微生物の増殖抑制状況を表2に示す。表2は、貯湯槽に設置された点検口から、点検口部材を消毒した上で滅菌容器に貯湯槽内部の湯水を採取し、各項目の性状を測定した測定結果である。この表からも、本実施の形態3の給湯システムにより清浄な湯水を供給できることがわかる。
本発明の給湯システムは、貯湯槽内の水を加熱するための熱交換器の出湯温度の低い加熱源を有する給湯システムに特に有用である。また、加熱源の出湯温度は高いが、頻繁に加熱およびシステムの一部機能を停止したり、貯湯温度の低下する可能性のある給湯システム、太陽光を熱源として、加熱源の継続性に不安定な給湯システムにおいて、貯湯槽内部の清浄性維持に有用である。
貯湯槽内に生息する雑菌の異なる活性度状態での時間経過に伴う増殖状態を示す説明図である。 本発明の実施の形態1の給湯システムの構成を示す図である。 本発明の実施の形態1の給湯システムにおける動作を説明する図である。 本発明の実施の形態2の給湯システムにおける動作を説明する図である。 本発明の実施の形態3の給湯システムの構成を示す図である。 本発明の実施の形態3の給湯システムにおける動作を説明する図である。
符号の説明
1 貯湯槽
2 市水管
3 市水元バルブ
4 給湯管
5 給湯元バルブ
6 加熱装置
7 管路
8 ポンプ
9 熱交換器
10 温度センサー
11 陽極
12 絶縁材
13 貯湯槽構成部材の金属(陰極)
14 制御装置
15 水量計
21 貯湯槽内温度の履歴を表す曲線
22 微生物の生育上限温度
23 貯湯槽内の水棲微生物数の推移を示す曲線
24 貯湯槽内の両電極間に印加される電圧を示す線
25 電気分解開始電圧

Claims (6)

  1. (a)少なくとも下部内壁が金属からなる貯湯槽、(b)貯湯槽内の下部に貯湯槽とは絶縁されて設置された電極、(c)前記電極と貯湯槽との間に前記電極側を正にした電圧を印加する電圧印加手段、(d)貯湯槽の下部に接続された水供給管、(e)貯湯槽の上部に接続された給湯管、(f)熱交換器を有する管路を備え、その管路の入り口および出口をそれぞれ前記貯湯槽の下部および上部に接続した加熱装置、(g)貯湯槽内の下部の水温を検出する温度検知手段、並びに(h)貯湯槽内の下部の水温の履歴に応じて前記電圧印加手段を制御し、前記電極と貯湯槽との間に水道水を電解して次亜塩素酸を生成させる電圧を印加する時間tと前記電解電圧未満の電圧を印加する時間Tとを制御する制御手段を具備する給湯システムであって、
    前記制御手段は、時間Tを一定とし、前記温度検知手段により所定時間毎に測定される水温の時間変化を示す温度曲線の積分値に応じて時間tを可変とするように構成された給湯システム。
  2. (a)少なくとも下部内壁が金属からなる貯湯槽、(b)貯湯槽内の下部に貯湯槽とは絶縁されて設置された電極、(c)前記電極と貯湯槽との間に前記電極側を正にした電圧を印加する電圧印加手段、(d)貯湯槽の下部に接続された水供給管、(e)貯湯槽の上部に接続された給湯管、(f)熱交換器を有する管路を備え、その管路の入り口および出口をそれぞれ前記貯湯槽の下部および上部に接続した加熱装置、(g)貯湯槽内の下部の水温を検出する温度検知手段、並びに(h)貯湯槽内の下部の水温の履歴に応じて前記電圧印加手段を制御し、前記電極と貯湯槽との間に水道水を電解して次亜塩素酸を生成させる電圧を印加する時間tと前記電解電圧未満の電圧を印加する時間Tとを制御する制御手段を具備する給湯システムであって、
    前記制御手段は、時間tを一定とし、前記温度検知手段により所定時間毎に測定される水温の時間変化を示す温度曲線の積分値に応じて時間Tを可変とするように構成された給湯システム。
  3. (a)少なくとも下部内壁が金属からなる貯湯槽、(b)貯湯槽内の下部に貯湯槽とは絶縁されて設置された電極、(c)前記電極と貯湯槽との間に前記電極側を正にした電圧を印加する電圧印加手段、(d)貯湯槽の下部に接続された水供給管、(e)貯湯槽の上部に接続された給湯管、(f)熱交換器を有する管路を備え、その管路の入り口および出口をそれぞれ前記貯湯槽の下部および上部に接続した加熱装置、(g)貯湯槽内の下部の水温を検出する温度検知手段、並びに(h)貯湯槽内の下部の水温の履歴に応じて前記電圧印加手段を制御し、前記電極と貯湯槽との間に水道水を電解して次亜塩素酸を生成させる電圧を印加する時間tと前記電解電圧未満の電圧を印加する時間Tとを制御する制御手段を具備する給湯システムであって、
    前記制御手段は、時間(T+t)を一定とし、前記温度検知手段により所定時間毎に測定される水温の時間変化を示す温度曲線の積分値に応じて時間Tとtの比率を可変とするように構成された給湯システム。
  4. 前記温度曲線の積分値は、貯湯槽内の水温が、次亜塩素酸の分解開始温度以上で、水棲微生物の不活化開始温度未満を示した時間長さを基に計算されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の給湯システム。
  5. 前記温度曲線の積分値は、水棲微生物の不活化条件以上の加熱が終了した時を起点とし、Tは、貯湯槽内の水温が、次亜塩素酸の分解開始温度以上で、水棲微生物の不活化開始温度未満を示す温度範囲内における次亜塩素酸の分解想定時間より大きく、かつtは、電解により貯湯槽内に次亜塩素酸を0.1ppm以上1ppm以下の濃度に発生させるのに必要な時間とすることを特徴とする請求項4に記載の給湯システム。
  6. 前記水棲微生物の不活化開始温度条件は60℃以上で10分間以上継続することであり、次亜塩素酸の分解開始温度以上、水棲微生物の不活化開始温度未満の水温は40℃以上60℃未満の水温であり、次亜塩素酸の分解想定時間は少なくとも3時間である請求項5に記載の給湯システム。
JP2005141723A 2005-05-13 2005-05-13 給湯システム Pending JP2006317105A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005141723A JP2006317105A (ja) 2005-05-13 2005-05-13 給湯システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005141723A JP2006317105A (ja) 2005-05-13 2005-05-13 給湯システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006317105A true JP2006317105A (ja) 2006-11-24

Family

ID=37537937

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005141723A Pending JP2006317105A (ja) 2005-05-13 2005-05-13 給湯システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006317105A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008218354A (ja) * 2007-03-07 2008-09-18 Toshiba Corp 燃料電池発電システム
JP2010255874A (ja) * 2009-04-22 2010-11-11 Panasonic Corp ヒートポンプ式給湯機
JP2012077919A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 Daikin Industries Ltd 給湯システム
WO2019132598A1 (ko) * 2017-12-28 2019-07-04 주식회사 경동나비엔 온수 매트 및 살균 모듈
CN111526758A (zh) * 2017-12-28 2020-08-11 庆东纳碧安株式会社 热水垫和灭菌模块
JP2021524568A (ja) * 2018-05-18 2021-09-13 ユニベルシテイト ゲントUniversiteit Gent 熱水力学的および生物学的なモデルに基づいた制御
CN115875856A (zh) * 2022-12-12 2023-03-31 珠海格力电器股份有限公司 一种热水器的消毒方法、装置、电子设备和存储介质

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008218354A (ja) * 2007-03-07 2008-09-18 Toshiba Corp 燃料電池発電システム
JP2010255874A (ja) * 2009-04-22 2010-11-11 Panasonic Corp ヒートポンプ式給湯機
JP2012077919A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 Daikin Industries Ltd 給湯システム
WO2019132598A1 (ko) * 2017-12-28 2019-07-04 주식회사 경동나비엔 온수 매트 및 살균 모듈
CN111526758A (zh) * 2017-12-28 2020-08-11 庆东纳碧安株式会社 热水垫和灭菌模块
AU2018395014B2 (en) * 2017-12-28 2021-10-21 Kyungdong Navien Co., Ltd. Hot water mat and sterilization module
CN111526758B (zh) * 2017-12-28 2023-05-05 庆东纳碧安株式会社 热水垫和灭菌模块
JP2021524568A (ja) * 2018-05-18 2021-09-13 ユニベルシテイト ゲントUniversiteit Gent 熱水力学的および生物学的なモデルに基づいた制御
JP7262487B2 (ja) 2018-05-18 2023-04-21 ユニベルシテイト ゲント 熱水力学的および生物学的なモデルに基づいた制御
CN115875856A (zh) * 2022-12-12 2023-03-31 珠海格力电器股份有限公司 一种热水器的消毒方法、装置、电子设备和存储介质

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006317105A (ja) 給湯システム
JP4116949B2 (ja) 電気化学的殺菌及び制菌方法
JP4790778B2 (ja) 冷却水のスケール除去装置及びそのスケール除去装置を用いたスケール除去方法
US6017461A (en) Water purification systems
WO2011158279A1 (ja) 電解装置および微酸性電解水の製造方法
JP6209192B2 (ja) 水素水サーバー
US20110073488A1 (en) Copper chloride/copper bromide disinfector for swimming pools and control method thereof
JP2012111990A (ja) 海水電解装置、海水電解システム及び海水電解方法
JPWO2006027825A1 (ja) 冷却水循環装置、および冷却水循環装置のスケール除去方法
JP3783150B2 (ja) 殺菌力を有する氷およびその製造方法
JP2010269157A (ja) 殺菌装置
CN213203225U (zh) 一种家庭用消毒液电解发生器
JP6353594B2 (ja) 水素水サーバー
KR20170104893A (ko) 염소 주입량 및 온도 조절이 가능한 염소수 전해소독 장치
JP2004132592A (ja) 電気化学的水処理方法及び水処理システム
KR20130077099A (ko) 저수탱크 살균 기능을 갖는 정수 및 이온수 제공 장치
JP2012196643A (ja) 次亜塩素酸水等の生成装置
JP6045473B2 (ja) 冷却塔のオゾン殺菌装置及びオゾン殺菌方法
KR102057093B1 (ko) 전기분해를 통한 살균수 공급 시스템 및 방법
JP4251059B2 (ja) 殺菌性電解水の製造装置
NL1012794C2 (nl) Elektrolyse-inrichting en werkwijze voor het desinfecteren van water.
JP2006097240A (ja) 発電式殺菌水供給機能付便器洗浄装置
WO2020220130A1 (en) Water sanitation system and method
JP2005319427A (ja) アルカリ水生成装置
JP2008136980A (ja) 電解水供給装置および電解水供給システム

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20061226