JP2006314760A - 人工歯根インプラントフィクスチャーまたは人工骨インプラント - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は人工歯根インプラントは顎骨に埋入植立後、人工骨インプラントは生体内に埋入後早期に定着し、更にインプラント表面に成長する新生骨は拡大したインプラント表面内部にまで及び固定を強固なものとし、該新生骨のストレスシールディングによる経時的骨吸収が起らないようにすることにある。
【解決手段】人工歯根インプラントのフィクスチャー表面あるいは人工骨インプラント表面にその金属基体を構成する金属と同質の線材または板材を取付け部材として表面積拡大用として取付け溶着する。上記取付け部材の溶着はその接触面において間隔をあけて溶着することにより該取付け部材に外部応力が印加された場合溶着点間に変形歪を生起する構造のものとした。
このインプラント表面には生体内に埋入後の定着を早期化するためのハイドロキシアパタイトを水蒸気または水蒸気含有のガス中でレーザーアブレーションによりコーティングし、表面積拡大のための取付け部材の間隙内部表面にまでコーティングを及ぼすようにした。
【選択図】 図6

Description

本発明は人工歯根インプラントを顎骨に埋入植立後、または人工インプラントを体内に埋入後の定着を早期化すると共にインプラントの固定を強固にし、インプラント周辺に生成した新生骨のストレスシールディングによる骨吸収を防止することを目的とした人工歯根インプラントまたは人工骨インプラントに関する。
人工歯根インプラントまたは人工骨インプラントにおいて、その構成金属材料として生体適合性のよいチタン、またはその合金材を用いている。そして、該金属基体の表面にバイオガラス、あるいはハイドロキシアパタイトをコーティングし、生体に埋入した場合に、生体への適合性が良くなることが例えば特許文献1に開示されている。また、コーティングされたハイドロキシアパタイトの組成として化学量論的組成のものより天然骨に近い組成成分とすることが例えば特許文献2に開示されている。特許文献3においては、インプラント表面にリン酸カルシウム系化合物を被覆した後、該被覆層を溶液中に浸漬、密封、加熱による水熱処理によりアパタイト系セラミックス層を形成し、この表層にリン酸カルシウム化合物を形成して複合インプラントとしている。
更にインプラント表面をエッチング、サンドブラスト、巻線、金属粒溶射等によりその表面積の拡大を行い、生体への定着、固定を強固のものとすることが例えば特許文献4に開示されている。
実公平5−34646号公報 特許第2987758号公報 特許第3076637号公報 特表2002−535109号公報
人工歯根のインプラント構成材料の顎骨への埋入植立部はフィクスチャーと呼ばれ、主としてチタン、あるいはその合金等の金属材料よりなる。人工歯根インプラントまたは人工骨インプラントを生体に埋入後、細胞あるいは骨の誘導と結合を良くするため、その表面にハイドロキシアパタイトをコーティングするか、構成材料である金属基体表面をサンドブラスト、エッチング等によりその表面積の拡大を行っている。ハイドロキシアパタイトをコーティングする場合、ハイドロキシアパタイト膜の膜厚が厚くなると、ハイドロキシアパタイト膜の密着強度は低下し剥離し易くなる。従ってハイドロキシアパタイトをコーティングする場合は、コーティング膜は緻密なものとし膜厚は薄く密着強度が出来るだけ高いものとすることが望ましい。同時にハイドロキシアパタイトのコーティングは拡大した表面の細隙内部にまで及ぼすことが好ましい。
人工骨、人工歯根インプラント等が体内に埋入された場合、このよな異物の体内埋入に対して生体では埋入部周辺生体内のマクロファージ、および異物検知細胞により検知活動が開始される。この場合、ハイドロキシアパタイト、あるいはインプラントの基体を構成する金属材料表面にハイドロキシアパタイトがコーティングされている場合、これらが骨の組織組成に近いため異物検知細胞は生体組織として判定し、細胞および骨の結合が早期に進行する。この場合コーティングされたハイドロキシアパタイト組成が天然骨組成、あるいは天然歯組成、あるいはこれらにより近くNa+、K+、Mg2+、Cl-、F-、CO3 2-等のイオンがハイドロキシアパタイトコーティング膜中に含有置換されていると、生体中への適合性と定着が早くなる。従ってコーティングされるハイドロキシアパタイトコーティング膜の組成はより生体に適合し易いものとすることが望ましい。
一方、人工骨または人工歯根インプラント表面にハイドロキシアパタイトをコーティングした場合、このハイドロキシアパタイト膜は生体内に埋入後、経時的に体内に溶出する。下層となる化学量論的ハイドロキシアパタイト組成のコーティング膜は生体内に溶出しがたいが、この溶出の程度はコーティング膜のコーティング方法、およびコーティング膜の構造、組成により大きく異なり、ハイドロキシアパタイトコーティング膜の体内への溶出はできるだけ抑止することが望ましい。またコーティング膜はインプラント表面のできるだけ広い面積を被覆し、この膜の溶出によるインプラントの金属基体を構成する金属の生体内への溶出は避けたい。
ハイドロキシアパタイトのコーティング膜の膜厚が厚く緻密性が劣るため、そのコーティング膜の金属基体を構成する金属材料への密着性が低く剥離し易くなる。また定着性をよくするため骨組織を意識してのイオン置換型ハイドロキシアパタイトの場合もそのコーティング膜の作製方法の如何によって、これらハイドロキシアパタイトコーティング膜の経時的な埋入部周辺の生体内への溶解、溶出は異なったものとなる。
本発明においては人工歯根インプラントまたは人工骨インプラントの生体内への埋入後において、定着性がよくコーティングが剥離を起さず、かつ埋入後に経時的な埋入部周辺の生体内へ溶解、溶出を抑止したハイドロキシアパタイトコーティングとし、更に人工歯根インプラントフィクスチャーまたは人工骨インプラントの表面積拡大のため取り付けた部材の間隙内面にまでコーティングを及ぼして間隙内部への新生骨の成長を促し、インプラントの生体への固定を強固にすると共にこれら生成した新生骨には常に外部より印加される刺戟応力が加わるよう取付け部材を構成し、ストレスシールディングによる生成骨の骨吸収を防止したものとすることを課題とする。
人工歯根インプラントフィクスチャーまたは人工骨インプラントの金属基体外周表面に、該金属基体を構成する金属と同質の線材を巻着または軸方向に沿って並列せしめることによって被覆、溶着固定し、該基体外周表面と上記溶着固定した該線材間隙を透して該線材内側および該金属基体の外周表面にハイドロキシアパタイトをコーティングした人工歯根インプラントまたは人工骨インプラントを提供する。
更に人工歯根インプラントフィクスチャーまたは人工骨インプラントの金属基体外周表面に網目状に細孔を設けた該金属基体を構成する金属と同質の板材あるいは細線を編組した網状材を巻着するか、該板材あるいは細線を筒状材に形成したものを挿入、溶着固定し、該金属基体外周表面と溶着固定した該板材または網状材または筒状材の孔内面と底部基体構成金属表面にハイドロキシアパタイトをコーティングした人工歯根インプラントまたは人工骨インプラントを提供する
また更に人工歯根インプラントフィクスチャーまたは人工骨インプラントの金属基体外周表面にネジ溝を形成し、このネジ溝部に添わせて該金属基体を構成する金属と同質の線材を巻着、溶着固定し、該金属基体外周表面と線材と溶着固定したネジ溝部との間隙表面にハイドロキシアパタイトをコーティングした人工歯根インプラントまたは人工骨インプラントを提供する。
該金属基体外周表面に溶着固定する線材を撚り線とすることが望ましく、該金属基体外周表面へ取付ける上記線材、板材、網線材または筒状材である取付け部材の溶着固定をその両端部あるいはその接触部の一部においてスポット溶接またはシーム溶接を適用することが望ましい。また更に上記人工歯根インプラントフィクスチャーまたは人工骨インプラントへのハイドロキシアパタイトコーティングをレーザーアブレーション法によりコーティングすることが望ましく、上記ハイドロキシアパタイトのコーティングをレーザーアブレーションを水蒸気または水蒸気含有のガス圧、5〜20mTorr中でコーティングすることが望ましい。
また上記ハイドロキシアパタイトのコーティングにおいて、事前に1×10-7〜1×10-10Torr前後の真空中でハイドロキシアパタイトをプレコーティングすることが望ましい。
上記ハイドロキシアパタイトの人工歯根インプラントまたは人工骨インプラント外周表面へのハイドロキシアパタイトのコーティング膜厚を500〜10000Åとし、上記ハイドロキシアパタイトを組成の異なる多層コーティングとし、最外層コーティングの組成を天然歯または天然歯類似組成として、水蒸気または水蒸気含有ガス圧中でインサイチュー法によりコーティングすることが望ましい。
また更に上記人工骨インプラントにおいて、その表面積拡大と、外部より応力が印加された場合に応力に伴う変形歪が生じる取付け部材を、人工骨インプラントの基体表面に溶着し、その表面にハイドロキシアパタイトをコーティングし、このコーティングが多層であり、上層に人工歯根インプラントが天然歯または天然歯類似組成のハイドロキシアパタイトのコーティングを行うのに対して、人工骨インプラントの場合、天然骨または天然骨類似組成のハイドロキシアパタイトをコーティングすることが望ましく、人工歯根インプラントフィクスチャーまたは人工骨インプラントの基体表面に巻着する線材を複数本の並列巻着とし、その両端部あるいはその途中の接触部の一部をスポット溶接またはシーム溶接することが望ましい。
人工歯根インプラントでは顎骨への埋入植立部となるフィクスチャーへの表面積を拡大すると共に、埋入植立後に生成する新生骨のフィクスチャーへの絡み付きの良くなるように、フィクスチャーの金属基体を構成する金属と同質の金属線材あるいは細孔を開けた金属板材、更に網状材を取付け部材としてフィクスチャー表面に溶着する。これによりフィクスチャー表面をエッチング、サンドブラストにより粗面化したものに比較してより新生骨の絡み付きを良好なものとし、また上記取付け部材をスポット溶接、シーム溶接したフィクスチャーは金属微粒粉を表面に吹付け溶着して表面積を拡大する方法に比べ製造上の実施が容易となる。
上記取付け部材を溶着したフィクスチャーは、該フィクスチャーを顎骨に埋入植立した後の顎骨への定着を早期化するためにハイドロキシアパタイトをコーティングする。
このハイドロキシアパタイトのコーティングはレーザーアブレーション法により2層あるいは多層にコーティングする。
コーティング膜をフィクスチャー表面に密着よくコーティングするため、レーザーアブレーションコーティングの初期、短期間は真空中でプレコーティングを実施し、金属基体を構成する金属表面に酸化物を生成することなく下層コーティングを行い、続いて真空成膜チャンバーに水蒸気または水蒸気含有ガスを導入し、このガス圧中でハイドロキシアパタイト500〜10000Å程度の膜厚にインサイチュー法によるレーザーアブレーション法によりコーティングする。
この場合のハイドロキシアパタイトコーティング膜は結晶軸がC軸方向に略揃った緻密なコーティング膜となる。更に水蒸気または水蒸気含有ガス圧中でのコーティングのためレーザーアブレーションのターゲットよりの蒸発分解成分は直進することなく散乱されてフィクスチャー表面に到達しコーティングされるため、フィクスチャー表面への取付け部材の間隙内部にも侵入し内部へのコーティングも行われる。
金属基体を構成する金属表面に酸化物層が形成されるとコーティング膜との密着性が悪くなる。コーティングに先立って真空中でプレコーティングすることにより強固で緻密なハイドロキシアパタイト膜を形成することが出来る。
本発明において、真空成膜チャンバー内に上層としてコーティングする組成のターゲットを並置し、上記のように下層として化学量論的組成のハイドロキシアパタイトのコーティング膜を形成し、この上に多層膜形成プログラムに従って順次、天然歯、天然骨あるいはこれ等に類似の組成に調整したハイドロキシアパタイトをコーティングすることも出来る。
天然歯の化学組成は化学量論的なハイドロキシアパタイトのCaとP比が異なり、かつCa2+が他のNa+、K+、Mg2+等の他の金属イオンとPO4 イオン基がCl-、F-、CO3 2-等の陰イオンにより一部置換された化学組成構造のものが主成分となり、更にH427その他の成分よりなっている。天然歯あるいは天然骨またはこれ等の類似組成のハイドロキシアパタイトをターゲットとしてレーザーアブレーション法でコーティングした上層のコーティング膜は置換型ハイドロキシアパタイトの多結晶膜となる。
化学量論的組成のハイドロキシアパタイトコーティング膜に較べると生体内への溶出は大きくなるが、より天然歯、天然骨に組成が近く生体適合性がよく、かつ下層のコーティング膜の生体内へ溶出を抑止する。
一方、レーザーアブレーション法により上記ハイドロキシアパタイトをターゲットとしてコーティングすると、ターゲットの組成とコーティング膜の組成を同様のものとする転写性がよいことが特徴となる。
本発明においては、人工歯根インプラントの顎骨への埋入植立部となるフィクスチャーの表面に線材、多孔板材あるいは線材を編組した網状材である取付け部材を溶着することにより、その表面積を平坦な表面を持つ、あるいは表面に溝切りしたフィクスチャーに比べて拡大出来た新生骨が生成し、これ等取付け部材の細隙内部に至ると、新生骨とフィクスチャーとの絡みが生じ、固定が強固なものとなる。更に人工歯根インプラント埋入植立後は咬合による応力が取付け部材にかかり常にこれを歪ませ、新生骨に刺激を与え新生骨の経時的なストレスシールディングによる骨吸収を防ぐことが出来る。
また人工骨インプラントにおいても、同様の構成とすることにより同じ効果が得られる。
新生骨を取付け部材の間隙内部にまで早期に成長させるため、生体適合性のよいハイドロキシアパタイトをフィクスチャーまたは人工骨インプラントにコーティングした。コーティングはレーザーアブレーション法により、最初に真空中で薄くプレコーティングした後、水蒸気または水蒸気含有のガス圧中でインサイチュー法により膜厚500〜10000Åのコーティングを行った。この水蒸気または水蒸気含有のガス圧中でのコーティングにおいてハイドロキシアパタイトは取付け部材の間隙内部にまで侵入しコーティングされる。これはレーザーアブレーションの際、ターゲットよりの分解成分がガス圧中で直進することなく散乱されて飛散しコーティングされることによる。
フィクスチャーまたは人工骨インプラントの表面積拡大のため線材を表面に溶着したが、この線材を単線より撚り線に変えることにより、表面積を更に拡大することが出来た。表面積拡大をエッチング、サンドブラストしたものと比較すると、本発明の取付け部材による場合は新生骨がこれ等取付け部材に絡み付き、固定を強固なものとすることが出来る。また表面積拡大に金属粒を溶着したものと比較すると、この場合は新生骨の絡み付きはよいが、本発明における取付け部材は局部的に溶着されており、その溶着点間の線材または多孔板材は外部より応力が印加されると、応力により弾性歪を生ずるものであり、この周囲の新生骨には常に外部よりの応力による刺激が与えられ、人工歯根インプラントの顎骨への埋入植立後、あるいは人工骨インプラントの埋入後に生成した新生骨のストレスシールディングによる骨吸収を防止することが出来る。
人工歯根インプラント、人工骨インプラント共に埋入部位により外部より印加される応力の大きさ、方向が異なり、想定される印加応力に対応出来るよう取付け部材と溶着を配慮して構成する。一方、想定外の過剰の印加応力に対しては新生骨の損傷を防止するために、例えば図6におけるように、上記取付け部材の線材を人工歯根インプラントフィクスチャーの表面の溝内に設定溶着することにより、過剰の応力歪を抑止するような構成とすることも出来る。
本発明においては、人工歯根インプラント、人工骨インプラントとも、プレコーティング後に下層としてレーザーアブレーションにより化学量論的ハイドロキシアパタイトを緻密でかつ強固に薄膜としてコーティングを行う。この下層は生体内へ溶出しがたいコーティング層となる。この下層のコーティングに引続き上層として天然歯あるいは天然骨またはこれ等と類似組成のイオン置換型ハイドロキシアパタイトをターゲットとしてコーティングする。プレコーティングと下層は金属基体に強固に密着すると共に、生体内へ溶出し難いコーティング層となるので、コーティング層全体の生体内への剥離と溶出は抑制される。
この上層のハイドロキシアパタイトコーティングにより人工歯根インプラント、人工骨インプラントの生体内への埋入後の新生骨の生成、誘導、結合が短期間で行われるようになる。例えば人工歯根インプラントでフィクスチャーに天然歯を上層としてコーティングすることにより、従来のフィクスチャーを顎骨に埋入植立後、骨との結合定着に8週間を要したものが、4週間に短縮することが出来た。
ハイドロキシアパタイトのコーティングをレーザーアブレーション法によることにすると、ターゲットの組成をそのまゝコーティング膜に転写することが出来る。多層コーティングでは各層のコーティング膜に要求される組成のターゲットを調整作製し、これ等のターゲットを真空成膜チャンバー内に並置し、コーティングプログラムにそって、順次コーティングを行うと所望の多層コーティングを効率良く実施することが出来る。
本発明において、人工歯根インプラントフィクスチャーの場合、顎骨内への埋入植立部の表面積拡張をサンドブラスト、エッチング、金属基体微粒の溶射溶着等によらずフィクスチャーの表面積拡大を線材の巻着あるいはフィクスチャー軸方向に沿って並列固着することによるか、あるいはフィクスチャー表面へ細孔のあいた板材(多孔板材)、あるいは線材を編組した網状材を巻き付け固着する。更にフィクスチャー外面に挿入可能な内径をもった筒状多孔板材、または網状材を挿入固着するものとした。
人工歯根インプラントのフィクスチャー部は従来、その表面が平滑のもののほかに、この部にネジ溝を設けたものが使用されている。本発明においてはこのネジ溝内にネジ溝に添わせて線材巻着固定することにより、更にフィクスチャー部の表面積を拡大すると共に、人口歯根インプラントの顎骨部への埋入植立を容易、かつ確実のものとした。
更に上記に使用される線材を単線によるものより細線の撚り線を用いることにより更にこの部分の表面積を拡大することが出来る。更に上記フィクスチャー表面に巻着する線材を複数本の並列巻着コイルとすることにより巻着した線材コイル部の機械的強度を向上することが出来る。
ここで上記フィクスチャー表面へ固着する上記取付け部材はいずれも、フィクスチャー金属基体を構成する金属と同質材を使用するものとし、人口歯根インプラントの顎骨部への埋入植立後に口腔内での電触のないようにした。
フィクスチャー表面上に溶着する上記取付け部材として上記のように単線材、撚り線材、多孔板材、あるいは網状材において、そのフィクスチャー表面との接触面全面を溶着のではなく、これらの端部あるいは途中の何点をスポット溶接、またはシーム溶接し、該溶着箇所間はフィクスチャー表面と上記取付け部材間に間隙を設け、上記取付け部材に外部より応力が印加された場合、溶着点間が応力により変形を生じるようにする。
上記、人工歯根インプラントの埋入植立された場合、患者の顎骨内の位置、咬合力により、フィクスチャーへの印加応力はそれぞれ異なる。これに対応するため、フィクスチャー表面への上記取付け部材の選定と、溶着位置、溶着点間隔を適当に設定することが必要となる。更に咬合による想定外の応力印加が行われた場合、上記取付け部材の変形が、生成した新生骨の破断することのないよう、過剰変形防止に対する配慮も行った。
取付け部材として線材に単線を用いる場合、その線径、断面形状として図1、図4に示す丸線1、図2、図5に示す平線2、図3に示す半円形線3により、またこれらのフィクスチャー表面への溶着点間の間隔により、咬合による印加応力に対する変形歪は異なったものとなる。また巻線コイル状とした場合、巻線コイルの線間ピッチを変えて巻着、あるいは2層巻、多層巻とすることにより過剰応力印加に対しての変形防止が行われる。更に図6におけるよ、これらの巻線においてフィクスチャーのネジ溝内に線材を適切な間隙で溶着することにより過剰応力印加による変形防止も行うことができる。
上記のフィクスチャーへの取付け部材として単線を利用する他、この巻着線を複数本の並列巻着とするか、更に細線を撚り線とすると溶着点間への応力印加による変形歪を変えることが可能となる。
撚り線としては撚り線本数により、その印加力による変形歪を変えることが可能となり、同時に表面積や線間隔を変えることも可能となる。撚り線の断面形状の一例を図7、図8に示した。図7に示す撚り線は単線の芯7とその周りのストランド8とからなり、図8に示す撚り線は複数本の単線からなる芯ロープ9とその周りストランド10からなる。
次に上記咬合力によるフィクスチャーへの応力印加の方向が定まらない場合にはいずれの方向より応力印加にも対応するものとして上記多孔板材をフィクスチャーへの取付け部材とする。この場合、図9に示すように薄板材あるいは筒状材12をレーザー加工で穴あけして多孔11にするか、図10に示すようにパンチング13加工によって多孔板材14とする。また図11に示すように線材を円筒パイプ状15に撚ることも可能である。これらを平滑なフィクスチャー表面に巻き付け、あるいは挿入して取り付けることにより、全方向よりの咬合力印加に対応したものとすることが可能となる。更にフィクスチャー表面に、図12、図13に示したように線材16,17,19を編組した網状材18,20を巻着取り付けることにより同様の対応が可能となる。
上記、フィクスチャーへのその表面積拡大、新生骨の絡み付き固定強化と、咬合力の新生骨の骨吸収防止のための刺戟を目的とした取付け部材についての形状、溶着間距離等は人工歯根インプラントの顎骨の埋入植立部位、患者の咬合力等を勘案して適切に選定することができる。ここには人工歯根インプラントに関して記したが、人工骨インプラントについても全く同様に実施が可能である。
次に取付け部材を溶着したフィクスチャーまたは人工骨インプラントの表面にはハイドロキシアパタイトをレーザーアブレーション法によりコーティングする。このハイドロキシアパタイトのコーティング膜厚はこれら構成金属基体表面に密着よく剥離の生じないよう500〜10000Å程度のものとする。
レーザーアブレーション法によりハイドロキシアパタイトをコーティングする方法としてインサイチュ法とポストアニーリング法があるが、本発明では金属基体表面へ取り付けた取付け部材の間隙内部にまでコーティングを及ぼすため、水蒸気または水蒸気含有ガス圧中でコーティングをするインサイチュ法によった。
純化学量論的ハイドロキシアパタイトの下層コーティングとしては人工歯根用インプラントフィクスチャーまたは人工骨インプラントの構成金属基体の吸蔵ガスを除去し、かつ表面を浄化した後、図14に示すようにレーザーアブレーション成膜装置の真空成膜チャンバー21内で、上記構成金属基体をヒーター温度制御器32を備えたヒーター24上の取付回転台23に設置し、ターゲット25として化学量論的ハイドロキシアパタイト粉末を金型で加圧成型したものを上記構成金属基体に対向する位置に設置する。この状態で真空成膜チャンバー21内をロータリーポンプおよびターボ分子ポンプ22により所定の真空度まで排気する。
排気後上記金属基体をヒーター24により所定の温度に昇温する。次に該真空成膜チャンパー内にガス導入経路26Aを介してガス導入ノズル26より水蒸気または水蒸気含有ガスを導入し、ArFエキシマレーザー27をミラー28、レンズ29、スリット31を介して真空成膜チャンバー21の窓30からターゲット25に照射し、ハイドロキシアパタイトの分解された蒸発成分原子、イオンクラスタを対向する上記構成金属基体を取付回転台23を介して回転させながら該表面にコーティングする。コーティング膜の膜厚は膜厚計34によって測定する。なおチャンバー21内の温度は温度計33によって測定する。
上記水蒸気含有ガスとしては、例えば酸素ガス−水蒸気混合ガス、アルゴンガス−水蒸気混合ガス、ヘリウムガス−水蒸気混合ガス、窒素ガス−水蒸気混合ガス、空気−水蒸気混合ガス、過酸化水素−水蒸気混合ガス等が使用される。
この場合、水蒸気または水蒸気含有ガスのガス圧を大きくすると、ハイドロキシアパタイトの分解成分は構成金属基体表面上に化学量論的ハイドロキシアパタイトとしてC軸方向に略そろって結晶化して成長しながらコーティングが行われる。
上記方法において、前記したようにコーティング膜厚を500〜10000Å程度に薄くコーティングすると、ハイドロキシアパタイトコーティング膜は、人工歯根インプラント13のフィクスチャー表面に密着よく強固にコーティングすることができる。
しかし、上記コーティングを当初より水蒸気または水蒸気含有ガス圧中で行うと構成金属基体表面とコーティング膜との界面には該金属基体の酸化物が形成する。コーティング膜と金属基体との密着強度を更に上げるためには、界面における酸化物層の生成をさけることが好ましい。
このために上記コーティングの実施前に真空成膜チャンパー21内を高真空1×10-7Torr程度に排気後、人工歯根インプラントフィクスチャーまたは人工骨インプラントをヒーター24により所定の温度に昇温し、取付回転台23を介して構成金属基体を回転させながら、そのままの真空中でArFエキシマレーザーをハイドロキシアパタイトターゲットに照射する。この照射を短時間とし、ハイドロキシアパタイトの分解生成物を上記金属基体表面に極く薄く300Å程度にコーティングする。このハイドロキシアパタイト分解生成物薄膜は、その後に引き続き実施する水蒸気または水蒸気含有ガス中でのコーティングにおいて、金属基体表面に酸化膜が生成されることなく、さらに強固なコーティングを実施することができる。
従来、ハイドロキシアパタイトのコーティング方法としては化学蒸着法、物理蒸着法等の気相法、液相法、固相法等があり実施されているが、上記記載のレーザーアブレーション法以外の方法による場合はコーティング膜厚が通常1μm以上のものとなり、コーティング膜と基体金属との密着性が弱く剥離し易いものとなる。上記レーザーアブレーション法により化学量論的ハイドロキシアパタイトのコーティングをした場合、そのコーティング膜は緻密な膜となり、化学量論的純ハイドロキシアパタイトの多結晶膜となり、生体への溶出のないコーティング膜となる。
人工歯根インプラントの場合、そのフィクスチャー金属基体表面へのハイドロキシアパタイトのコーティングにおいて、下層として生体に溶出し難い化学量論的組成のハイドロキシアパタイトをコーティングし、この上に天然歯あるいはこれに類似の組成をもったものとして置換型ハイドロキシアパタイトおよびH4 2 7 またはその他の成分を含有させてコーティングすることもできる。図15に人工歯根インプラント、図16に人工歯根のフィクスチャーの一例を示す。図15において、35は人工歯、36は天然歯、37は人工歯根であり、図16において38はフィクスチャー金属基体であり、39には下層の化学量論的ハイドロキシアパタイトのコーティング膜を、40には上層の天然歯あるいはこれに類似組成のハイドロキシアパタイトコーティングしたものを示した。
この上層として天然歯をターゲットとしてそのままコーティングする場合、天然歯においては個々人によってその組成が異なるものとなる。図17に示した天然歯の場合は、歯髄43の外側構成部分のエナメル質部41、象牙質部42によって組成が異なる。図17において、44はセメント質、45は歯根膜、46は歯槽骨、47は歯肉である。一事例として表1に人体天然骨および天然歯分析例を示した。
Figure 2006314760
従って天然歯をターゲットにする場合においては、天然歯の各構成部分の粉砕混合粉体の成型体をターゲットとすると、コーティング膜組成は構成部分の平均的な組成となる。
また、天然歯類似の組成のコーティング膜を形成する場合には、インプラント埋入患者の天然歯の分析組成結果を基にした類似組成とするか、前記一般的組成における平均的組成をもって天然歯と類似の組成とすることにした。これは、従来の化学量論的ハイドロキシアパタイトのコーティング膜よりより天然歯組成に近づけた組成のコーティング膜をインプラント表面に形成し、生体内へのインプラント埋入後の定着の早期化を計ることを目的とする。
天然歯をそのまま、あるいは天然歯類似の組成の置換型ハイドロキシアパタイトは、その化学構造組成が化学量論的ハイドロキシアパタイトCa10(PO4)6(OH)2のCaの一部をNa+、K+、Mg2+、Sr2+各イオン等で置換されたもの、あるいはPO4基をCO3 2-、あるいは他のイオンで、OH基をCl-、F-で置換されている。
人工歯根インプラントの表層のコーティング膜が天然歯、あるいはこれに類似の組成をもつことにより、人工歯根インプラントが顎骨内に埋入植立された場合、埋入時にインプラントのコーティング膜がマクロファージ、異物検知細胞による検知活動において、化学量論的ハイドロキシアパタイトよりより生体に近いことを検知し、生体物質としての検知、判断を迅速なものとして埋入植立後の定着を良好なものとする。
上記上層となるコーティングは、下層の化学量論的ハイドロキシアパタイトのコーティングと同様にレーザーアブレーション法により上記下層に連続してコーティングを実施する。この際のターゲットは天然歯、あるいはこれらに類似した組成のものを用いる。
ハイドロキシアパタイトのコーティング法としてレーザーアブレーション法はターゲット組成とコーティング膜組成は他のコーティング法に較べより転写性の優れたコーティング法となる。
Na+、K+、Mg2+、Sr2+置換のハイドロキシアパタイトのターゲットの作製において、母体となるハイドロキシアパタイトとして化学量論的ハイドロキシアパタイトをそのまま利用してもよいが、Ca3(PO4)2 を酸素ー水蒸気混合ガス中で600℃10時間の焼成することによってCaのモル比が10%少ないCa9(PO4)6(OH)2が安定した結晶として得られることから、この組成比のハイドロキシアパタイトに上記の必要とされるNa、K、Mg等の炭酸塩を混合し、酸素ー水蒸気混合ガス中で更に600℃10時間の焼成をすると、いずれのイオンもCa9Na1(PO4)6(OH)2のようにドーピングされたイオン置換型ハイドロキシアパタイトの安定した結晶が得られる。
上記の方法において人工歯根インプラントの場合、Ca/P比を天然歯組成に類似のものとすると共に、上記Na+、K+、Mg2+、Sr2+で置換したCa91(PO4)6(OH)2構造のターゲットも併用して人工歯根インプラント表面に上層コーティングを行い天然歯と類似の組成のコーティング膜を作製する。更にOH基にCl- 、F- を置換するにはコーティングしたインプラントをこれらの塩の水溶液中に浸漬するとハイドロキシアパタイトの特性としてCl、FはOH基と置換することができる。この処理により天然歯に更に近い組成をもったコーティングを実施することができる。人工骨インプラントの場合も人工骨組成または人工骨類似組成で同様にコーティングする。
図18に人工歯根インプラントフィクスチャーの表面積を拡大し、新生骨との絡み付きを良くすると共に、新生骨の骨吸収を防止する構成のフィクスチャーを示した。このフィクスチャーはフィクスチャー表面48に線材50を取付け部材としてコイル状に巻き付けたものである。フィクスチャー金属基体外周表面には線材巻き付けと、溶着のための軸線方向に沿って縦線突条49の加工を行い、この突条表面に線材50を巻き付け点溶着51している。これによりコイル状に巻き付けた線材50とフィクスチャー48との間およびコイル状に巻き付けた線材間に間隙ができ、新生骨の絡み付きをよくし、更に、この部分には外部応力が印加された際、応力による弾性歪が生ずるよう構成され新生骨の骨吸収を防止する。
このチタンを金属基体とする人工歯根フィクスチャーを図14に示すレーザーアブレーション成膜装置の真空成膜チャンバー21内のヒーター24と接するフィクスチャーを取付回転台23に設置しコーティングを行う。コーティングを行うに先立ちフィクスチャー表面はアセトン、超純水で超音波洗浄を行い、成膜チャンバー21内の取付回転台23に設置する。成膜チャンバー21内を排気系のロータリーポンプおよびターボ分子ポンプ22により1×10-7Torrに排気後、フィクスチャーをヒーター24により300℃に昇温、脱ガスを行う。
次に、加熱したフィクスチャーを回転させながら、各種ターゲット設置台に設置した化学量論的組成のハイドロキシアパタイトのターゲット25にArFエキシマレーザー源27よりレーザーを照射し3分間300Å程度の膜厚にプレコーティングを行う。その後酸素ガス−水蒸気混合ガスを導入し、フィクスチャー温度を530℃に昇温してガス圧100mTorrでインサイチュ法により下層として化学量論的組成のハイドロキシアパタイトを3000Åの膜厚にコーティングする。
フィクスチャーへ上記下層コーティングを行った後、引き続き真空成膜チャンバー21内の各種ターゲット設置台25に設置された天然歯ターゲットにレーザーを照射し、上層として天然歯組成のハイドロキシアパタイトを膜厚3000Å程度にコーティングする。
コーティング後450℃10時間、酸素ガス−水蒸気混合ガス中でポストアニーリングを行なう。これにより、化学量論的組成のハイドロキシアパタイトを下層とし、その上に上層として天然歯組成のハイドロキシアパタイトコーティングした2層構造の人工歯根フィクスチャーを作製した。
図19に示すように、人工歯根インプラントのチタン材よりなるフィクスチャーの金属基体52の表面に同じく細孔をあけたチタン薄板筒状材53を挿入し、一端を溶着54固定してフィクスチャーの基体を構成した。この表面上にハイドロキシアパタイトをコーティングして人工歯根インプラントとした。
この実施例では天然歯類似組成のハイドロキシアパタイトのコーティングを行うこととした
化学量論的ハイドロキシアパタイトのCa/P比がモル比で1.67、重量比で2.15である。こゝで天然歯組成ではこの比が小である。従って化学量論的ハイドロキシアパタイト粉末に所望の比率になるようCaCO3、CaCl2等のCa化合物、P25、H427等のP化合物、およびCa3(PO4)2、CaHPO4、Ca(H2PO42等のリン酸カルシウム化合物のいずれかまたはこれらの二種以上の粉末を、添加混合して成形し、CaとPの比を天然歯と類似の組成としたターゲットを作製する。このターゲットを真空成膜チャンバー内の各種ターゲット設置台に設置する。
Na+、K+、Mg2+、Sr2+添加のターゲットとしてはCa3(PO4)2を酸素ー水蒸気雰混合ガス中で600℃10時間焼成することにより化学量論的ハイドロキシアパタイトよりCaのモル比が10%少ないCa9(PO4)2(OH)2の構造をもった安定した結晶 を作製する。この出発原料材にNa2CO3をCaのモル比で9対1の割合で混合し、前記同様酸素−水蒸気混合ガス中で600℃10時間の焼成によりCa9Na1(PO4)6(OH)2 の組成構造の安定したNaイオン置換型ハイドロキシアパタイト結晶を作製する。同様にK2CO3、MgCO3、またはSrCO3を添加して同様のCa91(PO4)6(OH)2 、Ca9Mg1/2(PO4)6(OH)2 、Ca9Sr1/2(PO4)6(OH)2の組成構造の安定した結晶を作製する。これらの粉体をそれぞれ成型してレーザーアブレーションのNa+、K+、Mg2+、Sr2+添加のターゲットとして、真空成膜チャンバー内の各種ターゲット設置台に設置する。
本実施例における人工歯根インプラントへのハイドロキシアパタイトのコーティングにおいては真空成膜チャンバー内に下層となる化学量論的ハイドロキシアパタイト成形体であるターゲット、天然歯と類似のCaとPの比になるように調整したハイドロキシアパタイトの混合成形体であるターゲット、前記Naイオン置換のCa9Na1(PO4)2(OH)2の成形体であるターゲット、K置換のCa91(PO4)6(OH)2の成形体であるターゲット、Mg置換のCa9Mg1/2(PO4)6(OH)2の成形体であるターゲット、Srイオン置換のCa9Sr1/2(PO4)6(OH)2の成形体であるターゲットのそれぞれを、レーザー照射可能な位置にある各種ターゲット設置台に設置する。
人工歯根インプラントの上記フィクスチャー表面に下層として真空中で化学量論的組成のハイドロキシアパタイトをプレコーティングした後、水蒸気含有ガスを導入、このガス圧中で引き続きレーザーを各種ターゲットに順次必要時間照射し、天然歯組成に類似したCa/P比のハイドロキシアパタイト、Na+、K+、Mg2+、Sr2+のイオン置換型ハイドロキシアパタイトを所望の組成比になるようコーティング時間を変えて繰り返し、コーティング膜厚を500〜10000Å程度として人工歯根インプラントとした。
図20には人工歯根インプラントのフィクスチャー表面にフィクスチャー金属基体55と同種のチタン線材56,58を巻線方向を変えて2層に巻着し、その巻線の両端をそれぞれ金属基体に点溶着57,59してフィクスチャーを構成した。
このフィクスチャー表面に前記実施例1または実施例2に示したと同様のハイドロキシアパタイトをコーティングした。コーティングとしては最初に真空中でプレコーティングを行った後、水蒸気含有ガス圧中で化学量論的ハイドロキシアパタイトの下層をコーティングし、引続き上層コーティングをインサイチュー法によりコーティングを行った。フィクスチャー金属基体55上に巻着した線材58の間隙内部にまでコーティングを及ぼし人工歯根インプラントとした。
図21には脛骨の骨幹部骨折用髄内釘を本発明に関わる人工骨インプラント60の一例として示した。骨折治療においては骨折部位により各種形状のそれぞれに適切な髄内釘が使用されている。図22においては足関節の変形、外傷による変形癒合等の症例に足関節の固定、歩行困難の解消のため用いられる髄内釘に本発明の構成を適用した事例を示した。図の70は本体となるチタンの釘材で骨の固定のためのスクリュー72およびスクリュー穴があけられている。この本体の中間部位にチタン細線71をブレードに編組した筒状材を挿入、その両端の線材端を金属基体本体表面にスポット溶接により点溶着73した。この髄内釘表面にプレコーティングとしてハイドロキシアパタイトを真空中で薄くレーザーアブレーション法によりコーティングし、その上に水蒸気含有ガス圧中で同じくレーザーアブレーション法でハイドロキシアパタイトをコーティングした。コーティング膜の最外層は天然骨組成とし、コーティング膜厚は500〜10000Åのものとした。
人工骨インプラントの場合、取付け部材は人工歯根インプラントと比較して、インプラント表面に印加される応力の方向が一定方向とならないため、その構成を配慮し、これに対処したものとした。
以上本発明における実施例を示したが、これらは本発明に関わる実施の形態の一例を示したもので、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明においては、生体との適合性が良好でかつ生体内に強固に固定される人工歯根インプラントフィクスチャーおよび人工骨インプラントが提供される。
図1〜図22は本発明の一実施例を示すものである。
円断面単線巻きコイルの説明図 平断面単線巻きコイルの説明図 半円断面単線巻きコイルの説明図 円断面単線巻きコイル外観説明図 平断面単線巻きコイル外観説明図 人工歯根インプラントでネジ溝切削フィクスチャーの溝内に単線を溝に添わせて巻付け、コイル端を溝内に溶着した人工歯根インプラント イ:斜視図 ロ:側面図 撚り線断面図(7本撚り) 撚り線断面図(49本撚り) レーザーにより細孔加工した薄板筒状材説明図 パンチングにより細孔を開けた薄板筒状材説明図 線材を筒状に撚ったケーブルチューブ説明図 円断面細線を2本持ちで編組したブレードチューブ説明図 平断面細線を1本持ちで編組したブレードチューブ説明図 レーザーアブレーション成膜装置の説明図 人工歯根インプラントを顎骨に埋入植立した状態の説明図 外表面にネジ溝を切削した人工歯根インプラントフィクスチャーの断面図 天然歯の断面図 実施例1における細線を巻付けた人工歯根インプラントフィクスチャー イ:縦断面図 ロ:側断面図 実施例2における細孔をあけた薄板筒状材を取付けた人工歯根インプラントフィクスチャー イ:縦断面図 ロ:側断面図 実施例3における細線を二層巻きで取付けた人工歯根インプラントフィクスチャー イ:縦断面図 ロ:側断面図 脛骨幹部骨折用髄内釘の外観図 実施例4における足関節固定用髄内釘に本発明を適用した事例の説明図
符号の説明
4 フィクスチャー金属基体
5 スクリュー溝
6 巻付細線
7 芯
8 ストランド
9 芯ロープ
10 ストランド
11 細孔
12 薄板筒状材
13 細孔
14 薄板筒状材
15 撚り細線
16 二本撚り丸細線1
17 二本撚り丸細線2
18 細隙
19 平撚り細線
20 細隙
21 真空成膜チャンバー
22 排気系ロータリーポンプ、ターボ分子ポンプ
23 取付け回転台
24 ヒーター
25 ターゲット設置台
26 ガス導入ノズル
27 ArFエキシマレーザー光源
28 ミラー
29 レンズ
30 窓
31 スリット
32 ヒーター温度制御器
33 温度計
34 膜厚計
35 人口歯 36 天然歯
37 フィクスチャー
38 フィクスチャー金属基体
39 下層ハイドロキシアパタイトコート
40 上層ハイドロキシアパタイトコート
41 エナメル質部
42 象牙質部
43 歯髄
44 セメント質部
45 歯根膜
46 歯槽骨
47 歯肉
48 フィクスチャー金属基体
49 縦線状突起
50 細線
51 点溶着
52 フィクスチャー金属基体
53 チタン薄板筒状材
54 点溶着
55 フィクスチャー金属基体
56 下層巻線
57 点溶着
58 上層巻線
59 点溶着
60 人工骨インプラント
70 髄内釘本体
71 チタン細線編組ブレード
72 固定用スクリュー
73 点溶着

Claims (12)

  1. 人工歯根インプラントフィクスチャーまたは人工骨インプラントの金属基体外周表面に、該金属基体を構成する金属と同質の線材を巻着または軸方向に沿って並列せしめることによって被覆、溶着固定し、該基体外周表面と上記溶着固定した該線材間隙を透して該線材内側および該金属基体の外周表面にハイドロキシアパタイトをコーティングしたことを特徴とする人工歯根インプラントまたは人工骨インプラント。
  2. 人工歯根インプラントフィクスチャーまたは人工骨インプラントの金属基体外周表面に網目状に細孔を設けた該金属基体を構成する金属と同質の板材あるいは細線を編組した網状材を巻着するか、該板材あるいは細線を筒状材に形成したものを挿入、溶着固定し、該金属基体外周表面と溶着固定した該板材または網状材または筒状材の孔内面と底部基体構成金属表面にハイドロキシアパタイトをコーティングしたことを特徴とする人工歯根インプラントまたは人工骨インプラント。
  3. 人工歯根インプラントフィクスチャーまたは人工骨インプラントの金属基体外周表面にネジ溝を形成し、このネジ溝部に添わせて該金属基体を構成する金属と同質の線材を巻着、溶着固定し、該金属基体外周表面と線材と溶着固定したネジ溝部との間隙表面にハイドロキシアパタイトをコーティングしたことを特徴とする人工歯根インプラントまたは人工骨インプラント。
  4. 該金属基体外周表面に溶着固定する線材を撚り線とした請求項1または3に記載の人工歯根インプラントまたは人工骨インプラント。
  5. 該金属基体外周表面へ取付ける上記線材、板材、網線材または筒状材である取付け部材の溶着固定をその両端部あるいはその接触部の一部においてスポット溶接またはシーム溶接を適用した請求項1〜4のいずれかに記載の人工歯根インプラントまたは人工骨インプラント。
  6. 上記人工歯根インプラントフィクスチャーまたは人工骨インプラントへのハイドロキシアパタイトコーティングをレーザーアブレーション法によりコーティングした請求項1〜5のいずれかに記載の人工歯根インプラントまたは人工骨インプラント。
  7. 上記ハイドロキシアパタイトのコーティングのレーザーアブレーションを水蒸気または水蒸気含有のガス圧、5〜20mTorr中でコーティングした請求項6に記載の人工歯根インプラントまたは人工骨インプラント。
  8. 上記ハイドロキシアパタイトのコーティングにおいて、事前に1×10-7〜1×10-10 Torr前後の真空中でハイドロキシアパタイトをプレコーティングした請求項7に記載の人工歯根インプラントまたは人工骨インプラント。
  9. 上記ハイドロキシアパタイトの人工歯根インプラントまたは人工骨インプラント外周表面へのハイドロキシアパタイトのコーティング膜厚を500〜10000Åとした請求項1または2または3に記載の人工歯根インプラントまたは人工骨インプラント。
  10. 上記ハイドロキシアパタイトを組成の異なる多層コーティングとし、最外層コーティングの組成を天然歯または天然歯類似組成として、水蒸気または水蒸気含有ガス圧中でインサイチュー法によりコーティングした請求項1〜9のいずれか一つに記載の人工歯根インプラントまたは人工骨インプラント。
  11. 上記人工骨インプラントにおいて、その表面積拡大と、外部より応力が印加された場合に応力に伴う変形歪が生じる取付け部材を、人工骨インプラントの基体表面に溶着し、その表面にハイドロキシアパタイトをコーティングし、このコーティングが多層であり、上層に人工歯根インプラントが天然歯または天然歯類似組成のハイドロキシアパタイトのコーティングを行うのに対して、人工骨インプラントの場合、天然骨または天然骨類似組成のハイドロキシアパタイトをコーティングした請求項1〜10のいずれか一つに記載の人工骨インプラント。
  12. 人工歯根インプラントフィクスチャーまたは人工骨インプラントの金属基体表面に巻着する線材を複数本の並列巻着とし、その両端部あるいはその途中の接触部の一部をスポット溶接またはシーム溶接した請求項1または5または11に記載の人工歯根インプラントまたは人工骨インプラント。
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