JP2006314629A - 生体観測装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被検体である生体に光を照射する照明部と、その照射光に基づいて前記生体から反射される光を光電変換し、撮像信号を生成する撮像部と、前記照明部及び/または前記撮像部の動作を制御し、表示装置へ前記撮像信号を出力する信号処理制御部とを具備し、前記信号処理制御部が、前記撮像信号から光学的波長狭帯域の画像に対応する分光信号を信号処理によって生成する分光信号生成部と、前記分光信号を前記表示装置へ出力する際に当該分光信号を形成する複数の帯域ごとに異なった色調を割り付ける色調整部とに加えて、前記表示装置へ出力される信号の画質を調整する画質調整部をさらに備えて構成される。画質調整部は主に明るさ及び/又はS/Nを改善する。
【選択図】図4
Description
また、特開2003−93336号公報には、可視光領域の照明光による画像信号を信号処理し離散的な分光画像を生成し、生体組織の所望の深部の組織情報を得る狭帯域光内視鏡装置が提案されている。
被検体に光を照射する照明手段と、
生体信号を取得する観察手段と、
前記照明手段及び/または前記観察手段の動作を制御し、表示出力装置へ前記生体信号を表示出力する信号処理制御手段とを具備した生体観測装置において、
前記信号処理制御手段は、
前記生体信号から分光信号を生成する分光信号生成手段と、
前記分光信号を前記表示出力装置へ表示出力する際の色調を調整する色調整手段と、
前記表示出力装置へ出力される信号の画質を改善する画質調整手段と、
を備えて構成される。
図1は、カラー画像信号(ここでは、説明を簡単にするために、R・G・Bとするが、後述する実施例のように、補色型固体撮像素子においては、G・Cy・Mg・Yeの組合せでも良い)から、より光学的波長狭帯域の画像に対応する分光画像信号を生成する際の信号の流れを示した概念図である。
まず、電子内視鏡装置におけるR・G・Bのそれぞれのカラー感度特性を数値データ化する。ここで、R・G・Bのカラー感度特性とは、白色光の光源を用い、白色の被写体を撮像する時にそれぞれ得られる波長に対する出力の特性である。
[数1]
となるマトリックスの要素を求めればよい。
[数2]
となる。従って、(1)式に示した命題は、以下の関係を満足するマトリックス「A」を求めるに等しい。
ここで、分光特性を表すスペクトルデータとしての点列数nとしては、n>3であるので、(3)式は1次元連立方程式ではなく、線形最小二乗法の解として与えられる。即ち、(3)式を擬似連立方程式として解けばよい。マトリックス「C」の転置行列を「tC」とすれば、(3)式は
[数4]
となる。「tCC」はn×nの正方行列であるので、(4)式はマトリックス「A」についての連立方程式と見ることができ、その解は、
[数5]
与えられる。
次に、より正確な分光画像信号を求めるための補正方法について説明する。
上述のマトリックス算出方法の説明においては、CCD等の固体撮像素子が受光する光束が、完全な白色光(可視域において、全ての波長強度が同じ)である場合に正確に適用されるものである。即ち、RGBの出力がいずれも同じである場合に、最適な近似となる。
ここで、カラー感度特性をそれぞれR(λ)、G(λ)、B(λ)とし、照明光の分光特性の一例をS(λ)、生体の反射特性の一例をH(λ)とする。なお、この照明光の分光特性および生体の反射特性は、必ずしも検査を行う装置、被検体の特性でなくてもよく、例えば予め取得しておいた一般的な特性としても良い。
[数6]
kR=(∫S(λ)×H(λ)×R(λ)dλ)−1
kG=(∫S(λ)×H(λ)×G(λ)dλ)−1
kB=(∫S(λ)×H(λ)×B(λ)dλ)−1 …(6)
で与えられる。感度補正マトリックスを「K」とすると、以下のように与えられる。
また、実際に最適化を行う場合は、目標とするフィルタの分光感度特性(図1中のF1・F2・F3)が負の場合は画像表示上では0となる(つまりフィルタの分光感度特性のうち正の感度を有する部分のみ使用される)ことを利用し、最適化された感度分布の一部が負になることも許容することを付加する。ブロードな分光感度特性より狭帯域な分光感度特性を生成するためには、図1に示すように目標とするF1・F2・F3の特性に、負の感度特性を付加することで、感度を有する帯域を近似した成分を生成することができる。
次に、生成された分光画像信号のS/N及び精度を向上させる方法について説明する。このS/N比の改善方法は、前述した処理方法に付加することにより、さらに以下の課題を解決するものである。
(イ)前述のマトリックス算出方法における原信号(R・G・B)のいずれかが仮に飽和状態となると、処理方法におけるフィルタF1乃至F3の特性が、構造を効率よく抽出できるフィルタの特性(理想とする特性)と大きく異なってしまう可能性がある(R・G・Bの中、2つの信号だけで生成される場合は、その2つの原信号がいずれも飽和していないこと)。
(ロ)カラー画像信号から分光画像信号への変換の際に、広帯域のフィルタから狭帯域フィルタの生成するため、感度の劣化が発生し、生成された分光画像信号の成分も小さくなり、S/N比が良くない。
これにより、1回の照射強度を小さくすることができ、RGB信号のいずれもがそれぞれ飽和状態となるのを抑えることができる。また、数回に分割された画像信号は、後段でn枚分の加算を行う。これにより、信号成分を大きくしてS/N比を向上させることができる。
(マトリックス算出方法の変形例)
カラー画像信号をR,G,B、推定する分光画像信号をF1,F2,F3とする。なお、厳密には、画像上の位置x,yの関数でもあるので、例えばR(x,y)と表記すべきだが、ここでは省略する。
R,G,BからF1,F2,F3を計算する3×3の行列「A」を推定することが目標となる。「A」が推定されれば、R,G,BからF1,F2,F3の計算は、以下の(9)式で可能となる。
λは波長であり、tは行列演算における転置を表す。同様に、
照明光の分光特性:S(λ)、「S」=(S(λ1),S(λ2),…,S(λn))t
CCDの分光感度特性:J(λ)、「J」=(J(λ1),J(λ2),…,J(λn))t
色分解を行うフィルタの分光特性:原色の場合
R(λ)、「R」=(R(λ1),R(λ2),…,R(λn))t
G(λ)、「G」=(G(λ1),G(λ2),…,G(λn))t
B(λ)、「B」=(B(λ1),B(λ2),…,B(λn))t
「R」、「G」、「B」は(10)式に示すように、行列「 C」で1つにまとめられる。
いま、「Q」を得るための色分解フィルタを「F」とすると、(12)式同様に
[数13]
ここで、重要な第1の仮定として、いま、被検体の分光反射率が基本的な3つの分光特性の線形和で表現できると仮定すると、「H」は以下のように表記できる。
ここで、「D」は3つの基本スペクトルD1(λ)、D2(λ)、D3(λ)を列ベクトルに持つ行列で、「W」は「H」に対するD1(λ)、D2(λ)、D3(λ)の寄与をあらわす重み係数である。被検体の色調がそれほど大きく変動しない場合には、この近似が成立することが知られている。
[数18]
色分解用のバンドパスが完全なバンドパスでなく、他の帯域にも感度を持つ場合も考慮して、この仮定が成立する場合、(15)式、(16)式における「W」を上記「H」と考えれば、結局(17)式と同様な行列が推定できる。
図3に示すように、電子内視鏡装置100は、スコープ101、内視鏡装置本体105、表示モニタ106を有している。また、スコープ101は、被検体の体内に挿入される挿入部102、挿入部102の先端に設けられた先端部103および、挿入部102の先端側とは反対側に設けられ、先端部103の湾曲動作等を指示するためのアングル操作部104から主として構成されている。
図4に示すように、内視鏡装置本体105は、主に光源部41、制御部42、本体処理装置43から構成されている。
なお、本実施例では、1つのユニットである内視鏡装置本体105内に光源部41と画像処理等を行う本体処理装置43を有するものとして説明を行うが、これらは、別のユニットとして、取り外し可能なように構成されていても良い。
また、チョッパー16は、この切り欠き部の略中央に半径方向に延伸する突起部160aを有する。なお、この突起部160aにより光が遮断された時にフレームを切換えることにより、1フレーム前と1フレーム後に照射される光の間隔を最小限にし、被検体の動き等によるブレを最小限にするものである。
また、チョッパー駆動部17は図4における矢印で示されるように、ランプ15に対する方向に移動が可能な構成となっている。
また、光源部41にコネクタ11を介して接続されたスコープ101は、先端部103に対物レンズ19及びCCD等の固体撮像素子21(以下、単にCCDと記載する)を備えている。本実施例におけるCCDは単板式(同時式電子内視鏡用に用いられるCCD)であり、原色型である。なお、その色フィルタの配列を図6に示す。また、RGBのそれぞれの分光感度特性を図7に示す。
また、本体処理装置43は、光源部41と同様、コネクタ11を介してスコープ101に接続される。本体処理装置43には、CCD21を駆動するためのCCDドライブ回路431が設けられている。また、通常画像を得るための信号回路系として輝度信号処理系と色信号処理系を有する。
また、輝度信号処理系と色信号処理系の出力から1つの通常画像を生成する通常画像生成部437が設けられ、通常画像生成部437から切換部439を介して、表示モニタ106にY信号、R−Y信号、B−Y信号が送られる。
なお、以下においては、まず通常画像を観察する際の動作について説明し、後に分光画像を観察する際の動作について説明する。
集光された光束は、ライトガイド14を通り、先端部103に設けられた照明光学系から被検体の体内に照射される。照射された光束は、被検体内で反射し、対物レンズ19を介して、CCD21において図6で示した色フィルタ別に信号が収集される。
操作者は、本体105に設けられているキーボードあるいはスコープ101の操作部104に設けられているスイッチ等を操作することにより、通常画像から分光画像を観察する指示をおこなう。この時、制御部42は、光源部41および本体処理装置43の制御状態を変更する。
具体的には、必要に応じて、光源部41から照射される光量を変更する。上述のように、CCD21からの出力が飽和することは望ましくないため、通常画像に比して照明光量を小さくする。また、CCDからの出力信号が飽和しないように制御するとともに、飽和しない範囲にて照明光量を変化させることもできる。
このマトリックス演算を行うことにより擬似フィルタ特性(図7にはフィルタ擬似F1乃至F3の特性として示されている)が得られる。即ち、上述のマトリックス処理は、カラー画像信号に、上述のようにして予め生成された擬似バンドパスフィルタ(即ちマトリックス)を用いて、分光画像信号を作成するものである。
図11に示すように、体腔内組織51は、例えば深さ方向に異なった血管等の吸収体分布構造を持つ場合が多い。粘膜表層付近には主に毛細血管52が多く分布し、またこの層より深い中層には毛細血管の他に毛細血管より太い血管53が分布し、さらに深層にはさらに太い血管54が分布するようになる。
(1)B帯域光によりCCD21で撮像される撮像信号には図14に示すような浅層での組織情報を多く含む浅層及び中層組織情報を有するバンド画像が撮像され、
(2)また、G帯域光によりCCD21で撮像される撮像信号には図15に示すような中層での組織情報を多く含む浅層及び中層組織情報を有するバンド画像が撮像され、
(3)さらにR帯域光によりCCD21で撮像される撮像信号には図16に示すような深層での組織情報を多く含む中層及び深層組織情報を有するバンド画像が撮像される。
そして内視鏡装置本体105により、これらRGB撮像信号を信号処理することで、内視鏡画像としては所望あるいは自然な色再現の内視鏡画像を得ることが可能となる。
(4)擬似バンドパスフィルタF3による分光画像信号F3には図18に示すような浅層での組織情報を有するバンド画像が撮像され、また、
(5)擬似バンドパスフィルタF2による分光画像信号F2には図19に示すような中層での組織情報を有するバンド画像が撮像され、さらに
(6)擬似バンドパスフィルタF1による分光画像信号F1には図20に示すような深層での組織情報を有するバンド画像が撮像されれる。
色調整部440は、図21に示すように、3×3のマトリックス回路61を挟んで、前後それぞれに3組のLUT62a,62b,62c,63a,63b,63cと、LUT62a,62b,62c,63a,63b,63cのテーブルデータや3×3マトリックス回路61の係数を変換する係数変更回路64とを備え、色変換処理回路440aを構成している。
色変換処理回路440aに入力する分光画像信号F1乃至F3は、各バンドデータ毎にLUT62a,62b,62cにより変換される。ここでは、逆γ補正や、非線形なコントラスト変換等が行われる。
これらLUT62a,62b,62c,63a,63b,63cのテーブルデータや3×3マトリックス回路61の係数を変換する係数変更回路64で変更することができる。
これら制御信号を受けた係数変更回路63は、予め色調整部440内に記憶されている係数データから適切なデータを呼び出し、このデータで、現在の回路係数を書き換える。
[数22]
この式(22)による処理は、分光チャンネル画像Rch、Gch、Bchに分光画像信号F1乃至F3を波長の短い順に割り当てる色変換である。
とくに、この粘膜表面付近のパターンの変化は、早期病変の発見鑑別診断にとって重要である。しかし、黄色系のパターンは、背景粘膜とのコントラストが弱く、視認性が低いという傾向がある。
[数23]
この式(23)による処理は、分光画像信号F1をある一定の比率で分光画像信号F2に混合し生成されたデータを新たに分光Gチャンネル画像Gchとする変換例であり、血管網などの吸収散乱体が深さ位置で異なることをより明確化することが可能となる。
ここでいうスルー動作とは、3×3マトリックス回路61には単位行列、LUT62a,62b,62c,63a,63b,63cは非変換テープルを搭載した状態をいう。デフォルト値には、マトリックス係数に、例えばωG=0.2、ωB=0.8という設定値を与えるということである。
さらに、擬似バンドパスフィルタF1乃至F3の第3の変形例として、図26に示すように所望の層組織情報が抽出可能な離散的な分光特性の2バンドの狭帯域のフィルタ特性の2つの擬似バンドパスフィルタF2、F3をマトリックス演算部436を生成するようにしてもよい。
すなわち、分光画像信号F2及び分光画像信号F3に対して、色調整部440は以下の式(24)によりRGB3チャンネルのカラー画像(Rch、Gch、Bch)を生成する。
例えば、h11=1、h12=0、h21=0、h22=1.2、h31=0、h32=0.8とする。
例えば分光画像F3は中心波長が主に415nmに相当する画像、分光画像F2は中心波長が主に540nmに相当する画像である。
Gch=h21×F1+h22×F2+h23×F3
Bch=h31×F1+h32×F2+h33×F3 …(24’)
上記式(24’)のマトリックス演算で、h11、h13、h21、h22、h31、h32の係数を0として、他係数を所定の数値に設定すればよい。
(1)2バンドの分光画像の場合、例えば415nmに相当する画像をカラーチャンネルGch、Bchに、例えば540nmに相当する画像をカラーチャンネルRchに割り付けた場合、
あるいは、
(2)3バンドの分光画像の場合、例えば415nmに相当する画像をカラーチャンネルBchに、例えば445nmに相当する画像をカラーチャンネルGchに、例えば500nmに相当する画像をカラーチャンネルRchに割り付けた場合、次の画像効果が得られる。
・同時に、毛細血管より深い位置の血管が色相方向で青方向へ回転して再現されるため、最表層の毛細血管との識別がより容易になる。
また、前記チャンネルの割り当て方法によれば、大腸内視鏡検査において通常観察下では黄色調で観測される残渣および胆汁が赤色調で観測される。
マトリックス演算部436以外の構成は、図4と同様である。図27に示すマトリックス演算部436の構成が、図8に示したマトリックス演算部436の構成と異なるのみである。異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号をつけ説明は省略する。
図8では、マトリックス演算を電子回路による、いわゆるハードウェア処理により行うこととしたが、図27の構成例では、この演算を数値データ処理(プログラムを用いたソフトウェアによる処理)により行う。
係数レジスタ51と画像メモリ50は、乗算器53a乃至53iに接続され、さらに乗算器53a、53d、53gは、乗算器54aに接続され、乗算器54aの出力が、図4における積算部438aと接続される。また、乗算器53b、53e、53hは、乗算器54bに接続され、その出力は積算部438bと接続される。また、乗算器53c、53f、53iは、乗算器54cに接続され、その出力が積算部438cと接続される。
また、本実施例では、実施例1のようにハードウェアによってマトリックス処理を行うのではなく、ソフトウェアを用いて行うため、例えば、各マトリックス係数の変更などに迅速に対応することができる。
また、マトリックス係数を結果の値のみ、即ち、マトリックス「A’」としてではなく、S(λ)、H(λ)、R(λ)、G(λ)、B(λ)別に記憶しておき、必要に応じて演算することによりマトリックス「A’」を求めて使用するとした場合には、この中の1つの要素のみを変更することができ、利便性が向上する。例えば、照明光の分光特性S(λ)のみの変更等が可能である。
実施例2は、実施例1とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号を付して説明は省略する。
本実施例は、主として実施例1とは、照明光量の制御を行う光源部41が異なるものである。本実施例では、光源部41から照射される光量の制御をチョッパーではなく、ランプ15の電流制御により行う。具体的には、図28に示されたランプ15に光量制御部としての電流制御部18が設けられている。
なお、その他の動作に関しては、実施例1と同様であるため、ここでは省略する。
本発明の実施例3では、図4の生体観測装置におけるチョッパー16の代替として、絞りバネ、シャッターなどの可動遮光部材や、メッシュターレット、NDフィルタなどの遮光フィルタを使用した場合の例を説明する。
この絞りバネ60は、光源部41の出射光量を制御する調光の絞りバネと兼用としても、別途遮断する機構としてもう一つ設けても良い。
図31はメッシュターレット70の例を示している。回転板71に開けた孔に格子間隔の大きいメッシュ72やそれより格子間隔の小さいメッシュ73が溶接などで取り付けられ、回転中心軸74を中心に回転する。この時、メッシュの長さ、メッシュの粗さ、位置等を変え、光を所定の時間間隔で遮断し光量制御する。
実施例4は、実施例1とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号をつけ説明は省略する。
本実施例は、主として実施例1とは光源部41およびCCD21が異なるものである。実施例1では、CCD21に図6で示したカラーフィルタが設けられ、このカラーフィルタによってカラー信号を生成するいわゆる同時式であったのに対し、本実施例4では、照明光を1フレームの期間にRGBの順に照明してカラー信号を生成するいわゆる面順次式を用いる。
また、上述の実施例1では、RGBカラー信号の飽和を避けるために、照明光量(光源部からの光量)を制御・調節している。これに対し、本実施例4では、CCD21の電子シャッターを調整する方法を採用している。CCD21では、一定時間内に入射した光強度に比例した電荷が蓄積し、その電荷量を信号としている。この蓄積時間に相当するのが、電子シャッターと呼ばれるものである。この電子シャッターをCCDドライブ回路431にて調節することで、電荷の蓄積量即ち信号量を調整することができる。図33に示すように、電荷蓄積時間を1フレーム毎に順次変化させた状態でのRGBカラー画像を得ることで、同様の分光画像を得ることができる。即ち、前述のそれぞれの実施例において、絞り25による照明光量の制御は通常画像を得るために用い、分光画像を得る際には、電子シャッターを変化させることにより、R,G,Bカラー信号の飽和を避けることが可能である。
[数25]
F3=−0.050R−1.777G+0.829B …(25)
の演算を行うので、図33でのRGB別の電子シャッター制御による電荷蓄積時間を
[数26]
tdr:tdg:tdb=0.050:1.777:0.829 …(26)
となるように設定すれば良い。また、マトリックス演算部では、単にRとG成分のみ反転させた信号とB成分を加算する。これにより、実施例1乃至実施例3と同様の分光画像を得ることができる。
次に、実施例5乃至実施例7として、通常画像の生体信号及び/または分光画像の分光信号の信号レベルを増幅させる信号増幅手段及びその増幅制御について説明する。
図35において、電子内視鏡装置100は、スコープ101、内視鏡装置本体105、表示モニタ106を有している。内視鏡装置本体105は、主に光源部41、制御部42、本体処理装置43から構成されている。本体処理装置43には、CCD21を駆動するためのCCDドライブ回路431が設けられ、通常画像を得るための信号回路系と、分光画像を得るための信号回路系を有する。
一方、分光画像を得るための信号回路系として、S/H回路433a乃至433cの出力にマトリックス演算部436が設けられ、RGB信号に対して所定のマトリックス演算が行われる。
すなわち、
(1) 通常観察画像と分光画像を生成する際に、以下の回路a)〜c)は共通に使用する構成とする。a)WB回路451、b)γ補正回路452、c)強調回路454。
(2) 明るさとS/Nを向上させるために、広帯域輝度信号生成部444を設けて、CCDの出力信号からS/Nの劣化していない広帯域輝度信号(YH)を生成し、分光画像の輝度成分Yとの重み付け加算を実施する。
A)通常観察画像の表示時:α=0、β=1
B)CCDタイプA接続時における分光画像の表示時:α=0.5、β=0.5
C)CCDタイプB接続時における分光画像の表示時:α=1、β=0
本実施例8の構成による効果は、複数枚の画像を取得することなく、明るさとS/Nを向上することが可能となること、又、重み付けの係数は、接続CCDの種類により最適化が可能であるため、各CCDの画素数や分光特性に応じて、コントラスト劣化の影響が無い範囲で最適化が可能であること、である。
このS/N比改善の方法とは、図2に示されるように、照明光の照射を通常画像(一般的なカラー画像)の1フィールド(1フレーム)中に数回(例えばn回、nは2以上の整数)に分けて照射する(照射強度をそれぞれの回で変化させても良い。図2においては、I0乃至Inで示されている。なお、これは照明光の制御のみで実現可能である。)これにより、1回の照射強度を小さくすることができ、RGB信号のいずれもがそれぞれ飽和状態となるのを抑えることができる。また、数回に分割された画像信号は、後段でn枚分の加算を行う。これにより、信号成分を大きくしてS/N比を向上させることができる。
(1)CCDの画素数が多くなればなるほど駆動周波数が高くなるため、本体処理装置(プロセッサ)に駆動回路を持っている構成では、CCDまでの接続ケーブルを高いドライブ能力を持つ回路にて駆動する必要があり、技術的な難易度が高い。
(2)駆動周波数が高くなるほど、不要な放射電磁界成分も高周波となり、EMC(電磁波ノイズ)対策も困難となる。
すなわち、例えば図4の構成に対して、図36に示すように、CCDドライブ回路431を本体処理装置(プロセッサ)43からスコープ101側に移設して、CCDドライブ回路431−CCD21間の接続ケーブルを極力短くする構成とする。
これにより、ケーブル長が短くなるので、駆動波形の歪みが小さくできる。不要なEMC放射が少なくなる。また、CCDドライブ回路431がスコープ101側にあるので、駆動回路に要求されるドライブ能力が低く設定できる。つまり、ドライブ能力が低くてもよく、コスト的にも有利である。
これにより、プロセッサ43からのCCD駆動パルスが正弦波に近い波形で出力可能な為、EMC特性がよい。つまり、不要輻射電磁界を抑えることができる。
図38において、ノイズ抑制回路36は、撮像手段であるCCDにより撮像された画像データに対して、複数の空間フィルタによるフィルタ処理を行うフィルタ処理部81と、前記画像データの局所領域における明るさを算出する明るさ算出手段としての平均画素算出部82と、前記フィルタ処理部81の出力に対して、前記フィルタ処理部81の出力及び/又は前記平均画素算出部82の出力に応じた重み付けを行う重み付け部83と、前記重み付け部83の出力に対して、ノイズ抑制処理を施した画像データを生成するための逆フィルタ処理を行う逆フィルタ処理部85と、を備えて構成されている。
平均画素値算出部82は、フィルタ処理部81で空間フィルタ処理に用いるのと同じ入力画像データのn×n画素の小領域(局所領域)の画素値に対して平均値Pavを算出する。その平均値Pav及びフィルタ処理部81でのフィルタ処理結果の値に応じてルックアップテーブル(LUT)86から重み付け係数Wを読み出して重み付け部83の重み付け回路W1、W2、…、Wpに設定する。
図38の回路により、画像データの局所領域の明るさに応じて空間フィルタによるノイズ抑制処理の重み付けを変えることにより、画像データのコントラストの低下を回避しながらノイズを抑制する。
この状態において、術者は、スコープ101の挿入部102を患者の体腔内に挿入することにより、内視鏡検査を行うことができる。体腔内における患部等の検査対象組織の表面の血管の走行状態等をより詳しく観察しようと思う場合には、術者は、図示しないモード切替スイッチを操作する。
モード切替スイッチが操作されると、制御部42は、光源部41及びプロセッサ43の動作モードを分光画像観察モードの設定状態に変更する。
具体的には、制御部42は、光源部41に対しては、光量を増加させるように光量制御を行い、プロセッサ43に対しては、マトリックス演算部436内の空間周波数のLPFの帯域特性を広帯域化するように変更し、また切換部439を制御してマトリックス演算部436を含む分光画像処理系に切り換える等の変更設定を行う。
このような変更設定を行うことにより、分光画像観察モードにおいて、生体組織の表層付近における毛細血管の走行状態を識別し易い状態で表示することができる。
また、LPFの信号通過の帯域特性を広帯域化しているので、毛細血管の走行状態や、特定色Gの照明光のもとで撮像したGの色信号により得られるのと等価な、表層付近に近い血管走行状態などの分解能(解像度)を向上することができ、診断がし易い画質の良い画像が得られる。
このように動作する本実施例によれば、通常光観察モードにおいて、既存の同時式によるカラー撮像機能を保持し、かつ分光画像観察モードにおいてもプロセッサ43内の各部の係数等の設定を変更する等の処理特性を変更することにより、分光画像観察モードによる観察機能を十分に確保することができる。
(1) 表示モニタ106に表示する場合
表示モニタ106上に、通常画像観察時は表示無し、分光画像観察時はNBIの文字を表示する。或いは、文字表示に代えて、モニタの例えば四隅のいずれかに○等の印を表示してもよい。
操作パネル上に、単にLEDを設け、通常画像観察時は消灯、分光画像観察時は点灯する。具体的には、図39に示すように、NBIの文字の近傍にLED点灯部91を設け、通常画像観察時は消灯、分光画像観察時は点灯する。
図40に示すように、NBI文字自体92が点灯、あるいは、NBI文字以外の文字周辺部93が点灯するようにLEDを設け、通常画像観察時は消灯、分光画像観察時は点灯する。
図41に示すように、NBI文字自体94が点灯、あるいは、NBI文字以外の文字周辺部95が点灯するようにLEDを設け、通常画像観察時は緑色消灯、分光画像観察時は白色点灯等、色分け点灯する。
生体観測装置を複数の装置からなるシステムで組み、それらを集中コントロールするコントローラー画面上に、図39、図40、図41と同様に表示する。或いは、分光画像観察モードの切替スイッチ(即ちNBIスイッチ)自体が、通常画像観察時は黒文字、分光画像観察時は反転文字で表示する。
(4) 上記以外の表示場所としては、キーボード、フットスイッチがある。
実施例13の生体観測装置は、実施例1とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号をつけ説明は省略する。
本実施例は、主として実施例1とCCD21に設けられたカラーフィルタが異なるものである。実施例1では、図6で示したようにRGB原色型カラーフィルタが用いられるのに対し、本実施例では、補色型のカラーフィルタを用いる。
この場合、CCD21の全画素読み出しを行い、各色フィルタからの画像を信号処理又は画像処理することになる。また、原色型カラーフィルタについての(1)式〜(8)式及び(19)式〜(21)式について、補色型カラーフィルタの場合に変形すると、以下の(27)式より(33)式のようになる。但し、目標とする狭帯域のバンドパスフィルタの特性は同じとする。
[数28]
[数29]
kG=(∫S(λ)×H(λ)×G(λ)dλ)−1
kMg=(∫S(λ)×H(λ)×Mg(λ)dλ)−1
kCy=(∫S(λ)×H(λ)×Cy(λ)dλ)−1
kYe=(∫S(λ)×H(λ)×Ye(λ)dλ)−1 …(29)
[数30]
[数31]
[数32]
[数33]
また、図43に、補色型カラーフィルタを用いた場合の分光感度特性、目標とするバンドパスフィルタ及び上記(27)式乃至(33)式により求められ擬似バンドパスフィルタの特性を示す。
なお、補色型フィルタを用いる場合には、図4で示されるS/H回路は、それぞれR・G・Bではなく、G・Mg・Cy・Yeについて行われることは言うまでもない。
例えば、既に述べた全ての実施例に対して、臨床中その他のタイミングにて操作者自ら新規の擬似バンドパスフィルタを作成し、臨床に適用することもできる。即ち、実施例1で示すと図4中の制御部42に、マトリックス係数を演算・算出することのできる設計部(図示しない)を設ける。
これにより、操作者は既存のマトリックス「A’」にとらわれず、自らの経験等により新たなバンドパスフィルタを生成することができ、特に研究用として使用される場合に、効果が高いものである。
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
16…チョッパー
18…電流制御部
24…絞り制御部
41…光源部
42…制御部
43…本体処理装置(プロセッサ)
100…電子内視鏡装置(生体観測装置)
101…スコープ
102…挿入部
103…先端部
104…アングル操作部
105…内視鏡装置本体
106…表示モニタ(表示出力装置)
436…マトリックス演算部
440…色調整部
440a…色変換処理回路
444…広帯域輝度信号生成部
Claims (22)
- 被検体に光を照射する照明手段と、
生体信号を取得する観察手段と、
前記照明手段及び/または前記観察手段の動作を制御し、表示出力装置へ前記生体信号を表示出力する信号処理制御手段とを具備した生体観測装置において、
前記信号処理制御手段が、
前記生体信号から分光信号を生成する分光信号生成手段と、
前記分光信号を前記表示出力装置へ表示出力する際の色調を調整する色調整手段と、
前記表示出力装置へ出力される信号の画質を改善する画質調整手段と、
を含むことを特徴とする生体観測装置。 - 前記信号処理制御手段が前記照明手段から照射される光量を制御する光量制御部を有することを特徴とする請求項1に記載の生体観測装置。
- 前記光量制御部は、前記生体信号を取得してそのまま表示する場合に比べて、さらに前記分光信号へ変換して表示する場合の方が前記光量を少なくすることを特徴とする請求項2に記載の生体観測装置。
- 前記光量制御部は、前記照明光を所定の時間間隔で遮断するチョッパーを有することを特徴とする請求項2に記載の生体観測装置。
- 前記光量制御部は、前記照明手段の光源点灯電流、または電圧を制御することを特徴とする請求項2に記載の生体観測装置。
- 前記観察手段は、固体撮像素子を備えたことを特徴とする請求項1に記載の生体観測装置。
- 前記固体撮像素子による電荷蓄積時間を決定する電子シャッターを制御する電子シャッター制御部を有することを特徴とする請求項6に記載の生体観測装置。
- 前記電子シャッター制御部は、複数の生体信号毎に前記電荷蓄積時間を独立に制御可能であることを特徴とする請求項7に記載の生体観測装置。
- 前記照明手段から照射される光量と前記固体撮像素子における電荷蓄積時間制御を同時に制御することを特徴とする請求項7に記載の生体観測装置。
- 前記光量制御部は、前記照明光の光軸の一部、あるいは全てを遮光する可動性の遮光部材を備えたことを特徴とする請求項2に記載の生体観測装置。
- 前記光量制御部は、前記照明光の光軸上に挿入され光量を減光する減光部材を備えたことを特徴とする請求項2に記載の生体観測装置。
- 前記信号処理制御手段は、前記生体信号及び/または分光信号の信号レベルを増幅させる信号増幅手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の生体観測装置。
- 前記信号増幅手段は、前記生体信号と分光信号とでその増幅制御を変化させることを特徴とする請求項12に記載の生体観測装置。
- 前記増幅制御が、増幅機能の動作/非動作であることを特徴とする請求項13に記載の生体観測装置。
- 前記増幅制御が、増幅機能の増幅レベルであることを特徴とする請求項13に記載の生体観測装置。
- 前記増幅制御が、増幅機能の動作速度であることを特徴とする請求項13に記載の生体観測装置。
- 前記信号増幅手段は、請求項2記載の前記光量制御部と連動して動作するよう制御されることを特徴とする請求項12に記載の生体観測装置。
- 前記連動動作の制御は、前記光量制御部において光量が最大となった後、前記信号増幅手段が機能するよう動作させることを特徴とする請求項17に記載の生体観測装置。
- 前記信号処理制御手段が、明るさ及び/またはS/Nを改善する画質調整手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の生体観測装置。
- 前記画質調整手段が、生体信号及び/または分光信号から生成された輝度信号の加算を行うことを特徴とする請求項19に記載の生体観測装置。
- 前記画質調整手段が、生体信号及び/または分光信号の局所領域の明るさに応じて空間フィルタによるノイズ抑制処理の重み付けを変えることにより、生体信号及び/または分光信号のコントラスト及びノイズ抑制の制御を行うことを特徴とす請求項19に記載の生体観測装置。
- 前記画質調整手段が、生体信号または生体信号から所定の変換によって生成された信号に対して空間周波数特性を変更する制御を行うことを特徴とする請求項19に記載の生体観測装置。
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