JP2006313803A - テラヘルツ電磁波発生装置 - Google Patents

テラヘルツ電磁波発生装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006313803A
JP2006313803A JP2005135540A JP2005135540A JP2006313803A JP 2006313803 A JP2006313803 A JP 2006313803A JP 2005135540 A JP2005135540 A JP 2005135540A JP 2005135540 A JP2005135540 A JP 2005135540A JP 2006313803 A JP2006313803 A JP 2006313803A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electromagnetic wave
layer
antenna
avalanche multiplication
terahertz
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005135540A
Other languages
English (en)
Inventor
Chiyoujitsuriyo Suzuki
朝実良 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2005135540A priority Critical patent/JP2006313803A/ja
Publication of JP2006313803A publication Critical patent/JP2006313803A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Lasers (AREA)

Abstract

【課題】 THz−TDS法は、強度においては最大で10μW程度までの放射しか実現しない。また、その帯域も1.5THz程度までは到達しているものの0.3THz付近を最大値としており、1.5THzでの強度は0.1μW程度にしかなっていない。より高出力かつ広帯域なテラヘルツ帯電磁波発生装置が必要となる。
【解決手段】 前記目的を達成するために従来のLT−GaAsだけの放射アンテナに対してアバランシェ増倍層205を設けることでキャリアの増倍を促進し、アバランシェ増倍層205の挿入によって生じる問題点も電荷堰き止め層302の挿入と電磁波放射用窓304の作製によって解消させた。
【選択図】図2

Description

この発明は強度の大きいテラヘルツ電磁波を発生させることができ、高速大容量での無線通信へ応用することのできるテラヘルツ電磁波発生装置に関し、あるいは半導体、誘電体等の材料評価に利用し、特にテラヘルツ帯で使用する素子を構成する材料の複素屈折率などを測定する複素誘電率測定装置としても応用が可能である。
従来、テラヘルツ帯のような産業応用が進んでおらず、未開拓ともいえる周波数領域に対する電磁波源としては、後進波管や分子レーザーなどが用いられてきた。ここで言うテラヘルツ帯とは0.1THzから5THz迄の帯域のことであり、光波の直進性、粒子性を有している最長波長領域であり、同時に電波の透過性を有する最短波長域との重なる帯域を指している。一方で、検出にはInSb等、固体中の電子ガスの電磁波吸収による抵抗変化を測定するホットエレクトロンボロメーターが多用される。
しかし、これらの電磁波源は周波数が離散的、或いは可変であっても周波数範囲が狭く、得られる電磁波強度も1マイクロワット(μW)以下と弱いいため、テラヘルツ帯の電磁波を1mから10mの範囲で送受信することは難しかった。
これらの課題を解決するため、パルスレーザー励起の光伝導素子を用いた分光法が1985年頃開発された。
この光伝導素子を用いた分光法では、光伝導素子をサブピコ秒の超短光パルスで照射すれば光キャリアの生成により瞬間的に導電性となって電流が過渡的に流れることを利用して電磁波放射を行っている。また、光パルスの照射により瞬間的に導電性となることを利用することにより放射電磁波の検出も行われている。
光パルスを用いた例では、1THz近傍の高周波電磁波に対する試料の応答を測定するための装置として、TDS(Time Domain Spectroscopy)と呼ばれる装置(特許文献1を参照)がある。
図9は従来のTDSの概略構成図である。この図に示すように、TDSでは、モードロックTi:Sappireレーザーなどからなるフェムト秒レーザー22からの超短パルス光23をビームスプリッタ24で分割し、一方の超短パルス光25(超短パルス光を厳密に区別するため、この超短パルス光25を「第1の超短パルス光」という場合がある)を平板状の光伝導素子からなる電磁波放射用アンテナ28に照射する。この電磁波放射用アンテナ28として用いられる平板状の光伝導素子の表面には、図10に示すようにAuGe/Ni/Auからなるコプラナー型の対電極105が設けられており、それらの間には電源30から電圧が印加される。第1の超短パルス光25が電磁波放射用アンテナ28の電極間に照射されると、電子正孔対が瞬時に形成されることによって電磁波放射用アンテナ28には瞬間的に電流が流れ、このときパルス電磁波32が放射される。このパルス電磁波32を第1放物面鏡31で平行化して試料34を透過させ、第2放物面鏡36により電磁波検出用の受信アンテナ29の裏面に集める。
受信アンテナ29の表面にはビームスプリッタ24で分割されたもう一方の超短パルス光26(超短パルス光を厳密に区別するため、この超短パルス光26を「第2の超短パルス光」という場合がある)が照射され、その瞬間(すなわち、超短パルス光26が照射した瞬間)だけ導電性となる。この時点では受信アンテナ29の電極間に電界が印加されていないので電流は生じない。導電性を示している間に放射アンテナから放射された電磁波が入ってくると、受信アンテナ29の電極間には電磁波が有している電界が印加されたのと同様の状態となる。一方、光学遅延ステージ41・42によって時間遅延を受けた光はその遅延量によって試料34を透過して来た電磁波35との相関量が変化する。この相関量が電磁波が有している電界強度に対応した量の電流となって観測される。つまり、電磁波の電界強度が有しているパルス形状に応じた電流量が得られることになる。これが相互相関法による電磁波パルス検出の原理である。以上によって、試料34を透過して来た電磁波35と、光学遅延ステージ41・42を経由した超短パルス光26との相互相関信号を電流として検出することができ、テラヘルツ帯域のように通常の電子デバイスでは応答しきれないような高速の電磁波であっても検出が可能となる。
このとき電磁波放射アンテナ28と電磁波検出用アンテナ29には、半絶縁性GaAs基板101上に基板温度を300℃から450℃の低温で結晶成長させたGaAs(低温GaAs、LT−GaAsという場合がある)103を用い、フェムト秒レーザー波長としてはGaAsの吸収端(873nm)よりも短波長の800nmを使用している。
なお、図9中、13はレンズ、30は電源、34は試料、37はカレントアンプ、38はロックインアンプ、33はオプティカルチョッパ、40は平面鏡、41はリトロリフレクタ、42は移動式光学遅延ステージ、43はコンピュータを示す。
従来までの光伝導アンテナによるテラヘルツ電磁波放射は、超短パルス光照射によって発生する電流をi、発生したキャリアによって生成される分極をP、素電荷量をe、アンテナ電極への印加電界強度をE、キャリア濃度をn、移動度をμとしたとき、
Figure 2006313803
のように示される。ここでは、超短光パルスが照射されたときに発生する電荷のキャリア濃度および移動度の時間変化量に比例し、同時に電極間に印加された電界強度に比例する。つまり、ある一定電界が印加されている状態ではキャリア濃度の時間変化量が大きい程、電界で加速されていく電荷の移動度の時間変化量が大きいほど放射電磁波強度は大きくなる。
図11(a)にはアンテナの応答速度に対する電流の減衰特性を示している。電極ギャップ間に電界が印加されている状態のアンテナに75fsのパルス幅を持つ光が入射した場合のアンテナに発生する電流の時間変化をアンテナの応答速度(時定数)τをパラメーターとして示したものである。キャリアの発生には時間のずれはほとんど生じないためτの大小にかかわらずパルスレーザー光のパルス幅と同じ立ち上がりを示す(時間軸で言うところの負側)。一方で発生したキャリアには材料に応じた時定数が存在するためパルスレーザーの照射が終了していても瞬時に消滅はせず、ある一定の時定数τで電子正孔対が再結合を起こして消滅していく。この過程がキャリアの寿命と呼ばれるものを定義しており、材料に大きく依存する特性である。この結果においてはτの値に伴って電流の減衰していく時間が伸びていく様子がわかる。
図11(b)には電流の減衰特性から得られる放射電磁波強度を示した。これは図11(a)において示した電流の減衰特性を(数1)を用いて表現することで得られる結果である。ここで得られた結果から、アンテナ材料の持つ時定数τと電磁波強度Iとは互いに独立であって、どの時定数の場合でも光電流の発生量が等しければ得られる電磁波強度は同じであることがわかる。
図11(a)および(b)に示したように、発生した光電流が緩やかに減衰していったとしても放射電磁波強度に影響を与えることはなく、光電流値が増加していくことが放射電磁波強度の増加につながっている。数的には放射電磁波強度が光電流との微分で表されるため、減衰時の傾きの大小は考慮しなくても良く、その符号が変わる時点が光電流値の最高到達点であり、同時に放射電磁波強度の最高到達点ともなる。すなわち、アンテナの応答速度は放射電磁波の強度には関係が無く、超短パルス光照射によって発生したキャリアの減衰が緩やかであったとしても放射電磁波強度には影響を与えない。
このテラヘルツTDS法では、用いられる電磁波が短パルスであるため、コヒーレント性に優れている。このため電磁波の強度と位相から重要な情報が得られ、物性測定用の装置としても応用が可能である。試料34を透過してきた電磁波波形と試料34を挿入しない場合の電磁波波形とを比較することにより、広い周波数にわたる電磁波の透過率・位相遅れを計算することができる。この手法によって得られる実データは図5(a)に示したような横軸に時間軸をとった時間分解スペクトルが得られるが、これをフーリエ変換することによって図5(b)に示したような横軸が周波数成分となる周波数スペクトルを得ることができる。
ところで、検出用光伝導素子は光パルス照射間に入射してくるパルス電磁場電場によって駆動される電流を検出するが、光パルスの時間幅はパルス電磁波の時間幅よりも数十分の一程度とかなり短い。例えば光パルスは時間幅が0.1ピコ秒程度であり、パルス電磁波の時間幅はアンテナ効率が入るため数ピコ秒程度である。
したがって、光パルスもパルス電磁波も光速で検出用光伝導素子に繰り返し入射するが、各回においてパルス電磁波の最初の部分から最後の部分までが到達する時間に比較して光パルスの照射時間は短い。そのため、光パルスが照射している間の検出用光伝導素子に流れる電流はパルス電磁波の電場のごく短い部分によるものであり、さらに光パルスとパルス電磁波とが検出用光伝導素子に到達するタイミングは時間遅延により固定されている。
光パルスの繰り返し周波数が例えば約100MHzの場合、光パルスとパルス電磁波とが毎秒約108回検出用光伝導素子に入射してくるが、パルス電磁波の電場のごく短い部分は毎回パルス電磁波波形のうち時間遅延によって決められた部分であり、全く同じ電流が毎秒約108回流れることになる。実際の電流計はこのような速い電流の変化に追随できないため、毎秒約108回のパルス電流の平均値が測定される。したがって、パルス電磁波波形のうち時間遅延によって決められた部分が電流として測定され、さらに時間遅延をずらしていくことによりパルス電磁波波形の他の部分も測定できる。このようなテラヘルツ電磁波発生・検出装置は、今日ではその出力特性、広帯域特性ともに最も優れたテラヘルツ電磁波発生方法ならびに検出手法の一つとなっている。
特開2001−21503号公報 特開昭62−281477号公報 特開昭62−196876号公報 特開昭63−012120号公報 特開2003−83888号公報(特許第3598375号) Physical Review Letters vol.55(1985),pp.2152-2155 InfraredPhysics vol.26(1986),pp.23-27
前述のTDS法における光伝導アンテナは現状ではコヒーレントで広帯域な電磁波を発生させうるもっとも簡便な手法であるが、強度においては最大で10μW程度までの放射しか実現しない。また、その帯域も1.5THz程度までは到達しているものの0.3THz付近を最大値としており、1.5THzでの強度は0.1μW程度にしか達していない。
テラヘルツ波を通信応用など、空間の伝送に用いるためにはより強力な電磁波が放射される必要がある。また、測定器として用いる場合にも1〜3THzの領域で電磁波強度が十分でないとS/Nがとれず測定値の信頼性が危うくなる。
そこで、より高出力かつ広帯域なテラヘルツ帯電磁波発生装置が必要となっていた。
一方で、実際により強力な電磁波放射を行おうとしても印加電圧や入射光強度を現状で用いているような15V、15mW以上にして使用するとアンテナ材料の絶縁破壊が生じてアンテナが壊れてしまうため、従来技術を用いたテラヘルツ電磁波の発生方法では事実上この値がほぼ限界であった。
そこで、次のような検討を行った。光伝導アンテナにおける放射電磁波強度は(数1)で表現されるので、光伝導アンテナにおける放射電磁波強度を増大するには、超短光パルスが照射されたときに発生する電荷のキャリア濃度の時間変化量を継続して増加させればよい。その結果、光電流値の最高到達点が高くなり、放射電磁波強度が増大する。
そこで、従来までの光伝導アンテナに対してアバランシェ増倍機能を付加した構造を検討した。図1にその構成を示す。
最近接距離が5μmとなっている上部コプレナー線路201および下部コプレナー線路202とアバランシェ増倍用上部電極203とを、互いに接触しないように放射アンテナ28の表面に構成した。放射アンテナ28の本体は不純物のSiを1018cm-3添加したn型GaAs基板207上に、同じく不純物のSiを1018cm-3添加した厚さ500nm程度のn型GaAsバッファ層206、組成xが0.1のAlxGa1-xAsで故意に不純物添加されていない厚さ0.3μm程度のアバランシェ増倍層205、厚さ0.5μmで、結晶成長温度が400℃程度の低温成長GaAs(LT−GaAs)204を順次積層することによって構成した。また、アンテナの裏面に当たるn型GaAs基板207には裏面電極208を形成した。
このようにして構成した放射アンテナ28の上部コプレナー線路201と下部コプレナー線路202に15V程度の電圧を電源30によって印加するとともに、アバランシェ増倍用上部電極203と裏面電極208との間に第2電源209によって15Vの電圧を印加した。超短パルス照射により、素子表面で発生した電荷をアバランシェ増倍層205にて増倍することでキャリア濃度の増加を促進して、放射電磁波強度の増強を行おうとした。
しかしながら、本構成では以下の3点の課題が発生した。すなわち、
(1)電極を基板裏面に形成したため、電磁波が透過しにくい導電性基板や導電層を使用することになり、裏面より取り出せる電磁波強度が低くなった。
(2)アンテナ表面に電極を形成したために、アンテナに対する効率的な光照射が妨げられるとともに、アンテナ電極間での効率的な光電流発生が妨げられて、電磁波強度が低くなった。
(3)発生したキャリアを増倍層へ流れ込ませる必要があるが、このことによって表面と裏面との間に電流が生じてしまい、アンテナ電極間での効率的な光電流発生が妨げられて、電磁波強度が低くなった。
本発明は上記の課題にかんがみて、高出力であるとともに広帯域な、さらには効率の高いテラヘルツ帯電磁波発生装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するためには、まず光伝導アンテナにおいて、超短光パルスが照射されたときに発生する電荷濃度の時間変化量を増え続けさせて光電流値の最高到達点を高くして放射電磁波強度を増大させる必要がある。
そこで、アバランシェ増倍効果を効率的に付加するために電荷堰き止め層を導電性基板とアバランシェ増倍層との間に挿入して、発生したキャリアを増倍層へ流れ込ませた後には裏面電極にキャリアを到達させず、表面電極においてキャリアの掃引がすべて行えるようにして、アンテナ電極間での効率的な光電流発生を維持したまま効率的なアバランシェ増倍を実現した。この、電荷堰き止め層を挿入することにより、この層をエッチングストップ層として用いることによって素子表面側の電極構造と裏面の電磁波取り出し用窓の作製が可能となった。その結果、アンテナ裏面に電極や導電性の層が存在していても発生した電磁波を損失なく裏面から取り出せるようになった。また、アンテナ電極をアバランシェ増幅用電極として使用することにより、アンテナ表面に余分な電極を形成する必要がなくなるため、アンテナに対する効率的な光照射が妨げられることもなくなった。
具体的には、超短パルス光を放射する光源と、電磁波放射用アンテナとを備えたテラヘルツ波発生装置であって、
前記電磁波放射用アンテナは、
導電性基板と、前記導電性基板上に形成されたバッファ層上に、1.7eV以上2.2eV以下のバンドギャップエネルギーを有している電荷堰き止め層と、1.5eV以上2.0eV以下のバンドギャップエネルギーを有しているアバランシェ増倍層と、低温成長GaAs(LT−GaAsとも言う)層とを積層して構成され、
素子表面には伝送線路を有し、前記伝送線路は、一対の伝送線路電極本体と、前記各伝送線路電極本体からそれぞれ突出する突起電極とを有し、
前記一対の伝送線路本体は平行に配置されており、
前記突起電極は互いに向かい合っており、
前記伝送線路は、その一対の伝送線路電極本体のうち一方の突起電極直下において電荷堰き止め層迄の深さを有しており、
素子裏面に電極を有し、素子表面にある前記伝送線路の少なくとも一方との間に印加する電界強度は1×105V/cm以上5×106V/cm以下の電界であって、
前記突起電極間に、波長540nm以上870nm以下で平均強度が15mW以上1W以下の超短パルス光を光源より照射することによって
アバランシェ増倍を受け、電荷堰き止め層で堰き止められたキャリアを挿引し、次のパルスが来るまでにキャリアを初期状態に戻す効果を有し、従来よりもキャリアが増倍した分だけ強度の増大した電磁波を発生させることができる。
第2の本発明はこのようなテラヘルツ電磁波発生装置の電荷堰き止め層は故意に不純物添加されておらず、
膜厚が8nm以上100nm以下であって、
InsAl1-sP(0.4≦s≦0.6)、IntGa1-tP(0.4≦t≦0.6)、GaSbu1-u(0.2≦u≦0.4)
のいずれかによって構成する。
このことによってアバランシェ増倍を受けたキャリアは電荷堰き止め層をトンネルすることなく、またアバランシェ増倍層との界面にある伝導帯バンド不連続障壁を乗り越えることなく堰き止められる。さらには導電性基板を含めた電荷堰き止め層以外の層がAsを含んでいるためエッチングストップ層として働き、表面の電極構造と裏面の放射窓作製において素子作製の面でも非常に有益な層となる。
第3の本発明はこのようなテラヘルツ電磁波発生装置のアバランシェ増倍層は故意に不純物添加されておらず、
膜厚が0.3μm以上2μm以下であって、
組成xが0.1以上0.7以下のAlxGa1-xAs
で構成することによって、一層上にあるLT−GaAs層との伝導帯バンド不連続障壁を高くしないようにし、光照射でLT−GaAsにて発生したキャリアを円滑に導き込むことができるようにしてある。
第4の本発明はこのようなテラヘルツ電磁波発生装置のアバランシェ増倍層は故意に不純物添加されておらず、
膜厚が5nm以上15nm以下であって、AlyGa1-yAs(0≦y≦0.3)によって構成されている井戸層と
膜厚が10nm以上15nm以下であって、AlxGa1-xAs(0.1≦x≦0.7)、InsAl1-sP(0.4≦s≦0.6)、IntGa1-tP(0.4≦t≦0.6)、GaSbu1-u(0.2≦u≦0.4)のいずれかで構成される障壁層
とで構成される超格子構造とすることによって、アバランシェ増倍の効率を高めることができる。
本発明のテラヘルツ帯電磁波放射用アンテナによれば、最大ピーク強度が10μW以上となるテラヘルツ帯電磁波が発生でき、1.5THzを超える領域においてであっても1μW以上の出力が得られる。このような電磁波放射用アンテナを用いることにより、高出力であるとともに高効率なテラヘルツ帯電磁波発生装置が提供され、5THzの帯域まで感度よく電磁波強度を検知でき、物質の誘電率を観測できる測定器としての利用が可能となる。
(実施の形態1)
本発明で用いた光伝導素子の概観図を図2に示す。この光伝導素子は図9において参照符号28により示される電磁波放射用アンテナとして本発明のテラヘルツ電磁波発生装置に組み込まれる。
放射アンテナ28の本体は、例えば不純物のSiを1018cm-3程度添加されているn型GaAs基板207上に、同じく不純物のSiを1018cm-3程度添加した厚さ500nm程度のn型GaAsバッファ層206、例えば組成yが0.4以上から0.6以下であって、故意に不純物添加をしておらず、膜厚が10nm以上30nm以下のInyAl1-yP電荷堰き止め層302、例えば組成xが0.1以上のAlxGa1-xAsで構成され、故意に不純物添加されていない厚さ0.3μm以上2μm以下のアバランシェ増倍層205、厚さ0.5μmで、結晶成長温度が300℃〜450℃程度の低温成長GaAs(LT−GaAs)204を順次積層することによって構成されている。また、アンテナの裏面に当たるn型GaAs基板207にはAuGe/Ni/Auによる裏面電極208が構成されている。
この光伝導素子表面にはAuGe/Ni/Auによる上部線路201および変形下部線路301との距離が5μmとなるように構成されており、特に下部線路301は、LT−GaAs層204とアバランシェ増倍層205をHF:H22:H2O=1:1:5のエッチング液で(111)A面を出すようにメサエッチを施した後にAuGe/Ni/Auを蒸着して構成する。このとき、InyAl1-yP電荷堰き止め層302はエッチングストップ層の役目も果たす。
以上のような構成の放射アンテナ28の動作原理について説明する。
上部線路201と変形下部線路301に15V程度の電圧を電源30によって印加する。このとき変形下部線路301が上部線路201より高電位となるように電圧印加する。また、裏面電極208には増倍制御用電源303によって電圧印加を行えるようにもしてある。増倍制御用電源303は可変電圧であり、上部線路201より裏面電極が高電位となるように電圧印加する。
このような放射アンテナ28に対し、従来例で示したように第1の超短パルス光25が電磁波放射用アンテナ28の電極間に照射されると、電子正孔対が瞬時に形成されることによって電磁波放射用アンテナ28には瞬間的に電流が流れ、このときパルス電磁波32が放射される。超短パルス光25の波長は800nmであるので、光の侵入長は1μm程度である。このとき、光パルスがLT−GaAs層204で吸収され、光電流が発生し、これに伴ってテラヘルツ電磁波が発生する。このときの超短パルス光25の波長には制限がある。まず、波長が短いと光が表面層だけで吸収され、発生したキャリアがアバランシェ増倍層205へのキャリア移動ができなくなってしまう。そこで、侵入長を0.1μm以上とするために、超短パルス光の波長は540nm以上である必要がある。一方、GaAsのバンドギャップエネルギー以下の波長ではLT−GaAs層204を透過してしまうので、超短パルス光の波長はGaAsのバンドギャップエネルギーである870nm以下とする必要がある。
本発明のテラヘルツ電磁波放射アンテナは、超短パルス光照射により素子表面近傍で発生した電荷をアバランシェ増倍層205にて増倍することでキャリア濃度の増加を促進させ、放射電磁波強度の増強を行うことができる。このキャリア濃度の増倍について以下で説明する。
前述したように変形下部線路301が上部線路201より高電位となるように電圧印加してある。一方、裏面電極208には増倍制御用電源303によって、裏面電極208が上部線路201より高電位となるように電圧印加を行えるようにしてある。このとき、超短パルス光照射によって発生した電荷、特にこの場合電子は変形下部線路301から上部線路201に向かっている電界によって掃引され、変形下部線路301へと向かっていく。また同時に上部線路201と裏面電極208との間の電位差によって生ずる電界により、一部の電子はアバランシェ増倍層205へ向かう。前述したように、変形下部線路301と上部コプレーナ線路201との距離は5μmである。一方、膜厚の詳細については後述するが、アバランシェ増倍に関する電子の走行距離は素子の膜厚にほぼ等しく、1μm程度である。また、変形下部線路301と上部線路201との間の、素子に対する水平方向電界は3×104cm/Vであり、アバランシェ増倍に必要な素子に対する膜厚方向電界は1×105cm/Vである。このことから光照射で発生した電子は表面にある線路間を走行するよりもアバランシェ増倍層205へ引き込まれやすい。また、変形下部線路301の突起部においてはメサエッチングによって深さ方向に向かって先細るように電極形成しているので、深さ方向に引き込まれた電子ほどアバランシェ増倍層205内を長く走行する。アバランシェ増倍層205に引き込まれた電子は電離衝突を繰り返し、キャリアの増倍を引き起こしながら裏面電極208に向かって進むが、アバランシェ増倍層205よりもバンドギャップエネルギーの大きい電荷堰き止め層302によって堰き止められ、この層の直上まで掘り下げてある変形下部線路301に流れ込むことで掃引が完了する。
以上によって、電極構造を簡素化し、アバランシェ増倍を実現しつつもそのキャリアを線路間での掃引を実現できる。また、電荷堰き止め層302をエッチングストップ層として利用していることで素子の表面からも裏面からも所望の溝を作製でき、変形下部線路301のような構造と電磁波放射用窓304を同時に作製できる。電磁波放射用窓304を電荷堰き止め層302のところまで掘り込めるので、不純物添加された層に阻害されることなく発生電磁波を効率よく素子外に取り出すことが出来る。
このときのキャリア増倍と印加電圧との関係を説明するために上部線路201と裏面電極208との間に増倍制御用電源303によって電界印加した時のバンドの様子、とりわけ伝導帯のバンド図を図3に示した。図3は放射アンテナ28を構成している各層に対応した伝導帯の接合状態を示したものであるって、LT−GaAs層204の表面で発生する電子311、LT−GaAs層204とアバランシェ増倍層205との界面に存在する伝導帯バンド不連続ΔEc1312、アバランシェ増倍層205と電荷堰き止め層302との界面に存在する伝導帯バンド不連続ΔEc2313、LT−GaAs層204を走行する電子314、アバランシェ増倍層205を走行する電子315、LT−GaAs層204とアバランシェ増倍層205と電荷堰き止め層302とに印加されている電界316をそれぞれ示している。電界316は増倍制御用電源303によって、裏面電極208が上部線路201より高電位となるように電圧印加しているので、裏面電極208側から上部線路201側へ向かっている。また、LT−GaAs層204とアバランシェ増倍層205と電荷堰き止め層302の各々は不純物添加を故意に行っていないため、各層とも高抵抗であり、電界を緩和する要素がないので電界316はどの層においてもほぼ同じ値をとる。
LT−GaAs層204の表面で発生する電子311が電界316によってアバランシェ増倍層205へ導かれるには、図3における伝導帯バンド図に示したように、LT−GaAs層204を走行する電子314に対して、LT−GaAs層204とアバランシェ増倍層205との界面に存在するバンド不連続ΔEc1312を乗り越えられるだけのエネルギーを与えるだけの電位が必要である。ちなみに、ΔEc1=0.05eVであるならばこの電位差は0.5V程度必要となる。
さらに、アバランシェ増倍層205においてアバランシェ増倍層205を走行する電子315が電離衝突を繰り返し、キャリアの増倍が開始される最小の電界は1×105V/cmであるので、このアバランシェ増倍層205の膜厚が0.3μmであるならば少なくとも3Vの電位差が必要となる。
アバランシェ増倍は1×105V/cm以上の電界強度によって発生するが、キャリアの走行距離に伴って増倍量は増加していく。ただし、この量は無限にとれるわけではなく、増倍量が高すぎると電流が流れ過ぎることになり、素子の絶縁破壊につながる。増倍率は最大でも100倍程度が限度となることが知られており、0.3μmで2倍となることを考えると2の7乗である128倍になる直前の2μmが上限の膜厚といえる。ただし、膜厚が大きいことは作製工程上、好ましくないため、通常は0.3μmから0.5μm程度の膜厚を用い、印加電界強度を調節することによって増倍率を制御するほうが好ましい。
アバランシェ増倍を制御する上で必要となる電位差は前述したバンド不連続ΔEc1312を乗り越えられるだけのエネルギーを与えるだけの電位差0.5Vとアバランシェ増倍開始電圧3V以外にLT−GaAs層204の膜厚と電荷堰き止め層302の膜厚が決めれば見積もることが出来る。LT−GaAs層204の膜厚は前述したように光パルスの侵入長が0.1μm以上1μm以下としているのでこの範囲にあれば良く、通常は0.5μm程度の膜厚を使用している。
電荷堰き止め層302の膜厚が厚過ぎると電界がこの層で消費されてしまい、アバランシェ増倍層205に効率的な電界印加がしにくくなる。薄すぎればトンネル効果が生じてしまい、電荷堰き止めの効果がなくなってしまう。不純物添加を行えば電荷堰き止め層302への電界印加はなくなるが、電極の構成上、裏面電極と変形線路301との電位差が無くなってしまい、素子としての機能を果たさなくなってしまう。さらには素子表面で発生しているテラヘルツ電磁波がこの層を透過する際に著しく反射を受けるためこの層への不純物添加はあり得ない。この観点より、膜厚はトンネル現象の生じない8nm以上であって、この層での電圧消費がアバランシェ増倍開始電圧の3Vに影響を与えないように1V以下となるように0.1μm以下にしておくことが好ましい。ただし、膜厚が大きいことは作製工程上、好ましくないため、通常は10nmから30nm程度の膜厚としておくことがより好ましい。
以上より、アバランシェ増倍層に必要な電位差としてはLT−GaAs層204を0.5μm、アバランシェ増倍層205を0.3μm、電荷堰き止め層302を0.1μmとしてキャリアの増倍が開始される最小電界1×105V/cmを得るための9VとLT−GaAs層204とアバランシェ増倍層205との界面に存在するバンド不連続ΔEc1を乗り越えられるだけの電位差0.5Vとを併せて9.5V以上あればよい。この印加電圧を調節することによって、増倍率を調整することもできる。
次にアバランシェ増倍層に用いる材料について説明する。アバランシェ増倍を発生させるにあたっては、アバランシェ増倍層205において効率的に電界がからなければならない。キャリアの増倍が開始される最小電界1×105V/cm以上の電界、特に1×106V/cm程度の電界では増倍率10程度となり、5×106V/cm程度の電界では増倍率100程度となることはすでに知られている。このように大きな電界がかかったとしてもトンネル現象によるリーク電流が発生しないようにアバランシェ増倍層205に用いる材料を選ぶ必要がある。5×106V/cm程度の電界がかかってもリーク電流が発生しないためにはバンドギャップエネルギーが1.5eV以上の材料で構成されていればよい。このことはAlxGa1-xAsにおけるAl組成xの最小値が0.1であることの根拠である。なお、AlxGa1-xAsはAlの組成を1にしたとしてもGaAsに格子整合できるため最大値は1でもよいが、後述する電荷堰き止め層302とのバランスを考えると図3の伝導帯バンド図に示した電荷堰き止め層302との伝導帯不連続量ΔEc2312が0.2eV以上でないとアバランシェ増倍用に印加している電圧だけで電荷が障壁を乗り越えてしまい、電荷を十分に堰き止めることができなくなってしまう。電荷堰き止め層302とアバランシェ増倍層205との伝導帯不連続を0.2eV以上とするためにはAlxGa1-xAsにおけるAlの組成上限は0.7となる。
続いて電荷堰き止め層302に用いる材料について説明する。前述したようにアバランシェ増倍層205にはAl組成の上限を0.7としたAlxGa1-xAsを用いることとした。このことから電荷堰き止め層302にはアバランシェ増倍層205と電荷堰き止め層302との伝導帯不連続量ΔEc2312が0.2eV以上となる材料を使用すればよい。また、基板であるGaAsとの格子整合を考慮し、かつエッチングストップ層としての働きを持たせるため、V族元素にAsを含んでいないものを選ぶ必要がある。この条件
に相当するのがInsAl1-sP(0.4≦s≦0.6)、IntGa1-tP(0.4≦t≦0.6)、GaSbu1-u(0.2≦u≦0.4)である。
最後に増倍層について説明する。アバランシェ増倍は電子などのキャリアが印加電界に掃引される過程において、運動エネルギーを得た結果、電離衝突を繰り返して増倍していくものである。その様子を図4(a)に示した。素電荷量e、電界強度E、走行距離dの積が印加電界による掃引で電子が得ることの出来るエネルギー401である。これに対し、超格子構造を導入することによって、例えば伝導帯のバンドギャップ不連続量402に相当するエネルギーを伝導帯のバンドギャップ不連続が存在するヘテロ界面を通過する毎に与えることも出来る。この様子を図4(b)に示した。この方式のほうがアバランシェ増倍を起こすのには効率がよい。伝導帯のバンドギャップ不連続量402を伝導帯のバンドギャップ不連続が存在するヘテロ界面を通過する毎に与えるにあたってはその有効距離は1.5nmであり、それ以上の距離があってもエネルギーのやりとりは行われない。一方で5nm以下ではエネルギーのうちの8割程度しか受け取らないので超格子構造における井戸層の膜厚は5nm以上、15nm以下が必要である。障壁層も同様な理由により、上限は15nmとなり、下限はトンネル現象が生じない10nmとしておくことが必要である。
井戸層の材料にはGaAs基板に格子整合するAlyGa1-yAs(0≦y≦0.3)が適している。障壁層には前述したようなAlxGa1-xAs(0.1≦x≦0.7)の他にInsAl1-sP(0.4≦s≦0.6)、IntGa1-tP(0.4≦t≦0.6)、GaSbu1-u(0.2≦u≦0.4)が考えられる。前述したようにアバランシェ増倍層205の膜厚は0.3μmから0.5μm程度が妥当であるので、超格子の周期は10から20としておくことが望ましい。
以上の構成によって、
(1) アンテナ裏面に電極や導電性の層が存在していても発生した電磁波を裏面から損失なく取り出しうる。
(2) アンテナ表面には電極が必要でなくなり、アンテナに対する効率的な光照射は妨げられない。
(3) 発生したキャリアを増倍層へ流れ込ませた後にも裏面電極にはキャリアを到達させずに済み、表面電極においてキャリアの掃引がすべて行える。このことによって、アンテナ電極間での効率的な光電流発生は妨げられない。
ことが実現され、光伝導アンテナにおいて、超短光パルスが照射されたときに発生する電荷のキャリア濃度の時間変化量を従来に比較して100倍程度まで増大させることができ、光電流値の最高到達点を高くすることができるので、放射電磁波強度を従来までの光伝導アンテナに比較して100倍程度まで増大させることができるようになる。
(実施例1)
実施の形態に従って、実際にアバランシェ増倍層205を伴って構成される光伝導素子を用いた場合の実験結果を示す。
この光伝導素子は、不純物のSiを1018cm-3添加したn型GaAs基板207上に、同じく不純物のSiを1018cm-3添加した厚さ500nmのn型GaAsバッファ層206、故意に不純物添加をしておらず、膜厚が20nmのIn0.5Al0.5P電荷堰き止め層302、Al0.3Ga0.7Asで構成され、故意に不純物添加されていない厚さ0.5μmのアバランシェ増倍層205、400℃で成長した厚さ0.5μmの低温成長GaAs(LT−GaAs)204を順次積層した。LT−GaAs層以外の各層は基板上に固体ソースMBE法によって500℃から650℃程度の基板温度にて成長した。
また、アンテナの裏面に当たるn型GaAs基板307には、AuGe/Ni/Auによる裏面電極308を構成した。
この光伝導素子表面にはAuGe/Ni/Auによる上部線路201および変形下部線路301を距離が5μmとなるように構成した。なお、この電極構造としては、図8(a)に示すダイポール型を採用した。
得られる電磁波は1.5THz以上の超広帯域波を含んでいるが、検知時の帯域を広くとることを考慮しないのであればホーンアンテナなどの帯域遮断型アンテナで導波管へ導き、フォトニックミキサーおよびハーモニックシンセサイザーによるダウンコンバート式の検出が考えられる。また、2THz程度までであればカロリーメーターを利用したパワーメーターでの検知も考えられるが、本実験では感度、分解能、広帯域性を加味して前述のテラヘルツTDS法を採用した。その光学系は、本発明の光伝導素子の部分を除き、従来例の説明でも使用した図9と同様である。
テラヘルツTDS法は前述したように、超短パルスレーザーを用いたテラヘルツ波の発生と検知を同時に扱うことができ、特に検知においては簡便かつ高感度な検出方法である。本実験で用いた放射アンテナ28の内部構成は図2に示したものと同様である。
図9に示すように、TDSではフェムト秒レーザー22からの超短パルス光23をビームスプリッタ24で分割し、第1の超短パルス光25を平板状の光伝導素子からなる電磁波放射用アンテナ28に照射した。この電磁波放射用アンテナ28として用いられる平板状の光伝導素子の表面には、図2に示すようにAuGe/Ni/Auからなるコプラナー型の対電極を設けており、それらの間には電源30から電圧を印加した。超短パルス光12が電磁波放射用アンテナ28の電極間に照射されると、電子正孔対が瞬時に形成されることによって電磁波放射用アンテナ28には瞬間的に電流が流れ、同時に増倍制御電源303によって裏面電極208に印加された電圧によってアバランシェ増倍が誘起されて、よりいっそう電子正孔対が生成される。このとき、(数1)記載の式に応じたパルス電磁波32が放射される。このパルス電磁波32を第1放物面鏡31で平行化し、第2放物面鏡36により電磁波検出用アンテナ29の裏面に集めた。
電磁波検出用アンテナ29の表面にはビームスプリッタ24で分割した第2の超短パルス光を照射した。電磁波検出用アンテナは、その瞬間(すなわち、超短パルス光26が照射した瞬間)だけ導電性となる。この時点では受信アンテナ29の電極間に電界が印加されていないので電流は生じない。導電性を示している間に放射アンテナから放射された電磁波が入ってくると、受信アンテナ29の電極間には電磁波が有している電界が印加されたのと同様の状態となる。一方、光学遅延ステージ41・42によって時間遅延を受けた光はその遅延量によって第2放物面鏡36により集められた電磁波32との相関量が変化する。この相関量と電磁波が有している電界強度に対応した量の電流値を観測した。
フェムト秒レーザー22の波長としては800nmを使用した。
本実験では広帯域性を重視しているので受信側アンテナの電極構造としてはボウタイ型に比べて広帯域特性の良いダイポール型(図8(a)参照)を用いてた。受信側では出力を高める必要が特にないので、材料としては従来から用いられているLT−GaAsを光伝導素子として使用した。
このとき、上部線路201と変形下部線路301への印加電圧を15V、アバランシェ増倍層への印加電界を1×105V/cm(増倍率2)、平均入射光強度を15mWとして求めた結果を図5に示す。
図5(a)において黒丸の点、図5(b)において白抜きの四角で示したものが放射用アンテナ材料にLT−GaAs光伝導素子(従来用いてきたもの)を用いた場合の実験結果で、アンテナ構成を本発明によるアバランシェ増倍機構を伴ったものとした場合のシミュレーション結果を実線で示している。縦軸に電磁波強度、横軸に時間軸をとった場合に得られる結果は図5(a)に示したようなスペクトル形状であり、アバランシェ増倍機構を伴ったアンテナ構成とすることによって時間軸上のスペクトル線幅が細くなった。このことは周波数表示に変換した場合に高周波領域の強度が大きくなっていることを意味している。
図5(a)で得られた結果をフーリエ変換することによって発生している電磁波のスペクトル分布表示縦軸:強度、横軸:周波数に変換することができ、図5(b)に示したようなスペクトル分布が得られた。すなわち、LT−GaAs光伝導素子を用いた場合には、周波数が約0.1THzのところにパルス電磁波の強度のピークが生じるのに対して、アバランシェ増倍機構を伴ったアンテナ構成とした場合には、周波数が約0.5THzのところにパルス電磁波の強度のピークが生じた。LT−GaAs光伝導素子を用いた場合、パルス電磁波強度のピークは8μWであった。図5からアバランシェ増倍機構を伴った場合、最大ピーク強度が1.25倍となって、10μWとなった。また、0.2THz以上の周波数領域においてスペクトル強度が増えており、1.5THzにおける電磁波強度は3μWとなった。
以上により、本発明の構成における光伝導アンテナにおいて、高出力かつ高効率なテラヘルツ帯電磁波を発生および検出できることがわかった。
(実施例2)
本発明の構成における光伝導アンテナ作製工程については図6から図8にまとめてあり、このあと述べる電磁波放射用窓303の作製工程でも同様のエッチング液を使用することから、下部線路302と電磁波放射用窓303の作製は併せて説明することとする。
図6、図7、図8を用いて以下にそれらの工程を説明する。
前述したように、放射アンテナ28の本体は、例えば不純物のSiを1018cm-3程度添加されているn型GaAs基板207上に、同じく不純物のSiを1018cm-3程度添加した厚さ500nm程度のn型GaAsバッファ層206、例えば組成yが0.4以上から0.6以下であって、故意に不純物添加をしておらず、膜厚が10nm以上のInyAl1-yP電荷堰き止め層302、例えば組成xが0.1以上0.7以下のAlxGa1-xAsで構成され、故意に不純物添加されていない厚さ0.3μm以上2μm以下のアバランシェ増倍層205、厚さ0.5μmで、結晶成長温度が300℃〜450℃程度の低温成長GaAs(LT−GaAs)204を順次積層することによって構成されている。この本体の製造方法は分子線エピタキシー(MBE)法が最もよく知られており、特にLT−GaAs層204は現在のところ、MBE法でしか作製できない。LT−GaAs層204を除く他の層は化学気相成長(CVD)法でも作製可能である。この本体の側面図を示したものが図6(a)である。この素子本体の表面裏面ともに図6(b)に示すようなフォトレジストパターニングを施す。このとき、表面側ではメサ構成位置602の部分だけフォトレジストを落とし、裏面側では放射窓構成位置603の部分だけフォトレジストを落とす。メサ構成位置602の寸法は下部線路301の突起形状に合わせた寸法で良く、線路は一般的には図8(a)に示したダイポール型アンテナか図8(b)に示したボウタイ型が用いられる。
図8(a)には微小ダイポールアンテナの寸法を示してある。コプラナー伝送路の間隔を20μm、突起電極の間隔を5μmとしておく。
図2ではダイポール型の電極構成で放射アンテナ構造を示しているがこのほかに図8(b)に示すようなボウタイ型の電極構成もまたよく用いられる。この図8(b)に示したボウタイ型においては、突起電極の形状が異なる。図8(a)のダイポール型では突起電極は長方形であり、図8(b)のボウタイ型では突起電極は台形である。ボウタイ型の場合、コプラナー伝送路の間隔を2mm、突起電極の間隔を5μm、台形の上底部長さを5μmとしておく。
このような伝送線路の一方の突起部分の下側にメサエッチングを施すため、フォトレジストのパターニングは図面下側の線路の突起部分に相当する範囲のレジストが取り除かれていればよい。また、放射窓構成位置603の寸法は放射電磁波を取り出すための窓であることから線路の突起間隔である5μm以上である必要があり、この窓によって素子裏面の電極が分断されないよう、素子幅の5mm未満とすればよい。上記のような寸法でフォトレジストをパターニングした本体をHF:H22:H2O=1:1:5のエッチング液で(111)A面を出すようにメサエッチを施し、レジストを除去する。このとき、InyAl1-yP電荷堰き止め層302はエッチングストップ層の役目も果たすので、エッチングが進みすぎて両面からの穴がつながるようなことはない。このときの状態を図7(a)に示した。ここまででメサエッチが完了している。
再度、電極蒸着用にフォトレジストをパターニングするがこのときの寸法は表面では図8に示したものを用い、裏面では前述したような放射窓構成位置603部分にレジストが塗布された状態になっていればよい。この様子を図示したものが図7(b)である。最後に表面、裏面ともにAuGe/Ni/Auを蒸着して電極を構成し、レジストを除去して作製工程が完了する。
本発明により、高出力かつ高効率なテラヘルツ帯電磁波の発生・検出装置を得ることができる。
従来のテラヘルツ帯電磁波発生装置に係るダイポール型光伝導素子にアバランシェ増倍層を付した形態の概略構成図 本発明のテラヘルツ帯電磁波発生装置に係る実施の形態の概略構成図 本発明のテラヘルツ帯電磁波発生装置に係る電界印加時の伝導帯バンド状態図 アバランシェ増倍の概略説明図であって、(a)バルクタイプの図(b)超格子タイプの図 本発明のテラヘルツ帯電磁波発生装置に係る実施例において得られる実験結果と従来の実験結果とを比較したグラフであって、(a)この発明に係る遅延時間に対する電流信号を示すグラフ(b)(a)のデータからフリーエ変換されたスペクトル分布を示すグラフ 本発明のテラヘルツ帯電磁波発生装置に係る作製工程図 本発明のテラヘルツ帯電磁波発生装置に係る作製工程図 テラヘルツ帯電磁波発生装置に係るアンテナ電極の概略構成図であって、(a)ダイポール型電極の概略構成図(b)ボウタイ型電極の概略構成図 従来のテラヘルツTDSの概略構成図 従来のテラヘルツ帯電磁波発生装置に係るダイポール型光伝導素子と光の入射、電磁波の放射の関係を示した図 光伝導素子に発生する電流とその際に生じるテラヘルツ波強度の関係図であって、(a)発生電流の時間変化の関係図(b)電流変化より割り出されるテラヘルツ電磁波強度の時間変化の関係図
符号の説明
10 電磁波放射用アンテナ
11 超短パルス光源
12 波長変換された超短パルス光
13 レンズ
24 ビームスプリッタ
25 第1の超短パルス光
26 第2の超短パルス光
28 電磁波放射用光伝導素子、放射アンテナ
29 電磁波検出用光伝導素子、受信アンテナ
30 電源
31,36 放物面鏡
32 放射電磁波
34 試料
35 試料透過後のテラヘルツ電磁波
38 ロックイン増幅器
39 LBO結晶で構成されるSHG素子
40 平面鏡
41 リトロリフレクタ
42 移動ステージ
43 コンピュータ
101 半絶縁性GaAs基板
103 光伝導薄膜
105 伝送線路
201 上部線路
202 下部線路
203 アバランシェ増倍用電極
204 LT−GaAs層
205 アバランシェ増倍層
206 n+型GaAsバッファ層
207 n+型GaAs基板
208 裏面電極
210 第二電極
301 変形下部線路
302 電荷堰き止め層
303 増倍制御電源
304 電磁波放射用窓
311 発生電荷
312 LT−GaAs層204とアバランシェ増倍層205との界面に存在する伝導 帯バンド不連続ΔEc1
313 アバランシェ増倍層205と電荷堰き止め層302との界面に存在する伝導帯 バンド不連続ΔEc2
314 LT−GaAs層204を走行する電子
315 アバランシェ増倍層205を走行する電子
316 電界
401 印加電界による掃引で電子が得ることの出来るエネルギー
402 伝導帯のバンドギャップ不連続量
601 フォトレジスト
602 メサ構成位置
603 放射窓構成位置
801 伝送線路
802 伝送線路電極本体
803 突起電極

Claims (4)

  1. 超短パルス光を放射する光源と、電磁波放射用アンテナとを備えたテラヘルツ波発生装置であって、
    前記電磁波放射用アンテナは、
    導電性基板と、前記導電性基板上に形成されたバッファ層上に、1.7eV以上2.2eV以下のバンドギャップエネルギーを有している電荷堰き止め層と、1.5eV以上2.0eV以下のバンドギャップエネルギーを有しているアバランシェ増倍層と、低温成長GaAs(LT−GaAsとも言う)層とを積層して構成され、
    素子表面には伝送線路を有し、前記伝送線路は、一対の伝送線路電極本体と、前記各伝送線路電極本体からそれぞれ突出する突起電極とを有し、
    前記一対の伝送線路本体は平行に配置されており、
    前記突起電極は互いに向かい合っており、
    前記伝送線路は、その一対の伝送線路電極本体のうち一方の突起電極直下において電荷堰き止め層迄の深さを有しており、
    素子裏面に電極を有し、素子表面にある前記伝送線路の少なくとも一方との間に印加する電界強度は1×105V/cm以上5×106V/cm以下の電界であって、
    前記突起電極間に、波長540nm以上870nm以下で平均強度が15mW以上1W以下の超短パルス光を光源より照射することによって電磁波を発生させることを特徴とするテラヘルツ電磁波発生装置。
  2. 前記電荷堰き止め層は故意に不純物添加されておらず、
    膜厚が8nm以上100nm以下であって、
    InsAl1-sP(0.4≦s≦0.6)、IntGa1-tP(0.4≦t≦0.6)、GaSbu1-u(0.2≦u≦0.4)
    のいずれかによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のテラヘルツ電磁波発生装置。
  3. 前記アバランシェ増倍層は故意に不純物添加されておらず、
    膜厚が0.3μm以上2μm以下であって、
    組成xが0.1以上0.7以下のAlxGa1-xAs
    で構成されていることを特徴とする請求項1から2記載のテラヘルツ電磁波発生装置。
  4. 前記アバランシェ増倍層は故意に不純物添加されておらず、
    膜厚が5nm以上15nm以下であって、AlyGa1-yAs(0≦y≦0.3)によって構成されている井戸層と
    膜厚が10nm以上15nm以下であって、AlxGa1-xAs(0.1≦x≦0.7)、InsAl1-sP(0.4≦s≦0.6)、IntGa1-tP(0.4≦t≦0.6)、GaSbu1-u(0.2≦u≦0.4)のいずれかで構成される障壁層
    とで構成される超格子構造となっていることを特徴とする請求項1から3記載のテラヘルツ電磁波発生装置。
JP2005135540A 2005-05-09 2005-05-09 テラヘルツ電磁波発生装置 Pending JP2006313803A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005135540A JP2006313803A (ja) 2005-05-09 2005-05-09 テラヘルツ電磁波発生装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005135540A JP2006313803A (ja) 2005-05-09 2005-05-09 テラヘルツ電磁波発生装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006313803A true JP2006313803A (ja) 2006-11-16

Family

ID=37535175

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005135540A Pending JP2006313803A (ja) 2005-05-09 2005-05-09 テラヘルツ電磁波発生装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006313803A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007281419A (ja) * 2006-03-17 2007-10-25 Canon Inc 光伝導素子及びセンサ装置
JP2010050399A (ja) * 2008-08-25 2010-03-04 Canon Inc テラヘルツ波光素子、及びそれを用いた装置
JP2013149846A (ja) * 2012-01-20 2013-08-01 Aisin Seiki Co Ltd 多光子励起型のテラヘルツ波発生素子及びテラヘルツ波検出素子
US8872107B2 (en) 2011-12-28 2014-10-28 Seiko Epson Corporation Photoconductive antenna, terahertz wave generating device, camera, imaging device, and measuring device
US8878134B2 (en) 2012-01-18 2014-11-04 Seiko Epson Corporation Photoconductive antenna, terahertz wave generating device, camera, imaging device, and measuring device
US9306112B2 (en) 2011-12-20 2016-04-05 Seiko Epson Corporation Photoconductive antenna, terahertz wave generating device, camera, imaging device, and measuring device
US9513212B2 (en) 2014-02-24 2016-12-06 Seiko Epson Corporation Photoconductive antenna, camera, imaging device, and measurement device

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007281419A (ja) * 2006-03-17 2007-10-25 Canon Inc 光伝導素子及びセンサ装置
JP2010050399A (ja) * 2008-08-25 2010-03-04 Canon Inc テラヘルツ波光素子、及びそれを用いた装置
US9306112B2 (en) 2011-12-20 2016-04-05 Seiko Epson Corporation Photoconductive antenna, terahertz wave generating device, camera, imaging device, and measuring device
US8872107B2 (en) 2011-12-28 2014-10-28 Seiko Epson Corporation Photoconductive antenna, terahertz wave generating device, camera, imaging device, and measuring device
US8878134B2 (en) 2012-01-18 2014-11-04 Seiko Epson Corporation Photoconductive antenna, terahertz wave generating device, camera, imaging device, and measuring device
US9130118B2 (en) 2012-01-18 2015-09-08 Seiko Epson Corporation Photoconductive antenna, terahertz wave generating device, camera, imaging device, and measuring device
US9349917B2 (en) 2012-01-18 2016-05-24 Seiko Epson Corporation Photoconductive antenna, terahertz wave generating device, camera, imaging device, and measuring device
JP2013149846A (ja) * 2012-01-20 2013-08-01 Aisin Seiki Co Ltd 多光子励起型のテラヘルツ波発生素子及びテラヘルツ波検出素子
US9513212B2 (en) 2014-02-24 2016-12-06 Seiko Epson Corporation Photoconductive antenna, camera, imaging device, and measurement device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Benicewicz et al. Scaling of terahertz radiation from large-aperture biased photoconductors
JP6062640B2 (ja) 光伝導素子
JP2006313803A (ja) テラヘルツ電磁波発生装置
EP2839257B1 (en) Opto-electronic device and pulse processing method
Schwagmann et al. Terahertz emission characteristics of ErAs: InGaAs-based photoconductive antennas excited at 1.55 μm
Zhang et al. A study of the interface and the related electronic properties in n-Al0. 35Ga0. 65N/GaN heterostructure
Matthäus et al. Surface-emitted THz generation using a compact ultrashort pulse fiber amplifier at 1060 nm
JP2007278740A (ja) テラヘルツ電磁波発生装置
JP2006010319A (ja) テラヘルツ電磁波発生・検出装置
Wang et al. Optical switch of electron-hole and electron-electron collisions in semiconductors
Schülein et al. Surface acoustic wave controlled charge dynamics in a thin InGaAs quantum well
Muravev et al. Millimeter/submillimeter mixing based on the nonlinear plasmon response of two-dimensional electron systems
US10600931B2 (en) Avalanche photodiode
JP2006145372A (ja) テラヘルツ電磁波発生装置
KR20170091403A (ko) 위상절연체를 이용한 테라헤르츠 펄스 변조 장치 및 방법
Afalla et al. A modulation-doped heterostructure-based terahertz photoconductive antenna emitter with recessed metal contacts
Vikharev et al. A high-speed quasi-optical wave phase switch based on the induced photoconductivity effect in silicon
Soci et al. Terahertz generation from poly (p-phenylene vinylene) photoconductive antenna
Nannen et al. Ultrafast electrical charging and discharging of a single InGaAs quantum dot
Cooke et al. Multi-THz spectroscopy of mobile charge carriers in P3HT: PCBM on a sub-100 fs time scale
Kostakis et al. Efficient terahertz devices based on III–V semiconductor photoconductors
Silverman et al. Lateral coupling of In x Ga 1− x As∕ Ga As quantum dots investigated using differential transmission spectroscopy
Gavrina et al. Turn-on dynamics and control efficiency of low-voltage AlGaAs/GaAs/InGaAs lasers-thyristors (905 nm) under optical activation of p-GaAs base with external light (1068 nm)
Mingfang Pulsed Thz Generation Based on Photoconductive Antenna for Thz Time-Domain Spectroscopy
Rafailov et al. Highly efficient quantum dot-based photoconductive THz materials and devices