JP2006298082A - 二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 旋回走行時における操縦安定性を効果的に向上させる。
【解決手段】 ベルト層25の半径方向内側に、トレッド両端部13a、bに位置する傾斜ベルト27、28の幅方向両端部にそれぞれ重なり合う1対のベルト補強層34、35を設けるとともに、これらベルト補強層34、35内にタイヤ赤道Sに対し30度以上の傾斜角Bで傾斜している補強コード36、37を埋設したので、トレッド両端部13a、bにおける面内せん断剛性がベルト補強層34、35内の補強コード36、37によって高くなる。
【選択図】 図2
【解決手段】 ベルト層25の半径方向内側に、トレッド両端部13a、bに位置する傾斜ベルト27、28の幅方向両端部にそれぞれ重なり合う1対のベルト補強層34、35を設けるとともに、これらベルト補強層34、35内にタイヤ赤道Sに対し30度以上の傾斜角Bで傾斜している補強コード36、37を埋設したので、トレッド両端部13a、bにおける面内せん断剛性がベルト補強層34、35内の補強コード36、37によって高くなる。
【選択図】 図2
Description
この発明は、トレッド部に、少なくとも1層のスパイラルベルトが設けられた二輪車用空気入りタイヤに関する。
一般に、二輪車用空気入りタイヤにおいては、直進走行時に二輪車の車体が路面に対してほぼ直立しているため、タイヤのトレッド中央部が主に路面に接地し、一方、旋回走行時に二輪車の車体が路面に対して傾斜するため、トレッド端部が主に路面に接地する。この結果、二輪車用空気入りタイヤのトレッド中央部には、直進走行時の周方向入力(加減速)に対するグリップが、一方、トレッド両端部には旋回走行時の幅方向(横方向)入力に対するグリップがそれぞれ要求される。
従来、このような2つのグリップをある程度両立させた二輪車用空気入りタイヤとして、例えば以下の特許文献1に記載されているようなものが提案されている。
特開2004−67058号公報
このものは、トレッド部に、1本または複数本の補強コードを被覆ゴム中に埋設したストリップをタイヤ赤道Sにほぼ沿ってスパイラル状に巻回することで構成した1層のスパイラルベルトと、前記スパイラルベルトに重なり合うよう配置され、タイヤ赤道Sに対して20度〜80度の傾斜角で逆方向に傾斜した多数本の補強コードが埋設されている少なくとも2層の傾斜ベルトとから構成されたベルト層を有するものである。
そして、このものは、スパイラルベルトの高いたが効果によって高速走行時の遠心力によるトレッド部の径成長を抑制することで、接地形状の変化を強力に抑制し、これにより、直進走行時の操縦安定性を高める一方、面内せん断剛性がスパイラルベルトより高い2層の傾斜ベルトによって旋回走行時におけるトレッド部の幅方向変形を抑制し、これにより、旋回走行時の操縦安定性を高めるようにしている。
しかしながら、このような従来の二輪車用空気入りタイヤにあっては、直進走行時の操縦安定性に比較して旋回走行時の操縦安定性が充分ではないという課題があった。このような課題を解決するため、例えば傾斜ベルトにおける補強コードの打ち込み本数を多くして傾斜ベルトのベルト剛性を高め、トレッド両端部の面内せん断剛性を高くすることが考えられるが、このようにすると、トレッド中央部での面外曲げ剛性が過大となって直進走行時の操縦安定性が低下してしまうため、採用することはできない。そして、このような課題は、前記傾斜ベルトの代わりに、タイヤ赤道に対する補強コードの交差角が90度である少なくとも1層の交差ベルトを用いた場合にも同様に発生する。
この発明は、旋回走行時における操縦安定性を効果的に向上させることができる二輪車用空気入りタイヤを提供することを目的とする。
このような目的は、第1に、トレッド部に、1本または複数本の補強コードを被覆ゴム中に埋設したストリップをタイヤ赤道Sにほぼ沿ってスパイラル状に巻回することで構成された少なくとも1層のスパイラルベルトと、前記スパイラルベルトに重なり合うよう配置され、タイヤ赤道Sに対して90度未満の傾斜角で逆方向に傾斜した多数本の補強コードが埋設されている少なくとも2層の傾斜ベルトとから構成されたベルト層を有する空気入りタイヤにおいて、前記ベルト層の半径方向内側でトレッド両端部に位置する傾斜ベルトの幅方向両端部にそれぞれ重なり合い、内部にタイヤ赤道Sに対し30度以上の傾斜角で傾斜した多数本の補強コードが埋設されている少なくとも1対のベルト補強層を設けることにより、達成することができ、
第2に、トレッド部に、1本または複数本の補強コードを被覆ゴム中に埋設したストリップをタイヤ赤道Sにほぼ沿ってスパイラル状に巻回することで構成された少なくとも1層のスパイラルベルトと、前記スパイラルベルトに重なり合うよう配置され、タイヤ赤道Sに対して90度で交差する多数本の補強コードが埋設されている少なくとも1層の交差ベルトとから構成されたベルト層を有する空気入りタイヤにおいて、前記ベルト層の半径方向内側でトレッド両端部に位置する交差ベルトの幅方向両端部にそれぞれ重なり合い、内部にタイヤ赤道Sに対し30度以上の傾斜角で傾斜した多数本の補強コードが埋設されている少なくとも1対のベルト補強層を設けることにより、達成することができる。
この発明においては、ベルト層の半径方向内側でトレッド両端部に位置する傾斜ベルトまたは交差ベルトの幅方向両端部にそれぞれ重なり合う少なくとも1対のベルト補強層を設けるとともに、これらベルト補強層内にタイヤ赤道Sに対し30度以上の傾斜角で傾斜した補強コードを埋設したので、トレッド両端部における面内せん断剛性がベルト補強層内の補強コードによって高くなり、これにより、旋回走行時におけるトレッド部の幅方向変形が強力に抑制されるとともに、幅方向(横方向)入力に対するグリップが高くなって旋回走行時の操縦安定性が向上するのである。これにより、直進走行時および旋回走行時の操縦安定性のバランスが良好である二輪車用空気入りタイヤを容易に得ることができる。
ここで、ベルト補強層内の補強コードをタイヤ赤道Sに対し30度以上の傾斜角で傾斜させると、トレッド両端部における面内せん断剛性が高くなるが、前記傾斜角が請求項3に記載のように、30度以上で60度未満の場合には、補強コード自身が横力に対して抵抗することで、一方、請求項4に記載のように、60度以上で90度以下の場合には、ベルト補強層内の補強コードがスパイラルベルト内の補強コード同士を連結し、横力による変形に対してスパイラルベルト内の補強コードを一体化することで、面内せん断剛性が高くなる。
また、請求項5に記載のように構成すれば、ベルト補強層自身のベルト剛性が高くなり、トレッド両端部での面内せん断剛性を強力に向上させることができる。
さらに、二輪車で旋回を行うときには、車体を徐々に大きく傾斜させた後、徐々に元の直立状態に復帰させるが、請求項6に記載のように構成すれば、この傾斜および復帰の途中で幅方向(横方向)入力に対するグリップが徐々に変化(前者では増加、後者では減少)するため、滑らかな操縦が可能となる。
さらに、二輪車で旋回を行うときには、車体を徐々に大きく傾斜させた後、徐々に元の直立状態に復帰させるが、請求項6に記載のように構成すれば、この傾斜および復帰の途中で幅方向(横方向)入力に対するグリップが徐々に変化(前者では増加、後者では減少)するため、滑らかな操縦が可能となる。
また、請求項7に記載のように構成すれば、ベルト補強層の曲げ剛性が過大となる事態を防止することができる。
さらに、請求項8に記載のように構成すれば、トレッド中央部の面外曲げ剛性を低い値に維持しながら、旋回時における操縦安定性を充分に向上させることができる。
さらに、請求項8に記載のように構成すれば、トレッド中央部の面外曲げ剛性を低い値に維持しながら、旋回時における操縦安定性を充分に向上させることができる。
以下、この発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
図1、2において、11は高速走行あるいは超高速走行に適する二輪車用空気入りラジアルタイヤであり、このタイヤ11は踏面12が弧状に滑らかに湾曲するトレッド部13と、このトレッド部13の幅方向両端からほぼ半径方向内側に向かって延びる一対のサイドウォール部14と、これらサイドウォール部14の半径方向内側端に連続しビードコア16がそれぞれ埋設された一対のビード部15とを備え、トレッド端17間の幅がタイヤ最大幅となるよう成形されている。
図1、2において、11は高速走行あるいは超高速走行に適する二輪車用空気入りラジアルタイヤであり、このタイヤ11は踏面12が弧状に滑らかに湾曲するトレッド部13と、このトレッド部13の幅方向両端からほぼ半径方向内側に向かって延びる一対のサイドウォール部14と、これらサイドウォール部14の半径方向内側端に連続しビードコア16がそれぞれ埋設された一対のビード部15とを備え、トレッド端17間の幅がタイヤ最大幅となるよう成形されている。
また、前記タイヤ11はビードコア16間をトロイダル状に延びてサイドウォール部14、トレッド部13を補強するカーカス層20を有し、このカーカス層20の両端部は前記ビードコア16の回りを軸方向内側から軸方向外側に向かって折り返されている。前記カーカス層20は少なくとも1枚、ここでは2枚のカーカスプライ21から構成され、これらのカーカスプライ21の内部にはタイヤ赤道Sに対して80〜90度のコード角で交差する、即ち、実質上ラジアル方向(子午線方向)に延びる補強コード22が多数本埋設されている。
そして、前記補強コード22としては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル等の有機繊維コードが用いられる。また、前記補強コード22がタイヤ赤道Sに対して90度未満の角度で傾斜している場合には、これら補強コード22は2枚のカーカスプライ21において子午線方向に対し逆方向に傾斜しており、この結果、これら補強コード22は前記2枚のカーカスプライ21において互いに交差することになる。なお、前記タイヤ11は補強コード22がタイヤ赤道Sに対して80度未満のコード角度で逆方向に傾斜するバイアスタイヤであってもよい。
24はカーカス層20の半径方向外側に配置されたトレッドであり、このトレッド24とカーカス層20との間のトレッド部13には幅がトレッド幅とほぼ等しいベルト層25が配置されている。前記ベルト層25は、少なくとも1層、ここでは1層のスパイラルベルト26と、少なくとも2層、ここでは2層の傾斜ベルト27、28とから構成され、この実施形態では、スパイラルベルト26の半径方向外側に傾斜ベルト27、28が該スパイラルベルト26に重なり合うよう配置されている。
なお、これらスパイラルベルト26、傾斜ベルト27、28の配置関係は前述とは逆に、スパイラルベルトの半径方向内側に傾斜ベルトが配置されていてもよい。ここで、前記傾斜ベルト27、28の幅は、これら傾斜ベルト27、28のベルト端における亀裂発生を防止するため、トレッド幅以下とすることが好ましい。
前記スパイラルベルト26は1本または複数本の補強コード31を被覆ゴム中に埋設したストリップをタイヤ赤道Sにほぼ沿ってスパイラル状に多数回巻回することで構成され、この結果、該スパイラルベルト26内に埋設されている補強コード31はタイヤ赤道Sに実質上平行に延びることとなり、強力なたが効果を発揮する。ここで、前述の補強コード31としては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、芳香族ポリアミド等の有機繊維またはスチールが用いられるが、軽量でありながら高温時においても殆ど伸張することのない芳香族ポリアミド、スチールが好適である。
一方、前記傾斜ベルト27、28の内部にはタイヤ赤道Sに対して90度未満の傾斜角Aで傾斜した互いに平行に延びる多数本の補強コード29、30がそれぞれ埋設され、これらの補強コード29、30は傾斜ベルト27、28の幅方向一端から幅方向他端まで延び、これらの幅方向両端において切断端が露出している。そして、これらの補強コード29、30は前記2層の傾斜ベルト27、28においてタイヤ赤道Sに対し逆方向に傾斜しており、この結果、これら補強コード29、30は互いに交差している。ここで、前記補強コード29、30としては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、芳香族ポリアミド等の有機繊維またはスチールが用いられる。
ここで、前記補強コード29、30のタイヤ赤道Sに対する傾斜角Aは、トレッド中央部13cにおける面外曲げ剛性を低減させて直進走行時の操縦安定性を向上させるためには、60度以上とすることが好ましいが、このようにすると、トレッド部13、特にトレッド両端部13a、bにおける面内せん断剛性の低下を招き、前述の課題で説明した旋回走行時における操縦安定性の低下がさらに顕著となる。
前記ベルト層25の半径方向内側、具体的にはカーカス層20とスパイラルベルト26との間には少なくとも1対、ここでは1対のベルト補強層34、35が設けられ、これらのベルト補強層34、35はトレッド両端部13a、bに位置する傾斜ベルト27、28の幅方向両端部にそれぞれ重なり合っている。また、これらベルト補強層34、35の内部にはタイヤ赤道Sに対し30度以上の傾斜角Bで傾斜した多数本の補強コード36、37がそれぞれ埋設されている。
このようにベルト層25の半径方向内側に配置され、トレッド両端部13a、bに位置する傾斜ベルト27、28の幅方向両端部にそれぞれ重なり合う1対のベルト補強層34、35を設けるとともに、これらベルト補強層34、35内にタイヤ赤道Sに対し30度以上の傾斜角Bで傾斜している補強コード36、37を埋設したので、トレッド両端部13a、bにおける面内せん断剛性がベルト補強層34、35内の補強コード36、37によって高くなり、これにより、旋回走行時におけるトレッド部15の幅方向変形が強力に抑制されるとともに、幅方向(横方向)入力に対するグリップが高くなって旋回走行時の操縦安定性が向上するのである。
これにより、直進走行時および旋回走行時の操縦安定性のバランスが良好である二輪車用空気入りタイヤ11を容易に得ることができる。ここで、前述のようにベルト補強層34、35をベルト層25の半径方向内側に配置するようにすれば、ベルト補強層34、35と路面との間にはゴムからなるトレッド24およびスパイラルベルト26、傾斜ベルト27、28からなる高い剛性のベルト層25が介在しているため、ベルト補強層34、35の幅方向内端に発生する剛性段差がトレッド部13の踏面12に現れにくく、この結果、旋回時において滑らかな操縦が可能となる。
なお、前記補強コード36、37のタイヤ赤道Sに対する傾斜角Bを30度未満とすると、前記スパイラルベルト26内の補強コード31と同様に、トレッド両端部13a、bにおける面内せん断剛性を殆ど向上させることができず、しかも、トレッド両端部13a、bでの面外曲げ剛性が大きくなって振動乗り心地性および旋回走行時の操縦安定性が低下するため、用いることができない。
一方、ベルト補強層34、35内の補強コード36、37をタイヤ赤道Sに対し30度以上の傾斜角Bで傾斜させると、前述のようにトレッド両端部13a、bにおける面内せん断剛性が高くなるが、前記傾斜角Bが30度以上で60度未満の場合と60度以上で90度以下の場合とではそのメカニズムが異なる。
即ち、前記傾斜角Bが30度以上で60度未満の場合には、補強コード36、37自身が横力に対して抵抗することで、トレッド両端部13a、bにおける面内せん断剛性が高くなり、一方、60度以上で90度以下の場合には、ベルト補強層34、35内の補強コード36、37がスパイラルベルト26内の補強コード31同士を連結し、横力による変形に対してスパイラルベルト26内の補強コード31を一体化することで、トレッド両端部13a、bにおける面内せん断剛性が高くなるのである。
そして、このように傾斜角Bが60度以上で90度以下の場合には、補強コード36、37としてスチールを用いることが好ましい。その理由は、スチールは圧縮力、引張力の双方の力に対して大きな抗力を有しているため、スパイラルベルト26内の補強コード31にどのような力が作用しても強力に連結することができるからである。
ここで、前記ベルト補強層34、35の幅Lは10〜 100mmの範囲内とすることが好ましい。その理由は、前記幅Lが10mm未満であると、面内せん断剛性が高い領域の範囲が狭くなって旋回時における操縦安定性を充分に向上させることができず、一方、 100mmを超えると、一般の二輪車用タイヤではベルト補強層34、35の幅方向内端がトレッド中央部13cまで延在してきてトレッド中央部13cにおける面外曲げ剛性が高くなってしまうが、前述のような範囲内であると、トレッド中央部13cの面外曲げ剛性を低い値に維持しながら、旋回時における操縦安定性を充分に向上させることができるからである。
また、前記ベルト補強層34、35内の補強コード36、37としては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、芳香族ポリアミド等の有機繊維またはスチールが用いられるが、軽量でありながら高温時においても殆ど伸張することのない芳香族ポリアミド、スチールが好適である。
図3、4はこの発明の実施形態2を示す図である。この実施形態においては、ベルト層40を、前記スパイラルベルト26と同様の少なくとも1層、ここでは1層のスパイラルベルト41と、タイヤ赤道Sに対して90度で交差する多数本の補強コード42が埋設されている少なくとも1層、この実施形態では1層の交差ベルト43とから構成するとともに、該交差ベルト43をスパイラルベルト41の半径方向内側に該スパイラルベルト41と重なり合うよう配置している。
なお、これらスパイラルベルト41、交差ベルト43の配置関係は前述とは逆に、スパイラルベルトの半径方向外側に交差ベルトが配置されていてもよく、また、前記交差ベルト43の幅は、該交差ベルト43のベルト端における亀裂発生を防止するため、トレッド幅以下とすることが好ましい。さらに、前記補強コード42としては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、芳香族ポリアミド等の有機繊維またはスチールが用いられる。
また、この実施形態においては、ベルト層40の半径方向内側、具体的にはカーカス層20と交差ベルト43との間に少なくとも1対、ここでは2対のベルト補強層46、47、48、49が設けられ、これらのベルト補強層46、47、48、49はトレッド両端部13a、bに位置する交差ベルト43の幅方向両端部にそれぞれ重なり合っている。このとき、互いに重なり合うベルト補強層、即ちベルト補強層46、48および47、49の幅方向外端は、亀裂等の発生を抑制するため、幅方向に若干ずらすことが好ましい。
また、これらベルト補強層46、47、48、49の内部には前述と同様にタイヤ赤道Sに対し30度以上の傾斜角Bで傾斜した多数本の補強コード50、51、52、53がそれぞれ埋設されている。そして、このように構成した場合も前述と同様に、旋回走行時におけるトレッド部15の幅方向変形が強力に抑制されるとともに、幅方向(横方向)入力に対するグリップが高くなって旋回走行時の操縦安定性が向上する。
そして、このようにベルト補強層46、47、48、49を2対以上設けた場合には、互いに重なり合うベルト補強層内、即ちベルト補強層46、48内および47、49内の補強コード50、52および51、53の傾斜方向をタイヤ赤道Sに対し逆方向として交差させることが好ましい。その理由は、このようにすれば重なり合うベルト補強層46、48および47、49自身のベルト剛性が高くなり、トレッド両端部13a、bでの面内せん断剛性を強力に向上させることができるからである。
また、前述のようにベルト補強層46、47、48、49を2対以上設けた場合、対をなすベルト補強層間、即ち、対をなすベルト補強層46、47と48、49との間で幅を異ならせる、この実施形態では前者を幅広と、後者を幅狭とするとともに、幅広であるベルト補強層46、47の幅方向外側部に幅狭であるベルト補強層48、49を重ね合わせ、幅方向外側に向かうに従い徐々に面内せん断剛性を向上させることが好ましい。
その理由は、二輪車で旋回を行うときには、車体を徐々に大きく傾斜させた後、徐々に元の直立状態に復帰させるが、このように構成すれば、この傾斜および復帰の途中で幅方向(横方向)入力に対するグリップが徐々に変化(前者では増加、後者では減少)するため、滑らかな操縦が可能となるからである。
さらに、前述の補強コード50、51、52、53としては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、芳香族ポリアミド等の有機繊維またはスチールを用いることができるが、前述のようにベルト補強層46、47、48、49を2対以上設けた場合には、全てのベルト補強層46、47、48、49内の補強コード50、51、52、53をスチールから構成すると、該ベルト補強層46、47、48、49の曲げ剛性が過大となってしまうので、少なくとも1対のベルト補強層内に埋設されている補強コードを有機繊維から構成し、該ベルト補強層全体の曲げ剛性が過大となる事態を防止することが好ましい。
例えば、2対のベルト補強層46、47、48、49内の補強コード50、51、52、53を全て芳香族ポリアミドから構成したり、あるいは、幅広のベルト補強層46、47内の補強コード50、51を芳香族ポリアミドから、幅狭のベルト補強層48、49内の補強コード52、53をスチールから構成することができる。なお、他の構成、作用は前記実施形態1と同様である。
次に、試験例1について説明する。この試験に当たっては、トレッド両端部でカーカス層とスパイラルベルトとの間に一対のベルト補強層を配置した図1、2に示すような実施タイヤ1、2と、トレッド両端部でカーカス層と交差ベルトとの間に幅の異なる2対のベルト補強層を配置した図3、4に示すような実施タイヤ3と、前記ベルト補強層を1対とした以外は実施タイヤ3と同一である実施タイヤ4と、前記実施タイヤ1からベルト補強層を除外した以外は実施タイヤ1と同一である比較タイヤ1と、前記実施タイヤ3からベルト補強層を除外した以外は実施タイヤ3と同一である比較タイヤ2とを準備した。
ここで、各タイヤのサイズはいずれも190/50ZR17であり、各タイヤのカーカス層をタイヤ赤道Sに対して90度で交差する補強コードが埋設された2枚のカーカスプライから構成するとともに、前記補強コードとしてナイロンフィラメントを撚り合わせた直径が 0.5mmのものを用いた。また、1層のスパイラルベルトは、芳香族ポリアミドのフィラメントを撚り合わせた直径が 0.7mmの補強コードを被覆ゴム中に2本並列に埋設したストリップをタイヤ赤道Sにほぼ沿ってスパイラル状に巻回することで構成した。ここで、このスパイラルベルトにおける補強コードの打ち込み間隔は30本/50mmであった。
また、前記実施タイヤ1、2および比較タイヤ1における各傾斜ベルト内には芳香族ポリアミドのフィラメントを撚り合わせた直径が 0.7mmの補強コードをそれぞれ打ち込み間隔30本/50mmでタイヤ赤道Sに対し逆方向に70度で傾斜させながら埋設した。さらに、前記実施タイヤ1においては、幅が50mmであるベルト補強層内に芳香族ポリアミドのフィラメントを撚り合わせた直径が 0.7mmの補強コードをそれぞれ打ち込み間隔30本/50mmでタイヤ赤道Sに対し45度で傾斜させながら埋設し、一方、実施タイヤ2においては、幅を50mmであるベルト補強層内に線径が0.21mmのスチールフィラメントを撚り合わせて構成した1×3タイプの補強コードをそれぞれ打ち込み間隔20本/50mmでタイヤ赤道Sに対し60度で傾斜させながら埋設した。
一方、実施タイヤ3、4および比較タイヤ2における交差ベルト内には芳香族ポリアミドのフィラメントを撚り合わせた直径が 0.7mmの補強コードをそれぞれ打ち込み間隔30本/50mmでタイヤ赤道Sに対し90度で交差させながら埋設した。さらに前記実施タイヤ3においては、幅が60mmである外側の幅広ベルト補強層内に芳香族ポリアミドのフィラメントを撚り合わせた直径が 0.7mmの補強コードをそれぞれ打ち込み間隔30本/50mmでタイヤ赤道Sに対し45度で傾斜させながら埋設する一方、幅が35mmである内側の幅狭ベルト補強層内に芳香族ポリアミドのフィラメントを撚り合わせた直径が 0.7mmの補強コードをそれぞれ打ち込み間隔30本/50mmで、タイヤ赤道Sに対し前記幅広ベルト補強層内の補強コードと逆方向に45度で傾斜させながら埋設した。
ここで、前記幅狭ベルト補強層は幅広ベルト補強層の幅方向外側部に外側端から 5mmだけ突出させながら重ね合わせており、この結果、幅広ベルト補強層のみが配置されている部位の幅は30mm、幅広、幅狭ベルト補強層が重なり合っている部位の幅は30mm、幅狭ベルト補強層のみが配置されている部位の幅は 5mmとなる。また、前記実施タイヤ4においては、幅が50mmであるベルト補強層内に芳香族ポリアミドのフィラメントを撚り合わせた直径が 0.7mmの補強コードをそれぞれ打ち込み間隔30本/50mmでタイヤ赤道Sに対し45度で傾斜させながら埋設した。
次に、前記各タイヤに 220kPaの内圧を充填した後、排気量が1000cm3(cc)であるスポーツタイプの二輪車に装着したが、ここで、前記各タイヤはリア用のタイヤであったため、二輪車のリアタイヤのみ交換し、フロントタイヤについては同一タイヤを使用した。次に、このような二輪車によりテストコースを実車走行させ、熟練したテストドライバーによって直進走行性能(トラクション性能)と、車体を大きく倒した旋回時操縦安定性(コーナリング性能)と、倒し込み動作のし易さの評価を行った。
その結果は、満点を10点とすると、実施タイヤ1、2、比較タイヤ1の直進走行性能はそれぞれ8点、8点、8点、旋回時操縦安定性はそれぞれ9点、9点、6点、倒し込み動作のし易さはそれぞれで8点、8点、8点であった。一方、実施タイヤ3、4、比較タイヤ2の直進走行性能はそれぞれ9点、9点、9点、旋回時操縦安定性はそれぞれ9点、8点、5点、倒し込み動作のし易さはそれぞれで9点、8点、8点であった。
そして、ドライバーからは、実施タイヤ1は、直進時に比較タイヤ1と同程度のトラクションがあり、車体が大きく傾斜したときの横グリップは非常に高いと、また、実施タイヤ2は、実施タイヤ1と同様であるのに加え、フィーリングは実施タイヤ1に極めて近いとのコメントがあった。また、比較タイヤ1は、直進時のトラクションはよいが、比較タイヤ2と比較すると若干の硬さがあり、さらに、コーナー時は少ししっかりしているが、まだまだグリップは低いとのコメントがあった。
また、実施タイヤ3は、直進時に比較タイヤ2と同程度のトラクションがあって良好であり、車体が大きく傾斜したときの横グリップは非常に高く、さらに、車体を大きく傾斜するに従い横力が徐々に増大する感があって安心感があると、また、実施タイヤ4は、直進時に比較タイヤ2と同程度のトラクションがあって良好であり、コーナー時にしっかり感がでて、特に車体が大きく傾斜したときにグリップするとのコメントがあった。また、比較タイヤ2は、直進時にタイヤに柔らかさがありトラクション性能は高いが、コーナー時にグリップ抜けがあり、コーナーで腰砕け感があるとのコメントがあった。
これらの結果から、本発明の構造が、直進時のトラクション性能を低下させることなく、旋回時の横グリップを大幅に向上させることができ、これにより、直進時、旋回時における操縦安定性のバランスが良好となることが理解できる。なお、実施タイヤ1と実施タイヤ4とを比較すると、実施タイヤ1ではトレッド両端部において傾斜した補強コードが埋設されているコード層がベルト補強層を含め3層積層されているため、ベルト剛性が実施タイヤ4より高くなり、この結果、旋回時の評価が高くなったと考えられる。
この発明は、二輪車用空気入りタイヤの産業分野に適用できる。
11…二輪車用空気入りタイヤ 13…トレッド部
13a、b…トレッド両端部 25…ベルト層
26…スパイラルベルト 27、28…傾斜ベルト
29、30…補強コード 31…補強コード
34、35…ベルト補強層 36、37…補強コード
42…補強コード 43…交差ベルト
13a、b…トレッド両端部 25…ベルト層
26…スパイラルベルト 27、28…傾斜ベルト
29、30…補強コード 31…補強コード
34、35…ベルト補強層 36、37…補強コード
42…補強コード 43…交差ベルト
Claims (8)
- トレッド部に、1本または複数本の補強コードを被覆ゴム中に埋設したストリップをタイヤ赤道Sにほぼ沿ってスパイラル状に巻回することで構成された少なくとも1層のスパイラルベルトと、前記スパイラルベルトに重なり合うよう配置され、タイヤ赤道Sに対して90度未満の傾斜角で逆方向に傾斜した多数本の補強コードが埋設されている少なくとも2層の傾斜ベルトとから構成されたベルト層を有する空気入りタイヤにおいて、前記ベルト層の半径方向内側でトレッド両端部に位置する傾斜ベルトの幅方向両端部にそれぞれ重なり合い、内部にタイヤ赤道Sに対し30度以上の傾斜角で傾斜した多数本の補強コードが埋設されている少なくとも1対のベルト補強層を設けたことを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
- トレッド部に、1本または複数本の補強コードを被覆ゴム中に埋設したストリップをタイヤ赤道Sにほぼ沿ってスパイラル状に巻回することで構成された少なくとも1層のスパイラルベルトと、前記スパイラルベルトに重なり合うよう配置され、タイヤ赤道Sに対して90度で交差する多数本の補強コードが埋設されている少なくとも1層の交差ベルトとから構成されたベルト層を有する空気入りタイヤにおいて、前記ベルト層の半径方向内側でトレッド両端部に位置する交差ベルトの幅方向両端部にそれぞれ重なり合い、内部にタイヤ赤道Sに対し30度以上の傾斜角で傾斜した多数本の補強コードが埋設されている少なくとも1対のベルト補強層を設けたことを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記ベルト補強層内に埋設されている補強コードのタイヤ赤道Sに対する傾斜角を30度以上で60度未満の範囲内とした請求項1または2記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記ベルト補強層内に埋設されている補強コードのタイヤ赤道Sに対する傾斜角を60度以上で90度以下の範囲内とした請求項1または2記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記ベルト補強層を2対以上配置したとき、互いに重なり合うベルト補強層内の補強コードの傾斜方向をタイヤ赤道Sに対し逆方向として交差させるようにした請求項1または2記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記ベルト補強層を2対以上配置したとき、対をなすベルト補強層間で幅を異ならせるとともに、幅広であるベルト補強層の幅方向外側部に幅狭であるベルト補強層を重ね合わせるようにした請求項1または2記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記ベルト補強層を2対以上配置したとき、少なくとも1対のベルト補強層内に埋設されている補強コードを有機繊維から構成した請求項1または2記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記ベルト補強層の幅を10〜 100mmの範囲内とした請求項1または2記載の二輪車用空気入りタイヤ。
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