JP2006294696A - 太陽電池の製造方法および太陽電池用シリコン基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 Al−Si合金粒の発生を抑制することによって最大電力を向上させた太陽電池を製造することができる太陽電池の製造方法と太陽電池用シリコン基板を提供する。
【解決手段】 シリコン基板の表面である第1面および第1面の反対側にある表面である第2面を硝酸とフッ化水素とを含む酸性の第1エッチング液を用いてエッチングする第1エッチング工程と、第1エッチング工程後の第2面を硝酸とフッ化水素とを含む酸性の第2エッチング液を用いてエッチングする第2エッチング工程と、第2エッチング工程後の第2面にアルミニウムペーストを印刷した後にアルミニウムペーストを加熱する工程と、を含む、太陽電池の製造方法とその太陽電池の製造過程で得ることができる太陽電池基板である。
【選択図】 図1
【解決手段】 シリコン基板の表面である第1面および第1面の反対側にある表面である第2面を硝酸とフッ化水素とを含む酸性の第1エッチング液を用いてエッチングする第1エッチング工程と、第1エッチング工程後の第2面を硝酸とフッ化水素とを含む酸性の第2エッチング液を用いてエッチングする第2エッチング工程と、第2エッチング工程後の第2面にアルミニウムペーストを印刷した後にアルミニウムペーストを加熱する工程と、を含む、太陽電池の製造方法とその太陽電池の製造過程で得ることができる太陽電池基板である。
【選択図】 図1
Description
本発明は太陽電池の製造方法および太陽電池用シリコン基板に関し、特に最大電力を向上させた太陽電池を製造することができる太陽電池の製造方法および太陽電池用シリコン基板に関する。
従来の太陽電池の製造方法を図3(a)〜(j)の模式的な断面図に示す。まず、図3(a)に示すように、たとえばワイヤソーなどを用いて多結晶のp型シリコンインゴッドを250μm程度の厚さに切り出すことによってp型シリコン基板2を形成する。ここで、p型シリコン基板2の表面にはワイヤソーなどによってダメージ層1が形成される。次に、図3(b)に示すように、NaOH(水酸化ナトリウム)にイソプロピルアルコールを添加したアルカリ溶液を用いたエッチングによって、ダメージ層1が除去されるとともにp型シリコン基板2の受光面2aおよび裏面2bに大きな段差を有する凹凸(図示せず)が形成される。次いで、図3(c)に示すように、pn接合分離を目的として、p型シリコン基板2の裏面の周縁部および側面にシリコンおよびチタンを含む溶液からなるマスク材3がスピンコータにより塗布される。これは、特許文献1に記載されている方法であって、容易にpn接合分離を行なうことが可能であり、大量生産に適している。
そして、図3(d)に示すように、p型シリコン基板2の受光面2aの全面に、拡散源としてP2O5(五酸化二リン)を含むドーパント液4がスピンコータにより塗布される。続いて、このp型シリコン基板2を拡散炉で800〜900℃程度に加熱することによって、p型シリコン基板2の受光面2aにn型不純物であるリンが拡散して、図3(e)に示すように、p型シリコン基板2の受光面2aに不純物拡散層であるn+層5が形成される。このとき、p型シリコン基板2の裏面2bのマスク材3が塗布された領域にはマスク材3が加熱されて生じたTiO2(二酸化チタン)とSiO2(二酸化シリコン)とが混在したマスク膜3aが形成されており、p型シリコン基板2の裏面2bにはn+層が形成されないため、pn接合分離が行なわれていることになる。
そして、p型シリコン基板2をフッ酸に浸漬させることで、上記のマスク膜3aと、ドーパント液4が加熱されて生じたPSG(リンシリケートガラス)層4aとを除去することによって、図3(f)に示すp型シリコン基板2が得られる。次いで、図3(g)に示すように、反射防止膜(ARC)の形成およびパッシベーションを目的として、プラズマCVD法により、p型シリコン基板2の受光面2a上に窒化シリコン膜7が形成される。他のpn接合分離の方法としては、上記マスク材を用いずに、窒化シリコン膜上にレジスト膜を塗布し、フッ酸を用いてp型シリコン基板の裏面およびその周辺部の酸化膜およびリンが拡散した不純物拡散層をエッチングした後にレジストを剥離する方法もある(特許文献2の[0053]参照)。
次に、スクリーン印刷法によりp型シリコン基板2の裏面2bにアルミニウムペーストを印刷し、これを150〜200℃程度に乾燥させた後に700℃程度で加熱することで、図3(h)に示すように、p型シリコン基板2の裏面2bにアルミニウム電極9と、p型不純物であるアルミニウムを多量に含んだp+層8とが形成される。このp+層8はBSF(Back Surface Field;裏面電界)層と呼ばれ、p型シリコン基板2の裏面2bの近傍にpp+層の障壁を形成する。これにより、p型シリコン基板2内で生成された少数キャリアがp型シリコン基板2の裏面2bに向かわないようにすることができるため、pn接合部に到達するものが増加し、光電流を増加させる。さらに、pp+層間のエネルギ差が開放電圧の増大をもたらす。なお、p+層8とアルミニウム電極9との間にはアルミニウムとシリコンとの合金層(図示せず)が形成されている。
続いて、スクリーン印刷法により、アルミニウム電極9の一部と重なるようにして銀ペーストが塗布される。また、窒化シリコン膜7上にも集電用の櫛状の細いグリッド電極とそれに繋がる接続用電極の形成のためにスクリーン印刷法により銀ペーストが塗布される。そして、これらの銀ペーストを150〜200℃で乾燥した後に600℃程度で加熱することによって、図3(i)に示すように、裏面2b側においてはアルミニウム電極9上に銀電極10が形成されるとともに、受光面2a側においては銀ペーストが窒化シリコン膜7をファイヤースルーしてn+層5とオーミックコンタクトをとる銀電極11が形成される。最後にはんだディップ処理を行なうことによって、図3(j)に示すように、銀電極10、11の表面にはんだ12が被覆されて太陽電池が完成する。
このようにして作製される太陽電池の最大電力向上のためには、入射した太陽光が受光面2aで反射するのを低減することが挙げられる。一般に、単結晶シリコン基板を用いた太陽電池の製造においては、結晶方位が(100)の受光面に対して、NaOHにイソプロピルアルコールを添加したアルカリ溶液を用いてエッチングすることによって、受光面にピラミッド状の凹凸を形成することで、入射した太陽光の反射を低減している。他方、多結晶シリコン基板を用いた太陽電池の製造においても入射した太陽光の反射を低減するために単結晶シリコン基板の場合と同様の方法を用いることもあるが、多結晶シリコン基板には受光面に様々な結晶方位があるため凹凸の段差が大きくなり、均一なピラミッド状の凹凸を形成することが困難であることから、太陽光の反射の低減効果が十分ではないという問題がある。
そこで、特許文献3においては、アルカリ溶液に代わって、フッ酸、硝酸およびリン酸を主成分とした酸溶液中でエッチングを行なうことによって多結晶シリコン基板の受光面に太陽光の反射の低減に有効な微細な凹凸を形成して太陽光の反射を低減する方法が記載されている。また、非特許文献1には、室温以下の低温で、フッ酸と硝酸のみの組成での酸溶液を用いて、多結晶シリコン基板の表面に太陽光の反射の低減に有効な微細な凹凸を形成する方法が記載されている。
特許第2955167号公報
特開2003−54932号公報
特開平10−303443号公報
WCPEC−3,May11−18,2003,4P−C4−33
しかしながら、特許文献3および非特許文献1のように、酸溶液を用いて多結晶シリコン基板の表面をエッチングする方法を上記の従来の太陽電池の製造方法に用いた場合には、多結晶シリコン基板の裏面側に印刷された銀ペーストの加熱後に、アルミニウムを主成分とするアルミニウムとシリコンとの合金が粒状に凝集して、多結晶シリコン基板の裏面側に大量に発生するという問題があった。この粒状のアルミニウムとシリコンとの合金(以下、「Al−Si合金粒」という。)は、完成後の太陽電池の特性測定の際や複数の太陽電池を電気的に接続して太陽電池モジュールを作製する際における割れの起点になるため、太陽電池および太陽電池モジュールの製造歩留りを著しく低下させることになる。また、Al−Si合金粒が発生する場合には、上記のp+層の形成が不均一になっていると考えられるため、BSF効果が低下し、太陽電池の最大電力の低下につながると考えられる。
Al−Si合金粒の発生のメカニズムは次のように考えられる。まず、酸溶液を用いて多結晶シリコン基板をエッチングすることによって、多結晶シリコン基板の裏面に微細な凹凸が形成される。そして、この微細な凹凸を有する多結晶シリコン基板の裏面にアルミニウムペーストが印刷された後に加熱されることによって、アルミニウム電極が形成される。このとき、多結晶シリコン基板の裏面が平坦である場合にはp+層が均一な厚みで形成されるとともに、p+層とアルミニウム電極との間にはアルミニウムとシリコンとの合金層が均一な厚みで形成される。しかしながら、多結晶シリコン基板の裏面に上記の微細な凹凸や異物がある場合には、アルミニウムペーストと多結晶シリコン基板との密着が不十分な箇所が生じるため、アルミニウムとシリコンとの合金層およびp+層が形成されなかったり、形成されたとしてもその厚みが不均一となって、アルミニウムとシリコンとの合金層およびp+層の形成が不均一になる。そして、アルミニウム電極上に銀ペーストが印刷され、その後銀ペーストが加熱される。このとき、アルミニウムとシリコンとの合金層が溶融するが、多結晶シリコン基板の裏面の微細な凹凸によって、アルミニウムとシリコンとの合金融液の流動が阻害され、この合金融液は多結晶シリコン基板の裏面上において均一に広がらずに局所的に凝集する。このとき、この合金層を覆っているアルミニウム電極の厚みが薄い場合には凝集した合金融液によってアルミニウム電極が突き破られ、突き破られたアルミニウム電極から露出した合金融液が冷却されて粒状に固化することによってAl−Si合金粒が多結晶シリコン基板の裏面に発生すると考えられる。すなわち、Al−Si合金粒が発生するということはp+層の形成が不均一になっていると考えられ、p+層の形成が不均一である場合にはBSF効果が低下し、太陽電池の最大電力の低下につながると考えられる。
本発明の目的はAl−Si合金粒の発生を抑制することによって最大電力を向上させた太陽電池を製造することができる太陽電池の製造方法および太陽電池用シリコン基板を提供することにある。
本発明は、シリコン基板の表面である第1面と第1面の反対側にある表面である第2面とを硝酸とフッ化水素とを含む酸性の第1エッチング液を用いてエッチングする第1エッチング工程と、第1エッチング工程後の第2面を硝酸とフッ化水素とを含む酸性の第2エッチング液を用いてエッチングする第2エッチング工程と、第2エッチング工程後の第2面にアルミニウムペーストを印刷した後にアルミニウムペーストを加熱する工程と、を含む、太陽電池の製造方法である。
ここで、本発明の太陽電池の製造方法において、第1エッチング液は硝酸濃度が15質量%以上31質量%以下であってフッ化水素濃度が10質量%以上22質量%以下であることが好ましい。
また、本発明の太陽電池の製造方法において、第2エッチング液は硝酸濃度が45質量%以上57質量%以下であってフッ化水素濃度が2質量%以上13質量%以下であることが好ましい。
また、本発明の太陽電池の製造方法においては、第2エッチング工程において第2面のエッチング量が8μm以上であることが好ましい。
また、本発明の太陽電池の製造方法においては、第2エッチング工程後の第2面に700nmの波長の光を照射したときの反射率が29%以上であることが好ましい。
また、本発明の太陽電池の製造方法においては、第2エッチング工程後の第2面において最長径が15μm以上である凹部が占める領域の面積が第2面の面積の60%以上であることが好ましい。
また、本発明の太陽電池の製造方法は、第1エッチング工程後で第2エッチング工程前にシリコン基板に不純物を拡散する工程を含むことができる。
さらに、本発明は、表面である第1面と第1面の反対側にある表面である第2面とを含み、第1面および第2面にはそれぞれ凹凸が形成されており、第1面においては最長径が15μm以下である凹部が占める領域の面積が第1面の面積の50%以上であり、第2面においては最長径が15μm以上である凹部が占める領域の面積が第2面の面積の60%以上であって第2面に700nmの波長の光を照射したときの反射率が29%以上である太陽電池用シリコン基板である。
本発明によれば、Al−Si合金粒の発生を抑制することによって最大電力を向上させた太陽電池を製造することができる太陽電池の製造方法および太陽電池用シリコン基板を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
(シリコン基板)
本発明に用いられるシリコン基板は、表面である第1面と第1面の反対側にある表面である第2面とを有する。このシリコン基板の第1面がたとえば受光面として用いられ、第2面がたとえば裏面として用いられる。ここで、本発明において、「受光面」とは上記のシリコン基板を太陽電池としたときに太陽光が主に入射する側のシリコン基板の表面のことをいい、「裏面」とは受光面の裏側にあるシリコン基板の表面のことをいう。
本発明に用いられるシリコン基板は、表面である第1面と第1面の反対側にある表面である第2面とを有する。このシリコン基板の第1面がたとえば受光面として用いられ、第2面がたとえば裏面として用いられる。ここで、本発明において、「受光面」とは上記のシリコン基板を太陽電池としたときに太陽光が主に入射する側のシリコン基板の表面のことをいい、「裏面」とは受光面の裏側にあるシリコン基板の表面のことをいう。
また、本発明に用いられるシリコン基板を構成するシリコンは特に限定されず、単結晶シリコンまたは多結晶シリコンのいずれから構成されていてもよい。なかでも、本発明に用いられるシリコン基板が多結晶シリコンからなる場合には、多結晶シリコンが様々な結晶方位を有するにも関わらずシリコン基板の表面に後述する所望の凹凸を安定して形成することができる点で好ましい。
(第1エッチング工程)
本発明における第1エッチング工程においては、上記のシリコン基板の第1面および第2面を硝酸とフッ化水素とを含む酸性の第1エッチング液を用いてエッチングを行なう。このような第1エッチング液を用いることによって、シリコン基板が多結晶シリコンからなる場合であっても、シリコン基板の受光面となる表面に形成される凹凸の形状を受光面に入射した太陽光の反射を低減してシリコン基板の内部に効率良く取り込むことができる形状にすることができる。ここで、第1エッチング液は、硝酸濃度が15質量%以上31質量%以下であってフッ化水素濃度が10質量%以上22質量%以下であることが好ましい。この場合には、入射した太陽光の反射をさらに低減してシリコン基板の内部に効率良く取り込むことができる傾向にある。ここで、本発明において、「硝酸濃度が15質量%以上31質量%以下」とは第1エッチング液全体の質量に対して硝酸が15質量%以上31質量%以下含まれていることを意味し、「フッ化水素濃度が10質量%以上22質量%以下」とは第1エッチング液全体の質量に対してフッ化水素が10質量%以上22質量%以下含まれていることを意味する。なお、上記の第1エッチング液における硝酸およびフッ化水素以外の主成分は水である。
本発明における第1エッチング工程においては、上記のシリコン基板の第1面および第2面を硝酸とフッ化水素とを含む酸性の第1エッチング液を用いてエッチングを行なう。このような第1エッチング液を用いることによって、シリコン基板が多結晶シリコンからなる場合であっても、シリコン基板の受光面となる表面に形成される凹凸の形状を受光面に入射した太陽光の反射を低減してシリコン基板の内部に効率良く取り込むことができる形状にすることができる。ここで、第1エッチング液は、硝酸濃度が15質量%以上31質量%以下であってフッ化水素濃度が10質量%以上22質量%以下であることが好ましい。この場合には、入射した太陽光の反射をさらに低減してシリコン基板の内部に効率良く取り込むことができる傾向にある。ここで、本発明において、「硝酸濃度が15質量%以上31質量%以下」とは第1エッチング液全体の質量に対して硝酸が15質量%以上31質量%以下含まれていることを意味し、「フッ化水素濃度が10質量%以上22質量%以下」とは第1エッチング液全体の質量に対してフッ化水素が10質量%以上22質量%以下含まれていることを意味する。なお、上記の第1エッチング液における硝酸およびフッ化水素以外の主成分は水である。
(第2エッチング工程)
本発明における第2エッチング工程においては、上記の第1エッチング工程後のシリコン基板の第2面を硝酸とフッ化水素とを含む酸性の第2エッチング液を用いてエッチングを行なう。これにより、第1エッチング工程によって形成されたシリコン基板の第2面の凹凸をより平坦にすることができるため、このシリコン基板の第2面を裏面とした太陽電池を製造する場合にはAl−Si合金粒の発生を抑制することができる。ここで、第2エッチング液は硝酸濃度が45質量%以上57質量%以下であってフッ化水素濃度が2質量%以上13質量%以下であることが好ましい。この場合には、シリコン基板の第2面の凹凸をさらに平坦にすることができるため、このシリコン基板の第2面を裏面とした太陽電池を製造する場合にはAl−Si合金粒の発生を抑制することができる。ここで、本発明において、「硝酸濃度が45質量%以上57質量%以下」とは第2エッチング液全体の質量に対して硝酸が45質量%以上57質量%以下含まれていることを意味し、「フッ化水素濃度が2質量%以上13質量%以下」とは第2エッチング液全体の質量に対してフッ化水素が2質量%以上13質量%以下含まれていることを意味する。なお、上記の第2エッチング液における硝酸およびフッ化水素以外の主成分は水である。
本発明における第2エッチング工程においては、上記の第1エッチング工程後のシリコン基板の第2面を硝酸とフッ化水素とを含む酸性の第2エッチング液を用いてエッチングを行なう。これにより、第1エッチング工程によって形成されたシリコン基板の第2面の凹凸をより平坦にすることができるため、このシリコン基板の第2面を裏面とした太陽電池を製造する場合にはAl−Si合金粒の発生を抑制することができる。ここで、第2エッチング液は硝酸濃度が45質量%以上57質量%以下であってフッ化水素濃度が2質量%以上13質量%以下であることが好ましい。この場合には、シリコン基板の第2面の凹凸をさらに平坦にすることができるため、このシリコン基板の第2面を裏面とした太陽電池を製造する場合にはAl−Si合金粒の発生を抑制することができる。ここで、本発明において、「硝酸濃度が45質量%以上57質量%以下」とは第2エッチング液全体の質量に対して硝酸が45質量%以上57質量%以下含まれていることを意味し、「フッ化水素濃度が2質量%以上13質量%以下」とは第2エッチング液全体の質量に対してフッ化水素が2質量%以上13質量%以下含まれていることを意味する。なお、上記の第2エッチング液における硝酸およびフッ化水素以外の主成分は水である。
また、本発明における第2エッチング工程において、シリコン基板の第2面のエッチング量は8μm以上であることが好ましい。この場合には、このシリコン基板の第2面を裏面とした太陽電池を製造する工程においてAl−Si合金粒の発生を特に抑制することができる傾向にある。
また、第2エッチング工程後のシリコン基板の第2面に700nmの波長の光を照射したときの反射率が29%以上となるように第2エッチング工程が行なわれることが好ましい。この場合にも、このシリコン基板の第2面を裏面とした太陽電池を製造する工程においてAl−Si合金粒の発生を特に抑制することができる傾向にある。ここで、本発明において、「反射率」は、次の式によって求められる。反射率(%)=(第2面で反射した波長700nmの光のエネルギ量/第2面に照射された波長700nmの光のエネルギ量)×100
また、第2エッチング工程後のシリコン基板の第2面において、最長径が15μm以上である凹部が占める領域の面積が第2面の面積の60%以上であることが好ましい。この場合にも、このシリコン基板の第2面を裏面とした太陽電池を製造する工程においてAl−Si合金粒の発生を特に抑制することができる傾向にある。ここで、本発明において、「最長径」は、第2エッチング工程後のシリコン基板の第2面に形成されている凹凸を構成する凹部の開口部の幅のうち最も長い幅のことを意味する。ここで、一例として、図11の模式的拡大断面図に示すシリコン基板21の第2面に形成されている凹部31の最長径は、凹部31の開口部32の周縁上の任意の一点と他の一点とを結ぶ線分のうち最も長い線分の長さD1を測定することによって算出することができる。
また、第2エッチング工程後のシリコン基板の第2面において、最長径が15μm以上である凹部が占める領域の面積が第2面の面積の60%以上であることが好ましい。この場合にも、このシリコン基板の第2面を裏面とした太陽電池を製造する工程においてAl−Si合金粒の発生を特に抑制することができる傾向にある。ここで、本発明において、「最長径」は、第2エッチング工程後のシリコン基板の第2面に形成されている凹凸を構成する凹部の開口部の幅のうち最も長い幅のことを意味する。ここで、一例として、図11の模式的拡大断面図に示すシリコン基板21の第2面に形成されている凹部31の最長径は、凹部31の開口部32の周縁上の任意の一点と他の一点とを結ぶ線分のうち最も長い線分の長さD1を測定することによって算出することができる。
なお、第2エッチング工程は、テープやレジストなどを用いてシリコン基板の第1面を保護した状態で行なわれることが好ましい。この場合には、シリコン基板の第1面を受光面したときに受光面に入射した太陽光の反射を低減してシリコン基板の内部に効率良く取り込むことができる凹凸形状を第1面において保持することができるためである。
(アルミニウムペーストの印刷、加熱工程)
上記の第2エッチング工程後は、第2エッチング液によりエッチングされたシリコン基板の第2面にアルミニウムペーストを印刷した後にこのアルミニウムペーストを加熱する工程が行なわれる。ここで、本発明においては、アルミニウムペーストの印刷方法は特に限定されず従来から公知の方法を用いることができ、たとえばスクリーン印刷法などを用いることができる。また、本発明において、アルミニウムペーストの加熱方法も特に限定されず従来から公知の方法を用いることができ、加熱装置および加熱温度などの条件を適宜設定することができる。
上記の第2エッチング工程後は、第2エッチング液によりエッチングされたシリコン基板の第2面にアルミニウムペーストを印刷した後にこのアルミニウムペーストを加熱する工程が行なわれる。ここで、本発明においては、アルミニウムペーストの印刷方法は特に限定されず従来から公知の方法を用いることができ、たとえばスクリーン印刷法などを用いることができる。また、本発明において、アルミニウムペーストの加熱方法も特に限定されず従来から公知の方法を用いることができ、加熱装置および加熱温度などの条件を適宜設定することができる。
また、本発明に用いられるアルミニウムペーストとしては、たとえば太陽電池の製造に用いられている従来から公知のアルミニウムペーストを用いることができる。このようなアルミニウムペーストの一例としては、たとえば、アルミニウム粉末、ガラスフリット、樹脂および有機溶剤を混合して作製されたものを挙げることができる。
(太陽電池用シリコン基板)
本発明の太陽電池用シリコン基板は、表面である第1面と第1面の反対側にある表面である第2面とを含んでおり、第1面および第2面にはそれぞれ凹凸が形成されており、第1面においては最長径が15μm以下である凹部が占める領域の面積が第1面の面積の50%以上であり、第2面においては最長径が15μm以上である凹部が占める領域の面積が第2面の面積の60%以上であって第2面に700nmの波長の光を照射したときの反射率が29%以上であることを特徴とする。このような構成の太陽電池用シリコン基板の第1面を受光面とし、第2面を裏面として太陽電池を製造した場合には、製造された太陽電池の受光面においては入射した太陽光の反射を低減してより効率良く太陽電池の内部に太陽光を入射することができ、裏面においてはAl−Si合金粒の発生を抑制することができるため、太陽電池の最大電力を向上させることができる。
本発明の太陽電池用シリコン基板は、表面である第1面と第1面の反対側にある表面である第2面とを含んでおり、第1面および第2面にはそれぞれ凹凸が形成されており、第1面においては最長径が15μm以下である凹部が占める領域の面積が第1面の面積の50%以上であり、第2面においては最長径が15μm以上である凹部が占める領域の面積が第2面の面積の60%以上であって第2面に700nmの波長の光を照射したときの反射率が29%以上であることを特徴とする。このような構成の太陽電池用シリコン基板の第1面を受光面とし、第2面を裏面として太陽電池を製造した場合には、製造された太陽電池の受光面においては入射した太陽光の反射を低減してより効率良く太陽電池の内部に太陽光を入射することができ、裏面においてはAl−Si合金粒の発生を抑制することができるため、太陽電池の最大電力を向上させることができる。
本発明の太陽電池用シリコン基板は、上記のシリコン基板について少なくとも上記の第1エッチング工程および上記の第2エッチング工程を行なうことによって得ることができる。また、本発明の太陽電池用シリコン基板には、p型不純物および/またはn型不純物が拡散した不純物拡散層が形成されていてもよい。
なお、本発明において、第1面の面積または第2面の面積に対して、最長径が15μm以下または15μm以上である凹部が占める領域の面積の割合は、シリコン基板の第1面または第2面を鉛直上方から見たときの同一平面図内においてそれぞれの面積を比較することによって算出することができる。また、本発明において、最長径が15μm以下である凹部が複数ある場合または最長径が15μm以上である凹部が複数ある場合には、その複数の凹部の面積を足し合わせたものが凹部が占める領域の面積とされる。
(実施例1)
図1(a)〜(k)に実施例1における太陽電池の製造方法を図解する模式的な断面図を示す。まず、ワイヤソーを用いて、多結晶のp型シリコンインゴッドを幅125mm×長さ125mm×厚さ250μmの平板状にスライスすることによって図1(a)に示すp型のシリコン基板21を得た。ここで、ワイヤソーを用いたスライスにより、p型のシリコン基板21の表面にはダメージ層1が形成された。
図1(a)〜(k)に実施例1における太陽電池の製造方法を図解する模式的な断面図を示す。まず、ワイヤソーを用いて、多結晶のp型シリコンインゴッドを幅125mm×長さ125mm×厚さ250μmの平板状にスライスすることによって図1(a)に示すp型のシリコン基板21を得た。ここで、ワイヤソーを用いたスライスにより、p型のシリコン基板21の表面にはダメージ層1が形成された。
次に、このシリコン基板21を硝酸濃度が27質量%であってフッ化水素濃度が11質量%である第1エッチング液(硝酸およびフッ化水素以外の成分は水)に浸漬させて第1エッチング工程を行なうことにより、図1(b)に示すように、シリコン基板21の表面のダメージ層1を除去するとともにシリコン基板21の表面の第1面21aおよび第2面21bに凹凸を形成した。図6に、第1エッチング工程後におけるシリコン基板21の第1面21aのSEM写真を示す。図6においては、クレータのような多数の微細な凹部が観察される。なお、シリコン基板21の第2面21bにおいても、図6に示すような状態になっているものと解される。図6に示す第1面においては最長径が15μm以下である凹部が占める領域の面積が第1面の面積の50%以上であった。
次いで、図1(c)に示すように、シリコン基板21の第1面21aの全面にP2O5(五酸化二リン)を含むドーパント液4をスピンコータにより塗布した。このシリコン基板21を拡散炉で850℃に加熱することによって図1(d)に示すように、シリコン基板21の第1面21aにリンを拡散させて表面抵抗率が50Ωの不純物拡散層であるn+層5を形成した。このとき、シリコン基板21の側面および第2面21bにもリンが拡散して形成された薄いn+層が形成されていた(図示せず)。そして、このシリコン基板21をフッ化水素濃度が49質量%のフッ酸に浸漬させて、図1(e)に示すように、シリコン基板21の第1面21a上においてドーパント液4を加熱することにより生じた図1(d)に示すPSG層4aを除去した。
続いて、図1(f)に示すように、シリコン基板21の第1面21a上に耐酸性の保護フィルム6を貼り付けた。ここで、保護フィルム6としては半導体ウエハ保護用テープ(たとえば古河電気工業社製のSP−594M−130)を用いた。この保護フィルム6が貼り付けられたシリコン基板21を硝酸濃度が54.5質量%であってフッ化水素濃度が4.5質量%である第2エッチング液に(硝酸およびフッ化水素以外の成分は水)に浸漬させて第2エッチング工程を行なうことにより、図1(g)に示す第2面21bに形成された凹凸を平坦化したシリコン基板21を得た(図1(g)においては図面の簡略化のために、シリコン基板21の第2面21bに形成されている凹凸は記載していない)。ここで、実施例1においては、第2エッチング工程における第2面21bのエッチング量を2μm、4μm、6μm、8μmおよび10μmにそれぞれ変化させたシリコン基板21を5種類作製した。図7に第2エッチング工程におけるエッチング量を4μmとしたシリコン基板21の第2面21bのSEM写真を示し、図8に第2エッチング工程におけるエッチング量を8μmとしたシリコン基板21の第2面21bのSEM写真を示す。図7および図8に示す凹部は図6に示す凹部よりも大幅に凹部の開口部が大きくなって最長径が増大しており、より平坦化されていることがわかる。図7および図8に示す第2面においては最長径が15μm以上である凹部が占める領域の面積が第2面の面積の60%以上であった。その後、保護フィルム6に紫外光を照射することによって、保護フィルム6を除去した。
次に、図1(h)に示すように、シリコン基板21の第1面21a上にプラズマCVD法を用いて厚さ85nmの窒化シリコン膜7を形成した。そして、シリコン基板21の第2面21bにアルミニウムペーストを1.2g印刷し、このアルミニウムペーストを175℃の温度下で乾燥した後に700℃に加熱することによって、図1(i)に示すように、シリコン基板21の第2面21bにp型不純物であるアルミニウムを多量に含んだp+層8を形成するとともにシリコン基板21の第2面21b上にアルミニウム電極9を形成した。ここで、p+層8とアルミニウム電極9との間には、アルミニウムとシリコンとの合金層が形成されていた(図示せず)。
次いで、スクリーン印刷法により、銀ペーストをアルミニウム電極9の一部と重なるようにして印刷した。また、窒化シリコン膜7上にも集電用の櫛状の細いグリッド電極とそれに繋がる接続用電極の形成のためにスクリーン印刷法により銀ペーストを印刷した。そして、これらの銀ペーストを175℃で乾燥した後に600℃で加熱することによって、図1(j)に示すように、シリコン基板21の第2面21b側においてはアルミニウム電極9上に銀電極10を形成するとともに、シリコン基板21の第1面21a側においては銀ペーストが窒化シリコン膜7をファイヤースルーすることによってn+層5とオーミックコンタクトをとる銀電極11を形成した。最後にはんだディップ処理を行なうことによって、図1(k)に示すように、銀電極10、11の表面にはんだ12が被覆されて太陽電池を完成させた。なお、実施例1においては、第2エッチング工程における第2面のエッチング量を2μm、4μm、6μm、8μmおよび10μmにそれぞれ変化させたシリコン基板のそれぞれを用いて太陽電池を5種類作製した。
これら5種類の実施例1の太陽電池についてシリコン基板の第1面を受光面とし、第2面を裏面としてソーラーシミュレータを用いて最大電力を評価した。その結果を図4に示す。なお、図4において、縦軸の最大電力は従来のアルカリエッチング太陽電池([背景技術]の欄で説明した図3(a)〜(j)に示される製造方法により製造された太陽電池)の最大電力に対する比で表されており、横軸はそれぞれの太陽電池の製造工程中の第2エッチング工程におけるシリコン基板の第2面のエッチング量を示している。
また、これら5種類の実施例1の太陽電池について、銀ペーストの加熱後に発生したAl−Si合金粒の個数を調査した。その結果を図5に示す。なお、図5において、縦軸は銀ペーストの加熱後に発生したAl−Si合金粒の個数を示しており、横軸はそれぞれの太陽電池の製造工程中の第2エッチング工程におけるシリコン基板の第2面のエッチング量を示している。
(実施例2)
図2(a)〜(k)に実施例2における太陽電池の製造方法を図解する模式的な断面図を示す。まず、ワイヤソーを用いて、多結晶のp型シリコンインゴッドを幅125mm×長さ125mm×厚さ250μmの平板状にスライスすることによって図2(a)に示すp型のシリコン基板21を得た。ここで、ワイヤソーを用いたスライスにより、p型のシリコン基板21の表面にはダメージ層1が形成された。
図2(a)〜(k)に実施例2における太陽電池の製造方法を図解する模式的な断面図を示す。まず、ワイヤソーを用いて、多結晶のp型シリコンインゴッドを幅125mm×長さ125mm×厚さ250μmの平板状にスライスすることによって図2(a)に示すp型のシリコン基板21を得た。ここで、ワイヤソーを用いたスライスにより、p型のシリコン基板21の表面にはダメージ層1が形成された。
次に、このシリコン基板21を硝酸濃度が27質量%であってフッ化水素濃度が11質量%である第1エッチング液(硝酸およびフッ化水素以外の成分は水)に浸漬させて第1エッチング工程を行なうことにより、図2(b)に示すように、シリコン基板21の表面のダメージ層1を除去するとともにシリコン基板21の表面の第1面21aおよび第2面21bに凹凸を形成した。
次いで、図2(c)に示すように、シリコン基板21の第1面21a上に耐酸性の保護フィルム6を貼り付けた。ここで、保護フィルム6としては半導体ウエハ保護用テープ(たとえば古河電気工業社製のSP−594M−130)を用いた。この保護フィルム6が貼り付けられたシリコン基板21を硝酸濃度が54.5質量%であってフッ化水素濃度が4.5質量%である第2エッチング液に(硝酸およびフッ化水素以外の成分は水)浸漬させて第2エッチング工程を行なうことにより、図2(d)に示す第2面21bに形成された凹凸を平坦化したシリコン基板21を得た。ここで、第2エッチング工程におけるエッチング量は8μmとした。なお、図2(d)においては図面の簡略化のために、シリコン基板21の第2面21bに形成されている凹凸は記載していない。その後、保護フィルム6に紫外光を照射することによって、保護フィルム6を除去した。
続いて、図2(e)に示すように、シリコン基板21の裏面の周縁部および側面にシリコンおよびチタンを含む溶液からなるマスク材3をスピンコータにより塗布した。次いで、図2(f)に示すように、シリコン基板21の第1面21aの全面にP2O5(五酸化二リン)を含むドーパント液4をスピンコータにより塗布した。このシリコン基板21を拡散炉で850℃に加熱することによって図2(g)に示すように、シリコン基板21の第1面21aにリンを拡散させて表面抵抗率が50Ωの不純物拡散層であるn+層5を形成した。その後、シリコン基板21をフッ化水素濃度が49質量%のフッ酸に浸漬させることで、上記のマスク材3が加熱されることによって生じたマスク膜3aと、ドーパント液4が加熱されて生じたPSG層4aとを除去した。
次いで、図2(h)に示すように、反射防止膜の形成およびパッシベーションを目的として、プラズマCVD法により、シリコン基板21の第1面21a上に厚さ85nmの窒化シリコン膜7を形成した。そして、シリコン基板21の第2面21bにアルミニウムペーストを1.2g印刷し、このアルミニウムペーストを175℃の温度下で乾燥した後に700℃に加熱することによって、図2(i)に示すように、シリコン基板21の第2面21bにp型不純物であるアルミニウムを多量に含んだp+層8を形成するとともにシリコン基板21の第2面21b上にアルミニウム電極9を形成した。ここで、p+層8とアルミニウム電極9との間には、アルミニウムとシリコンとの合金層が形成されていた(図示せず)。
次いで、スクリーン印刷法により、銀ペーストをアルミニウム電極9の一部と重なるようにして印刷した。また、窒化シリコン膜7上にも集電用の櫛状の細いグリッド電極とそれに繋がる接続用電極の形成のためにスクリーン印刷法により銀ペーストを印刷した。そして、これらの銀ペーストを175℃で乾燥した後に600℃で加熱することによって、図2(j)に示すように、シリコン基板21の第2面21b側においてはアルミニウム電極9上に銀電極10を形成するとともに、シリコン基板21の第1面21a側においては銀ペーストが窒化シリコン膜7をファイヤースルーすることによってn+層5とオーミックコンタクトをとる銀電極11を形成した。最後にはんだディップ処理を行なうことによって、図2(k)に示すように、銀電極10、11の表面にはんだ12が被覆されてシリコン基板21の第1面21aを受光面とし、第2面21bを裏面とした太陽電池を完成させた。
この実施例2の太陽電池について実施例1と同一の方法で最大電力を評価した。その結果を図4に示す。また、実施例2の太陽電池について、銀ペーストの加熱後に発生したAl−Si合金粒の個数を実施例1と同一の方法で調査した。その結果を図5に示す。
(比較例1)
シリコン基板の第1面に保護フィルムを形成せず、シリコン基板の第2面について第2エッチング工程を行なわなかったこと以外は実施例2と同様にして太陽電池を作製した。そして、この比較例1の太陽電池について実施例1と同一の方法で最大電力を評価した。その結果を図4に示す。また、比較例1の太陽電池について、銀ペーストの加熱後に発生したAl−Si合金粒の個数を実施例1と同一の方法で調査した。その結果を図5に示す。
シリコン基板の第1面に保護フィルムを形成せず、シリコン基板の第2面について第2エッチング工程を行なわなかったこと以外は実施例2と同様にして太陽電池を作製した。そして、この比較例1の太陽電池について実施例1と同一の方法で最大電力を評価した。その結果を図4に示す。また、比較例1の太陽電池について、銀ペーストの加熱後に発生したAl−Si合金粒の個数を実施例1と同一の方法で調査した。その結果を図5に示す。
(考察)
図4の結果に示すように、シリコン基板の第2面について上記の第2エッチング工程を行なった実施例1および実施例2の太陽電池は、シリコン基板の第2面について上記の第2エッチング工程を行なっていない比較例1の太陽電池と比べて最大電力を向上できることが判明した。その理由としては、リンの拡散によるn+層の形成後にシリコン基板の第2面が第2エッチング工程においてエッチングされることによって清浄され、さらに第2面に形成されたn+層がエッチングにより除去されることでpn接合分離が確実なものとなって、リーク電流が低減したことによるものと考えられる。また、実施例1の太陽電池において、第2エッチング工程におけるエッチング量の増加に伴なって最大電力が増加するのは、第2面がより清浄な面になり、第2面の凹凸がより平坦化されることで、p+層の形成がより均一になるためBSF効果が向上したことによるものと考えられる。
図4の結果に示すように、シリコン基板の第2面について上記の第2エッチング工程を行なった実施例1および実施例2の太陽電池は、シリコン基板の第2面について上記の第2エッチング工程を行なっていない比較例1の太陽電池と比べて最大電力を向上できることが判明した。その理由としては、リンの拡散によるn+層の形成後にシリコン基板の第2面が第2エッチング工程においてエッチングされることによって清浄され、さらに第2面に形成されたn+層がエッチングにより除去されることでpn接合分離が確実なものとなって、リーク電流が低減したことによるものと考えられる。また、実施例1の太陽電池において、第2エッチング工程におけるエッチング量の増加に伴なって最大電力が増加するのは、第2面がより清浄な面になり、第2面の凹凸がより平坦化されることで、p+層の形成がより均一になるためBSF効果が向上したことによるものと考えられる。
また、図5の結果に示すように、シリコン基板の第2面について上記の第2エッチング工程を行なった実施例1および実施例2の太陽電池においては、シリコン基板の第2面について上記の第2エッチング工程を行なっていない比較例1の太陽電池と比べて格段にAl−Si合金粒の発生を抑制することができ、特に上記の第2エッチング工程におけるエッチング量が8μm以上の場合にはAl−Si合金粒が全く発生しなかった。
(実施例3)
第2エッチング液の組成を様々に変更したこと以外は実施例1と同一の方法で太陽電池を作製した。図9に、第2エッチング工程後のシリコン基板の裏面に700nmの波長の光を照射したときの反射率(縦軸)と第2エッチング工程におけるエッチング量(横軸)との関係を示す。ここで、図9に示す第2エッチング工程後のシリコン基板の裏面に700nmの波長の光を照射したときの反射率は株式会社島津製作所製の島津絶対反射率測定システムUV3100PCによって測定されたものである。また、図9において、第2エッチング工程で用いられた第2エッチング液としては硝酸濃度とフッ化水素濃度との比(硝酸濃度/フッ化水素濃度)がそれぞれ(45.0質量%/12.5質量%)、(54.5質量%/4.5質量%)、(57.0質量%/2.5質量%)および(25.7質量%/7.1質量%)であるものが用いられた。そして、第2エッチング液の(硝酸濃度/フッ化水素濃度)が(45.0質量%/12.5質量%)であるときの上記反射率が×印で、(54.5質量%/4.5質量%)であるときの上記反射率が□印で、(57.0質量%/2.5質量%)であるときの上記反射率が黒塗りの△印で、(25.7質量%/7.1質量%)であるときの上記反射率が○印でそれぞれ図9に示されている。さらに、比較として、第2エッチング工程を行なわなかったときの上記反射率が黒塗りの□印で図9に示されている。図9に示すように、上記の組成の第2エッチング液を用いて第2エッチング工程を行なった場合にはシリコン基板の裏面に700nmの波長の光を照射したときの反射率が増加することが確認された。
第2エッチング液の組成を様々に変更したこと以外は実施例1と同一の方法で太陽電池を作製した。図9に、第2エッチング工程後のシリコン基板の裏面に700nmの波長の光を照射したときの反射率(縦軸)と第2エッチング工程におけるエッチング量(横軸)との関係を示す。ここで、図9に示す第2エッチング工程後のシリコン基板の裏面に700nmの波長の光を照射したときの反射率は株式会社島津製作所製の島津絶対反射率測定システムUV3100PCによって測定されたものである。また、図9において、第2エッチング工程で用いられた第2エッチング液としては硝酸濃度とフッ化水素濃度との比(硝酸濃度/フッ化水素濃度)がそれぞれ(45.0質量%/12.5質量%)、(54.5質量%/4.5質量%)、(57.0質量%/2.5質量%)および(25.7質量%/7.1質量%)であるものが用いられた。そして、第2エッチング液の(硝酸濃度/フッ化水素濃度)が(45.0質量%/12.5質量%)であるときの上記反射率が×印で、(54.5質量%/4.5質量%)であるときの上記反射率が□印で、(57.0質量%/2.5質量%)であるときの上記反射率が黒塗りの△印で、(25.7質量%/7.1質量%)であるときの上記反射率が○印でそれぞれ図9に示されている。さらに、比較として、第2エッチング工程を行なわなかったときの上記反射率が黒塗りの□印で図9に示されている。図9に示すように、上記の組成の第2エッチング液を用いて第2エッチング工程を行なった場合にはシリコン基板の裏面に700nmの波長の光を照射したときの反射率が増加することが確認された。
また、図10に、Al−Si合金粒の発生個数(縦軸)と第2エッチング工程後のシリコン基板の裏面に700nmの波長の光を照射したときの反射率(横軸)との関係を示す。ここで、Al−Si合金粒の発生個数は、上記組成の第2エッチング液で第2エッチング工程が行なわれたそれぞれのシリコン基板を用いて作製された太陽電池の裏面について測定されたものである。図10に示すように、第2エッチング工程後の裏面に700nmの波長の光を照射したときの反射率が29%以上であるシリコン基板を用いて太陽電池を作製した場合には太陽電池の裏面にAl−Si合金粒が発生しないことが確認された。
また、上記組成の第2エッチング液を用いて様々なエッチング量で第2エッチングを行なったシリコン基板の裏面について300nm〜1200nmの波長の光を照射したときの反射率の変化を示す図を図12〜図15に示す。図12〜図15に示すように、第2エッチングにおけるエッチング量(図12〜図15においては第2エッチング量と表記)の増加に伴って、反射率が増大していることがわかる。なお、図12〜図15において、硝酸とフッ化水素以外の第2エッチング液の成分は水である。また、図12〜図15において、「初期」は第2エッチングを行なっていないシリコン基板の裏面について300nm〜1200nmの波長の光を照射したときの反射率を示している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の太陽電池の製造方法は、シリコン基板の表面である第1面と第1面の反対側にある表面である第2面とを硝酸とフッ化水素とを含む酸性の第1エッチング液を用いてエッチングする第1エッチング工程と、第1エッチング工程後の第2面を硝酸とフッ化水素とを含む酸性の第2エッチング液を用いてエッチングする第2エッチング工程と、第2エッチング工程後の第2面にアルミニウムペーストを印刷した後にアルミニウムペーストを加熱する工程と、を含むため、第2面のAl−Si合金層およびp+層がより均一に形成されるため、Al−Si合金粒が発生せず、BSF効果が高まることによって最大電力を向上させた太陽電池を製造することができる。
また、本発明の太陽電池用シリコン基板は、表面である第1面と第1面の反対側にある表面である第2面とを含み、第1面および第2面にはそれぞれ凹凸が形成されており、第1面においては最長径が15μm以下である凹部が占める領域の面積が第1面の面積の50%以上であり、第2面においては最長径が15μm以上である凹部が占める領域の面積が第2面の面積の60%以上であって第2面に700nmの波長の光を照射したときの反射率が29%以上であるため、第2面のAl−Si合金層およびp+層がより均一に形成され、Al−Si合金粒が発生せず、BSF効果が高まることによって、最大電力が向上する。
1 ダメージ層、2,21 シリコン基板、2a,21a 第1面、2b,21b 第2面、3 マスク材、3a マスク膜、4 ドーパント液、4a PSG層、5 n+層、6 保護フィルム、7 窒化シリコン膜、8 p+層、9 アルミニウム電極、10,11 銀電極、12 はんだ、31 凹部、32 開口部。
Claims (8)
- シリコン基板の表面である第1面と前記第1面の反対側にある表面である第2面とを硝酸とフッ化水素とを含む酸性の第1エッチング液を用いてエッチングする第1エッチング工程と、前記第1エッチング工程後の前記第2面を硝酸とフッ化水素とを含む酸性の第2エッチング液を用いてエッチングする第2エッチング工程と、前記第2エッチング工程後の前記第2面にアルミニウムペーストを印刷した後に前記アルミニウムペーストを加熱する工程と、を含む、太陽電池の製造方法。
- 前記第1エッチング液は硝酸濃度が15質量%以上31質量%以下であってフッ化水素濃度が10質量%以上22質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記第2エッチング液は硝酸濃度が45質量%以上57質量%以下であってフッ化水素濃度が2質量%以上13質量%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記第2エッチング工程において、前記第2面のエッチング量が8μm以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
- 前記第2エッチング工程後の前記第2面に700nmの波長の光を照射したときの反射率が29%以上であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
- 前記第2エッチング工程後の前記第2面において、最長径が15μm以上である凹部が占める領域の面積が前記第2面の面積の60%以上であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
- 前記第1エッチング工程後で前記第2エッチング工程前に前記シリコン基板に不純物を拡散する工程を含む、請求項1から6のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
- 表面である第1面と前記第1面の反対側にある表面である第2面とを含み、前記第1面および前記第2面にはそれぞれ凹凸が形成されており、前記第1面においては最長径が15μm以下である凹部が占める領域の面積が前記第1面の面積の50%以上であり、前記第2面においては最長径が15μm以上である凹部が占める領域の面積が前記第2面の面積の60%以上であって前記第2面に700nmの波長の光を照射したときの反射率が29%以上であることを特徴とする、太陽電池用シリコン基板。
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