JP2006291237A - 冷間鍛造性と切削性に優れた機械構造用鋼 - Google Patents

冷間鍛造性と切削性に優れた機械構造用鋼 Download PDF

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Abstract

【課題】 冷間鍛造性と切削性に優れた冷間鍛造用鋼を提供する。
【解決手段】 規定の成分組成を満たすものであって、金属組織がフェライトとパーライトの二相組織であり、 パーライトの平均ラメラー間隔が220〜500nm、かつ パーライト粒の平均粒径が30μm以下であると共に、 鋼材断面におけるD/2(D:鋼材断面直径)からD/8までの領域のフェライト結晶粒度番号と最表面のフェライト結晶粒度番号との差が1以下であることを特徴とする冷間鍛造性と切削性に優れた機械構造用鋼。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷間鍛造性と切削性に優れた機械構造用鋼に関するものであり、殊に、冷間鍛造性と切削時における仕上げ面粗さの著しく改善された機械構造用鋼に関するものである。
機械構造用鋼部品の製造に用いられる鋼材(圧延材)は、従来、下記に製造工程(酸洗、潤滑皮膜形成除く)を示す通り球状化焼鈍工程を設けることで、後工程である冷間鍛造時の加工性(冷間鍛造性)と切削性を確保していた。しかし近年は、生産性を高めるべく長時間を要する球状化焼鈍工程の省略が試みられている。
〈従来の製造工程〉
圧延 − 伸線 − 球状化焼鈍 − 伸線 − 冷間鍛造 − 切削
〈上記球状化焼鈍を省略した工程〉
圧延 − 伸線 − 冷間鍛造 − 切削
しかしながら、球状化焼鈍を省略すると、圧延で得られた線材をそのまま伸線、冷間鍛造、切削に供することになる。C量の少ない従来の鋼材であれば熱間圧延ままでも冷間鍛造性と切削性に優れるが、機械構造用部品の高強度化を図るべくC量を高めると切削性が著しく低下する。具体的には、構成刃先が生じて鋼部品に「むしれ」が発生し、仕上げ面が粗くなるという問題が生じる。
上記問題の防止策として、一般に切削速度を上げることが提案されているが、設備の制約を受けるため、鋼材の切削性を改善することが求められている。
切削性改善を図った技術としては、例えば特許文献1に、S量を0.03%以上確保すると共に、ミクロ組織における粒径1μmを超えるパーライト粒の占める面積率を5%以下とすることが示されている。しかしS量を高めると、機械構造用鋼に必要な冷間鍛造性を確保することが難しくなる。またパーライト粒のサイズを制御するだけでは、仕上げ面粗さを十分改善することは難しい。
また特許文献2には、Pb、Bi、Teを含有させ、切削性として切り屑処理性を向上させる技術が示されている。しかし、この様に一般的な切削性改善元素を添加しても、仕上げ面粗さを改善することは難しい。
特開2004−169051号公報 特許第1586383号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、比較的C量の多い機械構造用鋼であって、球状化焼鈍工程を設けなくとも優れた冷間鍛造性と切削性を発揮し得る鋼材を提供することにある。
本発明に係る冷間鍛造性と切削性に優れた機械構造用鋼は、
C :0.10〜0.42%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.01〜0.5%、
Mn:0.1〜1.6%、
P :0.030%以下(0%を含まない)、
S :0.030%未満(0%を含まない)、
Cr:0.01〜1.0%、
Sol.Al:0.01〜0.06%、
N :0.0005〜0.0070%、
(Cu+Ni+Mo) ≦0.2%、
(Nb+V) ≦0.1%
を満たし、残部鉄及び不可避不純物からなるものであって、
金属組織がフェライトとパーライトの二相組織であり、
パーライトの平均ラメラー間隔が220〜500nm、かつ
パーライト粒の平均粒径が30μm以下
であると共に、
鋼材断面における、
D/2(D:鋼材断面直径)からD/8までの領域のフェライト結晶粒度番号と
最表面のフェライト結晶粒度番号との差が1以下である
ところに特徴がある。
上記本発明の機械構造用鋼は、
更に他の元素として、
(a)B :0.0010〜0.0055%、及び/又は
Ti:0.004〜0.05%、
(b)Pb、Bi、Mg及びCaよりなる群から選択される1種以上を、
合計で0.1%以下(0%を含まない)
含んでいてもよい。
本発明の機械構造用鋼を、冷間鍛造後に切削を施して得られる例えば自動車部品の製造に用いれば、球状化焼鈍工程を設けなくとも、冷間鍛造を良好に行うことができ、また切削後の仕上げ面が美麗な高強度鋼部品を効率的に製造することができる。
前述した通り、強度確保のためCを比較的多く含む鋼材を対象に、球状化焼鈍を行わなくとも優れた冷間鍛造性と切削性を発揮する機械構造用鋼を得るべく、一般的に切り屑処理性等の切削性に改善効果を示すSや、Pb、Bi等の添加を試みたが、機械構造用鋼に不可欠な優れた冷間鍛造性の確保が困難であった。またPb、Bi等の快削性元素を添加した場合も仕上げ面粗さを十分に改善できないことを確認した。
そこで本発明者は、別の手段について次の通り鋭意研究を行なった。即ち、本発明の鋼材は、後述の通りCを0.10%以上含有していることから、金属組織がパーライトとフェライトの二相組織であり、該パーライトがほぼ5〜40%存在することを前提に、該組織の形態について研究を行なった。その結果、パーライトの析出形態を、
・パーライトの平均ラメラー間隔:220〜500nm、かつ
・パーライト粒の平均粒径:30μm以下
を満たすようにすればよいことを見出した。以下、この様に規定した理由について詳述する。
まず本発明では、パーライトの平均ラメラー間隔を220nm以上と従来の鋼材よりも広くする。パーライトのラメラー間隔を広げることによって、相対的にラメラーが短くなり、パーライトが脆くなるので、切削時にパーライトが良好に破壊して構成刃先の形成を十分に低減でき、結果として、仕上げ面粗さが非常に小さく表面の美麗な鋼部品を得ることができる。上記パーライトのラメラー間隔は240nm以上であることが好ましい。しかし、上記ラメラー間隔が広すぎても延性に悪影響を及ぼすため500nm以下とする。好ましくは450nm以下、より好ましくは400nm以下である。
パーライト面積率が一定である場合、上記の通りラメラー間隔の比較的広いパーライト粒を微細に分散させる方が、切削時にパーライトが破壊され易く、構成刃先の形成を効果的に抑制できる。従って本発明では、パーライト粒のサイズを平均粒径で30μm以下とする。パーライト粒がより小さいほど切削時に切削工具に当たり難くなることから、平均粒径が20μm以下のものが好ましい。切削性向上の観点からはパーライト粒の平均粒径の下限は特に設けない。尚、パーライトの少ない鋼種では上記問題は生じないので、本発明では、平均粒径が3μm以上のパーライト粒が存在するものを対象とする。
上記パーライトの平均ラメラー間隔及びパーライト粒の平均粒径は、後述する実施例に示す方法で測定し、規定したものである。
本発明では、フェライト結晶粒度も併せて制御することで、上記パーライト組織の制御による効果を確実に発揮させることができる。フェライト結晶粒のサイズを均一にすることで、上記パーライト粒のサイズのバラツキを抑制でき、その結果、切削抵抗のバラツキが低減されて均一に切削できるからである。
そこで本発明では、鋼材断面の直径をDとしたときに、鋼材断面における
・D/2からD/8までの領域のフェライト結晶粒度番号(Fgc,JIS G 0552で規定)と、
・最表面のフェライト結晶粒度番号(Fgc,JIS G 0552で規定)
との差が1以下であることを要件とした。上記差が0.5以下であることが好ましく、最も好ましくは上記D/2からD/8までの領域と最表面のFgcが同じであることである。後述の推奨される方法で製造を行なった場合、鋼板断面における上記D/2からD/8までの領域(鋼材内部)と最表面のフェライト結晶粒度番号はどちらも6〜11番の範囲となる。
上記フェライト結晶粒度番号は、後述する実施例に示す方法で測定し、規定したものである。
尚、上記パーライト中には、製造過程において不可避的にディボースト・パーライト(炭化物が塊状になっているもの)が形成される場合があるが、該ディボースト・パーライトは、粒径の測定対象でない。
本発明は、上記の通り特に組織を制御する点に特徴があるが、該組織を容易に形成して優れた冷間鍛造性と切削性を確保するには、下記の通り成分組成を満たす必要がある。
〈C:0.10〜0.42%〉
Cは、鋼材の強度確保に必須の元素であり、少なくとも0.10%を必要とする。好ましくは0.12%以上、より好ましくは0.13%以上である。一方、C量が過剰であると、パーライトの面積率が高くなり変形能を確保できなくなる。また、切削時に生じる構成刃先を安定化させる作用を有するため、仕上げ面粗さを改善することが難しい。よってC量は0.42%以下とする。好ましくは0.40%以下、より好ましくは0.38%以下である。
〈Si:0.01〜0.5%〉
Siを添加して脱酸を行う場合、鋼中Si量は0.01%以上となる。しかしSi量が過剰になると、固溶強化により変形抵抗が増大し、冷間鍛造における鍛造荷重が増大するだけでなく、変形能の低下の要因にもなるため、可能な限り低い方が望ましい。よって本発明では、Si量を0.5%以下とする。好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.3%以下である。
〈Mn:0.1〜1.6%〉
Mnは、脱酸、脱硫のために必要であるだけでなく、冷間加工後の熱処理時の焼入れ焼戻し軟化抵抗を向上させるのにも有効な元素である。この様な効果を発揮させるには、0.1%以上含有させる。好ましくは0.15%以上、より好ましくは0.2%以上である。一方、Mn量が過剰になると、熱間圧延後のフェライトおよびパーライトの成長速度が低下して、切削性を低下させるラメラー間隔の狭いパーライトが形成され易くなる。よって本発明ではMn量を1.6%以下とする。好ましくは1.4%以下、より好ましくは1.2%以下である。
〈P:0.030%以下(0%を含まない)〉
Pは、凝固時にミクロ偏析し、熱間圧延時に粒界に偏析してバンド組織を生成し易く、パーライトブロックが粗大になる要因となる。よってP量は0.030%以下に抑える。好ましくは0.025%以下、より好ましくは0.02%以下に抑える。尚、Pの下限は、コストや生産性の観点から0.001%程度となる。
〈S:0.030%未満(0%を含まない)〉
Sは、MnSといった硫化物系介在物を形成し、熱間圧延時に粒界に偏析して粒界を脆化させ、冷間加工時に割れが生じやすくなる。よって本発明ではSを極力低減するのがよく、0.030%未満に抑える。好ましくは0.025%以下、より好ましくは0.020%以下に抑える。尚、Sの下限は、コストや生産性の観点から0.001%程度となる。
〈Cr:0.01〜1.0%〉
Crは、熱間圧延時のフェライト+パーライト変態を促進させ、強度を必要以上に高めることなく炭化物を析出させるのに有効な元素である。この様な効果を発揮させるにはCr量を0.01%以上とするのがよい。好ましくは0.03%以上である。しかしCr量が過剰になると、必要以上に引張強度が上昇する他、焼入性が高くなり切削性を低下させるラメラー間隔の狭いパーライトが生じ易くなる。そこで本発明ではCr量を1.0%以下とした。好ましくは0.9%以下である。
〈sol.Al:0.01〜0.06%〉
sol.Alは、脱酸の効果があるだけでなく、Nと結合して窒化物(AlN:アルミナイトライド)を生成させ、冷間鍛造後の焼入れ時のオーステナイト結晶粒粗大化を防止するのに有効である。この様な効果を発揮させるべく本発明ではsol.Al量を0.01%以上とする。好ましくは0.02%以上である。しかしsol.Alが過剰でも前記効果は飽和するので0.06%以下に抑える。好ましくは0.05%以下である。
〈N:0.0005〜0.0070%〉
Nは、上記の通り、AlとAlNを形成して、冷間鍛造後の焼入れ時のオーステナイト結晶粒粗大化を防止するのに有用な元素である。また、後述する通りBを添加した場合にBNを形成し、冷間加工時の動的ひずみ時効を抑制するのに有用な元素でもある。よって本発明ではN量を0.0005%以上、好ましくは0.0020%以上とする。しかしN量が過剰になると、固溶Nが増加して固溶強化が促進され、必要以上に強度が高まり冷間鍛造性の低下を招く。よってN量を0.0070%以下に抑える。好ましくは0.0060%以下、より好ましくは0.0050%以下である。
〈(Cu+Ni+Mo)≦0.2%〉
〈(Nb+V)≦0.1%〉
これらの元素(Cu、Ni、Mo、Nb、V)は、本発明の鋼材に不可避不純物として含まれるものである。本発明では、該元素を抑制して鋼材の強度が必要以上に高まるのを抑え、優れた冷間鍛造性を確保する。また、これらの元素により鋼材の焼入性が高くなり、切削性を低下させるラメラー間隔の狭いパーライトが生じやすくなるのを抑制する必要もある。よって、Cu、Ni及びMoを合計で0.2%以下に抑える。好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.05%以下である。またNbとVも合計で0.1%以下に抑える。好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.02%以下である。
本発明で規定する含有元素は上記の通りであり、残部成分は実質的にFeであるが、鋼中に、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる不可避不純物の混入が許容されるのは勿論のこと、前記本発明の作用に悪影響を与えない範囲で、下記の如く、更に他の元素を積極的に含有させることも可能である。
〈B:0.0010〜0.0055%〉
Bは、Nと結合してBNを形成することによって、冷間加工時の動的ひずみ時効を抑制すると共に、固溶Nによる固溶強化を抑制するのにも有効な元素である。また、AlNが必要以上に析出してフェライト結晶粒が著しく微細化することにより、強度が上昇するのを抑制する作用も有する。更には後述するTiと複合添加した場合に、NをTiNとして固定し、Bを固溶状態のまま焼入性元素として有効に作用させ、部品の最終工程における焼入れ焼戻しで強度を調整するのに有用な元素でもある。
これらの効果を発揮させるには、B量を0.0010%以上とするのが好ましく、より好ましくは0.0015%以上である。尚、N含有量に応じてB量を増加させるのがよく、本発明で規定するN量上限が0.0070%であることから、B量の上限を0.0055%とする。
〈Ti:0.004〜0.05%〉
Tiは、TiNを形成することによってBNと同様の効果を発揮する元素である。また上記の通り、Bと同時に添加すれば、Bの焼入性向上効果を存分に発揮させることができる。これらの効果を発揮させるには、Ti量を0.004%以上とするのがよい。より好ましくは0.010%以上である。しかしTi量が多過ぎると、過剰のTiがTiCを形成して析出強化作用が増大するので0.05%以下に抑えるのがよい。より好ましくは0.04%以下である。
〈Pb、Bi、Mg及びCaよりなる群から選択される1種以上:
合計で0.1%以下〉
Pb、Bi、Mg、Caは、鋼材の被削性を改善するのに有効な元素であり、必要によって単独でまたは2種以上を含有させてもよい。しかしながら、これらの元素の含有量が過剰になると、鋼材の延性や靭性が低下し、冷間鍛造性も阻害されるので、合計で0.1%以下に抑えるのがよい。
本発明は、製造条件まで規定するものではないが、上記成分組成の鋼材を用いて、上記組織を効率良く得るには下記条件で製造することが推奨される。
まず、上記の通りフェライトの結晶粒を均一化させるには、熱間圧延において、圧延開始から調整冷却開始までの温度(鋼材表面温度)を800〜1100℃の範囲内とすると共に、これらの工程において鋼材表面の温度差を250℃以内と極力一定とすることが推奨される。好ましくは上記温度差を100℃以内とする。
また、規定の通りパーライトのラメラー間隔が比較的太く、かつ粒径のより小さいパーライトを得るには、調整冷却を行うことが推奨される。具体的に調整冷却は、冷却速度:0.1〜0.5℃/sの徐冷を875〜750℃の温度域(調整冷却開始温度)から開始する。
調整冷却開始温度は、中間圧延の後に水を媒体とする冷却設備を設置してコントロールする。875℃より高い温度域から上記徐冷を行うと、再結晶後の組織が粗大となるためパーライト粒を小さくすることができない。安定操業上、好ましくは850℃以下、より好ましくは825℃以下の温度域から徐冷を行うのがよい。一方、750℃を下回る低温度域から調整冷却を行うと、仕上圧延温度も低くなるため結晶粒が微細となり、伏熱によって鋼材内部と最表面で結晶粒の差が生じてしまい、切削時における仕上げ表面粗さが粗くなりやすい。安定操業上、好ましくは775℃以上、より好ましくは800℃以上の温度域から調整冷却を行うのがよい。該調整冷却は、徐冷設備(例えば特開平10−156417号公報に記載の設備)を用いて行うことができる。尚、上記調整冷却(徐冷)は、600℃くらいまで行なえばよい。
本発明の鋼材を得るための溶製、熱間圧延工程におけるその他の製造条件については、一般的な条件を採用すればよい。
本発明は、鋼材の形状等について限定するものでなく、線材、棒鋼等として得ることができる。また、鋼材の用途について限定するものでもなく、例えば機械構造用鋼部品として、ボルト、ねじ、ナット、ソケット、ボールジョイント、トーションバー、クラッチケース、ケージ、ハウジング、ハブ、カバー、ケース、受座金、タペット、サドル、バルグ、インナーケース、クラッチ、スリーブ、アウターレース、スプロケット、コアー、ステータ、アンビル、スパイダー、ロッカーアーム、ボディー、フランジ、ドラム、継手、コネクター、プーリー、金具、ヨーク、口金、バルブリフター、スパークプラグ、ブラケットナット、ブラケットボルト、ユニバーサルジョイント等の自動車部品の他、機械部品、電装部品等の製造に適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
表1に記載の成分組成からなる供試鋼No.A〜Lを用いて、表2の条件で熱間圧延を行い、その後調整冷却を行って直径15.5mmの線材(圧延材)を得た。尚、熱間圧延後の調整冷却は、特開平10−156417号公報に記載の徐冷設備を用いて、約10分間の徐冷を行い、その後空冷した。尚、後述する従来例以外は、球状化焼鈍を行なっていない。
得られた圧延材の金属組織を以下の要領で観察した。まずパーライト粒の平均粒径は、圧延材断面におけるD/4(D:鋼材断面直径)部位の顕微鏡写真を400倍の倍率で撮り、これを標準粒度図と比較するASTM規格の比較法をパーライトに適用し、パーライトの結晶粒度番号(G)を求め、下記式(1)[「ふぇらむ」vol.2(1997) No.10 p.29〜34]からパーライト粒の結晶粒径(dn)を求めた。合計3試料について同様の測定を行い、その平均をパーライト粒の平均粒径とした。
n=0.254/2(G-1)/2 …(1)
[式(1)中、dnは結晶粒径を示し、Gは結晶粒度番号を示す]
また、パーライトの平均ラメラー間隔は次の様にして求めた。即ち、圧延材断面におけるD/4(D:鋼材断面直径)の部位を観察できるよう試料を採取し、ピクラル腐食した後、電子顕微鏡にて倍率6000倍で観察・撮影し、図1に示す様に、パーライト粒におけるある一定長さ内に存在するラメラーの本数を測定してラメラー間隔を求めた。そして、この測定を3視野における合計6点で行い、ラメラー間隔の小さい値から並べた累積度数(横軸)と上記ラメラー間隔(縦軸)との関係を整理したグラフから、切片(最小のラメラー間隔)を求め、下記式(2)から平均ラメラー間隔を求めた。
平均ラメラー間隔=切片×1.65 …(2)
また圧延材断面において、
・D/2(D:鋼材断面直径)からD/8までの領域のフェライト結晶粒度番号と、
・最表面のフェライト結晶粒度番号を、
それぞれJISG0552に規定の方法で求めた。そして合計3試料について同様の測定を行いその平均値を求めた。
また、上記圧延に引き続き酸洗を施してスケールを除去した後、潤滑皮膜を形成し、冷間鍛造試験用として直径14.8mmまで伸線したもの(伸線歪:0.1)、及び切削試験用として直径9.3mmまで伸線したもの(伸線歪:1.0)を得て、下記の冷間鍛造試験及び切削試験を行った。
尚、従来例として、球状化焼鈍を含む工程で試料(従来材)を作製した。この場合、熱間圧延後に図2に示すヒートパタンで球状化焼鈍を行ってから、酸洗・潤滑皮膜の形成を行い、それから伸線を行った。そして上記と同様の冷間鍛造試験用試料と切削試験用試料をそれぞれ作製し、下記の冷間鍛造試験と切削試験を行った。その結果、冷間鍛造試験での割れの発生は「なし」であり、また切削試験において、むしれは発生せず、Rmaxは9.0μmであった。
〈冷間鍛造試験〉
上記直径14.8mmで高さ(H0)が直径×1.5倍の円柱状試料を作製して、図3に示す通り、圧縮率[(1−H/H0)×100(%)]が80%の圧縮(即ち、H=0.2×H0となるまで圧縮)を行い、割れの有無を確認した。
〈切削試験〉
下記条件で切削を行い、外観写真から表面状態(むしれの有無)を確認すると共に、表面粗さ(Rmax)を測定した。
[切削条件]
・切削様式:フォーミング(油性湿式切削)
・使用工具:超硬P10
・切削速度:80m/min
・切り込み量:1.0mm
・送り速度:0.03mm/rev
これらの結果を表2に併記する。
Figure 2006291237
Figure 2006291237
表1、2より次の様に考察できる(尚、下記No.は、表2中の実験No.を示す)。即ち、No.1〜6、9〜12、14〜16は、本発明で規定する要件を満たしているため、冷間鍛造性に優れると共に、切削性として仕上げ面粗さも従来材より十分に改善されたものが得られた。
これに対しNo.7は、成分組成が規定を満たす鋼材を使用しているが、製造工程において、熱間圧延時の圧延温度開始から調整冷却開始までの温度差が大きく、かつ冷却速度も速いため、最表層と内部でフェライト結晶粒径の差が生じ、かつパーライト粒が微細でかつラメラー間隔の狭いものが得られ、その結果、切削試験において仕上げ面粗さが粗くなった。またNo.8,13では、冷却速度が速いため、パーライト粒が微細でかつラメラー間隔の狭いものが得られ、その結果、切削試験において仕上げ面粗さが粗くなった。
参考までに、本実施例で得られた試験片の電子顕微鏡観察写真を示す。図4は、本発明例であるNo.6の電子顕微鏡観察写真(倍率:6000倍)であり、図5は、比較例であるNo.8の電子顕微鏡観察写真(倍率:6000倍)であるが、この図4と図5を比較すると、本発明例の金属組織におけるパーライトは、比較例よりもラメラー間隔が広くかつラメラーが短いことがわかる。
パーライトの平均ラメラー間隔の測定方法を示す説明図である。 従来行われていた球状化焼鈍の熱処理工程を示す概略図である。 実施例における冷間鍛造試験の様子を示した模式図である。 本発明例であるNo.6の電子顕微鏡観察写真である。 比較例であるNo.8の電子顕微鏡観察写真である。

Claims (3)

  1. C :0.10〜0.42%(質量%の意味、以下同じ)、
    Si:0.01〜0.5%、
    Mn:0.1〜1.6%、
    P :0.030%以下(0%を含まない)、
    S :0.030%未満(0%を含まない)、
    Cr:0.01〜1.0%、
    Sol.Al:0.01〜0.06%、
    N :0.0005〜0.0070%、
    (Cu+Ni+Mo) ≦0.2%、
    (Nb+V) ≦0.1%
    を満たし、残部鉄及び不可避不純物からなるものであって、
    金属組織がフェライトとパーライトの二相組織であり、
    パーライトの平均ラメラー間隔が220〜500nm、かつ
    パーライト粒の平均粒径が30μm以下
    であると共に、
    鋼材断面におけるD/2(D:鋼材断面直径)からD/8までの領域のフェライト結晶粒度番号と最表面のフェライト結晶粒度番号との差が1以下であることを特徴とする冷間鍛造性と切削性に優れた機械構造用鋼。
  2. 更に他の元素として、
    B :0.0010〜0.0055%、及び/又は
    Ti:0.004〜0.05%
    を含む請求項1に記載の機械構造用鋼。
  3. 更に他の元素として、
    Pb、Bi、Mg及びCaよりなる群から選択される1種以上を合計で0.1%以下(0%を含まない)含む請求項1または2に記載の機械構造用鋼。
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