JP2006291237A - 冷間鍛造性と切削性に優れた機械構造用鋼 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 規定の成分組成を満たすものであって、金属組織がフェライトとパーライトの二相組織であり、 パーライトの平均ラメラー間隔が220〜500nm、かつ パーライト粒の平均粒径が30μm以下であると共に、 鋼材断面におけるD/2(D:鋼材断面直径)からD/8までの領域のフェライト結晶粒度番号と最表面のフェライト結晶粒度番号との差が1以下であることを特徴とする冷間鍛造性と切削性に優れた機械構造用鋼。
【選択図】図1
Description
〈従来の製造工程〉
圧延 − 伸線 − 球状化焼鈍 − 伸線 − 冷間鍛造 − 切削
〈上記球状化焼鈍を省略した工程〉
圧延 − 伸線 − 冷間鍛造 − 切削
C :0.10〜0.42%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.01〜0.5%、
Mn:0.1〜1.6%、
P :0.030%以下(0%を含まない)、
S :0.030%未満(0%を含まない)、
Cr:0.01〜1.0%、
Sol.Al:0.01〜0.06%、
N :0.0005〜0.0070%、
(Cu+Ni+Mo) ≦0.2%、
(Nb+V) ≦0.1%
を満たし、残部鉄及び不可避不純物からなるものであって、
金属組織がフェライトとパーライトの二相組織であり、
パーライトの平均ラメラー間隔が220〜500nm、かつ
パーライト粒の平均粒径が30μm以下
であると共に、
鋼材断面における、
D/2(D:鋼材断面直径)からD/8までの領域のフェライト結晶粒度番号と
最表面のフェライト結晶粒度番号との差が1以下である
ところに特徴がある。
更に他の元素として、
(a)B :0.0010〜0.0055%、及び/又は
Ti:0.004〜0.05%、
(b)Pb、Bi、Mg及びCaよりなる群から選択される1種以上を、
合計で0.1%以下(0%を含まない)
含んでいてもよい。
・パーライトの平均ラメラー間隔:220〜500nm、かつ
・パーライト粒の平均粒径:30μm以下
を満たすようにすればよいことを見出した。以下、この様に規定した理由について詳述する。
・D/2からD/8までの領域のフェライト結晶粒度番号(Fgc,JIS G 0552で規定)と、
・最表面のフェライト結晶粒度番号(Fgc,JIS G 0552で規定)
との差が1以下であることを要件とした。上記差が0.5以下であることが好ましく、最も好ましくは上記D/2からD/8までの領域と最表面のFgcが同じであることである。後述の推奨される方法で製造を行なった場合、鋼板断面における上記D/2からD/8までの領域(鋼材内部)と最表面のフェライト結晶粒度番号はどちらも6〜11番の範囲となる。
Cは、鋼材の強度確保に必須の元素であり、少なくとも0.10%を必要とする。好ましくは0.12%以上、より好ましくは0.13%以上である。一方、C量が過剰であると、パーライトの面積率が高くなり変形能を確保できなくなる。また、切削時に生じる構成刃先を安定化させる作用を有するため、仕上げ面粗さを改善することが難しい。よってC量は0.42%以下とする。好ましくは0.40%以下、より好ましくは0.38%以下である。
Siを添加して脱酸を行う場合、鋼中Si量は0.01%以上となる。しかしSi量が過剰になると、固溶強化により変形抵抗が増大し、冷間鍛造における鍛造荷重が増大するだけでなく、変形能の低下の要因にもなるため、可能な限り低い方が望ましい。よって本発明では、Si量を0.5%以下とする。好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.3%以下である。
Mnは、脱酸、脱硫のために必要であるだけでなく、冷間加工後の熱処理時の焼入れ焼戻し軟化抵抗を向上させるのにも有効な元素である。この様な効果を発揮させるには、0.1%以上含有させる。好ましくは0.15%以上、より好ましくは0.2%以上である。一方、Mn量が過剰になると、熱間圧延後のフェライトおよびパーライトの成長速度が低下して、切削性を低下させるラメラー間隔の狭いパーライトが形成され易くなる。よって本発明ではMn量を1.6%以下とする。好ましくは1.4%以下、より好ましくは1.2%以下である。
Pは、凝固時にミクロ偏析し、熱間圧延時に粒界に偏析してバンド組織を生成し易く、パーライトブロックが粗大になる要因となる。よってP量は0.030%以下に抑える。好ましくは0.025%以下、より好ましくは0.02%以下に抑える。尚、Pの下限は、コストや生産性の観点から0.001%程度となる。
Sは、MnSといった硫化物系介在物を形成し、熱間圧延時に粒界に偏析して粒界を脆化させ、冷間加工時に割れが生じやすくなる。よって本発明ではSを極力低減するのがよく、0.030%未満に抑える。好ましくは0.025%以下、より好ましくは0.020%以下に抑える。尚、Sの下限は、コストや生産性の観点から0.001%程度となる。
Crは、熱間圧延時のフェライト+パーライト変態を促進させ、強度を必要以上に高めることなく炭化物を析出させるのに有効な元素である。この様な効果を発揮させるにはCr量を0.01%以上とするのがよい。好ましくは0.03%以上である。しかしCr量が過剰になると、必要以上に引張強度が上昇する他、焼入性が高くなり切削性を低下させるラメラー間隔の狭いパーライトが生じ易くなる。そこで本発明ではCr量を1.0%以下とした。好ましくは0.9%以下である。
sol.Alは、脱酸の効果があるだけでなく、Nと結合して窒化物(AlN:アルミナイトライド)を生成させ、冷間鍛造後の焼入れ時のオーステナイト結晶粒粗大化を防止するのに有効である。この様な効果を発揮させるべく本発明ではsol.Al量を0.01%以上とする。好ましくは0.02%以上である。しかしsol.Alが過剰でも前記効果は飽和するので0.06%以下に抑える。好ましくは0.05%以下である。
Nは、上記の通り、AlとAlNを形成して、冷間鍛造後の焼入れ時のオーステナイト結晶粒粗大化を防止するのに有用な元素である。また、後述する通りBを添加した場合にBNを形成し、冷間加工時の動的ひずみ時効を抑制するのに有用な元素でもある。よって本発明ではN量を0.0005%以上、好ましくは0.0020%以上とする。しかしN量が過剰になると、固溶Nが増加して固溶強化が促進され、必要以上に強度が高まり冷間鍛造性の低下を招く。よってN量を0.0070%以下に抑える。好ましくは0.0060%以下、より好ましくは0.0050%以下である。
〈(Nb+V)≦0.1%〉
これらの元素(Cu、Ni、Mo、Nb、V)は、本発明の鋼材に不可避不純物として含まれるものである。本発明では、該元素を抑制して鋼材の強度が必要以上に高まるのを抑え、優れた冷間鍛造性を確保する。また、これらの元素により鋼材の焼入性が高くなり、切削性を低下させるラメラー間隔の狭いパーライトが生じやすくなるのを抑制する必要もある。よって、Cu、Ni及びMoを合計で0.2%以下に抑える。好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.05%以下である。またNbとVも合計で0.1%以下に抑える。好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.02%以下である。
Bは、Nと結合してBNを形成することによって、冷間加工時の動的ひずみ時効を抑制すると共に、固溶Nによる固溶強化を抑制するのにも有効な元素である。また、AlNが必要以上に析出してフェライト結晶粒が著しく微細化することにより、強度が上昇するのを抑制する作用も有する。更には後述するTiと複合添加した場合に、NをTiNとして固定し、Bを固溶状態のまま焼入性元素として有効に作用させ、部品の最終工程における焼入れ焼戻しで強度を調整するのに有用な元素でもある。
Tiは、TiNを形成することによってBNと同様の効果を発揮する元素である。また上記の通り、Bと同時に添加すれば、Bの焼入性向上効果を存分に発揮させることができる。これらの効果を発揮させるには、Ti量を0.004%以上とするのがよい。より好ましくは0.010%以上である。しかしTi量が多過ぎると、過剰のTiがTiCを形成して析出強化作用が増大するので0.05%以下に抑えるのがよい。より好ましくは0.04%以下である。
合計で0.1%以下〉
Pb、Bi、Mg、Caは、鋼材の被削性を改善するのに有効な元素であり、必要によって単独でまたは2種以上を含有させてもよい。しかしながら、これらの元素の含有量が過剰になると、鋼材の延性や靭性が低下し、冷間鍛造性も阻害されるので、合計で0.1%以下に抑えるのがよい。
dn=0.254/2(G-1)/2 …(1)
[式(1)中、dnは結晶粒径を示し、Gは結晶粒度番号を示す]
平均ラメラー間隔=切片×1.65 …(2)
・D/2(D:鋼材断面直径)からD/8までの領域のフェライト結晶粒度番号と、
・最表面のフェライト結晶粒度番号を、
それぞれJISG0552に規定の方法で求めた。そして合計3試料について同様の測定を行いその平均値を求めた。
上記直径14.8mmで高さ(H0)が直径×1.5倍の円柱状試料を作製して、図3に示す通り、圧縮率[(1−H/H0)×100(%)]が80%の圧縮(即ち、H=0.2×H0となるまで圧縮)を行い、割れの有無を確認した。
下記条件で切削を行い、外観写真から表面状態(むしれの有無)を確認すると共に、表面粗さ(Rmax)を測定した。
[切削条件]
・切削様式:フォーミング(油性湿式切削)
・使用工具:超硬P10
・切削速度:80m/min
・切り込み量:1.0mm
・送り速度:0.03mm/rev
Claims (3)
- C :0.10〜0.42%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.01〜0.5%、
Mn:0.1〜1.6%、
P :0.030%以下(0%を含まない)、
S :0.030%未満(0%を含まない)、
Cr:0.01〜1.0%、
Sol.Al:0.01〜0.06%、
N :0.0005〜0.0070%、
(Cu+Ni+Mo) ≦0.2%、
(Nb+V) ≦0.1%
を満たし、残部鉄及び不可避不純物からなるものであって、
金属組織がフェライトとパーライトの二相組織であり、
パーライトの平均ラメラー間隔が220〜500nm、かつ
パーライト粒の平均粒径が30μm以下
であると共に、
鋼材断面におけるD/2(D:鋼材断面直径)からD/8までの領域のフェライト結晶粒度番号と最表面のフェライト結晶粒度番号との差が1以下であることを特徴とする冷間鍛造性と切削性に優れた機械構造用鋼。 - 更に他の元素として、
B :0.0010〜0.0055%、及び/又は
Ti:0.004〜0.05%
を含む請求項1に記載の機械構造用鋼。 - 更に他の元素として、
Pb、Bi、Mg及びCaよりなる群から選択される1種以上を合計で0.1%以下(0%を含まない)含む請求項1または2に記載の機械構造用鋼。
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