JP2006290699A - 火薬組成物、及びそれを用いたガス発生剤 - Google Patents

火薬組成物、及びそれを用いたガス発生剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 燃焼性能を改良し、燃焼速度が速く、圧力指数の低い火薬組成物、及びそれを用いたガス発生剤を提供する。
【解決手段】 本発明の火薬組成物は、酸化剤と燃料成分とを主成分とする火薬組成物において、燃料成分としてマグネシウム銅合金を含むことを特徴とし、またこの火薬組成物を用いてなるガス発生剤である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃焼性能を改良した火薬組成物、及びそれを用いたガス発生剤に関する。
近年、ガス化率が高く、燃焼性能に優れ、しかも経済性に優れた火薬組成物の要求が高まっており、各方面で研究開発がなされている。
燃焼性能としては、例えば燃焼速度が速く、圧力指数の低い火薬組成物が、ロケット用の固体推進薬に、またエアバックやシートベルトプリテンショナー等の自動車乗員保護用のガス発生装置などの用途において嘱望されている。
ここで、圧力指数とは下記の式に示すヴィエイユ(Vieille)の法則に基づくもので、下記式中のαで示される。したがって、αの値が大きいと、わずかな圧力の変化で燃焼速度が大きく変わるため、αの値は小さいことが望まれる。
r=βPα
ここで、rは燃焼速度、Pは圧力、βは定数を表す。
一方、前記の自動車乗員保護用のガス発生装置やロケット燃料用の固体推進薬の分野においては、数多くの酸化剤の中で、例えば酸化剤に過塩素酸アンモニウムだけを使用すると、硝酸アンモニウムを使用した火薬に比べて燃焼速度は速いものの、その場合、発生ガスに塩化水素が大量に発生するため、乗員保護用のガス発生剤としては不利である。これに対し、硝酸アンモニウムは、完全燃焼により一酸化炭素や燃焼残渣を発生せず、火薬組成物並びにガス発生剤としての使用が期待され、低コストであることとも相俟って大きな注目を集めている。
しかし、この硝酸アンモニウムは、燃焼速度が比較的遅く、燃焼速度の圧力依存性が高いため、そのままではこれらの用途に用いることは困難であった。例えば圧力が高いと耐圧装置が必要になり、そのために装置を小型化・軽量化することができなくなるからである。
そこで、これらの燃焼性能を改善するために、各種金属や金属の酸化物を組成物中に添加することが提案され、例えば銅や酸化銅などを添加することが知られている。しかしながら、これらの燃料(或いは燃焼触媒、燃焼促進剤)を用いると、圧力指数は低下するものの、燃焼速度まで大きく低下するという問題があった。
また、銅、アルミニウム、マグネシウムなどの金属やこれらの合金からなり、径が1mm以下で0.1μm以上の素線である繊維状物質を配した線状ガス発生剤も提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、この繊維状物質ではガス発生剤組成物の均一性の観点から難があり、また成形性が低下するという問題があった。さらに、この特許文献1には、具体的な実施例として銅線を使用して製造した例のみが記載されているに過ぎず、この発明の目的として記載されているところの低い圧力下で安定に燃焼させるということを実証する効果が示されていないし、さらに合金にいたっては使用した具体例について何も記載されていなかった。
また、固体ロケット推進薬組成物として、無機硝酸塩ベースの塩類を酸化剤成分とし、マグネシウム/アルミニウム合金を燃料成分として使用した熱安定性を改良した塩素非含有タイプのロケット推進薬も提案されている(例えば特許文献2参照)。
しかしながら、このマグネシウム/アルミニウム合金(マグナリウム)を使用しても、酸化剤が塩素非含有タイプの場合、低圧での燃焼速度が遅く、さらに圧力指数も高いという問題があった。また、この特許文献2の中でマグネシウムに関し「マグネシウム粉末の使用は、静電エネルギーに対する発火感度が高いことから安全性の上で問題がある」ことが指摘されている。
特開平5−221770号公報(第2頁) 特開平5−270963号公報(第3頁)
本発明は、前述の従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、燃料成分として特定の合金を用いることによって、燃焼速度を高め、かつ圧力指数を下げた火薬組成物を提供することにあり、また別の目的はその火薬組成物を用いた燃焼性能に優れたガス発生剤を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明における第1の発明は、酸化剤と燃料成分とを主成分とする火薬組成物において、燃料成分としてマグネシウム銅合金を含有することを特徴とする火薬組成物を提案するものである。
本発明における第2の発明の火薬組成物は、前記第1の発明において、酸化剤がアンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属の硝酸塩、塩素酸塩または過塩素酸塩であることを特徴とするものである。
本発明における第3の発明の火薬組成物は、前記第2の発明において、酸化剤が硝酸アンモニウムであることを特徴とするものである。
本発明における第4の発明の火薬組成物は、前記第1〜3の何れか一つの発明において、マグネシウム銅合金の大きさ(通常は粒径)が0.1〜500μmであることを特徴とするものである。
本発明における第5の発明の火薬組成物は、前記第1〜4の発明において、マグネシウム銅合金の含有量が0.5〜55質量%であることを特徴とするものである。
本発明における第6の発明は、前記第1〜5の何れか一つの発明で示される火薬組成物を用いてなるガス発生剤を提案するものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の第1の発明の火薬組成物は、酸化剤と燃料成分とを主成分とする火薬組成物において、燃料成分としてマグネシウム銅合金を含有することにより、火薬組成物の燃焼速度を向上させ、かつ圧力指数を低下させることができ、その結果、固体発射薬、固体推進薬、ガス発生剤、火工組成物など各種の用途に適用でき、例えばロケット用の固体推進薬、またエアバック等の自動車乗員保護用のガス発生装置などとしても好適に利用することができる。また、前記従来技術のように、マグネシウム粉末を用いていないので静電気に対し安全である。
本発明の第2の発明の火薬組成物では、酸化剤がアンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属の硝酸塩、又は塩素酸塩、又は過塩素酸塩であることによって、酸化力が強まり、前記の効果に加え、低圧での燃焼性に優れ、かつ燃焼速度をさらに向上させることができる。
本発明の第3の発明の火薬組成物では、酸化剤が硝酸アンモニウムであることにより、前記の効果に加えて硝酸アンモニウムは燃焼残渣を生成しないため、火薬組成物の単位重量あたりのガス発生量を増やすことができる。そのため、各種の用途において、火薬組成物を収容する装置を小型化・軽量化することができる。
本発明の第4の発明の火薬組成物は、マグネシウム銅合金の大きさ(通常は粒径)が0.1〜500μmであるため、火薬組成物中での分散性が良好となり、また成形性を向上させることができる。
本発明の第5の発明の火薬組成物では、マグネシウム銅合金の含有量が0.5〜55質量%であることにより、前記の効果に加え、発生ガス量の減少を抑えることができる。
本発明の第6の発明のガス発生剤は、前記第1〜第5の何れか一つの発明の火薬組成物を用いてなるので、このガス発生剤は、前記第1〜第5の何れか一つの発明の効果を発揮することができる。また酸化剤を適切に選択することにより、一酸化炭素や窒素酸化物等の有害ガスを含まないガスが得られる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の火薬組成物は、酸化剤と燃料成分とを主成分とする火薬組成物において、燃料成分としてマグネシウム銅合金を含有することを特徴とする。本発明における特徴的な成分であるマグネシウム銅合金は、火薬組成物を燃焼させる際にその燃焼を促進させると同時に、低圧での燃焼性能を高め、かつ燃焼速度の圧力依存性を低減させる作用をなす。したがって、本発明において、マグネシウム銅合金は燃料として作用するばかりでなく、燃焼触媒としての作用や燃焼促進剤としての作用をも有する。
このマグネシウム銅合金の代わりに、銅粉末、マグネシウム粉末、或いは銅粉末及びマグネシウム粉末の混合粉末を用いても、同様の作用は得られず、本発明の目的を達成することはできない。さらに、特にマグネシウム単独の粉末を扱うことは静電エネルギーに対する発火感度が高いため、安全上問題がある。
本発明に用いるマグネシウム銅合金は、合金中のマグネシウムの割合が重量基準で20〜70%であることが好ましく、したがって合金中の銅の割合は30〜80%であることが好ましい。さらに好ましくはマグネシウムの割合が25〜55%、銅の割合が45〜75%である。マグネシウムが70%より多く銅の割合が30%より少ないと、感度が高くなる傾向にあり、逆にマグネシウムの割合が20%より少なく銅の割合が80%より多いと燃焼速度が遅くなる傾向にある。
尚、本発明に用いるマグネシウム銅合金としてはマグネシウムと銅成分以外に、鉄、ニッケル、亜鉛、アルミニウムなど他の金属成分を合金中に10質量%以下含んでいてもよい。
このマグネシウム銅合金の形状は、火薬組成物の均一性、成形性等の観点から通常は球状又は粒状もしくは粉状が好ましく、その粒子径は小さいほど火薬組成物としての均一性が向上すると同時に、他の成分との接触面積が大きくなることにより、燃焼性能(燃焼速度や圧力指数)、低圧での燃焼性の向上を図ることができる。しかし、粒子径があまりに小さ過ぎると製造時の取扱性の観点から好ましくない。また繊維状では均一に分散させることが困難であり、成形性も低下する。以上の観点より、マグネシウム銅合金は、寸法態様として0.1〜500μm程度、好ましくは1〜300μmであり、形状態様としては球状又は粒状もしくは粉状であることが望ましい。
このマグネシウム銅合金としては、例えば(株)高純度化学研究所製の市販品を入手し、公知の手段、例えば乳鉢等を用いてすりつぶし、所定の篩を通し、大きさ(粒径)を調整したものを用いるようにしてもよい。
このようなマグネシウム銅合金の火薬組成物中に占める割合は、多すぎると発生ガス量が低下し、少なすぎると本発明の効果である燃焼速度や低圧での燃焼性が低下する傾向にあり、圧力指数も高くなる傾向にある。したがってマグネシウム銅合金の火薬組成物中での含有量は、酸化剤とマグネシウム銅合金のみで構成される2成分系においては好ましくは20〜55質量%、さらに好ましくは25〜50質量%である。酸化剤とマグネシウム銅合金の他に1種以上の第3成分を加える場合、マグネシウム銅合金の含有量は好ましくは0.5〜55質量%、更に好ましくは1〜50質量%である。
次に、火薬組成物の主成分の他方を構成する酸化剤について説明する。
本発明に用いる酸化剤としては、従来から公知の酸化剤のいずれでも使用できるが、好ましくは固体推進薬や自動車乗員保護用のガス発生剤等に用いられている公知の酸化剤を使用する。
より好適な酸化剤としては、例えばアンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属の硝酸塩、又は塩素酸塩、又は過塩素酸塩が挙げられ、これらの酸化剤を一種又は二種以上組み合わせて使用してもよい。また同じ酸化剤でも粒径の異なるものを組み合わせて使用することによって燃焼速度を調節することもできる。
具体的な硝酸塩としては、例えば硝酸アンモニウム、相安定化硝酸アンモニウム、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸鉄、硝酸銅、塩基性硝酸銅、硝酸コバルト、硝酸ニッケルなどが挙げられる。
具体的な塩素酸塩としては、例えば塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸バリウム、塩素酸カルシウム、塩素酸アンモニウムなどが挙げられる。
具体的な過塩素酸塩としては、例えば過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸カルシウムなどが挙げられる。
尚、過塩素酸塩を用いた場合には、燃焼時に塩化水素が発生するので、場合によっては硝酸ナトリウムのような塩素掃去剤が必要になる。すなわち塩化水素の発生を抑制するために、前記の硝酸塩と過塩素酸塩とを併用する場合もある。
特に本発明に用いる酸化剤としては、発生ガス量(ガス化率)の観点から、前記の硝酸アンモニウム又は相安定化硝酸アンモニウムを用いることが好ましい。ここで相安定化硝酸アンモニウムとは、硝酸アンモニウムの相転移による体積変化を抑制するために、公知の方法、例えば硝酸アンモニウムにカリウム塩等を添加する方法で相安定化処理が施された硝酸アンモニウムをいう。
このような酸化剤の火薬組成物中に占める割合は40〜90質量%が好ましい。酸化剤の割合が40質量%より少ないと、酸素バランスが大きくマイナスとなるため不完全燃焼を起こし易く、一酸化炭素等の有害なガスを発生する恐れがある。また、酸化剤の割合が90質量%を超えると、酸素バランスが大きくプラスになるため窒素酸化物などの有害なガスを発生する恐れがある。酸化剤と燃料成分とが完全に燃焼するような化学量論量、即ち酸素バランスが0付近となるような割合が望ましい。
本発明の火薬組成物には、所定の性能を得るために、前記の酸化剤及び燃料成分(マグネシウム銅合金)以外に、用途や要求性能などに応じて、(a)硝酸グアニジン、ニトログアニジン、ヘキサメチレンテトラミン、トリアミノグアニジンナイトレート、アミノテトラゾール等のエネルギー性物質、(b)末端水酸基ポリブタジエン、ポリエステルベース又はポリエーテルベースのポリマー、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース又はその塩等の高分子結合剤(バインダー)、(c)粉末状微結晶炭素等のその他の燃料、(d)ステアリン酸カルシウム等の成形用助剤、(e)ジフェニルウレア誘導体、ジフェニルアミン誘導体、ジフェニルウレタン誘導体等の安定剤、(f)フッ化リチウム等の燃焼速度調整剤、(g)トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等の硬化剤、(h)水酸化マグネシウム等の冷却剤、(i)炭酸ストロンチウム等の色火剤、(j)酸化鉄等の燃焼触媒、(k)ジブチルフタレート、クエン酸アセチルトリブチル等の可塑剤、(l)シリカ、アルミナ等のスラグ形成剤、(m)硫酸カリウム等の消炎剤など、火薬組成物として公知のものを一種以上加えてもよい。
これらの成分の添加量は、要求される性能や酸素バランス等を勘案して適宜決めることができるが、通常60質量%以下である。
次に本発明の火薬組成物の製造方法について説明する。
本発明の火薬組成物は、原料固形成分については公知の手段で所定粒径に調整した後、各成分を均一に混合し、この混合物をプレス成形、押出し成形、注型式など火薬の製造方法に準じて成形すればよく、公知のいずれの方法を用いるようにしてもよい。
また成形体の形状も、用途に応じて適宜選択され、例えばガス発生剤用であれば、無孔円柱状、有孔円柱状、有孔六角状、有孔異形状、ペレット状等であり、要求性能に応じて適宜に選択することができる。
以上説明したように本発明の火薬組成物は、燃焼速度が速く、低圧での燃焼性に優れ、圧力指数が低いことから固体発射薬、固体推進薬、ガス発生剤、火工組成物として好ましいものである。特に酸化剤として硝酸アンモニウム(または相安定化硝酸アンモニウム)を使用する場合には、そのガス化率が高いこと、すなわち発生ガス量が多いことからガス発生剤としての用途にも好適に使用できる。
以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。なお例中の%表示は質量%を示す。
〔実施例1〕
酸化剤としての硝酸アンモニウム68.0%に、燃料成分としてのマグネシウム銅合金(マグネシウム43.4%:銅56.6%の合金)32.0%を加え、十分に均一になるように混合し、その混合物を150μmの篩に通した。得られた混合物3gをプレス機にてプレスし、火薬組成物となる柱状のストランド試料を作製した。尚、ストランド試料の燃焼がその端面に垂直に進行するように側面を燃焼抑制剤で被覆した。
この試料を用いて後述する燃焼試験を行った。
その結果、圧力19.6MPa、7MPa、1MPaのときの燃焼速度は、それぞれ15.0mm/sec、10.8mm/sec、4.4mm/secで速かった。また、圧力指数は0.31で小さい値であった。このときの燃焼室圧力−燃焼速度曲線を図1に示した。また、この曲線の傾きを求め、圧力指数とした。
尚、上記実施例1の火薬組成物に用いた硝酸アンモニウムは、住友化学社製の粉状硝安を粉砕機にて平均粒径20μmに粉砕し、使用前に150μmのメッシュの篩を通したものを使用した。またマグネシウム銅合金は、(株)高純度化学研究所製の粒径約425μmの市販品を乳鉢ですりつぶし、150μmのメッシュの篩を通したものを使用した。
各配合比率は、後述する比較例2、比較例3、比較例7を除いて、全て酸素バランスが0となるように決定した。
《燃焼試験》
燃焼速度の測定は、チムニ型ストランド燃焼器を用いて行った。すなわち、所定の圧力(19.6MPa及び7MPa、場合により1MPa)の窒素雰囲気下に前記のストランド試料をセットし、その一端をニクロム線により加熱着火し、ヒューズ切断法により線燃焼速度を算出した。
〔実施例2〕
酸化剤として前記実施例1と同じ硝酸アンモニウム78.4%、燃料成分として前記実施例1と同じマグネシウム銅合金10%、さらにカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC・Na)11.6%を用いて前記実施例1に準じて処理し、ストランド試料を作製した。
この試料を用いて前記実施例1に準じて燃焼試験を行った。
その結果、圧力19.6MPa、7MPaのときの燃焼速度は、それぞれ10.5mm/sec、5.9mm/secであった。また、圧力指数は0.54で小さい値であった。
〔実施例3〕
酸化剤として過塩素酸アンモニウム70.0%(平均粒径10μm)、燃料成分として前記実施例1と同じマグネシウム銅合金10%、さらにCMC・Na20.0%を用いて前記実施例1に準じて処理し、ストランド試料を作製した。
この試料を用いて前記実施例1に準じて燃焼試験を行った。
その結果、圧力19.6MPa、7MPaのときの燃焼速度は、それぞれ33.8mm/sec、20.8mm/secで速かった。また、圧力指数は0.46で小さい値であった。
〔実施例4〕
成分種類としては前記実施例2と同様であって、硝酸アンモニウム80.8%、マグネシウム銅合金5.0%、CMC・Na14.2%を用いて前記実施例1に準じて処理し、ストランド試料を作製した。
この試料を用いて前記実施例1に準じて燃焼試験を行った。
その結果、圧力19.6MPa、7MPa、1MPaのときの燃焼速度は、それぞれ9.2mm/sec、4.7mm/sec、0.8mm/secで速かった。また、圧力指数は0.64で小さい値であった。
〔実施例5〕
成分種類としては前記実施例2と同様であって、硝酸アンモニウム81.6%、マグネシウム銅合金3.0%、CMC・Na15.4%を用いて前記実施例1に準じて処理し、ストランド試料を作製した。
この試料を用いて前記実施例1に準じて燃焼試験を行った。
その結果、圧力19.6MPa、7MPaのときの燃焼速度は、それぞれ8.1mm/sec、3.9mm/secで速かった。また、圧力指数は0.69で小さい値であった。
〔比較例1〕
酸化剤として前記実施例1と同じ硝酸アンモニウム83.0%を用いたが、燃料成分はCMC・Na17.0%のみを用いて前記実施例1に準じて処理し、ストランド試料を作製した。
この試料を用いて前記実施例1に準じて燃焼試験を行った。
圧力19.6MPa、7MPaのときの燃焼速度は、それぞれ10.4mm/sec、4.1mm/secであった。また、圧力指数は0.90と高いものであった。また、圧力1MPaでは着火はしたものの、燃焼途中で消えた(立ち消え)。このときの燃焼室圧力−燃焼速度曲線を図1に示した。
〔比較例2〕
酸化剤として前記実施例1と同じ硝酸アンモニウム85.0%、燃料成分として銅粉末(平均粒径45μm)15.0%を用いて前記実施例1に準じて処理し、ストランド試料を作製した。
この試料を用いて前記実施例1に準じて燃焼試験を行った。
圧力19.6MPa、7MPaのときの燃焼速度は、それぞれ6.6mm/sec、3.5mm/secで遅かった。圧力指数は0.62であった。
〔比較例3〕
酸化剤として前記実施例1と同じ硝酸アンモニウム90%、燃料成分としてデバルダ合金(銅50%、アルミニウム45%及び亜鉛5%の合金、平均粒径100μm)10.0%を用いて前記実施例1に準じて処理し、ストランド試料を作製した。
この試料を用いて前記実施例1に準じて燃焼試験を行った。
しかし、圧力19.6MPa、7MPaのとき、双方とも燃焼途中に立ち消えとなった。したがって燃焼時間を求めることができないので燃焼速度や圧力指数を求めることができなかった。
〔比較例4〕
酸化剤として前記実施例1と同じ硝酸アンモニウム80.0%、燃料成分として銅亜鉛合金5.0%(ナノパウダー)、さらにCMC・Na15.0%を用いて前記実施例1に準じて処理し、ストランド試料を作製した。
この試料を用いて前記実施例1に準じて燃焼試験を行った。
圧力19.6MPa、7MPaのときの燃焼速度は、それぞれ8.7mm/sec、3.6mm/secであった。また、圧力指数は0.83と高い値であった。
〔比較例5〕
酸化剤として前記実施例3で用いた過塩素酸アンモニウム74.2%を用いたが、燃料成分はCMC・Na25.8%のみを用いて前記実施例1に準じて処理し、ストランド試料を作製した。
この試料を用いて前記実施例1に準じて燃焼試験を行った。
その結果、圧力19.6MPa、7MPaのときの燃焼速度はそれぞれ17.6mm/sec、8.1mm/secであった。また、圧力指数は0.75と高い値であった。
〔比較例6〕
酸化剤として前記実施例3で用いた過塩素酸アンモニウム76.2%、燃料成分としてマグナリウム(マグネシウムとアルミニウムの合金)10.0%、さらにCMC・Na13.8%を用いて前記実施例1に準じて処理し、ストランド試料を作製した。
この試料を用いて前記実施例1に準じて燃焼試験を行った。
その結果、圧力19.6MPa、7MPaのときの燃焼速度は、それぞれ21.5mm/sec、11.5mm/secであった。また、圧力指数は0.59であった。
〔比較例7〕
酸化剤として前記実施例1と同じ硝酸アンモニウム78.4%、燃料成分としてマグナリウム10.0%、さらにCMC・Na11.6%を用いて前記実施例1に準じて処理し、ストランド試料を作製した。
この試料を用いて前記実施例1に準じて燃焼試験を行った。
圧力19.6MPa、7MPaのときの燃焼速度は、それぞれ9.0mm/sec、4.1mm/secであった。また、圧力指数は0.75と高い値であった。
〔比較例8〕
酸化剤として前記実施例1と同じ硝酸アンモニウム73.0%、燃料成分としてアルミニウム15%(平均粒径45μm)、さらにCMC・Na12.0%を用いて前記実施例1に準じて処理し、ストランド試料を作製した。
この試料を用いて前記実施例1に準じて燃焼試験を行った。
圧力19.6MPa、7MPaのときの燃焼速度は、それぞれ5.7mm/sec、2.7mm/secで遅かった。また、圧力指数は0.84と高い値であった。
以上の各組成と燃焼性能試験の結果をまとめ、酸化剤として硝酸アンモニウムを用いた実施例1,2,4,5、比較例1〜4,7,8については表1に、酸化剤として過塩素酸アンモニウムを用いた実施例3、比較例5,6については表2に示した。
〔結果〕
Figure 2006290699
Figure 2006290699
以上の結果、表1からも明らかなように燃料成分としてマグネシウム銅合金を用いた実施例1の火薬組成物は、燃料としてマグネシウム銅合金を含まずカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC・Na)のみを用いた組成物(比較例1)と比べ、特に低圧での燃焼に優れ、かつ燃焼速度が速く、圧力指数も低いことが確認された。また、燃料成分としてマグネシウム銅合金の代わりに銅粉を用いた組成物(比較例2)、銅・アルミニウム・亜鉛の合金(デバルダ合金)を用いた組成物(比較例3)、銅・亜鉛合金を用いた組成物(比較例4)、マグナリウムを用いた組成物(比較例7)、アルミニウムを用いた組成物(比較例8)に比べても燃焼速度が速く、圧力指数も低いことが明らかであった。
燃料成分としてマグネシウム銅合金とCMC・Naとを用いた実施例2の火薬組成物についても、各比較例に比べて燃焼速度が速く、圧力指数も低いことが明らかであった。
また、成分種類が同じで、マグネシウム銅合金の割合を減らした実施例4の火薬組成物も、同量の銅亜鉛合金を燃料成分として用いたもの(比較例4)と比べて燃焼速度が速く圧力指数が低いことが明らかであった。
さらに、その割合を減らした実施例5の火薬組成物も、安定な燃焼性能と低い圧力指数が得られることが確認された。
また、表2から明らかなように、酸化剤が過塩素酸アンモニウムの場合であっても、燃料成分としてマグネシウム銅合金を用いた実施例3の火薬組成物は、燃料としてCMC・Naのみを用いた組成物(比較例5)、CMC・Naとマグナリウムを用いた組成物(比較例6)と比べて燃焼速度が速く、圧力指数も低いことが確認された。
この実施例3の火薬組成物は、酸化剤に過塩素酸アンモニウムだけを使用し、発生ガスに塩化水素が大量に含まれるため、乗員保護用のガス発生剤としては不利であるものの、他の実施例と比べても明らかに燃焼速度が速く、高燃焼速度を要求する推進薬などに対応できる。
〔実施例6〕
前記実施例4の組成における燃焼計算を行った結果、燃焼温度は2260K、1g当りの発生ガス量は0.038molであり、一酸化炭素は0ppm、窒素酸化物は10ppmであった。
〔比較例9〕
公知のエアバッグ用ガス発生剤組成物として、硝酸アンモニウム(AN)90%と過塩素酸カリウム(KClO4)10%からなる相安定化硝酸アンモニウム70%、ニトログアニジン30%を配合した組成物の燃焼計算を行った。
燃焼温度が2151K、1g当りの発生ガス量は0.040molであり、一酸化炭素は0ppm、窒素酸化物は10ppmであった。
実施例6と比較例9との比較より、本発明の火薬組成物である実施例6(実施例4)の組成物は、公知のガス発生剤である比較例9の組成物と比べて、発生ガスのクリーンさ、ガス量、燃焼温度ともに遜色のないことからガス発生剤としても好適である。
以上の結果からも明らかなように、本発明の火薬組成物は燃焼速度が速く、低圧での燃焼性に優れ、圧力指数も低いという特徴を有するものである。
また、本発明の火薬組成物は公知のガス発生剤と比べて発生ガスのクリーンさ、発生ガス量、燃焼温度ともに遜色のないことからガス発生剤としても好適である。
ガス化率が高く、燃焼性能に優れ、しかも経済性に優れた火薬組成物として利用でき、例えばエアバックやシートベルトプリテンショナー等の自動車乗員保護用のガス発生装置などの用途に適用できる。
実施例における実施例1と比較例1の燃焼室圧力−燃焼速度曲線を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 酸化剤と燃料成分とを主成分とする火薬組成物において、燃料成分としてマグネシウム銅合金を含有することを特徴とする火薬組成物。
  2. 酸化剤がアンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属の硝酸塩、又は塩素酸塩、又は過塩素酸塩である請求項1に記載の火薬組成物。
  3. 酸化剤が硝酸アンモニウムである請求項2に記載の火薬組成物。
  4. マグネシウム銅合金の大きさが0.1〜500μmである請求項1〜3の何れか一項に記載の火薬組成物。
  5. マグネシウム銅合金の含有量が0.5〜55質量%である請求項1〜4の何れか一項に記載の火薬組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の火薬組成物を用いてなることを特徴とするガス発生剤。
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