JP2006289929A - 多色感熱記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温発色色調に高温発色色調の混色がほとんどない鮮明な発色色調が得られ
、記録部の耐薬品性に優れ、高感度かつ耐熱性(地肌かぶり)に優れた多色感熱記録体を提供することにある。
【解決手段】 支持体上に、黒発色する染料前駆体と顕色剤とを含有する第1感熱発色
層を設け、更に第1感熱発色層上に有機高分子と黒発色する染料前駆体とからなる複合粒
子、複合粒子とは異なる色調に発色する染料前駆体からなる固体分散微粒子及び顕色剤を
含有する第2感熱発色層を設け、該第1感熱発色層中にジフェニルスルホン架橋型化合物を含有することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、サーマルヘッドからの加熱印加条件の違いにより、互いに異なる多色に発色する多色感熱記録体に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は感熱記録体に求められる記録部の耐薬品性に優れ、また低温発色色調に高温発色色調の混色がほとんどない鮮明な発色色調が得られ、即ち色分離性に優れ高感度で、耐熱性(地肌カブリ)に優れた多色感熱記録体に関するものである。
従来、染料前駆体と、加熱下に接触してこれを呈色させる顕色剤との発色反応を利用し、加熱により両発色物質を溶融接触させ、発色画像を得るようにした感熱記録体が広く知られている。このような感熱記録体は、比較的安価であり、記録機器がコンパクトで、且つその保守も容易であるため、ファクシミリ、ワードプロセッサー、各種計算機、およびその他の用途の記録媒体として幅広い分野において使用されている。特に最近、高速印字での2色分離性が求められてきている。
感熱記録体の用途の拡大に伴なって要求される品質も多様化しており、例えば高感度化、画像安定化、多色記録化等の要望を挙げることができる。特に多色記録手段には、強調したい文字や図形を他の部分と異なる色調によって顕著に明確に表示できるなどの利点があり、その実用化要望が高まっている。
多色記録系として、これまでに加熱温度の差、または熱エネルギーの差を利用する試みがなされ、種々の多色感熱記録体が提案されている。一般に、多色感熱記録材料は、支持体上に異なる色調に発色する高温発色層と低温発色層を順次積層して構成されたものであって、これらを大別すると消色型(特許文献1、2、3を参照)と加色型(特許文献4、5、6、7を参照)の2種類、及びマイクロカプセルを用いた方法(特許文献8、9、10、11、12を参照)が開示されている。
また、多色記録系の高温発色層の顕色剤としてジフェニルスルホン架橋型化合物を使用する方法も開示されている(特許文献13を参照)。
一方、有機高分子と染料前駆体とからなる複合粒子を使用する方法(特許文献14、15、を参照)も開示されている。
特開昭50−17865号公報 特開昭57−14320号公報 特開平2−80287号公報 特公昭49−27708号公報 特公昭51−19989号公報 特開昭51−146239号公報 特開昭56−99697号公報 特開昭57−12695号公報 特公昭49−70号公報 特開昭59−214691号公報 特公平4−4960号公報 特開平4−101885号公報 特開2001−162951号公報 特開平10−95173号公報 特開平09−142025号公報
消色型多色感熱記録体は、低温発色層に対し充分な消色効果を得るために多量の消色剤を添加する必要がある。多量に添加された消色剤の作用により記録発色画像が長期保存中に退色したり、消色剤を溶融させるための熱量が余分に必要となるため、サーマルヘッドに過度の負担がかかるなどの問題があり、画像記録の信頼性や記録感度などの点に関し、必ずしも満足の得られるものではなかった。
加色型多色感熱記録体は異なる色に発色する2層の発色層を積層し、異なる熱量を与えることにより識別可能な2色を得る方法である。低温では上層の発色層が発色し、高温では上下両発色層が発色して、両者の色の混合色調の画像が得られるため、下層発色層を黒色発色系とする場合に適している。加色型記録体においては消色剤を用いないため、記録像の長期保存性に優れ、かつ比較的安価に製造できるという利点があり、また消色剤を溶融するための余分な熱を必要としないので消色型に比べて、低エネルギーで高温発色層を発色させることができるという長所がある。しかしながら加色型2色感熱記録体は、低温発色時に熱量を与え過ぎると高温発色層も一部発色するために混色が起こり、低温発色画像が鮮明になりにくいといった問題があった。また、同一発色層内に発色色調が異なり、かつ平均粒径の異なる2種類以上の染料前駆体を混在させる方法も記載されているが、やはり低温発色時に、混色が避けられないという問題があった。
また、マイクロカプセルを感熱記録体に応用することは古くから知られており常温で液体状態の溶剤をカプセル化することや発色成分を芯物質としてマイクロカプセル化し、それぞれ互いに異なる色調に発色する発色成分を溶媒に溶解し、それぞれをガラス転移温度の異なる2種以上のマイクロカプセルに含有させたり、発色成分の少なくとも1種類をマイクロカプセルに含有させて多色化することも開示されている。しかしながら異なる色調に発色する2種以上の染料前駆体を別々にマイクロカプセル化すると、両染料前駆体のそれぞれの発色感度が低下し、感度区分けが困難となり、このため発色色調の混色が起こりやすいという問題があった。またマイクロカプセルに染料前駆体の油性液体溶液が内包されていると、圧力又は摩擦こすれによるカプセルの破壊により、地発色が起こりやすいという問題があった。
また、高温発色層の顕色剤としてジフェニルスルホン架橋型化合物を使用する場合、記録感度が不足するという問題があった。
更に、有機高分子と染料前駆体とからなる複合粒子を使用する方法は耐薬品性が良好であるが一方で感度が出難く、また染料前駆体がアモルファスの状態で存在するため、通常の固体分散染料前駆体より耐光性試験での記録部の褪色や地肌カブリが大きいこと等の課題があった。
本発明の目的は、支持体上に異なる色調に発色する2種類以上の染料前駆体とこの染料前駆体を発色させる顕色剤とを含有する感熱発色層を設けた多色感熱記録体において、記録部の耐薬品性に優れ、且つ低温発色色調に高温発色色調の混色がほとんどない鮮明な発色も得られ、高感度で耐熱性(地肌カブリ)の優れた多色感熱記録体を提供することにある。
本発明に係る多色感熱記録体は、上記の課題を解決するために、支持体上に、黒発色する染料前駆体と顕色剤とを含有する第1感熱発色層を設け、更に第1感熱発色層上に有機高分子と黒発色する染料前駆体とからなる複合粒子、複合粒子とは異なる色調に発色する染料前駆体からなる固体分散微粒子及び顕色剤を含有する第2感熱発色層を有することを特徴とし、該第1感熱発色層中に、下記一般式(1)で示されるジフェニルスルホン架橋型化合物を含有することを特徴とする。
Figure 2006289929
第1感熱発色層の顕色剤は、高温保存時の耐熱性(地肌カブリ)を改善するという理由でN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアであることが好ましい。
また、有機高分子の中では特に記録部の保存性が良好との理由で、ポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンより選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
さらに、第2感熱発色層中の顕色剤も、高温保存時の耐熱性(地肌カブリ)が良好との理由でN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアであることが好ましい。
また、第1感熱発色層の黒発色する染料前駆体では、該融点が200℃以上であるものが色分離性の観点から好ましい。
また、第2感熱発色層に含有される複合粒子とは異なる色調に発色する染料前駆体が、3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドであり、顕色剤としてN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアを第1感熱層および第2感熱層中に併用することで高温保存時の耐熱性(地肌カブリ)も少なく、また可塑剤や油などの耐薬品性も優れるため好ましい。
バーコードリーダーでの読み取り性を向上させるために、複合粒子中に更に3,3’−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリドを含有することが好ましく、添加量としては複合粒子全固形分に対して、1〜50質量部程度である。
なお、前記第1感熱発色層中に球状プラスチック樹脂粒子及び中空プラスチック樹脂粒子の少なくとも1種を含有させることにより、第2感熱発色層の黒発色と、黒とは異なる色調に発色する色とのコントラストが改良され、さらに第2感熱発色層中に含有した黒とは異なる色調に発色する色の保存性、特に可塑剤や油などの耐薬品性が大きく向上するため、好ましい方法である。なお、プラスチック粒子の含有量は第1感熱発色層全固形量の5〜30質量%、好ましくは10〜20質量%である。
本発明によって、低温発色色調に高温発色色調の混色がほとんどない鮮明な発色色調が得られ、記録部の耐薬品性に優れ、高感度で耐熱性(地肌カブリ)に優れた多色感熱記録体を提供することが可能となった。
本発明の多色感熱記録体において、感熱発色層は、黒発色する染料前駆体、顕色剤及び一般式(1)で示されるジフェニルスルホン架橋型化合物とを含有する第1感熱発色層と、更に第1感熱発色層上に設けられた、有機高分子と黒発色する染料前駆体とからなる複合粒子、複合粒子とは異なる色調に発色する染料前駆体からなる固体分散微粒子及び顕色剤を含有する第2感熱発色層から構成されている。なお、本発明では低温発色色調は、第2感熱発色層中の固体分散微粒子状態で存在する染料前駆体の発色色調である。
前記複合粒子の作製については、前記特許文献14、15に記載の方法により可能である。前述したように、有機高分子の中では特に記録部の保存性が良好との理由で、ポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンの少なくとも一種が好ましく用いられる。
ここで、前記有機高分子がポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンの少なくとも1種である複合粒子の作製方法について記載する。上記複合粒子は、染料前駆体、並びに、重合によりポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンの少なくとも1種を形成する高分子形成性原料を、100℃以下の沸点を有する水不溶性有機溶剤に溶解混合し、この有機溶剤溶液をポリビニルアルコールなどの親水性保護コロイド溶液中に平均粒子径が0.5〜3μm程度となるように乳化分散し、更に必要によりポリアミン等の反応性物質を混合後、この乳化分散液を加熱して前記有機溶剤を揮発除去し、その後、前記高分子形成性原料を高分子化することにより調製されたものや前記染料前駆体を高分子形成性原料に溶解し、この溶解液を前述の方法で乳化分散後、前記高分子形成性原料を高分子化することにより調製されたものである。
前記のポリウレア、及びポリウレア−ポリウレタンより選ばれた少なくとも1種を形成する高分子形成性原料は、多価イソシアネート化合物のみであってもよいし、または多価イソシアネート化合物及びこれと反応するポリオール、ポリアミンとの混合物、或いは、多価イソシアネート化合物とポリオールとの付加物、或いは多価イソシアネート化合物のビウレット体、イソシアヌレート体などの多量体であってもよい。
多価イソシアネート化合物と水が反応してアミン化合物ができ、そのアミン化合物と多価シソシアネート化合物とが反応してポリウレアが形成される。かかる反応と、更に水酸基を有する有機化合物と多価イソシアネート化合物が反応してポリウレア−ポリウレタンが形成される。
前記高分子形成性原料として用いられる多価イソシアネート化合物としては、例えばp−フェニレンジイソシアネート、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、2,4−トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物などが挙げられる。
また、高分子形成性原料に用いられるポリオール化合物としては、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、プロピレングリコール、1,3−ジヒドロキシブタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、フェニルエチレングリコール、ペンタエリスリトール、1,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール及び4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどが挙げられる。
もちろん、多価イソシアネート化合物、多価イソシアネートとポリオールの付加物及びポリオール化合物などは、上記化合物に限定されるものではなく、また、必要に応じて2種以上を併用してもよい。なお、本発明で使用される多価イソシアネート化合物、または多価イソシアネート化合物とポリオール化合物との付加物のうちでも、分子中にイソシアネート基を3個以上有するものを用いることが特に好ましい。
また本発明の高分子形成性原料に用いられるポリアミン化合物としては、例えばエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,5−ジメチルピペラジン、トリエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどが挙げられる。
本発明では、複合粒子の調製時の乳化分散において親水性保護コロイド剤のほかに界面活性剤、消泡剤などを使用してもよい。複合粒子調製の際の親水性保護コロイド剤の使用量については特に限定はないが、一般に、複合粒子全固形分に対して1〜50質量%であることが好ましく、3〜30質量%程度であることがより好ましい。
また、本発明の複合粒子中の黒発色する染料前駆体の含有量は、複合粒子全固形分に対し5〜80質量%程度が好ましく、20〜50質量%程度がより好ましい。
本発明において使用される複合粒子の平均粒子径は、発色感度を考慮すると、0.1〜15μmであることが好ましく、0.5〜5.0μmの範囲となるように調節することがより好ましい。
本発明で使用される第1感熱発色層の染料前駆体や第2感熱発色層に含有される複合粒子の染料前駆体としては、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N-イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アリニノフルオラン、3−(N―エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン)、3−(4−ジメチルアミノ)アリニノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−2−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−〔N−(3−エトキシプロピル)−N−エチルアミノ〕−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−〔N−(3−エトキシプロピル)−N−メチルアミノ〕−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチルアミノ)−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン等の少なくとも1種を用いることができる。
特に第1感熱発色層に含有される染料前駆体としては色分離の観点から融点が200℃以上の染料前駆体が好ましく、例えば3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン)、3−(4−ジメチルアミノ)アリニノ−5,7−ジメチルフルオラン等が挙げられるが、高感度、耐光性に優れるという理由で3−(N-エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランがより好ましい。
また、第2感熱発色層に含有される複合粒子の染料前駆体としては、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチルアミノ)−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランが地肌カブリを生じにくいという点でより好ましい。
本発明に使用される複合粒子中には、黒発色する染料前駆体のほかに、バーコードリーダーでの読み取り性を向上させるために更に3,3’−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド等の染料、必要に応じて記録感度を高めるために融点が40〜150℃程度の芳香族有機化合物(増感剤)、耐光性を高めるための紫外線吸収剤、酸化防止剤、油溶性蛍光染料、離型剤等が添加されていてもよい。このような添加物質は、常温で固体であることが好ましいが、液体であってもよい。黒発色する染料前駆体が2種類以上の染料前駆体の混合物であってもよい。低温発色により形成される色調と混色することにより黒色色調となる発色色調、すなわち補色の関係にある発色色調を有する染料前駆体を複合粒子中に含有させることにより、高温発色色調を黒色とする場合、より黒味の強い高温発色色調を得ることができる。この場合、黒色発色性染料前駆体と、低温発色色調に対して補色の関係にある色調を発色する染料前駆体とを併用して複合粒子中の染料前駆体として構成することもできるし、低温発色色調に対して補色の関係にある色調を発色する染料前駆体のみを単独染料前駆体として複合粒子中に含有させてもよい。
本発明の複合粒子を使用することにより、押圧力による地発色や、白紙状態で長期保存した時の地肌かぶり発生を抑制することができ、併せて記録部の可塑剤や油による消色も抑制することができる。
本発明の多色感熱記録体において使用する複合粒子中の染料前駆体は、高分子物質中に覆われているため、染料前駆体単独で存在する固体微粒子状態に比べると、発色感度が低下したり、耐光性試験での記録部の安定性が劣る欠点がある。
前記欠点を解決するために、支持体上に、新たに黒発色する染料前駆体と顕色剤とを含有する第1感熱発色層を設けることにより、黒発色感度を向上させたり、耐光性試験での記録部の安定性を図るものである。
また、第1感熱発色層中に球状プラスチック樹脂粒子及び中空プラスチック樹脂粒子の少なくとも1種を含有させることにより、黒発色と、黒とは異なる色調に発色する色とのコントラストを向上させ、且つ黒とは異なる色調に発色する色の保存性、特に可塑剤や油などの耐薬品性を大きく向上させることが可能となった。
かかるプラスチック樹脂粒子は、ポリスチレンを主体構造とする樹脂粒子であり、単量体としてはスチレンを主成分とし、αーメチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、アクリロニトリル等のビニルシアン化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物を使用してなる樹脂粒子である。また、その粒径は感度と画質の点で0.2〜3.0μm程度が好ましい。
本発明で使用されるプラスチック樹脂粒子の含有量は第1感熱発色層全固形量の5〜30質量%、好ましくは10〜20質量%であり、5質量%未満では耐薬品性改良効果が乏しく、30質量%を越えると発色能が低下するため好ましくない。
また、第一感熱記録層中には顕色剤とともに前記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物を含有するものであるが、その含有割合としては、特に限定するものではないが、顕色剤100質量部に対し一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物が5〜250質量部、好ましくは10〜50質量部の割合で併用される。一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物の含有割合が250質量部より多いと黒発色部の感度が低減し、5部未満では第2感熱発色層中の固体染料微粒子由来の発色部の耐薬品性の改良効果が低減する。
第2感熱層に含有する複合粒子とは異なる色調に発色する染料前駆体としては、黒とは異なる色調に発色する、例えば赤、赤紫、オレンジ、青、緑等の発色色調を与える染料前駆体があげられる。
例えば、赤もしくは赤紫、オレンジ色系統の発色を与える染料前駆体としては、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(p−ニトロ)アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(o−クロロ)アニリノラクタム、3−ジメチルアミノ−7−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−tert−ブチルフルオラン、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−7−エチルフルオラン、3−(N−メチル−N−イソアミルアミノ)−7−フェノキシフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−クロロフルオラン、及び3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−7,8−ベンゾフルオランをあげることができる。
赤色、赤紫色、オレンジ色系統の発色色調を与える染料前駆体としては、更に3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−ブロモフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−トリルアミノ−7−メチルフルオラン、3−トリルアミノ−7−エチルフルオラン、2−(N−アセチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−プロピオニルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−ベンゾイルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−カルボブトキシアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−ホルミルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−ベンジルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−アリルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、及び2−(N−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオランをあげることができる。
赤色、赤紫色、及びオレンジ色系統の発色色調を示す染料前駆体として、更に3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3’−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3’−ビス(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、7−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ〔(1,4−ジヒドロクロメノ〔2,3−c〕ピラゾール)−4,3’−フタリド〕、7−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−3−メチル−1−p−メチルフェニルスピロ〔(1,4−ジヒドロクロメノ〔2,3−c〕ピラゾール)−4,3’−フタリド〕、および7−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ〔(1,4−ジヒドロクロメノ〔2,3−c〕ピラゾール)−4,3’−フタリド〕などをあげることができる。
上記化合物のなかでも、発色感度が高く、地肌カブリが少ないという点で、赤色発色を与える染料前駆体としては、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、及び3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−メチル−N−イソアミルアミノ)−7−フェノキシフルオランが好ましく、オレンジ色発色を与える染料前駆体としては、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、および7−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ〔(1,4−ジヒドロクロメノ〔2,3−c〕ピラゾール)−4,3’−フタリド〕が好ましく、赤紫色発色を与える染料前駆体としては、3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドが好ましい。なお、3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドは、記録部の耐油性にも優れる。特に赤色発色性染料前駆体としては、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、または3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオランを使用する場合、色調補正のために、色調の異なる染料を混合使用することはむしろ望ましく、例えば3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、もしくは3,3’−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドなどの赤紫系統の色調に発色する染料前駆体を少量配合することにより、一層赤味を強く感じる色調を発色することができる。
青色発色を与える染料前駆体としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−n−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、及び3−ジフェニルアミノ−6−ジフェニルアミノフルオランなどをあげることができる。特に、これらの青発色性染料前駆体の中では、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリドが、地肌カブリが少ないという点から好ましい。
緑色発色を与える染料前駆体としては、3−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)−7−(N−フェニル−N−メチルアミノ)フルオラン、3−〔p−(p−アニリノアニリノ)アニリノ〕−6−メチル−7−クロロフルオラン、及び3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリドなどをあげることができる。これらのなかでも3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリドが、地肌カブリが少ないという点から好ましい。
黄色系統の発色を与える染料前駆体として、3,6−ジメトキシフルオラン、及び1−(4−n−ドデシルオキシ−3−メトキシフェニル)−2−(2−キノリル)エチレンなどがある。上記の染料前駆体は単独で使用してもかまわないが、色調補正のためにほかの色の発色性染料と併用することも効果的である。
本発明において、前記染料前駆体を固体微粒子状態の染料前駆体として使用する場合、当該染料前駆体を、水を分散媒体として、サンドグラインダー、アトライター、ボールミル、コボーミル等の各種湿式粉砕機によって粉砕し、これをポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、スルホン基変性ポリビニルアルコールなどの変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩及びそれらの誘導体などの水溶性合成高分子化合物のほか、必要に応じて界面活性剤、消泡剤などと共に分散媒体中に分散させ分散液とし、この分散液を感熱発色層形成用塗料の調製に用いることができる。また染料前駆体を溶剤に溶解した後、この溶液を水中で上記水溶性高分子を安定化剤として乳化分散後、この乳化液から溶剤を蒸発させ染料前駆体を固体微粒子化して使用することもできる。いずれの場合も固体微粒子状態で使用する染料前駆体の分散粒子の平均粒子径は、適切な発色感度を得るために0.2〜3.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.0μmである。
なお、第2感熱発色層において、複合粒子中の染料前駆体100質量部に対して、異なる色調に発色する染料前駆体は50〜300質量部程度含まれる。
第1感熱発色層において使用されるジフェニルスルホン架橋型化合物の全使用量としては特に限定されないが、染料前駆体の合計100質量部に対して、5〜500質量部、好ましくは10〜300質量部程度が好ましい。第1感熱発色層にジフェニルスルホン架橋型化合物を含有することにより、黒発色部および第2感熱発色層中の複合粒子とは異なる色調に発色する固体染料微粒子由来の発色部の耐薬品性を向上させることができる。
本発明において、第一感熱記録層に使用される顕色剤としては、公知の化合物を使用することができる。かかる顕色剤の具体例としては、例えば、4−tert−ブチルフェノール、4−アセチルフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−フェニルフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、及びビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルなどのフェノール性化合物、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸−sec−ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸トリル、4−ヒドロキシ安息香酸クロロフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどのフェノール性化合物、または安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、トリクロル安息香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸などの芳香族カルボン酸、及びこれらフェノール性化合物、芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムなどの多価金属との塩などの有機酸性物質、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、N−(p−トルエンスルホニル)-N’-(p−ブトキシカルボイル)ウレア、N−p−トリルスルホニル−N’−フェニルウレア等のウレア化合物が挙げられる。
これら顕色剤のうち、耐薬品性や感度、高温保存時の耐熱性(地肌カブリ)の観点から、感熱発色層にはN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアを使用することが特に好ましく、また、高温保存時の地肌カブリの観点から、第2感熱発色層にもN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアを使用することが好ましい。特に、第2感熱発色層に含有される複合粒子とは異なる色調に発色する染料前駆体として3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドを使用した場合、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアを第1、第2感熱発色層の顕色剤とすると高温保存時の耐熱性(地肌カブリ)も優れ、また可塑剤や油などの耐薬品性も優れるためより好ましい。
第一感熱記録層に使用される顕色剤の使用量としては、染料前駆体の合計100質量部に対し、100〜1000質量部の割合で用いられることが好ましく、より好ましくは150〜500質量部の割合で使用される。
本発明においては、主に発色記録画像の保存性向上のために、画像安定化剤を用いてもよい。このような画像安定化剤としては、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノール、及び4,4’−〔1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノールなどのフェノール系の化合物、4−ベンジルオキシフェニル−4’−(2−メチル−2,3−エポキシプロピルオキシ)フェニルスルホン、4−(2−メチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、及び4−(2−エチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン等のエポキシ化合物、並びに1,3,5−トリス(2,6−ジメチルベンジル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチル)イソシアヌル酸などのイソシアヌル酸化合物から選ばれた1種以上を含むものを用いることができる。もちろん、画像安定化剤はこれらに限定されるものではなく、また必要に応じて2種類以上の化合物を併用することもできる。
感熱記録体の感熱発色層の発色感度を調節するために、感熱発色層に熱可融性物質を増感剤として含有させることができる。増感剤としては、従来から感熱記録体の増感剤として知られている化合物を使用することができ、例えばパラベンジルビフェニル、ジベンジルテレフタレート、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、シュウ酸ジベンジル、アジピン酸ジ−o−クロルベンジル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジ−p−メチルベンジル、シュウ酸ジ−p−クロルベンジル、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、1,3−ビス(2−ナフトキシ)プロパンなどをあげることができる。特にシュウ酸ジ−p−メチルベンジルとシュウ酸ジ−p−クロルベンジルを増感剤として使用すると、カブリが少ない増感効果が得られる。
本発明において使用される顕色剤、画像安定化剤及び増感剤などの添加剤は、染料前駆体を固体微粒子状態で使用する時と同じ方法で水中に分散させ、感熱発色層形成塗料の調製の際にこれに混合すればよい。また、これらの添加剤を溶剤に溶解し、水溶性高分子化合物を乳化剤として用いて水中に乳化して使用することもできる。更には前述の複合微粒子調製方法と同様の方法で、これら化合物を含有する複合微粒子を作成し、これを感熱発色層に含有させてもよい。また画像安定化剤及び増感剤は、染料前駆体を含有する複合微粒子中に含有させてもよい。特に増感剤を染料前駆体と一緒に複合微粒子に含有させることにより発色感度を所望の値に調整することもできる。
本発明においては、感熱発色層の白色度向上、及び画像の均一性向上のため、白色度が高く、平均粒径が10μm以下の微粒子顔料を感熱発色層に含有させることができる。例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、焼成クレー、シリカ、ケイソウ土、合成ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカなどの無機顔料、並びに、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、ポリスチレン樹脂等の有機顔料が使用できる。サーマルヘッドに対するカス付着、及びスティッキングの防止のためには、吸油量が50ml/100g以上の顔料を使用することが好ましい。顔料の配合量は、発色濃度を低下させない程の量、すなわち、感熱発色層の全固形分重量に対して50質量%以下であることが好ましい。
本発明において、感熱発色層を構成する他の成分材料として、接着剤が用いられ、更に必要により、架橋剤、ワックス類、金属石鹸、有色染料、有色顔料、及び蛍光染料などを用いることができる。接着剤としては、例えばポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン及びそれらの誘導体等の水溶性高分子材料、並びに、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエマルジョンやスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体などの水不溶性重合体のラテックスなどをあげることができる。
また、感熱発色層の耐水性を向上させるために、接着剤を三次元硬化させるための架橋剤を感熱発色層中に含有させることができる。例えば、グリオキザール等のアルデヒド系化合物、ポリエチレンイミン等のポリアミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ジメチロールウレア化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合物、カルボン酸ジヒドラジド系化合物並びに過硫酸アンモニウムや塩化第二鉄、及び塩化マグネシウム、四ホウ酸ソーダ、四ホウ酸カリウム等の無機化合物又はホウ酸、ホウ酸トリエステル、ホウ素系ポリマー等から選ばれた少なくとも1種の架橋性化合物を感熱発色層の全固形分重量に対し1〜10重量%の範囲で用いることが好ましい。
感熱発色層に添加されるワックスとしては、パラフィンワックス、カルナバロウワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリオレフィンワックス、及びポリエチレンワックスなどのワックス類、並びに例えばステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、及びその誘導体などをあげることができる。特にメチロール化脂肪酸アミドを感熱発色層に添加すると、耐地肌カブリ性を悪化させずに増感効果を得ることができる。
感熱発色層に添加される金属石鹸としては、高級脂肪酸多価金属塩、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、及びオレイン酸亜鉛等をあげることができる。また低温発色色調に対して補色の関係にある色調を有する有色染料、及び/又は有色顔料を感熱発色層中に含有させることは、印字前の記録材料の色調を調節するために好ましく用いられる。必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、感熱発色層中に、更に撥油剤、消泡剤、粘度調節剤など各種添加剤を添加することができる。
本発明に用いられる支持体材料の種類、形状、寸法などには、格別の限定はなく、例えば上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、グラシン紙、樹脂ラミネート紙、ポリオレフィン系合成紙、合成繊維紙、不織布、合成樹脂フィルム等の他、各種透明支持体等も適宜選択して使用することができる。
本発明においては、多色感熱記録体の付加価値を高めるために、これに更に加工を施し、より高い機能を付与した感熱記録体とすることができる。例えば、裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤などによる塗布加工を施すことにより粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙を使用することもでき、或いは磁気加工を施すことにより裏面に磁気記録可能な層を有する感熱記録体とすることができる。特に、粘着加工、及び磁気加工を施したものは2色感熱ラベルや、2色感熱磁気乗車券などの用途に有用である。また、裏面を利用して、これに熱転写用紙、インクジェット用紙、ノーカーボン用紙、静電記録紙、ゼログラフィ用紙としての機能を付与し、両面記録が可能な記録紙とすることもできる。もちろん両面感熱記録材料とすることもできる。本発明多色感熱記録体として、低温発色色調の異なる2種以上の2色感熱記録材料を使用すると、例えばファイルの色分け、配送品の行き先表示の色分け、レシートとジャーナルとの色分けなど、さまざまな用途で異なる色による認識を行うことができるようになる。
本発明においては、感熱発色層の上に保護層を設け、感熱発色層の下に下塗層を設けることができる。これらの追加層として、従来から公知の感熱記録材料に使用されている保護層、及び下塗層を利用することができる。保護層、及び下塗層は、ともに顔料、及び接着剤を主体とし構成される。特に保護層には、サーマルヘッドに対するスティッキングを防止する目的で、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸亜鉛のような滑剤を添加することが好ましく、紫外線吸収剤を含むこともでき、またこれを2層以上に構成することもできる。また光沢のある保護層を設けることにより、製品の付加価値を高めることもできる。
下塗り層には、シリカ、焼成カオリンなどのような空隙率の高い顔料を使用することにより、その上の感熱発色層の発色感度をあげることができる。また下塗層中にプラスチックピグメント、中空粒子、発泡体などを含有させることもその上に形成される感熱発色層の発色感度向上に効果がある。
本発明の感熱発色層上にUV硬化樹脂、EB硬化樹脂を含む保護層を設けることもできるし、その上に、UVインキ、フレキソインキなどで印刷することもできる。保護層にシリコンなどの離型剤を用いることにより本発明の感熱記録材料をライナーレスの粘着ラベルとして利用することもできる。この場合、印刷後に離型剤を塗工してもよい。
支持体上に上記各層を形成する方法としては、エアーナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、及びエクストルージョン法などの既知の塗布方法のいずれを利用してもよい。また印刷機などを使用して本発明の感熱発色層塗料を部分印刷して使用することもできる。感熱発色層用塗料は、第1感熱発色層、第2感熱発色層とも支持体の一表面に乾燥後の重量が1〜10g/m2となるように塗布され、それによって感熱発色層が形成される。また記録材料裏面からの油や可塑剤の浸透を抑制させることや、又はカールコントロールのためにバック層を設けることもできる。また感熱発色層をスーパーカレンダーやソフトカレンダーなどの既知の平滑化方法を用いて平滑化処理することは、その発色感度を高める事に効果がある。感熱発色層表面を、カレンダーの金属ロール及び弾性ロールのいずれに当てて処理してもよい。
本発明を下記実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
実施例1
・下塗層用塗料の調製
吸油量110ml/100gの焼成カオリン88部、スチレン−ブタジエン系ラテックス(固形分濃度:50%)20部、カルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲン7A、第一工業製薬社製)の5%水溶液20部、ポリアクリル酸ナトリウムの20%水溶液5部及び水190部を均一に混合して下塗層用塗液を得た。
・染料前駆体含有の複合粒子分散液(A液)の調製
3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン6部と、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン3部とを100℃に加熱したジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート9部に溶解し、この溶液を35℃に冷却後、同温度の8%ポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、商標:ゴーセノールGM−14L)水溶液100部に徐々に添加し、ホモジナイザーを用い、回転数8000rpm の攪拌によって乳化分散した後、この乳化分散液に水60部を加えて均一化した。この乳化分散液を90℃に昇温し、10時間の硬化反応を行わせた後、固形分濃度が20%となるように水を添加し、平均粒子径0.8μmの複合粒子分散液を得た。
・染料前駆体の分散体(B液)の調製
3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、スルホン変性ポリビニール(ゴーセランL−3266:日本合成化学工業製)の20%液 10部、水20部を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒径が0.8μmとなるように粉砕、分散した。
・染料前駆体の分散体(C液)の調製
3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド20部、スルホン変性ポリビニール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業製)の20%液 10部、水20部を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒径が0.7μmとなるように粉砕、分散した。
・顕色剤の分散液(D液)の調製
N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア 20部、スルホン変性ポリビニール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業製)の20%液 10部、水30部を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒径が1.2μmとなるように粉砕、分散した。
・増感剤の分散液(E液)の調製
シュウ酸ジ−p−メチルベンジルとシュウ酸ジ−p−クロルベンジルの1:1の混合物(商品名:HS7150B、大日本インキ化学社製)20部、スルホン変性ポリビニール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業社製)の20%液 10部、水30部を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒径が1.0μmとなるように粉砕、分散した。
・ジフェニルスルホン架橋型化合物の分散液(F液)の調製
前記一般式(1)で示された化合物(商品名:D−90、nが1〜7の合計含有比率が87質量%、日本曹達社製)20部、メチルセルロース5%水溶液5部および水25部からなる組成物を縦型サンドミル(アイメックス(株)製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒径が1.0μmとなるように粉砕、分散した。
・第1感熱発色層用塗液の調製
B液30部、D液20部、E液30部、F液50部、水酸化アルミニウム10部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA110、クラレ社製)の10%水溶液100部および水70部を均一に混合攪拌して第1感熱発色層用塗液を得た。
・第2感熱発色層用塗液の調製
A液265部、C液30部、D液60部、E液30部、水酸化アルミニウム10部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA110、クラレ社製)の10%水溶液100部及び水70部を均一に混合攪拌して第2感熱発色層用塗液を得た。
・保護層用塗液の調製
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセファイマーZ−200、日本合成化学工業社製)10%液100部、カオリン200部、ステリン酸亜鉛30%分散体(商品名:ハイドリンZ−7、中京油脂社製)10部及び水100部を均一に混合して保護層用塗液を得た。
・多色感熱記録体の作製
坪量81.4g/mの上質紙(紙面pH5.9)の片面に、下塗層用塗液、第1感熱発色層用塗液、第2感熱発色層用塗液及び保護層用塗液をそれぞれ乾燥後の塗布量が8g/m、4g/m、3g/m、及び2g/mとなるように塗布乾燥して下塗層、第1感熱発色層、第2感熱発色層及び保護層を順次有する多色感熱記録体を得た後、スーパーカレンダーにて、感熱記録面のベック平滑度(JIS−P8119)が4000秒となるように平滑化処理し、多色感熱記録体を作製した。
実施例2
実施例1の第1感熱発色層用塗液の調製において、D液50部およびF液20部とした以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例3
実施例1の第1感熱発色層用塗液の調製において、D液50部およびF液5部とした以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例4
実施例2のC液の調製において、赤紫色発色性染料前駆体の3、3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドの代わりに3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオランを使用した以外は、実施例2と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例5
実施例2の第2感熱発色層用塗液に使用するD液の調製において、顕色剤のN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアの代わりに4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを使用した以外は、実施例2と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例6
実施例2の第1感熱発色層用塗液に使用するD液の調製において、顕色剤のN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアの代わりに4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを使用した以外は、実施例2と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例7
実施例2の第1感熱発色層用塗液に使用するD液の調製において、顕色剤のN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアの代わりにビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチルを使用した以外は、実施例2と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例8
実施例2の第1感熱発色層用塗液の調製において、増感剤分散液(E液)を使用しなかった以外は、実施例2と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例9
実施例2の第1感熱発色層用塗液に使用するB液の調製において、染料前駆体の3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランの代わりに3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを使用した以外は、実施例2と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例10
実施例2のA液調製において、黒色発色性染料前駆体として3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン6部の代わりに3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを4部、3,3’−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリドを2部使用した以外は、実施例2と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例11
実施例2の第1感熱発色層塗液調製において、水酸化アルミニウム10部の代わりに球状プラスチック粒子(商品名::グロスデール130S、三井化学製)を12部使用した以外は、実施例2と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例12
実施例2の第1感熱発色層塗液調製において、水酸化アルミニウム10部の代わりに中空プラスチック樹脂粒子(商品名:AE851、JSR社製)を12部使用した以外は、実施例2と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例13
実施例3の第1感熱発色層塗液調製において、水酸化アルミニウム10部の代わりに球状プラスチック粒子(商品名::グロスデール130S、三井化学製)を12部使用した以外は、実施例3と同様にして多色感熱記録体を作製した。
実施例14
実施例1の第1感熱発色層用塗液の調製において、D液50部およびF液2部とした以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録体を作製した。
比較例1
実施例1で第1感熱発色層を設けなかった以外は、実施例2と同様にして多色感熱記録体を作製した。
比較例2
実施例2でF液を使用しなかった以外は、実施例2と同様にして多色感熱記録体を作製した。
比較例3
実施例2の第2感熱発色層用塗液の調製においてA液を使用しなかった以外は、実施例2と同様にして多色感熱記録体を作製した。
比較例4
実施例2の第2感熱発色層用塗液の調製においてA液を使用せず、B液の3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランの代わりに3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを用いた分散液60部を使用した以外は、実施例2と同様にして多色感熱記録体を作製した。
比較例5
実施例1の第1感熱発色層用塗液の調製において、D液50部を使用せずF液70部とした以外は、実施例1と同様にして多色感熱記録体を作製した。
得られた多色感熱記録体について以下の評価試験を行い、その結果を表1に示した。
・印字試験
プリンター(機種名:バーラベ300、(株)サトー社製)を用いて、印加エネルギー:0.15mJ/dotで低温発色、更に0.27mJ/dotで高温発色をおこなった。なお、印字パターンはバーコードで行った。
このようにして得られた記録部について、目視により下記の評価基準で発色色調を評価した。
・感度
◎:極めて濃度の高い黒発色が得られる。
○:濃度の高い黒発色が得られる。
△:黒発色濃度がやや低いが、実用上は問題ないレベルである。
×:黒発色濃度が低く、実用上問題ある。
・2色分離性
◎:低温発色部は高温発色色調の混ざりも全く無く、低温発色(赤)が鮮明であり、2色分離性に特に優れていた。
○:低温発色部が高温発色色調の若干混ざった濁った発色であるが、低温発色(赤)の鮮明さは維持されており、2色分離性に優れていた。
△:低温発色部が高温発色色調の混ざった濁った発色であるが、2色の分離性は実用上は問題ないレベルである。
×:低温発色部が高温発色色相の混ざった濁った発色であり、2色の分離はできていなかった。
・耐油性
食用油を綿棒に付け、高温記録部上で10往復して1時間後ふき取り1週間後記録部を観察する。
◎:全く消えていない
○:殆ど消えていない
△:一部消色傾向が見られるが、実用上は問題ないレベルである。
×:殆ど記録部が消えている。
・耐可塑剤性
ポリプロピレンパイプ(直径40mm管)上に塩化ビニルラップフィルム(ハイラップSAS、三井化学プラテック製)を3重に巻きつけ、その上に、水道水に5秒間浸した上記印字試験の低温発色記録部および高温発色記録部を記録面が外になるようにのせ、更にその上に塩化ビニルラップフィルムを3重に巻きつけ、20℃で24時間放置後記録部を観察する。
◎:全く消えていない
○:殆ど消えていない
△:一部消色傾向が見られるが、実用上は問題ないレベルである。
×:殆ど記録部が消えている。
・耐熱性(地肌かぶり)
70℃の恒温槽に24時間放置し、試験後にマクベス濃度計(RD−914型、マクベス社製)でマゼンダフィルターを使用して地肌濃度を測定した。
Figure 2006289929
支持体上に、黒発色する染料前駆体と顕色剤及びを含有する第1感熱発色層を設け、更に第1感熱発色層上に有機高分子と黒発色する染料前駆体とからなる複合粒子、複合粒子とは異なる色調に発色する染料前駆体からなる固体分散微粒子、顕色剤及びジフェニルスルホン架橋型化合物を含有する第2感熱発色層を有することにより、感熱記録体に求められる記録部の耐薬品性にも優れ、色分離性に優れ高感度で、更に、耐熱性(地肌かぶり)に優れた多色感熱記録体に適用できる。

































Claims (10)

  1. 支持体上に、黒発色する染料前駆体と顕色剤とを含有する第1感熱発色層を設け、更に第1感熱発色層上に有機高分子と黒発色する染料前駆体とからなる複合粒子、複合粒子とは異なる色調に発色する染料前駆体からなる固体分散微粒子及び顕色剤を含有する第2感熱発色層を設け、該第1感熱発色層中に、下記一般式(1)で示されるジフェニルスルホン架橋型化合物を含有することを特徴とする多色感熱記録体。
    Figure 2006289929
  2. 第1感熱発色層中に、更に球状プラスチック樹脂粒子及び中空プラスチック樹脂粒子より選ばれた少なくとも1種を含有させた請求項1に記載の多色感熱記録体。
  3. 第1感熱発色層中の顕色剤100質量部に対し一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物が5〜250質量部である請求項1または2に記載の多色感熱記録体。
  4. 第1感熱発色層の顕色剤が、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアである請求項1〜3のいずれか一項に記載の多色感熱記録体。
  5. 前記有機高分子が、ポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンより選ばれた少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか一項に記載の多色感熱記録体。
  6. 第2感熱発色層の顕色剤が、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアである請求項1〜5のいずれか一項に記載の多色感熱記録体。
  7. 第1感熱発色層の黒発色する染料前駆体の融点が200℃以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載の多色感熱記録体。
  8. 第2感熱発色層に含有される複合粒子とは異なる色調に発色する染料前駆体が3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドであり、第1感熱発色層および第2感熱発色層の顕色剤がN−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレアである請求項1〜7のいずれか一項に記載の多色感熱記録体。
  9. 第2感熱発色層に含有される複合粒子に用いられる染料前駆体が3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、及び3−ジ(n−ブチルアミノ)−7−(2−クロロアニリノ)フルオランから選ばれた少なくとも1種である請求項1〜8のいずれか一項に記載の多色感熱記録体。
  10. 第2感熱発色層に含有される複合粒子中に、更に3,3’−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリドを含有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の多色感熱記録体。
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