JP2006283246A - 繊維構造物とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
抗菌性と消臭性に優れると共に柔軟な風合いを保持でき、しかも、着用使用により皮膚の抵老化や保湿等に有効に寄与する耐洗濯耐久性と染色堅牢性にも優れた繊維構造物とその製造方法を提供する。
【解決手段】
繊維構造物材料に、光触媒剤とコエンザイムQ10を有効成分として含有する繊維処理剤を付着または保持せしめてなることを特徴とする繊維構造物であり、この繊維構造物は、繊維構造物材料を、光触媒剤とコエンザイムQ10を有効成分として含有する処理液に浸漬し、絞液し、乾燥するか、または、同繊維構造物材料を、光触媒剤とコエンザイムQ10を有効成分として含有する処理液に投入し、該処理液を循環させながら浴中加工後、脱水し、乾燥することにより製造することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、抗菌性と消臭性に優れ、また、着用使用により皮膚の抵老化や保湿等に有効に寄与する改良された繊維構造物とその製造方法に関するものである。詳しくは、本発明は、上記の性能を有する、特に、身体または皮膚や肌に接触使用される布帛またはTシャツ、インナーウエアー、フェイスマスク、靴下、スポーツウェアやユニフォーム類等の縫製繊維製品とその製造方法に関するものである。
近年、生活水準の向上や行動、活動、さらには活気のある生活スタイルの変化に伴い、スポーツや体育、健康および衛生に関する意識が高まっており、関連する各分野において、抗菌、消臭、防カビおよび防汚加工を施した製品や技術が実用化されており、また、皮膚の保湿や抗老化あるいは抗色素沈着などスキンケア効果を意図した製品や技術が開発されている。このような環境から、健康な人をより健康にとの意識から、更に、新しい素材による新しいコンセプトの製品の開発が期待されている。
特に、衣料の分野、中でもスポーツウェアやインナーウェア等は、抗菌性、消臭性および防汚性の要求が大きく、これまで以上に優れた抗菌、消臭および防汚効果をもたらす加工技術が求められている。
従来、このような課題に対し、高い消臭性を付与する方法として、光触媒を用いた加工方法が知られている。例示すると、繊維を主たる構成材料としてなる衣料であり、その衣料を構成する繊維表面に、アルキルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダーと、光触媒剤を有するスポーツ衣料やインナーウェアが提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。また、繊維を主たる構成材料としてなる繊維構造物において、該繊維構造物を構成する繊維表面に、アルキルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダーと、光触媒剤および制菌剤が実質的に均一に付着しているスポーツウェアやインナーウェア等が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、光触媒剤を用いたこれらの提案は、いずれも、製編織された編織物に対して光触媒加工を施してから、得られた生地を裁断しそれをウェットスーツやインナーウェア等の製品に縫製しており、しかもその光触媒加工手段は、染色後の編織物を光触媒加工液に浸しマングルロールで絞液するという、いわゆるディップ・ニップ方式によるものである。これは、処理対象物が、編織物のような平坦な繊維布帛であるから可能な方式である。
また別に、光触媒剤を用いた自己清浄品が提案されている(特許文献4参照)。この提案では、自己清浄品として、証明器具、レンジフード、キッチン周り品、トイレ周り品、寝具やカーテン等の他に、制服、背広、靴下、下着、コート、ジャンバー、セーター、トレーナー、ワイシャツ、ズボン、着物、スカート、ストッキングまたはタイツ等の衣類が挙げられているが、実施例では、光触媒塗料をレンジフードのフード部に塗布すること、観賞用水槽の内壁に塗布することは記載されているものの、衣類等の縫製繊維製品についての加工については開示されていない。この提案では、光触媒を自己清浄品に形成する方法として、担持、塗布または蒸着等が挙げられ、自己清浄品の表面に実用に耐えうる強度で形成できればいずれの方法でもよいとしているが、衣類についてこれらの手段を用いても、最終製品たる縫製繊維製品そのものの表裏面と内部の全面に、光触媒剤を付着ムラなく均一に付着せしめ、柔軟な風合いを保持できる縫製繊維製品を得ることはできない。
一方、繊維の加工処理において、化粧品等に使用される成分を含有する繊維処理剤で繊維を処理し、着用時に皮膚との摩擦により、それらの成分が皮膚に移行することにより、化粧料や皮膚外用剤と同様のスキンケア効果を意図した加工繊維素材が提案されている。
例えば、抵炎症剤であるグリチル酸およびその塩や誘導体を、繊維上に定着させる処理方法(特許文献5参照)や、消炎作用や鎮痛作用を有する疎水性生理活性物質をマイクロカプセル化して、繊維上に定着させる方法(特許文献6参照)が提案されている。
一方、コエンザイムQ10は、補酵素として、ミトコンドリア中のアデノシン三リン酸の生産に必須とされており、免疫機能を向上させることにより心臓病、高血圧およびリウマチ性弁疾患に対する有効性等が知られており、また、ビタミンE様の作用を示すことが知られている。
かかるコエンザイムQ10の用途例としては、老化皮膚に対する皮膚手入れ用薬剤について提案がなされている(特許文献7および特許文献8参照)。また、老年性皮膚乾燥症処置のための組成物(特許文献9参照)、アクネ治療効果を有する化粧料(特許文献10参照)、抗色素沈着剤(特許文献11参照)、美肌作用と皮膚賦活作用を有する化粧料(特許文献12参照)が提案されている。
このようにコエンザイムQ10は高い生理活性を持ち、かつ、もともと生体内に存在する安全性の高い物質であることから、化粧料や皮膚外用剤と同様のスキンケア効果を期待した繊維素材の仕上げ剤の成分として有用であると考えられている(特許文献13参照)。
しかしながら、コエンザイムQ10を含む繊維仕上げ剤は、繊維上にそれを定着または固着させることが難しく、耐久性をもった意図する効果を十分な発揮させることには困難性が伴うものであった。また、コエンザイムQ10を含む繊維仕上げ剤は、抗菌性と消臭性に優れ、かつ、柔軟な風合いを保持でき耐選択耐久性と染色堅牢性に優れた縫製製品を得ることは困難であった。
特開2001−248062号公報 特開2001−248062号公報 特開2002−339239号公報 特開平9−192496号公報 特開平10−131043号公報 特開平11−012953号公報 特開平11−51338469号公報 特開平09−510724号公報 特開平09−510725号公報 特開昭61−27914号公報 特開昭61−289029号公報 特開昭58−180410号公報 特開2004−076188号公報
そこで本発明の目的は、抗菌性と消臭性に優れると共に柔軟な風合いを保持でき、しかも、着用使用により皮膚の抵老化や保湿等に有効に寄与する耐洗濯耐久性と染色堅牢性にも優れた繊維構造物を提供することにある。
本発明の他の目的は、未処理の繊維構造物材料を後加工処理により、上記の特異な繊維構造物を製造する方法を提供することにある。
本発明は、上記の目的を達成せんとするものであって、本発明の繊維構造物は、繊維構造物材料に、光触媒剤とコエンザイムQ10を有効成分として含有する繊維処理剤を付着または保持せしめてなることを特徴とする繊維構造物である。
本発明の繊維構造物の好ましい態様によれば、前記の繊維処理剤中の光触媒剤とコエンザイムQ10の割合は、重量比で0.5/1〜240/1の範囲である。
本発明の繊維構造物の好ましい態様によれば、前記の繊維構造物材料は、布帛または予め縫製されてなる縫製繊維製品であり、特に好ましくは、身体または皮膚や肌に接触使用される布帛または予め縫製されてなる縫製繊維製品である。予め縫製されてなる縫製繊維製品としては、Tシャツ、インナーウエアー、フェイスマスク、靴下、スポーツウェア、またはユニフォーム等が挙げられる。
また、本発明の繊維構造物の製造方法のひとつは、繊維構造物材料を、光触媒剤とコエンザイムQ10を有効成分として含有する処理液に浸漬し、絞液し、乾燥することを特徴とする繊維構造物の製造方法である。
また、本発明の繊維構造物の製造方法の他のひとつは、繊維構造物材料を、まずコエンザイムQ10を有効成分として含有する処理液に浸漬し、絞液した後に、光触媒剤を有効成分として含有する処理液に浸漬し、絞液し、乾燥することを特徴とする繊維構造物の製造方法である。
また、本発明の繊維構造物の製造方法の他のひとつは、繊維構造物材料を、光触媒剤とコエンザイムQ10を有効成分として含有する処理液に投入し、該処理液を循環させながら浴中加工後、脱水し、乾燥することを特徴とする繊維構造物の製造方法である。
本発明の繊維構造物の製造方法の好ましい態様によれば、上記の処理液は、コエンザイムQ10を0.03〜2重量%と、コエンザイムQ10の溶解剤を含有している。
また、本発明の繊維構造物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の処理液は、光触媒剤を0.5〜7.0重量%とさらにバインダーを0.5〜7.0重量%含有する水性処理液である。
本発明の繊維構造物の製造方法の好ましい態様によれば、前記の処理液の温度は20〜60℃であり、撥水加工処理されていない繊維構造物材料を処理することが含まれている。
本発明によれば、抗菌性、消臭性および防汚性に優れると共に柔軟な風合いを保持でき、しかも、着用使用により皮膚の抵老化や保湿等に有効に寄与する繊維構造物が得られる。より具体的には、それ自体、抗菌性、消臭性および防汚性の効果に加えて、それの着用使用により、身体や皮膚に対して保湿性、美白性、抗アトピー性、血圧安定性およびシワ防止性等の効能を提供する繊維構造物が得られる。
そのため、本発明の繊維構造物は、特に身体または皮膚や肌に接触使用される、布帛またはTシャツ、インナーウエアー、フェイスマスク、靴下、スポーツウェア、またはユニフォーム類等の予め縫製されてなる縫製繊維製品において有効である。
また、本発明の繊維構造物が縫製繊維製品である場合には、その縫製繊維製品の表裏面と内部の全面に光触媒剤とコエンザイムQ10を付着ムラなく実質的に均一に保持してなる上記性能を有する縫製繊維製品が得られる。光触媒剤が縫製繊維製品の全面に付着ムラなく実質的に均一に保持されているから、風合いも硬くならず、耐洗濯耐久性に優れており、50回の家庭洗濯でも抗菌性と消臭性能が低下しない。また、染料堅牢度が高い。すなわち、耐光、洗濯堅牢度が大きく変色せず、さらに、家庭での洗濯が可能であり洗濯によって収縮しない。
本発明の繊維構造物は、繊維構造物材料に、光触媒剤とコエンザイムQ10を有効成分として含有する処理剤を付着または保持せしめてなる繊維構造物である。
本発明で用いられる光触媒剤は、紫外線により励起され、強い酸化力によって有機物を酸化分解する特性を有するものであり、具体的には、アナターゼ型やルチル型と呼ばれる結晶型の構造をもつものが含まれる。光触媒剤としては、例えば、光半導体粉末と金属粉体とを組み合わせた光触媒剤が挙げられる、光半導体粉末には、例えば、TiO、CdS、CdSe、WO、Fe23、SrTiO2およびKNbO3等が挙げられる。また、金属粉末としては、例えば、金、銀、銅および白金等が挙げられる。
また、本発明で用いられるコエンザイムQ10は、ユビキノン類(2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−ポリプレニル−1,4−ベンゾキノン)の側鎖のイソプレン単位が10であるヒト特有のユビキノン類であり、ユビデカレノンまたは補酵素UQ10とも呼ばれている。この補酵素は、日本薬局方に記載されている。
本発明で用いられる繊維処理剤は、少なくとも上記の光触媒剤とコエンザイムQ10を有効成分として含有するものである。処理剤中における光触媒剤とコエンザイムQ10の割合は、0.5/1〜240/1の範囲であることが好ましく、より好ましくは15/1〜30/1の範囲である。この範囲では、繊維構造物の色目、風合いおよび染色堅牢度が変わらず、良好である。
本発明の繊維構造物は、繊維構造物材料(以下、本発明で用いられる処理剤を付着または保持させる前の状態のものを繊維構造物材料という。)に上記の処理剤を付着または保持させてなるものである。
本発明で用いられる繊維構造物材料としては、織物や編物あるいは不織布等の布帛が挙げられる。編織物のうち編物を構成する好適な編組織としては、平編み、ゴム編みおよび両面編み等が挙げられる。伸縮性のある衣料として機能するものとして、編物は好ましい材料である。また、織物を構成する好適な織組織としては、平織、ツイルまたは朱子織のいずれでもよい。
また、本発明で好適に用いられる繊維構造物材料としては、予め縫製されてなる縫製繊維製品が挙げられる。本発明で好適に用いられる縫製繊維製品は、織物や編物あるいは不織布等の布帛を予め縫製してなるもので、インナーウェアやスポーツウェアのように用途によっては伸縮性のある衣料として機能するものであることが好ましい。そのため、本発明で用いられる縫製繊維製品は、主にナイロン加工糸とスパンデックス糸使いの編織物、または主に綿糸とナイロン加工糸とスパンデックス糸使いの編物で構成されていることが好ましい。また、本発明で加工される縫製繊維製品は、主にポリエステル繊維と綿の混紡糸または主にポリエステル加工糸、あるいはこれらと綿糸および/またはスパンデックス糸使いの編織物で構成されていることが好ましい。縫製製品は、編物と織物を縫製したものであってもよい。
本発明で好適に用いられる縫製繊維製品としては、インナーウェア、スポーツウェア、ユニフォーム類、またはシャツ、ブラジャー、靴下、パンティストッキング等のその他の一般衣料が挙げられ、またフェイスマスク、靴下、リストバンド、タイツ、ショ−ツ等の身の回り品が挙げられる。中でもインナーウェアが最適である。
また、本発明の繊維構造物は、その効能を発揮させるために、身体または皮膚や肌に接触使用されるものが、特に有効である。繊維処理剤中の有効成分が、着用時に皮膚との摩擦により、皮膚や肌に移行することにより、スキンケア等の効果を促すからである。そのため、Tシャツ、インナーウエアー、フェイスマスク、靴下、スポーツウェア、およびユニフォーム等に特に好適である。
本発明のように、光触媒剤とコエンザイムQ10を併用すれば、コエンザイムQ10の保湿効果が発揮されることにより、光触媒機能が良効率になり、消臭効果が一段と発揮される。
図1は、処理剤が全面に保持された本発明の繊維構造物のイメージを例示するための断面図である。図1において、光触媒剤とコエンザイムQ10を含む処理剤2が繊維構造物材料3の全面に付着または保持されている繊維構造物1が示されている。図1では、繊維構造物1を構成する繊維構造物材料3の内部構造は図示していないが、本発明においては、処理剤2が繊維構造物材料3の表裏面および繊維布帛等の裁断面を覆うだけでなく、繊維構造物材料3を構成する編織物間、糸条や単繊維間隙等の構造内部にまで処理剤2が浸透している。
このように、光触媒剤とコエンザイムQ10を含む処理剤2は、縫製繊維製品の場合は、縫い糸も含め縫製繊維製品を構成している繊維材料の全面に保持されているので、柔軟な風合いを保ち、耐洗濯耐久性に優れており抗菌性と消臭性能が低下することなく、また、染料堅牢度が高くて、耐光、洗濯堅牢度が大きく変色せず、さらに、家庭での洗濯によって収縮しないという効果が得られる。
次に、本発明の繊維構造物の製造方法について説明する。
本発明の繊維構造物は、繊維構造物材料を、光触媒剤とコエンザイムQ10を有効成分として含有する処理液に浸漬し、絞液し、乾燥することにより得ることができる。また、本発明の繊維構造物は、繊維構造物材料を、まずコエンザイムQ10を有効成分として含有する処理液に浸漬し、絞液した後に、光触媒剤を有効成分として含有する処理液に浸漬し、絞液し、乾燥する2段処理によっても製造することができる。
これらの製造方法では、繊維構造物材料を、処理液に浸漬した後にマングル等で絞液する、いわゆる、ディッブ・ニップ方式を採用するため、繊維構造物材料として布帛が好適である。このディッブ・ニップ方式を、最終製品である縫製された縫製繊維製品そのものに適用することもできるが、縫製繊維製品そのものの表裏面と内部の全表面に、光触媒剤とコエンザイムQ10を付着ムラなく均一に付着せしめ、柔軟な風合いを保持させる二酸化チタンは困難性が伴う。
そこで、縫製前の繊維布帛でなく、予め縫製され準備された縫製繊維製品を処理するには、縫製繊維製品(繊維構造物材料)を、光触媒剤とコエンザイムQ10を有効成分として含有する処理液に投入し、該処理液を循環させながら浴中加工後、脱水し、マングル等で絞液することなく、乾燥することにより、処理剤を縫製繊維製品の全面を覆うように保持せしめることができる。
縫製前の織編物等の布帛を光触媒剤とコエンザイムQ10を含む処理液で浸漬処理しマングルで絞液し乾燥して、予め繊維処理液で加工した編織物とした場合、これを縫製繊維製品にするためには、そのように加工された編織物を裁断し、それを所定の製品に縫製することになる。そのため、得られた縫製繊維製品には、光触媒剤とコエンザイムQ10は付着しているが、光触媒剤とコエンザイムQ10を縫製繊維製品の全面を覆うように保持させるには困難性が伴う。
本発明において、繊維構造部材料として、予め縫製された既成の縫製繊維製品を用いる場合は、それを光触媒剤とコエンザイムQ10を含む処理液中に投入し直接縫製繊維製品を循環させた処理液中で浴中加工処理することにより、光触媒剤とコエンザイムQ10を含む処理液が縫製繊維製品の表裏面に付着されるだけでなく、縫製繊維製品の複雑な構造内部にまで浸入し保持される。すなわち、光触媒剤とコエンザイムQ10は、縫製繊維製品の表裏面および繊維布帛等の裁断面を覆うだけでなく、縫製繊維製品を構成する編織物間、糸条や単繊維間隙等の構造内部にまで浸透し、縫製繊維製品の全面に付着ムラなく実質的に均一に保持されている。
本発明で対象とする繊維構造物材料は、好適には撥水加工処理等の化学的後加工を行っていない製品であり、当該繊維構造物材料としては既成品でもオーダーメイド品でもよく、完成した繊維製品として市場に流通し得るものである。
本発明で用いられる光触媒剤とコエンザイムQ10を含む処理液には、通常少なくとも1種のバインダーとコエンザイムQ10の溶解剤が含まれており、その他に必要に応じ、滋養記成分を分散するための分散剤と、繊維への吸水剤等が含まれている。
光触媒剤は水で希釈され、光触媒剤を含む水性の処理液中において、光触媒剤の割合は好ましくは0.5〜7.0重量%であり、より好ましくは1.0〜3.0重量%である。
また、バインダーは、光触媒剤を繊維に固着保持する機能を有するもので、そのバインダーとしては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、セルロース誘導体、フタル酸樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂およびフッ素樹脂等が挙げられる。バインダーも水で希釈され光触媒剤を含む水性処理液中において、バインダーの割合は好ましくは0.5.0〜7.0重量%であり、より好ましくは1.0〜3.0重量%である。
また、コエンザイムQ10は、好適には油相成分で溶解されて用いられる。本発明で用いられる油相成分としては、エステル系の油相成分、炭化水素系の油相成分、動植物油およびシリコーン等が挙げられ、コエンザイムQ10の溶解能がある油相成分であれば、特に制限されないが、特に好ましくは中鎖脂肪酸エステルが挙げられる。中鎖脂肪酸エステルを本発明の油として用いることにより、コエンザイムQ10の繊維仕上げ剤中での濃度を高めることができる。中鎖脂肪酸エステルとは、炭素鎖部分が炭素数C4〜C10の脂肪酸のエステルであり、飽和、不飽和、直鎖、分岐のいずれでも好適に使用できる。
中鎖脂肪酸エステルの具体例としては、カプリル酸メチル、イソオクタン酸プロピル、イソオクタン酸エチル、カプリン酸ブチル等の中鎖脂肪酸アルキルエステル、モノカプリル酸エチレングリコール、ジカプリル酸エチレングリコール、モノイソオクタン酸エチレングリコール、ジイソオクタン酸エチレングリコール等の中鎖脂肪酸エチレングリコールエステル類、モノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、モノイソオクタン酸プロピレングリコール、ジイソオクタン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール等の中鎖脂肪酸プロピレングリコールエステル類、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル等の中鎖脂肪酸グリセリンエステル類、モノカプリル酸ソルビタン、ジカプリル酸ソルビタン等の中鎖脂肪酸ソルビタンエステル類、ヘキサカプリル酸ソルビトール等の中鎖脂肪酸シルビトールエステル類、モノカプリル酸テトラグリセリル、ヘキサカプリル酸テトラグリセリル等の中鎖脂肪酸ポリグリセリンエステル類、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル等の中鎖脂肪酸ショ糖エステル類等が挙げられる。これらの中で、多価アルコール中鎖脂肪酸エステルについては、構造中にC1〜C3の直鎖、及びまたは分岐のカルボン酸残基を含んでいても差し支えない。
これらの中でショ糖酢酸イソ酪酸エステル等のショ糖中鎖脂肪酸エステル類、中鎖脂肪酸ソルビタンエステル類、中鎖脂肪酸プロピレングリコールエステル類、中鎖脂肪酸グリセリンエステル類が、コエンザイムQ10に対する溶解性が良好であることから特に好ましい。またこれらの油を単独で用いるだけではなく、2種類、あるいは3種類以上を併用して用いることもできる。また、以上の中鎖脂肪酸エステル例は、本発明に用いることができる中鎖脂肪酸エステルの一例であって、それらのみに限定はされない。
コエンザイムQ10と油相成分の混合比は、コエンザイムQ10に対する油相成分の溶解力に応じて決定すれば良く、特に制限はないが、重量比として0.1:99.9〜30:70の範囲が好ましい。
本発明で用いられる処理剤中のコエンザイムQ10配合量は、好ましくは0.03〜2.0重量%であり、より好ましくは0.05〜1.0重量%であり、更に好ましくは0.1〜0.8重量%である。また、使用の際は、対象とする繊維重量に対して0.03〜2.0%owf(繊維重量に対するコエンザイムQ10の重量%)、更に0.05〜1.0%owf、特に0.1〜0.8%owfとなるように用いることが好ましい。
光触媒剤とコエンザイムQ10を含む処理液中において、分散剤と吸水剤の割合は、それぞれ好ましくは1〜2重量%程度である。
繊維構造物材料は、かかる光触媒剤とコエンザイムQ10を含む処理液中で処理され、脱水、乾燥後、それぞれの製品の形態を保持するためのセットが施される。処理液中での処理温度は、20〜60℃の範囲の温度が好ましく、循環している浴中で数十分加工することで行うことができる。より好ましい処理温度は20〜30℃の範囲であり、より好ましい処理時間は10〜15分の範囲である。
循環している処理液とは、例えば、パドル染色機の回転羽根を浴中回転することにより、処理液が循環する。
また、乾燥は、好適には80℃以下の温度で十分乾燥するまでの時間行うことが好ましく、製品にもよるが20分〜30分程度で乾燥させることかできる。
本発明においては、繊維構造物材料が縫製繊維製品の場合は、処理液中で所定の処理後、脱水され、そしてマングル等で強制的絞液されることなく処理液から取り出され、乾燥に供される。ロール等による絞りによる絞液が施されると、光触媒剤とコエンザイムQ10の縫製繊維製品への付着が不均一になるとともに、縫製繊維製品自体の形態や柔軟な風合いを保持することができなくなることがある。
処理された繊維構造物において、光触媒剤の好ましい付着量は、0.005g/cm〜0.3g/cmの範囲であり、コエンザイムQ10の好ましい付着量は、0.10ng/cm〜0.80ng/cmの範囲である。
本発明により抗菌消臭加工された縫製繊維製品は、抗菌性と消臭性に優れ、かつ、柔軟な風合いを保持でき耐選択耐久性と染色堅牢性に優れているので、かかる抗菌性、消臭性および防汚性の要求が大きい衣料の分野、中でもスポーツウェアやインナーウェア等に好適である。また、フェイスマスク、靴下、リストバンド、タイツおよびショ−ツ等の身の回り品の加工にも有用である。
また、本発明の繊維構造物は、その効能を発揮させるために、身体または皮膚や肌に接触使用されるものが、特に有効である。繊維処理剤中の有効成分が、着用時に皮膚との摩擦により、皮膚や肌に移行することにより、スキンケア等の効果を促すからである。そのため、Tシャツ、インナーウエアー、フェイスマスク、靴下、スポーツウェア、およびユニフォーム等に特に好適である。
[実施例1]
綿糸(30s/1s)/ナイロン加工糸(140T−48F−セミダル)/スパンテックス糸(78T)使いのニット編地のフェイスマスク製品(混成率:綿糸64%/ナイロン加工糸33%/スパンテックス糸3%)を、パドル染色機の中に入れた。パドル染色機中には、水で10倍に希釈した光触媒剤とアクリルバインダーと、水で30倍に希釈したコエンザイムQ10剤をを含む水性処理液が入っており、光触媒剤1.75owf濃度、アクリルバインダー1.75owf濃度、コエンザイムQ10剤0.03owf濃度のレサイプ条件下で、浴比1:20の循環している水性処理液中で、フェイスマスク製品を処理温度25℃で20分間の浴中加工し、脱水し、80℃の温度で20分間乾燥した後、105℃の温度のスチームで型セットを行った。光触媒剤とコエンザイムQ10剤は、フェイスマスクの表裏面と編組織内部の全面に均一に付着保持されていた。得られたフェイスマスクは、家庭洗濯20回および50回後の抗菌性、消臭性と保湿性をクリアーし、かつ、色変化、風合い変化もなく、染色堅牢度も良好で、寸法安定性の良好なフェイスマスク製品が得られた。結果を表1に示す。評価は、SEK基準によるものである。
(表1)
20回 50回
家庭洗濯回数 ◎ ◎
黄色ブドウ状球菌 ◎ ◎
肺炎桿菌 ◎ ◎
アンモニア ◎ ◎
保湿性 ◎ ◎
肌荒れ 綺麗 綺麗
◎:合格でまた有効であり問題なし。
[実施例2]
実施例1のフェイスマスクと同素材の紳士靴下を、実施例1と同様にして加工処理し、表裏面と内部の全面に光触媒剤とコエンザイムQ10剤を付着ムラなく実質的に均一に付着保持させた。結果は、実施例1と同様で、家庭洗濯20回後および家庭洗濯50回後でも問題はなかった。
[実施例3]
実施例1のフェイスマスクと同素材のリストバンドを、実施例1と同様にして加工処理し、表裏面と内部の全面に光触媒剤とコエンザイムQ10剤が付着ムラなく実質的に均一保持させた。結果は、実施例1と同様で、家庭洗濯20回後および家庭洗濯50回後でも問題なかった。
本発明の繊維構造物は、その効能を発揮させるために、身体または皮膚や肌に接触使用されるものが、特に有効である。繊維処理剤中の有効成分が、着用時に皮膚との摩擦により、皮膚や肌に移行することにより、スキンケア等の効果を促すからである。そのため、Tシャツ、インナーウエアー、フェイスマスク、靴下、スポーツウェア、およびユニフォーム等に特に好適である。
また、本発明の繊維構造物は、繊維構造物材料の表裏面と内部の全面に光触媒剤とコエンザイムQ10を付着ムラなく実質的に均一に付着保持せしめたので、上記の効能とともに、抗菌性と消臭性に優れ、かつ、柔軟な風合いを保持でき耐洗濯耐久性と染色堅牢性に優れた繊維構造物が得られる。
図1は、繊維処理剤が全面に保持された本発明の繊維構造物のイメージを示すための断面図である。
符号の説明
1 : 繊維構造物
2 : 処理剤
3 : 繊維構造物材料

Claims (14)

  1. 繊維構造物材料に、光触媒剤とコエンザイムQ10を有効成分として含有する繊維処理剤を付着または保持せしめてなることを特徴とする繊維構造物。
  2. 繊維処理剤中の光触媒剤とコエンザイムQ10の割合が、重量比で0.5/1〜240/1の範囲であることを特徴とする請求項1記載の繊維構造物。
  3. 繊維構造物材料が、布帛または予め縫製されてなる縫製繊維製品であることを特徴とする請求項1または2記載の繊維構造物。
  4. 繊維構造物材料が、身体または皮膚や肌に接触使用される布帛または予め縫製されてなる縫製繊維製品であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維構造物。
  5. 予め縫製されてなる縫製繊維製品が、Tシャツ、インナーウェアー、フェイスマスク、靴下、スポーツウェア、またはユニフォームであることを特徴とする請求項4記載の繊維構造物。
  6. 繊維構造物材料を、光触媒剤とコエンザイムQ10を有効成分として含有する処理液に浸漬し、絞液し、乾燥することを特徴とする繊維構造物の製造方法。
  7. 繊維構造物材料を、まずコエンザイムQ10を有効成分として含有する処理液に浸漬し、絞液した後に、光触媒剤を有効成分として含有する処理液に浸漬し、絞液し、乾燥することを特徴とする繊維構造物の製造方法。
  8. 繊維構造物材料を、光触媒剤とコエンザイムQ10を有効成分として含有する処理液に投入し、該処理液を循環させながら浴中加工後、脱水し、乾燥することを特徴とする繊維構造物の製造方法。
  9. 処理液が、コエンザイムQ10を0.03〜2重量%含有していることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の繊維構造物の製造方法。
  10. 処理液が、コエンザイムQ10の溶解剤を含有していることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の繊維構造物のの製造方法。
  11. 処理液が、光触媒剤を0.5〜7.0重量%含有していることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の繊維構造物のの製造方法。
  12. 処理液が、さらにバインダーを0.5〜7.0重量%含有する水性処理液であるこを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載の繊維構造物のの製造方法。
  13. 処理液の温度が、20〜60℃であることを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載の繊維構造物のの製造方法。
  14. 撥水加工処理されていない繊維構造物材料を処理することを特徴とする請求項6〜13のいずれかに記載の繊維構造物の製造方法。
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