JP2006282755A - 有機無機ハイブリッド粒子水性分散体及びそれから得られる研磨スラリー - Google Patents

有機無機ハイブリッド粒子水性分散体及びそれから得られる研磨スラリー Download PDF

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Abstract

【課題】 分散が安定で粒子径の揃った有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体と研磨性能に優れた研磨スラリーを提供する。
【解決手段】 アニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルからなる有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体であって、pHを2.0以上、8.0未満の範囲に調整したことを特徴とする有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体を提供する。pH範囲の調整は窒素原子に直結した酢酸基を有する酸化合物を用いて行うことにより、良好な分散性と研磨スラリーとして用いたときの優れた研磨性を付与することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、均一粒子径で分散の安定な有機無機ハイブリッド粒子水性分散体及びそれから得られる研磨性能に優れた研磨スラリーに関する。
従来、セラミック等の無機粒子は増量、紫外線吸収、耐摩耗、光学・電磁気特性の付与等様々な用途で単独もしくは有機高分子等と複合して利用されている。一方、有機高分子粒子はポリマーが持つ特性である柔軟性・密着性・加工性を利用して電子写真用トナーや艶消し、着色剤その他で利用されているが、無機粒子の前記特性や耐熱性、高弾性率、耐候性、耐溶剤性等の特性は得ることは難しい。そこで有機高分子と無機材料の優れた特性を有する材料得るために両者のコンパウンドが利用されるが、一般に無機化合物と有機高分子の相溶性は十分でなく、多価金属アルコキシドを用いて種々の試みが成されているが、そもそも均一な複合材料である有機無機ハイブリッド材料を形成することが容易ではなく、ましてそのような材料からなる粒子を実用化するのは困難であった。
近年、半導体の高集積化、高性能化のために、多層配線形成工程における層間絶縁膜、金属プラグ形成、埋め込み金属配線形成において平坦化技術が必須の技術となっている。この中で、研磨剤と被研磨体の間の化学的作用と、研磨粒子の機械的作用を複合させた化学的機械研磨方法(ケミカルメカニカルポリッシング、以下CMPと省略する)が極めて有効な研磨方法である。更には、ハードディスク用のディスクや、光学部品等の精密部品における分野においても精密研磨の必要性が増大しており、CMPが極めて重要となっている。
一般に金属膜のCMPでは、アルミナやシリカ等の無機化合物粒子と硝酸第二鉄や過酸化水素水などの酸化剤との混合物からなるCMPスラリーが利用されているが、硬度の高い無機化合物粒子で研磨すると金属表面の傷の発生による表面の荒れや金属膜への研磨粒子の埋め込みの問題がある。また、無機化合物粒子性のスラリーは凝集・沈殿しやすく、凝集した大粒径の無機化合物粒子によるスクラッチの発生が大きな問題となっている。また、半導体に形成された配線の溝や開口部に埋め込まれた配線用金属膜の幅が広い領域では、中心部が薄くなるディッシングが発生しやすいという問題を有していた。
上記無機粒子からなるCMPスラリーの欠点を改善するために、有機高分子化合物からなる粒子または少なくとも炭素を主成分とする粒子を研磨粒子として用いた研磨剤やCMPスラリーが提案されており(特許文献1参照)、具体的に有機高分子化合物としては、PMMA等のメタクリル樹脂、これと同等の硬度を有するフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂等が例示されている。しかし本方法では分散安定性が必ずしも十分ではなく分散安定剤の併用が必要で、樹脂粒子の硬度も低く、化学的な活性も乏しいことから研磨速度が著しく小さいという問題があった。
このような問題を改善するために乳化重合により得られるビニル化合物重合体樹脂粒子を含有し、かつアンモニアあるいは水溶性の金属錯体を形成する錯化剤を含有する水性エマルジョンからなる研磨剤が提案されている(特許文献2、特許文献3参照)。しかしながら本方法では、乳化剤を使用するため必ずしも分散安定性が良好ではなく、硬度の点でも必ずしも十分ではない。また、樹脂粒子表面の化学的な活性は大きくなく、研磨の主効果は必須成分として加えているアンモニアや任意で添加する酸化剤に依存している。そのため前述のディッシングの改善は必ずしも十分ではなかった。
また、金属と反応し水溶性の金属錯体を形成する錯化剤と、乳化剤によらない乳化重合により得られるビニル化合物重合体樹脂粒子からなる水性エマルジョンを含有する研磨剤が提案されている(特許文献4参照)。本方法では乳化剤を使用しないで乳化重合を行うため、得られる樹脂粒子の粒径分布が広くなる傾向があり、大粒径粒子によるスクラッチの発生等の可能性があった。
また、架橋構造を有する平均粒径0.13〜0.8μmの重合体粒子を含み、界面活性剤の含有量が0.15重量%以下である水系分散体及びそれを主成分とする研磨剤が提案されている(特許文献5参照)。本発明では架橋構造を形成するために架橋性単量体とその他の単量体を共重合させるため、架橋率が低いと十分な硬度を得ることが出来ず、逆に架橋率を大きくすると脆くなるという欠陥に加えて、得られる架橋粒子の粒径を小さくすることが困難であった。
有機無機ハイブリッド粒子の具体的な製造方法としては、例えば多価金属アルコキシドを含む膨潤溶媒でシード粒子を膨潤させた後、該多価金属アルコキシド中の不飽和二重結合により重合させ、次いで多価金属アルコキシドのアルコキシ基を加水分解及び縮合させる製造方法が用いられている(特許文献6参照)。しかし該製造方法において形成される粒子は、中心部分にシード粒子が配置されることになり、均一な内部構造を有するものではない。また膨潤処理やその後の重合等の操作、更には界面活性剤や分散剤の使用等製造工程が複雑で粒子径の制御は困難である。このため粒子は必ずしも球形とはならず、形状的にも物性的にも粒子に充分な均一性を持たせることは困難であった。
特開平07−086216号公報 特開平11−176774号公報 特開平11−162910号公報 特開平11−156702号公報 特開2000−204275号公報 特開平07−265686号公報
本発明は、前記の有機無機ハイブリッド粒子を含有する水性分散体及びそれから得られる研磨スラリーに関する課題を解決するものである。
即ち本発明の目的は、分散が安定で粒子径の揃った有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体と研磨性能に優れた研磨スラリーを提供することである。
上記目的は、以下の本発明によって達成される。
即ち本発明は、アニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルからなる有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体であって、pHを2.0以上、8.0未満の範囲に調整したことを特徴とする有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体を提供する。
さらに本発明は前記水性分散体を主成分として含有する研磨スラリーを提供する。
さらに本発明は、アニオン性基を有する樹脂と、多価金属アルコキシドの反応ゲルを含有する有機無機ハイブリッド粒子の製造方法であって
(1)少なくとも一部が塩基性化合物で中和されたアニオン性基を有する樹脂の樹脂水溶液中に、多価金属アルコキシドを溶解または懸濁させた混合物を製造する混合工程と、
(2)前記混合物中の多価金属アルコキシドを、該混合物のpHを塩基触媒下で8.0以上に保ちつつ、加水分解、または加水分解し縮合させる加水分解工程と、
(3)前記混合物中のpHを2.0以上8.0未満にまで低下させ、前記樹脂の溶解度を低下させて前記混合物を乳化または粒子化させる粒子化工程
を有する有機無機ハイブリッド粒子の製造方法であって、前記粒子化工程では、酸化合物が添加されることを特徴とした有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法
を提供する。
本発明のアニオン性基を有する樹脂と、金属アルコキシドの反応ゲルを含有する有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体で、pHが2.0以上8.0未満の範囲に調整された水性分散体は、有機成分と無機成分が均一に混在し、均一な粒子径を有し、かつ分散安定性に優れた水性分散体を形成する。さらに製造時の造粒性に優れ、粒子化が極めて容易である。本発明の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法から得られる有機無機ハイブリッド粒子は、有機成分と無機成分が微細構造を有するドメインを形成し、研磨用粒子としても使用しうる硬度の他に、耐摩耗性、耐熱性、高弾性率、耐候性、耐溶剤等従来の無機粒子の特徴と、柔軟性・密着性・加工性・造粒性等従来の有機粒子の特徴とを合わせ持っている。
本発明の有機無機ハイブリッド粒子水性分散体から得られる研磨スラリーは、スラリーの分散安定性に加えて、優れた研磨性能、特にメタルに対する研磨性能に優れている。
本発明の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体は、アニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルをからなり、水性分散体のpHが2.0以上で8.0未満のpH範囲に調整されている水性分散体である。本発明の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体は、アニオン性基の少なくとも一部が塩基によって中和され、水分散性、溶解性が向上した樹脂の水溶液中で、金属アルコキシドの加水分解縮合反応を進行させて作製されるため、製造の初期プロセスでは、塩基の存在下pH8.0以上で工程が進行する。しかしこのようにして形成される有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体は、pH8.0以上では安定性に欠け、ゲル化を起こす可能性もある。このため水性分散体または研磨スラリーを最終的に製造する前の任意の段階で、それらのpHが2.0以上8.0未満のpH範囲となるように調整することによって、分散安定性の極めて良好な水性分散体、研磨スラリーを製造することができる。
pHの調整は金属アルコキシドの樹脂溶液中での加水分解後、任意の段階で、また種々の方法で行うことができ、酸化合物の添加によって、あるいは塩基が揮発性の場合には塩基の揮発により、pHが2.0以上、8.0未満のpH範囲への調整を行えばよい。
前記酸化合物としては任意の有機酸、無機酸を用いることができるが、研磨用スラリーに添加剤として使用でき、金属研磨機能を有する酸を用いることによって、水性分散体に良好な分散安定性を付与するのみならず、そのまま研磨用スラリーとして使用可能な良好な研磨性を付与できる。
前記酸化合物としては、窒素原子に直結した酢酸基を有する化合物が好ましく、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸等がある。
更に好ましい酸化合物として、窒素原子に直結したヒドロキシアルキル基と酢酸基を有する化合物があり、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸、ジヒドロキシエチルグリシンがある。
更に酸化合物の酢酸基の少なくとも一部が、塩基性化合物で最適pHに調整されることにより分散安定性に優れた有機無機ハイブリッド粒子水性分散体が得られ。
酸化合物が、窒素原子に直結した酢酸基を有する化合物、酸化合物が、窒素原子に直結したヒドロキシアルキル基と酢酸基を有する化合物、酸化合物の酢酸基の少なくとも一部が、多価金属と錯塩を形成する塩基性化合物で最適pHに調整されることにより、分散安定性に加えてメタル研磨性能に優れた研磨スラリーが得られる。
本発明における有機無機ハイブリッド粒子とは、有機高分子と無機高分子とが同一粒子内に均一に分布した複合体粒子であって、耐摩耗性、耐熱性等、無機高分子としての特性と、柔軟性等の有機高分子としての特性を併せ持つ粒子である。本発明のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルを含有した複合粒子は、その一例である。
また、本発明において金属アルコキシドの反応ゲルとは、金属アルコキシドの加水分解と重合によって生成するゾルに、さらにその反応を進行させて形成される金属酸化物を含む湿潤ゲルまたは乾燥ゲルのことである。
本発明のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルからなる有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体のpHが2.0以上8.0未満、好ましくはpHが2.5〜7.5以下においては、樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルの密着性が高まり、優れた分散安定性が得られる。特にアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルが塩基の存在下pH8.0以上で形成され、その後に酸化合物の添加、あるいは塩基が揮発性の場合は塩基の揮発によりpHが2.0以上、8.0未満、好ましくはpH2.5〜7.5に調整された水性分散体は、更に分散安定性に極めて優れた有機無機ハイブリッド粒子水性分散体となる。
本発明の製造方法に使用する樹脂のアニオン性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基等であって特に限定されるものではないが、このうちカルボキシル基を含有する樹脂は一般的なものが使用可能であり、後述する製造方法による有機無機ハイブリッド粒子化が容易となるため好ましい。
アニオン性基を有する樹脂としては天然樹脂、合成樹脂等特に制限はないが、後述の製造方法に対して好適な樹脂として、塩基性化合物が存在しない状態で有機溶剤可溶の樹脂が好ましく、具体的にはアクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられ、これらは複合粒子形成後に、必要に応じて公知の方法で三次元架橋を行う事が可能である。アクリル酸樹脂としては、例えばスチレン、置換スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つのモノマーと、(メタ)アクリル酸との共重合体は、樹脂の粒子化と多価金属イオンによる架橋の点で好適である。
具体的にはスチレン;α−メチルスチレン等の置換スチレン;アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸ブチルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸ブチルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル;及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも一つ以上のモノマーと、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれる少なくとも一つ以上のモノマーを含む(メタ)アクリル酸系共重合体が好ましい。
アニオン性基を有する樹脂の酸価については特に限定されるものではないが、酸価が10未満では該樹脂の分散性が不足し易く、後述する製造方法における有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体形成が不十分となる傾向がある。酸価が200を越えると、同じく後述する製造方法において樹脂が水に膨潤や溶解しやすく、目的とする有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体が得にくくなる傾向がある。このためアニオン性基を有する樹脂の酸価は10〜200の範囲にあることが好ましい。特に50〜200の範囲にある自己水分散性樹脂の場合は、該樹脂のアニオン性基の一部が塩基により中和されることにより、水に対して良好な分散性あるいは溶解性を示すためより好ましい。
また樹脂の分子量範囲についても特に制限はないが、1000以上10万以下の分子量のものがより好ましい。樹脂と金属アルコキシドの比率は特に制限はないが、質量比で0.01:10〜10:1の範囲が好ましい。研磨用スラリーとして使用する場合には樹脂の比率が小さいほうが研磨レートの点でより好ましい。
樹脂比率が高い有機無機ハイブリッド粒子の硬度を高くする場合には、上記モノマーの組み合わせにおいて(メタ)アクリル酸エステルのようなガラス転移温度の低いモノマーを多量に使用することは好ましくなく、本発明の樹脂のガラス転移温度は室温以上、できれば50℃以上が好適である。
本発明の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法に用いる前記樹脂は、有機無機のハイブリッド化によって強度の大きい粒子が得られるが、あらかじめ架橋性モノマーと開始剤又は触媒を有機無機ハイブリッド粒子に取り込み、粒子化後に架橋するか、好ましくは、有機無機ハイブリッド粒子化時に多価金属イオンを取り込んで、アニオン性基を有する樹脂のアニオン性基の一部を架橋させたいわゆるアイオノマー樹脂化をさせることによって、より強靱な有機無機ハイブリッド粒子とする事が出来る。
本発明の製造方法で使用する多価金属アルコキシドの金属としては2価以上の多価金属で、ケイ素、チタニウム、ジルコニウム、セリウム、カルシウム、バリウム、マンガン、亜鉛、ニッケル、スズ、銅、鉄、コバルト、ホウ素、アルミニウム、タングステン、ビスマス、モリブデン、ニオブ、イットリウム、ストロンチウム、ガリウム、ゲルマニウムなどがあるがこれらに限定されるものではなく、少なくとも1種類以上含むことができる。
前記の金属と組み合わせるアルコキシドとしては、金属に対して少なくとも一つ以上のアルコキシ基(OR)が結合し、アルコキシ基(OR)のRはアルキル基・アルキレン基・アリル基・ビニル基・ビニルベンジル基、(メタ)アクリレート基等任意に選択すればよいが、炭素数1〜4のアルキル基が一般的で利用しやすい。また金属には、直接他の官能基が結合してもよく、一例として水酸基、アルキル基、アルキレン基・アリル基・ビニル基・ビニルベンジル基、(メタ)アクリレート基、カルボキシル基、アセチルアセトン基・アセト酢酸エステル基等の配位子等がある。金属に結合する官能基が全てアルコキシ基の場合は、金属アルコキシドの加水分解重縮合によってシロキサン結合のみからなる無機高分子鎖を形成することが可能であり、無機化合物としての特性をより高く発現させることができるため好ましい。具体的な化合物例としては以下があるがこれらに限られたものではない。
Figure 2006282755
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本発明では、塩基はアニオン性基を有する樹脂の溶解性、分散性を向上させ、かつ金属アルコキシドの加水分解と縮合を進行させるのに用いられる。アニオン性基を有する樹脂中の該アニオン性基の少なくとも一部が中和されて、塩基と対イオンを形成し樹脂の親水性が増加する。使用される塩基性化合物は一価の塩基であって、例えばリチウム・カリウム・ナトリウム等のアルカリ金属、アンモニア、有機アミン・アルコールアミン・モルホリン・ピリジン等の有機塩基等がある。またこれらは金属アルコキシドに対する加水分解触媒として作用するが、触媒としては加水分解触媒でありながら金属アルコキシドの急激な加水分解を抑制する効果を有するモノエタノールアミン・ジエタノールアミン・トリエタノールアミン等のアルコールアミンを用いる方が、乳化時に樹脂と金属オキシドがより均一に混じるようになるため好ましい。なかでも、本発明において有用な揮発性塩基としては前記のアンモニアあるいは有機のアミン類がある。これら
本発明の有機無機ハイブリッド粒子を、例えば研磨剤として特に半導体等に使用する場合には、アルカリ金属イオン成分はなるべく少なくし、アルコールアミン等を用いた方が、金属イオンの残留による半導体特性への悪影響を排除できるので好ましい。
一価の塩基の使用量は、樹脂のアニオン性基の10%以上好ましくは50モル%以上に相当する量を用いるのがよく、使用目的によって必要であれば100モル%以上に相当する量の塩基を添加しておいても、遊離塩基量が増加し微粒径で安定した有機無機ハイブリッド粒子の水分散体が得られる。
一方、一価塩基の加える量を少なくすると、有機無機ハイブリッド粒子の粒子径をより大きくすることができる。このように一価塩基量の調節により粒子径が均一で、任意の粒子径の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体が得られる。
前記の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体は、特にアルカリの存在で場合によりゲル化を生じる場合がある。したがって、水性分散体のpHは2.0以上8.0未満に調整する必要がある。pH調整は、上記の金属アルコキシドの加水分解工程で揮発性の塩基が用いられているときは、これを揮散させることによっても行うことができるが、酸化合物を水性媒体中へ添加することで行うこともできる。使用することのできる酸化合物としては、一般的な塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、炭酸、酢酸、ホスホン酸、スルホン酸、同一分子内にヒドロキシアルキル基とカルボキシル基を有するシュウ酸、グリコール酸、ジグリコール酸等があるが、メタル研磨効果のある酸化合物を用いると研磨用スラリーとしての研磨性と分散安定性を同時に付与できるため好ましい。メタル研磨効果のある酸化合物としては、窒素原子に直結した酢酸基を有する化合物、具体的にはニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸等がある。
更に好ましい酸化合物としては、窒素原子に直結したヒドロキシアルキル基と酢酸基を有する化合物、窒素原子に直結したヒドロキシアルキル基と酢酸基を有する化合物が好ましく、具体的にはヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸、ジヒドロキシエチルグリシンから選ばれた化合物が好ましい。
本発明の水性分散体のpHは2.0以上、8.0未満に調整することが必要であるが、特にpH2.5以上7.5以下の範囲に調整することによって有機無機ハイブリッド粒子の分散安定性をより良好に保つことができ好ましい。前記窒素原子に直結した酢酸基、あるいはヒドロキシアルキル基と酢酸基を有する化合物を含む水性分散体から得られる研磨スラリーはスラリーの安定性に加えて、研磨性能、特にメタルの研磨性能に優れる。これは有機無機ハイブリッド粒子表面にキレート構造が付与され、キレート性能が発現したためと考えられる。
また、前記酸化合物は、酸基が全て遊離している必要はなく、酸基の一部がNa、Li等のアルカリ金属、アンモニア、有機アミン、アルコールアミン、ピリジン・モルホリン・等のその他塩基性化合物で中和されていてもよい。但し電子部品等の用途には一般にアルカリ金属は好ましくない。
また、塩基性化合物自体が多価金属と錯塩を形成する場合、メタル研磨に優れた研磨効果を示す。多価金属と錯塩を形成する塩基性化合物としては、前述のアンモニア、アルコールアミンの他、ベンゾトリアゾール・トリルトリアゾール・1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のトリアゾール化合物、ベンズイミダゾール化合物、o−フェナントロリン、2,2’−ビピリジル、3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン等があるがこれらに限定されるものではない。これらの多価金属と錯塩を形成する塩基性化合物と、例えばヒドロキシアルキルイミノカルボン酸等の酸化合物を用いることにより、その相乗効果により優れたメタル研磨性能が発現する。
本発明の水性分散体を金属用研磨スラリーとして使用するには、公知のエッチング剤としては、前記の化合物の他、水溶性キレート化合物、グリシン等のアミノ酢酸、アミド硫酸、もしくはこれらの混合酸と、過酸化水素、硝酸、次亜塩素酸、オゾン水等の酸化剤を含有するエッチング剤がある。
金属材料と反応することにより保護膜を形成する化学試薬としては、前記の多価金属と錯塩を形成する塩基性化合物以外に、チオ尿素、サリチルアルドキシム、クペロン、エチレンジアミン、イオウを含むアミノ酸、特にシスティン、p−アミノベンズアルデヒド、ハロ酢酸、チオール類、例えばドデシルメルカプタン、オクタンホスホン酸等のホスホン酸類、グルコースやフルクトース等の単糖類、およびこれらの物質の誘導体またはそれらの混合物、N−ベンゾイル−N−フェニルヒドロキシルアミンまたはそのBPA誘導体等を用いることができる。
また、硝酸、アンモニア、アンモニウム塩類、例えば過硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム等、クロム酸等の水溶液を用いることもできる。
その他、金属用研磨スラリーには、防腐剤、界面活性剤等を併用することが出来る。
本発明の、アニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルからなる有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体であって、pHを2.0以上8.0未満に調整した有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法としては、具体的には以下の工程を有する製造方法によって製造することができる。
(1)少なくとも一部が塩基性化合物で中和されたアニオン性基を有する樹脂のpH8.0以上の水溶液中に、多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物を溶解または懸濁させた混合物を製造する混合工程と、
(2)前記混合物のpHを8.0以上に保ちつつ、該混合物中の多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物を加水分解し、または加水分解し縮合させる加水分解工程と、
(3)前記混合物のpHが2.0以上、8.0未満、好ましくはpH2.5以上7.5以下となるようにpH調整を行い、混合物中の樹脂の溶解度を低下させ、混合物を乳化または懸濁液化させ、樹脂及び多価帰属アルコキシドの加水分解縮合生成物を析出させる粒子化工程と、
(4)必要に応じて水酸基を有する酸化合物を添加した前記混合物をさらに加水分解重縮合させ、粒子内でゲル化させる工程
を有する有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法である。
すなわち、本発明の水性分散体の製造方法においては、多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物を含有する樹脂溶液中に酸化合物を加えて、樹脂の溶解度を低下させて樹脂と多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物からなる混合物を乳化または粒子化させると同時に粒子表面のシラノール基を封鎖する。またさらに好ましくは、前記混合物粒子中の多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解重縮合をさらに進行させて粒子内でゲル化を行い、有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体を製造する。
以下、本発明に有効な製造方法の各工程毎に詳細な説明を行う。
(1)アニオン性基を有する樹脂の樹脂水溶液中に多価金属アルコキシドを溶解または懸濁させた混合物を作製する混合工程
混合工程においては、アニオン性基を有する樹脂と、多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物と、塩基性化合物とを加え、多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物を含有する樹脂水溶液を製造する。
多価金属アルコキシドが樹脂に取り込まれる前に水と接触すると、加水分解が過度に進行して凝集物を生じやすくなるので、均一な有機無機ハイブリッド粒子を作製するためには前述のアルコール系溶剤のような加水分解抑制剤を使用しても良い。アルコールを併用することにより、脱アルコール反応である多価金属アルコキシドの加水分解が抑制されるが、一方で樹脂水溶液中への多価金属アルコキシドの溶解度が高まり、樹脂と多価金属アルコキシドが均一に混じり易くなるため好ましい。加水分解抑制剤としては、塩基としても作用するアルコールアミンや樹脂を溶解する溶剤としても作用するアルコールの他に、例えば、アセチルアセトン・アセト酢酸エステル・ジアセト酢酸アルキルエステルの如きキレート化剤、アセトイン、ジエチレングリコール・ポリエチレングリコール等のポリオール等を好適に用いることができる。
混合工程においては、アニオン性基を有する樹脂を溶解するための水混和性有機溶剤を併用することも出来る。水混和性有機溶剤としては、例えばアセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、酢酸エチルエステル等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、アミド類等、樹脂を溶解して、単独あるいは他の有機溶剤との組合せで水混和性があるものであれば使用可能である。
なお、必要に応じて無機または有機の不溶性の粒子を混合物中に添加してもよい。これら粒子の添加にあたっては、添加後に前記混合物中に分散させるか、予め混合物中の自己水分散性樹脂、溶剤と相溶する樹脂、溶剤中に分散させたものを前記混合物に添加して用いることができる。このように別途用意された無機または有機粒子を用いることにより、これら粒子をコアにして表面を本発明のハイブリッド体で被覆して粒子化をより容易に行わせたり、製造コストを下げたりすることができる。
(2)加水分解縮合工程
加水分解縮合工程においては、アニオン性基を含有する樹脂溶液中のpHを8.0以上にするために、塩基触媒を使用して多価金属アルコキシド加水分解、及び縮合、または多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物のさらなる加水分解縮合を行わせる。また塩基触媒としては公知のものが使用されるが、アニオン性基を有する樹脂を水性分散体とするための乳化用塩基の一部を塩基触媒としてもよい。具体的には、アンモニア、アルキルアミン・アルコールアミン等の有機アミン、ピリジン、ピペラジンその他の塩基性化合物がある。
加水分解縮合工程においては、時間、温度条件は混合物の配合に応じて適宜設定できるが、乳化粒子化工程前に充分な加水分解、縮合を行わせるためには室温以上で、3〜48時間が好ましい。多価金属アルコキシドの加水分解、および縮合は、次工程である(乳化)粒子化工程と同時に行っても良いが、乳化(粒子化)工程前に混合物中で加水分解縮合工程を充分進行させることにより、無機材料と有機高分子がより均一に混合した粒子を形成することができる。また水性分散体の保存安定性も良好となる。
加水分解縮合工程の結果、多価金属アルコキシドからその加水分解生成物、縮合生成物として金属酸化物ゾルが形成される、加水分解縮合工程においては金属酸化物ゾルの縮重合が進みすぎて金属酸化物ゲルが形成されることは、以後の乳化工程の障害となりやすいため好ましくない。
(3)混合物の乳化工程または粒子化工程
乳化粒子化工程においては、加水分解縮合工程で形成された、樹脂と多価金属アルコキシドの加水分解縮合物である金属酸化物ゾルとの、均一混合物を水中に乳化または粒子化する。
混合物を乳化または粒子化する方法としては、混合物中の樹脂の溶解度を下げることによって行うことが出来る。具体的な方法としては溶媒である水の一部を揮散させる方法、低温にして樹脂の溶解度を低下させる方法等があるが、本発明の製造方法においては、混合物のpHを下げることにより樹脂の溶解度を低下させる方法を用いる。この方法は樹脂の溶解度の制御を行いやすい点で好ましい。
酸を混合物に撹拌下で少しずつ加えて、樹脂の固まりが生じない程度、すなわち2.0以上8.0未満にpHを低下させる、また予め塩基性化合物として揮発性の塩基性化合物を使用しておき、該塩基性化合物を揮散させる方法をもちいることができる。この場合は金属アルコキシドの加水分解・重縮合によって生じたアルコールも併せて留去されるという利点もある。該樹脂の溶解度を低下させると徐々に樹脂の疎水性基が内側に向き、親水性基が外側に向いたエマルジョンを形成し、該樹脂を含む混合物が乳化するようになる。
(4)粒子内ゲル化工程
必要であれば、上記のように形成され乳化または粒子化された混合物の液滴中、粒子中で、含有される多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物のさらなる縮合を進めて、粒子内ゲル化を進行させる。本工程においては、加熱し、加水分解縮合によって生成するアルコールを留去することによって一層粒子内ゲル化が進行し、金属酸化物ゲルと樹脂が均一に混合した有機無機ハイブリッド粒子が形成される。
本発明の製造方法においては、アニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドを少なくとも含むプロセスの好適な段階において、室温以上の温度、好ましくは30℃以上100℃以下でエージングを行うことが金属アルコキシドの反応ゲルからなる乳化粒子の分散体を作製する上で有用である。
前記した製造方法に準じて得た有機無機ハイブリッド粒子からなる研磨用粒子を含む水性分散体は、これをそのまま水性の研磨剤スラリーとして用いる場合は出来るだけ乳化後に水より低い沸点を有する有機溶剤を除去する工程を導入して調製しておくことが望ましく、これによって研磨用粒子の溶解・膨潤がなくなり、優れた研磨能力と安定した水性分散体が得られる。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の実施例中における「部」は『質量部』を表わす。
(実施例1)
アクリル酸樹脂(アクリル酸/スチレン/アクリル酸2エチルへキシル=55/20/25;酸価160;分子量2万7千)のアンモニア水溶液(樹脂分20質量%、28%アンモニア水4.5%)0.5部、4%アンモニア水0.2部、水88.6部の混合溶液を撹拌しながら、Si(O−C10部を加え、80℃で3時間撹拌してpH8.5の分散液を得た。
得られた分散液をロータリーエバポレーターを用いてSi(O−Cから生じたエタノールとアンモニアと水の一部および残留Si(O−Cを留去してpH6.9、固形分5%の水分散体を得た。遠心分離で粗大粒子を除去して有機無機ハイブリッド粒子脂粒子水性分散体とした。得られた有機無機ハイブリッド粒子の体積平均粒径は20nmで粒径の均一性が良く、沈降物も無く分散は安定であった。
得られた有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体100部にニトリロ三酢酸二アンモニウム3部と30%過酸化水素水3部を加えて、pH3.5の研磨スラリーを得た。
得られた研磨スラリーを用いて卓上小型ラッピングマシンFACT200S(株式会社ナノファクター製)を用いて100g/cmの加重、回転数80回転30分、スラリー供給量20ml、研磨パッドsurfin−ssw−1(フジミインコーポレーテッド製)で銅の研磨を行った。得られた銅の表面は金属光沢を有し、平均粗さRa値は15nmであった。研磨レートは、厚さ2000Å/分であった。
(比較例1)
実施例1のニトリロ三酢酸二アンモニウムを除いたスラリー組成で同様にして銅の研磨を行った。得られた銅の表面は金属光沢が無く、ほとんど研磨されていなかった。
(実施例2)
アクリル酸樹脂(アクリル酸/スチレン/アクリル酸2エチルへキシル=55/20/25;酸価160;分子量2万7千)のアンモニア水溶液(樹脂分20質量%、28%アンモニア水4.5%)0.5部、4%アンモニア水0.2部、水88.6部の混合溶液を撹拌しながら、Si(O−C10部を加え、80℃で3時間撹拌してpH8.5の分散液を得た。
得られた分散液にエチレンジアミン四酢酸0.1部を加え80℃で1時間撹拌し、その後ロータリーエバポレーターを用いてSi(O−Cから生じたエタノールとアンモニアと水の一部および残留Si(O−Cを留去してpH2.8、固形分5%の水分散体を得た。遠心分離で粗大粒子を除去して有機無機ハイブリッド粒子脂粒子水性分散体とした。得られた有機無機ハイブリッド粒子の体積平均粒径は30nmで粒径の均一性が良く、沈降物も無く分散は安定であった。
得られた有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体100部にニトリロ三酢酸二アンモニウム3部と30%過酸化水素水3部を加えて、pH3.5の研磨スラリーを得た。
得られた研磨スラリーを用いて卓上小型ラッピングマシンFACT200S(株式会社ナノファクター製)を用いて100g/cmの加重、回転数80回転30分、スラリー供給量20ml、研磨パッドsurfin−ssw−1(フジミインコーポレーテッド製)で銅の研磨を行った。得られた銅の表面は金属光沢を有し、平均粗さRa値は20nmであった。研磨レートは、厚さ1800Å/分であった。
(比較例2)
実施例2のエチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸二アンモニウムを除いた組成で同様にして銅の研磨を行った。得られた銅の表面は金属光沢が無く、ほとんど研磨されていなかった。
(実施例3)
アクリル酸樹脂(アクリル酸/スチレン/アクリル酸2エチルへキシル=55/20/25;酸価160;分子量2万7千)のアンモニア水溶液(樹脂分20質量%、28%アンモニア水4.5%)0.5部、4%アンモニア水0.2部、水88.6部の混合溶液を撹拌しながら、Si(O−C10部を加え、80℃で3時間撹拌してpH8.5の分散液を得た。
得られた分散液にヒドロキシエチルイミノ二酢酸0.2部を加え80℃で1時間撹拌し、その後ロータリーエバポレーターを用いてSi(O−Cから生じたエタノールとアンモニアと水の一部および残留Si(O−Cを留去してpH2.8、固形分5%の水分散体を得た。遠心分離で粗大粒子を除去して有機無機ハイブリッド粒子脂粒子水性分散体とした。得られた有機無機ハイブリッド粒子の体積平均粒径は25nmで粒径の均一性が良く、沈降物も無く分散は安定であった。
得られた有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体100部にニトリロ三酢酸二アンモニウム3部と30%過酸化水素水3部を加えて、pH3.5の研磨スラリーを得た。
得られた研磨スラリーを用いて卓上小型ラッピングマシンFACT200S(株式会社ナノファクター製)を用いて100g/cmの加重、回転数80回転30分、スラリー供給量20ml、研磨パッドsurfin−ssw−1(フジミインコーポレーテッド製)で銅の研磨を行った。得られた銅の表面は金属光沢を有し、平均粗さRa値は15nmであった。研磨レートは、厚さ2000Å/分であった。
(比較例3)
実施例3のヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸二アンモニウムを除いた組成で同様にして銅の研磨を行った。得られた銅の表面は金属光沢が無く、ほとんど研磨されていなかった。
(実施例4)
アクリル酸樹脂(アクリル酸/スチレン/アクリル酸2エチルへキシル=55/20/25;酸価160;分子量2万7千)のアンモニア水溶液(樹脂分20質量%、28%アンモニア水4.5%)0.5部、4%アンモニア水0.2部、水88.6部の混合溶液を撹拌しながら、Si(O−C10部を加え、80℃で3時間撹拌してpH8.5の分散液を得た。
得られた分散液にジヒドロキシエチルグリシン2部、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール0.5部を加え80℃で1時間撹拌し、その後ロータリーエバポレーターを用いてSi(O−Cから生じたエタノールとアンモニアと水の一部および残留Si(O−Cを留去してpH6.8、固形分5%の水分散体を得た。遠心分離で粗大粒子を除去して有機無機ハイブリッド粒子脂粒子水性分散体とした。得られた有機無機ハイブリッド粒子の体積平均粒径は20nmで粒径の均一性が良く、沈降物も無く分散は安定であった。
得られた有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体100部に30%過酸化水素水3部を加えて、pH6.5の研磨スラリーを得た。
得られた研磨スラリーを用いて卓上小型ラッピングマシンFACT200S(株式会社ナノファクター製)を用いて100g/cmの加重、回転数80回転30分、スラリー供給量20ml、研磨パッドsurfin−ssw−1(フジミインコーポレーテッド製)で銅の研磨を行った。得られた銅の表面は金属光沢を有し、平均粗さRa値は10nmであった。研磨レートは、厚さ1800Å/分であった。
(比較例4)
実施例4のジヒドロキシエチルグリシン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを除いた組成で同様にして銅の研磨を行った。得られた銅の表面は金属光沢が無く、ほとんど研磨されていなかった。
本発明の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法から得られる有機無機ハイブリッド粒子水性分散体およびハイブリッド粒子は、その機械強度を利用する研磨剤・耐摩耗コーティング材あるいは成型物・接着剤、その光学的な性質を利用する各種光学フィルム・光通信材料、その電気特性や耐熱性を利用する半導体封止材等の電子材料やその他複合材料等、粒子単独あるいは塗料として様々な産業上の利用が可能である。

Claims (14)

  1. アニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルからなる有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体であって、pHを2.0以上、8.0未満の範囲に調整したことを特徴とする有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体。
  2. 前記有機無機ハイブリッド粒子は、該粒子中の反応ゲルがpH8.0以上の前記アニオン性基を有する樹脂溶液中で、前記金属アルコキシドの加水分解によって形成されたものである請求項1に記載の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体。
  3. 前記pH範囲の調整は酸化合物の添加によって行われたものである請求項2に記載の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体。
  4. 前記酸化合物の添加は金属アルコキシドの加水分解生成物を含有する樹脂溶液を粒子化する過程で添加されたものである請求項3に記載の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体。
  5. 酸化合物が、窒素原子に直結した酢酸基を有する化合物である請求項3または4に記載の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体。
  6. 酸化合物が、窒素原子に直結したヒドロキシアルキル基と酢酸基を有する化合物である請求項5に記載の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体。
  7. 窒素原子に直結したヒドロキシアルキル基と酢酸基を有する化合物が、少なくともヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸、及びジヒドロキシエチルグリシンからなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物である請求項6に記載の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体。
  8. 酸化合物の酢酸基の少なくとも一部が、塩基性化合物で中和された請求項3〜7に記載の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体。
  9. 塩基性化合物が、多価金属と錯塩を形成する塩基性化合物である請求項8に記載の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体。
  10. 請求項3〜9に記載の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体を主成分とする研磨スラリー。
  11. アニオン性基を有する樹脂と、多価金属アルコキシドの反応ゲルを含有する有機無機ハイブリッド粒子の製造方法であって
    (1)少なくとも一部が塩基性化合物で中和されたアニオン性基を有する樹脂の樹脂水溶液中に、多価金属アルコキシドを溶解または懸濁させた混合物を製造する混合工程と、
    (2)前記混合物中の多価金属アルコキシドを、該混合物のpHを塩基触媒下で8.0以上に保ちつつ、加水分解、または加水分解し縮合させる加水分解工程と、
    (3)前記混合物中のpHを2.0以上8.0未満にまで低下させ、前記樹脂の溶解度を低下させて前記混合物を乳化または粒子化させる粒子化工程を有し、かつ前記粒子化工程では、酸化合物が添加されることを特徴とした有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法。
  12. 前記酸化合物は窒素原子に直結した酢酸基を有する酸化合物である請求項11に記載の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法。
  13. 前記窒素原子に直結した酢酸基を有する酸化合物が、窒素原子に直結したヒドロキシアルキル基と酢酸基を有する化合物である請求項12に記載の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法。
  14. 酸化合物の酢酸基の少なくとも一部が、塩基性化合物で中和された請求項12または13に記載の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法。

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