JP2006280683A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数層の繊維集合体から形成された透液層2と、透湿性の防漏層3とからなる吸収性物品であって、透液層2は、その底面22を防漏層3に対向させて、接着剤を介して防漏層3に接着されており、複数層の透液層2は、その肌に当接する層41よりもその防漏層3に対向する層42の方が繊維密度が密である。
【選択図】図1
Description
本発明の吸収性物品の一実施形態としてのパンティライナー1は、図1及び図2に示すように、複数層の繊維集合体から形成された透液層2と透湿性の防漏層3とからなり、透液層2は、その底面22を防漏層3に対向させて、接着剤(図示せず)を介して防漏層3に接着されている。透液層2は、その肌に当接する層41よりもその防漏層3に対向する層42の方が繊維密度が密である。
本実施形態のパンティライナー1は、図1及び図2に示すように、複数層の繊維集合体からなる透液層2と、透湿性の防漏層3と、これらを接着する接着剤(図示せず)のみからなる。ここでいう「のみ」とは、吸収された水分が一時的に保持されても吸収性物品に永続的には保持されず、水蒸気となって速やかに外部に排出されるという本発明の効果を阻害するような、高い液保持性を有する吸収体等を具備していないという意味である。従って、本発明の効果を阻害しないような部材が設けられている形態は除外されておらず、例えば、着衣に固定するための粘着剤〔通常、防漏層3の非肌当接面(着衣当接面)32側に設けられる〕等を具備していてもよい。
本実施形態においては、透液層2は、最上層である上層41と、最下層である下層42との2層からなる。
尚、本発明においては、透液層2は、3層以上の繊維集合体から形成することができる。3層以上の繊維集合体からなる透液層2においては、最上層から最下層に順に繊維密度が密になるように構成することができる。また、このような疎密関係を有していなくても、最上層の繊維密度(疎)<最下層の繊維密度(密)を関係を有し、且つ最上層に吸収された体液が最下層に移行することができれば、最上層と最下層との間の中間層(1層又は2層以上)の繊維密度の疎密関係には制限はないが、最上層から最下層に順に繊維密度が密になるように構成することが好ましい。
各層に凹凸構造がある場合も同様の測定を行い、最大厚みを代表値に用いる。
(1)前述のように、全体の厚みを前記圧縮試験機で測定する。
(2)この厚みになるように繊維集合体を保持しながら、断面を拡大観察し、各層の厚みを計測する。尚、各層の厚みは、断面厚みが最大となるポイントで計測する。
(3)以上の測定を20箇所で行って、その平均値を代表値に用いた。
詳述すると、透液層2においては、上層41と下層42とは積層されて所定パターンの多数の接合部43で部分的に接合されている。接合部43は、平面視円形でそれぞれ不連続に形成され、千鳥状のパターンで配されている。接合部43は、圧密化されており、透液層2における他の部位に比して厚みが小さく且つ密度が大きくなっている。接合部43は、例えば熱エンボス、超音波エンボス、接着剤による接着等の各種接合手段によって形成される。
尚、接合部43の形状は、円形の他、楕円形、三角形、矩形又はこれらの組み合わせ等であってもよい。また接合部43を、連続した形状、例えば直線や曲線等の線状、格子状等に形成してもよい。
そして、凸部51間が凹部52となっている。凹部52の底部には接合部43が位置している。透液層2全体として見ると、底面(防漏層3に対向する面)22が平坦状で、上面(肌当接面)21に多数の凹凸が形成された凹凸構造となっている。
また、透液層2が凹凸構造となっているため、着用者の肌と透液層2の上面(肌当接面)21とが密着し難くなるため、通気性が向上する。
尚、透液層2が3層以上の繊維集合体からなる場合において、最上層と最下層との間の中間層(1層又は2層以上)についての親水性の大小関係は、透液層2が3層以上の繊維集合体からなる場合における中間層についての繊維密度の疎密関係と同様である。
例えば、レーヨンやパルプ繊維等の親水繊維を所定の割合で混合して不織布を得ることで、繊維集合体全体の親水性を高めることも可能であるが、構成繊維として代表的に用いる熱可塑性繊維を、ウェブ形成前に予め親水化しておくことがより一般的である。
例えば、各層の親水化処理を、体液への溶解性の低い親水化処理剤を用いたり又は親水化処理剤を繊維表面に固定することにより行い、最上層から最下層へ向かって親水性が高くなるように親水化処理剤を選択し、最下層まで体液の性質を変化させずに最下層へ導く方法が挙げられる。
透液層2の底面22を平坦状にする方法としては、例えば、カレンダー処理(即ち、表面の平滑な加圧ロールの間に透液層の繊維集合体を通過させて平坦に押しつぶす方法)が挙げられる。
また、金属ロールを適宜加熱することで、透液層の底面の平坦性を更に高めることができる。このとき、熱可塑繊維の設計と金属ロール温度との関係によって、透液層2の疎密構造を制御することも可能である。
また、透液層の最下層に上記芯鞘繊維を多量に配合し、上層には、より高融点の芯鞘繊維(例えば、芯がPET,鞘が124℃程度と高い融点のPE等)を用い、表面温度が110℃近傍の金属ロールを用いると、繊維密度の疎密の差がより強まる。
このように、カレンダー処理は、透液層の底面の平坦性を高める他、透液層の疎密構造の形成にも寄与することができる。
また、同じく防漏層3からの水分の蒸散を促進するには、蒸発面積が広い方が好ましい。即ち、体液ができるだけ最下層で広がる方が好ましい。
一方、肌に体液が付いて濡れた感じや蒸れた感じがしないようにするには、透液層2における肌に当接する面側の体液の広がりは小さい方が好ましい。即ち、体液は、最上層では広がらず、最下層では十分広がり、全体として最下層における防漏層3近傍で集中的に存在することが望ましい。
この観点から、透液層2全体の厚み(t0)に対する最下層(下層42)の厚み(t1)の比率(t1/t0)は、好ましくは5%〜40%、更に好ましくは7%〜30%である。
尚、これらの厚みは、前述したように、前記圧縮試験と拡大観察とを併用することで測定できる。
親水性で液保持性の繊維としては、パルプ、レーヨン、その他各種天然繊維の他、吸水性樹脂繊維(即ちアクリル酸、アクリル酸塩重合体架橋物からなる繊維)等が挙げられる。これらの繊維は、特に最下層に集中的に配合することが、体液の集中的な移行を促す意味で効果的であるが、その場合も最下層への配合量は、体液を保持・貯留せず速やかに蒸散する観点より(最下層全体の繊維量に対する比率として)10%以内が好ましく、5%以内が更に好ましい。これらの繊維を含まず、別の工夫で体液の移行を促すことも好適に用いられる。
上層41の坪量は、体液を広げず、よれにくく、柔らかい感触を維持する観点から、好ましくは25〜80g/m2であり、下層42の坪量は、薄くても十分な毛管力を発現する観点から好ましくは25〜70g/cm2である。
また、上層41の繊度は、毛管力があまり大きくなく(低液保持性)、且つ高感触(ざらつかず滑らか)であるために、好ましくは2.2〜6.0dtexであり、下層42の繊度は、毛管力が十分高い観点から、上層41よりも繊度が小さいことが好ましく、更に好ましくは4.0dtex以下、現実に入手可能でより好ましい範囲では1.8〜4.0dtexである。
透液層2と防漏層3との当接面に全面的に接着剤が塗工されていると、透液層2から防漏層3へ水分が移行し難くなるので、接着剤は部分的に塗工されていることが好ましい。
ホットメルト接着剤の塗工パターンとしては、スパイラルパターン以外にも、例えば、ドットパターン、Ω状パターン、線状パターンが挙げられる。これらのパターンは、ホットメルト接着剤のスパイラルスプレー塗工、スロットスプレー塗工、コントロールウィーブ塗工、グラビア塗工等で形成可能である。特に、コントロールの容易さ、防漏層へのダメージの小ささ等の観点から、スパイラルスプレー塗工やコントロールウィーブ塗工が好適に用いられる。
ホットメルト接着剤の塗工量は、好ましくは2〜15g/m2、より好ましくは3〜10g/m2である。
例えば、防漏層3は、透湿フィルム単独、フィルムと不織布の貼り合わせ、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)を用いることができるが、コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチング等から、最も好ましいのは透湿フィルム単独を防漏層として用いることである。
(2)の例としては、極性基を多く含み、かつ熱可塑性を有し、分子間隙が広く結晶性が低くなるような樹脂、例えば日本合成樹脂(株)製ペレット「フレックマー」のようなウレタン系樹脂を溶融押し出ししてフィルム化したものが挙げられる。しかしながら、コストや扱いやすさでは(1)の微細孔を開けたフィルムが最も好適に用いられる。例えばポリエチレンと炭酸カルシウムからなるフィルムの延伸物、ポリエチレン、硫酸バリウムからなるフィルムの延伸物等が挙げられる。
この透湿度達成のためには、フィルムの坪量と無機フィラー配合量の設計が重要であり、高い透湿度と、着衣固定用ズレ止め粘着剤を使用しても破れない強さを両立するためには、好ましいフィルム坪量は、18〜70g/m2、より好ましくは25〜60g/m2である。また、好ましい無機フィラー配合量は、フィルム全体の重量に対するフィラーの重量%として30〜65重量%、より好ましくは40〜60重量%である。
防漏層3における透液層2に対向する側31の親水性を高める手段には特に制限はない。
例えば、前述したような各種親水化処理剤を予め防漏層3における透液層2に対向する側(対向面)に塗工してあってもよく、当該対向面にコロナ放電処理やプラズマ処理等の親水性を高める処理がなされてもよく、また当該対向面に親水性材料が埋め込まれていてもよく、その他親水性の材料を当該対向面に塗工する処置がなされてもよい。
親水性の接着剤としては、エチレン酢酸ビニル(EVA)系、ポリビニルアルコール(PVA)系、アクリル系の樹脂を主成分とするホットメルト接着剤、及びPVA系、アクリル系、EVA系ポリマーを水系の分散媒に分散乳化した、水系のエマルジョン接着剤が挙げられる。水系のエマルジョン接着剤の場合には、接着剤を防漏層3に塗工し、接着剤に含有する水分が蒸発してから、防漏層3と透液層2とを接着させればよい。
それに加えて、透液層2は、その肌に当接する層41よりもその防漏層3に対向する層42の方が親水性が高くなっているため、透液層2における体液の移行性が一層向上している。
しかも、防漏層3は、その透液層2に対向する側の親水性が高められているため、透液層2の下層42に一時保持された水分が防漏層3となじみ易く、防漏層3からの水分の蒸散が促されることになる。
例えば、本発明の吸収性物品は、脇パッド、母乳パッド、軽失禁パッド等にも適用することができる。透液層には、体液を局所集中させるための多数の凹部を設けなくてもよい。
2 透液層
21 上面(肌当接面)
22 底面
3 防漏層
31 透液層に対向する側
32 非肌当接面側
41 上層(肌に当接する層)
42 下層(防漏層に対向する層)
51 凸部
52 凹部
Claims (8)
- 複数層の繊維集合体から形成された透液層と、透湿性の防漏層とからなる吸収性物品であって、
前記透液層は、その底面を前記防漏層に対向させて、接着剤を介して該防漏層に接着されており、
複数層の前記透液層は、その肌に当接する層よりもその前記防漏層に対向する層の方が繊維密度が密である吸収性物品。 - 前記複数層の透液層は、その全層に亘って、体液を局所集中させるための多数の凹部を有する請求項1記載の吸収性物品。
- 前記透液層は、その底面が平坦状である請求項1又は2に記載の吸収性物品。
- 前記透液層は、その底面が前記防漏層に密着している請求項3記載の吸収性物品。
- 前記複数層の透液層は、その肌に当接する層よりもその前記防漏層に対向する層の方が親水性が高い請求項1〜4の何れかに記載の吸収性物品。
- 前記防漏層は、その前記透液層に対向する側の親水性が高められている請求項1〜5の何れかに記載の吸収性物品。
- 前記防漏層は、その親水性が、その前記透液層に対向する側に親水性の前記接着剤が塗工されることによって高められている請求項6記載の吸収性物品。
- 前記防漏層は、その親水性が、その前記透液層に対向する側にコロナ放電処理又はプラズマ処理が施されることによって高められている請求項6記載の吸収性物品。
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