JP2006275298A - 冷蔵庫 - Google Patents

Abstract

【課題】 長尺であっても除霜水を流下させる排水ホースとしての機能を保有したまま、簡単な構成変更により、コストアップすることなく肉厚の均一化を達成し、断熱壁内に強度を保持して埋設することができる排水ホースを備えた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】 内外箱間の空隙にポリウレタンフォームなどの断熱材５を発泡充填した断熱箱体２と、この断熱箱体の断熱壁内に埋設され、蒸発器９からの除霜水を箱体外部に導出する排水ホース16とを備え、前記排水ホースはブロー成形により形成されて長尺の管状をなし、長手方向の屈曲部19には蛇腹成形を施すとともにストレート部20には所定寸法以下の間隔で内面側に突出する凸条16を形成したことを特徴とする。
【選択図】 図３

Description

本発明は、蒸発器からの除霜水を外部に排出する排水ホースを設けた冷蔵庫に関する。

冷蔵庫における蒸発器を除霜した際の除霜水は、蒸発器下部に設けた排水樋で受け、排水ホースを介して庫外に導出される構成であり、庫外の機械室に延出した排水ホースの端部に対応して配置した蒸発皿で蒸発処理される。

排水ホースは、特許文献１にも示されているように、比較的柔軟性のある材料をブロー（吹き込み）成形によって形成するものであり、断面円筒状であって長手方向の数カ所の屈曲部には蛇腹成形を形成しており、成形機からチューブ状のパリソンを押し出し、金型内にセットして挟み込み、空気を吹き込んで成形するものである。
特開２０００−１０５０６２公報

しかしながら、前記排水ホースは、排水樋と蒸発皿とを繋ぐものであることから、近年のように冷蔵庫の冷却方式が冷凍用と冷蔵用の各専用蒸発器を設ける方式となり、収納容積の大型化とも相俟って、一方、例えば、冷蔵用冷却器を冷蔵室背面など冷蔵庫本体の上部に配置した場合には、下方の機械室に配置した蒸発皿との距離が長くなり、排水ホースの長さもかなり長尺なものとなって、その製造に支障を来すようになっている。

すなわち、排水ホースは、長手方向の屈曲部には折曲配置しやすいように蛇腹成形を施し、他のストレート部分は凹凸部分のない扁平な筒状であるが、前記のように長尺になったことで、従来のように、成形のため上部に配置した押出成形機から材料樹脂であるパリソンを下方へ押し出すと、約１９０〜２００℃の温度で溶融状態にあるチューブ状のパリソンの樹脂肉厚が下方に偏倚することになり、長手方向の上下位置で肉厚が著しくばらつく不具合が発生する。

これを防ぐため、図10に示すように、上下の金型（63ａ）（63ｂ）を水平状態に設置し、パリソン（56′）を金型内にセットし、横方向から空気を吹き込んで成形する方法を検討したが、この方法においても、ブロー成形のため金型（63）にセットした段階で下型（63ｂ）の内面にパリソン（56′）が面接触するため、エアブローするまでの３０〜４０秒間にパリソン（56′）の接触部が冷却されて硬化し、成形のためにエアブローしてもパリソンがスムーズに延伸せず、結果として肉厚が不均一になることを防止できなかった。

したがって、排水ホースとしての強度が低下するため、これを内外箱間の空間部に設置した状態で断熱材を発泡させた際には、発泡圧力によって排水ホースが変形するなどの不具合が発生することがある。

ホース部分が変形して通路面積が保持できなくなると、排水ホースの詰まりなど現場発泡方式である断熱キャビネット製品としては致命的な欠点となるため、これを防ぐために材厚を増やせばコストアップになるばかりでなく重量が増加するものであり、ホースを複数に分割すれば部品数の増加とともに組み立て工程が煩雑となる問題があった。

本発明は上記点を考慮してなされたもので、長尺であっても除霜水を流下させる排水ホースとしての機能を保有したまま、簡単な構成変更により、コストアップすることなく肉厚の均一化を達成し、断熱壁内に強度を保持して埋設することができる排水ホースを備えた冷蔵庫を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために本発明の冷蔵庫は、内外箱間の空隙にポリウレタンフォームなどの断熱材を発泡充填した断熱箱体と、この断熱箱体の断熱壁内に埋設され、蒸発器からの除霜水を箱体外部に導出する排水ホースとを備え、前記排水ホースはブロー成形により形成されて長尺の管状をなし、長手方向の屈曲部には蛇腹成形を施すとともにストレート部には所定寸法以下の間隔で内面側に突出する凸条を形成したことを特徴とするものである。

本発明の冷蔵庫によれば、排水ホースの周壁面に内面側への凸条を設けるだけの簡単な構成で、長尺であってもコストアップすることなく、肉厚を均一に成形することができるとともに、全長に亙る前記凸条によって内外周への強度が高まり、断熱材注入時の発泡圧力によっても変形することなく所定の排水断面を保持することができるものである。また、前記ホース内面への凸条は、ホース内を流下する除霜水の落下速度を抑制するため、耳障りな落下音も低減することができる。

以下、図面に基づき本発明の１実施形態について説明する。図１にその縦断面図を示す冷蔵庫本体（１）は、貯蔵室を形成する内箱（３）と外箱（４）の間隙にポリウレタンフォームなどからなる発泡断熱材（５）を注入充填して断熱箱体（２）を形成し、内箱（３）の最上部には冷蔵食品を収納貯蔵する冷蔵室（６）を設け、その下部に、野菜室（７）や冷凍室（８）など所定の貯蔵温度に沿った貯蔵室を配置し、それぞれの前面開口には扉を配設している。

内箱（３）の背部には、それぞれ冷却温度の沿って各貯蔵室内を冷却する冷蔵用冷却器（９）および冷凍用冷却器（10）を設置している。各冷却器（９）（10）は、冷却運転により付着した霜を除去し排水する必要があり、冷凍用冷却器（10）は庫内最下部に位置していることから、除霜時に発生する除霜水は冷却器の下部に配置した排水樋（11）から断熱壁（５）を貫通する排水管（12）を介して直下の機械室（13）に設けた蒸発皿（14）内に除霜水を排水し、蒸発処理するよう構成している。

一方、冷蔵用冷却器（９）の下部にも排水樋（15）を設けているが、冷却器（９）の配置位置自体が最上部に位置する冷蔵室（６）の背部であり、冷蔵庫本体（１）の比較的上部に位置していることから、排水を庫外の前記蒸発皿（14）に導くため長尺の排水ホース（16）をこの排水樋（15）に接続している。

排水ホース（16）は、ポリプロピレンやポリエチレンなどの合成樹脂をブロー成形で形成したものであり、上端（17）を庫内側の排水樋（15）に接続するとともに、前記発泡断熱材（５）を充填する前段階の冷蔵庫本体（１′）の背方からの斜視図である図２に示すように、内箱（３）の裏面に当たる断熱空間（５′）内に延出させて下方に垂下させ、外箱底板（２ａ）を貫通して機械室（13）における蒸発皿（14）の上部に対応する位置に下端（18）を突出させて取り付けている。

この排水ホース（16）は、図３に示すように長尺の円筒管からなり、長手方向の数カ所には冷蔵庫本体（１′）への組み付け時に折れ曲がる部分に蛇腹成形を施した屈曲部（19）を設けており、屈曲部（19）間のストレート部（20）には、所定のピッチでホース内面側に突出するリング状の径小部（21）を形成させている。

径小部（21）は、その詳細を一部断面とともに図４に示すように、肉厚が１．５ｍｍ厚程度の排水ホース（16）の長手方向に亙って所定のピッチ間隔で三角形状の一角部が内方に突出するように形成したリング状の凸条（22）で形成されており、ホース内径を８ｍｍとし、このホース内面から内方へ突出する凸条（22）の高さは１．５ｍｍとしている。

そして、排水ホース（16）は、以下の手順で形成される。まず、押出成型機から押し出されたパリソン（16′）は、図５に示すように、水平状態に設置された金型（23）にセットする。金型（23）は上型（23ａ）と下型（23ｂ）で構成されており、各金型（23ａ）（23ｂ）は、排水ホースとして長手方向に所定ピッチ間隔で形成した前記径小部（21）を形成するための断面三角形状の凸条（22′）、および屈曲部（19）を形成する蛇腹成形部（19′）をその内表面に突設しており、図６に示すように、下型（23ｂ）内にセットされたパリソン（16′）は前記凸条（22′）（22′）における三角形の尖端上に載置されることになる。

したがって、パリソン（16′）は下型（23ｂ）に対して線接触の状態になるため、型温度の影響を受けて冷やされることなく形状を保持でき、押出時の温度を保ったまま上型（23ａ）を閉じて、内部に２０秒間程度、矢印方向からエアブローすることになる。この結果、パリソン（16′）は外方に膨らんで金型（23）の内面に密着して成形され、冷却されることで固化し、図３に示す排水ホース（16）として金型（23）から脱型される。

上記工程により、パリソン（16′）は、型締め前の下型（23ｂ）に載置した段階では型の凸条（22′）尖端部と線接触するだけであるため、型の熱影響を受けず表面が冷却されることがないので、硬化による偏肉の発生を防ぐことができ、肉厚の均一化を達成することができる。

そして、肉厚の均一な排水ホース（16）を製造することができるので、これを冷蔵庫本体の断熱空間に配置して断熱材（５）を充填発泡しても、その発泡圧による変形を防ぐことができ、中空の排水ホース（16）には、前述のごとく、所定ピッチで径小部（21）が形成されているため、これが補強リブとなって、さらに強度が向上する。

なお、前記排水ホース（16）の径小部（22）（22）間の間隔は、排水ホースの材質や肉厚、管径寸法にも関係するが、前記凸条（22）の高さａに対する径小部間ピッチ寸法ｂを、ａ：ｂ≧１：１０の関係とし、約１５ｍｍ以下の寸法にする。これは、図７に示すように、径小部（21）のピッチ間隔が広過ぎるとパリソン（16′）を水平状態の下型（23ｂ）上に載置した際に、軟化状態にあるパリソン（16′）を凸条（22′）（22′）間で支えられず、垂れ下がって凸条（22′）間の平面部（24）に接触して熱伝導してしまうことを防止するためである。

前記排水ホース（16）は、前述のように断熱材（５）を充填前の冷蔵庫本体（１′）に取り付けた後、内外箱（３）（４）間の空隙内に発泡断熱材の原液を現場発泡方式により注入し発泡充填するものであり、断熱材（５）の固化によって、他の配置部品とともに断熱材（５）内に埋設固定される。

断熱材（５）の充填時における排水ホース（16）は、均一な肉厚とともに前記所定ピッチ間隔の凸条（22）が補強部となって発泡時の圧力に耐えることができるものであり、変形することを防止できるので、冷蔵庫冷却器（９）の除霜時における除霜水などをホース内に詰まらせることなく流下させ、庫外の蒸発皿（14）に導くことができる。

また、図８に示すように、排水ホース（16）の内面側に突出してリング状の径小部（21）を形成する凸条（22）は、流下する除霜水（25）の抵抗となって落下速度を遅くするため、従来、除霜水量の多いときにややもすると耳障りであった水の落下音や蒸発皿（14）面での水はねを低減できる効果がある。

次に、排水ホース形状の他の実施例について説明する。本実施例における排水ホース（26）は、図９に示すように、所定ピッチ間隔で設けた径小部（31）を形成する凸条（32）を、前記実施例のようにリング状ではなく、螺旋状に形成したものである。

すなわち、局部的な断面は前記実施例と同様に、管体の内方に尖端部が突出する三角形状の凸条（32）によって形成される径小部（31）を所定ピッチ間隔で設けるとともに、前記凸条（32）を排水ホース（26）の表面に螺旋状に凹凸成形することにより、これがガイドになって、排水樋（15）からの除霜水は排水ホース（26）の内面を螺旋状凸条（32）に沿って流れ落ちるため、水の流れがスムーズになり、より落水騒音の低減をはかることができる。

本発明は、除霜水を庫外に導出する排水ホースの強度を向上させた冷蔵庫に利用することができる。

本発明の１実施形態を示す冷蔵庫の縦断面図である。 図１の冷蔵庫の断熱材充填前の状態を示す背方からの斜視図である。 図１における排水ホースを示す正面図である。 図３の排水ホースの一部を破断した部分詳細図である。 図３に示す排水ホースとブロー成形する金型との構成を示す斜視図である。 図５の縦断面図である。 図６における凸条間のピッチが広い場合の説明図である。 図１の排水ホース内における除霜水の流下状態を示す断面図である。 本発明の他の実施例を示す図８と同部分の排水ホースの断面図である。 図６に対応する従来の排水ホースのブロー成形状態を示す断面図である。

符号の説明

１ 冷蔵庫本体 ５ 発泡断熱材 ５′ 断熱空間
９ 冷蔵用冷却器 14 蒸発皿 15 排水樋
16 排水ホース 16′パリソン 19 屈曲部
20 ストレート部 21 径小部 22 凸条
22′型の凸条 23 ブロー成形型 23ａ 上型
23ｂ 下型 24 型平面部 25 除霜水
26 排水ホース 31 螺旋状径小部 32 凸条

Claims (5)

1. 内外箱間の空隙にポリウレタンフォームなどの断熱材を発泡充填した断熱箱体と、この断熱箱体の断熱壁内に埋設され、蒸発器からの除霜水を箱体外部に導出する排水ホースとを備え、前記排水ホースはブロー成形により形成されて長尺の管状をなし、長手方向の屈曲部には蛇腹成形を施すとともにストレート部には所定寸法以下の間隔で内面側に突出する凸条を形成したことを特徴とする冷蔵庫。
2. 排水ホースの凸条の管内面側への突出端縁を尖端としたことを特徴とする請求項１記載の冷蔵庫。
3. 排水ホースの凸条は管内面の長手方向に亙って螺旋状に形成させたことを特徴とする請求項１記載の冷蔵庫。
4. 排水ホースの凸条部の内径は５ｍｍ以上、凸条の管内面よりの高さ寸法は１．５ｍｍ以下とするとともに、前記凸条の高さ寸法と凸条のピッチ間隔との関係は１：１０以下としたことを特徴とする請求項１記載の冷蔵庫。
5. 排水ホースは、長手方向をほぼ水平にして設置した金型内面の凸条上にパリソンを押し出しブロー成形により形成したことを特徴とする請求項１記載の冷蔵庫。
   

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